説明

データ再生装置、再生方法、及び再生装置の制御を行う回路

【課題】リードチャネルを構成する各回路の適応にかかる時間を短縮する。
【解決手段】HDC4は、記録媒体1の回転方向から見て、ホスト・システムから再生を指示されたセクタの手前にあるセクタの位置に再生ヘッドがある時に、RDC100のリードゲートをアサートさせる。再生ヘッドによってそのセクタから読み出されたデータは、RDC100を構成する回路を適応させるために用いられるが、そのデータはホスト・システムに転送されない。この処理を、再生を指示されたセクタに格納されたデータを再生する位置に再生ヘッドが至るまで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な環境変化に対応して再生性能を最大限に高めるように記録装置を制御する制御方法及び、記録媒体からのデータ読み出しに失敗した場合のリトライ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置においては、近年の高記録密度化に伴い、データ再生時の信号対雑音比(S/N比)が低下してきている。これに対して、再生ヘッドから再生された信号を正しく復号するために最適な変復調方式を採用している。さらに、個々の再生ヘッドや磁気ディスク媒体の諸特性のばらつきに応じてプリアンプ、及びリードチャネル集積回路(以下、単にリードチャネルという)内のVGA(Variable Voltage Amplifier)回路やフィルタ制御回路など、各種の再生回路のパラメータのチューニングが不可欠となっている。
【0003】
しかし、出荷時にパラメータがチューニングされた装置であっても、環境温度の変化や再生ヘッドの浮上量の変化に起因する記録性能の変化や、再生ヘッドの劣化に起因する出力低下などによる再生マージンの悪化が避けられない問題となっている。なお、再生マージンは正常にデータが再生される確率を示し、再生マージンが高いほど、エラーが生じる確率が低くなる。
【0004】
より具体的には、環境温度が常温に対して高温又は低温に変化したり、再生ヘッドの浮上量が変化したりすることにより、磁気ディスク装置の記録性能が変化する結果、出荷前にチューニングされたパラメータを用いても常温時に比べて再生マージンが低下し、再生エラーが起きやすくなる。また、再生ヘッドに過大なバイアスを掛けたり、再生ヘッドが古くなったりすることにより再生ヘッドの劣化が起こった場合、ヘッド出力が低下して再生マージンを損なうため、やはり再生エラーが起きやすくなる。
【0005】
そこで、磁気ディスク装置の記録性能の変化に対しては、データ経路上のリードチャネルに内蔵されている各種フィルタ回路や信号成形回路等によって実現される自動適応機能を、データ読み出し時やリードリトライ時に使用することにより、再生マージンの改善やエラー救済を図る方法が一般的に用いられている。自動適応機能を実現する回路の例として、FIR(Finite Impulse Response)適応制御回路及び非対称補正回路などがある。
【0006】
また、再生ヘッドの劣化によるヘッド出力の低下に対しては、AGC(Auto Gain Control)回路等によってVGAゲインを現在の最適値に追従させる方法等が用いられている。
【0007】
図6に、FIR適応制御回路、非対称補正回路及びAGC回路を備えるリードチャネル(RDC)の構成の一例を示す。図6に示すように、リードチャネル100は、VGA(Variable Voltage Amplifier)回路101、非対称補正回路102、CTF(Continuous
Time Filter)回路103、アナログ・デジタル変換回路104、FIR回路105、ビタビ検出回路106、後処理回路107、復号回路108、NRZインタフェース109、FIR適応制御回路110、PLL(Phase Locked Loop)回路111、非対称補正制御回路112、AGC回路113を備える。なお、図6において、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式を採用したリードチャネルを例としているが、リードチャネルで採用する方式を限定する趣旨ではない。また、図6においてエラー訂正回路としてビタビ検出器を用いているが、他のエラー訂正回路であってもよい。
【0008】
プリアンプ(不図示)は、磁気ディスク装置の記録媒体から再生ヘッドによって読み込まれたアナログ信号をVGA回路101に出力する。
VGA回路101は、AGC回路113からの出力に基づいてプリアンプから入力されたアナログ信号を増幅させ、非対称補正回路102に出力する。なお、VGA回路101によるゲインは、読み出しに使用される再生ヘッドや、読み出されるセクタが磁気ディスクの内周側にあるのか外周側にあるのか等によって異なる。
【0009】
非対称補正回路102は、アナログ信号の波形に上下非対称が生じていた場合、その波形を整形し、整形された信号をCTF回路103に出力する。CTF回路103は、入力されたアナログ信号をフィルタリングする。CTF回路103によってフィルタリングされたアナログ信号は、アナログ・デジタル変換回路104によってデジタル信号に変換される。
【0010】
FIR回路105は、入力されたデジタル信号をフィルタリングする。ビタビ検出回路106は、FIR回路105によって等化されたデジタル信号から最も確からしいデジタル信号を得る。その後、そのデジタル信号を後処理回路107及び復号回路108によって復調することにより、復調データが生成される。生成された復調データは、NRZインタフェース109を介してハードディスクコントローラ(HDC)に出力される。
【0011】
一般に、プリアンプ、VGA回路101、非対称補正回路102、CTF回路103、アナログ・デジタル変換回路104、FIR回路105の各種パラメータは、出荷時に最適化されている。しかし、これらの回路の再生マージンは、出荷後の環境温度変化、ヘッド劣化等によって変化するため、リードリトライ時等に、下記の回路によって各再生回路及びフィルタリング回路のパラメータを現在の最適値に追従させることがある。
【0012】
FIR適応制御回路110は、FIR回路105及びビタビ検出回路106からの出力の差に基づいて、FIR回路105におけるフィルタリング用のパラメータを現在の最適値に追従させる。
【0013】
PLL回路111は、誤り検出回路106からの出力に基づいて、アナログ・デジタル変換回路104の出力の周波数を制御するためのパラメータを現在の最適値に追従させる。
【0014】
非対称補正制御回路112は、FIR回路105から入力されたデジタル信号に基づいて、非対称補正回路102のパラメータを現在の最適値に追従させる。 AGC回路113は、FIR回路105から入力されたデジタル信号のレベルと所定のレベルとを比較し、プリアンプから入力された信号のレベルが所望の値となるようにVGA回路101のゲインを調整する。
【0015】
なお、図6において示されていないが、CTF回路103のパラメータ最適値に追従させる回路等、その他の回路をさらにRDC100に設けてもよいことはいうまでもない。
以下、図7を用いて、従来技術におけるエラー救済方法について説明する。図7において、横軸は時間を示す。図7の上段は、インデックスパルスを示す。インデックスパルスは、磁気ディスクが1回転する毎に出力され、ディスクの回転の目安となる。図7の下段は、リードゲート(RGATE)のアサート・ネゲート、つまりリードゲートの開閉を示す。
【0016】
図7に示すように、あるセクタに書き込まれた情報を読み出すことに失敗した場合、従来技術によれば、ディスクが最低でも1回転させ、再生ヘッドが読み出しに失敗したセクタに格納されたデータを読み出すことができる位置に達するごとに、リードゲートがアサ
ートされる。リードゲートがアサートされていると、リードチャネルは再生モードとなり、読み出しに失敗したセクタに対する再読み出し(リードリトライ)が1回行われる。このリードリトライの際に、上述の自動追従機能を実現する回路を用いてリードチャネルを構成する再生回路やフィルタリング回路の各パラメータを現在の最適値に合うように追従させる。n回目(nは任意の自然数)のリードリトライが失敗すると、さらにディスクを最低1回転させた後に、n+1回目のリードリトライが行われる。n+1回目のリードリトライの際には、n回目のリードリトライにおいて追従されたパラメータから追従を開始する。
【0017】
このようにして磁気ディスクが最低1回転する毎に読み出しに失敗したセクタについてのリードリトライを行いながら、再生回路やフィルタリング制御回路のパラメータを現在の最適値に徐々に近づけていくことにより、読み出しに失敗したセクタに対してのエラー救済を行う。なお、リトライ回数やリトライ処理に要した時間が上限に達すると、エラー救済が失敗したことになる(リトライアウト)。
【0018】
以下、図8を用いて、エラー救済にかかる時間について説明する。図8において、横軸はリトライ回数を示し、縦軸は再生マージンを示す。点線は、再生エラーが起こる確率がほぼ無視できる水準を示し、再生マージンが点線以上になった場合、エラー救済が完了することを意味する。つまり、再生マージンが高いほど、エラー発生率が低くなる。
【0019】
図8に示すように、エラー発生時の再生マージンが低いほど、エラー救済が完了するまでに行われるリードリトライの回数が多くなることが分かる。具体的に、図8に示すA、B及びCの3つのケースについて説明すると、エラー発生時の再生マージンが最も高い、言い換えると現在の再生回路のパラメータと現在の最適値との差が大きくないケースAの場合、1回のリトライでエラー救済を完了することがわかる。一方、エラー発生時の再生マージンが最も低い、言い換えると現在のパラメータと現在の最適値との差が大きいケースCの場合、6回のリトライでエラー救済を完了することがわかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記従来技術において、環境温度の変化等による磁気ディスク装置の記録性能の変化に対応するために上述の自動適応機能を実現する回路を用いて、リードチャネルを構成する再生回路のパラメータを現在の最適値に追従させる動作には、比較的長い時間を要するという問題があった。従って、パラメータを追従させて再生可能な状態に到達する途中は正しいデータ再生を期待できず、リードリトライを行う回数が高くなっていた。このことは、磁気ディスク装置としてのパフォーマンスを低下させるとともに、最悪の場合、リトライ回数や処理時間の上限を超えてもエラー救済が出来ないという問題の原因でもあった。
【0021】
また、再生ヘッドの劣化によるヘッド出力の低下に対応するためにAGC回路等によってVGAゲインを出荷前にチューニングされた時の値から現在の最適値に追従させる動作にも、チューニングの値と現在の最適値との差が大きい場合には(つまり、出力低下が大きい場合)、比較的長い時間を要するという問題があった。従って、この場合にも、リードリトライを行う回数が多くなったり、エラー救済ができなかったりする問題が生じていた。
【0022】
なお、上述の問題は、記録媒体が磁気ディスクである場合のみならず、記録媒体が他のディスク、例えば、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等である場合でも生じうる。
【0023】
上記問題に鑑み、リードチャネルを構成する各回路の適応にかかる時間を短縮すること
が、本発明が解決しようとする第1の課題である。また、再生エラーが発生しにくい再生装置を提供することが、本発明が解決しようとする第2の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記問題を解決するために、本発明の1態様によれば、記録媒体に記録されたデータを再生する再生装置において、上記記録媒体に格納されたデータを再生する再生手段と、上記再生手段の制御を行う制御手段とを備え、上記制御手段は、ホスト・システムから再生を指示された上記記録媒体内の第1のセクタ以外の第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて、上記再生手段を構成する回路を適応させるよう制御するように構成する。
【0025】
これにより、第1のセクタ以外の第2のセクタを用いて再生手段を構成する回路を適応させることが可能となる。従来は、1回転につき1セクタのデータを用いてパラメータを追従させていたが、本発明によれば、1回転につき複数のセクタのデータを用いてパラメータを追従させる事が可能となる。従って、記録媒体を1回転するごとに追従できるパラメータの変化量を、従来よりも多くすることが可能となる。延いては、リードチャネルを構成する各回路の適応にかかる時間を短縮すること可能となる。なお、上記記録媒体として、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等が挙げられる。
【0026】
上記構成において、上記第2のセクタは、上記第1のセクタの近傍に存在することとしてもよい。環境温度の変化や再生ヘッドの劣化等の原因によって再生手段の機能が低下した場合、第1のセクタの近傍にある第2のセクタのデータを再生する際も、その原因によって第1のセクタと同様に再生エラーを起こす程度可能性が高い。従って、第1のセクタの近傍にある第2のセクタのデータを、再生手段を構成する各回路のパラメータを最適値に追従させることに利用することが可能であるからである。
【0027】
また、上記構成において、上記制御手段は、上記第2のセクタから再生されたデータを、上記ホスト・システムに転送しないこととしてもよい。第2のセクタから再生されたデータは、ホスト・システムから要求されていないため、データの転送は不要だからである。
【0028】
また、上記構成において、上記制御手段は、上記第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて再生手段を構成する回路を適応させた制御の後に、上記再生手段に上記第1のセクタに記録されたデータを再生させることとしてもよい。これにより、第1のセクタに記録されたデータの再生エラーを生じにくくすることが可能となる。
【0029】
また、上記構成において、上記第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて上記再生手段を構成する回路を適応させる制御は、上記第1のセクタに格納されたデータの再生に失敗した場合に行われることとしてもよい。これにより、リードリトライ時におけるリトライ回数を低減することが可能となる。
【0030】
また、上記再生装置は、環境温度又は装置内の温度を検出する温度検出手段を更に備え、上記温度検出手段が所定の条件を満たす温度変化を検出した場合に、上記制御手段は、上記再生手段に上記第1のセクタに格納されたデータを再生させる前に、上記再生手段を構成する回路を適応させる制御を行うこととしてもよい。また、上記再生装置は、上記記録媒体からデータを読み出す再生ヘッドの出力を検出するヘッド出力検出手段を更に備え、上記ヘッド出力検出手段が所定の条件を満たす出力変化を検出した場合に、上記制御手段は、上記再生手段に上記第1のセクタに格納されたデータを再生させる前に、上記再生ヘッドの上記再生手段を構成する回路を適応させる制御を行うこととしてもよい。
【0031】
これにより、再生エラーが生じなくとも、環境温度の変化或いは再生ヘッドの出力の変化に基づいて、再生エラーが生じる可能性が高いと考えられる場合には、自動的に上記再生手段を構成する回路を適応させることが可能となる。
【0032】
また、上記再生装置は、上記再生手段を構成する回路の設定値を格納する格納手段を更に備え、上記制御手段は、上記再生手段を構成する回路を適応させた結果に基づいて、上記格納手段に格納された設定値を更新する、こととしてもよい。再生手段を構成する回路を適応させる原因は、環境温度の変化や再生ヘッド出力の変化であることが多い。環境温度は急速に大きく変動することはあまりなく、再生ヘッドも劣化が起ってしまえば元の状態には戻りにくい。。したがって、再生手段を構成する回路を適応した結果に基づいて、これらの回路の設定値を変更することにより、次回以降のデータ再生時にエラーが生じにくいようにすることが可能となる。なお、上記格納手段は、上記記録媒体の一部であってもよいし、上記再生装置に備えられたメモリであってもよい。
【0033】
また、上記再生装置を備える記録装置も、上記の課題を解決することが可能である。
また、本発明の別の1態様によれば、記録媒体に記録されたデータを再生する再生手段を適応させる適応方法であって、ホスト・システムから上記記録媒体内の第1のセクタに格納されたデータの再生指示を受け、上記第1のセクタ以外の上記第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて、上記再生手段を構成する回路を適応させる、ことを含む。この適応方法によっても、上記課題を解決することが可能である。
【0034】
また、本発明の更なる別の1態様によれば、記録媒体に記録されたデータを再生する再生装置を制御する回路であって、再生されたデータをホスト・システムに転送する転送手段と、データを再生する再生手段のリードゲートをアサートする信号を出力する信号出力手段とを備える。そして、上記信号出力手段は、上記ホスト・システムから再生を指示された上記記録媒体内の第1のセクタよりも、上記記録媒体の回転方向から見て手前にある第2のセクタを再生する位置に再生ヘッドがある際に、リードゲートをアサートする信号を出力し、上記転送手段は、上記第2のセクタから再生されたデータを上記ホスト・システムに転送しないこととする。この回路を再生装置或いは記録装置に備えることによっても、上記課題を解決することが可能である。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ホスト・システムから再生を指示された記録媒体内のセクタ以外の他のセクタに格納されたデータを用いて、データを再生するための回路を適応させる。これにより、記録媒体を1回転するごとに追従できるパラメータの変化量を、従来よりも多くすることが可能となる。延いては、リードチャネルを構成する各回路の適応にかかる時間を短縮すること可能となる。
【0036】
また、本発明のよれば、リードチャネルを構成する回路を適応させた結果に基づいて、次回以降の再生時に回路において用いる設定値を変更する。これにより、次回以降のデータ再生時にエラーが生じにくいようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、同じ装置等には同じ参照番号をつけ、説明を省略する。また、説明のために、磁気ディスク装置を例として用いているが、後述のように、本発明を適用することができる記録装置を限定する趣旨ではない。
【0038】
図1に、本発明に係わる磁気ディスク装置の構成を示す。図1において、細い矢印は制御信号の流れを示し、太い矢印がデータの流れを示す。図1に示すように、磁気ディスク
装置は、ディスク封入部(ディスク・エンクロージャー)と回路基板とに大きく分けられる。ディスク封入部は、磁気ディスク媒体1及びプリアンプ2を含む。回路基板は、RDC100、MCU(Micro Controller Unit)/DSP(Digital Signal Processor)/周辺ロジック3、HDC4(Hard Disk Controller)及びバッファ5を含む。なお、図1において、データ記録に係わる回路及びモータ・ドライバ等は省略している。MCU/DSP/周辺ロジック(以下、MCU/DSP/周辺ロジックをMCUという)3、HDC4及びバッファRAM(Random Access Memory)5はコントローラ部を構成する。
【0039】
再生ヘッド(不図示)を用いて磁気ディスク媒体1から読み出されたアナログ信号はプリアンプ1に出力される。プリアンプ1は、アナログ信号をRDC100に出力する。RDC100は、入力されたアナログ信号を復調し、HDC4に出力する。その際に、RDC100は、上述の適応回路を用いて、RDCを構成する再生回路やフィルタリンク回路を適応させる。なお、RDC100については、上記において既に説明したため、詳しい説明を省略する。
【0040】
MCU3は、磁気ディスク装置全体の制御を司る。例えば、MCU3は、ヘッドのポジショニング制御やRDC100を実現する回路の初期化等を行う。MCU3については、従来と同様であるため、説明は省略する。
【0041】
HDC4は、バッファ・コントロール回路、インタフェース制御回路、サーボ回路等によって構成される。HDC4は、復調されたデジタル・データ、つまり再生データが正常に再生されているか否か判定し、正常に再生されている場合、バッファRAM5を用いながら、その再生データをホスト・システム(上位装置)に転送する。再生エラーが生じている場合、HDC4は、コントローラ部に備えられたリトライテーブル(不図示)に基づいて、再生エラーが発生したセクタに格納されたデータのリードリトライを行う。
【0042】
次に、図2を用いて、本実施形態におけるリードリトライの手順について説明する。まず、ホスト・システムからの指示に基づいて磁気ディスク媒体1のセクタからデータが信号として読み出され、読み出された信号は復調されてHDC4に出力される(S1)。HDC4は、復調データに基づいて、再生が正常に行われているか否か判定する(S2)。正常に再生されている場合(S2:No)、HDC4は、その復調データをバッファRAM5に一時格納しながらホスト・システムに転送して、再生処理を正常に終了する。
【0043】
復調データが正常に再生されていない場合(S2:Yes)、HDC4は、リトライテーブルを参照する(S3)。リトライテーブルは、例えばコントローラ部に付属するフラッシュROM等のメモリ上に備えられる(不図示)。リトライテーブルには再生エラーが生じた場合のエラー救済の手順が、リトライの回数(以下、リトライカウントという)に対応させて記述されている。する。HDC4は、現在のリトライカウントに対応するエラー救済の手順をリトライテーブルから取得し、取得したエラー救済の手順に基づいてエラー救済を行う(S4)。
【0044】
本発明にかかわるエラー救済の手順には、従来のエラー救済の手順に無い新たな手順がふくまれる。1つは、ダミーリード(後述)であり、1つはパラメータ更新(後述)である。HDC4にダミーリード又は・及びパラメータ更新を行わせる場合、リトライテーブル内に、予め、ダミーリード又は・及びパラメータ更新を実施させたいリトライカウントにおいて、ダミーリード又は・及びパラメータ更新を行うよう指定する。なお、ダミーリードを実施させる場合、さらに、RDC100を構成する何らかの適応回路をイネーブルにさせる指定を含むこととしても良い。
【0045】
現在のリトライカウントに対応する手順にダミーリードが含まれる場合、HDC4はダ
ミーリードの指示を行う。ダミーリードは、磁気ディスクを回転させながら以下の手順で行われる。
【0046】
まず、ダミーリードにおいて、HDC4は、プリアンプ2に対し、エラーが発生したセクタの近傍の他のセクタのデータ読み出し指示を出し、さらにRDC100のリードゲートをアサートさせる。エラーが発生したセクタの近傍のセクタとして、例えば、ハードディスクや光ディスク、光磁気ディスクの場合、エラーが発生したセクタと同じゾーン、或いは同じトラック上のセクタが上げられる。また、エラーが発生したセクタの近傍のセクタは、ディスクの回転方向から見て、エラーが発生したセクタより手前にあることが望ましい。
【0047】
リードゲートがアサートされると、RDC100は、再生モードとなる。従って、プリアンプ2は、ダミーリードの対象となるセクタのデータを読み出して信号としてRDC100に出力する。RDC100は、その信号を復調すると共に、その信号を用いて、上述のようにしてRDCを構成する適応回路や再生回路のパラメータを最適値に追従させる。ダミーリードにおいて再生された信号は、RDC100を構成する各部のパラメータを最適値に追従させるために利用された後にHDC4に出力されるが、HDC4からホスト・システムに転送されない。
【0048】
ダミーリードされるセクタの数は、RDC100を構成する各種再生回路及び適応回路の追従時間との関係で決定される。一般的には、ダミーリードを行うセクタの数は多い方が良いため、エラー発生後ダミーリードを開始できるようになり次第、エラーが発生したセクタの近傍のセクタについてダミーリードを開始しする。そして、磁気ディスクの回転によりエラーが発生したセクタのデータを再生する位置に再生ヘッドが到達するまで、ダミーリードを開始したセクタと連続するセクタについてダミーリードを行う方が望ましい。連続したセクタについてダミーリードを行っている間、リードゲートはアサートされたままとなる。
【0049】
エラーが発生したセクタを再生させる位置に再生ヘッドが到達すると、HDC4は、そのセクタに対して従来と同様にしてリードリトライを行う。
エラーの原因には、磁気ディスク媒体の損傷のようなエラーが発生したセクタ自体に由来する原因と、環境温度の変化や再生ヘッドの劣化等のエラーが発生したセクタ自体に由来しない原因とがある。後者の原因の場合、エラーが発生したセクタの近傍にあるセクタのデータを読み出す際にも、その原因によってエラーが発生する可能性が高い。従って、後者の原因の場合、エラーが発生したセクタの近傍にあるセクタのデータを、RDC100を構成する各回路のパラメータを最適値に追従させることに利用することが可能であると考えることができる。本発明によれば、この考え方に基づいて、ダミーリードを実行することとしている。
【0050】
従来、エラーが発生したセクタのデータのみを用いてRDC100を構成する各部のパラメータを現在の最適値に追従させていたため、磁気ディスクを1回転させる間に追従させることができるパラメータの変化量が小さかった。従って、従来において、エラーが発生したセクタについてパラメータ追従及びリードリトライを行った後、エラーを救済することができなかった場合、磁気ディスク媒体1を更に1回転以上回転させた後に再度、同じ処理を繰り返していた。故に、現在の最適値と、実際に各回路に設定されているパラメータとの差が比較的大きい場合、エラー救済の際に磁気ディスク媒体1の回転待ちが多くなるため、、エラー救済のためにかかる時間が長くなるという問題があった。
【0051】
一方、本発明によれば、エラーが発生したセクタのデータを用いてRDC100を構成する各回路のパラメータを現在の最適値に追従させる前に、ダミーリードにおいてパラメ
ータを最適値に追従させる処理を行う。従って、磁気ディスク媒体1を1回転させる間に複数のセクタのデータを用いてRDC100を構成する回路を追従させる事が可能となるため、パラメータの変化量が増えることになる。これにより、現在の最適値と、実際に各回路に設定されているパラメータとの差が比較的大きい場合であっても、従来よりも短時間でパラメータを現在の最適値に追従させることが可能となる。
【0052】
S4の後、HDC4は、エラーが発生したセクタから読み出された復調データにエラーがあるか否か判定する(S5:No)。エラーが無い場合、HDC4は、その復調データをホスト・システムに転送する。続いて、HDC4は、S3において取得した現在のリトライカウントにおけるエラー救済手順に、パラメータテーブルに登録されているパラメータを更新するパラメータ更新手順が含まれるか否か判定する。エラー救済手順にパラメータ更新が含まれる場合、HDC4は、エラー救済時に最適値に追従されたパラメータを用いて、パラメータテーブル内の、再生に用いた再生ヘッド及び再生されたセクタが含まれるゾーンに対応するパラメータを更新し、再生処理を正常に終了する。一方、エラー救済手順に、パラメータ更新が含まれない場合、HDC4は、パラメータを更新しないで、再生処理を正常に終了する。なお、パラメータテーブルは、RDC100を構成する各回路において用いられるパラメータを格納する。パラメータテーブルは、コントローラ部に付属するフラッシュROM等のメモリ上に備えられることとしても良いし、磁気ディスク媒体1の任意の部分に書き込まれることとしても良い。
【0053】
環境温度の変化及びヘッドの劣化等がエラーの原因である場合、エラーの原因は急激に解消されることはあまりない。例えば、環境温度の変化がエラーの原因である場合、ホスト・システムから次に再生の指示が出されるまでに、環境温度が短時間で急速に変化することは起こりにくい。また、例えば、ヘッドの劣化がエラーの原因である場合も、ヘッドの劣化は半永久的なものであるため急にヘッド出力が改善することも起こりにくい。従って、このようなエラー原因の場合、再生エラーが生じた際と同じ再生ヘッドを用いてエラーが生じたセクタの近傍にあるセクタに格納されているデータを次回に再生する際においても、エラーが発生する可能性がある。そこで、次回以降の再生時にも使用できるように、パラメータテーブルに登録されたパラメータをエラー救済のために最適値に追従されたパラメータに更新することにより、次回以降にエラーが発生する可能性を低減することが可能となる。また、もし、パラメータを更新した後にエラー原因が何らかの理由で解消された場合も、本実施形態によれば、上述のようにエラー救済は迅速に行われるため、ユーザに与える不便は少ない。
【0054】
なお、パラメータテーブルに登録されたパラメータは、ホスト・システムの電源が停止されると更新された値から出荷時に設定された値に戻ることとしても良いし、電源が停止された後も更新された値のままであることとしても良い。
【0055】
S5の判定において、エラーが発生したセクタから読み出された復調データにエラーがある場合(S5:Yes)、HDC4は、リトライカウントを1インクリメントし、さらに、そのリトライカウントが、リトライ回数の上限を示す最終カウントであるか否か判定する(S7)。
【0056】
リトライカウントが最終カウントである場合(S7:Yes)、HDC4は、そのセクタのエラー救済に失敗したと判定し、再生処理を終了する。リトライカウントが最終カウントではない場合(S7:No)、S3に戻る。
【0057】
以下、図3を用いて、本実施形態に係わるエラー救済方法について、より詳しく説明する。図3において、横軸はリトライの回数を示す。図3の上段は、インデックスパルスを示す。インデックスパルスは、再生ヘッドが1回転する毎に出力され、ディスクの回転の
目安となる。図3の下段は、リードゲート(RGATE)の開閉を示す。
【0058】
図3に示すように、あるセクタに書き込まれた情報を読み出すことに失敗した場合、本実施形態によれば、磁気ディスクの回転方向から見て、エラーが発生したセクタよりも手前のセクタを再生する位置に再生ヘッドがある時点からリードゲートがアサートされる。そして、リードゲートがアサートされたときの位置からエラーが発生したセクタに格納されたデータを再生する位置に再生ヘッドが至るまでは、その間の連続するセクタから読み出されたデータを用いてRDC100内の適応回路は、RDC100を構成する回路の適応を行い、HDC4は、RDC100から出力される復調信号をホスト・システムに転送しない。続いて、読み出しに失敗したセクタに対するリードリトライが行われる。このリトライにおいて、読み出されたデータは、ホスト・システムに転送される。
【0059】
つまり、リトライを行う前に、エラーが発生したセクタの近傍の連続するセクタに格納されたデータを用いて、RDC100を構成する回路において用いられるパラメータの追従動作が行われ、その後にリードリトライにおいてエラーが発生したセクタについての追従動作及び再生が行われる。つまり、磁気ディスク1を1回転させる間に、複数セクタ分のパラメータの追従動作が行われる。
【0060】
以下、図4を用いて、従来技術及び本実施形態におけるエラー救済にかかる時間について説明する。図4において、横軸は、エラー発生からのリトライ回数を示し、縦軸は、再生マージンを示す。再生マージンが高いほど、エラーが生じる確率が低くなる。点線は、エラーが起こる確率がほぼ無視できるほど低い水準を示し、再生マージンが点線以上になった場合、エラー救済が完了ことを意味する。
【0061】
図4に示すように、従来技術によれば、1回のリードリトライにおいてエラーが発生した1セクタのデータのみを用いてパラメータの追従動作が行われるため、リトライ開始から再生マージンが点線で示される水準に至るまでにある程度の時間を要する。一方、本実施形態によれば、リードリトライの前に、エラーが発生したセクタと同じトラック上の他のセクタに格納されたデータを用いてパラメータの追従動作が行われ、その後に従来と同様にしてリードリトライが行われる。つまり、1回のリトライによって、複数セクタ分のパラメータの追従動作が行われる。従って、再生回路のパラメータやVGAゲインが点線に示される水準に達するまでに要する時間は、ダミーリードのない従来技術の場合と比べて短い。なお、図4において、本実施形態及び従来技術ともに、多数回のリトライを経て一定の値に達した後は、再生マージンはそれ以上増加しない。これは、その時点での最適値にパラメータが到達したためである。
【0062】
次に、図5を用いて、追従された値を用いて出荷時にチューニングされたパラメータを更新する手順についてより詳しく説明する。
図5(a)から図5(d)は、4つの異なる時点における、リードチャネルを構成する再生回路やフィルタリング制御回路に設定されたパラメータを示すパラメータテーブルである。各パラメータテーブルにおいて、列は、磁気ディスクにおけるデータゾーンに対応し、行は磁気ディスク装置に備えられた再生ヘッドに対応する。データゾーンとは、磁気ディスクを内周から外周にかけて同心円状に領域分けしたものである。データゾーンに応じて、データの記録周波数が変更される。
【0063】
図5(a)において、0行0列に対応するセルに格納される値は、再生ヘッド0、データゾーン0について設定されたパラメータp00を示す。図5において、説明を簡単にするために各セルに1つのパラメータが示されているが、実際には、再生回路やフィルタリング制御回路等のそれぞれの回路について、様々なパラメータが設定される。パラメータテーブルは、図1に示すコントローラ部に付属するフラッシュROM等のメモリ上(不図
示)あるいは、磁気ディスク1の一部等に保持されている。
【0064】
図5(a)は、出荷時に設定されているパラメータを示す。出荷後のある時点において、再生ヘッド1によって再生されるデータゾーン2中のあるセクタにおいてエラーが発生し、エラー救済処理の結果、現在の最適値に追従されたパラメータp12newが得られたと仮定する。エラー救済の結果に基づいて、図5(a)に示すパラメータテーブル中の1行2列に対応するセルに格納されるパラメータp12をp12newに変更することにより、図5(b)に示すパラメータテーブルが得られる。
【0065】
図5(b)に示すパラメータテーブルが得られた後のある時点において、更に、再生ヘッド0によって再生されるデータゾーン5中のあるセクタにおいてエラーが発生し、そのセクタについてエラー救済を試みたが失敗したと仮定する。この場合、図5(b)に示すパラメータテーブル中の0行5列に対応するセルに格納されるパラメータp05は変更されないため、図5(c)に示すエラー救済後のパラメータテーブルは、図5(b)に示すエラー救済前のパラメータテーブルと同じである。
【0066】
図5(c)に示すパラメータテーブルが得られた後、さらに時間が経過したある時点において、今度は、再生ヘッド3によって再生されるデータゾーン6中のあるセクタにおいてエラーが発生し、エラー救済処理の結果、現在の最適値に追従されたパラメータp36newが得られたと仮定する。エラー救済の結果に基づいて、図5(c)に示すパラメータテーブル中の3行6列に対応するセルに格納されるパラメータp36をp36newに変更することにより、図5(d)に示すパラメータテーブルが得られる。
【0067】
このように、エラー救済の結果に基づいてパラメータテーブルに格納されるパラメータを更新することにより、磁気ディスクに格納されたデータの再生エラーが生じにくいようにすることが可能となる。
【0068】
以下、本実施形態の変形例について説明する。上述において、リードエラーが生じた場合にパラメータを現在の最適値に追従させる場合について説明した。しかし、エラーが生じた場合以外でも、パラメータを追従させる処理を行うように、記録装置を構成することとしても良い。そのために、図1に示す構成に加え、環境温度の変化を検出する環境温度検出部や再生ヘッドの劣化を検出する再生ヘッド出力検出部を記録装置に備える。そして、上記検出部が環境温度の変化や再生ヘッドの劣化を検出した結果が所定の条件を満たす場合には、その条件を満たした後に最初にホスト・システムからデータの再生を指示された際に、上述の図2を用いて説明したS3からS7を行う。つまり、指定されたセクタのデータを再生するのに先立って、そのセクタ以外のセクタのデータをダミーリードすることによりRDC100を構成する回路を適応させる。これにより、指定されたセクタを再生する際にエラーが生じにくくすることが可能となる。
【0069】
また、上記説明において、記録装置として、磁気ディスク装置を例として用いた。しかし、本発明は、磁気ディスク装置以外の記録装置、例えば、光磁気ディスク装置、及び、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)のような光ディスク装置等、磁気テープ装置等にも利用可能である。なお、この場合、記録媒体が異なるため図1に示すリードチャネルの構成を記録媒体の種類に応じた構成に変えられる必要がある。CD及びDVDの場合、ディスク上に同心円状のトラックが複数並ぶのではなく、ディスクの中心に向かって螺旋を描くトラックが1本あるだけであるため、エラーが生じたセクタと同じゾーン上のセクタを、エラーが生じたセクタの近傍のセクタとして扱うこととしても良い。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その他の様々な変更が可能である。
【0070】
(付記1) 記録媒体に記録されたデータを再生する再生装置であって、
前記記録媒体に格納されたデータを再生する再生手段と、
前記再生手段の制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、ホスト・システムから再生を指示された前記記録媒体内の第1のセクタ以外の第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて、前記再生手段を構成する回路を適応させるよう制御する、
ことを特徴とする再生装置。
(付記2) 前記第2のセクタは、前記第1のセクタの近傍に存在する、
ことを特徴とする付記1に記載の再生装置。
(付記3) 前記制御手段は、前記第2のセクタから再生されたデータを、前記ホスト・システムに転送しない、
ことを特徴とする付記1に記載の再生装置。
(付記4) 前記制御手段は、前記第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて前記再生手段を構成する回路を適応させた制御の後に、前記再生手段に前記第1のセクタに記録されたデータを再生させる、
ことを特徴とする付記1に記載の再生装置。
(付記5) 前記再生手段を構成する回路を適応させる制御は、前記第1のセクタに格納されたデータの再生に失敗した場合に行われる、
ことを特徴とする付記1に記載の再生装置。
(付記6) 環境温度又は装置内の温度を検出する温度検出手段を更に備え、
前記温度検出手段が所定の条件を満たす温度変化を検出した場合に、前記制御手段は、前記再生手段に前記第1のセクタに格納されたデータを再生させる前に、前記再生手段を構成する回路を適応させる制御を行う、
ことを特徴とする付記1に記載の再生装置。
(付記7) 前記記録媒体からデータを読み出す再生ヘッドの出力を検出するヘッド出力検出手段を更に備え、
前記ヘッド出力検出手段が所定の条件を満たす出力変化を検出した場合に、前記制御手段は、前記再生手段に前記第1のセクタに格納されたデータを再生させる前に、前記再生ヘッドの前記再生手段を構成する回路を適応させる制御を行う、
ことを特徴とする付記1に記載の再生装置。
(付記8) 前記再生手段を構成する回路の設定値を格納する格納手段を更に備え、
前記制御手段は、前記再生手段を構成する回路を適応させた結果に基づいて、前記格納手段に格納された設定値を更新する、
ことを特徴とする付記1に記載の再生装置。
(付記9) 前記格納手段は、前記記録媒体の一部である、
ことを特徴とする付記1に記載の再生装置。
(付記10) 前記格納手段は、前記再生装置に備えられたメモリである、
ことを特徴とする付記1に記載の再生装置。
(付記11) 前記記録媒体は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクの何れかであることを特徴とする付記1に記載の再生装置。
(付記12) データを記録する記録媒体と、
前記記録媒体に格納されたデータを再生する再生手段と、
前記再生手段の制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、ホスト・システムから再生を指示された前記記録媒体内の第1のセクタ以外の第2のセクタに記録されたデータに格納されたデータを用いて、前記再生手段を構成する回路を適応させるよう制御する、
ことを特徴とする記録装置。
(付記13) 記録媒体に記録されたデータを再生する再生手段を適応させる適応方法であって、
ホスト・システムから前記記録媒体内の第1のセクタに格納されたデータの再生指示を受け、
前記第1のセクタ以外の前記第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて、前記再生手段を構成する回路を適応させる、
ことを含むことを特徴とする適応方法。
(付記14) 記録媒体に記録されたデータを再生する再生装置を制御する回路であって、
再生されたデータをホスト・システムに転送する転送手段と、
データを再生する再生手段のリードゲートをアサートする信号を出力する信号出力手段とを備え、
前記信号出力手段は、前記ホスト・システムから再生を指示された前記記録媒体内の第1のセクタ以外の前記第2のセクタに格納されたデータを再生する位置に再生ヘッドがある際に、リードゲートをアサートする信号を出力することにより、前記第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて再生手段を構成する回路を適応させ、
前記転送手段は、前記第2のセクタから再生されたデータを前記ホスト・システムに転送しない、
ことを特徴とする回路。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】磁気ディスク装置の構成図である。
【図2】リードリトライ処置の流れを示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係わるエラー救済方法を説明する図である。
【図4】従来技術及び本実施形態において、エラー救済にかかる時間を説明する図である。
【図5】パラメータテーブルの更新について説明する図である。
【図6】リードチャネルの構成の例を示す図である。
【図7】従来技術に係わるエラー救済方法を説明する図である。
【図8】従来技術においてエラー救済にかかる時間を説明する図である。
【符号の説明】
【0072】
1 磁気ディスク媒体
2 プリアンプ
3 MPU/DSP/周辺ロジック
4 HDC
5 バッファRAM
100 リードチャネル
101 VGA
102 上下非対称補正回路
103 CTF
104 アナログ・デジタル変換回路
105 FIR回路
106 ビタビ検出回路
107 後処理回路
108 復号回路
109 NRZインタフェース
110 FIR適応回路
111 PLL回路
112 上下非対称補正制御回路
113 AGC制御回路
S ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録されたデータを再生する再生装置であって、
前記記録媒体に格納されたデータを再生する再生手段と、
前記データの再生が正常に行われたか否かを判断する再生エラー検出手段と、
前記再生手段の制御を行う制御手段とを備え、
前記再生エラー検出手段が第1のセクタで再生エラーを認識した場合に、前記制御手段は、ホスト・システムから再生を指示された前記記録媒体内の第1のセクタ以外の第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて、前記再生手段を構成する回路を適応させるよう制御した後に、再び前記再生手段で前記第1のセクタのデータを再生する、
ことを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記第2のセクタは、前記第1のセクタの近傍に存在する、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
記録媒体に記録されたデータを再生する再生手段を適応させる適応方法であって、
ホスト・システムから前記記録媒体内の第1のセクタに格納されたデータの再生指示を受け、
前記第1のセクタで再生エラーを認識した場合に、前記第1のセクタ以外の前記第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて、前記再生手段を構成する回路を適応させる、
ことを含むことを特徴とする適応方法。
【請求項4】
記録媒体に記録されたデータを再生する再生手段を制御する回路であって、
再生されたデータをホスト・システムに転送する転送手段と、
データの再生が正常に行われたか否かを判断する再生エラー検出手段と、
データを再生する再生手段のリードゲートをアサートする信号を出力する信号出力手段とを備え、
前記再生エラー検出手段が第1のセクタで再生エラーを認識した場合に、前記信号出力手段は、前記ホスト・システムから再生を指示された前記記録媒体内の第1のセクタ以外の前記第2のセクタに格納されたデータを再生する位置に再生ヘッドがある際に、リードゲートをアサートする信号を出力することにより、前記第2のセクタからデータが再生された後の再生回路適応結果を用いて再生手段を構成する回路を適応した後に、再び前記再生手段で前記第1のセクタのデータを再生する再生手段を制御し、
前記転送手段は、前記第2のセクタから再生されたデータを前記ホスト・システムに転送せず、前記第1のセクタから再生されたデータを前記ホストシステムに転送する、
ことを特徴とする回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−65980(P2008−65980A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270142(P2007−270142)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【分割の表示】特願2002−170392(P2002−170392)の分割
【原出願日】平成14年6月11日(2002.6.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】