説明

データ処理システム及びプログラム

【課題】印刷フォームに合わせて各項目データが配置印刷されている印刷物からそのイメージデータを読み取って処理する場合に、印刷フォームが変更されたとしても処理プログラムを変更することなく、印刷物からの読み取りイメージから様々な処理を実行できるようにする。
【解決手段】チケット発行装置1は、印刷フォーム内の任意の項目に対応してその項目を処理対象として指示すると共にその処理種を指示する指示情報を作成して2次元コードに変換し、チケットの印刷発行時に、この2次元コードパターンを当該チケットに印刷する。データ処理装置2は、2次元コード付きのチケットからそのイメージデータを読み取って2次元コードを解析し、この解析結果から処理対象の指示項目とその処理種を特定し、この処理種に応じて印刷データが改竄されたか否かをチェックする処理を実行したり、指示項目に記入されたデータを記憶保存する処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷して印刷物を発行する印刷装置と、この印刷装置によって発行された印刷物からそのイメージデータを読み取って処理するデータ処理装置とを備えたデータ処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発行した帳票が正当な原紙であることを証明するために、帳票用紙に地紋を印刷するようにしているが、帳票内に印刷された各項目データについては、特殊文字で印刷されている場合以外は、それが改竄されたとしても容易に発見することはできなかった。そこで、従来では、帳票イメージを2次元コードに変換すると共に、この2次元コードを当該帳票内に印刷することによって帳票を発行し、この帳票内から2次元コードを読み出して帳票イメージに再現表示させることによって目視照合による改竄チェックを可能とした技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−298120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1の技術にあっては、帳票イメージを再現表示させて現物と目視照合するものであるため、その照合作業に時間を要すると共に、見過ごす可能性も高く、確実かつ効率的な改竄チェックは困難であった。
ところで、上述の目視による照合作業に代わって自動照合を行うことも考えられるが、改竄チェック用の専用機を使用して自動照合を行う場合に、チェック対象の帳票フォーマットが変更になる毎に、改竄チェック用のプログラムをそれに合わせて変更する必要があり、また、チェック対象の帳票種が限られてしまうという問題が起きる。このことは改竄チェック処理に限らず、様々な処理を実行する場合においても、処理プログラムを変更する必要がある。
【0004】
この発明の課題は、印刷フォームに合わせて各項目データが配置印刷されている印刷物からそのイメージデータを読み取って処理する場合に、印刷フォームが変更されたとしても処理プログラムを変更することなく、印刷物からの読み取りイメージから様々な処理を実行できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷して印刷物を発行する印刷装置と、この印刷装置によって発行された印刷物からそのイメージデータを読み取って処理するデータ処理装置とを備えたデータ処理システムにおいて、前記印刷装置は、前記印刷フォーム内の任意の項目に対応してその項目を処理対象として指示すると共にその処理種を指示する指示情報を作成する作成手段と、この作成手段によって作成された指示情報を2次元コードに変換する変換手段と、前記印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷して印刷物を発行する際に、前記変換手段によって得られた2次元コードを当該印刷物に印刷する印刷手段とを具備し、前記データ処理装置は、前記印刷装置によって発行された2次元コード付きの印刷物からそのイメージデータを読み取る読取手段と、この読取手段によって読み取られたイメージデータ内に含まれている2次元コードを解析する解析手段と、この解析手段によって得られた2次元コードの解析結果から処理対象の指示項目とその処理種を特定して当該項目データを処理する処理手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項5記載の発明)。
【0006】
なお、上述した請求項1記載の発明は次ぎのようなものであってもよい。
前記指示情報は、項目毎にその印刷データが改竄されたか否かをチェックする改竄チェックを指示する処理種を含むと共に、指示項目に印刷される項目データを改竄チェック時の比較基準用のデータとして含み、前記印刷装置は、当該基準データを含む指示情報を2次元コードに変換すると共に、この2次元コードを各項目データと共に印刷し、前記データ処理装置は、2次元コード付きの印刷物から読み取ったイメージデータ内の2次元コードを解析することによって改竄チェック対象の指示項目を特定すると共に基準データを認識し、このイメージデータ内の特定指示項目の内容を解析することによって当該指示項目に印刷されている項目データを認識し、この基準データの認識結果と指示項目データの認識結果とを比較し、この比較結果に基づいて当該指示項目のデータが改竄されたか否かをチェックする(請求項2記載の発明)。
【0007】
前記指示情報は、印刷対象の各項目データを記憶管理するデータ記憶手段の内容が改竄されたか否かを項目毎にチェックする改竄チェックを指示する処理種を含むと共に、指示項目に対応する項目データを改竄チェック時の比較基準用のデータとして含み、前記印刷装置は、当該基準データを含む指示情報を2次元コードに変換すると共に、前記印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷して印刷物を発行する際に、この2次元コードを解析することによって改竄チェック対象の指示項目を特定すると共に基準データを認識し、前記データ記憶手段から指示項目対応の項目データを読み出し、この基準データの認識結果と当該指示項目対応の項目データとを比較し、この比較結果に基づいて当該指示項目データが改竄されたか否かをチェックする(請求項3記載の発明)。
【0008】
前記指示情報は、発行後の印刷物に任意に記入された項目データを保存するか否かを指示する処理種を含み、前記データ処理装置は、2次元コード付きの印刷物から読み取ったイメージデータ内の2次元コードを解析することによって保存対象としての指示項目を特定して当該項目内に記入されているデータを記憶保存する(請求項4記載の発明)。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、印刷装置は、印刷フォーム内の任意の項目に対応してその項目を処理対象として指示すると共にその処理種を指示する指示情報を作成して2次元コードに変換し、印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷して印刷物を発行する際に、この2次元コードを当該印刷物に印刷し、データ処理装置は、2次元コード付きの印刷物からそのイメージデータを読み取って2次元コードを解析し、この解析結果から処理対象の指示項目とその処理種を特定して当該項目データを処理するようにしたから、2次元コードにインストラクションを表現することができ、印刷フォームが変更されたとしても処理プログラムを変更することなく、2次元コード内の指示情報を変更するだけでよく、印刷物から読み取ったイメージから様々な処理を実行することができ、汎用性の高いものとなるほか、例えば、入場券、割引券、回数券、サービス券などを1台のデータ処理装置によって処理することが利用可能となり、実用効果の高いものとなる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、指示情報は、項目毎にその印刷データが改竄されたか否かをチェックする改竄チェックを指示する処理種を含むと共に、指示項目に印刷される項目データを改竄チェック時の比較基準用のデータとして含み、印刷装置は、当該基準データを含む指示情報を2次元コードに変換すると共に、この2次元コードを各項目データと共に印刷し、データ処理装置は、2次元コード付きの印刷物から読み取ったイメージデータ内の2次元コードを解析することによって改竄チェック対象の指示項目を特定すると共に基準データを認識し、このイメージデータ内の特定指示項目の内容を解析することによって当該指示項目に印刷されている項目データを認識し、この基準データの認識結果と指示項目データの認識結果とを比較し、この比較結果に基づいて当該指示項目のデータが改竄されたか否かをチェックするようにしたから、任意の項目に印刷されいる項目データが改竄されているかのチェックを行うことができ、入場券、伝票などの真偽判定に利用可能となる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、指示情報は、データ記憶手段の内容が改竄されたか否かを項目毎にチェックする改竄チェックを指示する処理種を含むと共に、指示項目に対応する項目データを改竄チェック時の比較基準用のデータとして含み、印刷装置は、当該基準データを含む指示情報を2次元コードに変換すると共に、印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷して印刷物を発行する際に、この2次元コードを解析することによって改竄チェック対象の指示項目を特定すると共に基準データを認識し、データ記憶手段から指示項目対応の項目データを読み出し、この基準データの認識結果と当該指示項目対応の項目データとを比較し、この比較結果に基づいて当該指示項目データが改竄されたか否かをチェックするようにしたから、データ印刷時にデータ記憶手段の内容が改竄されたか否かを項目毎にチェックすることができ、より安全性を高めることが可能となる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、指示情報は、発行後の印刷物に任意に記入された項目データを保存するか否かを指示する処理種を含み、データ処理装置は、2次元コード付きの印刷物から読み取ったイメージデータ内の2次元コードを解析することによって保存対象としての指示項目を特定して当該項目内に記入されているデータを記憶保存するようにしたから、任意の項目に記入されいる項目データを保存することができ、コンサートチケットなどの顧客記入欄、アンケート用紙などから情報を自動収集することが可能となり、各種の情報を確実かつ効率的に収集することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施例1)
以下、図1〜図6を参照して本発明の第1実施例を説明する。
図1は、印刷物(チケット)を発行すると共に、このチケットからその券面全体のイメージデータを読み取って処理するデータ処理システム(チケット処理システム)の全体構成を示したブロック図である。
このデータ処理システム(チケット処理システム)は、チケット用の印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷してチケットを発行する印刷装置(チケット発行装置)1と、このチケット発行装置1によって発行されたチケットからそのイメージデータを読み取って処理するデータ処理装置2とを備えた構成となっている。
【0014】
チケット発行装置1は、CPU11、記憶部12、メモリ13、キー操作部14、表示部15、印刷部16などを有している。CPU11は、記憶部12内の各種プログラムに応じてこのチケット発行装置1の全体動作を制御する中央演算処理装置である。記憶部12は、プログラム領域とデータ領域とを有し、磁気的メモリ、光学的メモリ、半導体メモリなどによって構成されているほか、その駆動系を有する構成となっている。この記憶部12のプログラム領域には、後述する図4及び図5に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのプログラムが格納され、また、そのデータ領域には、後述するチケットデータベースCDBなどが格納されている。
【0015】
メモリ13は、ワーク領域を有する内部メモリで、例えば、DRAM(Direct Random Access Memory)、SDRAM(Synchronous DRAM)などによって構成されている。キー操作部14は、キーボード以外にタッチパネル、マウス、タッチ入力ペンなどのポインティングデバイスを構成する操作部であり、文字列データ、各種コマンドの入力を行う。表示部15は、液晶表示部、CRT表示部、プラズマ表示部などであり、印刷部16は、例えば、インクジェットプリンタ、レーザプリンタなどであり、チケット用紙に各種の項目データを印刷してチケットを発行する。
【0016】
データ処理装置2は、顧客から回収したチケットを処理するチケット処理装置であり、例えば、イメージスキャナ付きのパーソナルコンピュータである。このデータ処理装置2は、CPU21、記憶部22、イメージスキャナ23、メモリ24、キー操作部25、表示部26、アラーム報知部27などを有している。CPU21は、記憶部22内の各種プログラムに応じてこのデータ処理装置2の全体動作を制御する。記憶部22のプログラム領域には、後述する図6に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのプログラムが格納されている。
【0017】
イメージスキャナ23は、チケットを光学的に走査してそのイメージデータを読み取るイメージ読み取り装置であり、例えば、解像度の高い撮像素子を備えた高精細なデジタルスチルカメラによって構成されている。このイメージスキャナ23には、回収したチケットが投入される自動給紙機能付きのホッパ部23Aが設けられており、このホッパ部23Aから自動給紙されたチケットがイメージスキャナ23の設置位置まで搬送されると、イメージスキャナ23が動作してチケット券面全体のイメージが読み取られて画像処理される。なお、メモリ24、キー操作部25、表示部26は、上述のチケット発行装置1側のメモリ13、キー操作部14、表示部15と基本的には同様であるので、それらの説明は省略する。
【0018】
図2は、チケット発行装置1から発行されたコンサートチケットの印刷例を示した図である。
チケット発行装置1は、このコンサートチケットを印刷発行する際に、チケットデータベースCDBからコンサートチケットの印刷フォームを読み出し、この印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷してコンサートチケットを発行する。このコンサートチケットには、そのタイトル名及び開催日付が固定的に事前印刷されているほか、このチケット固有の項目として「会場名」、「指定席番号」が設けられており、この「会場名」、「指定席番号」の各項目は、チケット発行時にその項目データがチケットデータベースCDBから読み出されて印刷出力される印刷項目である。この印刷項目に続く、他の項目として「氏名」、「住所」、「購入方法」が設けられており、この「氏名」、「住所」、「購入方法」の各項目は、チケットの利用顧客が任意の内容を手書きするための記載項目である。
【0019】
また、コンサートチケットの空白部、例えば、図中、右下部分の空白部には、2次元コード(図示の例では、QRコード)がパターン印刷されている。この2次元コードパターンの中には、コンサートチケットの各項目「会場名」、「指定席番号」、「氏名」、「住所」、「購入方法」毎に、その「範囲」、「処理種」、「値」のデータが組み込まれている。
図3は、この2次元コードパターンに組み込まれる「処理種」、「範囲」、「値」を説明するための図である。この「範囲」、「処理種」は、印刷項目である「会場名」、「指定席番号」を処理対象として指示すると共に、その処理種を指示するための指示情報(インストラクション情報)である。
【0020】
上述の「範囲」は、指示項目の位置とその大きさを示す情報であり、チケット上の各項目は矩形を成しており、この矩形領域の左上座標と右下座標によって指示項目の位置とその領域の大きさが定められる。なお、この領域の左上座標及び右下座標は、例えば、コンサートチケットの左上角部を平面座標系の原点とした場合のXY座標値である。「処理種」は、図示のように指示項目のデータが改竄されたか否かをチェックする処理と、この指示項目内のデータを保存する処理とがあり、この処理種メニューの「1:改竄チェック」、「2:保存」の中から所望する処理種を選択するようにしている。
【0021】
「値」は、処理種が「1:改竄チェック」の場合に、印刷項目内に配置印刷される項目データ、例えば、「会場名」に印刷される項目データ“横浜‥‥、”「指定席番号」に印刷される項目データ“SS席1F1列22”であり、また、処理種が「2:保存」の場合には、各記載項目である「氏名」、「住所」、「購入方法」の項目名が「値」となる。なお、チケットデータベースCDBは、例えば、印刷フォームと、「会場名」、「指定席番号」対応の項目データと、各記載項目である「氏名」、「住所」、「購入方法」の項目名と、各記載項目内に記入された記入データと、2次元コードパターンの格納先アドレス(画像ファイル番号)とを記憶管理する構成となっているが、その記憶内容は、チケットの種類などによって異なる。
【0022】
データ処理装置2は、そのホッパ部23A内に投入されたコンサートチケット群を1枚ずつイメージスキャナ23側に搬送しながらその券面全体をイメージスキャナ23によって読み取らせるが、このチケット内に2次元コードパターンが印刷されている場合には、この2次元コードパターンをスキャンしながらそれをデコードすると共に、このデコード結果に基づいて項目毎にその処理種は「改竄チェック」か「保存」かを調べ、この処理種に応じて改竄チェック処理あるいは保存処理を実行するようにしている。この場合、チケット内の各印刷項目毎に改竄チェック処理を実行し、各記載項目毎に項目データ保存処理を実行するようにしている。
【0023】
この「改竄チェック処理」は、チケット上の各印刷項目に対応して印刷されている項目データが改竄されたか否かチェックすることによってチケットの真偽を判定するもので、2次元コード内に含まれている「値」を改竄チェック時の比較基準のデータとすると共に、この「値」を文字認識した結果とイメージデータ内の印刷データを文字認識した結果とを比較し、この比較結果(両者の一致/不一致)に基づいて印刷データが改竄されたか否かをチェックする。また、「項目データ保存処理」は、イメージデータ内に含まれている各記載項目内に任意に記入された記入データ項目毎に文字認識し、この認識結果をチケットデータベースCDBなどに記憶保存するための処理である。
【0024】
次ぎに、この第1実施例におけるチケット発行装置1及びデータ処理装置2の動作概念を図4〜図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施例においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施例特有の動作を実行することもできる。
【0025】
図4は、チケット発行装置1側においてチケット印刷データを入力作成する場合の動作を示したフローチャートである。
先ず、チケット発行装置1においてそのCPU11は、チケットデータベースCDBから印刷フォームが読み出されて表示出力されている状態において(ステップA1)、このチケット画面内の任意の項目位置がカーソル指定されると(ステップA2)、この指定項目の左上座標及び右下座標を処理対象の領域を特定する「範囲」のデータとして取り込んでメモリ13に一時記憶する(ステップA3)。次ぎに、処理種メニューがウインドウ表示され、その中から任意の「処理種」が選択指定されると(ステップA4)、この処理種を取り込んでメモリ13に一時記憶する(ステップA5)。
【0026】
この場合、選択された処理種を判別し(ステップA6)、「1:改竄チェック」が選択された場合には、チェック内容のキー入力を促すメッセージを表示出力させたのち(ステップA7)、それに応答して入力された項目データを「値」のデータとして取り込んでメモリ13に一時記憶する(ステップA8)。また、処理種として「2:保存」が選択された場合には、項目名のキー入力を促すメッセージを表示出力させたのち(ステップA9)、それに応答して入力された項目名を「値」のデータとして取り込んでメモリ13に一時記憶する(ステップA10)。これによって1項目分の入力が終了すると、メモリ13に一時記憶されている「範囲」、「処理種」、「値」の間をそれぞれカンマで区切る処理を行う(ステップA11)。
【0027】
CPU11は、1チケット分の入力終了がユーザ指示されたかを調べ(ステップA12)、入力終了が指示されるまでステップA2に戻り、1項目毎に上述の動作が繰り返される。この結果、全ての項目に対する入力が完了した場合には、メモリ13から一時記憶の内容を項目毎に順次読み出して、この項目毎の「範囲」、「処理種」、「値」を2次元コード(QRコード)パターンに変換し(ステップA13)、この2次元コードパターンを画像ファイルとして記憶保存すると共に(ステップA14)、それに対応して各項目の「値」をデータベースCDBに記憶保存する(ステップA15)。なお、2次元コードパターンを画像ファイルとして保存した場合、この画像ファイル番号をデータベースCDBに格納することによってデータベースCDBの内容と画像ファイルとをリンクさせる。
【0028】
これによって1チケット分の入力が終了すると、次ぎのステップA16に移り、全チケット分の入力終了がユーザ指示されたかを調べ、全チケット終了までステップA2に戻って同様の動作が繰り返される。
なお、上述した印刷データの入力作成処理においては、処理種として「2:保存」が選択された場合に、項目名のキー入力を促すメッセージを表示出力させたのち、それに応答して項目名を「値」のデータとして入力するようにしたが、印刷フォーム内に項目名が固定的に設定されている場合には、2次元コードの生成時に印刷フォームから当該項目名を読み出すようにしてもよい。
【0029】
図5は、チケット発行装置1側においてチケットを印刷発行する場合の動作を示したフローチャートである。
先ず、チケット発行装置1は、チケットデータベースCDBから印刷フォームを読み出すと共に(ステップB1)、1チケット分の印刷データを読み出し(ステップB2)、更に、この印刷データに対応付けられている2次元コードパターンを読み出したのち(ステップB3)、印刷フォームに合わせて各項目内にデータを配置印刷する(ステップB4)。そして、2次元コードパターンを所定の未印刷領域(例えば、右下の空白領域)に印刷して(ステップB5)、印刷部16からチケットを排出して発行する(ステップB6)。そして、チケットデータベースCDBに次ぎの印刷対象チケットが有るか否かをチェックし(ステップB7)、次ぎの印刷対象チケットが有れば、ステップB2に戻り、以下、上述の動作が繰り返される。
【0030】
図6は、データ処理装置2の全体動作を示したフローチャートである。
先ず、データ処理装置2のCPU21は、自動給紙機能付きのホッパ部23Aにチケットが投入されている状態において、その1枚のチケットがイメージスキャナ23の位置に供給されたことがチケット供給センサ(図示せず)によって検知されると(ステップC1でYES)、イメージスキャナ23を駆動させてそのチケットの券面全体のイメージを読み込む(ステップC2)。そして、このチケットイメージ全体をその縦解像度及び横解像度分をスキャンしながら2次元コードパターンが含まれているか否かを調べる(ステップC3)。この場合、2次元コードパターンを構成する3つの角部には、シンボル図形が組み込まれているので、これらのシンボル図形とそれらの位置関係を検出することによって2次元コードパターンが含まれているか否かをチェックする。
【0031】
ここで、2次元コードパターンがチケット内に含まれていなければ(ステップC3でNO)、最初のステップC1に戻って次ぎのチケットの供給待ちとなるが、2次元コードパターンが含まれていれば、CPU21は、この2次元コードパターンの内容を全てデコードする(ステップC4)。この場合、コンサートチケット内の各印刷項目「会場名」、「指定席番号」及び各記載項目「氏名」、「住所」、「購入方法」に対応して、その「範囲」、「処理種」、「値」がそれぞれデコードされる。
【0032】
次ぎに、この各「範囲」をデコードした結果、その左上座標及び右下座標に基づいて該当する項目領域(矩形領域)の位置とその領域の大きさを特定すると共に(ステップC5)、特定した各項目位置の中から何れか1つの項目を指定する(ステップC6)。この場合、最初の項目として、チケットの左上角部(平面座標系の原点)に最も近い項目、例えば、印刷項目の「会場名」が指定される。次ぎに、この指定項目「会場名」内に印刷されている項目データ(イメージデータ)を切り出して(ステップC7)、その文字認識を行う(ステップC8)。
【0033】
CPU21は、次ぎに指定項目対応の「処理種」は、「1:改竄チェック」か「2:保存」かを判別する(ステップC9)。いま、指定項目は「会場名」であり、その「処理種」は「1:改竄チェック」であるから、当該指定項目対応の「値」のデコード結果と文字認識結果とを比較し(ステップC10)、両者が一致するかを調べる(ステップC11)。すなわち、「値」のデコード結果を改竄チェック時の比較基準用のデータとして、指定項目の文字認識結果と比較し、この結果、不一致が検出された場合には、当該指定項目の印刷データが改竄されたものとして表示部26から警報メッセージを表示出力させると共に、アラーム報知部27を駆動してアラーム音を発生出力させるが(ステップC12)、両者が一致する場合には、次ぎの項目を指定し(ステップC13)、指定項目の有無を調べる(ステップC14)。
【0034】
このように全項目を全て指定し終わったかを調べるが、いま、最初の項目に対する処理が終わった場合であるから、次ぎの印刷項目「指定席番号」を指定したのち、ステップC6に戻り、上述と同様の動作を繰り返す。この結果、印刷データが改竄されていなければ、次ぎの3番目の項目が指定される(ステップC13)。この3番目の項目は、記載項目の「氏名」であり、その「処理種」は「2:保存」であるから、次ぎのステップC15に移り、この記載項目「氏名」の項目データ(文字認識結果)を記憶部22内のチケットデータメモリ(図示せず)に記憶保存させる。そして、ステップC13に移り、以下、4番目及び5番目の項目「住所」、「購入方法」も記載項目であるため、その項目データ(文字認識結果)が記憶部22内のチケットデータメモリに記憶保存される(ステップC15)。これによって全項目分の処理が終了すると(ステップC14でNO)、最初のステップC1に戻る。
【0035】
以上のように、この第1実施例においてチケット発行装置1は、印刷フォーム内の任意の項目に対応してその項目を処理対象として指示すると共にその処理種を指示する指示情報(インストラクション情報)を作成して2次元コードに変換し、印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷してチケットを発行する際に、この2次元コードパターンを当該チケットに印刷し、データ処理装置2は、2次元コード付きのチケットからそのイメージデータを読み取って2次元コードを解析し、この解析結果から処理対象の指示項目とその処理種を特定し、処理種が「1:改竄チェック」であれば、指示項目の印刷データが改竄されたか否かをチェックする処理を実行し、処理種が「2:保存」であれば、指示項目に記入されたデータを記憶保存する処理を実行するようにしたから、汎用性の高いものとなる。
【0036】
すなわち、2次元コードにインストラクションを表現することができ、印刷フォームが変更されたとしても処理プログラムを変更することなく、2次元コード内の指示情報を変更するだけでよく、また、任意の項目に対して改竄チェック処理及びデータ保存処理を実行することができ、汎用性の高いものとなる。この場合、印刷データの改竄チェックは、チケット内の各項目毎に行うことができるので、全体として確実なチェックが可能となり、チケットの真偽判定に効果的なものとなる。また、チケットの顧客記入項目毎にその項目データを保存することができるので、各種の情報を自動収集することが可能となり、情報を確実かつ効率的に収集することができる。
【0037】
なお、上述した第1実施例においては、2次元コード内の処理種に応じて印刷データの改竄チェック処理あるいは顧客によって記入された項目データの保存処理を実行するようにしたが、その他の処理として、例えば、データの書き込み処理などを実行するようにしてもよい。上述した第1実施例においては、2次元コードの内容をカンマで区切るようにしたが、任意の区切り文字を使用してもよく、また、コンサートチケットについて適用したが、割引券、回数券、サービス券などにも同様に適用可能である。
(実施例2)
【0038】
以下、この発明の第2実施例について図7を参照して説明する。
なお、上述した第1実施例においては、チケット発行後、データ処理装置2側で改竄チェック処理を実行するようにしたが、この第2実施例においては、チケット印刷時にチケットデータベースCDBの内容が改竄されたかをチケット発行装置1側でチェックするようにしたものである。
ここで、両実施例において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施例の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0039】
図7は、第2実施例におけるチケット発行装置1側でチケットを印刷発行する場合の動作を示したの動作を示したフローチャートである。
先ず、チケット発行装置1は、チケットデータベースCDBから印刷フォームと共に(ステップD1)、1チケット分の印刷データを読み出し(ステップD2)、更に、この印刷データに対応付けられている2次元コードパターンを読み出したのち(ステップD3)、この2次元コードパターンをデコードし(ステップD4)、このデコード結果内の処理種を参照し、それが「1:改竄チェック」であるか否かを調べる(ステップD5)。この結果、データ保存であれば、ステップD11に移るが、改竄チェックであれば、デコード結果内の各印刷項目、つまり、「会場名」、「指定席番号」対応の「値」と、チケットデータベースCDBから読み出した「会場名」、「指定席番号」の印刷データとをそれぞれ比較し(ステップD6)、何れか1つでも不一致が有るかを調べる(ステップD7)。
【0040】
この結果、不一致項目があれば、このチケットに対応するチケットデータベースCDBの内容が改竄されたものとして表示部26から警報メッセージを表示出力させると共に、アラーム報知部27を駆動してアラーム音を発生出力させたのちに(ステップD8)、ステップD11に移るが、全ての項目が一致している場合、つまり、チケットデータベースCDBの内容が改竄されていない場合には(ステップD7でNO)、印刷フォームに合わせて各項目にデータを配置印刷すると共に、2次元コードパターンを所定の未印刷領域(例えば、右下の空白領域)に印刷して(ステップD9)、印刷部16からチケットを排出することによって発行する(ステップD10)。そして、チケットデータベースCDBに次ぎの印刷対象チケットが有るか否かをチェックし(ステップD11)、次ぎの印刷対象チケットが有れば、ステップD2に戻り、以下、上述の動作が繰り返される。
【0041】
以上のように、この第2実施例のチケット発行装置1は、印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷してチケットを発行する際に、このチケット対応の2次元コードパターンを解析すると共に、この解析結果に基づいてチケットデータベースCDBの内容が改竄されたか否かをチェックするようにしたから、上述した第1実施例と同様の効果を有するほか、データ印刷時にも改竄チェックを行うことができ、より安全性を高めることが可能となる。
【0042】
なお、上述した第2実施例においては、2次元コードパターンをデコードした結果とチケットデータベースCDBから読み出したデータとを比較するようにしたが、テキストコードの比較に限らず、EMF(Enhanced MetaFile)形式のデータに変換して比較するようにしてもよく、更に、印刷ドライバ処理後のRAWデータに対してチェックを行うようにしてもよい。
【0043】
なお、上述した各実施例においては、印刷物として「コンサートチケット」を例示した場合を示したが、割引券、回数券、サービス券などにも同様に適用可能であり、また、図8に示すような「ユーザ登録はがき」に適用するようにしてもよい。この「ユーザ登録はがき」は、印刷項目として「購入機種名」、「シリアルNo」、記載項目として「氏名」、「住所」、「製品の感想」を有しており、この「ユーザ登録はがき」の各項目に対応してその「範囲」、「処理種」、「値」を含む2次元コードパターンが「ユーザ登録はがき」の所定位置に印刷されている。
【0044】
図9は、「自動車整備見積書」に適用した場合を例示した図である。この「自動車整理見積書」には、顧客情報、自動車情報、整備作業情報が記載されるが、これらの各項目のうち、任意に指定した項目に対応してその「範囲」、「処理種」、「値」を含む2次元コードパターンが「自動車整備見積書」の所定位置に印刷されている。
【0045】
その他、上述した各実施例においては、2次元コードとして、QRコードを例示したが、PDF417コードなどであってもよい。
また、イメージスキャナ23は、デジタルスチルカメラに限らず、レーザビーム式のスキャナ、CMOSイメージセンサを備えたイメージキャプチャ式のスキャナであってもよい。
【0046】
また、チケット発行装置1、データ処理装置2は、スタンドアロンタイプに限らず、その各構成要素が2以上の筐体に物理的に分離され、通信回線、ケーブル等の有線伝送路あるいは電波、マイクロウエーブ、赤外線等の無線伝送路を介してデータを送受信する分散型のシステムを構成するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】印刷物(チケット)を発行すると共に、このチケットからそのイメージデータを読み取って処理するデータ処理システム(チケット処理システム)の全体構成を示したブロック図。
【図2】チケット発行装置1から発行されたコンサートチケットの印刷例を示した図。
【図3】2次元コードパターンに組み込まれている「処理種」、「範囲」、「値」を説明するための図。
【図4】チケット発行装置1側においてチケット印刷データを入力作成する場合の動作を示したフローチャート。
【図5】チケット発行装置1側においてチケットを印刷発行する場合の動作を示したフローチャート。
【図6】データ処理装置2の全体動作を示したフローチャート。
【図7】第2実施例におけるチケット発行装置1側でチケットを印刷発行する場合の動作を示したの動作を示したフローチャート。
【図8】他の印刷物として「ユーザ登録はがき」に適用した場合を示した図。
【図9】更に、他の印刷物として「自動車整備見積書」に適用した場合を示した図。
【符号の説明】
【0048】
1 チケット発行装置(印刷装置)
2 データ処理装置
11、21 CPU
12、22 記憶部
14、25 キー操作部
16 印刷部
23 イメージスキャナ
27 アラーム報知部
CDB チケットデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷して印刷物を発行する印刷装置と、この印刷装置によって発行された印刷物からそのイメージデータを読み取って処理するデータ処理装置とを備えたデータ処理システムにおいて、
前記印刷装置は、前記印刷フォーム内の任意の項目に対応してその項目を処理対象として指示すると共にその処理種を指示する指示情報を作成する作成手段と、この作成手段によって作成された指示情報を2次元コードに変換する変換手段と、前記印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷して印刷物を発行する際に、前記変換手段によって得られた2次元コードを当該印刷物に印刷する印刷手段とを具備し、
前記データ処理装置は、前記印刷装置によって発行された2次元コード付きの印刷物からそのイメージデータを読み取る読取手段と、この読取手段によって読み取られたイメージデータ内に含まれている2次元コードを解析する解析手段と、この解析手段によって得られた2次元コードの解析結果から処理対象の指示項目とその処理種を特定して当該項目データを処理する処理手段とを具備した、
ことを特徴とするデータ処理システム。
【請求項2】
前記指示情報は、項目毎にその印刷データが改竄されたか否かをチェックする改竄チェックを指示する処理種を含むと共に、指示項目に印刷される項目データを改竄チェック時の比較基準用のデータとして含み、前記印刷装置は、当該基準データを含む指示情報を2次元コードに変換すると共に、この2次元コードを各項目データと共に印刷し、
前記データ処理装置は、2次元コード付きの印刷物から読み取ったイメージデータ内の2次元コードを解析することによって改竄チェック対象の指示項目を特定すると共に基準データを認識し、このイメージデータ内の特定指示項目の内容を解析することによって当該指示項目に印刷されている項目データを認識し、この基準データの認識結果と指示項目データの認識結果とを比較し、この比較結果に基づいて当該指示項目のデータが改竄されたか否かをチェックする、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記指示情報は、印刷対象の各項目データを記憶管理するデータ記憶手段の内容が改竄されたか否かを項目毎にチェックする改竄チェックを指示する処理種を含むと共に、指示項目に対応する項目データを改竄チェック時の比較基準用のデータとして含み、前記印刷装置は、当該基準データを含む指示情報を2次元コードに変換すると共に、前記印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷して印刷物を発行する際に、この2次元コードを解析することによって改竄チェック対象の指示項目を特定すると共に基準データを認識し、前記データ記憶手段から指示項目対応の項目データを読み出し、この基準データの認識結果と当該指示項目対応の項目データとを比較し、この比較結果に基づいて当該指示項目データが改竄されたか否かをチェックする、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記指示情報は、発行後の印刷物に任意に記入された項目データを保存するか否かを指示する処理種を含み、
前記データ処理装置は、2次元コード付きの印刷物から読み取ったイメージデータ内の2次元コードを解析することによって保存対象としての指示項目を特定して当該項目内に記入されているデータを記憶保存する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のデータ処理システム。
【請求項5】
コンピュータに対して、
印刷フォーム内の任意の項目に対応してその項目を処理対象として指示すると共にその処理種を指示する指示情報を作成する機能と、
作成された指示情報を2次元コードに変換する機能と、
前記印刷フォームに合わせて各項目データを配置印刷して印刷物を発行する際に、前記2次元コードを当該印刷物に印刷する機能と、
発行された2次元コード付きの印刷物からそのイメージデータを読み取ると共に、このイメージデータ内に含まれている2次元コードを解析する機能と、
この2次元コードの解析結果から処理対象の指示項目とその処理種を特定して当該項目データを処理する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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