説明

デジタルカメラ

【課題】撮影光路内にハーフミラーを配置したデジタルカメラにおいて、ハーフミラー付着した塵埃を効果的に除去可能としたデジタルカメラを提供する。
【解決手段】撮影レンズを通過した被写体光束の一部を透過する可動ハーフミラー201と、この可動ハーフミラー201を透過した被写体光束を受光して被写体像信号を出力するCCD221と、被写体像信号に基づいて被写体の動画を表示装置に表示する背面液晶モニタ26と、可動ハーフミラー201を反射位置と退避位置の間で往復移動させる可動ミラー駆動機構215を具備し、所定時間、若しくは所定回数、可動ハーフミラー201が反射位置と退避位置の間で移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影レンズを通過した光束を2方向に分割するハーフミラーを有するデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
撮影レンズを通過した被写体像を記録するデジタルカメラには、被写体像を撮像素子等によって記録するための光路と、撮影レンズを通過した被写体像を光学的に観察するための観察光学系(ファインダ光学系)への光路等を有するものがある。このような複数の光路の切換は、一般的には可動に構成された全反射ミラーによっている。しかし、可動反射ミラーによる切換では、例えば、撮像素子によって撮像した被写体像を表示させる所謂スルー画表示(ライブビュー表示、電子ファインダとも言う)と、光学ファインダで被写体像を表示させることを同時に行うことや、また、スルー画表示を行いながら、観察光学系内に配置されたTTL(Trough The Lens)位相差AF(Auto Focus)方式の測距装置による測距動作を同時に行う等、同時に2つの機能を果たすことができないという不具合がある。
【0003】
前者の不具合の解決方法として、特許文献1には、可動ミラーをハーフミラーで構成し、ハーフミラーによる反射光を光学ファインダに導くと共に、ハーフミラーの透過光を撮像素子に導くことにより、光学ファインダでの表示を行うと同時にスルー画表示も行うことが開示されている。また、後者の不具合の解決方法として、特許文献2には、可動ミラーをハーフミラーで構成し、撮影光学系を通過した被写体光束を撮像素子と位相差AFセンサの両方に導くようにしたデジタルカメラが開示されている。この構成によれば、撮像素子による被写体像の表示を行いながら位相差AFも可能となる。
【特許文献1】特開2001−186401号公報
【特許文献2】特開2002−6208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮影光路内にハーフミラーを配置する構成をデジタルカメラに適用した場合には次のような問題が生ずるおそれがある。すなわち、レンズ交換等のためにカメラ本体の開口部が開放された際にカメラ本体内に塵埃が進入し、ハーフミラーに付着することがある。この塵埃は、スルー画表示の際に被写体像に重なって表示されるので、被写体像の観察にあたって見苦しいものとなってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、撮影光路内にハーフミラーを配置したデジタルカメラにおいて、ハーフミラー付着した塵埃を効果的に除去可能としたデジタルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明に係わるデジタルカメラは、撮影レンズを通過した被写体光束の一部を透過するハーフミラーと、このハーフミラーを透過した被写体光束を受光して被写体像信号を出力する撮像素子を含む撮像手段と、上記被写体像信号に基づいて被写体の動画を表示装置に表示するスルー画表示手段と、上記ハーフミラーを第1の位置と第2の位置の間で往復移動させる駆動手段と、所定時間、若しくは所定回数、上記ハーフミラーが上記第1と第2の位置の間で移動させる制御手段を具備する。
【0007】
第2の発明に係わるデジタルカメラは、上記第1の発明において、上記ハーフミラーは、上記撮像素子から遠い側の一辺を回転軸として駆動される。
また、第3の発明に係わるデジタルカメラは、上記第1の発明において、上記駆動手段は、上記デジタルカメラの動作開始に伴って上記ハーフミラーの往復動作を実行する。
さらに、第4の発明に係わるデジタルカメラは、上記第1の発明において、上記撮影レンズは交換可能であって、上記駆動手段は上記撮影レンズの交換完了後に上記ハーフミラーの往復動作を実行する。
【0008】
上記目的を達成するため第5の発明に係わるデジタルカメラは、着脱自在の撮影レンズとこの撮影レンズを通過した被写体光束を受光する撮像素子の間に配置され、上記撮像素子から遠い側の一辺を回転軸として移動可能であるハーフミラーを具備し、カメラ動作の開始時、若しくは撮影レンズの装着完了時に、複数回、上記ハーフミラーを繰り返し回動動作させる。
【0009】
第6の発明に係わるデジタルカメラは、上記第5の発明において、上記ハーフミラーを透過した被写体光束を受光して被写体像信号を出力する撮像素子を含む撮像手段と、上記被写体像信号に基づいて被写体の動画像を表示装置に表示するスルー画表示手段を具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ハーフミラーを第1の位置と第2の位置の間で往復移動させる駆動手段と、所定時間、若しくは所定回数、ハーフミラーが第1と第2の位置の間で移動させる制御手段を具備するようにしたので、ハーフミラー付着した塵埃を効果的に除去可能なデジタルカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に従って本発明を適用したデジタルカメラを用いて好ましい一実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラについて背面からみた外観斜視図である。このカメラは、カメラ本体20と、交換レンズとしてのレンズ鏡筒10とから構成されている。レンズ鏡筒10はカメラ本体20の前面のマウント開口部(不図示)に着脱自在となっている。マウント開口部を介してレンズ鏡筒10内のレンズ101a、101b等(図2参照)からなる撮影レンズによる被写体光束がカメラ本体20内に導かれる。本実施形態では、レンズ鏡筒10とカメラ本体20は別体で構成され、通信接点300(図2参照)を介して電気的に接続されている。また、カメラ本体20に設けた着脱検知スイッチ259(図2参照)によって着脱状態を検出可能となっている。
【0012】
カメラ本体20の上面にはレリーズ釦21、モードダイヤル22、パワースイッチレバー23、コントロールダイヤル24等が配置されている。レリーズ釦21は、撮影者が半押しするとオンする第1レリーズスイッチと、全押しするとオンする第2レリーズスイッチを有している。この第1レリーズスイッチ(以下、1Rと称する)のオンによりカメラは焦点検出、撮影レンズのピントあわせ、被写体輝度の測光等の撮影準備動作を行い、第2レリーズスイッチ(以下、2Rと称する)のオンにより撮像素子としてのCCD(Charge Coupled Devices)221(図2参照)の出力に基づいて被写体像の画像データの取り込みを行う撮影動作を実行する。
【0013】
モードダイヤル22は回転可能に構成された操作部材であり、モードダイヤル22上に設けられた撮影モードを表す絵表示または記号に指標に合致させることにより、フルオート撮影モード(AUTO)、プログラム撮影モード(P)、絞り優先撮影モード(A)、シャッタスピード優先撮影モード(S)、マニュアル撮影モード(M)、ポートレート撮影モード、風景撮影モード、マクロ撮影モード、スポーツ撮影モード、夜景撮影モード等の各撮影モードを選択することができる。パワースイッチレバー23はデジタルカメラの電源のオン・オフを行うための操作部材であり、オン・オフの2つの位置に回動可能に構成されている。コントロールダイヤル24は回転可能に構成された操作部材であり、情報表示画面等において、コントロールダイヤル24の回転操作により所望の設定値やモード等を選択することができる。
【0014】
カメラ本体20の背面には、背面液晶モニタ26、再生釦27、メニュー釦28、十字釦30、OK釦31、ファインダ接眼部33が配置されている。背面液晶モニタ26は、被写体像を観察用にスルー画として表示したり、撮影済みの被写体像を再生表示したり、カメラ情報やメニューを表示するための表示装置である。これらの表示を行うことができるものであれば、液晶に限らない。なお、カメラ本体20に対して角度を自在に変更できるよう構成しても良い。ファインダ接眼部33は、被写体像を観察するための接眼窓であり、内部には後述するファインダ内液晶モニタ29が配置されており、このファインダ接眼部33を通じて被写体像を観察可能となっている。再生釦27は、撮影後に記録した被写体画像を背面液晶モニタ26に表示させることを指示するための操作釦である。再生釦27の操作に応じて、後述するSDRAM238、または記録媒体245にJPEG等の圧縮モードで記憶されている被写体の画像データが伸張された後、背面液晶モニタ26に表示される。
【0015】
十字釦30は背面液晶モニタ26上で、X方向とY方向の2次元方向にカーソルの移動を指示するための操作部材であり、また、記録媒体245に記録された被写体像を表示するにあたって、再生画像の選択にも使用する。なお、アップ、ダウン、左、右用の4つの釦を設ける以外にも、タッチスイッチのように2次元上で操作方向を検出できるスイッチ等の2次元方向に操作できるスイッチに置き換えることも可能である。OK釦31は、十字釦30やコントロールダイヤル24等によって選択された各種項目を確定するための操作部材である。メニュー釦28は、このデジタルカメラの各種モードを設定するためのメニューモードに切換えるための釦であり、このメニュー釦28の操作によってメニューモードを選択すると、背面液晶モニタ26にメニュー画面が表示される。メニュー画面は複数の階層構造となっており、十字釦30で各種項目を選択し、OK釦31の操作により選択を決定する。
【0016】
これらのレリーズ釦21、パワースイッチレバー23、再生釦27、メニュー釦28、十字釦30、OK釦31はいずれもオン・オフスイッチと連動している。これらのオン・オフスイッチに連動する操作釦と、モードダイヤル22、コントロールダイヤル24等の操作部材の操作に応じて発生する信号がASIC(Application Specific Integrated Circuit 特定用途向け集積回路)262内のスイッチ検出回路253(図2参照)に送信される。
【0017】
次に、図2を用いて、デジタルカメラの電気系を主とする全体構成を説明する。
レンズ鏡筒10の内部には、焦点調節および焦点距離調節用のレンズ101a、101bと、開口量を調節するための絞り103が配置されている。レンズ101aおよびレンズ101bは光学系駆動機構107によって駆動され、絞り103は絞り駆動機構109によって駆動されるよう接続されている。光学系駆動機構107、絞り駆動機構109はそれぞれレンズCPU111に接続されており、このレンズCPU111は通信接点300を介してカメラ本体20に接続されている。レンズCPU111はレンズ鏡筒10内の制御を行うものであり、光学系駆動機構107を制御してピント合わせや、ズーム駆動を行うとともに、絞り駆動機構109を制御して絞り値制御を行う。
【0018】
カメラ本体20内のミラーボックス内には、レンズ101a、101bを通過した光束の一部を透過する特性を有する可動の反射ミラー(以下、便宜上、可動ハーフミラーという)201が配置されている。この可動ハーフミラー201は、可動ミラー駆動機構215によって駆動され、回動軸201aを中心に紙面垂直方向の軸に沿って回動可能である。可動ハーフミラー201がレンズ101a、101bの光路に対して45度に傾いた反射位置(図2において実線の位置)にあるときには、被写体光束の一部(例えば30%)が反射され、測距/測光センサ217に導かれる。また被写体光束の残り(70%)は、可動ハーフミラー201を透過してCCD221の方向に導かれる。そして、可動ハーフミラー201がレンズ101a、101bの光路と略並行で、被写体光束を遮らない退避位置(図2において二点鎖線の位置)にあるときには、被写体光束の全部がCCD221に導かれる。
【0019】
なお、本実施形態においては、可動ハーフミラー201の回動中心は、ミラーボックス内の下側であるが、これに限らず、上側でも良く、また左右のいずれかに紙面に対して並行な回動中心にしても勿論構わない。この場合、可動ハーフミラー201の回動中心をCCD221から遠い位置、言い換えるとマウント開口部側とすると、後述する除塵動作を行った場合に、塵埃が回動軸側(すなわち、CCD221から遠い位置)に移動するので、塵埃の影が写しこまれる影響を小さくすることができる。なお、本実施形態においては、ハーフミラーの反射率と透過率はそれぞれ30%と70%であるが、この比率に限られず、適宜変更できる。
【0020】
前述の測距/測光センサ217は、カメラ本体20内のミラーボックスの上部であって、可動ハーフミラー201によって反射された光束が導かれる位置に配置されており、測距用のセンサと測光センサから構成されている。測光センサは被写体像を分割して測光する多分割測光素子で構成され、また測距センサはTTL位相差法によって測距するためのセンサである。測距/測光センサ217の出力は測距/測光処理回路219に送られる。測距/測光処理回路219は、測光センサの出力に基づいて評価測光値を出力し、また測距センサの出力に基づいて、レンズ101、101bによって結像される被写体像の焦点ズレ量を測定する。なお、測距センサと測光センサは別体に構成しても、一体に構成しても良い。
【0021】
可動ハーフミラー201の後方であって、レンズ101a、101bの光軸上であって、撮影光路上には、露光時間制御およびCCD221の遮光用のフォーカルプレーンタイプのシャッタ203が配置されており、このシャッタ203はシャッタ駆動機構213によって駆動制御される。
【0022】
シャッタ203の後方には、被写体光束から赤外光成分をカットするための赤外カットフィルタ209が配置され、その後方には被写体光束から高周波成分を取り除くための光学的ローバスフィルタ210が配置されている。そして、光学的ローパスフィルタ210の後方には、撮像素子としてのCCD221が配置されており、レンズ101a、101bによって結像される被写体像を電気信号に光電変換する。これらの赤外カットフィルタ209、光学的ローパスフィルタ210およびCCD211は、図示しない密封されたパッケージに一体に収納されており、塵埃がこのパッケージ内に侵入しないように構成されている。なお、本実施形態では撮像素子としてCCDを用いているが、これに限らずCMOS(Complementary Metal Oxide
Semiconductor)等の二次元撮像素子を使用できることはいうまでもない。
【0023】
CCD221は撮像素子駆動回路223に接続され、入出力回路239からの制御信号によって駆動制御される。撮像素子駆動回路223によって、CCD221から出力された光電アナログ信号が増幅され、アナログデジタル変換(AD変換)される。撮像素子駆動回路223は画像処理回路227に接続され、この画像処理回路227によってデジタル画像データのデジタル的増幅(デジタルゲイン調整処理)、色補正、ガンマ(γ)補正、コントラスト補正、白黒・カラーモード処理、スルー画像処理といった各種の画像処理がなされる。画像処理回路227は、データバス261に接続されている。このデータバス261には、画像処理回路227の他、後述するシーケンスコントローラ(以下、「ボディCPU」と称す)229、圧縮伸張回路231、ビデオ信号出力回路233、SDRAM制御回路237、入出力回路239、通信回路241、記録媒体制御回路243、フラッシュメモリ制御回路247、スイッチ検出回路253が接続されている。
【0024】
データバス261に接続されているボディCPU229は、このデジタルカメラの動作を制御するものである。またデータバス261に接続されている圧縮伸張回路231はSDRAM238に記憶された画像データをJPEGやTIFFで圧縮するための回路である。なお、画像圧縮はJPEGやTIFFに限らず、他の圧縮方法も適用できる。データバス261に接続されたビデオ信号出力回路233は液晶モニタ駆動回路235を介して背面液晶モニタ26とファインダ内液晶モニタ29(図中F内液晶モニタと略記)に接続される。ビデオ信号出力回路233は、SDRAM238、または記録媒体245に記憶された画像データを、背面液晶モニタ26および/またはファインダ内液晶モニタ29に表示するためのビデオ信号に変換するための回路である。背面液晶モニタ26はカメラ本体20の背面に配置されるが、撮影者が観察できる位置であれば、背面に限らないし、また液晶に限らず他の表示装置でも構わない。ファインダ内液晶モニタ29は、ファインダ接眼部33を介して撮影者によって観察できる位置に配置されており、背面液晶モニタ26と同様、液晶に限らず他の表示装置でも構わない。なお、被写体像の観察として背面液晶モニタ26のみとし、ファインダ接眼部33およびファインダ内液晶モニタ29を省略することも可能である。
【0025】
SDRAM238は、SDRAM制御回路237を介してデータバス261に接続されており、このSDRAM238は、画像処理回路227によって画像処理された画像データまたは圧縮伸張回路231によって圧縮された画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリである。上述のシャッタ駆動機構213、可動ミラー駆動機構215、測距/測光処理回路219、撮像素子駆動回路223に接続される入出力回路239は、データバス261を介してボディCPU229等の各回路とデータの入出力を制御する。レンズCPU111と通信接点300を介して接続された通信回路241は、データバス261に接続され、ボディCPU229等とのデータのやりとりや制御命令の通信を行う。
【0026】
データバス261に接続された記録媒体制御回路243は、記録媒体245に接続され、この記録媒体245への画像データ等の記録の制御を行う。記録媒体245は、xDピクチャーカード(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリカード(登録商標)またはメモリスティック(登録商標)等の書換え可能な記録媒体のいずれかが装填可能となるように構成され、カメラ本体20に対して着脱自在となっている。その他、マイクロドライブ(登録商標)などの様なハードディスクユニットや無線通信ユニットを接続可能に構成してもよい。
【0027】
データバス261に接続されているフラッシュメモリ制御回路247は、フラッシュメモリ(Flash Memory)249に接続され、このフラッシュメモリ249は、カメラのフローを制御するためのプログラムが記憶されており、ボディCPU229はこのフラッシュメモリ249に記憶されたプログラムに従ってデジタルカメラの制御を行う。なお、フラッシュメモリ249は、電気的に書換可能な不揮発性メモリである。
【0028】
カメラ本体20やレンズ鏡筒10のパワー供給の制御を行うためのパワースイッチレバー23に連動してオン・オフするパワースイッチ257と、シャッタレリーズ釦21の第1ストロークや第2ストロークを検出するスイッチ、再生モードを指示する再生釦27に連動するスイッチ、背面液晶モニタ26の画面でカーソルの動きを指示する十字釦30に連動するスイッチ、撮影モードを指示するモードダイヤル22に連動するスイッチ、選択された各モード等を決定するOK釦31に連動するOKスイッチ、着脱検知スイッチ259等の各種スイッチ255は、スイッチ検出回路253を介してデータバス261に接続されている。なお、レンズ鏡筒10の着脱状態の検出は、機械的検知スイッチの他に、例えば、フォトセンサを用いた光電検出スイッチでも良く、またレンズCPU111との通信による方法や、レンズ鏡筒10と接する二接点の通電状態の検出など種々の方法がある。
【0029】
次に、図3乃至図5を用いて可動ハーフミラー201の駆動制御機構について説明する。
図3(A)はシャッタ・ミラー駆動ユニットの部分詳細を示す図である。MSモータ301の駆動軸はギア309と一体化されており、このギア309はギア311に噛合している。そして、ギア311は、メインギア313に噛合しており、このメインギア313の回転中心には、一体化された一対のアームからなるV字状のキャリア315が軸支されている。このキャリア315の一方のアーム315aの先端には遊星ギア317が回転自在に軸支されており、他方のアーム315bの先端には遊星ギア323が回転自在に軸支されている。遊星ギア317はギア319に噛合可能であり、このギア319はギア321に噛合している。このギア321はシャッタチャージ機構に駆動力を伝達する。
【0030】
前述の遊星ギア323はギア325に噛合可能であり、ギア325、ギア327、ギア329、ギア331およびギア333はそれぞれ隣り合うギア同士で噛合している。ギア333は後述するミラーアップ・ダウン機構に駆動力を伝達する。キャリア315の2つの腕部分のなす角度は、メインギア313が時計方向(CW)に回転したときに(図中A方向)、遊星ギア317はギア319に噛合すると共に、遊星ギア323はギア325に噛合するような角度に構成されている。また、メインギア315が反時計方向(CCW)に回転したときに(図中B方向)、遊星ギア323はギア331に噛合し、遊星ギア317はギア319から噛合が外れ、いずれのギアにも噛合しなくなるよう、ギア319、ギア325およびギア331は位置決めされている。なお、MSモータ301の駆動方向と駆動力の伝達先は、図3(B)に示すように、MSモータ301が時計方向(CW)に回転すると、メインギア313は図中A方向に回転し、ギア321によってシャッタチャージ機構とギア333によってミラーアップ・ダウン機構に駆動力が伝達される。また、MSモータ301が反時計方向(CCW)に回転すると、メインギア313がB方向に回転し、ギア333によってミラーアップ・ダウン機構のみに駆動力が伝達される。
【0031】
図4は、前述のMSモータ301の駆動力が伝達されるシャッタ・ミラー駆動ユニットの分解斜視図である。前述のギア333から駆動力を受けるギア363を介して、カムギア357にMSモータ301の駆動力が伝達される。このカムギア357にはミラーチャージカム353が固設されており、このミラーチャージカム353にはミラー系チャージレバー351の一端が係接している。このミラー系チャージレバー351の他端はミラー駆動レバー341と係接している。ミラー駆動レバー341は、ミラー系チャージレバー351を時計方向に回動させる向きにバネ付勢されているので、ミラー系チャージレバー351の一端はミラーチャージカム353に対して圧接することになる。したがって、カムギア357の回動に伴って、これと一体のミラーチャージカム353を回動させ、このミラーチャージカム353のカム面に圧接しているミラー系チャージレバー351は回動する。
【0032】
前述のギア321から駆動力を受けるギア365を介して、カムギア359にMSモータ301の駆動力が伝達される。このカムギア359にはシャッタチャージカム355が固設されており、このシャッタチャージカム355にはシャッタチャージレバー361の一端が係接している。このシャッタチャージレバー361の他端はシャッタセットレバー(不図示)と係接している。したがって、カムギア359の回動に伴って、これと一体のシャッタチャージカム355を回動し、このシャッタチャージカム355のカム面に係接しているシャッタチャージレバー361は回動し、シャッタセットレバーも回動する。なお、前述のカムギア357とカムギア359は同軸に構成されているが、干渉されることなく、互いに自由に回動が可能となっている。また、図示しないが、ミラーチャージカム353もしくはこれと一体に駆動される部材にミラーアップフォトインタラプタ(MUPI)が設けられており、ミラーチャージカム353の位置を検出している。同様に、シャッタチャージカム355若しくはこれと一体に駆動される部材にシャッタチャージフォトインタラプタ(SCPI)が設けられており、シャッタチャージカム355の位置を検出している。なお、シャッタチャージカム355、ミラーチャージカム353ともに、回転の軸から半径方向にその周面が変化するように形成されたカムである。
【0033】
図5は可動ハーフミラー201の部品構成を示す斜視図である。被写体光束の一部を透過し一部を反射するハーフミラー401はミラー枠403によって保持される。このミラー枠403は孔403aに介挿される軸411の回りに回動自在であり、図2の回動軸201aは、軸411の中心軸となる。カメラ本体20に固定されたピン409とミラー枠403に植設された駆動ピン405の間には開きバネ407の両端がそれぞれ係合しており、この開きバネ407のコイル部分は軸411に巻装されている。この開きバネ407のバネ力によって、ミラー枠403は図中反時計方向(矢印A方向)に付勢力を受けている。駆動ピン405とミラー駆動レバー341の一端が係合しており、この駆動レバー341の他端は前述のミラー系チャージレバー351に係接している。
【0034】
ミラー駆動レバー341は回動中心が不図示のミラーボックスに軸支されており、駆動ピン405を介して開きバネ407のバネ力によって図中反時計方向(矢印B方向)に付勢力を受けている。よって、ミラー駆動レバー341を介してミラー系チャージレバー351がミラーチャージカム353のカム面に圧接している。ミラーチャージカム353のカム面は回転中心からの半径方向の長さが変化するように形成されている。すなわち、カム面上の係止位置353aでは回転中心からの距離が長くなるように形成され、係止解除位置353bでは係止位置353aに比して回転中心からの距離が短くなるように形成されている。そして係止位置353aから係止解除位置353bへとカム面が形成され、係止解除位置353bから係止位置353aへと滑らかに変位するようにカム面が形成される。
【0035】
ミラーチャージカム353の係止位置353aがミラー系チャージレバー351と当接する位置にあるとき、ミラー枠403を反射位置に保持する。この状態から、係止解除位置353bがミラー系チャージレバー351と当接する位置へとミラーチャージカム353を回動させると、開きバネ407の付勢力により、ミラー枠403が矢印A方向へと回動して退避位置へと変位する。
【0036】
以上のように反射ミラー201の駆動機構が構成されているので、MSモータ301が時計方向(CW)に回転すると、ギア333を介してミラーチャージカム353が回動する。この回動によって、ミラー系チャージレバー351が回動し、開きバネ407の付勢力に抗しながら可動ハーフミラー201は退避位置から反射位置へと回動する(ミラーアップ)。すなわち、ミラーチャージカム353が回動されると、ミラー駆動レバー341は時計方向(矢印B方向と逆方向)に回動され、開きバネ407の付勢力に抗して駆動ピン405を介しミラー枠403を時計方向(矢印A方向と逆方向)に回動させる。ミラー系チャージレバー351がミラーチャージカム353の係止位置353aと接する位置になると、図中、実線の如き反射位置に位置することになる。
【0037】
可動ハーフミラー201が反射位置にある状態で、MSモータ301がさらに時計方向(CW)に回転すると、ギア333を介してミラーチャージカム353が回動する。これによって、ミラー駆動レバー341が反時計方向(B方向)に回動し、ミラー系チャージレバー351が係止解除位置353bに接する位置に駆動されたときには、ミラー枠403は開きバネ407の付勢力によって反射位置から退避位置(図5中、二点鎖線)に移動する(ミラーダウン)。
【0038】
一方、MSモータ301が反時計方向(CCW)に回転すると、キャリア315は反時計方向に回動することによって、遊星ギア323とギア325の噛合は外れ、遊星ギア323とギア331とが噛合する。このためMSモータの駆動力はギア333を介してミラーアップ・ダウン機構に伝達され、前述と同様にしてミラーアップ・ダウンを行うことができる。
【0039】
また、MSモータ301が時計方向(CW)に回転すると、ギア321を介してシャッタチャージカム355が回動する。この回動によって、シャッタセットレバーが移動し、シャッタチャージ状態となる。このシャッタチャージ状態で、MSモータ301が更に時計方向(CW)に回転すると、ギア321を介してシャッタチャージカム355が回動し、シャッタセットレバーが戻る。この状態で、シャッタ幕を保持するマグネット(Mg)の通電を解除することにより、シャッタ幕は走行を開始することができる。一方、MSモータ301が反時計方向(CCW)に回転すると、キャリア315は反時計方向に回動するため、遊星ギア317とギア319の噛合が解除される。しかし、ギア319からギア357までのギア比は充分高いのでギア321は回動せず、シャッタチャージレバー361が移動することはない。
【0040】
以上の如く、本実施形態においては、MSモータ301が一方向(時計方向)に回転すると、ミラーのアップとダウンが行われると共に、シャッタチャージが行われる。逆にMSモータ301が他方向(反時計方向)に回転すると、シャッタチャージは行われず、ミラーのアップとダウンのみを行うよう構成されている。
【0041】
次に、本発明の一実施形態におけるデジタルカメラの動作について図6ないし図8に示すフローチャートを用いて説明する。図6に示すパワーオンリセットのフローに入ると、カメラ本体20のパワースイッチ257がオンとなったかを判定する(S1)。判定の結果、パワースイッチ257がオフの場合には、ステップS3に進み、低消費電力の状態であるスリープ状態となる。このスリープ状態ではパワースイッチ257がオンとなった場合のみに割り込み処理を行い、ステップS7以下においてパワースイッチオンのための処理を行う。パワースイッチがオンとなるまでは、パワースイッチ割り込み処理以外の動作を停止し、電源電池の消耗を防止する。ステップS1において、パワースイッチ257がオンであった場合には、ステップS2に進み、着脱スイッチ259がオフか否かを判定する。前述したように着脱検知スイッチ259は、レンズ鏡筒10がカメラ本体20から外されると、オフとなるスイッチである。オフであった場合、すなわちレンズ鏡筒10が離脱していた場合には、後述するステップS51に進む。これは、レンズ鏡筒10が離脱している状態でカメラ本体20のパワースイッチレバー23が操作され、パワーオンとなった場合に、レンズ離脱時と同様な処理をするためである。ステップS2において、着脱スイッチ259がオンであった場合には、ステップS7以下に進み、パワースイッチオンのための処理を行う。
【0042】
ステップS7では可動ハーフミラー201の塵埃除去動作を行う。これはMSモータ301の反時計方向(CCW)への駆動により、可動ハーフミラー201のみをアップダウン動作させ、これによって可動ハーフミラー201に付着した塵埃等を除去する動作である。詳細は図7を用いて後述する。塵埃除去動作の終了時には、可動ハーフミラー201はレンズ101a、101bの撮影光軸上に介挿され反射位置にある。
【0043】
続いて、シャッタ駆動回路213によってシャッタ203の開放動作を行う(S9)。これによって、可動ハーフミラー201を透過した被写体光束は、シャッタ203によって遮られないので、CCD221上に被写体像が結像される。このCCD221によって撮像された画像データを用いて背面液晶モニタ26に被写体像を動画表示するスルー画表示の開始を指示する(S11)。なお、スルー画表示動作の制御はこの開始指示を受けて画像処理回路227にて行われる。
【0044】
次に、モードダイヤル22等によって設定された撮影モードや、ISO感度、マニュアル設定されたシャッタ速度や絞り値等の情報があればそれらの撮影条件の読み込みを行う(S13)。そして、測距/測光センサ217によって被写体輝度を測光し、露光量を演算し、この露光量を用いて撮影モード・撮影条件に従ってシャッタ速度や絞り値等の露光制御値の演算を行う(S15)。また、測光値や露光量等を用い、スルー画表示設定を行う(S17)。このステップでは、CCD221の駆動にあたっての電子シャッタスピードと感度の条件設定を行うために、ステップS15で求めた測光・露光量の演算結果、もしくは前回の表示画像を用いて、背面液晶モニタ26および/またはファインダ内液晶29に適切な明るさ(明度)の像を表示するための演算と設定を行う。
【0045】
次に、ステップS19に進み、再生モードか否かの判定を行う。この再生モードは、再生釦27が操作された際に、記録媒体245に記録された静止画データを読み出して背面液晶モニタ26および/またはファインダ内液晶29に表示するモードである。判定の結果、再生モードが設定された場合には、ステップS31に進み、画像処理回路227に対してスルー画表示を停止するよう指示する。そのあと、シャッタ203の閉じ動作を行ってから(S33)、記録媒体245に記録されている静止画データを読出し、圧縮伸張回路231にて画像データを伸張し、ビデオ信号出力回路233および液晶モニタ駆動回路235を介して、背面液晶モニタ26および/またはファインダ内液晶29に静止画を再生表示する(S35)。再生動作中にレリーズ釦21の半押し等、他の手動操作がなされた場合には、再生動作を終了してステップS7に戻り、前述の動作を繰り返す。
【0046】
ステップS19に戻り、再生モードが設定されていなかった場合には、ステップS21に進み、メニューモードが設定されているか否かを判定する。これは、メニュー釦28が操作され、メニューモードが設定されているか否かを判定する。判定の結果、メニューモードが設定されていた場合には、再生モードが設定されていた場合と同様に、スルー画停止指示が出力され(S37)、シャッタ203に閉じ指令を出力する(S39)。この後、メニュー設定動作を行う(S41)。メニュー設定動作によって、ホワイトバランス、ISO感度設定、ドライブモードの設定等、各種の設定動作を行うことができる。メニュー設定動作が終了すると、ステップS7に戻り、前述の動作を繰り返す。
【0047】
ステップS21に戻り、判定の結果、メニューモードが設定されていなかった場合には、ステップS23に進み、レリーズ釦21が半押しされたか、すなわち1Rスイッチがオンか否かの判定を行う。判定の結果、1Rがオンであった場合には、ステップS43に進み、撮影準備と撮影を行う撮影動作のサブルーチンを実行する。このサブルーチンの詳細は図10に示すタイムチャートを用いて後述する。撮影動作のサブルーチンが終了すると、ステップS7に戻り、前述のステップを繰り返す。
【0048】
ステップS23に戻り、判定の結果、1Rスイッチがオフであった場合には、ステップS25に進み、ステップS2と同様に、着脱検知スイッチ259がオフか否かを判定する。レンズ鏡筒10が離脱されると、再生モードにおけるステップS31およびS33と同様に、スルー画停止指示を出力し(S45)、シャッタ203の閉じ動作を行う(S47)。この後、可動ハーフミラー201の退避動作を行う(S49)。退避動作は、MSモータ301を駆動してミラーチャージカム353を回動させ、開きバネ407の付勢力によって可動ハーフミラー201を撮影光路から退避した位置に回動させることにより行う(図2の二点鎖線の位置)。
【0049】
可動ハーフミラー201の退避が終わると、またはステップS2で着脱検知スイッチ259がオフであると判定された場合(すなわち、レンズ鏡筒10が離脱している場合)には、ステップS51に進み、着脱検知スイッチ259がオンか否かを判定する。ステップS25において、レンズ鏡筒10が離脱されたことを検出した後、レンズ鏡筒10が再び装着されたか否かを判定するものである。判定の結果、装着されていた場合には、ステップS55に進み、可動ハーフミラー201を復帰させる。これは、MSモータ301を駆動してミラーチャージカム353を回動させ、開きバネ407の付勢力に抗して、カム面によって係止レバー413を時計方向に回動させ、可動ハーフミラー201をレンズ101a、101bの光路中に介挿させる。可動ハーフミラー201の復帰が終わると、ステップS7に戻り、前述のステップを繰り返す。
【0050】
ステップS51に戻り、着脱検知スイッチ259がオフであった場合には、ステップS53に進み、パワースイッチ257がオンか否かを判定する。レンズ鏡筒10が離脱され、パワースイッチ257がオンの場合には、各種操作釦が操作されても、マウント開口部が開放のままなので、誤動作防止の観点から、カメラ動作を行わないようにしている。そのため、ステップS51にてレンズ鏡筒10の装着状態と、ステップS53においてパワースイッチレバー23の操作状態の判定を繰り返し行う待機状態となる。ステップS53において、パワースイッチ257がオフと判定されると、ステップS3に戻り、スリープ状態になる。なお、ステップS51において、レンズ鏡筒10が離脱されたままであることを検出した場合に、ステップS53の判定を省略して、ステップS3に進みスリープ状態としてもよく、また、ステップS9に進み、各種操作釦による操作に基づく動作を行う等の変形は可能である。
【0051】
ステップS25に戻り、判定の結果、着脱検知スイッチ259がオン、すなわちレンズ鏡筒10がカメラ本体に装着されていた場合には、ステップS27に進み、パワースイッチ257がオンか否かを判定する。判定の結果、オンであった場合には、ステップS13に戻り、前述のステップを繰り返す。ステップS11において、スルー画表示が開始された後、ステップS19以降において各種操作釦等が操作されない限り、可動ハーフミラー201を透過した被写体光束は、シャッタ203によって妨げられないので、CCD221上に被写体像が結像し、このCCD221によって撮像された画像データが背面液晶モニタ26および/またはファインダ内液晶29に動画像としてスルー画表示される。ステップS27において、パワースイッチ257がオフと判定された場合には、ステップS31、S33と同様に、画像処理回路227に対してスルー画表示を停止するよう指示し(S28)、シャッタ203の閉じ動作を行う(S29)。この後、前述のステップS49と同様にして、可動ハーフミラー201の退避動作を行った後(S30)、ステップS3に戻りスリープ状態となる。
【0052】
本実施形態においては、スルー画表示可能なデジタルカメラにおいて、パワーオンした際に、ステップS7における塵埃除去動作時に、可動ハーフミラー201を撮影光路中に介挿し、被写体光束の一部を測距/測光センサ217に反射させているので、パワーオン時に直ちに測光や測距を行うことができ便利である。
【0053】
また、パワーオンリセットのルーチンにおいては、レンズ鏡筒10が離脱したことを着脱検知スイッチ259によって検出すると(S25)、可動ハーフミラー201を撮影光路から退避させ、またレンズ鏡筒10が再装着されたことを着脱検知スイッチ259によって検出すると(S51)、可動ハーフミラー201を撮影光路中に介挿させる動作を行っている。このため、レンズ鏡筒10が外され、マウント部が開口状態となった際に、ユーザ等がマウント開口部からクリーニング用具等を挿入しようとしても、可動ハーフミラー201は退避状態となっているので、可動ハーフミラー201が破損したり、指紋をつけられたりするおそれがない。
【0054】
さらに、パワーオフ時にレンズ鏡筒10が外された場合にも、可動ハーフミラー201は退避状態となっているので、同様に、ユーザ等によって可動ハーフミラー201が破損されたり、指紋を付着される等のおそれがない。カメラのパワーオン時には、可動ハーフミラー201を撮影光路中に介挿しているので、測距動作や測光動作をスルー画表示動作と並行して行うことができる。
【0055】
次に、ステップS7の塵埃除去動作のサブルーチンについて図6に示すフローチャートと図9に示すタイムチャートを用いて説明する。まず、MSモータ301を反時計方向(CCW)にオンする(S101、図9のt1)。これによって、前述したように、メインギア313からの駆動力はギア333を介してミラーチャージカム353、ミラー系チャージレバー351、ミラー駆動レバー341に順次伝達される。続いて、ミラーチャージカム353もしくはこれと一体に駆動される部材に設けられたミラーアップフォトインタラプタ(MUPI)の立下り信号をカウントするカウンタをリセットする(S103)。この後、MUPIの信号を検出し(S105)、立下り信号を検出すると(S109、図9のt3、t5、t7)、前述のカウンタでカウントアップを行う(S109)。その後、所定値が達したか否かを判定し(S111)、所定値に達していない場合には、ステップS105に戻る。カウンタが所定値に達すると、塵埃等が充分除去される回数で可動ハーフミラー201のアップダウンが行われたことから、MSモータ301の駆動を停止する(S113、図9のt9)。
【0056】
ステップS101からS113の間、MSモータ301は回転しており、この間、ミラー系チャージレバー351がミラーチャージカム353の係止位置353aと接する位置になると、可動ハーフミラー201は反射位置に位置し(図9のt3、t5、t7)、また係止解除位置353bに接する位置になると可動ハーフミラー201は退避位置(図9のt4、t6、t8)となる。したがって、MSモータ301が回転を続けている間、可動ハーフミラー201は退避位置と反射位置を交互に繰り返し、すなわちアップダウン動作を繰り返す。このアップダウン動作によって、可動ハーフミラー201に付着した塵埃等は振り払われ、塵埃等が除去される。なお、MUPIの立下り信号でMSモータ301の駆動を停止していることから、可動ハーフミラー201は反射位置で停止することになる。
【0057】
このように、本実施形態においては、撮影光路内に可動ハーフミラー201を配置したデジタルカメラにおいて、ハーフミラー403に付着した塵埃を、反射位置と退避位置の間を交互に繰り返し移動させることにより効果的に除去可能としている。また、本実施形態においては、可動ハーフミラー201のアップダウン機構を利用しているので、特別な構成を付加することなく、可動ハーフミラー201の除塵動作を行うことができる。
【0058】
次に、ステップS43の撮影動作のサブルーチンについて図10に示すタイムチャートを用いて説明する。レリーズ釦21の全押しがなされ、2Rがオンとなると撮影動作を開始する。まず、CCD221に電源の供給を開始し、シャッタ先幕および後幕を保持するマグネットMgに通電し、両シャッタ幕を吸着・保持する(T31)。続いて、MSモータ301を時計方向(CW)に駆動する。時計方向への駆動により、ミラーチャージカム353とミラー系チャージレバー351およびシャッタチャージカム355はそれぞれ駆動される(T32)。これによって、可動反射ミラー201はダウン状態からアップ状態となり、またシャッタチャージカム355は退避領域でシャッタチャージレバー361と係合する。続いて、シャッタ先幕を保持している先幕マグネットMgの給電を停止し、シャッタ先幕の走行を開始させる(T33)。
【0059】
先幕走行開始から露光時間を計時し、予め演算された露出時間が経過すると、シャッタ後幕保持している後幕マグネットMgの給電を停止し、シャッタ後幕の走行を開始させる(T34)。シャッタ後幕の走行が終了するまでの時間だけ待ち(例えば、10mS程度)、この時間が経過すると、MSモータ301を時計方向(CW)に駆動する(T35)。これにより、ミラー系チャージレバー351とシャッタセットレバーはそれぞれ駆動され、可動反射ミラー201は反射位置(アップ状態)から退避位置(ダウン状態)となり、またシャッタチャージカム355はシャッタチャージレバー361を介してシャッタチャージ動作を行う。続いて、CCD221における被写体像の光電変換信号に基づく撮像データの転送を行う。なお、本実施形態では、ミラーダウン動作とシャッタチャージ動作が終了してから撮像データの転送を行っているが、両ステップを同時に処理しても構わない。この後、CCD221の電源供給を停止し、転送された撮像データに基づいて、背面液晶モニタ26に撮影された被写体像を所定時間の間、再生・表示する。表示が終了すると、図6に示すパワーオンリセットのルーチンに戻る。
【0060】
本実施形態の撮影動作のサブルーチンにおいては、静止画像を取得する撮像動作の際に可動ハーフミラー201を退避させている。このため可動ハーフミラー201における透過光量の減少をなくし、静止画像取得にあたって被写体光量を増加させることができ、高速シャッタ速度での撮影が可能となる。さらに、撮像動作が終わると、ステップS99において、可動ハーフミラー201を復帰させているので、撮影後、レリーズ釦21が再び半押しされたときには、直ちに測光や測距をスルー画表示と並行して行うことができる。
【0061】
次に、図7に示した塵埃除去動作の変形例を図8のフローチャートを用いて説明する。図7に示した塵埃除去動作のサブルーチンでは、MSモータ301の駆動の停止をMUPIの立下り信号の回数によって判定していたが、この変形例では、MSモータ301の駆動開始からの時間を計り、所定時間に達すると停止するようにしている。
【0062】
まず、MSモータ301を反時計方向(CCW)にオンする(S121)。これによって、前述したように、メインギア313からの駆動力はギア333を介してミラーチャージカム353、ミラー系チャージレバー351、ミラー駆動レバー341に順次伝達される。続いて、タイマをスタートさせ(S123)、設定された所定時間が経過したかを判定し(S125)、所定時間が経過するとタイマを停止させる(S127)。タイマ停止後、ミラーアップフォトインタラプタ(MUPI)の信号を検出し(S129),MUPIの立下り信号を検出すると(S131)、MSモータ133の停止を行う(S133)。
【0063】
ステップS123からS133の間、MSモータ301は回転しており、この間、ミラー系チャージレバー351がミラーチャージカム353の係止位置353aと接する位置になると、可動ハーフミラー201は反射位置に位置し、また係止解除位置353bに接する位置になると可動ハーフミラー201は退避位置となる。したがって、MSモータ301が回転を続けている間、可動ハーフミラー201は退避位置と反射位置を交互に繰り返し、すなわちアップダウン動作を繰り返す。図6の実施形態と同様に、アップダウン動作によって、可動ハーフミラー201に付着した塵埃等は振り払われ、塵埃等が除去される。
【0064】
以上説明したように、本実施形態においては、可動ハーフミラー201を反射位置と退避位置の間で繰り返し移動させているので、ハーフミラー403に付着した塵埃を効果的に払い落とすことができる。なお、本実施形態においては、反射位置と退避位置の間で繰り返し移動させていたが、これに限らず、反射位置と退避位置の間の任意の第1および第2の位置で繰り返し移動させるようにしても勿論構わない。この場合には、可動ハーフミラー201のみを独立して駆動できるミラー駆動機構を設け、例えば、モータの正逆転駆動を繰り返せば良い。
【0065】
また、本実施形態では、可動ハーフミラー201の回動軸を、CCD221から遠い側の一辺、またはカメラマウント開口部側に配置したので、除去された塵埃がCCD221から遠い側に集まり、CCD221の撮像面に影として写しこまれる影響を小さくすることができる。
【0066】
さらに、本実施形態では、可動ハーフミラー201の移動による塵埃の除去を、パワーオンリセット時等のカメラ動作開始時に行っているので、動作開始時には可動ハーフミラー201に塵埃等が付着しておらず、その影が写しこまれることを防止できる。また撮影レンズの交換完了後にも除塵動作を行うようにしたので、マウント開口部が開放され塵埃等が付着したとしても、除塵されるので、塵埃等による影が写しこまれない。なお、ステップS43の撮影動作の初期にも除塵動作を行っても良く、その他、適宜、除塵動作を行うようにしても勿論構わない。
【0067】
なお、本実施形態においては、撮像素子としてのCCD221は可動ハーフミラー201の透過光を受光し、測距/測光センサ217は可動ハーフミラー201の反射光を受光していたが、これとは逆にCCD221は反射光を、測距/測光センサ217は透過光を受光するように構成しても良い。
【0068】
本実施形態においては、一般的なレンズ交換式のデジタルカメラに適用した例について説明したが、これに限らず、例えば、ベローズ、エクステンションチューブ等の各種装置が装着されるものでも良く、また顕微鏡、双眼鏡等の各種装置に取り付けられる専用カメラにも適用できることは勿論である。このように、本発明は、一般的なデジタルカメラに限らず、ハーフミラーが外部に露出可能性のある開口部を有するデジタルカメラであれば適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態におけるデジタルカメラを背面から見た外観斜視図である。
【図2】本発明を適用した一実施形態におけるデジタルカメラの電気系の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わるデジタルカメラのシャッタ・ミラー駆動ユニットを示す図であり、(A)はシャッタ・ミラー駆動ユニットの部分詳細図であり、(B)はMSモータの回転方向と駆動力の伝達方向の関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わるデジタルカメラのシャッタ・ミラー駆動ユニットの部分詳細図である。
【図5】本発明の一実施形態における可動ハーフミラーの部品構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるパワーオンリセットの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態における除塵除去動作のフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態における除塵除去動作の変形例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態における除塵動作におけるタイムチャートである。
【図10】本発明の一実施形態における撮影動作のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10 レンズ鏡筒
20 カメラ本体
21 レリーズ釦
26 背面液晶モニタ
29 ファインダ内液晶モニタ
101a、101b レンズ
111 レンズCPU
201 可動ハーフミラー
203 シャッタ
209 赤外カットフィルタ
210 光学的ローパスフィルタ
213 シャッタ駆動機構
215 可動ミラー駆動機構
221 CCD
227 画像処理回路
229 ボディCPU
257 パワースイッチ
259 着脱検知スイッチ
301 MSモータ
341 ミラー駆動レバー
351 ミラー系チャージレバー
353 ミラーチャージカム
355 シャッタチャージカム
357、359 カムギア
361 シャッタチャージレバー
401 ハーフミラー
403 ミラー枠
407 開きバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを通過した被写体光束の一部を透過するハーフミラーと、
このハーフミラーを透過した被写体光束を受光して被写体像信号を出力する撮像素子を含む撮像手段と、
上記被写体像信号に基づいて被写体の動画を表示装置に表示するスルー画表示手段と、
上記ハーフミラーを第1の位置と第2の位置の間で往復移動させる駆動手段と、
所定時間、若しくは所定回数、上記ハーフミラーが上記第1と第2の位置の間で移動させる制御手段と、
を具備することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
上記ハーフミラーは、上記撮像素子から遠い側の一辺を回転軸として駆動されることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
上記駆動手段は、上記デジタルカメラの動作開始に伴って上記ハーフミラーの往復動作を実行することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
上記撮影レンズは交換可能であって、上記駆動手段は上記撮影レンズの交換完了後に上記ハーフミラーの往復動作を実行することを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
着脱自在の撮影レンズとこの撮影レンズを通過した被写体光束を受光する撮像素子の間に配置され、上記撮像素子から遠い側の一辺を回転軸として移動可能であるハーフミラーを具備し、カメラ動作の開始時、若しくは撮影レンズの装着完了時に、複数回、上記ハーフミラーを繰り返し回動動作させることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項6】
上記ハーフミラーを透過した被写体光束を受光して被写体像信号を出力する撮像素子を含む撮像手段と、
上記被写体像信号に基づいて被写体の動画像を表示装置に表示するスルー画表示手段と、を具備することを特徴とする請求項5に記載のデジタルカメラ。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−5426(P2008−5426A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175627(P2006−175627)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】