説明

デバイスの視覚化を伴うサポート知識ベースの協働的リンキング

【課題】サポート・システムの開発を支援する。
【解決手段】サポート・システムを開発するための方法は、ユーザ・インターフェース上における表示のためのデバイスの仮想表現を生成するステップと、デバイスのコンポーネントを表す仮想表現のコンポーネントと、コンピュータ・メモリ内に記憶されたサーチ可能な知識ベース内の対応する事例と、の間の既存のリンクを記憶させるステップと、既存のリンクの作用を可能にする仮想表現の補助を伴ってデバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおいて知識ベースをナビゲートすることをユーザに提供し、かつ、仮想表現のコンポーネントとサーチ可能な知識ベースの事例との間にリンクが存在しない場合にユーザに新しいリンクの作成を提供するステップと、新しいリンクをコンピュータ・メモリ内に格納するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポート・システムを開発する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例示的な実施態様は、プリンタ等のデバイスのためのサポート・システムの開発に関する。その特定の応用は、サーチ可能な知識ベースの関連する内容をデバイスの視覚的表現の対応する領域とリンクさせるためのシステムおよび方法に関連して見られる。例示的な実施態様はトラブルシューティング応用の点から述べられているが、システムおよび方法の応用は、デバイスの動作、学習、およびそれらの類の中にも見られることを理解されたい。
【0003】
伝統的に、プリンタおよびコンピュータ等の複雑なデバイスに関係する問題の解決を捜し求めるユーザは、しばしば、電話を介して製造者に代わってその問題の診断に努めることができるサービス代理人へ電話をかけることに頼る。サービス代理人は、問題の解決または原因の識別に導くことが意図されたトラブルシューティングの筋道を通って顧客を案内する。
【0004】
より最近では、サーチ可能知識ベース(searchable knowledge base,SKB)への遠隔アクセスをユーザに提供するユーザ操作システムが利用可能になった。SKBは、デバイスに観察される問題および問題の少なくとも1つの原因を解決することが可能な関連する解決策を記述する問題文(事例)のセットとして取り決めできる。ユーザが問題に当て嵌まると見られる事例を識別すると、対応する解決策のうちの1つまたは複数がデバイス上で実行されるべき一連のステップとしてユーザに表示される。
【0005】
従来技術の例として、以下に示す特許文献1〜6に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0197973号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0294423号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0192085号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0137843号明細書
【特許文献5】米国特許第6744527号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0091408号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
SKBは、概してテキスト・サーチ、すなわち、自由形式のテキスト、および文字によるカテゴリもしくは題目のリストまたは階層構造の案内付きサーチ、のいずれかによってナビゲート(navigate;検索)される。SKBを完全に使用するためには、しばしば技術的な名前を有するマシンの物理的コンポーネントを、ユーザが言葉で識別できる必要がある。したがってその種のシステムは、しばしば、自分の所にあるマシンの問題の解決を捜し求めている顧客によるよりも、専門家によるナビゲーション(navigation;検索すること)により良好に適する。しかしながらデバイスのトラブルシューティングのプロセスは、故障している1つまたは複数のコンポーネントを識別するために当該デバイスの視覚的な検査をしばしば必要とする。したがって、デバイスのある場所で顧客によってそのデバイス上で問題が突きとめられる方法と、関連する事例がSKBから検索される方法の間にしばしば非対称性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
サポート・システムを開発するための方法は、ユーザ・インターフェース上に表示するためのデバイスの仮想表現を生成することを含む。デバイスのコンポーネントを表す仮想表現のコンポーネントとサーチ可能な知識ベース内の対応する事例の間の既存のリンクが、コンピュータ・メモリ内に記憶される。既存のリンクの作用を可能にする仮想表現の補助を伴って、デバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおける知識ベースのナビゲーションをユーザに提供する。仮想表現のコンポーネントとサーチ可能な知識ベースの事例の間にリンクが存在しない場合にはユーザに新しいリンクの作成を提供し、それぞれの新しいリンクは、仮想表現のコンポーネントを、そのコンポーネントに関係するデバイスに伴う問題に対する解決策を提供するとしてユーザが識別した知識ベース内の事例とリンクする。新しいリンクは記憶され、それによってデバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおいて知識ベースをナビゲートするユーザが仮想表現の補助を伴って新しいリンクにアクセス可能となる。
【0009】
上記の方法は、次のうちの少なくとも1つを含むことができる。
(a)新しいリンクを既存のリンクとともに記憶する前に専門家によるその新しいリンクの確認を提供すること、
(b)ユーザが識別した事例と新しくリンクされたコンポーネントの親のコンポーネントとの間に新しいリンクを自動的に作成すること、
(c)リンクされることが提案された事例が以前のリンクとどの程度類似するかを示すために、そのコンポーネントにすでにリンクされている事例のリストを呈示すること、
(d)可能性のある代替リンクとしてリンクされることが提案された事例に類似する事例とすでにリンクされているコンポーネントのリストを呈示すること、
(e)すべてのユーザにアクセス可能とならない個人用リンクとしての新しいリンクの指定をユーザに提供すること、
(f)新しいリンクを等級付けすることであって、等級付けは、そのリンクがその後に続く、デバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおいて知識ベースをナビゲートすることを含むユーザ・セッションにおいてどの程度成功するかという測度に、少なくとも部分的に基づくことができるとすること、
(g)新しいリンクを評価するべくデバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおいて知識ベースをナビゲートすることを含むユーザ・セッションを記録(log)すること、および
(h)仮想表現内に表示されるコンポーネントの論理的構造を記憶し、かつユーザがその仮想表現のコンポーネントが表示されているスクリーンのエリアを作用させるときにそのコンポーネントの名前を表示させること。
【0010】
それぞれのリンクされたコンポーネントは、デバイス内におけるそのコンポーネントの役割、そのコンポーネントのための一意的な識別子、そのコンポーネントについての共通の名前、デバイス内におけるそのコンポーネントの状態、そのコンポーネントに対し許可されているユーザ・インタラクション(相互作用)、そのコンポーネントへのアクセスを許可する前に実行されるべき動作、およびそのコンポーネントに対するそれぞれの可能な動作についての記述、の中から選択された複数の記憶済みの属性を含むことができる。
【0011】
新しいリンクの作成は、事例の視覚的な表現を、それがリンクされることになる仮想表現内のコンポーネント上にドラッグ・アンド・ドロップすることをユーザに提供することを包含できる。
【0012】
知識ベースの事例は、それぞれ解決策リンクによって少なくとも1つの解決策に取り付けることができる。その場合にこの方法は、追加の解決策とそのコンポーネントがリンクされる事例の間における新しい解決策リンクの作成をユーザに提供すること、および既存の事例に対する新しい解決策であって、一連のステップを含み、それらのステップの少なくとも1つが仮想表現から導出される画像に関連付けされる解決策の作成をユーザに提供することのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0013】
コンピュータ・プログラム製品は、コンピュータ上において実行されたときに上記の方法をコンピュータに実行させるインストラクションをエンコードしている有体の媒体を含むことができる。
【0014】
サポート・システムは、請求項1の方法を実行するためのインストラクションを記憶するメモリ、および当該インストラクションを実行するために当該メモリと通信するプロセッサを含むことができる。
【0015】
サポート・システムは、ユーザ・インターフェース上に表示するためのデバイスの仮想表現を生成するための3D(3次元)デバイス・モデルを記憶するコンピュータ・メモリと、デバイスのコンポーネントを表す仮想表現のコンポーネントと関連する知識ベース内の対応する事例との間の既存のリンクを記憶するリンク・データベースと、仮想表現の補助を伴ってデバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおいて知識ベースをナビゲートするユーザが、仮想表現のコンポーネントとサーチ可能な知識ベース内の事例の間に既存のリンクが存在しない場合に新しいリンクを作成することを可能にするリンキング・システムと、を含む。それぞれの新しいリンクは、仮想表現のコンポーネントを、そのコンポーネントに関係するデバイスに伴う問題に対する解決策を提供するとしてユーザが識別した知識ベース内の事例とリンクし、それらの新しいリンクはリンク・データベース内に記憶される。このメモリと通信するプロセッサがリンキング・システムを実装する。
【0016】
上記のシステムにおいては、3Dデバイス・モデルが、デバイス内のコンポーネントの階層を記憶する論理ユニットを含むことができ、それにより、ユーザによって新しいリンクが作成されるとき、そのコンポーネントの親とその事例の間にもリンクが作成される。
【0017】
システムは、次のうちの少なくとも1つを含むことができる。
(a)新しいリンクを、その後に続くそのリンクを使用したユーザによる知識ベースのナビゲーションの間に取り込まれた情報に基づいて等級付けを行うリンク評価部、
(b)ユーザによる知識ベースのナビゲーションを記録する記録コンポーネント。
【0018】
サーバ・コンピュータによってシステムをホストすることができ、その場合には当該サーバ・コンピュータが、視覚的な表現およびリンクされた事例の検索および表示に作用可能なリンクを表示するために構成されるユーザ・インターフェースに対して通信リンクされる。
【0019】
デバイス・モデルと知識ベースの間に新しいリンクを作成するためにコンピュータに実装される方法は、デバイスの仮想表現をユーザ・インターフェース上に表示させ、当該仮想表現上に作用可能なリンクを提供することを含む。ユーザ・インターフェースを操作するユーザによって作用されると、それぞれの作用可能なリンクが、仮想表現内に表示されたデバイス・モデルのコンポーネントを知識ベース内の少なくとも1つの事例にリンクさせ、当該少なくとも1つの事例のうちの少なくとも1つをユーザ・インターフェース上に表示させる。この方法は、さらにユーザに、知識ベースの進路決定、および知識ベース内の事例をユーザ・インターフェース上に表示された仮想表現のコンポーネントと関連付けすることによる新しいリンクの作成を提供することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】例示的なサポート・システムが動作する環境の機能ブロック図である。
【図2】サーチ可能な知識ベースがリンク・データベースによって3Dデバイス・モデルにリンクされるサポート・システムのためのデータ・モデルを図解した説明図である。
【図3】多機能デバイス(multifunctional device,MFD)の3次元視覚化のスクリーン・ショットを図解した説明図である。
【図4】コンポーネントの名前および知識ベースへの作用可能なリンクを、リンクされた知識ベースの内容の表示とともに示しているMFDの3次元視覚化のスクリーン・ショットを図解した説明図である。
【図5】例示的な方法を図解したフローチャートである。
【図6】仮想コンポーネントと知識ベース内の事例の間のリンクのユーザによる作成を図解したスクリーン・ショットの説明図である。
【図7】既存の事例に対する新しい解決策のユーザによる作成を図解したスクリーン・ショットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示的な実施態様の側面は、プリンタまたはコンピュータ等のマシンとともに経験される問題に関係するユーザ・クエリに対する解決策の識別においてユーザを補助するためのトラブルシューティング・システム等のインタラクティブ・サポート・システムの開発に関する。ここで使用される「プリンタ」の語は、複写機、レーザ・プリンタ、製本装置、ファクシミリ装置、または2つまたはそれより多くのその種の能力を有する多機能デバイス等の、印刷媒体上に画像をレンダリングするための任意のデバイスを含むことが可能である。例示的なシステムおよび方法は、受信したデジタル画像を印刷媒体上に印刷するプリンタを含む多機能デバイスの点から説明されているが、ユーザがそのユーザの包括的なそのマシンの経験を使用して容易に解決されない問題に遭遇するおそれがあり、そのデバイスの物理的構造がユーザのナビゲーション活動を少なくとも部分的に御することが可能なほかの複雑なマシンに対してもこのシステムおよび方法が等しく適用可能なことは認識されるであろう。
【0022】
例示的なサポート・システムは、ユーザがデバイスに関係する情報およびインストラクションを含むサーチ可能な知識ベース(SKB)のナビゲートすることを可能にする。SKBは、英語またはフランス語等の自然言語によるサーチ可能なテキストを含む任意の電子データベースとすることができる。それを構造化されたデータベースとしてもよい。ここに述べられている特定の例においては、SKBが問題文(事例)を含み、そのそれぞれを、プリンタとともにユーザが経験すると考えられる既知の問題の文字による短い記述、および問題を解決するためのステップを記述する1つまたは複数のリンクされた解決策の文とすることができる。SKBは、問題文の内容のみ、または問題文および解決策両方の内容に従って索引設定ができる。たとえばSKBを、問題の記述内に現れる単語の標準化した形式に従って、およびオプションとしてそれらの類義語にも従って索引設定できる。代替的に問題文を、タグによって注釈が付けられ、問題文を関連する解決策にリンクする拡張マークアップ言語(XML)書類等のハイパーテキスト書類として記憶することができる。
【0023】
サーチ・エンジンを、ユーザのクエリの単語を1つまたは複数含む書類(事例)の検索のため、およびそれらを等級付き順序でユーザに呈示するために構成することが可能である。ユーザが把握した問題を取り扱う問題文/解決策を見つけると、ユーザは、提案された解決策の文を精査した後、クエリ・セッションを終了することができる。サーチ・エンジンが応答書類を引き出さない場合にユーザは、別のクエリを試してもよく、いくつかの反復を通じてユーザが探しているものが見つかるまで同様に続けてセッションを終了するか、またはそのように行うことなくセッションを終了する。
【0024】
例示的な実施態様においては、SKBがデバイスに関係する問題の記述および関連付けされた解決策を含み、視覚的サーチをはじめ、テキスト・サーチを通じてナビゲートすることが可能である。SKBのナビゲーションの時には、2D(2次元)または3D表現といったデバイスの視覚的表現を探索することによってユーザは補助される。これは、サーチのための正しい専門用語をユーザが見つける必要性を取り除く。
【0025】
リンキング・システムは、視覚的表現の視覚化されたコンポーネントとSKBの事例/解決策との間に「グラフィカル」リンク(ここでは、このように呼んで解決策リンクと区別する)を提供する。各グラフィカル・リンクは、作動されると、それがリンクされている視覚化されたコンポーネントに対応する事例をSKBから検索する。リンキング・システムの構築および絞り込みは、視覚化されたデバイスのコンポーネントを関連性のある問題記述および関連付けされた解決策にリンクする協働的方法に少なくとも部分的に基づく。この方法を通じて、事例/解決策がデバイスの物理的な構造に従って分類され、したがってそのデバイスの表現を通じてナビゲートされる。
【0026】
協働的アプローチは、SKBのユーザがその種のマッピングの構築に寄与することを可能にし、そのことが(a)事例/解決策が物理的なデバイスおよび使用されているそれらのマッピングとどのように関係するかについてのユーザの理解にマッピングが従うことを可能にし、かつ(b)SKBの内容の編集時にSKBの編集者がその種のマッピングを系統的に指定する必要を回避する。これらの2つの特徴、すなわちユーザ・グループによる継続的な編集、およびマッピングが「広く使用されているナビゲーション」と同様になることを保証する能力は、その種のマッピングを構築する自動的アプローチの上を行く利点を提供する。
【0027】
図1は、より詳細が図2に示されたデータ・モデル10を含む例示的なサポート・システム1を図解する。例示的なデータ・モデル10は、3Dデバイス・モデル12の形式の視覚的表現生成部、上で述べたタイプのサーチ可能な知識ベース(SKB)14、およびデバイス・モデル10とSKB14の間に作成されるグラフィカル・リンク17を記憶するリンク・データベース16を含む。
【0028】
図1に図解されているとおり、データ・モデル10は、例示的なサーバ・コンピュータ等のコンピュータ20のデータ・メモリ18内に記憶できる。しかしながら、データ・モデル10は、通信的にリンクされたコンピュータの1つまたは複数において実装されることがあることを理解されたい。
【0029】
図2に示されているとおり、SKB14は、あらかじめ定義済みの問題および問題解決のための解決策の集中リポジトリの形とすることができる。SKBは、事例22に整理された潜在的な問題のリストを含み、それぞれ当該事例を一意的に識別するID24および問題文とすることができる標題26を有するとして示されている。それぞれの事例22は、デバイス・モデル12が生成された多機能デバイス(MFD)30(図1)等の物理的なデバイスのタイプに関係のある解決策28の順序付きリストに関連付けされている。事例22は、デバイス30上に生じる問題の文字による記述と考えることが可能であり、解決策28は、その事例を解決するために当該デバイス上で実行するステップのリストとして考えることが可能である。それぞれのリンクされた解決策28は、おそらくはその問題を解決することが可能なものであり、ユーザによって実行されるべき一連のステップを含むことができる。これは、デバイス30の物理的な構造に従って分類された事例/解決策のナビゲーションを可能にする。例示的なSKB14は、トラブルシューティング知識ベースである。概してそれは専門編集者によって構築され、デバイスの顧客またはトラブルシューティング担当者に利用可能となる。
【0030】
図解される3Dデバイス・モデル12は、デバイス30およびそれの下位コンポーネントの3D表現42(たとえば図3に示されるもの)を生成する3Dユニット40、モデル内に図解されるコンポーネントの階層を提供する関連づけられた論理ユニット44、および3D表現との間で許可されたすべてのユーザ・インタラクション、たとえばズーム、ドア開け、トレイ引き出し、またはそのほか、コンポーネントの移動、回転、またはそれ以外の操作を定義する動作ユニット46を含む。
【0031】
3D表現42は、使用および/または修理の状況においてユーザが見ることができるか、または作動することが可能なデバイス30の少なくとも部分を含む。MFD30の場合においては、たとえば、その種の表現42が、給紙トレイ、給紙路内の紙詰まりにアクセスするための検査ドア、可動レバーおよびバッフル、トナー・カートリッジまたはインク容器および廃トナー受け等のマーキング媒体の交換可能容器、感光体ベルトおよび定着ロールのヒータ等のそのほかの交換可能品目、排紙トレイ、ステープラー止め装置等の仕上げコンポーネント、およびこれらの類を含むことができる。これらのコンポーネントの視覚化をはじめ、3D表現42は、ドアを開く、レバーを回す、バッフルを持ち上げる等々の、コンポーネントへのアクセスおよび/または修理に使用されることのある適切なユーザ動作を視覚化する。3Dモデルは、たとえばオープン・ソース・ソフトウエアのCOLLADA(登録商標)に基づくことができる。
【0032】
3Dデバイス・モデル12が1つより多くのデバイスの表現を作成する効果をもたらす場合には、3Dユニット内においてそれぞれをそれ独自の一意的なID48と関連付けることができる。3Dユニット40は、多角形、円、等の幾何学的形状50をはじめ、表面を再現するテクスチャ52も記憶しており、それらから表現42が構築される。3D表現42は、3Dシーン内のポイントの集合を使用し、それらが三角形、直線、曲面、およびこれらの類といった多様な幾何学的形状によって接続される。3Dシーン内に含められるそのほかのテクスチャ、カメラ視点、およびオプションの照明等の仮想物体を用いて、3D表現ユニット40は、3次元(左右、上下、および前後)の眺めを提供すること、および3Dモデル12の操作を許可してユーザに現実的な視覚的体験を与えることができる。概して3D表現42は、たとえばトラブルシューティングの状況において異なるレベルの詳細を使用して3Dモデルのナビゲーションが可能となるようにいくつかのレベルの眺めを有する。モデルの内側部分は、当初見ることができないが、デバイスのナビゲーションのために適切なときに表示が可能である。たとえば、ドアは内側部分を隠しており、それらは、そのドアが開かれ、そのモデルの特定のエリアへのズームが行われるときにのみ現れる。
【0033】
たとえば図4は表現の操作を図解しており、それにおいては3Dコンポーネント54を例示している給紙トレイが開かれて示されている。ユーザがコンポーネント54の上をクリックすると、コンポーネントの名前56を表示するフローティング・メニュー55が表示される。ユーザがメニュー55上のアイコン57の上をクリックするか、またはそのほかの形で作用させると、図4のスクリーンの右側に示されているとおり、そのコンポーネントに対してすでにリンク済みの事例および解決策が表示される。たとえば、コンポーネント54についての事例22の等級付きリストが表示される。ユーザが事例のうちの1つ(たとえば、強調表示された事例番号6「Tray 1, 2, 3, or 4 Will Not Feed(トレイ1,2,3,または4が給紙しない)」)の上でクリックすると、その事例についてのリンク済みの解決策28の標題が表示される。ユーザがそれらの解決策のうちの1つの上でクリックすると、その解決策に関係するその先の指示が表示される。
【0034】
図2に図解されているとおり、論理ユニット44は、特定の3Dモデルに関連付けされ、かつ特定タイプのデバイス30の物理的な構造に基づく論理モデル58を記憶する。論理モデル58は、デバイス30を使用する間に意義のあるそれぞれの物理的なコンポーネント、たとえばトラブルシューティングの状況であれば、そのデバイスに面している物理的な人によってアクセスが可能なコンポーネントの論理表現を階層的に記述する。それぞれのコンポーネントは、それ独自の一意的なID60、名前56、およびそのほかのコンポーネント、たとえばそれの親62に対する参照による関係によって参照できる。たとえば、論理モデル58内において、モデル42の各コンポーネント/下位コンポーネント54を、次の属性のいくつかまたは全部によって示すことができる。
1.役割。デバイス内におけるそのコンポーネントの目的(たとえば、用紙を貯蔵する)。
2.ID60および名前56。コンポーネントのための一意的な識別子および共通名(たとえば、トレイ1を共通名「下側トレイ」または「トレイ1」のための識別子とすることができる)。
3.状態。実世界におけるコンポーネントの状態(たとえば、トレイまたはドアについての「開放(open)」)。
4.許可されたユーザ・インタラクション。物理的なコンポーネント上でユーザが実行することができる任意の動作。各ユーザ・インタラクションは、動作ユニット46内において定義される。
5.依存関係。コンポーネントは、直接アクセスが可能でないことがあり、そのコンポーネントにアクセスが可能になる前に依存関係の中に記述される何らかのほかの動作が実行されなければならないことがある。
6.3D動作。それぞれの可能な動作についての記述。
【0035】
論理モデル58は、それ自体、1つのコンポーネントが下位コンポーネントを含む3Dモデル42の階層的な記述として考えることが可能である。
【0036】
3Dモデルがグラフィカル表現42内にロードされることになるとき、対応する論理モデル58もまた論理ユニット44によってロードされる。それが、システム1が3Dモデルの各仮想コンポーネント54を識別し、データを組織化し、それらのそれぞれ1つについてのインタラクティブ性を構築することを可能にする。
【0037】
3Dモデル12の動作ユニット46は、論理ユニット内において定義されたコンポーネント上で許可されたユーザ・インタラクションが3Dユニットの幾何学的配置の変化としてどのようにレンダリングされ得るかを定義する。
【0038】
デバイス・モデル12は、3Dデバイス・モデルとして図解されているが、デバイス30の2次元表現もまた企図されている。
【0039】
例示的なリンク・データベース16は、それぞれが自分たちのデバイスに伴う実際の問題の解決を試みる、それぞれの物理的なデバイス30の複数のユーザ(トラブルシューティング担当者)の入力を使用する協働的アプローチを通じて開発される。それらのユーザは、多くの異なる場所に位置し得る、異なるデバイスを扱っている顧客およびその被雇用者等の非専門家としてもよく、またはデバイスの現場に呼ばれたサービス技術者等の専門家としてもよい。時間が経つとそれらのユーザとのインタラクションを通じて実際のデバイス30の3Dモデル12とSKB14の間のマッピングが開発される。そのマッピングは、リンク・データベース16内にグラフィカル・リンク17のセットとして記憶される。協働的アプローチは、SKB14のユーザが、仮想デバイス12と既存のSKB14の間のリンク17を作成することをはじめ、オプションとして新しい解決策28および事例/解決策のリンク64をSKB14に追加することによってもマッピングの構築および維持に参加することを可能にする。
【0040】
例示的なグラフィカル・リンク17は、次の情報、すなわち3Dデバイス・モデル12内のコンポーネントのID60、そのコンポーネントがリンクされている事例22のID24、その事例のための解決策28のID74、リンク17についてのリンク・スコア76、その解決策28についての解決策スコア78(または1つを超える解決策が存在する場合には、各解決策IDについてのスコアまたは等級)、およびリンク17を作成したユーザを一意的に識別するユーザID80を有するとして示されている。したがって各リンク17は、そのモデルの特定の事例22とコンポーネント54の間、および/またはそのモデルの特定の事例の特定の解決策28とコンポーネント54の間の関連を表す。認識されるとおり、リンク17は、これらの情報のすべてを含む必要がなく、かつ/または追加の情報を含むことができる。
【0041】
図1は、データ・モデル10が部分を形成するインタラクティブ・サポート・システムのほかのコンポーネントを図解する。協働的リンキング・システム90は、リンク・データベース16内に記憶されるリンク17を作成し、維持する。例示的なリンキング・システム90は、ソフトウエア、ハードウエア、またはそれらの組み合わせの形式とすることができる。例示的なリンキング・システム90は、サーバ・コンピュータ20または通信リンクされた別体のコンピュータのメイン・メモリ92内に記憶されるソフトウエアの形式である。リンキング・システム90を形成するソフトウエア・インストラクションは、メモリ92に通信リンクされるCPU等のプロセッサ94によって実行され得る。プロセッサ94は、メモリ92と同じかまたは別々とすることができるデータ・メモリ18内に記憶された3Dデバイス・モデル12、リンク・データベース16、およびSKB14へのアクセスも有する。例示的なリンキング・システム90は、3Dモデル12とSKB14の間のリンク17を生成するためのグラフィカル・リンク生成部96、解決策28と事例22の間の解決策リンク64を生成するための解決策リンク生成部97、リンク17を評価し、リンク・スコア76を提供するためのグラフィカル・リンク評価部98、事例22と解決策28の間の提案された新しい解決策リンク64を評価するための解決策リンク評価部100、およびユーザが3Dデバイス・モデル12の補助を伴ってSKB14をナビゲートするナビゲーションセッションのログ104を獲得し、記録する記録コンポーネント102を含む。リンク評価部98,100は、リンク17,64の有用性の評価およびそれらの等級付けにおいてログ104を利用するか、またはそこから抽出する。コンポーネント96,97,98,100,102はすべて、結合するかまたは別々に記憶できるソフトウエアコンポーネントとすることができる。
【0042】
種々の態様において、確立されたグラフィカル・リンク17の使用量レートおよびユーザのSKB14のナビゲーションの間におけるそれらのリンクを使用したトラブルシューティング・セッションの成功は、記録コンポーネント102によって取り込まれ、メモリ18内に格納される。ナビゲーションの間にユーザに対して最初から最良の解決策を呈示するために、この情報に基づいてスコア76の計算がグラフィカル・リンク17の等級付けのためのコンポーネント98によって可能になり、スコア78の計算が事例22に取り付けられた解決策28の等級付けのためのコンポーネント100によって可能になる。
【0043】
リンク・データベース16は、SKBの事例/解決策とデバイスの3Dユニット40と論理ユニット44との間における依存関係(リンク17)を維持する。システム90のユーザが選択して事例22と1つの特定のデバイスコンポーネント(または下位コンポーネント)54を関連付けするごとに、リンク17がデータベース16内に格納される。その後データベース16を調べて、デバイスコンポーネントにもっとも関係する事例を取り出すことができる。各グラフィカル・リンク17についてのスコア76は、その特定のリンクの妥当性に関してシステム90が有する信頼度をマークする。
【0044】
サポート・システム1は、さらに、ユーザ・クエリを用いてSKBに問い合わせを行うためのサーチ・エンジン106を含み、ユーザによる知識ベースのナビゲーションを容易にする。デバイス状態コンポーネント108は、デバイス30からそれの状態に関係するフィードバックを受け取り、等級付けコンポーネント100に入力を提供する。例示的なサーチ・エンジンおよび状態コンポーネント108は、メイン・メモリ92またはそのほかのところに記憶できるソフトウエア・アプリケーションとすることができ、プロセッサ94等のプロセッサにより実行することができる。例示的なコンピュータ・プロセッサ94は、図5を参照して以下に述べる例示的な方法の自動化されたステップを行うためのインストラクションを実行する。
【0045】
データ/コントロール・バス110は、サポート・システム1の多様なコンポーネント10,90,104,106,108をプロセッサ94および通信インターフェース112と接続する。通信インターフェース112は、システム1と、専用コンピュータまたはそのほかのコンピューティング・デバイスが常駐する1つまたは複数のMFD30を、たとえばインターネットを介して接続する。特に通信インターフェース112は、デバイス30に関連付けされたコンピュータにより動作可能なグラフィカル・ユーザ・インターフェース120への、およびそこからの多様な種類のデータの送信および受信を実装する。通信インターフェース112によって受信される多様な種類のデータは、メモリ18内に格納される。
【0046】
続いて図2を参照し、サポート・システム1の動作環境のさらに進んだ詳細を説明する。グラフィカル・ユーザ・インターフェース120は、有線または無線リンク122を介して、たとえばインターネット等のネットワークを介してサーバ20と、したがって協働的リンキング・システム1と通信リンクされる。図解された実施態様においては、ユーザ・インターフェース120が多機能デバイス30またはそのほかの電子機械デバイス内に組み込まれているが、ユーザ・インターフェースがデバイス30から離れて位置し得ることも企図されている。ユーザ・インターフェース120は、コンピュータ・ネットワークのプリンタまたは遠隔ワークステーション内への組み込みといった任意の適切なコンピューティング・デバイスの使用により実装することが可能である。
【0047】
図解されているユーザ・インターフェース120は、図3のスクリーン・ショットに図解されているとおり、多機能デバイス30の3次元モデル42またはそのほかの視覚的な表現を表示するために構成されるスクリーン等のディスプレイ130を含む。ユーザは、キーパッド、キーボード、タッチ・スクリーン、ポインタ、たとえばマウス、トラックボール、ペン、タッチパッド・スタイラス、ジョイスティック、触覚型インターフェース、それらの組み合わせ、またはこれらの類等の関連するユーザ入力デバイス132の操作を通じて視覚的な表現42を操作し、システム1とインタラクション(相互作用)することができる。ユーザ入力デバイス132の操作によって、ユーザは、テキスト文字列としてクエリを入力することをはじめ、スクリーンおよびそのほかのグラフィカル・ユーザ・インターフェースの特徴、たとえばツールバー、ポップアップ・ウインドウ、スクロールバー(それの長さに沿って水平または垂直の位置が設定可能なグラフィカル・スライダ)、メニュー・バー(オプションのリストであり、水平のリスト内に呈示される動作の起動に使用することができる)、プルダウン(メニューの下位オプションの呈示に使用可能なオプションのリスト)、およびそのほかの一般的にウェブ・ブラウザに関連付けされている特徴のうちの1つまたは複数の進路決定を行うこともできる。例示的なユーザ入力デバイス132は、3次元モデル42の表示および、モデム等の通信インターフェース138を介したシステム1との通信を生じさせる関連メモリ136内に記憶されたインストラクションを実行するプロセッサ134に接続できる。
【0048】
メモリ136は、メモリ18およびメモリ92と同様に、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、磁気ディスクまたはテープ、光ディスク、フラッシュ・メモリ、またはホログラフ・メモリまたはそれらの組み合わせといった任意のタイプのコンピュータ可読媒体を表していてもよい。
【0049】
図5は、リンク・データベースへのデータの投入および維持のため、および新しい解決策および事例/解決策リンクを用いたSKBの拡充のための例示的な方法を図解する。この例示的な方法は、3DコンポーネントとSKBエントリのマッピングを含む。これは、3Dコンポーネント42とSKBの内容22,28との間のリンク17の作成を含む。例示的な方法は、リンク・データベースをまばらにデータが投入されたものからより多くのデータが投入されたものへと変形する点で、変形させる性質を有する。方法は、S100において開始する。
【0050】
S102においてはデータ構造10が提供される。当初は、データ構造10が、あらかじめ定義済みの事例22および対応する解決策28のリスト、および3Dデバイス・モデル12を伴うSKB14からなるとすることができる。いくつかの事例および解決策がリンク17を介して3Dモデルのコンポーネントとすでにリンク済みとなっていることもあり、それらは、システム専門家によって作成されてリンク・データベース16内に格納されているとすることができる。
【0051】
S104においては、SKBをナビゲートするユーザに、デバイスに伴う問題およびそれの解決策の識別を提供する。このプロセスの間にユーザは、3D表現42を調べてそのコンポーネント54の1つの上でクリックする(または上にカーソルを静止させる)ことができる。それに応答してシステム1は、論理ユニット44からそのコンポーネントの名前を検索し、それをその表現の上に示し、以前にリンク17が作成済みの場合には、図4に示されているとおり、その表現の横に表示できるリンクされた事例にユーザを導くよう作用可能なアイコン57を提供する。当初は、その種のリンク17がほとんどなく、したがってユーザは追加的に、または代替としてキーワードまたは自然言語のサーチを行い、オプションとしてクエリの定式に従うときにコンポーネントの名前を使用できる。サーチ・エンジン106は、ユーザの入力したクエリに基づいて、知識ベースに問い合わせを行う。
【0052】
システム1のユーザに、システムを使用する間に当該システムに新しいリンクを投入することを提供する。可能な拡充のタイプは、ユーザがSKB内にすでに定義されている事例に対するリンク17を作成すること(S106)、新しい解決策を作成し、それをリンク64によって既存の事例にリンクすること(S108)、新しい事例および解決策を作成し、それらをまとめてリンク64によってリンクし、それらをリンク17によってコンポーネント56にリンクすること(S110)の提供を含む。S112においては、新しいリンクをリンク・データベース内に記憶することができる。S114においては、ユーザによって作成された新しいリンク(1つまたは複数)17,64の妥当性検査を行うことができる。S116においては、その後に続くシステムとのユーザ・セッションのログが取り込まれ、メモリ内に格納される。S118においては、ログの分析に基づいてリンク17、64を等級付けできる。この方法はS120において終了する。この方法は、システムの新しいユーザごとに反復され、以前に生成された新しいリンクを用いて適宜更新されるようにできる。図5に図解されている方法は、コンピュータ上で実行できるコンピュータ・プログラム製品として実装できる。コンピュータ・プログラム製品は、ディスク、ハード・ドライブ、またはこれらの類といったコントロール・プログラムが記録される有体のコンピュータ可読記録媒体とすることができる。
【0053】
例示的な方法は、1つまたは複数の汎用または専用コンピュータ上において実装することができる。概して、有限状態マシンを実装することが可能であり、それがまた図5に示されているフローチャートを実装することが可能な任意のデバイスを使用して、リンクを作成するための方法を実装することが可能である。
【0054】
次に、これらのステップについてさらに詳細に説明する。
【0055】
1.SKB内にすでに定義されている事例18に対してリンク30を作成する(S106)
これは、次の下位ステップを含むことができる。S106aにおいて、ユーザは、デバイスの特定のエリア内で識別された問題の解決に有用であり、かつそれ以前に論理ユニット44の対応するコンポーネントに取り付けられていなかった事例22をSKB内に見つけることができる。ユーザは、この状況において、この事例22と論理コンポーネントの間におけるリンクの追加を決定できる。S106bにおいては、リンキング・システム90が、特定の事例22と3Dモデルのコンポーネント54との間にリンク30を作成するための要求を受け取る。
【0056】
システム90は、ユーザが自分の選択の妥当性を検査することを2つの形で補助することができる。S106cにおいて、すでに論理コンポーネント58にリンクされている事例22のリストが(たとえばコンピュータ動作GUI120上に)、この事例が以前のリンクとどの程度類似するかを示すために表示される。S106dにおいて、すでにこれと類似の事例とリンク済みのコンポーネント54のリストを(たとえばGUI120上に)可能性のある代替リンクとして呈示することができる。
【0057】
ユーザは、最終的な決定を行って、事例22を取り付ける1つまたは複数のコンポーネントを選択する。グラフィカル・リンク17を作成する間にユーザは、それを個人用リンク(そのユーザにのみ利用可能)とするか、または共有リンク(任意のユーザに利用可能)とするかを決定できる。GUIは、ユーザに自分の選択を入力するための方法を提供する。S106eにおいてはリンキング・システム90がユーザの入力を受け取り、それに基づいてリンク生成部96が新しいリンク17を生成する(S106f)。
【0058】
コンポーネント54がほかのコンポーネントを包含できることから、1つのコンポーネントに取り付けられた事例22は、それの親のコンポーネントに自動的に取り付けられることになる。その事例に関係するすべての解決策は、その後そのコンポーネントに自動的に関連付けされることになる。
【0059】
事例22がすでにコンポーネント54に取り付けられているとき、それをより特定的に下位コンポーネントに取り付けることを、たとえばそのようにすることが大域的(global)なコンポーネントに関係するほかの問題(事例)からそれを区別するために有用であるとユーザが気付いたためにユーザが希望することがある。類似の態様においてユーザは、下位コンポーネントとの新しいリンク17を作成することが可能であり、その事例は、親のコンポーネントだけでなく、その下位コンポーネントをクリック/閲覧するときにも現れることになる。
【0060】
2.新しい解決策を作成する(S108)
ユーザは、特定の事例22に対する新しい解決策28を見つけると、その事例に対するその解決策の追加を望むことがある。解決策は、1つの問題を解決するために実行されるべき動作のセットを定義することによって作成が可能である。解決策がSKBから取り出されるとき、それが、文字情報とともに画像を含むことがある。新しい解決策について、テキストに付随させる画像は、3Dデバイス・モデル内に記録される一連の動作の変換から作成することができる。解決策リンク生成部97は、解決策28を追加し、リンク64によってそれと事例をリンクさせる。
【0061】
ステップS108は、次のように進めることができる。すなわち事例22がまだコンポーネントに取り付けられていない場合には、S108aにおいてシステムが、S106における場合と同様に動作してリンク17を作成する。
【0062】
S108bにおいてユーザは、テキストのリストまたは3D表現に対する操作のいずれか、またはそれらの組み合わせとして一連の動作を入力する。システムが3Dモデル上で実行された一連の動作を受け取り、それがSKBフォーマットに変換され、新しいエントリ28が解決策テーブル内に作成される。
【0063】
S108cにおいて、リンク64によって新しい解決策28が選択された事例に、またそれによってリンク17を通じて1つまたは複数の論理コンポーネント58に取り付けられる。
【0064】
3.新しい事例とのリンクを作成する(S110)
ユーザは、SKB14内で以前に触れられていない問題に遭遇し、解決することがある。
【0065】
ユーザは、最初にS106において述べられているプロセスを通ることができる。その結果としてユーザは、選択したコンポーネント56について、自分の問題に充分に近い事例を既存のリンク17内に見つけることがある。この状況においては、そのプロセスが、この事例に対する新しい解決策28の作成のプロセスとなる(S108に述べられているとおり)。
【0066】
この問題を適切に記述する事例22が存在しない場合には、ユーザが新しい事例22についての文字による記述を入力し、システム90によってSKB内に新しい事例エントリが作成される。新しいかまたは既存の解決策に対して事例をリンクさせるプロセスが、その後S108に述べられているとおりに完了される。
【0067】
4.妥当性検査(S114)
このように記述された例示的な協働的リンキング・システム1は、異なるタイプのユーザによる異なる状況での使用が可能である。一方の典型的なユーザは、コール・センタから電話を介して顧客をサポートする専門家のトラブルシューティング担当者とすることができる。この場合、ユーザは、SKBをナビゲートするため、かつ、新しいリンクおよび新しい内容を作成して結果を同僚と共有するための3Dデバイス・モデルの使用に、おそらくは充分に見識があることになろう。他方の典型的なユーザは、セルフサポートのオンライン・リソースとして時折SKB14にアクセスするデバイス30のエンドユーザとすることができる。後者の場合、おそらくユーザは、3Dデバイス・モデルを通じてSKBをナビゲーションするだけとなろう。その種のシステムの展開の状況に応じて、データ・モデルおよび特に、共有されるリンク17の一貫性を管理するために何らかの規制または妥当性検査メカニズムがプロセスに追加されることがある。
【0068】
オプションとして、新しいリンク17を、そのリンクが実装され、かつすべてのユーザに利用可能となる前に、システムの編集者または許可ユーザによってマニュアルの妥当性検査に通すことができる(S114a)。いくつかの動作(リンク、解決策、または事例の作成)は、対応する特権が付与された一部のユーザだけに利用可能であるとすること、たとえばすべての権利はトラブルシューティング担当者だけに付与されるとすること、または作成/リンクの権利がトラブルシューティング担当者に付与され、かつリンクの権利だけがエンドユーザに付与されるとすることができる。
【0069】
代替として、または追加としてシステム1は、リンクの妥当性検査の集合的な方法を提供する。リンクが作成されると、このリンクを使用するその後に続くすべてのセッションが監視され(S116)、それらのリンクの使用量レートおよびそれらのリンクを使用するセッションの成功がともに取り込まれて、そのリンクのためのスコア76がS118において計算される。
【0070】
[SKB要素の等級付けおよびフィルタリング(S118)]
所定のコンポーネントのためにリストされる事例は、それらのスコアに従って等級付けできる。各リンクのスコアは、その種のリンクが使用された以前のセッションの分析を部分的に通じて計算できる。以下のスコア付けコンポーネントを、単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0071】
1.リンクの成功レート。これは、そのリンクが使用され、かつ成功情報(成功または不成功)が報告されたセッション数に対する、ユーザによって成功として報告されたセッション数として表現することができる。
【0072】
2.リンクの使用量。これは、同一のコンポーネントに関係するすべてのリンクが使用された回数に対する、そのリンクが使用された回数として表現することができる。
【0073】
3.スコアの追加の成分を、事例とコンポーネントとの間に見られる類似性のレベルとすることができる。これは、たとえばそのコンポーネントの専門用語とその事例の専門用語を比較する言語学的処理を通じて実装できる。
【0074】
したがってスコア付けは、集合的(ユーザ・ベース)およびシステム・ベースのスコア付け評価基準の両方を使用できる。全体的なスコアの計算には、これら3つのスコアの荷重和またはそのほかの関数を使用することが可能である。
【0075】
同じ原理に従って1つの事例22に取り付けられる解決策28を、最初から最良の解決策を提案するために等級付けすることができる。ユーザに示される解決策は、事例の場合と同様に集合的およびシステムの評価基準に従って等級付けが可能である。解決策がいくつかの事例の部分となり得ることから、事例およびそれがリンクされたコンポーネントに応じて解決策ごとにスコアが異なるものとなる。たとえばコンポーネント1を見ているときは事例1の解決策1が表示されるが、コンポーネント2を見ているときには事例2の同じ解決策1が第1等級として表示されないことがある。
【0076】
最後に、等級をデバイスの状態に基づいて何らかのフィルタリングと関連付けできる。詳細に述べれば、3Dモデルが実際のデバイスの状態と(デバイス状態コンポーネント108を介して)同期される場合には、表示される事例および解決策を、それらがそのデバイスの現在の状況と両立しない状態を記述していれば自動的にふるい落とす。たとえばいくつかの事例がそのデバイス上で作動されていないオプションのコンポーネントに対応する場合には、それらをふるい落とすことができる。米国特許出願公開第2008/0294423号明細書は、トラブルシューティング・セッションにデバイス22からのデータを通知するための例示的な方法を提供する。
【0077】
[解決策を通じてユーザを案内する(S104)]
図4に図解されているとおり、ナビゲーションの間は論理モデル58の階層構造が事例/情報を見つけるユーザを補助する。各コンポーネントについて見ることができる事例は、このユーザによって以前に作成された個人用リンク17に対応し、またほかのユーザによって作成された共有リンク17にも対応する。ユーザがモデル内に深く入るほど、事例がより特定的になる。事例が選択されると、ユーザは、その事例に関連する解決策の等級付きリストへのアクセスを有することになる。最後に、モデルのナビゲーションの後、かつ解決策が選択されると、3Dモデル上においてユーザが完全に段階を追った解決策を実行するセッションの間にそのユーザを案内するために3Dモデルに対するインタラクションと互換性のある対応するステップのシーケンスがロードされる。
【0078】
その種のシステムの利点は、ユーザがコンポーネントの正確な名前を知る必要がないこと、または解決策を思いつくためにクエリを入力する必要がないことである。
【0079】
[ユーザ・インタラクション]
次に、3Dデバイス・モデルを通じたSKBの、および新しいリンクの作成のユーザのナビゲーションの例を述べる。
【0080】
1.3Dデバイス・モデルを通じたSKBの進路決定
前に示したとおり、各3Dコンポーネント54は、当初または逐次、SKB14内の1つまたは複数の事例とリンクされる。ユーザは、GUI120上の3D表現を眺める。3Dコンポーネント54が、それの上でユーザがたとえばマウスのカーソルを動かすことによってスクリーンの特定のエリアを作用させると、強調表示される。フローティング・メニュー55が、図4に示されるとおり、同時発生的にそのコンポーネントに隣接して表示されることがある。
【0081】
フローティング・メニュー55は、アイコン57,140等の多くの作用可能な項目を含むことができる。フローティング・メニュー内の各アイコンは、異なるタイプの利用可能なインタラクションを表す。たとえばアイコン57の1つが、SKB14からのリンクされた事例の利用可能性を示す。このアイコンは、そのコンポーネントに利用可能なリンクがないとき隠されることになる。このアイコンが作用されると、主3D投影図42のほかに、解決策/事例リスト144が配置される。これは、SKBからのすべてのリンクされた事例および解決策の表示のために使用される。リスト内の事例は、ユーザが1つの3Dコンポーネント54を選択するか、またはリンクされた事例を表示するためにフローティング・メニュー上のアイコン57を選択すると自動的に更新される。またユーザは、折りたたみおよび展開可能なウェブ・ブラウザ・メニューの場合と同様に1つの事例をクリックするかまたは上のレベルに移動することによってSKBをナビゲーシトすることにより、リストを閲覧することもできる。各解決策の詳細は、ユーザが1つの解決策の上をクリックすると示される。
【0082】
認識されるとおり、3Dコンポーネントは、下位コンポーネントを階層的に含むことがある。その場合においてシステムは、その下位コンポーネントを詳細に表す別の3Dモデルをロードすることができる。ユーザは、現在強調表示されている3Dコンポーネントの上でダブルクリックするか、またはそのほかの形で作用させて、より詳細な投影図を得ることができる。新しい3Dモデルがロードされると、それ自体の下位コンポーネントすべてを数秒にわたって強調表示し、ユーザに、SKBからのリンクされた事例の利用可能性を知らせることができる。
【0083】
2.新しいリンクの作成
ステップS106について考察したとおり、コンポーネントは、SKBの事例/解決策とマニュアルでリンクさせることが可能である。ユーザは、表示されているリストから表示されている3Dコンポーネント54上に既存の事例をドラッグ・アンド・ドロップすることによってこれを行うことができる。図6に示されるとおり、続いてリンク17を確認するダイアログ・ボックス150がユーザに呈示される。その後、この事例およびそれの関係する解決策がその3Dコンポーネントをはじめ、親のコンポーネントに取り付けられることになる。ダイアログ・ボックスは、チェック・ボックス152によって個人用リンクとしてそのリンクを作成する機会をユーザに与える。ユーザには、154に図解されているとおり、関係するコンポーネントへのリンクを作成する機会も提供される。
【0084】
3.新しい解決策の作成
ユーザが新しい解決策を見つけたとき、ユーザは、フローティング・メニュー上のアイコンを押す。システムは、一連のステップの記録、および事例へのそのシーケンスの取り付けを補助できる。図7に示されるとおり、ドロップ・ダウン・ボックス160が現れ、ユーザは、たとえばコンピュータのキーボードをタイプすることによって解決策のシーケンス162内にステップを入力する。選択された事例は、それの事例IDを与えることによって取り付けることができる。
【0085】
4.新しい事例の作成
ユーザは、3Dコンポーネントを選択し、アイコン140を押して新しい事例を取り付けることができる(図4)。これが、新しいリンクを作成するための図6に示されているものに類似のダイアログ・ボックスをもたらすが、この場合は事例の標題を編集することができる。
【0086】
例示的なシステムおよび方法は、従来システムを超えた利点を提供する。第1に、3Dデバイス表現42が既存のSKB14内でナビゲーションする方法を作り出し、言い替えると内容がサポート活動に固有であり、ナビゲーションメカニズムと独立に作成される。第2に、ナビゲーションを可能にするリンクを作成するために協働的方法が提案される。
【0087】
ユーザがSKB14をナビゲーションするためのより容易かつより効率的な方法を提供することによって、マシン30のサービスのコストを削減することが可能である。オプションとしてコール・センタのオペレータおよびユーザが3D表現の視覚化を共有することが可能であり、コール・センタがトラブルシューティングに参加することを可能にする。専門家、トラブルシューティング担当者によって、また顧客によって作成されたリンク・データベースは、トラブルシューティングの解決策についての知識を取り込む補助が可能であり、したがって電話により顧客を補助するときのコール・センタのトラブルシューティング担当者を、およびセルフ・トラブルシューティング時の顧客をサポートできる。
【符号の説明】
【0088】
1 サポート・システム、22 事例、28 解決策、30 MFD、42 3D表現、54 3Dコンポーネント、55 フローティング・メニュー、56 名前、57,140 アイコン、58 論理モデル64 解決策リンク、110 バス、112,138 通信インターフェース、120 グラフィカル・ユーザ・インターフェース、144 解決策/事例リスト、150 ダイアログ・ボックス、152 チェック・ボックス、160 ドロップ・ダウン・ボックス、162 シーケンス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポート・システムを開発するための方法であって、
ユーザ・インターフェース上における表示のためのデバイスの仮想表現を生成するステップと、
前記デバイスのコンポーネントを表す前記仮想表現のコンポーネントと、コンピュータ・メモリ内に記憶されたサーチ可能な知識ベース内の対応する事例と、の間の既存のリンクを記憶させるステップと、
前記既存のリンクの作用を可能にする前記仮想表現の補助を伴って前記デバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおいて前記知識ベースをナビゲートすることをユーザに提供し、かつ、前記仮想表現のコンポーネントと前記サーチ可能な知識ベースの事例との間にリンクが存在しない場合に前記ユーザに新しいリンクの作成を提供し、この新しいリンクのそれぞれは、前記仮想表現のコンポーネントを、前記コンポーネントに関係する前記デバイスに伴う前記問題に対する解決策を提供するとして前記ユーザが識別した前記知識ベース内の事例とリンクするステップと、
前記新しいリンクをコンピュータ・メモリ内に格納し、それによってデバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおいて前記知識ベースをナビゲートするユーザが前記仮想表現の前記補助を伴って前記新しいリンクにアクセス可能となるステップと、
を包含する方法。
【請求項2】
前記新しいリンクを前記既存のリンクとともに格納する前に、専門家によって前記新しいリンクが評価されることを提供するステップと、
前記ユーザが識別した事例と前記新しくリンクされたコンポーネントの親のコンポーネントとの間に自動的に新しいリンクを作成するステップと、
リンクされることが提案された前記事例が以前のリンクとどの程度類似するかを示すために、前記コンポーネントとすでにリンクされている事例のリストを呈示するステップと、
可能性のある代替リンクとしてリンクされることが提案された前記事例に類似する事例とすでにリンクされているコンポーネントのリストを呈示するステップと、
すべてのユーザにアクセス可能とならない個人用リンクとして前記新しいリンクを指定することを前記ユーザに提供するステップと、
前記新しいリンクを等級付けするステップであって、前記等級付けが、オプションとして、前記リンクがその後に続く、前記デバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおいて前記知識ベースをナビゲートすることを含むユーザ・セッションにおいてどの程度成功するかの測度に、少なくとも部分的に基づくステップと、
前記新しいリンクを評価するべく前記デバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおいて前記知識ベースをナビゲートすることを含むユーザ・セッションを記録するステップと、
追加の解決策と前記コンポーネントがリンクされた前記事例との間における新しい解決策のリンクの作成をユーザに提供するステップと、
前記仮想表現内に表示される前記コンポーネントの論理的構造を記憶させ、かつ前記仮想表現の前記コンポーネントが表示されているスクリーンのエリアをユーザが作用させるときに前記コンポーネントの名前を表示させるステップと、
のうちの少なくとも1つをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記知識ベース内の前記事例は、それぞれ、解決策リンクによって少なくとも1つの解決策に関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
サポート・システムであって、
ユーザ・インターフェース上に表示するためのデバイスの仮想表現を生成するための3Dデバイス・モデルと、
前記デバイスのコンポーネントを表す前記仮想表現のコンポーネントと、関連するサーチ可能な知識ベース内の対応する事例と、の間の既存のリンクを記憶するリンク・データベースと、
前記仮想表現のコンポーネントと前記サーチ可能な知識ベース内の選択した事例との間に既存のリンクが存在しない場合に、前記仮想表現の補助を伴って前記デバイスに伴う問題に対する解決策のサーチにおいて前記知識ベースをナビゲートするユーザが新しいリンクを作成することを可能にし、この新しいリンクのそれぞれは、前記仮想表現のコンポーネントを、前記コンポーネントに関係する前記デバイスに伴う前記問題に対する解決策を提供するとして前記ユーザが識別した前記知識ベース内の事例とリンクし、前記新しいリンクが前記リンク・データベース内に格納されるリンキング・システムと、
を記憶するコンピュータ・メモリと、
前記メモリと通信し、前記リンキング・システムを実装するプロセッサと、
を包含するシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−205266(P2010−205266A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45306(P2010−45306)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】