説明

デッキ材及びデッキ

【課題】隣接されたデッキ材の間から物が落ちにくいデッキ材及びデッキを提供する。
【解決手段】大引きの上に取付部材にて取り付けられてデッキを形成するデッキ材であって、長手方向と交差する交差方向における両側部に、前記取付部材が係合される係合部を有し、前記交差方向に沿って切断した断面において、前記交差方向における両端の輪郭が非線対称であり、前記デッキの床面となり得る2つの表面のうちの一方の表面を前記床面とすべく前記大引き上に載置した場合における前記係合部の前記大引きからの距離と、他方の表面を前記床面とすべく前記大引き上に載置した場合における前記係合部の前記大引きからの距離とは等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大引きに取り付けられるデッキ材及びデッキ材を有するデッキに関する。
【背景技術】
【0002】
大引き上に取り付けられるデッキ材及びこのデッキ材を有するデッキとしては、例えば、大引き(根太材)の上に取り付けられた結合駒を大引きの長手方向における両側から挟むように取り付けられるデッキ材(床材)及びデッキが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなデッキ材は、大引きの長手方向に複数並べて設けられるため、ほぼ平板状をなすデッキ材は、両側面に結合駒の結合部片が係合する組み付け溝が設けられ、幅方向における両端部が対称な形状をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3645477号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなデッキ材を大引きの長手方向に並べてデッキを形成すると、隣接されたデッキ材間にデッキ材の上下の空間を鉛直に連通する隙間が形成され、その隙間から物が落ち、また、落ちた物を拾い上げることができないという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、隣接されたデッキ材の間から物が落ちにくいデッキ材及びデッキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明のデッキ材は、大引きの上に取付部材にて取り付けられてデッキを形成するデッキ材であって、長手方向と交差する交差方向における両側部に、前記取付部材が係合される係合部を有し、前記交差方向に沿って切断した断面において、前記交差方向における両端の輪郭が非線対称であり、前記デッキの床面となり得る2つの面のうちの一方の面を前記床面とすべく前記大引き上に載置した場合における前記係合部の前記大引きからの距離と、他方の面を前記床面とすべく前記大引き上に載置した場合における前記係合部の前記大引きからの距離とは等しいことを特徴とするデッキ材である。
【0007】
このようなデッキ材によれば、交差方向に沿って切断した断面において、交差方向における両端の輪郭が非線対称なので、複数のデッキ材を並べて配置する際には、隣接する
デッキ材の端部同士が上下方向において重なる位置に配置することが可能である。このため、デッキ材間にはデッキ材の上下の空間を鉛直に連通する隙間は形成されないので、デッキ材の間から物が落ちることを防止することが可能である。
また、デッキ材の交差方向における両側部に形成される係合部の大引きからの距離は等しいので、デッキ材のいずれの面を床面としても一種類の取付部材にてデッキ材を大引きに取り付けることが可能である。
【0008】
かかるデッキ材であって、前記両端の輪郭は、前記断面の中心を対称の中心とする点対称の形状であることが望ましい。
このようなデッキ材によれば、デッキ材が有する2つの面のうちいずれの面を上方に向けても取り付けることができるので、施工時にデッキ材の表裏に拘らず取り付けることができる。このため、施工性が向上する。また、デッキ材の一方の面が汚れたり傷ついた場合には裏返して使用することが可能である。このとき、裏返したデッキ材と、隣接するデッキ材との位置関係は変わらないので、互いに隣接するデッキ材間に上下方向に連通する空間が形成されることなくデッキ材を裏返して使用することが可能である。
【0009】
かかるデッキ材であって、前記係合部は、前記交差方向に窪む凹部であり、前記凹部より上側の部位と、前記凹部より下側の部位とは、前記交差方向において一方が他方より長く延出されていることが望ましい。
このようなデッキ材によれば、複数のデッキ材を並べて配置する際には、隣接するデッキ材のうち、一方のデッキ材の凹部より下側の部位の上に、他方のデッキ材の凹部より上側の部位が配置されるので、隣接するデッキ材の端部同士を上下方向において確実に重ならせることが可能である。このため、デッキ材間にはデッキ材の上下の空間を鉛直に連通する隙間は形成されないので、デッキ材の間から物が落ちることをより確実に防止することが可能である。
【0010】
かかるデッキであって、前記凹部より上側の部位、または、前記凹部より下側の部位の延出されている部位を切除することにより、前記断面における前記交差方向の両端の輪郭が前記断面の中心を通る直線を対称軸として線対称となることが望ましい。
このようなデッキ材によれば、凹部より上側の部位、または、凹部より下側の部位の延出されている部位を切除して断面における交差方向の両端の輪郭を断面の中心を通る直線を対称軸として線対称とすることにより、例えば、デッキの縁部にて幕板を設ける際に、デッキの縁部にデッキ材のいずれの側が配置されたとしても、共通の幕板を取り付けることが可能である。
【0011】
また、前記デッキ材と、前記デッキ材が取り付けられる大引きと、を備えたデッキである。
このようなデッキは、デッキ材が、交差方向に沿って切断した断面において、交差方向における両端の輪郭が非線対称なので、複数のデッキ材を並べて配置する際には、隣接するデッキ材の端部同士が上下方向において重なる位置に配置することが可能である。このため、デッキ材間にはデッキ材の上下の空間を鉛直に連通する隙間は形成されないので、デッキ材の間から物が落ち難いデッキを実現することが可能である。
また、デッキ材の交差方向における両側部に形成される係合部の大引きからの距離は等しいので、デッキ材の交差方向における両端の輪郭を非線対称としつつも簡単な形状の取付部材にてデッキ材を大引きに取り付けることが可能な、施工性に優れたデッキを実現することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、隣接されたデッキ材の間から物が落ちにくいデッキ材及びデッキを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るデッキを説明するための斜視図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】大引きとデッキ材との取付部を奥行き方向における手前側から見た図である。
【図4】デッキ材の長手方向と交差する交差方向に沿ってデッキ材を切断した際の断面図である。
【図5】本実施形態に係る取付部材を説明するための斜視図である。
【図6】デッキ材の端部の形状を説明するための図である。
【図7】大引き及び大引きの支持方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るデッキについて図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態のデッキ1は、例えば、図1、図2に示すように、地面や基礎5上に設けられた束柱3に支持された複数の大引き10と、大引き10の上に取付部材30にて取り付けられるデッキ材20とを有している。以下の説明においては、大引き10の長手方向に沿う方向からデッキ1を見た際に、大引き10の長手方向を奥行き方向、大引き10の長手方向と交差する方向、すなわちデッキ材20の長手方向であり左右となる方向を左右方向、上下となる方向を上下方向として説明する。また、デッキ1が備える各部材は、単体の状態であっても施工後のデッキ1として組み立てられた状態にて奥行き方向、左右方向、上下方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0016】
本実施形態のデッキ1は、3本の束柱3の上に架け渡された大引き10が、左右方向に互いに間隔を隔てて3本設けられており、3本の大引き10の上に、長手方向が左右方向に沿わされて架け渡されたデッキ材20が、奥行き方向に複数枚並べて配置され、大引き10とデッキ材20とが交差する部位にて取付部材30により大引き10にデッキ材20が取り付けられている。
【0017】
大引き10は、アルミニウム製の押出成形部材であり、図3に示すように、束柱3上に当接され左右方向に互いに間隔を隔てて設けられた一対の座板部11と、座板部11の上面からそれぞれ鉛直方向に立設され左右方向に互いに間隔を隔てて対面する一対の壁部12と、壁部12の上縁から互いに対向する方向に水平方向に延出された水平延出部13と、を有する本体部15、及び、本体部15から上方に突出された突出部16とを有している。
【0018】
座板部11は、壁部12の内側より外側に広く形成されており、束柱3上に載置された部位の壁部12より外側にてビス50により束柱3に固定されている。
【0019】
突出部16は、一対の壁部12の上縁から各々延出された水平延出部13の先端から鉛直方向上方に延出された一対の鉛直延出部17と、一対の鉛直延出部17の上端を連結して水平面を有する上板部18とを有している。上板部18は、一対の鉛直延出部17より左右方向、すなわち大引き10の幅方向に広く形成されており、鉛直延出部17より左右方向外側に突出している部位が、取付部材30と係合する係合片18aをなしている。
【0020】
デッキ材20は、木粉を含有する樹脂にて押出成形された部材であり、図4に示すように、デッキ1の床面を形成可能であり、水平な表面21aを有する2枚の平板部21と、2枚の平板部21の奥行き方向における両端側にて2枚の平板部21を上下方向に互いに間隔を隔てて連結する両端の側部22と、2枚の平板部21及び両側の側部22とにて囲まれた空間内に設けられ2枚の平板部21間を連結する6本のリブ23と、両側の側部22からそれぞれ奥行き方向外側、すなわちデッキ材20の幅方向における外側に向かって突出された側方突出部24とを有している。すなわち、デッキ材20は、2枚の平板部21及び両側の側部22との内側をデッキ材20の長手方向に連通する7つの空間に区画する6本のリブ23が設けられて高い剛性が確保されている。
【0021】
デッキ材20の幅方向における両側に設けられた側部22には、厚み方向における中央部分に、側部22の外側から内側に向かって、すなわちデッキ材20が有する空間の内側に向かって窪む係合部としての凹部25がデッキ材20の長手方向に沿って溝状に形成されている。また、両側の側部22の一方には、凹部25の上側の縁部25aと上縁部22aとに水平方向に突出する側方突出部24が設けられており、両側の側部22の他方には、凹部25の下側の縁部25bと下縁部22bとに水平方向に側方突出部24が設けられている。そして、一方の側部22の上縁部22aに設けられた側方突出部24と、他方の側部22の下縁部22bに設けられた側方突出部24とは、各々平板部21と繋がった水平面を形成している。このため、デッキ材20は、デッキ材20の長手方向と交差する交差方向に沿って切断した断面において、交差方向における両端、すなわち両側の側部22の輪郭が非線対称の形状に形成されており、また、デッキ材20の交差方向に沿って切断した断面の中心Pを対称の中心とする点対称の形状に形成されている。
【0022】
そして、両側部22から突出されて、各々の側部22にそれぞれ2つずつ形成された側方突出部24を切除すると、凹部25の上下に位置し、側方突出部24が設けられていない側面22cと、側方突出部24が切除された部位がなす側面22dとが、ほぼ面一となるように形成されている。このように、デッキ材20の両側部22に設けられている側方突出部24を切除すると、デッキ材20は、デッキ材20の交差方向に沿って切断した断面の中心を通る直線Lを対称軸として線対称となるように構成されている。
【0023】
取付部材30は、アルミニウム製の部材であり、図5に示すように、互いに間隔を隔てて並べて配置された一対の平板状の基部31と、対をなす基部31に跨って設けられ基部31が並ぶ方向に沿う平面を形成し鉛直方向に立設された束壁部32と、束壁部32の上縁部に設けられ水平面を形成する天部33とを有している。
【0024】
一対の基部31の間隔は、大引き10が有する突出部16を形成する鉛直延出部17の幅より僅かに広く、また、上板部18の幅より狭く形成されている。また、基部31には、取付部材30を大引き10にビスにて固定することができるように、ビス50が貫通されるビス孔31aが設けられている。
【0025】
束壁部32の下部には、基部31の間隔より広い幅の切り欠き部32aが設けられており、一対の基部31が、大引き10の水平延出部13に載置された際に、大引き10の突出部16の上板部18が干渉しないように構成されている。このため、一対の基部31が水平延出部13に載置されるとともに、上板部18の左右方向における両端に設けられた係合片18aが、基部31の内側と束壁部32との間に配置された状態にて、取付部材30の上方への移動が規制されるとともに、大引き10の長手方向にスライド可能に形成されている。
また束壁部32には、奥行き方向における手前側の面32b側に僅かに切り起こされた間隔規制突起32cが設けられている。
【0026】
天部33は、束壁部32の上縁から束壁部32の奥行き方向における手前側と奥側とにそれぞれ突出されて、デッキ材20に設けられた凹部25と係合する係合突片33a、33bを構成し、2つの係合突片33a、33bは繋がった1つの水平面を形成している。2つの係合突片33a、33bは、間隔規制突起32cが設けられている側(手前側)に突出された係合突片33aが、奥側に突出された係合突片33bより突出量が小さく形成されている。また、奥側に突出されて突出量が大きい係合突片33bには、取付部材30にデッキ材20をピン51にて固定するための固定孔33cが形成されている。
【0027】
すなわち、取付部材30は、基部31に設けられたビス孔31aと、束壁部32から突出された間隔規制突起32cと、突出量が小さい係合突片33aとが束壁部32の手前側に設けられており、突出量が大きな係合突片33bと、この係合突片33bに設けられた固定孔33cとが束壁部32の奥側に設けられている。
【0028】
デッキ材20を大引き10上に敷き詰める際には、例えば、まずデッキ材20が架け渡される各大引き10の奥行き方向における奥側に位置する端部側に端部取付部材35を固定する。このとき、端部取付部材35としては、例えば、上述した取付部材30の突出量が大きな係合突片33bと基部31の束壁部32より奥側の部位が切除された部材を用いる。そして、大引き10の奥行き方向における奥側に位置する端部側に、突出量が小さな係合突片33aが手前側に向けられて配置されるように端部取付部材35をピン51または釘にて固定する。
【0029】
固定された各端部取付部材35の突出量が小さな係合突片33aがデッキ材20の一方の側部22に設けられた係合部としての凹部25と係合するようにデッキ材20を配置する。このとき、デッキ材20は、凹部25の上側に側方突出部24が設けられている側を端部取付部材35側に向けて配置する。
【0030】
次に、取付部材30を各大引き10と係合させつつスライドさせ、既に取り付けられているデッキ材20に当接させる。このとき、取付部材30の突出量が大きい側の係合突片33bが、既に取り付けられたデッキ材20の凹部25と係合するように取り付ける。また、各大引き10に取り付けられた取付部材30のうちの1つとデッキ材20とをビス50にて固定する。図1の例では、3本の大引き10のうち、中央に位置する大引き10に係合された取付部材30とデッキ材20とをビス50にて固定している。
【0031】
次に新たなデッキ材20を各取付部材30の突出量が小さな係合突片33aがデッキ材20の一方の側部22に設けられた凹部25と係合するように配置する。
【0032】
このように、デッキ材20と取付部材30とを交互に配置してデッキ材20を取り付けて大引き10の端部までデッキ材20を敷き詰める。このとき、デッキ材20を数枚ごとに取付部材30を大引き10にビス50にて固定する。例えば、奥行き方向にデッキ材20を4枚並べるまでは取付部材30を大引き10に固定せず、5枚目のデッキ材20を配置した後に取り付ける各取付部材30はビス50にて各大引き10に固定するというようにデッキ材20を5枚配置するごとに取付部材30を固定する。
【0033】
上記実施形態のデッキ材20は、デッキ材20の幅方向における両側の側部22の一方に、凹部25の上側の縁部25aと上縁部22aとに水平方向に突出する側方突出部24とを備え、両側の側部22の他方には、凹部25の下側の縁部25bと下縁部22bとに水平方向に側方突出部24を備えた構造とし、デッキ材20の長手方向と交差する交差方向に沿って切断した断面において、交差方向である奥行き方向における両端の輪郭が非線対称の形状をなしている。このため、複数のデッキ材20を並べて配置する際には、隣接するデッキ材20のうち、奥行き方向における奥側のデッキ材20の凹部25より下側に設けられた側方突出部24の上方に、奥行き方向における手間側のデッキ材20の凹部25より上側に設けられた側方突出部24が配置されるので、隣接するデッキ材20の端部同士を上下方向において確実に重ならせることが可能である。このため、デッキ材20間にはデッキ材20の上下の空間を鉛直に連通する隙間は形成されないので、デッキ材20の間から物が落ちることをより確実に防止することが可能である。
【0034】
また、デッキ材20が有する2つの表面21aのうちいずれの表面を上方に向けても取り付けることができるので、施工時にデッキ材20の表裏に拘らず取り付けることができる。さらに、デッキ材20の2つの表面21aのうちいずれの面を上方に向けても取り付けたとしても、デッキ材20の交差方向における両側部22に形成された凹部25の大引き10からの距離は等しいので、デッキ材20のいずれの表面21aを床面としても一種類の取付部材30にてデッキ材20を大引き10に取り付けることが可能である。このため、デッキ材20の幅方向における両端の輪郭を非線対称としつつも簡単な形状の同一の取付部材30にてデッキ材20を大引き10に取り付けることが可能であり、施工性に優れたデッキ材20を実現することが可能である。また、デッキ材20の一方の表面21aが汚れたり傷ついた場合には裏返して他方の表面21aを床面として使用することが可能であり、さらに、2つの表面21aを異なる模様や色にて形成すると、2種類のデッキを構成することが可能である。
【0035】
また、デッキ材20は、図4に示すように、凹部25より上側の部位、または、凹部25より下側の部位から延出させて側方突出部24を設けている。デッキ材20の端部を突出させる方法としては、例えば、図6に示すように、凹部25より上側の2つの側方突出部24に相当する突出部位26の先端、及び、凹部25より下側の2つの側方突出部24に相当する突出部位26の先端をそれぞれ連結してデッキ材20の端部に突出部27を設け、デッキ材20の両端側に形成される中空部28と繋がった空間が形成される形状とすることが考えられる。しかしながら、2つの突出部位26を連結した部位と中空部28とが繋がった形状とすると、デッキ材20を押出成形する際に使用するインダイスの形状が、幅の狭い突起が長く突出した形状となる。幅の狭い突起が長く突出しているインダイスは、突出した部分の先端が欠け易いため、単一のインダイスにて成形可能なデッキ材20の数が少なく製造性が悪い。このため、インダイスの突出部分を小さくするために、凹部25より上側の部位、または、凹部25より下側の部位から延出させて側方突出部24を設けた形状として製造性を高めている。
【0036】
また、単に側方突出部24を設けただけでなく、図4に示すように、側方突出部24を切除した際に、側方突出部24が設けられていない側面22cと、側方突出部24が切除された部位がなす側面22dとが、ほぼ面一となるような形状とすることにより、断面における交差方向の両端部となる両側部22の輪郭を断面の中心Pを通る直線Lを対称軸として線対称となるようにしている。このため、例えば、デッキ1の縁部にて幕板を設ける際に、デッキ1の縁部にデッキ材20aのいずれの側が配置されたとしても、共通の幕板を取り付けることが可能である。
【0037】
そして上記実施形態のデッキ1によれば、デッキ材20が、デッキ材の幅方向に沿って切断した断面において、幅方向における両側部22の輪郭が非線対称なので、複数のデッキ材20を並べて配置する際には、隣接するデッキ材20の側方突出部24同士を上下方向において重なる位置に配置することが可能である。このため、デッキ材20間にはデッキ材20の上下の空間を鉛直に連通する隙間は形成されないので、デッキ材20の間から物が落ち難いデッキ1を実現することが可能である。
【0038】
また、デッキ材20の交差方向における両側部22に形成される凹部25の大引き10からの距離は等しく、デッキ材20が有する2つの表面21aのうちいずれの面を上方に向けても取り付けることができるので、デッキ材20の交差方向における両側部22の形状を非線対称としつつも簡単な形状の取付部材30にて容易にデッキ材20を大引き10に取り付けることが可能な、施工性に優れたデッキ1を実現することが可能である。
【0039】
上記実施形態においては、デッキ材20が木粉を含有する樹脂にて押出成形されている例について説明したが、必ずしも木粉が含有されていなくても良い。
【0040】
また、上記実施形態においては、大引き10が一対の座板部11と、座板部11の上面からそれぞれ鉛直方向に立設された一対の壁部12とを有し、座板部11が束柱3上に載置されてビス50により束柱3に固定されている例について説明したが、これに限るものではない。例えば、図7に示すように、大引き10が、基礎から突出されたアンカーに固定された角型の中空部材にて形成された束柱3上に載置され、この束柱3に大引き10が固定されていても良い。この場合には、大引き10は、一対の壁部12の下端側が連結されて底部14が形成されており、底部14より下方に垂設され壁部12と繋がった平面を形成する垂壁部19を有している。そして、間隔を隔てて配置された複数の束柱3を1本の大引き10にて覆うように底部14が束柱3上に載置され、束柱3の側面と対向する垂壁部19を貫通するビス50が側方から束柱3に螺合されて大引き10が束柱3に固定される。
【0041】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1 デッキ、10 大引き、20 デッキ材、
21 平板部、21a 表面、
22 側部、22c、22d 側面、
24 側方突出部、25 凹部、
30 取付部材、
L 中心を通る直線、P 中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大引きの上に取付部材にて取り付けられてデッキを形成するデッキ材であって、
長手方向と交差する交差方向における両側部に、前記取付部材が係合される係合部を有し、
前記交差方向に沿って切断した断面において、前記交差方向における両端の輪郭が非線対称であり、
前記デッキの床面となり得る2つの表面のうちの一方の表面を前記床面とすべく前記大引き上に載置した場合における前記係合部の前記大引きからの距離と、他方の表面を前記床面とすべく前記大引き上に載置した場合における前記係合部の前記大引きからの距離とは等しいことを特徴とするデッキ材。
【請求項2】
請求項1に記載のデッキであって、
前記両端の輪郭は、前記断面の中心を対称の中心とする点対称の形状であることを特徴とするデッキ材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のデッキであって、
前記係合部は、前記交差方向に窪む凹部であり、
前記凹部より上側の部位と、前記凹部より下側の部位とは、前記交差方向において一方が他方より長く延出されていることを特徴とするデッキ材。
【請求項4】
請求項3に記載のデッキであって、
前記凹部より上側の部位、または、前記凹部より下側の部位の延出されている部位を切除することにより、前記断面における前記交差方向の前記両端の輪郭が前記断面の中心を通る直線を対称軸として線対称となることを特徴とするデッキ材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のデッキ材と、
前記デッキ材が取り付けられる大引きと、を備えたことを特徴とするデッキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−236313(P2010−236313A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87079(P2009−87079)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】