説明

デジタル時計による呼吸数・脈拍数の迅速測定法

【課題】 救命救急医療現場や災害医療現場で、極めて迅速に(15秒程度)、分時呼吸数と分時脈拍数を測定することのできる小型で、携帯可能な装置と方法の開発
【解決手段】 呼吸や脈拍のインターバル時間(t秒)をストップウォッチ方式で測定し、1分間での回数を60秒÷t秒で自動的に計算し、直ちに表示するデジタル時計を作製する。さらに、連続する複数のインターバルを連続するボタン操作により測定し、得られた複数のデータの平均値からより正確な1分間の回数を自動的に計算、直ちに表示する機能も追加する。具体的には、連続する呼吸を2−3回観察し、吸気の開始にあわせてボタン操作することにより約10秒程度で分時呼吸数を計測し、さらに、連続する脈拍を4−6回触診しながら、脈拍に同期したボタン操作をすることにより、約5秒程度で分時脈拍数を計測する。これらの操作により、分時呼吸数と分時脈拍数の測定が約15秒程度で可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタル時計による呼吸数・脈拍数の迅速測定法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタル時計には時間間隔を測定するストップウォッチ機能や演算機能を有しているものがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
救命救急医療や災害医療の初療現場では、分時呼吸数・脈拍数を極めて迅速に定量的に測定し、その後の搬送や治療の手順を決定する必要がある。従来、呼吸数であれば、1分間もしくは最短でも30秒間を時計で確認しながら、その間の呼吸回数を数え、1分間の呼吸数を出す方法が取られている。また、脈拍数では、通常15秒間を時計で確認しながら、その間の脈拍回数を数え、4倍して1分間の脈拍数を計算する方法が取られている。しかし、これらの方法では、分時呼吸数と脈拍数を測定するのに、最短でも1分近くかかってしまうことになる。重症外傷の病院前処置の日本のガイドラインであるJPTECによれば、頭部固定,意識レベル、呼吸、脈拍の確認を15秒以内に行うことが求められており、また、災害現場で行われるトリアージでは、意識、分時呼吸数、分時脈拍数を基に、30秒以内に、患者の状態を分別することが求められている。従来の方法では、これらの要求に応えることができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
より迅速に分時呼吸数を測定するために、呼吸間の時間間隔(インターバル)を測定し、その時間から分時呼吸数を計算する。デジタル時計を用いれば、測定、計算、表示を行える。測定は、ストップウォッチ形式でボタン操作2回(スタート−ストップ)で行う。この時、スタートはある呼吸の吸気開始時であり、ストップは次の呼吸の吸気開始時である。測定された呼吸間インターバルをt秒とすると、分時呼吸数は、60秒÷t秒で得られる。この計算を時計内で自動的にボタン操作なしで行い、直ちに、ディスプレイに計算された分時呼吸数を表示する。
連続する3呼吸でそれぞれボタン操作すれば、呼吸間インターバルの数値が2データ得られるので、さらに正確な分時呼吸数が測定できる。一般的に表現すれば、得られたインターバルの複数データt1、t2、・・・tnの平均値tmを用いて、60÷tmの式で自動的に計算し、直ちに表示させる。
分時脈拍数も同様の方法で測定することができる。脈拍数の測定では、連続する4−6回の脈拍を触診しながら、これに同期させるようにボタン操作をして、同様に平均値を自動的に計算し、直ちに表示する。
【発明の効果】
【0005】
この方法により、分時呼吸数は10秒程度、分時脈拍数は5秒程度、あわせて15秒程度で測定でき、従来の方法では1分近くかかっていたものを格段に短くすることができる。これにより、救命救急医療や災害医療の初療現場での要求を満たすことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
測定、計算、表示のために、デジタル時計である必要がある。ストップウォッチ型か、腕時計型で、携帯できる型がよい。腕時計型の場合は、連続的なボタン操作がやり易い形態がよい。いずれの型式でも、最低1ボタン操作で、測定モードに入れる必要がある。
【実施例】
なし
【産業上の利用可能性】
【0007】
救急医療、災害医療現場の医師、看護師、救急救命士、救急隊員に高いニーズがある。プロスポーツなどのスポーツ現場や、健康管理の現場でも脈拍数の測定はニーズがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分時呼吸数(1分間の呼吸回数)や分時脈拍数(1分間の脈拍数)を極めて迅速に計測するための以下の方法。デジタル時計を用いて、呼吸間や脈拍間の時間間隔(インターバル)(t秒)をストップウォッチ方式で測定し、60÷tの式で分時回数を時計内で自動的に計算し、直ちに表示させる方法。
【請求項2】
請求項1の方法の精度を上げるために、この測定を連続的に複数回行い、得られたインターバルの複数データt1、t2、・・・tnの平均値tmを用いて、60÷tmの式で自動的に計算し、直ちに表示させる方法。

【公開番号】特開2007−171150(P2007−171150A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−381169(P2005−381169)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(506028775)
【Fターム(参考)】