説明

ディスプレイシステムのスクリーンの破損を検知する方法

【課題】スクリーンの破損により生じる電気的および光学的に危険な状態を回避する。
【解決手段】ディスプレイスクリーンアセンブリ101は複数のスクリーンセンサを有し、複数のスクリーンセンサは、ディスプレイスクリーンアセンブリの互いに異なる位置に空間的に分布して、接続されることで1以上の連続する伝導性経路110を形成し、各伝導性経路は、この伝導性経路における、またはこの伝導性経路付近のディスプレイスクリーンアセンブリ101の非連続性の有無を示すセンサ信号を伝送し、スクリーンの破損を検知して、スクリーンの破損が検知された場合にスクリーンの動作を中断するスクリーンおよびメカニズムに基づくディスプレイシステム、デバイス、および技術である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、ディスプレイスクリーン、ディスプレイデバイスおよびシステムに係る。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイシステムは、スクリーンを用いて画像を表示するよう設計されうる。例えば、プラズマフラットパネルスクリーンを有するTVセットは、プラズマ画素化されたセルにエネルギーをかけて、可視光を放出して画像を形成する。液晶ディスプレイ(LCD)パネルを有するTVセットは、LCD画素化されたセルを有するLCDパネルを介して光を送り、光を変調して画像を形成する。ディスプレイシステムはさらに、レーザ光を利用してスクリーン上に画像を形成することもできる。
【発明の概要】
【0003】
本特許出願は、特に、スクリーンの破損を検知して、スクリーンの破損が検知された場合にスクリーンの動作を中断するスクリーンおよびメカニズムに基づくディスプレイシステム、デバイス、および技術の実装について記載する。
【0004】
一側面では、1以上のスクリーン制御信号に呼応して画像を生成するディスプレイスクリーンアセンブリを含むディスプレイデバイスが開示される。ディスプレイスクリーンアセンブリは複数のスクリーンセンサを有し、複数のスクリーンセンサは、ディスプレイスクリーンアセンブリの互いに異なる位置に空間的に分布して、接続されることで1以上の連続する伝導性経路を形成し、各伝導性経路は、該伝導性経路における、または該伝導性経路付近のディスプレイスクリーンアセンブリの非連続性の有無を示すセンサ信号を伝送する。スクリーン制御モジュールは、1以上のスクリーンセンサが伝送するセンサ信号を受信する。スクリーン制御モジュールは、ディスプレイスクリーンアセンブリへの1以上のスクリーン制御信号に影響を与えてセンサ信号が非連続性を示す伝導性経路各々の領域における画像の生成を妨げる。
【0005】
別の側面では、ディスプレイシステムであって、画像情報を伝送する光学パルスを持つ1以上の走査光学ビームを生成する光源モジュールと、光源モジュールからの1以上の走査光学ビームを受け取るディスプレイスクリーンとを含むディスプレイシステムが開示される。ディスプレイスクリーンは、1以上の走査光学ビームを吸収して、画像を形成する可視光を発光する互いに異なる複数の発光領域を有し、スクリーンセンサを有し、スクリーンセンサは複数の電気伝導性セグメントを含み、複数の電気伝導性セグメントは、ディスプレイスクリーンの互いに異なる位置に空間的に分布して、接続されることで、連続する電気伝導性経路を形成して、スクリーンの損傷によりスクリーンセンサの伝導性経路が破損した場合にディスプレイスクリーンの損傷を示すセンサ信号を伝送する。システムは、スクリーンセンサからセンサ信号を受信して、センサ信号がディスプレイスクリーンの損傷を示す場合に、1以上の走査光学ビームを遮断するよう光源を制御する光遮断制御モジュールを含む。
【0006】
また別の側面では、ディスプレイスクリーンアセンブリの非連続性を検知する方法が開示される。この方法は、ディスプレイスクリーンアセンブリの互いに異なる位置に空間的に分布している複数の伝導性セグメントを接続することで形成されるディスプレイスクリーンアセンブリの1以上の伝導性経路にエネルギーを与えて、1以上の伝導性経路における1以上の非連続性を示すセンサ信号を伝送するスクリーンセンサを実現する段階と、センサ信号がディスプレイスクリーンアセンブリの1以上の非連続性の存在を示す場合に、センサ信号に対応するディスプレイスクリーンアセンブリの位置において、ディスプレイスクリーンアセンブリに表示されている画像を実質的に除去するようディスプレイスクリーンアセンブリを制御する段階とを備える。
【0007】
これらの、およびその他の側面、および関連する特徴および実装例を、図面、詳細な説明、および請求項で記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】スクリーンの破損を検知するオンスクリーン感知メカニズムを有するディスプレイスクリーンアセンブリの一例を示す。
【0009】
【図2】スクリーンの破損を検知するオンスクリーンセンサと、スクリーンの破損時に光走査を中断する制御とを実装するレーザディスプレイシステムの一例を示す。
【0010】
【図3】スクリーンの破損を検知する空間的に分布した抵抗(spatially distributed resistor)同士を接続するオンスクリーンセンサの一例を示す。
【0011】
【図4】図3のオンスクリーンセンサおよび制御に基づく走査ビームレーザディスプレイを示す。
【0012】
【図5】発光リン光体ストライプを有する図4のリン光体ベースのスクリーン設計に基づくスクリーンセンサの一例を示す。
【0013】
【図6】発光リン光体ストライプ、およびカラーフィルタ層をコントラスト強調層として含む図4のリン光体ベースのスクリーン設計に基づくスクリーンセンサの別の例を示す。
【0014】
【図7】発光リン光体ストライプを有する図4のリン光体ベースのスクリーン設計に基づくスクリーンセンサの別の例を示す。
【0015】
【図8】オンスクリーンセンサと関連するレーザ制御回路の一例を示す。
【0016】
【図9】図4のシステムのリン光体ベースのスクリーンおよびオンスクリーンセンサを実装するための該スクリーンにおける関連する様々な層の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
様々なTVセットおよびディスプレイシステムのディスプレイスクリーンは、スクリーンへの別の物体の衝突、スクリーンにおける温度または湿度の顕著な変化、またはスクリーンの1以上の部品のエージング等の様々な原因により破損することがある。このようなスクリーンの破損は、スクリーンに画像を表示させるよう動作させる際に危険な状態を生じうる。例えば、プラズマまたはLCDフラットパネルスクリーンの損傷は、スクリーンに電源を入れると電気的に危険な状態を生じうる。画像を表示すべく画像を伝送する変調光を受光するスクリーンは、破損してしまうと観察者に向けて光をリークさせる危険性もある。リークした光は、観察者を傷つける場合もある(例えば、目または皮膚への光による火傷を起こす等)。従って、様々なディスプレイシステムでは、スクリーンの損傷またはクラックの有無を検知するスクリーンセンサをスクリーン内に埋め込み実装することが望ましいと思われる。スクリーンセンサがスクリーンの破損を検知すると、スクリーンの動作を中断して、スクリーンの破損により生じうる電気的および光学的に危険な状態を回避する。
【0018】
図1は、スクリーン制御モジュール120からの1以上のスクリーン制御信号122に応じて画像を生成するスクリーン101を有するディスプレイスクリーンアセンブリの一例を示す。ディスプレイスクリーンアセンブリは、ディスプレイスクリーン101の異なる位置に空間的に分布しており、1以上の連続する伝導性経路110を形成するべく接続されているスクリーンセンサを含む。各伝導性経路110は、各伝導性経路における、またはその付近のディスプレイスクリーン101の非連続性の有無を示すセンサ信号112を伝送するのに利用される。伝導性経路110の一例は、電気伝導性経路である。スクリーンセンサの伝導性経路110は、ディスプレイスクリーン101の画像表示領域に空間的に重畳して、ディスプレイスクリーン101上の画像の表示を妨げないように構成される。伝導性経路110は、通常の観察状態においては観察者には見えない、または気づかれないように設計されてよい。図1において、ディスプレイスクリーン101およびスクリーン感知メカニズムが、液晶ディスプレイパネル、表示する画像を形成する可視光を発光する発光画素素子(例えば、プラズマ、LED,およびOLEDフラットパネル)、およびレーザベースのディスプレイ等の様々なディスプレイ技術に基づいて実装されてよい。
【0019】
動作中、スクリーン制御モジュール120は、スクリーン101に画像を表示させる1以上のスクリーン制御信号122を生成する。幾らかの実装例では、スクリーン制御信号122は、プラズマフラットパネルTV,LCDフラットパネルTV、またはLEDフラットパネルTV等で利用される電気信号であってよい。他の実装例では、スクリーン制御信号122は、画像を伝送するよう変調された光学信号であってよい(例えば、背面投影型TVおよびレーザ光をスクリーンに向けて発光するレーザディスプレイ等で利用されるようなものであってよい)。スクリーン制御モジュール120は、スクリーン101上のスクリーンセンサが形成する1以上の伝導性経路110と通信するよう接続されており、スクリーンセンサ信号112を受信する。スクリーンセンサ信号112を受けると、スクリーン制御モジュール120は、ディスプレイスクリーン101への1以上のスクリーン制御信号122に影響を及ぼして、センサ信号112が非連続性を示す伝導性経路110各々の領域における画像の形成を妨げる。
【0020】
伝導性経路110が電気伝導性経路である場合、影響を受けた伝導性経路110が破損してはいなくても、電気伝導性を変更させる損傷により、スクリーン制御モジュール120が干渉されることがある。例えば、スクリーンセンサ内の開回路なしに計測電流をスクリーンセンサで変化させて、安全性応答をトリガすることができる。
【0021】
図2は、オンスクリーンセンサを実装してスクリーンのクラックを検知して、クラックを検知した際に光源を自動シャットダウンするレーザベースのディスプレイシステムの一例を示す。スクリーン201は、レーザモジュール210からレーザ光220(例えば1以上の走査光学ビーム120)を受光して、レーザ光220を利用して、スクリーン201からの画像光203が表す画像を生成する。なお、スクリーン201は、スクリーン201の層内に埋め込まれ、システムの動作中に画像光203が存在する領域のスクリーン201の様々な位置に空間的に分布するスクリーンセンサ202を含む。スクリーンセンサ202は、スクリーン層内に埋め込まれ空間的に分布する複数のセンサ素子を含んでよい。スクリーン202のスクリーン層に損傷が起こると、スクリーン層の損傷現場の1以上のセンサ素子が物理的に損傷を受ける、変質する、または破損することで、損傷を示すセンサ信号212が生成される。空間的に分布したセンサ素子は互いに接続されて、空間的に分布したセンサ素子のネットワークを形成し、1以上の隣接するセンサ素子への損傷は、センサ信号212により表されてよい。例えば、空間的に分布したセンサ素子は、電気伝導性を有する素子であってよく、1以上の隣接するセンサ素子への損傷により、電気伝導性が局所的に破損する、または変質するが、これがセンサ信号212により表されてよい。もちろん、他の種類の伝導性をセンサ202用の感知メカニズムとして利用することも可能である。このセンサ202はスクリーン201内に配置されるので、オンスクリーンのスクリーン破損センサである。
【0022】
図2は、さらに、センサ202からセンサ出力信号212を受信して、受信したセンサ出力信号212を処理して、レーザモジュール210を制御する光遮断制御モジュール220も示している。光遮断制御モジュール220は、受信したセンサ出力信号212がスクリーン201の損傷を示しているか否かに基づいて、レーザモジュール210に対する制御信号222を生成および送信する。センサ出力信号212が損傷を示す場合には、レーザモジュール210は、光遮断制御モジュール220からの制御信号222に呼応して、1以上の光学ビーム220を遮断する。
【0023】
スクリーン202は、スクリーン201のある層の中に埋め込まれてよい。一例としては、スクリーンセンサ202は、観察者に対向する正面基板または別の層に位置してよい。埋め込みスクリーンセンサ202は、スクリーン201上に分布する1以上の電気伝導性経路を有する電気センサであってよく、電気伝導性経路の損傷を、スクリーン201に対する損傷を示す目的に利用することができる。この設計によると、スクリーンセンサは、スクリーンセンサ202に損傷があるか否かに関してスクリーンセンサ202の電気抵抗を計測する抵抗センサである。センサ202の電気伝導性経路はスクリーン201上に分布しているので、センサ202に利用される電気伝導性材料は光学透過性を有してよい(例えば、ITO(インジウムスズ酸化物))。
【0024】
他の実装例では、レーザ遮断制御220の代わりに、レーザをシャットダウンするのではなく、レーザモジュールを制御して、レーザビーム220を、特定された疑わしい領域から離すように方向付け直すレーザ安全性制御モジュールを用いることもできる。
【0025】
図3は、スクリーンセンサの抵抗センサとしての実装例を示す。スクリーン101または201のある層において、オンスクリーン抵抗310は、空間的に分布したセンサ素子であって、スクリーン101または201の画像形成領域を少なくともカバーする選択領域にわたって配設されている。抵抗310は、図3の例に示すように垂直列状に配列されてよく、直列に電気的に接続されている。もちろんオンスクリーン抵抗310が他のパターンで配列されてもよい。接続された抵抗ネットワークの2つのターミナル311および312は、図2の例におけるレーザ遮断制御220または図1の例におけるスクリーン制御モジュール120に接続される。一実装例では、レーザ遮断制御220は、監視電流を、抵抗ネットワークを介して流す。監視電流が消えると、レーザ遮断制御220は、レーザ遮断制御信号222を用いて、レーザモジュール210を遮断する。抵抗以外の他の電気回路素子をセンサ素子として利用することもできる。センサ素子およびセンサに関する回路の選択により、感度のよい検知が可能となる。
【0026】
図2のレーザベースのディスプレイシステムは、1以上の光学ビームがスクリーン上で走査されスクリーン上に画像が形成されるような走査ビームディスプレイシステムであってよい。1以上の走査光学ビームは、レーザから生成され、スクリーン上に所望の表示輝度を得るのに十分な光強度を提供するレーザビームであってよい。このようなディスプレイシステムの幾らかの実装例では、スクリーンは、自ら発光するのではなく、1以上の走査光学ビームの光を利用して、該1以上の走査光学ビームの光を反射、拡散、および散乱させることで画像を形成するパッシブスクリーンであってもよい。他の実装例では、このようなディスプレイシステムのスクリーンは、1以上の走査光学ビームの光を吸収して、画像を形成する新たな光を発光する発光材料を有してよく、この構成においては、観察者が見る画像を形成するのに1以上の走査光学ビームからの光を直接利用しない。様々な走査ビームディスプレイシステムにおけるビーム走査は、例えば1以上のビームスキャナにより行われてよい。レーザディスプレイシステムの中には、多数の反射ファセットを有するポリゴンスキャナを用いて水平走査を行い、ガルボ駆動ミラーのような垂直走査ミラーを用いて垂直走査を行うような構成のものもある。動作において、ポリゴンスキャナの1つのファセットは、1つの水平ラインを走査し、ポリゴンスキャナが回転してファセットの配向および位置を変え、次のファセットが次の水平ラインを走査する。水平走査および垂直走査は互いに同期して、画像をスクリーンに投影する。
【0027】
図4は、光源と観察者とが互いにディスプレイスクリーンの反対側に位置する背面投影型構成の走査ビームディスプレイシステム400の一例を示す。このシステムは、スクリーン401上にラスタ走査パターンで2つの異なる方向(例えば水平方向および垂直方向)に走査される1以上の走査光学ビーム420を生成する光モジュール410を含む。光モジュール410内のビーム走査メカニズムにより、ビーム420が水平方向および垂直方向に走査され、スクリーン401に対して1度に1つの画像フレームが生成される。光モジュール410はさらに、各ビーム420を変調して、赤色、緑色、および青色の画像チャネル用の情報を伝送させる信号変調メカニズムを含む。スクリーン401は、スクリーン401の片側で1以上の走査光学ビーム420の光を受光して、スクリーン401の他の側(観察者側)に画像光403を出力する。スクリーン401の観察者側にいる観察者は、画像光403を受光して、画像光103が伝送する画像を視ることができる。光モジュール410は、スクリーン401上に走査される光学ビーム420を形成するレーザ光を生成する1以上のレーザを有するレーザモジュールであってよい。このようなシステムの幾らかの実装例では、単一の走査レーザビーム420が利用されるが、他の実装例では、2以上の走査レーザビーム420が利用される。
【0028】
走査ビームディスプレイシステム400は、1以上の走査光学ビームの受光を直接利用して、新たな光を発光することなく画像を形成するパッシブスクリーンを利用することもできる。一例としては、赤色、緑色、および青色のレーザビーム420を、このようなパッシブスクリーン401上で走査し、該スクリーン401が、該赤色、緑色、および青色のレーザビーム420の光を拡散してスクリーン401の他の側にカラー画像を生成する画像光401を生成してよい。走査ビームディスプレイシステム400の他の実装例では、スクリーン401は、1以上の走査光学ビーム420の受光の光学励起下で新たな光を発光して、観察者に向けて可視画像光403を生成する発光材料または蛍光材料を含むことができる。この設計によると、画像光403は、スクリーン401の発光材料または蛍光材料により、1以上の走査光学ビーム420の光のものとは異なる波長で発光される。
【0029】
図示したように、走査光学ビーム420は、指向性ビームであり、スクリーン401が走査光学ビーム420に照射されて出力する画像光403は、スクリーン401の観察者側に広い角度範囲で拡散され、広い視野角を提供する拡散光である。画像光403の強度は、所望の表示輝度を確保するのに足る高さを維持しつつ、1以上のレーザ安全性規格に準拠する閾値強度レベルに抑えられている。レーザ安全性規格の例としては、レーザを4つの幅広いハザードクラス1、2、3a、3b、および4に割り当てるANSI(米国規格協会)Z136.1規格(Z136.1−2000)、CDRH(医療機器・放射線保健センター)のFLPPS(Federal Laser Product Performance Standard)、および、IEC(国際電気標準会議)レーザ安全性規格60825−1が挙げられる。システム400を安全な商品とするには、システム400のスクリーン401が出力する画像光403を、ANSIのクラス1およびIEC規格が指定する強度レベル未満に設計して、画像光403がシステム400の通常動作において目または皮膚を損傷しないようにすることが考慮される。画像光403とは異なり、走査ビーム420の強度は、人が直接走査ビーム420に曝されると目または皮膚に損傷を与える程度の十分高いレベルとして、スクリーン401が生成する画像に所望の輝度を持たせる必要がある。1以上の走査ビーム420が観察者に直接接するのを避けるべく、スクリーン401は、走査ビーム420の光を遮りつつ、画像光403は観察者側に達するように設計される。さらに、画像筐体403がシステム400内に提供され、この中にレーザモジュール410、レーザモジュール410とスクリーン401との間の走査ビーム420の光学経路、および、その他のシステム部品を封入することで、1以上の走査ビーム420の光が外へリークしてシステム400付近の人に有害とならないようにする。
【0030】
システム100のスクリーン401が損傷を受けて1以上のクラックを生じ、ここから1以上の走査ビーム420が人まで到達する場合がある。損傷を受けたスクリーン401は、そこを指向性光学ビーム420の一部またはその全体が通過して観察者側に到達するようなクラックを生じる可能性がある。この状態は、光学ビーム420が、システム400の観察者または観察者側の人を傷つける可能性があるので、危険である。この望ましくない状態は、図1から3の例に基づき、スクリーン401にスクリーンセンサを埋め込んでクラックの存在を計測し、且つ、スクリーンセンサがスクリーン401のクラックを検知したときにレーザモジュール410を遮断するレーザ制御メカニズムを提供することにより回避することができる。スクリーン401に埋め込まれたこのスクリーンセンサは様々なセンサ部を含むよう設計され、これらのセンサ部は、スクリーン401全体に空間的に分布し、スクリーン401のクラックによってスクリーンセンサの1以上のセンサ部が物理的に破損する、または損傷を受けるよう埋め込まれてよい。スクリーンセンサの1以上のセンサ部に対する物理的な破損または損傷を利用して、スクリーン401に対する損傷を示すセンサ信号を生成することができる。センサ信号によりスクリーン401への損傷が示されると、システム400の1以上の走査ビーム420を生成する光源が遮断される。スクリーン401に埋め込まれたスクリーンセンサは、スクリーン101からリークする1以上の走査ビーム420の光ではなくて、スクリーン101への損傷を検知する。従って、1以上の走査ビーム420は、1以上の走査ビーム420の光が実際にリークしているか否かにはよらず、センサ信号がスクリーン401への損傷を示している間中遮断され続ける。従って、このスクリーン破損感知メカニズムは、その予防的な性質を持ち、損傷したスクリーン401による1以上の走査ビーム420の光のリークに基づいて反応するレーザ安全性メカニズムよりも良好に安全性を確保することができる。
【0031】
図4のシステムを実装する特定の例として、スクリーン401は、表示する画像情報を伝送する走査レーザビーム420の励起下で様々な可視波長(例えば赤色、緑色、および青色)のカラー光を発光するレーザ励起発光材料(例えばリン光体)から形成される発光スクリーンであってよい。発光または蛍光材料を有する様々なスクリーン設計例が利用可能である。例えば一実装例では、レーザビームにより光学励起可能であり、カラー画像を形成するのに適した赤色、緑色、および青色の光をそれぞれ生成する3つの異なるカラーリン光体を、画素ドットまたは互いに平行な赤色、緑色、および青色のリン光体ストライプとしてスクリーン上に形成することができる。リン光体材料は、蛍光材料の一種である。他の光学励起可能であり、発光性であり、非リン光体の蛍光材料を利用することもできる。例えば、量子ドット材料は適切な光学励起を受けると発光するので、本願のシステムおよびデバイス用の蛍光材料として利用できる。走査レーザビーム420は、画像を伝送するが、観察者が視る可視画像光403を直接生成はしない。その代わり、スクリーン401上のカラー発光蛍光材料は、走査レーザビーム420のエネルギーを吸収して、赤色、緑色、および青色または他のカラーの可視光を発光することで、観察者が見る実際のカラー画像を生成する。
【0032】
蛍光材料に発光させまたは冷光を生じさせるのに足るエネルギーとともに1以上のレーザビームを用いる蛍光材料のレーザ励起は、様々な光学励起の形態の一つである。他の実装例では、光学励起は、スクリーンに利用される蛍光材料を励起するのに足るエネルギーを有する非レーザ光源により生成されてもよい。非レーザ励起光源の例には、波長またはスペクトル帯の光を生成して、高いエネルギーの光を可視範囲の低いエネルギーの光に変換する蛍光材料を励起する様々な発光ダイオード(LED)、光ランプ、その他の光源が含まれる。スクリーン上の蛍光材料を励起する励起光学ビームは、蛍光材料が発光する可視光の周波数よりも高い周波数の周波数またはスペクトル帯であってよい。従って、励起光学ビームは、400nmおよび470nmの間の波長であってよい。
【0033】
特定の例としては、スクリーン401は垂直方向の複数の平行なカラーリン光体ストライプを有し、このうち2つの隣接するリン光体ストライプは、異なる色を発光するそれぞれ異なるリン光体材料から形成されている。赤色のリン光体は、レーザ光を吸収して赤色の光を発光し、緑色のリン光体は、レーザ光を吸収して緑色の光を発光し、青色のリン光体は、レーザ光を吸収して青色の光を発光する。隣接する3つのカラーリン光体ストライプは、それぞれ異なる3つの色である。ストライプにおけるある特定の空間カラーの並びは、赤色、緑色、および青色である。他の並びを用いることもできる。レーザビーム420は、カラーリン光体の光学吸収帯域幅内の波長であり、通常は、カラー画像用の可視光である青色および緑色および赤色よりも短い波長である。レーザモジュール410は、ビーム420を生成するUVダイオードレーザ等の1以上のレーザ、ビーム420を水平方向および垂直方向に走査して、スクリーン401上に一度に1つの画像フレームを描画するビーム走査メカニズム、および、ビーム420を変調して、赤色、緑色、および青色の画像チャネル用の情報を伝送させる信号変調メカニズムを含んでよい。図1の走査レーザディスプレイシステムの様々な特徴、モジュール、および部品の実装例は、2006年5月2日に出願された「Display Systems and Devices Having Screens With Optical Fluorescent Materials」なる名称の米国特許出願第10/578,038号明細書(米国特許出願公開第2008/0291140号明細書)、2007年2月15日に出願された「Servo-Assisted Scanning Beam Display Systems Using Fluorescent Screens」なる名称のPCT特許出願第PCT/US2007/004004号明細書(PCT特許出願公開第WO 2007/095329号明細書)、2007年5月4日に出願された「Phosphor Compositions For Scanning Beam Displays」なる名称のPCT特許出願第PCT/US2007/068286号明細書(PCT特許出願公開第WO 2007/131195号明細書)、2007年5月15日に出願された「Multilayered Fluorescent Screens for Scanning Beam Display Systems」なる名称のPCT特許出願第PCT/US2007/68989号明細書(PCT特許出願公開第WO 2007/134329号明細書)、および、2006年10月25日に出願された「Optical Designs for Scanning Beam Display Systems Using Fluorescent Screens」なる名称のPCT特許出願第PCT/US2006/041584号明細書(PCT特許出願公開第WO 2007/050662号明細書)に記載されている。上述の特許出願の開示の全体を、本書類の開示の一部として参照により組み込む。
【0034】
リン光体ストライプを有するスクリーン401では、リン光体ストライプは、クロム等の電気伝導性材料により形成され、これも電気伝導性材料により形成されるボーダにより取り囲まれるストライプデバイダで分割されうる。故に、ストライプデバイダの2つの端部は、電気的に短絡されて、図2および3に示されるオンスクリーンセンサを形成することができる。隣接するストライプデバイダ同士を同じグループに分類して、電気的に短絡させて他のグループのストライプデバイダと直列接続される1つのオンスクリーンセンサ素子を形成することができる。
【0035】
上述のスクリーンの例における異なるセンサ素子間の接続は、様々な構成により行われてよい。図5は、異なるセンサ素子間が蛇行接続されたオンスクリーンセンサの一例を示す。この例では、クロム等の伝導性材料により形成される隣接する5つのストライプデバイダの上下端部が短絡することで、単一のセンサ素子が形成されている。上部伝導性コネクタ510および下部伝導性コネクタ520を利用して、各々が5つの隣接するストライプデバイダから形成されるセンサ素子を接続する。一実施形態では、上部伝導性コネクタおよび下部伝導性コネクタは、ストライプデバイダ同様にクロム製であってよい。2つの隣接するセンサ素子間に位置する1つのセンサ素子では、中間のセンサ素子は、上部伝導性コネクタにより、片側で隣接するセンサ素子に接続され、下部伝導性コネクタ520により、他の側で隣接するセンサ素子に接続される。このような設計により、上部伝導性コネクタ510および下部伝導性コネクタ520の蛇行パターンが形成される。この設計の利点の一つは、センサの全抵抗を降下させることができることである。
【0036】
スクリーンによっては、赤色、緑色、および青色の光を選択的に吸収する光学フィルタを有するコントラスト強調層を含んでもよい。このコントラスト強行層は様々なスクリーン設計に利用可能である。図6は、図4の走査レーザディスプレイ用に、蛍光層620の観察者側でコントラスト強調層610を利用するスクリーン600の一例を示す。リン光体層4520は、互いに平行なリン光体ストライプを含む。故に、コントラスト強調層610は、さらに、異なる材料から形成される対応する平行なストライプを含む。励起光(例えばUVあるいは紫光)による励起に呼応して赤色の光を放出する赤色リン光体ストライプに対応するコントラスト強調層610のストライプは、赤色のリン光体が放出する赤色光をカバーする赤色帯域を透過して、緑色の光および青色の光を含む他の可視光を吸収あるいは遮断する「赤色」材料から形成されている。同様に、UV光による励起に呼応して緑色の光を放出する緑色リン光体ストライプに対応するコントラスト強調層610のストライプは、緑色リン光体が放出する緑色光をカバーする緑色帯域を透過して、赤色の光および青色の光を含む他の可視光を吸収あるいは遮断する「緑色」材料から形成されている。UV光による励起に呼応して青色の光を放出する青色リン光体ストライプに対応するコントラスト強調層610のストライプは、青色リン光体が放出する青色光をカバーする青色帯域を透過して、緑色の光および赤色の光を含む他の可視光を吸収あるいは遮断する「青色」材料から形成されている。図6では、コントラスト強調層610内のこれら平行な対応するストライプを、それぞれ「R」「G」「B」と称する。故に、コントラスト強調層610は、複数の蛍光領域にそれぞれ空間的に対応する異なるフィルタ領域を含み、各フィルタ領域は、対応する蛍光領域が発光する色の光を透過して、他の色の光を遮断する。層610内の複数のフィルタ領域は、それらが対応する蛍光領域が発光する色とは異なる他の色の光を吸収する材料から形成されていてよい。適切な材料の例としては、染料ベースの着色剤および顔料ベースの着色剤が含まれる。さらに、コントラスト強調層610内の各R、G,およびB材料は、所望の透過バンドを有するバンドパス干渉フィルタを実施する多層構造であってよい。様々な設計および技法を利用してこのようなフィルタを設計および構築することができる。「Three color LCD with a black matrix and red and/or blue filters on one substrate and with green filters and red and/or blue filters on the opposite substrate」なる名称の米国特許第5,587,818号明細書、および「Color liquid crystal display having a color filter composed of multiplayer thin films」なる名称の米国特許第5,684,552号明細書に、図6の設計に利用されうる赤色フィルタ、緑色フィルタ、および青色フィルタの例が記載されている。
【0037】
操作中、UV励起光がリン光体層620に入り、異なるリン光体を励起して、異なる色の可視光を放出する。放出された可視光は、コントラスト強調層610を透過して、観察者に到達する。スクリーンに入射した周辺光が、コントラスト強調層610に入り、入射周辺光の一部が再度コントラスト強調層610を通過して観察者側へ反射する。故に、観察者方向に反射される周辺光は、コントラスト強調層610を透過したものであるので、2度フィルタリングされたものである。コントラスト強調層610のフィルタリングにより、反射される周辺光の強度は2/3低減される。一例としては、緑色および青色の部分が、赤色のサブピクセルに入射する周辺光の光束の約2/3を有する。緑色および青色は、コントラスト強調層610により遮断される。コントラスト強調層610の赤色フィルタ材料の透過帯域における周辺光の赤色部分のみが、観察者側へと反射して戻ることになる。反射される周辺光は、本質的には、その下にあるカラーリン光体ストライプが生成するサブピクセルのものと同じカラーなので、カラーコントラストに悪影響は及ばない。
【0038】
リン光体層における上述のオンスクリーンセンサ(例えば図5のセンサ)は、カラーフィルタのコントラスト強調層610の伝導性フィルタデバイダ660により実装することができることに留意されたい。伝導性フィルタデバイダ660は、図5の例に基づいて接続されて、互いに平行な伝導性フィルタデバイダ660から蛇行パターンを形成することができる。
【0039】
図7は、リン光体層、フィルタ層、または別のスクリーン層内の互いに平行なデバイダ同士を接続して、オンスクリーンセンサを形成する蛇行接続パターンの別の例を示す。3つの蛇行ストリングXC50、XC51、XC52は、特定の伝導電流破損検知感知回路の設計手段としてクロム製のフィルタセパレータを利用することにより同時構成される。伝導性デバイダは、さらに、ストライプの側面に設けられてもよく、別のクロム製のストライプが該ストライプを交差することにより、ストライプ自身を横切る構成であってもよい。図5のようなリン光体ストライプとクロム製の交差ストライプ510および520が交差する構成により、新たな電流伝導性経路を導入することで破損検知伝導性経路を増強することができ、且つ、UVが衝突するリン光体ストライプの全発光機能の殆ども維持することもできる。
【0040】
図7の例においては、蛇行ストライング2 XC51は、入出力経路XC54およびXC55を含む。入出力経路XC54クロム製伝導性経路は多数のクロム製フィルタセパレータXA5と交差して、これらの間を電気的に分路する。適切な伝導性を確保して蛇行ストリング2 XC51伝導性経路の破損を適切に感知するべく、入出力経路XC55クロム製伝導性経路は、入出力経路XC54と入出力経路XC55との間に電気的短絡を起こさないように、多数のクロム製フィルタセパレータXA5と交差して、これらの間を電気的に分路する。これは、2つの入出力経路に重畳する対応するクロム製フィルタセパレータXA5沿いの入出力経路XC54およびXC55間を電気的に開放することで、入出力経路XC54およびXC55と交差するクロム製のフィルタセパレータXA5に電気破損を起こすことにより行われる。
【0041】
1以上のレーザダイオードを利用して1以上のレーザビーム420を生成してスクリーン401にエネルギーを与える図4のシステムに戻ると、オンスクリーンセンサに基づくレーザ遮断メカニズムは、図8の例に示すレーザ制御回路により実装可能である。本例においては、放射エネルギーが露呈時間量に直接関係するレベル内に制御される必要があるので、レーザ制御は、電源供給のシャットダウンよりもむしろレーザ電流の制御により変更される。この場合、製品がレーザ安全性基準を満たすためには、切り替え時間を100nsec未満に設定する必要がある。スクリーンセンサの伝導性経路が破損すると、レーザの制御は、レーザが低励起強度になるといった影響を受ける。図示されているデジタルアナログコンバータ(DAC)XB30は、レーザ源ドライバの通常制御動作を駆動する。DAC XB30は、電源電流源XB35からレーザXB34へ供給される電流を制御する。DAC XB30の通常動作では、電圧値がレーザ励起ドライバXB31に設定される。レーザ励起ドライバXB31は、レーザXB34に供給される電流量を、電源電流源XB35が供給可能な最大電流を上限として制御する。レーザに対して意図される電流に基づいて、DACは、非励起レーザ刺激設定の0−V信号をレーザ励起ドライバに送り、最大励起レーザ刺激設定の0.6―V信号をレーザ励起ドライバに送る。伝導性経路の破損が検知されると、FPGA XB32は、破損に起因する破損検知アセンブリからの伝導電流の変化の結果として、電流の変化を受ける。FPGAが受ける電流の変化は、破損の発生の可能性を示しており、この結果、レーザが、自身の電流を迅速に低下させる必要があることを示す信号である。レーザへの電流の低下により、レーザからの光量が低減する。レーザへの電流の停止または十分な低下により、レーザからのエネルギーが抑制される。FPGA XB32は、破損検知アセンブリからの伝導電流から電流の変化を認識すると、電流スイッチXB33を閉にする。電流スイッチを閉じることで、レーザ励起ドライバXB31に流れる電流は0になる。この結果、レーザへの電流が非常に早く変化して、この結果、これも0になる。略20nsの反応時間のレーザ励起ドライバXB31と、略2nsという短い反応時間の電流スイッチXB33とにより、破損検知からレーザのエネルギー放出の抑制までの時間は、22ns未満になり、これはスクリーンのレーザ電力および密度を鑑みて安全性基準を満たす。
【0042】
スクリーン破損を検知するオンスクリーンセンサは、リン光体ストライプを有するリン光体ベースのスクリーンの層内に埋め込まれてよい。図9は、3グループのスクリーン部材に基づいたこのようなスクリーンの設計例を示す。各グループが1以上のスクリーンを含んでよい。グループ1は、UVレーザ光により励起可能な3つのカラー発光リン光体を含むリン光体層(例えば図6の層620)である。グループ2は、RGBリン光体層に対応するRGBカラーフィルタである(例えば図6の層610)。グループ3は、観察者の目を損傷から保護する、レーザUV光の残留光(remanance)を遮断することが意図された遮断フィルタである。破損アイテムは、それが破損しているか否かを決定する対象物である。破損アイテムは、グループ3またはUV遮断器である。UV遮断器は、UV光のフィルタリングを行ってその透過を妨げるUV遮断材料である。UV遮断層は、比較的厚いまたは薄いアクリル製の層であってもよいし、グループ2の薄膜上に直接堆積されたものであってもよい。いずれの場合にも、UV遮断層は、破損に対する柔軟性が高くなるよう形成されるが、グループ2に直接堆積した場合には、グループ2の破損に直接リンクされる。UV励起層グループ1は、UVから可視光への励起層である。UV光XA12は、UVから可視光へのリン光体グループ1を励起する。リン光体は、UV光エネルギーを受け、光子発光(photon luminescence)により可視光を生成する。可視光は、多数のカラーのいずれかであってよい。例えば一実施形態において、励起されるリン光体は、赤色、緑色、および青色の可視光を生成した。可視光はさらに光フィルタグループ2によりフィルタリングされ、その結果、意図していない可視光がり除去される。例えば、主に赤色の可視光を生成するリン光体は、意図せず他の色の可視光も併せ持つことがある。フィルタは、このような意図されていない赤色ではない可視光を除去することができる。リン光体グループ1上に衝突するUV光エネルギーも、可視光フィルタグループ2(減衰)を通過して、UV遮断層グループ3に到達する。
【0043】
図9に示すスクリーンの一実装例では、フィルタグループ2が複数の物理的な伝導性クロム製ラインにより分離された複数のカラーフィルタを有するガラスの薄膜である。このガラスの薄膜は、約1mmの厚みを有する。これらクロム製のフィルタセパレータのクロムは黒色であるので、可視光およびUV光を吸収して、観察者側へ透過しない。クロムはさらに、様々な構成例において互いに接続されることで破損検知システムの一部をなす伝導性材料でもある。グループ2のガラスの薄膜は、保護層グループ3よりも破損または裂けに対して高い感受性を有する。パネルが外的物理力により破損条件を脅かされると、グループ2またはグループ3のガラスの薄膜に近いこと、および、ガラスの薄膜の壊れ易さが相まって、クロム製のセパレータの伝導性経路が破壊する。または、グループ1は、グループ1が最初に壊れるという前提で、RGBリン光体ストライプ間に伝導性セパレータを有することもできる。
【0044】
RGBフィルタが伝導性クロムにより分離されない別の実装例では、マスキング動作により、グループ3の上に直接、透光性ITO層をパターニングすることもできる。この透光性によって、ITOにより画像がある領域を超えてしまうこと(print through)または不明瞭になることが回避されるが、この代わりに、ITOをRGBライン間の分離に対応させて堆積させることもできる。
【0045】
本明細書は多数の詳細を含むが、これら詳細は本発明の範囲の限定として、または請求されうるものに対する限定として捉えられるべきではなく、むしろ本発明の特定の実施形態に特有の特徴の記載として捉えられるべきである。本明細書で記載した、別の実施形態において記載したある特徴は、単一の実施形態で組み合わせられて実施されてもよい。また逆に、単一の実施形態において記載された様々な特徴を多数の実施形態で別個に、または任意の適切なサブコンビネーションとして実施してもよい。さらには、上述の記載において特徴はあるコンビネーションにおいて機能しているかもしれないし、当初はそのように請求されるかもしれないが、請求されたコンビネーションから1以上の特徴を幾らかの場合に除去して、請求されたコンビネーションをコンビネーションのなかのサブコンビネーション、又はサブコンビネーションの変形例としてもよい。
【0046】
幾らかの実装例のみを開示した。しかし、本特許出願の記載および例示に基づいて変形例、改善例、および他の実装例を行うこともできることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイデバイスであって、
ディスプレイスクリーンアセンブリと、
スクリーン制御モジュールとを備え、
前記ディスプレイスクリーンアセンブリは1以上のスクリーン制御信号に呼応して画像を生成し、
前記ディスプレイスクリーンアセンブリは複数のスクリーンセンサを有し、
前記複数のスクリーンセンサは、前記ディスプレイスクリーンアセンブリの互いに異なる位置に空間的に分布して、接続されることで1以上の連続する伝導性経路を形成し、
各伝導性経路は、該伝導性経路における、または該伝導性経路付近の前記ディスプレイスクリーンアセンブリの非連続性の有無を示すセンサ信号を伝送し、
前記スクリーン制御モジュールは、前記1以上のスクリーンセンサが伝送する前記センサ信号を受信して、前記ディスプレイスクリーンアセンブリへの前記1以上のスクリーン制御信号に影響を与えて前記センサ信号が非連続性を示す伝導性経路各々の領域における前記画像の生成を妨げるディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記複数のスクリーンセンサは、前記ディスプレイスクリーンの一の層内に埋め込まれている請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数のスクリーンセンサの前記伝導性経路は、画像表示を妨げることなく、且つ観察者に気づかれないよう、画像を表示する前記ディスプレイスクリーンの領域に重畳される請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
各スクリーンセンサは、該スクリーンセンサの非連続性の有無に関して、該スクリーンセンサの電気抵抗を計測する抵抗センサである請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記抵抗センサは、前記スクリーンアセンブリの互いに異なる位置に複数の電気伝導性素子を含む請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記複数の電気伝導性素子は光学透過性を持つ請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記抵抗センサは、前記ディスプレイスクリーンアセンブリの上に、複数の互いに平行な電気伝導性ストライプを含み、前記複数の互いに平行な電気伝導性ストライプは、電気的に接続されることで前記1以上の伝導性経路を形成する請求項4に記載のデバイス。
【請求項8】
前記複数の互いに平行な電気伝導性ストライプは、隣接する互いに平行な電気伝導性ストライプの互いに異なるグループに分割され、各グループ内の隣接する互いに平行な電気伝導性ストライプの第1の端部は電気的に短絡されることで第1グループターミナルを形成し、前記第1の端部に対向する、各グループ内の隣接する互いに平行な電気伝導性ストライプの第2の端部は電気的に短絡されることで第2グループターミナルを形成し、
前記隣接する互いに平行な電気伝導性ストライプの異なるグループ同士は電気的に直列接続される請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ディスプレイスクリーンアセンブリへの表示用画像の画像データを伝送する光学パルスを持つ1以上の走査光学ビームを生成する光源モジュールを備え、
前記ディスプレイスクリーンアセンブリは、
前記1以上の走査光学ビームの光を吸収して、前記1以上の走査光学ビームが伝送する画像を生成する可視光を発光する互いに平行な複数の発光ストライプと、
前記複数の発光ストライプに対して平行であり、且つ前記複数の発光ストライプに対して空間インタリーブされた複数の電気伝導性ストライプデバイダとを有し、各電気伝導性ストライプデバイダが2つの隣接する発光ストライプ間に存在し、
前記複数の電気伝導性ストライプデバイダ同士は電気的に接続されて前記複数のスクリーンセンサを形成する請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ディスプレイスクリーンアセンブリへの表示用画像の画像データを伝送する光学パルスを持つ1以上の走査光学ビームを生成する光源モジュールと、
前記ディスプレイスクリーンアセンブリに配置され、前記1以上の走査光学ビームの光を吸収して、画像を形成する可視光を発光する発光材料層と、
スクリーンフィルタ層とを備え、
前記スクリーンフィルタ層は、前記ディスプレイスクリーンアセンブリの、前記光源に対向する側とは反対側に配置され、前記発光材料層が前記光源と前記スクリーンフィルタ層との間に位置し、前記スクリーンフィルタ層は、前記発光材料が発光する前記可視光を透過して、前記光源からの前記1以上の走査光学ビームの光を遮断するよう構成されており、
各スクリーンセンサは、前記スクリーンフィルタ層内に埋め込まれており、前記スクリーンフィルタ層内の接続された伝導性部材により形成される請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ディスプレイスクリーンアセンブリは液晶ディスプレイパネルである請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ディスプレイスクリーンアセンブリはプラズマディスプレイパネルである請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ディスプレイスクリーンアセンブリは、表示用の前記画像を形成する可視光を発光する複数の発光画素素子を持つパネルである請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
ディスプレイシステムであって、
光源モジュールと、
ディスプレイスクリーンと、
光遮断制御モジュールとを備え、
前記光源モジュールは、画像情報を伝送する光学パルスを持つ1以上の走査光学ビームを生成し、
前記ディスプレイスクリーンは、前記光源モジュールからの前記1以上の走査光学ビームを受け取り、前記ディスプレイスクリーンは、前記1以上の走査光学ビームを吸収して、画像を形成する可視光を発光する互いに異なる複数の発光領域を有し、
前記ディスプレイスクリーンはスクリーンセンサを有し、
前記スクリーンセンサは複数の電気伝導性セグメントを含み、
前記複数の電気伝導性セグメントは、前記ディスプレイスクリーンの互いに異なる位置に空間的に分布して、接続されることで、連続する電気伝導性経路を形成して、前記スクリーンの損傷により前記スクリーンセンサの前記伝導性経路が破損した場合に前記ディスプレイスクリーンの損傷を示すセンサ信号を伝送し、
前記光遮断制御モジュールは、前記スクリーンセンサから前記センサ信号を受信して、前記センサ信号が前記ディスプレイスクリーンの損傷を示す場合に、前記1以上の走査光学ビームを遮断するよう前記光源を制御するディスプレイシステム。
【請求項15】
前記スクリーンセンサは、前記伝導性経路の電気抵抗を計測する抵抗センサである請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の電気伝導性素子は光学透過性を持つ請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記ディスプレイスクリーンの異なる複数の発光領域は、
前記1以上の走査光学ビームの光を吸収して、前記1以上の走査光学ビームが伝送する画像を生成する可視光を発光する互いに平行な複数の発光ストライプと、
前記複数の発光ストライプに対して平行であり、且つ前記複数の発光ストライプに対して空間インタリーブされた複数の電気伝導性ストライプデバイダとを含み、各電気伝導性ストライプデバイダが2つの隣接する発光ストライプ間に存在し、
前記複数の電気伝導性ストライプデバイダ同士は電気的に接続されて前記スクリーンセンサの前記伝導性経路を形成する請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の電気伝導性ストライプデバイダは、隣接する電気伝導性ストライプデバイダの互いに異なるグループに分割され、各グループ内の隣接する電気伝導性ストライプデバイダの第1の端部は電気的に短絡されることで第1グループターミナルを形成し、前記第1の端部に対向する、各グループ内の隣接する電気伝導性ストライプデバイダの第2の端部は電気的に短絡されることで第2グループターミナルを形成し、
前記隣接する電気伝導性ストライプデバイダの異なるグループ同士は電気的に直列接続されることで前記抵抗センサを形成する請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ディスプレイスクリーンは、
前記1以上の走査光学ビームの光を吸収した後で画像を形成する可視光を発光する発光材料層と、
スクリーンフィルタ層とを備え、
前記スクリーンフィルタ層は、前記スクリーンの、前記光源に対向する側とは反対側に配置され、前記発光材料層が前記光源と前記スクリーンフィルタ層との間に位置し、前記スクリーンフィルタ層は、前記発光材料が発光する前記可視光を透過して、前記光源からの前記1以上の走査光学ビームの光を遮断するよう構成されており、
前記スクリーンフィルタ層は複数の電気伝導性セグメントを含み、
前記複数の電気伝導性セグメントは接続されることで、前記スクリーンセンサが前記スクリーンフィルタ層に埋め込まれるよう前記スクリーンセンサの前記伝導性経路を形成する請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
ディスプレイスクリーンアセンブリの非連続性を検知する方法であって、
前記ディスプレイスクリーンアセンブリの互いに異なる位置に空間的に分布している複数の伝導性セグメントを接続することで形成される前記ディスプレイスクリーンアセンブリの1以上の伝導性経路にエネルギーを与えて、前記1以上の伝導性経路における1以上の非連続性を示すセンサ信号を伝送するスクリーンセンサを実現する段階と、
前記センサ信号が前記ディスプレイスクリーンアセンブリの1以上の非連続性の存在を示す場合に、前記センサ信号に対応する前記ディスプレイスクリーンアセンブリの位置において、前記ディスプレイスクリーンアセンブリに表示されている画像を実質的に除去するよう前記ディスプレイスクリーンアセンブリを制御する段階とを備える方法。
【請求項21】
前記ディスプレイスクリーンアセンブリは、画像を伝送する光を受光することにより画像を生成し、
前記画像を実質的に除去するよう前記ディスプレイスクリーンアセンブリを制御する段階は、画像を伝送する前記光を遮断する、または、非連続性が存在する位置から遠ざけるよう前記光を方向付け直す段階を有する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ディスプレイスクリーンアセンブリは、電気的エネルギーを加えられることで画像を生成する複数のスクリーン画素を含み、
前記画像を実質的に除去するよう前記ディスプレイスクリーンアセンブリを制御する段階は、前記複数のスクリーン画素への電力を遮断する段階を有する請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−231191(P2010−231191A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−39170(P2010−39170)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(509317689)プリズム インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】