説明

デスモプレシンの口腔内分散性医薬製剤

活性物質の迅速な口腔内分散を可能にする口腔内分散性医薬製剤によりデスモプレシンの良好なバイオアベイラビリティを得ることができる。その結果、舌下、頬側及び/又は歯肉粘膜を通して、及び/又は全身分配用として胃腸管からデスモプレシンを吸収させることができる。好適製剤はデスモプレシンと水溶性又は水分散性不活性キャリヤー材料である開放マトリックスネットワークを含む。このように製剤化されたデスモプレシンは排泄延期や、失禁、一次性夜尿(PNE)、夜間多尿又は中枢性尿崩症の治療又は予防に有用である。デスモプレシンとキャリヤー材料溶液を含む組成物から溶媒を昇華させることによる製剤の製造方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬製剤、その製造方法及び哺乳動物、特にヒトにおける疾患の治療と予防におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
デスモプレシン(1−デアミノ−8−D−アルギニンバソプレシン,DDAVP)は高い抗利尿活性をもつバソプレシン類似体である。錠剤と鼻腔スプレーの両者で酢酸塩として市販されており、一般に排泄延期、失禁、一次性夜尿(PNE)及び夜間多尿、特に中枢性尿崩症に処方されている。
【0003】
既存のデスモプレシン製剤は患者の必要を充たしているが、まだ改善の余地がある。錠剤は使用し易く、裁量が自由であり、確実に正しく投与できることから多くの場合に患者に好まれる。しかし、錠剤は一般にコップに入れた水や他の飲料と共に服用する必要があるが、デスモプレシン治療は液体摂取を制限する必要があるので問題となり、患者への意図は水を全く飲まないほうが著しく明瞭になる。更に、錠剤により摂取した場合のデスモプレシンのバイオアベイラビリティは静脈内注射に比較して約0.1%であり、この数値は明らかに改善の余地がある。
【0004】
鼻腔内投与はバイオアベイラビリティが高いが、患者に好まれない。更に、鼻腔内投与は繊毛に悪影響があり、ウイルスや細菌が粘膜に侵入し易い。
【0005】
デスモプレシンの舌下製剤はこれまでに提案されている。Grossmanら,Br.Med.J.1215(17 May 1980)は不特定組成の舌下ロゼンジによるデスモプレシンの投与を報告している。同年にLacziら,Int.J Clin.Pharm.Ther.Tox.18(12)63−68(1980)はスクロース、ポテトスターチ、ステアリン、エタノール(精製スピリットとして)、透明ゼラチン、蒸留水及び粉末ココアを含有する200mg舌下錠によるデスモプレシン30μgの投与を報告している。しかし、WO−A−8502119は次のように述べている:所謂舌下錠は比較的長い溶解時間を必要とし、患者の唾液分泌に依存するのでやはり好ましくない[WO−A−8502119,2頁,4−6行]。
【0006】
Fjellestad−Paulsenら,Clin.Endocrinol.38 177−82(1993)はデスモプレシンの液体鼻腔スプレー製剤を舌下投与し、舌下錠の上記問題を回避している。しかし、著者らは液体の舌下投与後に血液中に検出可能なデスモプレシンは認められなかったと報告している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
デスモプレシンの慣用経口錠に比較して改善されたバイオアベイラビリティを提供する固体口腔内分散性製剤としてデスモプレシンを投与できることが今般発見された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によると、デスモプレシンの口腔内分散性医薬製剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
デスモプレシンは遊離塩基の形態でもよいし、医薬的又は必要に応じて獣医学的に許容可能な塩でもよいし、他の任意の医薬的又は獣医学的に許容可能な形態でもよい。酢酸塩が特に好ましい。
【0010】
製剤は一般に固体である。好適度の昇順に10、5、2秒以内、あるいは1秒以内に口腔内で迅速に分散することができる。このような製剤を「口腔内分散性」と言う。製剤は一般にこの目的に適した医薬的に許容可能な(又は非ヒト動物に投与する場合には獣医学的に許容可能な)キャリヤーを含む。
【0011】
遊離塩基として測定したデスモプレシンの1日用量は一般に0.5又は1μg〜1mg/製剤である。1好適用量範囲では、用量は一般に2μg〜800μg/製剤であり、10μg〜600μgが好ましい。例えば0.5μg〜75μgと言った比較的低用量が特に予想され、0.5又は1μg〜50μgが好ましい。PNEや夜間多尿で一般的なように1日に製剤1個を投与する場合には、これは製剤当たりの用量である。中枢性尿崩症の場合に一般的なように1日用量を2回以上に分けて投与する場合には、製剤当たりの活性化合物の量は相応に減る。
【0012】
ペプチドであるか否かに拘わらず他の活性成分も加えることができる。
【0013】
本発明の医薬製剤は活性成分を口腔に供給するのに適している。活性成分は舌下粘膜を通して及び/又は(例えば頬側及び/又は歯肉粘膜を通して)他の経路で口腔から及び/又は全身分配用として胃腸管から吸収させることができる。
【0014】
口腔から吸収させるために他の活性成分を送達するのに適した種々の製剤が公知である。このような製剤も本発明で有用な場合がある。これらのうちでは、活性成分と、ラクトース及び/又はマルトースを含む糖と、固体成分を基にして0.12〜1.2w/w%の寒天を含有し、400mg/ml〜1,000mg/mlの密度と十分な取り扱い強度、即ち実際に崩壊せずにブリスターパッケージングから取出すのに耐えるために十分な強度をもつ頬内崩壊性固体製剤が特筆される。このような製剤とその製造方法はUS−A−5466464に開示されており、詳細については同文献を参照されたい。
【0015】
本発明の1態様では、合計固体成分を基にして少なくとも50w/w%、好ましくは80w/w%以上、より好ましくは90w/w%以上の量で成分中に糖を使用することができるが、使用する活性成分の品質と量に応じて変えてもよい。
【0016】
寒天の種類は特に限定されないが、日本薬局方に記載されているものを使用することが好ましい。そのような寒天の例としては寒天粉末PS−7及びPS−8(伊那食品製品)が挙げられる。
【0017】
寒天は固体成分を基にして0.12〜1.2w/w%、好ましくは0.2〜0.4w/w%の量で使用することができる。
【0018】
本発明のこの態様による製剤を製造するためには、ラクトース及び/又はマンニトールを含む糖を寒天水溶液に懸濁し、金型に充填し、ゼリー状に凝固させた後に乾燥する。寒天水溶液は濃度0.3〜2.0%、好ましくは0.3〜0.8%とすることができる。寒天水溶液は固体成分を基にした寒天の配合比が固体成分を基にした寒天溶液0.12〜1.2w/w%、好ましくは40〜60w/w%となるような量で使用することができる。
【0019】
口腔から吸収するために活性成分を送達するための他の公知製剤はUS−A−6024981及びUS−A−6221392に開示されている製剤である。これらの製剤は直接経口投与に適した硬質圧縮迅速溶解性製剤であり、活性成分と、非直接圧縮充填剤と滑沢剤を含むマトリックスを含み、この製剤は患者の口腔内で迅速に溶解することにより前記活性成分を遊離させるのに適しており、U.S.P.に従って試験した場合に約2%以下の破砕性をもち、この製剤は場合により少なくとも約15ニュートン(N)、好ましくは15〜50Nの硬度をもつ。US−A−6024981及びUS−A−6221392はこれらの製剤の更に詳細及び特徴とその製造方法を開示している。
【0020】
本発明のこの態様による製剤は患者の口腔内で約90秒以内(好ましくは60秒以内、最も好ましくは45秒以内)に溶解することが好ましい。多くの場合には、製剤が少なくとも1個の粒子を含むことも望ましい。粒子は活性成分と保護剤である。これらの粒子としては迅速放出粒子及び/又は持続放出粒子が挙げられる。
【0021】
本発明のこの態様による特に好ましい製剤では、直接経口投与に適した硬質圧縮迅速溶解性錠剤が提供される。この錠剤は活性成分と保護剤から構成される粒子を含む。これらの粒子は錠剤の重量を基にして約0.01〜約75重量%の量で提供される。錠剤は更に非直接圧縮充填剤、ウィッキング剤、及び疎水性滑沢剤を含む。錠剤マトリックスはマトリックス材料の総重量を基にして少なくとも約60%の迅速水溶性成分を含む。錠剤は約15〜約50ニュートンの硬度とU.S.P.により測定した場合に2%未満の破砕性をもち、約60秒以内に患者の口腔内で自然溶解することにより、前記粒子を遊離させるのに適しており、バルク保存することができる。
【0022】
非直接圧縮糖として知られる超微細又は粉末糖を本発明のこの態様のマトリックスで充填剤として使用することがてきる。この材料はその化学的組成やその微細な粒度により、唾液に浸されると数秒以内に口腔内で容易に溶解する。これは製剤の溶解速度を上げることを意味するだけでなく、患者がその口腔内に溶解中の製剤を保持している間に充填剤が製剤の摂取感覚を悪化させる「ざらざら」した触感を助長しないことも意味する。これとは対照的に、通常は同一糖の直接圧縮形が造粒され、大きく圧縮し易いように処理される。これらの糖は水溶性であるが、十分迅速に可溶化できない。その結果、製剤が溶けるにつれてざらざらした触感になり易い。口腔内の溶解時間は約37℃の水中で錠剤の溶解時間を観測することにより測定することができる。強制撹拌の不在下又は最小の撹拌下に錠剤を水に浸漬する。溶解時間は浸漬してから錠剤の迅速水溶性成分が実質的に完全に溶解するまでの時間を目視観測により測定した時間である。
【0023】
本発明によると、特に好ましい充填剤は上記仕様に合致する非直接圧縮糖及び糖アルコールである。このような糖及び糖アルコールとしては限定されないが、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトン及びスクロースが挙げられる。当然のことながら、例えばデキストロースは直接圧縮糖即ちその圧縮率を増すように加工された糖又は非直接圧縮糖として存在することができる。
【0024】
一般に、製剤の残余はマトリックスとすることができる。従って、充填剤の百分率は100%に達することができる。しかし、一般に、本発明により有用な非直接圧縮充填剤の量は約25〜約95%、好ましくは約50〜約95%、より好ましくは約60〜約95%である。
【0025】
滑沢剤の使用量は一般に約1〜約2.5重量%、より好ましくは約1.5〜約2重量%とすることができる。本発明により有用な疎水性滑沢剤としてはアルカリステアリン酸塩、ステアリン酸、鉱物及び植物油、ベヘン酸グリセリル及びステアリルフマル酸ナトリウムが挙げられる。親水性滑沢剤も使用できる。
【0026】
本発明のこの態様により有用な保護剤としては微粒子、マトリックス形微粒子及びマイクロカプセルの形成で従来使用されている任意ポリマーが挙げられる。これらのうちでは天然セルロースや合成セルロース誘導体等のセルロース材料;アクリルポリマー及びビニルポリマーが挙げられる。他の単純ポリマーとしてはゼラチン等の蛋白性材料、ポリペプチド並びに天然及び合成シェラック及びワックスが挙げられる。保護ポリマーとしては更にエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びWeiterstadt,ドイツに所在のRhone Pharma GmbHから登録商標EUDRAGITで市販されているアクリル樹脂材料が挙げられる。
【0027】
上記成分に加え、マトリックスは更にウィッキング剤、非発泡性崩壊剤及び発泡性崩壊剤を含むことができる。ウィッキング剤は水分を製剤中に吸引することが可能な組成物である。ウィッキング剤は製剤の内部への水分輸送を助長する。こうして、製剤は内部と外部から溶解することができる。
【0028】
上記のように水分を輸送するように機能することができる任意化合物をウィッキング剤とみなすことができる。ウィッキング剤としては多数の慣用非発泡性崩壊剤が挙げられる。これらの例としては例えば微結晶セルロース(AVICEL PH 200,AVICEL PH 101)、Ac−Di−Sol(クロスカルメロースナトリウム)及びPVP−XL(架橋ポリビニルピロリドン);澱粉及び加工澱粉、ポリマー、並びにアラビアガムやキサンタンガム等のガムが挙げられる。ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロースや、カルボポール等の化合物も使用できる。
【0029】
従来の錠剤で使用されている非発泡性崩壊剤の慣用範囲は20%程度と高い。しかし、一般に、崩壊剤の使用量はHandbook of Pharmaceutical Excipientsによると約2〜約5%である。
【0030】
本発明のこの態様によると、ウィッキング剤の使用量は2〜約12%、好ましくは2〜約5%とすることができる。
【0031】
当然のことながら、望ましい場合には水分を吸収するように機能することができない非発泡性崩壊剤を加えてもよい。いずれの場合も、迅速水溶性非発泡性崩壊剤又はウィッキング剤を使用するか、及び/又はほぼ非水溶性ウィッキング剤又は非発泡性崩壊剤の使用を最小限にすることが好ましい。非迅速溶解性非迅速水溶性成分は相当量を使用すると、口腔内で溶解するにつれて錠剤の触感性を悪化する恐れがあるので、最小限にしなければならない。当然のことながら、上述のように迅速水溶性のウィッキング剤又は非発泡性崩壊剤は多量に使用することができ、溶解中に製剤のざらつきを助長しない。本発明による好適ウィッキング剤としては架橋PVPが挙げられるが、これらは迅速水溶性でないので量を抑える必要がある。
【0032】
更に、崩壊プロフィル、材料の触感性等を改善するために発泡対を他の上記成分と併用することが望ましい場合がある。発泡対は最終錠剤の重量を基にして約0.5〜約50%、より好ましくは3〜約15重量%の量で提供することが好ましい。水性環境に接触した場合に発生するガスが約30cm未満となるように十分な発泡性材料を提供することが特に好ましい。
【0033】
「発泡対」なる用語はガスを発生する化合物を意味する。好適発泡対は発泡性崩壊対が水及び/又は口腔内の唾液と接触して生じる化学反応によりガスを発生する。この反応は非常に多くの場合は可溶性酸源と炭酸1水素アルカリ又は他の炭酸源の反応の結果である。これらの2種の一般化合物の反応は水又は唾液と接触すると二酸化炭素ガスを発生する。このような水により活性化される材料は水と接触すると錠剤が早期崩壊するので吸収水分が殆どもしくは全くゼロであるほぼ無水状態又は安定な水和形に維持しなければならない。酸源はヒト消費に安全な任意のものとすることができ、一般に食品酸、酸及びハイドライト制酸が挙げられ、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、及び琥珀酸が挙げられる。炭酸源としては乾燥固体炭酸塩及び重炭酸塩が挙げられ、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム及び炭酸カリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。酸素又は他のガスを発生し、ヒト消費に安全な反応体も加えることができる。
【0034】
本発明による経口溶解性錠剤の場合には、錠剤が患者の口腔内で快適な触感を提供するように、発泡性もしくは非発泡性又はその組合せの崩壊剤の量と種類を十分に制御した量で提供することが好ましい。場合により、錠剤が口腔内で崩壊するにつれて患者はざらざらした違和感を伴う場合がある。一般に、ウィッキング剤、非発泡性崩壊剤及び発泡性崩壊剤の合計量は0〜50%とすべきである。しかし、本発明の製剤は迅速に溶解するので、崩壊剤の必要が最小になることに留意すべきである。実施例に例証するように、発泡性崩壊剤又は多量のウィッキング剤を使用しなくても適切な硬度、破砕性及び溶解時間を得ることができる。
【0035】
非直接圧縮充填剤を使用すると、造粒等の多くの慣用処理段階の必要及び/又はより高価な予備造粒圧縮性充填剤を購入する必要がなくなる。同時に、得られる製剤は性能と安定性のバランスがとれている。製剤は直接圧縮を使用して従来通りに製造するに十分に堅牢である。また、バルク保存又は包装するに十分に堅牢である。しかも、従来の崩壊性錠剤の不快感を最小限にしながら口腔内で迅速に溶解する。
【0036】
本発明のこの態様による製剤は、
(a)活性成分と、非直接圧縮充填剤と滑沢剤を含むマトリックスを含む混合物を形成する段階と;
(b)混合物を圧縮し、経口溶解性マトリックスに分配された活性成分を含む多数の硬質圧縮迅速崩壊性製剤を形成する段階と;場合により
(c)パッケージング前に製剤をバルク保存する段階を含む方法により製造することができる。1好適態様では、その後、パッケージ当たり少なくとも1個となるように製剤をパッケージの内側にパッケージングする。特に好ましい態様では、その後、パッケージ当たり2個以上となるように製剤をパッケージの内側にパッケージングする。直接圧縮が製剤の好適形成方法である。
【0037】
口腔から吸収するために活性成分を送達するための他の公知製剤はUS−A−6200604に開示されており、医薬の頬側、舌下及び歯肉粘膜浸透性を促進するために浸透促進剤として使用される発泡剤と共に経口投与可能な医薬を含む。本発明の関連では、医薬はデスモプレシンであり、所定態様では舌下粘膜を通して投与する。本発明のこの態様の製剤では、発泡剤を単独で使用してもよいし、他の浸透促進剤と併用し、活性薬剤の経口吸収速度及び程度を増加することができる。
【0038】
本発明のこの態様による製剤は薬剤の口腔粘膜浸透を助長するために有効な量の発泡剤を加える必要がある。発泡剤は最終錠剤の重量を基にして約5%〜約95重量%の量を加えると好ましく、約30%〜約80重量%の量がより好ましい。錠剤が水性環境と接触すると約5cmよりも大きいが、約30cmよりも小さいガスを発生するように十分な発泡剤を加えることが特に好ましい。
【0039】
「発泡剤」なる用語はガスを発生する化合物を意味する。好ましい発泡剤は発泡剤(発泡対)が水及び/又は口腔内の唾液と接触して生じる化学反応によりガスを発生する。この反応は非常に多くの場合は可溶性酸源とアルカリ炭酸塩又は重炭酸塩等の二酸化炭素源の反応の結果である。これらの2種の一般化合物の反応は水又は唾液と接触して二酸化炭素ガスを発生する。このような水により活性化される材料は水と接触すると錠剤が早期崩壊するので吸収水分が殆どもしくは全くゼロであるほぼ無水状態又は安定な水和形に維持しなければならない。酸源はヒト消費に安全な任意のものとすることができ、一般に食品酸、酸及びハイドライト制酸が挙げられ、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、及び琥珀酸が挙げられる。炭酸源としては乾燥固体炭酸塩及び重炭酸塩が挙げられ、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム及び炭酸カリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。酸素又は他のガスを発生し、ヒト消費に安全な反応体も加えることができる。
【0040】
本発明のこの態様で有用な発泡剤は必ずしも二酸化炭素を形成する反応に関与するものでなくてもよい。ヒト消費に安全な酸素や他のガスを発生する反応体もこの範囲に含まれるとみなされる。発泡剤が酸源と炭酸源等の2種の相互に反応性の成分を含む場合には、両成分が完全に反応することが好ましい。従って、等しい当量を提供する当量比の成分が好ましい。例えば、使用する酸が二酸である場合には、完全に中和できるように2倍量のモノ反応性炭酸塩基又は等量のジ反応性塩基を使用する必要がある。しかし、本発明の他の態様では、酸又は炭酸源の量が他の成分の量よりも多くてもよい。これはいずれかの成分を過剰に含有する錠剤の味及び/又は性能を増すために有用であると思われる。この場合には、いずれかの成分の付加量は未反応のままでも許容される。
【0041】
このような製剤は発泡に必要な材料以外にpH調節剤も含むことができる。弱酸性又は弱塩基性の薬剤では、水性環境のpHがヘンダーソン・ハッセルバック式に従って溶液中に存在する薬剤のイオン化形と非イオン化形の相対比に影響を与えることがある。発泡対が溶解している溶液のpHは二酸化炭素の発生によりやや酸性になる。局所環境(例えば錠剤及び薬剤が錠剤から溶解している場合にはそのような薬剤と直接接触する唾液)のpHは薬剤のイオン化形と非イオン化形の相対比を制御することができるpH調節剤を錠剤に加えることにより調節することができる。こうして、本発明の製剤は特定薬剤毎に最適化することができる。非イオン化薬剤が細胞粘膜を通って吸収されることが分かっているか又は予想される場合には(細胞透過吸収)、薬剤の非イオン化形を優先するレベルまで局所環境のpHを(対象に許容可能な限度内で)変化させることが好ましい。逆に、イオン化形が溶解し易い場合には、局所環境はイオン化を優先すべきである。
【0042】
製剤が十分な濃度の薬剤を非イオン化形で存在させることができるように、薬剤の水溶解度を発泡剤とpH調節剤により低下させないことが好ましい。従って、pH調節剤及び/又は発泡剤の百分率は薬剤に応じて調節すべきである。
【0043】
本発明で使用するのに適したpH調節剤としては発泡に必要な材料以外に任意弱酸又は弱塩基が挙げられ、あるいは口腔粘膜に無害な任意緩衝液系が好ましい。本発明で使用するのに適したpH調節剤としては限定されないが、発泡化合物として上述した酸又は塩基の任意のもの、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム及び等価カリウム塩が挙げられる。
【0044】
本発明のこの態様の製剤は医薬成分の口腔粘膜吸収を助長し、製剤の崩壊プロフィルと触感性を改善するために1種以上の他の成分を含むことが好ましい。例えば、この薬剤送達システムに生体接着性ポリマーを加えることにより製剤と口腔粘膜の接触面積と、口腔内の製剤の滞留時間を改善することができる。例えば、参考資料として本明細書に組込むJonathan Eichman著Mechanistic Studies on Effervescent−Induced Permeability Enhancement(1997)参照。発泡はその粘膜剥離性により生体接着剤の滞留時間も延ばし、薬剤吸収の滞留時間を延ばす。本発明で使用される生体接着剤の例としては限定されないが、例えばCarbopol 934 P,Na CMC,Methocel,Polycarbophil(Noveon AA−1),HPMC,アルギン酸Na,ヒアルロン酸Na及び他の天然又は合成生体接着剤が挙げられる。
【0045】
発泡剤に加え、本発明のこの態様による製剤は適切な非発泡性崩壊剤を更に含むことができる。非発泡性崩壊剤の例としては限定されないが、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、澱粉、コーンスターチ、ポテトスターチ及びその加工澱粉、甘味剤、クレー(例えばベントナイト)、アルギン酸塩、ガム類(例えばグアーガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、ペクチン及びトラガカントガム)が挙げられる。崩壊剤は組成物の総重量の約20重量%までとすることができ、約2〜約10%が好ましい。
【0046】
本発明のこの態様によると粒子に加え、製剤は流動促進剤、滑沢剤、結合剤、甘味剤、芳香及び着色成分も含むことができる。任意慣用甘味剤又は芳香成分を使用することができる。甘味剤、芳香成分、又は甘味剤と芳香成分の組合せも使用できる。
【0047】
使用可能な結合剤の例としてはアカシアガム、トラガカントガム、ゼラチン、ペクチン、澱粉、セルロース材料(例えばメチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロース)、アルギン酸とその塩、珪酸アルミニウムマグネシウム、ポリエチレングリコール、グアーガム、多糖酸、ベントナイト、糖、転化糖等が挙げられる。結合剤は合計組成物の60重量%までの量を使用することができ、約10〜約40重量%が好ましい。
【0048】
着色剤としては二酸化チタンや、F.D.& C.色素として知られるもの等の食品用色素及び天然着色剤(例えばブドウ皮エキス、ビートレッド粉末、βカロチン、アナート、カーマイン、ターメリック、パプリカ等)が挙げられる。着色剤の使用量は合計組成物の約0.1〜約3.5重量%とすることができる。
【0049】
組成物に添加するフレーバーは合成芳香油及び芳香アロマティクス及び/又は天然油、植物エキス、葉、花、果実等とその組合せから選択することができる。これらの例としては桂皮油、ウィンターグリーン油、ペパーミント油、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油及びゴマ油が挙げられる。バニラ油、柑橘油(例えばレモン、オレンジ、ブドウ、ライム及びグレープフルーツ等)、及び果実精(例えばリンゴ、洋梨、モモ、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコット等)もフレーバーとして有用である。特に有用であることが判明したフレーバーとしては市販オレンジ、ブドウ、チェリー及びバブルガムフレーバーとその混合物が挙げられる。フレーバーの量は所望官能効果等の多数の因子により異なる。フレーバーは組成物の重量を基にして約0.05〜約3重量%の量で存在することができる。特に好ましいフレーバーはブドウフレーバー、チェリーフレーバー及び柑橘フレーバー(例えばオレンジ)である。
【0050】
本発明の1側面は舌下投与に適した固体経口錠剤製剤を提供する。錠剤化を助長するために賦形剤充填剤を使用することができる。充填剤は口腔内での製剤の迅速な溶解も助長することが望ましい。適切な充填剤の例としては限定されないが、マンニトール、デキストロース、ラクトース、スクロース、及び炭酸カルシウムが挙げられる。
【0051】
US−A−6200604に記載されているように、錠剤は直接圧縮、湿式造粒又は他の任意錠剤製造技術により製造することができる。製剤は対象の口腔に製剤を入れ、口腔内で舌下に保持することによりヒト又は他の哺乳動物対象に投与することができる(舌下投与)。製剤は口腔内の水分により自然に崩壊し始める。崩壊と特に発泡が唾液分泌を更に刺激し、更に崩壊が進む。
【0052】
上記製剤は本発明の範囲内であるが、本発明による最も好ましい口腔内分散性固体医薬製剤はデスモプレシンとデスモプレシンを担持する開放マトリックスネットワークを含み、開放マトリックスネットワークはデスモプレシンに対して不活性な水溶性又は水分散性キャリヤー材料から構成される。
【0053】
開放マトリックスネットワークを含む医薬製剤はGB−A−1548022から公知であり、詳細については同文献を参照されたい。本発明の医薬製剤は水により迅速に崩壊させることができる。「迅速に崩壊」とは、成形品が10秒以内に崩壊することを意味する。成形品は5秒以内又は更には2秒以内又は1秒以内又は更に短時間で崩壊(溶解又は分散)することが好ましい。崩壊時間はDisintegration Test for Tablets,B.P.1973に類似の方法により測定される。この方法はGB−A−1548022に記載されており、以下に要約する。
【0054】
装置
長さ80〜100mm、内径約28mm及び外径30〜31mmのガラス又は適当なプラスチックチューブの下端部にバスケットを形成するようにNo.1.70シーブの要件に合致する防錆細目金網のディスクを装着する。
【0055】
内径約45mmの平底ガラスシリンダーに深さ15cm以下に温度36〜38℃の水を入れる。
【0056】
最高位置で金網が水面すれすれとなり、最低位置でバスケットの上縁が水に浸さないように均一に繰返し上下できるようにバスケットをシリンダーの中心に吊るす。
【0057】
方法
成形品1個をバスケットに入れ、完全な上下運動を毎分30回に等価の速度で繰返すように上下させる。粒子を通しにくい金網の上に粒子が残らなくなると成形品は崩壊している。このような粒子は10秒後に残っていないことが望ましい。
【0058】
本明細書において「開放マトリックスネットワーク」なる用語は全体に分散した間隙をもつ水溶性又は水分散性キャリヤー材料を意味する。キャリヤー材料の開放マトリックスネットワークは一般に低密度である。例えば、密度は10〜200mg/ccの範囲内とすることができ、例えば10〜100mg/cc、好ましくは30〜60mg/ccである。成形品の密度は成形品に添加される活性成分や他の任意成分の量によって変化し、マトリックスネットワークの密度について上述した好適範囲外でもよい。固体フォームと構造が類似する開放マトリックスネットワークは間隙を通って液体を製剤に侵入させ、その内部に浸透させることができる。水性媒体の浸透により製剤の内外両側のキャリヤー材料は水性媒体の作用を受け、キャリヤー材料のネットワークは迅速に崩壊する。開放マトリックス構造は多孔性であり、錠剤、ピル、カプセル、座剤及びペッサリー等の通常の固体成形医薬製剤に比較して製剤の崩壊を助長する。迅速な崩壊の結果としてマトリックスにより担持された活性成分は迅速に放出される。
【0059】
本発明の製剤で使用されるキャリヤー材料は薬理的に許容可能であるか又は薬品に不活性であり、迅速に崩壊可能な開放マトリックスネットワークを形成することが可能な任意水溶性又は水分散性材料とすることができる。水溶性材料をキャリヤーとして使用すると、製剤を水性媒体に配置した場合にマトリックスの最も迅速な崩壊を生じるので好ましい。特に有利なキャリヤーはゼラチン等のポリペプチドから形成することができ、特に、例えば水を加熱することにより特に加水分解したゼラチンが挙げられる。例えば、ゼラチンはゼラチン水溶液を例えば約120℃のオートクーブで2時間まで、例えば約5分間〜約1時間、好ましくは約30分間〜約1時間加熱することにより部分的に加水分解することができる。加水分解ゼラチンは約1〜6%又は8重量/容量%の濃度で使用することが好ましく、2〜4%が最も好ましく、例えば約3%、又は4〜6%、例えば約5%である。下記実施例から明らかなように、これらの濃度は例えば凍結乾燥による脱水前の製剤全体の濃度である。
【0060】
哺乳動物由来ゼラチンを使用してもよいが、味が悪いので、活性成分の味を隠すために必要な甘味料とフレーバーに加え、ゼラチンの味を隠すためにも甘味料とフレーバーの使用が必要になる。更に、哺乳動物ゼラチンの使用と共に必要になる加熱段階は処理時間を延ばし、加熱費用が加わるので、プロセスの総費用が増す。従って、魚ゼラチン、特に非ゲル化性魚ゼラチンが特にデスモプレシンには好ましい。詳細についてはWO−A−0061117を参照されたい。
【0061】
部分加水分解ゼラチン又は魚ゼラチンの代わりに他のキャリヤー材料を使用してもよく、例えば加水分解デキストラン、デキストリン等の多糖やアルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウム)又は上記キャリヤー相互又は他のキャリヤー材料(例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン又はアラビアガム)の混合物を使用できる。ゼラチンの代わりに、WO−A−0044351に記載されているような加工澱粉を使用してもよく、詳細については同文献を参照されたい。
【0062】
上記キャリヤーに加え、又は場合によってはその代わりに使用することができる他のキャリヤー材料としてはトラガカント、キサンタン、カラゲナン、及びグアー等のガム;アマニ粘液や寒天等の粘液;ペクチン及び澱粉とその誘導体、特に可溶性澱粉及びデキストレート等の多糖及び他の炭水化物;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;並びにカルボマーが挙げられる。
【0063】
充填剤も加えることができる。充填剤は口腔内で製剤の迅速な溶解又は分散を助長することも望ましい。適切な充填剤の例としては限定されないが、マンニトール、デキストロース、ラクトース、スクロース、及びソルビトール等の糖が挙げられる。充填剤は約0〜6%又は8%重量/容量%の濃度で使用することが好ましく、2〜4%が最も好ましく、例えば約3%、又は4〜6%、例えば約5%である。この場合も、これらの濃度は例えば凍結乾燥による脱水前の製剤全体の濃度である。
【0064】
本発明の医薬製剤は成形品の形態とすることができる。製剤は活性成分以外の成分を含むことができる。例えば、本発明の医薬製剤は医薬的に許容可能なアジュバントを含むことができる。このようなアジュバントとしては例えば着色剤、芳香剤、防腐剤(例えば静菌剤)等が挙げられる。US−A−5188825は水溶性活性剤をイオン交換樹脂と結合して実質的に非水溶性の活性剤/樹脂複合体を形成すべきであると教示しており、この教示を本発明で実施してもよいが(詳細についてはUS−A−5188825参照)、デスモプレシン等の水溶性ペプチドはイオン交換樹脂と結合する必要なしに本発明の固体製剤に製剤化できることが本発明の開発で判明した。従って、このような製剤はイオン交換樹脂を加えなくてもよい。デスモプレシンと異なり、疎水性ペプチドでは、US−A−5827541に教示されているように界面活性剤を加えてもよく、詳細については同文献を参照されたい。味の悪いペプチド(デスモプレシンはそうでないが)については、US−A−6156339に教示されているように患者に受け入れ易くするためにレシチン等の脂質を加えることができ、詳細については同文献を参照されたい。味を隠すための他のストラテジーとしては、US−A−5738875及びUS−A−5837287に教示されているように可溶性塩を低可溶性塩又は遊離塩基に変換したり、US−A−5976577に開示されている方法を使用して凍結乾燥前にコーティング付き又はなしの医薬活性物質の粗粒子をキャリヤー材料に懸濁した懸濁液を冷却して粘度を下げ、処理中の活性物質の放出を最小限にすると共に、口腔内の製剤の崩壊点を越えてからはペプチドの味の悪さを最小限にすることができる(詳細については引用特許参照)。
【0065】
粒度の大きい不溶性又は低可溶性ペプチドの場合には、US−A−5631023に開示されているように、特にキャリヤーがゼラチンから形成される場合には、ゼラチン凝集剤として機能することができるキサンタンガムを加えることができ、詳細については同文献を参照されたい。
【0066】
WO−A−9323017に教示されているように、マトリックスがゼラチン、ペクチン、大豆線維蛋白及びその混合物から構成される群から選択される場合には約2〜12個の炭素原子をもつ1種以上のアミノ酸を加えてもよい。この製剤において好適アミノ酸はグリシンであり、好適マトリックス形成剤はゼラチン及び/又はペクチンであり、特に好ましい態様では、製剤は更にマンニトールを含む。
【0067】
全賦形剤は医薬的に許容可能であるように選択される。
【0068】
本発明の医薬製剤はGB−A−1548022に記載されている方法により製造することができ、本方法は医薬物質と溶媒中のキャリヤー材料の溶液を含む組成物から溶媒を昇華させる段階を含み、組成物は金型内で固体状態にある。
【0069】
昇華は活性成分と溶媒中のキャリヤー材料の溶液を含む組成物を凍結乾燥することにより実施することが好ましい。組成物は上記のような付加成分を含むことができる。溶媒は水が好ましいが、薬品の溶解度を改善するために補助溶媒(例えばtert−ブチルアルコール等のアルコール)を加えてもよい。組成物は更に界面活性剤を含むことができ、例えばTween 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)が挙げられる。界面活性剤は金型の表面への凍結乾燥物の粘着防止を助長することができる。また、活性成分の分散を助長することもできる。
【0070】
組成物は製剤を製造する前の溶液のpHを3〜6の範囲内、好ましくは3.5〜5.5、最も好ましくは4〜5、例えば4.5又は4.8に調整するためにpH調節剤を含むことができる。クエン酸が好ましいpH調節剤であるが、塩酸、リンゴ酸等も使用できる。このような不揮発性pH調節剤は凍結乾燥又は他の昇華工程により除去されないので、最終製剤に存在することができる。
【0071】
金型は各々成形品の所望サイズに対応するサイズの一連の円筒形又は他の形状の凹部を含むことができる。あるいは、金型の凹部のサイズを製品の所望サイズよりも大きくし、内容物を凍結乾燥後に製品を所望サイズに切断してもよい(例えば薄ウェーハ)。
【0072】
しかし、GB−A−2111423に記載されているように、金型はフィルム材料シートの凹部であることが好ましい。フィルム材料は2個以上の凹部を含むことができる。フィルム材料は経口避妊錠剤及び類似の医薬形態のパッケージングに使用されている慣用ブリスターパックで使用されていると同様のものとすることができる。例えば、フィルム材料は熱成形により形成された凹部をもつ熱可塑性材料から作製することができる。好ましいフィルム材料はポリ塩化ビニルフィルムである。フィルム材料のラミネートも使用できる。
【0073】
1態様では、金型は1個以上の凹部を含む金属プレート(例えばアルミニウムプレート)を含む。このような金型を使用する好ましい方法では、金型を冷媒(例えば液体窒素又は固体二酸化炭素)で冷却する。金型を冷却したら、所定量の水にキャリヤー材料、活性成分及び他の任意所望成分を加えて凹部に供給する。凹部の内容物を凍結したら、金型を減圧し、所望により制御下に加熱して昇華を助長する。圧力は約4mmHg未満とすることができ、GB−A−1548022は0.3mm Hg未満、例えば0.1〜0.2mmの圧力を使用すると好ましいと教示している。次に、凍結乾燥品を金型の凹部から取出し、例えば気密ジャー又は他の適当な保存容器に入れて将来の使用に備えて保存することができる。あるいは、GB−A−2111423に記載されているように凍結乾燥品をフィルム材料に包んでもよい。
【0074】
その後に開発された方法として本発明による医薬製剤の製造に有用な方法がGB−A−2111423に記載されており、詳細については同文献を参照されたい。本方法は所定量の活性成分と部分加水分解ゼラチンの溶液を含む組成物を金型に充填する段階と、ガス冷媒を金型の上に通すことにより金型内の組成物を凍結する段階と、次に凍結組成物から溶媒を昇華させて活性成分を担持する部分加水分解ゼラチンのネットワークを生成する段階を含む。
【0075】
製品の均一な厚みを確保し易くするためには、GB−A−2119246に記載されているように金型の1以上の側壁を底部から外側に広げ、組成物の表面で垂線との角度を少なくとも5°にすることができ、詳細については同文献を参照されたい。
【0076】
上記の代わり又はそれに加えて、本発明の医薬製剤はGB−A−2114440に記載されているような方法により製造することができ、本方法は活性成分に対して不活性な水溶性又は水分散性キャリヤー材料の第1の溶媒中の溶液を含む組成物を凍結する段階と、凍結組成物から第1の溶媒を昇華させてキャリヤー材料のネットワークをもつ生成物を生成する段階と、所定量の活性成分を含有する第2の非水性溶媒の溶液又は懸濁液を前記生成物に加える段階と、第2の溶媒を蒸発させる段階を含む。詳細についてはGB−A−2114440を参照されたい。
【0077】
上記の代わり又はそれに加えて、本発明の医薬製剤はGB−A−2111184に記載されているような方法により製造することができ、本方法は液体媒体の凝固点よりも低温に維持されており、液体媒体に対して不混和性で不活性であり且つ液体媒体と得られる凍結粒子のどちらよりも密度の大きい冷却液の表面の下に液滴形態の液体媒体を導入し、液滴が冷却液中をその表面に向かって浮き上がるにつれて凍結して球形粒子を形成する。凍結した球形粒子を冷却液の上面又はその近傍で収集することができる。詳細についてはGB−A−2111184を参照されたい。
【0078】
本発明による製剤は改善されたバイオアベイラビリティをもつ。製剤は経口投与を目的とし、この目的に非常に適している。製剤は口腔内で迅速に分散し、例えば舌下に挿入してもよいし(舌下)、舌の上又は頬もしくは歯肉に付着してもよい。
【0079】
本発明の第2の側面によると、特に排泄延期、あるいは失禁、一次性夜尿(PNE)、夜間多尿及び中枢性尿崩症用医薬で使用するための上記製剤が提供される。
【0080】
本発明は排泄を延期し、失禁、一次性夜尿(PNE)、夜間多尿及び/又は中枢性尿崩症を治療又は予防する方法を提供し、本方法は一般に非毒性の有効量のデスモプレシンを口腔内分散性医薬製剤、例えば上記製剤として対象に投与することを含む。デスモプレシンにより治療可能又は予防可能な他の任意疾患又は疾病も同様に本発明により処置することができる。従って、本発明は口腔内分散性医薬製剤の製造におけるデスモプレシンの使用にも関する。本発明は更にデスモプレシンの口腔内分散性医薬製剤と患者の口腔への製剤の投与方法を記載した説明書を含むパックにも関する。デスモプレシンのパッケージ製剤の製造方法も本発明に含まれ、本方法はデスモプレシンの口腔内分散性医薬製剤と患者の口腔への製剤の投与方法を記載した説明書を同梱することを含む。説明書は例えば販売又は分配時に製剤を含むパッケージングに印刷してもよいし、パッケージング内の製品情報冊子又は添付書に記載してもよい。
【0081】
デスモプレシン以外のペプチドも上記製剤に製剤化することができる。従って、本発明は医薬的に活性なペプチドの口腔内分散性医薬製剤にも関する。
【0082】
本発明の別の側面によると、医薬的に活性なペプチドと、ペプチドを担持する開放マトリックスネットワークを含み、開放マトリックスネットワークがペプチドに対して不活性な水溶性又は水分散性キャリヤー材料から構成される固体医薬製剤が提供される。
【0083】
迅速溶解製剤から製造された経口ワクチンはWO−A−9921579から公知であるが、投与後にその活性を維持する医薬的に活性なペプチドについては開示されていない。WO−A−9921579における実験結果はアジュバント添加迅速溶解ワクチン製剤により破傷風トキソイドの投与後に破傷風トキソイドに対するIgA抗体が唾液中に存在することしか示していない。本発明の製剤はワクチンではなく、アジュバントを含まない。
【0084】
本発明のこの側面の医薬製剤は医薬的に活性なペプチドを含む。このようなペプチドはそれ自体直接活性でもよいし、1種以上の活性な代謝産物をもつものでもよく、即ち一次もしくは真の活性成分のプロドラッグでもよい。ペプチドは例えば2〜20、好ましくは5〜15個のアミノ酸残基をもつことができる(L−異性体が一般に主体であるが、少なくとも一部はD−異性体でもよい)。ペプチドは直鎖、分枝鎖又は環状のいずれでもよく、天然残基もしくは置換基又は天然ペプチドもしくは蛋白質には一般にもしくは全く存在しない残基もしくは置換基を含むことができる。必要に応じて医薬的に許容可能な塩、単純付加物及び互変体も含まれる。
【0085】
本発明により有用に製剤化されるペプチドの例としてはソマトスタチンとその類似体(例えばシクロ(MeAla−Tyr−D−Trp−Lys−Val−Phe)及びシクロ(Asn−Phe−Phe−D−Trp−Lys−Thr−Phe−GABA))、エンケファリン(例えばMet−エンケファリン及びLeu−エンケファリン)、オキシトシン類似体(例えばアトシバン(1−デアミノ−2−D−Tyr−(OEt)−4−Thr−8−Orn−オキシトシン)),GnRH類似体(例えばトリプトレリン(6−D−Trp−GnRH),ロイプロリド([D−Leu,Pro−NHEt]−GnRH),デガレリクス(Ac−D−2Nal−D−4Cpa−D−3Pal−Ser−4Aph(L−ヒドロオロチル)−D−4Aph(Cbm)−Leu−Ilys−Pro−D−Ala−NH)(式中、2Nalは2−ナフチルアラニン、4Cpaは4−クロロフェニルアラニン、3Palは3−ピリジルアラニン、ILysはN(ε)−イソプロピルリジン、4Aphは4−アミノフェニルアラニン、及びCbmはカルバモイル基である))及びUS−A−5925730及びUS−A−4072668に開示されている他のGnRHアンタゴニスト、並びにバソプレシン類似体(例えばデスモプレシン)が挙げられる。アゴニストはアンタゴニストよりも低用量で活性であり得るので上記のもの等の天然活性ペプチドのアゴニストを本発明により製剤化することが特に好ましい。
【0086】
用量はペプチドの種類、治療又は予防する疾患又は疾病の種類、及び他の因子に応じて主治医又は臨床医により決定される。
【0087】
本発明はペプチドにより治療可能又は予防可能な疾患又は疾病を治療又は予防するための上記のような製剤の製造におけるペプチドの使用にも関する。
【0088】
本発明は更にペプチドにより治療可能又は予防可能な疾患又は疾病方法も提供し、本方法は一般に非毒性の有効量のペプチドを上記のような製剤として対象に投与することを含む。
【0089】
本明細書に引用した各文献の内容は法的に許される最大範囲まで参考資料として本明細書に組込む。
【0090】
本発明の各側面の好適特徴と、実施可能で必要な場合には本発明の各側面の各態様は他の各側面又は態様にも必要に応じて変更を加えて適用される。特に、デモプレシンに関する本発明の上記側面、特徴及び態様は他のペプチドにも適用できるものとする。
【0091】
以下、実施例により本発明を例証する。
【実施例1】
【0092】
200μgデスモプレシン口腔内分散性製剤
噴霧乾燥魚ゼラチン(4g)とマンニトール(3g)をガラスビーカーに加える。次に精製水(93g)を加え、マグネチックフォロワーを使用して撹拌することにより溶解させる。pHをチェックし、必要に応じてクエン酸を加えて4.8に調整する。
【0093】
次に、ギルソンピペットを使用してこの溶液500mgをポケット直径約16mmの一連のプレフォームブリスターポケットの1個ずつに分配することができる。ブリスターラミネートはPVdCをコーティングしたPVCから構成することができる。次に各配量単位を滞留時間3.2分でフリージングトンネルにて温度−110℃で凍結させ、凍結した各単位を次に縦型フリーザーで1.5時間以上温度−25℃(±5℃)に維持する。次に圧力0.5mbar下に初期シェルフ温度10℃から+20℃まで上げて各単位を一晩凍結乾燥する。各単位は取出し前に乾燥トレースと加圧水分チェックにより水分をチェックすることができる。
【0094】
こうして、WO−A−0061117の実施例1に記載されている一般手順に従い、以下の単位製剤当たり成分を使用してデスモプレシン口腔内分散性製剤を製造する。
デスモプレシン(PolyPeptide Laboratories,スウェーデン)
200μg
マンニトールEP/USP(Roquette,Mannitol 35)15mg
魚ゼラチンUSNF/EP 20mg
クエン酸(必要に応じて)[pH調節剤] pH4.8まで適量
精製水 [処理中に除去]。
【実施例2】
【0095】
400μgデスモプレシン口腔内分散性製剤
単位製剤当たりのデスモプレシンの量を400μgとした以外は本発明の実施例1の手順に従う。
【実施例3】
【0096】
800μgデスモプレシン口腔内分散性製剤
単位製剤当たりのデスモプレシンの量を800μgとした以外は本発明の実施例1の手順に従う。
【実施例4】
【0097】
200μgデスモプレシン口腔内分散性製剤
WO−A−0061117の実施例1に記載されている一般手順に従い、以下の単位製剤当たり成分を使用してデスモプレシン口腔内分散性製剤を製造した。
デスモプレシン(PolyPeptide Laboratories,スウェーデン)
200μg
マンニトールEP/USP(Roquette,Mannitol 35) 6mg
魚ゼラチンUSNF/EP 10mg
クエン酸(必要に応じて)[pH調節剤] pH4.8まで適量
精製水 [処理中に除去]。
【実施例5】
【0098】
400μgデスモプレシン口腔内分散性製剤
単位製剤当たりのデスモプレシンの量を400μgとした以外は本発明の実施例4の手順に従った。
【実施例6】
【0099】
800μgデスモプレシン口腔内分散性製剤
単位製剤当たりのデスモプレシンの量を800μgとした以外は本発明の実施例4の手順に従った。
【0100】
(比較例1)
デスモプレシンi.v.溶液
以下の成分を使用してデスモプレシンの注射用製剤を従来方法で製造した。
デスモプレシン(PolyPeptide Laboratories,スウェーデン)
4mg
塩化ナトリウム(National Corporation of Swedish Pharmacies,スウェーデン) 9mg
塩酸(1N)(Merck,ドイツ) pH4まで適量
注射用水 1mlまで適量。
【0101】
(比較例2)
200μgデスモプレシン慣用錠剤
慣用湿式造粒法を使用して以下の成分を含有する錠剤を製造した。
デスモプレシン(PolyPeptide Laboratories,スウェーデン)
200μg
ラクトース(Pharmatose 150M,DMV,オランダ) 120mg
ポテトスターチ(Lyckeby AB,スウェーデン) 77mg
PVP(Kollidon 25,BASF,ドイツ) 1.8mg
ステアリン酸マグネシウム(Peter Greven,ドイツ) 1mg
造粒液(水,エタノール) [処理中に除去]。
【0102】
(比較例3)
100μgデスモプレシン慣用錠剤
デスモプレシンの量を100μg/錠とした以外は比較例2の手順に従った。
【実施例7】
【0103】
実施例4〜6により投与したデスモプレシンのバイオアベイラビリティ
試験デザイン
本試験では24人の健常非喫煙男子ボランティアを対象とした。試験は1施設、非盲検、無作為化、釣り合い型、4群クロスオーバーフェーズI試験としてデザインした。200μg、400μg及び800μg口腔内分散性製剤(夫々実施例4,5及び6)とi.v.ボーラス投与(比較例1)として2μgのデスモプレシンを無作為順序で各対象に舌下投与した。投薬間には72時間の休薬期間を設けた。口腔内分散性錠剤の投与前に頬粘膜を標準化するために、食物、ガム等を口にしないように対象に頼んだ。対象に朝投与前に歯磨き粉を付けずに歯を磨くようにしてもらった。
【0104】
血液サンプル
血漿デスモプレシン濃度用血液サンプルを以下のスケジュールに従って採血した:投薬前と投薬から15分、30分、45分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間及び24時間後。静脈内投与後には、投薬から5分後と10分後にも血液サンプルを採血した。
【0105】
アッセイ
血漿中のデスモプレシン濃度を承認済みRIA法により測定した。
【0106】
薬物動態分析
市販ソフトウェアWinNonlin(登録商標)Pro,ver.3.2(Pharsight Corporation,米国)を使用して非区画法により各投与群の個々のボランティアについて血漿中のデスモプレシン濃度を分析した。定量限界(LOQ)を下回る血漿濃度値の後にLOQを上回る値が検出された場合にはNCA分析と濃度の記述統計で「LOQ/2」に設定した。LOQを下回る値の後にLOQを上回る値が検出されない場合にはNCA分析から除外し、濃度の記述統計ではゼロに設定した。
【0107】
薬物動態分析の結果
i.v.投与後に定常状態の平均分布容量(Vss)は29.7dmであった。平均クリアランスを計算した処、8.5dm/時であり、平均排泄半減期は2.8時間であることが判明した。デスモプレシンの経口投与後には、投薬から0.5〜2.0時間後に最高血漿濃度が観測された。最高血漿濃度は200、400及び800μgの経口投与後に夫々14.25、30.21及び65.25pg/mlであった。最高値に到達した後に、デスモプレシンは2.8〜3.0時間の平均排泄半減期で排泄された。バイオアベイラビリティは0.23〜0.38%の95%信頼区間で0.30%であることが判明した。
【0108】
実施例4、5又は6の口腔内分散性製剤として投与した場合にデスモプレシンの薬物動態は線形である。
【0109】
(比較例4)
比較例2及び3により投与したデスモプレシンのバイオアベイラビリティ
本試験は非盲検単回投与3群クロスオーバー試験としてデザインし、36人の健常男子ボランティア(白人、黒人及びヒスパニック)を対象とした。200μg錠(比較例2)1錠としてデスモプレシン200μg、100μg錠(比較例3)2錠としてデスモプレシン200μg及びi.v.ボーラス投与(比較例1)として2μgを無作為順序で各対象に投与した。
【0110】
i.v.投与後に平均排泄半減期は2.24時間であることが判明した。デスモプレシンの経口投与後には、投薬から1.06時間(2x100μg)又は1.05時間(1x200μg)後に最高血漿濃度が観測された。最高血漿濃度は2x100μg及び1x200μgの経口投与後に夫々13.2及び15.0pg/mlであった。バイオアベイラビリティは0.13%(2x100μg)又は0.16%(1x200μg)であることが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デスモプレシンの口腔内分散性医薬製剤。
【請求項2】
口腔内分散性固体医薬製剤である請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
デスモプレシンと、デスモプレシンを担持する開放マトリックスネットワークを含み、開放マトリックスネットワークがデスモプレシンに対して不活性な水溶性又は水分散性キャリヤー材料から構成される固体医薬製剤。
【請求項4】
開放マトリックスネットワークがゼラチンを含む請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
ゼラチンが魚ゼラチンである請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
魚ゼラチンが非ゲル化性である請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
デスモプレシンと溶媒中のキャリヤー材料の溶液を含む組成物から溶媒を昇華させることを含み、組成物が金型内で固体状態である固体医薬製剤の製造方法。
【請求項8】
デスモプレシンと溶媒中のキャリヤー材料の溶液を含む組成物を凍結乾燥することにより昇華を実施する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
溶媒が水である請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
溶液のpHが3〜6、好ましくは3.5〜5.5、最も好ましくは4〜5である請求項7、8又は9に記載の方法。
【請求項11】
医薬用としての請求項1から10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
排泄延期用としての、あるいは失禁、一次性夜尿(PNE)、夜間多尿又は中枢性尿崩症の治療又は予防用としての請求項1から10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項13】
口腔内分散性医薬製剤の製造におけるデスモプレシンの使用。
【請求項14】
デスモプレシンにより治療可能又は予防可能な疾患又は疾病の治療又は予防方法であって、一般に非毒性の有効量のデスモプレシンを口腔内分散性医薬製剤として対象に投与することを含む前記方法。
【請求項15】
排泄延期方法、あるいは失禁、一次性夜尿(PNE)、夜間多尿及び/又は中枢性尿崩症の治療又は予防方法である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
デスモプレシンの口腔内分散性医薬製剤と患者の口腔への製剤の投与方法を記載した説明書を含むパック。
【請求項17】
デスモプレシンの口腔内分散性医薬製剤と患者の口腔への製剤の投与方法を記載した説明書を同梱することを含むデスモプレシンのパッケージ製剤の製造方法。
【請求項18】
医薬的に活性なペプチドの口腔内分散性医薬製剤。
【請求項19】
口腔内分散性固体医薬製剤である請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
医薬的に活性なペプチドと、ペプチドを担持する開放マトリックスネットワークを含み、開放マトリックスネットワークがペプチドに対して不活性な水溶性又は水分散性キャリヤー材料から構成される固体医薬製剤。
【請求項21】
ペプチドがソマトスタチンもしくはその類似体、エンケファリン、オキシトシン類似体、LH−RH類似体、GnRH類似体又はバソプレシン類似体である請求項18から20のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項22】
開放マトリックスネットワークがゼラチンを含む請求項20に記載の製剤。
【請求項23】
ゼラチンが魚ゼラチンである請求項22に記載の製剤。
【請求項24】
魚ゼラチンが非ゲル化性である請求項23に記載の製剤。
【請求項25】
医薬的に活性なペプチドを含む固体医薬製剤の製造方法であって、ペプチドと溶媒中のキャリヤー材料の溶液を含む組成物から溶媒を昇華させることを含み、組成物が金型内で固体状態である前記方法。
【請求項26】
ペプチドと溶媒中のキャリヤー材料の溶液を含む組成物を凍結乾燥することにより昇華を実施する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
医薬用としての請求項18から24のいずれか一項に記載の製剤。

【公表番号】特表2006−502972(P2006−502972A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−502972(P2004−502972)
【出願日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【国際出願番号】PCT/IB2003/002368
【国際公開番号】WO2003/094886
【国際公開日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(500297535)フェリング ベスローテン フェンノートシャップ (36)
【Fターム(参考)】