デジタルカメラシステムおよび中間アダプタ
【課題】長いフランジバックを持つカメラに適合する交換レンズを中間アダプタを介してフランジバックの短いカメラに装着し、高画質の撮像を行なうことができるデジタルカメラシステムを提供する。
【解決手段】このデジタルカメラシステムにおいては、第一のカメラボディに適合するレンズ鏡筒12Aを中間アダプタ31を介してフランジバックが上記第一のカメラボディより短い第二のカメラボディ11Bに装着可能とし、中間アダプタ31を介在させることによってフランジバックを同距離とするとともに中間アダプタ31に補償光学素子32aを組み込むことにより上記第一のカメラボディのマウント面から撮像面までの光学的距離と、中間アダプタ31を装着した状態でそのマウント面から第二のカメラボディ11Bの撮像面までの光学的距離を一致させ、光学的収差を最小とした高画質の撮影を可能とする。
【解決手段】このデジタルカメラシステムにおいては、第一のカメラボディに適合するレンズ鏡筒12Aを中間アダプタ31を介してフランジバックが上記第一のカメラボディより短い第二のカメラボディ11Bに装着可能とし、中間アダプタ31を介在させることによってフランジバックを同距離とするとともに中間アダプタ31に補償光学素子32aを組み込むことにより上記第一のカメラボディのマウント面から撮像面までの光学的距離と、中間アダプタ31を装着した状態でそのマウント面から第二のカメラボディ11Bの撮像面までの光学的距離を一致させ、光学的収差を最小とした高画質の撮影を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ交換が可能なデジタルカメラシステムおよび該デジタルカメラシステムに使用される中間アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ交換可能なカメラシステムにおいては、交換レンズの取り付け面から像面までの距離(フランジバック)が規定されており、そのカメラに取り付け可能な交換レンズは、規定されたフランジバックに基づいて設計がなされている。したがって、フランジバックの長いカメラに適用するように設計された交換レンズをフランジバックの短い別のカメラに装着する場合は、中間アダプタ等を使用してフランジバックを調整する必要がある。この種の中間アダプタについては、特許文献1等に数多く提案されている。
【特許文献1】特許文献1は、特開2005−70711号公報である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のデジタルカメラにおいては、撮影された画像の高周波成分の偽色等を軽減するために撮像素子の前面に複屈折特性をもつ水晶等で形成された光学ローパスフィルタ(以下、光学LPFと記載する)が配置されている。この光学LPFは、入射光束を複屈折しない常光と異常光(複屈折光)とに分離し、分離した複屈折光を撮像素子の隣り合う画素にそれぞれ入射させる。したがって、モアレの発生を防ぐためには光学LPFの厚みを画素ピッチに対応させて適切に設定しなければならない。
【0004】
また、撮影レンズと撮像素子との間には、光学LPFの他にも防塵フィルタ、赤外線吸収ガラス、撮像素子を密閉状態で収納するための保護ガラス等の平板光学要素も設置されており、これらの光学要素のそれぞれは特有の光学特性(例えば、屈折率など)を有している。そのため、レンズ交換可能なデジタルカメラにおいては、交換レンズの取り付け面から像面までの機械的距離(フランジバック)だけでなく、複数の光学要素に起因する光学的距離(光路長)の変化をも考慮して交換レンズの設計をしなければ、デジタルカメラシステムとしての総合的な高画質を得ることはできない。このことは上述の中間アダプタについても同様である。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来のフランジバック調整用アダプタは、フランジバックの調整のみに着目しており、特許文献1等には光路長を適合させるという思想は無かった。
【0006】
本発明の目的は、レンズ交換可能なデジタルカメラシステムにおいて、長いフランジバックを持つカメラに適合する交換レンズを中間アダプタを介してフランジバックの短いカメラに装着して高画質の撮影を行なうことができるデジタルカメラシステム、または、上記中間アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載のデジタルカメラシステムは、第一の撮像素子を含み、第一のフランジバックを有する第一のカメラボディと、上記第一のカメラボディに適合する第一のレンズと、上記第一のレンズと上記第一の撮像素子の間に配置された複数の光学要素からなる第一の光学素子と、第二の撮像素子を含み、上記第一のフランジバックよりも短い第二のフランジバックを有する第二のカメラボディと、上記第二のカメラボディに適合する第二のレンズと、上記第二のレンズと上記第二の撮像素子の間に配置された複数の光学要素からなる第二の光学素子と、上記第一のレンズを着脱するためのレンズ着脱部を一端に持ち、上記第二のボディを着脱するためのレンズ着脱部を他端にもつ中間アダプタとを具備したデジタルカメラシステムにおいて、上記中間アダプタには第三の光学素子が設けられており、上記第一、二の光学素子の各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数i およびj で付番し、上記第一の光学素子の各光学要素の屈折率をni とし、厚さをti とし、上記第二の光学素子の各光学要素の屈折率をnj とし、厚さをtj としたとき、第一の光学要素の第一の光学等価量Σ{ti ×(1−ni )/ni }は、第二の光学要素の第二の光学等価量Σ{tj ×(1−nj )/nj }より大きく、さらに、上記第三の光学素子の各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数k で付番したとき、上記第三の光学素子の各光学要素の屈折率をnk とし、厚さをtk としたとき、上記第三の光学要素の第三の光学等価量Σ{tk ×(1−nk )/nk }と上記第二の光学等価量Σ{tj ×(1−nj )/nj }との和Σ{tk ×(1−nk )/nk }+Σ{tj ×(1−nj )/nj }は、上記第一の光学等価量Σ{ti ×(1−ni )/ni }と略等しい。
【0008】
本発明の請求項2記載のデジタルカメラシステムは、請求項1記載のデジタルカメラシステムにおいて、上記第一、第二、および、第三の光学素子は、防塵ガラス、光学ローパスフィルタを構成する光学結晶からなる板、赤外線吸収ガラス、または、上記撮像素子を保護するための保護ガラスを含む。
【0009】
本発明の請求項3記載のデジタルカメラシステムは、請求項1に記載のデジタルカメラシステムにおいて、上記第一の撮像素子の画素ピッチは、上記第二の撮像素子の画素ピッチよりも大きい。
【0010】
本発明の請求項4記載のデジタルカメラシステムは、請求項1に記載のデジタルカメラシステムにおいて、上記第一の光学素子は、第一の光学ローパスフイルターを含み、その厚さは、上記第二の光学素子に含まれる第二の光学ローパスフィルタの厚さより厚い。
【0011】
本発明の請求項5記載のデジタルカメラシステムは、請求項1に記載のデジタルカメラシステムにおいて、上記第一のレンズにおいて、上記第一の撮像素子の対角に入射される主光線のレンズの光軸となす最大角は、上記第二のレンズにおいて、上記第二の撮像素子の対角に入射される主光線のレンズの光軸となす最大角よりも小さい。
【0012】
本発明の請求項6記載のデジタルカメラシステムは、請求項1記載のデジタルカメラシステムにおいて、上記第二のレンズは、上記第一のカメラボディに取り付かないように構成される。
【0013】
本発明の請求項7記載の中間アダプタは、撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメボディに適合する撮影レンズを撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子が配置された第二のカメラボディに適合させるための中間アダプタにおいて、上記第一のカメラボディの上記撮影レンズの取り付け面から撮像面までの光学的距離と、上記中間アダプタを上記第二のカメラボディに装着した状態における上記撮影レンズの取り付け面から上記第二のカメラボディの撮像面までの光学的距離とを一致させるために、光路長補償用光学素子を設ける。
【0014】
本発明の請求項8記載の中間アダプタは、請求項7に記載の中間アダプタにおいて、上記光路長補償用光学素子は、光学的パワーを有していない。
【0015】
本発明の請求項9記載のデジタルカメラシステムは、撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメラボディと、上記第一のカメボディに適合する撮影レンズと、撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子を配置した第二のカメラボディと、上記撮影レンズを上記第二のカメラボディに適合させるための中間アダプタとを具備するデジタルカメラシステムにおいて、上記中間アダプタは、上記第一のカメラボディのレンズ取り付け面から撮像面までの光学的距離と、上記中間アダプタを上記第二のカメラボディに装着した状態での上記中間アダプタのレンズ取り付け面から上記第二のカメラボディの撮像面までの光学的距離とを一致させるための、光路長補慣用光学素子を有している。
【0016】
本発明の請求項10記載のデジタルカメラシステムは、撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメラボディと、上記第一のカメラボディに適合する撮影レンズと、撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子を配置した第二のカメラボディと、上記撮影レンズを上記第二のカメラボディに装着するための中間アダプタと、上記第二のカメラボディに上記中間アダプタを介して上記撮影レンズを装着した状態において、上記撮影レンズの後端部から上記第二のカメラボディの前端部の間に配置される光路長補償用光学素子とを有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フランジバックの異なる第一,二のカメラボディおよび該カメラボディに装着可能な第一,二のレンズと、中間アダプタとからなるデジタルカメラシステムにおいて、フランジバックの短い上記第二のカメラボディをより小型軽量に構成することができ、さらに、上記第一のレンズを上記中間アダプタを介して上記第二のカメラボディに装着可能であり、かつ、該装着状態でも高画質の撮像を行なうことができるデジタルカメラシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態の説明に先立ってレンズ交換可能なデジタルカメラシステムにおいて、撮像素子の画素ピッチ、光学LPFの材質(光学特性)に応じて、光学LPFの厚みがどのように決定されるかを説明する。
【0019】
カメラボディに対してレンズ(すなわち、レンズ鏡筒)交換可能な従来の一眼レフタイプのデジタルカメラは、複数種類存在し、それぞれ撮像素子の画素数が異なる。すなわち、画素ピッチが異なる撮像素子が組み込まれており、さらに、複数種類のそれぞれが同一仕様の交換レンズが装着可能となっている。
【0020】
上記一眼レフタイプデジタルカメラのカメラボディにおいては、上述したように画素ピッチが異なる撮像素子の前面には、上記画素ピッチに対応した厚みを有した光学LPFが配置される。
【0021】
また、上述したように撮像素子の画素ピッチに対応して光学LPFの厚みを設定する理由としては、上記光学LPFを透過した光束は、複屈折しない常光と異常光(複屈折光)に分離される。一方、上記モアレ発生を防止するためには、撮像素子の隣り合う画素に上記分離された光束をそれぞれ入射させなければならない。そのために光学LPFの厚みを画素ピッチに対応させて変化させる必要がある。
【0022】
ところが、撮像素子の前面に厚みの異なる光学LPFを配置すると、その結像位置が変化することになる。図11は、撮像光学系において、撮像素子の前面に配置される光学LPFの有無による結像位置の変化の状態を示す光路図である。また、交換レンズと撮像素子との間には、防塵フィルタ、赤外線吸収ガラス、撮像素子をパッケージに密閉状態で収納するための保護ガラス等の平板光学要素が設置され、該平板光学要素によっても同様に結像位置が変化する。
【0023】
図11に示すように撮像素子の撮像面103の前方に光学LPF102がない場合には、レンズ101を通過した中央光束は、撮像面103上の点P1 に結像する。また、レンズ101を通過した周辺光束は、撮像面103上の点P2 に結像する。しかし、撮像素子の撮像面103の前方に光学LPF102が配されている場合には、レンズ101を通過した中央光束は、撮像面103の後方の点P1 ′に結像する。
【0024】
デジタルカメラの撮影光学系においては、通常、撮影画面の中央部に到達する光束(図11の点P1 ′に結像)と、周辺部に到達する光束(図11の点P2 ′に結像)との光路長に差が生じ、像面湾曲収差が生じる。この撮影画面の中心部と周辺部の光路長の差βの補正は、特定の光学要素からなる光学素子に対して、撮影光学系に像面湾曲等の収差を打ち消す光学特性を持たせることによって、結果的に像面湾曲収差、球面収差、非点収差等の収差を補正し、撮像素子上に結像させることができる。
【0025】
しかしながら、この収差補正の考え方をレンズ交換式のデジタルカメラに適用した場合には、以下のような問題が生じる。すなわち、第一の光学素子を具備する第一のカメラボディと、これに適合するように設計された交換レンズとを含むレンズ交換式のデジタルカメラシステムにおいて、上記交換レンズを第二の光学素子を具備する第二のカメラボディに装着する場合に、上記第一と第二の光学素子を構成する各光学要素の屈折率、厚みが異なっていたり、特定の光学要素が無いことにより、それぞれのカメラボディの光学光路長が異なることになり、適正な像面湾曲収差等の光学収差の補正ができないという問題が生じる。より具体的には、第一と第二のカメラボディに画素ピッチの異なる撮像素子が搭載されている場合、それぞれの光学LPFの厚さをその画素ピッチに適合するように設定することが必要であり、上述した問題が生じる。
【0026】
一方、上記従来のレンズ交換タイプのデジタルカメラにおいては、例えば、光学LPFとして水晶に代えてその厚みが極めて薄く、水晶に比べると大きな複屈折性をもつLN(LiNbO3,ニオブ酸リチウム)素子が適用されている。また、画素ピッチが殆ど変らないように撮像素子の大きさを変更することで画素数を変えたりしている。上記LN素子を適用した場合、複屈折性が大きいので、厚みを薄くできることから光束の光路長が殆ど変化せず、画素ピッチの異なるデジタルカメラのボディ間においても交換レンズの交換が可能となる。
【0027】
図12は、撮像素子の画素ピッチ(または、撮像素子の画素数)とそれに適応する光学LPF(水晶とLN素子の場合)の厚みの関係を示す線図である。図12に示すように画素ピッチPが狭くなると適応する光学LPFの厚みも薄くなっている。また、同一画素ピッチPに適応するLN素子の厚みは、水晶に対しておよそ1/5〜1/6になっている。
【0028】
上述した内容を踏まえて、以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
まず、本発明の第一の実施形態のデジタルカメラシステムの構成の概要を図1〜3を用いて説明する。
図1(A),(B)および図2は、本発明の第一の実施形態のデジタルカメラシステムを構成するカメラボディおよび交換レンズの組み合わせ状態と、内蔵される光学部材および撮像素子の配置を示す断面図であり、図1(A)は、基準カメラボディ(第一のカメラボディ)と第一のレンズとの組み合わせ状態を示し、図1(B)は、非基準カメラボディ(第二のカメラボディ)と第二のレンズとの組み合わせ状態を示している。図2は、第一のレンズと第一のカメラボディとを中間アダプタを介して装着した状態の断面図である。図3(A),(B)は、本実施形態のデジタルカメラシステムにおけるレンズのマウント部をカメラボディ側から見た状態と、装着されるカメラボディのマウント部(二点鎖線)を合わせて示しており、図3(A)は、第一のレンズのマウント部を示し、図3(B)は、第二のレンズのマウント部を示す。
【0029】
本実施形態のデジタルカメラシステムは、上述したように図1(A),(B)に示すデジタルカメラ1とデジタルカメラ2と、図2に示すデジタルカメラ30からなる。
【0030】
デジタルカメラ1は、基準カメラボディである第一のカメラボディ11Aと、該カメラボディ1Aに着脱可能な第一のレンズとしての交換レンズ鏡筒(以下、レンズ鏡筒と記載する)12Aとからなる。
【0031】
デジタルカメラ2は、マウント面から撮像素子の撮像面までの機械的距離、すなわち、フランジバックが第一のカメラボディ11Aのフランジバックよりも短い非基準カメラボディである第二のカメラボディ11Bと、該カメラボディ11Bに着脱可能なバックフオーカスの短い第二のレンズとしての交換レンズ鏡筒(以下、レンズ鏡筒と記載する)12Bとからなる。
【0032】
デジタルカメラ30は、第二のカメラボディ11Bと該カメラボディ11Bに中間アダプタ31を介して装着されるレンズ鏡筒12Aとからなる。
【0033】
図3(A)に示すように第一のカメラボディ11Aのボディ側マウント部3Aには、3つのボディ側マウント爪3Abと切り欠き部3Acが設けられている。また、レンズ鏡筒12Aのレンズ側マウント部4Aには、3つのレンズ側マウント爪4Abが設けられている。
【0034】
レンズ鏡筒12Aを第一のカメラボディ11Aに装着する場合は、レンズ側マウント爪4Abを第一のカメラボディのボディ側マウント部3Aの切り欠き部3Ac(図3(A)中では2点鎖線で示す)に光軸O方向に差し込む。その後、レンズ鏡筒12Aを第一のカメラボディ11Aの光軸O周りに回転させ、レンズ側マウント爪4Abをボディ側マウント爪3Ab(図中では点線で示す)に係合させて装着状態とする。そのレンズ鏡筒装着状態にて、第一のカメラボディ11Aのマウント部3Aの前面のレンズ取り付け面であるマウント面3Aaは、レンズ鏡筒12Aのマウント部3Aのマウント面4Aaと当接し、密着して両者の光軸方向の相対位置が規定される。なお、第一のカメラボディ11Aの第一のフランジバックは、マウント面3Aaと撮像素子5Aの光電変換面(撮像面)5Aa間の距離である。
【0035】
図3(B)に示すように第二のカメラボディ11Bのマウント部3Bには、4つのボディ側マウント爪3Bbと切り欠き部3Bcが設けられている。また、レンズ鏡筒12Bのレンズ側マウント部4Bには、4つのレンズ側マウント爪4Bbが設けられている。そして、第二のカメラボディ11Bのマウント径は、第一のカメラボディ11Aのマウント径より小さい。
【0036】
レンズ鏡筒12Bを第二のカメラボディ11Bに装着する場合は、レンズ側マウント爪4Bbを第二のカメラボディのボディ側マウント部3Bの切り欠き部3Bc(図3(B)中では2点鎖線で示す)に光軸O方向に差し込む。その後、レンズ鏡筒12Bを第二のカメラボディ11Bの光軸O周りに回転させ、レンズ側マウント爪4Bbをボディ側マウント爪3Bb(図3(B)中では点線で示す)に係合させる。
【0037】
上記レンズ鏡筒装着状態にて、第二のカメラボディ11Bのマウント部3Bの前面のレンズ取り付け面であるマウント面3Baは、レンズ鏡筒12Bのマウント部3Bのマウント面4Baと当接し、密着して、両者の光軸方向の相対位置が規定される。なお、第二のカメラボディ11Bの第二のフランジバックは、マウント面3Baと撮像素子5Bの光電変換面(撮像面)5Ba間の距離となり、第一のカメラボディ11Aの第一のフランジバックより短い。
【0038】
上述したようにレンズ鏡筒12Aとレンズ鏡筒12Bとは、そのマウント径が異なり、かつ、係合爪の数も異なっているので、レンズ鏡筒12Aを第二のカメラボディ11Bに直接装着したり、レンズ鏡筒12Bを第一のカメラボディ11Aに装着することはできない。
【0039】
レンズ鏡筒12Aが着脱可能な第一のカメラボディ11Aには、図1(A)に示すように保護ガラス6Aを有するCCD(または、CMOS型撮像素子)等からなる第一の撮像素子としての撮像素子5Aと、撮像素子前面に配置される赤外線吸収ガラス8Abを含む第一の光学ローパスフィルタである光学LPF8Aと、上記撮像素子および光学LPFをホコリから保護する防塵フィルタ21Aが内蔵され、前述したようにレンズ側マウント面4Aaと当接可能なボディ側マウント面3Aaをもつボディ側マウント部3Aを有している。なお、第一のカメラボディ11Aに内蔵される防塵フィルタ21A,光学LPF8A,保護ガラス6Aは、第一の光学素子を構成する。
【0040】
撮像素子5Aは、例えば、4/3型の撮像素子であって第一の画素ピッチである所定の基準画素ピッチδ0 (対応する基準画素数は、S0 )を有しており、撮像素子5Aの結像面である光電変換面5Aa上に結像した被写体像は、電気的撮像信号に変換される。
【0041】
光学LPF8Aは、モアレ発生を防止するために撮像素子5Aの基準画素ピッチδ0 に対応するように光線を分離する所定の厚みをもち、所定の方向に複屈折特性を有する水晶板8Aa、8Ac、8Adで形成され、さらに、赤外線吸収ガラス8Abを含んでいる。
【0042】
基準画素ピッチδ0 =7μm とした場合、正方4点分離(入射した光線が画素ピッチを1辺とする正方形の角を通る4点に分離する)の光学LPF8Aを形成するには、各水晶板のうち、水晶板8Aaは、厚さt2 =0.84mmで回転角=45°となり、水晶板8Acは、厚さt4 =0.84mmで回転角=−45°となり、水晶板8Adは、厚さt5 =1.19mmで回転角=0°となる。このとき、水晶の屈折率はn2 ,4 ,5 =1.544である。この光学LPF8Aの水晶板総厚さは、2.87mmである。
【0043】
赤外線吸収ガラス8Abは燐酸ガラスあるいは弗燐酸ガラスで形成され、屈折率n3 =1.542で厚さt3 =0.5mmとする。また、防塵フィルタ21Aは、材質や厚さに制限はないが、ここでは厚さt1 =1mmでn1 =1.52の光学ガラスである。さらに、保護ガラス6Aは、厚さt6 =0.6mmでn6 =1.52の光学ガラスである。
【0044】
光学LPF8Aは、ボディ側マウント部3Aと撮像素子5Aとの間に配置されるが、その厚さは、後述する第二のカメラボディ11Bの光学LPF8B、および、同じレンズ鏡筒12Aが着脱可能な他の非基準のカメラボディに適用される光学LPFに比較しても最も厚い厚みを有する。
【0045】
このレンズ鏡筒12Aは、複数の撮影レンズ群からなる撮影光学系12Aaを内蔵し、上述したように第一のカメラボディ11Aに直接的に取り付けが可能である。さらに、第二のカメラボディ11Bに後述する中間アダプタ31(図2)を介した状態で着脱可能である。このレンズ鏡筒12Aは、例えば、焦点距離が異なる交換レンズやズームレンズやマクロレンズ等の複数の交換レンズのいずれかが相当する。
【0046】
レンズ鏡筒12Aの撮影光学系12Aaを第一のカメラボディ11Aに装着した状態にて、取り込まれた被写体光束は、防塵フィルタ21A、および、光学LPF8Aを透過して、撮像素子5Aの光電変換面5Aa上に結像するが、上述した光学LPF8A等の屈折率と厚みにより実効光路長が変化した状態で像面湾曲収差、球面収差、非点収差等が生じることなく光電変換面5Aa上に結像するように設計製作されている。すなわち、図11に示した中心光束による結像点P1 ′と周辺光束による結像点P2 ′がともに撮像素子5Aの光電変換面5Aa上に位置する収差のない状態が得られるようにしている。
【0047】
一方、レンズ鏡筒12Bが着脱可能な第二のカメラボディ11Bには、図1(B)に示すように保護ガラス6Bを有するCCD(MOS型撮像素子)等からなる第二の撮像素子としての撮像素子5Bと、撮像素子前面に配置される赤外線吸収ガラス8Bbを含む第二の光学ローパスフィルタである光学LPF8Bと、撮像素子および光学LPFをホコリから保護する防塵フィルタ21Bが内蔵される。また、前述したようにレンズ側マウント面4Baと係合可能なボディ側マウント面3Baを備えたボディ側マウント部3Bを有している。なお、第二のカメラボディ11Bに内蔵される防塵フィルタ21B,光学LPF8B,保護ガラス6Bは、第二の光学素子を構成する。
【0048】
撮像素子5Bは、基準撮像素子5Aと同様の4/3型の撮像素子であるが、基準画素ピッチδ0 より小さな値の第二の画素ピッチである画素ピッチδ1 を有している。この撮像素子5Bの結像面である光電変換面5Ba上に結像した被写体像は、同様に電気的撮像信号に変換される。
【0049】
光学LPF8Bは、撮像素子5Bの画素ピッチδ1 に対応しており、光学LPF8Aと同じ構成の水晶板でこの光学LPFを形成した場合、光学LPF8Aとは厚さの異なるものとなる。
【0050】
例えば、画素ピッチδ1 =5μm とした場合、正方4点分離(詳しくは、入射した光線が画素ピッチを1辺とする正方形の角を通る4点に分離すること)の光学LPF8Bを光学LPF8Aと同じ構成で形成するには、各水晶板のうち、水晶板8Baは、厚さt2 =0.60mmで回転角45°となり、水晶板8Bcは、厚さt4 =0.60mmで回転角−45°となり、水晶板8Bdは、厚さt5 =0.85mmで回転角0°となる。基準画素ピッチδ0 =7μm の場合に対して、上述した光学LPF8Bの各水晶板総厚さ2.05mmであり、0.82mmほど薄くなる。上記水晶の屈折率はn2 ,4 ,5 =1.544である。
【0051】
赤外線吸収ガラス8Bbは、燐酸ガラスあるいは弗燐酸ガラスであって、屈折率n3 =1.542で厚さt3 =0.5mmである。また、防塵フィルタ21Bは、材質や厚さに制限はないが、ここでは厚さt1 =1mmでn1 =1.52の光学ガラスとする。さらに、保護ガラス6Bは厚さt6 =0.6mmでn6 =1.52の光学ガラスであり、これらの光学要素の仕様は、第一カメラボディ11Aに内蔵される赤外線吸収ガラス8Ab,防塵フィルタ21A,保護ガラス6Aと同一である。
【0052】
被写体光束は、光学LPF8B等の屈折率と厚みにより実効光路長が変化した状態で像面湾曲収差、球面収差、非点収差等が生じることなく、光電変換面5Ba上に結像するように設計製作されている。
【0053】
上述した状態では水晶板の厚さが異なることにより、レンズ鏡筒12Bと撮像素子5Bの間に配置された光学素子の光学光路長が第一のカメラボディの11Aの光学素子の光学光路長よりも短くなる。
【0054】
従って、第二のカメラボディ11Bは、光軸方向の厚さを薄くすることが可能であり、また、交換レンズからの光線は撮像素子の近くになればなるほど光軸からの距離は小さくなるので、光軸に直交する方向にもカメラボディ外形を小さくすることができる。
【0055】
―方、レンズ鏡筒12Bは、第二のカメラボディ側のマウント面3Baに当接可能なレンズ側マウント面4Baが設けられたレンズ側マウント部4Bを有しており、複数の撮影レンズ群からなる撮影光学系12Baを内蔵する。このレンズ鏡筒12Bは、レンズ鏡筒12Aに比較してバックフオーカスが短い、言い換えると、レンズ鏡筒12Aにおける撮像素子5Aの対角に入射される主光線の光軸Oとなす最大角に比較して、このレンズ鏡筒12Bにおける撮像素子5Bの対角に入射される主光線の光軸Oとなす最大角が大きく、交換レンズ自体も光軸方向に短くなる。また、光線は焦点面に近いほど広がりは小さくなるのでレンズの径も小さくなり、小型の交換レンズにすることが可能となる。
【0056】
なお、このレンズ鏡筒12Bは、バックフオーカスが短いために第一のカメラボディ11Aに装着可能なようにマウントを構成すると、撮影レンズが第一のカメラボディ11Aの構成部材(例えば、TTL光学ファインダ用のクイックリターンミラー)に干渉してしまい問題が生じる。そこで、本実施形態では前述したようにデジタルカメラ1とデジタルカメラ2のマウントは異なる構成として直接装着できないようにしている(図3(A),(B)参照)。また、レンズ鏡筒12Bの光学収差は、第二のカメラボディ11Bの光学素子の厚みに合わせて小さくなるように設計されており、後述するように第二のカメラボディ11Bに中間アダプタ31を介してレンズ鏡筒12Aを装着してときもその光学収差は、最も小さく抑えられる。
【0057】
上述したデジタルカメラ30は、第二のカメラボディ11Bと、第二のカメラボディ11Bに中間アダプタ31を介して装着される第一のレンズであるレンズ鏡筒12Aとで構成される(図2)。
【0058】
中間アダプタ31は、一端のレンズ側に設けられるレンズ着脱部である前マウント部33と、他端のカメラボディ側に設けられるレンズ着脱部である後マウント部34と、該前、後マウント部に挟持して固定される中間筒32とからなる。
【0059】
中間筒32にはその内部に第三の光学素子(光路長補償用光学素子)である補正光学素子32aが配されている。この補正光学素子32aは、光学的パワーを有していないガラス板からなる。
【0060】
そして、補正光学素子32aと、第二のカメラボディ11B内蔵の上記光学LPF8B他からなる第二の光学素子を合わせた状態は、第一のカメラボディ11A内蔵の上記光学LPF8A他からなる第一光学素子に対して光学的に等価(言い換えると、光学等価量を等しくする)な状態となる。詳しくは、後で説明する。
【0061】
前マウント部33は、第一のカメラボディ12Aのマウント部3Aと同一形状を有しており、レンズ鏡筒12Aのマウント部4Bと係合し、装着可能である。
【0062】
後マウント部34は、レンズ鏡筒12Bのマウント部4Bと同一形状を有しており、第二のカメラボディ11Bのマウント部3Bと係合し、装着が可能である。
【0063】
第二のカメラボディ11Bのマウント部3Bに中間アダプタ31のマウント部34を係合させ、かつ、レンズ鏡筒12Aのマウント部4Aに中間アダプタ31のマウント部33を係合させることによって中間アダプタ31を介してレンズ鏡筒12Aを第二のカメラボディ11Bに装着することができる。
【0064】
上記装着状態では、前マウント部33のマウント面33aとレンズ鏡筒12Aのマウント面4Aaとは、当接し、密着する。さらに、後マウント部34のマウント面34aと第二のカメラボディ11Bのマウント面3Baとは、当接し、密着し、レンズ鏡筒12A,中間アダプタ31,第二のカメラボディ11Bの光軸O方向の相対位置が規定される。
【0065】
中間アダプタ31の前側マウント面33aと後側マウント面34aの離間距離は、本実施形態では、第一のカメラボディ11Aの上記フランジバックに対して第二のカメラボディ11Bの上記フランジバックが不足する分を補足する距離とする。したがって、中間アダプタ31を装着した状態での第二のカメラボディ11Bの光学的なフランジバックは、第一のカメラボディ11Aのフランジバックと同一となる。
【0066】
しかしながらレンズ鏡筒12Aに適合する上記第一の光学素子と第二のカメラボディ11Bがもつレンズ鏡筒12Bに適合した上記第二の光学素子とは、異なったものとなっているのでピントは合うようになったとしてもレンズ鏡筒12Aの光学的な収差を最小にすることはできない。そこで、本実施形態では、上述したように中間アダプタ31の中間筒32に補正光学素子32aを内蔵させ、その補正光学素子32aと第二の光学素子とを合わせることにより第一のカメラボディに設けられた光学素子と光学的に等価となるように構成している。
【0067】
具体的に説明すると、前述したように第一のカメラボディ11A内蔵の光学LPF8Aの水晶板総厚さ(赤外線吸収ガラスを除く水晶板のみ)は、2.87mmであり、第二のカメラボディ11B内蔵の光学LPF8Bの水晶板総厚さ(赤外線吸収ガラスを除く水晶板のみ)は、2.05mmである。但し、水晶板以外の第一,第二の光学素子を構成する赤外線吸収ガラス8Abと8Bb、防塵フィルタ21Aと21B、および、保護ガラス6Aと6Bは、それぞれ同一材質で同一の厚さを有している。
【0068】
従って、第一の光学素子の総厚さに対して、第二の光学素子の総厚さに補正光学素子32a厚みを加算した合計の厚さを等しくするには、光学LPF8Bの水晶板総厚さに対して光学LPF8Bの水晶板総厚さが不足する分の厚さを中間アダプタ31側の補正光学素子32aの厚さとすればよく、その不足分の厚さは、0.82mmとなる。しかしながら、厚さ0.82の補正光学素子32aを中間アダプタ31に適用したとしたとしてもまだ光学的な収差を最小にすることはできない。
【0069】
そこで、本実施形態においては、上記第一の光学素子に対して上記第二の光学素子および補正光学素子32aの光学等価量を等しくなるように設定することにより中間アダプタ31を使用したときの光学的収差を最小にすることを実現している。
【0070】
言い換えると、中間アダプタ31に補慣用光学素子32aを配して、第一のカメラボディ11Aのマウント面(レンズ取り付け面)3Aaから撮像面までの光学的距離と、中間アダプタ31を上記第二のカメラボディ11Bに装着した状態での中間アダプタ31のマウント面(レンズ取り付け面)33aから第二のカメラボディ11Bの撮像面までの光学的距離とを一致させることによってレンズ鏡筒12Aと第二のカメラボディ11Bとの組み合わせであっても光学的収差を最小にすることができる。
【0071】
上記光学等価量は、斜めの光線の倍率方向のずれも含めた光軸方向実効光路長の変化の等価量に相当し、Σ{光学要素厚さ+(1−光学要素屈折率)/光学要素屈折率}で与えられ、この値を異なる構成の光学素子で等しく設定することによって当該双方のカメラにおいて撮像素子の光電変換面上にピントが合うようにし、かつ、収差も最小とすることができる。
【0072】
第一のカメラボディ11A(撮像素子の基準画素ピッチδ0 =7μm の場合)にて、上記第一の光学素子を構成する各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数i と付番し、各光学要素の屈折率をni とし、厚さをti としたとき、前述した各光学要素からなる第一の光学素子の第一の光学等価量は、
Σ{ti ×(1−ni )/ni }=1.00×(1−1.52)/1.52
+0.84×(1−1.544)/1.544+0.5(1−1.542)/1.542
+0.84×(1−1.544)/1.544+1.19×(1−1.544)/1.544
+0.6×(1−1.52)/1.52=−1.734
となる。
【0073】
第二のカメラボディ11B(撮像素子の画素ピッチδ1 =5μm の場合)にて、上記第二の光学素子を構成する各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数j と付番し、各光学要素の屈折率をnj とし、厚さをtj としたとき、前述した各光学要素からなる第二の光学素子の第二の光学等価量は、上記第一の光学等価量より小さく、
Σ{tj ×(1−nj )/nj }=1.00×(1−1.52)/1.52
+0.6×(1−1.544)/1.544+0.5(1−1.542)/1.542
+0.6×(1−1.544)/1.544+0.85×(1−1.544)/1.544
+0.6×(1−1.52)/1.52=−1.445
となる。
【0074】
そして、中間アダプタ31内蔵の補正光学素子32aは、上記第一の光学等価量と第二の光学等価量の差分、
Σ{ti ×(1−ni )/ni }−Σ{tj ×(1−nj )/nj }
=(−1.734)−(−1.445)=−0.289
で与えられる第三の光学等価量を持った光学素子であればよいことになる。
【0075】
例えば、屈折率n=1.5のガラスで構成する場合は、厚さをthとすると、第三の光学等価量は、th ×(1−1.5)/1.5であることから、厚さは、
th=−0.289×1.5/(1−1.5)=0.867mm
となり、補正光学素子32aとして厚さth=0.867mmの光学ガラス板を適用することにより第二の光学等価量と第三の光学等価量の和が第一の光学等価量と同等となり、上述した条件を満足できる。
【0076】
本実施形態では補正光学素子32aは光学等価量の補正用として用いているが、赤外線カットフィルタとか可視光カットのフィルタの効果を持たせても良いし、光学ローパスフィルタの効果を持たせて本来とは異なる光学ローパスフィルタ効果を持たせる等の副次的な光学効果を持たせても勿論よい。これらの副次的効果を補正光学素子32aに持たせる場合は、中間アダプタに対して補正光学素子を着脱自在にしておくと使用者が上述した副次的な効果を自在に変更しながらデジタルカメラを用いることができる。
【0077】
また、上述した補正光学素子32a自体は、必ずしも中間アダプタ31内に設ける必要はなく、レンズ鏡筒12Aを中間アダプタ31を介して第二のカメラボディ11Bに装着した状態において、レンズ鏡筒12Aの後端部から第二のカメラボディ11Bの前端部の間に補正光学素子32aを挿入するようにしてもよく、例えば、レンズ鏡筒12Aの後端部や第二のカメラボディ11Bの前端部に取り付けてもよい。
【0078】
なお、上記第三の光学素子の補正光学素子が複数の光学要素で構成された場合、上記第三の光学等価量は、上記補正光学素子を構成する各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数k と付番し、各光学要素の屈折率をnk とし、厚さをtk としたとき、上記補正光学素子の第三の光学等価量は、Σ{tk ×(1−nk )/nk }で与えられる。そして、第一の光学素子の第一の光学等価量Σ{ti ×(1−ni )/ni }に対して、第二の光学素子の第二の光学等価量Σ{tj ×(1−nj )/nj }と補正光学素子の第三の光学等価量Σ{tk ×(1−nk )/nk }との和を略等しくとればよいことになる。
【0079】
前述したように本実施形態の中間アダプタ31における前側マウント面33aと後側マウント面34aの離間距離は、中間アダプタ31を装着した状態での第二のカメラボディ11B側のフランジバックは、第一のカメラボディ11Aのフランジと同一となるように設定した。しかし、上記離間距離に多少の過不足がある場合でも第一の光学等価量に対して上記第二の光学等価量と第三の光学等価量との和の値を上記離間距離の過不足を埋める値にすることにより、第二のカメラボディ11Bに上記中間アダプタを介してレンズ鏡筒12Aを装着した状態でピントが合い、かつ、光学的収差の少ない被写体像を取り込めるようにすることが可能となる。
【0080】
図4(A),(B)は、厚さと屈折率が異なる2種類の光学要素に対して光線が入射角X0 で入射した時の斜入射による光線ズレ量△Hi 、ΔHj を示す図であって、図4(A)は、厚さti ,屈折率ni を有する一方の光学要素(第一の光学素子側)に対する光線ズレ量△Hi を示す。図4(B)は、異なる厚さtj ,屈折率nj を有する他方の光学要素(第二の光学素子側)に対する光線ズレ量ΔHj を示す。なお、図中、Hi ,Hj は、入射光線の延長位置までの高さを示し、Hi ′,Hj ′は、屈折光線の射出点までの高さを示し、光線ズレ量△Hi ,ΔHj は、Hi ,Hj とHi ′,Hj ′との差で与えられる。
【0081】
撮影レンズの倍率方向の収差を考えるときは、上記光線ズレ量△Hi ,ΔHj が等しければ、収差は同じになる。すなわち、光線ズレ量比ΔHj /ΔHi が1となればよいことになる。なお、上述した光学要素からなる光学素子に対する光学等価量は、それぞれの光学要素における光線ズレ量△Hi 、または、ΔHj を加算した値に対応する。
【0082】
図5は、屈折率の異なる光学要素に対して上記光学等価量を等しくした条件で、入射角X0 と光線ズレ量比ΔHj /ΔHi との関係を示す線図である。 図中、光線ズレ量ΔHi は、屈折率ni =1.5の光学要素を基準としたときの値を適用し、光線ズレ量ΔHj は、屈折率nj が1.4、1.8、2、2.2、2.4と変化した光学要素についての値を示している。
【0083】
図5に示すように一般的な光学素材(波長587.6nmの時の屈折率は1.4〜2)の場合、入射角が15°以下であると光学ズレ量比は、略1(誤差は1%以下)となって光学収差に影響しないことがわかる。屈折率2.4の場合は、光学ローパスフィルターに使われる上記LN素子を素材に使用した場合に相当し、このLN素子等の高屈折率の特殊素材を用いても光学ズレ量比を略1に近くすることができる。また、この線図では波長587.6nmの光に対する屈折率についで考えたが、他の波長、例えば、波長486.1nmから626.3nmの光についても上記と同様に光線ズレ量比が1に近くなるように光学素材を選択すると、色収差に関しても収差の変化を抑えることが可能となる。デシタルカメラの場合、被写体光は波長420nmから650nm付近が画像形成に支配的であるでこの波長範囲で光線ズレ量比を略1にすれば、色収差の画像に及ぼす影響を抑えることができる。
【0084】
次に、本実施形態のデジタルカメラシステムにおけるデジタルカメラ1,2の内部構造について、図6〜10を用いて説明する。
図6は、デジタルカメラ1および2において、カメラボディ11A,11Bにそれぞれ交換レンズ鏡筒12A,12Bを装着した状態におけるそれぞれの内部構造を合わせて示した斜視図(一部破断面とする)である。図7は、上記デジタルカメラ1および2の撮像ユニット15A,15Bまわりのそれぞれの内部構造を合わせて示した斜視図(一部破断面とする)である。
【0085】
デジタルカメラ1、または、2は、図6に示すようにそれぞれレンズ鏡筒12A、または、12Bと、該レンズ鏡筒12Aが着脱可能である基準カメラボディである第一のカメラボディ11A、または、該レンズ鏡筒12Bが着脱可能である非基準カメラボディである第二のカメラボディ11Bとからなる。
【0086】
第一のカメラボディ11Aと第二のカメラボディ11Bとは、内蔵される撮像ユニットの撮像素子、および、光学LPFが異なり、さらに、フランジバックが異なるが、その他の構成は、同様である。
【0087】
レンズ鏡筒12A、または、12Bは、それぞれ複数のレンズからなる撮影光学系12Aa、または、12Baやその駆動機構等を内部に保持して構成される。そして、この撮影光学系12Aa、または、12Baは、それぞれ被写体からの光束を透過させることで当該被写光束により形成される被写体の像を所定の位置(図7の撮像素子5A、または、5Bの光電変換面上)に像面湾曲収差等の各種の光学的な収差のない状態で結像せしめるように、例えば、複数の光学レンズ等によって構成される。つまり、撮像素子前面に配される光学LPFにて生じる像面湾曲収差もなくすように設計されたものである。
【0088】
なお、ここでいう、収差のない状態とは、実使用上問題のないレベル以下の収差がある状態も含む。換言すれば、撮影光学系12Aa、または、12Baは撮像素子前面に配される光学LPFなども考慮した上で、各種収差が最適となるように設計されている。
【0089】
カメラボディ11A、または、11Bは、それぞれ本体部11Aa、または、11Ba内部に各種の構成部材等を備えて構成され、かつ、撮影光学系12Aa,12Baを保持するレンズ鏡筒12A、または、12Bを着脱自在となるようにボディ側マウント部3A、または、3Bをその前面に備えて構成された、いわゆる「一眼レフレックス方式」のカメラボディである。つまり、カメラ本体部11Aa,11Baの前面側の略中央部には、それぞれ被写体光束を当該カメラ本体部11Aa,11Baの内部ヘと導き得る所定の口径を有する露光用開口が形成され、この露光用開口の周縁部にボディ側マウント部3A、または、3Bが形成されている。
【0090】
以下、第一,二のデジタルカメラのカメラボディ11A、または、11Bの内部構成の詳細を説明する。
【0091】
まず、カメラ本体部11Aa,11Baの上面部や背面等の所定の位置にはカメラボディ11A、または、11Bを動作させるための各種の操作部材、例えば、撮影動作を開始せしめるための指示信号等を発生させるためのレリーズボタン17等が配設されている。
【0092】
カメラ本体部11Aa、または、11Baの内部には、それぞれ図6に示すように各種の構成部材、例えば、撮影光学系12Aa、または、12Baにより取り込まれた所望の被写体像を撮像素子5A、または、5B(図7)の光電変換面上とは異なる所定位置に形成させるために設けられ、所謂、観察光学系を成すファインダ装置13と、撮像素子5A、または、5Bの光電変換面への被写体光束の照射時間等を制御するシャッタ機構等を備えたシャッタ部14と、撮影光学系12Aa,12Baを透過した被写体光束に基づき被写体像信号を得る撮像素子を含む撮像ユニット15A(第一のカメラボディ用)あるいは15B(第二のカメラボディ用)と、撮像素子5A、または、5Bにより取得した画像信号に対して各種の信号処理を施す画像信号処理回路等の電気回路を成す各種の電気部材が実装された主回路基板16A(第一のカメラボディ用)、あるいは16B(第二のカメラボディ用)を始めとする複数の回路基板等が、それぞれ所定位置に配設されている。また、撮像ユニット15A、15Bの前面には撮像素子の光電変換面への塵埃等の付着を防止する防塵フィルタ21A、または、21Bが配設されている。
【0093】
ファインダ装置13は、撮影光学系12Aa、または、12Baを透過した被写体光束の光軸を折り曲げて観察光学系の側へと導くように構成された反射鏡13bと、この反射鏡13bから出射する光束を受けて正立正像を形成するペンタプリズム13aと、このペンタプリズム13aを介して、被写体像を拡大して観察する接眼レンズ13c等によって構成されている。
【0094】
反射鏡13bは、撮影光学系12Aa、または、12Baの光軸から退避する位置と当該光軸上の所定の位置との間で移動自在に構成され、通常状態は、撮影光学系12Aa、または、12Baの光軸上にて当該光軸に対して所定角度、例えば角度45°に配置されている。これにより、撮影光学系12Aa、または、12Baを透過した被写体光束は、当該カメラ1、または、2が通常状態にある際は、反射鏡13bによってその光軸が折り曲げられて、当該反射鏡13bの上方に配置されるペンタプリズム13aの側へと反射されるようになっている。
【0095】
デジタルカメラ1、または、2の撮影時の露光動作中には、当該反射鏡13bが撮影光学系12Aa,12Baの光路から退避する所定位置に移動するようになっている。これによって被写体光束は、撮像素子側へと導かれ、その光電変換面を照射するようになっている。
【0096】
シャッタ部14は、例えば、フォーカルプレーン方式のシャッタ機構や、このシャッタ機構の動作を制御する駆動回路等、従来のカメラ等で一般的に利用されているものと同様のものが適用される。
【0097】
第一のカメラボディ用の撮像ユニット15A、または、第二のカメラボディ用の撮像ユニット15Bは、内蔵される撮像素子と光学LPFとが異なるのみで他の構成は略同一である。まず、第一のカメラボディ用である撮像ユニット15Aについて説明する。
【0098】
撮像ユニット15Aは、図7に示すように撮影光学系12Aaを透過し自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得るCCD等からなる撮像素子5Aと、この撮像素子5Aを固定支持する薄板状の部材からなる撮像素子固定板28と、撮像素子5Aの光電変換面の側に配設され、撮影光学系12Aaを透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除くべく形成される光学素子である光学LPF8Aと、この光学LPF8Aと撮像素子5Aとの間の周縁部に配置され、略枠形状の弾性部材等によって形成されるローパスフィルタ受け部材26と、撮像素子5Aを収納し固定保持すると共に光学LPF8Aをその周縁部位乃至その近傍部位に密着して支持しかつ所定の部位を後述する防塵フィルタ受け部材23に密に接触するように配設される撮像素子収納ケース部材24(以下、CCDケース24という)と、このCCDケース24の前面側に配置される防塵フィルタ21Aをその周縁部位乃至その近傍部位に密着して支持する防塵フィルタ受け部材23と、この防塵フィルタ受け部材23によって支持されて撮像素子5Aの光電変換面の側であって光学LPF8Aの前面側において当該光学LPF8Aとの間に所定の間隔を持つ所定の位置に対向配置される防塵部材である防塵フィルタ21Aと、この防塵フィルタ21Aの周縁部に配設され当該防塵フィルタ21Aに対して所定の振動を与えることによって塵埃を除去させる圧電素子22と、防塵フィルタ21Aを防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合させ固定保持する弾性体からなる押圧部材20等によって構成されている。
【0099】
撮像素子5Aは、撮影光学系12Aaを透過した被写体光束を自己の光電変換面5Aa(図1(A))で受けて光電変換処理を行なうことにより、当該光電変換面に形成される被写体像に対応した画像信号を取得するものであって、例えば、4/3型で第一の画素ピッチとしての基準画素ピッチδ0 が略7μm である電荷結合素子(Charge Coupled Device)等が適用される。
【0100】
この撮像素子5Aは、撮像素子固定板28を介して主回路基板16A上の所定の位置に実装されている。この主回路基板16Aには、不図示の画像信号処理回路及びワークメモリ等が共に実装されており、撮像素子5Aからの出力信号、即ち光電変換処理により得られた画像信号が画像信号処理回路等へと電送されるようになっている。撮像素子5Aの光電変換面の前方には、保護ガラス6A(図7)が配される。
【0101】
画像信号処理回路における信号処理としては、例えば、レンズ鏡筒12Aの撮影光学系12Aaにより撮像素子5Aの光電変換面上に結像された像に対応する当該撮像素子5Aの画像出力信号を記録に適合する形態の信号に変換する処理等の各種の信号処理である。このような信号処理は、電子的な画像信号を取り扱うように構成される一般的なデジタルカメラ等において通常になされる処理と同様である。
【0102】
撮像素子5Aの前面側には、ローパスフィルタ受け部材26を挟んで光学LPF8Aが配設されている。光学LPF8Aは、複屈折特性を有する光学素子の水晶で形成されており、後述するように撮像素子5Aの画素ピッチδ0 (略7μm )に対応する厚みts0を有している。なお、後述するように光学LPF8A内には、赤外線吸収ガラスが挿入されている。
【0103】
そして、光学LPF8Aを覆うようにCCDケース24が配設されている。このCCDケース24には、略中央部分に矩形状からなる開口が設けられており、この開口にその後方側から光学LPF8A及び撮像素子5Aが配設されるようになっている。この開ロ後方側の内周縁部には、光学LPF8A前面が当接する略L字断面形状の段部24aが形成されている。
【0104】
上述したように、光学LPF8Aと撮像素子5Aとの間には、弾性部材等からなるローパスフィルタ受け部材26が配設されている。このローパスフィルタ受け部材26は、撮像素子5Aの前面側の周縁部においてその光電変換面の有効範囲を避ける位置に配設され、かつ光学LPF8Aの背面側の周縁部近傍に当接するようになっている。そして、光学LPF8Aと撮像素子5Aとの間を略気密性が保持されるようにしている。これにより、光学LPF8Aには、ローパスフィルタ受け部材26による光軸方向への弾性力が働くことになる。
【0105】
そこで、光学LPF8Aの前面側の周縁部を、CCDケース24の段部24aに対して略気密的に接触させるように配置することで、当該光学LPF8Aをその光軸方向に変位させようとするローパスフィルタ受け部材26による弾性力に抗して当該光学LPF8Aの光軸方向における位置を規制するようにしている。
【0106】
換言すれば、CCDケース24の開口の内部に背面側より挿入された光学LPF8Aは、段部24aによって光軸方向における位置規制がなされている。これにより、当該光学LPF8Aは、CCDケース24の内部から前面側へ向けて外部に抜け出ないようになっている。
【0107】
このようにして、CCDケース24の開口の内部に背面側から光学LPF8Aが挿入された後、光学LPF8A背面側には、撮像素子5A配設されるようになっている。光学LPF8A撮像素子5Aの間には、周縁部においてローパスフィルタ受け部材26が挟持されるようになっている。
【0108】
また、撮像素子5Aは、上述したように撮像素子固定板28を挟んで主回路基板16Aに実装されている。そして、撮像素子固定板28は、CCDケース24の背面側からネジ孔24eに対してネジ28bによってスペーサ28aを介して固定されている。また、撮像素子固定板28には、主回路基板16Aがスペーサ16cを介してネジ16dによって固定されている。
【0109】
CCDケース24の前面側には、防塵フィルタ受け部材23がCCDケース24のネジ孔24bに対してネジ23bによって固定されている。CCDケース24の周縁側であって前面側の所定の位置には、周溝24dが略環状に形成されている。その一方で、防塵フィルタ受け部材23の周縁側であって背面側の所定の位置には、CCDケース24の周溝24dに対応させた環状凸部23dが全周にわたって略環状に形成されている。したがって、環状凸部23dと周溝24dとが嵌合することによりCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23とは、環状の領域、即ち周溝24dと環状凸部23dとが形成される領域において相互に略気密的に嵌合するようになっている。
【0110】
防塵フィルタ21Aは、ガラスで形成され、全体として円形乃至多角形の板状をなし、少なくとも自己の中心から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部をなしており、この透明部が光学LPF8A前面側に所定の間隔を持って対向配置されているものである。
【0111】
また、防塵フィルタ21Aの一方の面の周縁部には、当該防塵フィルタ21Aに対して振動を与えるための所定の加振用部材であり電気機械変換素子等によって形成される圧電素子22が一体となるように、例えば接着剤による貼着等の手段により配設されている。この圧電素子22は、外部から所定の駆動電圧を印加することによって防塵フィルタ21Aに所定の振動を発生させることができるように構成されている。
【0112】
そして、防塵フィルタ21Aは、防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように板ばね等の弾性体からなる押圧部材20によって固定保持されている。
【0113】
防塵フィルタ受け部材23の略中央部近傍には、円形状又は多角形状からなる開口が設けられている。この開口は、撮影光学系12Aaを透過した被写体光束を通過させて、当該光束が後方に配置される撮像素子5Aの光電変換面を照射するのに充分な大きさとなるように設定されている。
【0114】
この開口の周縁部は、前面側に突出する壁部23eが略環状に形成されており、この壁部23eの先端側には、さらに前面側に向けて突出するように受け部23cが形成されている。
【0115】
一方、防塵フィルタ受け部材23の前面側の外周縁部近傍には、所定の位置に複数(本実施形態では三箇所)の突状部23aが前面側に向けて突出するように形成されている。この突状部23aは、防塵フィルタ21Aを固定保持する押圧部材20を固設するために形成される部位であって、当該押圧部材20は、突状部23aの先端部に対してねじ20a等の締結手段により固設されている。
【0116】
押圧部材20は、上述したように板ばね等の弾性体によって形成される部材であって、その基端部が突状部23aに固定され、自由端部が防塵フィルタ21Aの外周縁部に当接することで、当該防塵フィルタ21Aを防塵フィルタ受け部材23の側、即ち光軸方向に向けて押圧するようになっている。
【0117】
この場合、防塵フィルタ21Aの背面側の外周縁部に配設される圧電素子22の所定の部位が、受け部23cに当接することで、防塵フィルタ21A及び圧電素子22の光軸方向における位置が規制されるようになっている。したがってこれにより、防塵フィルタ21Aは、圧電素子22を介して防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように固定保持されている。
【0118】
換言すれば、防塵フィルタ受け部材23は、押圧部材20による付勢力によって防塵フィルタ21Aと圧電素子22を介して気密的に接合するように構成されている。
【0119】
ところで、上述したように防塵フィルタ受け部材23とCCDケース24とは、周溝24dと環状凸部23dとが相互に略気密的に嵌合するようになっているのと同時に、防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21Aとは、押圧部材20の付勢力により圧電素子22を介して気密的に接合するようになっている。また、CCDケース24に配設される光学LPF8Aは、光学LPF8Aの前面側の周縁部とCCDケース24の段部24aとの間で略気密的となるように配設されている。さらに、光学LPF8Aの背面側には、撮像素子5Aがローパスフィルタ受け部材26を介して配設されており、光学LPF8Aと撮像素子5Aとの間においても、略気密性が保持されるようになっている。
【0120】
したがって、光学LPF8Aと防塵フィルタ21Aとが対向する間の空間には、所定の空隙部51aが形成されている。また、光学LPF8Aの周縁側、即ちCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21Aとによって、空間部51bが形成されている。この空間部51bは、光学LPF8Aの外側に張り出すようにして形成されている封止された空間である。
【0121】
また、この空間部51bは、空隙部51aよりも広い空間となるように設定されている。そして、空隙部51aと空間部51bとからなる空間は、上述した如くCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21Aと光学LPF8Aとによって略気密的に封止される封止空間51となっている。
【0122】
図8は、第一のカメラボディ11Aにおける撮像ユニット15Aの光学系の詳細を示す模式図であり、図9は、撮像ユニット15Aの拡大縦断面図である。
【0123】
図8に示すように第一の光学素子として撮像素子5Aの前面に保護ガラス6Aが配置され、さらに、その前方に光学LPF8A、および、防塵フィルタ21Aが配されている。
【0124】
光学LPF8Aは、図1(A)によってすでに説明したように前方側から複屈折方向(回転角)が−45°の水晶板8Aaと、赤外線吸収ガラス8Abと、複屈折方向(回転角)が+45°の水晶板8Acと、複屈折方向(回転角)が0°の水晶板8Adとが重畳して構成される。
【0125】
水晶板8Aa,8Acは、それぞれ図12に示される撮像素子5Aの画素ピッチδ0 (略7μm )に対応する厚みを有している。水晶板8Adは、水晶板8Aa、8Abの厚さの√2倍の厚さを有している。従って、レンズ鏡筒12Aを介して入射した被写体光束が撮像素子5Aの光電変換面5Aaに結像したとき、モアレの発生が防止される。
【0126】
そして、水晶板8Aa,8Ac,8Adおよび赤外吸収ガラス8Abは、それぞれガラスに近い屈折率を有し、水晶板および赤外吸収ガラス8Abのトータルの厚みは、ts0である。そして、上記水晶板8Aa,8Ac,8Adと赤外吸収ガラス8Abの屈折率と厚みts0に対応した実効光路長に基づく被写体光束の結像位置に撮像素子5Aの光電変換面5Aaが位置決めされている。従って、レンズ鏡筒12Aにより取り込まれた被写体光束は、像面湾曲収差のない状態で撮像素子5Aの光電変換面5Aa上に正しく結像する。厳密には、上記実効光路長の変化に保護ガラス6Aおよび防塵フィルタ21Aの厚みも寄与する。
【0127】
なお、第一のカメラボディ11A用の保護ガラス6Aおよび防塵フィルタ21Aの厚さは、前述したように第二のカメラボディ11B用の保護ガラス6Bおよび防塵フィルタ21B(図1(B))の厚さと同じものを用いているので、第一のカメラボディ11Aと第二のカメラボディ11Bにおける保護ガラス6Aと6Bおよび防塵フィルタ21Aと21Bによる実効光路長の差はない。
【0128】
また、保護ガラス6A,防塵フィルタ21Aの厚みおよび/または材質を第一のカメラボディ11A用と第二のカメラボディ11B用とで変更する場合は、その変更に伴う実効光路長の変化を補償するように補償光学素子の厚さ、あるいは、材質を変化させて像面湾曲収差、球面収差、非点収差等の光学収差の補正を行う必要がある。
【0129】
一方、第二のカメラボディ11Bは、上述した第一のカメラボディ11Aの撮像ユニット15Aの撮像素子5Aと光学LPF8Aに代えて撮像ユニット15Bの撮像素子5Bと光学LPF8Bを内蔵している。第二のカメラボディ11Bの他の構成は、上述した第一のカメラボディ11Aのものと同一であり、以下、異なる部分について説明する。図10は、第二のカメラボディ11Bにおける撮像ユニット15Bの拡大縦断面図である。
【0130】
第二のカメラボディ11Bに内蔵される撮像ユニット15Bの撮像素子5Bは、サイズとしては撮像素子5Aと同じ4/3型であるが基準画素ピッチδ0 (略7μm )と異なる第二の画素ピッチである画素ピッチ、例えば、δ1 を有する。
【0131】
撮像素子5Bの前方に配される光学LPF8Bは、図1(B)によりすでに説明したように水晶板8Baと、赤外線吸収ガラス8Bbと、水晶板8Bcと、水晶板8Bdとが重畳され、光学接着剤にて固着された光学素子部材である。水晶板8Ba,8Bc,8Bdは、撮像素子5Bの画素ピッチに対応して被写体光束を複屈折する厚みを有しており、この光学LPF8Bとしての厚みは、ts1である。また、赤外線吸収ガラス8Bbは、第一のカメラボディ11Aに適用した赤外線吸収ガラス8Abと同一材質であって、同一の厚みと屈折率を有する。
【0132】
なお、上記水晶板は、撮像素子の画素ピッチによっては、後述するようにLN素子に換えることも可能である。
【0133】
第2のカメラボディ11Bの撮像素子5Bの画素ピッチδ1が基準画素ピッチδ0=7μm より小さく、5μm である場合、すなわち、撮像素子5Bの画素数が撮像素子5Aの画素数より多い場合には、第2のカメラボディ11Bの光学LPF8Bの厚みts1は、光学LPF8Aの厚みts0より薄くなる(図12)。
【0134】
また、光学LPF8Bの前面部および撮像素子5Bの前面部には、防塵フィルタ21Bおよび保護ガラス6Bが配されるが、前述したようにそれぞれ第一のカメラボディ11Aにおける防塵フィルタ21Aおよび保護ガラス6Aと同一厚みでかつ同一屈折率を有する。
【0135】
上述した撮像ユニット15Bによれば、装着されたレンズ鏡筒12Bを介して取り込まれた被写体光束は、撮像素子5Bの光電変換面5Ba上に像面湾曲収差、球面収差、非点収差等のない状態で結像位置ずれもなく正しく結像する。
【0136】
本実施形態においては、基準の第一のカメラボディ11A側の撮像素子の基準画素ピッチδ0 を7μm としているが、この基準画素ピッチの設定方法について、以下に説明する。
【0137】
上述したように、光学LPF(光学ローパスフィルタ)の厚さは、撮像素子の画素ピッチに応じて決定されるものであるが、同じ画素ピッチであっても光学LPFの材質によってその厚さが変わる。図12に示すように第一の材質として、例えば、水晶を用いた場合と、第二の材質としてLN素子を用いた場合とでは、その厚さが全く異なる。なお、図12に示す画素数は、3/4型撮像素子の場合の例である。
【0138】
一方、カメラの小型化のためには、より薄い光学LPFを用いることが好ましいが、あまり薄い場合は、光学LPFの製造そのものが困難であったり、破損の虞があるため、好ましくない。LN素子の例をとると、現状では図12に示すように画素ピッチが約7〜6μm よりも小さい撮像素子に対応じた光学LPFを構成する各LN素子の厚さは、0.1mm程度以下となってしまい、光学LPFの製造が困難となってしまう。
【0139】
そこで、第二の材質であるLN素子にて形成可能な最小厚さに対応可能な画素ピッチ以上の画素ピッチを基準画素ピッチとして設定する。そして、この基準画素ピッチに応じた光学LPFを第一の材質である水晶で形成することにより、各種の画素ピッチのカメラボディに対しても最小限の光学LPFの厚さとすることができる。
【0140】
即ち、基準画素ピッチよりも小さい画素ピッチの撮像素子を有するカメラボディに対しては、図12からわかるように、基準画素ピッチに対応する水晶で形成された光学LPFよりも薄い光学LPFを、基準画素ピッチに対応する光学LPFと同じ第一の材質である水晶で形成することができる。このように、基準画素ピッチに対応する光学LPFよりも光学LPFの厚さを薄くすることができるので、実効光路長の補償を行う補償光学素子によって補償することができる。
【0141】
また、デジタルカメラの撮像素子の画素数は、例えば、300万画素、400万画素、500万画素というように段階的に設定されることが多い。従って、基準画素ピッチが第二の材質にて形成可能な最小厚さの光学LPFが対応可能な画素ピッチよりも若干小さくとも良い。即ち、基準カメラボディよりも低画素数の(画素ピッチの大きい)撮像素子の画素ピッチに対応する光学LPFが第二の材料にて形成可能であればよい。このようにして、基準画素ピッチを設定すれば、より光学LPFを薄くすることが出来る。
【0142】
また、上述のようにして設定された基準画素ピッチデータは、レンズ鏡筒(交換レンズ)設計、及び、このレンズ鏡筒をフランジバックの短いカメラボディ11Bに装着する際に使用される中間アダプタ31の設計基準となる。
【0143】
以上、説明したように本実施形態のデジタルカメラシステムによれば、フランジバックの長い第一のカメラボディ11Aおよび該カメラボディに装着可能な第一のレンズ鏡筒12Aと、フランジバックの短い第二のカメラボディ11Bおよび該カメラボディに装着可能な第二のレンズ鏡筒12Bと、中間アダプタ31とからなるデジタルカメラシステムにおいて、第二のカメラボディ11Bをより小型軽量に構成することができ、さらに、レンズ鏡筒12Aを中間アダプタ31を介して第二のカメラボディ11Bに装着可能であり、該装着状態でも高画質の撮像を行なうことができる。
【0144】
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形例を実施可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明によるデジタルカメラシステムは、フランジバックの異なる第一,二のカメラボディおよび該カメラボディにそれぞれ装着可能な第一,二のレンズと、中間アダプタとからなるデジタルカメラシステムにおいて、フランジバックの短い上記第二のカメラボディをより小型軽量に構成することができ、さらに、上記第一のレンズを上記中間アダプタを介して上記第二のカメラボディに装着可能であり、かつ、該装着状態でも高画質の撮影を行なうことができるデジタルカメラシステムとして利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の一実施形態のデジタルカメラシステムを構成するカメラボディおよび交換レンズとの組み合わせ状態と、それらに内蔵される光学部材,撮像素子の配置を示す図であって、図1(A)は、基準カメラボディ(第一のカメラボディ)と第一のレンズ(第一のレンズ鏡筒)との組み合わせ状態を示し、図1(B)は、非基準カメラボディ(第二のカメラボディ)と第二のレンズ(第二のレンズ鏡筒)との組み合わせ状態を示している。
【図2】図1のデジタルカメラシステムにおける第一のレンズ鏡筒と第一のカメラボディとを中間アダプタを介して装着した状態の断面図である。
【図3】図1のデジタルカメラシステムにおけるレンズ鏡筒のマウント部をカメラボディ側から見た状態と装着されるカメラボディのマウント部(二点鎖線)を合わせて示しており、図(A)は、第一のレンズ鏡筒のマウント部を示し、図3(B)は、第二のレンズ鏡筒のマウント部を示す。
【図4】図1のデジタルカメラシステムに適用され、光学素子を構成する光学要素に対して光線が入射角X0 で入射した時の斜入射による光線ズレ量△Hi 、ΔHj を示す図であって、図4(A)は、厚さti ,屈折率ni を有する一方の光学要素(第一のカメラボディ側)に対する光線ズレ量△Hi を示し、図4(B)は、異なる厚さtj ,屈折率nj を有する他方の光学要素(第二のカメラボディ側)に対する光線ズレ量ΔHj を示す。
【図5】各屈折率を有する光学要素に対して光学等価量を等しくした条件のもとで入射する光線に対する入射角X0 と光線ズレ量比ΔHj /ΔHi との関係を示す線図である。
【図6】図1のデジタルカメラシステムのカメラボディにレンズ鏡筒を装着した状態の内部構造を示す斜視図(一部破断面で示す)である。
【図7】図1のデジタルカメラシステムの撮像ユニットまわりの内部構造を示す斜視図(一部破断面で示す)である。
【図8】図1のデジタルカメラシステムの第一のカメラボディに適用される撮像ユニットの光学系の詳細を示す模式図である。
【図9】図1のデジタルカメラシステムの第一のカメラボディに適用される撮像ユニットの拡大縦断面図である。
【図10】図1のデジタルカメラシステムの第二のカメラボディに適用される撮像ユニットの拡大縦断面図である。
【図11】撮像光学系において撮像素子の前面に配置される光学フィルタの有無による結像位置の変化の状態を示す光路図である。
【図12】撮像素子の画素ピッチ、または、撮像素子の画素数とそれに適応する光学LPF(水晶とLN素子の場合)の厚みの関係を示す線図である。
【符号の説明】
【0147】
5A…第一の撮像素子
5Aa…光電変換面(撮像面)
5B…第二の撮像素子
5Ba…光電変換面(撮像面)
6A…保護ガラス(第一の光学素子)
6B…保護ガラス(第二の光学素子)
8A…光学LPF
(第一の光学ローパスフィルタ,第一の光学素子)
8Aa,8Ac,8Ad
…水晶板(第一の光学素子)
8Ab…赤外線吸収ガラス(第一の光学素子)
8B…光学LPF
(第二の光学ローパスフィルタ,第二の光学素子)
8Ba,8Bc,8Bd
…水晶板(第二の光学素子)
8Bb…赤外線吸収ガラス(第二の光学素子)
11A…第一のカメラボディ
11B…第二のカメラボディ
12A…レンズ鏡筒(第一のレンズ)
12B…レンズ鏡筒(第二のレンズ)
21A…防塵フィルタ(第一の光学素子)
21B…防塵フィルタ(第二の光学素子)
32a…補償光学素子
(光路長補償用光学素子,第三の光学素子)
Σ{ti ×(1−ni )/ni }
…第一の光学等価量
Σ{tj ×(1−nj )/nj }
…第二の光学等価量
Σ{tk ×(1−nk )/nk }
…第三の光学等価量
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ交換が可能なデジタルカメラシステムおよび該デジタルカメラシステムに使用される中間アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ交換可能なカメラシステムにおいては、交換レンズの取り付け面から像面までの距離(フランジバック)が規定されており、そのカメラに取り付け可能な交換レンズは、規定されたフランジバックに基づいて設計がなされている。したがって、フランジバックの長いカメラに適用するように設計された交換レンズをフランジバックの短い別のカメラに装着する場合は、中間アダプタ等を使用してフランジバックを調整する必要がある。この種の中間アダプタについては、特許文献1等に数多く提案されている。
【特許文献1】特許文献1は、特開2005−70711号公報である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のデジタルカメラにおいては、撮影された画像の高周波成分の偽色等を軽減するために撮像素子の前面に複屈折特性をもつ水晶等で形成された光学ローパスフィルタ(以下、光学LPFと記載する)が配置されている。この光学LPFは、入射光束を複屈折しない常光と異常光(複屈折光)とに分離し、分離した複屈折光を撮像素子の隣り合う画素にそれぞれ入射させる。したがって、モアレの発生を防ぐためには光学LPFの厚みを画素ピッチに対応させて適切に設定しなければならない。
【0004】
また、撮影レンズと撮像素子との間には、光学LPFの他にも防塵フィルタ、赤外線吸収ガラス、撮像素子を密閉状態で収納するための保護ガラス等の平板光学要素も設置されており、これらの光学要素のそれぞれは特有の光学特性(例えば、屈折率など)を有している。そのため、レンズ交換可能なデジタルカメラにおいては、交換レンズの取り付け面から像面までの機械的距離(フランジバック)だけでなく、複数の光学要素に起因する光学的距離(光路長)の変化をも考慮して交換レンズの設計をしなければ、デジタルカメラシステムとしての総合的な高画質を得ることはできない。このことは上述の中間アダプタについても同様である。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来のフランジバック調整用アダプタは、フランジバックの調整のみに着目しており、特許文献1等には光路長を適合させるという思想は無かった。
【0006】
本発明の目的は、レンズ交換可能なデジタルカメラシステムにおいて、長いフランジバックを持つカメラに適合する交換レンズを中間アダプタを介してフランジバックの短いカメラに装着して高画質の撮影を行なうことができるデジタルカメラシステム、または、上記中間アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載のデジタルカメラシステムは、第一の撮像素子を含み、第一のフランジバックを有する第一のカメラボディと、上記第一のカメラボディに適合する第一のレンズと、上記第一のレンズと上記第一の撮像素子の間に配置された複数の光学要素からなる第一の光学素子と、第二の撮像素子を含み、上記第一のフランジバックよりも短い第二のフランジバックを有する第二のカメラボディと、上記第二のカメラボディに適合する第二のレンズと、上記第二のレンズと上記第二の撮像素子の間に配置された複数の光学要素からなる第二の光学素子と、上記第一のレンズを着脱するためのレンズ着脱部を一端に持ち、上記第二のボディを着脱するためのレンズ着脱部を他端にもつ中間アダプタとを具備したデジタルカメラシステムにおいて、上記中間アダプタには第三の光学素子が設けられており、上記第一、二の光学素子の各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数i およびj で付番し、上記第一の光学素子の各光学要素の屈折率をni とし、厚さをti とし、上記第二の光学素子の各光学要素の屈折率をnj とし、厚さをtj としたとき、第一の光学要素の第一の光学等価量Σ{ti ×(1−ni )/ni }は、第二の光学要素の第二の光学等価量Σ{tj ×(1−nj )/nj }より大きく、さらに、上記第三の光学素子の各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数k で付番したとき、上記第三の光学素子の各光学要素の屈折率をnk とし、厚さをtk としたとき、上記第三の光学要素の第三の光学等価量Σ{tk ×(1−nk )/nk }と上記第二の光学等価量Σ{tj ×(1−nj )/nj }との和Σ{tk ×(1−nk )/nk }+Σ{tj ×(1−nj )/nj }は、上記第一の光学等価量Σ{ti ×(1−ni )/ni }と略等しい。
【0008】
本発明の請求項2記載のデジタルカメラシステムは、請求項1記載のデジタルカメラシステムにおいて、上記第一、第二、および、第三の光学素子は、防塵ガラス、光学ローパスフィルタを構成する光学結晶からなる板、赤外線吸収ガラス、または、上記撮像素子を保護するための保護ガラスを含む。
【0009】
本発明の請求項3記載のデジタルカメラシステムは、請求項1に記載のデジタルカメラシステムにおいて、上記第一の撮像素子の画素ピッチは、上記第二の撮像素子の画素ピッチよりも大きい。
【0010】
本発明の請求項4記載のデジタルカメラシステムは、請求項1に記載のデジタルカメラシステムにおいて、上記第一の光学素子は、第一の光学ローパスフイルターを含み、その厚さは、上記第二の光学素子に含まれる第二の光学ローパスフィルタの厚さより厚い。
【0011】
本発明の請求項5記載のデジタルカメラシステムは、請求項1に記載のデジタルカメラシステムにおいて、上記第一のレンズにおいて、上記第一の撮像素子の対角に入射される主光線のレンズの光軸となす最大角は、上記第二のレンズにおいて、上記第二の撮像素子の対角に入射される主光線のレンズの光軸となす最大角よりも小さい。
【0012】
本発明の請求項6記載のデジタルカメラシステムは、請求項1記載のデジタルカメラシステムにおいて、上記第二のレンズは、上記第一のカメラボディに取り付かないように構成される。
【0013】
本発明の請求項7記載の中間アダプタは、撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメボディに適合する撮影レンズを撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子が配置された第二のカメラボディに適合させるための中間アダプタにおいて、上記第一のカメラボディの上記撮影レンズの取り付け面から撮像面までの光学的距離と、上記中間アダプタを上記第二のカメラボディに装着した状態における上記撮影レンズの取り付け面から上記第二のカメラボディの撮像面までの光学的距離とを一致させるために、光路長補償用光学素子を設ける。
【0014】
本発明の請求項8記載の中間アダプタは、請求項7に記載の中間アダプタにおいて、上記光路長補償用光学素子は、光学的パワーを有していない。
【0015】
本発明の請求項9記載のデジタルカメラシステムは、撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメラボディと、上記第一のカメボディに適合する撮影レンズと、撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子を配置した第二のカメラボディと、上記撮影レンズを上記第二のカメラボディに適合させるための中間アダプタとを具備するデジタルカメラシステムにおいて、上記中間アダプタは、上記第一のカメラボディのレンズ取り付け面から撮像面までの光学的距離と、上記中間アダプタを上記第二のカメラボディに装着した状態での上記中間アダプタのレンズ取り付け面から上記第二のカメラボディの撮像面までの光学的距離とを一致させるための、光路長補慣用光学素子を有している。
【0016】
本発明の請求項10記載のデジタルカメラシステムは、撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメラボディと、上記第一のカメラボディに適合する撮影レンズと、撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子を配置した第二のカメラボディと、上記撮影レンズを上記第二のカメラボディに装着するための中間アダプタと、上記第二のカメラボディに上記中間アダプタを介して上記撮影レンズを装着した状態において、上記撮影レンズの後端部から上記第二のカメラボディの前端部の間に配置される光路長補償用光学素子とを有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フランジバックの異なる第一,二のカメラボディおよび該カメラボディに装着可能な第一,二のレンズと、中間アダプタとからなるデジタルカメラシステムにおいて、フランジバックの短い上記第二のカメラボディをより小型軽量に構成することができ、さらに、上記第一のレンズを上記中間アダプタを介して上記第二のカメラボディに装着可能であり、かつ、該装着状態でも高画質の撮像を行なうことができるデジタルカメラシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態の説明に先立ってレンズ交換可能なデジタルカメラシステムにおいて、撮像素子の画素ピッチ、光学LPFの材質(光学特性)に応じて、光学LPFの厚みがどのように決定されるかを説明する。
【0019】
カメラボディに対してレンズ(すなわち、レンズ鏡筒)交換可能な従来の一眼レフタイプのデジタルカメラは、複数種類存在し、それぞれ撮像素子の画素数が異なる。すなわち、画素ピッチが異なる撮像素子が組み込まれており、さらに、複数種類のそれぞれが同一仕様の交換レンズが装着可能となっている。
【0020】
上記一眼レフタイプデジタルカメラのカメラボディにおいては、上述したように画素ピッチが異なる撮像素子の前面には、上記画素ピッチに対応した厚みを有した光学LPFが配置される。
【0021】
また、上述したように撮像素子の画素ピッチに対応して光学LPFの厚みを設定する理由としては、上記光学LPFを透過した光束は、複屈折しない常光と異常光(複屈折光)に分離される。一方、上記モアレ発生を防止するためには、撮像素子の隣り合う画素に上記分離された光束をそれぞれ入射させなければならない。そのために光学LPFの厚みを画素ピッチに対応させて変化させる必要がある。
【0022】
ところが、撮像素子の前面に厚みの異なる光学LPFを配置すると、その結像位置が変化することになる。図11は、撮像光学系において、撮像素子の前面に配置される光学LPFの有無による結像位置の変化の状態を示す光路図である。また、交換レンズと撮像素子との間には、防塵フィルタ、赤外線吸収ガラス、撮像素子をパッケージに密閉状態で収納するための保護ガラス等の平板光学要素が設置され、該平板光学要素によっても同様に結像位置が変化する。
【0023】
図11に示すように撮像素子の撮像面103の前方に光学LPF102がない場合には、レンズ101を通過した中央光束は、撮像面103上の点P1 に結像する。また、レンズ101を通過した周辺光束は、撮像面103上の点P2 に結像する。しかし、撮像素子の撮像面103の前方に光学LPF102が配されている場合には、レンズ101を通過した中央光束は、撮像面103の後方の点P1 ′に結像する。
【0024】
デジタルカメラの撮影光学系においては、通常、撮影画面の中央部に到達する光束(図11の点P1 ′に結像)と、周辺部に到達する光束(図11の点P2 ′に結像)との光路長に差が生じ、像面湾曲収差が生じる。この撮影画面の中心部と周辺部の光路長の差βの補正は、特定の光学要素からなる光学素子に対して、撮影光学系に像面湾曲等の収差を打ち消す光学特性を持たせることによって、結果的に像面湾曲収差、球面収差、非点収差等の収差を補正し、撮像素子上に結像させることができる。
【0025】
しかしながら、この収差補正の考え方をレンズ交換式のデジタルカメラに適用した場合には、以下のような問題が生じる。すなわち、第一の光学素子を具備する第一のカメラボディと、これに適合するように設計された交換レンズとを含むレンズ交換式のデジタルカメラシステムにおいて、上記交換レンズを第二の光学素子を具備する第二のカメラボディに装着する場合に、上記第一と第二の光学素子を構成する各光学要素の屈折率、厚みが異なっていたり、特定の光学要素が無いことにより、それぞれのカメラボディの光学光路長が異なることになり、適正な像面湾曲収差等の光学収差の補正ができないという問題が生じる。より具体的には、第一と第二のカメラボディに画素ピッチの異なる撮像素子が搭載されている場合、それぞれの光学LPFの厚さをその画素ピッチに適合するように設定することが必要であり、上述した問題が生じる。
【0026】
一方、上記従来のレンズ交換タイプのデジタルカメラにおいては、例えば、光学LPFとして水晶に代えてその厚みが極めて薄く、水晶に比べると大きな複屈折性をもつLN(LiNbO3,ニオブ酸リチウム)素子が適用されている。また、画素ピッチが殆ど変らないように撮像素子の大きさを変更することで画素数を変えたりしている。上記LN素子を適用した場合、複屈折性が大きいので、厚みを薄くできることから光束の光路長が殆ど変化せず、画素ピッチの異なるデジタルカメラのボディ間においても交換レンズの交換が可能となる。
【0027】
図12は、撮像素子の画素ピッチ(または、撮像素子の画素数)とそれに適応する光学LPF(水晶とLN素子の場合)の厚みの関係を示す線図である。図12に示すように画素ピッチPが狭くなると適応する光学LPFの厚みも薄くなっている。また、同一画素ピッチPに適応するLN素子の厚みは、水晶に対しておよそ1/5〜1/6になっている。
【0028】
上述した内容を踏まえて、以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
まず、本発明の第一の実施形態のデジタルカメラシステムの構成の概要を図1〜3を用いて説明する。
図1(A),(B)および図2は、本発明の第一の実施形態のデジタルカメラシステムを構成するカメラボディおよび交換レンズの組み合わせ状態と、内蔵される光学部材および撮像素子の配置を示す断面図であり、図1(A)は、基準カメラボディ(第一のカメラボディ)と第一のレンズとの組み合わせ状態を示し、図1(B)は、非基準カメラボディ(第二のカメラボディ)と第二のレンズとの組み合わせ状態を示している。図2は、第一のレンズと第一のカメラボディとを中間アダプタを介して装着した状態の断面図である。図3(A),(B)は、本実施形態のデジタルカメラシステムにおけるレンズのマウント部をカメラボディ側から見た状態と、装着されるカメラボディのマウント部(二点鎖線)を合わせて示しており、図3(A)は、第一のレンズのマウント部を示し、図3(B)は、第二のレンズのマウント部を示す。
【0029】
本実施形態のデジタルカメラシステムは、上述したように図1(A),(B)に示すデジタルカメラ1とデジタルカメラ2と、図2に示すデジタルカメラ30からなる。
【0030】
デジタルカメラ1は、基準カメラボディである第一のカメラボディ11Aと、該カメラボディ1Aに着脱可能な第一のレンズとしての交換レンズ鏡筒(以下、レンズ鏡筒と記載する)12Aとからなる。
【0031】
デジタルカメラ2は、マウント面から撮像素子の撮像面までの機械的距離、すなわち、フランジバックが第一のカメラボディ11Aのフランジバックよりも短い非基準カメラボディである第二のカメラボディ11Bと、該カメラボディ11Bに着脱可能なバックフオーカスの短い第二のレンズとしての交換レンズ鏡筒(以下、レンズ鏡筒と記載する)12Bとからなる。
【0032】
デジタルカメラ30は、第二のカメラボディ11Bと該カメラボディ11Bに中間アダプタ31を介して装着されるレンズ鏡筒12Aとからなる。
【0033】
図3(A)に示すように第一のカメラボディ11Aのボディ側マウント部3Aには、3つのボディ側マウント爪3Abと切り欠き部3Acが設けられている。また、レンズ鏡筒12Aのレンズ側マウント部4Aには、3つのレンズ側マウント爪4Abが設けられている。
【0034】
レンズ鏡筒12Aを第一のカメラボディ11Aに装着する場合は、レンズ側マウント爪4Abを第一のカメラボディのボディ側マウント部3Aの切り欠き部3Ac(図3(A)中では2点鎖線で示す)に光軸O方向に差し込む。その後、レンズ鏡筒12Aを第一のカメラボディ11Aの光軸O周りに回転させ、レンズ側マウント爪4Abをボディ側マウント爪3Ab(図中では点線で示す)に係合させて装着状態とする。そのレンズ鏡筒装着状態にて、第一のカメラボディ11Aのマウント部3Aの前面のレンズ取り付け面であるマウント面3Aaは、レンズ鏡筒12Aのマウント部3Aのマウント面4Aaと当接し、密着して両者の光軸方向の相対位置が規定される。なお、第一のカメラボディ11Aの第一のフランジバックは、マウント面3Aaと撮像素子5Aの光電変換面(撮像面)5Aa間の距離である。
【0035】
図3(B)に示すように第二のカメラボディ11Bのマウント部3Bには、4つのボディ側マウント爪3Bbと切り欠き部3Bcが設けられている。また、レンズ鏡筒12Bのレンズ側マウント部4Bには、4つのレンズ側マウント爪4Bbが設けられている。そして、第二のカメラボディ11Bのマウント径は、第一のカメラボディ11Aのマウント径より小さい。
【0036】
レンズ鏡筒12Bを第二のカメラボディ11Bに装着する場合は、レンズ側マウント爪4Bbを第二のカメラボディのボディ側マウント部3Bの切り欠き部3Bc(図3(B)中では2点鎖線で示す)に光軸O方向に差し込む。その後、レンズ鏡筒12Bを第二のカメラボディ11Bの光軸O周りに回転させ、レンズ側マウント爪4Bbをボディ側マウント爪3Bb(図3(B)中では点線で示す)に係合させる。
【0037】
上記レンズ鏡筒装着状態にて、第二のカメラボディ11Bのマウント部3Bの前面のレンズ取り付け面であるマウント面3Baは、レンズ鏡筒12Bのマウント部3Bのマウント面4Baと当接し、密着して、両者の光軸方向の相対位置が規定される。なお、第二のカメラボディ11Bの第二のフランジバックは、マウント面3Baと撮像素子5Bの光電変換面(撮像面)5Ba間の距離となり、第一のカメラボディ11Aの第一のフランジバックより短い。
【0038】
上述したようにレンズ鏡筒12Aとレンズ鏡筒12Bとは、そのマウント径が異なり、かつ、係合爪の数も異なっているので、レンズ鏡筒12Aを第二のカメラボディ11Bに直接装着したり、レンズ鏡筒12Bを第一のカメラボディ11Aに装着することはできない。
【0039】
レンズ鏡筒12Aが着脱可能な第一のカメラボディ11Aには、図1(A)に示すように保護ガラス6Aを有するCCD(または、CMOS型撮像素子)等からなる第一の撮像素子としての撮像素子5Aと、撮像素子前面に配置される赤外線吸収ガラス8Abを含む第一の光学ローパスフィルタである光学LPF8Aと、上記撮像素子および光学LPFをホコリから保護する防塵フィルタ21Aが内蔵され、前述したようにレンズ側マウント面4Aaと当接可能なボディ側マウント面3Aaをもつボディ側マウント部3Aを有している。なお、第一のカメラボディ11Aに内蔵される防塵フィルタ21A,光学LPF8A,保護ガラス6Aは、第一の光学素子を構成する。
【0040】
撮像素子5Aは、例えば、4/3型の撮像素子であって第一の画素ピッチである所定の基準画素ピッチδ0 (対応する基準画素数は、S0 )を有しており、撮像素子5Aの結像面である光電変換面5Aa上に結像した被写体像は、電気的撮像信号に変換される。
【0041】
光学LPF8Aは、モアレ発生を防止するために撮像素子5Aの基準画素ピッチδ0 に対応するように光線を分離する所定の厚みをもち、所定の方向に複屈折特性を有する水晶板8Aa、8Ac、8Adで形成され、さらに、赤外線吸収ガラス8Abを含んでいる。
【0042】
基準画素ピッチδ0 =7μm とした場合、正方4点分離(入射した光線が画素ピッチを1辺とする正方形の角を通る4点に分離する)の光学LPF8Aを形成するには、各水晶板のうち、水晶板8Aaは、厚さt2 =0.84mmで回転角=45°となり、水晶板8Acは、厚さt4 =0.84mmで回転角=−45°となり、水晶板8Adは、厚さt5 =1.19mmで回転角=0°となる。このとき、水晶の屈折率はn2 ,4 ,5 =1.544である。この光学LPF8Aの水晶板総厚さは、2.87mmである。
【0043】
赤外線吸収ガラス8Abは燐酸ガラスあるいは弗燐酸ガラスで形成され、屈折率n3 =1.542で厚さt3 =0.5mmとする。また、防塵フィルタ21Aは、材質や厚さに制限はないが、ここでは厚さt1 =1mmでn1 =1.52の光学ガラスである。さらに、保護ガラス6Aは、厚さt6 =0.6mmでn6 =1.52の光学ガラスである。
【0044】
光学LPF8Aは、ボディ側マウント部3Aと撮像素子5Aとの間に配置されるが、その厚さは、後述する第二のカメラボディ11Bの光学LPF8B、および、同じレンズ鏡筒12Aが着脱可能な他の非基準のカメラボディに適用される光学LPFに比較しても最も厚い厚みを有する。
【0045】
このレンズ鏡筒12Aは、複数の撮影レンズ群からなる撮影光学系12Aaを内蔵し、上述したように第一のカメラボディ11Aに直接的に取り付けが可能である。さらに、第二のカメラボディ11Bに後述する中間アダプタ31(図2)を介した状態で着脱可能である。このレンズ鏡筒12Aは、例えば、焦点距離が異なる交換レンズやズームレンズやマクロレンズ等の複数の交換レンズのいずれかが相当する。
【0046】
レンズ鏡筒12Aの撮影光学系12Aaを第一のカメラボディ11Aに装着した状態にて、取り込まれた被写体光束は、防塵フィルタ21A、および、光学LPF8Aを透過して、撮像素子5Aの光電変換面5Aa上に結像するが、上述した光学LPF8A等の屈折率と厚みにより実効光路長が変化した状態で像面湾曲収差、球面収差、非点収差等が生じることなく光電変換面5Aa上に結像するように設計製作されている。すなわち、図11に示した中心光束による結像点P1 ′と周辺光束による結像点P2 ′がともに撮像素子5Aの光電変換面5Aa上に位置する収差のない状態が得られるようにしている。
【0047】
一方、レンズ鏡筒12Bが着脱可能な第二のカメラボディ11Bには、図1(B)に示すように保護ガラス6Bを有するCCD(MOS型撮像素子)等からなる第二の撮像素子としての撮像素子5Bと、撮像素子前面に配置される赤外線吸収ガラス8Bbを含む第二の光学ローパスフィルタである光学LPF8Bと、撮像素子および光学LPFをホコリから保護する防塵フィルタ21Bが内蔵される。また、前述したようにレンズ側マウント面4Baと係合可能なボディ側マウント面3Baを備えたボディ側マウント部3Bを有している。なお、第二のカメラボディ11Bに内蔵される防塵フィルタ21B,光学LPF8B,保護ガラス6Bは、第二の光学素子を構成する。
【0048】
撮像素子5Bは、基準撮像素子5Aと同様の4/3型の撮像素子であるが、基準画素ピッチδ0 より小さな値の第二の画素ピッチである画素ピッチδ1 を有している。この撮像素子5Bの結像面である光電変換面5Ba上に結像した被写体像は、同様に電気的撮像信号に変換される。
【0049】
光学LPF8Bは、撮像素子5Bの画素ピッチδ1 に対応しており、光学LPF8Aと同じ構成の水晶板でこの光学LPFを形成した場合、光学LPF8Aとは厚さの異なるものとなる。
【0050】
例えば、画素ピッチδ1 =5μm とした場合、正方4点分離(詳しくは、入射した光線が画素ピッチを1辺とする正方形の角を通る4点に分離すること)の光学LPF8Bを光学LPF8Aと同じ構成で形成するには、各水晶板のうち、水晶板8Baは、厚さt2 =0.60mmで回転角45°となり、水晶板8Bcは、厚さt4 =0.60mmで回転角−45°となり、水晶板8Bdは、厚さt5 =0.85mmで回転角0°となる。基準画素ピッチδ0 =7μm の場合に対して、上述した光学LPF8Bの各水晶板総厚さ2.05mmであり、0.82mmほど薄くなる。上記水晶の屈折率はn2 ,4 ,5 =1.544である。
【0051】
赤外線吸収ガラス8Bbは、燐酸ガラスあるいは弗燐酸ガラスであって、屈折率n3 =1.542で厚さt3 =0.5mmである。また、防塵フィルタ21Bは、材質や厚さに制限はないが、ここでは厚さt1 =1mmでn1 =1.52の光学ガラスとする。さらに、保護ガラス6Bは厚さt6 =0.6mmでn6 =1.52の光学ガラスであり、これらの光学要素の仕様は、第一カメラボディ11Aに内蔵される赤外線吸収ガラス8Ab,防塵フィルタ21A,保護ガラス6Aと同一である。
【0052】
被写体光束は、光学LPF8B等の屈折率と厚みにより実効光路長が変化した状態で像面湾曲収差、球面収差、非点収差等が生じることなく、光電変換面5Ba上に結像するように設計製作されている。
【0053】
上述した状態では水晶板の厚さが異なることにより、レンズ鏡筒12Bと撮像素子5Bの間に配置された光学素子の光学光路長が第一のカメラボディの11Aの光学素子の光学光路長よりも短くなる。
【0054】
従って、第二のカメラボディ11Bは、光軸方向の厚さを薄くすることが可能であり、また、交換レンズからの光線は撮像素子の近くになればなるほど光軸からの距離は小さくなるので、光軸に直交する方向にもカメラボディ外形を小さくすることができる。
【0055】
―方、レンズ鏡筒12Bは、第二のカメラボディ側のマウント面3Baに当接可能なレンズ側マウント面4Baが設けられたレンズ側マウント部4Bを有しており、複数の撮影レンズ群からなる撮影光学系12Baを内蔵する。このレンズ鏡筒12Bは、レンズ鏡筒12Aに比較してバックフオーカスが短い、言い換えると、レンズ鏡筒12Aにおける撮像素子5Aの対角に入射される主光線の光軸Oとなす最大角に比較して、このレンズ鏡筒12Bにおける撮像素子5Bの対角に入射される主光線の光軸Oとなす最大角が大きく、交換レンズ自体も光軸方向に短くなる。また、光線は焦点面に近いほど広がりは小さくなるのでレンズの径も小さくなり、小型の交換レンズにすることが可能となる。
【0056】
なお、このレンズ鏡筒12Bは、バックフオーカスが短いために第一のカメラボディ11Aに装着可能なようにマウントを構成すると、撮影レンズが第一のカメラボディ11Aの構成部材(例えば、TTL光学ファインダ用のクイックリターンミラー)に干渉してしまい問題が生じる。そこで、本実施形態では前述したようにデジタルカメラ1とデジタルカメラ2のマウントは異なる構成として直接装着できないようにしている(図3(A),(B)参照)。また、レンズ鏡筒12Bの光学収差は、第二のカメラボディ11Bの光学素子の厚みに合わせて小さくなるように設計されており、後述するように第二のカメラボディ11Bに中間アダプタ31を介してレンズ鏡筒12Aを装着してときもその光学収差は、最も小さく抑えられる。
【0057】
上述したデジタルカメラ30は、第二のカメラボディ11Bと、第二のカメラボディ11Bに中間アダプタ31を介して装着される第一のレンズであるレンズ鏡筒12Aとで構成される(図2)。
【0058】
中間アダプタ31は、一端のレンズ側に設けられるレンズ着脱部である前マウント部33と、他端のカメラボディ側に設けられるレンズ着脱部である後マウント部34と、該前、後マウント部に挟持して固定される中間筒32とからなる。
【0059】
中間筒32にはその内部に第三の光学素子(光路長補償用光学素子)である補正光学素子32aが配されている。この補正光学素子32aは、光学的パワーを有していないガラス板からなる。
【0060】
そして、補正光学素子32aと、第二のカメラボディ11B内蔵の上記光学LPF8B他からなる第二の光学素子を合わせた状態は、第一のカメラボディ11A内蔵の上記光学LPF8A他からなる第一光学素子に対して光学的に等価(言い換えると、光学等価量を等しくする)な状態となる。詳しくは、後で説明する。
【0061】
前マウント部33は、第一のカメラボディ12Aのマウント部3Aと同一形状を有しており、レンズ鏡筒12Aのマウント部4Bと係合し、装着可能である。
【0062】
後マウント部34は、レンズ鏡筒12Bのマウント部4Bと同一形状を有しており、第二のカメラボディ11Bのマウント部3Bと係合し、装着が可能である。
【0063】
第二のカメラボディ11Bのマウント部3Bに中間アダプタ31のマウント部34を係合させ、かつ、レンズ鏡筒12Aのマウント部4Aに中間アダプタ31のマウント部33を係合させることによって中間アダプタ31を介してレンズ鏡筒12Aを第二のカメラボディ11Bに装着することができる。
【0064】
上記装着状態では、前マウント部33のマウント面33aとレンズ鏡筒12Aのマウント面4Aaとは、当接し、密着する。さらに、後マウント部34のマウント面34aと第二のカメラボディ11Bのマウント面3Baとは、当接し、密着し、レンズ鏡筒12A,中間アダプタ31,第二のカメラボディ11Bの光軸O方向の相対位置が規定される。
【0065】
中間アダプタ31の前側マウント面33aと後側マウント面34aの離間距離は、本実施形態では、第一のカメラボディ11Aの上記フランジバックに対して第二のカメラボディ11Bの上記フランジバックが不足する分を補足する距離とする。したがって、中間アダプタ31を装着した状態での第二のカメラボディ11Bの光学的なフランジバックは、第一のカメラボディ11Aのフランジバックと同一となる。
【0066】
しかしながらレンズ鏡筒12Aに適合する上記第一の光学素子と第二のカメラボディ11Bがもつレンズ鏡筒12Bに適合した上記第二の光学素子とは、異なったものとなっているのでピントは合うようになったとしてもレンズ鏡筒12Aの光学的な収差を最小にすることはできない。そこで、本実施形態では、上述したように中間アダプタ31の中間筒32に補正光学素子32aを内蔵させ、その補正光学素子32aと第二の光学素子とを合わせることにより第一のカメラボディに設けられた光学素子と光学的に等価となるように構成している。
【0067】
具体的に説明すると、前述したように第一のカメラボディ11A内蔵の光学LPF8Aの水晶板総厚さ(赤外線吸収ガラスを除く水晶板のみ)は、2.87mmであり、第二のカメラボディ11B内蔵の光学LPF8Bの水晶板総厚さ(赤外線吸収ガラスを除く水晶板のみ)は、2.05mmである。但し、水晶板以外の第一,第二の光学素子を構成する赤外線吸収ガラス8Abと8Bb、防塵フィルタ21Aと21B、および、保護ガラス6Aと6Bは、それぞれ同一材質で同一の厚さを有している。
【0068】
従って、第一の光学素子の総厚さに対して、第二の光学素子の総厚さに補正光学素子32a厚みを加算した合計の厚さを等しくするには、光学LPF8Bの水晶板総厚さに対して光学LPF8Bの水晶板総厚さが不足する分の厚さを中間アダプタ31側の補正光学素子32aの厚さとすればよく、その不足分の厚さは、0.82mmとなる。しかしながら、厚さ0.82の補正光学素子32aを中間アダプタ31に適用したとしたとしてもまだ光学的な収差を最小にすることはできない。
【0069】
そこで、本実施形態においては、上記第一の光学素子に対して上記第二の光学素子および補正光学素子32aの光学等価量を等しくなるように設定することにより中間アダプタ31を使用したときの光学的収差を最小にすることを実現している。
【0070】
言い換えると、中間アダプタ31に補慣用光学素子32aを配して、第一のカメラボディ11Aのマウント面(レンズ取り付け面)3Aaから撮像面までの光学的距離と、中間アダプタ31を上記第二のカメラボディ11Bに装着した状態での中間アダプタ31のマウント面(レンズ取り付け面)33aから第二のカメラボディ11Bの撮像面までの光学的距離とを一致させることによってレンズ鏡筒12Aと第二のカメラボディ11Bとの組み合わせであっても光学的収差を最小にすることができる。
【0071】
上記光学等価量は、斜めの光線の倍率方向のずれも含めた光軸方向実効光路長の変化の等価量に相当し、Σ{光学要素厚さ+(1−光学要素屈折率)/光学要素屈折率}で与えられ、この値を異なる構成の光学素子で等しく設定することによって当該双方のカメラにおいて撮像素子の光電変換面上にピントが合うようにし、かつ、収差も最小とすることができる。
【0072】
第一のカメラボディ11A(撮像素子の基準画素ピッチδ0 =7μm の場合)にて、上記第一の光学素子を構成する各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数i と付番し、各光学要素の屈折率をni とし、厚さをti としたとき、前述した各光学要素からなる第一の光学素子の第一の光学等価量は、
Σ{ti ×(1−ni )/ni }=1.00×(1−1.52)/1.52
+0.84×(1−1.544)/1.544+0.5(1−1.542)/1.542
+0.84×(1−1.544)/1.544+1.19×(1−1.544)/1.544
+0.6×(1−1.52)/1.52=−1.734
となる。
【0073】
第二のカメラボディ11B(撮像素子の画素ピッチδ1 =5μm の場合)にて、上記第二の光学素子を構成する各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数j と付番し、各光学要素の屈折率をnj とし、厚さをtj としたとき、前述した各光学要素からなる第二の光学素子の第二の光学等価量は、上記第一の光学等価量より小さく、
Σ{tj ×(1−nj )/nj }=1.00×(1−1.52)/1.52
+0.6×(1−1.544)/1.544+0.5(1−1.542)/1.542
+0.6×(1−1.544)/1.544+0.85×(1−1.544)/1.544
+0.6×(1−1.52)/1.52=−1.445
となる。
【0074】
そして、中間アダプタ31内蔵の補正光学素子32aは、上記第一の光学等価量と第二の光学等価量の差分、
Σ{ti ×(1−ni )/ni }−Σ{tj ×(1−nj )/nj }
=(−1.734)−(−1.445)=−0.289
で与えられる第三の光学等価量を持った光学素子であればよいことになる。
【0075】
例えば、屈折率n=1.5のガラスで構成する場合は、厚さをthとすると、第三の光学等価量は、th ×(1−1.5)/1.5であることから、厚さは、
th=−0.289×1.5/(1−1.5)=0.867mm
となり、補正光学素子32aとして厚さth=0.867mmの光学ガラス板を適用することにより第二の光学等価量と第三の光学等価量の和が第一の光学等価量と同等となり、上述した条件を満足できる。
【0076】
本実施形態では補正光学素子32aは光学等価量の補正用として用いているが、赤外線カットフィルタとか可視光カットのフィルタの効果を持たせても良いし、光学ローパスフィルタの効果を持たせて本来とは異なる光学ローパスフィルタ効果を持たせる等の副次的な光学効果を持たせても勿論よい。これらの副次的効果を補正光学素子32aに持たせる場合は、中間アダプタに対して補正光学素子を着脱自在にしておくと使用者が上述した副次的な効果を自在に変更しながらデジタルカメラを用いることができる。
【0077】
また、上述した補正光学素子32a自体は、必ずしも中間アダプタ31内に設ける必要はなく、レンズ鏡筒12Aを中間アダプタ31を介して第二のカメラボディ11Bに装着した状態において、レンズ鏡筒12Aの後端部から第二のカメラボディ11Bの前端部の間に補正光学素子32aを挿入するようにしてもよく、例えば、レンズ鏡筒12Aの後端部や第二のカメラボディ11Bの前端部に取り付けてもよい。
【0078】
なお、上記第三の光学素子の補正光学素子が複数の光学要素で構成された場合、上記第三の光学等価量は、上記補正光学素子を構成する各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数k と付番し、各光学要素の屈折率をnk とし、厚さをtk としたとき、上記補正光学素子の第三の光学等価量は、Σ{tk ×(1−nk )/nk }で与えられる。そして、第一の光学素子の第一の光学等価量Σ{ti ×(1−ni )/ni }に対して、第二の光学素子の第二の光学等価量Σ{tj ×(1−nj )/nj }と補正光学素子の第三の光学等価量Σ{tk ×(1−nk )/nk }との和を略等しくとればよいことになる。
【0079】
前述したように本実施形態の中間アダプタ31における前側マウント面33aと後側マウント面34aの離間距離は、中間アダプタ31を装着した状態での第二のカメラボディ11B側のフランジバックは、第一のカメラボディ11Aのフランジと同一となるように設定した。しかし、上記離間距離に多少の過不足がある場合でも第一の光学等価量に対して上記第二の光学等価量と第三の光学等価量との和の値を上記離間距離の過不足を埋める値にすることにより、第二のカメラボディ11Bに上記中間アダプタを介してレンズ鏡筒12Aを装着した状態でピントが合い、かつ、光学的収差の少ない被写体像を取り込めるようにすることが可能となる。
【0080】
図4(A),(B)は、厚さと屈折率が異なる2種類の光学要素に対して光線が入射角X0 で入射した時の斜入射による光線ズレ量△Hi 、ΔHj を示す図であって、図4(A)は、厚さti ,屈折率ni を有する一方の光学要素(第一の光学素子側)に対する光線ズレ量△Hi を示す。図4(B)は、異なる厚さtj ,屈折率nj を有する他方の光学要素(第二の光学素子側)に対する光線ズレ量ΔHj を示す。なお、図中、Hi ,Hj は、入射光線の延長位置までの高さを示し、Hi ′,Hj ′は、屈折光線の射出点までの高さを示し、光線ズレ量△Hi ,ΔHj は、Hi ,Hj とHi ′,Hj ′との差で与えられる。
【0081】
撮影レンズの倍率方向の収差を考えるときは、上記光線ズレ量△Hi ,ΔHj が等しければ、収差は同じになる。すなわち、光線ズレ量比ΔHj /ΔHi が1となればよいことになる。なお、上述した光学要素からなる光学素子に対する光学等価量は、それぞれの光学要素における光線ズレ量△Hi 、または、ΔHj を加算した値に対応する。
【0082】
図5は、屈折率の異なる光学要素に対して上記光学等価量を等しくした条件で、入射角X0 と光線ズレ量比ΔHj /ΔHi との関係を示す線図である。 図中、光線ズレ量ΔHi は、屈折率ni =1.5の光学要素を基準としたときの値を適用し、光線ズレ量ΔHj は、屈折率nj が1.4、1.8、2、2.2、2.4と変化した光学要素についての値を示している。
【0083】
図5に示すように一般的な光学素材(波長587.6nmの時の屈折率は1.4〜2)の場合、入射角が15°以下であると光学ズレ量比は、略1(誤差は1%以下)となって光学収差に影響しないことがわかる。屈折率2.4の場合は、光学ローパスフィルターに使われる上記LN素子を素材に使用した場合に相当し、このLN素子等の高屈折率の特殊素材を用いても光学ズレ量比を略1に近くすることができる。また、この線図では波長587.6nmの光に対する屈折率についで考えたが、他の波長、例えば、波長486.1nmから626.3nmの光についても上記と同様に光線ズレ量比が1に近くなるように光学素材を選択すると、色収差に関しても収差の変化を抑えることが可能となる。デシタルカメラの場合、被写体光は波長420nmから650nm付近が画像形成に支配的であるでこの波長範囲で光線ズレ量比を略1にすれば、色収差の画像に及ぼす影響を抑えることができる。
【0084】
次に、本実施形態のデジタルカメラシステムにおけるデジタルカメラ1,2の内部構造について、図6〜10を用いて説明する。
図6は、デジタルカメラ1および2において、カメラボディ11A,11Bにそれぞれ交換レンズ鏡筒12A,12Bを装着した状態におけるそれぞれの内部構造を合わせて示した斜視図(一部破断面とする)である。図7は、上記デジタルカメラ1および2の撮像ユニット15A,15Bまわりのそれぞれの内部構造を合わせて示した斜視図(一部破断面とする)である。
【0085】
デジタルカメラ1、または、2は、図6に示すようにそれぞれレンズ鏡筒12A、または、12Bと、該レンズ鏡筒12Aが着脱可能である基準カメラボディである第一のカメラボディ11A、または、該レンズ鏡筒12Bが着脱可能である非基準カメラボディである第二のカメラボディ11Bとからなる。
【0086】
第一のカメラボディ11Aと第二のカメラボディ11Bとは、内蔵される撮像ユニットの撮像素子、および、光学LPFが異なり、さらに、フランジバックが異なるが、その他の構成は、同様である。
【0087】
レンズ鏡筒12A、または、12Bは、それぞれ複数のレンズからなる撮影光学系12Aa、または、12Baやその駆動機構等を内部に保持して構成される。そして、この撮影光学系12Aa、または、12Baは、それぞれ被写体からの光束を透過させることで当該被写光束により形成される被写体の像を所定の位置(図7の撮像素子5A、または、5Bの光電変換面上)に像面湾曲収差等の各種の光学的な収差のない状態で結像せしめるように、例えば、複数の光学レンズ等によって構成される。つまり、撮像素子前面に配される光学LPFにて生じる像面湾曲収差もなくすように設計されたものである。
【0088】
なお、ここでいう、収差のない状態とは、実使用上問題のないレベル以下の収差がある状態も含む。換言すれば、撮影光学系12Aa、または、12Baは撮像素子前面に配される光学LPFなども考慮した上で、各種収差が最適となるように設計されている。
【0089】
カメラボディ11A、または、11Bは、それぞれ本体部11Aa、または、11Ba内部に各種の構成部材等を備えて構成され、かつ、撮影光学系12Aa,12Baを保持するレンズ鏡筒12A、または、12Bを着脱自在となるようにボディ側マウント部3A、または、3Bをその前面に備えて構成された、いわゆる「一眼レフレックス方式」のカメラボディである。つまり、カメラ本体部11Aa,11Baの前面側の略中央部には、それぞれ被写体光束を当該カメラ本体部11Aa,11Baの内部ヘと導き得る所定の口径を有する露光用開口が形成され、この露光用開口の周縁部にボディ側マウント部3A、または、3Bが形成されている。
【0090】
以下、第一,二のデジタルカメラのカメラボディ11A、または、11Bの内部構成の詳細を説明する。
【0091】
まず、カメラ本体部11Aa,11Baの上面部や背面等の所定の位置にはカメラボディ11A、または、11Bを動作させるための各種の操作部材、例えば、撮影動作を開始せしめるための指示信号等を発生させるためのレリーズボタン17等が配設されている。
【0092】
カメラ本体部11Aa、または、11Baの内部には、それぞれ図6に示すように各種の構成部材、例えば、撮影光学系12Aa、または、12Baにより取り込まれた所望の被写体像を撮像素子5A、または、5B(図7)の光電変換面上とは異なる所定位置に形成させるために設けられ、所謂、観察光学系を成すファインダ装置13と、撮像素子5A、または、5Bの光電変換面への被写体光束の照射時間等を制御するシャッタ機構等を備えたシャッタ部14と、撮影光学系12Aa,12Baを透過した被写体光束に基づき被写体像信号を得る撮像素子を含む撮像ユニット15A(第一のカメラボディ用)あるいは15B(第二のカメラボディ用)と、撮像素子5A、または、5Bにより取得した画像信号に対して各種の信号処理を施す画像信号処理回路等の電気回路を成す各種の電気部材が実装された主回路基板16A(第一のカメラボディ用)、あるいは16B(第二のカメラボディ用)を始めとする複数の回路基板等が、それぞれ所定位置に配設されている。また、撮像ユニット15A、15Bの前面には撮像素子の光電変換面への塵埃等の付着を防止する防塵フィルタ21A、または、21Bが配設されている。
【0093】
ファインダ装置13は、撮影光学系12Aa、または、12Baを透過した被写体光束の光軸を折り曲げて観察光学系の側へと導くように構成された反射鏡13bと、この反射鏡13bから出射する光束を受けて正立正像を形成するペンタプリズム13aと、このペンタプリズム13aを介して、被写体像を拡大して観察する接眼レンズ13c等によって構成されている。
【0094】
反射鏡13bは、撮影光学系12Aa、または、12Baの光軸から退避する位置と当該光軸上の所定の位置との間で移動自在に構成され、通常状態は、撮影光学系12Aa、または、12Baの光軸上にて当該光軸に対して所定角度、例えば角度45°に配置されている。これにより、撮影光学系12Aa、または、12Baを透過した被写体光束は、当該カメラ1、または、2が通常状態にある際は、反射鏡13bによってその光軸が折り曲げられて、当該反射鏡13bの上方に配置されるペンタプリズム13aの側へと反射されるようになっている。
【0095】
デジタルカメラ1、または、2の撮影時の露光動作中には、当該反射鏡13bが撮影光学系12Aa,12Baの光路から退避する所定位置に移動するようになっている。これによって被写体光束は、撮像素子側へと導かれ、その光電変換面を照射するようになっている。
【0096】
シャッタ部14は、例えば、フォーカルプレーン方式のシャッタ機構や、このシャッタ機構の動作を制御する駆動回路等、従来のカメラ等で一般的に利用されているものと同様のものが適用される。
【0097】
第一のカメラボディ用の撮像ユニット15A、または、第二のカメラボディ用の撮像ユニット15Bは、内蔵される撮像素子と光学LPFとが異なるのみで他の構成は略同一である。まず、第一のカメラボディ用である撮像ユニット15Aについて説明する。
【0098】
撮像ユニット15Aは、図7に示すように撮影光学系12Aaを透過し自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得るCCD等からなる撮像素子5Aと、この撮像素子5Aを固定支持する薄板状の部材からなる撮像素子固定板28と、撮像素子5Aの光電変換面の側に配設され、撮影光学系12Aaを透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除くべく形成される光学素子である光学LPF8Aと、この光学LPF8Aと撮像素子5Aとの間の周縁部に配置され、略枠形状の弾性部材等によって形成されるローパスフィルタ受け部材26と、撮像素子5Aを収納し固定保持すると共に光学LPF8Aをその周縁部位乃至その近傍部位に密着して支持しかつ所定の部位を後述する防塵フィルタ受け部材23に密に接触するように配設される撮像素子収納ケース部材24(以下、CCDケース24という)と、このCCDケース24の前面側に配置される防塵フィルタ21Aをその周縁部位乃至その近傍部位に密着して支持する防塵フィルタ受け部材23と、この防塵フィルタ受け部材23によって支持されて撮像素子5Aの光電変換面の側であって光学LPF8Aの前面側において当該光学LPF8Aとの間に所定の間隔を持つ所定の位置に対向配置される防塵部材である防塵フィルタ21Aと、この防塵フィルタ21Aの周縁部に配設され当該防塵フィルタ21Aに対して所定の振動を与えることによって塵埃を除去させる圧電素子22と、防塵フィルタ21Aを防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合させ固定保持する弾性体からなる押圧部材20等によって構成されている。
【0099】
撮像素子5Aは、撮影光学系12Aaを透過した被写体光束を自己の光電変換面5Aa(図1(A))で受けて光電変換処理を行なうことにより、当該光電変換面に形成される被写体像に対応した画像信号を取得するものであって、例えば、4/3型で第一の画素ピッチとしての基準画素ピッチδ0 が略7μm である電荷結合素子(Charge Coupled Device)等が適用される。
【0100】
この撮像素子5Aは、撮像素子固定板28を介して主回路基板16A上の所定の位置に実装されている。この主回路基板16Aには、不図示の画像信号処理回路及びワークメモリ等が共に実装されており、撮像素子5Aからの出力信号、即ち光電変換処理により得られた画像信号が画像信号処理回路等へと電送されるようになっている。撮像素子5Aの光電変換面の前方には、保護ガラス6A(図7)が配される。
【0101】
画像信号処理回路における信号処理としては、例えば、レンズ鏡筒12Aの撮影光学系12Aaにより撮像素子5Aの光電変換面上に結像された像に対応する当該撮像素子5Aの画像出力信号を記録に適合する形態の信号に変換する処理等の各種の信号処理である。このような信号処理は、電子的な画像信号を取り扱うように構成される一般的なデジタルカメラ等において通常になされる処理と同様である。
【0102】
撮像素子5Aの前面側には、ローパスフィルタ受け部材26を挟んで光学LPF8Aが配設されている。光学LPF8Aは、複屈折特性を有する光学素子の水晶で形成されており、後述するように撮像素子5Aの画素ピッチδ0 (略7μm )に対応する厚みts0を有している。なお、後述するように光学LPF8A内には、赤外線吸収ガラスが挿入されている。
【0103】
そして、光学LPF8Aを覆うようにCCDケース24が配設されている。このCCDケース24には、略中央部分に矩形状からなる開口が設けられており、この開口にその後方側から光学LPF8A及び撮像素子5Aが配設されるようになっている。この開ロ後方側の内周縁部には、光学LPF8A前面が当接する略L字断面形状の段部24aが形成されている。
【0104】
上述したように、光学LPF8Aと撮像素子5Aとの間には、弾性部材等からなるローパスフィルタ受け部材26が配設されている。このローパスフィルタ受け部材26は、撮像素子5Aの前面側の周縁部においてその光電変換面の有効範囲を避ける位置に配設され、かつ光学LPF8Aの背面側の周縁部近傍に当接するようになっている。そして、光学LPF8Aと撮像素子5Aとの間を略気密性が保持されるようにしている。これにより、光学LPF8Aには、ローパスフィルタ受け部材26による光軸方向への弾性力が働くことになる。
【0105】
そこで、光学LPF8Aの前面側の周縁部を、CCDケース24の段部24aに対して略気密的に接触させるように配置することで、当該光学LPF8Aをその光軸方向に変位させようとするローパスフィルタ受け部材26による弾性力に抗して当該光学LPF8Aの光軸方向における位置を規制するようにしている。
【0106】
換言すれば、CCDケース24の開口の内部に背面側より挿入された光学LPF8Aは、段部24aによって光軸方向における位置規制がなされている。これにより、当該光学LPF8Aは、CCDケース24の内部から前面側へ向けて外部に抜け出ないようになっている。
【0107】
このようにして、CCDケース24の開口の内部に背面側から光学LPF8Aが挿入された後、光学LPF8A背面側には、撮像素子5A配設されるようになっている。光学LPF8A撮像素子5Aの間には、周縁部においてローパスフィルタ受け部材26が挟持されるようになっている。
【0108】
また、撮像素子5Aは、上述したように撮像素子固定板28を挟んで主回路基板16Aに実装されている。そして、撮像素子固定板28は、CCDケース24の背面側からネジ孔24eに対してネジ28bによってスペーサ28aを介して固定されている。また、撮像素子固定板28には、主回路基板16Aがスペーサ16cを介してネジ16dによって固定されている。
【0109】
CCDケース24の前面側には、防塵フィルタ受け部材23がCCDケース24のネジ孔24bに対してネジ23bによって固定されている。CCDケース24の周縁側であって前面側の所定の位置には、周溝24dが略環状に形成されている。その一方で、防塵フィルタ受け部材23の周縁側であって背面側の所定の位置には、CCDケース24の周溝24dに対応させた環状凸部23dが全周にわたって略環状に形成されている。したがって、環状凸部23dと周溝24dとが嵌合することによりCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23とは、環状の領域、即ち周溝24dと環状凸部23dとが形成される領域において相互に略気密的に嵌合するようになっている。
【0110】
防塵フィルタ21Aは、ガラスで形成され、全体として円形乃至多角形の板状をなし、少なくとも自己の中心から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部をなしており、この透明部が光学LPF8A前面側に所定の間隔を持って対向配置されているものである。
【0111】
また、防塵フィルタ21Aの一方の面の周縁部には、当該防塵フィルタ21Aに対して振動を与えるための所定の加振用部材であり電気機械変換素子等によって形成される圧電素子22が一体となるように、例えば接着剤による貼着等の手段により配設されている。この圧電素子22は、外部から所定の駆動電圧を印加することによって防塵フィルタ21Aに所定の振動を発生させることができるように構成されている。
【0112】
そして、防塵フィルタ21Aは、防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように板ばね等の弾性体からなる押圧部材20によって固定保持されている。
【0113】
防塵フィルタ受け部材23の略中央部近傍には、円形状又は多角形状からなる開口が設けられている。この開口は、撮影光学系12Aaを透過した被写体光束を通過させて、当該光束が後方に配置される撮像素子5Aの光電変換面を照射するのに充分な大きさとなるように設定されている。
【0114】
この開口の周縁部は、前面側に突出する壁部23eが略環状に形成されており、この壁部23eの先端側には、さらに前面側に向けて突出するように受け部23cが形成されている。
【0115】
一方、防塵フィルタ受け部材23の前面側の外周縁部近傍には、所定の位置に複数(本実施形態では三箇所)の突状部23aが前面側に向けて突出するように形成されている。この突状部23aは、防塵フィルタ21Aを固定保持する押圧部材20を固設するために形成される部位であって、当該押圧部材20は、突状部23aの先端部に対してねじ20a等の締結手段により固設されている。
【0116】
押圧部材20は、上述したように板ばね等の弾性体によって形成される部材であって、その基端部が突状部23aに固定され、自由端部が防塵フィルタ21Aの外周縁部に当接することで、当該防塵フィルタ21Aを防塵フィルタ受け部材23の側、即ち光軸方向に向けて押圧するようになっている。
【0117】
この場合、防塵フィルタ21Aの背面側の外周縁部に配設される圧電素子22の所定の部位が、受け部23cに当接することで、防塵フィルタ21A及び圧電素子22の光軸方向における位置が規制されるようになっている。したがってこれにより、防塵フィルタ21Aは、圧電素子22を介して防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように固定保持されている。
【0118】
換言すれば、防塵フィルタ受け部材23は、押圧部材20による付勢力によって防塵フィルタ21Aと圧電素子22を介して気密的に接合するように構成されている。
【0119】
ところで、上述したように防塵フィルタ受け部材23とCCDケース24とは、周溝24dと環状凸部23dとが相互に略気密的に嵌合するようになっているのと同時に、防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21Aとは、押圧部材20の付勢力により圧電素子22を介して気密的に接合するようになっている。また、CCDケース24に配設される光学LPF8Aは、光学LPF8Aの前面側の周縁部とCCDケース24の段部24aとの間で略気密的となるように配設されている。さらに、光学LPF8Aの背面側には、撮像素子5Aがローパスフィルタ受け部材26を介して配設されており、光学LPF8Aと撮像素子5Aとの間においても、略気密性が保持されるようになっている。
【0120】
したがって、光学LPF8Aと防塵フィルタ21Aとが対向する間の空間には、所定の空隙部51aが形成されている。また、光学LPF8Aの周縁側、即ちCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21Aとによって、空間部51bが形成されている。この空間部51bは、光学LPF8Aの外側に張り出すようにして形成されている封止された空間である。
【0121】
また、この空間部51bは、空隙部51aよりも広い空間となるように設定されている。そして、空隙部51aと空間部51bとからなる空間は、上述した如くCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21Aと光学LPF8Aとによって略気密的に封止される封止空間51となっている。
【0122】
図8は、第一のカメラボディ11Aにおける撮像ユニット15Aの光学系の詳細を示す模式図であり、図9は、撮像ユニット15Aの拡大縦断面図である。
【0123】
図8に示すように第一の光学素子として撮像素子5Aの前面に保護ガラス6Aが配置され、さらに、その前方に光学LPF8A、および、防塵フィルタ21Aが配されている。
【0124】
光学LPF8Aは、図1(A)によってすでに説明したように前方側から複屈折方向(回転角)が−45°の水晶板8Aaと、赤外線吸収ガラス8Abと、複屈折方向(回転角)が+45°の水晶板8Acと、複屈折方向(回転角)が0°の水晶板8Adとが重畳して構成される。
【0125】
水晶板8Aa,8Acは、それぞれ図12に示される撮像素子5Aの画素ピッチδ0 (略7μm )に対応する厚みを有している。水晶板8Adは、水晶板8Aa、8Abの厚さの√2倍の厚さを有している。従って、レンズ鏡筒12Aを介して入射した被写体光束が撮像素子5Aの光電変換面5Aaに結像したとき、モアレの発生が防止される。
【0126】
そして、水晶板8Aa,8Ac,8Adおよび赤外吸収ガラス8Abは、それぞれガラスに近い屈折率を有し、水晶板および赤外吸収ガラス8Abのトータルの厚みは、ts0である。そして、上記水晶板8Aa,8Ac,8Adと赤外吸収ガラス8Abの屈折率と厚みts0に対応した実効光路長に基づく被写体光束の結像位置に撮像素子5Aの光電変換面5Aaが位置決めされている。従って、レンズ鏡筒12Aにより取り込まれた被写体光束は、像面湾曲収差のない状態で撮像素子5Aの光電変換面5Aa上に正しく結像する。厳密には、上記実効光路長の変化に保護ガラス6Aおよび防塵フィルタ21Aの厚みも寄与する。
【0127】
なお、第一のカメラボディ11A用の保護ガラス6Aおよび防塵フィルタ21Aの厚さは、前述したように第二のカメラボディ11B用の保護ガラス6Bおよび防塵フィルタ21B(図1(B))の厚さと同じものを用いているので、第一のカメラボディ11Aと第二のカメラボディ11Bにおける保護ガラス6Aと6Bおよび防塵フィルタ21Aと21Bによる実効光路長の差はない。
【0128】
また、保護ガラス6A,防塵フィルタ21Aの厚みおよび/または材質を第一のカメラボディ11A用と第二のカメラボディ11B用とで変更する場合は、その変更に伴う実効光路長の変化を補償するように補償光学素子の厚さ、あるいは、材質を変化させて像面湾曲収差、球面収差、非点収差等の光学収差の補正を行う必要がある。
【0129】
一方、第二のカメラボディ11Bは、上述した第一のカメラボディ11Aの撮像ユニット15Aの撮像素子5Aと光学LPF8Aに代えて撮像ユニット15Bの撮像素子5Bと光学LPF8Bを内蔵している。第二のカメラボディ11Bの他の構成は、上述した第一のカメラボディ11Aのものと同一であり、以下、異なる部分について説明する。図10は、第二のカメラボディ11Bにおける撮像ユニット15Bの拡大縦断面図である。
【0130】
第二のカメラボディ11Bに内蔵される撮像ユニット15Bの撮像素子5Bは、サイズとしては撮像素子5Aと同じ4/3型であるが基準画素ピッチδ0 (略7μm )と異なる第二の画素ピッチである画素ピッチ、例えば、δ1 を有する。
【0131】
撮像素子5Bの前方に配される光学LPF8Bは、図1(B)によりすでに説明したように水晶板8Baと、赤外線吸収ガラス8Bbと、水晶板8Bcと、水晶板8Bdとが重畳され、光学接着剤にて固着された光学素子部材である。水晶板8Ba,8Bc,8Bdは、撮像素子5Bの画素ピッチに対応して被写体光束を複屈折する厚みを有しており、この光学LPF8Bとしての厚みは、ts1である。また、赤外線吸収ガラス8Bbは、第一のカメラボディ11Aに適用した赤外線吸収ガラス8Abと同一材質であって、同一の厚みと屈折率を有する。
【0132】
なお、上記水晶板は、撮像素子の画素ピッチによっては、後述するようにLN素子に換えることも可能である。
【0133】
第2のカメラボディ11Bの撮像素子5Bの画素ピッチδ1が基準画素ピッチδ0=7μm より小さく、5μm である場合、すなわち、撮像素子5Bの画素数が撮像素子5Aの画素数より多い場合には、第2のカメラボディ11Bの光学LPF8Bの厚みts1は、光学LPF8Aの厚みts0より薄くなる(図12)。
【0134】
また、光学LPF8Bの前面部および撮像素子5Bの前面部には、防塵フィルタ21Bおよび保護ガラス6Bが配されるが、前述したようにそれぞれ第一のカメラボディ11Aにおける防塵フィルタ21Aおよび保護ガラス6Aと同一厚みでかつ同一屈折率を有する。
【0135】
上述した撮像ユニット15Bによれば、装着されたレンズ鏡筒12Bを介して取り込まれた被写体光束は、撮像素子5Bの光電変換面5Ba上に像面湾曲収差、球面収差、非点収差等のない状態で結像位置ずれもなく正しく結像する。
【0136】
本実施形態においては、基準の第一のカメラボディ11A側の撮像素子の基準画素ピッチδ0 を7μm としているが、この基準画素ピッチの設定方法について、以下に説明する。
【0137】
上述したように、光学LPF(光学ローパスフィルタ)の厚さは、撮像素子の画素ピッチに応じて決定されるものであるが、同じ画素ピッチであっても光学LPFの材質によってその厚さが変わる。図12に示すように第一の材質として、例えば、水晶を用いた場合と、第二の材質としてLN素子を用いた場合とでは、その厚さが全く異なる。なお、図12に示す画素数は、3/4型撮像素子の場合の例である。
【0138】
一方、カメラの小型化のためには、より薄い光学LPFを用いることが好ましいが、あまり薄い場合は、光学LPFの製造そのものが困難であったり、破損の虞があるため、好ましくない。LN素子の例をとると、現状では図12に示すように画素ピッチが約7〜6μm よりも小さい撮像素子に対応じた光学LPFを構成する各LN素子の厚さは、0.1mm程度以下となってしまい、光学LPFの製造が困難となってしまう。
【0139】
そこで、第二の材質であるLN素子にて形成可能な最小厚さに対応可能な画素ピッチ以上の画素ピッチを基準画素ピッチとして設定する。そして、この基準画素ピッチに応じた光学LPFを第一の材質である水晶で形成することにより、各種の画素ピッチのカメラボディに対しても最小限の光学LPFの厚さとすることができる。
【0140】
即ち、基準画素ピッチよりも小さい画素ピッチの撮像素子を有するカメラボディに対しては、図12からわかるように、基準画素ピッチに対応する水晶で形成された光学LPFよりも薄い光学LPFを、基準画素ピッチに対応する光学LPFと同じ第一の材質である水晶で形成することができる。このように、基準画素ピッチに対応する光学LPFよりも光学LPFの厚さを薄くすることができるので、実効光路長の補償を行う補償光学素子によって補償することができる。
【0141】
また、デジタルカメラの撮像素子の画素数は、例えば、300万画素、400万画素、500万画素というように段階的に設定されることが多い。従って、基準画素ピッチが第二の材質にて形成可能な最小厚さの光学LPFが対応可能な画素ピッチよりも若干小さくとも良い。即ち、基準カメラボディよりも低画素数の(画素ピッチの大きい)撮像素子の画素ピッチに対応する光学LPFが第二の材料にて形成可能であればよい。このようにして、基準画素ピッチを設定すれば、より光学LPFを薄くすることが出来る。
【0142】
また、上述のようにして設定された基準画素ピッチデータは、レンズ鏡筒(交換レンズ)設計、及び、このレンズ鏡筒をフランジバックの短いカメラボディ11Bに装着する際に使用される中間アダプタ31の設計基準となる。
【0143】
以上、説明したように本実施形態のデジタルカメラシステムによれば、フランジバックの長い第一のカメラボディ11Aおよび該カメラボディに装着可能な第一のレンズ鏡筒12Aと、フランジバックの短い第二のカメラボディ11Bおよび該カメラボディに装着可能な第二のレンズ鏡筒12Bと、中間アダプタ31とからなるデジタルカメラシステムにおいて、第二のカメラボディ11Bをより小型軽量に構成することができ、さらに、レンズ鏡筒12Aを中間アダプタ31を介して第二のカメラボディ11Bに装着可能であり、該装着状態でも高画質の撮像を行なうことができる。
【0144】
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形例を実施可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明によるデジタルカメラシステムは、フランジバックの異なる第一,二のカメラボディおよび該カメラボディにそれぞれ装着可能な第一,二のレンズと、中間アダプタとからなるデジタルカメラシステムにおいて、フランジバックの短い上記第二のカメラボディをより小型軽量に構成することができ、さらに、上記第一のレンズを上記中間アダプタを介して上記第二のカメラボディに装着可能であり、かつ、該装着状態でも高画質の撮影を行なうことができるデジタルカメラシステムとして利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の一実施形態のデジタルカメラシステムを構成するカメラボディおよび交換レンズとの組み合わせ状態と、それらに内蔵される光学部材,撮像素子の配置を示す図であって、図1(A)は、基準カメラボディ(第一のカメラボディ)と第一のレンズ(第一のレンズ鏡筒)との組み合わせ状態を示し、図1(B)は、非基準カメラボディ(第二のカメラボディ)と第二のレンズ(第二のレンズ鏡筒)との組み合わせ状態を示している。
【図2】図1のデジタルカメラシステムにおける第一のレンズ鏡筒と第一のカメラボディとを中間アダプタを介して装着した状態の断面図である。
【図3】図1のデジタルカメラシステムにおけるレンズ鏡筒のマウント部をカメラボディ側から見た状態と装着されるカメラボディのマウント部(二点鎖線)を合わせて示しており、図(A)は、第一のレンズ鏡筒のマウント部を示し、図3(B)は、第二のレンズ鏡筒のマウント部を示す。
【図4】図1のデジタルカメラシステムに適用され、光学素子を構成する光学要素に対して光線が入射角X0 で入射した時の斜入射による光線ズレ量△Hi 、ΔHj を示す図であって、図4(A)は、厚さti ,屈折率ni を有する一方の光学要素(第一のカメラボディ側)に対する光線ズレ量△Hi を示し、図4(B)は、異なる厚さtj ,屈折率nj を有する他方の光学要素(第二のカメラボディ側)に対する光線ズレ量ΔHj を示す。
【図5】各屈折率を有する光学要素に対して光学等価量を等しくした条件のもとで入射する光線に対する入射角X0 と光線ズレ量比ΔHj /ΔHi との関係を示す線図である。
【図6】図1のデジタルカメラシステムのカメラボディにレンズ鏡筒を装着した状態の内部構造を示す斜視図(一部破断面で示す)である。
【図7】図1のデジタルカメラシステムの撮像ユニットまわりの内部構造を示す斜視図(一部破断面で示す)である。
【図8】図1のデジタルカメラシステムの第一のカメラボディに適用される撮像ユニットの光学系の詳細を示す模式図である。
【図9】図1のデジタルカメラシステムの第一のカメラボディに適用される撮像ユニットの拡大縦断面図である。
【図10】図1のデジタルカメラシステムの第二のカメラボディに適用される撮像ユニットの拡大縦断面図である。
【図11】撮像光学系において撮像素子の前面に配置される光学フィルタの有無による結像位置の変化の状態を示す光路図である。
【図12】撮像素子の画素ピッチ、または、撮像素子の画素数とそれに適応する光学LPF(水晶とLN素子の場合)の厚みの関係を示す線図である。
【符号の説明】
【0147】
5A…第一の撮像素子
5Aa…光電変換面(撮像面)
5B…第二の撮像素子
5Ba…光電変換面(撮像面)
6A…保護ガラス(第一の光学素子)
6B…保護ガラス(第二の光学素子)
8A…光学LPF
(第一の光学ローパスフィルタ,第一の光学素子)
8Aa,8Ac,8Ad
…水晶板(第一の光学素子)
8Ab…赤外線吸収ガラス(第一の光学素子)
8B…光学LPF
(第二の光学ローパスフィルタ,第二の光学素子)
8Ba,8Bc,8Bd
…水晶板(第二の光学素子)
8Bb…赤外線吸収ガラス(第二の光学素子)
11A…第一のカメラボディ
11B…第二のカメラボディ
12A…レンズ鏡筒(第一のレンズ)
12B…レンズ鏡筒(第二のレンズ)
21A…防塵フィルタ(第一の光学素子)
21B…防塵フィルタ(第二の光学素子)
32a…補償光学素子
(光路長補償用光学素子,第三の光学素子)
Σ{ti ×(1−ni )/ni }
…第一の光学等価量
Σ{tj ×(1−nj )/nj }
…第二の光学等価量
Σ{tk ×(1−nk )/nk }
…第三の光学等価量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の撮像素子を含み、第一のフランジバックを有する第一のカメラボディと、
上記第一のカメラボディに適合する第一のレンズと、
上記第一のレンズと上記第一の撮像素子の間に配置された複数の光学要素からなる第一の光学素子と、
第二の撮像素子を含み、上記第一のフランジバックよりも短い第二のフランジバックを有する第二のカメラボディと、
上記第二のカメラボディに適合する第二のレンズと、
上記第二のレンズと上記第二の撮像素子の間に配置された複数の光学要素からなる第二の光学素子と、
上記第一のレンズを着脱するためのレンズ着脱部を一端に持ち、上記第二のボディを着脱するためのレンズ着脱部を他端にもつ中間アダプタと、
を具備したデジタルカメラシステムにおいて、
上記中間アダプタには第三の光学素子が設けられており、
上記第一、二の光学素子の各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数i およびj で付番して、上記第一の光学素子の各光学要素の屈折率をni とし、厚さをti とし、上記第二の光学素子の各光学要素の屈折率をnj とし、厚さをtj としたとき、第一の光学要素の第一の光学等価量Σ{ti ×(1−ni )/ni }は、第二の光学要素の第二の光学等価量Σ{tj ×(1−nj )/nj }より大きく、さらに、上記第三の光学素子の各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数k で付番したとき、上記第三の光学素子の各光学要素の屈折率をnk とし、厚さをtk としたとき、上記第三の光学要素の第三の光学等価量Σ{tk ×(1−nk )/nk }と上記第二の光学等価量Σ{tj ×(1−nj )/nj }との和Σ{tk ×(1−nk )/nk }+Σ{tj ×(1−nj )/nj }は、上記第一の光学等価量Σ{ti ×(1−ni )/ni }と略等しいことを特徴とするデジタルカメラシステム。
【請求項2】
上記第一、第二、および、第三の光学素子は、防塵ガラス、光学ローパスフィルタを構成する光学結晶からなる板、赤外線吸収ガラス、または、上記撮像素子を保護するための保護ガラスを含むことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラシステム。
【請求項3】
上記第一の撮像素子の画素ピッチは、上記第二の撮像素子の画素ピッチよりも大きいことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラシステム。
【請求項4】
上記第一の光学素子は、第一の光学ローパスフイルタを含み、その厚さは、上記第二の光学素子に含まれる第二の光学ローパスフィルタの厚さより厚いことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラシステム。
【請求項5】
上記第一のレンズにおいて、上記第一の撮像素子の対角に入射される主光線のレンズの光軸となす最大角は、上記第二のレンズにおいて、上記第二の撮像素子の対角に入射される主光線のレンズの光軸となす最大角よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラシステム。
【請求項6】
上記第二のレンズは、上記第一のカメラボディに取り付かないように構成したことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラシステム。
【請求項7】
撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメボディに適合する撮影レンズを撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子が配置された第二のカメラボディに適合させるための中間アダプタにおいて、
上記第一のカメラボディの上記撮影レンズの取り付け面から撮像面までの光学的距離と、上記中間アダプタを上記第二のカメラボディに装着した状態における上記撮影レンズの取り付け面から上記第二のカメラボディの撮像面までの光学的距離とを一致させるために、光路長補償用光学素子を設けたことを特徴とする中間アダプタ。
【請求項8】
上記光路長補償用光学素子は、光学的パワーを有していないことを特徴とする請求項7に記載の中間アダプタ。
【請求項9】
撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメラボディと、
上記第一のカメボディに適合する撮影レンズと、
撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子を配置した第二のカメラボディと、
上記撮影レンズを上記第二のカメラボディに適合させるための中間アダプタと、
を具備するデジタルカメラシステムにおいて、
上記中間アダプタは、上記第一のカメラボディのレンズ取り付け面から撮像面までの光学的距離と、上記中間アダプタを上記第二のカメラボディに装着した状態での上記中間アダプタのレンズ取り付け面から上記第二のカメラボディの撮像面までの光学的距離とを一致させるための、光路長補慣用光学素子を有していることを特徴とするデジタルカメラシステム。
【請求項10】
撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメラボディと、
上記第一のカメボディに適合する撮影レンズと、
撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子を配置した第二のカメラボディと、
上記撮影レンズを上記第二のカメラボディに装着するための中間アダプタと、
上記第二のカメラボディに上記中間アダプタを介して上記撮影レンズを装着した状態において、上記撮影レンズの後端部から上記第二のカメラボディの前端部の間に配置される光路長補償用光学素子と、
を有していることを特徴とするデジタルカメラシステム。
【請求項1】
第一の撮像素子を含み、第一のフランジバックを有する第一のカメラボディと、
上記第一のカメラボディに適合する第一のレンズと、
上記第一のレンズと上記第一の撮像素子の間に配置された複数の光学要素からなる第一の光学素子と、
第二の撮像素子を含み、上記第一のフランジバックよりも短い第二のフランジバックを有する第二のカメラボディと、
上記第二のカメラボディに適合する第二のレンズと、
上記第二のレンズと上記第二の撮像素子の間に配置された複数の光学要素からなる第二の光学素子と、
上記第一のレンズを着脱するためのレンズ着脱部を一端に持ち、上記第二のボディを着脱するためのレンズ着脱部を他端にもつ中間アダプタと、
を具備したデジタルカメラシステムにおいて、
上記中間アダプタには第三の光学素子が設けられており、
上記第一、二の光学素子の各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数i およびj で付番して、上記第一の光学素子の各光学要素の屈折率をni とし、厚さをti とし、上記第二の光学素子の各光学要素の屈折率をnj とし、厚さをtj としたとき、第一の光学要素の第一の光学等価量Σ{ti ×(1−ni )/ni }は、第二の光学要素の第二の光学等価量Σ{tj ×(1−nj )/nj }より大きく、さらに、上記第三の光学素子の各光学要素に対してレンズ側から1、2、…の整数k で付番したとき、上記第三の光学素子の各光学要素の屈折率をnk とし、厚さをtk としたとき、上記第三の光学要素の第三の光学等価量Σ{tk ×(1−nk )/nk }と上記第二の光学等価量Σ{tj ×(1−nj )/nj }との和Σ{tk ×(1−nk )/nk }+Σ{tj ×(1−nj )/nj }は、上記第一の光学等価量Σ{ti ×(1−ni )/ni }と略等しいことを特徴とするデジタルカメラシステム。
【請求項2】
上記第一、第二、および、第三の光学素子は、防塵ガラス、光学ローパスフィルタを構成する光学結晶からなる板、赤外線吸収ガラス、または、上記撮像素子を保護するための保護ガラスを含むことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラシステム。
【請求項3】
上記第一の撮像素子の画素ピッチは、上記第二の撮像素子の画素ピッチよりも大きいことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラシステム。
【請求項4】
上記第一の光学素子は、第一の光学ローパスフイルタを含み、その厚さは、上記第二の光学素子に含まれる第二の光学ローパスフィルタの厚さより厚いことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラシステム。
【請求項5】
上記第一のレンズにおいて、上記第一の撮像素子の対角に入射される主光線のレンズの光軸となす最大角は、上記第二のレンズにおいて、上記第二の撮像素子の対角に入射される主光線のレンズの光軸となす最大角よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラシステム。
【請求項6】
上記第二のレンズは、上記第一のカメラボディに取り付かないように構成したことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラシステム。
【請求項7】
撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメボディに適合する撮影レンズを撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子が配置された第二のカメラボディに適合させるための中間アダプタにおいて、
上記第一のカメラボディの上記撮影レンズの取り付け面から撮像面までの光学的距離と、上記中間アダプタを上記第二のカメラボディに装着した状態における上記撮影レンズの取り付け面から上記第二のカメラボディの撮像面までの光学的距離とを一致させるために、光路長補償用光学素子を設けたことを特徴とする中間アダプタ。
【請求項8】
上記光路長補償用光学素子は、光学的パワーを有していないことを特徴とする請求項7に記載の中間アダプタ。
【請求項9】
撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメラボディと、
上記第一のカメボディに適合する撮影レンズと、
撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子を配置した第二のカメラボディと、
上記撮影レンズを上記第二のカメラボディに適合させるための中間アダプタと、
を具備するデジタルカメラシステムにおいて、
上記中間アダプタは、上記第一のカメラボディのレンズ取り付け面から撮像面までの光学的距離と、上記中間アダプタを上記第二のカメラボディに装着した状態での上記中間アダプタのレンズ取り付け面から上記第二のカメラボディの撮像面までの光学的距離とを一致させるための、光路長補慣用光学素子を有していることを特徴とするデジタルカメラシステム。
【請求項10】
撮影光路内に第一の光学素子を配置した第一のカメラボディと、
上記第一のカメボディに適合する撮影レンズと、
撮影光路内に上記第一の光学素子とは光学特性の異なる第二の光学素子を配置した第二のカメラボディと、
上記撮影レンズを上記第二のカメラボディに装着するための中間アダプタと、
上記第二のカメラボディに上記中間アダプタを介して上記撮影レンズを装着した状態において、上記撮影レンズの後端部から上記第二のカメラボディの前端部の間に配置される光路長補償用光学素子と、
を有していることを特徴とするデジタルカメラシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−58123(P2007−58123A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246606(P2005−246606)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
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