説明

データ交換システムおよびデータ交換方法

【課題】異なる地点に存在する使用者が複雑な操作を行うことなく直感的な操作でデータを交換を行うことを可能にするデータ交換システムおよびデータ交換方法を提供する。
【解決手段】データ交換装置100Aの所定範囲内で立体ディスプレイ30Aを把持する使用者Sがデータ交換のための操作を行ったと判別されかつデータ交換装置100Bの所定範囲内で立体ディスプレイ30Bを把持する使用者Rがデータ交換のための操作を行ったと判別された場合に、制御装置10Aは、立体ディスプレイ30Aに表示される立体映像Gに対応する形状データを立体ディスプレイ30Bに与え、立体ディスプレイ30Bに表示される立体映像Hに対応する形状データを立体ディスプレイ30Aに与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを交換するデータ交換システムおよびデータ交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、種々の方法でデータの交換が行われている。例えば、携帯電話等のデバイス間で電話番号またはメールアドレス等のデータを交換する場合、赤外線による無線通信を用いることができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−177876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような赤外線による無線通信は、一方の使用者と他方の使用者とが直接対面できるような比較的近距離にいる場合には有効である。しかしながら、一方の使用者と他方の使用者とが離れた地点にいる場合には、赤外線による無線通信はデータ交換に利用することができない。
【0005】
両者が使用するデバイスがそれぞれネットワークに接続される場合には、ネットワークを介してデータを交換することが可能である。しかしながら、この場合には、上記の赤外線による無線通信のように簡単な操作でデータを交換することはできない。また、名刺交換のように両者が対面して直感的にデータを交換することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、異なる地点に存在する使用者が複雑な操作を行うことなく直感的な操作でデータの交換を行うことを可能にするデータ交換システムおよびデータ交換方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の発明に係るデータ交換システムは、第1の地点の第1の使用者と第2の地点の第2の使用者との間でデータを交換するデータ交換システムであって、第1の地点に設けられる第1のデータ交換装置と、第2の地点に設けられる第2のデータ交換装置と、第1のデータ交換装置と第2のデータ交換装置との間でのデータ交換を制御する制御手段とを備え、第1のデータ交換装置は、映像を表示する第1の映像表示装置と、データを保持する第1のデータ保持装置と、第1の映像表示装置の第1の所定範囲内で第1のデータ保持装置を把持する第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを判別する第1の判別手段と、第1の映像表示装置の第1の所定範囲内で第1のデータ保持装置を把持する第1の使用者を撮像する第1の撮像手段とを備え、第2のデータ交換装置は、映像を表示する第2の映像表示装置と、データを保持する第2のデータ保持装置と、第2の映像表示装置の第2の所定範囲内で第2のデータ保持装置を把持する第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを判別する第2の判別手段と、第2の映像表示装置の第2の所定範囲内で第2のデータ保持装置を把持する第2の使用者を撮像する第2の撮像手段とを備え、制御手段は、第1の撮像手段により得られた映像を第2の映像表示装置に表示させ、第2の撮像手段により得られた映像を第1の映像表示装置に表示させ、第1の映像表示装置の第1の所定範囲内で第1のデータ保持装置を把持する第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったと第1の判別手段により判別された場合に第1のデータ保持装置により保持されるデータを第2のデータ保持装置に与え、第2の映像表示装置の第2の所定範囲内で第2のデータ保持装置を把持する第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったと第2の判別手段により判別された場合に第2のデータ保持装置により保持されるデータを第1のデータ保持装置に与えるものである。
【0008】
第1の発明に係るデータ交換システムにおいては、第1のデータ交換装置が第1の地点に設けられ、第2のデータ交換装置が第2の地点に設けられ、制御手段により第1のデータ交換装置と第2のデータ交換装置との間でのデータ交換が制御される。
【0009】
第1のデータ交換装置においては、第1の映像表示装置の第1の所定範囲内で第1のデータ保持装置を把持する第1の使用者が第1の撮像手段により撮像される。一方、第2のデータ交換装置においては、第2の映像表示装置の第2の所定範囲内で第2のデータ保持装置を把持する第2の使用者が第2の撮像手段により撮像される。
【0010】
第1の地点の第1の撮像手段により得られた映像は、制御手段により第2の地点の第2の映像表示装置に与えられる。それにより、第2の映像表示装置には、第1の地点で第1のデータ保持装置を把持する第1の使用者の映像が表示される。また、第2の地点の第2の撮像手段により得られた映像は、制御手段により第1の地点の第1の映像表示装置に与えられる。それにより、第1の映像表示装置には、第2の地点で第2のデータ保持装置を把持する第2の使用者の映像が表示される。
【0011】
この状態で、第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かが第1の判別手段により判別され、第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かが第2の判別手段により判別される。第1の使用者がデータ交換のための操作を行った場合には第1のデータ保持装置により保持されるデータが制御手段により第2のデータ保持装置に与えられ、第2の使用者がデータ交換のための操作を行った場合には第2のデータ保持装置により保持されるデータが制御手段により第1のデータ保持装置に与えられる。
【0012】
それにより、第1の地点の第1の使用者と第2の地点の第2の使用者とが、互いに擬似的に対面した状態で相手の動作を確認しつつ、それぞれ把持する第1および第2のデータ保持装置のデータを交換することができる。その結果、異なる地点に存在する使用者が複雑な操作を行うことなく直感的な操作でデータの交換を行うことが可能となる。
【0013】
(2)第1の判別手段は、第1の使用者が第1の映像表示装置の第1の所定範囲内に存在するか否かを検出する第1の人物検出手段と、第1の使用者が第1のデータ保持装置を把持しているか否かを検出する第1の把持検出手段と、第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを検出する第1の操作検出手段とを含み、第2の使用者が第2の映像表示装置の第2の所定範囲内に存在するか否かを検出する第2の人物検出手段と、第2の使用者が第2のデータ保持装置を把持しているか否かを検出する第2の把持検出手段と、第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを検出する第2の操作検出手段とを含んでもよい。
【0014】
この場合、第1の使用者が第1の映像表示装置の第1の所定範囲内に存在するか否かが第1の人物検出手段により検出され、第1の使用者が第1のデータ保持装置を把持しているか否かが第1の把持検出手段により検出され、第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かが第1の操作検出手段により検出される。この結果、第1の地点にて第1の映像表示装置の第1の所定範囲内で第1のデータ保持装置を把持する第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを判別することが可能となる。
【0015】
一方、第2の使用者が第2の映像表示装置の第2の所定範囲内に存在するか否かが第2の人物検出手段により検出され、第2の使用者が第2のデータ保持装置を把持しているか否かが第1の把持検出手段により検出され、第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かが第2の操作検出手段により検出される。この結果、第2の地点にて第2の映像表示装置の第2の所定範囲内で第2のデータ保持装置を把持する第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを判別することが可能となる。
【0016】
(3)第1の人物検出手段は、第1の撮像手段により得られる映像に基づいて第1の使用者が第1の映像表示装置の第1の所定範囲内に存在するか否かを検出し、第2の人物検出手段は、第2の撮像手段により得られる映像に基づいて第2の使用者が第2の映像表示装置の第2の所定範囲内に存在するか否かを検出してもよい。
【0017】
この場合、第1の使用者が第1の映像表示装置の第1の所定範囲内に存在するか否かを第1の撮像手段により得られる映像に基づいて検出することが可能となる。このように、第1の使用者が第1の映像表示装置の第1の所定範囲内に存在するか否かを検出するために第1の撮像手段を利用することができるので、第1のデータ交換装置の低コスト化が可能となる。
【0018】
一方、第2の使用者が第2の映像表示装置の第2の所定範囲内に存在するか否かを第2の撮像手段により得られる映像に基づいて検出することが可能となる。このように、第2の使用者が第2の映像表示装置の第2の所定範囲内に存在するか否かを検出するために第2の撮像手段を利用することができるので、第2のデータ交換装置の低コスト化が可能となる。
【0019】
(4)第1の把持検出手段は、第1の撮像手段により得られる映像に基づいて第1の使用者が第1のデータ保持装置を把持しているか否かを検出し、第2の把持検出手段は、第2の撮像手段により得られる映像に基づいて第2の使用者が第2のデータ保持装置を把持しているか否かを検出してもよい。
【0020】
この場合、第1の使用者が第1のデータ保持装置を把持しているか否かを第1の撮像手段により得られる映像に基づいて検出することが可能となる。このように、第1の使用者が第1のデータ保持装置を把持しているか否かを検出するために第1の撮像手段を利用することができるので、第1のデータ交換装置の低コスト化が可能となる。
【0021】
一方、第2の使用者が第2のデータ保持装置を把持しているか否かを第2の撮像手段により得られる映像に基づいて検出することが可能となる。このように、第2の使用者が第2のデータ保持装置を把持しているか否かを検出するために第2の撮像手段を利用することができるので、第2のデータ交換装置の低コスト化が可能となる。
【0022】
(5)第1の操作検出手段は、第1の撮像手段により得られる映像に基づいて第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを検出し、第2の操作検出手段は、第2の撮像手段により得られる映像に基づいて第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを検出してもよい。
【0023】
この場合、第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを第1の撮像手段により得られる映像に基づいて検出することが可能となる。このように、第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを検出するために第1の撮像手段を利用することができるので、第1のデータ交換装置の低コスト化が可能となる。
【0024】
一方、第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを第2の撮像手段により得られる映像に基づいて検出することが可能となる。このように、第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを検出するために第2の撮像手段を利用することができるので、第2のデータ交換装置の低コスト化が可能となる。
【0025】
(6)第1の人物検出手段は、第1の使用者が第1の映像表示装置に接触したことを検出する第1の接触検出手段を含み、第1の接触検出手段の検出結果に基づいて第1の使用者が第1の映像表示装置の第1の所定範囲内に存在するか否かを検出し、第2の人物検出手段は、第2の使用者が第2の映像表示装置に接触したことを検出する第2の接触検出手段を含み、第2の接触検出手段の検出結果に基づいて第2の使用者が第2の映像表示装置の第2の所定範囲内に存在するか否かを検出してもよい。
【0026】
この場合、第1の使用者が第1の映像表示装置に接触したか否かに基づいて、第1の使用者が第1の映像表示装置の第1の所定範囲内に存在するか否かを容易に検出することが可能となる。
【0027】
一方、第2の使用者が第2の映像表示装置に接触したか否かに基づいて、第2の使用者が第2の映像表示装置の第2の所定範囲内に存在するか否かを容易に検出することが可能となる。
【0028】
(7)第1の把持検出手段は、第1の使用者が第1のデータ保持装置に接触したことを検出する第3の接触検出手段を含み、第3の接触検出手段の検出結果に基づいて第1の使用者が第1のデータ保持装置を把持しているか否かを検出し、第2の把持検出手段は、第2の使用者が第2のデータ保持装置に接触したことを検出する第4の接触検出手段を含み、第4の接触検出手段の検出結果に基づいて第2の使用者が第2のデータ保持装置を把持しているか否かを検出してもよい。
【0029】
この場合、第1の使用者が第1のデータ保持装置に接触したか否かに基づいて、第1の使用者が第1のデータ保持装置を把持しているか否かを容易に検出することが可能となる。
【0030】
一方、第2の使用者が第2のデータ保持装置に接触したか否かに基づいて、第2の使用者が第2のデータ保持装置を把持しているか否かを容易に検出することが可能となる。
【0031】
(8)第1のデータ保持装置は、保持するデータに基づいて映像を表示する第3の映像表示装置を含み、第2のデータ保持装置は、保持するデータに基づいて映像を表示する第4の映像表示装置を含んでもよい。
【0032】
この場合、第1の地点で第1の使用者により把持される第3の映像表示装置に映像が表示され、第2の地点で第2の使用者により把持される第4の映像表示装置に映像が表示される。第1の地点の第3の映像表示装置およびそれに表示される映像は第2の地点の第2の映像表示装置に表示され、第2の地点の第4の映像表示装置およびそれに表示される映像は第1の地点の第1の映像表示装置に表示される。この状態で、第1の使用者がデータ交換のための操作を行いかつ第2の使用者がデータ交換のための操作を行った場合には、第3の映像表示装置により保持されるデータが第4の映像表示装置に与えられ、第4の映像表示装置により保持されるデータが第3の映像表示装置に与えられる。それにより、第3の映像表示装置に表示される映像と第4の映像表示装置に表示される映像とが交換される。その結果、異なる地点に存在する使用者が複雑な操作を行うことなく直感的な操作で映像の交換を行うことが可能となる。
【0033】
(9)第1のデータ保持装置に保持されるデータおよび第2のデータ保持装置に保持されるデータは、映像データ、音声データおよびテキストデータのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0034】
この場合、異なる地点に存在する使用者が複雑な操作を行うことなく直感的な操作で映像データ、音声データおよびテキストデータのうち少なくとも1つを交換することが可能となる。
【0035】
(10)第2の発明に係るデータ交換方法は、第1の地点の第1の使用者と第2の地点の第2の使用者との間でデータを交換するデータ交換方法であって、第1の地点において、第1の撮像手段により第1の映像表示装置の第1の所定範囲内で、データを保持する第1のデータ保持装置を把持する第1の使用者を撮像するステップと、第2の地点において、第2の撮像手段により第2の映像表示装置の第2の所定範囲内で、データを保持する第2のデータ保持装置を把持する第2の使用者を撮像するステップと、第1の撮像手段により得られた映像を第2の映像表示装置に表示させるステップと、第2の撮像手段により得られた映像を第1の映像表示装置に表示させるステップと、第1の映像表示装置の第1の所定範囲内で第1のデータ保持装置を把持する第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを判別するステップと、第2の映像表示装置の第2の所定範囲内で第2のデータ保持装置を把持する第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを判別するステップと、第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったと判別された場合に第1のデータ保持装置により保持されるデータを第2のデータ保持装置に与え、第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったと判別された場合に第2のデータ保持装置により保持されるデータを第1のデータ保持装置に与えるステップとを備えるものである。
【0036】
第2の発明に係るデータ交換方法においては、第1の撮像手段により第1の映像表示装置の第1の所定範囲内で第1のデータ保持装置を把持する第1の使用者が撮像され、第2の撮像手段により第2の映像表示装置の第2の所定範囲内で第2のデータ保持装置を把持する第2の使用者が撮像される。
【0037】
第1の地点の第1の撮像手段により得られた映像は、第2の地点の第2の映像表示装置に与えられる。それにより、第2の映像表示装置には、第1の地点で第1のデータ保持装置を把持する第1の使用者の映像が表示される。また、第2の地点の第2の撮像手段により得られた映像は、第1の地点の第1の映像表示装置に与えられる。それにより、第1の映像表示装置には、第2の地点で第2のデータ保持装置を把持する第2の使用者の映像が表示される。
【0038】
この状態で、第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かが判別され、第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かが判別される。第1の使用者がデータ交換のための操作を行った場合には第1のデータ保持装置により保持されるデータが第2のデータ保持装置に与えられ、第2の使用者がデータ交換のための操作を行った場合には第2のデータ保持装置により保持されるデータが第1のデータ保持装置に与えられる。
【0039】
それにより、第1の地点の第1の使用者と第2の地点の第2の使用者とが、互いに擬似的に対面した状態で相手の動作を確認しつつ、それぞれ把持する第1および第2のデータ保持装置のデータを交換することができる。その結果、異なる地点に存在する使用者が複雑な操作を行うことなく直感的な操作でデータの交換を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、異なる地点に存在する使用者が複雑な操作を行うことなく直感的な操作でデータの交換を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデータ交換システムを用いたデータの交換方法を示す模式的説明図である。
【図2】データ交換装置の構成を示す模式的外観図である。
【図3】図1のデータ交換システムの制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】平面ディスプレイと立体ディスプレイと使用者との相対的な位置関係の特定方法を示す模式的説明図である。
【図5】立体ディスプレイの構成を示す模式的外観図である。
【図6】立体表示面を構成する要素表示面を示す模式的断面図である。
【図7】立体データを表示するための立体映像データの作成方法を説明するための図である。
【図8】立体映像データに基づいて立体ディスプレイの空間光変調器に表示されるデータを説明するための図である。
【図9】制御装置の主制御部の動作を示すフローチャートである。
【図10】制御装置の主制御部の動作を示すフローチャートである。
【図11】制御装置の主制御部の動作を示すフローチャートである。
【図12】平面ディスプレイの構成の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態に係るデータ交換システムおよびデータ交換方法について説明する。
【0043】
(1)データ交換方法
まず、本発明の理解を容易にするためにデータ交換システムを用いたデータ交換方法の例を説明する。
【0044】
図1は本発明の一実施の形態に係るデータ交換システムを用いたデータ交換方法の例を示す模式的説明図である。
【0045】
図1(a)〜(c)に示すように、データ交換システム1は、地点PAに設けられたデータ交換装置100Aおよび地点PBに設けられたデータ交換装置100Bを備える。データ交換装置100Aは平面ディスプレイ20Aおよび立体ディスプレイ30Aを含む。一方、データ交換装置100Bは平面ディスプレイ20Bおよび立体ディスプレイ30Bを含む。
【0046】
図1(a)に示すように、地点PAにおいて、立体ディスプレイ30Aには立体映像Gが表示されている。使用者Sは、平面ディスプレイ20Aの前に立ち、立体映像Gが表示された立体ディスプレイ30Aを把持する。一方、地点PBにおいて、立体ディスプレイ30Bには立体映像Hが表示されている。使用者Rは、平面ディスプレイ20Bの前に立ち、立体映像Hが表示された立体ディスプレイ30Bを把持する。
【0047】
この場合、平面ディスプレイ20Aには、地点PBの使用者Rおよび立体ディスプレイ30Bの映像が表示される。一方、平面ディスプレイ20Bには、地点PAの使用者Sおよび立体ディスプレイ30Aの映像が表示される。
【0048】
次に、図1(b)に示すように、地点PAにおいて、使用者Sが、平面ディスプレイ20Aに接近し、把持している立体ディスプレイ30Aを用いて映像データ交換のための操作を行う。一方、地点PBにおいて、使用者Rが、平面ディスプレイ20Bに接近し、把持している立体ディスプレイ30Bを用いてデータ交換のための操作を行う。ここで、データ交換のための操作とは、所定の方法で立体ディスプレイ30A,30Bを動かす操作である。例えば、データ交換のための操作は、立体ディスプレイ30A,30Bを弧を描くように動かす操作、または立体ディスプレイ30A,30Bを平面ディスプレイ20A,20Bに接触させる動作等である。
【0049】
これにより、地点PAの立体ディスプレイ30Aに表示される立体映像Gに対応する形状データが地点PBの立体ディスプレイ30Bに送信される。また、地点PBの立体ディスプレイ30Bに表示される立体映像Hに対応する形状データが地点PAの立体ディスプレイ30Aに送信される。その結果、図1(c)に示すように、地点PBの立体ディスプレイ30Bに立体映像Gが表示され、地点PBの立体ディスプレイ30Bに立体映像Hが表示される。
【0050】
このようにして、地点PAの立体ディスプレイ30Aと地点PBの立体ディスプレイ30Bとの間で形状データの交換が行われる。
【0051】
この場合、地点PAの使用者Sおよび地点PBの使用者Rは、平面ディスプレイ20Aおよび平面ディスプレイ20Bにそれぞれ表示された相手の映像および立体ディスプレイ30A,30Bの映像を見ながらデータ交換のための操作を行うことができる。したがって、使用者Sと使用者Rとが直接対面している場合と同様に、直感的な操作で映像データの交換を行うことが可能となる。
【0052】
(2)データ交換装置の構成
次に、データ交換装置100A,100Bの構成について説明する。図2はデータ交換装置100A,100Bの構成を示す模式的外観図である。
【0053】
図2に示すように、データ交換装置100Aは、制御装置10A、平面ディスプレイ20A、立体ディスプレイ30Aおよび複数の観測装置41A,42A,43Aを備える。
【0054】
また、データ交換装置100Bは、制御装置10B、平面ディスプレイ20B、立体ディスプレイ30Bおよび複数の観測装置41A,42A,43Aを備える。
【0055】
平面ディスプレイ20A,20Bは、平面映像を表示する長方形の画面を有する。平面ディスプレイ20Aの前面の上部両端の角部近傍にそれぞれ赤外線を発光する素子(以下、赤外線素子と呼ぶ)23A,24Aが取り付けられる。同様に、平面ディスプレイ20Bの前面の上部両端の角部近傍にそれぞれ赤外線素子23B,24Bが取り付けられる。
【0056】
立体ディスプレイ30A,30Bは、立方体形状を有し、立体映像を表示する。立体ディスプレイ30Aの1つの角部近傍には、赤外線素子34Aが取り付けられる。また、立体ディスプレイ30Aの表面には、タッチセンサ33(図3参照)が設けられる。同様に、立体ディスプレイ30Bの1つの角部近傍には、赤外線素子34Bが取り付けられる。また、立体ディスプレイ30Bの表面には、タッチセンサが設けられる。
【0057】
また、立体ディスプレイ30A,30Bは、使用者S,Rが容易に持ち運びできるサイズを有する。本実施の形態では、立体ディスプレイ30A,30Bの一面の一辺の長さは、平面ディスプレイ20A,20Aの画面の縦横の長さよりも小さい。
【0058】
使用者Sには、赤外線素子51Aが取り付けられ、使用者Rには、赤外線素子51Bが取り付けられる。
【0059】
平面ディスプレイ20Aの前面側の上方に、赤外線素子23A,24Aを撮像するように複数の観測装置が配置される。本実施の形態では、2つの観測装置41A,42Aが用いられる。また、観測装置41A,42Aは、立体ディスプレイ30Aが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に位置する場合に赤外線素子34A,51Aを撮像する。
【0060】
また、平面ディスプレイ20Aの上部の中央に、観測装置43Aが取り付けられる。観測装置43Aは、立体ディスプレイ30Aおよび使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在する場合、立体ディスプレイ30Aおよび使用者Sを撮像する。
【0061】
同様に、平面ディスプレイ20Bの前面側の上方に、赤外線素子23B,24Bを撮像するように複数の観測装置が配置される。本実施の形態では、2つの観測装置41B,42Bが用いられる。また、観測装置41B,42Bは、立体ディスプレイ30Bが平面ディスプレイ20Bの前方の所定範囲内に位置する場合に赤外線素子34B,51Bを撮像する。
【0062】
また、平面ディスプレイ20Bの上部の中央に、観測装置43Bが取り付けられる。観測装置43Bは、立体ディスプレイ30Bおよび使用者Rが平面ディスプレイ20Bの前方の所定範囲内に存在位置する場合、立体ディスプレイ30Bおよび使用者Rを撮像する。
【0063】
観測装置41A,42A,43A,41B,42B,43Bは、例えば赤外線を検出可能なカメラからなる。
【0064】
制御装置10Aと制御装置10Bとは、有線通信、無線通信またはネットワークにより互いに接続される。
【0065】
制御装置10Aは、立体映像を表示するための形状データを記憶し、記憶した形状データの一部または全てを立体ディスプレイ30Aに与える。また、制御装置10Aは、制御装置10Bから送信される形状データを受信し、立体ディスプレイ30Aに与える。立体ディスプレイ30Aは、制御装置10Aから与えられる形状データに基づいて立体映像を表示する。また、制御装置10Aは、制御装置10Bから送信される映像データを受信し、平面ディスプレイ20Aに与える。平面ディスプレイ20Aは、制御装置10Aから与えられる映像データに基づいて平面映像を表示する。
【0066】
また、制御装置10Aは、観測装置41A〜43Aにより得られる赤外線素子23A,24A,34A,51Aの発光点の映像に基づいて、平面ディスプレイ20Aに対する立体ディスプレイ30Aおよび使用者Sの相対的な三次元座標を特定することができる。それにより、制御装置10Aは、使用者Sおよび立体ディスプレイ30Aが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在すること、使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持していること、および使用者Sがデータ交換のための操作を行ったことを検出する。
【0067】
同様に、制御装置10Bは、立体映像を表示するための形状データを記憶し、記憶した形状データの一部または全てを立体ディスプレイ30Bに与える。また、制御装置10Bは、制御装置10Aから送信される形状データを受信し、立体ディスプレイ30Bに与える。立体ディスプレイ30Bは、制御装置10Bから与えられる形状データに基づいて立体映像を表示する。また、制御装置10Bは、制御装置10Aから送信される映像データを受信し、平面ディスプレイ20Bに与える。平面ディスプレイ20Aは、制御装置10Bから与えられる映像データに基づいて平面映像を表示する。
【0068】
また、制御装置10Bは、観測装置41B〜43Bにより得られる赤外線素子23B,24B,34B,51Bの発光点の映像に基づいて、平面ディスプレイ20Bに対する立体ディスプレイ30Bおよび使用者Rの相対的な三次元座標を特定することができる。それにより、制御装置10Bは、使用者Rおよび立体ディスプレイ30Bが平面ディスプレイ20Bの前方の所定範囲内に存在すること、使用者Rが立体ディスプレイ30Bを把持していること、および使用者Rがデータ交換のための操作を行ったことを検出する。
【0069】
(3)データ交換システムの制御系
図3は図1のデータ交換システム1の制御系の構成を示すブロック図である。図3では、データ交換装置100Aの制御装置10A、平面ディスプレイ20Aおよび立体ディスプレイ30Aの詳細な構成が示されている。データ交換装置100Bの制御装置10B、平面ディスプレイ20Bおよび立体ディスプレイ30Bの構成は、データ交換装置100Aの制御装置10A、平面ディスプレイ20Aおよび立体ディスプレイ30Aの構成と同様である。
【0070】
また、本実施の形態では、データ交換装置100A,100Bがそれぞれ制御装置10A,10Bを有しているが、これに限定されない。例えば、データ交換装置100A,100Bが1つの共通の制御装置により制御される構成を有していてもよい。
【0071】
制御装置10Aは、主制御部11、形状データ記憶部12、メモリ13、入出力回路14、通信部15および接続部16を含む。平面ディスプレイ20Aは、表示部21、平面表示制御部22および入出力回路25を含む。立体ディスプレイ30Aは、立体表示面31、立体表示制御部32、タッチセンサ33および通信部35を含む。
【0072】
主制御部11は、例えばCPU(中央演算処理装置)からなる。メモリ13には、後述されるデータ交換処理を行うためのデータ交換プログラムが格納される。また、メモリ13は、主制御部11の作業領域として用いられる。形状データ記憶部12は形状データを記憶する。
【0073】
制御装置10Aの入出力回路14は、平面ディスプレイ20Aの入出力回路25に接続される。
【0074】
制御装置10Aの主制御部11は、形状データ記憶部12に記憶された形状データを、入出力回路14を介して平面ディスプレイ20Aに与える。また、主制御部11は、赤外線素子23A,24Aの発光を制御するための制御信号を、入出力回路14を介して平面ディスプレイ20Aに与える。
【0075】
制御装置10Aの通信部15と立体ディスプレイ30Aの通信部35とは無線通信によりデータおよび信号を送受信する。
【0076】
制御装置10Aの主制御部11は、形状データ記憶部12に記憶された形状データ、またはデータ交換装置100Bから送信される形状データを、通信部15を介して立体ディスプレイ30Aに送信する。また、主制御部11は、赤外線素子34Aの発光を制御するための制御信号を、通信部15を介して立体ディスプレイ30Aに送信する。さらに、主制御部11は、立体ディスプレイ30Aから送信されるタッチセンサ33の検出信号を、通信部15を介して受信する。これにより、主制御部11は、使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持していることを検出する。
【0077】
制御装置10Aの主制御部11は、観測装置41A〜43Aにより得られる映像データを、入出力回路14を介して取得する。それにより、主制御部11は、観測装置41A,42Aにより得られる映像データから、平面ディスプレイ20Aに対する使用者Sおよび立体ディスプレイ30Aの相対的な三次元座標を特定する。それにより、使用者Sおよび立体ディスプレイ30Aが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在することを検出する。
【0078】
なお、本実施の形態では、使用者Sおよび立体ディスプレイ30Aの存在は、観測装置41A,42Aにより得られる映像データに基づいて検出されるが、これに代えて、観測装置43Aにより得られる映像データに基づいて使用者Sおよび立体ディスプレイ30Aの存在が検出されてもよい。
【0079】
制御装置10Aの主制御部11は、観測装置43Aにより得られる映像データを接続部16を介してデータ交換装置100Bに送信する。また、主制御部11は、データ交換装置100Bから送信される映像データを接続部16を介して受信する。
【0080】
さらに、主制御部11は、使用者Sがデータ交換のための操作を行った場合、立体ディスプレイ30Aに表示される立体映像に対応する形状データを接続部16を介してデータ交換装置100Bに送信する。また、主制御部11は、立体ディスプレイ30Bに表示される立体映像に対応する形状データをデータ交換装置100Bから接続部16を介して受信する。
【0081】
平面ディスプレイ20Aの表示部21は、例えば液晶ディスプレイ、またはプラズマディスプレイ等からなる。平面表示制御部22は、例えばCPUからなる。
【0082】
平面表示制御部22は、制御装置10Aから与えられる映像データを、入出力回路25を介して取得する。平面表示制御部22は、取得した映像データを保持するとともに表示部21に与える。それにより、表示部21に平面ディスプレイ20Bの前方の所定範囲内の映像が表示される。
【0083】
また、平面表示制御部22は、制御装置10Aから与えられる制御信号を、入出力回路25を介して取得する。取得した制御信号に基づいて、平面表示制御部22は、赤外線素子23A,24Aを発光させる。
【0084】
なお、本実施の形態では、赤外線素子23A,24Aは、制御装置10Aの制御により発光するが、赤外線素子23A,24Aが制御装置10Aにより制御されずに平面ディスプレイ20Aの動作時に発光してもよい。
【0085】
立体ディスプレイ30Aの立体表示面31の構成については後述する。立体表示制御部32は、例えばCPUからなる。
【0086】
立体表示制御部32は、制御装置10Aから与えられる形状データを、通信部35を介して取得する。立体表示制御部32は、取得した形状データを立体映像データに変換し、立体表示面31に与える。それにより、立体表示面31に立体映像が表示される。
【0087】
また、立体表示制御部32は、制御装置10Aから与えられる制御信号を、通信部35を介して受信する。受信した制御信号に基づいて、立体表示制御部32は、赤外線素子34Aを発光させる。
【0088】
なお、本実施の形態では、赤外線素子34Aは、制御装置10Aの制御により発光するが、赤外線素子34Aが制御装置10Aにより制御されずに立体ディスプレイ30Aの動作時に発光してもよい。
【0089】
使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持すると、タッチセンサ33により、検出信号が出力される。立体表示制御部32は、タッチセンサ33から取得する検出信号を、通信部35を介して制御装置10Aに与える。
【0090】
(4)平面ディスプレイと立体ディスプレイと使用者との相対的な位置関係の特定方法
図4は平面ディスプレイ20Aと立体ディスプレイ30Aと使用者Sとの相対的な位置関係の特定方法を示す模式的説明図である。
【0091】
図4(a)は、2つの観測装置41A,42Aにより平面ディスプレイ20Aの赤外線素子23A,24Aの発光点、立体ディスプレイ30の赤外線素子34Aの発光点、および使用者Sの赤外線素子51Aが撮像される状態を示す。また、図4(b)は観測装置41Aの視野を示し、図4(c)は観測装置42Aの視野を示す。
【0092】
図4(a)において、観測装置41A,42Aの視野がそれぞれ仮想平面VP1,VP2で示される。観測装置41Aの観測中心点C1と立体ディスプレイ30Aの赤外線素子34Aの発光点とを結ぶ直線L1が仮想平面VP1と交わる点をI1cとする。また、観測装置42Aの観測中心点C2と立体ディスプレイ30の赤外線素子34Aの発光点とを結ぶ直線L2が仮想平面VP2と交わる点をI2cとする。
【0093】
図4(b)に示す仮想平面VP1上の点I1cの二次元座標は、観測装置41Aにより得られる映像から特定される。図4(c)に示す仮想平面VP2上の点I2cの二次元座標は、観測装置42Aにより得られる映像から特定される。
【0094】
観測装置41A,42Aの位置および向きならびに点I1c,I2cの二次元座標に基づいて赤外線素子34Aの相対的な三次元座標を特定することができる。
【0095】
同様にして、観測装置41Aの観測中心点C1と平面ディスプレイ20Aの赤外線素子23Aの発光点とを結ぶ直線が仮想平面VP1と交わる点をI1aとし、観測装置42Aの観測中心点C2と平面ディスプレイ20Aの赤外線素子23Aの発光点とを結ぶ直線が仮想平面VP2と交わる点をI2aとする。
【0096】
また、観測装置41Aの観測中心点C1と平面ディスプレイ20Aの赤外線素子24Aの発光点とを結ぶ直線が仮想平面VP1と交わる点をI1bとし、観測装置42Aの観測中心点C2と平面ディスプレイ20Aの赤外線素子24Aの発光点とを結ぶ直線が仮想平面VP2と交わる点をI2bとする。
【0097】
さらに、観測装置41Aの観測中心点C1と使用者Sの赤外線素子51Aの発光点とを結ぶ直線が仮想平面VP1と交わる点をI1dとし、観測装置42Aの観測中心点C2と使用者Sの赤外線素子51Aの発光点とを結ぶ直線が仮想平面VP2と交わる点をI2dとする。
【0098】
図4(b)に示す仮想平面VP1上の点I1a,I1b,I1dの二次元座標は、観測装置41Aにより得られる映像から特定される。図4(c)に示す仮想平面VP2上の点I2a,I2b,I2dの二次元座標は、観測装置42Aにより得られる映像から特定される。
【0099】
観測装置41A,42Aの位置および向きならびに点I1a,I2aの二次元座標に基づいて赤外線素子23Aの相対的な三次元座標を特定することができる。また、観測装置41A,42Aの位置および向きならびに点I1b,I2bの二次元座標に基づいて赤外線素子24Aの相対的な三次元座標を特定することができる。観測装置41A,42Aの位置および向きならびに点I1d,I2dの二次元座標に基づいて赤外線素子51Aの相対的な三次元座標を特定することができる。
【0100】
平面ディスプレイ20Aの画面は設置面に垂直に設けられるものとする。また、平面ディスプレイ20Aの画面の縦の長さは既知である。この場合、赤外線素子23A,24Aの三次元座標から平面ディスプレイ20Aの画面の三次元空間内の位置を一意に特定することができる。
【0101】
このようにして、制御装置10Aは、観測装置41A,42Aにより得られる映像に基づいて立体ディスプレイ30Aおよび使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在することを検出するとともに、平面ディスプレイ20Aに対する立体ディスプレイ30Aの相対的な三次元座標を特定することができる。
【0102】
なお、平面ディスプレイ20Aの画面が垂直に設けられていない場合、または平面ディスプレイ20Aの縦の長さが既知でない場合には、平面ディスプレイ20Aに3つ以上の赤外線素子を取り付けることが好ましい。
【0103】
(5)立体ディスプレイの構成
次に、立体ディスプレイ30Aの構成について説明する。図5は立体ディスプレイ30Aの構成を示す模式的外観図である。
【0104】
図5に示すように、立体ディスプレイ30Aは、立体的な外面を有する立体表示面31を備える。立体表示面31は、複数の要素表示面31aを結合させることにより構成される。本実施の形態では、立体表示面31は、正方形の6枚の要素表示面31aにより立方体に構成される。立体表示面31で囲まれる仮想空間Vの内部には立体映像Gが表示される。
【0105】
図6は立体表示面31を構成する要素表示面31aを示す模式的断面図である。図6に示すように、要素表示面31aは、平面状の空間光変調器31c、平面状の光線制御子31dおよび透明外皮層31eにより構成される。
【0106】
空間光変調器31cは、マトリクス状に色を表示することができるマトリクス表示素子からなる。この空間光変調器31cは、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。空間光変調器31cとして、例えば液晶ディスプレイまたは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等を用いることができる。
【0107】
光線制御子31dは、光線の方向を制御することができる光学素子からなり、空間光変調器31cから様々な方向へ向かう光の状態を再現させる機能を有する。本実施の形態では、光線制御子31dとして、複数のレンズからなるレンズアレイが用いられる。レンズアレイの代わりに、複数の回折格子からなる回折格子アレイを用いてもよい。また、光線制御子31dとして、複数のピンホールを有するピンホールアレイ、または複数のプリズムからなるプリズムアレイ等を用いることもできる。
【0108】
光線制御子31dの各レンズにより、空間光変調器31cの複数の画素からの光線の方向が制御される。各レンズには、その下部に位置する画素群が対応する。各レンズが対応する画素群のみからの光線の方向を制御することができるように、空間光変調器31cと光線制御子31dとの間に隣接するレンズ間を仕切る遮光部材31fが設けられてもよい。なお、レンズと画素群との距離を調整するなどの他の方法により、各レンズがその下部に位置する画素群のみからの光線の方向を制御するように構成してもよい。
【0109】
光線制御子31dにより制御可能な光線の数および光線の方向は、各レンズの下部に位置する画素の数、レンズと画素との距離およびレンズの屈折率等のレンズの光学的な設計等により決まる。
【0110】
図6に示すように、光線制御子31dのレンズLは、空間光変調器31cの画素Pa,Pb,Pc,Pdから種々の方向へ向かう光をそれぞれ点線で示す方向に制御する。
【0111】
要素表示面31aに沿ってタッチセンサ33が設けられる。タッチセンサ33は、例えば触覚センサアレイからなる。触覚センサアレイは、マトリクス状に配列された複数の触覚センサ素子からなる。触覚センサ素子としては、人または物が接触したことを検出することができる種々の触角センサを用いることができる。
【0112】
本実施の形態では、タッチセンサ33は、レンズアレイのレンズ間に埋め込まれた複数の触覚センサ素子により構成される。例えば、触覚センサ素子としては、圧電効果による電圧変化を検出する圧電素子(ピエゾ素子)、歪を検出する歪ゲージ、静電容量の変化を検出する可変容量素子を用いることができる。また、指により遮光される光を検出するフォトダイオード等の光検出素子、温度変化を検出する熱検出素子等を用いることもできる。
【0113】
また、タッチセンサ33として、触覚センサアレイの代わりに、シート状の透明の触覚センサを用いてもよい。その場合、透明の触覚センサは光線制御子31dに重ねて配置される。例えば、触覚センサ素子としては、光ファイバへの通光状態の変化を検出するシート状光検出素子、接触部位の静電容量の変化を検出するシート状可変容量素子、または電極間の通電状態により接触を検出する導電シート等を用いることができる。
【0114】
本実施の形態では、タッチセンサ33は、使用者Sが要素表示面31aに触れたときに検出信号を出力する。光線制御子31dおよびタッチセンサ33は、例えば透明の樹脂からなる透明外皮層31e内に埋め込まれる。
【0115】
(6)立体映像データの作成方法
立体ディスプレイ30Aに立体映像Gを表示するための立体映像データの作成方法について説明する。図7は立体映像Gを表示するための立体映像データの作成方法を説明するための図である。図7においては、タッチセンサ33の図示が省略されている。
【0116】
要素表示面31aの内側の仮想空間V内に視覚されるべき立体映像Gを定義する。この立体映像Gは形状データにより表される。立体映像Gの表面の任意の点において、任意の方向へ向かう光線を考える。要素表示面31aと立体映像Gとの間の位置関係は形状データの定義により一意に求まる。
【0117】
各光線が要素表示面31aと交差する際の交点の位置(座標)、光線と要素表示面31aとの角度、および色を求める。また、各光線がどの要素表示面31aのどの位置で交差するかを求める。最終的に、光線制御子31dにより上記の角度の方向へ向かう光線を再現するように、空間光変調器31cの各画素に交点の色を表示するための立体映像データを作成する。
【0118】
理想的には、立体映像Gの全表面から全方向に向かう光線について上記の交点の位置、角度および色を求め、各要素表示面31aに表示すべき映像を表す立体映像データを作成する。実際には、立体表示面31で囲まれる仮想空間Vを複数のボクセルに離散化するとともに、各ボクセルから発せられる光線の方向を離散化する。本実施の形態では、各ボクセルから発せられる光線の方向は、光線制御子31dにより離散化された方向に制御される。
【0119】
要素表示面31aの内側の仮想空間Vの1つのボクセルが立体映像Gの一部であれば、そのボクセルから離散化された方向に向かう光線を求める。このようにして、立体映像Gの表面上の複数のボクセルの各々から離散化された複数の方向に向かう光線と要素表示面31aとの交点を求めるとともに、光線と要素表示面31aとの角度、およびボクセルの色を求め、それらの交点、角度および色に基づいて立体映像データを作成する。
【0120】
例えば、図7に示すように、立体映像Gの表面上の1つのボクセルb1から発せられる光線は、光線制御子31dのレンズLにより点線の矢印の方向に向かうように制御される。これらの光線と要素表示面31aとの交点の画素にボクセルb1の色を表示させるように立体映像データを作成する。
【0121】
また、立体映像Gの表面上の他のボクセルb2から発せられる光線は、光線制御子31dのレンズLにより実線の矢印の方向に向かうように制御される。これらの光線と要素表示面31aとの交点の画素にボクセルb2の色を表示させるように立体映像データを作成する。
【0122】
上記の説明は、理解を容易にするために行ったが、実際には、光線制御子31dの各レンズLと空間光変調器31cの画素数との関係により再現可能な光線が制限されるため、上記の説明とは逆のアルゴリズムが用いられる。すなわち、光線制御子31dの各レンズLにより再現可能な光線を空間光変調器31cの画素を経由して逆に辿り、表示すべき立体映像Gとの交点のボクセルの色を求め、その色を画素に表示させる色と決定する。
【0123】
光線制御子31dのレンズLにより再現可能な一本の光線が立体映像Gの複数のボクセルと交差する場合には、より要素表示面31aに近いボクセルの色が画素に表示すべき色と決定される。使用者から見て奥に位置する点は手前に位置する点により隠されるからである。例えば、図7に示すように、光線制御子31dのレンズLにより再現可能な一本の光線が立体映像Gの複数のボクセルb2,b3と交差する場合には、より要素表示面31aに近いボクセルb3の色を画素に表示すべき色と決定する。
【0124】
このようにして、立体映像Gの表面上の各ボクセルの色を立体表示面31の複数の画素に表示させるための立体映像データが作成される。立体映像データに基づいて空間光変調器31cの複数の画素に映像を表示させることにより、結果的に立体映像Gからの光線が再現される。
【0125】
図8は立体映像データに基づいて立体ディスプレイ30Aの空間光変調器31cに表示されるデータを説明するための図である。
【0126】
例えば、観察点V1から立体形状を見た場合のデータが空間光変調器31cの画素“A”に表示される。また、観察点V2から立体形状を見た場合の映像が空間光変調器31cの画素“B”に表示される。それにより、使用者は眼を観察点V1から観察点V2に移動させた場合に、立体形状を異なる角度から見ることができる。
【0127】
(7)データ交換システムの動作
次に、本実施の形態に係るデータ交換システム1の動作について説明する。図9〜図11は、地点PAにおける制御装置10Aの主制御部11の動作を示すフローチャートである。
【0128】
制御装置10Aの主制御部11は、メモリ13に記憶されたデータ交換プログラムに従ってデータ交換処理を実行する。
【0129】
まず、主制御部11は、形状データ記憶部12から形状データを取得し、立体ディスプレイ30Aに送信し、観測装置43Aにより得られる映像に対応する映像データを他の地点PBのデータ交換装置100Bに送信する(ステップS1)。これにより、図1(a)に示したように、地点PAの立体ディスプレイ30Aに立体映像Gが表示される。
【0130】
次に、主制御部11は、他の地点PBのデータ交換装置100Bからの映像データが受信されたか否かを判定する(ステップS2)。他の地点PBのデータ交換装置100Bから映像データが受信された場合、主制御部11は、受信された映像データを平面ディスプレイ20Aに与える(ステップS3)。
【0131】
これにより、図1(a)に示したように、他の地点PBの平面ディスプレイ20Bの前方の所定範囲内の映像が平面ディスプレイ20Aに表示される。一方、他の地点PBのデータ交換装置100Bから映像データが受信されない場合には、主制御部11は待機する。
【0132】
次に、主制御部11は、使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在するか否かを判定する(ステップS4)。使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在する場合、主制御部11は、使用者Sの存在を他の地点PBのデータ交換装置100Bに通知する(ステップS5)。
【0133】
次に、主制御部11は、他の地点PBのデータ交換装置100Bから使用者Rの存在を通知されたか否かを判定する(ステップS6)。
【0134】
他の地点PBのデータ交換装置100Bから使用者Rの存在を通知された場合、主制御部11は、使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持しているか否かを判定する(ステップS7)。
【0135】
使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持している場合、主制御部11は、立体ディスプレイ30Aの把持を他の地点PBのデータ交換装置100Bに通知する(ステップS8)。
【0136】
次に、主制御部11は、他の地点PBのデータ交換装置100Bから使用者Rによる立体ディスプレイ30Bの把持が通知されたか否かを判定する(ステップS9)。
【0137】
他の地点PBのデータ交換装置100Bから立体ディスプレイ30Bの把持を通知された場合、主制御部11は、使用者Sがデータ交換のための操作を行っているか否かを判定する(ステップS10)。
【0138】
使用者Sがデータ交換のための操作を行っている場合、主制御部11は、他の地点PBのデータ交換装置100Bにデータ交換のための操作を通知する(ステップS11)。
【0139】
次に、主制御部11は、他の地点PBのデータ交換装置100Bから使用者Rによるデータ交換のための操作が通知されたか否かを判定する(ステップS12)。
【0140】
他の地点PBのデータ交換装置100Bからデータ交換のための操作が通知された場合、主制御部11は、立体ディスプレイ30Aに表示されている立体映像Gに対応する形状データを他の地点PBのデータ交換装置100Bに送信する(ステップS13)。
【0141】
次に、主制御部11は、他の地点PBのデータ交換装置100Bから立体ディスプレイ30Bに表示されている立体映像Hに対応する形状データが受信されたか否かを判定する(ステップS14)。
【0142】
他の地点PBのデータ交換装置100Bから立体ディスプレイ30Bに表示されている立体映像に対応する形状データが受信された場合、主制御部11は、受信された形状データを立体ディスプレイ30Aに送信する(ステップS15)。
【0143】
それにより、図1(c)に示したように、他の地点PBの立体ディスプレイ30Bに表示されていた立体映像Hが、立体ディスプレイ30Aに表示される。
【0144】
上記の処理においては、例えば、使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在するか否かを示すフラグ(以下、存在フラグと呼ぶ)、使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持したか否かを示すフラグ(以下、把持フラグと呼ぶ)、および使用者Sがデータ交換のための操作を行ったか否かを示すフラグ(以下、操作フラグと呼ぶ)を予め設定する。存在フラグ、把持フラグおよび操作フラグの初期値は“0”である。
【0145】
主制御部11は、ステップS4で使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在する場合に存在フラグを“1”に設定し、ステップS5でその存在フラグを他の地点PBのデータ交換装置100Bに送信し、ステップS6で他の地点PBのデータ交換装置100Bから存在フラグを受信する。
【0146】
また、主制御部11は、ステップS7で使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持している場合に把持フラグを“1”に設定し、ステップS8でその把持フラグを他の地点PBのデータ交換装置100Bに送信し、ステップS9で他の地点PBのデータ交換装置100Bから存在フラグを受信する。
【0147】
さらに、主制御部11は、ステップS10で使用者Sがデータ交換のための操作を行った場合に操作フラグを“1”に設定し、ステップS11でその操作フラグを他の地点PBのデータ交換装置100Bに送信し、ステップS12で他の地点PBのデータ交換装置100Bから操作フラグを受信する。
【0148】
なお、ステップS4で使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在していない場合、ステップS6で他の地点PBのデータ交換装置100Bから使用者Rの存在が通知されていない場合、ステップS7で使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持してない場合、ステップS9で他の地点PBのデータ交換装置100Bから立体ディスプレイ30Bの把持が通知されていない場合、ステップS10で使用者Sがデータ交換のための操作を行っていない場合、ステップS12で他の地点PBのデータ交換装置100Bからデータ交換のための操作が通知されていない場合、およびステップS14で他の地点PBのデータ交換装置100Bからの形状データが受信されない場合には、主制御部11は、ステップS4の処理に戻る。
【0149】
他の地点PBのデータ交換装置100Bにおいても、上記のデータ交換装置100Aと同様の動作が行われる。このようにして、地点PAのデータ交換装置100Aと地点PBのデータ交換装置100Bとの間で図1に示したデータの交換が行われる。
【0150】
(8)本実施の形態の効果
上記のように、本実施の形態に係るデータ交換システム1によれば、第1の地点PAでは、立体ディスプレイ30Aを把持する使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方で第2の地点PBの使用者Rの映像を見ながらデータ交換のための操作を行う。また、第2の地点PAでは、立体ディスプレイ30Bを把持する使用者Rが平面ディスプレイ20Aの前方で第2の地点PBの使用者Sの映像を見ながらデータ交換のための操作を行う。
【0151】
それにより、第1の地点PAの立体ディスプレイ30Aに表示される立体映像Gに対応する形状データと第2の地点PBの立体ディスプレイ30Bに表示される立体映像Hに対応する形状データとが交換される。その結果、第1の地点PAの立体ディスプレイ30Aに表示される立体映像Gが第2の地点PBの立体ディスプレイ30Bに表示され、第2の地点PBの立体ディスプレイ30Bに表示される立体映像Hが第1の地点PAの立体ディスプレイ30Aに表示される。したがって、異なる地点に存在する使用者が擬似的に対面した状態で複雑な操作を行うことなく直感的な操作で形状データの交換を行うことが可能となる。
【0152】
(9)他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、地点PAの使用者Sと地点PBの使用者Rとがデータ交換のための操作を行った場合に、立体ディスプレイ30Aの形状データと立体ディスプレイ30Bの形状データとが互いに交換されるが、これに限定されない。例えば、地点PAの使用者Sがデータ交換のための操作を行った場合に、立体ディスプレイ30Aの形状データが立体ディスプレイ30Bに送信されてもよい。この場合には、図11のステップS13がステップS10とステップS11との間に設けられる。
【0153】
(b)図12は平面ディスプレイ20Aの構成の他の例を示すブロック図である。上記実施の形態では、使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在することを検出するために、赤外線素子23A,24A,34A,51Aおよび観測装置41A,42Aが用いられるが、これに限定されない。
【0154】
例えば、図12に示すように、平面ディスプレイ20Aにタッチセンサ26Aまたは近接センサ27Aが取り付けられてもよい。
【0155】
タッチセンサ26Aは、使用者Sが平面ディスプレイ20Aに接触すると、検出信号を出力する。平面表示制御部22は、タッチセンサ26Aから出力される検出信号を入出力回路25を介して制御装置10Aに送信する。これにより、制御装置10Aは、使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在することを判別する。
【0156】
近接センサ27Aは、使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に接近すると、検出信号を出力する。平面表示制御部22は、近接センサ27Aから出力される検出信号を入出力回路25を介して制御装置10Aに送信する。これにより、制御装置10Aは、使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に接近していることを判別する。
【0157】
また、使用者SにRFID(高周波識別)タグ29Aが取り付けられ、平面ディスプレイ20Aにタグリーダ28Aが取り付けられてもよい。
【0158】
タグリーダ28Aは、RFIDタグ29Aからの高周波信号を検出すると、検出信号を出力する。平面表示制御部22は、タグリーダ28Aから出力される検出信号を入出力回路25を介して制御装置10Aに送信する。これにより、制御装置10Aは、使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在することを判別する。
【0159】
また、赤外線素子23A,24A,34A,51Aおよび観測装置43Aを用いて、使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在することを検出してもよい。
【0160】
さらに、赤外線を検出せずに、観測装置41A,42Aまたは観測装置43Aにより得られた映像を処理することにより、使用者Sが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に存在することを検出してもよい。データ交換装置100Bについても、上記と同様の代替が可能である。
【0161】
(c)上記実施の形態では、使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持していることを検出するために、タッチセンサ33が用いられるが、これに限定されない。
【0162】
例えば、使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持していることを検出するために赤外線素子23A,24A,34A,51Aおよび観測装置41A,42Aを用いてもよく、または赤外線素子23A,24A,34A,51Aおよび観測装置43Aを用いてもよい。
【0163】
具体的には、使用者Sの手の三次元的な位置、および立体ディスプレイ30Aの三次元的な位置を時系列的に計測する。使用者Sの手の三次元的な位置および立体ディスプレイ30Aの三次元的な位置がほぼ同時にかつ同一の方向に移動している場合には、使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持していることを判別することができる。
【0164】
また、赤外線を検出せずに、観測装置41A,42Aまたは観測装置43Aにより得られる映像を処理することにより、使用者Sが立体ディスプレイ30Aを把持していることを検出してもよい。データ交換装置100Bについても、上記と同様の代替が可能である。
【0165】
(d)上記実施の形態では、使用者Sがデータ交換のための操作を行っていることを検出するために、赤外線素子23A,24A,34A,51Aおよび観測装置41A,42Aが用いられるが、これに限定されない。
【0166】
例えば、図12に示すように、平面ディスプレイ20Aにタッチセンサ26Aおよび近接センサ27Aの少なくとも一方が取り付けられてもよい。この場合、データ交換のための操作は、使用者Sまたは立体ディスプレイ30Aが平面ディスプレイ20Aに接触または接近する動きである。
【0167】
タッチセンサ26Aは、使用者Sまたは立体ディスプレイ30Aが平面ディスプレイ20Aに接触すると、検出信号を出力する。平面表示制御部22は、タッチセンサ26Aから出力される検出信号を入出力回路25を介して制御装置10Aに送信する。これにより、制御装置10Aは、使用者Sがデータ交換のための操作を行っていることを判別する。
【0168】
近接センサ27Aは、使用者Sまたは立体ディスプレイ30Aが平面ディスプレイ20Aの前方の所定範囲内に接近すると、検出信号を出力する。平面表示制御部22は、近接センサ27Aから出力される検出信号を入出力回路25を介して制御装置10Aに送信する。これにより、制御装置10Aは、使用者Sがデータ交換のための操作を行っていることを判別する。
【0169】
また、赤外線素子23A,24A,34A,51Aおよび観測装置43Aを用いて、使用者Sがデータ交換のための操作を行っていることを検出してもよい。
【0170】
さらに、赤外線を検出せずに、観測装置41A,42Aまたは観測装置43Aにより得られる映像を処理することにより、使用者Sがデータ交換のための操作操作を行っていることを検出してもよい。データ交換装置100Bについても、上記と同様の代替が可能である。
【0171】
(e)上記実施の形態では、観測装置41A,42A,43A,41B,42B,43Bとして、赤外線を検出可能なカメラが用いられるが、カメラに代えて赤外線センサ、磁気センサ、または超音波センサを用いてもよい。磁気センサによる三次元位置計測装置については、例えばポルヘムス(Polhemus)社三次元磁気センサ(http://www.kbk.co.jp/cesd/polhemus.htm)を用いることができる。超音波センサによる三次元位置計測装置については、例えばインターセンス(Intersense)社超音波動作追跡システム(http://www.intersense.com/uploadedFiles/Products/IS900.pdf)を用いることができる。
【0172】
また、データ交換装置100A,100Bが、大画面を有する平面ディスプレイ20A,20Aおよび持ち運び可能な立体ディスプレイ30A,30Bを含むが、これに限定されない。例えば、平面ディスプレイ20A,20Bの代わりに立体ディスプレイを用いてもよい。
【0173】
また、立体ディスプレイ30A,30Bの代わりに持ち運び可能な平面ディスプレイを用いてもよい。この場合には、平面ディスプレイ間で映像データが交換される。
【0174】
さらに、立体ディスプレイ30A,30Bの代わりに携帯電話等の他の携帯機器を用いてもよい。この場合には、音声データが交換される。
【0175】
また、交換されるデータは、映像データおよび音声データに限らず、テキストデータ等の他のデータであってもよい。
【0176】
(10)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0177】
上記実施の形態においては、地点PAが第1の地点の例であり、地点PBが第2の地点の例であり、使用者Sが第1の使用者の例であり、使用者Rが第2の使用者の例であり、データ交換装置100Aが第1のデータ交換装置の例であり、データ交換装置100Bが第2のデータ交換装置の例であり、制御装置10A,10Bが制御手段の例であり、平面ディスプレイ20Aが第1の映像表示装置の例であり、平面ディスプレイ20Bが第2の映像表示装置の例であり、立体ディスプレイ30Aが第1のデータ保持装置または第3の映像表示装置の例であり、立体ディスプレイ30Bが第2のデータ保持装置または第4の映像表示装置の例である。
【0178】
観測装置41A,42A,43A、赤外線素子23A,24A,34A,51Aおよび制御装置10Aが第1の判別手段または第1の操作検出手段の例であり、観測装置41B,42B,43B、赤外線素子23B,24B,34B,51Bおよび制御装置10Bが第2の判別手段または第2の操作検出手段の例である。観測装置41A,42A,43Aが第1の撮像手段の例であり、観測装置41B,42B,43Bが第2の撮像手段の例である。
【0179】
観測装置41A,42A,43A、赤外線素子23A,24A,34A,51Aおよび制御装置10Aが第1の人物検出手段の例であり、タッチセンサ26Aまたは近接センサ27Aが第1の人物検出手段の他の例であり、RFIDタグ29Aおよびタグリーダ28Aが第1の人物検出手段のさらに他の例である。観測装置41B,42B,43B、赤外線素子23B,24B,34B,51Bおよび制御装置10Bが第2の人物検出手段の例であり、データ交換装置100Bが備えたタッチセンサ26Aまたはデータ交換装置100Bが備えた近接センサ27Aが第2の人物検出手段の他の例であり、データ交換装置100Bが備えたRFIDタグ29Aおよびデータ交換装置100Bが備えたタグリーダ28Aが第2の人物検出手段のさらに他の例である。
【0180】
観測装置41A,42A,43A、赤外線素子23A,24A,34A,51Aおよび制御装置10Aが第1の把持検出手段の例であり、タッチセンサ33が第1の把持検出手段の他の例である。観測装置41B,42B,43B、赤外線素子23B,24B,34B,51Bおよび制御装置10Bが第2の把持検出手段の例であり、データ交換装置100Bが備えたタッチセンサ33が第2の把持検出手段の他の例である。
【0181】
タッチセンサ26Aまたは近接センサ27Aが第1の接触検出手段の例であり、データ交換装置100Bが備えたタッチセンサ26Aまたはデータ交換装置100Bが備えた近接センサ27Aが第1の接触検出手段の例である。タッチセンサ33が第3の接触検出手段の例であり、データ交換装置100Bが備えたタッチセンサ33が第4の接触検出手段の例である。
【0182】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0183】
(11)応用例
(a)遠隔地間で開催される会議において、使用者Sが所有する立体ディスプレイ30Aに表示された試作品等の立体映像を、使用者Rが手元にある立体ディスプレイ30Bに受信して表示させ、多角的な視点から検討することができる。
【0184】
(b)日常生活において、遠隔地にいる使用者Sが所有する立体ディスプレイ30Aに表示される立体映像を、使用者Rが手元にある立体ディスプレイ30Bに受信して表示させ、視聴することができる。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明は、異なる地点間で種々のデータを交換するため等に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0186】
1 データ交換システム
10A,10B 制御装置
11 主制御部
12 形状データ記憶部
13 メモリ
14,25 入出力回路
15,35 通信部
16 接続部
20A,20B 平面ディスプレイ
21 表示部
22 平面表示制御部
23A,24A,34A,51A,23B,24B,34B,51B 赤外線素子
26A,33 タッチセンサ
27A 近接センサ
28A タグリーダ
29A RFIDタグ
30A,30B 立体ディスプレイ
31 立体表示面
32 立体表示制御部
41A,42A,43A,41B,42B,43B 観測装置
100A,100B データ交換装置
31a 要素表示面
31c 空間光変調器
31d 光線制御子
31e 透明外皮層
31f 遮光部材
C1,C2 観測中心点
G,H 立体映像
R,S 使用者
L レンズ
L1,L2 直線
PA,PB 地点
Pa,Pb,Pc,Pd 画素
V 仮想空間
V1,V2 観察点
VP1,VP2 仮想平面
b1,b2,b3 ボクセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の地点の第1の使用者と第2の地点の第2の使用者との間でデータを交換するデータ交換システムであって、
前記第1の地点に設けられる第1のデータ交換装置と、
前記第2の地点に設けられる第2のデータ交換装置と、
前記第1のデータ交換装置と前記第2のデータ交換装置との間でのデータ交換を制御する制御手段とを備え、
前記第1のデータ交換装置は、
映像を表示する第1の映像表示装置と、
データを保持する第1のデータ保持装置と、
前記第1の映像表示装置の第1の所定範囲内で前記第1のデータ保持装置を把持する前記第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを判別する第1の判別手段と、
前記第1の映像表示装置の前記第1の所定範囲内で前記第1のデータ保持装置を把持する前記第1の使用者を撮像する第1の撮像手段とを備え、
前記第2のデータ交換装置は、
映像を表示する第2の映像表示装置と、
データを保持する第2のデータ保持装置と、
前記第2の映像表示装置の第2の所定範囲内で前記第2のデータ保持装置を把持する前記第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを判別する第2の判別手段と、
前記第2の映像表示装置の前記第2の所定範囲内で前記第2のデータ保持装置を把持する前記第2の使用者を撮像する第2の撮像手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の撮像手段により得られた映像を前記第2の映像表示装置に表示させ、前記第2の撮像手段により得られた映像を前記第1の映像表示装置に表示させ、前記第1の映像表示装置の前記第1の所定範囲内で前記第1のデータ保持装置を把持する前記第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったと前記第1の判別手段により判別された場合に前記第1のデータ保持装置により保持されるデータを前記第2のデータ保持装置に与え、前記第2の映像表示装置の前記第2の所定範囲内で前記第2のデータ保持装置を把持する前記第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったと前記第2の判別手段により判別された場合に前記第2のデータ保持装置により保持されるデータを前記第1のデータ保持装置に与えることを特徴とするデータ交換システム。
【請求項2】
前記第1の判別手段は、
前記第1の使用者が前記第1の映像表示装置の前記第1の所定範囲内に存在するか否かを検出する第1の人物検出手段と、
前記第1の使用者が前記第1のデータ保持装置を把持しているか否かを検出する第1の把持検出手段と、
前記第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを検出する第1の操作検出手段とを含み、
前記第2の使用者が前記第2の映像表示装置の前記第2の所定範囲内に存在するか否かを検出する第2の人物検出手段と、
前記第2の使用者が前記第2のデータ保持装置を把持しているか否かを検出する第2の把持検出手段と、
前記第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを検出する第2の操作検出手段とを含むことを特徴とする請求項1記載のデータ交換システム。
【請求項3】
前記第1の人物検出手段は、前記第1の撮像手段により得られる映像に基づいて前記第1の使用者が前記第1の映像表示装置の前記第1の所定範囲内に存在するか否かを検出し、
前記第2の人物検出手段は、前記第2の撮像手段により得られる映像に基づいて前記第2の使用者が前記第2の映像表示装置の前記第2の所定範囲内に存在するか否かを検出することを特徴とする請求項2記載のデータ交換システム。
【請求項4】
前記第1の把持検出手段は、前記第1の撮像手段により得られる映像に基づいて前記第1の使用者が前記第1のデータ保持装置を把持しているか否かを検出し、
前記第2の把持検出手段は、前記第2の撮像手段により得られる映像に基づいて前記第2の使用者が前記第2のデータ保持装置を把持しているか否かを検出することを特徴とする請求項2または3記載のデータ交換システム。
【請求項5】
前記第1の操作検出手段は、前記第1の撮像手段により得られる映像に基づいて前記第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを検出し、
前記第2の操作検出手段は、前記第2の撮像手段により得られる映像に基づいて前記第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを検出することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のデータ交換システム。
【請求項6】
前記第1の人物検出手段は、前記第1の使用者が前記第1の映像表示装置に接触したことを検出する第1の接触検出手段を含み、前記第1の接触検出手段の検出結果に基づいて前記第1の使用者が前記第1の映像表示装置の前記第1の所定範囲内に存在するか否かを検出し、
前記第2の人物検出手段は、前記第2の使用者が前記第2の映像表示装置に接触したことを検出する第2の接触検出手段を含み、前記第2の接触検出手段の検出結果に基づいて前記第2の使用者が前記第2の映像表示装置の前記第2の所定範囲内に存在するか否かを検出することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のデータ交換システム。
【請求項7】
前記第1の把持検出手段は、前記第1の使用者が前記第1のデータ保持装置に接触したことを検出する第3の接触検出手段を含み、前記第3の接触検出手段の検出結果に基づいて前記第1の使用者が前記第1のデータ保持装置を把持しているか否かを検出し、
前記第2の把持検出手段は、前記第2の使用者が前記第2のデータ保持装置に接触したことを検出する第4の接触検出手段を含み、前記第4の接触検出手段の検出結果に基づいて前記第2の使用者が前記第2のデータ保持装置を把持しているか否かを検出することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のデータ交換システム。
【請求項8】
前記第1のデータ保持装置は、保持するデータに基づいて映像を表示する第3の映像表示装置を含み、
前記第2のデータ保持装置は、保持するデータに基づいて映像を表示する第4の映像表示装置を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のデータ交換システム。
【請求項9】
前記第1のデータ保持装置に保持されるデータおよび前記第2のデータ保持装置に保持されるデータは、映像データ、音声データおよびテキストデータのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のデータ交換システム。
【請求項10】
第1の地点の第1の使用者と第2の地点の第2の使用者との間でデータを交換するデータ交換方法であって、
前記第1の地点において、第1の撮像手段により第1の映像表示装置の第1の所定範囲内で、データを保持する第1のデータ保持装置を把持する前記第1の使用者を撮像するステップと、
前記第2の地点において、第2の撮像手段により第2の映像表示装置の第2の所定範囲内で、データを保持する第2のデータ保持装置を把持する前記第2の使用者を撮像するステップと、
前記第1の撮像手段により得られた映像を前記第2の映像表示装置に表示させるステップと、
前記第2の撮像手段により得られた映像を前記第1の映像表示装置に表示させるステップと、
前記第1の映像表示装置の前記第1の所定範囲内で前記第1のデータ保持装置を把持する前記第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを判別するステップと、
前記第2の映像表示装置の前記第2の所定範囲内で前記第2のデータ保持装置を把持する前記第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったか否かを判別するステップと、
前記第1の使用者がデータ交換のための操作を行ったと判別された場合に前記第1のデータ保持装置により保持されるデータを前記第2のデータ保持装置に与え、前記第2の使用者がデータ交換のための操作を行ったと判別された場合に前記第2のデータ保持装置により保持されるデータを前記第1のデータ保持装置に与えるステップとを備えたことを特徴とするデータ交換方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−4226(P2011−4226A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146300(P2009−146300)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】