説明

ディスペンス装置

【課題】漏出のない動作と連続放出動作とをユーザが選択できるようなディスペンスガンを提供する。
【解決手段】粘性材料のためのディスペンスガンは、材料のカートリッジを設置可能な保持部に沿って前進可能なプッシュロッド14を支持するストック4を備える。ロッドはキャッチプレート26によって前進し、ロックプレート38はロッドがキャッチプレートと共に後退することを阻止する。ロックプレートは第1位置と第2位置との間でロッドによって支持され、ディスペンスガンの1つの構成では力がトリガ30から解除されると空動きのブレーキとして作用し、トリガが押し下げられていない時に放出力をカートリッジから解除して漏れを防止する。別の構成では、空動きは、例えばゼロに縮小され、トリガのポンピング動作を使用してカートリッジ内の圧力を維持することによって連続放出動作を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性材料を放出(dispense)するディスペンス装置(dispensing apparatus)に関する。さらに詳しく言うと、排他的ではないが、本発明は、材料の残留排出を減少させる圧力解放装置を有するディスペンス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マスチックコーキング材またはシーラントといった粘性材料は、通常、放出ノズルを有するプラスチックのカートリッジ内に供給される。カートリッジはディスペンスガンに取り付けることができる。こうしたディスペンスガンの一例は、参照することで本願の一部を構成する特許文献1に記載されている。このガンは、ストック内に摺動可能に取り付けられたプッシュロッド上のプランジャを有する。カートリッジはプランジャの前方の保持部内に設置する。プランジャはグリッパプレート及びトリガ組立体によって前進して、ピストンを、カートリッジの一方の端部の内部で前方に動かし、材料をもう一方の端部のノズルから押し出す。ブレーキまたはロックプレートもロッド上に設置される。これにより、解放力がロックプレートに加えられるまで前進したピストンが後退するのが阻止される。トリガ及びグリッパプレートは放出ストロークの終点でリセットされるが、ロッドはロックプレートによって定位置に保持され、放出力を再び加えることもできる。
【0003】
トリガへの一定の力を維持することによって、マスチック材料の排出量の高度な制御を行えることが判明している。しかし、このガンはほとんどの場合、粘性材料用のディスペンスツールとして許容可能であるが、手がトリガを解放した時に即時に排出を中止できるのが望ましいこともある。
【0004】
カートリッジの本体は放出力により半径方向に膨張することが判明している。同様に、何らかの気体のポケットがカートリッジ内に閉じ込められると、気体のポケットは材料を排出する際に圧縮され、放出力がトリガから解除されると膨張する。ロックプレートを手動で解放しない場合、カートリッジが収縮したり何らかの気体のポケットが膨張したりすることによって、必要ない時に材料の放出が継続される傾向がある。
【0005】
参照することによって本願の一部を構成する特許文献2は、カートリッジから粘性材料を放出するディスペンスガンを開示しているが、そこではプッシュロッドの一方の側にあるばねによりロックプレートを係合位置に押し付けることによって、塗布ストロークに続く残留材料の排出の問題に取り組んでいる。ロックプレートの反対側の端部はストック内に形成された開口部内に緩く保持されている。放出力が解除されると、ロックプレートは開口部の範囲内に後退し、カートリッジによってロッドに加えられる力を緩和する。
【0006】
ディスペンスガンにおける圧力解放装置の別の形態は、参照することによって本願の一部を構成する特許文献3から知られるが、そこではロックプレートは、例えばOリングによってプッシュロッドと摩擦係合し、ロッドがそれぞれ前進及び後退する際の解放及び係合関係の間でロッドによって保持されるようになっている。放出ストロークの終点では、カートリッジによってプランジャに加えられる力によりロックプレートを係合関係に持ち込む小さな後退運動が発生するが、その位置ではブレーキプレートが最終的に係合するためプッシュロッドの更なる後退は阻止される。その結果生じる「空動き」がロッドを僅かに後退させることによってカートリッジにかかる圧力を解放し、材料の放出を急激に停止する。
【0007】
【特許文献1】英国特許出願公開第1555455号明細書(GB-A-1555455)
【特許文献2】米国特許第4681524号明細書(US-A-4681524)
【特許文献3】欧州特許出願公開第0448315号明細書(EP-A-0448315)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者が認識したところによれば、上記で説明した圧力解放装置は、放出される材料の漏出のない正確な定量排出を可能にする点で有利であるが、カートリッジの構成とカートリッジ内に閉じ込められた気体による漏出作用は必ずしも全ての状況において欠点とは言えず、実際に有利な作用となるよう活用することができる動作モードが存在する。最初にトリガを一押しすることによってディスペンスガンをプライミングし、その後、トリガを繰り返しポンピング動作させて、変形したカートリッジとその中の圧縮された気体に蓄積されたエネルギーが、放出される材料の連続した流れを生じるようにカートリッジにかかる圧力を維持することによって、放出される材料の連続した流れを達成することが可能である。上述したような圧力解放装置を有するディスペンスガンでは、この連続動作モードは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の発明によれば、粘性材料を放出するディスペンス装置であって、前記装置が、ストックと、前記ストックから突出する所定量の材料を保持する手段と、前記ストック内に長手方向に移動可能に取り付けられ且つ概して前記保持手段が突出する方向に延びるように配設されたプッシュロッドと、前記ロッドと係合して該ロッドを前進させる手段と、前記ロッドが該ロッドを前記保持手段内に前進させる方向に移動可能であり且つ前記ロッドがカートリッジから後退する方向に保持されるように前記ロッドと係合するブレーキ手段とを具備し、該ブレーキ手段は前記ロッドが前進する時に前記ストックに対して第1の位置に移動し且つ前記ロッドが後退する時に第2の位置に移動して前記ロッドの後退量を画定するように配置される、ディスペンス装置において、前記ストックと連携して前記ロッドの後退量を変更するように作動可能である調整手段を有する。
上記第1の発明は、ロックプレートのようなブレーキ手段の空動きを縮小する手段を提供することによって、漏出のない動作(圧力解放オン)と連続放出動作(圧力解放オフ)とをユーザが選択できるようにする。以下の発明は、いくつかの好適な特徴を有する。
第2の発明では、第1の発明において、前記調整手段が前記ブレーキ手段に取り付けられる。
第3の発明では、第2の発明において、前記調整手段が前記ロッドの後退量を変更するために前記ブレーキ手段に対して摺動可能である。
第4の発明では、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記調整手段が、前記ブレーキ手段が前記第1の位置と第2の位置との間で移動する時に該ブレーキ手段の移動領域を画定する前記ストックの一部と協働し、前記調整手段が前記ロッドの後退量を縮小するため前記領域内に移動可能である部材を備える。
第5の発明では、第4の発明において、前記部材が、前記ブレーキ手段のための移動領域を実質上埋めるように移動可能なナブである。
第6の発明では、第5の発明において、前記ナブが前記ストックと係合する弓形の表面を有する。
第7の発明では、第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記ブレーキ手段が前記ロッドとブレーキをかけるような関係になるように付勢される。
第8の発明では、第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記ロッドが前進又は後退する時に前記キャッチプレートが前記第1の位置及び第2の位置の間に保持されるように、前記ブレーキ手段が前記ロッドと摩擦係合する。
第9の発明では、第1〜第8の発明において、前記調整手段が前記ロッドを取り巻く細長い開口部を含み、前記開口部の形状が、前記ロッドの各々異なる後退量に対応する前記調整手段の位置を画定する移動止めを含む。
第10の発明では、第1〜第9の発明において、前記ブレーキ手段がロックプレートを含む。
【0010】
1つの実施形態では、空動きを実質上ゼロに縮小することができ、その結果従来のディスペンスガンと同様の放出挙動が得られる。駆動ロッドと係合するブレーキ手段は、ガンのストックによって画定される2つの接触表面の間の開口部内に緩く保持され、ナブのようなスペーサを開口部に挿入して開口部内のブレーキ手段の遊びを縮小し、ひいてはブレーキ手段の空動きを縮小することができる。スペーサとブレーキ手段とが一緒になって開口部を実質上埋める時、従来の放出挙動が得られる。スペーサはその側面に、有利にも開口部の対応する表面と係合してロックプレートの円滑な揺動動作を提供する弓形のナブを伴って形成してもよい。
【0011】
ブレーキ手段は、ロックプレートでもよいが、駆動ロッドに連携して配置され手動で解放されるまで本質的に一方向運動を提供するエラストマー部材のような他の形態の摩擦係合も可能である。空動きを縮小又は調整する手段は、第1の位置と第2の位置との間でプレートに沿って上下に摺動するスリーブに提供してもよく、その際スペーサがスリーブの上下動に対応して間隙に挿入され且つそこから取り出される。スリーブは、移動止めを画定するロッドの周囲の成形開口部によって第1の位置及び第2の位置に保持される。ブレーキ手段がロッドによって第1の位置及び第2の位置に保持されるようにプッシュロッドの側面に弾性付勢力を提供するばねのような弾性付勢手段によってプレートを付勢して、ロッドと係合する関係になるようにしてもよい。
【0012】
ブレーキ手段は、ロッド自体の移動によって前進位置と後退位置との間で保持されるように、ロッドと摩擦係合してもよい。
【0013】
実施形態によっては、ロッドが後退可能な量を変更または除去する調整手段をブレーキ手段に取り付けてもよい。例えば、調整手段は、圧力解放が完全にオンになる位置とオフになる位置との間の異なる位置間でブレーキ手段に沿って摺動する。実施形態によっては、調整手段は、空動きを画定するブレーキ手段の遊びを画定する間隙を出入りするように移動可能であることによって空動きを変更する部材を備えてもよい。
【0014】
本発明は様々な方法で実施可能であるが、その一例を添付の図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
通常使用されるカートリッジは、コーキングマスチックのような粘性材料を収容するほぼ円筒形の本体を有する。円筒形の本体は一方の端部で開いており、本体の長さに沿って摺動可能なカップ型ピストンを収容している。カートリッジの反対側の端部はくびれてショルダを形成し、ノズルにつながっている。
【0016】
図1を参照すると、斯かるカートリッジから材料を放出する装置2は、ストック4とカートリッジ保持部(keep)6とを備える。保持部6は2つの細長い平行なサイドフレーム部材8を備える。各部材8の一方の端部は、ストック4に固定されたほぼカップ型の台10と一体化している。サイドフレーム部材8の反対側の端部は、基部に大きな開口を有する環状のほぼカップ型のヨーク部材12に連結される。
【0017】
プッシュロッド14はストック4内に取り付けられ、2つのサイドフレーム部材8と平行な方向にそれらの中間で長手方向移動する。ロッド14の一方の端部には、カートリッジのピストンと係合するプランジャ16が存在する。ロッド14のもう一方の端部はフック18として形成され、フック18はガンを使用しない時に吊り下げることができる手段となり、またロッド14を長手方向移動させるハンドルの役目を果たす。
【0018】
台10はストック4の前方で部材8をブリッジする。台10はカップ型ヨーク部材12と協動して、プッシュロッド14が前進してピストンと係合する前にカートリッジを定位置に保持するクレードルを形成する。
【0019】
ストック4は、大きな中央の横開口部20を有して形成される。開口部の両側には、保持部6内に延びるロッド14を保持する案内孔22及び24が存在する。
【0020】
開口部20内のキャッチプレート26を備える機構によってロッドを増分的に移動させることができ、キャッチプレートはロッド14がすきまばめ(clearance fit)として延びる際通過する開口を有する。
【0021】
キャッチプレート26はトリガ30上の側面間に揺動可能に保持され、ばね28によってロッド14と係合する状態で後方へと付勢される。ロッドは、リベット32によって画定されるストック4内の点を中心に揺動するトリガ30によって前進せしめられる。ストック4は、下向きに延び且つロッド14の軸線にほぼ垂直な一体的な突合せ部分36を有する。トリガ30が押し込まれると、突合せ部分36は概して成形トリガの空洞部分内に入っている。
【0022】
また、図2〜図4を参照すると、トリガに前進方向の力が加えられなくなった時にロッドの後退を阻止できるように、ブレーキ組立体37がロッドに取り付けられる。ブレーキ組立体は、ロッドが延びる際通過するすきま孔を画成するロックプレート38を備える。プレート38は、ストック4上の後方に延びるフランジ42に沿って受けられる上部表面に、舌部48によって形成される上部スロットを有する。プレート38は、プレートの前方のショルダ44の背後の1対の横方向当接部40によってこの位置に緩く保持されている。
【0023】
スロットは、各舌部48がフランジ42の各側面上に配置されるように配設される。舌部48は、ロッド14と協働して、ロックプレート38の横方向及び鉛直方向の位置を決定する。
【0024】
ロッド14の下方のロックプレートの下端50には、圧縮ばね52がロックプレート38とストック4との間に配置されている。以下にさらに詳細に説明するように、ロッドが前進はできても後退はできないように、ばね50はロッドと係合した状態になるようにロックプレート38を付勢する。
【0025】
スリーブ54が、ロックプレート38に沿って摺動できるようにロックプレート38上に配設される。その上端に、スリーブ54は、概してロックプレート38の舌部48にそれぞれ対向するナブ56を有する。図2に示すように、スリーブが低い位置にある時、ナブはショルダ44と当接部40との間の間隙に位置し、舌部48の遊びは実質上存在しない。各ナブ56は、ショルダ44に対するロックプレート38の円滑な揺動動作を可能にする前方を向いた弓形の突起を有する。図4に示すように、スリーブ54が高い位置にある時、ナブ56はショルダ44と対応する当接部40との間から外れる。舌部48は間隙内に緩く保持され、ショルダ44と当接部40との間には遊びが存在する。すなわち、図4に示すように、スリーブ54はロックプレートに対して高い位置に配置することができ、その際ロックプレートは第1位置と第2位置との間で移動できるが、図2及び図3に示すような下向きの位置にあるとき、以下説明するように、この移動は実質上排除される。
【0026】
保持部6、ストック4、及び突合せ部分36は、ガラス繊維入りナイロンの単一の部品として形成してもよい。トリガ30も同じ材料から製造してよい。或いは、マスチックガンは、例えば特許文献1に記載されたように、実質上鋳造または打ち抜き加工した金属部品から製造してもよい。これら3つの部品またはそれらの組み合わせについて何らかの他の適切な剛性材料を使用してもよい。
【0027】
図5及び図6を参照すると、トリガ30を突合せ部分36に対して押し込む時、キャッチプレート26はすでに係合状態にあるので、ロッド14を前進させる。ロッド14は前進するに連れて、ばね52によってロッド14と係合する関係に維持されたロックプレート38を一緒に動かす。図5及び図6に示すようにスリーブ54が上方位置にある時、ロックプレート38は、ショルダ44に衝突するまで、前進するロッド14と共に前方に移動し、ナブ56は頂部においてショルダ44を乗り越える。この位置でロックプレート38の更なる前進直線移動は阻止されるが、ロッドがさらに前進すると、ロックプレート38はショルダ44回りでばね52に対抗してわずかに撓んだ状態となるので、ロッドは自由に前進できる。ロッドが前進すると、ロックプレートは、ばね52の付勢力に対抗するロックプレート38とロッド14との間の摩擦作用によって撓んだ状態に保持される。図5は、トリガ30がストロークの終点位置にあるガン2を示している。
【0028】
図6は、トリガ30が解放された直後の位置にあるガン2を示している。ロッドに対する前進力が解除されるとすぐに、ばね52の付勢力は摩擦力と均衡しなくなるので、ロックプレート38はロッド14との係合状態に押し戻される。トリガ30が解放されると、ばね28はキャッチプレート26に対して作用し、キャッチプレート26を後方の図2に示す静止位置に押し戻す。
【0029】
ロッド14が後方に戻ると、この時点では再びばね52の付勢力の作用によってロッド14と係合しているロックプレート38は、後退しているロッド14と共に当接部40に衝突するまで後方に移動し、この位置でロックプレート内の開口部を画定する縁端がロッドに噛み合うので、ロッド14の更なる後退は阻止される。各ストロークの終点で、ロッド14は、ショルダ44と当接部40との間のスリーブ54の遊びによる空動き又は後退の分だけ後退する。換言すると、この空動きは、ロックプレート38がショルダ44に衝突する際ロッド14がロックプレート38から解放されるが、ロックプレート38が当接部40に衝突する際後退することを阻止されることの結果である。この空動きのため、ロッド14及びプランジャ16は、各ストロークの終点でカートリッジのピストンから後退し、カートリッジ内の圧力を低下させて、放出されるカートリッジ材料の流れを急激に停止させる。
【0030】
図2及び図3に示すようなスリーブ54が低い位置にある別の構成では、ナブ56は、ロックプレート38の舌部46と共に、ショルダ44と当接部40との間の間隙を埋める。この構成では、当接部40とショルダ44との間のロックプレート38の遊びが存在せずロックプレート38はごく僅かに移動した後に実質上即時にロッドに噛み合うので、ロッド14が前方に移動する際のロックプレート38の解放と当接部40と係合するロックプレート38によるロッド14の後退の阻止とはプレート38の実質上同じ長手方向位置で発生する。そして空動きはほぼゼロに縮小され、トリガ30が解放される際のカートリッジ内の圧力が維持される。
【0031】
例えば、ロッド14を後退させてカートリッジを交換するため、ロッド14を解放するには、ロックプレート38を(その下端50で)ばね52に対抗して手動で押し下げればよく、それによって止め具58と当接部40とはロックプレート38をロッド14に対して一定の直立した解放状態に保持する。ばね28がキャッチプレートを係合状態に維持するので、ロッド14が貫通孔24を通過する箇所においてスリーブ60はロッド14周りに配設される。スリーブ60の長さは、ロックプレート38を手動で完全に押し下げた時に、ロックプレート38がスリーブ60をキャッチプレート26に押し付けてロッド14に対して直立した解放状態とし、ロッド14がキャッチプレート26とロックプレート38の双方に対して自由に移動できるように、選択される。
【0032】
図7(a)〜図7(d)を参照して、スリーブ54を更に詳細に説明する。上述したように、ナブ56は、ショルダ44に対する円滑な揺動動作のための表面を提供する丸みのある又は弓形の表面を含んでいる。ロックプレート38はスリーブ内のスロット62に受容され、ロッド14はスリーブ内の開口部64を通過する。
【0033】
開口部64は、スリーブ54がユーザによって移動可能であり且つ上部位置及び下部位置の一方に維持されるような形状である。開口部64は、ロッド14を緩く受け入れるのに十分な大きさの半径を有する第1の円形部分66及び第2の円形部分68を画成する。これらは腰部72で連結される。スリーブ54がロッド上を摺動する際に開口部64の変形を可能にするスロット74が開口部64に隣接している。スロット74と腰部72の寸法とは、開口部64が十分且つ容易に変形して2つの円形部分66、68によって画成される2つの移動止め位置の間でユーザがスリーブを摺動させることができるように設定される。
【0034】
図7(a)において上から見る時、ストック4から離れる方向を向いたスリーブ54の表面はその上端74で切除され、当接部40がロックプレート38と直接接触できるようになっている。同様に、図7(c)において下から見る時、ストックの方向を向いたスリーブ54の表面はその下端76で切除され、止め具58がロックプレート38に直接接触できるようになっている。スリーブは、その側面及び下部上面にリブ付きの表面78を含んでおり、ユーザが親指、他の指またはそれらの組み合わせによってスリーブを操作するための確実なグリップを提供している。
【0035】
上記の説明は本発明の1つの特定の実施形態であって、説明した実施形態に対する多くの修正や変更が当業者に明らかであることが理解されよう。例えば、ストックによって画成される間隙内のロックプレートの遊びを縮小するために挿入されるナブは、開口部内でロックプレートが残した間隙を部分的にだけ占有するような寸法として、空動き又は後退を縮小はしても実質上除去することはせず、ロッドの後退または空動きを除去するのではなく調整又は変更できるようにしてもよい。
【0036】
更なる別の案として、説明したナブを、スリーブの移動の度合に応じて遊びが影響される間隙を徐々に埋める表面、又は間隙を占有する他の手段によって置き換えてもよい。例えば、ナブを、ロックプレートの上部に向かって厚くなるように傾いた傾斜表面によって置き換え、プレートの揺動が可能な斜面上の点に応じて遊びを変更できるようにしてもよい。
【0037】
スペーサは、ロックプレートに固定されるスリーブ以外に取り付けられてもよく、例えば、上述した空動きを変更できるようにスペーサを間隙に取出し可能に導入するようにスペーサが配設されている限り、スペーサはストック自体に揺動可能又は摺動可能に固定された部材に取り付けられてもよい。
【0038】
最後に、例えば特許文献3に記載されているように、ロックプレートをロッドに対して係合状態から解放状態及びその逆に移動させる他の機構も使用可能である。
【0039】
上記の説明は例示のみであって本発明は添付の請求項の範囲によって定義されることが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係るディスペンスガンの側面図を示す。
【図2】圧力解放を無効にした構成のストック部分の側面図を示す。
【図3】圧力解放を無効にした構成のストック部分の透視図を示す。
【図4】圧力解放を有効にした構成のストック部分の透視図を示す。
【図5】トリガストローク終点における圧力解放を有効にしたストック部分の側面図を示す。
【図6】トリガを解放した状態における圧力解放を有効にしたストック部分の側面図を示す。
【図7】ディスペンスガンのロックプレート上に取り付けられるスリーブの上面図(a)、側面図(b)、下面図(c)及び正面図(d)を示す。
【符号の説明】
【0041】
2 ディスペンス装置
4 ストック
6 保持部
14 プッシュロッド
16 プランジャ
26 キャッチプレート
28 ばね
30 トリガ
38 ロックプレート
44 ショルダ
48 舌部
52 圧縮ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性材料を放出するディスペンス装置であって、前記装置が、ストックと、前記ストックから突出する所定量の材料を保持する手段と、前記ストック内に長手方向に移動可能に取り付けられ且つ概して前記保持手段が突出する方向に延びるように配設されたプッシュロッドと、前記ロッドと係合して該ロッドを前進させる手段と、前記ロッドが該ロッドを前記保持手段内に前進させる方向に移動可能であり且つ前記ロッドがカートリッジから後退する方向に保持されるように前記ロッドと係合するブレーキ手段とを具備し、該ブレーキ手段は前記ロッドが前進する時に前記ストックに対して第1の位置に移動し且つ前記ロッドが後退する時に第2の位置に移動して前記ロッドの後退量を画定するように配置される、ディスペンス装置において、
前記ストックと連携して前記ロッドの後退量を変更するように作動可能である調整手段を特徴とする装置。
【請求項2】
前記調整手段が前記ブレーキ手段に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記調整手段が前記ロッドの後退量を変更するために前記ブレーキ手段に対して摺動可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記調整手段が、前記ブレーキ手段が前記第1の位置と第2の位置との間で移動する時に該ブレーキ手段の移動領域を画定する前記ストックの一部と協働し、前記調整手段が前記ロッドの後退量を縮小するため前記領域内に移動可能である部材を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記部材が、前記ブレーキ手段のための移動領域を実質上埋めるように移動可能なナブである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ナブが前記ストックと係合する弓形の表面を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ブレーキ手段が前記ロッドとブレーキをかけるような関係になるように付勢される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ロッドが前進又は後退する時に前記キャッチプレートが前記第1の位置及び第2の位置の間に保持されるように、前記ブレーキ手段が前記ロッドと摩擦係合する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記調整手段が前記ロッドを取り巻く細長い開口部を含み、前記開口部の形状が、前記ロッドの各々異なる後退量に対応する前記調整手段の位置を画定する移動止めを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記ブレーキ手段がロックプレートを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−49338(P2008−49338A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218342(P2007−218342)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(505298629)ピー.シー.コックス リミティド (5)
【Fターム(参考)】