説明

ディスペンサ

【課題】構成を複雑にすることなく、また複雑な制御を必要とすることなくドレンパンへの洗浄水の供給を定期的に行ない、ジュース類がドレンパンに固着することを容易に且つ確実に防止するディスペンサを提供することを目的とする。
【解決手段】ディスペンサは、製氷水が貯められる製氷水タンク10と、製氷水タンク10内の製氷水を凍結させて氷片を生成するオーガ式製氷機30とを備えている。オーガ式製氷機30は、内部に製氷水が供給される冷凍ケーシング31を有しており、冷凍ケーシングとドレンパン6とが、製氷水排出管36を介して接続されている。冷凍ケーシング31内の製氷水は所定時間毎に排出され、排出された製氷水によってドレンパン6が洗浄される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷水から氷片を生成するとともに、氷片及び飲料の少なくとも一方を受けるドレンパンを備えたディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来用いられているこの種のディスペンサとしては、チップアイスディスペンサと飲料ディスペンサとが例として挙げられる。チップアイスディスペンサは、利用者の操作に応じて氷片を放出するものである。また、飲料ディスペンサは、氷片を放出する他に、例えば水、ジュース及びスープ等の飲料を、利用者の操作に応じて注出するものである。例えばファミリーレストラン等において、このようなディスペンサは利用客が自由に操作できる場所に設置されることが多く、いわゆるドリンクバーコーナとして、利用客が好きな飲料を自身で注出できるようになっている。一方で、利用者が飲み残したジュース類はディスペンサのドレンパンに捨てられることが多いため、捨てられたジュース類が乾燥してドレンパンに固着することを防止するためにドレンパンを洗浄する必要がある。
【0003】
例えば特許文献1には、氷片となる製氷水が貯められる製氷水タンクを備え、その内部の製氷水をドレンパンに供給して洗浄する装置が記載されている。これによれば、製氷水を凍結させるプレート式製氷機と製氷水タンクとが給水管を介して接続されるとともに、給水管とドレンパンとが排水管を介して接続される。プレート式製氷機は、製氷水タンクから供給された製氷水を凍結させる製氷板を有しており、製氷板の表側で製氷水が凍結するようになっている。製氷水が凍結すると、その裏側に製氷水を散布して表側の氷を剥離させる除氷サイクルが開始され、剥離した氷が氷片となって放出される。また、除氷サイクルが開始されると、排水管を開閉する電磁弁が開弁され、排水管を介して製氷水を供給することによってドレンパンが洗浄される。
【0004】
【特許文献1】実開昭63−63887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置において、ドレンパンに洗浄水が供給されるのは除氷サイクルが開始された時だけであるため、ドレンパンを洗浄するタイミングは不定期となる。すなわち、ディスペンサの設置環境によっては除氷サイクルが1日中行われないこともあるため、ドレンパンへのジュース類の固着を確実に防止できないという問題点を有していた。また、ドレンパンの洗浄用として排水管を設けることが必要であるとともに、排水管を開閉する電磁弁を制御することも必要であるため、装置内の構成及び装置の制御が複雑になるという問題点を有していた。
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、構成を複雑にすることなく、また複雑な制御を必要とすることなくドレンパンへの洗浄水の供給を定期的に行ない、ジュース類がドレンパンに固着することを容易に且つ確実に防止するディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るディスペンサは、製氷水を凍結させて氷片を生成する製氷部と、製氷部に供給された製氷水を排出する製氷水排水路と、氷片及び飲料の少なくとも一方を受けるドレンパンとを備えるディスペンサにおいて、製氷部は、製氷水を内部で凍結させる冷凍ケーシングを有しており、製氷水排水路は、冷凍ケーシングとドレンパンとを接続することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明に係るディスペンサは、製氷水を凍結させて氷片を生成する製氷部と、製氷部に供給された製氷水を排出する製氷水排水路と、氷片及び飲料の少なくとも一方を受けるドレンパンとを備えるディスペンサにおいて、製氷部に製氷水を供給する製氷水供給路と、製氷水供給路を開閉する給水弁と、給水弁による製氷水供給路の開閉を制御する制御部とをさらに備え、製氷部は、製氷水供給路に接続され、製氷水を内部に貯める製氷水タンクと、製氷水タンク内の製氷水の量が所定量を上回った場合に、製氷水タンク内の余剰分の製氷水を排出するオーバーフローパイプとを有しており、製氷水排水路は、オーバーフローパイプとドレンパンとを接続しており、制御部は、製氷水タンクから余剰分の製氷水が排出されるオーバーフローが所定時間毎に発生するように、給水弁による製氷水供給路の開閉を制御することを特徴とするものである。
また、ディスペンサは、製氷水タンク内における製氷水の水位を検出する水位センサをさらに備え、制御部は、水位センサが製氷水タンク内の製氷水の量が所定量を上回ったことを検出した時点から所定期間の間、給水弁が製氷水給水路を開くように制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のディスペンサによれば、製氷水を凍結させる冷凍ケーシングとドレンパンとが、製氷水排水路を介して接続される。ここで、冷凍ケーシング内の製氷水には、例えばカルシウムやマグネシウム等の成分が含まれている。また、製氷水は水としての純度が高い部分から凍結していくため、上記の成分は、製氷時間が進むにつれて製氷水中に濃縮された状態で残留する。したがって、残留した成分が冷凍ケーシング内に固着することを防止するため、冷凍ケーシング内の製氷水を定期的に排水することが一般的となっている。すなわち、本発明のディスペンサは、定期的に排水される製氷水を二次的に利用してドレンパンを洗浄するため、製氷水をドレンパンに供給するための配管や電磁弁を新たに設ける必要がなく、また、冷凍ケーシングから製氷水を排水するタイミングを変更するだけで、ドレンパンの洗浄頻度を自由に変更することができる。したがって、ディスペンサにおいて、構成を複雑にすることなく、また複雑な制御を必要とすることなくドレンパンへの洗浄水の供給を定期的に行ない、ジュース類がドレンパンに固着することを容易に且つ確実に防止することができる。
【0010】
また、本発明のディスペンサによれば、製氷水排水路は、製氷水タンク内における余剰分の製氷水を排出するオーバーフローパイプとドレンパンとを接続し、制御部は、所定時間毎にオーバーフローが発生するように給水弁による製氷水供給路の開閉を制御する。外部排水系に直接接続されることが一般的であったオーバーフローパイプをドレンパンに接続するため、製氷水をドレンパンに供給するための配管や電磁弁を新たに設ける必要がない。また、製氷水のオーバーフローは、給水弁による製氷水供給路の開閉を制御するだけで発生させることができるため、ディスペンサの制御を複雑にすることなく、オーバーフローを発生させるタイミングや、オーバーフローさせる製氷水の量を容易に制御できる。したがって、ディスペンサにおいて、構成を複雑にすることなく、また複雑な制御を必要とすることなくドレンパンへの洗浄水の供給を定期的に行ない、ジュース類がドレンパンに固着することを容易に且つ確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、本発明の実施の形態1に係るディスペンサを示す。ディスペンサは筐体1を備えており、その内部には、氷片の元となる製氷水が貯められる製氷水タンク10が収容されている。製氷水タンク10の頂部には製氷水供給路11の一端が接続されており、製氷水供給路11の他端は外部水道系2に接続されている。製氷水供給路11には給水弁11aが設けられており、給水弁11aが開弁して製氷水供給路11を開くと、外部水道系2の水道水が製氷水として製氷水タンク10内に供給されるようになっている。尚、給水弁11aは非通電時には通路を閉じ、通電時に通路を開くものである。
【0012】
また、筐体1の内部には、製氷水タンク10内の製氷水から氷片を生成するオーガ式製氷機30が収容されている。オーガ式製氷機30は、略円筒形状を有し、図1の矢印で示す上下方向に延在する冷凍ケーシング31を備えており、冷凍ケーシング31の下部には給水管13の一端が接続されている。給水管13の他端は製氷水タンク10の底部に接続されており、製氷水タンク10内の製氷水が、給水管13を介して冷凍ケーシング31内に供給されるようになっている。
【0013】
冷凍ケーシング31の外周部には、冷却パイプ21が巻回されている。冷却パイプ21は、冷却パイプ21、圧縮機22、凝縮器23及び膨張弁24が冷媒通路25を介して順次接続されてなり、これらの間を冷媒が循環する冷凍回路20における蒸発器を構成している。すなわち、冷却パイプ21内を流通する冷媒が蒸発することによって、冷凍ケーシング31内の製氷水が冷却されて凍結し、氷片の元となる氷が冷凍ケーシング31の内部表面に形成される。ここで、製氷水タンク10、オーガ式製氷機30及び冷凍回路20は、本発明に係るディスペンサにおける製氷部を構成する。
【0014】
冷凍ケーシング31の内部には、螺旋刃32aを有するオーガ32が回転可能に設けられている。オーガ32は、冷凍ケーシング31の下方に設けられたギヤードモータ33に連結されており、ギヤードモータ33に駆動されてオーガ32が回転すると、螺旋刃32aが冷凍ケーシング31の内周面に沿って回転移動する。冷凍ケーシング31の内部表面に形成された氷は、回転移動する螺旋刃32aによって掻き取られるとともに、冷凍ケーシング31の上方側に送られる。
【0015】
冷凍ケーシング31の上部には、螺旋刃32aによって送られてきた氷を圧縮する押圧頭34と、押圧頭34が圧縮した氷を適当な大きさに折って氷片を生成するカッタ35とが設けられている。押圧頭34及びカッタ35の周囲には中空の貯氷室40が設けられており、カッタ35が生成した氷片が貯氷室40内に貯められる。オーガ32の上端部は、押圧頭34を貫通してカッタ35に連結されており、オーガ32とカッタ35とが一体として回転可能となっている。また、カッタ35の外周部には、貯氷室40内の氷片を攪拌するためのアジテータ50が一体として固定されている。
【0016】
貯氷室40の側面において、図1の矢印で示す前方側且つ下方側に位置する部位には開口部41が形成されるとともに、開口部41を開閉するシャッタ44が設けられている。開口部41の上方側に位置する部位にはシャッタ44を作動させるアクチュエータ42が設けられており、その下方側には開口部41に連通するとともに下方側に開口した放出口4が形成されている。また、放出口4には、ディスペンサの利用者によって操作されるレバー5が取り付けられており、レバー5を図1の二点鎖線で示す位置まで回動させると、アクチュエータ42がシャッタ44を作動させて開口部41を開くようになっている。
【0017】
また、放出口4の下方側には、利用者が受け損なう等により落下した氷片を受けるドレンパン6が設けられている。ドレンパン6は上方側が開口した箱形の部材であって、その底部6aには、ドレンパン6の内部と外部とを連通する孔である排出口9が形成されている。排出口9には外部排水系3が接続されており、ドレンパン6内で氷片が溶けて発生した水等を、排出口9を介して外部排水系3に排出することが可能となっている。
【0018】
さらに、筐体1の前部において、貯氷室40周辺に位置する部位には前面パネル1aが取り付けられており、前面パネル1aを開閉することによって筐体1の内部を露出させることが可能となっている。前面パネル1aの裏側には、ディスペンサの動作を制御するための制御部70が設けられており、前面パネル1aの表側には、利用者によって操作されるスイッチを有し、制御部70に所定の信号を入力するための操作部8が設けられている。制御部70は、操作部8から入力された信号や、予め記憶されているプログラム等に基づいて、給水弁11a、ギヤードモータ33及びアクチュエータ42等の動作を制御する。
【0019】
以上のように構成されるディスペンサにおいて、冷凍ケーシング31の下部には、その内部の製氷水を外部に排出するための製氷水排出管36の一端が接続されている。製氷水排出管36の他端は、筐体1の内部から外部に延出してドレンパン6の後方側の側面に形成された孔である洗浄水吐出口7に接続されている。また、製氷水排出管36には、制御部70から出力される開弁指令に応じて製氷水排出管36を開閉する排水弁36aが設けられている。すなわち、排水弁36aが開弁して製氷水排出管36を開くと、冷凍ケーシング31内の製氷水がドレンパン6の内部に洗浄水として供給されるようになっており、製氷水排出管36が製氷水排水路を構成している。
【0020】
ここで、冷凍ケーシング31内の製氷水には、例えばカルシウムやマグネシウム等の成分が含まれている。これらの成分は、製氷水が水としての純度が高い部分から凍結していくため、製氷時間が進むにつれて製氷水中に濃縮された状態で冷凍ケーシング31内に残留する。残留した成分が冷凍ケーシング31の内面に固着すると、冷凍ケーシング31の故障や異音の発生等の原因となる。また、本実施の形態に係るディスペンサがファミリーレストラン等のドリンクバーコーナに設置される場合、ディスペンサのドレンパン6には水以外の飲料であるジュース類が捨てられることがある。ドレンパン6に捨てられたジュース類が乾燥して固着すると、ドレンパン6の洗浄が困難になる。
【0021】
制御部70には、製氷水中に残留した成分が冷凍ケーシング31内に固着することを防止可能で、且つドレンパンに捨てられたジュース類が乾燥して固着することを防止可能な所定時間が予め記憶されている。制御部70は、この所定時間毎に排水弁36aに開弁指令を出力するように設定されており、冷凍ケーシング31内の製氷水は、所定時間毎に製氷水排出管36を介してドレンパン6に排出されるようになっている。
【0022】
図2に示すように、ドレンパン6の洗浄水吐出口7と排出口9とは、図2の矢印wで示すドレンパン6の幅方向に関して互いに逆側に配置されるように形成されている。したがって、洗浄水吐出口7を介してドレンパン6内に供給された製氷水が、直に排出口9に流入することがなく、底部6aのより広い領域を製氷水によって洗浄することが可能となっている。
【0023】
図1に戻って、製氷水タンク10は、その内部における製氷水の水位を検出する水位センサであるフロートセンサ14を備えている。フロートセンサ14は、製氷水に浮かんで水面と共に移動する図示しないフロートを有している。また、フロートセンサ14は、製氷水タンク10内の製氷水の水位が上限水位及び下限水位に達したことを検知する図示しないフロートスイッチを有しており、フロートの位置が上限水位または下限水位に達すると、それらを示す信号を制御部70に出力するようになっている。
【0024】
また、製氷水タンク10は、例えば給水弁11aやフロートセンサ14の故障等に起因して、所定量、すなわち上限水位を上回る量の製氷水が製氷水タンク10内に供給された場合に、上限水位を上回った分である余剰分の製氷水を外部に排出するオーバーフローパイプ15を備えている。オーバーフローパイプ15は円筒形状を有する部材であって、その上端部は、製氷水タンク10内の上限水位より上方側に位置するように配置されている。一方、オーバーフローパイプ15の下端部は製氷水タンク10の底部を貫通して外部に延出しており、オーバーフロー排水管12を介して外部排水系3に接続されている。
【0025】
次に、本発明の実施の形態1に係るディスペンサの動作について図1及び図2に基づいて説明する。
ディスペンサの作動が開始されると、制御部70は、フロートセンサ14による水位の検出に応じて給水弁11aへの通電及び非通電を制御し、製氷水タンク10内の水位を所定の範囲内に維持する。また、製氷水タンク10内の製氷水は給水管13を介して冷凍ケーシング31内に供給され、冷凍ケーシング31内における製氷水の水位も所定の範囲内に維持される。
【0026】
冷凍ケーシング31内に製氷水が供給されると、制御部70はオーガ式製氷機30及び冷凍回路20の作動を開始させる。冷凍回路20を循環する冷媒は、冷却パイプ21内で蒸発する際に冷凍ケーシング31を冷却し、冷凍ケーシング31の内表面に氷が形成される。ギヤードモータ33に駆動されて回転するオーガ32は、螺旋刃32aによって冷凍ケーシング31の内表面に形成された氷を掻き取るとともに、掻き取った氷を上方側に送る。
【0027】
オーガ32の螺旋刃32aによって上方に送られた氷は、押圧頭34を通過する際に圧縮されて棒状の氷となる。カッタ35は、この棒状の氷を適当な大きさに折って氷片を生成し、生成された氷片が貯氷室40内に貯められる。利用者によるレバー5の操作に応じてシャッタ44が開口部41を開くと、貯氷室40内に貯められた氷片は放出口4から下方側に放出され、利用者に提供される。
【0028】
以上のように作動するディスペンサにおいて、作動の開始から所定時間が経過すると、制御部70は排水弁36aに開弁指令を出力する。開弁指令を受け取った排水弁36aは開弁して製氷水排出管36を開き、冷凍ケーシング31内の製氷水が排出される。冷凍ケーシング31から排出された製氷水は、製氷水排出管36を介して洗浄水吐出口7からドレンパン6内に吐出される。洗浄水吐出口7と排出口9(図2参照)とは、互いに逆側に配置されているため、吐出された製氷水はドレンパン6の底部6aを広範囲にわたって流れ、それによりドレンパン6が洗浄される。それ以降、制御部70は冷凍ケーシング31からの製氷水の排出を所定時間毎に繰り返す。
【0029】
このように、本発明の実施の形態1に係るディスペンサによれば、冷凍ケーシング31とドレンパン6とを製氷水排出管36を介して接続したので、冷凍ケーシング31内から定期的に排出される製氷水を二次的に利用してドレンパン6を洗浄することができる。すなわち、洗浄水をドレンパン6に供給するための配管や電磁弁を新たに設ける必要がなく、また、冷凍ケーシング31から製氷水を排水するタイミングを変更するだけで、ドレンパン6を洗浄する頻度を自由に変更することができる。したがって、ディスペンサにおいて、構成を複雑にすることなく、また複雑な制御を必要とすることなくドレンパン6への洗浄水の供給を定期的に行ない、ジュース類がドレンパン6に固着することを容易に且つ確実に防止することができる。
【0030】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係るディスペンサの構成について、図3を用いて説明する。この実施の形態2に係るディスペンサは、実施の形態1に係るディスペンサが冷凍ケーシング31内の製氷水を利用してドレンパン6を洗浄していたのに対し、製氷水タンク10内の製氷水を利用するように構成したものである。尚、以下の実施の形態について、図1、2の参照符号と同一の符号は同一または同様の構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
【0031】
図3に示すように、製氷水タンク10に設けられたオーバーフローパイプ15の下端部には排出管80の一端が接続されており、排出管80の他端はドレンパン6の洗浄水吐出口7に接続されている。すなわち、実施の形態2に係るディスペンサにおいて、排出管80は製氷水排水路を構成している。したがって、製氷水タンク10内に上限水位を上回る量の製氷水が供給され、余剰分の製氷水が排出される、いわゆるオーバーフローが発生した場合に、オーバーフローした製氷水がドレンパン6に供給されるようになっている。また、冷凍ケーシング31は、製氷水排出管81を介して外部排水系3に直接接続されている。
【0032】
制御部90は、所定時間毎に、フロートセンサ14から製氷水が上限水位に達したことを示す信号が出力されるまでの間、製氷水給水路11に設けられた給水弁11aに対して通電するように設定されている。また、制御部90は、製氷水タンク10内の水位が上限水位に達したことを示す信号をフロートセンサ14から受け取ると、その時点から所定期間の間、給水弁11aへの通電を継続するように設定されている。すなわち、制御部90は、所定時間毎に所定量の製氷水を製氷水タンク10内から意図的にオーバーフローさせるように構成されている。その他の構成については、実施の形態1と同様である。
【0033】
次に、この実施の形態2に係るディスペンサにおいて、ドレンパン6を洗浄する際の動作について説明する。尚、氷片を生成する動作及び氷片を放出する動作については、実施の形態1と同様である。
ディスペンサの作動の開始から所定時間が経過すると、制御部90は、フロートセンサ14による水位の検出に関わらず給水弁11aへの通電が行われるように制御し、製氷水タンク10内の水位を上昇させる。製氷水タンク10内の水位が上昇して上限水位に達すると、水位が上限水位に達したことを示す信号がフロートセンサ14から制御部90に出力される。制御部90は、水位が上限水位に達したことを示す信号を受け取ると、予め設定された所定期間の間、給水弁11aへの通電が継続されるように制御する。
【0034】
製氷水タンク10内の水位が上限水位に達してから所定期間の間、給水弁11aへの通電が継続されることにより、製氷水タンク10内では、一定量の製氷水のオーバーフローが発生する。製氷水タンク10内からオーバーフローした製氷水は、オーバーフローパイプ15、排出管80、ドレンパン6の洗浄水吐出口7を順次介してドレンパン6内に供給される。ドレンパン6内に供給された製氷水は、ドレンパン6の内部を洗浄し、排出口9を介して外部排水系3に排出される。それ以降、制御部90は、製氷水タンク10内におけるオーバーフローの発生を所定時間ごとに繰り返す。
【0035】
このように、本発明の実施の形態2に係るディスペンサによれば、製氷水タンク10のオーバーフローパイプ15とドレンパン6とを接続し、制御部90は、所定時間毎にオーバーフローが発生するように給水弁11aによる製氷水供給路11の開閉を制御するので、オーバーフローした製氷水によってドレンパン6が洗浄される。すなわち、外部排水系3に直接接続されることが一般的であったオーバーフローパイプ15をドレンパン6に接続するため、製氷水をドレンパン6に供給するための配管や電磁弁を新たに設ける必要がない。また、製氷水のオーバーフローは、給水弁11aによる製氷水供給路11の開閉を制御するだけで発生させることができるため、ディスペンサの制御を複雑にすることなく、オーバーフローを発生させるタイミングを容易に制御できる。したがって、ディスペンサにおいて、構成を複雑にすることなく、また複雑な制御を必要とすることなくドレンパン6への洗浄水の供給を定期的に行ない、ジュース類がドレンパンに固着することを容易に且つ確実に防止することができる。
【0036】
また、ディスペンサは、製氷水タンク10内における製氷水の水位を検出するフロートセンサ14を備え、制御部90は、フロートセンサ14が製氷水タンク10内の製氷水の量が所定量を上回ったことを検出した時点から所定期間の間、給水弁11aが製氷水給水路11を開くように制御する。すなわち、所定時間毎に繰り返されるオーバーフローにおいて、ドレンパン6に供給する製氷水の量を一定に保つことができる。また、給水弁11aが開弁する期間は、給水弁11aへの通電時間を変更することにより自由に設定可能であるため、所望する量の製氷水を容易にオーバーフローさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施の形態1に係るディスペンサを示す断面側面図である。
【図2】実施の形態1に係るディスペンサのドレンパンを示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るディスペンサを示す断面側面図である。
【符号の説明】
【0038】
6 ドレンパン、10 製氷水タンク(製氷部)、11 製氷水供給路、11a 給水弁、14 フロートセンサ(水位センサ)、15 オーバーフローパイプ、20 冷凍回路(製氷部)、30 オーガ式製氷機(製氷部)、31 冷凍ケーシング、36 製氷水排出管(製氷水排水路)、70,90 制御部、80 排水管(製氷水排水路)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷水を凍結させて氷片を生成する製氷部と、
前記製氷部に供給された前記製氷水を排出する製氷水排水路と、
前記氷片及び飲料の少なくとも一方を受けるドレンパンと
を備えるディスペンサにおいて、
前記製氷部は、前記製氷水を内部で凍結させる冷凍ケーシングを有しており、
前記製氷水排水路は、前記冷凍ケーシングと前記ドレンパンとを接続することを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
製氷水を凍結させて氷片を生成する製氷部と、
前記製氷部に供給された前記製氷水を排出する製氷水排水路と、
前記氷片及び飲料の少なくとも一方を受けるドレンパンと
を備えるディスペンサにおいて、
前記製氷部に前記製氷水を供給する製氷水供給路と、
前記製氷水供給路を開閉する給水弁と、
前記給水弁による前記製氷水供給路の開閉を制御する制御部と
をさらに備え、
前記製氷部は、
前記製氷水供給路に接続され、前記製氷水を内部に貯める製氷水タンクと、
前記製氷水タンク内の前記製氷水の量が所定量を上回った場合に、前記製氷水タンク内の余剰分の前記製氷水を排出するオーバーフローパイプと
を有しており、
前記製氷水排水路は、前記オーバーフローパイプと前記ドレンパンとを接続しており、
前記制御部は、前記製氷水タンクから前記余剰分の前記製氷水が排出されるオーバーフローが所定時間毎に発生するように、前記給水弁による前記製氷水供給路の開閉を制御することを特徴とするディスペンサ。
【請求項3】
前記製氷水タンク内における前記製氷水の水位を検出する水位センサをさらに備え、
前記制御部は、前記水位センサが前記製氷水タンク内の前記製氷水の量が前記所定量を上回ったことを検出した時点から所定期間の間、前記給水弁が前記製氷水給水路を開くように制御する請求項2に記載のディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−132316(P2010−132316A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310277(P2008−310277)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】