説明

デジタルメディアカートリッジのシステム及び方法

デジタルメディアカートリッジは、コントローラとメモリの両方を含んでおり、メモリは、ビデオ及び音響のデジタル表現を圧縮及び暗号化された形態で保存している。一実施例において、コントローラは、デジタル表現を読み取り、これを圧縮解除及び暗号解読し、アナログビデオ及びオーディオに変換した後に、カートリッジが挿入されているホスト装置に、このアナログビデオ及びオーディオを出力する。アナログビデオ及びオーディオ出力は、ホスト装置によるビデオ及びオーディオ信号の更なる処理を必要とすることなしに、それぞれ、ホスト装置の画面上に表示され、ホスト装置のスピーカー又はヘッドフォンによって再生される。又、デジタルメディアカートリッジは、ビデオ及びオーディオ以外にも、ホスト装置のユーザー入力及びディスプレイ画面を使用するゲームを保存及び実行可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
デジタルメディアカートリッジは、コントローラとメモリの両方を含んでおり、メモリは、ビデオ及び音響のデジタル表現を圧縮及び暗号化された形態で保存する。一実施例においては、コントローラは、デジタル表現を読み取り、これを圧縮解除及び暗号解読し、アナログビデオ及びオーディオに変換した後に、カートリッジが挿入されているホスト装置に、このアナログビデオ及びオーディオを出力する。アナログビデオ及びオーディオ出力は、ホストコンピュータによるビデオ及びオーディオ信号の更なる処理を必要とすることなしに、それぞれ、ホスト装置の画面上に表示され、且つ、ホスト装置のスピーカー又はヘッドフォンによって再生される。
【0002】
新しいカートリッジは、例えば、「ゲームボーイアドバンス(Game Boy Advance)(登録商標)」ユニット内に挿入し、ゲームボーイアドバンス(登録商標)ユニット内のコントローラをバイパスして、ゲームボーイアドバンス(登録商標)ユニットのディスプレイ及びスピーカーを使用することにより、カートリッジから出力されるビデオ及びオーディオを提示可能である。デジタルメディアカートリッジは、任意のフォームファクタにより、且つ、任意のコネクタを有するように製造可能であり、この結果、画面とスピーカーを具備する様々な装置に接続することにより、それらの装置をビデオ再生装置に変換することができる。
【0003】
デジタルメディアカートリッジの特定の実施例の1つの利点は、すべてのビデオ信号生成ハードウェア及びソフトウェアを含んでいるため、カートリッジを挿入する画面を有する装置上のソケット及び/又は回路を変更することなしに、カートリッジの新バージョンに新技術を組み込むことが可能であるという点にある。従って、標準的なテレビが、デジタルメディアカートリッジを受け入れるソケットを含むことができる(ソケット及び関連するハードウェアの製造は非常に安価である)。当初は、標準精細度(標準品位)のビデオのみを生成し、これらのカートリッジに保存するのが経済的であろうが、圧縮技術の改善を含む技術の進歩とメモリ及びその他のコンポーネントのコストの低下に伴い、更に高い精細度(高品位)のビデオを出力するカートリッジを製造するのが経済的となり、或いは、標準精細度のビデオカートリッジの製造が更に安価となろう。テレビ画面が、デジタルメディアカートリッジから出力されるビデオと同程度に良好なビデオ解像度を表示する能力を有しておれば、すべてをカートリッジ内に含んでいるため、新技術を活用するべく、ソケットが組み込まれているテレビに対して変更を加える必要はないであろう。又、暗号化技法が破られたり、或いは、その他の方法で危険に晒された場合にも、完全に新しい暗号化技法を使用する新しいカートリッジを即座に製造することが可能であり、この結果、暗号が破られたことに起因する損害を極小化することが可能である。更には、わずかに異なる暗号化技法を使用することにより、個々の暗号化技法を特定のビデオプログラム又は映画を含むカートリッジにとって固有のものにすることができる。この結果、1つの特定の番組又は映画に関して暗号化が危険に晒された場合にも、カートリッジに保存されている別のコンテンツに関してその同一の暗号化技法を利用することは不可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
図1は、本発明の実施例の全体的な構成を示している。ゲームプレーヤー10は、様々な異なるカートリッジ20上に保存されている多数のゲームの中の任意のものをユーザーが実行可能な携帯型の電池で動作するコンピュータ装置である。ゲームプレーヤー10は、多数のカートリッジ20a〜20zの中の任意のものからユーザーが選択したカートリッジ20を挿入するためのソケット30を含んでいる。ゲームプレーヤー10は、その上部に、ゲームプレーヤー10がゲームを表示するための画面40と、ユーザーがゲームに入力を提供してやり取りし、これにより、ゲームを「実行」可能なキー50と、を含んでいる。本発明は、任意の携帯型ゲームプレーヤー又は画面を有するその他の装置に適用可能であるが、好適な実施例においては、ゲームプレーヤー10は、任天堂のゲームボーイアドバンス(Game Boy Advance:GBA)(登録商標)である。尚、「Game Boy(ゲームボーイ)」及び「Nintendo(任天堂)」は、Nintendo of America Inc.社の商標である。
【0005】
図2は、GBAのアーキテクチャの更に詳細な(但し、概略的な)図を示している。GBAは、CPU100を具備している。GBA内のプロセッサは、約17MHzで稼働するARMプロセッサである。CPUは、LCDコントローラ105を含んでいる。LCDコントローラは、LCDドライバ115を通じてLCD画面110に接続されている。GBAの場合には、LCD画面110は、32,768色の表示能力を有する240x160のTFTカラーLCDである。LCDドライバは、CPU100からRGB信号を受信する。CPUは、VRAM120を含んでおり、これは、画面のデジタル表現を保存するビデオRAMであり、LCDドライバに対するRGB出力は、これに基づいている。又、CPUは、CPUコア125、システムROM130、CPU内部WRAM135、周辺回路140、及びプリフェッチバッファ145をも含んでいる。周辺回路140は、CPUを、コントローラ(キーパッド)150と音響増幅器155とに接続しており、音響増幅器は、スピーカー160及びヘッドフォンジャック165を駆動する。プリフェッチバッファは、バス170を通じて、ゲームカートリッジ20とCPU100間においてデータを転送するために使用される小さなメモリバッファであり、バス170は、GBA内の多接点ソケット(図示されてはいない)とゲームカートリッジ20のエッジコネクタ上の多接点コンタクト(図示されてはいない)間の接続を含んでいる。ゲームカートリッジ20は、通常、MROM(Masked ROM)(書き込み不能)とフラッシュメモリの両方を含むメモリを含んでいる。概念的には、メモリは、汎用バスメモリ空間175と、ADバスメモリ空間180に分かれている(後者のメモリ空間は、GBAよりも以前のゲームボーイのバージョンに使用するゲームボーイカートリッジには含まれていない)。
【0006】
本発明の一実施例は、GBAに使用するデジタルメディアカートリッジ(DMC)20’を含んでいる。図3を参照すれば、DMC20’の中央コンポーネントは、ASIC200である。後程詳述するように、ASIC(Applications Specific Integrated Circuit)200は、その他のものに加えて、プロセッサとメモリを含むカスタムメイドチップである。ASIC200は、エッジコネクタ205上の多数の接点に接続されている。これらの接点は、ASICの組み合わせられたアドレス/データバス210及び1つ又は複数の制御ライン215に接続している。又、エッジコネクタは、GBAからの電源接続230をも含んでいる。電力は、電源回路220を通じて供給される。一実施例においては、DMC20’は、独自のオーディオヘッドフォンジャック225をも含んでいる。
【0007】
ASIC200のアーキテクチャの更に詳細なブロックダイアグラムが図4に示されている。従来のゲームカートリッジとは異なり、ASIC200は、プロセッサ230を含んでいる。一実施例においては、プロセッサ230は、RISC(Reduced Instruction Set Computer)プロセッサである。プロセッサ230は、メモリコントローラ235に接続されており、これは、プロセッサ230と読み取り専用MROM(Mask ROM)240及び書き込み可能なLocal Memory245間をインターフェイスしている。デジタルメディアコンテンツが、MROM240上に保存されている。デジタルメディアコンテンツは、オーディオ/ビジュアル、テキスト、又はグラフィクメディアコンテンツの中の任意のタイプであってよいが、好適な実施例においては、デジタルメディアコンテンツは、オーディオを伴うフルモーションビデオである。空間的及び経済的な理由から、通常、ゲームカートリッジ内に見出される相対的に小さなメモリ内に十分な量の十分な品質のビデオを保存できるように、オーディオ及びビデオは、いずれも、圧縮されたフォーマットでデジタル的に保存される。一実施例においては、H.264圧縮を使用している。ソフトウェア及び汎用プロセッサ230を使用することにより、H.264を使用して圧縮されたビデオデータをリアルタイムで圧縮解除することは可能であるが、これは、通常、多大なプロセッサパワーを要し、本発明の時点においては、ゲームカートリッジにとって、通常、経済的ではなく、サイズの面においても実現可能ではない。従って、更なる実施例においては、ASIC200は、リアルタイムのハードウェアのH.264暗号解読用の回路(H.264アクセラレータ250)を含んでいる。同様に、一実施例においては、オーディオは、MPEG−4エンコーディングを使用して圧縮されており、代替実施例においては、ASICは、ハードウェアのMPEG−4 AAC暗号解読回路255を含んでいる。AAC暗号解読回路は、ヘッドフォン270を駆動するバッファ増幅器265にDAC(デジタル/アナログコンバータ)260を介して接続されている。DAC260は、ホストGBA上の音量制御の代わりに使用されるボリューム調節回路を含んでいる。オーディオ及び/ビデオを再生する際には、圧縮解除されたオーディオ/ビデオデータが、FIFOバッファ275を通じてGBAに転送される。但し、GBAのブートの際には、データは、MROM240からGBAに供給される。この理由は、デジタルメディアデータを保存する以外に、MROM240が、DMC上のRISCプロセッサ230がGBAの画面とオーディオ出力を直接的に制御できるようにするGBAプロセッサ上で稼働するブートプログラムを保存しているためである。
【0008】
一実施例においては、ASICは、すべてのデジタルオーディオ/ビデオデータを含むMROMを含んでいる(オールインワン実施例)。
【0009】
別の実施例においては、ASICは、格段に小さなMROMを含んでおり、これは、ブートプログラムを保存してはいるが、デジタルオーディオ/ビデオデータを保存していない。この実施例の場合には、DMCは、GBAに対するコネクタに加えて、第2コネクタを具備しており、この第2コネクタが、プロセッサを含むメインのDMCから取り外し可能なサブカートリッジ内のMROM内に保存されているデジタルメディアデータに対してASIC200を接続する(サブカートリッジ実施例)。サブカートリッジ実施例の一例においては、このコネクタは、MMCインターフェイス285に接続されたMMC(MultiMedia Card)ソケットである。或いは、この代わりに、サブカートリッジは、PCMCIAカード、スマートカード、SD(Secure Digital)、SmartMedia(登録商標)、Compact Flash(登録商標)、又はMemory Stick(登録商標)などの既存の任意のフォームファクタ及びその個々のコネクタによるものであってよい。又、サブカートリッジは、これらほどには一般的ではないか、或いは、まだ開発されてはいないフォームファクタ及びコネクタによって製造することも可能である。
【0010】
サブカートリッジ実施例の1つの可能な利点は、サブカートリッジのコストが、プロセッサとデジタルオーディオ/ビデオデータを有するメモリの両方を含むオールインワンDMCのプライスよりも低くなるということである。一方、プロセッサと同一のASIC上のMROM内にデジタルオーディオ/ビデオデータを直接保存する実施例の利点は、システムを容易にリバースエンジニアリングし、MROMから生の圧縮デジタルオーディオ/ビデオデータを直接的に複写することができるデジタルメディアを含むMROMから直接的に延長した露出リードが存在していないという点にある。又、この場合には、ゲームボーイエミュレータやその他のハードウェアは、ASICのプロセッサを通じてメモリに到達しなければならず、この結果、このようなアクセスが遮断されているため、ゲームボーイエミュレータやその他のハードウェア装置を使用してメモリ内のデータを電子的にダウンロードすることも防止される。単一チップのASICシステムの別の利点は、カートリッジ(アダプタ)及びサブカートリッジシステムとは異なり、本発明よりも以前に製造されたDMCの動作に影響を与えることなしに、チップの異なるバージョン間において、ハードウェア(例:プロセッサ、オーディオ及び/又はビデオデコーダ)を変更可能であるという点にある。この結果、同一の長さのビデオについて相対的に少ないメモリを必要とする相対的に良好な圧縮を新しいDMCに採用することにより、ASIC内に含むことを要するMROMのサイズに関するコストを節約可能である。同様に、従来のカートリッジにまったく影響を与えることなしに、プロセッサやビデオデコーダなどに変更を加えることにより、より高い解像度のビデオを生成するDMCを製造可能な(例えば、高精細度テレビなどの)新しい技術が利用可能となろう。
【0011】
ASICは、クロックとして、ホストGBAからのシステムPLLを使用する。しかしながら、GBAの初期ブートの際には、GBAは、ゲームボーイカートリッジスロット内のカートリッジに対して、このようなクロックを供給しない。従って、ASIC内のメモリコントローラは、外部クロックなしに、GBAのブートシーケンスを通過する能力を有していなければならない。
【0012】
図5は、GBAとやり取りしてGBAのLCD画面上におけるビデオの表示を実現する際にDMCが使用するプロセスを示している。段階300において、DMC20’がGBA内のカートリッジソケットに接続された状態で、GBAの電源が投入され、GBAが、その標準的なブートシーケンスを実行する。このブートシーケンスは、段階310において、正当なGBAカートリッジとしてのDMCの認証を含んでいる。段階320において、DMCは、DMCのMROM内に保存されているGBAプログラムをバス170を介してGBAのワーキングメモリ内に読み込む。次いで、段階330において、GBAは、DMCからアップロードされたプログラムを実行する。このプログラムにより、GBAプロセッサは、GBAプロセッサによるなんらの処理をも伴うことなしに(即ち、遅延を伴うことなしに)、バス170上において1つ又は複数の正しい命令によって提示されたデータをGBAのVRAM120に直接的に伝達する。又、このプログラムにより、GBAは、ユーザー入力に対してなんらのアクションをもとることなしに、コントローラ150から受領したユーザー入力をDMCプロセッサ230に対して直接伝達する。次いで、DMCプロセッサ230は、ユーザー入力を処理し、それらのユーザー入力に対する(再生、一時停止、早送り、捲き戻し、メニュー、選択、及びカーソル制御などの)プログラムされた応答を実行する。
【0013】
図6を参照すれば、代替実施例においては、暗号化が使用されている。図6は、DMC20’、ASIC200、及びASIC200の一部として示されているMROM240のブロックダイアグラムを示している。但し、前述のように、MROM240は、別個のチップ上に(或いは、場合によっては、ASIC200とは別個のサブカートリッジ上に)実装することも可能である。MROMは、暗号化されたデジタルメディアデータ(暗号化されたコンテンツ)400と、GBA上に読み込まれ、GBAのCPU100によって実行されるプログラム(GBAアプリケーション410)と、を含んでいる。GBAアプリケーションは、暗号解読キー420を含んでいる。ASICは、ハードコードされた暗号解読プロセッサ430を含んでおり、これに対して、GBAアプリケーション410を実行するGBAのCPU100から暗号解読キー420が伝達される。或いは、この代わりに、暗号解読プロセッサは、ソフトウェア(MROM内に保存されているもの)又はファームウェア(例えば、マイクロコード)のいずれかを実行するRISCプロセッサによって実装される。GBAアプリケーションは、暗号解読プロセッサ430内に組み込まれている暗号解読アルゴリズムに関する情報を含んでおらず、従って、キーのみでは、暗号化されたコンテンツ400を暗号解読しようとするハッカーにとって有用ではない。或いは、この代わりに、キーは、GBAアプリケーションの一部としてGBAに伝達されるのではなく、MROM240やファームウェア内に別個に保存されるか、又は、ASIC内に組み込まれており、GBAバス170に露出されることなしに、暗号解読プロセッサに対して直接的に供給される。
【0014】
同一DMC内にRISCプロセッサとMROMを含むオールインワン実施例の場合には、ビデオコンテンツのそれぞれのタイトル用のASICが、暗号解読プロセッサ内に組み込まれたわずかに異なる暗号解読アルゴリズムを含んでいる。この結果、1つの暗号解読プロセッサがリバースエンジニアリングされた場合にも、それから得られた知識は、その他のタイトル用のキーを使用してその他のタイトルを暗号解読するのに有用ではない。又、新しいDVDが古いDVDプレーヤー上において再生不能になることなしには暗号解読方式を変更できないDVDなどの技術とは異なり、オールインワンカートリッジであれば、DMCが、古い暗号解読ハードウェアとの後方互換性を具備する必要がないため、新しい暗号化技術又は技法が開発された際に、これらを将来のタイトル内に実装可能である。
【0015】
DMCは、オーディオ及びビデオの出力に限定されるものではない。代替実施例においては、DMCのMROMは、ゲームなどのRISCプロセッサ230によって実行されるソフトウェアを含んでいる。この実施例が望ましい1つの例は、GBA内のプロセッサやその他のハードウェアが、なんらかの機能を実行する能力を有していないか、或いは、GBAの画面110及び制御キー150を使用可能な特定のゲームソフトウェアを実行するのに十分な速度を有していない場合である。前述のオーディオ/ビデオ実施例と同様に、DMCは、データをGBAのVARM内に直接的に読み込むことによってGBA画面を制御し、DMCに対して、すべてのGBA制御キーの押下が伝達される。
【0016】
別の代替実施例においては、DMCのMROMは、ゲームシステムエミュレーションソフトウェアを含んでいる。これがRISCプロセッサ230によって実行されると、DMCは、完全に別のゲームシステムのように動作する。例えば、ゲームシステムエミュレーションソフトウェアは、携帯型ではなく、独自の画面を含んでおらず、テレビに接続され、且つ、外部電源を使用する1985年に最初に導入されたカートリッジに基づいたゲームシステムであるオリジナルの任天堂エンターテインメントシステム(Nintendo Entertainment System:NES)をエミュレート可能である。RISCプロセッサがNESエミュレーションソフトウェアを実行している際には、GBAを有するDMCは、GBAの画面110とコントローラ250を使用して、オリジナルのNESシステムとまったく同様に動作する。又、MROMは、1つ又は複数のオリジナルの(或いは、新しい)NESゲームのソフトウェアをも含んでいる。この場合には、GBA/DMCにより、ユーザーは、NESシステム上におけると同様に、真のNESゲームを実行可能である。
【0017】
サブカートリッジの代替実施例においては、DMCは、NESシステムのゲームを含むその他のカートリッジを受け付けるソケットを含んでいる。前述のサブカートリッジ実施例と同様に、サブカートリッジは、任意のフォームファクタであってよく、例えば、MMCインターフェイス285に接続されたソケットなどの任意のコネクタを使用可能である。サブカートリッジの別の例は、DMCがエミュレートするゲームシステム用のオリジナルのカートリッジを受け付ける(ソケットのサイズに起因して、ケーブル又は無線リンクによってDMCに接続された)ソケットである。この結果、オリジナルのNESカートリッジをまだ所有している場合には、それらを、GBA内に挿入されたNESエミュレータDMCカートリッジに接続して再生することができよう。
【0018】
以上の実施例は、携帯型のゲームプレーヤーとの関連で説明したが、本システムは、これに限定されるものではない。ビデオコンテンツの場合には、本システムは、画面、ユーザー入力、及びDMCが画面及びユーザー入力にアクセスできるようにするコネクタを既に具備している任意のシステムに対して適用可能である。同様に、オーディオのみのコンテンツの場合には、本システムは、スピーカー、ユーザー入力、及びDMCがスピーカー及びユーザー入力にアクセスできるようにするコネクタを既に具備している任意のシステムに対して適用可能である。
【0019】
例えば、DMCを接続してテレビの画面に直接的にビデオを提供可能なソケットを有すテレビは、安価に構築されよう。通常、必要な追加回路は存在しないか、存在する場合にも非常に少ない。このようなシステムの場合には、事前記録されたビデオコンテンツを閲覧するのに、DVDプレーヤーやビデオテーププレーヤーは不要であろう。但し、製品が最初に市場に登場したときの技術によって基本的に機能しなければならないDVD及びビデオテープとは異なり、DMCの場合には、すべてのビデオ生成電子回路を含んでいるため、個々のDMCの品質及び技術レベルは、(DMCの導入から多年が経過した時点においても)そのDMCが製造された時点で利用可能な技術及び利用可能な経済性に基づいている。例えば、メモリコスト、圧縮技術、及びその他の要因に起因し、高精細度(HD)品質のビデオを生成するDMCの製造は、現時点においては、おそらく経済的でないであろう(現在、米国においては、高精細度テレビは、飛び越し走査で1080垂直ラインの解像度(1080i)又は順次走査で720垂直ラインの解像度(720p)のいずれかを具備するものと定義されている)。従って、DMCを受け付けるソケットを有するHD機能を有するテレビは、その特定のバージョンのDMCによって生成されるあらゆる品質(解像度及びフレームレート)のビデオを表示することになろう。メモリコストと技術が、真のHD品質のビデオ信号を出力するDMCを製造する時点にまで進歩したときに、これと同一のHD機能を有するテレビが、HD品質の新しいDMCによって生成されたビデオを表示することになろう。唯一の制限は、テレビが再生可能なビデオの品質であろう。或いは、この代わりに、VCR、DVDプレーヤー、DVDレコーダー、デジタルビデオレコーダー、又はケーブル又は衛星セットトップボックスを含む(但し、これらに限定されない)任意のその他の消費者用の装置内にDMCソケットを提供することも可能である。
【0020】
GBA実施例と、例えば、テレビ実施例の間の相違点の1つは、DMCによって出力されるビデオのフォーマットである。前述のように、GBA実施例においては、ビデオは、バス170を介して、デジタルの形態でVRAM120に出力され、これにより、LCD画面110が駆動される。テレビ又はこれに類似した装置の場合には、DMCは、プロセッサ及び/又はH.264アクセラレータによって生成されたデジタルビデオをNTSCのベースバンドビデオなどのアナログビデオ信号に変換し、このアナログビデオをDMCコネクタを通じて出力するデジタル/アナログコンバータ(D/Aコンバータ)を含むことができる。実際に、多数のテレビ及びその他の家庭用のエンターテインメントコンポーネントは、装置の前面に入力を含んでいる(この大部分はアナログである)。又、この同一のアナログビデオコネクタに加え、電源、ユーザー入力パススルー(user unput passthrough)、並びに、いくつかの実施例においては、クロック信号を含むジャックを含むものも安価に製造可能である。
【0021】
コスト問題以外に、デジタルビデオではなくアナログビデオをDMCに出力させる別の理由は、著作権侵害に対する保護である。既存の家庭における録画技術を使用した場合には、アナログ信号を録画することにより、ビデオの品質が少なくともわずかに(或いは、場合によっては、劇的に)劣化する。DMCから出力されるデジタルビデオは、DMCとテレビ間の接続において盗聴又は傍受することにより、DMCから出力されるビデオの完全な複写が可能であるというリスクを有している。又、既存のVCR及びDVDレコーダーは、事前記録されたビデオテープ、DVD、及びいくつかの放送テレビ番組内に意図的に配置されたビデオ信号の有効な記録を妨げるアナログビデオ信号に対する変更を検出可能な回路及び/又はソフトウェアを含んでいる。一実施例においては、DMCは、これらの変更をD/Aプロセスの一部としてビデオ信号内に挿入する。
【0022】
ゲームプレーヤー及びテレビ以外のDMCソケットを具備可能なその他の実施例には、PalmやPocketPCオペレーティングシステム装置などのPDA(Personal Digital Assistant)、e−book、携帯電話機、無線電子メール装置、デスクトップ及びラップトップコンピュータ、自動車ビデオシステム、ディスプレイプロジェクタ、ビデオキャムコーダー、デジタルスチールカメラ、ビデオゲームコンソール、並びに、画面及びユーザー入力装置を含むその他の現在及び将来の製品が含まれる(但し、これらに限定されない)。
【0023】
携帯電話機などの装置や、ID番号を具備するか、或いは、ワイドエリアネットワークに接続されているその他の装置に使用する場合には、暗号解読プロセスを更に堅牢にすることができる。図6に関連して説明した実施例ど同様に、キーは、GBAではなく、例えば、携帯電話機などのホスト装置に伝達される。但し、携帯電話機は、ワイドエリアネットワークに接続されているため、ネットワーク上の認証サーバーによる認証及び/又は認証サーバーからの第2キーの配布を実行することにより、パブリックキーやプライベートキー暗号化法を含む(但し、これらに限定されない)多数のタイプの周知の暗号化を使用可能である。一代替例においては、DMCの動作又はDMCの出力が、ホスト装置内のID及び/又はネットワークから返される1つ又は複数のキーに基づいて変更される。例えば、ビデオ又はオーディオ出力に透かし(watermark)を入れることができる。透かしを使用することにより、ビデオ又はオーディオ出力を複写可能であるかどうか、その方法、及び対象装置を判定可能である。透かしが入ったビデオ又はオーディオが不正に複写及び配布された場合には、最初に使用されたホスト装置を判定可能である。
【0024】
代替実施例においては、DMC20’は、MROM240とフラッシュメモリ(図示されてはいない)の両方を含んでいる。この実施例においては、例えば、オーディオ/ビデオコンテンツ、ゲーム、ゲームシステムエミュレーションソフトウェア、又はその他のソフトウェアなどの(これ以外のケースにおいては、MROM240内に保存されると説明されている)任意のデータをダウンロードし、(DMCをホスト装置から取り外した後に)保存可能である。これは、RISCプロセッサ230によって実行されるオペレーティング又はシステムソフトウェアに対するパッチ及び更新を更に保存することも可能である。サブカートリッジ実施例に使用する場合には、オーディオ及び/又はビデオコンテンツ、ゲーム、又はその他のデータ又はソフトウェアをサブカートリッジからフラッシュメモリにダウンロードすることにより、DMCからサブカートリッジを取り外した後に、このコンテンツを楽しむことができる。ホスト装置がワイドエリアネットワークに接続されている実施例に使用する場合には、オーディオ及び/又はビデオコンテンツ、ゲーム、又はその他のデータ又はソフトウェアをワイドエリアネットワーク上においてダウンロードし、フラッシュメモリ内に保存可能である。USBや1394ポートなどの入出力(I/O)ポートを具備するホスト装置に使用する場合には、オーディオ及び/又はビデオコンテンツ、ゲーム、或いは、その他のデータ又はソフトウェアをホスト装置のI/Oポートに接続された装置からダウンロードし、フラッシュメモリ内に保存可能である。
【0025】
代替実施例においては、DMCは、キーなどの独自のユーザー入力装置、又はBluetooth(登録商標)などの赤外線やRFなどのなんらかの無線入力を含んでいる。
【0026】
図7を参照すれば、類似の代替実施例は、ディスプレイ画面510を具備し、且つ、前述のようにDMC20’を受け付けることが可能な装置を含むホスト装置を含んでいる。ホスト装置は、表示画面を有するテレビ又はその他の装置であってよく、これは、適切なユーザー入力を含んでいない。ホスト装置500は、制御キー530を含むユーザー入力カートリッジ520を受け付けるソケットを含んでいる。ユーザー入力カートリッジ520は、DMC540を受け付けるソケットをも含んでいる。制御キーの押下を識別する通知信号をDMC540に供給する以外に、ユーザー入力カートリッジは、一般に、DMC540とホスト装置間において、妨げることなしに、信号を伝達するだけである。DMC540は、一般に、DMC20’と同一であり、同様に動作する。DMC20’と同様に、DMC540は、オーディオ/ビデオプログラムを保存及び出力可能であり、この場合に、制御キーは、再生、一時停止、早送り、及び捲き戻しなどの機能を実行すると共に/又は、ビデオゲームを実行したり、或いは、ゲームシステムをエミュレートする(この場合に、制御キーは、ゲームコントローラの機能を実行する)。
【0027】
オーディオのみのDMCは、例えば、DMCが、装置のスピーカーやヘッドフォンに直接アクセスできるDMCソケットを具備したMP3プレーヤー、オーディオカセットテーププレーヤー、オーディオCDプレーヤー、イヤフォン、ヘッドフォン、オーディオ増幅器、又はオーディオレシーバなどと共に使用可能である。
【0028】
別の代替実施例においては、DMCとディスプレイ又はオーディオ再生装置間の通信は、GBAシステムが使用している物理的なソケット及びエッジコネクタではなく、赤外線、RF、マイクロ波、又はその他の無線通信技術などの無線接続である。この実施例の代替例においては、無線アダプタを使用することにより、ソケットベースのDMCを、DMC出力を無線で受信可能なディスプレイ又はオーディオ再生装置に接続することができよう。
【0029】
別の代替実施例においては、DMCのフォームファクタが異なっている。DMCは、GBAカートリッジフォーマット及びエッジコネクタインターフェイスを使用するのではなく、PCMCIAカード、スマートカード、MMC(MuliMedia Card)、SD(Secure Digial)、SmartMedia(登録商標)、CompactFlash(登録商標)、又はMemory Stick(登録商標)などの既存のフォームファクタ及びその個々のコネクタによってパッケージ化されるように適合されている。又、DMCは、これらほどには一般的ではないか、或いは、まだ開発されていないフォームファクタ及びコネクタによって製造することも可能である。GMAと共に使用されるDMCと同様に、これらのフォームファクタのいずれかによって実装されたDMCも、圧縮解除及び暗号解読プロセッサを含むオールインワンカートリッジであるか、或いは、カートリッジとサブカートリッジの組み合わせであってよい(この場合には、カートリッジは、プロセッサを含んでおり、サブカートリッジは、圧縮されたデジタルオーディオ/ビデオデータを含んでいる)。1つのカートリッジ内において(サブカートリッジ実装)、一端が、特定のフォームファクタ用のソケット内にフィットし、他端が、これと同一のフォームファクタのサブカートリッジを受け付けるソケットを含むように、カートリッジがスリーブの形態で構築される。一実施例においては、サブカートリッジは、標準的な方法で保存された圧縮及び暗号化されたデジタルビデオデータをその上に有する選択されたフォームファクタの標準的な既製のメモリカードであってよい。更に別の実施例においては、これらのフォームファクタのDMCは、小さなオーディオ出力ジャックを、好ましくは、カートリッジのコネクタから離れた端部に(或いは、この近傍に)含んでいる。或いは、この代わりに、DMCは、DMCによって生成されたオーディオ信号及び/又はDMCによって生成されたビデオ信号を、無線を具備したディスプレイ及び/又はスピーカー/ヘッドフィンにそれぞれ伝送するための無線送信機(例えば、赤外線又はRF)を具備している。
【0030】
以上、様々な代替実施例と特定の代替例の組み合わせについて説明した。しかしながら、これらの代替実施例のそれぞれは、その大部分が、その他の実施例の中の1つ又は複数のものと組み合わせることが可能であり、膨大な数の組み合わせのそれぞれについて具体的に説明してはいないが、これらの組み合わせのいずれもが想定され、且つ、意図されていることを認識されたい。本発明については、その実施例との関連において、説明及び例示したが、添付の請求項に規定されている本発明の意図する範囲内において、変更及び変形を加えることが可能であるため、本発明は、これらに限定されるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】周知の代表的なハンドヘルド携帯型ゲームプレーヤーを示している。
【図2】模範的なハンドヘルド携帯型ゲームプレーヤーのブロックダイアグラムである。
【図3】本発明の一実施例によるデジタルメディアカートリッジのブロックダイアグラムである。
【図4】本発明の一実施例によるデジタルメディアカートリッジの、ASICチップのブロックダイアグラムである。
【図5】本発明の一実施例によるゲームプレーヤーとデジタルメディアカートリッジ間のやり取りのプロセスを示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例によるデジタルメディアカートリッジの暗号解読部分のブロックダイアグラムである。
【図7】本発明の一実施例によるユーザー入力制御を有する中間スリーブを有するデジタルメディアカートリッジのブロックダイアグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオディスプレイと、前記ビデオディスプレイに接続された外部電気接続とを含むホストディスプレイ装置と共に使用するカートリッジにおいて、前記カートリッジは、
前記外部電気接続に電気的に接続しているコネクタと、
ビデオ信号の暗号化及び圧縮されたデジタル表現と前記ホストディスプレイ装置によって実行されるコンピュータコードを保存するメモリと、
前記メモリに接続された圧縮解除プロセッサと、
前記メモリに接続された暗号解読プロセッサと、
前記メモリ、前記圧縮解除プロセッサ、前記暗号解読プロセッサ、及び前記コネクタに接続されたインターフェイスプロセッサと、
を備え、
前記インターフェイスプロセッサは、前記コンピュータコードを前記ホストディスプレイ装置にアップロードすることにより、前記コネクタを介して出力されたビデオ信号を前記ビデオディスプレイに伝達するように前記ホストディスプレイ装置に対して命令し、
前記圧縮解除プロセッサ、暗号解読プロセッサ、及び前記インターフェイスプロセッサは、前記ビデオ信号の暗号化及び圧縮されたデジタル表現を、前記コネクタを介して前記ホストディスプレイ装置に出力されるビデオ信号に変換する、カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、単一の集積回路が、前記圧縮解除プロセッサ、前記暗号解読プロセッサ、及び前記インターフェイスプロセッサを備える、カートリッジ。
【請求項3】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、単一の集積回路が、前記メモリ、前記圧縮解除プロセッサ、前記暗号解読プロセッサ、及び前記インターフェイスプロセッサを備える、カートリッジ。
【請求項4】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、前記メモリは、前記ビデオ信号の暗号化及び圧縮されたデジタル表現を暗号解読するために前記暗号解読プロセッサが使用する暗号化キーを保存する、カートリッジ。
【請求項5】
請求項4に記載のカートリッジにおいて、前記暗号解読プロセッサは、暗号解読アルゴリズムの少なくとも一部を含む、カートリッジ。
【請求項6】
請求項5に記載のカートリッジにおいて、前記暗号化キーは、前記暗号解読プロセッサ内に含まれている暗号化アルゴリズムの一部と共に使用された場合にのみ有効である、カートリッジ。
【請求項7】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、単一のプロセッサが、前記暗号解読プロセッサ、圧縮解除プロセッサ、及び前記インターフェイスプロセッサの中の複数のものを有している、カートリッジ。
【請求項8】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、前記ホストディスプレイ装置によって受信されたユーザー入力が、前記コネクタを通じて前記インターフェイスプロセッサによって受信される、カートリッジ。
【請求項9】
請求項1に記載のカートリッジにおいて、前記メモリと前記暗号解読及び圧縮解除プロセッサに接続され、且つ、オーディオ出力ジャックに接続されたオーディオデコーダを更に有する、カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−503626(P2007−503626A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521276(P2006−521276)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/023786
【国際公開番号】WO2005/010726
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(506024559)
【Fターム(参考)】