説明

ディスプレイ装置

【課題】 光源から照射される光を装飾し、十分な視覚効果を与え得るディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】 ディスプレイ装置は、LED等の光源を備えた光源部10と、この光源部10からの照射光の一部を透過し一部を反射するハーフミラー部20と、このハーフミラー部20からの透過光の一部を透過し拡大するレンズ形成部30と、を有して構成される。ハーフミラー部20で背面側に反射した光は、光源部10において再反射して再度前面側に進行する。これを繰り返すことで、光源光の像が多重に得られ、立体パターンを形成するようになっている。また、ハーフミラー部20を透過した光は、レンズ形成部30を透過することにより、拡大した円状及び環状の光の像が得られる。また、レンズ形成部30は、その背面側に形成された点描画素をレンズによる視覚効果により、前面側に立体画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置に関し、特に、光源を利用し、立体画像を表示するディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、店舗や会社は、自店舗、自社又は商品等を消費者に対してアピールするために、様々な広告宣伝活動を行う。
このような広告宣伝活動のうち、よく用いられている方法の1つに、看板や装飾物等のディスプレイによるものがある。
このディスプレイは、店舗や会社の建物の屋内、外壁又は屋上等に取り付けられ、通行人や自動車の搭乗者等に対して店舗名(会社名)や商品名の宣伝を行ったり、その建物を美しく装飾し好印象を与えるようにしたりしている。
例えば、このディスプレイには、電球、蛍光灯又はLED等の電飾を施すことにより、より一層、通行人等の目に留まり易くしているものもある。
【0003】
このような電飾を施したディスプレイに関する発明の1つに、特許文献1に開示されるディスプレイ装置がある。
このディスプレイ装置は、透明層と、透明層の視認側(以下、前面側という)に配置されたハーフミラー部(第1の蒸着部)と、その反対側(以下、背面側という)に配置された第2の蒸着部とを有している。
この第2の蒸着部には、所定のパターンを有するエッチングパターン層が形成されており、照明具は第2の蒸着部の背面側からエッチングパターン層に光を照射するようになっている。エッチングパターン層を透過した照射光は、透明層を通り、ハーフミラー部に到達したとき、一部がハーフミラー部を透過して前面から出て行く。そして、一部はハーフミラー部により反射されて再び透明層を通り第2の蒸着部へ到達し、第2の蒸着部により反射されて再び前方へ進行する。これを繰り返す結果、パターンが奥行き方向に多重化して視認され、美しいパターンをディスプレイできるようになっている。
【特許文献1】特開2003−202824
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、その特許文献1に開示されるディスプレイ装置には、以下のような問題点がある。
このディスプレイ装置には、前述したように、ハーフミラー部の背面側にエッチングパターン層を備えているが、このエッチングパターン層を設けるためには煩雑なエッチングの作業が必要となるという問題がある。
また、そのエッチングパターン層の背面側から光を照射することで、任意の文字や図柄を発光させ、その立体パターンを形成できるようになっているが、そのディスプレイによる視覚的効果には限界があり、結果として、通行人等に対する宣伝効果も薄くなり、ディスプレイ本来の効果が十分に期待できなくなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、光源から照射される光を装飾し、十分な視覚効果を与え得るディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、本発明におけるディスプレイ装置は、ミラーのディスプレイ視認側にハーフミラーを備え、ミラーとハーフミラーとの間で繰り返し反射されディスプレイ視認側にハーフミラーを透過した光の像をレンズにより拡大表示することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、ディスプレイの視認側である前面側に光を反射するミラーと、ミラーにおける光透過領域から前面側に光を照射する光源と、光源の前面側に備えられ光源光の一部を前面側に透過し一部を前面側の反対方向の背面側に反射するハーフミラーと、ハーフミラーの前面側に備えられたレンズとを有するディスプレイ装置であって、レンズは、ハーフミラーからの透過光を拡大表示することを特徴とする。
【0008】
また、本発明におけるディスプレイ装置は、ハーフミラーとレンズとの距離を調整可能な支持部をさらに有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明によれば、そのレンズは、ハーフミラーの前面側に配置される透明板上に形成されており、透明板上には、文字、図柄又は記号が装飾されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明によれば、そのレンズの背面側には、複数の点描画素が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明によれば、視認側にレンズを複数配置して、光源を幻想的に見せる点を特徴とする。
【0012】
また、本発明は、複数の円筒形状の層が断面同心円状に配置されて構成され円筒側面側を視認側とするディスプレイ装置であって、円筒の内周側に備えられ円筒外周側に光を照射する第1の光源と、第1の光源の外周側に備えられディスプレイの視認側である円筒外周側に光を反射するとともに光源光を透過する光透過領域を備えたミラー層と、ミラー層の外周側に備えられ第1の光源光の一部を外周側に透過し一部を内周側に反射するハーフミラー層と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明におけるディスプレイ装置の両円筒底面側のうちの少なくとも一方に備えられる第2の光源をさらに有し、その第2の光源は、ハーフミラー層の外周側の一部に形成されている画像上に光を照射することを特徴とする。
【0014】
また、本発明におけるディスプレイ装置は、ハーフミラー層とミラー層との距離を調整可能な支持部をさらに有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明におけるディスプレイ装置は、ミラーのディスプレイ視認側にハーフミラーを備え、ミラーとハーフミラーとの間の空気充填層で繰り返し反射されディスプレイ視認側にハーフミラーを透過した光の像を立体的に表示することを特徴とする。
また、そのミラーのディスプレイ視認側の面上に、図柄、文字を示す像表示部材を貼付することを特徴とする。
【0016】
また、本発明におけるディスプレイ装置は、透明な板状の基材のディスプレイ視認側の面にハーフミラー層、反対側の面にミラー層を備え、ミラー層とハーフミラー層との間で繰り返し反射されディスプレイ視認側にハーフミラーを透過した光の像を立体的に表示することを特徴とする。
また、そのミラー層及びハーフミラー層は、一方の面に接着剤を塗布したシール状の部材であり、ガラス又は透明樹脂の一方の面に前記シール状のミラー層を貼付し、他方の面にそのシール状のハーフミラー層を貼付するとともに、そのシール状のミラー層の一部を透明に形成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明におけるディスプレイ装置は、板状の基材の表裏両面にハーフミラーを備え、それら両ハーフミラー間で繰り返し反射し、そのハーフミラーから表側又は裏側へ透過した光の像を立体的に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明におけるディスプレイ装置は、ハーフミラーの前面側にレンズ、背面側に光源を配置した構成であるので、その光源から照射される光を装飾し、十分な視覚効果を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<第1の実施形態>
(第1の実施形態の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるディスプレイ装置の外観図である。
以下、図を用いて、本実施の形態におけるディスプレイ装置の構成の概略について説明を進める。
図に示すように、このディスプレイ装置は、LED等の光源を備えた光源部10と、この光源部10からの照射光の一部を透過し一部を反射するハーフミラー部20と、このハーフミラー部20からの透過光の一部を透過し拡大するレンズ形成部30と、を有して構成される。
【0020】
ハーフミラー部20で背面側に反射した光は、光源部10において再反射して再度前面側に進行する。これを繰り返すことで、光源光の像が多重に得られ、立体パターンを形成するようになっている。
また、ハーフミラー部20を透過した光は、レンズ形成部30を透過することにより、拡大した円状の像及び環状の像が得られる。
また、レンズ形成部30は、その背面側に形成された点描画素をレンズによる視覚効果により、前面側に立体画像を形成する。
【0021】
図2は、図1のディスプレイ装置のA−A’断面を示す図である。
以下、この図を用いて、ディスプレイ装置の構成について、さらに詳細に説明する。
図に示すように、ディスプレイ装置は、光源部10の前面側にハーフミラー部20が設けられ、そのハーフミラー部20の前面側にレンズ形成部30が設けられる構成となっている。
【0022】
光源部10は、筐体11と、この筐体11の前面側に備えられたミラー12と、その筐体11内に収容され前面側に光を照射する光源13と、この光源13の電源14とを有する。
このミラー12は、前面側からの光を前面側に反射する。また、このミラー12には、筐体11内に備えられた光源13からの照射光を前面側に進行させるための光透過領域(穴や透明部材等)が設けられている。
【0023】
ハーフミラー部20は、ハーフミラー21と、このハーフミラー21をミラー12の前面上に支持する4本の柱状の支持脚22とを有する。
この支持脚22によって支持されることにより、ハーフミラー21とミラー12との間に空隙23が形成される。このハーフミラー21とミラー12との間の距離は、例えば3〜100mm程度である。
また、このハーフミラー21は、光源光の一部を前面側に透過し、一部を再度背面側(ミラー12側)に反射する。
【0024】
レンズ形成部30は、透明性を備えた透明板31と、この透明板31の前面側に多数設けられた透明板31と同素材のレンズ32と、その透明板31の背面側に一定のパターンで印刷されている点描画素33と、その透明板31をハーフミラー21の前面上に支持する4本の柱状の支持脚34とを有する。
この支持脚34によって支持されることにより、透明板31とハーフミラー21との間に空隙35が形成される。この透明板31とハーフミラー21との間の距離は、例えば1〜500mm程度である。
【0025】
透明板31は、軟質または硬質塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボ樹脂、ペット樹脂などの合成樹脂や、ガラスなどを素材とする透明の板である。また、透明板31は、一定の厚さ(例えば、1mm〜200mm程度)があり、形状は、矩形(長方形・正方形)、平行四辺形、菱形、三角形、その他の多角形、円形、楕円形など、ディスプレイの使用目的に応じて、いずれの形状でもよく、さらに、大きさは矩形の場合、1辺が数センチメートルから数メートルまで、これも使用目的に応じて、いずれの大きさでもよい。
【0026】
レンズ32は、前述の透明板1と同じ透明素材から形成される。透明板31とレンズ2の素材は一致させる必要はない。
図に示す例では、レンズ32の形状は半球状となっているが、基本的にレンズの機能を損なわない範囲であれば、例えば四角錐や三角錐、その他凸状など、形状は球面に限定するものではない。
また、レンズ32の大きさは、例えば直径が0.25mm〜40mm程度で、透明板1の厚みや大きさに応じて設定される。該レンズ32は透明板1の表面に付着させる。また、レンズ32はグラビア印刷やスクリーン印刷などにより印刷して表出させてもよい。
透明板31には、多数のレンズ32が例えば0.6mm〜96mm程度のピッチで縦横規則正しく配置される。
【0027】
点描画素33は、前述の透明板31の背面側の面にスクリーン印刷などにより無数に印刷される点であって、これらが集合して、全体として文字や絵柄(写真)等の画像などの地紋を表示する。該点描画素33の大きさや配列は、上記レンズ32の大きさや配列に応じて決定される。
この点描画素33は、レンズ32による視覚効果により前面側に立体像を形成する。
【0028】
(第1の実施形態における視覚効果の説明)
本実施の形態におけるディスプレイ装置は、以上のような構成を備えて、以下の3種の視覚効果を備えた像を前面側に形成する。
(1)光源光の像の立体パターン
(2)光源光の周囲に形成される円状及び環状の像
(3)点描画素33による立体像
以下、図面を用いて、これらの各像について説明する。
【0029】
(1)光源光の像の立体パターン
図3は、光源13からの照射光の光路を示す図である。
以下、この図を用いて、ディスプレイ装置による光源光の像の生成過程について説明する。
図に示すように、光源13から照射された光は、前面側に進行する。
この照射光の一部はハーフミラー21を前面側に透過し、一部は背面側に反射する。この前面側に透過した方の光源光は、透明板31上のレンズ32に到達する。一方、ハーフミラー21の背面側への反射光は、ミラー12において再度前面側に反射し、再度ハーフミラー21にて反射又は透過し、透過した光は透明板31上のレンズ32に到達する。
そして、ハーフミラー21における反射又は透過が複数回繰り返されることで、像の立体パターンが形成される。
図4は、その光源光の像の立体パターンの一例を示す図である。
図に示すように、ディスプレイ装置の前面側には、光源光の像が前面側に多重に隣接し連続して現れ、像の立体パターンが形成される。
【0030】
(2)光源光の周囲に形成される円状及び環状の像
また、レンズ32に到達した連続した光源光は、そのレンズ32により拡大され、前面側から見ると、その多重に表示された各像1点1点の周囲に、円状及び環状の像が表示される。
図5は、その円状の像及び環状の像の一例を示す図である。
図に示すように、光源光の中心の周囲に、光源よりも淡い円状の光の像が形成される。また、この淡い円状の光の像の周囲には、環状の光の像が形成される。
【0031】
なお、前述の円状又は環状の光の像は、透明板31とハーフミラー21との距離が大きくなればなるほど、その直径も大きくなる。その透明板31・ハーフミラー21間の距離を適宜調整することにより、任意の目的に応じた光の視覚効果を期待することができる。
図6は、本実施の形態における支持脚34の形状の一例を示す図である。
図に示すように、支持脚34を同心の径の異なる複数の管状の部材等により構成して伸縮自在とすることで、その調整を容易に行うことができるようにしてもよい。
また、時間に応じてその距離の伸縮を自動的に行うようにし、その円状及び環状の光の像の大きさを変化させることで、さらなる視覚効果を得ることも可能である。
【0032】
(3)点描画素33による立体像
また、前述したように、透明板31の背面側に形成された点描画素33は、レンズによる視覚効果により、立体画像を前面側に形成する。
図7は、本実施の形態におけるレンズ32の焦点距離と、レンズ32と点描画素33との間の距離の関係を示す図である。
以下、この図を用いて、その点描画素33による立体画像について説明する。
図に示すように、レンズ32が凸レンズの場合、点描画素33をレンズ32の焦点距離の内側に配置すると、その点描画素33の像を、奥行きのある、拡大した正立の虚像として映し出す。特に、本実施の形態では、点描画素33の明瞭な像が得られるように、この点描画素33の形成位置を、ほぼ焦点の位置とする。
さらに、その像が所定の画像パターンの繰り返しにより表現されている場合、その画像パターン間のピッチが大きければ大きいほど、その虚像は奥に見える。この点描画素33のピッチを調整することにより、この点描画素33により構成される絵柄等の奥行き感を任意のものにすることができる。特に、1つのディスプレイ装置において、この点描画素33をピッチの異なる複数のパターンで描画するとき、ピッチが大きなパターンは奥に見え、ピッチが小さなパターンはそのパターンよりも手前に見えるので、顕著な立体視覚効果を得ることができ、装飾性に優れた画像を表現することができるようになる。
【0033】
(第1の実施形態のまとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、支持脚22,34によりミラー12、ハーフミラー21、透明板31間に形成される空隙23,35間において、ハーフミラー21により光源光の透過又は反射が繰り返されることにより、光源光の像が前面側に多重に現れ、立体的パターンを形成するので、視覚効果を向上させることが可能となる。
また、ハーフミラー21の透過光はレンズ32により拡大されて、光源光の中心の周囲に淡い円状の光の像が形成されるので、その光を立体的に見せることができ、視覚効果をより一層高めることが可能となる。
また、光源光の中心の周囲に、この淡い円状の光の像の周囲には、さらに環状の光が形成されるので、光を幻想的に見せることができ、美的視覚効果をより向上させることが可能となる。
【0034】
透明板31とハーフミラー21との間の距離を調整することにより、その円状又は環状の像の大きさを任意に変更することができ、目的に応じた光を容易に発光させることが可能となる。
また、その距離を自動的に伸縮させることで、その円状及び環状の像の大きさに変化をつけることができ、さらなる視覚効果を得ることもできる。
【0035】
また、透明板31の背面側の面に形成された点描画素33による立体画像を前面側に表示するので、ディスプレイにおける表現の可能性を拡大し、さらなる視覚効果を得ることができるようになっている。
【0036】
以上のような各視覚効果によって、本実施の形態におけるディスプレイ装置は、会社や店舗等の看板として利用できる他、壁やウインドウ等に設置して、通行人や客等に対して高い広告宣伝効果やアピール効果を期待できる。
また、このディスプレイ装置の利用範囲は、会社や店舗等の商業目的の施設に限定されず、各公的機関の施設や公園等、様々な場所、分野で利用可能である。
【0037】
なお、本実施の形態では、各4本の支持脚22,34でそれぞれハーフミラー21、透明板31を支持していたが、支持可能であればその本数を増減することができる。また、この空隙を形成する構成は、柱状の支持脚によるものに限定されず、例えば、筐体内に所定間隔をおいて、ハーフミラーや透明板を取り付けて空隙を形成するようにしてもよい。
【0038】
また、透明板31上に絵柄や文字等を装飾的に形成し、前述の光源光の像とともに、ディスプレイとしての宣伝効果を向上させるようにしてもよい。
さらに、透明板31の背面側の面に点描画素33を直接印刷せずに、点描画素33を印刷したシート(図示せず)を透明板31の裏面に重ねるようにしてもよい。
【0039】
また、ミラー12やハーフミラー21を撓ませることにより、光源光の像の形状が変化し、視覚的に特徴のある形態を表示することが可能となる。
【0040】
<第2の実施形態>
(第2の実施形態の概要)
以上説明したように、第1の実施形態におけるディスプレイ装置は、平面状の多層構造に構成され、看板等に利用することにより優れた視覚効果を実現するものである。
これに対し、以下説明する第2の実施形態におけるディスプレイ装置は、表面を曲面状に構成し、スロットマシンやパチスロ等の遊技機のリール部分に利用するものである。この本実施の形態におけるディスプレイ装置は、遊戯中にそのリール形状のディスプレイ装置を回動させ、停止したときに、立体像を表出させて優れた視覚効果をユーザ側に与えるというものである。
以下、特記しない限り、本実施の形態における構成及び効果は、本発明の第1の実施形態と同様であるものとして、この本実施の形態におけるディスプレイ装置について詳細に説明を進める。
【0041】
(第2の実施形態の構成)
(1)全体構成
図8は、本発明の第2の実施形態におけるディスプレイ装置の外観を示す斜視図である。
また、図9は、本発明の第2の実施形態におけるディスプレイ装置の断面略図であり、図8のB−B’断面を示している。
以下、これらの図を用いて、本実施の形態におけるディスプレイ装置の構成について説明する。
【0042】
図に示すように、本実施の形態におけるディスプレイ装置は、自身が回動する回胴リール部100と、この回胴リール部100を回動させる回動駆動部200とを有して構成される。
この回胴リール部100は、底面が略円形状の略円筒形状を構成している。この円筒底面の円中心上に、その円筒底面と垂直に回動軸が設けられている。回動駆動部200は、この回動軸を中心に回胴リール部100を回動させる。
本実施形態におけるディスプレイ装置は、このように回胴リール部100を回転させることで、スロットマシンを用いた遊技機等における回胴リール部分に使用することができる。
なお、本実施形態において、正面側とは、略円筒形状であるディスプレイ装置の回動部分の円筒側面のうち、リール形状のディスプレイ装置を遊技機に備えたときに、そのリールの絵柄や文字等が表示され視認可能な側をいう。
【0043】
(2)回胴リール部100の構成
ここで、前述の回胴リール部100の構成について詳細に説明する。
図に示すように、この回胴リール部100は、円筒形状の円筒部110と、この円筒部110の内壁面を支持して円筒部110に一定の耐強度を付与する支持部120とを有して構成される。
【0044】
この円筒部110には、内周側から外周側に向けて様々な素材による複数の層により構成されており、この円筒底面側の断面は、これら複数の層により略同心円状となっている。
これら複数の層のうち最も内周側には、円筒部110を形状保持するための不透明層である形状保持層111が設けられている。
【0045】
この形状保持層111の外周側には、外周側から照射される光を全反射するミラー層112が積層されている。例えば、このミラー層112は、一方の面がミラー面であり、他方の面が接着剤の塗布面であるシート状の素材であって、前述の形状保持層111の外周側に貼付される。
なお、このミラー層112及び形状保持層111の一部には、絵柄や文字等を表すように、光透過性を有する光透過領域118が設けられており、形状保持層111の内周側に設置される後述する光源204からの光がミラー層112の外周側に透過するよう構成されている。
この光透過領域118は、形状保持層111及びミラー層112の一部分を重ねてくり抜いて、絵柄や文字等を表すようにしてもよいし、そのくり抜き部分を透明素材(軟質又は硬質塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボ樹脂、ペット樹脂等の合成樹脂や、ガラス等)で構成するようにしてもよい。
【0046】
そのミラー層112の外周側の面上には、内周側から外周側に向けて放射状に略同寸の複数の支持脚130が立設されている。さらにこの支持脚130により、ミラー層112の外周側にハーフミラー層114が支持されている。
このミラー層112とハーフミラー層114の層間には、前述の支持脚130により空気が充填されている空間層113が形成される。
【0047】
そのハーフミラー層114は、内周側からの光源光の一部を外周側に透過させるとともに、一部を内周側に反射させる。
さらに、このハーフミラー層114の外周側の一部には絵柄や文字等が印刷されて印刷領域115が形成されている。例えば、この印刷領域115には、スロットマシンのボーナス発生時に表示したい絵柄等が印刷されている。
なお、この印刷領域115は、半透明のような光透過性を備えているものでもよいし、光透過性を備えていないものでもよい。
【0048】
そのハーフミラー層114の外周側の面上には、内周側から外周側に向けて放射状に略同寸の複数の支持脚131が立設されている。さらにこの支持脚131により、ハーフミラー層114の外周側に透明層116が支持されている。
このハーフミラー層114と透明層116との層間には、前述の支持脚131により空気が充填されている空間層119が形成される。
【0049】
また、その透明層116は、光透過性を備えた素材からなるものであり、例えば、軟質又は硬質塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボ樹脂、ペット樹脂等の合成樹脂や、ガラス等を素材とする透明素材からなる。
この透明層116の内周側又は外周側の一部には、絵柄や文字等が印刷されて、印刷領域117が形成されている。例えば、この印刷領域117には、使用目的に応じて、通常スロットマシンによく用いられる「7」、「チェリー」、「BAR」といった絵柄や文字が印刷されている。
【0050】
また、支持部120は、例えば図に示すように、形状保持層111の内周側の面を十字に支持し、円筒部110の形状保持のための強度を補強している。なお、この図中の支持部120の形状は、あくまでも一例であり、円筒部110に一定の強度を与えるものであれば他の形状であってもよい。
また、この支持部120において、円筒部110の円筒底面の円中心に相当する位置には、回胴リール部100の回動軸が連結され、回動駆動部200による回動軸回りの回転が回胴リール部100に伝達されるようになっている。
【0051】
(3)回動駆動部200の構成
次に、前述の回胴リール部100を回動させる回動駆動部200の構成について詳細に説明する。
図に示すように、回動駆動部200は、前述の回動軸201と、この回動軸201回りに回胴リール部100を回動させるモータ等の駆動源202と、この駆動源202が設置されているディスプレイ装置の筐体203と、この筐体203に設置され、内周側から外周側に向かって一定の範囲で光を照射する光源204と、筐体203に設置され、回胴リール部100の両円筒底面側の少なくとも一方の側から光を照射する光源205とを有して構成される。
【0052】
駆動源202は、図示しないプロセッサ等からの制御信号に応じて、回動軸201を介して円筒部110を回動軸201回りに回動させる。
【0053】
光源204,205は、LED(Light Emitting Diode)や蛍光灯等の光源である。
光源204は、形状保持層111の内周側に設置されており、その形状保持層111の内周側から外周側に向けて光を照射する。この光源204からの照射光は、形状保持層111及びミラー層112の光透過領域118を抜けて、ハーフミラー層114に達し、その一部は内周側に反射し、一部はハーフミラー層114を透過して外周側へ進行する。
光源205は、正面側から見て回胴リール部100の左右両円筒底面側のうち、少なくとも一方の側の正面側寄りに設置されている。この光源205からの照射光は、ハーフミラー層114上に形成されている印刷領域115に照射され、その印刷領域115の像を正面側から容易に視認できるようにする。
【0054】
(第2の実施形態における視覚効果の説明)
本実施の形態におけるディスプレイ装置は、以上のような構成を備えて、外周側(正面側)から視認可能な、以下の2種の視覚効果を備えた像を形成する。
(1)光透過領域118の像の立体パターン
(2)印刷領域115の像の立体パターン
以下、図面を用いて、これらの各像について説明する。
【0055】
(1)光透過領域118の像の立体パターン
まず、前述の2種の視覚効果のうち、光透過領域118の像の立体パターンの生成過程について説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態における光源204からの照射光の光路を示す図である。
図に示すように、光源204から外周側に照射された光は、形状保持層111及びミラー層112に設けられている光透過領域118を透過して外周側に進行する。
この照射光の一部は空間層113を経てハーフミラー層114を外周側に透過し、一部はハーフミラー層114で内周側に反射する。
このうち、外周側に透過した方の光源光は、空間層119及び透明層116を介して、ディスプレイ装置の外周方向に通過し、ユーザに視認される。一方、ハーフミラー層114の内周側への反射光は、ミラー層112において再度外周側に反射し、再度ハーフミラー層114にて反射又は透過し、透過した光は前述のようにディスプレイ装置の外周方向に通過する。
そして、ハーフミラー層114における反射又は透過が複数回繰り返されることで、光透過領域118により形成されている像の立体パターンが形成される。
【0056】
図11は、その光透過領域119の像の立体パターンの一例を示す図である。
図に示すように、外周側からディスプレイ装置を見ると、光源204からの照射光が光透過領域118によりかたどられて、多重に隣接し連続した像が現れ、立体パターンを視認できるようになる。
【0057】
また、支持脚130の長さを調整して、ミラー層112とハーフミラー層114との間の距離を短くすればするほど、前述の多重に隣接した像間の距離が近くなる。
反対に、ミラー層112とハーフミラー層114との間の距離を長くすればするほど、その像間の距離は遠くなり、奥行きのある立体パターン像となる。
このように、支持脚130の長さを適宜調整することで、目的に応じた立体パターン像が得られる。
なお、この支持脚130は、第1の実施形態における支持脚34と同様に、その長さを自在に調整可能なように構成されている。
【0058】
(2)印刷領域115の像の立体パターン
次に、印刷領域115の像の立体パターンの生成過程について説明する。
図12は、本発明の第2の実施の形態における光源205による円筒底面方向からの照射光の光路を示す図である。
図に示すように、ハーフミラー層114上に形成された文字や絵柄等の印刷領域115に対して、両円筒底面側のうちの少なくとも一方に備えられた光源205から光を照射すると、この光源205の照射光が、その印刷領域115の像にかたどられて、前述の光源204の照射光と同様に、一部は空間層113を経てハーフミラー層114を外周側に透過し、一部はハーフミラー層114で内周側に反射する。
このことによりそして、ハーフミラー層114における反射又は透過が複数回繰り返されることで、光透過領域119の像と同様に、印刷領域115の像の立体パターンが形成される。
【0059】
(3)回胴リール部100の回動時及び停止時における視覚効果
以上のようにして、光透過領域118の像及び印刷領域115の像の立体パターンが形成されるが、回胴リール部100が回動しているときは、それら光透過領域118及び印刷領域115の像は、その回動方向に所定速度で移動していくので、正面側からはっきりと視認しにくい。
一方、その回胴リール部100が停止し、その光透過領域118や印刷領域115の像が正面側に位置すると、前述の視覚効果により、光透過領域118や印刷領域115の像の立体パターンが現れ、正面側から視認可能な状態になる。
このように、回胴リール部100が回動中には、立体パターンの視認が困難であり、停止すると、容易に視認することができるようになるので、停止時に印象的な視覚効果をスロットマシンのユーザ等に対して非常に効果的に与えることが可能となる。
【0060】
(第2の実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、ディスプレイ装置をスロットマシン等の遊技機に使用するとき、回動している回胴リール部100が停止すると、光透過領域118及び印刷領域115の像の立体パターンが現れ、画像や文字を効果的に強調するので、優れた視覚効果をユーザに与えることが可能となる。
【0061】
なお、本実施の形態におけるディスプレイ装置は、スロットマシンのリールのような曲面に利用したものであるが、第1の実施の形態と同様に、平面状に構成し、看板等に利用
することも、もちろん可能である。このときも同様に、光透過領域118及び印刷領域115の像の立体パターンが現れ、優れた視覚効果をユーザに与えることが可能となる。
【0062】
<第3の実施形態>
(第3の実施形態の概要)
以下説明する第3の実施形態におけるディスプレイ装置は、前述した第1の実施形態におけるディスプレイ装置と同様に、平面状の多層構造に構成され、看板等に利用することにより優れた視覚効果を実現するものである。
以下、特記しない限り、本実施の形態における構成及び効果は、本発明の第1の実施形態と同様であるものとして、この本実施の形態におけるディスプレイ装置について詳細に説明を進める。
【0063】
(第3の実施形態の構成)
図13は、本発明の第3の実施形態におけるディスプレイ装置の外観図である。
以下、図を用いて、本実施の形態におけるディスプレイ装置の構成の概略について説明を進める。
図に示すように、このディスプレイ装置は、LED等の光源を備えた光源部310と、この光源部310からの照射光の一部を透過し一部を反射するハーフミラー部320と、を有して構成される。
【0064】
光源部310は、筐体311と、この筐体311の前面側に備えられたミラー312と、その筐体311内に収容され前面側に光を照射する光源313と、この光源313の電源314とを有する。
このミラー312は、前面側からの光を前面側に反射する。また、このミラー312には、筐体311内に備えられた光源313からの照射光を前面側に進行させるための透明な光透過領域315(穴や樹脂等の透明部材等)が設けられている。この光透過領域315は、図柄や文字を表現するものであってもよく、この図柄や文字を前面側から多重の像として確認することができる。
【0065】
ハーフミラー部320は、ハーフミラー321と、このハーフミラー321をミラー312の前面上に支持する複数本の柱状の支持脚322とを有する。
この支持脚322によって支持されることにより、ハーフミラー321とミラー312との間に空気が充填されている空間層323が形成される。このハーフミラー321とミラー312との間の距離は、例えば3〜100mm程度である。
また、このハーフミラー321は、光源光の一部を前面側に透過し、一部を再度背面側(ミラー312側)に反射する。
【0066】
(第3の実施形態における視覚効果の説明)
次に、この図を用いて、ディスプレイ装置による光源光の像の生成過程について説明する。
図に示すように、光源313から照射された光は、光透過領域315を透過して前面側に進行する。
この光透過領域315を透過した照射光の一部はハーフミラー321を前面側に透過し、一部は背面側に反射する。ハーフミラー321から背面側へ進行する反射光は、ミラー312において再度前面側に反射し、再度ハーフミラー321にて反射又は透過する。
そして、ハーフミラー321における反射又は透過が複数回繰り返されることで、第1の実施形態と同様に、ディスプレイ装置の前面側には、光源光の光透過領域315をかたどった像が前面側に多重に隣接し連続して現れ、像の立体パターンが形成される。
【0067】
(第3の実施形態のまとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、支持脚322によりミラー312、ハーフミラー321間に形成される空間層323において、ハーフミラー321により光源光の透過又は反射が繰り返されることにより、光源光の像が前面側に多重に現れ、立体的パターンを形成するので、視覚効果を向上させることが可能となる。
【0068】
また、支持脚322の長さを調整して、ミラー312とハーフミラー321との間の距離を短くすればするほど、前述の多重に隣接した像間の距離が近くなる。
反対に、ミラー312とハーフミラー321との間の距離を長くすればするほど、その像間の距離は遠くなり、奥行きのある立体パターン像となる。
このように、支持脚322の長さを適宜調整することで、目的に応じた立体パターン像が得られる。
なお、この支持脚322は、第1の実施形態における支持脚34と同様に、その長さを自在に調整可能なように構成されている。
【0069】
<第4の実施形態>
(第4の実施形態の概要)
前述の第1〜3の実施形態におけるディスプレイ装置は、ミラーとハーフミラーとの間に空気が充填された空間層を有するものである。
これに対し、以下説明する第4の実施形態におけるディスプレイ装置は、基材の表裏にそれぞれミラー層及びハーフミラー層を形成することにより、その基材が空間層の役割を行うものである。
以下、特記しない限り、本実施の形態における構成及び効果は、本発明の第1の実施形態と同様であるものとして、この本実施の形態におけるディスプレイ装置について詳細に説明を進める。
【0070】
(第4の実施形態の構成)
図14は、本発明の第4の実施形態におけるディスプレイ装置の外観図である。
以下、図を用いて、本実施の形態におけるディスプレイ装置の構成の概略について説明を進める。
図に示すように、このディスプレイ装置は、LED等の光源を備えた光源部410と、この光源部410からの照射光の透過及び反射を行う透過反射部420と、を有して構成される。
【0071】
光源部410は、筐体411と、この筐体411内に収容され前面側に光を照射する光源412と、この光源412の電源413とを有する。
【0072】
透過反射部420は、樹脂(アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネイト、PET等)やガラス等を素材とする透明な板状の基材421と、この基材421の背面側に水銀を塗布する等して形成されるミラー層422と、その基材421の前面側にハーフミラー状のシールを貼付する等して形成されるハーフミラー層423と、を有する。
このハーフミラー層423は、光源光の一部を前面側に透過し、一部を再度背面側(ミラー層422側)に反射する。
また、ミラー層422は、前面側からの光を前面側に反射する。また、このミラー層422には、筐体411内に備えられた光源412からの照射光を前面側に進行させるための透明な光透過領域424が設けられている。この光透過領域424は、図柄や文字を表現するものであってもよく、この図柄や文字を前面側から多重の像として確認することができる。例えば、この光透過領域424は、エッチング又は彫刻加工をしてミラー層422を削り取る等して除去することにより形成される。
【0073】
(第4の実施形態における視覚効果の説明)
次に、この図を用いて、ディスプレイ装置による光源光の像の生成過程について説明する。
図に示すように、光源412から照射された光は、光透過領域424を透過して前面側に進行する。
この光透過領域424を透過した照射光の一部はハーフミラー層423を前面側に透過し、一部は背面側に反射する。ハーフミラー層423から背面側へ進行する反射光は、ミラー層422において再度前面側に反射し、再度ハーフミラー層423にて反射又は透過する。
そして、ハーフミラー層423における反射又は透過が複数回繰り返されることで、第1の実施形態と同様に、ディスプレイ装置の前面側には、光透過領域424をかたどった光源光の像が前面側に多重に隣接し連続して現れ、像の立体パターンが形成される。
【0074】
(第4の実施形態のまとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、ミラー層422、ハーフミラー層423間において、光源光の透過又は反射が繰り返されることにより、光源光の像が前面側に多重に現れ、立体的パターンを形成するので、視覚効果を向上させることが可能となる。
【0075】
また、基材421の厚さを調整して、ミラー層422とハーフミラー層423との間の距離を短くすればするほど、前述の多重に隣接した像間の距離が近くなる。
反対に、ミラー層422とハーフミラー層423との間の距離を長くすればするほど、その像間の距離は遠くなり、奥行きのある立体パターン像となる。
このように、基材421の厚さを適宜調整することで、目的に応じた立体パターン像が得られる。
また、特に、ミラー層422とハーフミラー層423との間の距離を短く調整する場合には、本実施形態のように基材421自体を空間層として用いることにより、構成の簡略化を図ることができる。
【0076】
(第4の実施形態のディスプレイ装置の変型例)
前述のミラー層422及びハーフミラー層423の裏面に接着剤を塗布して、厚さ0.05〜0.1程度のシール状に形成し、既存のアクリル板やガラス板の表裏面に貼付することにより、前述の本実施形態の効果と同様の効果が得られる。
例えば、ガラス製の店舗等のウインドウの前面にハーフミラー層423のシールを貼付し、背面にミラー層422のシールを貼付し、背面側から光を照射する。このとき、ミラー層422のシールの一部をくり抜いて図柄や文字等を予め形成しておくことで、この図柄や文字を多重の像として前面側に映し出すことができる。
【0077】
<第5の実施形態>
(第5の実施形態の概要)
前述した第1,3,4の実施形態におけるディスプレイ装置は、ミラー(層)の一部に光透過領域を設けて像を形成するものである。
これに対し、以下説明する第5の実施形態におけるディスプレイ装置は、ミラー表面に図柄や文字等が示されたシールを貼付し、像として映し出すものである。
以下、特記しない限り、本実施の形態における構成及び効果は、本発明の第1の実施形態と同様であるものとして、この本実施の形態におけるディスプレイ装置について詳細に説明を進める。
【0078】
(第5の実施形態の構成)
図15は、本発明の第5の実施形態におけるディスプレイ装置の外観図である。
以下、図を用いて、本実施の形態におけるディスプレイ装置の構成の概略について説明を進める。
図に示すように、このディスプレイ装置は、照射光の透過及び反射を行い像を形成する透過反射部510と、この透過反射部510に光を照射する光源部520とを有して構成される。
【0079】
透過反射部510は、前面からの照射光を前面に反射するミラー511と、このミラー511上に貼付され図柄や文字等が示されている像表示部材512と、このミラー511の前面に設けられミラー511の反射光の一部を透過し一部を反射するハーフミラー513と、ミラー511上にこのハーフミラー513を前面側に支持する複数本の柱状の支持脚514とを有する。
この支持脚514によって支持されることにより、ハーフミラー513とミラー511との間に空気が充填されている空間層515が形成される。このハーフミラー513とミラー511との間の距離は、例えば3〜100mm程度である。
【0080】
光源部520は、LED等の光源521と、この光源521に電力を供給する電源522とを有して構成される。この光源521は、前述の空間層515の側方に備えられており、ミラー511前面に光を照射するものである。
【0081】
(第5の実施形態における視覚効果の説明)
次に、この図を用いて、ディスプレイ装置による光源光の像の生成過程について説明する。
図に示すように、光源521から照射された光は、空間層515を通過してミラー511及び像表示部材512前面側に進行する。
このミラー511及び像表示部材512に照射された光は、そのままハーフミラー513側へ反射される。
このハーフミラー513への反射光の一部はハーフミラー513を前面側に透過し、一部は背面側に反射する。ハーフミラー513から背面側へ進行する反射光は、ミラー511において再度前面側に反射し、再度ハーフミラー513にて反射又は透過する。
そして、ハーフミラー513における反射又は透過が複数回繰り返されることで、第1の実施形態と同様に、ディスプレイ装置の前面側には、光源光の像が前面側に多重に隣接し連続して現れ、像の立体パターンが形成される。
【0082】
(第5の実施形態のまとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、支持脚514によりミラー511、ハーフミラー513間に形成される空間層515において、ハーフミラー513により光源光の透過又は反射が繰り返されることにより、光源光の像が前面側に多重に現れ、立体的パターンを形成するので、視覚効果を向上させることが可能となる。
【0083】
また、支持脚514の長さを調整して、ミラー511とハーフミラー513との間の距離を短くすればするほど、前述の多重に隣接した像間の距離が近くなる。
反対に、ミラー511とハーフミラー513との間の距離を長くすればするほど、その像間の距離は遠くなり、奥行きのある立体パターン像となる。
このように、支持脚514の長さを適宜調整することで、目的に応じた立体パターン像が得られる。
なお、この支持脚514は、第1の実施形態における支持脚34と同様に、その長さを自在に調整可能なように構成されている。
【0084】
<第6の実施形態>
(第6の実施形態の概要)
前述した第4の実施形態におけるディスプレイ装置は、基材の前面側にハーフミラー層、背面側にミラー層をそれぞれ形成し、ミラー層の一部に光透過領域を設け、背面側から光を照射することにより、前面側から隣接した多重の像を確認することができるというものである。
これに対し、以下説明する第6の実施形態におけるディスプレイ装置は、基材の前面・背面の両面にハーフミラー層を形成することで、前面側及び背面側のいずれの方向からも隣接した多重の像を確認可能とするものである。
以下、特記しない限り、本実施の形態における構成及び効果は、本発明の第4の実施形態と同様であるものとして、この本実施の形態におけるディスプレイ装置について詳細に説明を進める。
【0085】
(第6の実施形態の構成)
図16は、本発明の第6の実施形態におけるディスプレイ装置の外観図である。
以下、図を用いて、本実施の形態におけるディスプレイ装置の構成の概略について説明を進める。
図に示すように、このディスプレイ装置は、樹脂(アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネイト、PET等)やガラス等を素材とする透明な2mm〜30mm程度の厚さの板状の基材610と、この基材610の背面側にアルミニウムやチタン等の金属をレーザで蒸着し保護コーティング処理をする等して形成されるハーフミラー層620と、同様にその基材610の前面側に形成されるハーフミラー層630とを有する。
これらハーフミラー層620,630は照射された光の一部を透過し、一部を反射する。
また、図に示すように、これらハーフミラー層620,630には、内側(基材610側)に、図柄や文字等が表示されている像表示部材621,631がそれぞれ設けられている。この像表示部材621,631は、シール状に形成されており、それらハーフミラー層620,630の内側(基材610側)に貼付してもよいし、そのハーフミラー層620,630の内側の面に印刷する等してもよい。
また、そのハーフミラー層620には、背面側からの光を前面側に進行させるための透明な光透過領域622が設けられている。この光透過領域622は、図柄や文字を表現するものであってもよく、この図柄や文字を前面側から多重の像として確認することができる。例えば、この光透過領域622は、アクリル等の透明な素材で構成してもよいし、エッチング又は彫刻加工をしてハーフミラー層620を削り取って除去すること等により形成されてもよい。
【0086】
(第6の実施形態における視覚効果の説明)
次に、この図を用いて、ディスプレイ装置による像の生成過程について説明する。
図に示すように、背面側から照射された光は、光透過領域622又はハーフミラー層620そのものを透過して、前面側に進行する。
この透過光の一部はハーフミラー層630を前面側に透過し、一部は背面側に反射する。ハーフミラー層630から背面側への反射光は、ミラー層620において再度前面側に反射し、再度ハーフミラー層630にて反射又は透過する。
このとき、ハーフミラー層620,630間の光の透過及び反射が繰り返され、ハーフミラー層630上の像形成部材631上の反射光がハーフミラー層620を透過することで、ディスプレイ装置の背面側には、像が多重に隣接し連続して現れ、像の立体パターンが形成され、背面側から確認することができる。
【0087】
さらに、ハーフミラー層620上の像形成部材621に対し、前面側からの反射光が照射され、ハーフミラー層620を背面側へ透過するので、背面側の観察者は、前述の像形成部材631の像とともに、像形成部材621の像も重ねて確認することができる。
【0088】
一方、前面側からも、ハーフミラー層620,630間で光が透過及び反射を繰り返すことで、像形成部材621,631による、多重に隣接し連続した像の立体パターンを確認することができるようになる。
【0089】
さらに、前述の第4の実施形態のように、光透過領域622による多重の像の立体パターンも前面側から確認することができる。
【0090】
(第6の実施形態のまとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、ミラー層620、ハーフミラー層630間において、照射光の透過又は反射が繰り返されることにより、この照射光の像が前面側及び背面側に多重に現れ、立体的パターンを形成するので、視覚効果を向上させることが可能となる。
【0091】
なお、このように、本実施形態のディスプレイ装置は、前面側、背面側の両面から画像を確認できるので、利用範囲が拡大し、例えば店舗のウインドウに利用することができる。
また、像形成部材621,631の設置位置を調整することにより、両部材621,631の像を、前面側又は背面側から重ね合わせて確認することができるので、光透過領域622をかたどった像も併せて、より複雑な像パターンを表現することが可能となる。
【0092】
また、基材610の厚さを調整して、ハーフミラー層620,630間の距離を短くすればするほど、前述の多重に隣接した像間の距離が近くなる。
反対に、ハーフミラー層620,630との間の距離を長くすればするほど、その像間の距離は遠くなり、奥行きのある立体パターン像となる。
このように、基材610の厚さを適宜調整することで、目的に応じた立体パターン像が得られる。
また、基材610を他の実施形態のように空気が充填された空間層として構成してもよい。
【0093】
また、ハーフミラー層620,630をレーザ照射による蒸着により形成していたが、ハーフミラー層620,630の裏面に接着剤を塗布して、厚さ0.05〜0.1程度のシール状に形成し、基材610の表裏面に貼付することにより、前述の本実施形態の効果と同様の効果が得られる。
【0094】
なお、本実施形態では、ハーフミラー層620に光透過領域621を設けたが、ハーフミラー層630に設けてもよいし、両ハーフミラー層620,630に設けてもよい。また、照射光の光強度が強い場合には、特に設けなくてもよい。
また、図上には、特に光源は示されていないが、適宜設けてよいことは言うまでもない。また、自然光により像を表すこともできる。
【0095】
<実施形態のまとめ>
以上説明したように、前述の実施の形態によれば、ミラー及びハーフミラーにより光源光を反射又は透過させることで、像の立体パターンを形成するので、看板や遊技機のリール等において優れた視覚効果を与えることが可能となる。
【0096】
なお、上記の実施例は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるディスプレイ装置の外観図である。
【図2】図1のディスプレイ装置のA−A’断面を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における光源からの照射光の光路を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における光源光の像の立体パターンの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における円状の像及び環状の像の一例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における支持脚の一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるレンズの焦点距離と、レンズと点描画素との間の距離の関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるディスプレイ装置の外観を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるディスプレイ装置の断面略図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における光源からの照射光の光路を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態における光透過領域の像の立体パターンの一例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における光源による側面方向からの照射光の光路を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態におけるディスプレイ装置の外観図である。
【図14】本発明の第4の実施形態におけるディスプレイ装置の外観図である。
【図15】本発明の第5の実施形態におけるディスプレイ装置の外観図である。
【図16】本発明の第6の実施形態におけるディスプレイ装置の外観図である。
【符号の説明】
【0098】
10,310,410,520 光源部
11,311,411 筐体
12,312,511 ミラー
13,204,205,313,412,521 光源
14,314,413,522 電源
20,320 ハーフミラー部
21,321,513 ハーフミラー
22,34,130,131 支持脚
23,35 空隙
30 レンズ形成部
31 透明板
32 レンズ
33 点描画素
100 回胴リール部
110 円筒部
111 形状保持層
112,422 ミラー層
113,119,515 空間層
114,423,620,630 ハーフミラー層
115,117 印刷領域
116 透明層
118,315,424,622 光透過領域
120,322,514 支持部
200 回動駆動部
201 駆動源
202 回動軸
203 筐体
323 空間層
420,510 透過反射部
421,610 基材
512,621,631 像表示部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーのディスプレイ視認側にハーフミラーを備え、前記ミラーとハーフミラーとの間で繰り返し反射されディスプレイ視認側に前記ハーフミラーを透過した光の像をレンズにより拡大表示することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
ディスプレイの視認側である前面側に光を反射するミラーと、前記ミラーにおける光透過領域から前面側に光を照射する光源と、前記光源の前面側に備えられ前記光源光の一部を前面側に透過し一部を前面側の反対方向の背面側に反射するハーフミラーと、前記ハーフミラーの前面側に備えられたレンズとを有するディスプレイ装置であって、
前記レンズは、前記ハーフミラーからの透過光を拡大表示することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項3】
前記ディスプレイ装置は、前記ハーフミラーと前記レンズとの距離を調整可能な支持部をさらに有することを特徴とする請求項2記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記レンズは、前記ハーフミラーの前面側に配置される透明板上に形成されており、該透明板上には、文字、図柄又は記号が装飾されていることを特徴とする請求項2又は3記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記レンズの背面側には、複数の点描画素が形成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
複数の円筒形状の層が断面同心円状に配置されて構成され円筒側面側を視認側とするディスプレイ装置であって、
前記円筒の内周側に備えられ円筒外周側に光を照射する第1の光源と、
前記第1の光源の外周側に備えられディスプレイの視認側である円筒外周側に光を反射するとともに前記光源光を透過する光透過領域を備えたミラー層と、
前記ミラー層の外周側に備えられ前記第1の光源光の一部を外周側に透過し一部を内周側に反射するハーフミラー層と、
を有することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項7】
前記ディスプレイ装置の両円筒底面側のうちの少なくとも一方に備えられる第2の光源をさらに有し、
前記第2の光源は、前記ハーフミラー層の外周側の一部に形成されている画像上に光を照射することを特徴とする請求項6記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記ディスプレイ装置は、前記ハーフミラー層と前記ミラー層との距離を調整可能な支持部をさらに有することを特徴とする請求項6又は7記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
ミラーのディスプレイ視認側にハーフミラーを備え、前記ミラーとハーフミラーとの間の空気充填層で繰り返し反射されディスプレイ視認側に前記ハーフミラーを透過した光の像を立体的に表示することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項10】
前記ミラーのディスプレイ視認側の面上に、図柄、文字を示す像表示部材を貼付することを特徴とすることを特徴とする請求項9記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
透明な板状の基材のディスプレイ視認側の面にハーフミラー層、反対側の面にミラー層を備え、前記ミラー層とハーフミラー層との間で繰り返し反射されディスプレイ視認側に前記ハーフミラーを透過した光の像を立体的に表示することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項12】
前記ミラー層及びハーフミラー層は、一方の面に接着剤を塗布したシール状の部材であり、ガラス又は透明樹脂の一方の面に前記シール状のミラー層を貼付し、他方の面に前記シール状のハーフミラー層を貼付するとともに、前記シール状のミラー層の一部を透明に形成することを特徴とする請求項11記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
板状の基材の表裏両面にハーフミラーを備え、前記両ハーフミラー間で繰り返し反射し、前記ハーフミラーから前記表側又は前記裏側へ透過した光の像を立体的に表示することを特徴とするディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−241234(P2007−241234A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232526(P2006−232526)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(305056308)
【Fターム(参考)】