説明

デバイス識別機能を有する誘導電力供給装置

一意の識別周波数を用いて遠隔デバイス(14)を識別する誘導電力供給システム(10)である。本システムは,種々の周波数の電力を遠隔デバイス(14)に誘導で供給することができるAIPS(12)及びタンク回路(48)と,タンク回路(48)において遠隔デバイスの反射インピーダンスを検出する検出器(16)と,を含む。更に本システムは,それぞれ一意の共振周波数を有する多数の異なる遠隔デバイス(14)を含む。AIPS(12)は,遠隔デバイス(14)が複数の識別周波数のうち一つに応答して共振を起こすまで,多数の一意の識別周波数の電力を遠隔デバイス(14)へ印加することによって,誘導場に存在する遠隔デバイス(14)の種類を識別することができる。AIPS(12)は検出データを評価することによって,いつ共振が起こったかを認識する制御器(40)を含む。この検出データは遠隔デバイス(14)の反射インピーダンスを表している。遠隔デバイスの識別情報が判定されると,IPS(12)はメモリ(24)から遠隔デバイス(14)の動作パラメータを取得し,効率的な動作を確実にし,障害状態認識を補助することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導電力供給システムに関し,より詳細には種々の遠隔デバイスに誘導電力供給を行う装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機,音楽再生機,パーソナルデジタルアシスタント,その他遠隔デバイスのような家庭用電子製品及び業務用電子製品の分野では特に,無線電力供給システムに関する関心が大きく,また増加し続けている。無線電力供給システムは,既存の有線接続に対して種々の利点を有する。最も顕著なのは,種々の充電用コードを不要にし,かつ再充電のために電子デバイスを繰り返し接続したり切り離したりすることが不要になることであり,それによってコストが減少し,利用の容易性及び利便性が向上する。
【0003】
電磁誘導原理を利用して無線で電力を供給するシステムは,古くから利用可能であった。しかし,既存の誘導技術に関する実用上の制約のために,従来のシステムは限定的にしか成功していない。例えばほどほどに効率的な運用のためには,従来の誘導システムは通常,1次コイルと2次コイルとの近接かつ正確な位置合わせが必要であり,同時に誘導電力供給装置の電子回路と遠隔デバイスの電子回路との同調を高度に調整する必要がある。異なる遠隔デバイスは通常異なるパラメータで動作するため,これらの問題は複雑である。例えば,ある携帯電話機モデルは,別の携帯電話機モデルとは異なる動作パラメータ集合を有する可能性があり,携帯電話機と音楽再生機とのような異なる種類の遠隔デバイスの間には,より大きな差異がある可能性がある。
【0004】
Kuennenほかの米国特許第6,825,620号は,種々の負荷を有する動作パラメータに対応するように,動作を調整できる誘導電力供給システムを開示している。Kuennenほかの米国特許第6,825,620号は,"Inductively Coupled Ballast Circuit"(誘導結合バラスト回路)という題名で2004年11月30日に発行されており,ここに参照する。この誘導電力供給システムは,広い範囲の負荷に効率的に電力を供給することができる。これは既存システムに対しては顕著な改善ではあるが,いくつかの応用では,単一誘導電力供給システムを用いた広範な製品により高い効率が要望されている。いくつかの応用では,負荷に関する種々の動作パラメータによって,種々の負荷を区別できる単一誘導電力供給への要望がある。別の応用では,広範な遠隔デバイスについて障害状態をより容易に認識できる単一誘導電力供給システムも要望されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は,誘導電力供給システムと,適応誘導電力供給装置(AIPS)が反射インピーダンスによって遠隔デバイスを識別し,その遠隔デバイスの識別情報によって動作を制御する関連の方法と,を提供する。また本発明は,AIPSが識別されたデバイスの正常動作条件外で2次回路が稼動していることを認識して,障害状態を評価できるようにする。
【0006】
一実施例において,本発明は,種々の周波数で2次回路に電力を供給できる制御器と,タンク回路の電流を直接又は間接に検出することができる電流検出器と,を備えたAIPSを含む。この実施例において,各遠隔デバイス又は遠隔デバイスの一種は,その遠隔デバイス又は遠隔デバイスの種類に関する一意の署名を個別又は集合的に提供する1又は複数の共振周波数を含む。例えばこの識別周波数は,特定モデルの携帯電話機又は特定モデルのパーソナルデジタルアシスタントを一意に識別することができる。また本システムは,1又は複数の認識可能な遠隔デバイスの動作情報を含む参照(look−up)テーブル又は別のデータ集合を含んでもよい。この情報は,動作パラメータを設定し,障害状態を認識するために用いることができる。
【0007】
AIPSは,特定の遠隔デバイスに一意に関係する周波数の短パルス電力を2次回路に供給する。上記遠隔デバイスが上記パルスの周波数に共振周波数を有するとき,遠隔デバイスはかなりの量の電流を発生し,その電流は反射インピーダンスによってタンク回路に戻される。制御器は,電流検出器からの入力が電力発生の増加を示したとき,遠隔デバイスが存在することを認識する。これによってAIPSは特定の遠隔デバイスが存在することを認識し,参照テーブルからその動作パラメータを取得することができる。動作パラメータが取得されると,APISは取得した動作パラメータを用いてより効率的に遠隔デバイスへ電力を供給でき,実際の稼動状態が取得した動作パラメータ外になったとき,障害状態が生じたことを認識することができる。
【0008】
いくつかの応用では,遠隔デバイスは,識別周波数として機能させるために十分に一意の共振周波数(又は多数の共振周波数)を本質的に含んでもよい。このような応用において,遠隔デバイスは対応する識別周波数が印加されたとき,共振を起こし,それによって遠隔デバイスを一意に識別できる。
【0009】
別の応用では,遠隔デバイスは,該遠隔デバイスを一意に識別する周波数の共振周波数を本質的に有しなくてもよい。この種の遠隔デバイスについては,識別コンデンサを備えてもよい。識別コンデンサは,識別ピン信号(ping)を用いて識別できる一意の共振周波数(又は周波数パターン)を遠隔デバイスに与えるように選ばれる。いくつかの応用では,遠隔デバイスの主回路は識別コンデンサを隠ぺいしてもよい。したがっていくつかの応用では,遠隔デバイスの主回路を2次コイルから切り離す負荷遅延回路と,識別コンデンサによって共振が起こり,タンク回路に反映させる十分な時間を得るための識別コンデンサとを遠隔デバイスが含んでもよい。
【0010】
選択可能な遠隔デバイス数が多い応用においては,多数のコンデンサを用いて遠隔デバイスに多数の共振周波数を与えてもよく,該共振周波数は種々の周波数のピン信号に応答して一意の共振「署名」を各遠隔デバイスに集合的に与えるものである。例えば二つの異なるコンデンサを用いて,三つの別個の共振周波数を得ることができる。すなわち,各コンデンサに対してそれぞれ一つと,二つのコンデンサの組合せに対して三番目の周波数が得られる。一実施例においては,選択された周波数で共振があるか,ないかを2進符号のビットとして用いてもよく,該2進符号は限られた数の周波数だけで多数の遠隔デバイスを一意に識別することができる。
【0011】
一実施例において,本方法は識別周波数の短パルス電力を2次回路に供給するステップと,一定時間待機するステップと,タンク回路の電流を検出して上記短パルス電力の周波数に共振周波数を有する遠隔デバイスが存在するかどうか判定するステップと,を一般に含む。短パルス電力の周波数に共振周波数を有する遠隔デバイスが存在するときは,遠隔デバイスが識別され,参照テーブル又は別のメモリデバイスから動作パラメータが取得される。短パルス電力の周波数に共振周波数を有する遠隔デバイスが存在しないときは,AIPSは次の識別周波数に移動してこの処理を繰り返す。いくつかの応用では,ある識別ピン信号の残留エネルギが次の識別ピン信号に対する遠隔デバイスの応答に影響を与えないように,各識別ピン信号の間に小さな遅延を設けて回路が沈静化するようにしてもよい。このシステムは,遠隔デバイスが明確に識別されるまで選択可能な識別周波数のすべてを繰り返し巡回する。
【0012】
別の実施例では,誘導電力供給装置によって電力供給される遠隔デバイスはそれぞれ,同一の共通共振周波数を有するコンデンサを備える。誘導電力供給装置は,単一の共通共鳴周波数の短電力パルスを送信するようにプログラムされる。遠隔デバイスからの応答は,上述のとおり該遠隔デバイスが該誘導電力供給装置から電力を受電できることを示す。
【0013】
別の実施例では,誘導電力供給装置によって電力供給される遠隔デバイスはそれぞれ,共通共振周波数を有するコンデンサと,一意の2次及び/又は3次共振周波数を有する1又は複数の追加コンデンサと,を備える。この実施例によれば,誘導電力供給装置は,単一共通共振周波数の短電力パルスを送信するようにプログラムされる。誘導電力供給装置が当該周波数の応答を検出すると,該誘導電力供給装置は別の周波数又はある範囲の周波数の追加短パルスを送信する。種々の周波数における応答に応じて,誘導電力供給装置はデバイスの種類及び特定のデバイスモデルを識別することができる。
【0014】
遠隔デバイスが識別されると,AIPSはメモリから取得した動作パラメータによってその遠隔デバイスに電力を供給できる。更に,AIPSは障害状態を識別するための補助として,参照テーブルからの情報を利用することができる。例えば,参照テーブルは最小最大動作周波数及び最小最大電流を含んでもよい。一次コイルに発生した電流が,参照テーブルから取得した最大電流を超えたときは,AIPSは障害状態を認識して,一次コイルへの電力供給を低下させるなどの適切な操作を行う。
【0015】
本発明は,遠隔デバイスを識別する簡単で効果的な方法及び装置を提供する。参照テーブルによって,AIPSは正常動作パラメータのような,遠隔デバイスに関する情報を取得することができる。これによってAIPSは遠隔デバイスにより効率良く電力を供給し,より容易に障害状態を識別できる。単一共振周波数では十分な数の一意識別ができない応用では,各デバイスは識別周波数パターンを用いてもよい。遠隔デバイスが一意識別共振周波数(又は周波数パターン)を本質的に含む応用では,本発明のために遠隔デバイスを変更する必要がない。遠隔デバイスが一意識別共振周波数を本質的に含まない応用では,遠隔デバイスは識別周波数又は識別周波数パターンを遠隔デバイスに与える1又は複数の識別コンデンサを備えてもよい。別の態様では,本発明は標準の集合を提供し,その標準によって定められた識別周波数によって,遠隔デバイスのクラスを識別してもよい。これによって,遠隔デバイスの所定のクラスの一つに属する,本質的に無限の数の遠隔デバイスに対する知的なAIPSの運用が可能になる。
【0016】
本発明の上述及び別の目的と,利点と,特徴と,は上記実施例の詳細な説明及び図面を参照することによって容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例による誘導電力供給システムを簡潔に示す図である。
【図2】一実施例の誘導電力供給システムの回路図である。
【図3A】識別コンデンサを備えた代替遠隔デバイスの回路図である。
【図3B】多数の識別コンデンサを備えた代替遠隔デバイスの回路図である。
【図4】第2の代替遠隔デバイスの回路図である。
【図5】種々のコンデンサ容量値及び選択したコンデンサの組合せによって得られる関連共鳴周波数を示す表である。
【図6】遠隔デバイスを識別する方法の一般的ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例による誘導電力供給システムを図1に示す。誘導電力供給システム10は一般に,適応誘導電力供給装置(AIPS)12と,多数の遠隔デバイス14とを含む。AIPS12は一般に,誘導電力送電ができる,1次コイル18(図2参照)を備えたタンク回路48を含む。またAIPSは,1次コイル18によって発生された電力の周波数を選択的に制御する制御器20と,遠隔デバイス14からの反射インピーダンスを検出できる検出器16と,も含む。AIPS12は,1又は複数の遠隔デバイス14と共に用いることを意図したものであり,各遠隔デバイスは一意共振周波数又は一意共振周波数パターンを有する。AIPS12は識別周波数の電力を1次コイル18に供給し,そして電力検出器16を用いて遠隔デバイス14の反射インピーダンスを評価する。遠隔デバイス14が識別周波数に共振周波数を有するとき,AIPS12はどの種類の遠隔デバイスがAIPS12に誘導結合されているかを知ることができ,AIPS12は参照テーブル又は別のメモリデバイスから動作パラメータを取得することができる。AIPSは,取得した情報を用いて遠隔デバイスを効率的に運用し,障害状態を識別することができる。
【0019】
I. 適応誘導電力供給装置
本発明は,広範な適応誘導電力供給装置に用いるのに適している。ここで用いる「適応誘導電力供給装置」という用語は,多数の異なる周波数の電力を供給できる任意の誘導電力供給装置を広く含むものとする。開示のために,本発明を特定のAIPS12に関して説明する。例示したAIPS12は単なる例であり,本発明は本質的に,種々の周波数の誘導電力を供給できる任意のAIPSによって実現できる。
【0020】
例示実施例において,AIPS12は一般に周波数制御器20及びタンク回路48を含む。周波数制御器20はタンク回路48に電力を印加して,電磁誘導電力を発生させる。例示実施例の周波数制御器20は一般に,マイクロコントローラ40と,発振器42と,駆動器44と,インバータ46と,を含む。マイクロコントローラ40は,PIC18LF1320のようなマイクロコントローラであってもよいし,よりはん用のマイクロプロセッサであってもよい。発振器42及び駆動器44は個別部品であってもよいし,マイクロコントローラ40に組み込んでもよい。例えば図2に示す実施例では,発振器42はマイクロコントローラ40内のモジュールである。周波数制御器20はまた,マイクロコントローラ40に低電圧電力を供給する低電圧電力供給装置26と,駆動器44と,も含んでよい。この実施例では,周波数制御器20の種々の部品が,マイクロコントローラ40が指示する周波数でタンク回路48を集合的に駆動する。より詳しくは,マイクロコントローラ40が発振器42のタイミングを設定する。ある動作モードでは,マイクロコントローラ40は電流検出器16からの入力によって動作周波数を設定してもよい。次に発振器42は,マイクロコントローラ40が設定した周波数で駆動器44を稼動させる。駆動器44は,インバータ46内のスイッチ47a〜47bを動作させるために必要な信号を供給する。その結果,インバータ46はDC(直流)電源50からタンク回路48へAC(交流)電力を供給する。
【0021】
例示実施例において,電流検出器16はタンク回路48に配置された1次コイルを有する電流変成器であって,2次コイルはマイクロコントローラ40に接続されている。AIPSは,マイクロコントローラ40に電流変成器出力を供給する前に電流変成器出力を調整する調整(conditioning)回路28を含んでもよい。例示実施例では遠隔デバイスの反射インピーダンスを検出するために電流変成器を含んでいるが,AIPS12は本質的に,遠隔デバイス14からの反射インピーダンスに関する情報を提供できる任意代替種別の検出器を含んでもよい。更に,例示実施例の電流検出器16はタンク回路に配置されているが,電流検出器(又は別の反射インピーダンス検出器)は本質的に,遠隔デバイスに共振があるかないかを示す示度を与えることができる任意の位置に配置してよい。
【0022】
例示実施例において,AIPSは,多数の遠隔デバイス14の動作パラメータに関する情報を記憶できる,参照テーブル24又は別のメモリデバイスを更に含む。記憶された情報を用いて,AIPS12はより効率的に電力を遠隔デバイス14に供給し,より簡単に障害状態を認識できる。いくつかの応用では,AIPS12は遠隔デバイス14の特定の集合と共に用いるように意図してもよい。これらの応用では,参照テーブル24は,遠隔デバイス14毎に一意の共振周波数(又は一意周波数パターン)と,最大最小動作周波数及び最大最小電力のような所望の関連情報集合と,を含む。しかし参照テーブル24は,遠隔デバイス14を稼動させるうえでAIPS12に有用な任意の情報を本質的に含むことができる。例えば,遠隔デバイス14と無線通信を設定したい応用では,参照テーブル24は遠隔デバイス14の無線通信プロトコルに関する情報を含んでもよい。
【0023】
タンク回路48は一般に1次コイル18及びコンデンサ52を含む。コンデンサ52の容量は,1次コイル18のインピーダンスを想定する動作パラメータと釣り合うように選択してもよい。タンク回路48は,直列共振タンク回路(図示したもの)又は並列共振タンク回路(図示していない)のいずれかであってよい。本発明は,米国特許第6,825,620号に示されるAIPSに組み込んでも良く,ここで上述のとおり該特許を参照する。別の例として本発明は,Baarmanの米国特許出願公開第2004/130916A1号,"Adapted Inductive Power Supply"(適応誘導電力供給装置),2004年7月8日公開(米国特許出願第10/689,499号,10月20日提出)に示されたAIPSに組み込んでもよく,ここに該特許を参照する。更に, Baarmanの米国特許出願公開第2004/130915A1号,"Adapted Inductive Power Supply with Communication"(通信機能を有する適応誘導電力供給装置),2004年7月8日公開(米国特許出願第10/689,148号,10月20日,提出)に示されたAIPSのような,遠隔デバイスと無線通信を設定できるAIPSに関係して本発明を用いることが望ましく,ここに該特許を参照する。
【0024】
II. 遠隔デバイス
本発明は,種々の設計及び構造の広範な遠隔デバイスに用いることを意図したものである。これら種々の遠隔デバイスは種々の周波数の電力を必要とし,異なる電流要求条件を有することが想定される。
【0025】
いくつかの応用では,遠隔デバイスは一意共振周波数又は一意共振周波数パターンを本質的に含んでよい。例えば特定の種類の遠隔デバイスは,195kHzの共振周波数を含んでよい。AIPSによって識別するほかの遠隔デバイスがどれも195kHzの共振周波数を含んでいないとき,この種類の遠隔デバイスの識別周波数として195kHzを用いることができる。反対に,識別する遠隔デバイス集合の中で一意の共振周波数を遠隔デバイスが含まないときは,該遠隔デバイスを識別するために一意の共振周波数パターンの存在を利用してもよい。例えばある遠隔デバイスが195kHzに一つの共振周波数,そして215kHzに別の共振周波数を有してもよい。たとえ別の遠隔デバイスが195kHz又は215kHzの共振周波数を有していても,一種類の遠隔デバイスにその二つの周波数の組合せがあれば,その種類の遠隔デバイスを一意に識別するのに十分である。二つの共振周波数では,ある種類の遠隔デバイスを一意に識別するのに十分でないときは,一意の識別周波数パターンが現れるまで更に多くの共振周波数を考慮することができる。
【0026】
開示のために,固有識別周波数を有する遠隔デバイス14の一実施例を図2に示す。図2の実施例では,遠隔デバイス14は一般に,AIPS12から電力を受電する2次コイル22と,ブリッジ30(又はAC電力をDC電力に変換する別の整流器)と,充電回路32と,電池34と,主回路36と,を含む。ブリッジ30は2次コイル22に発生したAC電力をDC電力に変換する。DC電力は本実施例では充電回路32を稼動させるために必要である。充電回路は周知であり,種々の再充電可能電子デバイスと共に広く用いられる。所望のときは,充電回路32は電池34を充電,及び/又は遠隔デバイス14に電力を供給(遠隔デバイス14が起動しているとき)するように構成してもよい。充電及び/又は電子デバイスに電力を供給できる充電回路は周知であり,したがって詳細には説明しない。いくつかの応用では,充電回路32は主回路36の一部である。別の応用では,充電回路32は別個の回路であり,所望のときはAIPS12が制御してもよい。「主回路」という用語は,遠隔デバイス14を稼動させる回路をおおまかに指すために用いられる。
【0027】
例示実施例は電池駆動遠隔デバイスに関して説明しているが,本発明は,電池34及び充電回路32を削除し,例えば変成器又は(ブリッジ30のような)整流器を含む適切な電力調整回路を介して2次コイル22を主回路36に接続することによって遠隔デバイスに直接電力供給するために用いてもよい。
【0028】
別の実施例では,遠隔デバイスは,所望の識別周波数の共振を与える1又は複数の識別コンデンサを備えてもよい。この実施例はすべての遠隔デバイスに用いることができるが,固有識別周波数又は固有識別周波数パターンを有しない遠隔デバイスに恐らく最も有効である。図3Aは,識別コンデンサ38’を備える例示遠隔デバイス14’の回路図である。図3Aに示すとおり,識別コンデンサ38’は2次コイル22’と並列に接続される。識別コンデンサ38’は,識別周波数で共振を起こすように選択された容量を有する。この実施例では,充電回路32’及び/又は主回路36’が識別コンデンサ38’を隠ぺいして,AIPS12が識別コンデンサ38’の存在を認識することが困難又は不可能にすることができる。したがって本実施例では,識別コンデンサ38’が共振を起こし,その共振が反射インピーダンスを介してAIPS12に搬送されるのに十分な時間,充電回路32’及び/又は主回路36’が電力を受電することを妨げる負荷有効化遅延回路54’を遠隔デバイス14’が含む。負荷有効化遅延回路54’は,十分な時間が過ぎた後にだけブリッジ30’を充電回路32’に接続する簡単な時間制御スイッチ回路を含んでよい。この実施例は,既に充電回路を含む遠隔デバイスに本発明を組み込むのに特によく適合する。図4は,充電回路をまだ含んでいない遠隔デバイス又は有効(enable)入力を有するマイクロプロセッサを備えた充電回路を含む遠隔デバイスに本発明を組み込む際に用いることを主に意図した代替実施例を示す。この実施例では,負荷有効化遅延回路54’’’は充電回路32’’’のマイクロプロセッサの「有効」入力に接続されている。この実施例では,負荷有効化遅延回路54’’’は,識別コンデンサ38’’’が共振を起こしたかどうかをAIPS12が認識するために十分な時間が過ぎるまで,充電回路32’’’を有効にしない。二つの特定実施例に関して説明したが,負荷有効化遅延回路は本質的に,AIPS12が共振が起こったかどうかを認識するために十分長く,充電回路及び/又は主回路が識別コンデンサを隠ぺいするのを妨げることができる任意の回路であってよい。
【0029】
図3Aの実施例では,遠隔デバイス14’は一つの識別コンデンサ38’だけ含んでいる。図3Bの実施例では,遠隔デバイス14’’は負荷と並列に接続され,それぞれ異なる周波数の共振を与える3個の識別コンデンサ38a〜38cを備えている。類似して,所望のときは更に多くの追加共振周波数を設定するために,追加の識別コンデンサを備えてもよい。例えば図5は,4個のコンデンサの異なる組合せを用いて与えることができる共振周波数の表である。C1−C4と記された最初の4列は,4個の異なるコンデンサの容量(単位μF)を列挙している。この例では,各コンデンサは8.2μF,6.8μF,3.3μF及び2.2μFである。この表に掲げたコンデンサは単に例であって,本発明の範囲を制限するものではない。C1−C4と記された2番目の4列は,特定の組合せに含まれるコンデンサを特定するものであって,コンデンサが存在することを“1”を用いて表し,コンデンサが存在しないことを“0”で表している。「容量」と記された列は,特定の組合せに含まれるコンデンサの組合せ容量を示す。「周波数」と記された列は,最後の列に指定されるとおりインダクタンスが0.000000309のときの,各コンデンサの組合せによる共振周波数を示す。例えば,4行目はC1及びC2に“1”を含んでおり,8.2μFと6.8μFが組み合わされて3.7173μFとなり,約148.5kHzの共振周波数となる。上記2個のコンデンサの組合せ容量によって生成される共振周波数に加えて,識別コンデンサはまた,当該組合せに含まれる各コンデンサの個々の容量に対応する共振を起こす。したがって,4行目の例について続ければ,組み合わせたコンデンサはまた,約100kHz(8.2μFコンデンサの共振周波数)と,約109.9kHz(6.8μFコンデンサの共振周波数)と,に共振周波数を有する。表に示したとおり,8.2μFコンデンサと6.8μFコンデンサとの組合せは,約100kHz,約109.9kHz及び約148.5kHzの識別周波数パターンを与える。
【0030】
上述の特定の遠隔デバイスは単に例であって,本発明は本質的に,識別周波数を有し,AIPSの制限内で誘導で電力を受電できる任意の遠隔デバイスと共に用いるのによく適している。
【0031】
III. 動作
システム10の一般的動作を図6に示す。この実施例では,システム10は多数の遠隔デバイスのうち一つを認識するように構成されている。遠隔デバイスはそれぞれ,上記多数の遠隔デバイス内で一意の一つの共振周波数を含んでいる。したがってAIPS12は,選択可能な識別周波数のうち一つで共振を起こす遠隔デバイスが現れるまで,選択可能な識別周波数それぞれを巡回することによって,遠隔デバイスを一意に識別できる。
【0032】
例示実施例において,AIPS12は多数の選択可能識別周波数を規定するデータを有する。例えば,選択可能な識別周波数のリスト又はテーブルは,マイクロコントローラ40のオンボードメモリに記憶してもよい。識別処理は,識別周波数をリスト内の第1周波数に設定するステップ100で始まる。そしてAIPS12は識別周波数の電力をタンク回路48に印加する。AIPS12は,遅延期間の間タンク回路48に電力を印加し続ける(ステップ104)。遅延期間は,遠隔デバイス14が共振を起こし,タンク回路48に十分な反射インピーダンスを発生させるのに十分な時間を与えるように選択される。遅延期間は,識別処理を通じて一定の固定期間であってもよい。遅延期間は応用毎に異なってもよいが,例示実施例では約6μsである。いくつかの応用では,十分な遅延はシステムに内在していることがあり,したがって別個に意図的な遅延手段を設ける必要はないことがある。遠隔デバイス14が識別周波数の共振周波数を含むときは,遠隔デバイス14は電流を発生させ,この電流発生の増加は反射インピーダンスによってタンク回路48に反映される。遅延(ステップ104)が完了した後,マイクロコントローラ40は電流検出器16からの入力を取得する(ステップ106)。上述のとおり,電流検出器16の出力は調整回路28を用いて調整してもよい。マイクロコントローラ40は,電流検出器16からの入力を評価して,遠隔デバイス14が現在の識別周波数に共振周波数を有するかどうかを判定する。この実施例では,電流検出器の示度がしきい値以上であるとき,マイクロコントローラ40は共振周波数が存在すると結論する。通常,特定応用のしきい値は当該応用のノイズフロア値と追加の不感帯の合計値以上の値である。不感帯の量は,応用毎に異なることがある。
【0033】
遠隔デバイス14が現在の識別周波数に共振周波数を含まないと判定したときは,制御器20はタンク回路48に次の識別周波数を印加する準備を行う。より詳細には,マイクロコントローラ40は比較的短い遅延期間に入る(ステップ114)。この遅延期間は,遠隔デバイス14が沈静化して遠隔デバイス14内のエネルギが十分に消えるのに十分な時間を与えるように選択される。遅延時間は,識別処理を通じて一定の固定期間であってもよい。沈静化遅延時間は応用毎に異なるが,例示実施例では約5μsである。いくつかの応用では,十分な遅延がシステムに内在していることがあり,したがって別個に意図的な沈静化遅延手段を設ける必要がないことがある。この遅延の後,マイクロコントローラ40は識別周波数を選択可能な識別周波数のリストにある次の周波数に設定する。そしてこの処理は,新規識別周波数の電力をタンク回路48に印加するステップ102から繰り返す。
【0034】
遠隔デバイス14が現在の識別周波数に共振周波数を含むとマイクロコントローラ40が判定したとき,マイクロコントローラ40は参照テーブル24から動作パラメータを取得し(ステップ110),遠隔デバイス識別処理を終了する。そしてマイクロコントローラ40は,参照テーブル24から取得した動作パラメータを用いて遠隔デバイス14を稼動させる(ステップ112)。参照テーブル24は想定される動作周波数を含むことができ,取得した動作周波数の電力をタンク回路48に印加することによって,動作を開始できる。またマイクロコントローラ40は,参照テーブルから取得した最大最小電流発生値を用いて障害状態の存在を判定することができる。例えば,動作中に電流検出器が検出した実際の電流発生値が最大電流発生値を超えるか,最小電流発生値を下回ったとき,マイクロコントローラ40は障害状態が存在すると結論する。障害状態に遭遇したとき,救済措置をとるようにマイクロコントローラ40をプログラムしてもよい。例えば,障害状態が生じたときシステムを停止するようにマイクロコントローラ40をプログラムしてもよい。あるいは,マイクロコントローラ40は,識別処理を再開して1次コイル18のそばに別の遠隔デバイス40が置かれているかどうか判定してもよい。
【0035】
上述の実施例では,マイクロコントローラ40は遠隔デバイスを識別しようとして,選択可能な識別周波数のリストを巡回する。リストを巡回する代わりに,特定のステップ値を用いてある範囲の周波数を単に巡回するようにAIPS12をプログラムしてもよい。例えば,100kHzから300kHzまで5kHz刻みで実行する。
【0036】
別の態様において,本発明は遠隔デバイスの周波数識別を用いるための標準を確立する機構を提供する。この実施例では,遠隔デバイスの種類及び別の識別特徴毎に一意の識別周波数を指定してもよい。例えばこの標準は,デバイスの種類(例えば携帯電話機,パーソナルデジタルアシスタント,デジタル音楽再生機)毎,及び/又は製造事業者(例えば会社名)毎に異なる識別周波数を指定してもよい。製造事業者毎に一意の識別周波数が指定されている応用では,モデル番号及び製品種別を指定するために,製造事業者が付加識別周波数を追加することを許可してもよい。
【0037】
標準を確立する代替方法では,特定のモデル種別ではなく遠隔デバイスのクラスによって識別周波数を設定してもよい。例えば所定の動作パラメータ集合内で動作するすべてのデバイスに同一識別周波数(又は識別周波数パターン)を指定してもよい。この代替方法は,異なる種類の多数の遠隔デバイスが,参照テーブルの1レコードに設定された動作パラメータに従って動作できる応用において用いるのに特によく適している。
【0038】
別の実施例によれば,誘導電力供給装置によって誘導電力供給又は充電ができるデバイスに,それぞれ少なくとも一つの共通共振周波数及び少なくとも一つの一意周波数が与えられる。例えば上記実施例及び図面によれば,AIPS12によって充電できるデバイスは,それぞれ8.2μFコンデンサを備え,該コンデンサが100kHzの1次識別共振周波数をデバイスに与える。AIPS12は約100kHzのパルスを繰り返し送出する。100kHzの共振周波数を有する遠隔デバイス14がAIPS12が発生する電界内に置かれたときは,AIPSは遠隔デバイス14の種類を識別するために,追加周波数の操作に進む。一実施例によれば,個別電池種別毎の充電回路が第2一意共振周波数すなわち2次識別周波数を有する。例えばリチウムイオン電池はそれぞれ109.4kHzの2次共振周波数を与えるコンデンサ又は別の回路を含み,ニッケルカドミウム電池はそれぞれ148.5kHzの2次共振周波数を与えるコンデンサ又は別の回路を備える。別の実施例によれば,各電池は該電池の個別製造事業者又は供給事業者を識別するために用いる3次共振周波数を与えるコンデンサ又は別の回路を更に備える。例えば,ベンダXによって製造又は販売された誘導充電リチウムイオン電池はそれぞれ,100kHzの1次識別共振周波数と,109.4kHzの2次識別共振周波数と,130kHzの3次識別共振周波数と,を与える1又は複数のコンデンサ又は別の回路を備える。ベンダYによって製造又は販売されたリチウムイオン電池はそれぞれ,100kHzの1次識別共振周波数と,109.4kHzの2次識別共振周波数と,140kHzの3次識別共振周波数と,を与える1又は複数のコンデンサ又は別の回路を備える。別の実施例によれば,例えばベンダX又はベンダYによって販売された別の種類の誘導充電リチウムイオン電池を区別するために,付加識別共振周波数を追加してもよい。このような識別によってAIPSは上記の種々の負荷種別の要求条件だけでなく,それら負荷種別の個別製造事業者又は供給事業者の特定の要求条件によって,充電又は電力供給の制御を調整することができる。このような識別戦略及びプロトコルは,再充電可能電池で駆動される誘導性負荷を識別するだけでなく,直接誘導電力供給される負荷を識別するために用いることができることは明白である。
【0039】
上記の標準は,ある範囲の識別周波数の指定に依存する。識別周波数間の間隔は,識別処理の際に共振の存在を検出するAIPSの解像度に依存して,応用毎に異なってもよい。例えば5kHzの周波数差を正確に認識するのに十分な解像度を有するAIPSは,識別周波数間の分離を5kHzとしてもよい(例えば250kHzと255kHz)。低解像度のAIPSは,識別周波数間により大きな分離を必要とすることがある(例えば250kHzと260kHz)。
【0040】
上記の説明は本発明の現在の実施例に関するものである。添付の請求項に規定された本発明の精神及びより広い態様から逸脱することなく,種々の代替物及び変更物を作ることができ,それらは均等論を含む特許法の原理に従って解釈されるものとする。例えば,「一つの」,「この」,又は「前記の」などを用いた単数形のどの請求要素も,該要素を単数に限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電力供給装置を制御する方法であって,
遠隔デバイスと識別周波数を関係付ける関係付けステップであって,該識別周波数は前記遠隔デバイスが共振周波数を有する少なくとも一つの周波数を含むステップと,
前記遠隔デバイスへ前記識別周波数の誘導場を印加する印加ステップと,
前記遠隔デバイスが前記の印加した識別周波数の共振周波数を実質的に有するかどうかを判定する判定ステップと,
前記判定ステップの結果によって前記誘導電力供給装置を稼動させる稼動ステップと,
を有する方法。
【請求項2】
前記稼動ステップは,
前記遠隔デバイスが実質的に前記の印加した識別周波数に共振周波数を有するとき,前記誘導電力供給装置に関係するメモリから前記遠隔デバイス用の少なくとも一つのパラメータを取得する取得ステップと,
前記取得ステップのあと,前記パラメータによって前記遠隔デバイスへ電力を供給するように前記誘導電力供給装置を稼動させるステップと,
として更に規定される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記識別周波数と関係付けられた前記遠隔デバイスの少なくとも一つのパラメータをメモリに記憶する記憶ステップを更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記関係付けステップは,多数の異なる識別周波数を多数の異なる遠隔デバイスと関係付けるステップとして更に規定され,
前記印加ステップ及び前記判定ステップは,前記遠隔デバイスが実質的に前記の印加した識別周波数に共振周波数を有することが判定されるまで,前記多数の異なる識別周波数毎に繰り返す請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記記憶ステップは,前記多数の異なる遠隔デバイス毎に少なくとも一つのパラメータをメモリに記憶するステップとして更に規定される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記多数の異なる遠隔デバイスがそれぞれ所望の一意周波数の共振周波数を含むように動的に設定するステップであって,前記識別周波数は前記共振周波数を含み,それによって前記多数の異なる遠隔デバイスを対応する識別周波数によって一意に識別できるステップを更に含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記多数の異なる遠隔デバイスがそれぞれ多数の共振周波数を含むように動的に設定するステップであって,前記遠隔デバイスそれぞれに関係付けられた識別周波数は,該遠隔デバイスに含まれる前記多数の共振周波数を含み,それによって前記遠隔デバイスそれぞれを前記多数の共振周波数によって一意に識別できるステップを更に含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記多数の異なる遠隔デバイスをそれぞれ動的に設定する前記ステップは,前記多数の異なる遠隔デバイスそれぞれにコンデンサを組み込んで,該コンデンサの容量値に対応する共振周波数を与えるステップを含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
誘導電力供給装置を稼動させる方法であって,
多数の識別プロファイル及び該識別プロファイルそれぞれに関係付けられた少なくとも一つの動作パラメータを,前記誘導電力供給装置に関係するメモリに記憶するステップと,
1又は複数の周波数の誘導電力を遠隔デバイスに印加して,誘導場内に含まれる前記遠隔デバイスの識別プロファイルを判定する印加ステップと,
前記の判定した識別プロファイルと前記の記憶した識別プロファイルとを比較して,前記遠隔デバイスの識別情報を判定するステップと,
前記遠隔デバイスの識別情報を判定したとき,前記メモリから動作パラメータを取得するステップと,
前記の取得した動作パラメータによって前記誘導電力供給装置を稼動させるステップと,
を有する方法。
【請求項10】
前記遠隔デバイスの固有共振周波数プロファイルを判定して,前記遠隔デバイスの識別情報を判定するステップを更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記遠隔デバイスに識別プロファイルを供給するステップを更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記遠隔デバイスに識別プロファイルを供給する前記ステップは,前記遠隔デバイスに識別コンデンサを組み込むステップを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記遠隔デバイスに識別プロファイルを供給する前記ステップは,前記遠隔デバイスに多数の識別コンデンサを組み込むステップを含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記識別プロファイルはそれぞれ1又は複数の共振周波数を含む請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記印加ステップは,
前記記憶した識別プロファイルと関係付けられた前記1又は複数の周波数の電力パルスを印加するステップと,
タンク回路内の電流を検出して前記遠隔デバイスが前記の印加した1又は複数の周波数の共振周波数を有しているかどうかを判定するステップと,
を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
誘導電力供給装置を安全に制御する方法であって,
前記誘導電力供給装置によって電力を得る複数の遠隔デバイスの共通識別プロファイルを決定するステップであって,該共通識別プロファイルは1又は複数の共振周波数含むステップと,
前記誘導電力供給装置によって電力を得る前記複数の遠隔デバイスにそれぞれ前記共通識別プロファイルを供給するステップと,
前記複数の遠隔デバイスの一つに前記共通識別プロファイルの前記1又は複数の共振周波数の誘導場を印加するステップと,
前記複数の遠隔デバイスの一つが前記共通識別プロファイルに対応する共振周波数プロファイルを有するかどうかを判定するステップと,
前記複数の遠隔デバイスの一つが前記共通識別プロファイルに対応する前記共振周波数プロファイルを有するとき,前記複数の遠隔デバイスの一つに電力を与えるように前記誘導電力供給装置を稼動させるステップと,
を有する方法。
【請求項17】
前記誘導電力供給装置によって電力を得る前記複数の遠隔デバイスにそれぞれ一意識別プロファイルを供給するステップと,
多数の一意識別プロファイル及び関係する動作パラメータを,前記誘導電力供給装置に関係するメモリに記憶するステップと,
前記複数の遠隔デバイスの一つが,前記共通識別プロファイルに対応する共振周波数プロファイルを有することが判定されたとき,前記多数の一意識別プロファイルに対応する1又は複数の共振周波数の誘導場を前記複数の遠隔デバイスの一つに印加するステップと,
前記複数の遠隔デバイスの一つが前記多数の一意識別プロファイルのうち一つに対応する共振周波数プロファイルを有するかどうかを判定するステップと,
前記複数の遠隔デバイスの一つが前記多数の一意識別プロファイルのうち一つに対応することが判定されたとき,前記メモリから前記関係する動作パラメータを取得するステップと,
前記の取得ステップに続いて,前記の取得した動作パラメータによって前記複数の遠隔デバイスの一つに電力を与えるように前記誘導電力供給装置を稼動させるステップと,
を更に有する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
誘導電力供給装置であって,
誘導場発生回路と,
前記誘導場発生回路に電気的に接続され,多数の異なる周波数で前記誘導場発生回路を稼動させることができる周波数制御回路と,
遠隔デバイスの反射インピーダンスを示す前記誘導電力供給装置内の電力特性を検出する反射インピーダンス検出回路と,
前記反射インピーダンス検出回路の出力によって前記遠隔デバイスの識別プロファイルを判定する識別回路と,
前記遠隔デバイスの識別プロファイルによって,前記遠隔デバイスに電力を供給する電源制御回路と,
を備える誘導電力供給装置。
【請求項19】
前記誘導場発生回路は,1次コイルを有するタンク回路を含む請求項18に記載の誘導電力供給装置。
【請求項20】
前記周波数制御回路は,発振器及び駆動器を含む請求項19に記載の誘導電力供給装置。
【請求項21】
前記反射インピーダンス検出回路は,前記タンク回路に接続された電流検出変成器を含む請求項20に記載の誘導電力供給装置。
【請求項22】
前記識別回路はマイクロコントローラ及びメモリを含み,該メモリは多数の異なる遠隔デバイスの多数の識別プロファイルと,多数の動作パラメータとを記憶し,該多数の動作パラメータはそれぞれ前記多数の識別プロファイルの1又は複数と関係付けられている請求項21に記載の誘導電力供給装置。
【請求項23】
誘導電力供給装置と遠隔デバイスとの組合せであって,
1又は複数の共振周波数を含む識別プロファイルを有する遠隔デバイスと,
誘導電力供給装置であって,
駆動器と,
1次コイルを有するタンク回路と,
前記遠隔デバイスの反射インピーダンスを示す前記タンク回路内の電力特性を検出するようになっている前記タンク回路内の検出器と,
前記検出器の出力によって前記遠隔デバイスの前記識別プロファイルを判定する識別回路と,
前記遠隔デバイスの前記識別プロファイルによって,前記誘導電力供給装置の運用を制御する制御回路と,
を備える誘導電力供給装置と
を備える誘導電力供給装置と遠隔デバイスとの組合せ。
【請求項24】
前記誘導電力供給装置は,少なくとも一つの識別プロファイルと,該識別プロファイルと関係する少なくとも一つの動作パラメータとを記憶するメモリを含む請求項23に記載の誘導電力供給装置と遠隔デバイスとの組合せ。
【請求項25】
前記遠隔デバイスは,識別コンデンサを含む請求項23に記載の誘導電力供給装置と遠隔デバイスとの組合せ。
【請求項26】
前記識別プロファイルは,前記遠隔デバイスの固有共振周波数を含む請求項23に記載の誘導電力供給装置と遠隔デバイスとの組合せ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−515425(P2010−515425A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544472(P2009−544472)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/IB2007/055339
【国際公開番号】WO2008/081405
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(302070822)アクセス ビジネス グループ インターナショナル リミテッド ライアビリティ カンパニー (122)
【Fターム(参考)】