説明

デバイス管理システム

【課題】 デバイスを監視している拠点監視装置が監視の設定の変更指示をデバイスに行う。このとき、設定変更を反映するために、一時的にデバイスの監視を数十秒から1分程度止める。デバイスが監視を停止しているときに、サービスコールエラーやトナー切れなどのイベントが発生した場合には、監視すべきイベントが取得できないという問題があった。
【解決手段】 デバイスが、監視設定を反映して監視を再開する際に、前回の監視時の状態を記憶装置から読み出し、ただちにデバイスのステータス情報を拠点監視装置へ送信すべきか否かを判断し、必要なステータス情報を拠点監視装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ等の画像形成装置に発生している障害等の情報を外部装置に通知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置において、サービスマンによる修理を必要とするようなエラー(サービスコールエラー)が発生した場合に、デバイス管理システムを利用したメンテナンスが知られている。デバイス管理システムでは、発生したサービスコールエラー情報を、ネットワークを介して製造元或いは販売元のサービスセンターのホストサーバへ送る。そして、サービスセンター側では、サービスコールエラー情報を発した画像形成装置の修理のためにサービスマンを派遣するなどしてエラー対処を行っている。
【0003】
また、デバイス監視システムでは、消耗品がなくなったことや交換されたことを検知し管理することで、消耗品を適切なタイミングでユーザーへ配送する、といった対処が行われている。このようなシステムで、画像形成装置等のデバイス装置におけるエラー発生時の対処方法としては、例えば次のようなものがあった。ユーザーによる電源OFF/ON操作でサービスコールエラーが復旧した場合に、サービスコールエラーが解消したことをホストサーバ側に通知することができる情報処理装置を提供する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−72967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のシステムでは次のような問題点があった。例えば、拠点監視装置のPC移設などに伴い、監視情報の設定変更指示を画像形成装置に行うと、一時的に監視処理が停止する。しかし、監視を停止した間に発生したサービスコールエラーや、消耗品切れの状態変化が発生すると、監視システムはデバイスのメンテナンス情報を検知することができず、メンテナンスの対処が行いなくなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、設定変更によりデバイス監視が停止したとしても、監視再開時にサーバに通知するべき情報が発生したことを検知し、ホストサーバ側に通知することができる情報処理装置、その方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、ネットワークに接続された複数のデバイスからデバイスの監視情報を監視サーバにて収集することによりデバイスを監視するデバイス監視システムにおいて、監視対象のデバイスは、デバイスの状態変化を検知し、状態変化の検知時のデバイスステータスを送信することのできるデバイスステータス送信手段と、デバイスステータス送信手段の送信先や、その他の監視に必要な監視設定情報を記憶する記憶手段と、デバイスの監視設定情報を変更することのできる監視設定情報変更手段と、デバイスの監視設定情報変更手段によって、変更した監視設定情報をプログラムに反映する際に、記憶手段に記載されたデバイスの状態に応じて、前記デバイスステータスを送信するべきか否かを判断する判断手段と、判断手段の結果に応じて、デバイスステータスを送信する手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置が設定変更により監視停止状態になったときに、発生した障害を該画像形成装置の監視再開時に検知し、外部装置側に知らせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】デバイス、拠点監視装置及び管理サーバとのネットワーク接続関係を示す図である。
【図2】デバイスのハードウェアコントローラの構成例を示すブロック図である。
【図3】デバイスのソフトウェア機能構成例を示すブロック図である。
【図4】デバイスの動作例を表すシーケンス図及びフローチャートである。
【図5】デバイスの不揮発性領域内の保管データの一例を示す図である。
【図6】デバイスのエラー発生通知にて送信されるパケットデータの一例を示す図である。
【図7】デバイスのエラー正常復帰通知にて送信されるパケットデータの一例を示す図である。
【図8】デバイスのエラー発生通知または正常復帰通知に対するレスポンスの一例を示す図である。
【図9】デバイスへの監視設定変更指示にて送信されるパケットデータの一例を示す図である。
【図10】デバイスへの監視設定変更指示に対するレスポンスの一例を示す図である。
【図11】デバイスへの監視設定問い合わせにて送信されるパケットデータの一例を示す図である。
【図12】デバイスへの監視設定問い合わせに対するレスポンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
<本実施形態のデバイス管理システムの構成例>
図1は、本発明の実施の形態に係る複写機と、遠隔監視装置、及び、管理サーバとのネットワークにおける接続関係を示す図である。
【0012】
図1において、100は顧客の社内ネットワークに接続されたMFP(Multi Function Printer)やSFP(Single Function Printer)を示している。これらプリント・複写などの機能をもつ機器の事をここではデバイスと呼ぶ。また、101は複数のデバイス100を監視する拠点監視装置を示している。そのほか、社内ネットワークには、インターネットとの接続ポイントであるファイアウォール102が設置されている。ファイアウォール102により、外部からの社内LAN103への不正なネットワークアクセスを防止する。デバイス100は、自己監視の機能を持っており、デバイスのカウンタ情報やアラームなどのデバイス監視情報を外部の監視機器である拠点監視装置101や、インターネット104上に設置している管理サーバ105へ送信することができる。デバイスの初期設定では、インターネット104上にある管理サーバのWeb Serviceへ監視データを送信するように設定してある。顧客のイントラネットに設置されたときに、プロクシサーバなどのネットワーク環境情報を設定することによって、自らデバイス監視情報を管理サーバへ送信可能となる。また、デバイスは、監視情報の設定変更を外部の機器から行うことが可能であり、例えば、拠点監視装置101からURLの変更指示を受信すると、デバイスの監視情報送信先を変更することができる。拠点監視装置101は、一般的なPC(パーソナルコンピュータ)として図面に記されているが、監視プログラムの走る機器を指している。したがって、監視プログラムは、PCのほかに専用のハードウェアやデバイスなどにインストールすることができる。ここでは、拠点監視装置の形態に制限はない。拠点監視装置101は、イントラネット103を介してデバイス100の各種動作モード設定や、カウンタ値、稼働ログなどの稼働情報、およびハード障害やジャム多発等の障害情報を収集する。拠点監視装置101は、Webサービスや独自プロトコルを用いてサービスを提供し、デバイスから送信されるデバイス監視情報を受信することで情報収集を行なう。管理サーバ105は、インターネット104を介して、顧客のイントラネット103上に設置されている拠点監視装置101や、デバイス100からデバイス管理情報を受信することでデバイスを管理している。拠点監視装置101は、顧客の社内LAN103に大量のデバイスが存在する場合に社内LANに存在するデバイスから、一元的にデバイス監視情報を収集し管理サーバ105へ送信を行うことでメンテナンスの効率を高めることができる。デバイスの監視情報とは、デバイスの使用状況や、現在の状態、また、ファームウェア情報などである。また、管理サーバは、課金カウンタのレポート表示、エラー・アラームなどの障害イベント通知、デバイスの部品消耗度の算出、トナー在庫個数の管理などのサービスを販売会社へ提供する。インターネット104には、イントラネット103に類似した別顧客のネットワークが無数に接続されている。
【0013】
<本実施形態のデバイスの制御部構成例>
図2は、図1におけるデバイス100制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0014】
デバイス100の制御部では、主として、プリントやスキャンなどプログラムの制御処理を行う。また、そのほかにデバイス監視プログラムなどの各アプリケーションが制御されている。デバイス100は、管理サーバ105、または、拠点監視装置101へ監視情報を送信する際、制御部内でデバイス100の監視情報を所定の通信フォーマットでデータ生成し、拠点監視装置101に送信するなどの処理を行う。制御部は、システム管理を行う部分と、画像処理管理を行う部分から構成されている。システム管理を行う各構成要素は、操作部201、Network I/F部202、回線I/F部203、ROM204、RAM205、記憶装置206、CPU207から構成されている。また、画像処理管理を行う各構成要素は、IO制御部208、画像処理部209、デジタルI/F部211、圧縮伸長部212、画素密度変換部213から構成されている。そして、これらの構成要素は、システムバス216及び画像バス217に接続されている。ROM204にはデバイスの制御プログラム及び、デバイス監視プログラムが格納されており、CPU207で実行される。RAM205は、プログラムを実行するためのワークメモリエリアであり、デバイス監視プログラムが監視を行ううえで必要なデバイスのステータス情報や、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。206は不揮発性記憶装置であり、デバイス100の再起動後も保持しておく必要のある各種動作モード設定や、カウンタ値(サイズ毎の印刷枚数や、原稿読み取り回数等)、および、ステータス情報(ステータスフラグを含む)などが記憶される。Network I/F202はLANと接続するためのインタフェース部であり、LANを介して拠点監視装置101と通信を行う。回線I/F部203は、ISDNや公衆電話網に接続され、ROM204内の通信制御プログラムにより制御され、ISDN I/Fやモデム、NCU(Network Control Unit)を介して遠隔の端末とデータの送受信を行う。ファクシミリの送受信もこの回線I/F部203を使用して行う。操作部201には表示手段やキー入力手段が内蔵されており、これらはCPU207にて制御される。操作者は、キー入力手段を通してスキャナ読み取りやプリント出力に関する各種設定指示や、作動/停止指示を行う。以上のデバイスがシステムバス216上に配置される。IO制御部208は、システムバス216と画像データを高速で転送する画像バス217とを接続するためのバスブリッジである。画像バス217は、PCIバスまたはIEEE1394で構成される。画像バス217上には以下のデバイスが配置される。デジタルI/F部211は、デバイスのリーダー部215やプリンタ部214と制御部とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。また、リーダー部215やプリンタ部214内の各所に配置した前述の各種センサが検出した情報は、このデジタルI/F部211、及びIO制御部208を介してシステムバス216へ流れる。画像処理部209は、入力及び出力画像データに対し補正/加工/編集を行う。画像回転部210は画像データの回転を行う。画像圧縮伸長部212は、多値画像データはJPEG、2値画像データはJBIG/MMR/MR/MHの圧縮伸張処理を行う。画像密度変換部213は、出力用画像データに対して解像度変換等を行う。CPU207で実行される制御プログラムにより、CPU207は記憶装置206内のカウンタ値や稼働ログなどの稼動情報や障害情報を読み出してデバイス100のステータス情報として拠点監視装置101へ、Network I/F202を介して送信する。
【0015】
<印刷デバイス装置のソフトウェアモジュール構成>
図3は、拠点監視装置101の外部システムと通信可能なデバイス100のソフトウェアモジュールの構成を示す図である。図中の301乃至309、および、311乃至313がデバイス100のソフトウェアモジュールに該当する。309は、組み込み診断システムのソフトウェアモジュールを表しており、314は監視設定変更システムのソフトウェアモジュールを表している。
【0016】
デバイスインタフェース301は、図2のIO制御部208を示す。該インタフェースを介してプリンタ部214で検知されるエラー(障害と呼ぶこともある)を含む画像形成装置ステータスが、組み込み診断システム309へ通知されてくる。画像形成装置のエラーとは、ハードディスクエラーや課金カウンタエラー等のサービスコールエラー、紙ジャム等のエラー、或いはトナーロー等のワーニングなどのエラー、或いはドアオープン、排紙トレイの紙積載超過なども含むものとする。状態イベントモジュール302は、デバイスインタフェース301から通知されたエラー情報をマネージャー304に通知する。デバイスインタフェース301から通知されるエラー情報は、プリンタ部314で各種センサにより検出された画像形成装置ステータスに基づく。このエラー情報は時系列的に変化する。タイマー303は、所定の時刻に行うカウンタの送信や送信できなかったエラー情報の再送の要求をマネージャー304に発行する。不揮発性記憶装置306には、送信すべきログ情報や、カウンタ、障害情報、及び、図4のステップS411において参照されるステータスフラグなどが格納されている。マネージャー304はロジック305を介してこの送信すべきデバイス監視情報を確認する。マネージャー304は、可変情報であるエラー情報とともに、自デバイスに係わる固有の識別子に相当する固定情報をSOAPファンクションモジュール307に通知する。ここで、固定情報とは、例えばIPアドレス、MACアドレス、デバイスシリアル番号、製品名、製品タイプなどが挙げられる。これらは、図6の601、図7の701におけるdeviceスキーマに埋め込まれる情報である。
【0017】
SOAPファンクションモジュール307は、HTTP/SOAPクライアントモジュール308に、マネージャー304から受けた内容(固定情報及び可変情報)を渡す。そして、マークアップ言語記述の作成依頼、及び作成したマークアップ言語記述の指定サーバへの通信依頼を行う。ここで、指定サーバの情報は、事前にHTTP/SOAPクライアントモジュール308が保持している形態でも良いし、固定情報に含めるようにしても良い。HTTP/SOAPクライアントモジュール308では、SOAPファンクションモジュール307からの固定情報を受け、図6、図7の601、701における、deviceスキーマに基づくマークアップ言語記述を作成する。そして同様に可変情報を受け、図6、7の602、603、702に示されるstatusスキーマに基づくマークアップ言語記述を同時に作成する。ここで、可変情報や固定情報の各々に対応するスキーマはHTTP/SOAPクライアントモジュールがアクセスできる記憶部に事前に格納されているものとする。そして、HTTP/SOAPクライアントモジュール308は、作成したマークアップ言語記述のデータを、指定のサーバへ送信する。マークアップ言語記述としては、例えばXML(eXtensible Markup Language)が挙げられる。
【0018】
設定変更用WebService311は、NetworkIF202より受信した監視設定変更要求を受け付ける。設定変更用WebService311にて受け付けた監視設定変更要求は、認証312モジュールにより認証される。これは、HTTPSのクライアント認証で実現されてもよいし、ユーザアカウントとパスワードのようなデータで認証が行なわれてもよい。デバイスに対し監視設定変更要求を発行できる正規の機器だけがこの指示を発行できる。認証312モジュールは、認証の結果を設定変更用WebServiceに返し、認証が成功した場合、受け付けた設定変更要求から設定変更プログラム313に設定変更要求を発行する。設定変更プログラム313は、不揮発性記憶装置306へ監視設定としてプログラムの設定ファイルを書き換える。また、マネージャー304に対し設定を反映するために設定を再読み込みするように指示を発行する。
【0019】
設定再読み込みの指示を受信したマネージャー304は、一時的にデバイス監視処理を停止して、不揮発性記憶装置306に保管されている監視設定を読み出して、監視プログラムの設定変更を反映する。
【0020】
不揮発性記憶装置306には、設定変更指示を受信したときに、組み込み診断システムの状態を示す監視中フラグと、重要度の高い障害が発生していたかを示すイベントフラグが格納される。マネージャー304は、設定変更指示を受信したときに、組み込み診断システムの状態が監視中であった場合には、監視中フラグを“1”と設定して、設定変更処理へ入る。また、設定変更処理へ入る際に、デバイスに重要度の高い障害が発生していた場合には、イベントフラグを“1”と設定する。
【0021】
組み込み診断システムが、設定情報を読み込んで監視を再開したときに監視中フラグが“1”であった場合には、デバイスに障害が発生していないかを確認する。デバイスに障害が発生していないかの問い合わせは、マネージャー304が、デバイスインタフェース301を介してプリンタ部314における状態の問い合わせを行う。このときデバイスのステータスに重要度の高い障害が発生していた場合には、デバイスインタフェース301の応答結果から、マネージャー304は、可変情報としてcodeとmajorstatusの値を識別された種類のコード値に設定する。また、固定情報として上に説明した自デバイスに係わる情報を設定し、それらの情報をSOAPファンクションモジュール307に渡す。このとき、HTTP/SOAPクライアントモジュール308が、上述の可変情報及び固定情報を、自らSOAPファンクションモジュール307から取得するようにしても良い。
【0022】
組み込み診断システムが、設定情報を読み込んで監視を再開したときにイベントフラグが“1”であった場合には、設定変更のために監視停止に入る前に重要度の高い障害が発生していたことになる。マネージャー304は、設定変更後に障害のステータスが変化している可能性があるために、デバイスインタフェース301を介してプリンタ部314における状態の問い合わせ要求が行われる。この時デバイスインタフェース301は、問い合わせが発生したことに応じて各種状態をセンサにより検知し応答するようにしても良いし、事前に検知しておいた各種状態を応答するようにしても良い。
【0023】
デバイスインタフェース301の応答結果から、マネージャー304は、可変情報としてcodeとmajorstatusの値を識別された種類のコード値に設定する。また、固定情報として上に説明した自デバイスに係わる情報を設定し、それらの情報をSOAPファンクションモジュール307に渡す。このとき、HTTP/SOAPクライアントモジュール308が、上述の可変情報及び固定情報を、自らSOAPファンクションモジュール307から取得するようにしても良い。何れの種類のエラーも発生していなければ、可変情報としてエラーが何もないという情報(codeとmajorstatusの値を0とする)を設定し、それらの情報をSOAPファンクションモジュール307に渡す。
【0024】
SOAPファンクションモジュール307は、HTTP/SOAPクライアントモジュール308に対して、マネージャー304から受けた固定情報及び可変情報をもとにした、スキーマの作成及び指定のサーバへの通信依頼を行う。依頼を受けたHTTP/SOAPクライアントモジュール308では、対応するスキーマを読み込み、読み込まれたスキーマ及び渡された値に基づき、図6、図7に示されるような、スキーマに基づくマークアップ言語記述を作成する。
【0025】
以上の処理により、HTTP/SOAPクライアントモジュール308は依頼された固定情報及び可変情報の対応するスキーマに基づきマークアップ言語記述の作成を行う。また、監視再開時にイベントフラグが読み取られ且つ何れの種類の障害発生も識別されないと、障害発生が無いことを示す識別子を埋め込んだスキーマ―に基づくマークアップ言語記述を作成する。
【0026】
一方、ホスト側(図3中の外部システム310)では、ゲートウェイを介して、HTTP/SOAPクライアントモジュール308から通知されたマークアップ言語記述の解析に基づき、障害の遷移を管理する。特に、図6に示されるような、障害発生が無いことを示す識別子を解析により識別すると、障害発生しているとして管理されていた障害について、障害解消を識別することができる。
【0027】
より具体的には、図6、7のマークアップ言語記述のデータを受信するとともに、常に個々のデバイス及び個々の種類のエラー状態を更新する。更新されたエラー状態は記憶部に保存される。そして、更新の際に以前に発生していた種類の障害に対応する識別子(codeの値、及びmajorstatusの値)が、受信したマークアップ言語記述の中に含まれておらず確認できなければ、その種類のエラーが解消したとものと識別する。特に、図6のマークアップ言語記述のデータを受信した場合には、例えば、以前に保持されていたすべてのエラーは解消されたとし、ホスト側のデバイス情報を正常状態として更新する。これにより、障害発生が解消しないことに起因する、無駄なサービスマンの派遣などを防ぐことができる。
【0028】
尚、上の説明では、SOAPファンクションモジュール307がHTTP/SOAPクライアントモジュール308に各種情報の通知を行うよう説明した。しかし、HTTPS/SOAPクライアントモジュール308が、上述の可変情報及び固定情報を、自らSOAPファンクションモジュール307から取得するようにしても良い。
【0029】
<本実施の形態に係る印刷デバイス装置の動作>
以上の構成において、図1に示したデバイス100の動作について、図4を参照して説明する。なお、図4は、本実施の形態に係るデバイス100の動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、デバイス100が通常の監視状態から、監視関する設定変更指示を拠点監視装置から受信し、監視を再開するまでの処理である。これは、図2に示すROM204、RAM205、記憶装置206のいずれかの記憶手段に記憶され、CPU207により実行される。
【0030】
まずステップS401において、組み込み監視システム309は、デバイスの監視を開始する。ステップS402において、CPU207は、プリンタ部214のステータスに変化が生じたかどうかを検知する。検知方法としては、各種センサ値を検出する方式でも、レスポンスの未応答を認識する方式でも、プリンタにおけるステータスを識別できれば、どのような方法でもよい。プリンタ部214のステータスに変化が発生し、且つサービスコールエラー(例えば、ハードディスクエラーや課金カウンタエラーなどサービスマンによる修理を必要とするような種類のエラー)が発生している場合には、ステップS403へ進む。ステップS403では、後述の図6で示すパケットを用いて、そのサービスコールエラー情報を拠点監視装置101に通知する(T1)。この通知に対する拠点監視装置101からの返答(レスポンス)T2が、後述する図7に示すレスポンスパケットであり、ここでは、サービスコールエラー情報を正常に受け取ったことを意味する<result>OK<result>が返信されている。また、サービスコールエラーが復旧した場合には、後述の図6に示すパケットを用いて、正常復帰情報を拠点監視装置101へ通知する。
【0031】
ステップS402において、デバイスにサービスコールエラーなどのステータス変化が発生していない場合、組み込み監視システム309は処理をステップS404へ進める。尚、例えばドアオープンなどの、サービスコールエラーで無いエラーに関しても、ステップS402でYESと判定しても良い。
【0032】
ステップS404では、デバイス100は、監視設定変更システム314により、拠点監視装置101より発行された監視設定変更要求を受信する(T3)。監視設定変更要求を受信しない場合には、ステップS401へ戻り、監視処理を繰り返す。監視設定変更要求を拠点監視装置から受信した場合には、拠点監視装置に対して、監視設定変更要求を受信したことを示す応答(レスポンス)T4を発行し、ステップS405へ進む。ステップS405において、監視設定変更要求を受信したときに、デバイス100が監視中の状態であった場合には、ステップS406へ進む。ステップS406では、設定変更要求指示を処理する前に、現在の組み込み診断システム309が監視状態であることを、不揮発性記憶装置306の監視中フラグ用メモリ領域に“1”を書き込み、ステップS407へ進む。また、ステップS405において、監視設定変更要求を受信したときに、デバイス100が監視中の状態でなかった場合には、ステップS409へ進む。
【0033】
ステップS407では、デバイス100に重要度の高いイベントが発生していないか確認を行う。重要度の高いイベントが発生していた場合には、そのイベントが解消されたか否かが重要な情報となる。このため、監視が一時的に中断され、再度監視が再開されたときには、その重要度の高いイベントがどうなったかを拠点監視装置に通知する必要がある。重要度の高いイベントがデバイス100に発生していた場合には、ステップS408へ進む。ステップS408では、デバイス100に重要度の高いイベントが発行していることを記録するために、不揮発性記憶装置306のイベントフラグ用メモリ領域に“1”を書き込み、ステップS409へ進む。
【0034】
ステップS409では、拠点監視装置から指示された監視設定変更要求を元に、監視設定変更を行う。このときに、デバイス100の監視を一時的に停止し、設定情報を再度読み込むことによって変更を行う。拠点監視装置101は、T3によって要求した設定変更要求指示の結果がどのようになったかをポーリングによって確認する。このときの確認はT5によってリクエストされ、設定変更WebService311は、確認指示に対する応答(レスポンス)T6を発行する。ステップS409にて、設定変更処理が完了すると、ステップS410へ進み、デバイス100は監視を開始する。このとき、組み込み診断システムは新しい監視設定を読み込む。ここでいう監視設定とは、不揮発性記憶装置306に保存されているイベントフラグ、監視中フラグ、拠点監視装置101のURLやポート、並びに拠点監視装置101との送信間隔を示すスケジュール情報などである。
【0035】
続くステップS411では、不揮発性記憶装置306に保存されている監視中フラグを参照し、監視中フラグが”1”であれば、ステップS412へ進み、”0”であれば本処理を終了する。つまり、監視中フラグが“1”であることは、当該デバイスの監視設定の変更を受け付けたときには、監視処理がすでに動いており、デバイスが監視中であることを示している。本フラグがあることによって、監視処理は、新しい設定情報を読み込んで起動するときのデバイスの最新ステータスを送信する必要性を確認することができる。
【0036】
ステップS412では、不揮発性記憶装置306に保存されているイベントフラグを参照し、イベントフラグが“1”であれば、ステップS414へ進み、“0”であればステップS413へ進む。ここで、イベントフラグが”1”であることは、当該デバイスの監視設定の変更を受け付けたときには、すでに重大な障害が発生したことを示している。このため、監視処理が停止していた間にデバイスになんらかの状態変化が発生していた場合には、遠隔監視を利用するユーザーが状態変化を把握する必要があると判断する。当該デバイスの監視設定の変更を受け付けたときに、重大な障害が発生していない場合には、イベントフラグが”0”となっている。ステップS413にて、監視処理が停止している間に、状態が変化していないかを確認する。ここで重大なイベントが発生していたい場合には、ステップS414へ進み、何も発生しておらず、通常の状態であった場合には、処理を終了する。
【0037】
ステップS414では、当該デバイスの最新ステータスを確認し、拠点監視装置101へステータス変化通知を送信する(T7)。この通知に対する拠点監視装置101からの応答(レスポンス)T8は、後述する図7に示すレスポンスパケットであり、ここでは、状態変化通知を正常に受け取ったことを示している。監視処理は、状態変化通知を拠点監視装置へ送信し、監視設定変更時の一連の処理を終了する。この後、通常の監視処理へと切り替わる。
【0038】
また、上記の説明では、デバイス装置であるプリンタ部214のエラーとしてサービスコールエラーに限定して説明したが、サービスコールエラーに限らず、紙ジャム等のエラー、或いはトナーロー等のワーニングなどのエラーであっても良い。
【0039】
<不揮発記憶領域に保管されるデータの一例>
図5は、本実施例の形態にかかる不揮発領域に保管されるデータの一例を示す図である。保管されるデータには、デバイスを識別するための情報であるデバイス固定情報と、デバイス監視を行うための監視設定情報、そのほか、設定変更を受けたときに利用する設定変更時情報、現在のデバイスステータスを保管するためのCurrentStatusなどが保管される。
【0040】
デバイス固定情報には、図4の通信T1やT7で利用するデバイスの識別情報として、MacアドレスやIPアドレス、SerialNumberなどの情報が保管される。
【0041】
監視設定情報には、組み込み診断システム309がデバイス監視情報を送信するときの送信先URLやポート番号が保管されている。また、直接デバイスが監視情報を管理サーバ105へ送るのか、拠点監視装置101を経由してデバイス監視情報を送信するかのモード設定情報などが保管される。
【0042】
設定変更時情報には、監視設定変更要求を受信したときに、監視を行なっていたかを記述する監視中フラグや、継続監視の必要な重大な障害が発生しているかを記述するイベントフラグなどがある。また、前回の設定変更要求の処理タイプや、その処理結果が保管される。CurrentStatusには、そのときのデバイスの異常ステータスを記録する。デバイスの状態が常にこの領域で保管され、状態変化を検知すると同時に、新しい状態へTimeStampとともに書き換える。そして、書き換わった最新の状態を拠点漢詩装置101へと送信を行う。
【0043】
<エラー通知用のパケットデータの一例>
図6は、本実施の形態に係るエラー通知時(図4のT1,T7)に送信されるマークアップ言語のパケットデータの一例を示す図であり、スキーマに基づき記述されている。このパケットデータは、HTTP上のSOAPを用いたエラー通知の一例である。このパケット(postStatusInfoと称される)は、デバイス100から拠点監視装置101に送信される。
【0044】
このデータはXML形式で記述されている。無論XML形式に限定されるもので無い。例えばHTMLでも良い。postStatusInfoパケットは、プリンタ部214にエラーが発生した際に、拠点監視装置101にエラー情報を通知するコマンドである。固定的な情報を示す図6のパケットの発信元或いはエラー発生元のデバイス装置を示すデバイス情報(<device>タグ)や、可変的な情報を示すステータス情報リスト(<status>タグ)等の情報が記述されている。<device>タグには、MACアドレスを識別する<mac>、IPアドレスを識別する<ip>、シリアル番号<serialNumber>、製品名<productName>、及び形式<type>が記述される。また、postStatusInfoには、デバイスを識別する<device>と<status>のリスト、並びにカウンタ情報<counterList>が含まれている。<status>には、エラーコード<code>、大分類の<majorstatus>、エラーを示す文字情報<opmessage>、及びタイムスタンプ情報<timeStamp>が記述されている。<counterList>には、サービスモード番号<id>とサービスモード番号で指定されたカウンタ値<value>が記述されている。なお、上記図6の説明におけるクライアントとはプリンタなどのデバイスを指す。
【0045】
<正常復帰通知用のパケットデータの一例>
図6は、本実施の形態に係るエラー正常復帰通知時(図4のT7)に送信されるパケットデータの一例を示す図であり、図6と同様にスキーマに基づき記述されている。このパケットデータは、エラーが解消された後、HTTP上のSOAPを用いてデバイス100から拠点監視装置101に送信される正常復帰通知用のパケットデータ(postStatusInfoと称される)の一例である。
【0046】
図6に示したパケットデータとスキーマは同様であるが、<status>において、エラーコード<code>並びに大分類の<majorstatus>がそれぞれ0、エラーを示す文字情報<opmessage>はNULLが設定される。このように<status>を設定することにより、エラーが解消されたことを示すパケットとなっている。
【0047】
また、先の図6で示した<device>タグにおける、MACアドレス、IPアドレス、及びシリアル番号によって、デバイスを特定することができるため、どのデバイス装置がエラー解消したかを特定することができる。また、エラーが解消される旨を通知するスキーマとしてpostStatusInfoを使用したが、その他のSOAP関数を使用しても良い。
【0048】
このように、図6と同様の、statusスキーマ(<stauts>)を用い、図6に示されるエラー正常復帰通知を行うことができるので、通知フォーマットを簡易化できる。結果、通知を受ける側の拠点監視装置101側の処理を効率化できる。例えば、エラー正常復帰通知を示すスキーマをstatusスキーマとは別途設けるにようにしても良い。しかし、より好適な形態として、本実施例では、拠点監視装置101側で、まずstatusスキーマ602を解析し、図6の602と同様の<majorstatus>スキーマで記述される値が0であることを識別し、サービスコールエラーが解消したと判定する。これにより、拠点監視装置101側のスキーマ判定処理を軽減できる。
【0049】
<通知に対するレスポンスの一例> 図7は、本実施の形態に係るエラー通知(図6)又は正常復帰通知(図6)に対するレスポンスの一例を示す図であり、図6、7と同様にスキーマに基づき記述されている。本データも図6のパケットデータと同様にXML形式で記述され、本実施の形態においてはHTTP上のSOAPを用いて送受信される。postStatusInfo応答パケットには、postStatusInfoコマンド対する結果情報<result>として、OKやNGを記述し、返信する。
【0050】
<デバイスへの監視設定変更要求のパケットデータの一例>
図8は、本実施の形態に係る漢詩設定変更要求時(図4のT3)に送信されるマークアップ言語のパケットデータの一例を示す図であり、スキーマに基づき記述されている。このパケットデータは、監視設定変更を指示するために拠点監視装置101からデバイス100に送信されるパケットデータ(setMonitoringConfigと称される)の一例である。setMonitoringConfigパケットは、拠点監視装置101が、特定のデバイスに対して監視設定変更を発行するコマンドである。これには、特定のデバイス宛の指示であることを示す<serialNumber>や、デバイス監視情報の送信先である<sendURL>、特定の処理を指示する<processType>などの情報がある。また、この要求発行元を識別するためにアカウント情報やパスワード情報などが記述されても良い。
【0051】
<監視設定変更要求に対するレスポンスの一例>
図9は、本実施の形態に係る監視設定変更要求(図8)に対するレスポンスの一例を示す図であり、図6、7と同様にスキーマに基づき記述されている。本データも図6のパケットデータと同様にXML形式で記述され、本実施の形態においてはHTTP上のSOAPを用いて送受信される。 setMonitoringConfig応答パケットには、setMonitoringConfigコマンド対する結果情報<result>として、OKやNGを記述し、返信する。
【0052】
<デバイスへの監視設定問い合わせのパケットデータの一例>
図10は、本実施の形態に係る監視設定問い合わせ(図4のT5)に送信されるマークアップ言語のパケットデータの一例を示す図であり、スキーマに基づき記述されている。このパケットデータは、監視設定の問い合わせを指示するために、拠点監視装置101からデバイス100に送信されるパケットデータ(checkMonitoringConfigと称される)の一例である。checkMonitoringConfigパケットは、拠点監視装置101が特定のデバイスに対して監視設定の問い合わせを発行するコマンドである。 これには特定のデバイス宛の指示であることを示すデバイス識別子である<serialNumber>の情報がある。
【0053】
<監視設定変更要求に対するレスポンスの一例>
図11は、本実施の形態に係る監視設定問い合わせ(図4のT5)に対するレスポンスの一例を示す図であり、図6、7と同様にスキーマに基づき記述されている。本データも図6のパケットデータと同様にXML形式で記述され、本実施の形態においてはHTTP上のSOAPを用いて送受信される。checkMonitoringConfig応答パケットには、checkMonitoringConfigコマンド対する処理結果として<result>にOK/NGを記述し、処理を実施した時刻を記述する<timeStamp>がある。また、問い合わせを実行したときの監視設定を出力する情報がある。jこれには、デバイスの識別子<serialNumber>やデバイス監視情報の送信先URL<sendUrl>、前回処理を受け付けたときの処理の種類<processType>や、処理結果<state>がある。この<state>には、COMPLETEDのほかに、エラーなど処理がとまってしまった場合のステータスを記述する。
【0054】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数のデバイスからデバイスの監視情報を監視サーバにて収集することによりデバイスを監視するデバイス監視システムにおいて、
監視対象のデバイスは、
デバイスの状態変化を検知(302)し、状態変化の検知時のデバイスステータスを送信することのできるデバイスステータス送信手段(308)と、
デバイスステータス送信手段の送信先や、その他の監視に必要な監視設定情報を記憶する記憶手段(306)と、
デバイスの監視設定情報を変更することのできる監視設定情報変更手段(315)と、
デバイスの監視設定情報変更手段によって、変更した監視設定情報をプログラムに反映する際に、記憶手段に記載されたデバイスの状態に応じて、前記デバイスステータスを送信するべきか否かを判断する判断手段(305、S411、S412,S413)と、
判断手段の結果に応じて、デバイスステータスを送信する手段と、
を有することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−150587(P2011−150587A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12194(P2010−12194)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】