説明

デジタルカメラの運用システム

【課題】デジタルカメラ使用時に鍵として用いられるメモリカードを再発行する処理を、正確に且つ迅速に行うためのデジタルカメラの運用システムを提供する。
【解決手段】運用システム2を、デジタルカメラ3、ローカル端末4、及びサーバ6から構成する。デジタルカメラ3は、デジタルカメラIDと、メモリカードIDが一致した場合にだけ使用が許可される。ローカル端末4は、デジタルカメラ3から読み取ったデジタルカメラIDと、入力されたユーザID及びパスワードとを関連付けて、メーカ側のサーバ6に送信する。サーバ6では、ローカル端末4から受信した情報と、データベースに登録された登録情報とを照合し、照合が一致した場合にのみメモリカードの再発行を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記憶されたID情報とデジタルカメラに記憶されたID情報とが照合されて一致した場合にのみ使用が許可されるデジタルカメラの運用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
CCDイメージセンサなどの固体撮像素子を用いて撮像した撮影画像をデジタルの画像データに変換し、この画像データをメモリカードなどの記録媒体に記録するデジタルカメラが知られている。デジタルカメラの中には、デジタルカメラ及びメモリカードにそれぞれID情報を記憶させ、メモリカードを装着したときに、これらのID情報が照合されて一致した場合にだけデジタルカメラの使用が許可されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。メモリカードは鍵としての役割を果たし、デジタルカメラに合致したメモリカードを所有するユーザだけが、このデジタルカメラを使用することができることから、デジタルカメラの盗難が抑止される。
【特許文献1】特開2002−354318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなデジタルカメラを使用するにあたり、メモリカードが破損したり紛失したりする場合がある。ユーザはメーカにメモリカードの再発行を要求し、メーカではメモリカードの再発行の処理を行うことが必要になる。メーカでは、再発行を要求するユーザが、正規のユーザか否かを判断し、正確に且つ迅速に再発行処理を行わなければならない。
【0004】
本発明は、上記を考慮してなされたものであり、デジタルカメラ使用時に鍵として用いられるメモリカードを再発行する処理を、正確に且つ迅速に行うことができるデジタルカメラの運用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、撮影画像が記録される着脱自在な記録媒体に記憶されたID情報とデジタルカメラに記憶されたID情報とが照合されて一致した場合にのみ使用が許可されるデジタルカメラと、前記デジタルカメラと電気的に接続されるローカル端末と、前記ローカル端末と通信ネットワークを介して接続されて通信を行うサーバとを備え、前記ローカル端末は、このローカル端末に接続されたデジタルカメラのID情報を読み取る読取手段と、ユーザのID情報を入力するための入力手段と、前記読取手段が読み取ったデジタルカメラのID情報及び前記入力手段により入力されたユーザのID情報を関連付けて前記サーバに送信する通信手段とを有し、前記サーバは、デジタルカメラのID情報及びこのデジタルカメラを使用するユーザのID情報を関連付けて初期登録として登録したデータベースと、前記通信手段から受信した受信情報と前記データベースの登録情報とを照合する照合手段と、この照合手段による照合が一致した場合にのみ、前記ローカル端末に接続されたデジタルカメラに合致する記録媒体の再発行を許可する再発行判断手段とを有することを特徴とする。
【0006】
前記サーバのデータベースは、デジタルカメラのID情報及びユーザのID情報に加えて、パスワードを関連付けて初期登録として登録しており、前記通信手段は、前記読取手段が読み取ったデジタルカメラのID情報、並びに前記入力手段により入力されたユーザのID情報及びパスワードを関連付けて前記サーバに送信し、前記照合手段は、前記通信手段から受信したパスワードを含んだ受信情報と、前記データベースのパスワードを含んだ登録情報とを照合することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のデジタルカメラの運用システムによれば、デジタルカメラ使用時に鍵として用いられるメモリカードを再発行する処理を、正確に且つ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に示すように、本発明のデジタルカメラの運用システム2は、デジタルカメラ3と、このデジタルカメラ3が電気的に接続されるローカル端末4と、このローカル端末4が通信ネットワーク5を介して接続されるサーバ6とから構成される。
【0009】
デジタルカメラ3は、制御部10、電源スイッチ11、操作部12、撮像部13、コネクタ14、ID記憶部15、メディアコントローラ16、及びID照合部17を有している。デジタルカメラ3にはメモリカード18が着脱自在であり、メモリカード18の装着に伴ってデジタルカメラ3とメモリカード18とが電気的に接続される。メモリカード18はID記憶部19を有している。
【0010】
制御部10は、操作部12からの操作指示に基づいてデジタルカメラ3の各部を制御する。撮像部13は、操作部12からの撮影指示を受けて、固体撮像素子を用いて被写体像を撮像し、撮影画像をデジタルの画像データとする。この画像データは、制御部10を介して、メモリカード18に記録される。コネクタ14にはUSBケーブル20の一端部20aが接続される。デジタルカメラ3は、USBケーブル20を介して、ローカル端末4とデータの送受信を行う。
【0011】
デジタルカメラ3のID記憶部15には、デジタルカメラIDが書き込まれている。このデジタルカメラIDは、各デジタルカメラが固有に持つものである。ID記憶部15は例えばデジタルカメラに内蔵されるROMである。メディアコントローラ16は、装着されたメモリカード18へのデータの書き込み、及びメモリカード18からのデータの読み取りを行う。メモリカード18のID記憶部19には、メモリカードIDが書き込まれている。このメモリカードIDは、各メモリカードが固有に持つものである。ID記憶部18は例えばメモリカードに内蔵されるROMである。
【0012】
ID照合部17は、デジタルカメラ3のID記憶部15に記憶されたデジタルカメラIDと、メモリカード18のID記憶部19に記憶されたメモリカードIDとを照合し、この照合が一致したか否かの情報を制御部10に送信する。制御部10では、ID照合部17により照合が一致したか否かに基づいて、撮影を許可するか否かを判断する。
【0013】
図2のフローチャートに示すように、デジタルカメラ3にメモリカード18を装着し、電源スイッチ11をオンにすると、メモリカード18のID記憶部19からメモリカードIDが自動的に読み出される。ID照合部17でデジタルカメラIDとメモリカードIDとが照合され、この照合が一致した場合には撮影モードに移行することが許可され、一方、照合が不一致の場合には強制的に電源がオフにされる。デジタルカメラ3が撮影モードに移行した場合には、操作部12を操作して撮影を行うことができる。撮影が全て完了した後、電源スイッチ11をオフにする。このように、本デジタルカメラ3は、このデジタルカメラ3に合致したメモリカード18を装着しなければ、使用することができない。
【0014】
図1に示すように、ローカル端末4は、制御部30、表示部31、入力部32、コネクタ33、読取部34、及び通信部35を有している。制御部30は、ローカル端末4の各部を制御している。ローカル端末4は、例えばデジタルカメラのユーザが各々所有するコンピュータである。ユーザは、表示部31を見ながら入力部32を操作して、ユーザID及びパスワードを入力することができる。コネクタ33にはUSBケーブル20の他端部20bが接続される。読取部34は、コネクタ14,33及びUSBケーブル20を介して、デジタルカメラ3からデジタルカメラIDを読み取り、この情報を制御部30に送る。制御部30では、読取部34が読み取ったデジタルカメラID、入力部32で入力されたユーザID、及び入力部32で入力されたパスワードの3つの情報を関連付ける。この関連付けられた情報は、通信部35により、通信ネットワーク5を介して、サーバ6の通信部40へと送信される。
【0015】
サーバ6は、通信部40、データベース41、照合部42、再発行判断部43、及び表示部44を有している。通信部40では、ローカル端末4で関連付けられた情報を受信する。この関連付けられた情報を以後では受信情報と称する。データベース41には、初期登録として登録された多数の登録情報が蓄積されている。これらの登録情報は、デジタルカメラの使用に先立って(例えば、デジタルカメラの購入時に)登録されるものであり、デジタルカメラID、ユーザID、及びパスワードを関連付けたものである。
【0016】
照合部42では、通信部40で受信した受信情報と、データベース41の登録情報とを照合し、一致したか否かの情報を再発行判断部43に送信する。ここで、照合が一致するとは、受信情報が、多数の登録情報のうちいずれか1つの登録情報と完全に一致(デジタルカメラID、ユーザID、及びパスワードの3つの組み合わせが一致)することを意味している。
【0017】
再発行判断部43は、デジタルカメラ3に合致するメモリカードの再発行を許可するか否かを判断するものであり、照合部42から一致した旨の情報を受けた場合にはメモリカードの再発行を許可し、照合部42から不一致の旨の情報を受けた場合にはメモリカードの再発行を不許可とする。再発行判断部43の許可または不許可の情報は、通信部40で受信した受信情報と共に、表示部44に表示される。
【0018】
以下では、上記構成による作用について説明する。まず、図3のフローチャートを用いて初期登録について説明する。デジタルカメラ3を購入したユーザは、このデジタルカメラ3の使用前に初期登録を行う。デジタルカメラ3を、USBケーブル20を用いてローカル端末4に接続する。ローカル端末4ではデジタルカメラIDを読み取る。ユーザは、ユーザIDを入力するとともに、自ら設定したパスワードを入力する。デジタルカメラID、ユーザID、及びパスワードは互いに関連付けられ、この関連付けられた情報は通信ネットワーク5を介してサーバ6へと送信される。サーバ6では、受信情報を、データベース41に登録する。
【0019】
次に、図4のフローチャートを用いて、メモリカード18の再発行について説明する。メモリカード18を破損したり紛失したりした場合に、ユーザは再発行の手続きを行う。初期登録のときと同様に、デジタルカメラ3をローカル端末4に接続する。ローカル端末4ではデジタルカメラIDを読み取る。ユーザは、ユーザID、及び初期登録時に設定したパスワードを入力する。デジタルカメラID、ユーザID、及びパスワードは互いに関連付けられ、この関連付けられた情報は通信ネットワーク5を介してサーバ6へと送信される。サーバ6では、ローカル端末4から受信した受信情報と、データベース41に登録された登録情報とを照合する。照合が一致した場合には、表示部44に、受信情報と共に「メモリカード再発行許可」の文字が表示され、照合が不一致の場合には、表示部44に、受信情報と共に「メモリカード再発行不許可」の文字が表示される。
【0020】
メーカでは、サーバ6の表示部に「メモリカード再発行許可」が表示された場合には、この表示部44に表示されたユーザIDを持つユーザに、デジタルカメラ3に合致する新たなメモリカードを郵送する。
【0021】
本発明のデジタルカメラの運用システム2によれば、デジタルカメラ3に合致したメモリカードを再発行する処理を、正確に且つ迅速に行うことができる。
【0022】
なお、上記実施形態では、メモリカードの再発行を許可するか否かの判断を行う際に、デジタルカメラID、ユーザID、及びパスワードの3つの情報を用いて照合を行ったが、デジタルカメラID及びユーザIDの2つの情報だけを用いて照合を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】デジタルカメラの運用システムの概略構成図である。
【図2】デジタルカメラのID照合動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】初期登録の流れを示すフローチャートである。
【図4】メモリカードの再発行の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
2 デジタルカメラの運用システム
3 デジタルカメラ
4 ローカル端末
6 サーバ
15 ID記憶部
17 ID照合部
18 メモリカード
19 ID記憶部
32 入力部
34 読取部
35 通信部
41 データベース
42 照合部
43 再発行判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影画像が記録される着脱自在な記録媒体に記憶されたID情報とデジタルカメラに記憶されたID情報とが照合されて一致した場合にのみ使用が許可されるデジタルカメラと、
前記デジタルカメラと電気的に接続されるローカル端末と、
前記ローカル端末と通信ネットワークを介して接続されて通信を行うサーバとを備え、
前記ローカル端末は、このローカル端末に接続されたデジタルカメラのID情報を読み取る読取手段と、ユーザのID情報を入力するための入力手段と、前記読取手段が読み取ったデジタルカメラのID情報及び前記入力手段により入力されたユーザのID情報を関連付けて前記サーバに送信する通信手段とを有し、
前記サーバは、デジタルカメラのID情報及びこのデジタルカメラを使用するユーザのID情報を関連付けて初期登録として登録したデータベースと、前記通信手段から受信した受信情報と前記データベースの登録情報とを照合する照合手段と、この照合手段による照合が一致した場合にのみ、前記ローカル端末に接続されたデジタルカメラに合致する記録媒体の再発行を許可する再発行判断手段とを有することを特徴とするデジタルカメラの運用システム。
【請求項2】
前記サーバのデータベースは、デジタルカメラのID情報及びユーザのID情報に加えて、パスワードを関連付けて初期登録として登録しており、
前記通信手段は、前記読取手段が読み取ったデジタルカメラのID情報、並びに前記入力手段により入力されたユーザのID情報及びパスワードを関連付けて前記サーバに送信し、
前記照合手段は、前記通信手段から受信したパスワードを含んだ受信情報と、前記データベースのパスワードを含んだ登録情報とを照合することを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラの運用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−295092(P2007−295092A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118066(P2006−118066)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】