ディップスティック検定における改良型結合相互作用
【課題】試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティックの提供。
【解決手段】ディップスティックは、試料溶液を接触させるための接触端、ならびに捕捉プローブが固定される接触端から遠く離れた捕捉帯を含む。捕捉プローブは、標的核酸とハイブリダイズし得る。試料溶液は、ディップスティックの接触端と接触され、そして毛管作用により捕捉帯に移動する。標的核酸が試料溶液中に存在する場合、それは捕捉され、捕捉帯で検出され得る。捕捉プローブは、スペーサーにより捕捉帯に固定される。スペーサーの使用は、捕捉プローブと標的核酸との間の相互作用の安定性を増大し、したがって標的核酸検出の感度を改良する。スペーサーを伴う検出プローブも提供される。
【解決手段】ディップスティックは、試料溶液を接触させるための接触端、ならびに捕捉プローブが固定される接触端から遠く離れた捕捉帯を含む。捕捉プローブは、標的核酸とハイブリダイズし得る。試料溶液は、ディップスティックの接触端と接触され、そして毛管作用により捕捉帯に移動する。標的核酸が試料溶液中に存在する場合、それは捕捉され、捕捉帯で検出され得る。捕捉プローブは、スペーサーにより捕捉帯に固定される。スペーサーの使用は、捕捉プローブと標的核酸との間の相互作用の安定性を増大し、したがって標的核酸検出の感度を改良する。スペーサーを伴う検出プローブも提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディップスティックによる核酸検出強化に関する。本発明のディップスティックは、例えばクラミジア属細菌のトラコーマクラミジアChlamydia trachomatisのような病原性微生物に患者が感染しているか否かを同定するために、試料溶液中の標的核酸の存在を検出するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
試料溶液中の標的核酸の存在を検出するためのいくつかの慣用的試験は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた標的核酸の増幅によっている。この反応は少量の標的核酸の検出を可能にする一方、それは結果が得られる前に数時間を要する。これは、例えば患者の待ち時間を最小限にするために、しばしばできるだけ速く結果を得ることが望ましいため、有意の欠点を有し得る。このような方法のさらなる欠点は、反応を実施するための高価な専門家装備および相対的に高価な試薬に対する要件である。
【0003】
これに対照するものとして、ディップスティックは、任意の専門家装備を必要とせずに非増幅化標的核酸を検出し得るし、結果は、PCRベースの方法よりはるかに迅速に得られる。その場合、患者は同一来院で治療され得る。これは、患者が後日戻ってくる見込みはありそうもなく、またはそれはできない場合に特に有益である。
【0004】
米国特許第5,310,650号に記載された典型的慣用的ディップスティックでは、一本鎖DNA捕捉プローブは、フィルターの一端(接触端)から離れた捕捉帯でニトロセルロースフィルター上に固定される。捕捉プローブの配列の一部は、検出される標的核酸の一次領域の配列と相補的である。標的化一本鎖DNA検出プローブは、フィルターの捕捉帯および接触端間に位置するプローブ帯でニトロセルロースフィルター上に固定される。検出プローブは、標的核酸の二次領域(一次領域とは異なる)の配列と相補的な配列を有する。
【0005】
標的DNAを含有すると思われる試料溶液中の一本鎖標的DNAを検出するために、ニトロセルロースフィルターの接触端は試料溶液と接触される。試料溶液は毛管作用によりフィルターに吸い上げられ、プローブ帯および捕捉帯を通過する。試料溶液がプローブ帯を通過すると、それは検出プローブを流動させて、それを捕捉帯に向かって試料溶液とともに上昇させる。流動化検出プローブは次に、試料溶液中に存在する任意の標的DNAの二次領域とハイブリダイズし得る。
【0006】
ハイブリダイズ化検出プローブおよび標的DNAが捕捉帯に達すると、標的DNAの一次領域は固定化捕捉プローブとハイブリダイズし得る。それにより三成分複合体が、標的核酸、捕捉プローブおよび標識化検出プローブ間に形成される。したがって捕捉帯での標識の存在は、標的DNAが試料溶液中に存在することを示す。
【0007】
第二の型の慣用的ディップスティックに関しては、標識化DNA検出プローブはニトロセルロースフィルター上に固定されない。その代わり、検出プローブは、検出プローブと試料溶液中の任意の標的核酸とのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で試料溶液に付加される。次にニトロセルロースフィルターの接触端が試料溶液と接触され、試料溶液がディップスティックに吸い上げられると、検出プローブとハイブリダイズされる任意の標的核酸が、捕捉プローブにより捕捉帯で捕捉され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、慣用的ディップスティックによる核酸検出の感度は低い可能性がある。標的核酸が二本鎖である場合には、ディップスティック検出の感度は低いことがある。したがって試料溶液中の標的核酸の存在は、時としては検出され得ない。したがってディップスティックによる標的核酸検出の感度を改良するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の局面によれば、試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティックであって、以下の:
試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、ならびに
接触端から離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉プローブであって、標的核酸とハイブリダイズし得るか、あるいは標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであり、捕捉プローブが捕捉プローブスペーサーに連結され、捕捉プローブスペーサーが捕捉帯に連結され、それにより捕捉帯に捕捉プローブを固定し、そして捕捉帯と捕捉プローブとの間に間隔を置く捕捉プローブ
を含むディップスティックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の捕捉プローブスペーサーまたは検出プローブスペーサーの構成成分として適切な非タンパク質構成成分の化学構造を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施態様を用いたトラコーマクラミジアChlamydia trachomatis標的核酸の検出を示す図である。
【図3】図3は、実施例1に関する実験設定を示す図である。
【図4】図4は、実施例2に関する実験設定を示す図である。
【図5】図5は、実施例3に関する実験設定を示す図である。
【図6】図6は、実施例4に関する実験設定を示す図である。
【図7】図7は、実施例6に関する実験設定を示す図である。
【図8】図8は、実施例7に関する実験設定を示す図である。
【図9】図9は、実施例9に関する実験設定を示す図である。
【図10】図10は、実施例10に関する実験設定を示す図である。
【図11】図11は、実施例11に関する実験設定を示す図である。
【図12】図12は、実施例で用いられるビオチン検出リガンドに結合された異なる検出プローブの構造を模式的に示す図である。
【図13】トラコーマクラミジアの一段階核酸ディップスティック検定検出(トラコーマクラミジア基本小体の数)の結果を示す図である。
【図14】トラコーマクラミジアの核酸ディップスティック検定検出の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「クロマトグラフィーストリップ」という用語は、毛管作用により溶液を輸送し得る物質の任意の多孔性ストリップを意味するために本明細書中で用いられる。
【0012】
捕捉プローブスペーサーは、捕捉プローブが標的核酸またはフックプローブとハイブリダイズし得るのを防止することなく、捕捉プローブと捕捉帯との間に間隔を置く任意の構成成分を含み得る。好ましくは捕捉プローブスペーサーは、生体高分子を含む。
【0013】
捕捉プローブスペーサーは、タンパク質を含み得る。「タンパク質」という用語は、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を含む任意の化合物を意味するために本明細書中で用いられる。好ましいタンパク質の例は、天然タンパク質、好ましくはウシ血清アルブミン(BSA)、チログロブリンまたはその誘導体である。誘導体としては、アミノ酸置換、付加または欠失により、あるいは翻訳後修飾によりBSAまたはチログロブリンとは異なるタンパク質が挙げられる。
【0014】
捕捉プローブをタンパク質スペーサーに連結するためには、捕捉プローブを機能的にすることが一般的に必要である。これは、捕捉プローブと反応し得る一次反応基およびタンパク質と反応し得る二次反応基を含む変性剤の使用によりなされ得る。適切な変性剤は、ホスホルアミダイト基および第一アミノ基(または使用前に脱保護化される保護化第一アミノ基)を含む。ホスホルアミダイト基は、ヒドロキシル基(捕捉プローブが核酸である場合、通常は捕捉プローブの5’−OHまたは3’−OH)と反応し得るし、第一アミノ基はタンパク質のカルボキシル基と反応し得る。適切な変性剤の例は、6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(C6−TFA)である。その他の適切な変性剤は、当業者に既知である。
【0015】
一旦変性剤が捕捉プローブおよびタンパク質と反応して、捕捉プローブをタンパク質に連結すれば、反応化変性剤は、本明細書中では「リンカー」と呼ばれる。
【0016】
好ましくはタンパク質は、捕捉プローブに直接吸着される。
【0017】
慣用的ディップスティックでは、検出プローブまたは捕捉プローブは、共有結合、吸着、熱の使用により、またはUV架橋によりディップスティックに固定される。しかしながら、タンパク質は、捕捉プローブより容易に且つ効率的にディップスティックに固定され得る、ということが判明した。その結果として、捕捉帯へのタンパク質の直接吸着は、慣用的固定よりも、ディップスティックに捕捉プローブを固定するより便利で且つより効率的な手段である。
【0018】
捕捉プローブスペーサーは、非タンパク質を含み得る。好ましい配置では、捕捉プローブスペーサーは、タンパク質および非タンパク質を含み、捕捉プローブは非タンパク質に結合され、そして非タンパク質はタンパク質に結合されて、それにより捕捉プローブとタンパク質との間に間隔を置く。
【0019】
タンパク質に非タンパク質を連結するためには、非タンパク質と反応し得る一次反応基およびタンパク質と反応し得る二次反応基を含む変性剤を用いることが一般的に必要である。
【0020】
ヘキシル基を含む非タンパク質とともに用いるための適切な変性剤は、6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(C6−TFA)である。その他の適切な変性剤は、当業者に既知である。
【0021】
一旦変性剤が非タンパク質およびタンパク質と反応して、非タンパク質をタンパク質に連結すれば、反応化変性剤は、本明細書中では「リンカー」と呼ばれる。
【0022】
適切な非タンパク質スペーサー構成成分の例としては、1’,2’−ジデオキシリボースホスフェート(dS)、3−ヒドロキシプロピルホスフェート(SC3)およびヘキサエチレングリコールホスフェート(S)が挙げられる。これらの化合物の化学構造は、図1に示されている。
【0023】
しかしながら好ましくは、非タンパク質は、捕捉プローブが標的核酸またはフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合、形成された塩基対と積重ね相互作用を生じ得るヌクレオ塩基を含む。さらに好ましくは、非タンパク質はヌクレオチドを含む。もっとも好ましくは、非タンパク質は1つまたはそれ以上のヌクレオチドのみからなる。
【0024】
好ましくは非タンパク質は、少なくとも3ヌクレオチドモノマー長である。1つのヌクレオチドモノマー(N)の長さは、1個の1’,2’−ジデオキシリボースホスフェート(dS)または1個の3−ヒドロキシプロピルホスフェート(SC3)の長さとほぼ等しい。3個のヌクレオチドモノマーは、1個のヘキサエチレングリコールホスフェート(S)の長さとほぼ等しい。
【0025】
捕捉プローブスペーサーは、捕捉プローブが標的核酸またはフック捕捉プローブとハイブリダイズするのを妨げない捕捉プローブの任意の部分に連結され得る。捕捉プローブスペーサーが捕捉プローブの末端間の捕捉プローブの一部分に連結される場合、捕捉プローブの一端または両端は、捕捉プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合には標的核酸とハイブリダイズせず、あるいは捕捉プローブがフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合にはフック捕捉プローブとハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合され得る。
【0026】
好ましくは捕捉プローブスペーサーは、捕捉プローブの一端に連結される。捕捉プローブスペーサーが捕捉プローブの一端に連結される場合、捕捉プローブスペーサーに連結されない捕捉プローブの末端は、捕捉プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合には標的核酸とハイブリダイズせず、あるいは捕捉プローブがフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合にはフック捕捉プローブとハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合され得る。
【0027】
フック捕捉プローブは、標的核酸とハイブリダイズし得る一次領域および捕捉プローブとハイブリダイズし得る二次領域を含み、それにより標的核酸との捕捉プローブの間接的結合を可能にする。フック捕捉プローブは、少なくとも1つの核酸または核酸類似体を含み得る。
【0028】
本発明の第一の局面のディップスティックは、試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験方法であって、標的核酸とハイブリダイズし得る検出プローブが、標的核酸との検出プローブのハイブリダイゼーションのための条件下で試料溶液とともにインキュベートされる方法に用いられ得る。ディップスティックの接触端は試料溶液と接触され、もう監査用により試料溶液がディップスティックを上昇するのを可能にする。試料溶液中の検出プローブとハイブリダイズされた標的核酸は次に、捕捉帯で捕捉プローブにより捕捉され得る。次に試料溶液中の標的核酸の存在が、捕捉帯での検出プローブの存在により示される。
【0029】
したがって本発明は、試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
本発明の第一の局面のディップスティック、および
標的核酸とハイブリダイズし、それにより検出プローブを利用した標的核酸の検出を可能にし得る検出プローブ
を含むキットも提供する。
【0030】
試料溶液とともに検出プローブをインキュベートする代わりに、検出プローブは、例えば接触端とクロマトグラフィーストリップの捕捉帯との間のプローブ帯でディップスティックに放出可能的に固定され得る。試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するために、試料溶液が毛管作用によりディップスティックに吸い上げられるよう、ディップスティックの接触端が試料溶液と接触され得る。試料溶液がディップスティックのプローブ帯を通過すると、検出プローブが試料溶液中の標的核酸とハイブリダイズし、そして標的核酸とともに捕捉帯に移動し得るよう、それが検出プローブを流動化する。検出プローブとハイブリダイズされた標的核酸は、試料溶液が捕捉帯を通過すると、捕捉プローブにより捕捉される。次に試料溶液中の標的核酸の存在が、捕捉帯での検出プローブの存在により示される。
【0031】
検出プローブは標的に結合され、それにより捕捉帯での標的核酸の直接検出を可能にする。あるいは検出プローブは、検出リガンドに結合されて、検出リガンド結合部分を用いた標的核酸の間接的検出を可能にする。標識または検出リガンドは、検出プローブに連結される検出プローブスペーサーに連結され、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合して、標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置く。
【0032】
本発明の第二の局面によれば、試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティックであって、以下の:
試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、
接触端から遠く離れた捕捉帯に固定された捕捉部分であって、標的核酸と直接または間接的に結合し得る捕捉部分、ならびに
接触端および捕捉帯間に置かれたプローブ帯に放出可能的に固定された検出プローブであって、標的核酸とハイブリダイズし得る、そして標的と結合されて、検出プローブの直接的検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブの間接的検出を可能にする検出プローブ
を含むディップスティックであって、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、そして標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くディップスティックが提供される。
【0033】
検出プローブスペーサーは、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズし得るのを妨げることなく、検出プローブと標識またはリガンドとの間に間隔を置く任意の構成成分を含み得る。好ましくは検出プローブスペーサーは生体高分子を含む。
【0034】
検出プローブスペーサーは、タンパク質を含み得る。「タンパク質」という用語は、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を含む任意の化合物を意味するために本明細書中で用いられる。好ましいタンパク質の例は、天然タンパク質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、チログロブリンまたはその誘導体である。誘導体としては、アミノ酸置換、付加または欠失により、あるいは翻訳後修飾によりBSAまたはチログロブリンとは異なるタンパク質が挙げられる。
【0035】
検出プローブをタンパク質スペーサーに連結するためには、検出プローブを機能的にすることが一般的に必要である。これは、検出プローブと反応し得る一次反応基およびタンパク質と反応し得る二次反応基を含む変性剤の使用によりなされ得る。
【0036】
適切な変性剤の例は、6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(C6−TFA)である。その他の適切な変性剤は、当業者に既知である。
【0037】
一旦変性剤が検出プローブおよびタンパク質と反応して、検出プローブをタンパク質に連結すれば、反応化変性剤は、本明細書中では「リンカー」と呼ばれる。
【0038】
標識または検出リガンドは、ビーズのような粒子の一部であり得るか、またはそれに付着される。好ましくはタンパク質は、標識または検出リガンドに直接吸着される。
【0039】
検出プローブスペーサーは、非タンパク質を含み得る。好ましい配置では、検出プローブスペーサーは、タンパク質および非タンパク質を含み、検出プローブは非タンパク質に結合され、そして非タンパク質はタンパク質に結合されて、それにより検出プローブとタンパク質との間に間隔を置く。
【0040】
タンパク質に非タンパク質を連結するためには、非タンパク質と反応し得る一次反応基およびタンパク質と反応し得る二次反応基を含む変性剤を用いることが一般的に必要である。ヘキシル基を含む非タンパク質とともに用いるための適切な変性剤は、6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(C6−TFA)である。その他の適切な変性剤は、当業者に既知である。
【0041】
一旦変性剤が非タンパク質およびタンパク質と反応して、非タンパク質をタンパク質に連結すれば、反応化変性剤は、本明細書中では「リンカー」と呼ばれる。
【0042】
その他の配置では、検出プローブスペーサーは非タンパク質のみを含む。このような配置に関しては、標識または検出リガンドに非タンパク質を連結するためには、非タンパク質を機能的にすることが一般的に必要である。これは、非タンパク質と反応し得る一次反応基および標識または検出リガンドと反応し得る二次反応基を含む変性剤を用いることによりなされ得る。
【0043】
非タンパク質がヒドロキシル基を含み、そして標識または検出リガンドがカルボキシル基を含む場合、適切な変性剤は、ホスホルアミダイト基および第一アミノ基(または使用前に脱保護される保護化第一アミノ基)を含む。6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(C6−TFA)は適例である。その他の適切な変性剤は、当業者に既知である。
【0044】
適切な非タンパク質検出プローブスペーサー構成成分の例としては、1’,2’−ジデオキシリボースホスフェート(dS)、3−ヒドロキシプロピルホスフェート(SC3)およびヘキサエチレングリコールホスフェート(S)が挙げられる。
【0045】
しかしながら好ましくは、非タンパク質は、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合、形成された塩基対と積重ね相互作用を生じ得る塩基を含む。さらに好ましくは、非タンパク質はヌクレオチドを含む。もっとも好ましくは、非タンパク質は1つまたはそれ以上のヌクレオチドのみからなる。
【0046】
好ましくは非タンパク質は、少なくとも3ヌクレオチド長である。
【0047】
検出プローブスペーサーは、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズするのを妨げない検出プローブの任意の部分に連結され得る。検出プローブスペーサーが検出プローブの末端間の検出プローブの一部分に連結される場合、検出プローブの一端または両端は、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合には標的核酸とハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合され得る。
【0048】
好ましくは検出プローブスペーサーは、検出プローブの一端に連結される。検出プローブスペーサーが検出プローブの一端に連結される場合、検出プローブスペーサーに連結されない検出プローブの末端は、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合には標的核酸とハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合され得る。
【0049】
捕捉部分は、塩基対合により、または非塩基対合相互作用により、標的核酸と直接または間接的に結合し得る。
【0050】
例えば捕捉部分は、標的核酸と直接的にハイブリダイズし得る捕捉プローブを含み得る。あるいは捕捉部分は、標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブを含み得る。
【0051】
捕捉部分は、標的核酸に結合された捕捉プローブに結合される捕捉リガンドと結合して、それにより捕捉部分と標的核酸との間接的結合を可能にし得る。例えば捕捉部分は、抗体または抗体断片であり得る。捕捉プローブが捕捉リガンドに連結され得る場合、捕捉プローブは、捕捉リガンドと捕捉プローブとの間に間隔を置くために、捕捉リガンドに連結される捕捉プローブスペーサーに連結され得る。
【0052】
フック捕捉プローブは、それが試料溶液中の標的核酸と結合し、試料溶液が毛管作用によりディップスティックに吸い上げられると、捕捉プローブにより捕捉され得るよう、試料溶液に付加され得る。
【0053】
捕捉プローブ、フック捕捉プローブおよび検出プローブは各々、少なくとも1つの核酸または核酸類似体を含み得る。プローブが1つより多い核酸または核酸類似体を含む場合、それらは好ましくは一緒にハイブリダイズされる。
【0054】
本発明は、試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのキットであって、以下の:
捕捉部分が、標的核酸に結合された捕捉プローブに結合された捕捉リガンドと結合し得る本発明の第二の局面によるディップスティック、ならびに
標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉部分により結合され得る捕捉リガンドに結合される捕捉プローブ
を含むキットも提供する。
【0055】
適切な標識の例としては、テキスタイル染料、金属ゾル、例えばコロイド金および着色粒子、例えば着色ラテックス粒子が挙げられる。このような標識は、検出プローブに直接結合され得るか、あるいは検出プローブが検出リガンドに結合される場合には、検出リガンド結合部分に結合され得る。
【0056】
適切な捕捉または検出リガンドの例としては、ビオチン(例えば抗ビオチン抗体、アビジン、ストレプタビジンまたはその誘導体により捕捉または検出される)、フルオロセイン(例えば抗フルオレセイン抗体により捕捉または検出される)、および2,4−ジニトロフェノール(DNP)(例えば抗DNP抗体により捕捉または検出される)が挙げられる。
【0057】
検出プローブは、標的核酸に結合されたフック検出プローブとハイブリダイズし得る普遍検出プローブを含み得る。普遍検出プローブは標識または検出リガンドに連結され、それにより検出プローブの検出を可能にし得る。
【0058】
本発明のキットおよびディップスティックは、試料溶液中の標的核酸を検出するために用いられるキットに必要な任意の試薬をさらに含み得る、と理解される。例えば、検出リガンドに結合された検出プローブを含む本発明のキットは、検出リガンド結合部分をさらに含み得る。これは、ディップスティックに分離されるか、あるいは接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され得る。
【0059】
検出リガンド結合部分は、抗体または抗体断片、あるいは非抗体を含み得る。例えば検出リガンドがビオチンを含む場合、検出リガンド結合部分は、ビオチン結合活性を保持する抗ビオチン抗体、ストレプタビジン、アビジンまたはその誘導体を含み得る。好ましくは検出リガンド結合部分は標識され、それにより検出プローブおよび検出リガンド結合部分を用いた標的核酸の間接的検出を可能にする。
【0060】
本発明は、スペーサーに連結された検出プローブおよび/または捕捉プローブの使用に関すると、そして検出プローブまたは捕捉プローブは標的核酸の検出方法によってディップスティックに固定されるかまたは試料溶液とともにインキュベートされ得る、と理解される。
【0061】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定されている捕捉プローブを含むディップスティック、ならびに
ii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接的検出を可能にする、あるいはリガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含むキットであって、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くキットも本発明により提供される。
【0062】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉部分であって、標的核酸と直接または間接的に結合し得る捕捉部分を含むディップスティック、
ii)標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉部分により結合され得る捕捉リガンドに結合される捕捉プローブ、ならびに
iii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含むキットであって、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、そして標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くキットも本発明により提供される。
【0063】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉部分を含むディップスティック、
ii)標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉プローブが捕捉プローブスペーサーに連結され、そして捕捉プローブスペーサーが捕捉リガンドに連結されて、それにより捕捉リガンドを捕捉プローブに結合し、捕捉リガンドと捕捉プローブとの間に間隔を置く捕捉プローブ、ならびに
iii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含むキットも本発明により提供される。
【0064】
本発明のさらなる局面によれば、固相にプローブを固定するための方法であって、タンパク質に結合されたプローブを提供し、そしてタンパク質を固相に吸着することを包含する方法が提供される。
【0065】
固相にプローブを固定するための本発明の方法は、プローブをタンパク質に結合することをさらに包含し得る。
【0066】
プローブは好ましくはリンカーに結合され、そしてリンカーはタンパク質に結合される。プローブは、好ましくはリンカーがタンパク質に結合される前にリンカーに結合される。
プローブは、核酸または核酸類似体を包含し得る。
【0067】
リンカーは、好ましくはプローブの非ヌクレオ塩基部分に結合される。プローブが核酸を含む場合、リンカーは好ましくはプローブの糖またはホスフェート基に結合される。プローブが核酸類似体PNA(タンパク質核酸)を含む場合、リンカーは好ましくはプローブのアミノ基に結合される。これは、リンカーがヌクレオ塩基の塩基対合を妨害しないようにということである。あるいはリンカーは、プローブおよびその結合相手の塩基対合相互作用をリンカーが妨害しないよう、プローブの結合相手(例えば標的核酸)とハイブリダイズし得るプローブの部分の5’または3’に結合され得る。
【0068】
プローブは、好ましくは、リンカーに結合されたホスホルアミダイト基とプローブのヒドロキシル基との反応により、またはリンカーのヒドロキシル基とプローブに結合されたホスホルアミダイト基との反応により、リンカーに結合される。
【0069】
リンカーは好ましくは、リンカーに結合された第一アミノ基とタンパク質のカルボキシル基との反応により、タンパク質に結合される。
【0070】
固相は、膜を、好ましくはニトロセルロース膜を含み得る。あるいは固相は、ビーズのような粒子を含み得る。
【0071】
プローブに結合されたタンパク質の固相への吸着により固相に固定されたプローブも、本発明により提供される。
【0072】
試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティック検定における本発明のディップスティック、キットまたはプローブの使用も、本発明により提供される。
【0073】
捕捉プローブスペーサーに連結された捕捉プローブが標的核酸とのハイブリダイゼーションのためにより利用可能であるため、捕捉プローブスペーサーを有する本発明のディップスティックの感度は改良される、と考えられる。捕捉プローブはそれにより、標的核酸とのハイブリダイゼーションのためにより利用可能であり、そして捕捉リガンドが捕捉部分による結合のためにより利用可能であるため、捕捉プローブが捕捉プローブスペーサーにより捕捉リガンドに結合される本発明のディップスティックまたはキットの感度は改良され得る。
【0074】
同様に、検出プローブスペーサーが標的核酸とのハイブリダイゼーションのために検出プローブをより利用可能にするために、検出プローブを標識に結合する検出プローブスペーサーを有する本発明のディップスティックまたはキットの感度は改良される、と考えられる。検出プローブが検出プローブスペーサーにより検出リガンドに結合される場合、検出プローブは標的核酸とのハイブリダイゼーションのためにより利用可能であり、そして検出プローブリガンドも検出リガンド結合部分に対してより利用可能であり得る、と考えられる。
【0075】
ヌクレオチドまたはヌクレオ塩基が、捕捉プローブまたは検出プローブと標的核酸との間に形成される塩基対との積重ね相互作用を生じ得るために、本発明によるヌクレオ塩基を含むスペーサーの使用は特に有効であると考えられる。積重ね相互作用の生成は、捕捉プローブまたは検出プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションを強化し、それによりディップスティックの捕捉帯での標的核酸の捕捉または検出の効率を改良すると考えられる。
【0076】
適切な場合、本発明のディップスティックおよびキットは、試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するための以下の種類のディップスティック検定において用いられ得る:
1)接触端を有するクロマトグラフィーストリップおよび接触端から遠く離れた捕捉帯で固定された捕捉プローブであって、標的核酸とハイブリダイズし得る捕捉プローブを含むディップスティックが提供される。検出プローブは、検出プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションのための条件下で試料溶液と接触される。試料溶液は、ディップスティックの接触端と接触されて、毛管作用により試料溶液を捕捉帯に移動させ、それにより標的核酸および検出プローブを試料溶液とともに捕捉帯に移動させ、そして標的核酸を捕捉帯で捕捉させる。検出プローブは次に、捕捉帯で検出され得る。捕捉帯での検出プローブの存在は、標的核酸が試料溶液中に存在したことを示す。
【0077】
この検定の変法では、検出プローブは、ディップスティックから分離される代わりに、接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され得る。ディップスティックの接触端が試料溶液と接触された場合、試料溶液が捕捉帯に移動すると、放出検出プローブが試料溶液中の標的核酸とハイブリダイズし得るよう、毛管作用により試料溶液が捕捉帯に移動されて、検出プローブが試料溶液中に放出される。
【0078】
この検定のさらなる変法では、検出プローブは試料溶液から分離され、そしてディップスティックの捕捉帯と接触される。これは通常は、ディップスティックの接触端が試料溶液と接触された後に実行される。検出プローブは捕捉帯と直接接触され得るし、あるいは検出プローブは、ディップスティックの接触端と接触されて、毛管作用によりプローブ溶液を捕捉帯に移動させる別個のプローブ溶液中に存在し得る。
【0079】
2)接触端を有するクロマトグラフィーストリップおよび接触端から遠く離れた捕捉帯で固定された捕捉部分であって、標的核酸にハイブリダイズされた捕捉プローブを結合し得る捕捉部分を含むディップスティックが提供される。捕捉プローブは、捕捉プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションのための条件下で試料溶液と接触される。試料溶液は、ディップスティックの接触端と接触されて、毛管作用により試料溶液を捕捉帯に移動させ、それにより標的核酸および捕捉プローブを試料溶液とともに捕捉帯に移動させ、そして捕捉部分を捕捉プローブに結合することにより標的核酸を捕捉帯で捕捉させる。標的核酸は次に、捕捉帯で検出され得る。標的核酸は、検定(1)に関して記載したような検出プローブを用いて検出され得る。検出プローブは、捕捉プローブと一緒に、または捕捉プローブとは別々に(任意の順序で)、試料溶液に付加され得る。あるいは、検出プローブは、接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され得るし、あるいは別個に、検定(1)に関して記載されたような捕捉帯と接触され得る。
【0080】
この検定(2)の変法では、捕捉プローブは、試料溶液と混合される代わりに、接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され得る。ディップスティックの接触端が試料溶液と接触されて、毛管作用により試料溶液が捕捉帯に移動されると、放出捕捉プローブが試料溶液中に放出されるよう、捕捉プローブが試料溶液中に放出され、したがって放出された捕捉プローブは、試料溶液が捕捉帯に移動すると試料溶液中の標的核酸とハイブリダイズし得る。標的核酸は、試料溶液と接触され、接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され、または別個に捕捉帯と接触され得る検出プローブを用いて検出され得る。
【0081】
検定(2)のさらなる変法では、捕捉プローブは、毛管作用により試料溶液が捕捉帯に達する前に(または例外的に同時に)、捕捉帯と接触され得る。これは、標的核酸が捕捉され得るよう、捕捉帯で捕捉部分により捕捉プローブを結合させる。捕捉プローブは、それを捕捉帯に直接適用することにより、またはディップスティックの接触端と捕捉プローブを接触させて、毛管作用によりプローブ捕捉プローブを捕捉帯に移動させることにより、別個に捕捉プローブと接触される別個の捕捉プローブ溶液中に存在し得る。ディップスティックの接触端の試料溶液とのその後の接触は、毛管作用により標的核酸を捕捉帯に到達させて、そこで捕捉される。さらに標的核酸は、試料溶液と接触され、接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され、あるいは別個に捕捉帯と接触され得る検出プローブを用いて検出され得る。検定(2)における検出プローブの使用に代わるものとして、標的核酸は、例えば標識と標的核酸との共有結合により、試料溶液中で直接標識され得る。これは、前駆体標識を試料溶液と接触させ、標識と標的核酸の共有結合のための条件下で試料溶液および前駆体標識をインキュベートすることにより、達成され得る。
【0082】
検定(2)の捕捉部分は、捕捉プローブとハイブリダイズし得る普遍捕捉プローブであり得るし、あるいは捕捉部分は、捕捉プローブとの非塩基対合相互作用により結合し得る。例えば捕捉プローブが1つまたはそれ以上の捕捉リガンドを含む場合、捕捉部分は捕捉リガンド結合部分である。
【0083】
ディップスティック検定が標的核酸とハイブリダイズし得る1つより多いプローブを用いる場合、すべてのプローブが試料溶液に付加されるのが、そしてハイブリダイゼーションが単一段階で実行されるのが好ましい。これは検定を簡素化し、それをより容易に且つより迅速に実施させる。一段階ハイブリダイゼーション検定を用いる標的核酸の検出感度は、ハイブリダイゼーションが多段階で実行される場合の検出感度とほぼ等しい、ということが判明した。多段階ハイブリダイゼーションは、異なるプローブと試料溶液中の標的核酸との連続ハイブリダイゼーションにより、あるいはディップスティックを、各々異なるプローブを含有する異なる溶液と接触することにより実行され得る。通常は、多段階ハイブリダイゼーションの後者の方法は、異なるプローブ溶液との各接触間にディップスティックを洗浄することを包含する。多段階ハイブリダイゼーションが好ましい環境が存在し得るが、しかしより簡単且つ迅速なフォーマットの一段階ハイブリダイゼーションが通常は好ましい、と理解される。
【0084】
試料溶液はハイブリダイゼーション反応を単一ハイブリダイゼーション段階で起こさせ、そして非塩基対合相互作用を起こさせて(例えば検出リガンドと検出リガンド結合部分との間、ならびに捕捉リガンドと捕捉リガンド結合部分との間)、そして標的核酸および1つまたはそれ以上のハイブリダイズ化プローブおよび(任意に)リガンド結合部分を含む複合体を毛管作用によりディップスティックまで押し上げるための適切な組成物を有する、というのが最も好ましい。このような試料溶液を用いて、ハイブリダイゼーション反応は次に単一段階で実行され、そして試料溶液がディップスティックの接触端と直接接触される前に(試料溶液を先ず希釈し、または変える必要性を伴わずに)、任意のリガンド−リガンド結合部分相互作用が起こり得る、と理解される。リガンド−リガンド結合部分相互作用は、試料溶液が捕捉帯に移動すると、所望によりディップスティック上で付加的にまたは代替的に起こり得る。標的核酸の簡単且つ迅速なディップスティック検出は、それにより促される。
【0085】
このような結果は、塩、洗剤およびブロッキングタンパク質、例えばBSAまたは粉乳とともに標準ハイブリダイゼーション緩衝液(例えばSSPE緩衝液またはトリス緩衝液)を含む試料溶液を用いて達成される、ということをわれわれは見出した。このような検定を用いた標的核酸の検出感度は、他のディップスティック検定とほぼ等しいかまたはそれより良好であることが判明した。
【0086】
添付の図面を参照しながら、本発明の実施態様を実例としてここで説明する。
実施例は、クラミジア属細菌のトラコーマクラミジアChlamydia trachomatis(CT)の隠れたプラスミドのDNA断片の検出に関する。CTは、性感染病の最も一般的な原因の1つである。CT感染は、不妊症を引き起こし得るし、そして妊娠中には、自然流産を、さらに出産時または出産後子宮内膜炎を生じ得る。新生児において、CT感染は失明および慢性呼吸疾患を引き起こし得る。感染男性の約10%、および感染女性の約70%がCT感染の症状を示さない。したがって、病気の早期治療が開始され得るよう、CT感染の的確な診断が重要である。
【0087】
実施例においては、ディップスティック10を用いて、試料溶液14中の一本鎖または二本鎖CT標的核酸12を検出しようと試みた(図2参照)。ディップスティック10は、試料溶液14を接触するための接触端18を有するニトロセルロースのストリップ16、ならびに接触端18から遠く離れたニトロセルロースストリップ16の捕捉帯22に固定された捕捉プローブ20を包含する。抗ビオチン抗体染料接合体24は、接触端18と捕捉帯22との間に位置するニトロセルロースストリップの接合体帯26で放出可能的に固定される。捕捉プローブ20は、標的核酸12の一方の鎖(一次鎖)の一次領域とハイブリダイズし得る。
【0088】
試料溶液14は、トラコーマクラミジアChlamydia trachomatisで1ml尿をスパイクし、次に15Krpmで30分間、尿を遠心分離することにより調製される。ペレットが100μl標準ハイブリダイゼーション緩衝液(遮断剤、例えばカゼインまたはBSAを含む)中に再懸濁される。標的核酸とハイブリダイズし得る検出プローブ28が次に付加される(使用される場合、検出プローブおよび/または捕捉プローブにより認識される領域に隣接する標的核酸とハイブリダイズし得るヘルパープローブとともに)。検出プローブ28は、ビオチンに(または実施例5においてはフルオレセインに)結合される(当業者に周知の方法を用いて)。試料溶液14は次に、100℃に7分間加熱され、そして冷却される。
【0089】
ディップスティック10の接触端18は次に、試料溶液14と接触される。試料溶液14、ならびに検出プローブ28とハイブリダイズされた任意の標的核酸12は、毛管作用によりディップスティック10を上昇する。試料溶液14が接合体帯26を通過すると、それは抗ビオチン抗体−染料接合体24を流動化する。放出された抗ビオチン抗体−染料接合体24は次に、標的核酸12とハイブリダイズされた検出プローブ28に結合されたビオチンと結合し得る。
【0090】
抗ビオチン抗体−染料接合体24、検出プローブ28および標的核酸12間に形成される複合体は次に、ディップスティック10に吸い上げられて捕捉帯22まで移動し、そこで複合体の標的核酸が固定化捕捉プローブ20とハイブリダイズし得る。捕捉プローブ20は、それが捕捉帯22を通って移動すると、試料溶液14により流動化され得ないような方法で捕捉帯22に固定される。その結果として、捕捉プローブに結合された複合体は捕捉帯中に残存し、捕捉帯での抗ビオチン抗体−染料接合体の染料の存在により検出され得る。
【0091】
試料溶液中にCT標的核酸が存在しない場合、検出プローブ28は捕捉帯22で捕捉され得ず、したがって染料は捕捉帯で可視的でない。試料溶液中にCT標的核酸が存在するが、しかし不十分量の標的核酸が捕捉帯で捕捉され得る場合には、試料溶液中の標的核酸の存在は検出されない。
【0092】
標的核酸の検出感度は、捕捉プローブがハイブリダイズする標的核酸の領域と検出プローブがハイブリダイズする領域との間の距離が26ヌクレオチド未満である場合、低減され得る、ということが判明した。したがって、これらの領域間の距離は少なくとも26ヌクレオチド、好ましくは少なくとも200ヌクレオチドである、というのが好ましい。
【実施例】
【0093】
前記の標的核酸の捕捉は、以下の実施例中では直接プローブ捕捉として言及される。実施例における標的核酸の検出の強度は、0〜5のスケールで記録され、5は最強検出を表し、そして0は検出なしを表す。
以下の実施例に用いられるプローブの配列を以下に示す:
配列番号1:5’TGCAACTCTTGGTGGTAGACTTTGC
配列番号2:5’GCGCACAGACGATCTATTTTTTGCA
配列番号3:5’CGGGCGATTTGCCTTAACCCCACCA
配列番号4:5’CCAAGCTTAAGACTTCAGAGGAGCG
配列番号5:5’CATGCGTTTCCAATAGGATTCTTGG
配列番号6:5’CACAGTCAGAAATTGGAGTGCTGGC
配列番号7:5’CTTGCTGCTCGAACTTGTTTAGTAC
配列番号8:5’AGAAGTCTTGGCAGAGGAAACTTTT
配列番号9:5’CTAGAATTAGATTATGATTTAAAAGGG
配列番号10:5’TTCATATCCAAGGACAATAGACCAA
配列番号11:5’TGATCTACAAGTATGTTTGTTGAGT
配列番号12:5’TGCATAATAACTTCGAATAAGGAGAAG
配列番号13:5’TCCCTCGTGATATAACCTATCCG
配列番号14:5’CAGGTTGTTAACAGGATAGCACGC
配列番号15:5’CTCGTTCCGAAATAGAAAATCGCA
配列番号16:5’GGTAAAGCTCTGATATTTGAAGAC
配列番号17:5’CTGAGGCAGCTTGCTAATTATGAGT
下記の実施例における検出プローブの構造は、図12に模式的に示されている。
【0094】
実施例1
実験設定:
捕捉フォーマット:直接プローブ捕捉(cp)(ディップスティック上に固定された配列番号14);
検出プローブ(dp):5’末端に直接結合されたビオチンを伴う、あるいは3ヌクレオチド(N3)、6ヌクレオチド(N6)、SまたはSSスペーサーによる配列番号13または配列番号15、もしくは3’末端に直接結合されたビオチンを伴う配列番号13。各々の1012コピー。
【0095】
検出フォーマット:抗ビオチン抗体染料接合体;
標的DNA:73または76ヌクレオチド一本鎖DNA断片(5x1011〜1010コピー)。
【0096】
結果
【0097】
【表1】
【0098】
これらの結果は、以下のことを示す:
N6、N3、SSまたはSスペーサーにより5’末端に結合されたビオチンを伴う検出プローブを用いた標的核酸検出の感度は、5’末端に直接結合されたビオチンを伴う検出プローブを用いた感度より高かった。
N3およびN6スペーサーは、SおよびSSスペーサーより良好であった。
【0099】
ビオチン(またはその他の検出リガンド)は検出プローブの一端に結合される、というのが好ましい。捕捉プローブおよび検出プローブが捕捉帯で標的核酸とハイブリダイズされる場合に形成された複合体においては、ビオチン(またはその他の検出リガンド)は、捕捉プローブとハイブリダイズする標的核酸の領域に近位の検出プローブの末端に(内部的に配向される)、あるいは好ましくは捕捉プローブとハイブリダイズする標的核酸の領域に遠位の検出プローブの末端に(外部的に配向される)存在し得る。検出プローブに検出リガンドを結合するためにスペーサーが用いられない場合には、標的核酸の検出感度は一般に、検出リガンドが外部的に配向される場合は、より高い。したがって検出プローブは通常は、検出リガンドが外部的に配向されるよう、選択される。
【0100】
しかしながら本実施例では、検出プローブの3’末端に直接結合された外部的配向ビオチンを伴う検出プローブを用いた検出感度は、6ヌクレオチドスペーサーにより検出プローブの5’末端に結合された内部的配向ビオチンを伴う検出プローブを用いた感度と同様に良好であった。したがって本発明にしたがってスペーサーが用いられる場合、検出プローブは、検出リガンドが捕捉帯で捕捉される複合対中で外部的には移行されるよう選択されねばならないというわけではない。
【0101】
実施例2:
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティック膜上に固定された直接プローブ捕捉(cp)配列番号14;
検出プローブ:3ヌクレオチド(N3)、6ヌクレオチド(N6)、SまたはSSスペーサーにより5’末端に直接結合されたビオチンを伴うプローブ(dp)配列番号13、配列番号15および配列番号16。各々の1012コピー。
検出フォーマット:抗ビオチン抗体染料接合体;
標的DNA:214bp二本鎖DNA断片(1011〜1010コピー)。
【0102】
結果
【0103】
【表2】
【0104】
これらの結果は以下のことを示す:
二本鎖標的核酸の検出感度は、N3、N6、SSまたはSスペーサーを用いて5倍以上改良された。
検出感度は、N3およびSスペーサーを用いた場合よりN6およびSSスペーサーを用いた方が高かったが、これは、スペーサーの長さが検出感度改良のために重要であることを示す。
検出感度は、以下のスペーサーが等価長を有するという事実にもかかわらず、SSスペーサーよりN6スペーサーを用いたほうがより高かったが、これは、スペーサーの物理化学的特性が検出感度改良のために重要であることを示す。
【0105】
N6スペーサーにより5’末端でビオチンに各々結合された2つの検出プローブ(dp13非lab+dp15−N6−B+dp16−N6−B)(この場合、ビオチンは捕捉プローブにより捕捉された複合体中で内部的に配向される)のみを用いる検出の感度は、5’末端でビオチンに各々直接結合された3つの検出プローブ(dp13−B+dp15−B+dp16−B)(この場合、一検出プローブ(dp13−B)のビオチンは捕捉プローブにより捕捉された複合体中で外部的に配向される)を用いた検出感度より大きかった。
【0106】
実施例1および2からの結論
標的核酸検出の感度は、検出プローブに検出リガンドを結合するためにスペーサーを用いることにより増大される。
長いスペーサーのほうが短いスペーサーより良好である。
等価長であるがしかし異なる物理化学的特性を有するスペーサーは、検出感度に異なる作用を及ぼした。特に、非タンパク質構成成分がヌクレオチドのみからなるスペーサーは、非ヌクレオチド構成成分を含むスペーサーより良好である。これに関して考え得る説明をいかに示す:
【0107】
1.ヌクレオチドスペーサーは、検出プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションを強化することにより、検出感度を改良し得る。これらのスペーサーのヌクレオチドは、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズする場合、標的核酸のヌクレオチドと塩基対合すると予測されない。これらのヌクレオチドのヌクレオ塩基は、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズする場合に形成される塩基対との積重ね相互作用を生じ得る。これらの積重ね相互作用は、標的核酸と検出プローブとの間に生成されるハイブリッドの安定性を強化し、それにより標的核酸の検出感度を強化し得る。
【0108】
2.ヌクレオチドスペーサーは、SおよびSSスペーサーより剛性であり得る。ヌクレオチドスペーサーのリボース環は、SおよびSSスペーサーのポリエチレングリコール基よりはるかに大きい剛性を提供すると予測される。このより大きい剛性は、検出リガンド結合部分との相互作用のためにヌクレオチドスペーサーに結合される検出リガンドの利用可能性を増大し得る。
【0109】
3.ヌクレオチドおよび非ヌクレオチドスペーサー間の極性の差は、検出感度における差異を生じ得る。
【0110】
実施例3
実験設定
捕捉フォーマット:直接プローブ捕捉(cp)配列番号10(ディップスティック上に固定);
検出プローブ:直接的に、あるいはN6、SS、(dS)6、(SC3)6またはSN3SN3Sスペーサーによりビオチンに結合された検出プローブ(dp)配列番号13。各々の1012コピー;
検出フォーマット:抗ビオチン抗体染料接合体;
ヘルパープローブ:配列番号10に隣接する配列番号5および配列番号6;配列番号13に隣接する配列番号1および配列番号2(1012コピー)。
標的DNA:872 bp二本鎖DNA断片(2x1011〜1010コピー)。
【0111】
結果
【0112】
【表3】
【0113】
これらの結果は、以下のことを示す:
SS、(dS)6および(SC3)6スペーサーは、それらの構造的差異および特性にもかかわらず、等価長を有し、そして標的核酸の検出感度の強化に同様の作用を及ぼした。
【0114】
N6スペーサーは、SS、(dS)6および(SC3)6スペーサーと等価長を有する。しかしながらN6スペーサーは、標的核酸の検出感度の改良により大きい作用を及ぼした。
標的核酸検出の感度は、SN3SN3Sスペーサー(試験した最長スペーサー)よりN6スペーサーを用いたほうがより高かった。これに関して考え得る説明は、スペーサーのN3構成成分のヌクレオ塩基と検出プローブおよび標的核酸間に形成される塩基対との間の積重ね相互作用をSモノマーが低減または排除する、というものであり得る。このデータは、スペーサーの非対合ヌクレオ塩基と標的核酸および検出プローブ間に形成される二重鎖との間の積重ね相互作用が標的核酸の検出感度の強化に重要である、という結論を支持する。
【0115】
実施例4
ディップスティック試験により、ならびにドットブロット分析により、異なる物理化学的特性および長さを有するスペーサーを評価した。ドットブロット分析は、検出プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションの非存在下で分析される検出プローブに結合されたビオチンとの抗ビオチン抗体の相互作用の効率性を可能にする。異なるスペーサーによりビオチンに結合された検出プローブの5x108〜5x1011コピーを、正荷電ナイロン膜上の異なる場所にスポッティングし、そして膜とUV架橋させた。次に膜を、アルカリ性ホスファターゼ(ニトロブルーテトラゾリウム/5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(NBT/BCIP)色原性基質を転換し得る)に結合された抗ビオチン抗体とともにインキュベートし、洗浄し、NBT/BCIP色原性基質とともにインキュベートし、そして膜を観察して、捕捉帯でいかなる色が生成されたかを見た。
【0116】
ディップスティック試験のための実験設定
捕捉フォーマット:直接プローブ捕捉(cp)配列番号14(ディップスティック上に固定);
検出プローブ:直接的に、あるいはヌクレオチドまたは非ヌクレオチドスペーサーにより5’末端でビオチンに結合された検出プローブ(dp)配列番号13。各々の1012コピー;
検出フォーマット:抗ビオチン抗体染料接合体;
ヘルパープローブ:配列番号14に隣接する配列番号2および配列番号3(1012コピー)。
標的DNA:416 bp二本鎖DNA断片(5x1010〜109コピー)。
【0117】
結果
【0118】
【表4】
【0119】
ドットブロット分析のための実験設定
検出プローブ:直接的に、あるいはヌクレオチドまたは非ヌクレオチドスペーサーにより5’末端でビオチンに結合された検出プローブ配列番号13;
検出フォーマット:アルカリ性ホスファターゼに結合された抗ビオチン抗体。NBT/BSIP色原性基質による検出;
【0120】
結果
【0121】
【表5】
【0122】
ディップスティック試験の結果を以下に示す:
3、4または5ヌクレオチドスペーサーとともに検出プローブを用いた標的核酸検出の感度に、有意差は認められない。
【0123】
6ヌクレオチドスペーサーを用いた検出感度は、3〜5ヌクレオチドスペーサーより極わずかに良好である。
ヌクレオチドのみからなるスペーサーを用いた検出感度は、非ヌクレオチドを含むスペーサーを用いた場合より良好であった。例えばN3スペーサーは、15ヌクレオチド長と等価である最長スペーサーSN3SN3Sより良好であった。
(dS)6スペーサーは、SSスペーサーよりわずかに良好である。
【0124】
ドットブロット試験の結果を以下に示す:
検出感度は、最長スペーサー(SSSおよびSN3SN3S)を用いた場合に最高であった。
異なる物理化学的特性を有する等価長スペーサー(N6、(dS)6およびSS)を用いた検出感度は、同様であった。
【0125】
実施例3および4からの結論
dS構成成分は、ヌクレオチドと同様の構造を有する。ともに、剛性を提供すると予測されるリボース残基を有する。しかしながらヌクレオチドは、dS構成成分中には存在しないヌクレオ塩基を有する。N6スペーサーと比較した場合の標的核酸検出の感度に及ぼす(dS)6スペーサーの異なる作用は、ヌクレオチドスペーサーを用いた検出の感度の改良に及ぼすより大きい作用が、標的核酸と塩基対合しないヌクレオ延期の存在により主に説明される、ということを示唆する。
【0126】
スペーサーの組成は、その長さより重要であると思われる(実施例4のディップスティック試験におけるdp−N3−B5’およびdp−SN3SN3S−B5’に関する結果と比較)。
(dS)6スペーサーを用いた検出感度は、SSスペーサーを用いた場合より高い。これらのスペーサーは、等価長を有する。これは、スペーサーの物理化学的特性、例えば剛性または極性もスペーサーによる検出感度の改良に影響を及ぼし得る、ということを示唆する。
【0127】
実施例4のドットブロット分析は、抗ビオチン抗体に対するビオチンの利用可能性に関してはスペーサー長が重要である、ということを示す。抗ビオチン抗体によるビオチン認識の感度は、ビオチンがN6スペーサーにより固定プローブに結合されようが、(dS)6またはSSスペーサーにより結合されようが、同様である。しかしながら実施例4のディップスティック試験における検出感度に及ぼすこれらのスペーサーの作用は異なった。これは、スペーサーの組成が、抗ビオチン抗体によるビオチンの認識におけるよりも、標的核酸との検出プローブのハイブリダイゼーションにおいてより重要である、ということを示唆する。スペーサーの長さは、抗ビオチン抗体(またはその他の検出リガンド結合部分)によるビオチン(またはその他の検出リガンド)の認識のためのスペーサーの組成よりも、より重要であると思われる。
【0128】
実施例5
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに固定されたBSAに結合された直接プローブ捕捉(cp)配列番号14。捕捉プローブは、直接的にまたは6ヌクレオチドスペーサーにより、BSAに結合される;
検出プローブ:フルオレセインに結合された検出プローブ(dp)配列番号13;
検出フォーマット:抗フルオレセイン抗体−染料接合体;
標的DNA:73ntまたは76nt一本鎖DNA断片(1011コピー)。
【0129】
結果
【0130】
【表6】
【0131】
実施例6
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに固定されたBSAに5’末端で結合された直接プローブ捕捉(cp)配列番号14。捕捉プローブは、N6またはSN3SN3Sスペーサーにより、BSAに結合される;
検出プローブ:ビオチンに結合された検出プローブ(dp)配列番号7、8、9、10、11、12、13、15、16および17;
検出フォーマット:抗ビオチン抗体−染料接合体;
標的DNA:872 bp二本鎖DNA断片(1011〜2.5x109コピー)。
【0132】
結果
【0133】
【表7】
【0134】
実施例7
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに固定されたBSAに結合された直接プローブ捕捉(cp)配列番号15。捕捉プローブは、N6スペーサーにより、BSAに結合される;
ヘルパープローブ:配列番号15に隣接する配列番号3および配列番号4;
検出プローブ:本実施例では、検出プローブはフックプローブおよび普遍プローブを含む。フックプローブは、配列番号17(標的核酸とハイブリダイズし得る)に対応する配列および普遍プローブの配列と相補的な配列を有する。普遍プローブは、N6またはSN3SN3Sスペーサーによりテキスタイル染料に結合される。フックプローブの1012コピーが存在する;
標的:872bp二本鎖DNA断片(1011および1010コピー)。
【0135】
結果
【0136】
【表8】
【0137】
実施例5、6および7からの結論
固定タンパク質に捕捉プローブを結合するためのディップスティックに固定されたタンパク質、および非タンパク質を含むスペーサーの使用(実施例5および6)、あるいは検出プローブに標識を結合するための非タンパク質スペーサーの使用(実施例7)は、標的核酸の検出感度を改良する。
核酸検出の感度は、スペーサーの非タンパク質構成成分が完全にヌクレオチドで構成された場合に、最高であった。
【0138】
実施例8
タンパク質担体によりまたは受動的吸着によりディップスティック膜に固定された捕捉プローブを用いた標的核酸検出の感度を、本実施例で比較する。
【0139】
第一アミノ基を用いて5’−または3’末端で機能化された捕捉プローブ10nmolを、10%BSA 1μlおよび50mM MES緩衝液(pH6.1)25μlと混合して、500μlマイクロ遠心管中で水を用いて49μlとした。次にカップリング試薬(水中に新たに調製された300mMの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC))1μlを付加し、ウエル中で混合した。混合物を室温で一夜放置して、BSAを捕捉プローブに結合し、次に2〜8℃で保存した。次にBSA−捕捉プローブをディップスティックの捕捉帯に適用し、ディップスティックを80℃で1時間加熱した。
【0140】
捕捉プローブ対BSAのモル比およびEDACカップリング試薬の濃度を最適化した。2.7:1、3.2:1、4.1:1、5.2:1、6.6:1、10.9:1の捕捉プローブ:BSAを試験した。1、1.5、2、4、5および20mMの濃度のEDACを試験した。5mMより高い濃度は、BSA−捕捉プローブを溶液から析出させた。
【0141】
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに直接固定された配列番号14による、またはBSAタンパク質スペーサーによる直接プローブ捕捉。捕捉プローブおよび捕捉プローブ−BSAをディップスティックに適用し、80℃で1時間ディップスティックを処理することにより固定した;
検出プローブ:ビオチン標識化検出プローブ(dp)配列番号13(1012コピー);
検出フォーマット:抗ビオチン抗体−染料接合体;
標的DNA:73ヌクレオチド一本鎖DNA断片(1x1011コピー)。
【0142】
結果
捕捉プローブ: シグナル
捕捉プローブ−BSA 4.0
捕捉プローブ 0.0
【0143】
結論
ディップスティックに直接固定された捕捉プローブを用いて、標的核酸を検出できなかった。しかしながら、捕捉プローブをBSAに結合し、そしてBSAをディップスティックに固定した場合には、強い検出シグナルを得た。
【0144】
以下の実施例は、タンパク質スペーサーにより着色粒子に結合されたプローブを用いた標的核酸の検出に関する。BSAに結合されたプローブで着色染料粒子を被覆した。タンパク質を染料粒子に吸着させ、それにより染料粒子にプローブを結合させる。用いた手法は以下のとおりであった:
10mM NaCl、1mM EDTA、pH7.5を含有する10mM リン酸塩緩衝液434μl中で洗浄染料(A575=900)を希釈する。プローブ−BSA(2mg/ml)5μlを付加し、十分に混合して、室温で1時間回転させる;
20%アルカリ処理カゼイン50μlを付加する。十分に混合し、室温で1時間回転させる;
室温で1時間、ミクロ遠心機で4000rpmで遠心分離する;
上清を除去し、5%スクロース、2%アルカリ処理カゼイン、0.02%Naアジドを含有する接合緩衝液500μl中にペレットを再懸濁する。
【0145】
実施例9
実験設定
捕捉フォーマット:捕捉プローブ配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17に結合された抗ビオチン抗体/ビオチン(1012コピー/試験);
代替的に、直接プローブ捕捉フォーマット(配列番号14または配列番号15)を比較のために用いた;
BSAにより染料粒子に結合された直接検出プローブ配列番号10;
ヘルパープローブ:配列番号10に隣接する配列番号5および配列番号6;
標的:872bp二本鎖DNA断片(1011〜108コピー)。
【0146】
結果
多プローブを用いたシグナル増幅
【0147】
【表9】
【0148】
感度分析
【0149】
【表10】
【0150】
これらの結果は、直接検出プローブ−染料接合体が抗体捕捉フォーマットおよび直接プローブ捕捉フォーマットとともに作用することを示す。
【0151】
実施例10
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに固定されたBSAに結合された直接プローブ捕捉(cp)配列番号15;
ヘルパープローブ:配列番号15に隣接する配列番号3および配列番号4;
検出プローブ領域配列番号17。この領域に置ける標的DNAと、ならびに普遍プローブ配列と相補的な配列を有する「フックプローブ」を、1012コピー/試験で用いた;
検出フォーマット:BSAにより普遍プローブに結合されたテキスタイル染料;
標的:872bp dsDNA断片(1011および1010コピー)。
【0152】
結果:
標的のコピー 1011 1010
シグナル 2.0 0.0
【0153】
直接検出プローブ染料接合体フォーマットと比較した場合のこのフォーマットの利点は、普遍ヌクレオチド配列のプローブが着色粒子に接合される場合、それが核酸の視覚的検出のための普遍試薬の適用を可能にする点である。
【0154】
実施例11
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに固定されたBSAに結合された直接プローブ捕捉配列番号15;
ヘルパープローブ:配列番号15に隣接する配列番号3および配列番号4;
検出プローブ領域配列番号17。この領域に置ける標的DNAと、ならびに普遍プローブ配列2と相補的な配列を有する「フック」検出プローブ1を、1012コピー/試験で用いた;
【0155】
検出フォーマット:フック検出プローブは、標的核酸の配列と、ならびに一次普遍検出プローブの配列と相補的な配列を含む。一次普遍検出プローブはBSAに結合され、BSAは一次着色粒子に吸着されて、それにより一次普遍検出プローブを一次着色粒子に結合する。いくつかの二次普遍検出プローブも、一次着色粒子に吸着されたBSAに各々結合される。二次普遍検出プローブは、三次普遍検出プローブの配列と相補的な配列を含む。三次普遍検出プローブは、二次着色粒子に吸着されたBSAに結合される。標的核酸がフック検出プローブ、一次、二次および三次普遍検出プローブならびに一次および二次着色粒子を用いて検出される場合、図11におけるように、単一一次着色粒子は標的核酸上に一次層を形成し、そしていくつかの二次着色粒子は標的核酸上に二次層を形成する。いくつかの着色粒子はこの方法で各標的核酸に付着され得るため、標的核酸の検出感度は、フック検出プローブおよび着色粒子に結合された単一普遍検出プローブの使用と比較して改良される、と考えられる。
【0156】
標的:872bp dsDNA断片(1011および1010コピー)。
結果:
標的のコピー 1011 1010
シグナル 2.0 0.5
1598bp dsDNA標的を用いて、同様の結果を得た。
【0157】
実施例12:トラコーマクラミジアChlamydia trachomatisの一段階核酸ディップスティック検定検出
実験設定:
試薬:
捕捉フォーマット:BSA担体によりディップスティック膜上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブ捕捉;
検出フォーマット:多ビオチン標識化検出体プローブ;抗ビオチン抗体−コロイド金接合体;
試料調製:PBS緩衝液中の106コピー/μl〜103コピー/μlの濃度で、トラコーマクラミジアChlamydia trachomatus(Ct)基本小体(EB)細胞を調製し、100℃で20分間加熱した。
【0158】
ハイブリダイゼーション/ディップスティック実行緩衝液:塩、洗剤およびブロッキングタンパク質、例えばBSAまたは粉乳を含有する標準ハイブリダイゼーション緩衝液。
【0159】
方法:
検出プローブ、ヘルパープローブおよび5x106〜5x103コピーのEBをハイブリダイゼーション緩衝液中に希釈して80μlとし、100℃で7分間加熱した。次に混合物を手短に遠心分離して、すべての液体を収集し、20μlの抗ビオチンAbコロイド金と混合した。全100μlの混合物をディップスティック上に吸い上げてさせて、シグナルを発現させた。
【0160】
結果および考察
表および図13に提示した結果は、試料調製段階を含めて1時間未満で、一段階核酸ディップスティック検定を用いてCtEBの約104コピーが検出され得たことを示した。
そのように提示されたディップスティック検出検定は他のサンドイッチハイブリダイゼーション検定とほぼ等しい検出感度を有するが、しかしそれは、速度および簡便性という大きい利点を有する。
【0161】
例えばPCT WO93/1322に開示されたCtの検出のためのサンドイッチハイブリダイゼーション検定は、複雑な多構成成分微小滴定プレートフォーマット検定であり、これは5時間未満では成し遂げられなかった。この検定は、限定順序でのその構成成分の漸次付加を要する多段階検定であって、インキュベーションおよび洗浄段階はすべての新規の構成成分の付加後である。
【0162】
本発明の目的の核酸ディップスティック検定は、構成成分の付加および洗浄のための異なる段階を必要とせずに、一段階で実行し得る。このサンドイッチハイブリダイゼーション検定は、ハイブリダイゼーションおよびその他の親和性対形成のためにそれらを有益にさせるために、1つより多い溶液条件を必要としない。同一溶液条件は、同様にディップスティック膜を通過する構成成分の自由移動に役立ち得る。
【0163】
ディップスティックによる一本鎖および二本鎖標的核酸の検出感度は、本発明のスペーサーの使用により有意に改良され得ることが判明した。二本鎖環状標的核酸の検出感度も、本発明のスペーサーの使用により増大され得る。
一本鎖標的核酸は、分子内塩基対合相互作用により二次構造を形成することが既知である。このような二次構造は、標的核酸との捕捉プローブおよび検出プローブの結合を阻害し得る。したがって、検出プローブおよび捕捉プローブが結合する標的核酸の領域は、しばしば二次構造を実質的に有さないと予測される領域として選択される。
【0164】
本発明のスペーサーの使用により達成される二本鎖標的核酸の検出感度改良は、二次構造に関与する標的核酸の領域を認識する捕捉プローブおよび/または検出プローブを用いた一本鎖標的核酸の検出感度も改良されることを意味する。この利点は、捕捉プローブおよび/または検出プローブが、標的核酸により形成される二次構造の予測に基づいて選択されねばならないわけではなく、したがって捕捉および検出プローブの選択を簡素化し得るという点である。
【0165】
ディップスティック検出の慣用的方法は、環状二本鎖標的核酸の検出時に非常に不十分であると考えられる。その結果として、このような標的核酸は、通常は、標的が検出される前に二本鎖化標的を線状化する酵素で処理される。本発明のスペーサーを用いた環状二本鎖標的核酸の検出改良は、標的核酸の線状かが必要とされず、したがって検出方法を簡素化することを意味する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディップスティックによる核酸検出強化に関する。本発明のディップスティックは、例えばクラミジア属細菌のトラコーマクラミジアChlamydia trachomatisのような病原性微生物に患者が感染しているか否かを同定するために、試料溶液中の標的核酸の存在を検出するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
試料溶液中の標的核酸の存在を検出するためのいくつかの慣用的試験は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた標的核酸の増幅によっている。この反応は少量の標的核酸の検出を可能にする一方、それは結果が得られる前に数時間を要する。これは、例えば患者の待ち時間を最小限にするために、しばしばできるだけ速く結果を得ることが望ましいため、有意の欠点を有し得る。このような方法のさらなる欠点は、反応を実施するための高価な専門家装備および相対的に高価な試薬に対する要件である。
【0003】
これに対照するものとして、ディップスティックは、任意の専門家装備を必要とせずに非増幅化標的核酸を検出し得るし、結果は、PCRベースの方法よりはるかに迅速に得られる。その場合、患者は同一来院で治療され得る。これは、患者が後日戻ってくる見込みはありそうもなく、またはそれはできない場合に特に有益である。
【0004】
米国特許第5,310,650号に記載された典型的慣用的ディップスティックでは、一本鎖DNA捕捉プローブは、フィルターの一端(接触端)から離れた捕捉帯でニトロセルロースフィルター上に固定される。捕捉プローブの配列の一部は、検出される標的核酸の一次領域の配列と相補的である。標的化一本鎖DNA検出プローブは、フィルターの捕捉帯および接触端間に位置するプローブ帯でニトロセルロースフィルター上に固定される。検出プローブは、標的核酸の二次領域(一次領域とは異なる)の配列と相補的な配列を有する。
【0005】
標的DNAを含有すると思われる試料溶液中の一本鎖標的DNAを検出するために、ニトロセルロースフィルターの接触端は試料溶液と接触される。試料溶液は毛管作用によりフィルターに吸い上げられ、プローブ帯および捕捉帯を通過する。試料溶液がプローブ帯を通過すると、それは検出プローブを流動させて、それを捕捉帯に向かって試料溶液とともに上昇させる。流動化検出プローブは次に、試料溶液中に存在する任意の標的DNAの二次領域とハイブリダイズし得る。
【0006】
ハイブリダイズ化検出プローブおよび標的DNAが捕捉帯に達すると、標的DNAの一次領域は固定化捕捉プローブとハイブリダイズし得る。それにより三成分複合体が、標的核酸、捕捉プローブおよび標識化検出プローブ間に形成される。したがって捕捉帯での標識の存在は、標的DNAが試料溶液中に存在することを示す。
【0007】
第二の型の慣用的ディップスティックに関しては、標識化DNA検出プローブはニトロセルロースフィルター上に固定されない。その代わり、検出プローブは、検出プローブと試料溶液中の任意の標的核酸とのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で試料溶液に付加される。次にニトロセルロースフィルターの接触端が試料溶液と接触され、試料溶液がディップスティックに吸い上げられると、検出プローブとハイブリダイズされる任意の標的核酸が、捕捉プローブにより捕捉帯で捕捉され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、慣用的ディップスティックによる核酸検出の感度は低い可能性がある。標的核酸が二本鎖である場合には、ディップスティック検出の感度は低いことがある。したがって試料溶液中の標的核酸の存在は、時としては検出され得ない。したがってディップスティックによる標的核酸検出の感度を改良するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の局面によれば、試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティックであって、以下の:
試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、ならびに
接触端から離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉プローブであって、標的核酸とハイブリダイズし得るか、あるいは標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであり、捕捉プローブが捕捉プローブスペーサーに連結され、捕捉プローブスペーサーが捕捉帯に連結され、それにより捕捉帯に捕捉プローブを固定し、そして捕捉帯と捕捉プローブとの間に間隔を置く捕捉プローブ
を含むディップスティックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の捕捉プローブスペーサーまたは検出プローブスペーサーの構成成分として適切な非タンパク質構成成分の化学構造を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施態様を用いたトラコーマクラミジアChlamydia trachomatis標的核酸の検出を示す図である。
【図3】図3は、実施例1に関する実験設定を示す図である。
【図4】図4は、実施例2に関する実験設定を示す図である。
【図5】図5は、実施例3に関する実験設定を示す図である。
【図6】図6は、実施例4に関する実験設定を示す図である。
【図7】図7は、実施例6に関する実験設定を示す図である。
【図8】図8は、実施例7に関する実験設定を示す図である。
【図9】図9は、実施例9に関する実験設定を示す図である。
【図10】図10は、実施例10に関する実験設定を示す図である。
【図11】図11は、実施例11に関する実験設定を示す図である。
【図12】図12は、実施例で用いられるビオチン検出リガンドに結合された異なる検出プローブの構造を模式的に示す図である。
【図13】トラコーマクラミジアの一段階核酸ディップスティック検定検出(トラコーマクラミジア基本小体の数)の結果を示す図である。
【図14】トラコーマクラミジアの核酸ディップスティック検定検出の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「クロマトグラフィーストリップ」という用語は、毛管作用により溶液を輸送し得る物質の任意の多孔性ストリップを意味するために本明細書中で用いられる。
【0012】
捕捉プローブスペーサーは、捕捉プローブが標的核酸またはフックプローブとハイブリダイズし得るのを防止することなく、捕捉プローブと捕捉帯との間に間隔を置く任意の構成成分を含み得る。好ましくは捕捉プローブスペーサーは、生体高分子を含む。
【0013】
捕捉プローブスペーサーは、タンパク質を含み得る。「タンパク質」という用語は、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を含む任意の化合物を意味するために本明細書中で用いられる。好ましいタンパク質の例は、天然タンパク質、好ましくはウシ血清アルブミン(BSA)、チログロブリンまたはその誘導体である。誘導体としては、アミノ酸置換、付加または欠失により、あるいは翻訳後修飾によりBSAまたはチログロブリンとは異なるタンパク質が挙げられる。
【0014】
捕捉プローブをタンパク質スペーサーに連結するためには、捕捉プローブを機能的にすることが一般的に必要である。これは、捕捉プローブと反応し得る一次反応基およびタンパク質と反応し得る二次反応基を含む変性剤の使用によりなされ得る。適切な変性剤は、ホスホルアミダイト基および第一アミノ基(または使用前に脱保護化される保護化第一アミノ基)を含む。ホスホルアミダイト基は、ヒドロキシル基(捕捉プローブが核酸である場合、通常は捕捉プローブの5’−OHまたは3’−OH)と反応し得るし、第一アミノ基はタンパク質のカルボキシル基と反応し得る。適切な変性剤の例は、6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(C6−TFA)である。その他の適切な変性剤は、当業者に既知である。
【0015】
一旦変性剤が捕捉プローブおよびタンパク質と反応して、捕捉プローブをタンパク質に連結すれば、反応化変性剤は、本明細書中では「リンカー」と呼ばれる。
【0016】
好ましくはタンパク質は、捕捉プローブに直接吸着される。
【0017】
慣用的ディップスティックでは、検出プローブまたは捕捉プローブは、共有結合、吸着、熱の使用により、またはUV架橋によりディップスティックに固定される。しかしながら、タンパク質は、捕捉プローブより容易に且つ効率的にディップスティックに固定され得る、ということが判明した。その結果として、捕捉帯へのタンパク質の直接吸着は、慣用的固定よりも、ディップスティックに捕捉プローブを固定するより便利で且つより効率的な手段である。
【0018】
捕捉プローブスペーサーは、非タンパク質を含み得る。好ましい配置では、捕捉プローブスペーサーは、タンパク質および非タンパク質を含み、捕捉プローブは非タンパク質に結合され、そして非タンパク質はタンパク質に結合されて、それにより捕捉プローブとタンパク質との間に間隔を置く。
【0019】
タンパク質に非タンパク質を連結するためには、非タンパク質と反応し得る一次反応基およびタンパク質と反応し得る二次反応基を含む変性剤を用いることが一般的に必要である。
【0020】
ヘキシル基を含む非タンパク質とともに用いるための適切な変性剤は、6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(C6−TFA)である。その他の適切な変性剤は、当業者に既知である。
【0021】
一旦変性剤が非タンパク質およびタンパク質と反応して、非タンパク質をタンパク質に連結すれば、反応化変性剤は、本明細書中では「リンカー」と呼ばれる。
【0022】
適切な非タンパク質スペーサー構成成分の例としては、1’,2’−ジデオキシリボースホスフェート(dS)、3−ヒドロキシプロピルホスフェート(SC3)およびヘキサエチレングリコールホスフェート(S)が挙げられる。これらの化合物の化学構造は、図1に示されている。
【0023】
しかしながら好ましくは、非タンパク質は、捕捉プローブが標的核酸またはフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合、形成された塩基対と積重ね相互作用を生じ得るヌクレオ塩基を含む。さらに好ましくは、非タンパク質はヌクレオチドを含む。もっとも好ましくは、非タンパク質は1つまたはそれ以上のヌクレオチドのみからなる。
【0024】
好ましくは非タンパク質は、少なくとも3ヌクレオチドモノマー長である。1つのヌクレオチドモノマー(N)の長さは、1個の1’,2’−ジデオキシリボースホスフェート(dS)または1個の3−ヒドロキシプロピルホスフェート(SC3)の長さとほぼ等しい。3個のヌクレオチドモノマーは、1個のヘキサエチレングリコールホスフェート(S)の長さとほぼ等しい。
【0025】
捕捉プローブスペーサーは、捕捉プローブが標的核酸またはフック捕捉プローブとハイブリダイズするのを妨げない捕捉プローブの任意の部分に連結され得る。捕捉プローブスペーサーが捕捉プローブの末端間の捕捉プローブの一部分に連結される場合、捕捉プローブの一端または両端は、捕捉プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合には標的核酸とハイブリダイズせず、あるいは捕捉プローブがフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合にはフック捕捉プローブとハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合され得る。
【0026】
好ましくは捕捉プローブスペーサーは、捕捉プローブの一端に連結される。捕捉プローブスペーサーが捕捉プローブの一端に連結される場合、捕捉プローブスペーサーに連結されない捕捉プローブの末端は、捕捉プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合には標的核酸とハイブリダイズせず、あるいは捕捉プローブがフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合にはフック捕捉プローブとハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合され得る。
【0027】
フック捕捉プローブは、標的核酸とハイブリダイズし得る一次領域および捕捉プローブとハイブリダイズし得る二次領域を含み、それにより標的核酸との捕捉プローブの間接的結合を可能にする。フック捕捉プローブは、少なくとも1つの核酸または核酸類似体を含み得る。
【0028】
本発明の第一の局面のディップスティックは、試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験方法であって、標的核酸とハイブリダイズし得る検出プローブが、標的核酸との検出プローブのハイブリダイゼーションのための条件下で試料溶液とともにインキュベートされる方法に用いられ得る。ディップスティックの接触端は試料溶液と接触され、もう監査用により試料溶液がディップスティックを上昇するのを可能にする。試料溶液中の検出プローブとハイブリダイズされた標的核酸は次に、捕捉帯で捕捉プローブにより捕捉され得る。次に試料溶液中の標的核酸の存在が、捕捉帯での検出プローブの存在により示される。
【0029】
したがって本発明は、試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
本発明の第一の局面のディップスティック、および
標的核酸とハイブリダイズし、それにより検出プローブを利用した標的核酸の検出を可能にし得る検出プローブ
を含むキットも提供する。
【0030】
試料溶液とともに検出プローブをインキュベートする代わりに、検出プローブは、例えば接触端とクロマトグラフィーストリップの捕捉帯との間のプローブ帯でディップスティックに放出可能的に固定され得る。試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するために、試料溶液が毛管作用によりディップスティックに吸い上げられるよう、ディップスティックの接触端が試料溶液と接触され得る。試料溶液がディップスティックのプローブ帯を通過すると、検出プローブが試料溶液中の標的核酸とハイブリダイズし、そして標的核酸とともに捕捉帯に移動し得るよう、それが検出プローブを流動化する。検出プローブとハイブリダイズされた標的核酸は、試料溶液が捕捉帯を通過すると、捕捉プローブにより捕捉される。次に試料溶液中の標的核酸の存在が、捕捉帯での検出プローブの存在により示される。
【0031】
検出プローブは標的に結合され、それにより捕捉帯での標的核酸の直接検出を可能にする。あるいは検出プローブは、検出リガンドに結合されて、検出リガンド結合部分を用いた標的核酸の間接的検出を可能にする。標識または検出リガンドは、検出プローブに連結される検出プローブスペーサーに連結され、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合して、標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置く。
【0032】
本発明の第二の局面によれば、試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティックであって、以下の:
試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、
接触端から遠く離れた捕捉帯に固定された捕捉部分であって、標的核酸と直接または間接的に結合し得る捕捉部分、ならびに
接触端および捕捉帯間に置かれたプローブ帯に放出可能的に固定された検出プローブであって、標的核酸とハイブリダイズし得る、そして標的と結合されて、検出プローブの直接的検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブの間接的検出を可能にする検出プローブ
を含むディップスティックであって、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、そして標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くディップスティックが提供される。
【0033】
検出プローブスペーサーは、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズし得るのを妨げることなく、検出プローブと標識またはリガンドとの間に間隔を置く任意の構成成分を含み得る。好ましくは検出プローブスペーサーは生体高分子を含む。
【0034】
検出プローブスペーサーは、タンパク質を含み得る。「タンパク質」という用語は、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を含む任意の化合物を意味するために本明細書中で用いられる。好ましいタンパク質の例は、天然タンパク質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、チログロブリンまたはその誘導体である。誘導体としては、アミノ酸置換、付加または欠失により、あるいは翻訳後修飾によりBSAまたはチログロブリンとは異なるタンパク質が挙げられる。
【0035】
検出プローブをタンパク質スペーサーに連結するためには、検出プローブを機能的にすることが一般的に必要である。これは、検出プローブと反応し得る一次反応基およびタンパク質と反応し得る二次反応基を含む変性剤の使用によりなされ得る。
【0036】
適切な変性剤の例は、6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(C6−TFA)である。その他の適切な変性剤は、当業者に既知である。
【0037】
一旦変性剤が検出プローブおよびタンパク質と反応して、検出プローブをタンパク質に連結すれば、反応化変性剤は、本明細書中では「リンカー」と呼ばれる。
【0038】
標識または検出リガンドは、ビーズのような粒子の一部であり得るか、またはそれに付着される。好ましくはタンパク質は、標識または検出リガンドに直接吸着される。
【0039】
検出プローブスペーサーは、非タンパク質を含み得る。好ましい配置では、検出プローブスペーサーは、タンパク質および非タンパク質を含み、検出プローブは非タンパク質に結合され、そして非タンパク質はタンパク質に結合されて、それにより検出プローブとタンパク質との間に間隔を置く。
【0040】
タンパク質に非タンパク質を連結するためには、非タンパク質と反応し得る一次反応基およびタンパク質と反応し得る二次反応基を含む変性剤を用いることが一般的に必要である。ヘキシル基を含む非タンパク質とともに用いるための適切な変性剤は、6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(C6−TFA)である。その他の適切な変性剤は、当業者に既知である。
【0041】
一旦変性剤が非タンパク質およびタンパク質と反応して、非タンパク質をタンパク質に連結すれば、反応化変性剤は、本明細書中では「リンカー」と呼ばれる。
【0042】
その他の配置では、検出プローブスペーサーは非タンパク質のみを含む。このような配置に関しては、標識または検出リガンドに非タンパク質を連結するためには、非タンパク質を機能的にすることが一般的に必要である。これは、非タンパク質と反応し得る一次反応基および標識または検出リガンドと反応し得る二次反応基を含む変性剤を用いることによりなされ得る。
【0043】
非タンパク質がヒドロキシル基を含み、そして標識または検出リガンドがカルボキシル基を含む場合、適切な変性剤は、ホスホルアミダイト基および第一アミノ基(または使用前に脱保護される保護化第一アミノ基)を含む。6−(トリフルオロアセチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト(C6−TFA)は適例である。その他の適切な変性剤は、当業者に既知である。
【0044】
適切な非タンパク質検出プローブスペーサー構成成分の例としては、1’,2’−ジデオキシリボースホスフェート(dS)、3−ヒドロキシプロピルホスフェート(SC3)およびヘキサエチレングリコールホスフェート(S)が挙げられる。
【0045】
しかしながら好ましくは、非タンパク質は、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合、形成された塩基対と積重ね相互作用を生じ得る塩基を含む。さらに好ましくは、非タンパク質はヌクレオチドを含む。もっとも好ましくは、非タンパク質は1つまたはそれ以上のヌクレオチドのみからなる。
【0046】
好ましくは非タンパク質は、少なくとも3ヌクレオチド長である。
【0047】
検出プローブスペーサーは、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズするのを妨げない検出プローブの任意の部分に連結され得る。検出プローブスペーサーが検出プローブの末端間の検出プローブの一部分に連結される場合、検出プローブの一端または両端は、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合には標的核酸とハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合され得る。
【0048】
好ましくは検出プローブスペーサーは、検出プローブの一端に連結される。検出プローブスペーサーが検出プローブの一端に連結される場合、検出プローブスペーサーに連結されない検出プローブの末端は、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合には標的核酸とハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合され得る。
【0049】
捕捉部分は、塩基対合により、または非塩基対合相互作用により、標的核酸と直接または間接的に結合し得る。
【0050】
例えば捕捉部分は、標的核酸と直接的にハイブリダイズし得る捕捉プローブを含み得る。あるいは捕捉部分は、標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブを含み得る。
【0051】
捕捉部分は、標的核酸に結合された捕捉プローブに結合される捕捉リガンドと結合して、それにより捕捉部分と標的核酸との間接的結合を可能にし得る。例えば捕捉部分は、抗体または抗体断片であり得る。捕捉プローブが捕捉リガンドに連結され得る場合、捕捉プローブは、捕捉リガンドと捕捉プローブとの間に間隔を置くために、捕捉リガンドに連結される捕捉プローブスペーサーに連結され得る。
【0052】
フック捕捉プローブは、それが試料溶液中の標的核酸と結合し、試料溶液が毛管作用によりディップスティックに吸い上げられると、捕捉プローブにより捕捉され得るよう、試料溶液に付加され得る。
【0053】
捕捉プローブ、フック捕捉プローブおよび検出プローブは各々、少なくとも1つの核酸または核酸類似体を含み得る。プローブが1つより多い核酸または核酸類似体を含む場合、それらは好ましくは一緒にハイブリダイズされる。
【0054】
本発明は、試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのキットであって、以下の:
捕捉部分が、標的核酸に結合された捕捉プローブに結合された捕捉リガンドと結合し得る本発明の第二の局面によるディップスティック、ならびに
標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉部分により結合され得る捕捉リガンドに結合される捕捉プローブ
を含むキットも提供する。
【0055】
適切な標識の例としては、テキスタイル染料、金属ゾル、例えばコロイド金および着色粒子、例えば着色ラテックス粒子が挙げられる。このような標識は、検出プローブに直接結合され得るか、あるいは検出プローブが検出リガンドに結合される場合には、検出リガンド結合部分に結合され得る。
【0056】
適切な捕捉または検出リガンドの例としては、ビオチン(例えば抗ビオチン抗体、アビジン、ストレプタビジンまたはその誘導体により捕捉または検出される)、フルオロセイン(例えば抗フルオレセイン抗体により捕捉または検出される)、および2,4−ジニトロフェノール(DNP)(例えば抗DNP抗体により捕捉または検出される)が挙げられる。
【0057】
検出プローブは、標的核酸に結合されたフック検出プローブとハイブリダイズし得る普遍検出プローブを含み得る。普遍検出プローブは標識または検出リガンドに連結され、それにより検出プローブの検出を可能にし得る。
【0058】
本発明のキットおよびディップスティックは、試料溶液中の標的核酸を検出するために用いられるキットに必要な任意の試薬をさらに含み得る、と理解される。例えば、検出リガンドに結合された検出プローブを含む本発明のキットは、検出リガンド結合部分をさらに含み得る。これは、ディップスティックに分離されるか、あるいは接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され得る。
【0059】
検出リガンド結合部分は、抗体または抗体断片、あるいは非抗体を含み得る。例えば検出リガンドがビオチンを含む場合、検出リガンド結合部分は、ビオチン結合活性を保持する抗ビオチン抗体、ストレプタビジン、アビジンまたはその誘導体を含み得る。好ましくは検出リガンド結合部分は標識され、それにより検出プローブおよび検出リガンド結合部分を用いた標的核酸の間接的検出を可能にする。
【0060】
本発明は、スペーサーに連結された検出プローブおよび/または捕捉プローブの使用に関すると、そして検出プローブまたは捕捉プローブは標的核酸の検出方法によってディップスティックに固定されるかまたは試料溶液とともにインキュベートされ得る、と理解される。
【0061】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定されている捕捉プローブを含むディップスティック、ならびに
ii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接的検出を可能にする、あるいはリガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含むキットであって、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くキットも本発明により提供される。
【0062】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉部分であって、標的核酸と直接または間接的に結合し得る捕捉部分を含むディップスティック、
ii)標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉部分により結合され得る捕捉リガンドに結合される捕捉プローブ、ならびに
iii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含むキットであって、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、そして標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くキットも本発明により提供される。
【0063】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉部分を含むディップスティック、
ii)標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉プローブが捕捉プローブスペーサーに連結され、そして捕捉プローブスペーサーが捕捉リガンドに連結されて、それにより捕捉リガンドを捕捉プローブに結合し、捕捉リガンドと捕捉プローブとの間に間隔を置く捕捉プローブ、ならびに
iii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含むキットも本発明により提供される。
【0064】
本発明のさらなる局面によれば、固相にプローブを固定するための方法であって、タンパク質に結合されたプローブを提供し、そしてタンパク質を固相に吸着することを包含する方法が提供される。
【0065】
固相にプローブを固定するための本発明の方法は、プローブをタンパク質に結合することをさらに包含し得る。
【0066】
プローブは好ましくはリンカーに結合され、そしてリンカーはタンパク質に結合される。プローブは、好ましくはリンカーがタンパク質に結合される前にリンカーに結合される。
プローブは、核酸または核酸類似体を包含し得る。
【0067】
リンカーは、好ましくはプローブの非ヌクレオ塩基部分に結合される。プローブが核酸を含む場合、リンカーは好ましくはプローブの糖またはホスフェート基に結合される。プローブが核酸類似体PNA(タンパク質核酸)を含む場合、リンカーは好ましくはプローブのアミノ基に結合される。これは、リンカーがヌクレオ塩基の塩基対合を妨害しないようにということである。あるいはリンカーは、プローブおよびその結合相手の塩基対合相互作用をリンカーが妨害しないよう、プローブの結合相手(例えば標的核酸)とハイブリダイズし得るプローブの部分の5’または3’に結合され得る。
【0068】
プローブは、好ましくは、リンカーに結合されたホスホルアミダイト基とプローブのヒドロキシル基との反応により、またはリンカーのヒドロキシル基とプローブに結合されたホスホルアミダイト基との反応により、リンカーに結合される。
【0069】
リンカーは好ましくは、リンカーに結合された第一アミノ基とタンパク質のカルボキシル基との反応により、タンパク質に結合される。
【0070】
固相は、膜を、好ましくはニトロセルロース膜を含み得る。あるいは固相は、ビーズのような粒子を含み得る。
【0071】
プローブに結合されたタンパク質の固相への吸着により固相に固定されたプローブも、本発明により提供される。
【0072】
試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティック検定における本発明のディップスティック、キットまたはプローブの使用も、本発明により提供される。
【0073】
捕捉プローブスペーサーに連結された捕捉プローブが標的核酸とのハイブリダイゼーションのためにより利用可能であるため、捕捉プローブスペーサーを有する本発明のディップスティックの感度は改良される、と考えられる。捕捉プローブはそれにより、標的核酸とのハイブリダイゼーションのためにより利用可能であり、そして捕捉リガンドが捕捉部分による結合のためにより利用可能であるため、捕捉プローブが捕捉プローブスペーサーにより捕捉リガンドに結合される本発明のディップスティックまたはキットの感度は改良され得る。
【0074】
同様に、検出プローブスペーサーが標的核酸とのハイブリダイゼーションのために検出プローブをより利用可能にするために、検出プローブを標識に結合する検出プローブスペーサーを有する本発明のディップスティックまたはキットの感度は改良される、と考えられる。検出プローブが検出プローブスペーサーにより検出リガンドに結合される場合、検出プローブは標的核酸とのハイブリダイゼーションのためにより利用可能であり、そして検出プローブリガンドも検出リガンド結合部分に対してより利用可能であり得る、と考えられる。
【0075】
ヌクレオチドまたはヌクレオ塩基が、捕捉プローブまたは検出プローブと標的核酸との間に形成される塩基対との積重ね相互作用を生じ得るために、本発明によるヌクレオ塩基を含むスペーサーの使用は特に有効であると考えられる。積重ね相互作用の生成は、捕捉プローブまたは検出プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションを強化し、それによりディップスティックの捕捉帯での標的核酸の捕捉または検出の効率を改良すると考えられる。
【0076】
適切な場合、本発明のディップスティックおよびキットは、試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するための以下の種類のディップスティック検定において用いられ得る:
1)接触端を有するクロマトグラフィーストリップおよび接触端から遠く離れた捕捉帯で固定された捕捉プローブであって、標的核酸とハイブリダイズし得る捕捉プローブを含むディップスティックが提供される。検出プローブは、検出プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションのための条件下で試料溶液と接触される。試料溶液は、ディップスティックの接触端と接触されて、毛管作用により試料溶液を捕捉帯に移動させ、それにより標的核酸および検出プローブを試料溶液とともに捕捉帯に移動させ、そして標的核酸を捕捉帯で捕捉させる。検出プローブは次に、捕捉帯で検出され得る。捕捉帯での検出プローブの存在は、標的核酸が試料溶液中に存在したことを示す。
【0077】
この検定の変法では、検出プローブは、ディップスティックから分離される代わりに、接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され得る。ディップスティックの接触端が試料溶液と接触された場合、試料溶液が捕捉帯に移動すると、放出検出プローブが試料溶液中の標的核酸とハイブリダイズし得るよう、毛管作用により試料溶液が捕捉帯に移動されて、検出プローブが試料溶液中に放出される。
【0078】
この検定のさらなる変法では、検出プローブは試料溶液から分離され、そしてディップスティックの捕捉帯と接触される。これは通常は、ディップスティックの接触端が試料溶液と接触された後に実行される。検出プローブは捕捉帯と直接接触され得るし、あるいは検出プローブは、ディップスティックの接触端と接触されて、毛管作用によりプローブ溶液を捕捉帯に移動させる別個のプローブ溶液中に存在し得る。
【0079】
2)接触端を有するクロマトグラフィーストリップおよび接触端から遠く離れた捕捉帯で固定された捕捉部分であって、標的核酸にハイブリダイズされた捕捉プローブを結合し得る捕捉部分を含むディップスティックが提供される。捕捉プローブは、捕捉プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションのための条件下で試料溶液と接触される。試料溶液は、ディップスティックの接触端と接触されて、毛管作用により試料溶液を捕捉帯に移動させ、それにより標的核酸および捕捉プローブを試料溶液とともに捕捉帯に移動させ、そして捕捉部分を捕捉プローブに結合することにより標的核酸を捕捉帯で捕捉させる。標的核酸は次に、捕捉帯で検出され得る。標的核酸は、検定(1)に関して記載したような検出プローブを用いて検出され得る。検出プローブは、捕捉プローブと一緒に、または捕捉プローブとは別々に(任意の順序で)、試料溶液に付加され得る。あるいは、検出プローブは、接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され得るし、あるいは別個に、検定(1)に関して記載されたような捕捉帯と接触され得る。
【0080】
この検定(2)の変法では、捕捉プローブは、試料溶液と混合される代わりに、接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され得る。ディップスティックの接触端が試料溶液と接触されて、毛管作用により試料溶液が捕捉帯に移動されると、放出捕捉プローブが試料溶液中に放出されるよう、捕捉プローブが試料溶液中に放出され、したがって放出された捕捉プローブは、試料溶液が捕捉帯に移動すると試料溶液中の標的核酸とハイブリダイズし得る。標的核酸は、試料溶液と接触され、接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され、または別個に捕捉帯と接触され得る検出プローブを用いて検出され得る。
【0081】
検定(2)のさらなる変法では、捕捉プローブは、毛管作用により試料溶液が捕捉帯に達する前に(または例外的に同時に)、捕捉帯と接触され得る。これは、標的核酸が捕捉され得るよう、捕捉帯で捕捉部分により捕捉プローブを結合させる。捕捉プローブは、それを捕捉帯に直接適用することにより、またはディップスティックの接触端と捕捉プローブを接触させて、毛管作用によりプローブ捕捉プローブを捕捉帯に移動させることにより、別個に捕捉プローブと接触される別個の捕捉プローブ溶液中に存在し得る。ディップスティックの接触端の試料溶液とのその後の接触は、毛管作用により標的核酸を捕捉帯に到達させて、そこで捕捉される。さらに標的核酸は、試料溶液と接触され、接触端および捕捉帯間のディップスティックに放出可能的に固定され、あるいは別個に捕捉帯と接触され得る検出プローブを用いて検出され得る。検定(2)における検出プローブの使用に代わるものとして、標的核酸は、例えば標識と標的核酸との共有結合により、試料溶液中で直接標識され得る。これは、前駆体標識を試料溶液と接触させ、標識と標的核酸の共有結合のための条件下で試料溶液および前駆体標識をインキュベートすることにより、達成され得る。
【0082】
検定(2)の捕捉部分は、捕捉プローブとハイブリダイズし得る普遍捕捉プローブであり得るし、あるいは捕捉部分は、捕捉プローブとの非塩基対合相互作用により結合し得る。例えば捕捉プローブが1つまたはそれ以上の捕捉リガンドを含む場合、捕捉部分は捕捉リガンド結合部分である。
【0083】
ディップスティック検定が標的核酸とハイブリダイズし得る1つより多いプローブを用いる場合、すべてのプローブが試料溶液に付加されるのが、そしてハイブリダイゼーションが単一段階で実行されるのが好ましい。これは検定を簡素化し、それをより容易に且つより迅速に実施させる。一段階ハイブリダイゼーション検定を用いる標的核酸の検出感度は、ハイブリダイゼーションが多段階で実行される場合の検出感度とほぼ等しい、ということが判明した。多段階ハイブリダイゼーションは、異なるプローブと試料溶液中の標的核酸との連続ハイブリダイゼーションにより、あるいはディップスティックを、各々異なるプローブを含有する異なる溶液と接触することにより実行され得る。通常は、多段階ハイブリダイゼーションの後者の方法は、異なるプローブ溶液との各接触間にディップスティックを洗浄することを包含する。多段階ハイブリダイゼーションが好ましい環境が存在し得るが、しかしより簡単且つ迅速なフォーマットの一段階ハイブリダイゼーションが通常は好ましい、と理解される。
【0084】
試料溶液はハイブリダイゼーション反応を単一ハイブリダイゼーション段階で起こさせ、そして非塩基対合相互作用を起こさせて(例えば検出リガンドと検出リガンド結合部分との間、ならびに捕捉リガンドと捕捉リガンド結合部分との間)、そして標的核酸および1つまたはそれ以上のハイブリダイズ化プローブおよび(任意に)リガンド結合部分を含む複合体を毛管作用によりディップスティックまで押し上げるための適切な組成物を有する、というのが最も好ましい。このような試料溶液を用いて、ハイブリダイゼーション反応は次に単一段階で実行され、そして試料溶液がディップスティックの接触端と直接接触される前に(試料溶液を先ず希釈し、または変える必要性を伴わずに)、任意のリガンド−リガンド結合部分相互作用が起こり得る、と理解される。リガンド−リガンド結合部分相互作用は、試料溶液が捕捉帯に移動すると、所望によりディップスティック上で付加的にまたは代替的に起こり得る。標的核酸の簡単且つ迅速なディップスティック検出は、それにより促される。
【0085】
このような結果は、塩、洗剤およびブロッキングタンパク質、例えばBSAまたは粉乳とともに標準ハイブリダイゼーション緩衝液(例えばSSPE緩衝液またはトリス緩衝液)を含む試料溶液を用いて達成される、ということをわれわれは見出した。このような検定を用いた標的核酸の検出感度は、他のディップスティック検定とほぼ等しいかまたはそれより良好であることが判明した。
【0086】
添付の図面を参照しながら、本発明の実施態様を実例としてここで説明する。
実施例は、クラミジア属細菌のトラコーマクラミジアChlamydia trachomatis(CT)の隠れたプラスミドのDNA断片の検出に関する。CTは、性感染病の最も一般的な原因の1つである。CT感染は、不妊症を引き起こし得るし、そして妊娠中には、自然流産を、さらに出産時または出産後子宮内膜炎を生じ得る。新生児において、CT感染は失明および慢性呼吸疾患を引き起こし得る。感染男性の約10%、および感染女性の約70%がCT感染の症状を示さない。したがって、病気の早期治療が開始され得るよう、CT感染の的確な診断が重要である。
【0087】
実施例においては、ディップスティック10を用いて、試料溶液14中の一本鎖または二本鎖CT標的核酸12を検出しようと試みた(図2参照)。ディップスティック10は、試料溶液14を接触するための接触端18を有するニトロセルロースのストリップ16、ならびに接触端18から遠く離れたニトロセルロースストリップ16の捕捉帯22に固定された捕捉プローブ20を包含する。抗ビオチン抗体染料接合体24は、接触端18と捕捉帯22との間に位置するニトロセルロースストリップの接合体帯26で放出可能的に固定される。捕捉プローブ20は、標的核酸12の一方の鎖(一次鎖)の一次領域とハイブリダイズし得る。
【0088】
試料溶液14は、トラコーマクラミジアChlamydia trachomatisで1ml尿をスパイクし、次に15Krpmで30分間、尿を遠心分離することにより調製される。ペレットが100μl標準ハイブリダイゼーション緩衝液(遮断剤、例えばカゼインまたはBSAを含む)中に再懸濁される。標的核酸とハイブリダイズし得る検出プローブ28が次に付加される(使用される場合、検出プローブおよび/または捕捉プローブにより認識される領域に隣接する標的核酸とハイブリダイズし得るヘルパープローブとともに)。検出プローブ28は、ビオチンに(または実施例5においてはフルオレセインに)結合される(当業者に周知の方法を用いて)。試料溶液14は次に、100℃に7分間加熱され、そして冷却される。
【0089】
ディップスティック10の接触端18は次に、試料溶液14と接触される。試料溶液14、ならびに検出プローブ28とハイブリダイズされた任意の標的核酸12は、毛管作用によりディップスティック10を上昇する。試料溶液14が接合体帯26を通過すると、それは抗ビオチン抗体−染料接合体24を流動化する。放出された抗ビオチン抗体−染料接合体24は次に、標的核酸12とハイブリダイズされた検出プローブ28に結合されたビオチンと結合し得る。
【0090】
抗ビオチン抗体−染料接合体24、検出プローブ28および標的核酸12間に形成される複合体は次に、ディップスティック10に吸い上げられて捕捉帯22まで移動し、そこで複合体の標的核酸が固定化捕捉プローブ20とハイブリダイズし得る。捕捉プローブ20は、それが捕捉帯22を通って移動すると、試料溶液14により流動化され得ないような方法で捕捉帯22に固定される。その結果として、捕捉プローブに結合された複合体は捕捉帯中に残存し、捕捉帯での抗ビオチン抗体−染料接合体の染料の存在により検出され得る。
【0091】
試料溶液中にCT標的核酸が存在しない場合、検出プローブ28は捕捉帯22で捕捉され得ず、したがって染料は捕捉帯で可視的でない。試料溶液中にCT標的核酸が存在するが、しかし不十分量の標的核酸が捕捉帯で捕捉され得る場合には、試料溶液中の標的核酸の存在は検出されない。
【0092】
標的核酸の検出感度は、捕捉プローブがハイブリダイズする標的核酸の領域と検出プローブがハイブリダイズする領域との間の距離が26ヌクレオチド未満である場合、低減され得る、ということが判明した。したがって、これらの領域間の距離は少なくとも26ヌクレオチド、好ましくは少なくとも200ヌクレオチドである、というのが好ましい。
【実施例】
【0093】
前記の標的核酸の捕捉は、以下の実施例中では直接プローブ捕捉として言及される。実施例における標的核酸の検出の強度は、0〜5のスケールで記録され、5は最強検出を表し、そして0は検出なしを表す。
以下の実施例に用いられるプローブの配列を以下に示す:
配列番号1:5’TGCAACTCTTGGTGGTAGACTTTGC
配列番号2:5’GCGCACAGACGATCTATTTTTTGCA
配列番号3:5’CGGGCGATTTGCCTTAACCCCACCA
配列番号4:5’CCAAGCTTAAGACTTCAGAGGAGCG
配列番号5:5’CATGCGTTTCCAATAGGATTCTTGG
配列番号6:5’CACAGTCAGAAATTGGAGTGCTGGC
配列番号7:5’CTTGCTGCTCGAACTTGTTTAGTAC
配列番号8:5’AGAAGTCTTGGCAGAGGAAACTTTT
配列番号9:5’CTAGAATTAGATTATGATTTAAAAGGG
配列番号10:5’TTCATATCCAAGGACAATAGACCAA
配列番号11:5’TGATCTACAAGTATGTTTGTTGAGT
配列番号12:5’TGCATAATAACTTCGAATAAGGAGAAG
配列番号13:5’TCCCTCGTGATATAACCTATCCG
配列番号14:5’CAGGTTGTTAACAGGATAGCACGC
配列番号15:5’CTCGTTCCGAAATAGAAAATCGCA
配列番号16:5’GGTAAAGCTCTGATATTTGAAGAC
配列番号17:5’CTGAGGCAGCTTGCTAATTATGAGT
下記の実施例における検出プローブの構造は、図12に模式的に示されている。
【0094】
実施例1
実験設定:
捕捉フォーマット:直接プローブ捕捉(cp)(ディップスティック上に固定された配列番号14);
検出プローブ(dp):5’末端に直接結合されたビオチンを伴う、あるいは3ヌクレオチド(N3)、6ヌクレオチド(N6)、SまたはSSスペーサーによる配列番号13または配列番号15、もしくは3’末端に直接結合されたビオチンを伴う配列番号13。各々の1012コピー。
【0095】
検出フォーマット:抗ビオチン抗体染料接合体;
標的DNA:73または76ヌクレオチド一本鎖DNA断片(5x1011〜1010コピー)。
【0096】
結果
【0097】
【表1】
【0098】
これらの結果は、以下のことを示す:
N6、N3、SSまたはSスペーサーにより5’末端に結合されたビオチンを伴う検出プローブを用いた標的核酸検出の感度は、5’末端に直接結合されたビオチンを伴う検出プローブを用いた感度より高かった。
N3およびN6スペーサーは、SおよびSSスペーサーより良好であった。
【0099】
ビオチン(またはその他の検出リガンド)は検出プローブの一端に結合される、というのが好ましい。捕捉プローブおよび検出プローブが捕捉帯で標的核酸とハイブリダイズされる場合に形成された複合体においては、ビオチン(またはその他の検出リガンド)は、捕捉プローブとハイブリダイズする標的核酸の領域に近位の検出プローブの末端に(内部的に配向される)、あるいは好ましくは捕捉プローブとハイブリダイズする標的核酸の領域に遠位の検出プローブの末端に(外部的に配向される)存在し得る。検出プローブに検出リガンドを結合するためにスペーサーが用いられない場合には、標的核酸の検出感度は一般に、検出リガンドが外部的に配向される場合は、より高い。したがって検出プローブは通常は、検出リガンドが外部的に配向されるよう、選択される。
【0100】
しかしながら本実施例では、検出プローブの3’末端に直接結合された外部的配向ビオチンを伴う検出プローブを用いた検出感度は、6ヌクレオチドスペーサーにより検出プローブの5’末端に結合された内部的配向ビオチンを伴う検出プローブを用いた感度と同様に良好であった。したがって本発明にしたがってスペーサーが用いられる場合、検出プローブは、検出リガンドが捕捉帯で捕捉される複合対中で外部的には移行されるよう選択されねばならないというわけではない。
【0101】
実施例2:
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティック膜上に固定された直接プローブ捕捉(cp)配列番号14;
検出プローブ:3ヌクレオチド(N3)、6ヌクレオチド(N6)、SまたはSSスペーサーにより5’末端に直接結合されたビオチンを伴うプローブ(dp)配列番号13、配列番号15および配列番号16。各々の1012コピー。
検出フォーマット:抗ビオチン抗体染料接合体;
標的DNA:214bp二本鎖DNA断片(1011〜1010コピー)。
【0102】
結果
【0103】
【表2】
【0104】
これらの結果は以下のことを示す:
二本鎖標的核酸の検出感度は、N3、N6、SSまたはSスペーサーを用いて5倍以上改良された。
検出感度は、N3およびSスペーサーを用いた場合よりN6およびSSスペーサーを用いた方が高かったが、これは、スペーサーの長さが検出感度改良のために重要であることを示す。
検出感度は、以下のスペーサーが等価長を有するという事実にもかかわらず、SSスペーサーよりN6スペーサーを用いたほうがより高かったが、これは、スペーサーの物理化学的特性が検出感度改良のために重要であることを示す。
【0105】
N6スペーサーにより5’末端でビオチンに各々結合された2つの検出プローブ(dp13非lab+dp15−N6−B+dp16−N6−B)(この場合、ビオチンは捕捉プローブにより捕捉された複合体中で内部的に配向される)のみを用いる検出の感度は、5’末端でビオチンに各々直接結合された3つの検出プローブ(dp13−B+dp15−B+dp16−B)(この場合、一検出プローブ(dp13−B)のビオチンは捕捉プローブにより捕捉された複合体中で外部的に配向される)を用いた検出感度より大きかった。
【0106】
実施例1および2からの結論
標的核酸検出の感度は、検出プローブに検出リガンドを結合するためにスペーサーを用いることにより増大される。
長いスペーサーのほうが短いスペーサーより良好である。
等価長であるがしかし異なる物理化学的特性を有するスペーサーは、検出感度に異なる作用を及ぼした。特に、非タンパク質構成成分がヌクレオチドのみからなるスペーサーは、非ヌクレオチド構成成分を含むスペーサーより良好である。これに関して考え得る説明をいかに示す:
【0107】
1.ヌクレオチドスペーサーは、検出プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションを強化することにより、検出感度を改良し得る。これらのスペーサーのヌクレオチドは、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズする場合、標的核酸のヌクレオチドと塩基対合すると予測されない。これらのヌクレオチドのヌクレオ塩基は、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズする場合に形成される塩基対との積重ね相互作用を生じ得る。これらの積重ね相互作用は、標的核酸と検出プローブとの間に生成されるハイブリッドの安定性を強化し、それにより標的核酸の検出感度を強化し得る。
【0108】
2.ヌクレオチドスペーサーは、SおよびSSスペーサーより剛性であり得る。ヌクレオチドスペーサーのリボース環は、SおよびSSスペーサーのポリエチレングリコール基よりはるかに大きい剛性を提供すると予測される。このより大きい剛性は、検出リガンド結合部分との相互作用のためにヌクレオチドスペーサーに結合される検出リガンドの利用可能性を増大し得る。
【0109】
3.ヌクレオチドおよび非ヌクレオチドスペーサー間の極性の差は、検出感度における差異を生じ得る。
【0110】
実施例3
実験設定
捕捉フォーマット:直接プローブ捕捉(cp)配列番号10(ディップスティック上に固定);
検出プローブ:直接的に、あるいはN6、SS、(dS)6、(SC3)6またはSN3SN3Sスペーサーによりビオチンに結合された検出プローブ(dp)配列番号13。各々の1012コピー;
検出フォーマット:抗ビオチン抗体染料接合体;
ヘルパープローブ:配列番号10に隣接する配列番号5および配列番号6;配列番号13に隣接する配列番号1および配列番号2(1012コピー)。
標的DNA:872 bp二本鎖DNA断片(2x1011〜1010コピー)。
【0111】
結果
【0112】
【表3】
【0113】
これらの結果は、以下のことを示す:
SS、(dS)6および(SC3)6スペーサーは、それらの構造的差異および特性にもかかわらず、等価長を有し、そして標的核酸の検出感度の強化に同様の作用を及ぼした。
【0114】
N6スペーサーは、SS、(dS)6および(SC3)6スペーサーと等価長を有する。しかしながらN6スペーサーは、標的核酸の検出感度の改良により大きい作用を及ぼした。
標的核酸検出の感度は、SN3SN3Sスペーサー(試験した最長スペーサー)よりN6スペーサーを用いたほうがより高かった。これに関して考え得る説明は、スペーサーのN3構成成分のヌクレオ塩基と検出プローブおよび標的核酸間に形成される塩基対との間の積重ね相互作用をSモノマーが低減または排除する、というものであり得る。このデータは、スペーサーの非対合ヌクレオ塩基と標的核酸および検出プローブ間に形成される二重鎖との間の積重ね相互作用が標的核酸の検出感度の強化に重要である、という結論を支持する。
【0115】
実施例4
ディップスティック試験により、ならびにドットブロット分析により、異なる物理化学的特性および長さを有するスペーサーを評価した。ドットブロット分析は、検出プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションの非存在下で分析される検出プローブに結合されたビオチンとの抗ビオチン抗体の相互作用の効率性を可能にする。異なるスペーサーによりビオチンに結合された検出プローブの5x108〜5x1011コピーを、正荷電ナイロン膜上の異なる場所にスポッティングし、そして膜とUV架橋させた。次に膜を、アルカリ性ホスファターゼ(ニトロブルーテトラゾリウム/5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(NBT/BCIP)色原性基質を転換し得る)に結合された抗ビオチン抗体とともにインキュベートし、洗浄し、NBT/BCIP色原性基質とともにインキュベートし、そして膜を観察して、捕捉帯でいかなる色が生成されたかを見た。
【0116】
ディップスティック試験のための実験設定
捕捉フォーマット:直接プローブ捕捉(cp)配列番号14(ディップスティック上に固定);
検出プローブ:直接的に、あるいはヌクレオチドまたは非ヌクレオチドスペーサーにより5’末端でビオチンに結合された検出プローブ(dp)配列番号13。各々の1012コピー;
検出フォーマット:抗ビオチン抗体染料接合体;
ヘルパープローブ:配列番号14に隣接する配列番号2および配列番号3(1012コピー)。
標的DNA:416 bp二本鎖DNA断片(5x1010〜109コピー)。
【0117】
結果
【0118】
【表4】
【0119】
ドットブロット分析のための実験設定
検出プローブ:直接的に、あるいはヌクレオチドまたは非ヌクレオチドスペーサーにより5’末端でビオチンに結合された検出プローブ配列番号13;
検出フォーマット:アルカリ性ホスファターゼに結合された抗ビオチン抗体。NBT/BSIP色原性基質による検出;
【0120】
結果
【0121】
【表5】
【0122】
ディップスティック試験の結果を以下に示す:
3、4または5ヌクレオチドスペーサーとともに検出プローブを用いた標的核酸検出の感度に、有意差は認められない。
【0123】
6ヌクレオチドスペーサーを用いた検出感度は、3〜5ヌクレオチドスペーサーより極わずかに良好である。
ヌクレオチドのみからなるスペーサーを用いた検出感度は、非ヌクレオチドを含むスペーサーを用いた場合より良好であった。例えばN3スペーサーは、15ヌクレオチド長と等価である最長スペーサーSN3SN3Sより良好であった。
(dS)6スペーサーは、SSスペーサーよりわずかに良好である。
【0124】
ドットブロット試験の結果を以下に示す:
検出感度は、最長スペーサー(SSSおよびSN3SN3S)を用いた場合に最高であった。
異なる物理化学的特性を有する等価長スペーサー(N6、(dS)6およびSS)を用いた検出感度は、同様であった。
【0125】
実施例3および4からの結論
dS構成成分は、ヌクレオチドと同様の構造を有する。ともに、剛性を提供すると予測されるリボース残基を有する。しかしながらヌクレオチドは、dS構成成分中には存在しないヌクレオ塩基を有する。N6スペーサーと比較した場合の標的核酸検出の感度に及ぼす(dS)6スペーサーの異なる作用は、ヌクレオチドスペーサーを用いた検出の感度の改良に及ぼすより大きい作用が、標的核酸と塩基対合しないヌクレオ延期の存在により主に説明される、ということを示唆する。
【0126】
スペーサーの組成は、その長さより重要であると思われる(実施例4のディップスティック試験におけるdp−N3−B5’およびdp−SN3SN3S−B5’に関する結果と比較)。
(dS)6スペーサーを用いた検出感度は、SSスペーサーを用いた場合より高い。これらのスペーサーは、等価長を有する。これは、スペーサーの物理化学的特性、例えば剛性または極性もスペーサーによる検出感度の改良に影響を及ぼし得る、ということを示唆する。
【0127】
実施例4のドットブロット分析は、抗ビオチン抗体に対するビオチンの利用可能性に関してはスペーサー長が重要である、ということを示す。抗ビオチン抗体によるビオチン認識の感度は、ビオチンがN6スペーサーにより固定プローブに結合されようが、(dS)6またはSSスペーサーにより結合されようが、同様である。しかしながら実施例4のディップスティック試験における検出感度に及ぼすこれらのスペーサーの作用は異なった。これは、スペーサーの組成が、抗ビオチン抗体によるビオチンの認識におけるよりも、標的核酸との検出プローブのハイブリダイゼーションにおいてより重要である、ということを示唆する。スペーサーの長さは、抗ビオチン抗体(またはその他の検出リガンド結合部分)によるビオチン(またはその他の検出リガンド)の認識のためのスペーサーの組成よりも、より重要であると思われる。
【0128】
実施例5
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに固定されたBSAに結合された直接プローブ捕捉(cp)配列番号14。捕捉プローブは、直接的にまたは6ヌクレオチドスペーサーにより、BSAに結合される;
検出プローブ:フルオレセインに結合された検出プローブ(dp)配列番号13;
検出フォーマット:抗フルオレセイン抗体−染料接合体;
標的DNA:73ntまたは76nt一本鎖DNA断片(1011コピー)。
【0129】
結果
【0130】
【表6】
【0131】
実施例6
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに固定されたBSAに5’末端で結合された直接プローブ捕捉(cp)配列番号14。捕捉プローブは、N6またはSN3SN3Sスペーサーにより、BSAに結合される;
検出プローブ:ビオチンに結合された検出プローブ(dp)配列番号7、8、9、10、11、12、13、15、16および17;
検出フォーマット:抗ビオチン抗体−染料接合体;
標的DNA:872 bp二本鎖DNA断片(1011〜2.5x109コピー)。
【0132】
結果
【0133】
【表7】
【0134】
実施例7
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに固定されたBSAに結合された直接プローブ捕捉(cp)配列番号15。捕捉プローブは、N6スペーサーにより、BSAに結合される;
ヘルパープローブ:配列番号15に隣接する配列番号3および配列番号4;
検出プローブ:本実施例では、検出プローブはフックプローブおよび普遍プローブを含む。フックプローブは、配列番号17(標的核酸とハイブリダイズし得る)に対応する配列および普遍プローブの配列と相補的な配列を有する。普遍プローブは、N6またはSN3SN3Sスペーサーによりテキスタイル染料に結合される。フックプローブの1012コピーが存在する;
標的:872bp二本鎖DNA断片(1011および1010コピー)。
【0135】
結果
【0136】
【表8】
【0137】
実施例5、6および7からの結論
固定タンパク質に捕捉プローブを結合するためのディップスティックに固定されたタンパク質、および非タンパク質を含むスペーサーの使用(実施例5および6)、あるいは検出プローブに標識を結合するための非タンパク質スペーサーの使用(実施例7)は、標的核酸の検出感度を改良する。
核酸検出の感度は、スペーサーの非タンパク質構成成分が完全にヌクレオチドで構成された場合に、最高であった。
【0138】
実施例8
タンパク質担体によりまたは受動的吸着によりディップスティック膜に固定された捕捉プローブを用いた標的核酸検出の感度を、本実施例で比較する。
【0139】
第一アミノ基を用いて5’−または3’末端で機能化された捕捉プローブ10nmolを、10%BSA 1μlおよび50mM MES緩衝液(pH6.1)25μlと混合して、500μlマイクロ遠心管中で水を用いて49μlとした。次にカップリング試薬(水中に新たに調製された300mMの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC))1μlを付加し、ウエル中で混合した。混合物を室温で一夜放置して、BSAを捕捉プローブに結合し、次に2〜8℃で保存した。次にBSA−捕捉プローブをディップスティックの捕捉帯に適用し、ディップスティックを80℃で1時間加熱した。
【0140】
捕捉プローブ対BSAのモル比およびEDACカップリング試薬の濃度を最適化した。2.7:1、3.2:1、4.1:1、5.2:1、6.6:1、10.9:1の捕捉プローブ:BSAを試験した。1、1.5、2、4、5および20mMの濃度のEDACを試験した。5mMより高い濃度は、BSA−捕捉プローブを溶液から析出させた。
【0141】
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに直接固定された配列番号14による、またはBSAタンパク質スペーサーによる直接プローブ捕捉。捕捉プローブおよび捕捉プローブ−BSAをディップスティックに適用し、80℃で1時間ディップスティックを処理することにより固定した;
検出プローブ:ビオチン標識化検出プローブ(dp)配列番号13(1012コピー);
検出フォーマット:抗ビオチン抗体−染料接合体;
標的DNA:73ヌクレオチド一本鎖DNA断片(1x1011コピー)。
【0142】
結果
捕捉プローブ: シグナル
捕捉プローブ−BSA 4.0
捕捉プローブ 0.0
【0143】
結論
ディップスティックに直接固定された捕捉プローブを用いて、標的核酸を検出できなかった。しかしながら、捕捉プローブをBSAに結合し、そしてBSAをディップスティックに固定した場合には、強い検出シグナルを得た。
【0144】
以下の実施例は、タンパク質スペーサーにより着色粒子に結合されたプローブを用いた標的核酸の検出に関する。BSAに結合されたプローブで着色染料粒子を被覆した。タンパク質を染料粒子に吸着させ、それにより染料粒子にプローブを結合させる。用いた手法は以下のとおりであった:
10mM NaCl、1mM EDTA、pH7.5を含有する10mM リン酸塩緩衝液434μl中で洗浄染料(A575=900)を希釈する。プローブ−BSA(2mg/ml)5μlを付加し、十分に混合して、室温で1時間回転させる;
20%アルカリ処理カゼイン50μlを付加する。十分に混合し、室温で1時間回転させる;
室温で1時間、ミクロ遠心機で4000rpmで遠心分離する;
上清を除去し、5%スクロース、2%アルカリ処理カゼイン、0.02%Naアジドを含有する接合緩衝液500μl中にペレットを再懸濁する。
【0145】
実施例9
実験設定
捕捉フォーマット:捕捉プローブ配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16および配列番号17に結合された抗ビオチン抗体/ビオチン(1012コピー/試験);
代替的に、直接プローブ捕捉フォーマット(配列番号14または配列番号15)を比較のために用いた;
BSAにより染料粒子に結合された直接検出プローブ配列番号10;
ヘルパープローブ:配列番号10に隣接する配列番号5および配列番号6;
標的:872bp二本鎖DNA断片(1011〜108コピー)。
【0146】
結果
多プローブを用いたシグナル増幅
【0147】
【表9】
【0148】
感度分析
【0149】
【表10】
【0150】
これらの結果は、直接検出プローブ−染料接合体が抗体捕捉フォーマットおよび直接プローブ捕捉フォーマットとともに作用することを示す。
【0151】
実施例10
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに固定されたBSAに結合された直接プローブ捕捉(cp)配列番号15;
ヘルパープローブ:配列番号15に隣接する配列番号3および配列番号4;
検出プローブ領域配列番号17。この領域に置ける標的DNAと、ならびに普遍プローブ配列と相補的な配列を有する「フックプローブ」を、1012コピー/試験で用いた;
検出フォーマット:BSAにより普遍プローブに結合されたテキスタイル染料;
標的:872bp dsDNA断片(1011および1010コピー)。
【0152】
結果:
標的のコピー 1011 1010
シグナル 2.0 0.0
【0153】
直接検出プローブ染料接合体フォーマットと比較した場合のこのフォーマットの利点は、普遍ヌクレオチド配列のプローブが着色粒子に接合される場合、それが核酸の視覚的検出のための普遍試薬の適用を可能にする点である。
【0154】
実施例11
実験設定
捕捉フォーマット:ディップスティックに固定されたBSAに結合された直接プローブ捕捉配列番号15;
ヘルパープローブ:配列番号15に隣接する配列番号3および配列番号4;
検出プローブ領域配列番号17。この領域に置ける標的DNAと、ならびに普遍プローブ配列2と相補的な配列を有する「フック」検出プローブ1を、1012コピー/試験で用いた;
【0155】
検出フォーマット:フック検出プローブは、標的核酸の配列と、ならびに一次普遍検出プローブの配列と相補的な配列を含む。一次普遍検出プローブはBSAに結合され、BSAは一次着色粒子に吸着されて、それにより一次普遍検出プローブを一次着色粒子に結合する。いくつかの二次普遍検出プローブも、一次着色粒子に吸着されたBSAに各々結合される。二次普遍検出プローブは、三次普遍検出プローブの配列と相補的な配列を含む。三次普遍検出プローブは、二次着色粒子に吸着されたBSAに結合される。標的核酸がフック検出プローブ、一次、二次および三次普遍検出プローブならびに一次および二次着色粒子を用いて検出される場合、図11におけるように、単一一次着色粒子は標的核酸上に一次層を形成し、そしていくつかの二次着色粒子は標的核酸上に二次層を形成する。いくつかの着色粒子はこの方法で各標的核酸に付着され得るため、標的核酸の検出感度は、フック検出プローブおよび着色粒子に結合された単一普遍検出プローブの使用と比較して改良される、と考えられる。
【0156】
標的:872bp dsDNA断片(1011および1010コピー)。
結果:
標的のコピー 1011 1010
シグナル 2.0 0.5
1598bp dsDNA標的を用いて、同様の結果を得た。
【0157】
実施例12:トラコーマクラミジアChlamydia trachomatisの一段階核酸ディップスティック検定検出
実験設定:
試薬:
捕捉フォーマット:BSA担体によりディップスティック膜上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブ捕捉;
検出フォーマット:多ビオチン標識化検出体プローブ;抗ビオチン抗体−コロイド金接合体;
試料調製:PBS緩衝液中の106コピー/μl〜103コピー/μlの濃度で、トラコーマクラミジアChlamydia trachomatus(Ct)基本小体(EB)細胞を調製し、100℃で20分間加熱した。
【0158】
ハイブリダイゼーション/ディップスティック実行緩衝液:塩、洗剤およびブロッキングタンパク質、例えばBSAまたは粉乳を含有する標準ハイブリダイゼーション緩衝液。
【0159】
方法:
検出プローブ、ヘルパープローブおよび5x106〜5x103コピーのEBをハイブリダイゼーション緩衝液中に希釈して80μlとし、100℃で7分間加熱した。次に混合物を手短に遠心分離して、すべての液体を収集し、20μlの抗ビオチンAbコロイド金と混合した。全100μlの混合物をディップスティック上に吸い上げてさせて、シグナルを発現させた。
【0160】
結果および考察
表および図13に提示した結果は、試料調製段階を含めて1時間未満で、一段階核酸ディップスティック検定を用いてCtEBの約104コピーが検出され得たことを示した。
そのように提示されたディップスティック検出検定は他のサンドイッチハイブリダイゼーション検定とほぼ等しい検出感度を有するが、しかしそれは、速度および簡便性という大きい利点を有する。
【0161】
例えばPCT WO93/1322に開示されたCtの検出のためのサンドイッチハイブリダイゼーション検定は、複雑な多構成成分微小滴定プレートフォーマット検定であり、これは5時間未満では成し遂げられなかった。この検定は、限定順序でのその構成成分の漸次付加を要する多段階検定であって、インキュベーションおよび洗浄段階はすべての新規の構成成分の付加後である。
【0162】
本発明の目的の核酸ディップスティック検定は、構成成分の付加および洗浄のための異なる段階を必要とせずに、一段階で実行し得る。このサンドイッチハイブリダイゼーション検定は、ハイブリダイゼーションおよびその他の親和性対形成のためにそれらを有益にさせるために、1つより多い溶液条件を必要としない。同一溶液条件は、同様にディップスティック膜を通過する構成成分の自由移動に役立ち得る。
【0163】
ディップスティックによる一本鎖および二本鎖標的核酸の検出感度は、本発明のスペーサーの使用により有意に改良され得ることが判明した。二本鎖環状標的核酸の検出感度も、本発明のスペーサーの使用により増大され得る。
一本鎖標的核酸は、分子内塩基対合相互作用により二次構造を形成することが既知である。このような二次構造は、標的核酸との捕捉プローブおよび検出プローブの結合を阻害し得る。したがって、検出プローブおよび捕捉プローブが結合する標的核酸の領域は、しばしば二次構造を実質的に有さないと予測される領域として選択される。
【0164】
本発明のスペーサーの使用により達成される二本鎖標的核酸の検出感度改良は、二次構造に関与する標的核酸の領域を認識する捕捉プローブおよび/または検出プローブを用いた一本鎖標的核酸の検出感度も改良されることを意味する。この利点は、捕捉プローブおよび/または検出プローブが、標的核酸により形成される二次構造の予測に基づいて選択されねばならないわけではなく、したがって捕捉および検出プローブの選択を簡素化し得るという点である。
【0165】
ディップスティック検出の慣用的方法は、環状二本鎖標的核酸の検出時に非常に不十分であると考えられる。その結果として、このような標的核酸は、通常は、標的が検出される前に二本鎖化標的を線状化する酵素で処理される。本発明のスペーサーを用いた環状二本鎖標的核酸の検出改良は、標的核酸の線状かが必要とされず、したがって検出方法を簡素化することを意味する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティックであって、以下の:
試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、ならびに
接触端から離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉プローブであって、標的核酸とハイブリダイズし得るか、あるいは標的核酸に結合されたフック(鈎針)捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであり、捕捉プローブが捕捉プローブスペーサーに連結され、捕捉プローブスペーサーが捕捉帯に連結され、それにより捕捉帯に捕捉プローブを固定し、そして捕捉帯と捕捉プローブとの間に間隔を置く捕捉プローブ
を含むディップスティック。
【請求項2】
捕捉プローブスペーサーがタンパク質を含む請求項1記載のディップスティック。
【請求項3】
タンパク質がBSA、チログロブリンまたはその誘導体である請求項2記載のディップスティック。
【請求項4】
タンパク質が捕捉帯に直接吸着される請求項2または3記載のディップスティック。
【請求項5】
捕捉プローブがリンカーによりタンパク質に連結される請求項2〜4記載のディップスティック。
【請求項6】
捕捉プローブスペーサーが非タンパク質を含む請求項1記載のディップスティック。
【請求項7】
捕捉プローブスペーサーが非タンパク質をさらに含む請求項2〜4記載のディップスティック。
【請求項8】
捕捉プローブが非タンパク質に結合され、そして非タンパク質がタンパク質に結合されて、それにより捕捉プローブとタンパク質との間に間隔を置く請求項7記載のディップスティック。
【請求項9】
非タンパク質がリンカーによりタンパク質に結合される請求項8記載のディップスティック。
【請求項10】
非タンパク質が少なくとも3ヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも6ヌクレオチドの長さである請求項6〜9のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項11】
捕捉プローブが標的核酸またはフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合、非タンパク質が、生成された塩基対との積重ね相互作用を生じ得るヌクレオ塩基を含む請求項6〜10のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項12】
非タンパク質がヌクレオチドを含む請求項6〜11のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項13】
非タンパク質が1’,2’−ジデオキシリボースホスフェートを含む請求項6〜12のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項14】
非タンパク質が3−ヒドロキシプロピルホスフェートを含む請求項6〜13のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項15】
非タンパク質がヘキサエチレングリコールホスフェートを含む請求項6〜14のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項16】
非タンパク質が1つまたはそれ以上のヌクレオチドのみから成る請求項12記載のディップスティック。
【請求項17】
捕捉プローブスペーサーが捕捉プローブの一端に連結される前記請求項のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項18】
捕捉プローブスペーサーに連結されない捕捉プローブの末端が、捕捉プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸とハイブリダイズせず、あるいは捕捉プローブがフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合にフック捕捉プローブとハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合される請求項17記載のディップスティック。
【請求項19】
捕捉プローブスペーサーが捕捉プローブの末端間で捕捉プローブの一部に連結される請求項1〜16のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項20】
捕捉プローブの一端または両端が、捕捉プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸とハイブリダイズせず、あるいは捕捉プローブがフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合にフック捕捉プローブとハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合される請求項19記載のディップスティック。
【請求項21】
接触端およびクロマトグラフィーストリップの捕捉帯間に置かれたプローブ帯に放出可能的に固定された検出プローブであって、標的核酸とハイブリダイズして、標的核酸の検出を可能にし得る検出プローブをさらに含む前記請求項のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項22】
検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸の直接検出を可能にする標識と検出プローブが結合される請求項21記載のディップスティック。
【請求項23】
検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸の直接検出を可能にするために検出リガンド結合部分により結合され得る検出リガンドと検出プローブが結合される請求項21記載のディップスティック。
【請求項24】
標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合させて、検出プローブと標識または検出リガンドとの間に間隔を置く請求項22または23記載のディップスティック。
【請求項25】
試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティックであって、以下の:
試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、
接触端から遠く離れた捕捉帯に固定された捕捉部分であって、標的核酸と直接または間接的に結合し得る捕捉部分、ならびに
接触端および捕捉帯間に置かれたプローブ帯に放出可能的に固定された検出プローブであって、標的核酸とハイブリダイズし得る、そして標識と結合されて、検出プローブを利用した標的核酸の直接的検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含み、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、そして標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くディップスティック。
【請求項26】
捕捉部分が、標的核酸と、あるいは標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブを含む請求項25記載のディップスティック。
【請求項27】
捕捉部分が、標的核酸に結合された捕捉プローブに結合された捕捉リガンドと結合し得る請求項25記載のディップスティック。
【請求項28】
検出プローブスペーサーがタンパク質を含む請求項24〜27のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項29】
タンパク質がBSA、チログロブリンまたはその誘導体である請求項28記載のディップスティック。
【請求項30】
標識または検出リガンドがビーズまたはビーズの一部に付着され、そしてタンパク質がビーズに直接吸着される請求項28または29記載のディップスティック。
【請求項31】
タンパク質がリンカーにより検出プローブに連結される請求項28〜30のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項32】
検出プローブスペーサーが非タンパク質を含む請求項24〜27のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項33】
検出プローブスペーサーが非タンパク質をさらに含む請求項28〜30のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項34】
検出プローブが非タンパク質に結合され、そして非タンパク質がタンパク質に結合されて、それにより検出プローブとタンパク質との間に間隔を置く請求項33記載のディップスティック。
【請求項35】
非タンパク質がリンカーによりタンパク質に結合される請求項34記載のディップスティック。
【請求項36】
非タンパク質が少なくとも3ヌクレオチド長である請求項33〜35のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項37】
検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合、非タンパク質が、生成された塩基対との積重ね相互作用を生じ得る塩基を含む請求項33〜36のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項38】
非タンパク質がヌクレオチドを含む請求項33〜37のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項39】
非タンパク質が1’,2’−ジデオキシリボースホスフェートを含む請求項33〜38のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項40】
非タンパク質が3−ヒドロキシプロピルホスフェートを含む請求項33〜39のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項41】
非タンパク質がヘキサエチレングリコールホスフェートを含む請求項33〜40のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項42】
非タンパク質が1つまたはそれ以上のヌクレオチドのみから成る請求項38記載のディップスティック。
【請求項43】
検出プローブスペーサーが検出プローブの一端に連結される請求項24〜42のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項44】
検出プローブスペーサーに連結されない検出プローブの末端が、捕捉プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸とハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合される請求項43記載のディップスティック。
【請求項45】
検出プローブスペーサーが検出プローブの末端間で検出プローブの一部に連結される請求項24〜42のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項46】
検出プローブの一端または両端が、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸とハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合される請求項45記載のディップスティック。
【請求項47】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
請求項1〜20のいずれかに記載のディップスティック、ならびに
標的核酸とハイブリダイズし、それにより検出プローブを利用した標的核酸の検出を可能にし得る検出プローブ
を含むキット。
【請求項48】
検出プローブが、標的核酸とハイブリダイズされた標的検出プローブの直接的検出を可能にする標識と、あるいは検出リガンド結合部分により標的核酸とハイブリダイズされた検出プローブの間接的検出を可能にする検出リガンドと結合される請求項47記載のキットであって、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、そして標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くキット。
【請求項49】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
請求項27記載のディップスティック、ならびに
標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉部分により結合され得る捕捉リガンドに結合される捕捉プローブ
を含むキット。
【請求項50】
捕捉リガンドが捕捉プローブに連結され、そして捕捉プローブスペーサーが捕捉プローブに連結されて、それにより捕捉リガンドを捕捉プローブと結合し、そして捕捉リガンドと捕捉プローブの間に間隔を置く請求項49記載のキット。
【請求項51】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定されている捕捉プローブを含むディップスティック、ならびに
ii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にし、あるいはリガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含み、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合して、標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くキット。
【請求項52】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉部分であって、標的核酸と直接または間接的に結合し得る捕捉部分を含むディップスティック、
ii)標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉部分により結合され得る捕捉リガンドと結合される捕捉プローブ、ならびに
iii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含み、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、そして標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くキット。
【請求項53】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉部分を含むディップスティック、
ii)標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉プローブが捕捉プローブスペーサーに連結され、そして捕捉プローブスペーサーが捕捉リガンドに連結されて、それにより捕捉リガンドを捕捉プローブに結合し、捕捉リガンドと捕捉プローブとの間に間隔を置く捕捉プローブ、ならびに
iii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含むキット。
【請求項54】
固相にプローブを固定するための方法であって、タンパク質に結合されたプローブを提供し、そしてタンパク質を固相に吸着することを包含する方法。
【請求項55】
プローブをタンパク質に結合することをさらに包含する請求項54記載の方法。
【請求項56】
プローブをリンカーに結合し、そしてリンカーをタンパク質に結合することをさらに包含する請求項55記載の方法。
【請求項57】
リンカーがタンパク質に結合される前にプローブがリンカーに結合される請求項56記載の方法。
【請求項58】
リンカーに付着されたホスホルアミダイト基とプローブのヒドロキシル基との反応により、あるいはリンカーのヒドロキシル基とプローブに付着されたホスホルアミダイト基との反応によりプローブがリンカーに結合される請求項56または57記載の方法。
【請求項59】
リンカーに付着された第一アミノ基とタンパク質のカルボキシル基との反応によりリンカーがタンパク質に結合される請求項56〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
リンカーがプローブの非ヌクレオ塩基部分と結合される請求項56〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
固相が膜を含む請求項54〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
膜がニトロセルロース膜である請求項61記載の方法。
【請求項63】
固相がビーズのような粒子を含む請求項54〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
プローブが核酸または核酸類似体を含む請求項54〜63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
プローブに結合されたタンパク質の固相への吸着により固相に固定されるプローブ。
【請求項66】
標的核酸とハイブリダイズし得る核酸または核酸類似体ならびにプローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にする標識あるいはプローブを利用した標的核酸の捕捉または間接的検出を可能にするリガンドを含む標的核酸を検出または捕捉するためのプローブであって、標識またはリガンドがスペーサーに連結され、スペーサーが核酸または核酸類似体に連結され、それにより標識またはリガンドと核酸または核酸類似体との間に間隔を置くプローブ。
【請求項1】
試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティックであって、以下の:
試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、ならびに
接触端から離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉プローブであって、標的核酸とハイブリダイズし得るか、あるいは標的核酸に結合されたフック(鈎針)捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであり、捕捉プローブが捕捉プローブスペーサーに連結され、捕捉プローブスペーサーが捕捉帯に連結され、それにより捕捉帯に捕捉プローブを固定し、そして捕捉帯と捕捉プローブとの間に間隔を置く捕捉プローブ
を含むディップスティック。
【請求項2】
捕捉プローブスペーサーがタンパク質を含む請求項1記載のディップスティック。
【請求項3】
タンパク質がBSA、チログロブリンまたはその誘導体である請求項2記載のディップスティック。
【請求項4】
タンパク質が捕捉帯に直接吸着される請求項2または3記載のディップスティック。
【請求項5】
捕捉プローブがリンカーによりタンパク質に連結される請求項2〜4記載のディップスティック。
【請求項6】
捕捉プローブスペーサーが非タンパク質を含む請求項1記載のディップスティック。
【請求項7】
捕捉プローブスペーサーが非タンパク質をさらに含む請求項2〜4記載のディップスティック。
【請求項8】
捕捉プローブが非タンパク質に結合され、そして非タンパク質がタンパク質に結合されて、それにより捕捉プローブとタンパク質との間に間隔を置く請求項7記載のディップスティック。
【請求項9】
非タンパク質がリンカーによりタンパク質に結合される請求項8記載のディップスティック。
【請求項10】
非タンパク質が少なくとも3ヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも6ヌクレオチドの長さである請求項6〜9のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項11】
捕捉プローブが標的核酸またはフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合、非タンパク質が、生成された塩基対との積重ね相互作用を生じ得るヌクレオ塩基を含む請求項6〜10のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項12】
非タンパク質がヌクレオチドを含む請求項6〜11のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項13】
非タンパク質が1’,2’−ジデオキシリボースホスフェートを含む請求項6〜12のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項14】
非タンパク質が3−ヒドロキシプロピルホスフェートを含む請求項6〜13のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項15】
非タンパク質がヘキサエチレングリコールホスフェートを含む請求項6〜14のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項16】
非タンパク質が1つまたはそれ以上のヌクレオチドのみから成る請求項12記載のディップスティック。
【請求項17】
捕捉プローブスペーサーが捕捉プローブの一端に連結される前記請求項のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項18】
捕捉プローブスペーサーに連結されない捕捉プローブの末端が、捕捉プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸とハイブリダイズせず、あるいは捕捉プローブがフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合にフック捕捉プローブとハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合される請求項17記載のディップスティック。
【請求項19】
捕捉プローブスペーサーが捕捉プローブの末端間で捕捉プローブの一部に連結される請求項1〜16のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項20】
捕捉プローブの一端または両端が、捕捉プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸とハイブリダイズせず、あるいは捕捉プローブがフック捕捉プローブとハイブリダイズしていた場合にフック捕捉プローブとハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合される請求項19記載のディップスティック。
【請求項21】
接触端およびクロマトグラフィーストリップの捕捉帯間に置かれたプローブ帯に放出可能的に固定された検出プローブであって、標的核酸とハイブリダイズして、標的核酸の検出を可能にし得る検出プローブをさらに含む前記請求項のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項22】
検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸の直接検出を可能にする標識と検出プローブが結合される請求項21記載のディップスティック。
【請求項23】
検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸の直接検出を可能にするために検出リガンド結合部分により結合され得る検出リガンドと検出プローブが結合される請求項21記載のディップスティック。
【請求項24】
標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合させて、検出プローブと標識または検出リガンドとの間に間隔を置く請求項22または23記載のディップスティック。
【請求項25】
試料溶液中の標的核酸の存在に関して試験するためのディップスティックであって、以下の:
試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、
接触端から遠く離れた捕捉帯に固定された捕捉部分であって、標的核酸と直接または間接的に結合し得る捕捉部分、ならびに
接触端および捕捉帯間に置かれたプローブ帯に放出可能的に固定された検出プローブであって、標的核酸とハイブリダイズし得る、そして標識と結合されて、検出プローブを利用した標的核酸の直接的検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含み、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、そして標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くディップスティック。
【請求項26】
捕捉部分が、標的核酸と、あるいは標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブを含む請求項25記載のディップスティック。
【請求項27】
捕捉部分が、標的核酸に結合された捕捉プローブに結合された捕捉リガンドと結合し得る請求項25記載のディップスティック。
【請求項28】
検出プローブスペーサーがタンパク質を含む請求項24〜27のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項29】
タンパク質がBSA、チログロブリンまたはその誘導体である請求項28記載のディップスティック。
【請求項30】
標識または検出リガンドがビーズまたはビーズの一部に付着され、そしてタンパク質がビーズに直接吸着される請求項28または29記載のディップスティック。
【請求項31】
タンパク質がリンカーにより検出プローブに連結される請求項28〜30のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項32】
検出プローブスペーサーが非タンパク質を含む請求項24〜27のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項33】
検出プローブスペーサーが非タンパク質をさらに含む請求項28〜30のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項34】
検出プローブが非タンパク質に結合され、そして非タンパク質がタンパク質に結合されて、それにより検出プローブとタンパク質との間に間隔を置く請求項33記載のディップスティック。
【請求項35】
非タンパク質がリンカーによりタンパク質に結合される請求項34記載のディップスティック。
【請求項36】
非タンパク質が少なくとも3ヌクレオチド長である請求項33〜35のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項37】
検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合、非タンパク質が、生成された塩基対との積重ね相互作用を生じ得る塩基を含む請求項33〜36のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項38】
非タンパク質がヌクレオチドを含む請求項33〜37のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項39】
非タンパク質が1’,2’−ジデオキシリボースホスフェートを含む請求項33〜38のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項40】
非タンパク質が3−ヒドロキシプロピルホスフェートを含む請求項33〜39のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項41】
非タンパク質がヘキサエチレングリコールホスフェートを含む請求項33〜40のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項42】
非タンパク質が1つまたはそれ以上のヌクレオチドのみから成る請求項38記載のディップスティック。
【請求項43】
検出プローブスペーサーが検出プローブの一端に連結される請求項24〜42のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項44】
検出プローブスペーサーに連結されない検出プローブの末端が、捕捉プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸とハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合される請求項43記載のディップスティック。
【請求項45】
検出プローブスペーサーが検出プローブの末端間で検出プローブの一部に連結される請求項24〜42のいずれかに記載のディップスティック。
【請求項46】
検出プローブの一端または両端が、検出プローブが標的核酸とハイブリダイズしていた場合に標的核酸とハイブリダイズしない1つまたはそれ以上のヌクレオチド、好ましくは少なくとも3つのヌクレオチドと結合される請求項45記載のディップスティック。
【請求項47】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
請求項1〜20のいずれかに記載のディップスティック、ならびに
標的核酸とハイブリダイズし、それにより検出プローブを利用した標的核酸の検出を可能にし得る検出プローブ
を含むキット。
【請求項48】
検出プローブが、標的核酸とハイブリダイズされた標的検出プローブの直接的検出を可能にする標識と、あるいは検出リガンド結合部分により標的核酸とハイブリダイズされた検出プローブの間接的検出を可能にする検出リガンドと結合される請求項47記載のキットであって、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、そして標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くキット。
【請求項49】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
請求項27記載のディップスティック、ならびに
標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉部分により結合され得る捕捉リガンドに結合される捕捉プローブ
を含むキット。
【請求項50】
捕捉リガンドが捕捉プローブに連結され、そして捕捉プローブスペーサーが捕捉プローブに連結されて、それにより捕捉リガンドを捕捉プローブと結合し、そして捕捉リガンドと捕捉プローブの間に間隔を置く請求項49記載のキット。
【請求項51】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定されている捕捉プローブを含むディップスティック、ならびに
ii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にし、あるいはリガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含み、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合して、標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くキット。
【請求項52】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉部分であって、標的核酸と直接または間接的に結合し得る捕捉部分を含むディップスティック、
ii)標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉部分により結合され得る捕捉リガンドと結合される捕捉プローブ、ならびに
iii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含み、標識または検出リガンドが検出プローブスペーサーに連結され、そして検出プローブスペーサーが検出プローブに連結されて、それにより標識または検出リガンドを検出プローブに結合し、そして標識または検出リガンドと検出プローブとの間に間隔を置くキット。
【請求項53】
試料溶液中の標的核酸の存在に関する試験キットであって、以下の:
i)試料溶液を接触させるための接触端を有するクロマトグラフィーストリップ、および接触端から遠く離れたクロマトグラフィーストリップの捕捉帯に固定された捕捉部分を含むディップスティック、
ii)標的核酸と、または標的核酸に結合されたフック捕捉プローブとハイブリダイズし得る捕捉プローブであって、捕捉プローブが捕捉プローブスペーサーに連結され、そして捕捉プローブスペーサーが捕捉リガンドに連結されて、それにより捕捉リガンドを捕捉プローブに結合し、捕捉リガンドと捕捉プローブとの間に間隔を置く捕捉プローブ、ならびに
iii)標的核酸とハイブリダイズし得る、標識に結合されて検出プローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にし、あるいは検出リガンドに結合されて検出プローブを利用した標的核酸の間接的検出を可能にする検出プローブ
を含むキット。
【請求項54】
固相にプローブを固定するための方法であって、タンパク質に結合されたプローブを提供し、そしてタンパク質を固相に吸着することを包含する方法。
【請求項55】
プローブをタンパク質に結合することをさらに包含する請求項54記載の方法。
【請求項56】
プローブをリンカーに結合し、そしてリンカーをタンパク質に結合することをさらに包含する請求項55記載の方法。
【請求項57】
リンカーがタンパク質に結合される前にプローブがリンカーに結合される請求項56記載の方法。
【請求項58】
リンカーに付着されたホスホルアミダイト基とプローブのヒドロキシル基との反応により、あるいはリンカーのヒドロキシル基とプローブに付着されたホスホルアミダイト基との反応によりプローブがリンカーに結合される請求項56または57記載の方法。
【請求項59】
リンカーに付着された第一アミノ基とタンパク質のカルボキシル基との反応によりリンカーがタンパク質に結合される請求項56〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
リンカーがプローブの非ヌクレオ塩基部分と結合される請求項56〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
固相が膜を含む請求項54〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
膜がニトロセルロース膜である請求項61記載の方法。
【請求項63】
固相がビーズのような粒子を含む請求項54〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
プローブが核酸または核酸類似体を含む請求項54〜63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
プローブに結合されたタンパク質の固相への吸着により固相に固定されるプローブ。
【請求項66】
標的核酸とハイブリダイズし得る核酸または核酸類似体ならびにプローブを利用した標的核酸の直接検出を可能にする標識あるいはプローブを利用した標的核酸の捕捉または間接的検出を可能にするリガンドを含む標的核酸を検出または捕捉するためのプローブであって、標識またはリガンドがスペーサーに連結され、スペーサーが核酸または核酸類似体に連結され、それにより標識またはリガンドと核酸または核酸類似体との間に間隔を置くプローブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−19797(P2012−19797A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−215672(P2011−215672)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2002−509524(P2002−509524)の分割
【原出願日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願人】(505010744)ダイアグノスティックス フォー ザ リアル ワールド,リミティド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215672(P2011−215672)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2002−509524(P2002−509524)の分割
【原出願日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願人】(505010744)ダイアグノスティックス フォー ザ リアル ワールド,リミティド (2)
【Fターム(参考)】
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