説明

デュアル集積回路カードシステム

【課題】サービスプロバイダーと携帯電話事業者との関係を問わず、SIMの能力及び機能の提供を受けることができ、かつ、両者の相互関係を保ちながらセキュリティ等を管理できる、デュアルカードシステムを提供すること。
【解決手段】デュアルカードシステムは、第1の基板21、及び第1の基板21の上面に第1の複数の接点25を備えた第1の集積回路(IC)を有する第1のICチップカード20と、第2の基板37、及び第2の基板37の上面に第2の複数の接点25を備えた第2のICを有する第2のICチップカード30とを含む。第2の基板37は、該第1の複数の接点25とそれぞれ電気的に結合するために、その底面に第1の複数のピン35を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムまたは金融取引識別システムに適用されるデュアル集積回路カードのユーザ識別モジュールに関する。さらに詳細には、本発明は集積回路チップカード用の加入者識別モジュール(SIM)アプリケーションに関し、無線通信のアドオンアプリケーションを増加できる。さらに本発明は、集積回路チップカード用の加入者識別モジュールアプリケーションとスマートカード用の識別モジュールアプリケーションとを同時に処理することもできる。本発明は、利便性を高めるために金融信用取引に広く適用される。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スマートカードは広く二つの分野に適用されている。一つは、無線通信における加入者識別モジュール(SIM)であり、もう一つは金融カード、銀行キャッシュ(ATM)カードまたは健康保険カード等の識別システムである。SIMカードはモバイル通信装置で使用される。GSMシステムまたはCDMAシステム等の無線ネットワークシステムを使用する人は、関連する通信サービス会社が発行するSIMカードを有している。SIMカードには、ユーザの電話番号、電話帳、通話制限、暗証番号(PIN)、パーソナル解除キー(PUK)等を含むユーザ情報が記憶される。さらに、ユーザが情報を送信するためにGSM通信網に入ることができるように、GSM通信システムは、通信のために真正SIMカードを採用している。
【0003】
一般的に、SIMカードはいわゆる差込式サイズのカードであり、サイズは縦約25mm、横15mmである。実際には銅部分のみが接続に使用される。SIMカードが携帯電話に接続されるときには、その両方ともが少なくとも5つの接点を有する。SIMカードは、CPU、RAM、ROM、EEPROMまたはフラッシュを含む5つのパーツ、及びシリアル通信装置から構成される。SIMカードに記憶される情報には、(1)GSMシステムにおける制御チャネル情報、(2)国際移動電話加入者識別番号(IMSI)及び移動電話加入者仮識別番号(TMSI)、(3)ユーザキー及び秘密アルゴリズム、(4)暗証番号(PIN)及びパーソナル解除キー(PUK)、及び(5)SIMツールキットが含まれる。
【0004】
携帯電話業界において、GSM用のSIM、WCDMA用のUSIM、CDMA2000用のRUIM、及びPHSネットワーク用のPIM等のスマートカードの使用が広がるのに伴い、セキュリティサービスを提供するために携帯電話に備えられているスマートカード(以後UICC、汎用ICカードと呼ばれるSIM/USIM/RUIM/PIM)を活用することによって、多岐に渡るアプリケーションが開発されてきた。携帯電話事業者は、携帯電話事業者が加入者に対して発行したスマートカードに記憶されているキーを認証することにより携帯電話サービスの使用の安全を保証する。さらに、携帯電話事業者は、銀行または他のサービスプロバイダによって提供されるキーをSIMカードに記憶することにより、モバイルバンキング、モバイル株取引サービスのようなプレミアムサービスも提供する。キーは、やはりSIMカード自体に備えられるSIMツールキット(STK)によって作成されるアプリケーションインタフェースを通して操作される。WAP(ワイヤレスアプリケーションプロトコル)電話が利用できたとき、SIM自体(SWIMカード)に、または携帯電話の別のカードスロットに差し込むことができる別のスタンドアロンWIMカードに、証明書及びPKIアルゴリズムを記憶することによってWAPの安全を確保するために、WIM(ワイヤレスアイデンティティモジュール)もSIMカードベンダによって開発された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話のキーパッド及び表示画面は、優れたユーザインタフェースで差し込まれたスマートカードを容易にし、サービスプロバイダに対する遠隔アクセスの移動性がサービスの移動性という目標をさらに達成する。サービス移動性を達成するために、銀行、クレジットカード発行会社、取引カード発行会社、証明書発行者、株式ブローカのようなサービスプロバイダは、熱心に携帯電話事業者と協力し、彼らの職業に該当するサービスを提供するために機能が強化されたSIMカードを発行する。しかしながら、SIMの能力及び機能性のプロビジョニング及び管理は携帯電話事業者の管理下にあるため、それは合意した関係者のみが参画可能な閉鎖的なシステムを形成する。さらに、サービスプロバイダと携帯電話事業者は、相互不信の関係にあり、セキュリティ及び支払い方法の管理に関して、ともに同じような検討課題を抱えている。これが携帯電話セキュリティサービスの発展の主要な障害になっている。従って、本発明は上記の障害を解決することを目的とする。
【0006】
一方で、従来のスマートカードは、縦84mm、横54mmのISOサイズのカードであり、一般的には、金融カード、クレジットカード、銀行キャッシュ(ATM)カード等の金融取引システム、または健康保険カード等の識別システムで適用される。いくつかのスマートカードは、コンタクトレスカードと呼ばれるコンタクトレスアプリケーションを提供するためにプラスチックカードの内部に取り囲まれたアンテナを含み、通常は、道路通行料自動徴収システム(ETC)及び地下鉄料金徴収等の入場管理または移動支払いシステムに適用される。ユーザが、料金所通過時に停止して、遅れることなく、逆方向会計業務システムによって自動的に料金が請求されるように、道路通行料自動徴収システム(ETC)が採用する自動車両識別(AVI)、自動車種区分(AVC)及びビデオ施行システム(VES)等の順方向通信装置は、車内に配置される車載装置(OBU)を検出し、走査し、また逆の場合も同じである。
【0007】
図1は、従来の技術によるICチップカード10を示す図である。ICチップカード10はICチップ14を有し、ICチップ14は基板11の表面に接着されるか、あるいは基板11の中に埋め込まれる。基板11は、携帯機器の中に容易にICチップカード10を差し込むために斜めになった隅部13を含む。
【0008】
ICチップカード10は8つの接点15を有するが、6つの接点15のみが使用され、導線を通して携帯機器に接続される。6つの接点15は、それぞれVCC(作業電圧)、RST(リセット)、CLK(クロック)、GND(接地)、VPP(プログラミング電圧)、及びI/O(データ入力/出力)である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本段落では、本発明の特徴の幾つかを抜粋し、それらをまとめている。他の特徴は、以下の段落において開示されている。本発明には、添付の請求項の精神及び範囲内に含まれる種々の変更や類似の構成を含むことが意図されている。
【0010】
本発明の態様によれば、デュアルカードシステムは、第1の基板、及び第1の基板の上面に第1の複数の接点を備えた第1の集積回路(IC)を有する第1のカードと、第2の基板、及び第2の基板の上面に第2の複数の接点を備えた第2のICを有する第2のカードとを含む。第2の基板は、第1の複数の接点とそれぞれ電気的に結合するために、その底面に第1の複数のピンを備える。
【0011】
好ましくは、第1のカード及び第2のカードのいずれかは、加入者識別モジュール(SIM)カード、汎用SIM(USIM)カード、加入者情報モジュール(UIM)、及びリムーバブル加入者情報モジュール(RUIM)カードを含む。
【0012】
好ましくは、第1のカードは、加入者識別モジュール(SIM)カード、汎用SIM(USIM)カード、加入者情報モジュール(UIM)カード、及びリムーバブル加入者情報モジュール(RUIM)カードを含む一方、第2のカードは、WIM(WAP識別モジュール)カードまたは銀行カードのようなセキュリティ機能を含む。
【0013】
好ましくは、第1のカード及び第2のカードのいずれかは、クレジットカード、銀行キャッシュ(ATM)カード、イージーカード、デビットカード及びプリペイドカードを含む。
【0014】
好ましくは、第1の基板は、第1のICの開口部以外の場所に開口部を有する。
【0015】
好ましくは、開口部は、その周辺に沿って複数の突起を備える。
【0016】
好ましくは、第2のカードは係合部分をさらに含む。
【0017】
好ましくは、係合部分は、複数の突起と相応して係合するために複数の切欠きをさらに含む。
【0018】
好ましくは、開口部は、その周辺に沿って複数の切欠きを備える。
【0019】
好ましくは、第2のカードは、係合部分をさらに含む。
【0020】
好ましくは、係合部分は、複数の切欠きと相応して係合するためにさらに複数の突起を含む。
【0021】
好ましくは、第2のカードに着脱自在に結合するアンテナをさらに含む。
【0022】
好ましくは、第1のカードと第2のカードが互いに係合する一方で、アンテナは第1のカードと第2のカードの間に挟まれる端部を有する。
【0023】
好ましくは、アンテナは、積層誘導コイル及び平面アンテナを含む。
【0024】
好ましくは、第1の複数は、第2の複数未満である。
【0025】
好ましくは、第1の複数は、第2の複数の半分である。
【0026】
好ましくは、このシステムは、携帯電話及びパーソナルデジタルアシスタント(PDA)に適用できる。
【0027】
好ましくは、このシステムは、現金自動預入支払機(ATM)及び販売時点情報管理(POS)カードリーダに適用できる。
【0028】
本発明の上述の目的及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を吟味することにより、当業者にはより良く理解されよう。
【発明の効果】
【0029】
第1のカードが第2のカードと接触すると、第2のICの情報を記憶し、制御できる。すなわち、第2のカードは第1のカードを制御できる。さらには、本発明は集積回路チップカード用の加入者識別モジュール(SIM)アプリケーションに関し、無線通信のアドオンアプリケーションを増加できる。さらに本発明は、集積回路チップカード用の加入者識別モジュールアプリケーションとスマートカード用の識別モジュールアプリケーションとを同時に処理することもできる。本発明は、利便性を高めるために金融信用取引に広く適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、携帯電話またはパーソナルデジタルアシスタント(PDA)等の通信端末と、あるいはトランザクション端末、すなわち現金自動預入支払機(ATM)及び販売時点情報管理(POS)カードリーダとを使用するためのデュアル集積回路(IC)カードシステムを開示する。以下の記述は、前述のアプリケーションを説明することを目的とする。
【0031】
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態は、加入者識別モジュール(SIM)、汎用加入者識別モジュール(USIM)、加入者情報モジュール(UIM)またはリムーバブル加入者情報モジュール(RUIM)等に適用できる。本発明の特徴は、構造的に第1の基板と第2の基板とを含み、第1のICチップ及び第2のICチップがそれぞれその上に搭載されているという点である。第2のICチップは、第1のICチップカードの接点に結合する。第2のICチップは、アドオン機能を制御、記憶、及び実行するために利用される。第2のICチップは、追加購読及び発行後SIMツールキット(STK)アプリケーション等のアドオン機能、すなわちモバイルバンク、モバイル株取引等を実行するために、第1のICチップから携帯通信装置への応答信号を改良することができる。
【0032】
図2は、本発明に係る第1のICチップカードの図である。第1のICチップカード20は第1のICチップ24を有し、第1のICチップ24は複数の接点25を含む。前述の第1のICチップ24は、第1の基板21の表面に取り付けられるか、あるいは埋め込まれ、領域26の中に配置される。第1の基板21は、携帯通信装置の第1のICチップカード20のキャリヤまたはホルダーの中に正確に挿入を誘導するための切り取られた隅部23を含む。
【0033】
第1のICチップカード20が携帯通信装置の接続ピンと接触すると、第1のICチップカード20は、第1のICチップカード20に記憶される情報にアクセスできる。さらに、第1のICチップカード20は、第2の基板37上に配置される第2のICチップ34を収容するための開口部22を有する。第1の実施形態においては、第2のICチップ34を保持するために、開口部22の端縁に沿って形成される複数の突起42がある。さらに、突起42は、開口部22の上縁及び下縁に沿うように構成されるが、これに限定されない。突起42は、開口部22の左端縁及び右端縁に沿っても形成できよう。第1のICチップ24は8つの接点25を含むが、接点25の数は8つに制限されない。
【0034】
加入者識別モジュール(SIM)に加えて、本発明が汎用加入者識別モジュール(USIM)、加入者情報モジュール(UIM)またはリムーバブル加入者情報モジュール(RUIM)等にも活用されることは、当業者には理解されよう。
【0035】
この実施形態においては、第1の基板21は、クレジットカードのプラスチック材料と同様のプラスチック材料から作ることができる。第1の基板21の厚さは、好ましくは0.76mmと0.8mmの間の範囲内である。第1のICチップカード20のサイズ、材料及び形状は、加入者識別モジュール(SIM)カードの規格に準拠する。
【0036】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る第2のICチップカード30の前面を示す。第2のICチップカード30は、アンテナ40に結合する第2のICチップ34を有する第2の基板37を含む。アンテナ40の位置は、図3に図示したように配置できる。第2のICチップ34は、突出する隆起、つまりパッケージ32を有する。さらに突出する隆起、つまりパッケージ32の上縁または下縁のいずれかに溝44が別個に設けられ、第1のICチップカード20の開口部22上に配置された突起42と係合し、その結果第1のICチップカード20は第2のICチップカード30としっかりと接続できる。溝44と突起42の両方が互いに一致するように構成されることは理解されよう。従って、溝44は突出する隆起、つまりパッケージ32の上縁及び下縁で構成され、それらはまた突出する隆起、つまりパッケージ32の右縁及び左縁にも形成できよう。さらに突出する隆起、つまりパッケージ32のサイズは、実質的には開口部22のサイズと一致する。同様に、突出する隆起、つまりパッケージ32上の両方の溝44のサイズと位置、ならびに開口部22上の突起42のサイズと位置も互いと一致する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る第2のICチップカード30の背面を示す。複数の接続ピン41が、第2のICチップカード30の背面に含まれる。
【0037】
さらに、第2のICチップ34は、第2のICチップカード30の表面に取り付けられるか、あるいは埋め込まれたフリップカードであってもよい。第2のICチップカード30は、撓みやすいプリント回路基板または硬いプリント回路基板である。さらに、この実施形態では、フレキシブルプリント回路基板が採用される。第1の実施形態においては、第2のICチップ34は、積層基板(LCB)等の第2の基板37に取り付けられるか、あるいは埋め込まれる。第2のICチップカード30は、信号入出力(I/O)領域38を含む。信号I/O領域38は、携帯電話等の携帯機器に信号を送信するための第1のICチップ24との結合のためのワイヤを配置するために、複数のピン35及び複数のスルーホール36を含む。図3を参照すると、ピン35は「○」記号で示し、スルーホール36は「×」記号で示してある。例えば、信号I/O領域38は、8本のピン35及び14個のスルーホール36を含むが、本発明はこれらの数によって制限されない。
【0038】
さらに、第2のICチップ34は、高度な電話帳、ショートメッセージ等の情報を記憶するための、電気的に消去可能なPROM(EEPROM)またはフラッシュメモリ等のメモリも含む。
【0039】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る第1のICチップカード及び第2のICチップカード20の組み合わせの斜視上面図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る第1のICチップカード20及び第2のICチップカード30の組み合わせの図である。第1のチップカード20の開口部22の突起42が第2のICチップカード30の突出する隆起、つまりパッケージ32の溝44と位置合わせされると、第1のICチップカード20の第1のICチップ24は、第2のICチップカード30の信号I/O領域38と直接的にまたは間接的に接触することが可能であり、第1のICチップ24上の複数の接点25は、I/O接続を確立するために信号I/O領域38の中のピン35及びスルーホール36と接触することができる。接続ピン41は、モバイルサービスシステムと第2のICチップ34の間で通信するための接触インタフェースであり、同様に接触インタフェースはコンタクトレストレードサービスシステムと第2のICチップ34の間での通信用でもある。従って、図5に図示するような信号I/O領域38内のスルーホール36は、図6に示すように、第1のICチップ24の接点25にそれぞれリダイレクトされる。
【0040】
第1の実施形態においては、第1のICチップカード20はSIMであるが、第1のICチップカード20がUSIMカード、RUIMカードまたはPIMカードであってもよいことは、当業者には理解されよう。
【0041】
図7は、第1のICチップカード20及び第2のICチップカード30の組み合わせの斜視背面図を示す。第1のICチップカード20及び第2のICチップカード30は互いと直に接触している。信号I/O領域38は第1のICチップ24と直に接触し、第2のICチップ34は、複数のワイヤ39によって信号I/O領域38のピン35及びスルーホール36とそれぞれ電気的に接続されている。ワイヤ39は、第1のICチップカード20に電気的に結合し、携帯電話及びパーソナルデジタルアシスタント(PDA)等の携帯機器とさらに接続する。
【0042】
ワイヤ39の組み合わせ及び配置は、異なる状況により変更及び修正することが可能であり、本発明は、本明細書及び下記に開示される実施形態によって制限されるものではない。従って、図7では、ピン35、スルーホール36、及びワイヤ39の組み合わせは単なる例示であり、本発明を制限するものではない。第1の実施形態では、信号I/O領域38の中心部分の8本のピン35がそれぞれ左側及び右側の8個のスルーホール36に接続され、続いて、第2のICチップ34のピン35に接続される。従って、第1のICチップ24は、第2の基板37上のピン35及びスルーホール36を介して第2のICチップ34と通信できる。
【0043】
図7及び図8は、本発明の第1の実施形態に係る信号接続ピンの組み合わせを示す。信号I/O領域38の両側のピン35及びスルーホール36はそれぞれ、第2のICチップ34の接続ピンC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7及びC8にリダイレクトされ、結合する。信号I/O領域38の実質的に真中の部分に位置するピン35は、それぞれ図8に図示したように、信号I/O領域38の内側のスルーホール36を介して接続ピンT1、T2、T3、T4、T5、T6、T7及びT8にリダイレクトされ、結合する。
【0044】
さらに、本発明は、8本のピン35を有するスマートカードとは異なる。第2のICチップカード30の接触インタフェースでは、本発明は16本のピン35、C1からC8及びT1からT8を提供する。接続ピンC1からC8は、従来のスマートカードの接続ピンと同じである。接続ピンT1からT8は、本発明によって付加的に提供される。カードリーダまたは携帯機器は、本発明の接続ピンT1からT8を使用することにより第2のICチップカード30の制御を受けずに第1のICチップカード20と直接的に通信できる。さらに、接続ピンT1からT8は、第2のICチップ34の配送中に第2のICチップ34と第1のICチップ24の間でI/O通信を試験するために使用してもよい。第1の実施形態においては、第2のICチップカード30の接続ピンT1からT8及び接続ピンC1からC8は、実質的に並列である。
【0045】
従って、第1のICチップカード20が第2のチップカード30と接触すると、第2のICチップ34が第1のICチップ24の情報を記憶し、制御できる。すなわち、第2のICチップカード30は、第1のICチップカード20を制御できる。
【0046】
第1の実施形態では、第1のICチップカード20が第2のICチップカード30と係合する際、その間の接着を改善するために両方のICチップカードの間に接着材料を塗布できる。
【0047】
第2の基板37は、第1のICチップカード20の接点25と接触し、それにより第2のICチップ34が携帯機器と直接的に通信できるようになる。すなわち、第2のICチップカード30の第2の基板37は、携帯機器のピン35に直接的に接触してもよい。
【0048】
加えて、携帯機器は、いくつかの機能を実施するために第2のICチップカード30を直接的に制御できる。第2のICチップ34のアプリケーションによれば、第2のICチップカード30は、携帯機器のピンと第1のICチップカード20間の通信を分析、制御し、第2の無線通信番号の登録及び切り替え、発行後の加入者識別モジュール(SIM)ツールキットアプリケーション(例えば、モバイルバンク、モバイル株式、またはWAP識別モジュール(WIM)のセキュリティ機能を実行する)等のアドオンアプリケーションを実行するために、第1のICチップカード20から携帯機器のピン35への応答信号を改良することができる。通常は携帯電話事業者によって発行される第1のICチップカード20のSIM/UIM/UICC/RUIMアプリケーションツールキットのアプリケーションは、銀行、株式ブローカ、PKI証明機関(CA)または第2の無線携帯電話事業者によって開発されたアプリケーション等の専用のアプリケーションと、第2のICチップカード30によって統合できる。
【0049】
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態は、現金自動預入支払機(ATM)及び販売時点情報管理(POS)カードリーダ等の固定端末機に適用できる。この実施形態においては、第1のICチップカード20は、スマートカード43aである場合がある。スマートカード43aは、クレジットカード、銀行キャッシュ(ATM)カード、債務−クレジットカード、及びプリペイドカードを含むが、それらには限定されない。第2のICチップカード30aは、信号受信機装置、通常は平面アンテナを有する。本発明の大部分の要素が第1の実施形態の要素とほぼ同様であり、その詳細な説明が省略されることは理解されよう。
【0050】
図9は、本発明の第2の実施形態によるスマートカード43aと第2のICチップカード30aの係合の斜視図である。スマートカード43aは、一般的には「ISOサイズのカード」と呼ばれ、そのサイズは銀行キャッシュ(ATM)カードまたはクレジットカードのサイズとほぼ同様である。スマートカード43aは、領域26a内に第1のICチップ24a及び開口部22aを有する。スマートカード43a及び第2のICチップカード30aをともに保持するために、第2のICチップカード30aの突出する隆起、つまりパッケージ32aの上側及び下側のいずれかの上の溝44aに、それぞれ対応する開口部22aの上縁及び下縁のいずれかに設けられる突起42aがある。さらに、突起42aは、開口部22aの上縁及び下縁に配置されるが、それらは開口部22aの左端部及び右端部に配置することもできよう。
【0051】
図9に示すように、第2のICチップカード30aは、第2のICチップカード34aを含む。第2のICチップ34aは、第2のICチップカード30aの表面に取り付けられるか、あるいは埋め込まれたフリップチップである。第2のICチップカード30aは、撓みやすいプリント基板または硬いプリント基板等の基板37aも含む。この実施形態では、フレキシブル回路基板が採用されている。第2の実施形態においては、第2のICチップ34aは、積層回路基板(LCB)等の第2の基板37aに取り付けられるか、あるいは埋め込まれる。ICチップカード30aは、実質的には図3及び図4に図示したように、一方の側に複数のピン及びスルーホール(図示せず)を、他方の側に複数の接続ピン41aを有する。
【0052】
第2の実施形態においては、スマートカード43aは、クレジットカード、銀行キャッシュ(ATM)カード、債務−クレジットカードまたはプリペイドカードである場合がある。従って、スマートカード43aは、現金自動預入支払機(ATM)及び販売時点情報管理(POS)カードリーダに適用できる。
【0053】
第2の実施形態では、スマートカード43aが第2のICチップカード30aと係合する際、その間の接着を改善するために両方のカードの間に接着材料を塗布できる。
【0054】
他方、スマートカード43aは、アンテナ40aに結合し、近距離電気的無線取引または識別のために機能できる。アンテナ40aは、積層誘導コイルアンテナまたは平面アンテナでありうる。第2の実施形態においては、アンテナ40aの配置は、前述の説明によって制限されないため、アンテナ40aの形状及び型は多様な要件を満たすために変更できる。スマートカード43aが第2のICチップカード30aと結合するときに、平面アンテナはスマートカード43aのアンテナ配置領域45aの内部に配置できる。
【0055】
本発明によれば、以下の表1はツールキットの名称ならびに識別モジュールと通信システムプロトコルの関係を示す。
【0056】
【表1】

【0057】
本発明は、現時点において最も実用的で好適な実施形態の観点から説明されたが、これまでに開示した実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ本発明は、添付の特許請求の範囲に記載の精神と範囲内における様々な変形及び同様の構成を含むことを意図しており、添付の特許請求の範囲は最も広範な解釈がなされ、かかる変形及び同様の構成を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来の技術によるICチップカードを示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る第1のICチップカードを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る第2のICチップカードの前面を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る第2のICチップカードの背面を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る第1のICチップカード及び第2のICチップカードの組み合わせを示す斜視上面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る第1のICチップカード及び第2のICチップカードの組み合わせを示す斜視底面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る第1のICチップカード及び第2のICチップカードの組み合わせ、ならびにワイヤの配置を示す斜視背面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る複数の接続ピンを有する第1のICチップカード及び第2のICチップカードの組み合わせを示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るスマートカードおよびICチップカードの組み合わせを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
20 第1のICチップカード
21 第1の基板
22 開口部
23 隅部
24 第1のICチップ
42 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板、及び前記第1の基板の上面に第1の複数の接点を備えた第1の集積回路(IC)を有する第1のカードと、
第2の基板、及び前記第2の基板の上面に第2の複数の接点を備えた第2のICを有する第2のカードと、を備え、
前記第2の基板は、前記第1の複数の接点とそれぞれ電気的に結合するために、その底面に第1の複数のピンを備えること、
を特徴とするデュアルカードシステム。
【請求項2】
前記第1のカード及び第2のカードのいずれかが、加入者識別モジュール(SIM)カードと、汎用SIM(USIM)カードと、加入者情報モジュール(UIM)カードと、リムーバブル加入者情報モジュール(RUIM)カードとを備えること、を特徴とする請求項1に記載のデュアルカードシステム。
【請求項3】
前記第2のカードが、WAP識別モジュール(WIM)であること、を特徴とする請求項1に記載のデュアルカードシステム。
【請求項4】
前記第1のカード及び第2のカードのいずれかが、クレジットカードと、銀行キャッシュ(ATM)カードと、イージーカードと、デビットカードと、プリペイドカードとを備えること、を特徴とする請求項1に記載のデュアルカードシステム。
【請求項5】
前記第1の基板が、前記第1のICの開口部以外の場所に開口部を有すること、を特徴とする請求項1に記載のデュアルカードシステム。
【請求項6】
前記開口部がその周辺に沿って複数の突起を備えること、を特徴とする請求項5に記載のデュアルカードシステム。
【請求項7】
前記第2のカードが係合部分をさらに備えること、を特徴とする請求項6に記載のデュアルカードシステム。
【請求項8】
前記係合部分が、前記複数の突起と相応して係合するために複数の切欠きをさらに備えること、を特徴とする請求項7に記載のデュアルカードシステム。
【請求項9】
前記開口部がその周辺に沿って複数の切欠きを備えること、を特徴とする請求項5に記載のデュアルカードシステム。
【請求項10】
前記第2のカードが係合部分をさらに備えること、を特徴とする請求項9に記載のデュアルカードシステム。
【請求項11】
前記係合部分が、前記複数の切欠きと相応して係合するために複数の突起をさらに備えること、を特徴とする請求項10に記載のデュアルカードシステム。
【請求項12】
前記第2のカードに着脱自在に結合するアンテナをさらに備えること、を特徴とする請求項7または請求項10に記載のデュアルカードシステム。
【請求項13】
前記第1のカード及び第2のカードが互いと係合する一方で、前記アンテナが前記第1のカードと前記第2のカードの間に挟まれる端部を有すること、を特徴とする請求項12に記載のデュアルカードシステム。
【請求項14】
前記アンテナが積層誘導コイル及び平面アンテナを備えること、を特徴とする請求項12に記載のデュアルカードシステム。
【請求項15】
前記第1の複数が前記第2の複数未満であること、を特徴とする請求項1に記載のデュアルカードシステム。
【請求項16】
前記第1の複数が前記第2の複数の半分であること、を特徴とする請求項1に記載のデュアルカードシステム。
【請求項17】
前記システムが、携帯電話及びパーソナルデジタルアシスタント(PDA)に適用できること、を特徴とする請求項1に記載のデュアルカードシステム。
【請求項18】
前記システムが、現金自動預入支払機(ATM)及び販売時点情報管理(POS)カードリーダに適用できること、を特徴とする請求項1に記載のデュアルカードシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−518739(P2009−518739A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544310(P2008−544310)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/009704
【国際公開番号】WO2007/067198
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(508165054)
【Fターム(参考)】