説明

デジタル放送受信装置

【課題】DVC−CIの仕様の範囲外の信号を受信したときもブロックノイズを発生させることが無く、良好な画質を映像表示すること。
【解決手段】地上波チューナと衛星チューナを切替えるチューナ切替部と、CIカードのインターフェースであるCI部と、地上波チューナ、或いは、衛星チューナからの信号をCI部に出力するかどうかを切替えるCI切替部と、CI切替部からの信号を復号して映像出力するデコード部と、チューナ切替部とCI切替部を制御する制御部とを備え、制御部は、衛星チューナから入力する信号がDVB−CIの仕様の範囲外であれば、CI切替部が衛星チューナから入力する信号をCI部に入力しないように制御することにより、DVB−CIの仕様の範囲外の信号が来たときも、ブロックノイズを発生させることが無く、良好な画質を映像表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクランブル放送の仕様、例えば、DVB−CIの仕様(信号のビットレート<58Mbps)の範囲外の信号も受信するデジタル放送受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、日本、北米、欧州を始め、テレビジョン放送のデジタル化が始まり、それぞれの国や地域の放送規格に応じたデジタル放送受信システムが発売されている。例えば、地上波デジタルテレビジョン放送については、国や地域に従って、サービス内容や、導入時の技術水準などが異なるため、以下の3つの規格が勧告されている。日本では、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial)方式が採用され、北米では、ATSC(Advanced Television Systems Committee)方式が採用され、欧州では、DVB−T(Digital Video Broadcasting−Terrestrial)方式が採用されている。
【0003】
その中で、欧州のデジタル放送受信システムでは、暗号化された有料放送をデスクランブルして視聴するアダプタとしてDVB−CI(Common Interface)カード(以下、CIカードと称する)が利用されている。
【0004】
DVB−CIはテレビ受信装置にCIカードを付与するインターフェース形式であり、テレビ受信装置とCIカードを、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International As sociation)インターフェースを用いて接続する。CIカードは内部にデスクランブラ、CPUを内包している。テレビ受信装置のCPUがCIカードに対して、ES情報及びCA記述子が記述されたPMT(CA−PMT)をバイナリで送信することで、DVB−CIカードがEMMやECMの操作を行って、自動的に暗号解除を開始する(例えば、特許文献1参照)。なお、CIカードについては非特許文献1に記載されている。
【0005】
CIカードにより暗号解除を行う信号には様々な仕様制限があり、特に、ビットレートは最大58Mbpsである。現在のところ、市場に存在する放送信号のビットレートにはこれを超えるものは存在しない。そのため、従来のデジタル放送受信システムでは、CIカードをアダプタに挿入した場合、全てのデジタル放送信号がCIカードに入るようになっている。つまり、CIカードをアダプタに挿入した状態で、チャンネルの切替を行っても、放送信号は常にCIカードに入り続ける仕様となっている。この従来のデジタル放送受信システムのブロック図の一例を図8に、このシステムの動作を図9,10のフローチャートに示す。
【0006】
図8のようにテレビ受信装置600は、受光部610、CPU620、メモリ部621、チューナ部630が有する地上波チューナ631と衛星チューナ632、チューナ切替部633、CI部640、CI切替部641、デコーダ部650、表示部660で構成される。
【0007】
受光部610は、ユーザーの選局指示をリモコン信号にて受信し、リモコン信号をCPU620へ送信する。
【0008】
CPU620は、CI部640からCIカード200の挿入の有無を取得し、CIカード200の挿入有無の情報をメモリ部621に書き込む。CPU620は、受光部610からチャンネル切替指示があった場合、チャンネル切替指示で指定されたチューナ部630(地上波チューナ631、または衛星チューナ632)にユーザーが希望するチャンネルを選局させる。そしてチューナ切替部633に指定されたチューナを選択させる。また、選局したチャンネルの情報をチューナ部630から取得し、メモリ部621に書き込む。また、CPU620はデコード部650に、表示部660への信号を出すかを命令する。
【0009】
メモリ部621は、CPU620から送られるCIカード200の挿入有無の情報と、地上波チューナ631または衛星チューナ632で選局したチャンネルの情報を記憶する。また、メモリ部621はCPU620で行う処理に必要な情報をCPU620から求められた場合、その情報をCPU620に出力する。
【0010】
地上波チューナ631は、地上波のデジタル放送信号、アナログ放送信号を受信し、CPU620からの選局の指示を受けて選局周波数をユーザーが選局指示した放送局の周波数を選局する。そして、選局した放送信号をチューナ切替部633に送る。また、選局した放送信号の情報をCPU620に送る。なお、CPU620からの選局指示が後述する衛星チューナ632に送られた場合、地上波チューナ631は放送信号の送出を停止する。
【0011】
衛星チューナ632は、衛星のデジタル放送信号を受信し、CPU620からの選局の命令を受けて選局周波数をユーザーが選局指示した放送局の周波数を選局する。そして、選局した放送信号をチューナ切替部633に送る。また、選局した放送信号の情報をCPU620に送る。なお、CPU620からの選局指示が地上波チューナ631に送られた場合、衛星チューナ632は放送信号の送出を停止する。
【0012】
チューナ切替部633は、CPU620からの指示を受けて、ユーザーが選局指示した放送信号を送出しているチューナを選択し、選択したチューナからの放送信号をCI切替部641に送る。
【0013】
CI部640は、CIカード200を挿入するためのPCMCIAインターフェースを持っている。CI切替部141がCI部640へ信号を送るように選択されている場合、CI切替部141からの信号はCI部640に挿入されているCIカード200に入力される。入力された信号は、CIカード200によってデスクランブル処理が施された後にCIカード200から出力され、再度CI切替部641へ送られる。また、CI部640にCIカード200が挿入されている場合、CIカード200が挿入されているという情報、またCIカード200の種類、バージョンなどの情報をCPU620へ送信する。
【0014】
CI切替部641は、CPU120からの命令を受けて、チューナ切替部633から送られて来る信号をCI部640に送るか、デコード部650へ送るかを切り替える。CI部640へ信号を送った場合、再度CI部640からデスクランブル処理された信号が送り返され、この信号をデコード部650へ送る。
【0015】
デコーダ部650は、CI切替部641から送られてきた信号を復号し、表示部660に送る。なお、デコーダ部650は、復号処理だけでなく画質向上のための画像処理回路を有していてもよい。
【0016】
表示部660は、デコーダ部650から送られてきた信号を表示する。例えば、プラズマディスプレイパネルや、液晶パネル、有機ELパネル、ブラウン管などのディスプレイである。
【0017】
上記のように構成された従来のデジタル放送受信システムの動作について、図9、10を参照しながら説明する。
【0018】
まず、図9は、従来のデジタル放送受信システムのCIカード挿入時のフローチャートで、放送を受信中にCIカード200をPCMCIAインターフェースに挿入した際の動作を示している。
【0019】
CPU620が、CIカード200のPCMCIAインターフェースを有するCI部640への挿入を検知すると(S601)、無条件に信号の通るパスをCI部640を通るパスに切り替える(S604)。
【0020】
次に、図10は、従来のデジタル放送受信システムのチャンネル変更時のフローチャートで、CIカード200を挿入した状態で、デジタル放送受信中にチャンネルを切替えた場合の動作を示している。なお、図10では地上波チューナ631をTNR1と称し、衛星チューナ632をTNR2と称する。
【0021】
まず、CIカード200を挿入した状態で、CPU620がデジタル放送のチャンネル切替を検知すると(S701)、ユーザーによって選択されたチャンネルが地上波チューナ631で受信するチャンネルを選択したかどうかを判断する(S702)。このとき、地上波チューナ631が選択されなかったときは衛星チューナ632が選択されたことになる。
【0022】
ステップS702でユーザーが地上波チューナ631で受信するチャンネルを選択した場合、地上波チューナ631の選局周波数をユーザーから指定された周波数に変更する(S711)。このとき、ユーザーが選択したチャンネル切替が、衛星チューナ632から地上波チューナ631への切替かどうかを判断する(S712)。
【0023】
ステップS712で衛星チューナ632から地上波チューナ631に切替える場合、地上波チューナ631から信号を送出する(S713)。ただし、このときはまだ図8で示すチューナ切替部633が衛星チューナ632を選択しているため、ステップS713での信号送出ではチューナ切替部633の前までしか信号は到達していない。その後、チューナ切替部633を地上波チューナ631に切替えて、地上波チューナ631の信号がCI切替部641に行くようにする(S714)。さらに、CI切替部641に信号を送出しない衛星チューナ632の信号を停止する(S715)。そして、CPU620は、チャンネル変更後の信号情報を地上波チューナ631から取得する(S730)。
【0024】
一方、ステップS712で衛星チューナ632から地上波チューナ631に切替えなかった場合、つまり、地上波チューナ631を継続して使用することになった場合は、地上波チューナ631の選局周波数を変更するだけで信号パスの切替えは行わない。そのため、ステップS711の後、CPU620は、チャンネル変更後の信号情報を地上波チューナ631から取得する(S730)。
【0025】
また、ステップS702でユーザーが地上波チューナ631で受信するチャンネルを選択しなかった場合、つまり、衛星チューナ632で受信するチャンネルを選択した場合、衛星チューナ632の選局周波数をユーザーから指定された周波数に変更する(S721)。このとき、ユーザーが選択したチャンネル切替えが、地上波チューナ631から衛星チューナ632への切替えかどうかを判断する(S722)。
【0026】
ステップS722で地上波チューナ631から衛星チューナ632に切替える場合、衛星チューナ632から信号を送出する(S723)。ただし、このときはまだ図8で示すチューナ切替部633が地上波チューナ631を選択しているため、ステップS723での信号送出ではチューナ切替部633の前までしか信号は到達していない。その後、チューナ切替部633を衛星チューナ632に切替えて、衛星チューナ632の信号がCI切替部641に行くようにする(S724)。さらに、CI切替部641に信号を送出しない地上波チューナ632の信号を停止する(S725)。そして、CPU620は、チャンネル変更後の信号情報を衛星チューナ632から取得する(S730)。
【0027】
一方、ステップS722で地上波チューナ631から衛星チューナ632に切替えなかった場合、つまり、衛星チューナ632を継続して使用することになった場合は、衛星チューナ632の選局周波数を変更するだけで信号パスの切替は行わない。そのため、ステップS721の後、CPU620は、チャンネル変更後の信号情報を地上波チューナ631から取得する(S730)。
【0028】
ステップS730で、CPU620は信号情報をチューナから取得後、CIカード200挿入時に現在受信中のチャンネル情報を参照できるように、チャンネル変更後の信号情報をメモリ部121に格納する(S240)。そしてチューナ部630からの信号を表示部660に表示する(S680)。
【特許文献1】特開2008−066764号公報 図15
【非特許文献1】EUROPEAN STANDARD EN50221,Common Interface Specification for Conditional Access and other Digital Video Broadcasting Decoder Applications,English Version,Ref.No.EN50221:1996E,February 1997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
しかしながら、欧州の衛星放送の信号であるDVB−S2では理論上、27.5〜82.4Mbpsのビットレート(シンボルレート27.776Mbaudの場合)をとりうることから、今後、DVB−CIの仕様を超える速さのビットレートの放送信号が導入される可能性がある。
【0030】
従来のデジタル放送受信システムでは、CIカードをPCMCIAインターフェースに挿入した場合、無料放送では信号がCIカードを通らなくても放送を視聴することが可能であるにもかかわらず、アナログ信号以外は全てCIカードに入るような仕様となっている。そのため、DVB−CIの仕様を超える速さのビットレートの放送信号が導入された場合、従来のデジタル放送受信システムをそのまま用いると、DVB−CIの仕様の範囲外の放送信号がCIカードに入ることになり、ブロックノイズなどの不具合を引き起こす恐れがあるという課題があった。そこで本発明は、前記従来の課題を解決するもので、DVB−CIの仕様の範囲外の放送信号がCIカードに入らないようにする受信信号を切り替えるデジタル放送受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
前記従来の課題を解決するために、本発明のデジタル放送受信装置は、地上波デジタル放送を受信する地上波チューナと、衛星デジタル放送を受信する衛星チューナと、地上波チューナと衛星チューナを切替えるチューナ切替部と、CIカードのインターフェースであるCI部と、地上波チューナ、或いは、衛星チューナからの信号をCI部に出力するかどうかを切替えるCI切替部と、CI切替部からの信号を復号して映像出力するデコード部と、チューナ切替部とCI切替部を制御する制御部とを備え、制御部は、衛星チューナから入力する信号がDVB−CIの仕様の範囲内かどうかを確認し、DVB−CIの仕様の範囲内であれば、CI切替部が衛星チューナから入力する信号をCI部に入力するように制御し、DVB−CIの仕様の範囲外であれば、CI切替部が衛星チューナから入力する信号をCI部に入力しないように制御する。
【0032】
本構成によって、DVB−CIの仕様の範囲外の信号がきたときも、信号がCIカードに入力されないのでブロックノイズを発生させることが無く、良好な画質を映像表示することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明のデジタル放送受信システムによれば、DVC−CIの仕様の範囲外の速さのビットレートの放送信号を受信したとき、信号が通過するパスをDVC−CIカードを通らないパスに変更することで、ブロックノイズなどの不具合を引き起こす恐れを削減し、情報量の多い更なる高画質、高音質の放送や充実したデータ放送を視聴することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下本発明を実施する為の最良の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかるデジタル放送受信システムは、テレビ受信装置で放送信号を受信している状態でCIカードをテレビ受信装置に挿入するとき、またはCIカードをテレビ受信装置に挿入した状態で、放送信号のチャンネルを切替えたときに切替後の受信信号がDVB−CIの仕様外のものだった場合、その信号がCIカードに入らないように信号のパスを切替える装置である。図1に本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムの概念図を示す。
【0035】
テレビ受信装置100はCIカード200を挿入する為のPCMCIAインターフェースを有するCI部140を備えている。そして、テレビ受信装置100はCIカード200が挿入されたという情報を判定する構成と、選局された放送信号の情報がDVB−CIの仕様を満たすものであるかを判定する構成を内蔵している。
【0036】
次に、デジタル放送受信システムの回路構成について詳細に説明する。図2は本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムのブロック図である。
【0037】
図2のようにテレビ受信装置100は、受光部110、CPU120、メモリ部121、チューナ部130が有する地上波チューナ131と衛星チューナ132、チューナ切替部133、CI部140、CI切替部141、デコーダ部150、表示部160で構成される。図2の外観は、図8で示した従来のブロック図とほぼ同じである。
【0038】
受光部110は、ユーザーの選局指示をリモコン信号にて受信し、リモコン信号をCPU120へ送信する。
【0039】
CPU120は、CI部140からCIカード200の挿入の有無を取得し、CIカード200の挿入有無の情報Aをメモリ部121に書き込む。CPU120は、受光部110からチャンネル切替え指示があった場合、チャンネル切替え指示で指定されたチューナ部130(地上波チューナ131、または衛星チューナ132)にユーザーが希望するチャンネルを選局させる。そしてチューナ切替部133に指定されたチューナを選択させる。また、選局したチャンネルの情報Bをチューナ部130から取得し、メモリ部121に書き込む。そして、衛星チューナ132で放送信号を受信している場合は信号のビットレートを計算し、それがDVB−CIの仕様の範囲内(ビットレートが58Mbps以下)か、範囲外(ビットレートが58Mbps以上)かという情報Cをメモリ部121に書き込む。これら情報A、B、Cを元に、CI部140へ信号を送る必要があるかを判断し、CI切替部141にチューナ切替部133からの入力信号をCI部140またはデコーダ部150のどちらに出力するか命令を出す。また、CPU120はデコード部150に、表示部160への信号を出すように命令する。
【0040】
メモリ部121は、CPU120から送られるCIカード200の挿入有無の情報Aと、地上波チューナ131または衛星チューナ132で選局したチャンネルの情報Bと、衛星チューナ132で放送信号を受信している場合は信号のビットレートを計算し、それがDVB−CIの仕様の範囲内か、範囲外かという情報Cを記憶する。また、メモリ部121はCPU120で行う処理に必要な情報をCPU120から求められた場合、その情報をCPU120に出力する。
【0041】
地上波チューナ131は、地上波のデジタル放送信号、アナログ放送信号を受信し、CPU120からの選局の指示を受けて選局周波数をユーザーが選局指示した放送局の周波数を選局する。そして、選局した放送信号をチューナ切替部133に送る。また、選局した放送信号の情報をCPU120に送る。なお、CPU120からの選局指示が後述する衛星チューナ132に送られた場合、地上波チューナ131は放送信号の送出を停止する。なお、地上波チューナ131から送出するデジタル放送信号DVB−T、T2はDVB−S、S2に比べてビットレートが遅いため、地上波チューナ131からのデジタル放送信号はDVB−CIの仕様範囲外のビットレートをとり得ないことを前提としている。また、地上波チューナ131はCATV放送の受信も可能である。
【0042】
衛星チューナ132は、衛星のデジタル放送信号を受信し、CPU120からの選局の命令を受けて選局周波数をユーザーが選局指示した放送局の周波数を選局する。そして、選局した放送信号をチューナ切替部133に送る。また、選局した放送信号の情報をCPU120に送る。なお、CPU120からの選局指示が地上波チューナ131に送られた場合、衛星チューナ132は放送信号の送出を停止する。
【0043】
チューナ切替部133は、CPU120からの指示を受けて、ユーザーが選局指示した放送信号を送出しているチューナを選択し、選択したチューナからの放送信号をCI切替部141に送る。
【0044】
CI部140は、CIカード200を挿入するためのPCMCIAインターフェースを持っている。CI切替部141がCI部140へ信号を送るように選択されている場合、CI切替部141からの信号はCI部140に挿入されているCIカード200に入力される。入力された信号は、CIカード200によってデスクランブル処理が施された後にCIカード200から出力され、再度CI切替部141へ送られる。また、CI部140にCIカード200が挿入されている場合、CIカード200が挿入されているという情報、またCIカード200の種類、バージョンなどの情報をCPU120へ送信する。
【0045】
CI切替部141は、CPU120からの命令を受けて、チューナ切替部133から送られて来る信号をCI部140に送るか、デコード部150へ送るかを切り替える。CI部140へ信号を送った場合、再度CI部140からデスクランブル処理された信号が送り返され、この信号をデコード部150へ送る。
【0046】
デコーダ部150は、CI切替部141から送られてきた信号を復号し、表示部160に送る。なお、デコーダ部150は、復号処理だけでなく画質向上のための画像処理回路を有していてもよい。
【0047】
表示部160は、デコーダ部150から送られてきた信号を表示する。例えば、プラズマディスプレイパネルや、液晶パネル、有機ELパネル、ブラウン管などのディスプレイである。
【0048】
上記のように構成された本発明のデジタル放送受信システムの動作について、図3乃至5を参照しながら説明する。
【0049】
まず、図3は、本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムのCIカード挿入時のフローチャートで、放送を受信中にCIカード200をPCMCIAインターフェースに挿入した際の動作を示している。
【0050】
CPU120が、CIカード200のPCMCIAインターフェースを有するCI部140への挿入を検知すると(S101)、メモリ部121に蓄積されている受信中の信号情報を読み出す(S102)。そして、ステップS102で読み出した信号情報から受信している信号がDVB−CIの仕様(信号のビットレート<58Mbps)の範囲内かどうかを判断する(S103)。ステップS103でDVB−CIの範囲内(信号のビットレート<58Mbps)であった場合、信号の通るパスをCI部140を通るパスに変更する(S104)。一方、ステップS103でDVB−CIの範囲外(信号のビットレート≧58Mbps)であった場合、信号の通るパスをCI部140を通らないパスのままとする(S105)。
【0051】
次に、図4及び図5は、本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムのチャンネル変更時のフローチャートで、CIカード200を挿入した状態で、デジタル放送受信中にチャンネルを切替えた場合の動作を示している。なお、図4、5では地上波チューナ131をTNR1と称し、衛星チューナ132をTNR2と称する。
【0052】
まず、CIカード200を挿入した状態で、CPU120がデジタル放送のチャンネル切替えを検知すると(S201)、ユーザーによって選択されたチャンネルが地上波チューナ131で受信するチャンネルを選択したかどうかを判断する(S202)。このとき、地上波チューナ131が選択されなかったときは衛星チューナ132が選択されたことになる。
【0053】
ステップS202でユーザーが地上波チューナ131で受信するチャンネルを選択した場合、地上波チューナ131の選局周波数をユーザーから指定された周波数に変更する(S211)。このとき、ユーザーが選択したチャンネル切替えが、衛星チューナ132から地上波チューナ131への切替えかどうかを判断する(S212)。
【0054】
ステップS212で衛星チューナ132から地上波チューナ131に切替える場合、地上波チューナ131から信号を送出する(S213)。ただし、このときはまだ図2で示すチューナ切替部133が衛星チューナ132を選択しているため、ステップS213での信号送出ではチューナ切替部133の前までしか信号は到達していない。その後、チューナ切替部133を地上波チューナ131に切替えて、地上波チューナ131の信号がCI切替部141に行くようにする(S214)。ステップS213からS214へのフローはCI切替部141へ行く信号がチャンネル切替え時に途切れないような順序となっている。さらに、輻射対策としてCI切替部141に信号を送出しない衛星チューナ132の信号を停止する(S215)。そして、CPU120は、チャンネル変更後の信号情報を地上波チューナ131から取得する(S230)。
【0055】
一方、ステップS212で衛星チューナ132から地上波チューナ131に切替えなかった場合、つまり、地上波チューナ131を継続して使用することになった場合は、地上波チューナ131の選局周波数を変更するだけでユーザーが選択した放送信号がCI切替部141を経由し、CI部140を通ってデコーダ部150に送出されるので、信号パスの切替を行う必要がない。そのため、ステップS211の後、CPU120は、チャンネル変更後の信号情報を地上波チューナ131から取得する(S230)。
【0056】
また、ステップS202でユーザーが地上波チューナ131で受信するチャンネルを選択しなかった場合、つまり、衛星チューナ132で受信するチャンネルを選択した場合、衛星チューナ132で受信する放送信号にはDVB−CIの仕様を超えるビットレートが含まれ得るので、はじめに信号の通るパスをCI部140を通らないパスに切替える(S220)。その後、衛星チューナ132の選局周波数をユーザーから指定された周波数に変更する(S221)。このとき、ユーザーが選択したチャンネル切替が、地上波チューナ131から衛星チューナ132への切替かどうかを判断する(S222)。
【0057】
ステップS222で地上波チューナ131から衛星チューナ132に切替える場合、衛星チューナ132から信号を送出する(S223)。その後、チューナ切替部133を衛星チューナ132に接続して、衛星チューナ132の信号がCI切替部141に行くようにする(S224)。さらに、輻射対策としてCI切替部141に信号を送出しない地上波チューナ131からの信号を停止する(S225)。そして、CPU120は、チャンネル変更後の信号情報を衛星チューナ131から取得する(S230)。
【0058】
一方、ステップS212で地上波チューナ131から衛星チューナ132に切替えなかった場合、つまり、衛星チューナ132を継続して使用することになった場合は、衛星チューナ132の選局周波数を変更するだけでユーザーが選択した放送信号がCI切替部141を経由し、CI部140を通らないでデコーダ部150に送出されるので、信号パスの切替を行う必要がない。そのため、ステップS221の後、CPU120は、チャンネル変更後の信号情報を衛星チューナ132から取得する(S230)。
【0059】
ステップS230で、CPU120は信号情報をチューナから取得後、CIカード200挿入時に現在受信中のチャンネル情報を参照できるように、チャンネル変更後の信号情報をメモリ部121に格納する(S240)。ここで、再度、ユーザーによって選択されたチャンネルが地上波チューナ132で受信するチャンネルを選択したかどうかを判断する(S250)。
【0060】
ステップS250でユーザーが地上波チューナ131で受信するチャンネルを選択した場合、信号の通るパスをCI部140を通るパスにする(S270)。そして地上波チューナ131からの信号を表示部160に表示する(S280)。
【0061】
一方、ステップS250でユーザーが地上波チューナ131で受信するチャンネルを選択しなかった場合、つまり、衛星チューナ132で受信するチャンネルを選択した場合、CPU120はステップS230で得られた情報から衛星チューナ132から送出される衛星信号のビットレートを計算する(S260)。そして、CPU120は、計算で得られた現在受信中の信号のビットレートがDVB−CIの仕様(信号のビットレート<58Mbps)の範囲内かどうかを判断する(S261)。
【0062】
ステップS261で、DVB−CIの仕様(信号のビットレート<58Mbps)の範囲内であった場合、信号の通るパスをCI部140を通るパスにする(S270)。そして衛星チューナ132からの信号を表示部160に表示する(S280)。
【0063】
一方、ステップS261で、DVB−CIの仕様(信号のビットレート≧58Mbps)の範囲内でなかった場合、信号の通るパスはCI部140を通らないパスにする(S271)。その後、衛星チューナ132からの信号を表示部160に表示する(S280)。
【0064】
かかる構成によれば、衛星放送の信号のビットレートを判断して、自動的に信号が通るパスを切替えるため、DVB−CIの仕様を超えた衛星放送の信号を受信する際でもユーザーは特に何もすることなく、衛星放送の番組を楽しむことが出来る。
【0065】
特に、本構成を用いると、衛星放送のDVB−CIの仕様の範囲外(信号のビットレート≧58Mbps)でスクランブルの入っていない無料放送の信号はCIカード200に入力される必要がないため、ユーザー自身がCIカードを抜差しする必要なしにブロックノイズ等の不具合を防ぐことができる。
【0066】
なお、本実施の形態において、地上波デジタル放送はDVB−CIの仕様(信号のビットレート<58Mbps)であるとしたが、地上波デジタル放送、ケーブル放送にもDVB−CIの仕様(信号のビットレート<58Mbps)の範囲外が入る場合があっても良い。その場合は、図6、図7の本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムのチャンネル変更時のフローチャートのように、ステップ202で地上波チューナ131が選択されたときも、はじめに信号の通るパスをCI部140を通らないパスに切替える(S210)。そして、ステップS240で、チャンネル変更後の信号情報をメモリ部121に格納した後、CPU120はステップS230で得られた情報から衛星チューナ132から送出される衛星信号のビットレートを計算する(S260)。その他は、図4、図5のフローチャートと同じである。
【0067】
なお、本実施の形態において、CI部140への制御をDVB−CIの仕様(信号のビットレート<58Mbps)の範囲内かどうかで判断したが、DVB−CI+の仕様(信号のビットレート<96Mbps)の範囲内かどうかで判断しても良い。
【0068】
なお、本実施の形態において、CI部140への制御をDVB−CIの仕様(信号のビットレート<58Mbps)の範囲内かどうかで判断したが、任意のスクランブル放送の仕様(信号のビットレート<所定値、特定の放送方式 など)の範囲内かどうかで判断しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明にかかるデジタル受信装置は、スクランブル放送の仕様、例えば、DVB−CIの仕様(信号のビットレート<58Mbps)の範囲外の信号を受信したときも、ブロックノイズを発生させることが無く、良好な画質を映像表示することが可能になるので、デジタル放送受信装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムの概念図
【図2】本発明の実施の形態2におけるデジタル放送受信システムのブロック図
【図3】本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムのCIカード挿入時のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムのチャンネル変更時のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムのチャンネル変更時のフローチャート
【図6】本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムのチャンネル変更時のフローチャート
【図7】本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信システムのチャンネル変更時のフローチャート
【図8】従来のデジタル放送受信システムのブロック図
【図9】従来のデジタル放送受信システムのCIカード挿入時のフローチャート
【図10】従来のデジタル放送受信システムのチャンネル変更時のフローチャート
【符号の説明】
【0071】
100 テレビ受信装置
110 受光部
120 CPU
121 メモリ部
130 チューナ部
131 地上波チューナ
132 衛星チューナ
133 チューナ切替部
140 CI部
141 CI切替部
150 デコーダ部
160 表示部
200 CIカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上波デジタル放送を受信する地上波チューナと、
衛星デジタル放送を受信する衛星チューナと、
前記地上波チューナと前記衛星チューナを切替えるチューナ切替部と、
CIカードのインターフェースであるCI部と、
前記地上波チューナ、或いは、前記衛星チューナからの信号を前記CI部に出力するかどうかを切替えるCI切替部と、
前記CI切替部からの信号を復号して映像出力するデコード部と、
前記チューナ切替部と前記CI切替部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記衛星チューナから入力する信号がDVB−CIの仕様の範囲内かどうかを確認し、DVB−CIの仕様の範囲内であれば、前記CI切替部が前記衛星チューナから入力する信号を前記CI部に入力するように制御し、DVB−CIの仕様の範囲外であれば、前記CI切替部が前記衛星チューナから入力する信号を前記CI部に入力しないように制御することを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記衛星チューナのチャンネルが選局されたとき、前記CI切替部が前記衛星チューナから入力する信号を前記CI部に入力しないように制御し、その後に前記衛星チューナから入力する信号がDVB−CIの仕様の範囲内かどうかを確認し、DVB−CIの仕様の範囲内であれば、前記CI切替部が前記衛星チューナから入力する信号を前記CI部に入力するように制御し、DVB−CIの仕様の範囲外であれば、前記CI切替部が前記衛星チューナから入力する信号を前記CI部に入力しないように制御することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−94932(P2012−94932A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38886(P2009−38886)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】