説明

ディスポーザ及びサイフォン排水システム

【課題】水廻り器具の排水口付近で生じる排水の滞留を抑制する。
【解決手段】排水導入管26内の空気が拡縮室30に流入して、袋体28が膨らみ、排水導入管26内の空気が拡縮室30に抜けることができる。これにより、水廻り器具16からの排水は、排水導入管26をほぼ自由落下の速度が流れるため、排水導入管26をスムーズに流れ、水廻り器具16の排水口16A付近の排水の滞留が抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスポーザ及びサイフォン排水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の勾配排水システムに替わって、サイフォン排水システムが提案されている。サイフォン排水システムは、水廻り器具とサイフォン排水管とを含んで構成されている。
サイフォン排水管は、床スラブに沿って無勾配で配管された横引き管と、垂下部をなす竪管とで構成されている。このように構成されたサイフォン排水システムによれば、竪管にて発生するサイフォン力(負圧力)を利用して、水廻り器具からの排水効率の向上を図ることができる。
【0003】
ところで、サイフォン排水システムにおける性能を決めるものとして、排水の処理量と、サイフォン起動時間とがある。
排水の処理量は、サイフォン力が起動した際に毎秒何L排水できるかという数値であり、主に、水廻り器具と横引き管とを接続する排水導入管の長さと、横引き管の長さとによって決まる。
排水の処理量が小さいと、溜め洗いをした際に排水時間が長くかかる。洗い流しでも、排水の処理量があまりにも小さい場合には、蛇口からの水量よりも処理量が下回ると、水廻り器具の排水口から水が溢れてくる。
【0004】
一方、サイフォン起動時間は、排水を開始してからサイフォン力が起動するまでの時間である。サイフォン力が起動すると、一気に流速がアップし、処理量を充分に得るが、サイフォン力起動前は、極端に処理量が小さい。このため、排水開始後のサイフォン力が起動する前に、水廻り器具の排水口から水が溢れる場合があった。
【0005】
これに対して、サイフォン起動時間を早めることを目的として、特許文献1に開示されるサイフォン排水システムが提案されている。
特許文献1に開示されるサイフォン排水システムは、横引き管の垂下直前の位置に、横引き管内の正圧時のエアを逃出する機能を付加したシステムとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−336321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サイフォン起動時間を早めること以外に、排水開始直後や排水の最中に、水廻り器具の排水口付近での排水の滞留が課題となっている。
これは、排水管内にある空気が逃げることができず、この空気が抵抗となってスムーズに排水が排水管内に流入しないことが要因であった。
【0008】
特に、ディスポーザを含んだサイフォン排水システムでは、粉砕物と共に排水を流すものであるから、排水導入管内の下流端部などに粉砕物及び排水が残留しやすく、排水導入管内の空気が下流側に排出されにくい状態となりやすい。そのため、ディスポーザを含んだサイフォン排水システムでは、サイフォン起動時間を早めることも必要であるが、特に、水廻り器具の排水口付近の排水の滞留が問題となっている。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮し、水廻り器具の排水口付近で生じる排水の滞留を抑制できるディスポーザ及びサイフォン排水システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様に係るディスポーザは、水廻り器具から投入された投入物を粉砕してサイフォン力が作用する排水導入管へ流下させるディスポーザ本体と、前記ディスポーザ本体のハウジングに設けられ、前記排水導入管と連通し、空気圧により拡縮する拡縮室と、を備える。
【0011】
一般的にディスポーザは、粉砕物と共に排水を流すものであるから、サイフォン力が発生しても排水導入管内の下流端部などに粉砕物及び排水が残留する場合がある。
これに対して、第1態様の構成では、排水導入管内の下流端部などに溜まった粉砕物や排水などによって、排水導入管内の空気が下流側に排出されにくい状態となった場合でも、水廻り器具からの排水が排水導入管を流れる際に、その排水に押圧される排水導入管内の空気が拡縮室内に流入し、空気圧によって拡縮室が拡大する。これにより、排水導入管内の空気は、拡縮室内へ抜けるので、排水がスムーズに排水導入管を流れて水廻り器具の排水口付近の排水の滞留が抑制できる。
また、拡縮室設置によるディスポーザ全体のサイズ拡大を抑制し、例えばキッチン下の収納スペースを広く使用することができる。
【0012】
本発明の第2態様に係るディスポーザは、前記拡縮室は、前記排水導入管に接続された空気抜き管の排気口に取り付けられた袋体で形成される。
この構成によれば、どのような形状のハウジングでも袋体を納めることができる。
【0013】
本発明の第3態様に係るディスポーザは、前記ディスポーザ本体は、前記水廻り器具の排水口へ接続され、前記排水口へ投入された投入物を粉砕する粉砕部を備え、前記袋体は前記粉砕部を取り囲むハウジング内に設けられている。
この構成によれば、ハウジングが袋体を保護し、外的な力によって袋体が損傷することを防止することができる。
【0014】
本発明の第4態様に係るディスポーザは、前記袋体は、前記ディスポーザ本体のハウジングを取り囲むように前記ハウジングに取り付けられている。
この構成によれば、ハウジング内に袋体を設けるスペースがない場合であっても、袋体をハウジングと一体化させることができる。
また、袋体が外部の空気に曝されるため、確実に拡縮可能となる。
【0015】
本発明の第5態様に係るディスポーザは、前記ハウジングは、前記袋体の一部を構成している。
この構成によれば、袋体の膜体を形成する材料費を低減することができる。
【0016】
本発明の第6態様に係るディスポーザは、前記排水導入管と前記空気抜き管の接続部は、サイフォン起動基準水頭よりも上方に位置している。
ここで、サイフォン起動基準水頭とは、サイフォン力が発生するために必要な最低限の水位であり、このサイフォン起動基準水頭よりも上方で、空気抜き管が排水導入管と接続されているので、拡縮室内に排水導入管から排水が流入しにくい。
【0017】
本発明の第7態様に係るディスポーザは、外部からの空気を前記排水導入管へ通過させると共に前記排水導入管から前記外部へ排水を通過させない通気弁を備える。
この構成によれば、サイフォン力が作用して排水導入管内の排水と共に空気が下流側に引っ張られると、拡縮室内に抜けた空気が排水導入管に流入することになるが、拡縮室内の空気が無くなった後に排水導入管内の空気が下流側に引っ張られた場合でも、通気弁から空気が流入するので、排水導入管内がより負圧となりにくい。
これにより、排水導入管内が負圧となることで生じる問題、例えば、水廻り器具の水封式の排水トラップで空気を吸い込むことで生じる騒音や排水トラップの破封などを解消できる。
【0018】
本発明の第8態様に係るディスポーザは、前記拡縮室から前記排水導入管側へ流入する空気の流入抵抗が、前記通気弁から前記排水導入管側へ流入する空気の流入抵抗よりも小さい。
この構成によれば、拡縮室から排水導入管側へ流入する空気の流入抵抗が、通気弁から排水導入管側へ流入する空気の流入抵抗よりも小さい。すなわち、排水導入管へは、通気弁からよりも拡縮室からのほうが、空気が流入しやすくなる。
このため、サイフォン力が作用して排水導入管内の排水と共に空気が下流側に引っ張られると、拡縮室内に抜けた空気が最初に排水導入管に流入してから、通気弁から空気が流入する。これにより、拡縮室の室内が縮小されて元の状態に戻るので、この後に水廻り器具から排水された場合でも、その排水に押圧される排水導入管内の空気を拡縮室内に抜けることができる。このように、排水が繰り返された場合でも、水廻り器具の排水口付近の排水の滞留が抑制できる。
【0019】
本発明の第9態様に係るディスポーザは、前記通気弁は、上流側が常時開口しており、下流側が開閉可能とされ、かつ自由状態では閉じている自封式の排水トラップである。
この構成によれば、通気弁と排水トラップとが兼用となるので、部品点数が低減できる。
【0020】
本発明の第10態様に係るディスポーザは、前記通気弁は、前記ディスポーザ本体のハウジング内に設けられている。
この構成によれば、通気弁設置によるディスポーザ全体のサイズ拡大を抑制し、例えばキッチン下の収納スペースを広く使用することができる。
【0021】
本発明の第11態様に係るサイフォン排水システムは、水廻り器具から投入された投入物を粉砕し、その粉砕物を排水と共に流下可能にするディスポーザと、前記ディスポーザと連通し、前記ディスポーザからの排水を下方へ流す排水導入管と、前記ディスポーザのハウジングに設けられ、前記排水導入管と連通し、空気圧により拡縮する拡縮室と、前記排水導入管と連通して横方向へ延び、前記排水導入管からの排水を横方向へ流す横引き管と、前記横引き管と連通して下方へ延び、前記横引き管からの排水を流下させることによりサイフォン力を発生させる竪管と、を備える。
【0022】
この構成によれば、水廻り器具からの排水は、ディスポーザを通った後、排水導入管内を下方へ流れる。排水導入管内を下方へ流れた排水は、さらに、横引き管内を横方向へ流れる。次いで、排水は、竪管を流下してサイフォン力が発生する。このサイフォン力により、排水導入管内、横引き管内及び竪管内の排水が誘導され、その排水が促進される。
ここで、第12態様の構成では、排水導入管内の下流端部などに溜まった排水などによって、排水導入管内の空気が下流側に排出されにくい状態となった場合でも、水廻り器具からの排水が排水導入管を流れる際に、その排水に押圧される排水導入管内の空気が拡縮室内に抜けるので、排水がスムーズに排水導入管を流れる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上記構成としたので、水廻り器具の排水口付近で生じる排水の滞留を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係るサイフォン排水システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るディスポーザの一部断面斜視図である。
【図3】排水導入管のR管及び横引き管の上流端部に排水が滞留する様子を示した概略図である。
【図4】水廻り器具から排水が開始された状態を示す概略図である。
【図5】排水導入管内の空気が拡縮室に流入した状態を示す概略図である。
【図6】排水導入管内を流れた排水が、横引き管を流れ、竪管を流下してサイフォン力が作用し始めた状態を示す概略図である。
【図7】拡縮室内の空気が排水導入管に流入した状態を示す概略図である。
【図8】通気弁を通じて排水導入管に空気が流入した状態を示す概略図である。
【図9】水廻り器具において洗い流しがなされた場合における排水導入管内の圧力変動と、その圧力変動に伴う袋部材の状態変化及び通気弁の通気状態を示した図である。
【図10】自封式の排水トラップを通気弁として用いた変形例を示す概略図である。
【図11】自封式の排水トラップの構成を示す概略図である。
【図12】自封式の排水トラップの構成を示す断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るディスポーザを示す概略図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係るディスポーザにおいて、袋体が膨出状態となった様子を示す図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係るディスポーザを示す概略図である。
【図16】拡縮室を形成する形成部材として、蛇腹状の側壁を有する蛇腹状部材を用いた構成を示す概略図である。
【図17】図16に示す蛇腹状部材が伸長した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るディスポーザ及び排水システムについて図面に基づき説明する。
【0026】
−サイフォン排水システムの構成−
まず、第1実施形態に係るサイフォン排水システムの構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るサイフォン排水システムの全体構成を示す概略図である。
【0027】
第1実施形態に係るサイフォン排水システム10は、サイフォン力を利用して水廻り器具からの排水を効率よく排出する排水システムである。第1実施形態では、サイフォン排水システムを、複数階で構成された集合住宅に用いた例について説明する。
【0028】
図1に示すように、サイフォン排水システム10は、排水を下方へ流す排水立て管12を備えている。この排水立て管12は、集合住宅の上下方向(縦方向)に延設され、集合住宅の各階の床スラブ14を貫いている。
集合住宅の各階の各戸には、排水がなされる水廻り器具16が設けられている。水廻り器具16は、例えば台所流しで構成されている。
【0029】
この水廻り器具16には、当該水廻り器具16から下方に延び、水廻り器具16からの排水を下方へ流すディスポーザ18が設けられている。
このディスポーザ18は、ディスポーザ本体20と、排水トラップ22と、空気抜き管24と、排水導入管26と、袋体28と、を含んで構成される。
【0030】
ディスポーザ本体20は、水廻り器具16に固定されており、水廻り器具16の排水口16Aに投入された生ゴミ等の投入物を粉砕し、その粉砕物を排水と共に流下可能にするものである。このディスポーザ本体20には、汚臭やガス等の逆流を防止するための排水トラップ22の一端部(上流端部)が接続されている。排水トラップ22は、いわゆるSトラップで構成されている。
【0031】
また、ディスポーザ本体20の内部には、膜体で形成された袋体28が設けられている。
袋体28は、袋体28の開口28Aが空気抜き管24の排気口24Aに合わさるように、排気口24Aに取り付けられており、この袋体28で拡縮室30が形成されている。袋体28としては、伸縮自在に弾性材料で形成されたもの等を用いることができ、材質としては、例えば、ゴム、ビニル又はゴム以外のエラストマー等を用いることができる。袋体28は、内部の拡縮室30に空気が流入することにより、膨出した膨出状態となり、内部の拡縮室30から空気が流出することにより、扁平となった扁平状態となる。
拡縮室30は、空気圧により室内が拡縮可能な密閉空間とされ、水廻り器具16からの排水によって押圧された排水導入管26内の空気が流出可能とされている。
【0032】
空気抜き管24は、排水導入管26の上部と一端部(上流端部)が連通し、他端部(下流端部)がディスポーザ本体20内に延出されると共に拡縮室30と連通している。ここで、空気抜き管24と排水導入管26の接続部25は、サイフォン起動基準水頭よりも上方に位置している。このため、サイフォン力が早く起動し、拡縮室30内に排水導入管26から排水が流入しにくい。なお、図中には、サイフォン起動基準水頭を符号Hisにて示している。
ここで、サイフォン起動基準水頭Hisとは、サイフォン力が発生するために必要な最低限の水位である。これは、サイフォン排水管34中への水の押し込みの圧力としてある程度の圧力が必要で、この圧力が得られる水位にならないと、どれだけ時間が経過してもサイフォン力が発生しないという現象に基づくものである。
【0033】
また、空気抜き管24は、中間部が屈曲してL字状に形成されており、排水導入管26に接続され当該排水導入管26から上方に延びる縦管24Bと、縦管24Bから横方向に延びる横管24Cとで構成されている。
【0034】
縦管24Bが接続される排水導入管26は、縦管24Bとの接続部付近の一端部(上流端部)が排水トラップ22の下流端部に接続され、他端部(下流端部)がサイフォン排水管34に接続されており、ディスポーザ本体20からの、粉砕物を含んだ排水をサイフォン排水管34へ流すものである。
【0035】
この排水導入管26は、排水トラップ22及び空気抜き管24に接続される上下方向(縦方向)に延びる垂直管26Aを有している。
垂直管26Aには、外部からの空気を排水導入管26へ通過させると共に排水導入管26から外部へ排水を通過させない通気弁32が設けられている。
【0036】
そして、拡縮室30から排水導入管26側へ流入する空気の流入抵抗が、通気弁32から排水導入管26側へ流入する空気の流入抵抗よりも小さくなっている。すなわち、排水導入管26へは、通気弁32からよりも拡縮室30からのほうが、空気が流入しやすくなっている。
この空気の流入しやすさは、例えば、拡縮室30を形成する形成部材の柔軟性が高くして、拡縮室30が拡縮しやすくすることにより調整できる。また、形成部材として、ゴムなどの弾性変形するものを用いて、拡大した拡縮室30を縮小しようとする復元力を発揮させることで、さらに、拡縮室30から排水導入管26に空気が流入しやすくなる。
また、拡縮室30と排水導入管26との間の経路における流通抵抗によっても、流入抵抗を調整可能となる。例えば、その経路の流路幅が広くすること及び流路長さが短くすることで流通抵抗を小さくし、拡縮室30から排水導入管26に空気が流入しやすくすることができる。
【0037】
また、排水導入管26は、上流端部が垂直管26Aと接続され、下流端部がサイフォン排水管34と接続されるR状のR管26Bを有している。
R管26Bに接続されるサイフォン排水管34は、床スラブ14上に無勾配で設置され排水導入管26と連通して横方向に延びる横引き管36と、この横引き管36と連通して排水立て管12に沿って下方へ延びる竪管38と、を有している。
竪管38は、排水立て管12に配置された合流継手40に接続されており、合流継手40を介して排水立て管12と連通している。
【0038】
横引き管36及び竪管38は、一つの経路で構成される排水管で構成され、サイフォン排水管34内では、排水立て管12までは他の排水管と途中で合流することなく、排水立て管12へ排水を導くようになっている。
【0039】
横引き管36は、排水導入管26からの排水を横方向へ流し、竪管38は、横引き管36からの排水を流下させることによりサイフォン力を発生させる。横引き管36内の排水には、竪管38で発生したサイフォン力により引っ張られることで、排出方向へ向かうサイフォン力が作用される。
【0040】
また、横引き管36及び竪管38は細くなれば、排水が満水の状態になりサイフォン力が発生しやすい一方、排水処理量が低下する。従って、横引き管36及び竪管38は、サイフォン力の発生のしやすさ及び必要な排水処理量を考慮した上で管の内径が設定され、例えば、20Aにされている。
【0041】
次に、本発明の第1実施形態に係るディスポーザ18の本体内部をより詳細に説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るディスポーザの一部断面斜視図である。
【0042】
第1実施形態に係るディスポーザ18は、上述したようにディスポーザ本体20と、排水トラップ22と、空気抜き管24と、排水導入管26と、袋体28と、を含んで構成され、当該袋体28がディスポーザ本体20に内蔵されている。
【0043】
ディスポーザ本体20は、例えばグラインダー型の装置からなり、厨房設備に設けられた水廻り器具16の裏面側に設置される。ディスポーザ本体20は筒状を成し、生ごみ等が投入される粉砕部50を有する。粉砕部50の上端が取り付け手段52(鎖線図示)を介して水廻り器具16の投入開口部(排水口)16Aに嵌合固定される。この取り付け手段52は、フランジ52Aを有し、このフランジ52Aが水廻り器具16に取り付け固定され、粉砕部50はこのフランジ52Aを介して水廻り器具16に固定される。これにより、水廻り器具16の投入開口部16Aと粉砕部50の投入開口部50Aが接続される。
【0044】
粉砕部50には、破砕ユニット54が装着されている。
破砕ユニット54は、複数の破砕刃で構成され、この例では5つの破砕刃が積層されて構成される。つまり第1回転破砕刃54A、第1固定破砕刃54B、第2回転破砕刃54C、第2固定破砕刃54D及び第3回転破砕刃54Eが、これらの順で積層されて破砕ユニット54が構成される。
【0045】
第1回転破砕刃54A、第1固定破砕刃54B、第2回転破砕刃54C、第2固定破砕刃54D及び第3回転破砕刃54Eは、上下の間隔がほとんど無い状態で重なるように寸法設定してあり、破砕された生ごみが破砕刃の上下の隙間に入り込んで破砕ユニット4内に残ることが無いようにしている。
【0046】
最下段にある第3回転破砕刃54Eの中心部には、回転駆動軸56が第3回転破砕刃54Eを構成する円盤と一体形成される。回転駆動軸56は、第1回転破砕刃54A及び第2回転破砕刃54Cに対しては回転的に一体となり、第1固定破砕刃54B及び第2固定破砕刃54Eに対しては回転的にフリーとなるような形状となされている。
【0047】
粉砕部50を取り囲むハウジング58は、水廻り器具16に対する取り付け固定用の筐体となっており、ハウジング58の内部空間60は、外部と連通して空気が出入り可能となっている。
【0048】
ハウジング58の内部空間60には、上述した袋体28が設けられている。この袋体28は、ハウジング58を貫通し、粉砕部50とハウジング58との間の隙間を通って、内部空間60まで延出した空気抜き管24の横管24Cに接続されている。
ここで、内部空間60は外部と連通しているため、袋体28が拡縮する際に、内部空間60にある空気が外部へ流出し又は外部にある空気が内部空間60に流入して、内部空間60内の空気圧の変動を抑制でき、袋体28が確実に拡縮可能となる。
また、ハウジング58が袋体28を保護し、外的な力によって袋体28が損傷することを防止することができる。さらに、袋体28がバランスの安定したディスポーザ本体20のハウジング58内に設けられているので、サイフォン排水システム10全体のバランスを安定に保つことができる。さらにまた、拡縮室30の設置によるディスポーザ18全体のサイズ拡大を抑制し、例えばキッチン下の収納スペースを広く使用することができる。
【0049】
なお、内部空間60には、図示はしないが他にも、駆動手段としての駆動モーターや減速ユニットが設置されている。駆動モーターは減速ユニットを介して破砕ユニット54の回転破砕刃を回転駆動する。
【0050】
粉砕部50の周面下部には、排水管接続口(排水口)62が設けられ、この排水管接続口62に排水トラップ22が接続されている。粉砕部50には、この排水管接続口62へ向かって傾斜した底板64が設けられ、底板64の中心部は不図示の減速ユニットの駆動軸を受ける軸受部となっている。
【0051】
−サイフォン排水システムの作用−
次に、本発明の第1実施形態に係るディスポーザ18を含んだサイフォン排水システム10の作用を説明する。
第1実施形態に係るサイフォン排水システム10の構成によれば、図1に示すように、水廻り器具16からの排水は、排水導入管26内を下方へ満流状態で流れる。排水導入管26内を下方へ流れた排水は、さらに、横引き管36内を横方向へ満流状態で流れる。
【0052】
次いで、排水は、竪管38を満流状態で流下し、竪管38における落下エネルギーにより、サイフォン力が発生する。このサイフォン力により、排水導入管26、横引き管36及び竪管38内の排水が誘導され、その排水が促進される。
このため、竪管38側へ下る下り勾配が横引き管36になくとも、逆に若干の逆勾配があったとしても、サイフォン力により排水を導くことができる。
【0053】
ここで、サイフォン排水システム10において、排水がなされた場合では、勾配がなく、小口径であるために、図3(A)に示すように、排水導入管26の垂直管26Aを流れる排水は、図3(B)に示すように、排水導入管26のR管26B及び横引き管36の上流端部に溜りはじめ、図3(C)に示すように、排水導入管26のR管26B及び横引き管36の上流端部を塞いでしまう場合がある。
また、第1実施形態のように、サイフォン排水システム10にディスポーザ18を設けた構成においては、粉砕物と共に排水を流すものであるから、排水導入管26内のR管26Bなどに粉砕物及び排水が残留しやすく、排水導入管26内の空気が下流側に排出されにくい状態となりやすい。
【0054】
このように、排水導入管26内の下流端部や横引き管36の上流端部などに排水などが溜まった場合において、図4に示すように、水廻り器具16から排水がなされると、排水導入管26が正圧となり、水廻り器具16からの排水に押圧される排水導入管26内の空気が空気抜き管24を介して拡縮室30に流入し始める。
【0055】
排水導入管26内の空気が拡縮室30に流入して、図5に示すように、袋体28が膨出状態となり、排水導入管26内の空気が拡縮室30に抜ける。
これにより、水廻り器具16からの排水は、排水導入管26をほぼ自由落下の速度が流れるため、排水導入管26をスムーズに流れ、水廻り器具16の排水口16A付近の排水の滞留が抑制できる。
【0056】
また、図3に示すように、排水導入管26のR管26B及び横引き管36の上流端部が排水で塞がれることで、水廻り器具16の排水トラップ22との間、つまり、排水導入管26内で空気が閉じ込められるため、排水導入管26に拡縮室30が連通される第1実施形態の構成によれば、横引き管36の中間部分や横引き管36の下流端部で拡縮室30を連通させる構成に比較して、排水の抵抗となる空気を効率よく抜くことが可能となる。
【0057】
また、水廻り器具16からの排水が、排水導入管26をほぼ自由落下の速度で流れるため、横引き管36に勢いよく排水が流入するので、竪管38まで排水が早く達し、サイフォンの起動が早くなる。
また、第1実施形態の構成では、拡縮室30に空気が流入しても、拡縮室30は、密閉された空間であるので、汚臭等が外部に漏れない。
【0058】
また、第1実施形態の構成では、サイフォン起動基準水頭よりも上方で、拡縮室30が排水導入管26と連通しているので、拡縮室30内に排水導入管26から排水が流入しにくい。
また、第1実施形態の構成によれば、空気抜き管24は、上方に延出された他端部が拡縮室30と連通するので、拡縮室30内に排水導入管26から排水がより流入しにくい。
【0059】
また、図6に示すように、洗い流しの場合、排水導入管26内を流れた排水が、横引き管36を流れ、竪管38を流下してサイフォン力が作用すると、排水導入管26内の排水と共に空気が下流側に引っ張られ、図7に示すように、拡縮室30内に抜けた空気が排水導入管26に流入し、袋体28が扁平状態となる。
【0060】
さらに、図8に示すように、拡縮室30内の空気が無くなった後に排水導入管26内の空気が下流側に引っ張られた場合では、通気弁32から空気が流入する。図8に示す例では、具体的には、排水導入管26のうち、通気弁32よりも下流側の下流管部26Yは負圧のままで、通気弁32よりも上流側の上流管部26Xが、無圧又は若干の負圧(下流管部26Yにおける負圧よりも小さい)の状態になる。
これにより、排水導入管26内(図8に示す例では、上流管部26X内)が負圧となることで生じる問題、例えば、水廻り器具16の水封式の排水トラップで空気を吸い込むことで生じる騒音や排水トラップの破封などを解消できる。
【0061】
図9は、水廻り器具16において洗い流しがなされた場合における排水導入管26内の圧力変動と、その圧力変動に伴う袋体28の状態変化及び通気弁32の通気状態を示したものである。図9中の矢印Aは、袋体28が膨出状態にあることを示し、矢印Bは、袋体28が扁平状態にあることを示し、矢印Cは、通気弁32が通気状態にあることを示す。
【0062】
水廻り器具16において洗い流しがなされると、サイフォン力が起動するまでの時間において、排水導入管26内が正圧となり、また、サイフォン力が起動した後は、不定期にサイフォン力がきれた際に瞬間的に排水導入管26内が正圧となる。排水導入管26内が正圧となった場合に、袋体28が膨出状態となる。排水導入管26内が正圧となる時間は、限られているので、袋体28のように拡縮室30の容量が限られているものでも対応可能である。
【0063】
一方、サイフォン力が起動してサイフォン力が作用している間は、排水導入管26内は、負圧となる。排水導入管26内が負圧となった場合には、袋体28が扁平状態となる。
排水導入管26内が負圧となる時間は、排水導入管26内が正圧となる時間よりも長いため、袋体28のように拡縮室30の容量が限られているものだけでなく、第1実施形態のように、排水導入管26に空気を流入可能な通気弁32が設けられていることが望ましい。
【0064】
また、排水導入管26内の正圧と負圧とは繰り返されるので、第1実施形態のように、拡縮室30内に抜けた空気が最初に排水導入管26に流入してから、通気弁32から空気が流入することにより、正圧となったときに拡縮室30の室内が縮小されて元の状態に戻っていることが望ましい。具体的には、拡縮室30から排水導入管26側へ流入する空気の流入抵抗が、通気弁32から排水導入管26側へ流入する空気の流入抵抗よりも小さくなっていることが望ましい。仮に、拡縮室30から排水導入管26側へ流入する空気の流入抵抗が、通気弁32から排水導入管26側へ流入する空気の流入抵抗よりも高くなっていると、ずっと通気弁32から通気して、袋体28が膨らみ続け、最終的には最大限に膨出状態となってしまい、これ以上、空気が拡縮室30へ抜けなくなって機能しなくなる。
拡縮室30の室内が縮小されて元の状態に戻っていれば、負圧となった後に再び正圧となった場合でも、その排水に押圧される排水導入管26内の空気を拡縮室30内に抜け、水廻り器具16の排水口16A付近の排水の滞留が効果的に抑制できる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るディスポーザ及びサイフォン排水システムについて、図10〜図12を用いて説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係るディスポーザ及びサイフォン排水システムを示す概略図である。図11は、自封式の排水トラップの構成を示す概略図である。図12は、自封式の排水トラップの構成を示す断面図である。
【0066】
第2実施形態に係るサイフォン排水システム68は、第1実施形態のディスポーザ18と比較して、排水トラップ及び通気弁の構成と、ディスポーザ本体と排水導入管との接続位置が異なるディスポーザ70を有している。
すなわち、ディスポーザ70は、自封式の排水トラップを通気弁72として用いる構成であり、またディスポーザ本体74と排水導入管76とが縦方向において接続される。
図10に示す構成では、水廻り器具16には、通気弁72として用いられる自封式の排水トラップの一例としてのメンブレンバルブ72が設けられている。このメンブレンバルブ72は、弾性材料で筒状に形成され、上流側が常時開口しており、下流側が開閉可能とされ、かつ自由状態では閉じている。
【0067】
また、メンブレンバルブ72は、排水導入管76に沿って縦方向に取り付けられており、上流端部72Aが上側に配置され、下流端部72Bが下側に配置されている。
メンブレンバルブ72は、ゴム等の弾性体からなる筒状の成形品であり、自由状態では、上流端部72A側は、図10(A)、図11(A)及び図12(A)に示すように、円形に形成されて開口しているが、図12に示すように、下流端部72Bへ向かうにしたがって徐々に潰された形状に形成され、中間部では断面が楕円形とされ、下流端部72Bでは図11(B)に示すように、軸方向から見て直線状となって互いに対向する内周面が接触して開口が閉じた状態となっている。
【0068】
下流端部72Bは、開口が開閉可能に閉じており、メンブレンバルブ72に排水が流入していないときであって、排水導入管76が負圧となっていないときに開口が閉じた状態で維持されるように癖付けられる。
また、下流端部72Bは、メンブレンバルブ72に排水が流入したとき及び排水導入管26内が負圧となったときに、図10(B)、図11(C)及び図12(B)に示すように、その圧力で開口するようになっている。
【0069】
以上、本発明の第2実施形態に係るディスポーザ70及び排水システム68の構成によれば、通気弁と排水トラップとが兼用となるので、部品点数が低減できる。
【0070】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るディスポーザ及びサイフォン排水システムについて、図13〜図14を用いて説明する。
図13は、本発明の第3実施形態に係るディスポーザを示す概略図である。
図14は、本発明の第3実施形態に係るディスポーザにおいて、袋体が膨出状態となった様子を示す図である。
【0071】
本発明の第3実施形態に係るサイフォン排水システムは、第1実施形態のディスポーザ18と比較して、ディスポーザ本体の構成と、袋体の位置とが異なるディスポーザ80を有している。
【0072】
具体的には、ディスポーザ80は、水廻り器具16に固定され、水廻り器具16から下方に延びるディスポーザ本体82を有している。
このディスポーザ本体82は、水廻り器具16の排水口16Aに接続される投入開口部80Aを有している。投入開口部80Aに連通する粉砕部84には、粉砕機構86が備えられ、粉砕部84の下方に粉砕機構86を駆動するモーター88と排水通路90が設けられ、排水通路90の下方に排水トラップ92が設けられる。モーター88は上方に突出する駆動軸94が設けられ、駆動軸94は粉砕機構86を駆動する。排水トラップ92は、立ち上がり管92Aと不図示の排水導入管の上部を覆い下端が封水92Bに進入する椀状体92Cとから構成される。
【0073】
排水トラップ92の下方には、付図示の排水導入管に接続される管接続部96が設けられている。管接続部96には、排水等が流れる上流側の開口部96Aと下流側の開口部96Bの他に、空気を通す空気抜き開口部96Cが設けられている。
【0074】
また、ディスポーザ80は、空気抜き開口部96Cと連通した袋体98を有する。袋体98は、ディスポーザ本体82のハウジング96の下部周囲を取り囲むようにハウジング96に取り付けられている。この袋体98は、膜体で構成されているが、一部はハウジング96によって構成されている。
【0075】
袋体98の内部には、拡縮室100が形成されている。拡縮室100は、袋体98の内壁で構成され、空気圧により室内が拡縮可能な密閉空間とされ、水廻り器具16からの排水によって押圧された不図示の排水導入管内の空気が流出可能とされている。したがって、袋体98は、内部の拡縮室100に空気が流入することにより、膨出した膨出状態となり(図14参照)、内部の拡縮室100から空気が流出することにより、扁平となった扁平状態となる(図13参照)。
【0076】
以上、本発明の第3実施形態に係るディスポーザ80の構成によれば、袋体98がディスポーザ本体82のハウジング96を取り囲むようにハウジング96に取り付けられているため、ハウジング96内に袋体98を設けるスペースがない場合であっても、袋体98をハウジング96と一体化させることができる。
さらに、ハウジング96が袋体98の一部を構成しているため、袋体98の膜体を形成する材料費を低減することができる。
さらにまた、袋体98は、管接続部96の空気抜き開口部96Cと直接連通しているので、第1実施形態の構成に比べ、空気抜き管24が不要となり、部品点数を少なくしつつ、水廻り器具16の排水口16A付近で生じる排水の滞留を抑制できる。
【0077】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るディスポーザ及びサイフォン排水システムについて、図15を用いて説明する。
図15は、本発明の第4実施形態に係るディスポーザを示す概略図である。
【0078】
本発明の第4実施形態に係るサイフォン排水システムは、第3実施形態のディスポーザ80の構成において、袋体の構成を変え、通気弁を追加したディスポーザ112を有する。
【0079】
具体的には、ディスポーザ112は、ディスポーザ本体82のハウジング96内に内蔵された袋体112を有している。なお、この袋体112は、排水通路90とは異なる位置に内蔵されているので、排水や粉砕物等によって損傷することはない。
袋体112の内部には、拡縮室114が形成されている。拡縮室114は、袋体112の内壁で構成され、空気圧により室内が拡縮可能な密閉空間とされている。袋体112の空気抜き管116が接続されており、空気抜き管116は、ディスポーザ本体82における管接続部96の空気抜き開口部96Cに接続されている。これにより、水廻り器具16からの排水によって押圧された不図示の排水導入管内の空気が拡縮室114内に流出可能とされている。
また、空気抜き管116は、ハウジング96に取り付けられており、空気抜き管116の一部は、ハウジング96の一部で構成されている。空気抜き管116の中間部には、通気弁118が設けられており、通気弁118は、外部からの空気を不図示の排水導入管へ通過させると共に排水導入管から外部へ排水を通過させない構成である。
【0080】
以上、本発明の第4実施形態に係るディスポーザ112の構成によれば、空気抜き管116がハウジング96に取り付けられているため、空気抜き管116のバランスが安定する。また、空気抜き管116の一部がハウジング96の一部で構成するため、空気抜き管116を形成する材料費を低減することができる。
【0081】
(変形例)
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【0082】
例えば、上述したサイフォン排水システムは、集合住宅に用いる場合を説明したが、集合住宅以外の戸建て住宅や工場等にも用いることができる。
【0083】
また、水廻り器具16は、台所流しで構成されている場合を説明したが、洗面台、洗濯機、ユニットバス及びトイレ等のいずれかで構成されていてもよい。
さらに、第1実施形態では、排水トラップ22としてSトラップを用いているが、第3実施形態のような碗トラップ92や不図示のPトラップなど他のトラップを用いてもよい。第2〜第4実施形態も同様に、他のトラップを用いることができる。
【0084】
さらにまた、横引き管36は、若干の勾配や逆勾配があってもよく、傾斜して横方向に配置される構成であってもよい。
また、空気抜き管24の垂直管24Bは、縦方向に伸びている必要は無く、若干斜めに傾いていてもよい。また、空気抜き管24の形状は、中間部が屈曲してL字状に形成されている場合を説明したが、特に限定されるものではなく、例えば直線状のものなどであってもよい。
【0085】
さらに、袋体28、120の一部は、第3実施形態のように、ハウジング58の内壁で構成されるようにしても良い。
【0086】
さらにまた、拡縮室30を形成する形成部材としては、袋体28に限られず、種々の部材を用いることが可能である。形成部材としては、例えば、ピストンが往復移動可能に設けられたシリンダで構成してもよい。この構成では、ピストンが往復移動することにより、シリンダの内部に形成される拡縮室が拡縮する。
【0087】
また、形成部材としては、図16に示すように、蛇腹状にされた側壁120Aを有する筒状の蛇腹状部材120であっても良い。蛇腹状部材120は、一端部が閉鎖され、他端部が開放され、この開放端部が空気抜き管24と連通している。蛇腹状部材120は、蛇腹状の側壁120Aが伸縮可能とされており、図17に示すように側壁120Aが伸長することにより、拡縮室122が拡大され、図4に示すように側壁120Aが縮むことにより、拡縮室122が縮小される。
【0088】
さらに、空気抜き管24の上流端部は、排水導入管26の下部に接続されていても良い。さらにまた、空気抜き管24の上流端部は、排水導入管26のR管26Bに接続されていても良いし、サイフォン起動基準水頭Hisよりも下方で排水導入管26に接続されていても良い。
【0089】
また、第1及び第4実施形態の通気弁32、118としては、第2実施形態のメンブレンバルブなどのように弾性体を用いたものや、ボール式逆止弁など、種々の機械要素により構成された逆止弁を用いることもできる。通気弁32は、排水導入管26ではなく、第4実施形態のように空気抜き管24に配置される構成であってもよい。さらに、サイフォン排水システム10としては、通気弁32を有さない構成であってもよい。
【0090】
さらにまた、通気弁32、118は、ディスポーザ本体20、82のハウジング内58、96に設けられるようにしても良い。この構成によれば、通気弁設置によるディスポーザ全体のサイズ拡大を抑制し、例えばキッチン下の収納スペースを広く使用することができる。
【0091】
また、第1実施形態で説明した図2に示すディスポーザの構成は、本発明に係る構成以外は一例であり、本発明は他の様々なディスポーザにも適用が可能である。
【符号の説明】
【0092】
10、68 サイフォン排水システム
16 水廻り器具
16A 排水口
18、70、80、112 ディスポーザ
20、74、82 ディスポーザ本体
22、92 排水トラップ
24、116 空気抜き管
24A 排気口
26、76 排水導入管
25 接続部
28、98、112 袋体
30、100、114、122 拡縮室
32、72、118 通気弁
36 横引き管
38 竪管
50、84 粉砕部
58、96 ハウジング
72 メンブレンバルブ(自封式の排水トラップの一例)
120 蛇腹状部材(袋体の一例)
His サイフォン起動基準水頭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水廻り器具から投入された投入物を粉砕してサイフォン力が作用する排水導入管へ流下させるディスポーザ本体と、
前記ディスポーザ本体のハウジングに設けられ、前記排水導入管と連通し、空気圧により拡縮する拡縮室と、
を備えるディスポーザ。
【請求項2】
前記拡縮室は、前記排水導入管に接続された空気抜き管の排気口に取り付けられた袋体で形成される請求項1に記載のディスポーザ。
【請求項3】
前記ディスポーザ本体は、前記水廻り器具の排水口へ接続され、前記排水口へ投入された投入物を粉砕する粉砕部を備え、前記袋体は前記粉砕部を取り囲むハウジング内に設けられている請求項2に記載のディスポーザ。
【請求項4】
前記袋体は、前記ディスポーザ本体のハウジングを取り囲むように前記ハウジングに取り付けられている請求項2に記載のディスポーザ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記袋体の一部を構成している請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のディスポーザ。
【請求項6】
前記排水導入管と前記空気抜き管の接続部は、サイフォン起動基準水頭よりも上方に位置している請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載のディスポーザ。
【請求項7】
外部からの空気を前記排水導入管へ通過させると共に前記排水導入管から前記外部へ排水を通過させない通気弁を備える請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のディスポーザ。
【請求項8】
前記拡縮室から前記排水導入管側へ流入する空気の流入抵抗が、前記通気弁から前記排水導入管側へ流入する空気の流入抵抗よりも小さい請求項7に記載のディスポーザ。
【請求項9】
前記通気弁は、上流側が常時開口しており、下流側が開閉可能とされ、かつ自由状態では閉じている自封式の排水トラップである請求項7又は請求項8に記載のディスポーザ。
【請求項10】
前記通気弁は、前記ディスポーザ本体のハウジング内に設けられている請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載のディスポーザ。
【請求項11】
水廻り器具から投入された投入物を粉砕し、その粉砕物を排水と共に流下可能にするディスポーザと、
前記ディスポーザと連通し、前記ディスポーザからの排水を下方へ流す排水導入管と、
前記ディスポーザのハウジングに設けられ、前記排水導入管と連通し、空気圧により拡縮する拡縮室と、
前記排水導入管と連通して横方向へ延び、前記排水導入管からの排水を横方向へ流す横引き管と、
前記横引き管と連通して下方へ延び、前記横引き管からの排水を流下させることによりサイフォン力を発生させる竪管と、
を備えるサイフォン排水システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−147878(P2011−147878A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10809(P2010−10809)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】