説明

データ伝送装置

【課題】低消費電力で且つ高速な反射波データ伝送を実現するとともに、サブキャリア変調した際の変調反射波のサイドローブへの広がりを抑制する。
【解決手段】データ読取装置からの無変調キャリアFoにサブキャリア変調波Fsをアナログ・ミキサで混合し、新たな変調波Fo±Fsを生成する。アナログのサブキャリア変調波を使用できることから、サブキャリアを用いた1次変調には、16QAMや64QAM、OFDMなどように振幅方向に2値以上の情報を持ち、高速な変調方式を適用することが可能となる。新たな変調波Fo±Fsは帯域制限のかかったものであり、他システムへの妨害を軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ読取装置側から供給される無変調キャリアに変調処理を施した変調反射波によりデータ伝送を行なう反射波伝送システムにおけるデータ伝送装置に係り、特に、サブキャリアを用いて1次変調を施した後に反射波に対して2次変調をかけて高速なデータ伝送を行なうデータ伝送装置に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、振幅方向に2値以上の情報を持つことができる1次変調を適用してより高速な反射波データ伝送を実現するデータ伝送装置に係り、特に、サブキャリアを用いて1次変調を施した際の変調反射波のサイドローブへの広がりを抑制するデータ伝送装置に関する。
【背景技術】
【0003】
自ら電波の発生源を持たず無線でデータを送信する通信システムとしてRFID(Radio Frequency IDentification)と呼ばれる非接触通信システムが知られている。RFIDは、タグとリーダとから構成され、タグは、リーダ側から電波をエネルギ源として受動的に動作し、タグに格納された情報が読み取られる。
【0004】
RFIDの他の呼び方として、IDシステム、データキャリアシステムなどがあるが、世界的に共通なのがRFIDシステム、略してRFIDである。日本語に訳すると「高周波(無線)を使用した認識システム」となる。
【0005】
RFIDシステムにおける非接触の通信方法には、静電結合方式、電磁誘導方式、電波通信方式などが挙げられる。このうち電波通信方式のRFIDシステムは、受信した無変調キャリアに対し変調処理を施した反射波によりデータを送信する反射器と、反射器からの変調反射波信号からデータを読み取る反射波読取器で構成され、「バックスキャッタ」とも呼ばれる反射波伝送を行なう。
【0006】
反射器は、反射波読取器から無変調キャリアが送られてくると、アンテナ負荷インピーダンスの切り替え操作などに基づいてその反射波に変調を施してデータを重畳する。すなわち、反射器側ではキャリア発生源が不要であることから、低消費でデータ伝送動作を駆動する。そして、反射波読取器側では、このような変調反射波を受信し、復調並びに復号処理して伝送データを取得することができる。
【0007】
また、反射器においてアンテナの負荷インピーダンスを変化させるためのアンテナ・スイッチを、回路モジュールに組み込んでCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタで構成することもできるが、回路モジュールとは切り離して、ガリウム砒素(GaAs)のIC(Integrated Circuit)で構成することで、低消費電力で高速な切り替え動作が可能となる。後者の場合、反射波変調によるデータ伝送レートが向上するとともに、その消費電力は数10μW以下に抑制される。したがって、無線LANでは通信時に数百mW〜数W程度の電力を消費することを考慮すると、反射波通信は一般的な無線LANの平均消費電力と比較すると圧倒的な性能差を持つと言える(例えば、特許文献2を参照のこと)。
【0008】
反射器を搭載した端末は受信電波を反射する動作を行なうだけであるから、無線局とはみなされず、電波通信に課される法規制の対象外として扱われる。また、電磁誘導方式など他の非接触通信システムでは数MHz〜数百MHz(例えば13.65MHz)の周波数を用いるのに対し、反射波通信方式では例えばISM(Industrory Science and Medical Band)と呼ばれる2.4GHz帯(マイクロ波)の高帯域を用いた高速なデータ伝送を実現することができる。
【0009】
例えば、デジタルカメラや、ビデオ・カメラ、携帯電話、携帯情報端末、携帯型音楽再生装置など、消費電力を極力抑えたいモバイル系の端末機器に反射器を組み込み、テレビ、モニタ、プリンタ、PC、VTR、DVDプレイヤなど、据え置き型の家電製品などからなるホスト機器に反射波読取器を組み込む。そして、カメラ付き携帯電話やデジタルカメラで撮った画像データを、反射波伝送路を経由でPCにアップロードし、画像データの蓄積や表示出力、プリントアウトなどを行なうことができる。
【0010】
反射波伝送では、通常、リーダからのキャリアの周波数と反射波の中心周波数は同じであるが、リーダ側では送信受信を同一周波数で行なわなくてはならず、受信部では送信信号の回り込みによりDCオフセットや送信機雑音の影響を受け易く、伝送距離を伸ばすことが困難であるため、送受信機間の隔離の問題がある。また、反射波伝送ではASK(Amplitude Shift Keying)やPSK(Phase Shift Keying)による変調方式がほとんどであり、高速化するのが困難である。これらの解決策として、サブキャリアでPSK、QPSK、8PSKなどの一次変調を行なった後、アンテナの負荷インピーダンスを、アンテナ・スイッチを用いて変化させて反射波に変調を掛ける方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
【0011】
しかしながら、上述したようなサブキャリアを用いて1次変調を行なう反射波伝送方法では、サブキャリアによる2値のデジタル信号でアンテナ・スイッチをオン/オフ操作するため、サブキャリア変調方式としてはASK、PSK、QPSK(Quadrature PSK)、8PSKなどの振幅方向の情報が2値で良い比較的低速な変調方式しか使用することができない。言い換えれば、例えば16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)や64QAM、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などように振幅方向に2値以上の情報を持つことにより高速化を実現する変調方式を用いることができない。
【0012】
また、ASK、PSK、QPSK、8PSKなどの変調方式であっても、帯域制限を掛けてアナログの変調波にしてしまうと、アンテナ・スイッチで反射波に変調を施すことができない。この場合、反射波の周波数スペクトラムは、無限に広がるという問題があり、近隣の他システムへの妨害が懸念される。以下、これらの問題点について説明する。
【0013】
図6にはサブキャリアを用いた反射波伝送システムの構成例を示している。同図において参照番号10は、受信電波の反射波に変調を施すことによってデータ送信を行なうデータ伝送装置であり、参照番号11は、伝送装置10からの変調反射波信号を受信してデータを読み取るデータ読取装置である。
【0014】
伝送装置10は、デジタルカメラや携帯電話などの主にデータ送信元となるモバイル機器に実装され、内部に記録している動画像データや音楽データを読取装置11に伝送する。図示のように、伝送装置10側は、アンテナ100と、バンドパス・フィルタ(BPF)101と、アンテナ負荷切替スイッチ102、周波数Fsのサブキャリア発振器103と、サブキャリア変調器104を備えている。
【0015】
アンテナ負荷切替スイッチ102の一端は、グランドに接地され、アンテナ102の負荷として、オン時にショート、オフ時にオープンとなり、外部からの無変調波に対してPSK変調を掛けることが可能となる。サブキャリア変調器104は、送信データ(TX DATA)より生成されたデジタル変調信号を用いて、アンテナ負荷切替スイッチ102のオン/オフ制御を行なう。サブキャリア発振器103は、サブキャリア変調を行なうための中心周波数Fsを生成する発振器である。このようして、サブキャリア変調器104は、アンテナ100で受信した中心周波数Foの無変調キャリアに対して正負の各方向にサブキャリア周波数Fsだけ離れた中心周波数Fo+Fs及びFo−Fsという2つの変調波を反射波伝送方式により生成することが可能となる。
【0016】
また、伝送装置10において、バンドパス・フィルタ101は、上記の2つの変調波のうち一方(図示の例では、Fo+Fs)だけを取り出すために使用され、中心周波数Foの受信電波とこれに対するFo+Fsの変調反射波を通過させる。ここで、バンドパス・フィルタ101を使用しなくても構わないが、その場合は変調反射波の周波数スペクトラムは無限に広がってしまう。また、バンドパス・フィルタ101を使用しても、変調波のサイドローブを減衰させるほどの急峻な特性は望めず、ある程度のスペクトラムの広がりは許容しなくてはならない。ここでは、無変調キャリアの中心周波数Foは2.4GHz帯、サブキャリア周波数Fsは数十MHzが想定される。
【0017】
一方、読取装置11は、アンテナ105と、無変調キャリアFoを送信する送信部108と、無変調キャリアFoに対する伝送装置10からの変調反射波Fo+Fsを受信する受信部107と、送信部108と受信部107を分離して1つのアンテナ105で送受信動作を同時に行なうためのサーキュレータ106と、復調や通信制御を行なうベースバンド処理部109を備えている。送信部108からサーキュレータ106、アンテナ105を経由して送信された中心周波数Foの無変調キャリアは、伝送装置10からの反射により、中心周波数Fo+Fsの変調波となって戻り、アンテナ105、サーキュレータ106を経由して受信部107で受信され、ベースバンド処理部109で復調され、受信データ(RX DATA)となる。
【0018】
なお、伝送装置10から読取装置11への一方向の伝送についてのみ言及したが、実際には、読取装置11から伝送装置10に制御データやユーザ・データを伝送するのが一般的である。但し、後者のデータ伝送は本発明の要旨には直接関連しないので、本明細書では詳細な説明を省略する。
【0019】
図7には、図6に示した反射波伝送システムにおける周波数スペクトラムを示している。同図において、参照番号200は、読取装置101から供給される無変調キャリアを示し、参照番号201及び202は、データ伝送装置10側で生成される、無変調キャリアに対する変調反射波を示している。
【0020】
図6に示したシステムでは、2つの変調波のうち、中心周波数Fo+Fsの変調波のみを使用するので、データ伝送装置100側では、バンドパス・フィルタ101によって、反射波信号に対して参照番号312で示すような減衰特性を持たせ、中心周波数Foの無変調キャリア200と、中心周波数Fo+Fsの変調波201を通過させている。しかしながら、変調波201のメインローブ以外のサイドローブを減衰させる程の急峻なバンドパス・フィルタ101は実現困難であることから、図7に示すようにサイドローブはある程度広がってしまう。
【0021】
【特許文献1】特開2005−64822号公報
【特許文献2】特開平10−209914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、サブキャリアを用いて送信データに1次変調を施した後に、通信相手となるデータ読取装置からの無変調キャリアに対する反射波に2次変調をかけることによって、低消費電力で且つ高速な反射波データ伝送を行なうことができる、優れたデータ伝送装置を提供することにある。
【0023】
本発明のさらなる目的は、振幅方向に2値以上の情報を持つことができる1次変調を適用してより高速な反射波データ伝送を実現することができる、優れたデータ伝送装置を提供することにある。
【0024】
本発明のさらなる目的は、サブキャリアを用いて1次変調を施した際の変調反射波のサイドローブへの広がりを抑制することができる、優れたデータ伝送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、無変調キャリアに対する反射波にデータを乗せて返送するデータ伝送装置であって、
通信相手となるデータ読取装置からの無変調キャリアFoを受信するとともにその反射波を送信するアンテナと、
サブキャリア周波数Fsを生成するサブキャリア発振手段と、
サブキャリア周波数Fsを用いて送信データをデジタル変調するサブキャリア変調手段と、
前記サブキャリア変調手段により生成されるデジタル変調信号をアナログ信号に変換してアナログのサブキャリア変調波Fsを生成するDA変換手段と、
無変調キャリアFoにアナログのサブキャリア変調波Fsを混合して、新たな変調波Fo+Fs及びFo−Fsを生成する周波数混合手段と、
を具備することを特徴とするデータ伝送装置である。
【0026】
自ら電波の発生源を持たず無線でデータを送信する通信システムとしてRFIDシステムが知られている。このうち電波通信を利用したRFIDである反射波伝送システムは、無変調キャリアを受信してデータを重畳させた変調反射波を送出する反射器を搭載したデータ伝送装置と、無変調キャリアを送出するとともに変調反射波からデータを読み取る反射波読取器を搭載したデータ読取装置で構成されるが、反射器側ではキャリア発生源が不要であることから、消費電力を格段に削減しながらデータ伝送を行なうことができ、一般的な無線LANに比べると圧倒的な性能差である。
【0027】
反射器においてアンテナ負荷インピーダンスの変化を利用して反射波に変調処理を行なう場合には、データ読取装置側での送受信機の隔離の問題や、ASKやPSKなどの変調方式しか適用できず高速化が困難であるという問題がある。これらの問題の解決策として、データ伝送装置において、サブキャリアを用いて送信データに1次変調を施した後に、無変調キャリアに対する反射波に2次変調をかけるという方法が知られている。
【0028】
しかしながら、このような1次のデジタル変調を利用した反射波伝送方法では、サブキャリアによる2値のデジタル信号でアンテナ負荷切替スイッチをオン/オフ操作するため、1次変調にはASK、PSK、QPSK、8PSKといった振幅方向の情報が2値で良い比較的低速な変調方式しか使用することができない。
【0029】
これに対し、本発明に係るデータ伝送装置では、送信データをサブキャリアで1次変調を施す方式を採用するが、アンテナ・スイッチのオン/オフ操作すなわちバックスキャッタ方式ではなく、アナログ・ミキサを用いて無変調キャリアとサブキャリア変調波との混合、すなわち周波数混合によって反射波に変調処理を施し、変調反射波をデータ読取装置に返すようになっている。
【0030】
すなわち、本発明に係るデータ伝送装置では、データ読取装置からの無変調キャリアFoにアナログのサブキャリア変調波Fsを混合してアップコンバートし、新たな変調波Fo+Fs及びFo−Fsを生成する。このようにアナログのサブキャリア変調波を使用できることから、サブキャリアを用いた1次変調には、16QAMや64QAM、OFDMなどように振幅方向に2値以上の情報を持ち、高速な変調方式を適用することが可能となる。
【0031】
したがって、低消費電力が必須となるデジタルカメラや携帯電話などのモバイル機器に本発明に係るデータ伝送装置を搭載することで、内部に記録している動画像データや音楽データを高速伝送することが可能となる。
【0032】
また、本発明に係るデータ伝送装置では、サブキャリア変調手段がデジタル・フィルタを備えるなどによって、サブキャリア変調に帯域制限をかけることは容易なので、生成されるFo+Fs、Fo−Fsの変調波も帯域制限のかかったものになり、他システムへの妨害を軽減することが可能となる。
【0033】
ここで、前記の周波数混合手段は、例えば、非飽和領域に動作点が設定されたダイオードを用いたアナログ・ミキサとして構成することができる。具体的には、前記DA変換手段から供給されるアナログ変調信号と、前記バンドパス・フィルタを介したアンテナ受信信号の2ポートを入力に持つアナログ・ミキサであり、前記アンテナと前記周波数混合手段の間には、Foと、Fo+Fs又はFo−Fsのうち一方を通過させる特性を持つバンドパス・フィルタが配設される。
【0034】
あるいは、前記周波数混合手段は、前記アンテナの受信信号を分配する分配器と、前記のアナログ変調波Fsと前記分配器により分配されたアンテナ受信信号Foとを混合して新たな変調波Fo+Fs及びFo−Fsからなる変調反射波を生成するFETミキサと、Fo+Fs又はFo−Fsのうち一方の変調反射波を通過させる特性を持つバンドパス・フィルタで構成することができる。そして、前記分配器はFo+Fs又はFo−Fsのうち一方からなる変調反射波を前記アンテナから送出するようになっている。ここで、分配器は、3dBカップラ又はウィルキンソン・デバイダで構成することができる。
【0035】
上述したような周波数混合による反射波の変調方式と、従来のバックスキャッタによる反射波の変調方式における消費電力について比較した場合、前者は後者のような超低消費電力でのデータ伝送を実現することができないという問題がある。
【0036】
そこで、本発明に係るデータ伝送装置は、反射波の変調方式をバックスキャッタ方式と周波数混合方式のいずれかに切り替えるように構成してもよい。
【0037】
バックスキャッタ変調手段は、例えば、前記アンテナの負荷インピーダンスを切り替えるアンテナ負荷切替スイッチと、前記アンテナと前記アンテナ負荷切替スイッチの間に配設され、周波数Foと、周波数Fo+Fs又はFo−Fsのうち一方の変調反射波を通過させる特性を持つバンドパス・フィルタで構成される。このようなバックスキャッタ変調手段は、前記サブキャリア変調手段により生成されるデジタル変調信号に従って前記アンテナ負荷切替スイッチのオン/オフによるアンテナ負荷インピーダンスの変化を利用して前記アンテナの受信電波の反射波に変調処理を施すことができる。
【0038】
また、アンテナ・スイッチを配設して、前記サブキャリア変調手段において適用する変調方式に応じて、前記周波数混合手段又は前記バックスキャッタ変調手段のいずれかを前記アンテナに接続するようにする。
【0039】
サブキャリア変調手段は、通信品質などに応じて、PSKやQPSK、8PSKなどの振幅方向の情報が2値で良い変調方式、又は、16QAMや64QAM、OFDMといった2値以上の情報を持つ高速な変調方式を適用することができる。そして、アンテナ・スイッチは、前記サブキャリア変調手段において振幅方向の情報が2値で良い変調方式が適用されているときには前記バックスキャッタ変調手段を前記アンテナに接続し、前記サブキャリア変調手段において2値以上の情報を持つ変調方式が適用されているときには前記周波数混合手段を前記アンテナに接続するようにする。
【0040】
サブキャリア変調手段においてASK、PSK、QPSK、8PSKなどの振幅方向の情報が2値で良い(低速な)変調方式を適用しているときには、アンテナ・スイッチはバックスキャッタ変調手段側に切り替えられ、反射波の変調にバックスキャッタ方式を用いることで平均の消費電力を低減することができる。
【0041】
他方、サブキャリア変調手段において16QAMや64QAM、OFDMなど2値以上の情報を持つ高速な変調方式を適用するときには、アンテナ・スイッチを周波数混合手段側に切り替えて、周波数混合方式により反射波に変調処理を施すことによって、上記の高速な1次変調を適用することが可能となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、サブキャリアを用いて送信データに1次変調を施した後に、通信相手となるデータ読取装置からの無変調キャリアに対する反射波に2次変調をかけることによって、低消費電力で且つ高速な反射波データ伝送を行なうことができる、優れたデータ伝送装置を提供することができる。
【0043】
また、本発明によれば、振幅方向に2値以上の情報を持つことができる1次変調を適用してより高速な反射波データ伝送を実現することができる、優れたデータ伝送装置を提供することができる。
【0044】
また、本発明によれば、サブキャリアを用いて1次変調を施した際の変調反射波のサイドローブへの広がりを抑制することができる、優れたデータ伝送装置を提供することができる。
【0045】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0047】
図1には、本発明の一実施形態に係るデータ伝送装置の構成を示している。図示のデータ伝送装置は、反射波伝送方式によってデータを送信する反射器機能を備えており、サブキャリアを用いて送信データに1次変調を施した後に、通信相手となるデータ読取装置からの無変調キャリアに対する反射波に2次変調をかけることによって、低消費電力で且つ高速な反射波データ伝送を行なうことができる。低消費電力が必須となるデジタルカメラや携帯電話などのモバイル機器にこのデータ伝送装置を搭載することで、内部に記録している動画像データや音楽データを高速伝送することが可能となる。なお、データ読取装置の構成並びに処理動作は図6に示したものと同様なので、以下では説明を省略する。
【0048】
図示のデータ伝送装置10は、1次変調部301として、サブキャリア変調器302と、中心周波数Fsのサブキャリア発振器103と、DAコンバータ303を備えている。
【0049】
サブキャリア変調器302は、サブキャリア周波数Fsを用いて、送信データ(TX_DATA)に対して1次変調を施し、デジタル・フィルタ(図示しない)によって帯域制限を行なったデジタル値(例えば10ビット)のサブキャリア変調波を生成する。変調方式としては、PSKやQPSK、8PSKなどの振幅方向の情報が2値で良い変調方式以外に、16QAMや64QAM、OFDMといった2値以上の情報を持つ高速な変調方式を適用することができる。そして、DAコンバータ303は、デジタル変調信号をアナログ値に変換する。
【0050】
参照番号300は、アンテナ100で受信した無変調キャリアをアナログ1次変調信号と混合するためのアナログ・ミキサである。図示の例では、アナログ・ミキサ300は、ダイオード305を用いて構成される2ポートのミキサである。アンテナ100は、バンドパス・フィルタ(BPF)101を経由してダイオード305に接続されている。また、ダイオード305には、抵抗R1(308)及びインダクタL1(306)を介して直流バイアス電圧Vbが印加され、ダイオード305の非飽和領域に動作点が設定されている。
【0051】
上述したDAコンバータ303から出力される中心周波数Fsのアナログ変調波は、インダクタL2(310)を介して、ダイオード305に送られる。そして、ダイオード305の非線形領域でアンテナ100から入力された無変調キャリアFoと混合されて、中心周波数Fo+FsとFo−FSの2つの変調波を生成する。そして、バンドパス・フィルタ101は、このうちFoとFo+Fsを通過させる特性を備えているので、アンテナ100からはFo+Fsの変調波が返信される。
【0052】
なお、アナログ・ミキサ300内において、キャパシタC1(304)並びにC2(309)は、中心周波数Fsのアナログ変調波並びに新たに生成される変調波Fo±Fsに含まれる直流バイアス電圧Vbによる直流成分をカットするために使用される。また、インダクタL1(306)とキャパシタC3(307)、及びインダクタL2(310)とキャパシタC4(311)は、直流やサブキャリア周波数Fsを通過させ、周波数Foに対しては高いインピーダンスを示すローパス・フィルタ(LPF)として働き、アンテナ100で受信した周波数Foの無変調キャリアがダイオード305以外にリークすることを軽減するために使用される。
【0053】
このようにして、2ポートのダイオード・ミキサで構成されるアナログ・ミキサによって、中心周波数Fo+Fsの変調波を生成し、データ読取装置側に返送することが可能となる。
【0054】
図2には、図1に示したデータ伝送装置を用いた反射波伝送システムにおける周波数スペクトラムを示している。同図において、参照番号200はデータ読取装置から供給される無変調キャリアを示している。データ読取装置は図6に示したものと同様とする。
【0055】
また、同図において、参照番号310及び311は、データ伝送装置10側で生成された2つの変調波Fo+Fs及びFo−Fsを示している。図示の例では、2つの変調波のうち、中心周波数Fo+Fsの変調波のみを使用するため、バンドパス・フィルタ101により、参照番号312に示すような減衰特性を持たせ、中心周波数Foの無変調キャリア200と、中心周波数Fo+Fsの変調波310を通過させている。
【0056】
また、サブキャリア変調器302内のデジタル・フィルタ(図示しない)により変調波は帯域制限を受けているので、変調波のスペクトラム310及び311は広帯域に広がらず、図示のようにメインローブのみの伝送が可能となる。
【0057】
図1に示した実施形態では、データ伝送装置10は、アンテナ100で受信した無変調キャリアをアナログ1次変調信号と混合するためのアナログ・ミキサとしてダイオードによるミキサを用いている。ところが、ダイオード・ミキサは一般的にロスが大きいこととして知られている。そこで、本発明者らは、もう1つの実施形態として、図3に示すような、FETやトランジスタによるアナログ・ミキサを用いたデータ伝送装置10の構成を提案する。
【0058】
同図において、データ伝送装置10は、1次変調部301として、サブキャリア変調器302と、中心周波数Fsのサブキャリアを生成するサブキャリア発振器103と、DAコンバータ303を備えている。
【0059】
サブキャリア変調器302は、サブキャリア周波数Fsを用いて、送信データ(TX_DATA)に対して1次変調を施し、デジタル・フィルタ(図示しない)によって帯域制限を行なったデジタル値(例えば10ビット)のサブキャリア変調波を生成する。変調方式としては、PSKやQPSK、8PSKなどの振幅方向の情報が2値で良い変調方式以外に、16QAMや64QAM、OFDMなど2値以上の情報を持つ高速な変調方式を適用することができる。そして、DAコンバータ303は、デジタル変調信号をアナログ値に変換する。
【0060】
参照番号400は、アンテナ100で受信した無変調キャリアをアナログ1次変調信号と混合するためのミキサ部である。図示の例では、ミキサ部400は、分配器401と、ミキサ402と、ローパス・フィルタ404で構成される。
【0061】
アンテナ100の受信信号アンテナ100は、分配器(合成器)401のs端子に接続され、a端子、b端子の信号に分配される。この分配器(合成器)401は、3dBカップラやウィルキンソン・デバイダが使用される。分配による損失は3dBとなる。
【0062】
ミキサ402は、FETにより構成されるが、分配器401により分配されたa端子の出力がそのローカル入力端子に入力されるとともに、IF入力端子には1次変調部から供給されるアナログのサブキャリア変調波が入力され、両者を混合してアップコンバートする。そして、ミキサ402のRF出力端子からは、中心周波数Fo+FsとFo−Fsの2つの変調波が出力される。
【0063】
そして、ローパス・フィルタ404は、このうちFo+Fsを通過させる特性を持ち、その出力は分配器(合成器)401のb端子に接続され、アンテナ100からはFo+Fsの変調波が返送される。
【0064】
ミキサ402は、一般的には変換利得を持つが、分配器(合成器)401でs−a間、b−s間でトータル6dBの損失が発生することから、場合によってはアンプ403をミキサ402の後段に設けても構わない。
【0065】
このようにして、3ポートのFETミキサによって、中心周波数Fo+Fsの変調波を生成し、データ読取装置側に返送することが可能となる。
【0066】
図4には、図3に示したデータ伝送装置を用いた反射波伝送システムにおける周波数スペクトラムを示している。同図において、参照番号200はデータ読取装置から供給される無変調キャリアを示している。データ読取装置は図6に示したものと同様とする。
【0067】
また、同図において、参照番号310及び311は、データ伝送装置10側で生成された2つの変調波Fo+Fs及びFo−Fsを示している。図示の例では、2つの変調波のうち、中心周波数Fo+Fsの変調波のみを使用するため、バンドパス・フィルタ101により、参照番号500に示すような減衰特性を持たせ、中心周波数Fo+Fsの変調波310を通過させている。
【0068】
また、サブキャリア変調器302内のデジタル・フィルタ(図示しない)により変調波は帯域制限を受けているので、変調波のスペクトラム310及び311は広帯域に広がらず、図示のようにメインローブのみの伝送が可能となる。
【0069】
このように、図1及び図3に示したデータ伝送装置では、デジタル変調信号をアナログ変調信号に変換し、アナログ・ミキサを用いて変調波と無変調キャリアを混合処理すること、すなわち周波数混合によって変調反射波を生成するようになっている。このような場合、振幅方向に2値以上の情報を持つことができる1次変調を適用してより高速な反射波データ伝送を実現することができる。
【0070】
ここで、図1並びに図3に示したような周波数混合による反射波の変調方式と、図6に示したようなバックスキャッタによる反射波の変調方式における消費電力について比較してみる。
【0071】
後者のバックスキャッタ方式では、アンテナで受信した無変調キャリアに対する反射波に、デジタル変調信号によってアンテナ・スイッチのオン/オフ切り替えに伴うアンテナ負荷インピーダンスの変化を利用して変調処理を施す。アンテナ・スイッチとしてガリウム砒素FETのスイッチを用いた場合、このような変調処理に要する電流はほぼ0mAであるから、超低消費電力でのデータ伝送を実現することができる。
【0072】
これに対し、前者の周波数混合方式によれば、図1に示したようなダイオード・ミキサを用いた場合の消費電流は1mA程度であり、また、図3に示したようにFETミキサの消費電流は5mA程度である。これらの消費電流は低い値であるものの、ガリウム砒素FETのスイッチを用いたときの電流に比較すると大きく、超低消費電力でのデータ伝送はできないことになる。
【0073】
そこで、本発明者らは、反射波の変調方式をバックスキャッタ方式と周波数混合方式のいずれかに切り替えるように構成したデータ伝送装置をさらに提案する。この場合のデータ伝送装置は、1次のサブキャリア変調として複数の変調方式をサポートするとともに、通信品質に応じてサブキャリア変調方式を切り替えたときに、反射波の変調方式もバックスキャッタ方式又は周波数混合方式に適応的に切り替えるようにしている。例えば、サブキャリア変調方式としてASK、PSK、QPSK、8PSKなどの振幅方向の情報が2値で良い(低速な)変調方式を適用しているときには、反射波の変調にバックスキャッタ方式を用いることで平均の消費電力を低減することが可能である。
【0074】
図5には、この場合のデータ伝送装置10の構成例を示している。
【0075】
同図において、データ伝送装置10は、1次変調部301として、サブキャリア変調器302と、中心周波数Fsのサブキャリアを生成するサブキャリア発振器103と、DAコンバータ303を備えている。
【0076】
サブキャリア変調器302は、サブキャリア周波数Fsを用いて、送信データ(TX_DATA)に対して1次変調を施し、デジタル・フィルタ(図示しない)によって帯域制限を行なったデジタル値(例えば10ビット)のサブキャリア変調波を生成する。変調方式としては、PSKやQPSK、8PSKなどの振幅方向の情報が2値で良い変調方式以外に、16QAMや64QAM、OFDMなど2値以上の情報を持つ高速な変調方式を適用することができる。そして、DAコンバータ303は、デジタル変調信号をアナログ値に変換する。
【0077】
また、図示のデータ伝送装置は、バックスキャッタ方式の2次変調部と、周波数混合方式による2次変調部を備えており、これらの2つの2次変調部はアンテナ・スイッチ600によって択一的にアンテナ100に接続されるようになっている。
【0078】
前者のバックスキャッタ方式に2次変調部は、バンドパス・フィルタ(BPF)101と、アンテナ負荷切替スイッチ102を備えている。
【0079】
アンテナ負荷切替スイッチ102の一端は、グランドに接地され、アンテナ102の負荷として、オン時にショート、オフ時にオープンとなり、アンテナ100で受信した無変調波の反射波に対してPSK変調を掛けることが可能である。サブキャリア変調器104は、送信データ(TX DATA)より生成されたデジタル変調信号を用いて、アンテナ負荷切替スイッチ102のオン/オフ制御を行なう。
【0080】
また、バンドパス・フィルタ101は、上記の2つの変調波のうち一方(図示の例では、Fo+Fs)だけを取り出すために使用され、中心周波数Foの受信電波とこれに対するFo+Fsの変調反射波を通過させる。
【0081】
このようにして、バックスキャッタ方式の2次変調部は、サブキャリア変調器104は、アンテナ100で受信した中心周波数Foの無変調キャリアに対して正負の各方向にサブキャリア周波数Fsだけ離れた中心周波数Fo+Fs及びFo−Fsという2つの変調波を反射波伝送方式により生成することができる。
【0082】
一方、後者の周波数混合方式による2次変調部601は、サブキャリア変調器104の出力をDAコンバータ303によりアナログ変換したアナログ変調信号とアンテナ100で受信した無変調波の周波数混合によって、無変調波の反射波に対して変調処理を施す。2次変調部601の構成は、図1中の参照番号300又は図3中の参照番号400で示した機能ブロックと同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0083】
アンテナ・スイッチ100は、サブキャリア変調器302において適用されている変調方式(MOD)に応じて、いずれかの2次変調部に適応的に切り替える。
【0084】
具体的には、サブキャリア変調方式としてASK、PSK、QPSK、8PSKなどの振幅方向の情報が2値で良い(低速な)変調方式を適用しているときには、アンテナ・スイッチ600はA側に切り替えられ、反射波の変調にバックスキャッタ方式を用いることで平均の消費電力を低減することができる。
【0085】
また、サブキャリア変調器302において16QAMや64QAM、OFDMなど2値以上の情報を持つ高速な変調方式を適用するときには、アンテナ・スイッチ600をB側に切り替えて、周波数混合方式により反射波に変調処理を施すことによって、上記の高速な1次変調を適用することが可能となる。
【0086】
なお、アンテナ・スイッチ600をA側及びB側にそれぞれ切り替えたときの各周波数スペクトラムは、図7、並びに図2又は図4に示した通りであるから、ここでは説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るデータ伝送装置の構成を示した図である。
【図2】図2は、図1に示したデータ伝送装置を用いた反射波伝送システムにおける周波数スペクトラムを示した図である。
【図3】図3は、FETやトランジスタによるアナログ・ミキサを用いたデータ伝送装置10の構成を示した図である。
【図4】図4は、図3に示したデータ伝送装置を用いた反射波伝送システムにおける周波数スペクトラムを示した図である。
【図5】図5は、反射波の変調方式をバックスキャッタ方式と周波数混合方式のいずれかに切り替えるように構成したデータ伝送装置の構成例を示した図である。
【図6】図6は、サブキャリアを用いた反射波伝送システムの構成例を示した図である。
【図7】図7は、図6に示した反射波伝送システムにおける周波数スペクトラムを示した図である。
【符号の説明】
【0089】
10…データ伝送装置
11…データ読取装置
100…アンテナ
101…バンドパス・フィルタ
102…アンテナ負荷切替スイッチ
103…サブキャリア発振器
104…サブキャリア変調器
105…アンテナ
106…サーキュレータ
107…受信部
108…送信部
109…ベースバンド処理部
300…アナログ・ミキサ
301…1次変調部
302…サブキャリア変調器
303…DAコンバータ
304…キャパシタC1
305…ダイオード
306…インダクタL1
308…抵抗R1
310…インダクタL2
311…キャパシタC4
400…ミキサ部
401…分配器
402…ミキサ
403…アンプ
404…ローパス・フィルタ
600…アンテナ・スイッチ
601…2次変調部(周波数混合方式)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無変調キャリアに対する反射波にデータを乗せて返送するデータ伝送装置であって、
通信相手となるデータ読取装置からの無変調キャリアFoを受信するとともにその反射波を送信するアンテナと、
サブキャリア周波数Fsを生成するサブキャリア発振手段と、
サブキャリア周波数Fsを用いて送信データをデジタル変調するサブキャリア変調手段と、
前記サブキャリア変調手段により生成されるデジタル変調信号をアナログ信号に変換してアナログのサブキャリア変調波Fsを生成するDA変換手段と、
無変調キャリアFoにアナログのサブキャリア変調波Fsを混合して、新たな変調波Fo+Fs及びFo−Fsを生成する周波数混合手段と、
を具備することを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項2】
前記サブキャリア変調手段は、PSKやQPSK、8PSKなどの振幅方向の情報が2値で良い変調方式、又は、16QAMや64QAM、OFDMといった2値以上の情報を持つ高速な変調方式を適用する、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項3】
前記サブキャリア変調手段は、変調波に対して帯域制限を与えるデジタル・フィルタを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項4】
前記周波数混合手段は、非飽和領域に動作点が設定されたダイオードで構成される、前記DA変換手段から供給されるアナログ変調信号と、前記バンドパス・フィルタを介したアンテナ受信信号の2ポートを入力に持つアナログ・ミキサであり、
前記アンテナと前記周波数混合手段の間には、Foと、Fo+Fs又はFo−Fsのうち一方を通過させる特性を持つバンドパス・フィルタが配設される、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項5】
前記周波数混合手段は、前記アンテナの受信信号を分配する分配器と、前記のアナログ変調波Fsと前記分配器により分配されたアンテナ受信信号Foとを混合して新たな変調波Fo+Fs及びFo−Fsからなる変調反射波を生成するFETミキサと、Fo+Fs又はFo−Fsのうち一方の変調反射波を通過させる特性を持つバンドパス・フィルタを備え、前記分配器はFo+Fs又はFo−Fsのうち一方からなる変調反射波を前記アンテナから送出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項6】
前記分配器は、3dBカップラ又はウィルキンソン・デバイダで構成される、
ことを特徴とする請求項5に記載のデータ伝送装置。
【請求項7】
前記アンテナの負荷インピーダンスを切り替えるアンテナ負荷切替スイッチと、前記アンテナと前記アンテナ負荷切替スイッチの間に配設され、周波数Foと、周波数Fo+Fs又はFo−Fsのうち一方の変調反射波を通過させる特性を持つバンドパス・フィルタを備え、前記サブキャリア変調手段により生成されるデジタル変調信号に従って前記アンテナ負荷切替スイッチのオン/オフによるアンテナ負荷インピーダンスの変化を利用して前記アンテナの受信電波の反射波に変調処理を施すバックスキャッタ変調手段と、
前記サブキャリア変調手段において適用する変調方式に応じて、前記周波数混合手段又は前記バックスキャッタ変調手段のいずれかを前記アンテナに接続するアンテナ・スイッチをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項8】
前記サブキャリア変調手段は、通信品質などに応じて、PSKやQPSK、8PSKなどの振幅方向の情報が2値で良い変調方式、又は、16QAMや64QAM、OFDMといった2値以上の情報を持つ高速な変調方式を適用することができ、
前記アンテナ・スイッチは、前記サブキャリア変調手段において振幅方向の情報が2値で良い変調方式が適用されているときには前記バックスキャッタ変調手段を前記アンテナに接続し、前記サブキャリア変調手段において2値以上の情報を持つ変調方式が適用されているときには前記周波数混合手段を前記アンテナに接続する、
ことを特徴とする請求項7に記載のデータ伝送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−228136(P2008−228136A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66184(P2007−66184)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】