説明

デジタル放送受信装置および放送受信システム

【課題】再送が行われる場合に、受信地域毎に有用な情報を得ることができる携帯受信装置および放送受信システムを提供する
【解決手段】本発明のデジタル放送受信装置は、放送装置からの放送波を受信して放送再送波を再送し、再送する放送再送波に関する補助情報を送信する再送装置からの補助情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段で取得した補助情報を用いて、再送装置からの放送再送波または放送装置からの放送波を受信する放送受信手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波状況が不安定な環境で受信状態を良好にするために設置するギャップフィラーを用いてユーザーの利便性を向上する携帯型デジタル放送受信装置(以下、携帯受信装置)と放送受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2003年12月より固定型デジタル放送受信装置(以下、固定受信装置)用の地上波デジタル放送が立ち上がり、次のサービスとして携帯受信装置用の地上波デジタル放送が立ち上がろうとしている。携帯受信装置はこれまでの固定受信装置とは異なり、移動しながら使用することが前提となる。前記前提に伴って携帯受信装置が固定受信装置と大きく異なる点としては、「移動することにより電波状況が頻繁に変化する」「固定受信機のような大きなアンテナを搭載することが出来ないため、受信が不安定になりやすい」という2点がある。前記電波状況が不安定な状態は、モバイル機器では一般的であり、これを改善するために、ギャップフィラーと呼ばれる電波を再送する装置を用いて、電波の届かない地域をなるべく少なくするように取り組みが行われている。
【特許文献1】特開平11−68683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、再送が行われる場合に、受信地域毎に有用な情報を得ることができる携帯受信装置および放送受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のデジタル放送受信装置は、放送装置からの放送波を受信して放送再送波を再送し、再送する放送再送波に関する補助情報を送信する再送装置からの補助情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段で取得した補助情報を用いて、再送装置からの放送再送波または放送装置からの放送波を受信する放送受信手段と、を備える。
【発明の効果】
【0005】
以上の構成により、本発明は、受信地域毎に有用な情報を得ることができる携帯受信装置および放送受信システムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
携帯型デジタル放送受信装置に、例えば「ユーザーが現在受信可能なチャンネルに関する情報」に示されるようなユーザーの利便性を向上するための情報を、ギャップフィラーを通じて提供することにより、携帯受信装置のユーザー利便性を向上する。
【0007】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1のデジタル放送受信装置と放送受信システムを説明するための図であり、101は放送を送信する放送装置、102は放送装置からの電波を受けて再送する再送装置、103は携帯型デジタル放送を受信する携帯型デジタル放送受信装置、104は放送装置101から出力される放送波、105は再送装置102から出力される放送再送波、106は再送装置102から出力される補助情報である。
【0008】
図2は、実施の形態1の携帯型デジタル放送受信装置の詳細構成を説明するための図であり、201は携帯型デジタル放送を入力する放送入力端子、202は補助情報を入力するための補助情報入力端子、203は放送入力端子201からの放送を受信してユーザーに映像・音声などを提供する放送受信部、204は受信装置内の各デバイスを制御するCPU、205は各種情報を記録するメモリー、206は補助情報入力端子202からのデータを受信する補助情報受信部、207は放送受信部203の出力を画像・音声としてユーザーに提供する出力部、208は携帯型デジタル放送受信装置をユーザーが制御するために使用する操作ボタンである。
【0009】
図3は、実施の形態1の再送装置の詳細構成を説明するための図であり、301は放送電波を入力する放送入力端子、302は入力した放送電波を再出力する放送送出部、303は放送送出部302の出力を外部出力する放送出力端子、304は再送装置内の各デバイスを制御するCPU、305は各種情報を記録するメモリー、306は放送入力端子の出力から補助情報を作成する補助情報作成部306、307は補助情報作成部306の出力を送出する補助情報送出部、308は補助情報307の出力を外部出力する補助情報出力端子である。
【0010】
放送装置101からは、再送装置102や携帯型デジタル放送受信装置103に向けて、携帯受信装置向けデジタル放送の放送波104が送出される。再送装置102は、放送入力端子301から入力された放送波104に対して、CPU304の命令に従って、放送送出部302と補助情報作成部306と補助情報送出部307を動作させることにより、放送再送波105と補助情報106を出力する。ここで、放送送出部302の動作は、従来例に記載したギャップフィラー同様で、入力された放送波104を再送する動作を行う。一方、補助情報作成部306では、例えば受信した放送波104内で現在受信可能なチャンネルを調べ、その情報をチャンネルリストとしてメモリー305に蓄積するとともに、補助情報送出部307に出力する。一般にデジタル放送受信装置では、選局を簡易化するために、受信可能なチャンネルをスキャンしてチャンネルリストを作成するという手法を行っている。しかしながら、チャンネルリストを作成するために行うチャンネルスキャンは、物理チャンネルの全てについて、全ての変調モードで受信可能かどうかを確認して作成する必要があるため、作成には非常に長い時間を必要とする。そこで、そのチャンネルリスト作成を高速化するために、固定受信装置ではユーザーに地域番号を入力させてデフォルトのチャンネルリストを持ち、それを基にチャンネルスキャンを省略するという手段を用いている。しかしながら、携帯受信装置では受信の電波状況が悪い、自身が移動しており現在確実に受信できるチャンネルを確実に知ることが出来ない等の理由から、前述の地域番号を用いたデフォルトのチャンネルリストを用いることは、必ずしも有効な手段であるとは限らない。そこで、本実施例に示すように、ギャップフィラーから、現在受信可能なチャンネルを送信することにより、ユーザーが長い時間を必要とするチャンネルスキャンを実施する必要がなく、確実に現在視聴可能なチャンネルを知ることが出来るので、ユーザーの利便性を向上できる。
【0011】
なお、補助情報作成306は、放送波104内の受信可能チャンネルに関する情報を作成したが、その他のユーザーの利便性を向上する情報であってもよい。
【0012】
次に、携帯型デジタル放送受信装置103の動作を説明する。携帯型デジタル放送受信装置103では、放送再送波105が放送入力端子201から、CPU204の指令に従って放送受信部203が動作することにより、放送局が送出した映像・音声などの情報を出力部207を通じてユーザーに提供する。さらに、補助情報入力端子202から入力された補助情報105を、CPU204の命令に従って補助情報受信部206が動作することにより、再送装置102からの携帯受信装置向けデジタル放送の受信に関する情報を受け取り、メモリー205に記憶する。この受信に関する情報が、例えば前述したチャンネルリストである場合には、ユーザーはチャンネルスキャンを行う必要がなく、メモリー205に記憶された情報に従って、直ぐに選局できるというメリットを提供できる。なお、チャンネルなどユーザーが選択するものは、実際の受信機では操作ボタン208をユーザーが操作して実施することが多いため、受信に関する情報を効果的に設定することにより、受信機のユーザーインターフェースの改善にもつながる。
【0013】
以上のように、本実施の形態1の携帯型デジタル放送受信装置103は、補助情報受信部206と、放送受信部203とを備える。補助情報受信部206は、再送装置102からの補助情報106を取得する。再送装置102は、放送装置101からの放送波104を受信して放送再送波105を再送し、再送する放送再送波105に関する補助情報106を送信する。放送受信部203は、補助情報受信部206で取得した補助情報106を用いて、再送装置102からの放送再送波105または放送装置101からの放送波104を受信する。
【0014】
また、本実施の形態1の携帯型デジタル放送受信装置103における補助情報受信部206は、放送受信部203で受信可能なチャンネルに関する情報を補助情報106として取得してもよい。
【0015】
また、本実施の形態1における補助情報受信部206は、再送装置102は、放送装置101から受信した放送波104に基づいて、チャンネルに関する情報を生成し、生成されたチャンネル情報を補助情報106として送信してもよい。
【0016】
また、本実施の形態1における放送装置101から送信される放送波104は、ネットワーク情報を含んでもよく、この場合、再送装置102は、放送波104に含まれるネットワーク情報を置換し、置換して得た情報を補助情報106に含めて送信してもよい。
【0017】
また、本実施の形態1における放送装置101から送信される放送波104は、ネットワーク情報を含んでもよく、この場合、再送装置102は、放送波104に含まれるネットワーク情報を置換し、置換して得た情報を放送再送波105として送信してもよい。
【0018】
また、本実施の形態1におけるネットワーク情報を置換して得られた情報は、携帯受信端末向けデジタル放送規格のオプション規格のいずれかを示す情報であってもよい。
【0019】
なお、放送受信部203は本発明の放送受信手段の一例である。補助情報受信部206は本発明の情報取得手段の一例である。
【0020】
なお、出力部207として、図2(b)で、液晶ディスプレイ207とスピーカー207をデバイスとして記載したが、これらは本発明の出力部の一例であり、他のデバイスでももちろん同じ効果を実現できる。
【0021】
なお、再送措置102から携帯型デジタル放送受信装置103への情報伝達の方法は、特に特定するものではなく、例えば無線LANやBluetoothなどを使用することにより、ユーザーに情報を取得するための費用負担を強いることなく実現することが可能となる。
【0022】
なお上記説明では、一例としてチャンネルリストを使用したが、ユーザーの利便性を向上させるようなデータであれば何でも良い。
【0023】
さらに、再送装置102が放送波の中に含まれているNITと呼ばれる放送の情報を、放送されている全局の情報を含むように変更して置換しても、上記のチャンネルリストを送信する場合と同様の効果を得ることが可能となる。その場合には、携帯受信装置向けデジタル放送では必須とはなっていないNITの他チャンネルの情報を記述する識別子を有効利用することにより、より簡単に実現することが可能となる。その場合には、再送装置102からは、補助情報は送出せずに放送再送波105に情報を重畳することになるので、補助入力端子202と補助情報受信部206の機能は放送受信部203で行われる構成となる。
【0024】
以上のように、本発明のデジタル放送受信装置と放送受信システムは、携帯型デジタル放送受信装置に、チャンネルリストなどの情報をギャップフィラーを通じて送信するシステムを通じて提供することにより、携帯受信装置のユーザー利便性を向上することが可能となる。
【0025】
なお、上記説明は、携帯受信装置用の地上波デジタル放送を例に説明したが、電波を再送するシステムであれば同様のサービスを提供することが可能である。
【0026】
要は、携帯型デジタル放送受信装置103が再送装置102から受信機のユーザーの利便性を向上させるデータを受領して、ユーザーに提供できればよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の携帯型デジタル放送受信装置と付加サービス提供システムは、電波の弱い地域で電波を再送するための装置を利用して、ユーザーの利便性を向上するものであり、携帯受信装置用の地上波デジタル放送以外にも適用でき有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】デジタル放送受信装置と放送受信システムの第1の実施方法を示した説明図
【図2】携帯型デジタル放送受信装置の第1の実施方法を示した説明図
【図3】再送装置の第1の実施方法を示した説明図
【符号の説明】
【0029】
101 放送装置
102 再送装置
103 携帯型デジタル放送受信装置
104 放送波
105 放送再送波
106 補助情報
201、301 放送入力端子
202 補助情報入力端子
203 放送受信部
204、304 CPU
205、305 メモリー
206 補助情報受信部
207 出力部
208 操作ボタン
302 放送送出部
303 放送出力端子
306 補助情報作成部
307 補助情報送出部
308 補助情報出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送装置からの放送波を受信して放送再送波を再送し、前記再送する放送再送波に関する補助情報を送信する再送装置からの補助情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得した補助情報を用いて、前記再送装置からの放送再送波または前記放送装置からの放送波を受信する放送受信手段と、
を備えるデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記情報取得手段は、前記放送受信手段で受信可能なチャンネルに関する情報を前記補助情報として取得する、
請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
再送装置は、前記放送装置から受信した放送波に基づいて、チャンネルに関する情報を生成し、前記生成されたチャンネル情報を補助情報として送信する、
請求項1または2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記放送装置から送信される放送波は、ネットワーク情報を含み、
前記放送再送装置は、前記放送波に含まれるネットワーク情報を置換し、前記置換して得た情報を補助情報に含めて送信する、
請求項1〜3のいずれかに記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記放送装置から送信される放送波は、ネットワーク情報を含み、
前記放送再送装置は、前記放送波に含まれるネットワーク情報を置換し、前記置換して得た情報を前記放送再送波として送信する、
請求項1〜3のいずれかに記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記ネットワーク情報を置換して得られた情報は、携帯受信端末向けデジタル放送規格のオプション規格のいずれかを示す情報である、
請求項4または5に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
放送波を送信する放送装置と、
前記送信された放送波を受信して放送再送波を再送し、前記再送する放送再送波に関する補助情報を送信する再送装置と、
デジタル放送受信装置とを備える放送受信システムであって、
前記デジタル放送受信装置は、
前記再送装置からの補助情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得した補助情報を用いて、前記再送装置からの放送再送波または前記放送装置からの放送波を受信する放送受信手段と、
を備える放送受信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−324740(P2006−324740A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143758(P2005−143758)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】