デスペックル装置および方法
【解決手段】装置および方法は、光ファイバ(710、718)における誘導ラマン散乱を使用することでレーザスペックルを低減する。ファイバコア径および長さは所望の出力光が得られるように選択される。2つの光ファイバ(710、718)を並列に合成することによって、および、ビームスプリッタとしての回転可能波長板(704)および偏光器(706)の助けにより各経路の光量を調整することによって、調整可能デスペックラが形成される。均質化デバイス(722)はプロジェクタを照らす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年7月12日に出願された米国特許仮出願第61/267429号の、35USCセクション119(e)の下での優先権の利益を享受する。その出願は、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
デジタル投影システムを照らすためにレーザ光源を使用することによる利点は多くあるが、レーザ光の高いコヒーレンスは画像に望まれないスペックルを生成する傾向にある。既知のデスペックル方法は一般に、偏光多様化や角度分散や波長多様化のカテゴリに入る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
レーザ投影産業では、より効果的なデスペックル方法が長らく必要とされてきた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
主に、ある態様では、光ファイバにおける誘導ラマン散乱がその光ファイバから出力される光のスペックルを低減するような光学装置である。
【0005】
実装は以下の特徴のうちのひとつ以上を含んでもよい。光ファイバのコア径および長さは、スペックルの所望量の低減を実現するように選択されてもよい。光ファイバはマルチモードファイバであってもよい。コア径および長さは、所望の色の光出力が得られるように選択されてもよい。所望の色は原色であってもよい。原色は緑色であってもよい。青色および赤色を生成する光学パラメータ式増幅器が存在してもよい。誘導ラマン散乱の一部は赤色であってもよい。赤色の誘導ラマン散乱光と合成される赤色の光源が存在してもよい。誘導ラマン散乱の一部は黄色であってもよく、その一部を使用して4原色のデジタル投影画像を形成してもよい。緑色の光出力はu'=0.099 +/- 0.01およびv'=0.578 +/- 0.01の色度を有してもよい。レーザ光源およびデジタルプロジェクタが存在してもよい。レーザ光源は光ファイバを照らしてもよく、光ファイバはデジタルプロジェクタを照らしてもよい。レーザ光源はパルスレーザおよび二次高調波生成器を含んでもよい。レーザ光源は523.5nm、515nmまたは532nmの出力を有してもよい。光結合システムおよび均質化デバイスが存在してもよい。レーザ光源は光結合システムを照らしてもよく、光結合システムは光ファイバを照らしてもよく、光ファイバは均質化デバイスを照らしてもよく、均質化デバイスはデジタルプロジェクタを照らしてもよい。第2光ファイバおよび可変光スプリッタが存在してもよい。可変光スプリッタは第1光ファイバおよび第2光ファイバを照らしてもよく、第2光ファイバにおける誘導ラマン散乱は第2光ファイバからのスペックルを低減してもよい。可変光スプリッタは、回転波長板および偏光ビームスプリッタを含んでもよい。第2光ファイバは、スペックルの所望量の低減を実現するように選択されたコア径および長さを有してもよい。レーザ光源は可変光スプリッタを照らしてもよく、第1光ファイバおよび第2光ファイバはデジタルプロジェクタを照らしてもよい。可変光スプリッタは、第1光ファイバと第2光ファイバとの合成光出力について所望の色が得られるように調整されてもよい。
【0006】
主に、ある態様では、レーザプロジェクタは青色のレーザ光源と光ファイバと空間光変調器とを含む。青色のレーザ光源は光ファイバを照らし、光ファイバは空間光変調器を照らし、光ファイバにおける誘導ラマン散乱はデスペックルされた緑色の光およびデスペックルされた赤色の光を生成する。
【0007】
主に、ある態様では、デスペックル方法は、レーザビームを生成することと、レーザビームを光ファイバに集束させることと、光ファイバにおいて誘導ラマン散乱光を生成することと、誘導ラマン散乱光を使用してデジタル投影画像を形成することと、を含む。
【0008】
主に、ある態様では、デスペックル方法は、第1レーザビームを生成することと、第1レーザビームを第2および第3レーザビームに分割することと、第2レーザビームを第1光ファイバに集束させることと、第1光ファイバにおいて第1誘導ラマン散乱光を生成することと、第3レーザビームを第2光ファイバに集束させることと、第2光ファイバにおいて第2誘導ラマン散乱光を生成することと、第1誘導ラマン散乱光と第2誘導ラマン散乱光とを合成し、合成誘導ラマン散乱光を形成することと、合成誘導ラマン散乱光を使用して、デジタル投影画像を形成することと、第2レーザビームおよび第3レーザビームにおける光量を調整することで、デジタル投影画像においてある原色について所望の色を得ることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】中間のパワーでの誘導ラマン散乱のグラフである。
【0010】
【図2】高いパワーでの誘導ラマン散乱のグラフである。
【0011】
【図3】デスペックル装置を備えるレーザ投影システムの上面図である。
【0012】
【図4】デジタルシネマイニシアチブ(DCI)およびRec709標準との比較での、レーザプロジェクタの色域のカラーチャートである。
【0013】
【図5】デスペックル装置についての、色対パワーのグラフである。
【0014】
【図6】デスペックル装置についての、スペックルコントラスト対色および発光効率対色のグラフである。
【0015】
【図7】調整可能デスペックル装置を備えるレーザ投影システムの上面図である。
【0016】
【図8】調整可能デスペックル装置についての、第1ファイバへのパワーのパーセント対トータルのパワー、第1ファイバからの色対トータルのパワー、および第2ファイバからの色対トータルのパワーのグラフである。
【0017】
【図9】調整可能デスペックル装置を備える3色レーザ投影システムの上面図である。
【0018】
【図10】OPOの後で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図である。
【0019】
【図11】OPOの前で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図である。
【0020】
【図12】OPOの前後で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図である。
【0021】
【図13】デスペックル方法のフローチャートである。
【0022】
【図14】調整可能デスペックル方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
米国特許第5274494号に記載されるように、画像投影用の光をデスペックルするために、誘導ラマン散乱(SRS)を使用したラマンガスセルが使用されている。SRSは非線形な光学的現象であり、そこでは光子が分子によって散乱され、より低い周波数の光子となる。「Nonlinear Fiber Optics」、Govind Agrawal著、Academic Press、Third Edition、第298頁-第354頁には、SRSについて十分な説明がなされている。図1は、中間のパワーでの光ファイバからの誘導ラマン散乱出力のグラフを示す。その中間のパワーは、SRSを生成するしきい値よりもほんの少しだけ大きい。x軸は波長をナノメートル(nm)で示し、y軸は強度を対数目盛、dBmで示す。y軸は最も高いピークに対して規格化されている。523.5nmにある第1ピーク100は、ラマン散乱でない光である。第1ピーク100のスペクトル帯域幅は約0.1nmであるが、スペクトル測定の分解能は1nmであるから、第1ピーク100の幅は図1では分解できない。536.5nmの第2ピーク102は、SRSによってシフトされたピークである。第1ピーク100と比べて低減された第2ピーク102の強度に注目してほしい。第2ピーク102は第1ピーク100よりもかなり大きな帯域幅を有する。第2ピーク102の半値全幅(FWHM)による帯域幅は約2nmであり、これは最大値から−3dBm下ったところで測定される。これは、第1ピーク100の約20倍のスペクトル拡大を示す。550nmの第3ピーク104は第2ピーク102よりもさらに低い強度を有する。第3ピーク104を超えるピークはこのパワーレベルでは見られない。
【0024】
光ファイバにおける非線形現象は、自己位相変調、誘導ブリリアン散乱(SBS)、四波混合およびSRSを含みうる。特定のファイバ、特定のレーザでどの非線形効果が生じるかについての予測は複雑であり、数学的モデリングに従いにくい。これはマルチモードファイバについて特にそうである。通常、SBSはSRSよりもかなり低いしきい値で開始し、大きなSBS反射のためにSRSの形成が阻害されるであろうことが予測されている。他の非線形効果ではなくSRSが支配的となりうるひとつの可能性のあるメカニズムは以下の通りである。すなわち、パルスレーザのモード構造が多数の密集したピークを形成して、各ピークはSBSを生じさせるには十分でない光学的パワーを有する場合である。
【0025】
図2は、図1よりも高いパワーでの誘導ラマン散乱のグラフを示す。x軸は波長をナノメートルで示し、y軸は強度を対数目盛、dBmで示す。y軸は最も高いピークに対して規格化されている。523.5nmにある第1ピーク200は、ラマン散乱でない光である。536.5nmの第2ピーク202は、SRSによってシフトされたピークである。第1ピーク200と比べて低減された第2ピーク202の強度に注目してほしい。550nmの第3ピーク204は第2ピーク202よりもさらに低い強度を有する。564nmの第4ピーク206は第3ピーク204よりも低く、578nmの第5ピーク208は第4ピーク206よりも低い。図2のより高いパワーでは、図1の中間のパワーの場合よりも多くのパワーがSRSピークへシフトしている。一般に、第1ピークに注がれるパワーが多くなるほど、より多くのSRSピークが現れ、より多くのパワーがSRSピークへシフトする。図1および図2の例では、SRSピーク間の間隔は約13nmから14nmである。図1および図2に示されるように、SRSは連続的な複数の波長帯に亘る光を生成し、波長多様性のメカニズムによってデスペックルを可能とする。SRSを伴う光ファイバからの出力が大抵の視覚的状況の下で目に見えるスペックルを示さない程度まで、強力なデスペックルが生じうる。スペックルパターンの最大点および最小点は波長の関数であり、より多くの波長に亘って平均化することで、スペックルを低減できる。スペックル低減方法の詳細な説明は、「Speckle Phenomena in Optics」、Joseph W. Goodman著、Roberts and Company Publishers、2007、第141頁-第186頁、に見られる。
【0026】
図3は、光ファイバにおけるSRSに基づくデスペックル装置を備えるレーザ投影システムの上面図である。レーザ光源302は光結合システム304を照らす。光結合システム304はコア308を有する光ファイバ306を照らす。光ファイバ306は均質化デバイス310を照らす。均質化デバイス310はデジタルプロジェクタ312を照らす。照らすことは、照らされる部分が照らす部分からの光を使用するよう、光を生成するか通過させるか導くことを意味する。照らす部分と照らされる部分との間に、図3には示されない追加的な要素が存在しうる。光結合システム304およびコア308を伴う光ファイバ306はデスペックル装置300を形成する。レーザ光源302はパルスレーザであってもよく、光ファイバ306にSRSを生成するのに十分なほど高いピークパワーを有する。光結合システム304はひとつのレンズであってもよく、レンズ列であってもよく、または光をコア308に集束させるよう設計された他の光学要素であってもよい。光ファイバ306は、コアのサイズおよび長さが所望量のSRSを生成するよう選択される光ファイバであってもよい。均質化デバイス310は、ミキシングロッドやフライアイレンズやディフューザや光ビームの空間一様性を改善する他の光学要素であってもよい。デジタルプロジェクタ312は、デジタルマイクロミラー(DMD)や液晶デバイス(LCD)やシリコン上液晶(LCOS)や他のデジタル光バルブに基づくプロジェクタであってもよい。さらに光を導くかデスペックルするために、追加的なレンズやディフューザやバイブレータや光ファイバなどの追加的な要素が含まれてもよい。
【0027】
開口数0.22を有する融解石英の標準的なファイバの場合、平均入力パワーが523.5nmにおいて3ワットであるとき、コアのサイズは直径40マイクロメートルであり、長さは110メートルであってもよい。より高いまたは低い入力パワーの場合、長さおよび/またはコアのサイズは適切に調整されてもよい。例えば、より高いパワーの場合、コアのサイズを増やすか長さを減らすかすることで、3ワットの例と同じ量のSRSを生成してもよい。図1は、開口数0.22を有する融解石英の標準的なファイバであって、平均入力パワーが523.5nmにおいて2ワットであるときのコアのサイズが直径40マイクロメートルであり、長さが110メートルであるファイバのスペクトル出力を示す。図2は、平均入力パワーが4ワットであるときの同じシステムの出力を示す。両方の場合において、パルスレーザは、Qスイッチ型で2倍周波数のネオジウムドープされたイットリウムリチウムフッ素(Nd:YLF)レーザである。そのレーザは、焦点距離が18.4mmの単一非球面レンズを備える光ファイバに結合される。あるいはまた、2倍周波数のネオジウムドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)レーザが使用されてもよい。そのレーザは532nmの波長の光出力を有する。本明細書における平均入力パワーの例は、パルス幅が50nsであり周波数が16.7kHzであるレーザパルスに対応する。
【0028】
図4は、DCIおよびRec709標準との比較での、レーザプロジェクタの色域のカラーチャートを示す。図4のx軸およびy軸は、国際照明委員会(CIE)1976色空間のu'座標およびv'座標を示す。各色域は赤原色、緑原色および青原色によって形成されるひとつの三角形として示されており、それら3つの原色はその三角形の頂点を形成する。デジタルプロジェクタの他の色は、種々の量の3つの原色を混合し、色域三角形内の色を形成することによって、生成される。第1三角形400は、452nm、523.5nmおよび621nmに原色を有するレーザプロジェクタの色域を示す。第2三角形402は、DCI標準の色域を示す。DCI標準は、映画館などの大きな会場におけるデジタル映画についてよく受け入れられている。第3三角形404は、国際電気通信連合の無線通信(ITU−R)のリコメンデーション709(Rec.709)標準の色域を示す。この標準は、高品位テレビの放送についてよく受け入れられている。緑点410は523.5nmにおけるレーザプロジェクタの緑原色である。赤点412は、621nmにおけるレーザプロジェクタの赤原色である。線414(太い線で示される)は、緑点410と赤点412との間の連続体に沿った色の可能な範囲を示す。線414に沿った色は、黄色、オレンジ色および赤色を緑原色と混ぜることによって得られる。黄色やオレンジ色や赤色が多いほど、緑色は線414に沿って赤色側に向けてより多く引っ張られる。本明細書の目的のために、「GR色」は線414上の位置をパーセントで表したものとして定義される。例えば、緑点410における純粋な緑色は、0%のGR(緑−赤)色を有する。赤点412における純粋な赤色は100%のGR色を有する。DCIの緑点416はu'=0.099およびv'=0.578にあり、13.4%のGR色を有する。これは、緑点410とDCIの緑点416との距離が、緑点410と赤点412との距離の13.4%であることを意味する。第3三角形404のRec709緑点が線414まで外挿された場合、結果として得られるRec709緑点418は18.1%のGR色を有する。GR色のコンセプトは以下の通りである。すなわち、図4の二次元グラフに示されるような二次元u'v'色を、線414に沿った一次元色へ縮約し、他の変数をGR色の関数として簡単に二次元でプロットできるようにする方法を提供するものである。SRSを経た523.5nmの緑原色の場合、元の緑色は部分的に黄色、オレンジ色および赤色に変換される。その結果得られる合成色は線414に沿って引かれ、GR%は上昇する。緑原色についてはDCI緑点が望ましいターゲットでありうるが、色のある程度の変動は許容されうる。例えば、u'値およびv'値の約+/-0.01の変動は許容されうる。
【0029】
図5は、デスペックル装置についての、色対パワーのグラフを示す。x軸は、図3に示される装置などのデスペックル装置の光ファイバから出力されるパワーをワットの単位で示す。y軸は、図4で説明されたようなGR色をパーセントで示す。光ファイバは前の例と同じパラメータ(コア径は40マイクロメートル、長さは110メートル)を有する。曲線500は、色が出力パワーの関数としてどのように変化するかを示す。出力パワーが増えるにつれて、GR色は徐々に増加する。曲線は、以下の3次多項式によってフィットされうる。ここで、「p」はワット単位での出力パワーである。
【数1】
第1線502は13.4%のGR色においてDCI緑点を示し、第2線504は約18.1%においてRec709緑点を示す。DCI緑点に到達するために要求される平均パワー出力は約2.1Wであり、Rec709点に到達するために要求される平均出力パワーは約2.3Wである。
【0030】
図6は、図3に示される装置などのデスペックル装置についての、スペックルコントラスト対色、および発光効率対色、のグラフを示す。x軸はGR色をパーセントで示す。左側のy軸は、スペックルコントラストをパーセントで示し、右側のy軸は発光効率をルーメンス/ワットの単位で示す。スペックルコントラストはスペックル特性であり、観察される像におけるスペックル量を量的に表す。スペックルコントラストは、特定の像についての、ピクセル強度の標準偏差をピクセル強度の平均で除したものとして定義される。不均一な照明やピクセル間の暗い線(スクリーンドア効果)などの他のファクタに起因する強度変動は除去されるはずであり、したがって、スペックルだけがピクセル強度の差を生成する。測定されるスペックルコントラストは測定のジオメトリや装置にも依存するので、測定を比較する際にはこれらを規格化する必要がある。スペックルの他の特徴を表すために、数学的に他のスペックル特性を定義してもよい。図6の例では、スクリーンの高さ2つ分の距離からキャノンEOSデジタルレーベルXTiカメラで撮った像のピクセル強度を解析することによって、スペックルコントラストの測定を行った。自動シャッタースピードを使用した。また、レンズ焦点距離として30mmを使用し、絞り値として9.0を使用することで、虹彩を直径3mmに固定した。追加的な測定パラメータとして、ISOを100とし、モノクロデータ記録を使用し、手動フォーカスを使用した。プロジェクタはデジタルプロジェクションタイタンであった。そのプロジェクタはQスイッチ型で2倍周波数のNd:YLFレーザからの緑色のレーザ光によって照らされた。そのレーザは、40マイクロメートルコアで110メートル長の光ファイバと結合された。その光ファイバは18.4mmの焦点距離を有する単一非球面レンズを伴った。プロジェクタへの入力における回転ディフューザによって、均一性が改善され、デスペックルが少なくなった。
【0031】
スペックルコントラスト測定パラメータが上述の通りである場合、通常の視力を有する訓練されていない観測者は、100%のフル強度のテストパターンを見たときに、1%のスペックルをほとんど見ることができない。通常の低利得スクリーンをレーザでないプロジェクタで見た場合、そのようなスクリーンは、0.1%から1%の範囲になりうるスパークル(sparkle)や他の非一様性を有する。本明細書の目的のために、大抵の視覚的条件の下で大抵の観測者がスペックルを観測しないというポイントとして1%のスペックルコントラストを採用する。静止画においては通常、5%のスペックルコントラストは訓練されていない観測者がよく気付く程度のものであるが、動画においては大抵は見ることができないものである。
【0032】
図6の第1曲線600は、測定されたスペックルコントラストとGR色との関係を示す。GR色が増えるにつれて、スペックルコントラストは減少する。スペックルコントラストを1%近くの可視スペックルがない領域まで減らす場合に、良いデスペックルが得られうる。図6の例では、第1線602は約2%のスペックルコントラストを有するDCI緑点を示し、第2線604は約1%のスペックルコントラストを有するRec709緑点を示す。特定の構成において得られるスペックルコントラストは、プロジェクタのタイプやレーザのタイプやファイバのタイプやディフューザのタイプやスペックルコントラスト測定装置を含む多くの変数の関数となるであろう。第3線606は、システムが測定可能な最小のスペックルコントラストを示す。測定可能な最小のスペックルコントラストは、広帯域白色光源でスクリーンを照らすことによって決定され、本例では約0.3%に等しい。測定可能な最小のスペックルコントラストは一般に、スクリーンの不均一さ(すなわち、スパークル)やカメラの限界(すなわち、ノイズ)などのファクタによって決定される。
【0033】
図6の第2曲線608は、ホワイトバランスされた発光効率とGR色との関係を示す。ホワイトバランスされた発光効率は、人間の目のスペクトル応答から計算可能であり、D63白点に到達するために適正な量の621nm赤色光および452nm青色光を含む。図6によってカバーされる範囲(0%から25%)においてGR色が増えるにつれて、ホワイトバランスされた発光効率はほぼ線形に、0%のGR色における約315lm/wからDCI緑における約370lm/wおよびRec709緑点における約385lm/wまで増大する。発光効率のこの増大は明るさを改善するために有益であり、またデスペックル装置を追加することによって生じるロスを補償するのを助ける。
【0034】
図7は、調整可能デスペックル装置を備えるレーザ投影システムの上面図を示す。図7は、図3のデスペックルで使用されるようなひとつのファイバではなく、デスペックルのために2つのファイバを組み入れている。図3のデスペックル装置では、光ファイバ306に結合される光学パワーを変えることによって、デスペックルの量および色点を所望の通りに調整することが可能となっている。図7は新たな独立変数を導入する。その独立変数は、2つのファイバのうちの一方と結合される光学パワーの割合である。残りのパワーは他方のファイバに結合される。デスペックル装置を通じて送られるトータルのパワーは、各ファイバにおけるパワーの和である。その追加的な変数によって、限られた調整範囲に亘る任意の光学パワーについて、デスペックルおよび色点を単一の所望の動作点に調整することができる。
【0035】
図7では、偏光レーザ光源702は回転波長板704を照らす。回転波長板704は光の偏光ベクトルを変化させる。その結果、光は2つの偏光状態のそれぞれについて所望量の光を含む。回転波長板704は偏光ビームスプリッタ(PBS)706を照らす。PBS706は光を2つのビームに分ける。一方の偏光状態にある一方のビームは第1光結合システム708を照らす。直交する偏光状態にある他方のビームは折り曲げミラー714で反射され、第2光結合システム716を照らす。第1光結合システム708は第1コア712を有する第1光ファイバ710を照らす。第1光ファイバ710は均質化デバイス722を照らす。第2光結合システム716はコア720を有する第2光ファイバ718を照らす。第2光ファイバ718は第1光ファイバ710と合わせて均質化デバイス722を照らす。均質化デバイス722はプロジェクタ724を照らす。回転波長板704、PBS706および折り曲げミラー714は可変光スプリッタ730を形成する。可変光スプリッタ730、第1光結合システム708、第2光結合システム716、コア712を備える第1光ファイバ710、およびコア720を備える第2光ファイバ718は、デスペックル装置700を形成する。レーザ光源702は偏光パルスレーザであってもよく、第1光ファイバ710および第2光ファイバ718にSRSを生成するのに十分なほど高いピークパワーを有する。第1光結合システム708および第2光結合システム716のそれぞれは、ひとつのレンズであってもよく、レンズ列であってもよく、または光を第1コア712、第2コア720それぞれに集束させるよう設計された他の光学要素であってもよい。第1光ファイバ710および第2光ファイバ718のそれぞれは、コアのサイズおよび長さが所望量のSRSを生成するよう選択される光ファイバであってもよい。第1光ファイバ710および第2光ファイバ718は同じ長さであっても異なる長さであってもよく、同じコアのサイズを有しても異なるコアのサイズを有してもよい。さらに光を導くかデスペックルするために、追加的なレンズやディフューザやバイブレータや光ファイバなどの追加的な要素が含まれてもよい。
【0036】
図8は、図7に示されるタイプの調整可能デスペックル装置についての、第1光ファイバへのパワー対トータルのパワー、第1光ファイバからの色対トータルのパワー、および第2光ファイバからの色対トータルのパワーのグラフである。x軸はトータルの平均光学パワーをワットの単位で示す。図8を導くために使用された数学的モデルはロス(散乱や吸収や結合など)がないと仮定しており、各ファイバへの入力パワーは各ファイバからの出力パワーと等しい。トータル光学パワーは、第1ファイバおよび第2ファイバにおけるパワーの和に等しい。左側のy軸はパワーをパーセントで示し、右側のy軸はGR色をパーセントで示す。図8の例では、ターゲット色はDCI緑点(GR色=13.4%)である。可変光スプリッタを調整することによって、図8の全ての点は2つのファイバの合成出力についてDCI緑点を維持する。2つのファイバは同等であり、各ファイバは、8ワットの平均光学パワーにおいてDCI緑点に到達するように選択されたコア径および長さを有する。図8の数学的シミュレーションにおいて、図5で説明された三次多項式フィットが使用される。第1曲線800は、両ファイバの合成トータル出力をDCI緑色点に保つために必要な第1ファイバのパワーを示す。図8の線806は、13.4%のGR色におけるDCI緑色点を示す。8ワットのトータル平均パワーにおいて、第1ファイバに0%パワーを与え、第2ファイバに100%パワーを与えることで、DCI緑点を得ることができる。第2ファイバはDCI緑点を与えるよう選択されるからである。トータルパワーが増えるにつれて、可変光スプリッタは、第1ファイバがより多くのパワーを運ぶよう調整される。パワーと色との(図5の曲線500で示されるような)非線形な関係により、トータルパワーを増大させつつ両ファイバの合成出力をDCI緑点に留まらせることができる。16ワットの最大平均パワーにおいて、第1ファイバはトータルパワーの50%を有し、第2ファイバはトータルパワーの50%を有し、各ファイバは8ワットを運ぶ。
【0037】
図8の第2曲線802は、第1ファイバの出力の色を示す。図8の第3曲線804は、第2ファイバの出力の色を示す。第3曲線804はトータル平均パワーが約14ワットのところで最大になる。そこでは、第2ファイバの平均パワーは約9ワットである。9ワットは、第2ファイバにおいてDCI緑に達するのに必要な8ワットよりも大きいので、第2ファイバからの光のGR色は約18%であり、これはDCI緑に対応する13.4%よりも高い。トータル平均パワーが14ワットよりも高くなるよう増やされると、第2ファイバの光量が減らされる。トータル平均パワーが16ワットに到達すると、各ファイバの平均パワーは8ワットに到達する。図8の例は、各ファイバのパワーの量を調整することによって、トータル平均パワーを8ワットから16ワットまで変化させつつも全体の色をDCI緑で一定に保つことができることを示す。図8には示されていないが、同じパワーの範囲に亘ってデスペックルもまたほぼ一定に保たれる。
【0038】
前の例は同じ長さの2つのファイバを使用する。しかしながら、ファイバ長に沿った散乱に起因するロスを可能な限り低下させるためや製造を容易とするためやファイバへの結合を最大化するためなどの特定の目的を達成するために、ファイバの長さを等しくしなくてもよい。極端な場合、ファイバを1つだけ使用してもよく、その場合第2経路はファイバを通過しない。偏光に基づく可変光スプリッタの代わりに、他のタイプの可変光スプリッタを使用してもよい。一例はくさび型多層コーティングに基づく可変光スプリッタであり、このスプリッタは基板の位置が変わるにつれてより多いまたはより少ない反射および透過を提供するよう移動する。ガラス上にパターン形成されるミラーコーティングは、基板の一方の側に密なミラーフィルパターンを使用し、基板の他方の側に疎なミラーフィルパターンを使用することによって、同じ効果を達成することができる。可変光スプリッタはソフトウエアによる制御下にあってもよく、フィードバックを使用して可変光スプリッタの調整を決定してもよい。フィードバックに使用されるパラメータは色、強度、スペックルコントラスト、または他の任意の測定可能な光の特性であってもよい。ラマンシフトされた光のみやひとつのラマンピークのみや特定的に選択されたラマンピークを透過させるフィルタは、光検出器と共に使用されうる。緑色光のトータル量との比較によって、または、シフトされていない緑ピークとの比較によって、デスペックルの量を決定することができる。図7に示される2ファイバデスペックラの代わりにまたはそれに加えて、他の調整方法を使用してもよい。例えば、ファイバに可変光学減衰器を組み込んでもよく、またはファイバへの入射に係る開口数を変えてもよく、またはファイバの曲げ半径を変えてもよい。
【0039】
図8の例は数学的近似であり、それはロスやSRSの実際のスペクトルなどの二次的な効果を含んでいない。図7に係る2つの同等なファイバを使用する調整可能デスペックラを動作テストしたところ、実際の調整可能範囲は、図8に示される範囲よりも約75%大きい可能性があることが示された。
【0040】
3色レーザプロジェクタについて、結果として得られるフルカラー像が低いスペックルを有するためには、3つの色全てが低いスペックルを有さなくてはならない。緑色光がダブルパルスレーザから形成され、赤色光および青色光がその緑色光から光学パラメータ式増幅器(OPO)によって形成される場合、OPOからの赤色光および青色光の拡大のため、その赤色光および青色光は当然低いスペックルを有するであろう。図7で説明される装置などのデスペックル装置を使用して、緑色光のみをデスペックルしてもよい。そのようなシステムの上面図が図9に示される。第1レーザ光源926は第1折り曲げミラー928を照らし、第1折り曲げミラー928は光結合システム932を照らす。光結合システム932は第2折り曲げミラー930を照らす。第2折り曲げミラー930はコア936を有する光ファイバ934を照らす。光ファイバ934は均質化デバイス922を照らす。第2レーザ光源902は回転波長板904を照らす。回転波長板904は光の偏光ベクトルを変化させる。その結果、光は2つの偏光状態のそれぞれについて所望量の光を含む。回転波長板904はPBS906を照らす。PBS906は光を2つのビームに分ける。一方の偏光状態にある一方のビームは第2光結合システム908を照らす。直交する偏光状態にある他方のビームは第3折り曲げミラー914で反射され、第3光結合システム916を照らす。第2光結合システム908は第2コア912を有する第2光ファイバ910を照らす。第2光ファイバ910は第1光ファイバ934と合わせて均質化デバイス922を照らす。第3光結合システム916はコア920を有する第3光ファイバ918を照らす。第3光ファイバ918は第1光ファイバ934および第2光ファイバ910と合わせて均質化デバイス922を照らす。第3レーザ光源938は第4折り曲げミラー940を照らし、第4折り曲げミラー940は第4光結合システム944を照らす。第4光結合システム944は第5折り曲げミラー942を照らす。第5折り曲げミラー942はコア948を有する光ファイバ946を照らす。第4光ファイバ946は第1光ファイバ934、第2光ファイバ910および第3光ファイバ918と合わせて均質化デバイス922を照らす。均質化デバイス922はプロジェクタ924を照らす。回転波長板904、PBS906,第3折り曲げミラー914、第2光結合システム908、第3光結合システム916、コア912を備える第2光ファイバ910、およびコア920を備える第3光ファイバ918は、デスペックル装置900を形成する。第1レーザ光源926は赤色レーザであってもよく、第2レーザ光源902は緑色レーザであってもよく、第3レーザ光源938は青色レーザであってもよい。第1レーザ光源926および第3レーザ光源938はOPOによって形成されてもよい。OPOは第2レーザ光源902からの光で動作する。第2レーザ光源902はパルスレーザであってもよく、第2光ファイバ910および第3光ファイバ918にSRSを生成するのに十分なほど高いピークパワーを有する。さらに光を導くかデスペックルするために、追加的なレンズやディフューザやバイブレータや光ファイバなどの追加的な要素が含まれてもよい。
【0041】
図9は、各ファイバにおける光のひとつの色を示す。あるいはまた、複数の色を単一のファイバに合わせ入れてもよい。例えば、赤色光および青色光の両方を同じファイバによって運んでもよく、この場合、ファイバの総数を4から3に低減できる。他の可能性は、赤色光と一方の緑色光とをひとつのファイバに合わせ入れ、かつ、青色光と他方の緑色光とをもうひとつのファイバに合わせ入れることであり、この場合、ファイバの総数は2に低減される。
【0042】
デスペックル装置は、OPOの前、OPOの後、またはOPOの前後両方において取得された光で動作してもよい。システムにおけるデスペックル装置の最適な位置は、各ステージで利用可能な光学パワーの量や望まれるデスペックルの量などの種々のファクタに依存しうる。図10は、OPOの後で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図を示す。第1ビーム1000はOPO1002に入る。OPO1002は第2ビーム1004、第4ビーム1010および第5ビーム1012を生成する。第2ビーム1004はデスペックル装置1006に入る。デスペックル装置1006は第3ビーム1008を生成する。第1ビーム1000、第2ビーム1004および第3ビーム1008は緑色光であってもよい。第4ビーム1010は赤色光であってもよく、第5ビーム1012は青色光であってもよい。デスペックル装置1006は固定型のデスペックラであってもよく、または調整可能デスペックラであってもよい。
【0043】
図11は、OPOの前で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図を示す。スプリッタ1102によって、第1ビーム1100は第2ビーム1104と第3ビーム1106とに分けられる。第3ビーム1106は折り曲げミラー1108で反射され、第4ビーム1110を生成する。第4ビーム1110はデスペックル装置1112に入る。デスペックル装置1112は第5ビーム1114を生成する。第2ビーム1104はOPO1116に入る。OPO1116は第6ビーム1118および第7ビーム1120を生成する。第1ビーム1100、第2ビーム1104、第3ビーム1106、第4ビーム1110および第5ビーム1114は緑色光であってもよい。第6ビーム1118は赤色光であってもよく、第7ビーム1120は青色光であってもよい。スプリッタ1102は固定型のスプリッタであってもよいし、可変スプリッタであってもよい。デスペックル装置1112は固定型のデスペックラであってもよく、または調整可能デスペックラであってもよい。
【0044】
図12は、OPOの前後で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図を示す。スプリッタ1202によって、第1ビーム1200は第2ビーム1204と第3ビーム1206とに分けられる。第3ビーム1206は折り曲げミラー1208で反射され、第4ビーム1210を生成する。第4ビーム1210は第1デスペックル装置1212に入る。第1デスペックル装置1212は第5ビーム1214を生成する。第2ビーム1204はOPO1216に入る。OPO1216は第6ビーム1218、第7ビーム1224および第8ビーム1226を生成する。第6ビーム1218は第2デスペックル装置1220に入る。第2デスペックル装置1220は第9ビーム1222を生成する。第1ビーム1200、第2ビーム1204、第3ビーム1206、第4ビーム1210、第5ビーム1214、第6ビーム1218および第9ビーム1222は緑色光であってもよい。第7ビーム1224は赤色光であってもよく、第8ビーム1226は青色光であってもよい。スプリッタ1202は固定型のスプリッタであってもよいし、可変スプリッタであってもよい。第1デスペックル装置1212および第2デスペックル装置1220は固定型のデスペックラであってもよく、または調整可能デスペックラであってもよい。
【0045】
図13は、図3に示される装置に対応するデスペックル方法を示す。ステップ1300において、レーザビームが生成される。ステップ1302において、レーザビームは光ファイバのコアに集束される。ステップ1304において、光ファイバでSRS光が生成される。ステップ1306において、SRS光を使用してデジタル投影画像を形成する。均質化や混合や分離や再合成やさらなるデスペックルなどの追加的なステップを含めてもよい。
【0046】
図14は、図7に示される装置に対応する調整可能デスペックル方法を示す。ステップ1400において、第1レーザビームが生成される。ステップ1402において、第1レーザビームを第2および第3レーザビームに分ける。ステップ1404において、第2レーザビームは第1光ファイバのコアに集束される。ステップ1406において、第1光ファイバで第1SRS光が生成される。ステップ1410において、第3レーザビームは第2光ファイバのコアに集束される。ステップ1412において、第2光ファイバで第2SRS光が生成される。ステップ1416において、第1SRS光と第2SRS光とを合成する。ステップ1420において、合成SRS光を使用してデジタル投影画像を形成する。ステップ1422において、第2および第3ビームの光量を調整し、所望の原色を得る。均質化や混合やさらなる分離やさらなる再合成やさらなるデスペックルなどの追加的なステップを含めてもよい。
【0047】
ファイバベースのデスペックル装置でSRSを生成するために使用されるファイバは、シングルモードファイバであってもよいし、マルチモードファイバであってもよい。シングルモードファイバは一般に10マイクロメートル以下のコア径を有する。マルチモードファイバは一般に10マイクロメートル以上のコア径を有する。要求される光学パワーに依存して所望量のSRSを生成するために、マルチモードファイバは典型的には20マイクロメートルから400マイクロメートルの範囲のコアのサイズを有してもよい。非常に高いパワーの場合、1000ミクロンや1500ミクロンなどのさらに大きなコアのサイズでもSRSを経験しうる。一般に、単位断面積当たりのパワーが十分高いとSRSが発生するであろう。断面積をより大きくすると、他の全ての変数が等しく保たれる場合、ファイバをより長くする必要がある。マルチモードファイバの被覆は125マイクロメートルの直径を有しうる。SRSを生成するためにマルチモードファイバに入力される平均光学パワーは1ワットから200ワットの範囲にあるであろう。SRSを生成するためにシングルモードファイバに入力される平均光学パワーは一般に、マルチモードファイバでSRSを生成するために要求される平均光学パワーよりも小さい。マルチモードファイバの長さは10メートルから300メートルの範囲にあってもよい。平均光学パワー入力が3ワットから100ワットの範囲にある場合、ファイバのコアのサイズは40マイクロメートルから62.5マイクロメートルであってもよく、長さは50メートルから100メートルであってもよい。光ファイバのコアの材質は通常の融解石英であってもよく、またはSRS効果を増大させたりSRSピークの波長を変えたりするためにコアをゲルマニウムなどの材料でドープしてもよい。
【0048】
SRSを生成するためには、コア径が制限されているなかで、大量の光学パワーを光ファイバに結合させなければならない。効率的で信頼性の高い結合のために、特注のレンズやファイバやアライメント技術が必要であるかもしれない。通常、自由空間におけるレーザビームの光学パワーの80%から90%がマルチモード光ファイバに結合されうる。30マイクロメートルから50マイクロメートルの範囲のコア径を有するファイバへ数十ワットの平均光学パワーを結合させるために、大径のエンドキャップや金属化ファイバや両面クラッドファイバやファイバ面への反射防止コーティングや屈折率分布レンズや高温接着剤や他の方法が商用的に利用可能である。光子的または「ホーリー(holey)」なファイバを使用して、ラマンシフト効果をほぼ同じに保ちつつ直径を大きくしてもよい。50マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲のコアのサイズを有するファイバへ、数百ワットの平均光学パワーを結合させることができる。SRSの最大量、したがってスペックルの最小量は、ファイバに信頼性高く結合されうる最大パワーによって決定されてもよい。
【0049】
光ファイバは散乱および吸収を経験し、それらは光学パワーのロスを引き起こす。可視光領域では、主なロスは散乱である。通常の融解石英光ファイバは、緑色について、1キロメートルあたり約15dBのロスを有する。特別に製造されたファイバは緑色に対して最適化されていてもよく、緑色についてロスが1キロメートルあたり10dB以下であってもよい。青色のロスは緑色のロスよりも高くなる傾向にある。赤色のロスは緑色のロスよりも低くなる傾向にある。低ロスファイバの場合であっても、デスペックルのために使用されるファイバ長はロスを低減するためにできるだけ短く維持されてもよい。ファイバを短くするということは、同じ量のSRSしたがって同じ量のデスペックルを得るためにコア径をより小さくするということを意味する。ハイパワー結合の困難性により小さなコアに結合されうるパワーの量が制限されうるので、結合がファイバの最小長さを制限することもありうる。
【0050】
ファイバベースのデスペックル装置で使用されるレーザは、SRSに要求される高いピークパワーを得るために、パルス化されてもよい。光学パルスのパルス幅は5nsから100nsの範囲にあってもよい。パルス周波数は5kHzから300kHzの範囲にあってもよい。ピークパワーは1Wから1000Wの範囲にあってもよい。コアの単位面積あたりのピークパワー(PPPA)は、得られるSRSの量を予測するのを助けることができる指標である。デスペックルのための十分なSRSを生成するために、PPPAは1kW/(μm)2から5kW/(μm)2の範囲にあってもよい。パルスレーザは、アクティブまたはパッシブのQスイッチや高いピークパワーを実現できる他の方法によって形成されてもよい。パルスレーザのモード構成は、波長的に密集した多くのピークを含んでもよい。SRSに加えて、他の非線形効果を使用して、さらなるデスペックルを追加してもよい。例えば、自己位相変調や四波混合はスペクトルをさらに広げ、追加的なデスペックルを提供するであろう。赤外線光をファイバに導入し、非線形拡大効果を増大させてもよい。
【0051】
図3のデスペックル装置または図7の調整可能デスペックル装置を使用して、複数の原色を生成してもよい。例えば、光ファイバにおけるSRSによって緑色光から赤原色光を生成し、フルカラーの投影ディスプレイに対して要求される赤色光のいくらかまたは全てを供給してもよい。SRS光のスペックルは低いので、SRS光を他のレーザ光に加えることで合成光におけるスペックル量を低減できる。あるいはまた、最初のレーザが青色の場合、光ファイバにおけるSRSによって青色光から緑原色光および赤原色光のいくらかまたは全てを生成してもよい。望まれないSRSピークを除去するためにフィルタを使用してもよい。緑色光からのSRSの場合、赤色光がフィルタされてもよく、または第1SRSピーク以外の全てのピークがフィルタされてもよい。このフィルタリングによって、所与の量のデスペックルに対して色の変化を低減することができる。しかしながら、フィルタされたピークが可視像を形成するのを助けるために使用されない場合、効率が犠牲となる。シフトされないピークの全てまたは一部をフィルタリングすることによってスペックルを低減することができる。典型的には、シフトされないピークはシフトされるピークよりも狭い帯域幅を有するからである。
【0052】
ファイバデスペックル後のシフトされないピークは狭いピークであり、ファイバを励起する光のスペックルに寄与する。このシフトされないピークをスペクトルから(例えば、ダイクロイックフィルタを使用して)フィルタアウトし、第2デスペックルファイバに送ってさらなるラマンシフトピークを生成し、したがって高効率を維持しつつシフトされないピークの強度を低減してもよい。シフトされないピークにおいて十分なエネルギが利用可能である限り、望まれるのであれば、追加的なデスペックルファイバをつなげてもよい。
【0053】
通常のフルカラーのディスプレイデバイスには3つの原色が存在するが、例えば4色システムや5色システムを作るために追加的な原色が生成されてもよい。SRS光をビームスプリッタで分けることで、各色範囲に入るピークを合成して各所望の原色を形成することができる。4色システムは赤原色、緑原色、青原色および追加的な黄原色からなり、黄原色は光ファイバにおけるSRSによって緑色から生成される。別の4色システムは、赤原色、青原色、490nmから520nmの範囲の緑原色および520nmから550nmの範囲の別の緑原色によって形成されてもよい。520nmから550nmの範囲の緑原色は、490nmから520nmの範囲の緑原色からSRSによって生成される。5色システムは、赤原色、青原色、490nmから520nmの範囲の緑原色、520nmから550nmの範囲の別の緑原色および黄原色を有してもよい。520nmから550nmの範囲の緑原色および黄原色は、490nmから520nmの範囲の緑原色からSRSによって生成される。
【0054】
SRS光を使用して6原色3Dシステムにおけるピークのいくらかまたは全てを生成することによって、3D投影像を形成してもよい。青色帯、緑色帯および赤色帯のそれぞれに色をフィットさせるために、レーザベースの6原色3Dシステムで使用される波長は約440nmから450nmの範囲、525nmから540nmの範囲、620nmから640nmの範囲にそれぞれあってもよい。また、それらの波長は、2つのセットの間の間隔を十分にあけてフィルタガラスによる分離を可能とするようなものであってもよい。純粋な融解石英コアからのSRSピーク間の間隔は13.2THzであるから、これは青色については約9nmの間隔を、緑色については13nmの間隔を、赤色については17nmの間隔を、設定する。したがって、SRSシフトされた第1ピークを使用することによって、440nm、525nmおよび620nmからなる原色波長の第1組から、449nm、538nmおよび637nmからなる第2組を形成することができる。原色の第2組は3つの別個のファイバにおいて生成されてもよいし、3つすべてがひとつのファイバにおいて生成されてもよい。ファイバコアのドーピングを使用して、間隔を変えてもよいし、追加的なピークを生成してもよい。
【0055】
6原色3Dシステムを生成するための別の方法は、一方の緑チャネルについてシフトされない(元の)緑ピーク足すSRSシフトされた第3ピークを使用し、他方の緑チャネルについてSRSシフトされた第1ピーク足すSRSシフトされた第2ピークを使用することである。シフトされないピークおよびSRSシフトされた第3ピークに、SRSシフトされた第4、第5および追加的なピークを合成してもよい。この方法は、2つのチャネルの間でおおまかにパワーをバランスさせることができるという利点を有する。一方の目は他方の目よりも多くのスペックルを含む像を受けるであろう。しかしながら、脳は一方の目におけるスペックルのより多い像と他方の目におけるスペックルのより少ない像とを融合し、それら2つの像を平均したレベルのスペックルを有するひとつの像を形成することができる。別の利点は、2つの緑チャネルの波長は異なるものの、2つのチャネルの色は隣接する緑チャネルからの2つの単一ピークを使用する場合よりもより良くマッチすることである。2つのOPOにおける異なる温度によって、2つの赤チャネルおよび2つの青チャネルを生成することができる。そのようなOPOは自然に光をデスペックルする。
【0056】
ほぼ縮退したOPO動作により、わずかにしか分離されていない2つの波長を生成できる。緑色光生成の場合、赤色帯や青色帯ではなく2つの異なる緑色帯を生成できる。6原色3Dシステムの2つの緑原色として2つの緑色波長を使用することができる。OPOの2つの緑色波長がSRSシフト間隔で分離されるようOPOが調整される場合、両方の元の緑色波長からのSRSシフトされたピークは同じ波長で揃うであろう。この方法は、ひとつ以上の縮退したOPOを使用するシステムをデスペックルするために使用されうる。
【0057】
DCI緑などの固定緑点を維持しつつ、ラマンシフトされた光の量を増やすために、異なる開始波長を使用してもよい。例えば、515nmの光を生成するレーザを開始波長として使用してもよく、この場合、523.5nmの開始波長と比較して、より多くのラマンシフトされた光を生成でき、DCI緑点に到達できる。515nmで開始することの効果は、同じ緑点においてその結果得られる光は523.5nmで開始する光よりも少ないスペックルを有するであろうことである。
【0058】
ひとつが523.5nmで開始しもうひとつが515nmで開始する2つの別個の緑色レーザの両方がファイバデスペックルされた後ひとつのシステムに合成される場合、スペクトルの分散性が向上するので、その結果得られるスペックルは各システムよりもさらに小さくなるであろう。これら2つのレーザからのラマンシフトされたピークは交互配置され、その結果、各緑色レーザが個々に動作した場合に有しうるピークの数の約2倍の数のピークを有する波形を生成する。
【0059】
任意の所望の波長における狭帯域レーザから別個に青色ブーストを追加してもよい。青色においては、狭帯域光であってもスペックルを観察するのは非常に難しいからである。青色ブーストは固体レーザ(DPSS)やダイレクトダイオードレーザであってもよい。青色ブーストは、6原色3Dディスプレイにおける青色ピークのうちのひとつを形成してもよい。青色ブーストが使用される場合、システム内の任意のOPOを調整して、それが赤原色や赤色のみを生成するようにしてもよい。これにより、赤色効率を向上できる。
【0060】
緑色から赤色へSRSシフトされたピークをOPOからの赤色光に追加してもよいし、OPOが存在しない場合は赤色光のすべてを供給するためにそのピークを使用してもよい。6原色3Dの場合、赤色へシフトされたひとつ以上のピークは赤チャネルのうちのひとつ以上を形成してもよいし、形成するのを助けてもよい。
【0061】
融解石英の代わりにまたはそれに加えて、SRSピークを所望の通りに追加したり除去したり変更したりする材料を使用してもよい。これらの追加的な材料はドーパントであってもよく、または光ファイバの先端または終端に追加されるバルク材料であってもよい。
【0062】
光ファイバの被覆は光を小さな体積の中に閉じ込めることによって、ファイバコアにおけるピークパワー密度を高く維持できる。被覆の代わりにまたはそれに加えて、ミラーや集束光学系やマルチパス光学系などの種々の方法を使用して光を閉じ込めることができる。光ファイバの代わりに、バルクガラスやクリスタルロッドや直方体などのより大きな直径の光学系を使用してもよい。SRSを生成するのに十分な強度を作り上げるために、水晶またはロッドを通じた複数のパスが必要とされうる。液体導波管を使用してもよく、この場合、直径を増やす際に柔軟性を追加できる。
【0063】
偏光保存型ファイバや他の偏光保存型光学要素を使用して、SRSを生成する光を閉じ込めることができる。断面が矩形のインテグレーティングロッドや断面が矩形のファイバは偏光保存型の要素の例である。偏光保存型のファイバはコア非対称性や複数のコアを含み、偏光された光を偏光が維持されるように導いてもよい。
【0064】
典型的な投影システムでは、明るさ、コントラスト比、一様性およびスペックルの間にトレードオフが存在する。照明絞り値(f#)が高いと、明るさは高くなりコントラスト比も高くなる傾向にあるが、同時に一様性は低くなりスペックルは増える傾向にある。照明絞り値(f#)が低いと、一様性は高くなりスペックルは低くなる傾向にあるが、同時に明るさは低くなりコントラスト比も低くなる傾向にある。スペクトル拡大を使用してスペックルを低減することによって、照明システムの絞り値を上昇させてもスペックルを低く維持し、かつそのような上昇によって明るさおよびコントラスト比の向上を助けることができる。高い絞り値において高い一様性を実現するために、より長いインテグレーティングロッドや投影照明アセンブリにおいて公知公用の均一化技術などの追加的な変更が要求されうる。
【0065】
2つのOPOが一緒に使用される場合、それらのOPOはわずかに異なる温度に調整されてもよい。その結果、得られる波長は異なるようになる。全体的な波長は依然としてターゲットの色を達成することができるが、帯域幅は個々のOPOの帯域幅の和へと増大される。帯域幅の増大により、デスペックルもまた増大されるであろう。各OPOにより生成されるバンドは隣接していてもよく、またはギャップによって分離されていてもよい。赤色および青色生成の場合、この技術を使用すると赤色および青色の両方を広げることができる。3原色のシステムについては、2つの近接する赤ピークと4以上の緑ピークと2つの近接する青ピークとが存在しうる。6原色のシステムについては、3以上の赤ピークであってそのうちの2以上が近接する赤ピークと、4以上の緑ピークと、3以上の青ピークであってそのうちの2以上が近接する青ピークと、が存在しうる。OPOの代わりに、要求される複数波長を生成可能な他のレーザ技術が使用されてもよい。
【0066】
スクリーンの振動または揺さぶりはスペックルを低減するための既知の方法である。スペックルを許容可能なレベルまで低減するのに必要なスクリーン振動の量は、スクリーンに入射するレーザ光のスペクトル分散性を含む多様なファクタに依存する。ラマンを使用して光のスペクトルを広げることで、要求されるスクリーン振動を劇的に低減できる。これは、偏光3Dや大規模映画館においてよく使用される銀幕や高利得ホワイトスクリーンについてもそうである。これらの特化されたスクリーンは典型的には低利得スクリーンよりも多くのスペックルを示す。ラマンデスペックルを使用する場合、スクリーン振動をミリメートルやミリメートルの何分の一かのオーダーのレベルまで低減できるので、スクリーン振動は現実的なものとなり、大きなシネマスクリーンの場合にも容易に適用できるようになる。
【0067】
他の実装もまた以下の請求項の範囲内である。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年7月12日に出願された米国特許仮出願第61/267429号の、35USCセクション119(e)の下での優先権の利益を享受する。その出願は、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
デジタル投影システムを照らすためにレーザ光源を使用することによる利点は多くあるが、レーザ光の高いコヒーレンスは画像に望まれないスペックルを生成する傾向にある。既知のデスペックル方法は一般に、偏光多様化や角度分散や波長多様化のカテゴリに入る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
レーザ投影産業では、より効果的なデスペックル方法が長らく必要とされてきた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
主に、ある態様では、光ファイバにおける誘導ラマン散乱がその光ファイバから出力される光のスペックルを低減するような光学装置である。
【0005】
実装は以下の特徴のうちのひとつ以上を含んでもよい。光ファイバのコア径および長さは、スペックルの所望量の低減を実現するように選択されてもよい。光ファイバはマルチモードファイバであってもよい。コア径および長さは、所望の色の光出力が得られるように選択されてもよい。所望の色は原色であってもよい。原色は緑色であってもよい。青色および赤色を生成する光学パラメータ式増幅器が存在してもよい。誘導ラマン散乱の一部は赤色であってもよい。赤色の誘導ラマン散乱光と合成される赤色の光源が存在してもよい。誘導ラマン散乱の一部は黄色であってもよく、その一部を使用して4原色のデジタル投影画像を形成してもよい。緑色の光出力はu'=0.099 +/- 0.01およびv'=0.578 +/- 0.01の色度を有してもよい。レーザ光源およびデジタルプロジェクタが存在してもよい。レーザ光源は光ファイバを照らしてもよく、光ファイバはデジタルプロジェクタを照らしてもよい。レーザ光源はパルスレーザおよび二次高調波生成器を含んでもよい。レーザ光源は523.5nm、515nmまたは532nmの出力を有してもよい。光結合システムおよび均質化デバイスが存在してもよい。レーザ光源は光結合システムを照らしてもよく、光結合システムは光ファイバを照らしてもよく、光ファイバは均質化デバイスを照らしてもよく、均質化デバイスはデジタルプロジェクタを照らしてもよい。第2光ファイバおよび可変光スプリッタが存在してもよい。可変光スプリッタは第1光ファイバおよび第2光ファイバを照らしてもよく、第2光ファイバにおける誘導ラマン散乱は第2光ファイバからのスペックルを低減してもよい。可変光スプリッタは、回転波長板および偏光ビームスプリッタを含んでもよい。第2光ファイバは、スペックルの所望量の低減を実現するように選択されたコア径および長さを有してもよい。レーザ光源は可変光スプリッタを照らしてもよく、第1光ファイバおよび第2光ファイバはデジタルプロジェクタを照らしてもよい。可変光スプリッタは、第1光ファイバと第2光ファイバとの合成光出力について所望の色が得られるように調整されてもよい。
【0006】
主に、ある態様では、レーザプロジェクタは青色のレーザ光源と光ファイバと空間光変調器とを含む。青色のレーザ光源は光ファイバを照らし、光ファイバは空間光変調器を照らし、光ファイバにおける誘導ラマン散乱はデスペックルされた緑色の光およびデスペックルされた赤色の光を生成する。
【0007】
主に、ある態様では、デスペックル方法は、レーザビームを生成することと、レーザビームを光ファイバに集束させることと、光ファイバにおいて誘導ラマン散乱光を生成することと、誘導ラマン散乱光を使用してデジタル投影画像を形成することと、を含む。
【0008】
主に、ある態様では、デスペックル方法は、第1レーザビームを生成することと、第1レーザビームを第2および第3レーザビームに分割することと、第2レーザビームを第1光ファイバに集束させることと、第1光ファイバにおいて第1誘導ラマン散乱光を生成することと、第3レーザビームを第2光ファイバに集束させることと、第2光ファイバにおいて第2誘導ラマン散乱光を生成することと、第1誘導ラマン散乱光と第2誘導ラマン散乱光とを合成し、合成誘導ラマン散乱光を形成することと、合成誘導ラマン散乱光を使用して、デジタル投影画像を形成することと、第2レーザビームおよび第3レーザビームにおける光量を調整することで、デジタル投影画像においてある原色について所望の色を得ることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】中間のパワーでの誘導ラマン散乱のグラフである。
【0010】
【図2】高いパワーでの誘導ラマン散乱のグラフである。
【0011】
【図3】デスペックル装置を備えるレーザ投影システムの上面図である。
【0012】
【図4】デジタルシネマイニシアチブ(DCI)およびRec709標準との比較での、レーザプロジェクタの色域のカラーチャートである。
【0013】
【図5】デスペックル装置についての、色対パワーのグラフである。
【0014】
【図6】デスペックル装置についての、スペックルコントラスト対色および発光効率対色のグラフである。
【0015】
【図7】調整可能デスペックル装置を備えるレーザ投影システムの上面図である。
【0016】
【図8】調整可能デスペックル装置についての、第1ファイバへのパワーのパーセント対トータルのパワー、第1ファイバからの色対トータルのパワー、および第2ファイバからの色対トータルのパワーのグラフである。
【0017】
【図9】調整可能デスペックル装置を備える3色レーザ投影システムの上面図である。
【0018】
【図10】OPOの後で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図である。
【0019】
【図11】OPOの前で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図である。
【0020】
【図12】OPOの前後で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図である。
【0021】
【図13】デスペックル方法のフローチャートである。
【0022】
【図14】調整可能デスペックル方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
米国特許第5274494号に記載されるように、画像投影用の光をデスペックルするために、誘導ラマン散乱(SRS)を使用したラマンガスセルが使用されている。SRSは非線形な光学的現象であり、そこでは光子が分子によって散乱され、より低い周波数の光子となる。「Nonlinear Fiber Optics」、Govind Agrawal著、Academic Press、Third Edition、第298頁-第354頁には、SRSについて十分な説明がなされている。図1は、中間のパワーでの光ファイバからの誘導ラマン散乱出力のグラフを示す。その中間のパワーは、SRSを生成するしきい値よりもほんの少しだけ大きい。x軸は波長をナノメートル(nm)で示し、y軸は強度を対数目盛、dBmで示す。y軸は最も高いピークに対して規格化されている。523.5nmにある第1ピーク100は、ラマン散乱でない光である。第1ピーク100のスペクトル帯域幅は約0.1nmであるが、スペクトル測定の分解能は1nmであるから、第1ピーク100の幅は図1では分解できない。536.5nmの第2ピーク102は、SRSによってシフトされたピークである。第1ピーク100と比べて低減された第2ピーク102の強度に注目してほしい。第2ピーク102は第1ピーク100よりもかなり大きな帯域幅を有する。第2ピーク102の半値全幅(FWHM)による帯域幅は約2nmであり、これは最大値から−3dBm下ったところで測定される。これは、第1ピーク100の約20倍のスペクトル拡大を示す。550nmの第3ピーク104は第2ピーク102よりもさらに低い強度を有する。第3ピーク104を超えるピークはこのパワーレベルでは見られない。
【0024】
光ファイバにおける非線形現象は、自己位相変調、誘導ブリリアン散乱(SBS)、四波混合およびSRSを含みうる。特定のファイバ、特定のレーザでどの非線形効果が生じるかについての予測は複雑であり、数学的モデリングに従いにくい。これはマルチモードファイバについて特にそうである。通常、SBSはSRSよりもかなり低いしきい値で開始し、大きなSBS反射のためにSRSの形成が阻害されるであろうことが予測されている。他の非線形効果ではなくSRSが支配的となりうるひとつの可能性のあるメカニズムは以下の通りである。すなわち、パルスレーザのモード構造が多数の密集したピークを形成して、各ピークはSBSを生じさせるには十分でない光学的パワーを有する場合である。
【0025】
図2は、図1よりも高いパワーでの誘導ラマン散乱のグラフを示す。x軸は波長をナノメートルで示し、y軸は強度を対数目盛、dBmで示す。y軸は最も高いピークに対して規格化されている。523.5nmにある第1ピーク200は、ラマン散乱でない光である。536.5nmの第2ピーク202は、SRSによってシフトされたピークである。第1ピーク200と比べて低減された第2ピーク202の強度に注目してほしい。550nmの第3ピーク204は第2ピーク202よりもさらに低い強度を有する。564nmの第4ピーク206は第3ピーク204よりも低く、578nmの第5ピーク208は第4ピーク206よりも低い。図2のより高いパワーでは、図1の中間のパワーの場合よりも多くのパワーがSRSピークへシフトしている。一般に、第1ピークに注がれるパワーが多くなるほど、より多くのSRSピークが現れ、より多くのパワーがSRSピークへシフトする。図1および図2の例では、SRSピーク間の間隔は約13nmから14nmである。図1および図2に示されるように、SRSは連続的な複数の波長帯に亘る光を生成し、波長多様性のメカニズムによってデスペックルを可能とする。SRSを伴う光ファイバからの出力が大抵の視覚的状況の下で目に見えるスペックルを示さない程度まで、強力なデスペックルが生じうる。スペックルパターンの最大点および最小点は波長の関数であり、より多くの波長に亘って平均化することで、スペックルを低減できる。スペックル低減方法の詳細な説明は、「Speckle Phenomena in Optics」、Joseph W. Goodman著、Roberts and Company Publishers、2007、第141頁-第186頁、に見られる。
【0026】
図3は、光ファイバにおけるSRSに基づくデスペックル装置を備えるレーザ投影システムの上面図である。レーザ光源302は光結合システム304を照らす。光結合システム304はコア308を有する光ファイバ306を照らす。光ファイバ306は均質化デバイス310を照らす。均質化デバイス310はデジタルプロジェクタ312を照らす。照らすことは、照らされる部分が照らす部分からの光を使用するよう、光を生成するか通過させるか導くことを意味する。照らす部分と照らされる部分との間に、図3には示されない追加的な要素が存在しうる。光結合システム304およびコア308を伴う光ファイバ306はデスペックル装置300を形成する。レーザ光源302はパルスレーザであってもよく、光ファイバ306にSRSを生成するのに十分なほど高いピークパワーを有する。光結合システム304はひとつのレンズであってもよく、レンズ列であってもよく、または光をコア308に集束させるよう設計された他の光学要素であってもよい。光ファイバ306は、コアのサイズおよび長さが所望量のSRSを生成するよう選択される光ファイバであってもよい。均質化デバイス310は、ミキシングロッドやフライアイレンズやディフューザや光ビームの空間一様性を改善する他の光学要素であってもよい。デジタルプロジェクタ312は、デジタルマイクロミラー(DMD)や液晶デバイス(LCD)やシリコン上液晶(LCOS)や他のデジタル光バルブに基づくプロジェクタであってもよい。さらに光を導くかデスペックルするために、追加的なレンズやディフューザやバイブレータや光ファイバなどの追加的な要素が含まれてもよい。
【0027】
開口数0.22を有する融解石英の標準的なファイバの場合、平均入力パワーが523.5nmにおいて3ワットであるとき、コアのサイズは直径40マイクロメートルであり、長さは110メートルであってもよい。より高いまたは低い入力パワーの場合、長さおよび/またはコアのサイズは適切に調整されてもよい。例えば、より高いパワーの場合、コアのサイズを増やすか長さを減らすかすることで、3ワットの例と同じ量のSRSを生成してもよい。図1は、開口数0.22を有する融解石英の標準的なファイバであって、平均入力パワーが523.5nmにおいて2ワットであるときのコアのサイズが直径40マイクロメートルであり、長さが110メートルであるファイバのスペクトル出力を示す。図2は、平均入力パワーが4ワットであるときの同じシステムの出力を示す。両方の場合において、パルスレーザは、Qスイッチ型で2倍周波数のネオジウムドープされたイットリウムリチウムフッ素(Nd:YLF)レーザである。そのレーザは、焦点距離が18.4mmの単一非球面レンズを備える光ファイバに結合される。あるいはまた、2倍周波数のネオジウムドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)レーザが使用されてもよい。そのレーザは532nmの波長の光出力を有する。本明細書における平均入力パワーの例は、パルス幅が50nsであり周波数が16.7kHzであるレーザパルスに対応する。
【0028】
図4は、DCIおよびRec709標準との比較での、レーザプロジェクタの色域のカラーチャートを示す。図4のx軸およびy軸は、国際照明委員会(CIE)1976色空間のu'座標およびv'座標を示す。各色域は赤原色、緑原色および青原色によって形成されるひとつの三角形として示されており、それら3つの原色はその三角形の頂点を形成する。デジタルプロジェクタの他の色は、種々の量の3つの原色を混合し、色域三角形内の色を形成することによって、生成される。第1三角形400は、452nm、523.5nmおよび621nmに原色を有するレーザプロジェクタの色域を示す。第2三角形402は、DCI標準の色域を示す。DCI標準は、映画館などの大きな会場におけるデジタル映画についてよく受け入れられている。第3三角形404は、国際電気通信連合の無線通信(ITU−R)のリコメンデーション709(Rec.709)標準の色域を示す。この標準は、高品位テレビの放送についてよく受け入れられている。緑点410は523.5nmにおけるレーザプロジェクタの緑原色である。赤点412は、621nmにおけるレーザプロジェクタの赤原色である。線414(太い線で示される)は、緑点410と赤点412との間の連続体に沿った色の可能な範囲を示す。線414に沿った色は、黄色、オレンジ色および赤色を緑原色と混ぜることによって得られる。黄色やオレンジ色や赤色が多いほど、緑色は線414に沿って赤色側に向けてより多く引っ張られる。本明細書の目的のために、「GR色」は線414上の位置をパーセントで表したものとして定義される。例えば、緑点410における純粋な緑色は、0%のGR(緑−赤)色を有する。赤点412における純粋な赤色は100%のGR色を有する。DCIの緑点416はu'=0.099およびv'=0.578にあり、13.4%のGR色を有する。これは、緑点410とDCIの緑点416との距離が、緑点410と赤点412との距離の13.4%であることを意味する。第3三角形404のRec709緑点が線414まで外挿された場合、結果として得られるRec709緑点418は18.1%のGR色を有する。GR色のコンセプトは以下の通りである。すなわち、図4の二次元グラフに示されるような二次元u'v'色を、線414に沿った一次元色へ縮約し、他の変数をGR色の関数として簡単に二次元でプロットできるようにする方法を提供するものである。SRSを経た523.5nmの緑原色の場合、元の緑色は部分的に黄色、オレンジ色および赤色に変換される。その結果得られる合成色は線414に沿って引かれ、GR%は上昇する。緑原色についてはDCI緑点が望ましいターゲットでありうるが、色のある程度の変動は許容されうる。例えば、u'値およびv'値の約+/-0.01の変動は許容されうる。
【0029】
図5は、デスペックル装置についての、色対パワーのグラフを示す。x軸は、図3に示される装置などのデスペックル装置の光ファイバから出力されるパワーをワットの単位で示す。y軸は、図4で説明されたようなGR色をパーセントで示す。光ファイバは前の例と同じパラメータ(コア径は40マイクロメートル、長さは110メートル)を有する。曲線500は、色が出力パワーの関数としてどのように変化するかを示す。出力パワーが増えるにつれて、GR色は徐々に増加する。曲線は、以下の3次多項式によってフィットされうる。ここで、「p」はワット単位での出力パワーである。
【数1】
第1線502は13.4%のGR色においてDCI緑点を示し、第2線504は約18.1%においてRec709緑点を示す。DCI緑点に到達するために要求される平均パワー出力は約2.1Wであり、Rec709点に到達するために要求される平均出力パワーは約2.3Wである。
【0030】
図6は、図3に示される装置などのデスペックル装置についての、スペックルコントラスト対色、および発光効率対色、のグラフを示す。x軸はGR色をパーセントで示す。左側のy軸は、スペックルコントラストをパーセントで示し、右側のy軸は発光効率をルーメンス/ワットの単位で示す。スペックルコントラストはスペックル特性であり、観察される像におけるスペックル量を量的に表す。スペックルコントラストは、特定の像についての、ピクセル強度の標準偏差をピクセル強度の平均で除したものとして定義される。不均一な照明やピクセル間の暗い線(スクリーンドア効果)などの他のファクタに起因する強度変動は除去されるはずであり、したがって、スペックルだけがピクセル強度の差を生成する。測定されるスペックルコントラストは測定のジオメトリや装置にも依存するので、測定を比較する際にはこれらを規格化する必要がある。スペックルの他の特徴を表すために、数学的に他のスペックル特性を定義してもよい。図6の例では、スクリーンの高さ2つ分の距離からキャノンEOSデジタルレーベルXTiカメラで撮った像のピクセル強度を解析することによって、スペックルコントラストの測定を行った。自動シャッタースピードを使用した。また、レンズ焦点距離として30mmを使用し、絞り値として9.0を使用することで、虹彩を直径3mmに固定した。追加的な測定パラメータとして、ISOを100とし、モノクロデータ記録を使用し、手動フォーカスを使用した。プロジェクタはデジタルプロジェクションタイタンであった。そのプロジェクタはQスイッチ型で2倍周波数のNd:YLFレーザからの緑色のレーザ光によって照らされた。そのレーザは、40マイクロメートルコアで110メートル長の光ファイバと結合された。その光ファイバは18.4mmの焦点距離を有する単一非球面レンズを伴った。プロジェクタへの入力における回転ディフューザによって、均一性が改善され、デスペックルが少なくなった。
【0031】
スペックルコントラスト測定パラメータが上述の通りである場合、通常の視力を有する訓練されていない観測者は、100%のフル強度のテストパターンを見たときに、1%のスペックルをほとんど見ることができない。通常の低利得スクリーンをレーザでないプロジェクタで見た場合、そのようなスクリーンは、0.1%から1%の範囲になりうるスパークル(sparkle)や他の非一様性を有する。本明細書の目的のために、大抵の視覚的条件の下で大抵の観測者がスペックルを観測しないというポイントとして1%のスペックルコントラストを採用する。静止画においては通常、5%のスペックルコントラストは訓練されていない観測者がよく気付く程度のものであるが、動画においては大抵は見ることができないものである。
【0032】
図6の第1曲線600は、測定されたスペックルコントラストとGR色との関係を示す。GR色が増えるにつれて、スペックルコントラストは減少する。スペックルコントラストを1%近くの可視スペックルがない領域まで減らす場合に、良いデスペックルが得られうる。図6の例では、第1線602は約2%のスペックルコントラストを有するDCI緑点を示し、第2線604は約1%のスペックルコントラストを有するRec709緑点を示す。特定の構成において得られるスペックルコントラストは、プロジェクタのタイプやレーザのタイプやファイバのタイプやディフューザのタイプやスペックルコントラスト測定装置を含む多くの変数の関数となるであろう。第3線606は、システムが測定可能な最小のスペックルコントラストを示す。測定可能な最小のスペックルコントラストは、広帯域白色光源でスクリーンを照らすことによって決定され、本例では約0.3%に等しい。測定可能な最小のスペックルコントラストは一般に、スクリーンの不均一さ(すなわち、スパークル)やカメラの限界(すなわち、ノイズ)などのファクタによって決定される。
【0033】
図6の第2曲線608は、ホワイトバランスされた発光効率とGR色との関係を示す。ホワイトバランスされた発光効率は、人間の目のスペクトル応答から計算可能であり、D63白点に到達するために適正な量の621nm赤色光および452nm青色光を含む。図6によってカバーされる範囲(0%から25%)においてGR色が増えるにつれて、ホワイトバランスされた発光効率はほぼ線形に、0%のGR色における約315lm/wからDCI緑における約370lm/wおよびRec709緑点における約385lm/wまで増大する。発光効率のこの増大は明るさを改善するために有益であり、またデスペックル装置を追加することによって生じるロスを補償するのを助ける。
【0034】
図7は、調整可能デスペックル装置を備えるレーザ投影システムの上面図を示す。図7は、図3のデスペックルで使用されるようなひとつのファイバではなく、デスペックルのために2つのファイバを組み入れている。図3のデスペックル装置では、光ファイバ306に結合される光学パワーを変えることによって、デスペックルの量および色点を所望の通りに調整することが可能となっている。図7は新たな独立変数を導入する。その独立変数は、2つのファイバのうちの一方と結合される光学パワーの割合である。残りのパワーは他方のファイバに結合される。デスペックル装置を通じて送られるトータルのパワーは、各ファイバにおけるパワーの和である。その追加的な変数によって、限られた調整範囲に亘る任意の光学パワーについて、デスペックルおよび色点を単一の所望の動作点に調整することができる。
【0035】
図7では、偏光レーザ光源702は回転波長板704を照らす。回転波長板704は光の偏光ベクトルを変化させる。その結果、光は2つの偏光状態のそれぞれについて所望量の光を含む。回転波長板704は偏光ビームスプリッタ(PBS)706を照らす。PBS706は光を2つのビームに分ける。一方の偏光状態にある一方のビームは第1光結合システム708を照らす。直交する偏光状態にある他方のビームは折り曲げミラー714で反射され、第2光結合システム716を照らす。第1光結合システム708は第1コア712を有する第1光ファイバ710を照らす。第1光ファイバ710は均質化デバイス722を照らす。第2光結合システム716はコア720を有する第2光ファイバ718を照らす。第2光ファイバ718は第1光ファイバ710と合わせて均質化デバイス722を照らす。均質化デバイス722はプロジェクタ724を照らす。回転波長板704、PBS706および折り曲げミラー714は可変光スプリッタ730を形成する。可変光スプリッタ730、第1光結合システム708、第2光結合システム716、コア712を備える第1光ファイバ710、およびコア720を備える第2光ファイバ718は、デスペックル装置700を形成する。レーザ光源702は偏光パルスレーザであってもよく、第1光ファイバ710および第2光ファイバ718にSRSを生成するのに十分なほど高いピークパワーを有する。第1光結合システム708および第2光結合システム716のそれぞれは、ひとつのレンズであってもよく、レンズ列であってもよく、または光を第1コア712、第2コア720それぞれに集束させるよう設計された他の光学要素であってもよい。第1光ファイバ710および第2光ファイバ718のそれぞれは、コアのサイズおよび長さが所望量のSRSを生成するよう選択される光ファイバであってもよい。第1光ファイバ710および第2光ファイバ718は同じ長さであっても異なる長さであってもよく、同じコアのサイズを有しても異なるコアのサイズを有してもよい。さらに光を導くかデスペックルするために、追加的なレンズやディフューザやバイブレータや光ファイバなどの追加的な要素が含まれてもよい。
【0036】
図8は、図7に示されるタイプの調整可能デスペックル装置についての、第1光ファイバへのパワー対トータルのパワー、第1光ファイバからの色対トータルのパワー、および第2光ファイバからの色対トータルのパワーのグラフである。x軸はトータルの平均光学パワーをワットの単位で示す。図8を導くために使用された数学的モデルはロス(散乱や吸収や結合など)がないと仮定しており、各ファイバへの入力パワーは各ファイバからの出力パワーと等しい。トータル光学パワーは、第1ファイバおよび第2ファイバにおけるパワーの和に等しい。左側のy軸はパワーをパーセントで示し、右側のy軸はGR色をパーセントで示す。図8の例では、ターゲット色はDCI緑点(GR色=13.4%)である。可変光スプリッタを調整することによって、図8の全ての点は2つのファイバの合成出力についてDCI緑点を維持する。2つのファイバは同等であり、各ファイバは、8ワットの平均光学パワーにおいてDCI緑点に到達するように選択されたコア径および長さを有する。図8の数学的シミュレーションにおいて、図5で説明された三次多項式フィットが使用される。第1曲線800は、両ファイバの合成トータル出力をDCI緑色点に保つために必要な第1ファイバのパワーを示す。図8の線806は、13.4%のGR色におけるDCI緑色点を示す。8ワットのトータル平均パワーにおいて、第1ファイバに0%パワーを与え、第2ファイバに100%パワーを与えることで、DCI緑点を得ることができる。第2ファイバはDCI緑点を与えるよう選択されるからである。トータルパワーが増えるにつれて、可変光スプリッタは、第1ファイバがより多くのパワーを運ぶよう調整される。パワーと色との(図5の曲線500で示されるような)非線形な関係により、トータルパワーを増大させつつ両ファイバの合成出力をDCI緑点に留まらせることができる。16ワットの最大平均パワーにおいて、第1ファイバはトータルパワーの50%を有し、第2ファイバはトータルパワーの50%を有し、各ファイバは8ワットを運ぶ。
【0037】
図8の第2曲線802は、第1ファイバの出力の色を示す。図8の第3曲線804は、第2ファイバの出力の色を示す。第3曲線804はトータル平均パワーが約14ワットのところで最大になる。そこでは、第2ファイバの平均パワーは約9ワットである。9ワットは、第2ファイバにおいてDCI緑に達するのに必要な8ワットよりも大きいので、第2ファイバからの光のGR色は約18%であり、これはDCI緑に対応する13.4%よりも高い。トータル平均パワーが14ワットよりも高くなるよう増やされると、第2ファイバの光量が減らされる。トータル平均パワーが16ワットに到達すると、各ファイバの平均パワーは8ワットに到達する。図8の例は、各ファイバのパワーの量を調整することによって、トータル平均パワーを8ワットから16ワットまで変化させつつも全体の色をDCI緑で一定に保つことができることを示す。図8には示されていないが、同じパワーの範囲に亘ってデスペックルもまたほぼ一定に保たれる。
【0038】
前の例は同じ長さの2つのファイバを使用する。しかしながら、ファイバ長に沿った散乱に起因するロスを可能な限り低下させるためや製造を容易とするためやファイバへの結合を最大化するためなどの特定の目的を達成するために、ファイバの長さを等しくしなくてもよい。極端な場合、ファイバを1つだけ使用してもよく、その場合第2経路はファイバを通過しない。偏光に基づく可変光スプリッタの代わりに、他のタイプの可変光スプリッタを使用してもよい。一例はくさび型多層コーティングに基づく可変光スプリッタであり、このスプリッタは基板の位置が変わるにつれてより多いまたはより少ない反射および透過を提供するよう移動する。ガラス上にパターン形成されるミラーコーティングは、基板の一方の側に密なミラーフィルパターンを使用し、基板の他方の側に疎なミラーフィルパターンを使用することによって、同じ効果を達成することができる。可変光スプリッタはソフトウエアによる制御下にあってもよく、フィードバックを使用して可変光スプリッタの調整を決定してもよい。フィードバックに使用されるパラメータは色、強度、スペックルコントラスト、または他の任意の測定可能な光の特性であってもよい。ラマンシフトされた光のみやひとつのラマンピークのみや特定的に選択されたラマンピークを透過させるフィルタは、光検出器と共に使用されうる。緑色光のトータル量との比較によって、または、シフトされていない緑ピークとの比較によって、デスペックルの量を決定することができる。図7に示される2ファイバデスペックラの代わりにまたはそれに加えて、他の調整方法を使用してもよい。例えば、ファイバに可変光学減衰器を組み込んでもよく、またはファイバへの入射に係る開口数を変えてもよく、またはファイバの曲げ半径を変えてもよい。
【0039】
図8の例は数学的近似であり、それはロスやSRSの実際のスペクトルなどの二次的な効果を含んでいない。図7に係る2つの同等なファイバを使用する調整可能デスペックラを動作テストしたところ、実際の調整可能範囲は、図8に示される範囲よりも約75%大きい可能性があることが示された。
【0040】
3色レーザプロジェクタについて、結果として得られるフルカラー像が低いスペックルを有するためには、3つの色全てが低いスペックルを有さなくてはならない。緑色光がダブルパルスレーザから形成され、赤色光および青色光がその緑色光から光学パラメータ式増幅器(OPO)によって形成される場合、OPOからの赤色光および青色光の拡大のため、その赤色光および青色光は当然低いスペックルを有するであろう。図7で説明される装置などのデスペックル装置を使用して、緑色光のみをデスペックルしてもよい。そのようなシステムの上面図が図9に示される。第1レーザ光源926は第1折り曲げミラー928を照らし、第1折り曲げミラー928は光結合システム932を照らす。光結合システム932は第2折り曲げミラー930を照らす。第2折り曲げミラー930はコア936を有する光ファイバ934を照らす。光ファイバ934は均質化デバイス922を照らす。第2レーザ光源902は回転波長板904を照らす。回転波長板904は光の偏光ベクトルを変化させる。その結果、光は2つの偏光状態のそれぞれについて所望量の光を含む。回転波長板904はPBS906を照らす。PBS906は光を2つのビームに分ける。一方の偏光状態にある一方のビームは第2光結合システム908を照らす。直交する偏光状態にある他方のビームは第3折り曲げミラー914で反射され、第3光結合システム916を照らす。第2光結合システム908は第2コア912を有する第2光ファイバ910を照らす。第2光ファイバ910は第1光ファイバ934と合わせて均質化デバイス922を照らす。第3光結合システム916はコア920を有する第3光ファイバ918を照らす。第3光ファイバ918は第1光ファイバ934および第2光ファイバ910と合わせて均質化デバイス922を照らす。第3レーザ光源938は第4折り曲げミラー940を照らし、第4折り曲げミラー940は第4光結合システム944を照らす。第4光結合システム944は第5折り曲げミラー942を照らす。第5折り曲げミラー942はコア948を有する光ファイバ946を照らす。第4光ファイバ946は第1光ファイバ934、第2光ファイバ910および第3光ファイバ918と合わせて均質化デバイス922を照らす。均質化デバイス922はプロジェクタ924を照らす。回転波長板904、PBS906,第3折り曲げミラー914、第2光結合システム908、第3光結合システム916、コア912を備える第2光ファイバ910、およびコア920を備える第3光ファイバ918は、デスペックル装置900を形成する。第1レーザ光源926は赤色レーザであってもよく、第2レーザ光源902は緑色レーザであってもよく、第3レーザ光源938は青色レーザであってもよい。第1レーザ光源926および第3レーザ光源938はOPOによって形成されてもよい。OPOは第2レーザ光源902からの光で動作する。第2レーザ光源902はパルスレーザであってもよく、第2光ファイバ910および第3光ファイバ918にSRSを生成するのに十分なほど高いピークパワーを有する。さらに光を導くかデスペックルするために、追加的なレンズやディフューザやバイブレータや光ファイバなどの追加的な要素が含まれてもよい。
【0041】
図9は、各ファイバにおける光のひとつの色を示す。あるいはまた、複数の色を単一のファイバに合わせ入れてもよい。例えば、赤色光および青色光の両方を同じファイバによって運んでもよく、この場合、ファイバの総数を4から3に低減できる。他の可能性は、赤色光と一方の緑色光とをひとつのファイバに合わせ入れ、かつ、青色光と他方の緑色光とをもうひとつのファイバに合わせ入れることであり、この場合、ファイバの総数は2に低減される。
【0042】
デスペックル装置は、OPOの前、OPOの後、またはOPOの前後両方において取得された光で動作してもよい。システムにおけるデスペックル装置の最適な位置は、各ステージで利用可能な光学パワーの量や望まれるデスペックルの量などの種々のファクタに依存しうる。図10は、OPOの後で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図を示す。第1ビーム1000はOPO1002に入る。OPO1002は第2ビーム1004、第4ビーム1010および第5ビーム1012を生成する。第2ビーム1004はデスペックル装置1006に入る。デスペックル装置1006は第3ビーム1008を生成する。第1ビーム1000、第2ビーム1004および第3ビーム1008は緑色光であってもよい。第4ビーム1010は赤色光であってもよく、第5ビーム1012は青色光であってもよい。デスペックル装置1006は固定型のデスペックラであってもよく、または調整可能デスペックラであってもよい。
【0043】
図11は、OPOの前で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図を示す。スプリッタ1102によって、第1ビーム1100は第2ビーム1104と第3ビーム1106とに分けられる。第3ビーム1106は折り曲げミラー1108で反射され、第4ビーム1110を生成する。第4ビーム1110はデスペックル装置1112に入る。デスペックル装置1112は第5ビーム1114を生成する。第2ビーム1104はOPO1116に入る。OPO1116は第6ビーム1118および第7ビーム1120を生成する。第1ビーム1100、第2ビーム1104、第3ビーム1106、第4ビーム1110および第5ビーム1114は緑色光であってもよい。第6ビーム1118は赤色光であってもよく、第7ビーム1120は青色光であってもよい。スプリッタ1102は固定型のスプリッタであってもよいし、可変スプリッタであってもよい。デスペックル装置1112は固定型のデスペックラであってもよく、または調整可能デスペックラであってもよい。
【0044】
図12は、OPOの前後で取得された光のデスペックルを備える3色レーザ投影システムのブロック図を示す。スプリッタ1202によって、第1ビーム1200は第2ビーム1204と第3ビーム1206とに分けられる。第3ビーム1206は折り曲げミラー1208で反射され、第4ビーム1210を生成する。第4ビーム1210は第1デスペックル装置1212に入る。第1デスペックル装置1212は第5ビーム1214を生成する。第2ビーム1204はOPO1216に入る。OPO1216は第6ビーム1218、第7ビーム1224および第8ビーム1226を生成する。第6ビーム1218は第2デスペックル装置1220に入る。第2デスペックル装置1220は第9ビーム1222を生成する。第1ビーム1200、第2ビーム1204、第3ビーム1206、第4ビーム1210、第5ビーム1214、第6ビーム1218および第9ビーム1222は緑色光であってもよい。第7ビーム1224は赤色光であってもよく、第8ビーム1226は青色光であってもよい。スプリッタ1202は固定型のスプリッタであってもよいし、可変スプリッタであってもよい。第1デスペックル装置1212および第2デスペックル装置1220は固定型のデスペックラであってもよく、または調整可能デスペックラであってもよい。
【0045】
図13は、図3に示される装置に対応するデスペックル方法を示す。ステップ1300において、レーザビームが生成される。ステップ1302において、レーザビームは光ファイバのコアに集束される。ステップ1304において、光ファイバでSRS光が生成される。ステップ1306において、SRS光を使用してデジタル投影画像を形成する。均質化や混合や分離や再合成やさらなるデスペックルなどの追加的なステップを含めてもよい。
【0046】
図14は、図7に示される装置に対応する調整可能デスペックル方法を示す。ステップ1400において、第1レーザビームが生成される。ステップ1402において、第1レーザビームを第2および第3レーザビームに分ける。ステップ1404において、第2レーザビームは第1光ファイバのコアに集束される。ステップ1406において、第1光ファイバで第1SRS光が生成される。ステップ1410において、第3レーザビームは第2光ファイバのコアに集束される。ステップ1412において、第2光ファイバで第2SRS光が生成される。ステップ1416において、第1SRS光と第2SRS光とを合成する。ステップ1420において、合成SRS光を使用してデジタル投影画像を形成する。ステップ1422において、第2および第3ビームの光量を調整し、所望の原色を得る。均質化や混合やさらなる分離やさらなる再合成やさらなるデスペックルなどの追加的なステップを含めてもよい。
【0047】
ファイバベースのデスペックル装置でSRSを生成するために使用されるファイバは、シングルモードファイバであってもよいし、マルチモードファイバであってもよい。シングルモードファイバは一般に10マイクロメートル以下のコア径を有する。マルチモードファイバは一般に10マイクロメートル以上のコア径を有する。要求される光学パワーに依存して所望量のSRSを生成するために、マルチモードファイバは典型的には20マイクロメートルから400マイクロメートルの範囲のコアのサイズを有してもよい。非常に高いパワーの場合、1000ミクロンや1500ミクロンなどのさらに大きなコアのサイズでもSRSを経験しうる。一般に、単位断面積当たりのパワーが十分高いとSRSが発生するであろう。断面積をより大きくすると、他の全ての変数が等しく保たれる場合、ファイバをより長くする必要がある。マルチモードファイバの被覆は125マイクロメートルの直径を有しうる。SRSを生成するためにマルチモードファイバに入力される平均光学パワーは1ワットから200ワットの範囲にあるであろう。SRSを生成するためにシングルモードファイバに入力される平均光学パワーは一般に、マルチモードファイバでSRSを生成するために要求される平均光学パワーよりも小さい。マルチモードファイバの長さは10メートルから300メートルの範囲にあってもよい。平均光学パワー入力が3ワットから100ワットの範囲にある場合、ファイバのコアのサイズは40マイクロメートルから62.5マイクロメートルであってもよく、長さは50メートルから100メートルであってもよい。光ファイバのコアの材質は通常の融解石英であってもよく、またはSRS効果を増大させたりSRSピークの波長を変えたりするためにコアをゲルマニウムなどの材料でドープしてもよい。
【0048】
SRSを生成するためには、コア径が制限されているなかで、大量の光学パワーを光ファイバに結合させなければならない。効率的で信頼性の高い結合のために、特注のレンズやファイバやアライメント技術が必要であるかもしれない。通常、自由空間におけるレーザビームの光学パワーの80%から90%がマルチモード光ファイバに結合されうる。30マイクロメートルから50マイクロメートルの範囲のコア径を有するファイバへ数十ワットの平均光学パワーを結合させるために、大径のエンドキャップや金属化ファイバや両面クラッドファイバやファイバ面への反射防止コーティングや屈折率分布レンズや高温接着剤や他の方法が商用的に利用可能である。光子的または「ホーリー(holey)」なファイバを使用して、ラマンシフト効果をほぼ同じに保ちつつ直径を大きくしてもよい。50マイクロメートルから100マイクロメートルの範囲のコアのサイズを有するファイバへ、数百ワットの平均光学パワーを結合させることができる。SRSの最大量、したがってスペックルの最小量は、ファイバに信頼性高く結合されうる最大パワーによって決定されてもよい。
【0049】
光ファイバは散乱および吸収を経験し、それらは光学パワーのロスを引き起こす。可視光領域では、主なロスは散乱である。通常の融解石英光ファイバは、緑色について、1キロメートルあたり約15dBのロスを有する。特別に製造されたファイバは緑色に対して最適化されていてもよく、緑色についてロスが1キロメートルあたり10dB以下であってもよい。青色のロスは緑色のロスよりも高くなる傾向にある。赤色のロスは緑色のロスよりも低くなる傾向にある。低ロスファイバの場合であっても、デスペックルのために使用されるファイバ長はロスを低減するためにできるだけ短く維持されてもよい。ファイバを短くするということは、同じ量のSRSしたがって同じ量のデスペックルを得るためにコア径をより小さくするということを意味する。ハイパワー結合の困難性により小さなコアに結合されうるパワーの量が制限されうるので、結合がファイバの最小長さを制限することもありうる。
【0050】
ファイバベースのデスペックル装置で使用されるレーザは、SRSに要求される高いピークパワーを得るために、パルス化されてもよい。光学パルスのパルス幅は5nsから100nsの範囲にあってもよい。パルス周波数は5kHzから300kHzの範囲にあってもよい。ピークパワーは1Wから1000Wの範囲にあってもよい。コアの単位面積あたりのピークパワー(PPPA)は、得られるSRSの量を予測するのを助けることができる指標である。デスペックルのための十分なSRSを生成するために、PPPAは1kW/(μm)2から5kW/(μm)2の範囲にあってもよい。パルスレーザは、アクティブまたはパッシブのQスイッチや高いピークパワーを実現できる他の方法によって形成されてもよい。パルスレーザのモード構成は、波長的に密集した多くのピークを含んでもよい。SRSに加えて、他の非線形効果を使用して、さらなるデスペックルを追加してもよい。例えば、自己位相変調や四波混合はスペクトルをさらに広げ、追加的なデスペックルを提供するであろう。赤外線光をファイバに導入し、非線形拡大効果を増大させてもよい。
【0051】
図3のデスペックル装置または図7の調整可能デスペックル装置を使用して、複数の原色を生成してもよい。例えば、光ファイバにおけるSRSによって緑色光から赤原色光を生成し、フルカラーの投影ディスプレイに対して要求される赤色光のいくらかまたは全てを供給してもよい。SRS光のスペックルは低いので、SRS光を他のレーザ光に加えることで合成光におけるスペックル量を低減できる。あるいはまた、最初のレーザが青色の場合、光ファイバにおけるSRSによって青色光から緑原色光および赤原色光のいくらかまたは全てを生成してもよい。望まれないSRSピークを除去するためにフィルタを使用してもよい。緑色光からのSRSの場合、赤色光がフィルタされてもよく、または第1SRSピーク以外の全てのピークがフィルタされてもよい。このフィルタリングによって、所与の量のデスペックルに対して色の変化を低減することができる。しかしながら、フィルタされたピークが可視像を形成するのを助けるために使用されない場合、効率が犠牲となる。シフトされないピークの全てまたは一部をフィルタリングすることによってスペックルを低減することができる。典型的には、シフトされないピークはシフトされるピークよりも狭い帯域幅を有するからである。
【0052】
ファイバデスペックル後のシフトされないピークは狭いピークであり、ファイバを励起する光のスペックルに寄与する。このシフトされないピークをスペクトルから(例えば、ダイクロイックフィルタを使用して)フィルタアウトし、第2デスペックルファイバに送ってさらなるラマンシフトピークを生成し、したがって高効率を維持しつつシフトされないピークの強度を低減してもよい。シフトされないピークにおいて十分なエネルギが利用可能である限り、望まれるのであれば、追加的なデスペックルファイバをつなげてもよい。
【0053】
通常のフルカラーのディスプレイデバイスには3つの原色が存在するが、例えば4色システムや5色システムを作るために追加的な原色が生成されてもよい。SRS光をビームスプリッタで分けることで、各色範囲に入るピークを合成して各所望の原色を形成することができる。4色システムは赤原色、緑原色、青原色および追加的な黄原色からなり、黄原色は光ファイバにおけるSRSによって緑色から生成される。別の4色システムは、赤原色、青原色、490nmから520nmの範囲の緑原色および520nmから550nmの範囲の別の緑原色によって形成されてもよい。520nmから550nmの範囲の緑原色は、490nmから520nmの範囲の緑原色からSRSによって生成される。5色システムは、赤原色、青原色、490nmから520nmの範囲の緑原色、520nmから550nmの範囲の別の緑原色および黄原色を有してもよい。520nmから550nmの範囲の緑原色および黄原色は、490nmから520nmの範囲の緑原色からSRSによって生成される。
【0054】
SRS光を使用して6原色3Dシステムにおけるピークのいくらかまたは全てを生成することによって、3D投影像を形成してもよい。青色帯、緑色帯および赤色帯のそれぞれに色をフィットさせるために、レーザベースの6原色3Dシステムで使用される波長は約440nmから450nmの範囲、525nmから540nmの範囲、620nmから640nmの範囲にそれぞれあってもよい。また、それらの波長は、2つのセットの間の間隔を十分にあけてフィルタガラスによる分離を可能とするようなものであってもよい。純粋な融解石英コアからのSRSピーク間の間隔は13.2THzであるから、これは青色については約9nmの間隔を、緑色については13nmの間隔を、赤色については17nmの間隔を、設定する。したがって、SRSシフトされた第1ピークを使用することによって、440nm、525nmおよび620nmからなる原色波長の第1組から、449nm、538nmおよび637nmからなる第2組を形成することができる。原色の第2組は3つの別個のファイバにおいて生成されてもよいし、3つすべてがひとつのファイバにおいて生成されてもよい。ファイバコアのドーピングを使用して、間隔を変えてもよいし、追加的なピークを生成してもよい。
【0055】
6原色3Dシステムを生成するための別の方法は、一方の緑チャネルについてシフトされない(元の)緑ピーク足すSRSシフトされた第3ピークを使用し、他方の緑チャネルについてSRSシフトされた第1ピーク足すSRSシフトされた第2ピークを使用することである。シフトされないピークおよびSRSシフトされた第3ピークに、SRSシフトされた第4、第5および追加的なピークを合成してもよい。この方法は、2つのチャネルの間でおおまかにパワーをバランスさせることができるという利点を有する。一方の目は他方の目よりも多くのスペックルを含む像を受けるであろう。しかしながら、脳は一方の目におけるスペックルのより多い像と他方の目におけるスペックルのより少ない像とを融合し、それら2つの像を平均したレベルのスペックルを有するひとつの像を形成することができる。別の利点は、2つの緑チャネルの波長は異なるものの、2つのチャネルの色は隣接する緑チャネルからの2つの単一ピークを使用する場合よりもより良くマッチすることである。2つのOPOにおける異なる温度によって、2つの赤チャネルおよび2つの青チャネルを生成することができる。そのようなOPOは自然に光をデスペックルする。
【0056】
ほぼ縮退したOPO動作により、わずかにしか分離されていない2つの波長を生成できる。緑色光生成の場合、赤色帯や青色帯ではなく2つの異なる緑色帯を生成できる。6原色3Dシステムの2つの緑原色として2つの緑色波長を使用することができる。OPOの2つの緑色波長がSRSシフト間隔で分離されるようOPOが調整される場合、両方の元の緑色波長からのSRSシフトされたピークは同じ波長で揃うであろう。この方法は、ひとつ以上の縮退したOPOを使用するシステムをデスペックルするために使用されうる。
【0057】
DCI緑などの固定緑点を維持しつつ、ラマンシフトされた光の量を増やすために、異なる開始波長を使用してもよい。例えば、515nmの光を生成するレーザを開始波長として使用してもよく、この場合、523.5nmの開始波長と比較して、より多くのラマンシフトされた光を生成でき、DCI緑点に到達できる。515nmで開始することの効果は、同じ緑点においてその結果得られる光は523.5nmで開始する光よりも少ないスペックルを有するであろうことである。
【0058】
ひとつが523.5nmで開始しもうひとつが515nmで開始する2つの別個の緑色レーザの両方がファイバデスペックルされた後ひとつのシステムに合成される場合、スペクトルの分散性が向上するので、その結果得られるスペックルは各システムよりもさらに小さくなるであろう。これら2つのレーザからのラマンシフトされたピークは交互配置され、その結果、各緑色レーザが個々に動作した場合に有しうるピークの数の約2倍の数のピークを有する波形を生成する。
【0059】
任意の所望の波長における狭帯域レーザから別個に青色ブーストを追加してもよい。青色においては、狭帯域光であってもスペックルを観察するのは非常に難しいからである。青色ブーストは固体レーザ(DPSS)やダイレクトダイオードレーザであってもよい。青色ブーストは、6原色3Dディスプレイにおける青色ピークのうちのひとつを形成してもよい。青色ブーストが使用される場合、システム内の任意のOPOを調整して、それが赤原色や赤色のみを生成するようにしてもよい。これにより、赤色効率を向上できる。
【0060】
緑色から赤色へSRSシフトされたピークをOPOからの赤色光に追加してもよいし、OPOが存在しない場合は赤色光のすべてを供給するためにそのピークを使用してもよい。6原色3Dの場合、赤色へシフトされたひとつ以上のピークは赤チャネルのうちのひとつ以上を形成してもよいし、形成するのを助けてもよい。
【0061】
融解石英の代わりにまたはそれに加えて、SRSピークを所望の通りに追加したり除去したり変更したりする材料を使用してもよい。これらの追加的な材料はドーパントであってもよく、または光ファイバの先端または終端に追加されるバルク材料であってもよい。
【0062】
光ファイバの被覆は光を小さな体積の中に閉じ込めることによって、ファイバコアにおけるピークパワー密度を高く維持できる。被覆の代わりにまたはそれに加えて、ミラーや集束光学系やマルチパス光学系などの種々の方法を使用して光を閉じ込めることができる。光ファイバの代わりに、バルクガラスやクリスタルロッドや直方体などのより大きな直径の光学系を使用してもよい。SRSを生成するのに十分な強度を作り上げるために、水晶またはロッドを通じた複数のパスが必要とされうる。液体導波管を使用してもよく、この場合、直径を増やす際に柔軟性を追加できる。
【0063】
偏光保存型ファイバや他の偏光保存型光学要素を使用して、SRSを生成する光を閉じ込めることができる。断面が矩形のインテグレーティングロッドや断面が矩形のファイバは偏光保存型の要素の例である。偏光保存型のファイバはコア非対称性や複数のコアを含み、偏光された光を偏光が維持されるように導いてもよい。
【0064】
典型的な投影システムでは、明るさ、コントラスト比、一様性およびスペックルの間にトレードオフが存在する。照明絞り値(f#)が高いと、明るさは高くなりコントラスト比も高くなる傾向にあるが、同時に一様性は低くなりスペックルは増える傾向にある。照明絞り値(f#)が低いと、一様性は高くなりスペックルは低くなる傾向にあるが、同時に明るさは低くなりコントラスト比も低くなる傾向にある。スペクトル拡大を使用してスペックルを低減することによって、照明システムの絞り値を上昇させてもスペックルを低く維持し、かつそのような上昇によって明るさおよびコントラスト比の向上を助けることができる。高い絞り値において高い一様性を実現するために、より長いインテグレーティングロッドや投影照明アセンブリにおいて公知公用の均一化技術などの追加的な変更が要求されうる。
【0065】
2つのOPOが一緒に使用される場合、それらのOPOはわずかに異なる温度に調整されてもよい。その結果、得られる波長は異なるようになる。全体的な波長は依然としてターゲットの色を達成することができるが、帯域幅は個々のOPOの帯域幅の和へと増大される。帯域幅の増大により、デスペックルもまた増大されるであろう。各OPOにより生成されるバンドは隣接していてもよく、またはギャップによって分離されていてもよい。赤色および青色生成の場合、この技術を使用すると赤色および青色の両方を広げることができる。3原色のシステムについては、2つの近接する赤ピークと4以上の緑ピークと2つの近接する青ピークとが存在しうる。6原色のシステムについては、3以上の赤ピークであってそのうちの2以上が近接する赤ピークと、4以上の緑ピークと、3以上の青ピークであってそのうちの2以上が近接する青ピークと、が存在しうる。OPOの代わりに、要求される複数波長を生成可能な他のレーザ技術が使用されてもよい。
【0066】
スクリーンの振動または揺さぶりはスペックルを低減するための既知の方法である。スペックルを許容可能なレベルまで低減するのに必要なスクリーン振動の量は、スクリーンに入射するレーザ光のスペクトル分散性を含む多様なファクタに依存する。ラマンを使用して光のスペクトルを広げることで、要求されるスクリーン振動を劇的に低減できる。これは、偏光3Dや大規模映画館においてよく使用される銀幕や高利得ホワイトスクリーンについてもそうである。これらの特化されたスクリーンは典型的には低利得スクリーンよりも多くのスペックルを示す。ラマンデスペックルを使用する場合、スクリーン振動をミリメートルやミリメートルの何分の一かのオーダーのレベルまで低減できるので、スクリーン振動は現実的なものとなり、大きなシネマスクリーンの場合にも容易に適用できるようになる。
【0067】
他の実装もまた以下の請求項の範囲内である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光ファイバを備える光学装置であって、前記第1光ファイバにおける誘導ラマン散乱は前記第1光ファイバからの第1光出力の第1スペックル特性を低減する、光学装置。
【請求項2】
前記第1光ファイバは第1コア径および第1長さを有し、前記第1コア径および前記第1長さは、前記第1スペックル特性の第1所望量の低減を実現するように選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1光ファイバはマルチモードファイバである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1コア径および前記第1長さは所望の色の前記光出力が得られるよう選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記所望の色は原色である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記原色は緑色である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
光学パラメータ式増幅器をさらに備え、
前記光学パラメータ式増幅器は青原色および赤原色を生成する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記誘導ラマン散乱の一部は赤色の誘導ラマン散乱光を形成する、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
赤色の光源をさらに備え、前記赤色の光源は前記赤色の誘導ラマン散乱光と合成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記誘導ラマン散乱の一部は黄色の誘導ラマン散乱光を形成する、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記黄色の誘導ラマン散乱光は、4原色でのデジタル投影画像を形成するために使用される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記緑色はu'=0.099 +/- 0.01およびv'=0.578 +/- 0.01の色度を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
レーザ光源と、
デジタルプロジェクタと、をさらに備え、
前記レーザ光源は前記第1光ファイバを照らし、前記第1光ファイバは前記デジタルプロジェクタを照らす、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記レーザ光源は、
パルスレーザと、
二次高調波生成器と、を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記レーザ光源は523.5nmの出力を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記レーザ光源は515nmの出力を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記レーザ光源は532nmの出力を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
光結合システムと、
均質化デバイスと、をさらに備え、
前記レーザ光源は前記光結合システムを照らし、前記光結合システムは前記第1光ファイバを照らし、前記第1光ファイバは前記均質化デバイスを照らし、前記均質化デバイスは前記デジタルプロジェクタを照らす、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
第2光ファイバと、
可変光スプリッタと、をさらに備え、
前記可変光スプリッタは前記第1光ファイバおよび前記第2光ファイバを照らし、前記第2光ファイバにおける誘導ラマン散乱は前記第2光ファイバからの第2光出力の第2スペックル特性を低減する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記可変光スプリッタは、
回転波長板と、
偏光ビームスプリッタと、を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記第2光ファイバは第2コア径および第2長さを有し、前記第2コア径および前記第2長さは、前記第2スペックル特性の第2所望量の低減を実現するように選択される、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
レーザ光源と、
デジタルプロジェクタと、をさらに備え、
前記レーザ光源は前記可変光スプリッタを照らし、前記第1光ファイバおよび前記第2光ファイバは前記デジタルプロジェクタを照らす、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記可変光スプリッタは、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの合成光出力について所望の色が得られるように調整される、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
レーザプロジェクタであって、
青色のレーザ光源と、
光ファイバと、
空間光変調器と、を備え、
前記青色のレーザ光源は前記光ファイバを照らし、前記光ファイバは前記空間光変調器を照らし、
前記光ファイバにおける誘導ラマン散乱はデスペックルされた緑色の光およびデスペックルされた赤色の光を生成する、レーザプロジェクタ。
【請求項25】
デスペックル方法であって、
レーザビームを生成することと、
前記レーザビームを光ファイバに集束させることと、
前記光ファイバにおいて誘導ラマン散乱光を生成することと、
前記誘導ラマン散乱光を使用してデジタル投影画像を形成することと、を含む方法。
【請求項26】
デスペックル方法であって、
第1レーザビームを生成することと、
前記第1レーザビームを第2および第3レーザビームに分割することと、
前記第2レーザビームを第1光ファイバに集束させることと、
前記第1光ファイバにおいて第1誘導ラマン散乱光を生成することと、
前記第3レーザビームを第2光ファイバに集束させることと、
前記第2光ファイバにおいて第2誘導ラマン散乱光を生成することと、
前記第1誘導ラマン散乱光と前記第2誘導ラマン散乱光とを合成し、合成誘導ラマン散乱光を形成することと、
前記合成誘導ラマン散乱光を使用して、デジタル投影画像を形成することと、
前記第2レーザビームおよび前記第3レーザビームにおける光量を調整することで、前記デジタル投影画像においてある原色について所望の色を得ることと、を含む、方法。
【請求項1】
第1光ファイバを備える光学装置であって、前記第1光ファイバにおける誘導ラマン散乱は前記第1光ファイバからの第1光出力の第1スペックル特性を低減する、光学装置。
【請求項2】
前記第1光ファイバは第1コア径および第1長さを有し、前記第1コア径および前記第1長さは、前記第1スペックル特性の第1所望量の低減を実現するように選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1光ファイバはマルチモードファイバである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1コア径および前記第1長さは所望の色の前記光出力が得られるよう選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記所望の色は原色である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記原色は緑色である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
光学パラメータ式増幅器をさらに備え、
前記光学パラメータ式増幅器は青原色および赤原色を生成する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記誘導ラマン散乱の一部は赤色の誘導ラマン散乱光を形成する、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
赤色の光源をさらに備え、前記赤色の光源は前記赤色の誘導ラマン散乱光と合成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記誘導ラマン散乱の一部は黄色の誘導ラマン散乱光を形成する、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記黄色の誘導ラマン散乱光は、4原色でのデジタル投影画像を形成するために使用される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記緑色はu'=0.099 +/- 0.01およびv'=0.578 +/- 0.01の色度を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
レーザ光源と、
デジタルプロジェクタと、をさらに備え、
前記レーザ光源は前記第1光ファイバを照らし、前記第1光ファイバは前記デジタルプロジェクタを照らす、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記レーザ光源は、
パルスレーザと、
二次高調波生成器と、を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記レーザ光源は523.5nmの出力を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記レーザ光源は515nmの出力を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記レーザ光源は532nmの出力を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
光結合システムと、
均質化デバイスと、をさらに備え、
前記レーザ光源は前記光結合システムを照らし、前記光結合システムは前記第1光ファイバを照らし、前記第1光ファイバは前記均質化デバイスを照らし、前記均質化デバイスは前記デジタルプロジェクタを照らす、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
第2光ファイバと、
可変光スプリッタと、をさらに備え、
前記可変光スプリッタは前記第1光ファイバおよび前記第2光ファイバを照らし、前記第2光ファイバにおける誘導ラマン散乱は前記第2光ファイバからの第2光出力の第2スペックル特性を低減する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記可変光スプリッタは、
回転波長板と、
偏光ビームスプリッタと、を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記第2光ファイバは第2コア径および第2長さを有し、前記第2コア径および前記第2長さは、前記第2スペックル特性の第2所望量の低減を実現するように選択される、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
レーザ光源と、
デジタルプロジェクタと、をさらに備え、
前記レーザ光源は前記可変光スプリッタを照らし、前記第1光ファイバおよび前記第2光ファイバは前記デジタルプロジェクタを照らす、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記可変光スプリッタは、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバとの合成光出力について所望の色が得られるように調整される、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
レーザプロジェクタであって、
青色のレーザ光源と、
光ファイバと、
空間光変調器と、を備え、
前記青色のレーザ光源は前記光ファイバを照らし、前記光ファイバは前記空間光変調器を照らし、
前記光ファイバにおける誘導ラマン散乱はデスペックルされた緑色の光およびデスペックルされた赤色の光を生成する、レーザプロジェクタ。
【請求項25】
デスペックル方法であって、
レーザビームを生成することと、
前記レーザビームを光ファイバに集束させることと、
前記光ファイバにおいて誘導ラマン散乱光を生成することと、
前記誘導ラマン散乱光を使用してデジタル投影画像を形成することと、を含む方法。
【請求項26】
デスペックル方法であって、
第1レーザビームを生成することと、
前記第1レーザビームを第2および第3レーザビームに分割することと、
前記第2レーザビームを第1光ファイバに集束させることと、
前記第1光ファイバにおいて第1誘導ラマン散乱光を生成することと、
前記第3レーザビームを第2光ファイバに集束させることと、
前記第2光ファイバにおいて第2誘導ラマン散乱光を生成することと、
前記第1誘導ラマン散乱光と前記第2誘導ラマン散乱光とを合成し、合成誘導ラマン散乱光を形成することと、
前記合成誘導ラマン散乱光を使用して、デジタル投影画像を形成することと、
前記第2レーザビームおよび前記第3レーザビームにおける光量を調整することで、前記デジタル投影画像においてある原色について所望の色を得ることと、を含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−517516(P2013−517516A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542244(P2012−542244)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/059281
【国際公開番号】WO2011/071921
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512147794)
【出願人】(512147808)
【出願人】(512147819)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/059281
【国際公開番号】WO2011/071921
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512147794)
【出願人】(512147808)
【出願人】(512147819)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]