説明

デンドロン構造の側鎖を有するジアミン化合物及びこれを用いた液晶配向剤

【課題】液晶配向性、耐化学性、電気特性及び光学特性に優れた高性能液晶配向剤の製造に利用可能な機能性ジアミン化合物を提供すること。また、液晶配向性、耐化学性、電気特性及び光学特性に優れた高性能液晶配向剤を提供すること。さらに、液晶のプレチルト角が低いツイステッドネマチックモード(TN mode)だけでなく、90°に近い高プレチルト角を必要とする垂直配向型液晶配向膜(VA mode)を製造し得る液晶配向剤を提供すること。
【解決手段】デンドロン構造の側鎖を有する新規の機能性ジアミン化合物、このような機能性ジアミン、芳香族環状酸ジアミン、脂肪族環状酸二無水物及び芳香族環状酸二無水物を用いて収得したポリアミド酸、及び前記ポリアミド酸をイミド化させて収得したポリイミドを製造し、これを用いて液晶配向膜を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンドロン構造の側鎖を有するジアミン化合物及びこれを用いた液晶配向剤に関する。さらに詳しく言えば、本発明は、樹木状のデンドロン側鎖をジアミン化合物に導入することにより、高耐熱性、可視光線領域における高透過性、優れた配向特性及び高い電圧保持率を有し、プレチルト角の調節が容易であり、垂直配向力が大きい液晶配向剤に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶分子をより効果的に配向させるための液晶配向膜の中で、ポリイミドは、他の有機高分子化合物に比べて、高温処理によく耐えられるし、塗布性、ラビング性及び化学的安定性にも優れている。また、ポリイミドは、特に配向規制力が強いため、現在も各種液晶表示素子に用いられている。一般に、ポリイミド系液晶配向膜は、酸無水物とジアミン化合物を溶媒中で反応させて得るポリアミド酸を用いて基板上に塗布し、これを加熱、硬化させてイミド化して製造される。
【0003】
具体的に、液晶配向膜用ポリイミド樹脂は、芳香族酸二無水物としてはピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフタル酸二無水物(BPDA)等が使用され、芳香族ジアミン成分としてはパラフェニレンジアミン(p−PDA)、メタフェニレンジアミン(m−PDA)、4,4−メチレンジアニリン(MDA)、2,2−ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(HFDA)、メタビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(m−BAPS)、パラビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(p−BAPS)、4,4−ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、4,4−ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HF−BAPP)等が使用され、これらの単量体を縮重合することにより製造される。
【0004】
ところが、前述のように芳香族酸二無水物とジアミンのみを使用する場合、熱安定性、耐薬品性、機械的性質等は優れるものの、電荷移動錯体(charge transfer complex)によって透明性及び溶解性が低下し、かつ、電気光学特性が低下するという問題を有する。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献1では、脂肪族環状酸二無水物単量体あるいは脂肪族環状ジアミンを導入する方法を提案しており、一方、特許文献2では、液晶のプレチルト角の増加と安定性のために、側鎖を有する機能性ジアミン又は側鎖を有する機能性酸二無水物などを導入する方法を提案している(特許文献1及び特許文献2参照)。また、特許文献3では、炭素数12以上の直鎖状アルキル基を含むポリイミドを必須的に有する垂直配向型液晶剤を開示している(特許文献3参照)。
【0006】
最近、液晶表示素子の表示性能が日増しに向上するにつれて、その応用範囲は、PCモニターだけでなく、携帯型情報端末機、大型テレビジョンにまで拡大しつつある。従って、高品質の液晶表示素子に対する要求が持続的に高まっているが、高品質の大型液晶表示素子を実現するためには、液晶表示素子(LCD)の広視野角、高輝度、高いコントラスト、高速な応答が要求されている。このように液晶表示素子の急速な大面積化に伴って、高い生産性を有する液晶配向膜の需要も高まっている。従って、製造工程性及び電気光学特性に優れるうえ、信頼性が高く、液晶表示素子に対する最近の需要を満足させるに十分な、高性能な液晶配向膜に対する需要が増加している。特に、広視野角の液晶表示素子として垂直配向液晶を使用するVA(Vertically Aligned)方式が開発されているため、垂直配向が可能な液晶配向膜の開発が必要とされている。
【特許文献1】特開平11−84391号公報
【特許文献2】特開平6−136122号公報
【特許文献3】米国特許第5,420,233号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、前述したような本発明の属する技術分野の要求に応えるもので、その目的とするところは、液晶配向性、耐化学性、電気特性及び光学特性に優れた高性能な液晶配向剤の製造に利用可能な機能性ジアミン化合物を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、液晶配向性、耐化学性、電気特性及び光学特性に優れた高性能液晶配向剤を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の別の目的は、プレチルト角の調節を容易にさせ、少量の使用でも高いプレチルト角を表わす液晶配向剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的を達成するために、本発明の一つの態様によれば、本発明は、下記化学式1で表わされる、デンドロン側鎖を有する機能性ジアミン化合物に関する。
【0011】

ここで、式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、nは2又は3であり、Gは単一結合(mが1の場合)、3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基である。
【0012】
本発明の他の態様によれば、本発明は、前記機能性ジアミン、脂肪族環状酸二無水物、及び芳香族環状酸二無水物と、ここに芳香族環状ジアミンを選択的に含ませて共重合して製造されたポリアミド酸と、このポリアミド酸の閉環重合体であるポリイミドに関する。
【0013】
本発明の別の態様によれば、本発明は、前記ポリアミド酸、ポリイミド、又はポリアミド酸とポリイミドとの混合物を溶媒に溶解させてコートし、これを全体的又は部分的に加熱及び硬化によってイミド化させて得られた液晶配向膜に関する。
【0014】
本発明にかかる化合物は、下記化学式1で表わされる、デンドロン側鎖(Dendron side chain)を有するジアミン化合物であることを特徴とする。

【0015】
ここで、式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、nは2又は3であり、Gは単一結合(mが1の場合)、3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基であることを特徴とする。
【0016】
前記化合物において、前記ジアミン化合物は、下記化学式2又は化学式3の構造を持つことを特徴とする。
【0017】


本発明にかかるポリアミド酸は、前記ジアミン化合物、脂肪族環状酸二無水物、芳香族環状酸二無水物、及び選択的に芳香族環状ジアミン化合物を含ませて共重合して製造されることを特徴とする。
【0018】
前記ポリアミド酸において、前記ポリアミド酸が下記化学式4で表わされることを特徴とする。
【0019】

ここで、式中、Xは下記化学式5で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、Yは下記化学式6で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、Zは下記化学式7又は下記化学式8で表わされる官能基の中から選択された1種以上の官能基を示し、Z’は下記化学式9で表わされる官能基を示すことを特徴とする。
【0020】


ここで、式中、X、X、X、Xはそれぞれ独立に選ばれた−CH、−F及び−Hよりなる群から選択された置換基であることを特徴とする。
【0021】


ここで、式中、nは1〜10の整数であることを特徴とする。
【0022】

ここで、式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、nは2又は3であり、Gは単一結合(mが1の場合)、3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基であることを特徴とする。
【0023】
前記ポリアミド酸において、前記ポリアミド酸の平均分子量は、5,000〜500,000であることを特徴とする。
【0024】
また、前記ポリアミド酸において、前記ポリアミド酸に含まれる全体ジアミン単量体に対し、化学式1のジアミンの含量は、0.1〜100モル%であり、芳香族環状ジアミンの含量が0〜99.9モル%であることを特徴とする。
【0025】
さらに、前記ポリアミド酸において、前記ポリアミド酸に含まれる全体酸二無水物に対し、脂肪族環状酸二無水物の含量は5〜90モル%であり、芳香族環状酸二無水物の含量は10〜95モル%であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明にかかるポリイミド化合物は、前述のいずれかに記載のポリアミド酸を部分的又は全体的にイミド化させて収得したポリイミド化合物であることを特徴とする。
【0027】
さらに、本発明にかかる液晶配向膜は、前述のいずれかに記載のポリアミド酸、前記ポリイミド、前述のいずれかに記載のポリアミド酸と前記ポリアミドとの混合物よりなる群から選択される物質を全体的又は部分的にイミド化させて得られた液晶配向膜であることを特徴とする。
【0028】
また、本発明にかかる液晶表示素子は、前記液晶配向膜を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかるジアミン化合物を用いる液晶配向剤は、液晶配向性、耐化学性、電気特性及び光学特性に優れるし、少量の使用でも高いプレチルト角を発現することができるので、プレチルト角の調節が容易であり、これにより液晶のプレチルト角が低いツイステッドネマチックモードだけでなく、90°に近い高プレチルト角を必要とする垂直配向型液晶配向膜(VA mode)への用途展開も可能になる。具体的に言えば、この液晶配向剤は、液晶のプレチルト角が低いツイステッドネマチックモード(TN mode)や、90°に近い高プレチルト角を必要とする垂直配向型液晶配向膜(VA mode)を製造するために使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【0031】
本発明は、本発明者らによって新たに製造された機能性単量体、すなわち樹木状の側鎖を有する下記化学式1のジアミンに関する。このような機能性ジアミンを用いてその含量を調節しながらポリアミド酸又はポリイミドを製造し、製造された溶液を液晶配向膜として用いてLCDパネルに適用すると、少量を使用しても1°〜90°まで所望の大きさにプレチルト角を調節することができ、耐化学性に優れて洗浄工程の後にも液晶の配向特性が低下せず、電気光学的性質に優れるうえ、印刷性及び工程性が卓越している液晶配向膜を収得することができる。
【0032】

【0033】
ここで、式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、nは2又は3であり、Gは単一結合(mが1の場合)、3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基である。
【0034】
本発明のジアミン化合物の好ましい例としては、下記化学式2の12G1−AG−フェニレンジアミンと化学式3の12G2−AG−フェニレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。


【0035】
本発明にかかるポリアミド酸は、前記化学式2の機能性ジアミン、脂肪族環状酸二無水物、及び芳香族環状酸二無水物と、ここに芳香族環状ジアミンを選択的に含ませて共重合して製造される。一般に、液晶配向膜の製造のための塗布用コーティング液は、このようなポリアミド酸の溶液であり、塗布後、乾燥、加熱硬化の過程によって脱水閉環してポリイミドになる。
【0036】
本発明にかかるポリイミドが液晶配向剤として用いられるためには、透明電極が形成された基板上の均一な厚さのポリイミドコーティング薄膜で形成されなければならない。ポリイミド溶液は、直接基板上にコートされてもよいし、あるいは基板上で加熱によってイミド化されてもよく、これによってポリイミドコーティング薄膜が形成される。ポリイミド溶液に使用する溶媒や、イミド化する時の温度などは常法による。
【0037】
本発明の液晶配向膜は、前記機能性ジアミンの含量を調節することにより、プレチルト角を所望の範囲に調節することができる。機能性ジアミンの含量によってプレチルト角が調節されるので、液晶ディスプレイのモードに応じて芳香族環状ジアミンが全く含まれず、機能性ジアミンのみを用いてポリアミド酸を製造して液晶配向膜として使用することも可能である。すなわち、芳香族ジアミンの使用は選択的である。
【0038】
本発明において、前記機能性ジアミンの含量は、好ましくは全体ジアミン単量体に対し0.1〜100モル%であり、さらに好ましくは0.5〜30モル%であり、最も好ましくは1〜20モル%である。
【0039】
本発明のポリアミド酸の製造の際に使用される芳香族環状ジアミンの例としては、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、4,4−メチレンジアニリン(MDA)、4,4−オキシジアニリン(ODA)、メタビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(m−BAPS)、パラビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(p−BAPS)、2,2−ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、2,2−ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HF−BAPP)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本発明のポリアミド酸の製造の際に使用される芳香族環状酸二無水物は、厚さ0.1μm内外でラビング工程に耐えられ、200℃以上の高温加工工程に対する耐熱性を維持し、優れた耐薬品性を有することが可能なものでなければならない。このような芳香族環状酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフタル酸二無水物(BPDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(6−FDA)などが挙げられるが、これらに限定されない。前記芳香族環状酸二無水物の含量は、使用される酸二無水物の全体含量に対し10〜100モル%であることが好ましい。
【0041】
本発明のポリアミド酸の製造の際に使用される前記脂肪族環状酸二無水物は、代表的な有機溶媒に対する不溶性、電荷移動錯体による可視光線領域における低い透過性、分子構造的に高い極性による電気光学特性の低下などの問題点を補完する。本発明で使用可能な脂肪族環状酸二無水物としては、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOTDA)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOCDA)、ビシクロオクテン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BODA)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(CHDA)などが挙げられるが、これらに限定されない。脂肪族環状酸二無水物の含量は、使用される全体酸二無水物含量に対し5〜90モル%であり、好ましくは10〜50モル%である。
【0042】
以上の過程により合成される本発明のポリアミド酸は、より好ましくは下記化学式4で表わされる構造を有する。

【0043】
式中、Xは下記化学式5で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、Yは下記化学式6で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、Zは下記化学式7又は下記化学式8で表わされる官能基の中から選択された1種以上の官能基を示し、Z’は下記化学式9で表わされる官能基を示す。
【0044】


ここで、式中、X、X、X、X、はそれぞれ独立に選ばれた−CH、−F及び−Hよりなる群から選択された置換基である。
【0045】


ここで、式中、nは1〜10の整数である。
【0046】

【0047】
ここで、式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、nは2又は3であり、Gは単一結合(mが1の場合)、3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基である。
【0048】
本発明にかかるポリアミド酸は、一般に用いられるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)などの非量子性極性溶媒に非常に優れた溶解性を示す。このように優れた溶解性は、脂肪族環状酸二無水物の導入と重合体の自由体積を増加させる側鎖部分の共同役割から推測される。近年の液晶表示素子の大型化、高解像度化及び高品質化によって配向剤の印刷性が非常に重要に台頭している状況下において、このような溶媒に対する優れた溶解性は、液晶配向膜への適用の際に、基材に対する印刷性を向上させる。
【0049】
本発明のポリアミド酸は、数平均分子量が5,000〜500,000の範囲であり、イミド化が進んでいる場合、イミド化率あるいは構造によってガラス転移温度は200〜350℃の範囲を持つ。
【0050】
本発明では、ポリアミド酸を溶媒に溶解させて基板に塗布した後、これを全体的又は部分的にイミド化させて液晶配向膜を製造する。あるいは、ポリアミド酸を溶媒に溶解させて基板に塗布した後、これを全体的又は部分的にイミド化させて可溶性ポリイミドの形に製造し、その後、ポリイミドを単独で使用するか又はポリアミド酸と可溶性ポリイミドとの混合物を使用して、液晶配向膜を製造する。
【0051】
本発明にかかる液晶配向膜は、光透過度においては可視光線領域で90%以上の高い透過度を示し、液晶の配向性に優れるうえ、プレチルト角を1〜90°の範囲内で容易に調整することが可能である。また、本発明にかかる液晶配向膜は、前記機能性ジアミンが含まれることにより、高分子の屈折率が低下し、誘電率が低くなるという効果をもたらす。
【0052】
以下の実施例によって、本発明をより詳細に説明するが、以下の実施例は本発明を説明する目的のもので、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0053】
===実施例1===
攪拌器、温度調節装置、窒素ガス注入装置及び冷却器が付いている四口フラスコに窒素を通過させながら、4,4−メチレンジアニリン99mmolと12G1−AG−フェニレンジアミン(デンドロンジアミン、化学式2)1mmolを仕込み、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を仕込んで溶解させた。固体状態の5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOTDA)50mmolとピロメリット酸二無水物(PMDA)50mmolを仕込んで激烈に攪拌した。この際、固形分の含量を質量比で15重量%とし、温度を25℃未満に維持しながら24時間反応を行ってポリアミド酸溶液を製造した。
【0054】
===実施例2===
4,4−メチレンジアニリンを98mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン20mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0055】
===実施例3===
4,4−メチレンジアニリンを95mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン5mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0056】
===実施例4===
4,4−メチレンジアニリンを90mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン10mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0057】
===実施例5===
4,4−メチレンジアニリンを80mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン20mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0058】
===実施例6===
4,4−メチレンジアニリンを60mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン40mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0059】
===実施例7===
5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOTDA)の代わりに、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)50mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0060】
===実施例8===
4,4−メチレンジアニリンを98mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン2mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0061】
===実施例9===
4,4−メチレンジアニリンを95mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン5mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0062】
===実施例10===
4,4−メチレンジアニリンを90mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン10mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0063】
===実施例11===
4,4−メチレンジアニリンを80mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン20mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0064】
===実施例12===
4,4−メチレンジアニリンを60mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン40mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0065】
===実施例13===
実施例4で収得したポリアミド酸溶液53.3gをN−メチルピロリジノン(NMP)に10重量%で溶かした後、ピリジン0.1molと無水酢酸0.1molを仕込み、80℃で2時間環化反応を行った後、メタノールに沈殿させ、イミド化度が70%程度である49gの重合体パウダーを得た。このようにして得た重合体パウダーを十分真空乾燥させた後、N−メチルピロリジノン(NMP)に溶かしてポリイミド溶液を製造した。
【0066】
===実施例14===
ピリジン0.13molと無水酢酸0.25molを仕込み、80℃で4時間環化反応を行った以外は、実施例13と同じ方法を用いてイミド化度98%程度のポリイミド溶液を収得した。
【0067】
===比較例1===
4,4−メチレンジアニリンを0.9mol使用し、2,4−ジアミノフェノキシオクタデカン0.1molを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0068】
===比較例2===
4,4−メチレンジアニリンを80mmol使用し、2,4−ジアミノフェノキシヘキサデカン20mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0069】
===比較例3===
4,4−メチレンジアニリンを90mmol使用し、2,4−ジアミノフェノキシオクタデカン10mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0070】
===比較例4===
4,4−メチレンジアニリンを80mmol使用し、2,4−ジアミノフェノキシヘキサデカン20mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0071】
===※液晶配向剤の物性評価===
実施例1〜14及び比較例1〜4で製造された液晶配向膜溶液を用いて下記の方法でテストセルを製造し、テストセルに対し下記の方法でプレチルト角、印刷性、配向安定性、耐化学性、コントラスト比、残留DC及び電圧保持率(VHR)を測定した。その結果を表1に示す。
【0072】
*耐化学性:寸法10cm×10cmのITOガラスにそれぞれの液晶配向膜溶液を0.1μmの厚さにスピンコートし、70℃と210℃で硬化過程を経た後、ラビング工程を経た配向膜の表面をイソプロピルアルコールと純水を用いて十分洗浄し、その後アセンブリし、液晶を注入してテスト用LCDセルを製造した。このように製造されたLCDセルに1〜10Vの電圧を印加して駆動させながら、洗浄溶剤によるムラの生成有無を観察して耐化学性を評価した。
【0073】
*コントラスト比、残留DC及び電圧保持率(VHR):寸法3cm×6cmのITOガラスにそれぞれの液晶配向膜溶液を0.1μmの厚さにスピンコートし、70℃と210℃で硬化過程を経た後、ラビング、組立工程を経てテスト用LCDセルを製造した。このテスト用LCDセルに1Vの電圧を印加してテストセルの電圧保持率(VHR)を常温及び60℃で測定し、−10V〜+10Vの電圧を印加してテストセルの残留DC(RDC)を測定し、5Vの電圧を印加してテストセルのコントラスト比を測定した。
【0074】
*印刷性:ITOガラス基板にそれぞれの液晶配向膜溶液を0.1μmの厚さに塗布し、210℃の温度で硬化させた。この過程で配向膜の印刷性を判断するために、ITOガラス基板に配向膜を塗布した後、肉眼と光学顕微鏡を介して広がり特性と端部の巻き上がり特性を観察して印刷性を評価した。
【0075】
*配向安定性及び傾斜度:配向膜の表面をラビング器によってラビングし、2つの基板を相互反対のラビング方向となるように平行にした後、50μmのセルギャップを維持し得るようにセルを接合した。前記の方法によって作られた液晶セルに液晶を満たし、配向安定性を直交偏光型光学顕微鏡で観察した後、結晶回折法(crystal rotation method)を用いてプレチルト角を測定した。
【0076】

【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態において、ジアミン化合物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態において、ジアミン化合物のDSC(Differential Scanning Calorimeter)の結果を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンドロン構造の側鎖を有するジアミン化合物及びこれを用いた液晶配向剤に関する。さらに詳しく言えば、本発明は、樹木状のデンドロン側鎖をジアミン化合物に導入することにより、高耐熱性、可視光線領域における高透過性、優れた配向特性及び高い電圧保持率を有し、プレチルト角の調節が容易であり、垂直配向力が大きい液晶配向剤に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶分子をより効果的に配向させるための液晶配向膜の中で、ポリイミドは、他の有機高分子化合物に比べて、高温処理によく耐えられるし、塗布性、ラビング性及び化学的安定性にも優れている。また、ポリイミドは、特に配向規制力が強いため、現在も各種液晶表示素子に用いられている。一般に、ポリイミド系液晶配向膜は、酸無水物とジアミン化合物を溶媒中で反応させて得るポリアミド酸を用いて基板上に塗布し、これを加熱、硬化させてイミド化して製造される。
【0003】
具体的に、液晶配向膜用ポリイミド樹脂は、芳香族酸二無水物としてはピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフタル酸二無水物(BPDA)等が使用され、芳香族ジアミン成分としてはパラフェニレンジアミン(p−PDA)、メタフェニレンジアミン(m−PDA)、4,4−メチレンジアニリン(MDA)、2,2−ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(HFDA)、メタビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(m−BAPS)、パラビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(p−BAPS)、4,4−ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、4,4−ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HF−BAPP)等が使用され、これらの単量体を縮重合することにより製造される。
【0004】
ところが、前述のように芳香族酸二無水物とジアミンのみを使用する場合、熱安定性、耐薬品性、機械的性質等は優れるものの、電荷移動錯体(charge transfer complex)によって透明性及び溶解性が低下し、かつ、電気光学特性が低下するという問題を有する。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献1では、脂肪族環状酸二無水物単量体あるいは脂肪族環状ジアミンを導入する方法を提案しており、一方、特許文献2では、液晶のプレチルト角の増加と安定性のために、側鎖を有する機能性ジアミン又は側鎖を有する機能性酸二無水物などを導入する方法を提案している(特許文献1及び特許文献2参照)。また、特許文献3では、炭素数12以上の直鎖状アルキル基を含むポリイミドを必須的に有する垂直配向型液晶剤を開示している(特許文献3参照)。
【0006】
最近、液晶表示素子の表示性能が日増しに向上するにつれて、その応用範囲は、PCモニターだけでなく、携帯型情報端末機、大型テレビジョンにまで拡大しつつある。従って、高品質の液晶表示素子に対する要求が持続的に高まっているが、高品質の大型液晶表示素子を実現するためには、液晶表示素子(LCD)の広視野角、高輝度、高いコントラスト、高速な応答が要求されている。このように液晶表示素子の急速な大面積化に伴って、高い生産性を有する液晶配向膜の需要も高まっている。従って、製造工程性及び電気光学特性に優れるうえ、信頼性が高く、液晶表示素子に対する最近の需要を満足させるに十分な、高性能な液晶配向膜に対する需要が増加している。特に、広視野角の液晶表示素子として垂直配向液晶を使用するVA(Vertically Aligned)方式が開発されているため、垂直配向が可能な液晶配向膜の開発が必要とされている。
【特許文献1】特開平11−84391号公報
【特許文献2】特開平6−136122号公報
【特許文献3】米国特許第5,420,233号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、前述したような本発明の属する技術分野の要求に応えるもので、その目的とするところは、液晶配向性、耐化学性、電気特性及び光学特性に優れた高性能な液晶配向剤の製造に利用可能な機能性ジアミン化合物を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、液晶配向性、耐化学性、電気特性及び光学特性に優れた高性能液晶配向剤を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の別の目的は、プレチルト角の調節を容易にさせ、少量の使用でも高いプレチルト角を表わす液晶配向剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的を達成するために、本発明の一つの態様によれば、本発明は、下記化学式1で表わされる、デンドロン側鎖を有する機能性ジアミン化合物に関する。
【0011】

ここで、式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、nは2又は3であり、Gは単一結合(mが1の場合)、3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基である。
【0012】
本発明の他の態様によれば、本発明は、前記機能性ジアミン、脂肪族環状酸二無水物、及び芳香族環状酸二無水物と、ここに芳香族環状ジアミンを選択的に含ませて共重合して製造されたポリアミド酸と、このポリアミド酸の閉環重合体であるポリイミドに関する。
【0013】
本発明の別の態様によれば、本発明は、前記ポリアミド酸、ポリイミド、又はポリアミド酸とポリイミドとの混合物を溶媒に溶解させてコートし、これを全体的又は部分的に加熱及び硬化によってイミド化させて得られた液晶配向膜に関する。
【0014】
本発明にかかる化合物は、下記化学式1で表わされる、デンドロン側鎖(Dendron side chain)を有するジアミン化合物であることを特徴とする。

ここで、式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、nは2又は3であり、Gは単一結合(mが1の場合)、3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基であることを特徴とする。
【0015】
前記化合物において、前記ジアミン化合物は、下記化学式2又は化学式3の構造を持つことを特徴とする。
【0016】


本発明にかかるポリアミド酸は、前記ジアミン化合物、脂肪族環状酸二無水物、芳香族環状酸二無水物、及び選択的に芳香族環状ジアミン化合物を含ませて共重合して製造されることを特徴とする。
【0017】
前記ポリアミド酸において、前記ポリアミド酸が下記化学式4で表わされることを特徴とする。
【0018】

ここで、式中、Xは下記化学式5で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、Yは下記化学式6で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、Zは下記化学式7又は下記化学式8で表わされる官能基の中から選択された1種以上の官能基を示し、Z’は下記化学式9で表わされる官能基を示すことを特徴とする。
【0019】


ここで、式中、X、X、X、Xはそれぞれ独立に選ばれた−CH、−F及び−Hよりなる群から選択された置換基であることを特徴とする。
【0020】


ここで、式中、nは1〜10の整数であることを特徴とする。
【0021】

ここで、式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、nは2又は3であり、Gは単一結合(mが1の場合)、3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基であることを特徴とする。
【0022】
前記ポリアミド酸において、前記ポリアミド酸の平均分子量は、5,000〜500,000であることを特徴とする。
【0023】
また、前記ポリアミド酸において、前記ポリアミド酸に含まれる全体ジアミン単量体に対し、化学式1のジアミンの含量は、0.1〜100モル%であり、芳香族環状ジアミンの含量が0〜99.9モル%であることを特徴とする。
【0024】
さらに、前記ポリアミド酸において、前記ポリアミド酸に含まれる全体酸二無水物に対し、脂肪族環状酸二無水物の含量は5〜90モル%であり、芳香族環状酸二無水物の含量は10〜95モル%であることを特徴とする。
【0025】
また、本発明にかかるポリイミド化合物は、前述のいずれかに記載のポリアミド酸を部分的又は全体的にイミド化させて収得したポリイミド化合物であることを特徴とする。
【0026】
さらに、本発明にかかる液晶配向膜は、前述のいずれかに記載のポリアミド酸、前記ポリイミド、前述のいずれかに記載のポリアミド酸と前記ポリアミドとの混合物よりなる群から選択される物質を全体的又は部分的にイミド化させて得られた液晶配向膜であることを特徴とする。
【0027】
また、本発明にかかる液晶表示素子は、前記液晶配向膜を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかるジアミン化合物を用いる液晶配向剤は、液晶配向性、耐化学性、電気特性及び光学特性に優れるし、少量の使用でも高いプレチルト角を発現することができるので、プレチルト角の調節が容易であり、これにより液晶のプレチルト角が低いツイステッドネマチックモードだけでなく、90°に近い高プレチルト角を必要とする垂直配向型液晶配向膜(VA mode)への用途展開も可能になる。具体的に言えば、この液晶配向剤は、液晶のプレチルト角が低いツイステッドネマチックモード(TN mode)や、90°に近い高プレチルト角を必要とする垂直配向型液晶配向膜(VA mode)を製造するために使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【0030】
本発明は、本発明者らによって新たに製造された機能性単量体、すなわち樹木状の側鎖を有する下記化学式1のジアミンに関する。このような機能性ジアミンを用いてその含量を調節しながらポリアミド酸又はポリイミドを製造し、製造された溶液を液晶配向膜として用いてLCDパネルに適用すると、少量を使用しても1°〜90°まで所望の大きさにプレチルト角を調節することができ、耐化学性に優れて洗浄工程の後にも液晶の配向特性が低下せず、電気光学的性質に優れるうえ、印刷性及び工程性が卓越している液晶配向膜を収得することができる。
【0031】

ここで、式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、nは2又は3であり、Gは単一結合(mが1の場合)、3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基である。
【0032】
本発明のジアミン化合物の好ましい例としては、下記化学式2の12G1−AG−フェニレンジアミンと化学式3の12G2−AG−フェニレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。


本発明にかかるポリアミド酸は、前記化学式2の機能性ジアミン、脂肪族環状酸二無水物、及び芳香族環状酸二無水物と、ここに芳香族環状ジアミンを選択的に含ませて共重合して製造される。一般に、液晶配向膜の製造のための塗布用コーティング液は、このようなポリアミド酸の溶液であり、塗布後、乾燥、加熱硬化の過程によって脱水閉環してポリイミドになる。
【0033】
本発明にかかるポリイミドが液晶配向剤として用いられるためには、透明電極が形成された基板上の均一な厚さのポリイミドコーティング薄膜で形成されなければならない。ポリイミド溶液は、直接基板上にコートされてもよいし、あるいは基板上で加熱によってイミド化されてもよく、これによってポリイミドコーティング薄膜が形成される。ポリイミド溶液に使用する溶媒や、イミド化する時の温度などは常法による。
【0034】
本発明の液晶配向膜は、前記機能性ジアミンの含量を調節することにより、プレチルト角を所望の範囲に調節することができる。機能性ジアミンの含量によってプレチルト角が調節されるので、液晶ディスプレイのモードに応じて芳香族環状ジアミンが全く含まれず、機能性ジアミンのみを用いてポリアミド酸を製造して液晶配向膜として使用することも可能である。すなわち、芳香族ジアミンの使用は選択的である。
【0035】
本発明において、前記機能性ジアミンの含量は、好ましくは全体ジアミン単量体に対し0.1〜100モル%であり、さらに好ましくは0.5〜30モル%であり、最も好ましくは1〜20モル%である。
【0036】
本発明のポリアミド酸の製造の際に使用される芳香族環状ジアミンの例としては、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、4,4−メチレンジアニリン(MDA)、4,4−オキシジアニリン(ODA)、メタビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(m−BAPS)、パラビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(p−BAPS)、2,2−ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、2,2−ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HF−BAPP)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明のポリアミド酸の製造の際に使用される芳香族環状酸二無水物は、厚さ0.1μm内外でラビング工程に耐えられ、200℃以上の高温加工工程に対する耐熱性を維持し、優れた耐薬品性を有することが可能なものでなければならない。このような芳香族環状酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフタル酸二無水物(BPDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(6−FDA)などが挙げられるが、これらに限定されない。前記芳香族環状酸二無水物の含量は、使用される酸二無水物の全体含量に対し10〜100モル%であることが好ましい。
【0038】
本発明のポリアミド酸の製造の際に使用される前記脂肪族環状酸二無水物は、代表的な有機溶媒に対する不溶性、電荷移動錯体による可視光線領域における低い透過性、分子構造的に高い極性による電気光学特性の低下などの問題点を補完する。本発明で使用可能な脂肪族環状酸二無水物としては、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOTDA)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOCDA)、ビシクロオクテン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BODA)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(CHDA)などが挙げられるが、これらに限定されない。脂肪族環状酸二無水物の含量は、使用される全体酸二無水物含量に対し5〜90モル%であり、好ましくは10〜50モル%である。
【0039】
以上の過程により合成される本発明のポリアミド酸は、より好ましくは下記化学式4で表わされる構造を有する。

式中、Xは下記化学式5で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、Yは下記化学式6で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、Zは下記化学式7又は下記化学式8で表わされる官能基の中から選択された1種以上の官能基を示し、Z’は下記化学式9で表わされる官能基を示す。
【0040】


ここで、式中、X、X、X、X、はそれぞれ独立に選ばれた−CH、−F及び−Hよりなる群から選択された置換基である。
【0041】


ここで、式中、nは1〜10の整数である。
【0042】

ここで、式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、nは2又は3であり、Gは単一結合(mが1の場合)、3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基である。
【0043】
本発明にかかるポリアミド酸は、一般に用いられるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)などの非量子性極性溶媒に非常に優れた溶解性を示す。このように優れた溶解性は、脂肪族環状酸二無水物の導入と重合体の自由体積を増加させる側鎖部分の共同役割から推測される。近年の液晶表示素子の大型化、高解像度化及び高品質化によって配向剤の印刷性が非常に重要に台頭している状況下において、このような溶媒に対する優れた溶解性は、液晶配向膜への適用の際に、基材に対する印刷性を向上させる。
【0044】
本発明のポリアミド酸は、数平均分子量が5,000〜500,000の範囲であり、イミド化が進んでいる場合、イミド化率あるいは構造によってガラス転移温度は200〜350℃の範囲を持つ。
【0045】
本発明では、ポリアミド酸を溶媒に溶解させて基板に塗布した後、これを全体的又は部分的にイミド化させて液晶配向膜を製造する。あるいは、ポリアミド酸を溶媒に溶解させて基板に塗布した後、これを全体的又は部分的にイミド化させて可溶性ポリイミドの形に製造し、その後、ポリイミドを単独で使用するか又はポリアミド酸と可溶性ポリイミドとの混合物を使用して、液晶配向膜を製造する。
【0046】
本発明にかかる液晶配向膜は、光透過度においては可視光線領域で90%以上の高い透過度を示し、液晶の配向性に優れるうえ、プレチルト角を1〜90°の範囲内で容易に調整することが可能である。また、本発明にかかる液晶配向膜は、前記機能性ジアミンが含まれることにより、高分子の屈折率が低下し、誘電率が低くなるという効果をもたらす。
【0047】
以下の実施例によって、本発明をより詳細に説明するが、以下の実施例は本発明を説明する目的のもので、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0048】
===実施例1===
攪拌器、温度調節装置、窒素ガス注入装置及び冷却器が付いている四口フラスコに窒素を通過させながら、4,4−メチレンジアニリン99mmolと12G1−AG−フェニレンジアミン(デンドロンジアミン、化学式2)1mmolを仕込み、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を仕込んで溶解させた。固体状態の5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOTDA)50mmolとピロメリット酸二無水物(PMDA)50mmolを仕込んで激烈に攪拌した。この際、固形分の含量を質量比で15重量%とし、温度を25℃未満に維持しながら24時間反応を行ってポリアミド酸溶液を製造した。
【0049】
===実施例2===
4,4−メチレンジアニリンを98mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン20mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0050】
===実施例3===
4,4−メチレンジアニリンを95mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン5mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0051】
===実施例4===
4,4−メチレンジアニリンを90mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン10mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0052】
===実施例5===
4,4−メチレンジアニリンを80mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン20mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0053】
===実施例6===
4,4−メチレンジアニリンを60mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン40mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0054】
===実施例7===
5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOTDA)の代わりに、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)50mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0055】
===実施例8===
4,4−メチレンジアニリンを98mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン2mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0056】
===実施例9===
4,4−メチレンジアニリンを95mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン5mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0057】
===実施例10===
4,4−メチレンジアニリンを90mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン10mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0058】
===実施例11===
4,4−メチレンジアニリンを80mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン20mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0059】
===実施例12===
4,4−メチレンジアニリンを60mmol使用し、12G1−AG−フェニレンジアミン40mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0060】
===実施例13===
実施例4で収得したポリアミド酸溶液53.3gをN−メチルピロリジノン(NMP)に10重量%で溶かした後、ピリジン0.1molと無水酢酸0.1molを仕込み、80℃で2時間環化反応を行った後、メタノールに沈殿させ、イミド化度が70%程度である49gの重合体パウダーを得た。このようにして得た重合体パウダーを十分真空乾燥させた後、N−メチルピロリジノン(NMP)に溶かしてポリイミド溶液を製造した。
【0061】
===実施例14===
ピリジン0.13molと無水酢酸0.25molを仕込み、80℃で4時間環化反応を行った以外は、実施例13と同じ方法を用いてイミド化度98%程度のポリイミド溶液を収得した。
【0062】
===比較例1===
4,4−メチレンジアニリンを0.9mol使用し、2,4−ジアミノフェノキシオクタデカン0.1molを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0063】
===比較例2===
4,4−メチレンジアニリンを80mmol使用し、2,4−ジアミノフェノキシヘキサデカン20mmolを使用した以外は、実施例1と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0064】
===比較例3===
4,4−メチレンジアニリンを90mmol使用し、2,4−ジアミノフェノキシオクタデカン10mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0065】
===比較例4===
4,4−メチレンジアニリンを80mmol使用し、2,4−ジアミノフェノキシヘキサデカン20mmolを使用した以外は、実施例7と同じ方法を用いてポリアミド酸溶液を収得した。
【0066】
===※液晶配向剤の物性評価===
実施例1〜14及び比較例1〜4で製造された液晶配向膜溶液を用いて下記の方法でテストセルを製造し、テストセルに対し下記の方法でプレチルト角、印刷性、配向安定性、耐化学性、コントラスト比、残留DC及び電圧保持率(VHR)を測定した。その結果を表1に示す。
【0067】
*耐化学性:寸法10cm×10cmのITOガラスにそれぞれの液晶配向膜溶液を0.1μmの厚さにスピンコートし、70℃と210℃で硬化過程を経た後、ラビング工程を経た配向膜の表面をイソプロピルアルコールと純水を用いて十分洗浄し、その後アセンブリし、液晶を注入してテスト用LCDセルを製造した。このように製造されたLCDセルに1〜10Vの電圧を印加して駆動させながら、洗浄溶剤によるムラの生成有無を観察して耐化学性を評価した。
【0068】
*コントラスト比、残留DC及び電圧保持率(VHR):寸法3cm×6cmのITOガラスにそれぞれの液晶配向膜溶液を0.1μmの厚さにスピンコートし、70℃と210℃で硬化過程を経た後、ラビング、組立工程を経てテスト用LCDセルを製造した。このテスト用LCDセルに1Vの電圧を印加してテストセルの電圧保持率(VHR)を常温及び60℃で測定し、−10V〜+10Vの電圧を印加してテストセルの残留DC(RDC)を測定し、5Vの電圧を印加してテストセルのコントラスト比を測定した。
【0069】
*印刷性:ITOガラス基板にそれぞれの液晶配向膜溶液を0.1μmの厚さに塗布し、210℃の温度で硬化させた。この過程で配向膜の印刷性を判断するために、ITOガラス基板に配向膜を塗布した後、肉眼と光学顕微鏡を介して広がり特性と端部の巻き上がり特性を観察して印刷性を評価した。
【0070】
*配向安定性及び傾斜度:配向膜の表面をラビング器によってラビングし、2つの基板を相互反対のラビング方向となるように平行にした後、50μmのセルギャップを維持し得るようにセルを接合した。前記の方法によって作られた液晶セルに液晶を満たし、配向安定性を直交偏光型光学顕微鏡で観察した後、結晶回折法(crystal rotation method)を用いてプレチルト角を測定した。
【0071】

【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態において、ジアミン化合物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態において、ジアミン化合物のDSC(Differential Scanning Calorimeter)の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表わされる、デンドロン側鎖(Dendron side chain)を有するジアミン化合物。

(式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、
Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、
nは2又は3であり、
Gは単一結合(mが1の場合)、
3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、
Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基である。)
【請求項2】
前記ジアミン化合物が下記化学式2又は化学式3の構造を持つことを特徴とする、請求項1に記載のジアミン化合物。


【請求項3】
請求項1に記載のジアミン化合物、脂肪族環状酸二無水物、芳香族環状酸二無水物、及び選択的に芳香族環状ジアミン化合物を含ませて共重合して製造されたポリアミド酸。
【請求項4】
前記ポリアミド酸が下記化学式4で表わされることを特徴とする、請求項3に記載のポリアミド酸。

(式中、Xは下記化学式5で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、
Yは下記化学式6で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、
Zは下記化学式7又は下記化学式8で表わされる官能基の中から選択された1種以上の官能基を示し、
Z’は下記化学式9で表わされる官能基を示す。)


(式中、X、X、X、Xはそれぞれ独立に選ばれた−CH、−F及び−Hよりなる群から選択された置換基である。)


(式中、nは1〜10の整数である。)

(式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、
Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、
nは2又は3であり、
Gは単一結合(mが1の場合)、
3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、
Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基である。)
【請求項5】
前記ポリアミド酸の平均分子量が5,000〜500,000であることを特徴とする、請求項3又は4に記載のポリアミド酸。
【請求項6】
前記ポリアミド酸に含まれる全体ジアミン単量体に対し、化学式1のジアミンの含量が0.1〜100モル%であり、芳香族環状ジアミンの含量が0〜99.9モル%であることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載のポリアミド酸。
【請求項7】
前記ポリアミド酸に含まれる全体酸二無水物に対し、脂肪族環状酸二無水物の含量が5〜90モル%であり、芳香族環状酸二無水物の含量が10〜95モル%であることを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載のポリアミド酸。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれかに記載のポリアミド酸を部分的又は全体的にイミド化させて収得したポリイミド化合物。
【請求項9】
請求項3〜8のいずれかに記載のポリアミド酸、請求項8に記載のポリイミド、請求項3〜8のいずれかに記載のポリアミド酸と請求項8に記載のポリアミドとの混合物よりなる群から選択される物質を全体的又は部分的にイミド化させて得られた液晶配向膜。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶配向膜を含む液晶表示素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表わされる、デンドロン側鎖(Dendron side chain)を有するジアミン化合物。

(式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、
Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、
nは2又は3であり、
Gは単一結合(mが1の場合)、
3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、
Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基である。)
【請求項2】
前記ジアミン化合物が下記化学式2又は化学式3の構造を持つことを特徴とする、請求項1に記載のジアミン化合物。


【請求項3】
請求項1に記載のジアミン化合物、脂肪族環状酸二無水物、芳香族環状酸二無水物、及び選択的に芳香族環状ジアミン化合物を含ませて共重合して製造されたポリアミド酸。
【請求項4】
前記ポリアミド酸が下記化学式4で表わされることを特徴とする、請求項3に記載のポリアミド酸。

(式中、Xは下記化学式5で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、
Yは下記化学式6で表わされる官能基の中から選択された1種以上を示し、
Zは下記化学式7又は下記化学式8で表わされる官能基の中から選択された1種以上の官能基を示し、
Z’は下記化学式9で表わされる官能基を示す。)


(式中、X、X、X、Xはそれぞれ独立に選ばれた−CH、−F及び−Hよりなる群から選択された置換基である。)


(式中、nは1〜10の整数である。)

(式中、A及びA’はそれぞれ独立に選ばれた単一結合又は−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−よりなる群から選択され、
Bは単一結合、又は2価のベンゼン環

mは1〜3であり、
nは2又は3であり、
Gは単一結合(mが1の場合)、
3価のベンゼン環

又は4価のベンゼン環

であり、
Rは炭素数1〜30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基又はフルオロアルキル基である。)
【請求項5】
前記ポリアミド酸の平均分子量が5,000〜500,000であることを特徴とする、請求項3又は4に記載のポリアミド酸。
【請求項6】
前記ポリアミド酸に含まれる全体ジアミン単量体に対し、化学式1のジアミンの含量が0.1〜100モル%であり、芳香族環状ジアミンの含量が0〜99.9モル%であることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載のポリアミド酸。
【請求項7】
前記ポリアミド酸に含まれる全体酸二無水物に対し、脂肪族環状酸二無水物の含量が5〜90モル%であり、芳香族環状酸二無水物の含量が10〜95モル%であることを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載のポリアミド酸。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれかに記載のポリアミド酸を部分的又は全体的にイミド化させて収得したポリイミド化合物。
【請求項9】
請求項3〜8のいずれかに記載のポリアミド酸、請求項8に記載のポリイミド、請求項3〜8のいずれかに記載のポリアミド酸と請求項8に記載のポリアミドとの混合物よりなる群から選択される物質を全体的又は部分的にイミド化させて得られた液晶配向膜。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶配向膜を含む液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−188650(P2006−188650A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252909(P2005−252909)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(505122313)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】Cheil Industries Inc.
【Fターム(参考)】