説明

ディスク装置

【課題】スロットから挿入されるディスクが上方または下方に傾斜した状態であってもディスクをディスク支持アームが確実に捕捉できるようにし、ディスクのローディング時の誤動作の原因を払拭する。
【解決手段】ディスク搬入時には、ディスク搬入方向におけるディスクの前端側を支持して装置内部へディスクを案内し、ディスク搬出時には、ディスク搬出方向におけるディスクの後端側を支持して装置内部へディスクを押し出すようにしたディスク支持アーム17と、ディスク支持アームの駆動機構と、を備えてなるディスク装置であって、ディスクの搬入を待機している状態において、ディスク支持アームを押下させてスロットから挿入されるディスクの端部の捕捉が確実となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種コンピュータシステムなどの情報機器において、大量の情報を記録する記録媒体としての光ディスク(例えば、CD−R/RW、DVD−R/−RW/RAM/+R/+RWなど)をドライブするディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)などに内蔵されているディスク装置は、通常、ディスクを装填するディスクトレイを備えており、このディスクトレイが前進後退するように構成されている。そして、ディスクトレイに装填されたディスクは、ディスク装置の本体内でドライブされ、情報の記録または再生が行われる。
【0003】
一方、ディスクトレイを用いない方式として、いわゆるスロットイン方式のディスク装置も多く採用される傾向にあり、パソコンの薄型化、小型化に好適なものとなっている。このスロットイン方式のディスク装置は、装置本体へのディスクのロード(搬入)/アンロード(搬出)にディスクトレイを用いないため、操作者がディスクの過半をスロットに差し込むと、以後、装置本体のローディング機構が作動して自動的にロードされるようにしている。
【0004】
図46ならびに図47は、従来のスロットイン方式のディスク装置におけるローディング機構の構成および動作態様を示すものである。同図に示す構成においては、ディスクDを操作者が挿入すると、ディスクDは第1の揺動体100の先端のピン100aおよび左右のガイド体101・102、そして途中から第2の揺動体103の先端のピン103aにより高さ方向と左右位置を規制されながら図46に示す位置まで到達する。
【0005】
このとき、第1の揺動体100はディスクDにより先端のピン100aが押されて矢印100A方向に回転し、また、第2の揺動体103もディスクDにより先端のピン103aが押されて矢印103A方向に回転する。そして、スイッチレバー104が第2の揺動体103の端部に押されて矢印104A方向に回転し、検出スイッチ105を作動する。
【0006】
前記検出スイッチ105が作動すると駆動手段106が始動し、第1のスライド部材107の矢印107A方向への移動が開始される。この第1のスライド部材107と第2のスライド部材108は、各先端がスライド連結部材109で連結され、このスライド連結部材109がピン110で揺動可能に枢支されているので、第1のスライド部材107の後退に同期して第2のスライド部材108が矢印108A方向に前進する。
【0007】
このようにして、第1のスライド部材107が後退を開始すると、このスライド部材107に片持ち状態で支持されている第1の揺動体100は第1のスライド部材107のカム溝107aで従動ピン100bが案内されることから、支点100cを中心に矢印100B方向へ揺動体100が回転し、これにより第1の揺動体100の先端のピン100aがディスクDをディスク位置決め部材111のピン111a・111bに当接するまで矢印107A方向へ搬送する。
【0008】
このとき、第2の揺動体103のピン103aは矢印103A方向に回転するので、第2の揺動体103のピン103aは、第1の揺動体100の先端のピン100aと同期してディスクDを支持したまま矢印103A方向に移動し、ディスクDがディスク位置決め部材111のピン111a・111bに当接した後は、ディスクDから僅かに離れた位置まで回転する。
【0009】
以上は装置内部へディスクDを搬入する場合のローディング機構の動作態様であるが、ディスクDを装置外部へ搬出する場合のローディング機構は、前述と逆の動作態様となる。即ち、図47に示すようにディスクDが装置内部で定位置にあるとき、アンロードの指示にもとづき、駆動手段106が逆転方向に始動されると、第1のスライド部材107が矢印107B方向に前進を開始し、スライド連結部材109に連結されている第2のスライド部材108が同期して矢印108B方向に後退を開始する。これにより、第1の揺動体100は矢印100A方向に、そして第2の揺動体103は矢印103B方向に回転するので、各々の先端のピン100a・103aによりディスクDが支持されて装置外部へ搬出されることになる。
【0010】
なお、装置内部へ搬入されたディスクDは、定位置で上下動するクランプヘッド112にクランプされるようにしてある。このクランプヘッド112は、スピンドルモータ114の駆動軸に固定されたターンテーブル113と一体化されており、さらに前記スピンドルモータ114は、フレーム部材115に配設され、このフレーム部材115を昇降機構により上下動するようにしている。
【0011】
また、ディスクDを搬出する場合は、揺動体103が駆動手段106に対してアンロック状態となり、駆動手段106から独立して作動する構成となっているため、揺動体103はバネの付勢力により103B方向へ揺動され、ディスクDが搬出される。したがって、ディスクDの搬出のための駆動力がバネ弾性の力のみであることから、装置外部へ搬出されたディスクDの静止位置は一定とならず、ディスクDが回転しながら装置外部へ搬出されることになる(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−117604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように構成されたディスク装置では、第1の揺動体100と第2の揺動体103が協働的に動作するようにするため、第1のスライド部材107と第2のスライド部材108をスライド連結部材109で連結し、その前進後退が同期するようにしている。そして、ディスクDが装置外部へ搬出される場合は、第2の揺動体103の矢印103Bへ向かう力が主体となる。
【0013】
そして、ディスクDが装置外部へ搬出されつつある状態、即ち、図46に示すようにディスクDが同図の仮想線で示す位置にあり、第2の揺動体103が矢印103B方向に回転している状態において、ディスクDが搬入方向に押し戻されるような状況が発生すると、正常に作用している正の方向の力に対して負の方向の力が発生し、ローディング機構全体がいわゆる逆モーションを受ける状態となり、各機構部分、駆動手段106を破損することになる。
【0014】
また、ディスクDが装置内部へ搬入されつつある状態、即ち、図46に示すようにディスクDが同図の仮想線で示す位置にあり、第1の揺動体100が矢印100Bの方向に回転している状態において、ディスクDが搬出方向に引き戻されるような状況が発生すると、この場合においてもローディング機構全体が逆モーションを受け、各機構部分、駆動手段106を破損することになる。
【0015】
さらに、従来の一般的な構成のディスク装置では、操作者により挿入されてきたディスクは、その先端が必ずしも水平状態とならず、上方または下方に傾斜した状態となり、スロットから挿入されるディスクをディスク支持アームが確実に捕捉できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで本発明は、以下に述べる手段により上記課題を解決するようにした。即ち、請求項1記載の発明では、ディスク搬入時には、ディスク搬入方向におけるディスクの前端側を支持して装置内部へディスクを案内し、ディスク搬出時は、ディスク搬出方向におけるディスクの後端側を支持して装置外部へディスクを押し出すようにしたディスク支持アームと、前記ディスク支持アームの駆動機構と、を備えてなるディスク装置であって、ディスクの搬入を待機している状態において、前記ディスク支持アームを押下させてスロットから挿入されるディスク端部の捕捉が確実となるようにする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明を実施したスロットイン方式のディスク装置によれば、ディスクの搬入を待機している状態において、ディスク支持アームを押下させてスロットから挿入されるディスクの端部の捕捉を確実となるようにしたので、ディスクのローディング時の誤動作の原因を払拭することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて詳細に説明する。なお、本発明の理解を容易とするため、全体の構成の概要を含め説明する。
【0019】
図1は、本発明を実施したスロットイン方式のディスク装置1の外観を示す図であり、シールド状態に構成されたシャーシケース2の天板の中央に開口2aが形成されており、さらにこの開口2aの開口周縁部に内部へ突出する凸部2bが形成されている。前記凸部2bにはこれに連続する前端へ向かう上り勾配(背面では下り勾配)の第1の傾斜面2cが形成されており、また、後述するディスク支持アームの上下動を案内する第2の傾斜面2dが形成されている。
【0020】
前記シャーシケース2の前端にはベゼル3が固定されており、このベゼル3には、ディスクDを挿入するスロット3aとエマージェンシー解除のための通孔3b・3cが形成されている。また、ベゼル3には、収容されているディスクDの装置外部への搬出を指示するための押釦4およびディスク装置1の動作状態を表示するためのインジケータ5を備える。
【0021】
図2は、このディスク装置1のシャーシケース2の天板部分を除去した状態の平面図であり、その斜視図を図3に示す。同図において、シャーシケース2内にはベースパネル6が配設されており、その中央から斜め下方への配置状態でディスクDに対する駆動系ユニットAが設けられている。この駆動系ユニットAは、ディスクDの中心孔Daをクランプまたはクランプされている状態を解除するため、水平状態で上下動可能となるようにしたフレーム部材8が既知の緩衝支持構造9により複数箇所(本実施例では3箇所)でベースパネル6に連結されている(図4吹出図参照)。なお、フレーム部材8の駆動構造は、一端を軸支した片持ち状態とし、先端部を揺動させてクランプヘッドを上下動させるようにした方式のものもあるが、本発明の実施例においては、フレーム部材8を水平状態のまま上下動させる方式を採用し、薄型化に有利となるようにしている。
【0022】
前記フレーム部材8の先端には、搬入して停止したディスクDの中心に対応する位置にクランプヘッド7が配置される。このクランプヘッド7はターンテーブル10と一体に構成され、直下に配したスピンドルモータ11の駆動軸に固定されており、このスピンドルモータ11によりクランプヘッド7にクランプされたディスクDを回転駆動してドライブし、情報の記録または再生が行われる。
【0023】
つぎに、符号Bはフレーム部材8に支持されたヘッドユニットであり、光ピックアップ12をディスクDの直径方向に往復動させるためのキャリアブロック13が、その両端をフレーム部材8に固定されたガイドシャフト14・15に支持され、スレッドモータ16およびギヤユニット(図示省略)により往復動される。
【0024】
符号17はディスクDを装置内部へ案内するとともに装置外部へ押し出す動作を司るディスク支持アームであり、その先端にはディスクDの端部を支持するホルダー18が固定されている。前記ホルダー18は、図6に示すように先端に受端部18aが形成され、側部に保持溝18bが形成されている。なお、このホルダー18は、全体を摩擦係数の高い素材で形成するか、前記受端部18aおよび保持溝18bにシリコンゴムなどを貼着し、ディスクDに摩擦抵抗が作用するようにしておく。なお、その具体的作用については後述する。
【0025】
前記ディスク支持アーム17には先端に向けて下り勾配となる凹陥部17aが形成されており、この凹陥部17aによりディスク支持アーム17の先端のホルダー18の上下方向の揺動が可能となるようにしている。即ち、一般的な構成のディスク装置では、図7(A)に示すように操作者により挿入されてきたディスクは、その先端が必ずしも水平状態とならず、同図の仮想線で示すように上方または下方に傾斜した状態となることがある。そこで本発明では、前述したように天板に第1の傾斜面2cを形成し、図7(B)に示すようにディスクDが前記第1の傾斜面2cに接触して上方へ傾斜しないようにしてホルダー18の受端部18aへ正確に案内できるようにした。
【0026】
ところが、かかる構成のみではディスクDの先端の下方への傾斜には対応できないため、天板に第2の傾斜面2dを形成し、この傾斜面2dの作用により図7(C)に示すようにホルダー18を定常の位置より強制的に降下させることにより、ディスクDの前端が下方へ傾斜した場合においてもその端部がホルダー18の受端部18aに収まるようにし、捕捉が確実となるようにした。
【0027】
このように構成した場合、ホルダー18が降下した状態のままでディスク支持アーム17を揺動させると、図7(C)から明らかなようにホルダー18がクランプヘッド7に当接してしまうことになる。そこで、本発明ではディスク支持アーム17の揺動に従ってホルダー18が図7(C)の仮想線で示すように徐々に上昇し、クランプヘッド7に当接しないようにしてあり、かかる作用は、ディスク支持アーム17の凹陥部17aが機能するようにしたもので、その動作を図8の要部拡大図で説明する。
【0028】
まず、ディスク支持アーム17が図2、図3に示す最も前進した状態の位置では、その凹陥部17aは図8(A)の位置にある。即ち、かかる状態はホルダー18が天板の第2の傾斜面2dにより押下された図7(C)の状態にあり、この状態からディスク支持アーム17が揺動を開始すると、図8(B)に示すように凹陥部17aがベースパネル6に乗り上げて徐々にディスク支持アーム17が上昇し、凹陥部17aが完全に乗り上げた図8(C)でホルダー18が定常の位置となる。したがって、ホルダー18はクランプヘッド7に当接することなく、図2の仮想線で示すように揺動を繰り返すことができる。
【0029】
つぎに、ディスク支持アーム17を揺動させる駆動機構Cについて説明する。ディスク支持アーム17の揺動支点となる端部は、ベースパネル6の裏面で図4に示すように支持板19と一体となっており、この支持板19が枢支ピン20により旋回可能となるようにしているため、この支持板19の旋回に伴ってベースパネル6上のディスク支持アーム17がスリット6aの範囲内で揺動する。
【0030】
図9は、ディスク支持アーム17の駆動機構Cが構成されている平面状態をベースパネル6を除去して示したもので、ディスク支持アーム17を直接駆動する第1のリンクアーム21は支持板19の枢支ピン17bにより連結されており、引張コイルバネ22により常時付勢されている。一方、第2のリンクアーム23には図10に示すようにスリット23a・23bが形成されており、このスリット23a・23bからリベットピン24が挿通され、その先端が第1のリンクアーム21の通孔21a・21bに固定され、第1のリンクアーム21と第2のリンクアーム23はスリット23a・23bの範囲内で伸縮可能に一体化されている。なお、第1のリンクアーム21と第2のリンクアーム23には、後述するロック機構が作用する切欠部21c・23cが形成されている。
【0031】
符号25は第2のリンクアーム23へ駆動力を伝達するためのレバーアームであり、支点となる通孔25aが枢支ピン25dで支持され、揺動可能となるようにしている。レバーアーム25の作用端には枢支ピン25bが固定されており、この枢支ピン25bは第2のリンクアーム23の通孔23dおよびロックレバー26の通孔26aに挿通される。そして、前記第2のリンクアーム23とロックレバー26の間には捻りコイルバネ27が配置され、その一端27aが第2のリンクアーム23の凹欠部23eに係止され、他端27bはロックレバー26の凹欠部26bに係止される。これによりロックレバー26の係止端26cは第1のリンクアーム21の切欠部21cと第2のリンクアーム23の切欠部23cと係合する方向に付勢される。なお、ベースパネル6の裏面には第1のリンクアーム21が所定の位置に達したとき、その後端部で作動されるリミットスイッチ28、そして第2のリンクアームが所定の位置に達したとき、ロックレバー26の後端部26dを押圧するための起動ピン29が配設されている。
【0032】
つぎに、ディスク支持アーム17の駆動機構Cへの動力伝達要素となるスライダー機構および搬送機構Eの構成について説明する。まず、搬送機構Eは、大別してローディングギヤユニットG1とラックギヤユニットG2の組み合わせにより構成されている。図11乃至図12は、ローディングギヤユニットG1の構成および動作態様を説明するための図である。同図において符号30は動力源となるローディングモータであり、このローディングモータ30の出力軸にはウォームギヤ31が同軸で回転するように固定され、このウォームギヤ31の回転力がギヤベース35に軸支されたダブルギヤ32・33・34へ順次、小径ギヤから大径ギヤへ減速されながら伝達される。
【0033】
前記ギヤ構成において、ダブルギヤ32はウォームギヤ31との噛合状態を解除するリリース機構を備える。これは、ダブルギヤ32を保持しつつ上下方向にスライド可能のホルダー36の端部36aが枢支ピン37に挿通され、圧縮コイルバネ38により下方へ付勢されて軸支されていることにより、定常の状態においては、図11(C)に示すようにウォームギヤ31とダブルギヤ32は正常な噛合状態となる。なお、ホルダー36のローディングモータ30側の端部には、ドグヘッド36bが形成されており、ギヤベース35に固定されたリミットスイッチ39のノブ39aを作動可能となるようにしている。
【0034】
前記ホルダー36の端部36aの下面には枢支ピン37と同軸で軸支されたスライダー部材40が設けられている。このスライダー部材40の枢支ピン37に軸支される部分には長溝40aが形成されており、ホルダー36の端部36aと直角方向にスライド可能となるようにしている。また、このスライダー部材40は、前端と後端との間に傾斜面40bが形成されており、スライダー部材40を前進させたとき、この傾斜面40bがホルダー36の端部36aを底面から押し上げ、ホルダー36全体が上昇する。
【0035】
スライダー部材40の後端には枢支ピン41に軸支される係止段部40cを備えた長溝40dが形成されており、さらに後端部には封止突起40eを備えた作用片40fが形成されている。一方、スライダー部材40の前端部にはラックギヤユニットG2の動きに応じて起動されるリセット片40gが形成されている。
【0036】
このように一体に構成されたスライダー部材40は、そのフック片40hとギヤベース35のフック片35aとの間にトグル作用を与えるための引張コイルバネ42が傾斜角を備えて張設されており、スライダー部材40が常時後退しつつ反時計回り方向に転回するように付勢されている。
【0037】
以上のようにスライダー部材40が構成されていることにより、図11に示す定常状態においては、スライダー部材40は枢支ピン37を支点としている。この状態において、スライダー部材40を後端部から押圧して前進させ、枢支ピン41の位置に長溝40dの係止段部40cが至ると、前記引張コイルバネ42の張力によりスライダー部材40が枢支ピン37を支点にして転回し、図12に示すように係止段部40cと枢支ピン41が係合してロック状態となり、その姿勢が維持されることになる。
【0038】
つぎに、ラックギヤユニットG2は図13に示すように、ラック主体43にギヤ列43a・43bが一体に形成されており、前記ギヤ列43aはローディングギヤユニットG1のダブルギヤ34の小径ギヤと噛合する。したがって、ローディングモータ30を駆動することにより、ラック主体43はシャーシケース2内で前進または後退することになる。このようにラック主体43を前進または後退させることにより、このラック主体43の先端に連結されている駆動機構Cが駆動してディスク支持アーム17が揺動するとともに図2に示すベースパネル6面でラック主体43に連結されているレバーアーム44により誘引アーム50が揺動されることになる。
【0039】
このように構成されたラック主体43上には、このラック主体43の先端部で前進後退するギヤ部材45が遊動状態で配置され、このギヤ部材45を押圧して前進させるため、前後にブロック46a・46bを備えた押圧ピン46が配置されている。そして、前記ギヤ列43bとギヤ部材45を、ギヤフレーム48に自由回転するように取り付けられているダブルギヤ47に噛合させて連結されている。この場合、ダブルギヤ47の大径ギヤ47aはギヤ列43bの後端部に噛合し、小径ギヤ47bは前記ブロック46bと一体に成形されたギヤ部材45の先端部に噛合するようにする。
【0040】
したがって、押圧ピン46を介した外力によりギヤ部材45が押し込まれると、ダブルギヤ47は定位置で回転するため、ギヤ列43bに大径ギヤ47aの回転力が伝達し、ラック主体43が移動する。なお、符号49は上述したローディングギヤユニットG1のスライダー部材40の前端部に形成されているリセット片40gを押圧する作用片であり、ローディングギヤユニットG1が図12に示す状態において、この作用片49がスライダー部材40のリセット片40gを押圧すると、枢支ピン41と係止段部40cとの係合が解除されることから、図11に示す状態に復帰する。
【0041】
つぎに、フレーム部材8の昇降機構の構成ならびに動作態様について説明する。この昇降機構は、ラック主体43およびこのラック主体43に同期して前進後退するスライド部材51・52、そして、前記ラック主体43、スライド部材51・52に形成されたカム溝に案内される従動ピン53により構成される。前記スライド部材51はリンク部材55aによりラック主体43と連結され、また、スライド部材51はリンク部材55bによりスライド部材52に連結されている。これによりラック主体43、スライド部材51・52が同期して前進後退するようにしている。図4はラック主体43が最も前進した状態であり、図5は最も後退している状態を示す。
【0042】
フレーム部材8に固定された各従動ピン53は、その開放端がラック主体43およびスライド部材51・52に形成されたカム溝に各々が係合するように配置されている。この従動ピン53と各々のカム溝との係合関係は略共通するので、以下においては、ラック主体43のカム溝と従動ピン53との係合関係を代表例として説明する。
【0043】
まず、図14乃至図20に示す実施例においては、フレーム部材8に固定された従動ピン53に柔軟性を具備した弾性リング54を装着するようにしている。一方、ラック主体43に形成したカム溝は、従動ピン53が摺接して案内されるカム溝43cと、この従動ピン53がカム溝43cにより案内されている過程で前記弾性リング54が接触しない程度の遊嵌状態となるカム溝43dとの二重カム構造となるように形成されている。
【0044】
前記カム溝43c・43dの高位部P2では、弾性リング54を保持すべくカム溝43dは弾性リング54の直径とほぼ同等となるように形成されており、また、カム溝43cは高位部P2の入口付近でその溝形成が終了し、高位部P2に開口する状態となっている。したがって、カム溝43cが形成されている範囲においては、このカム溝43cで従動ピン53が規制支持され、高位部P2に至ると弾性リング54を介して従動ピン53が支持されることになる。
【0045】
つぎに、以上のように構成されたフレーム部材8の昇降機構の動作態様を図14乃至図20に示す工程図にもとづいて説明する。図14はディスクDがディスク装置1内に搬入され、ディスクDの中心孔Daがクランプヘッド7に正対する位置で停止した最も初期の状態を示す。この状態において従動ピン53はカム溝43cの低位部P1にあるため、フレーム部材8は最も降下しており、クランプヘッド7は上昇を待機している状態にある。この状態からさらにラック主体43が後退を開始すると、図15に示すように従動ピン53がカム溝43cの傾斜部P3に案内されて次第に上昇し、これに伴いフレーム部材8およびクランプヘッド7も上昇を開始する。
【0046】
そして、カム溝43cに案内されている従動ピン53が図16に示すように、さらに傾斜部P3を上昇すると、クランプヘッド7のチャック爪7aがディスクDの中心孔Daの開口端部に当接する。この状態から図17に示すようにクランプヘッド7が上昇すると、そのチャック爪7aがディスクDを押し上げ、その中心孔Daの開口端部をシャーシケース2の開口2aの凸部2bに押し付ける。さらに従動ピン53が案内されて図18に示すようにカム溝43cの頂部に至ると、クランプヘッド7がディスクDの中心孔Daに嵌入し、チャック爪7aがディスクDの中心孔Daの端部を係止してターンテーブル10上にディスクDを固定し、クランプを完了する。なお、前記凸部2bは開口2aの約3/5周に亘って形成されており、残りの約2/周に亘る部位には形成されていない。よって、クランプヘッド7が上昇したとき、ディスクDは凸部2bに押し付けられることにより傾斜するが、この傾斜によりクランプ動作をスムーズに行うことができる。
【0047】
図18の状態からさらにラック主体43が後退するとフレーム部材8は僅かに降下し、図19に示すように弾性リング54が高位部P2に収まる。このようにして従動ピン53がカム溝43cから離脱してこのカム溝43cによる規制支持が解除されるとともに、弾性リング54により従動ピン53が弾性支持されることになり、フレーム部材8に対する緩衝作用が発生することになる。
【0048】
図20は、ディスクDを搬出する工程を示す図であり、ラック主体43を前進させることにより従動ピン53が前述とは逆の工程を辿り、低位部P1に至る過程でクランプ解除ピン56によりディスクDはクランプヘッド7から離脱し、装置外部への搬出が可能となる。なお、以上で説明した動作態様の理解を容易とするため、図21にディスクDをクランプする工程を、そして図22にディスクDのクランプを解除する工程を連続的に示す。
【0049】
つぎに、ディスク支持アーム17の動作態様について説明する。ディスク支持アーム17を駆動するための駆動機構Cは、図10に示す機構要素が組み立てられて構成されるのであるが、その動作はラック主体43の前進後退に伴いなされる。即ち、図23において、ラック主体43に形成されたガイド溝43fにレバーアーム25の端部に固定された従動ピン25cが装着され、前記ガイド溝43fに案内されるようにしている。同図に示した状態は、操作者がディスクDをスロット3aから挿入し、その前端がディスク支持アーム17の先端のホルダー18の受端部18aに収まった状態の初期状態を示す。この時点では、ロックレバー26の後端部26dが起動ピン29で押圧されていることから、その係止端26cが第1、第2のリンクアーム21・23の切欠部21c・23cに介在していない状態となる。
【0050】
図24は、操作者がディスクDを装置内部へさらに押し込んだ状態を示すもので、ディスク支持アーム17が後方へ揺動し、このディスク支持アーム17の基端部に枢支ピン17cで連結されている第1のリンクアーム21が牽引され、リミットスイッチ28が作動された状態を示す。このとき、レバーアーム25は静止しているラック主体43に連結されているので、これに連結されている第2のリンクアーム23は定位置に保たれた状態となっている。したがって、第1のリンクアーム21は第2のリンクアーム23に対してアンロックの状態であり、同図に示すように第1のリンクアーム21が第2のリンクアーム23上でスライドして伸びている状態となる。
【0051】
図25は、前記により作動したリミットスイッチ28からの信号にもとづいて搬送機構Eが駆動を開始し、ラック主体43が後退した状態である。この状態は、ラック主体43の後退に伴い、そのガイド溝43fによりレバーアーム25が揺動され、第2のリンクアーム23が第1のリンクアーム21に追従するようにスライドして前進するため、起動ピン29による押圧から開放されたロックレバー26の係止端26cは、第1、第2のリンクアーム21・23の切欠部21c・23cに介在することになり、第1、第2のリンクアーム21・23の一体化がロックされた状態となる。即ち、ディスクDの搬入時には、第1、第2のリンクアーム21・23は、一旦は伸びる方向に変位(図23の状態から図24の状態へ)してから、縮む方向へ変位(図24の状態から図25の状態へ)して第1、第2のリンクアーム21・23がロック状態となる。
【0052】
図26は、さらにラック主体43が後退するためディスク支持アーム17が後方へ揺動してディスクDを搬入し、ディスクDの中心孔Daがクランプヘッド7上に一致した状態を示す。なお、この時点までは、ホルダー18と誘引アーム50でディスクDを保持しており、ディスク支持アーム17と誘引アーム50は同期して揺動してくる。そして、この時点までは、リンク部材55aの従動ピン55cはラック主体43のガイド溝43g内をスライドしているのみで、ラック主体43の後退に伴う作用を受けることはない。
【0053】
図26から図27の過程においては、レバーアーム25の従動ピン25cは、ラック主体43のガイド溝43fの縦溝部分をスライドするのみであるので、ディスク支持アーム17は定位置に保たれる。一方、リンク部材55aの従動ピン55cはラック主体43のガイド溝43gの横溝部分で押し上げられるので、図26から図27へ至る過程でラック主体43とともにスライド部材51・52がスライドし、フレーム部材8の昇降機構が動作して図27に示す時点でクランプヘッド7がディスクDの中心孔Daをクランプする。
【0054】
図28は、クランプヘッド7がディスクDの中心孔Daをクランプした後、ラック主体43が僅かに後退した状態を示すもので、これにより、ラック主体43のガイド溝43fの縦溝の終端部でレバーアーム25が僅かに揺動し、同図に示すようにディスク支持アーム17も僅かに揺動するため、ホルダー18によるディスクDの保持が解除される。この時点に至ると、誘引アーム50も同期して僅かに揺動し、ディスクDの保持を解除する。また、フレーム部材8の昇降機構では、従動ピン53がカム溝43c内で僅かに降下し、ディスクDの回転駆動が可能な状態となる。
【0055】
以上は、ディスクDの搬入時の駆動機構Cの動作態様であるが、ディスクDの搬出時は、これと逆の経路を辿り各部の機構要素は逆の動作を行う。即ち、搬送機構Eが逆に駆動され、ラック主体43を前進させてディスク支持アーム17が図28の状態から図25の状態まで前方へ揺動し、図29に示す状態でロックレバー26の後端部26dが起動ピン29に当接する。そして、さらにラック主体43が前進すると、前記後端部26dが起動ピン29で押圧される状態となり、これによりロックレバー26の係止端26cが第1のリンクアーム21と第2のリンクアーム23の切欠部21c・23cから揺動して離脱し、第1のリンクアーム21と第2のリンクアーム23が一体化されたロック状態が解除され、これと同時に引張コイルバネ22の付勢力が作用してディスク支持アーム17が図23に示す位置まで揺動し、搬出の最終過程の最後の一瞬でディスクDをスロット3aからポップアウトして搬出を完了する。
【0056】
このように、ディスク搬入動作開始時には、第1、第2のリンクアーム21・23はロックが解除された状態であり、ディスクDが挿入されるにつれて、第1、第2のリンクアーム21・23は、一旦は伸びる方向に変位(図23の状態から図24の状態へ)してから、縮む方向に変位(図24の状態から図25の状態へ)し、図25の状態に至ってロックレバー26によりロックされる。一方、ディスクDの搬出動作開始時には、第1、第2のリンクアーム21・23はロックされた状態であり、よって、第1、第2のリンクアーム21・23は、搬入時のように伸び縮みの変位をすることなく、図29の状態に至ってロックレバー26によるロックが解除される。なお、ディスクDの搬出時には、殆ど全ての搬出工程を搬出機構Eで駆動制御するようにしたので、搬出動作が常に一定となり、搬出終了時にディスクDがベゼル3のスロット3aから露出して静止した状態が常に一定となる。
【0057】
さらに、上述したようにディスク支持アーム17の先端のホルダー18を摩擦係数の高い素材で成形するか、受端部18aおよび保持溝18bにシリコンゴムなどを貼着し、ディスクDに摩擦抵抗が作用するようにしたので、クランプヘッド7によるクランプが解除されると、ディスクDの回転を直ちに停止させることができ、ディスクDが回転したままスロット3aからポップアウトしないようにすることができる。
【0058】
つぎに、本発明の課題として説明したように、ディスクDの搬出中にこのディスクDが搬入方向へ押し戻され、負の方向の力が駆動機構Cに働いた場合の不具合を回避するための動作態様について説明する。図30(A)に示すようにディスクDの搬出過程において、各部の機構要素が実線矢印の方向に駆動しており、第1、第2のリンクアーム21・23の切欠部21c・23cにロックレバー26の係止端26cが介在し、第1、第2のリンクアーム21・23が一体化されているロック状態のとき、図30(B)に示すようにディスクDが押し戻されると、第1、第2のリンクアーム21・23は相対する方向にスライドする。
【0059】
かかる状態になると、図30(B)の吹出図に示すように第1のリンクアーム21の切欠部21cはロックレバー26の係止端26cに乗り上げてスライドし、ディスクDの負の方向の力は、このスライド作用により吸収されることになる。このようなディスクDによる負の方向の力は、ディスク支持アーム17の先端のホルダー18が押圧されることから強大な回転モーメントとなって駆動機構Cに伝わることになるのであるが、前記構成により機構要素のどの部分にも影響を与えることがなく、破損を防止することができる。なお、図30(B)のようにディスクDが押し戻された場合には、リミットスイッチ28がその時点で作動されるので、搬送機構Eを反転動作させることによりディスクDを装置内部へ搬入させることが可能となる。
【0060】
つぎに、ラック主体43により駆動される誘引アーム50の構成ならびに動作態様を以下に説明する。図31は、誘引アーム50を駆動する構成を示すもので、ラック主体43に形成された誘導溝43eに重合する位置のベースパネル6にガイドスリット6bが形成され、前記誘導溝43eとガイドスリット6bにレバーアーム44の先端に固定した従動ピン57を差し込んだ状態としてあり、前進後退する誘導溝43eに対して定位置にあるガイドスリット6bとが相互に作用し、前記従動ピン57を動作制御するようにしている。
【0061】
前記誘引アーム50は図34に示すように枢支ピン58で回動可能に支持された基端部にレバーアーム44が枢支ピン59で軸支されている。誘引アーム50の先端にはディスクDの保持溝が形成されており、この保持溝内部にローラ60が配設されている。誘引アーム50はこのように構成されていることから、レバーアーム44の動作に伴いシャーシケース2内で揺動し、ディスクDを装置内部へ搬入可能となるようにしている。
【0062】
一方、誘引アーム50へ駆動力を伝達するためのレバーアーム44は、図32に示すように前記誘引アーム50の枢支ピン59へ回動可能に枢支するための通孔44aが形成され、係止爪44bおよび下面へ膨出した係止凸部44cが形成されたスライド片44Aと、従動ピン57が固定される通孔44dが形成され、側部にスリット44eが形成されたガイド溝44fを備える支持片44Bとからなる。そして、前記支持片44Bのガイド溝44fの底板部には通孔44gが形成されており、ガイド溝44fに臨ませて切欠部44hが形成されている。
【0063】
このように形成されたスライド片44Aの係止爪44bを支持片44Bの切欠部44hから差し込み、スライド片44Aを前方へ僅かにスライドさせると、前記係止爪44bはスリット44eで係止され、係止凸部44cが支持片44Bの通孔44gに係合し、図33に示すように一体化される。これにより、スライド片44Aと支持片44Bは相互に伸縮可能となるが、係止凸部44cと通孔44gの係合している状態においてレバーアームの基準長がロックされている状態となる。
【0064】
図34乃至図38は、前記誘引アーム50の動作態様を示すもので、ラック主体43のカム溝43cで導かれる従動ピン53の動作態様に対応させて説明する。図34は、ディスクDがディスク装置1内へ操作者により挿入された状態であり、このディスクDの搬入方向の前端側で押し戻されてディスク支持アーム17が後方へ揺動し、第1のリンクアーム21がリミットスイッチ28を作動して駆動機構Cが動作を開始する初期状態にある。したがって、ラック主体43は同図に示すように最前端に位置し、レバーアーム44の従動ピン57は誘導溝43eの後端位置にある。
【0065】
かかる状態において、駆動機構Cが動作を開始すると、図35に示すようにラック主体43が後退を開始する。このとき、従動ピン57は誘導溝43eの後端の傾斜面とガイドスリット6bの側壁で挟持される状態にあるため、ラック主体43の前進に伴って従動ピン57も後退し、レバーアーム44が牽引されることにより誘引アーム50が揺動してディスク支持アーム17とによりディスクDを保持した状態となり、ディスクDの搬入が開始される。このとき、従動ピン53はカム溝43cの低位部P1の水平部分を移動しており、高さは変化しない。
【0066】
図36は、ラック主体43がさらに後退し、従動ピン57がガイドスリット6bの頂部に至った状態を示すもので、誘引アーム50の揺動によりディスクDの搬入が継続され、ディスクDの中心孔Daがクランプヘッド7と一致する位置に達した状態であり、このとき、従動ピン53はカム溝43cの傾斜部P3の上り勾配を上昇し始める。
【0067】
図37は、ラック主体43が図36の位置から僅かに後退した状態を示し、従動ピン57が誘導溝43eによりガイドスリット6bの頂部の横溝に押し込まれる状態にある。このとき、従動ピン53はカム溝43cの傾斜部P3の頂部に達し、クランプヘッド7がディスクDの中心孔Daのクランプを完了する。
【0068】
図38は、ラック主体43が最終位置まで後退した状態であり、図37から図38に至る過程において従動ピン57が誘導溝43e前端の長溝によりガイドスリット6bの頂部の横溝へさらに押し込まれる。これにより、誘引アーム50は同図の仮想線で示す位置から僅かに後退し、ディスクDの保持を解除する。このとき、従動ピン53はカム溝43cの頂部から高位部P2へ降下し、ディスクDの回転駆動が可能な状態となる。
【0069】
図39乃至図43は、ディスク支持アーム17と誘引アーム50が同期して駆動する状態を示すもので、図34乃至図38の工程の説明に対応するものである。
【0070】
つぎに、本発明の課題として説明したように、ディスクDの搬入中にこのディスクDが搬出方向へ引き戻され、負の方向の力が駆動機構Cに働いた場合の不具合を回避するための動作態様について説明する。図44に示すようにディスクDの搬入過程、即ち、ラック主体43が後退して誘引アーム50によりディスクDが仮想線で示す位置まで搬入されてきた状態において、ディスクDが搬出方向に引き戻される状況となり、該ディスクDが同図実線位置に至ると、これに伴い誘引アーム50も揺動する。このとき、レバーアーム44の支持片44Bは、ラック主体43による牽引が継続されている状態であることから矢印X2方向へ移動しており、一方、スライド片44Aは、誘引アーム50の揺動に伴い矢印X1方向へ移動する。
【0071】
前記状況は、スライド片44Aと支持片44Bが相対方向に移動することになり、図45(A)に示す係止凸部44cと通孔44gとの係合状態に所定以上の負荷が加わることになるので、図45(B)に示すように基準長にロックされた前記係合状態が解除され、スライド片44Aが矢印X1方向にスライドする。これにより、ディスクDを引き戻す操作による誘引アーム50からレバーアーム44に発生する負の方向の力はスライド片44Aのスライドにより吸収され、前記誘引アーム50、レバーアーム44およびこれを駆動するための駆動機構の破損を防止することができる。
【0072】
このようにして、ディスクDが強制的に引き戻される操作に伴う破損が防止されると、係止凸部44cと通孔44gとの係合状態が解除される時点で駆動機構に僅かに負荷が発生するが、この負荷をトルクセンサーなどの適宜手段により検出して駆動機構をその時点で逆転し、ディスクDの搬送を搬出方向へ反転させることができる。そして、この場合、レバーアーム44のスライド片44Aは図44に示すように定常状態の位置から伸長している状態にあるが、図34の初期状態に至る過程においてスライド片44Aに支持片44Bが押し込まれ、レバーアーム44は定常状態における基準長にロックされた状態に復帰する。
【0073】
なお、本発明の上記構成において、レバーアーム44の係止凸部44cと通孔44gの係合状態を調整することにより負荷の大きさに対応させた係合解除のタイミングを設定することが可能となる。また、上記実施例では、スライド片44Aと支持片44Bを薄板状に形成したものを例示したが、定常状態におけるレバーアーム44の基準長をロック状態にでき、伸縮が可能となるようにした構成であれば、本発明の要旨を変更するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明を実施したディスク装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のディスク装置の内部構造を示す平面図である。
【図3】図1のディスク装置の内部構造を示す斜視図である。
【図4】図1のディスク装置の底面における内部構造を示す図である。
【図5】図1のディスク装置の動作状態を説明するための図である。
【図6】ディスク支持アームの構成を説明するための斜視図である。
【図7】ディスクの搬入の状態を説明するための図である。
【図8】ディスク支持アームの動作態様を説明するための図である。
【図9】図1のディスク装置の内部の機構要素を示す平面図である。
【図10】駆動機構Cの構成を説明するための分解斜視図ある。
【図11】ローディングギヤユニットを説明するための図である。
【図12】ローディングギヤユニットの動作状態を説明するための図である。
【図13】ラックギヤユニットの構成を示す斜視図である。
【図14】昇降機構の動作の第1工程を示す図である。
【図15】昇降機構の動作の第2工程を示す図である。
【図16】昇降機構の動作の第3工程を示す図である。
【図17】昇降機構の動作の第4工程を示す図である。
【図18】昇降機構の動作の第5工程を示す図である。
【図19】昇降機構の動作の第6工程を示す図である。
【図20】昇降機構の動作の第7工程を示す図である。
【図21】クランプヘッドの昇降動作における往路過程を示す図である。
【図22】クランプヘッドの昇降動作における復路過程を示す図である。
【図23】ディスク支持アームの動作状態の第1工程を示す図である
【図24】ディスク支持アームの動作状態の第2工程を示す図である。
【図25】ディスク支持アームの動作状態の第3工程を示す図である。
【図26】ディスク支持アームの動作状態の第4工程を示す図である。
【図27】ディスク支持アームの動作状態の第5工程を示す図である。
【図28】ディスク支持アームの動作状態の第6工程を示す図である。
【図29】ディスク支持アームの搬出時の動作状態を説明する図である。
【図30】ディスク支持アームの機能を説明するための図である。
【図31】誘引アームの作動機構の構成を示す分解斜視図である。
【図32】レバーアームの分解斜視図である。
【図33】レバーアームの組立斜視図である。
【図34】誘引アームの動作状態の第1工程を示す図である。
【図35】誘引アームの動作状態の第2工程を示す図である。
【図36】誘引アームの動作状態の第3工程を示す図である。
【図37】誘引アームの動作状態の第4工程を示す図である。
【図38】誘引アームの動作状態の第5工程を示す図である。
【図39】ディスクの搬入状態の第1工程を示す図である。
【図40】ディスクの搬入状態の第2工程を示す図である。
【図41】ディスクの搬入状態の第3工程を示す図である。
【図42】ディスクの搬入状態の第4工程を示す図である。
【図43】ディスクの搬入状態の第5工程を示す図である。
【図44】レバーアームの動作態様を説明するための平面図である。
【図45】レバーアームの機能を説明するための断面図である。
【図46】従来のディスク装置の構成を説明するための図である。
【図47】従来のディスク装置の構成を説明するこめの図である。
【符号の説明】
【0075】
1・・・・・・ディスク装置
2・・・・・・シャーシケース
3・・・・・・ベゼル
4・・・・・・押釦
5・・・・・・インジケータ
6・・・・・・ベースパネル
7・・・・・・クランプヘッド
8・・・・・・フレーム部材
9・・・・・・緩衝支持構造
10・・・・・ターンテーブル
11・・・・・スピンドルモータ
12・・・・・光ピックアップ
13・・・・・キャリアブロック
14・15・・ガイドシャフト
16・・・・・スレッドモータ
17・・・・・ディスク支持アーム
18・・・・・ホルダー
19・・・・・支持板
20・・・・・枢支ピン
21・・・・・第1のリンクアーム
22・・・・・引張コイルバネ
23・・・・・第2のリンクアーム
24・・・・・リベットピン
25・・・・・枢支ピン
26・・・・・ロックレバー
27・・・・・捻りコイルバネ
28・・・・・リミットスイッチ
29・・・・・起動ピン
30・・・・・ローディングモータ
31・・・・・ウォームギヤ
32・・・・・ダブルギヤ
33・・・・・ダブルギヤ
34・・・・・ダブルギヤ
35・・・・・ギヤベース
36・・・・・ホルダー
37・・・・・枢支ピン
38・・・・・圧縮コイルバネ
39・・・・・リミットスイッチ
40・・・・・スライダー部材
41・・・・・枢支ピン
42・・・・・引張コイルバネ
43・・・・・ラック主体
44・・・・・レバーアーム
45・・・・・ギヤ部材
46・・・・・押圧ピン
47・・・・・ダブルギヤ
48・・・・・ギヤフレーム
49・・・・・作用片
50・・・・・誘引アーム
51・・・・・スライド部材
52・・・・・スライド部材
53・・・・・従動ピン
54・・・・・弾性リング
55a・・・・リンク部材
55b・・・・リンク部材
55c・・・・従動ピン
56・・・・・クランプ解除ピン
57・・・・・従動ピン
58・・・・・枢支ピン
59・・・・・枢支ピン
60・・・・・ローラ
A・・・・・・駆動系ユニット
B・・・・・・ヘッドユニット
C・・・・・・駆動機構
D・・・・・・ディスク
E・・・・・・搬送機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク搬入時には、ディスク搬入方向におけるディスクの前端側を支持して装置内部へディスクを案内し、ディスク搬出時は、ディスク搬出方向におけるディスクの後端側を支持して装置外部へディスクを押し出すようにしたディスク支持アームと、前記ディスク支持アームの駆動機構と、を備えてなるディスク装置であって、
ディスクの搬入を待機している状態において、前記ディスク支持アームを押下させてスロットから挿入されるディスクの端部の捕捉が確実となるようにしたことを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2008−181659(P2008−181659A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71659(P2008−71659)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【分割の表示】特願2004−149303(P2004−149303)の分割
【原出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】