説明

データ処理装置、データ処理方法、及びデータ処理プログラム

【課題】データ書込み中のデータに誤りが発生する現象をできる限り救済することができるデータ処理方法等を提供する。
【解決手段】CPU201は、相変化メモリ202及びフラッシュメモリ203に記憶されるデータに対して管理番号、及び、前記入力されるデータの存在を示す符号としての「データあり」を付与し、第一のデータに関する情報として、管理エリア1(301)に記憶し、「データあり」が付与された場合に、前記データと同一のデータを、相変化メモリ202に、データの正当性を示す検証値と共に記憶し、前記第一の記憶手段によって前記データが記憶された場合に、フラッシュメモリ203に当該データと同一のデータを記憶し、フラッシュメモリ203に当該データと同一のデータが記憶された場合に、新たな前記データに関する情報として、前記第一のデータに関する情報に示される管理番号と同一の管理番号、及び、終了フラグNを付与し、第二のデータに関する情報として記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データ処理方法、及びデータ処理プログラム等に関するものであり、より詳細には、例えば、データ書込み中のデータに誤りが発生する現象をできる限り救済することができるデータ処理方法等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なデータを扱う携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータ、又はワークステーション等に代表されるデータ処理装置では、取扱うデータを処理(例えば、記憶や加工等)する際に、当該データを、当該装置が有する記憶領域(例えば、RAM等)に一旦記憶するようになっている。
【0003】
かかる記憶領域には、例えばフローティングゲート構造のフラッシュメモリ等が採用されている。
【0004】
一般的に使用されているフローティングゲート構造のフラッシュメモリは、メモリ素子のフローティングゲートに電子を注入することによって、データの書込みが行われる。そしてフローティングゲートの電子の蓄積量が、ある閾値電圧以上かどうかで読出しデータを決定する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−115359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術では、書込み途中で電源供給が停止すると、メモリ素子のフローティングゲートに注入される電子が途中で止まることになるため、電子の蓄積量が規定値にならない問題が発生する。これにより電子の蓄積量が少ないと間違ったデータとなる問題となり、閾値とほぼ同じになると読み出すたびに異なったデータとなる問題が発生する。
【0007】
そのため、フラッシュメモリなどの不揮発メモリの書込み中に電源停止が発生すると、電源停止直前に書込もうとしていたデータが失われるだけでなく、書込み途中で、一見書込みできているように見えるデータが存在してしまう。この状態では、誤ったデータのまま携帯機器が動作してしまい、予期しない動作になってしまう恐れがあった。
【0008】
特に、携帯機器では、電池を電源とすることが多く、電源切り忘れのまま使用者が電池交換を行ったり、落下などにより使用者が意図しないタイミングで電池が外れ、結果として不揮発メモリへの書込み中の電源供給停止が発生してしまう。
【0009】
これらを防止する手段として、CPUとメモリ以外に電源停止を記憶する手段を設けたり、メモリのデータを単純に2重化するなどの方法も取られるが、部品点数の増加やメモリ容量の増加によりコストが上昇するという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、データ書込み中のデータに誤りが発生する現象をできる限り救済することができるデータ処理装置、データ処理方法及びデータ処理プログラム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも二以上に分割された記憶領域を有し、入力されるデータに関する情報を記憶する管理エリアと前記データを記憶するデータエリアを有する第一の記憶部と、前記データと同一のデータを記憶するデータエリアを有する第二の記憶部と、を備えるデータ処理装置であって、前記第一の記憶部及び前記第二の記憶部に記憶されるデータに対して管理番号、及び、前記入力されるデータの存在を示す符号を付与し、第一のデータに関する情報として、前記第一の記憶部の前記管理エリアに記憶する第一のデータ管理手段と、前記符号が付与された場合に、前記データと同一のデータを、前記第一の記憶部に、データの正当性を示す検証値と共に記憶する第一の記憶手段と、前記第一の記憶手段によって前記データが記憶された場合に、前記第二の記憶部に当該データと同一のデータを記憶する第二の記憶手段と、前記第二の記憶手段によって前記データが記憶された場合に、新たな前記データに関する情報として、前記第一のデータに関する情報に示される管理番号と同一の管理番号、及び、前記第一のデータに関する情報が示すデータが前記第二の記憶部に記憶されたことを示す符号を付与し、第二のデータに関する情報として記憶する第二のデータ管理手段と、を備える。
【0012】
この発明によれば、前記第一の記憶部及び前記第二の記憶部に記憶されるデータに対して、前記第一のデータに関する情報及び前記第二のデータに関する情報が記憶される。
【0013】
従って、管理情報(第一のデータに関する情報及び第二のデータに関する情報)を2 個1組で保管する方式を取ることにより、電源停止時のフラッシュメモリや相変化メモリへのデータ書込み状態を正確に把握し、データ書込み中のデータに誤りが発生する現象をできる限り救済することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータ処理装置において、前記データを読み出す際に、前記第一のデータに関する情報、及び、前記第二のデータに関する情報の存在を確認する情報確認手段と、前記情報確認手段によって、前記第二のデータに関する情報が存在しないと判断された場合に、前記第一のデータに関する情報が示すデータを、前記第二の記憶部から消去するデータ消去手段と、前記第一の記憶部に記憶されたデータの正当性を検証する検証手段と、前記正当性が確認された場合に、前記第二の記憶部に、前記第一の記憶部に記憶された前記データを記憶する復旧手段と、前記復旧手段によってデータが記憶された場合に、前記第二のデータ管理手段によって、前記第二のデータに関する情報が記憶される。
【0015】
この発明によれば、データが読み出される際に、データの正当性を確認し、かかる正当性が確認されたデータを復旧データとして記憶する。
【0016】
従って、書込み途中で電源停止してもデータを復旧させることも可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の何れか一項に記載のデータ記憶装置において、前記第一の記憶部に、相変化メモリを用いる。
【0018】
従って、相変化メモリに管理エリアを設け、管理情報を2個1組で保管する方式を取ることにより、電源停止時のフラッシュメモリや相変化メモリへのデータ書込み状態を正確に把握し、その状態に適した復旧を行い、書込み途中のデータを使用することにより携帯機器が誤動作してしまうことを確実に防止できる。さらに、相変化メモリ上にデータエリアを設け、チェックサムを付加した書込みデータを格納すると、書込み途中で電源停止してもデータを復旧させることも可能となる。
【0019】
さらに、フラッシュメモリを使用して管理エリアを構築する場合、データ消去が必要となるため処理時間がかかるが、相変化メモリを用いることによって、データ消去が不要である。従って、処理時間の短縮を図ることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のデータ処理装置において、前記第一のデータ管理手段は、前記管理エリアの記憶容量が不足した場合には、新たに記憶される前記第一のデータに関する情報を上書きする。
【0021】
従って、相変化メモリに管理エリアを設け、上書きで繰り返し使うことにより、管理エリアの容量を最小限にして部品コストを低減するとともに、上書きによる消去時間を短縮することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、少なくとも二以上に分割された記憶領域を有し、入力されるデータに関する情報を記憶する管理エリアと前記データを記憶するデータエリアを有する第一の記憶部と、前記データと同一のデータを記憶するデータエリアを有する第二の記憶部と、を備えるデータ処理装置に含まれるデータ処理方法であって、前記第一の記憶部及び前記第二の記憶部に記憶されるデータに対して管理番号、及び、前記入力されるデータの存在を示す符号を付与し、第一のデータに関する情報として、前記第一の記憶部の前記管理エリアに記憶する第一のデータ管理工程と、前記符号が付与された場合に、前記データと同一のデータを、前記第一の記憶部に、データの正当性を示す検証値と共に記憶する第一の記憶工程と、
前記第一の記憶工程によって前記データが記憶された場合に、前記第二の記憶部に当該データと同一のデータを記憶する第二の記憶工程と、前記第二の記憶工程によって前記データが記憶された場合に、新たな前記データに関する情報として、前記第一のデータに関する情報に示される管理番号と同一の管理番号、及び、前記第一のデータに関する情報が示すデータが前記第二の記憶部に記憶されたことを示す符号を付与し、第二のデータに関する情報として記憶する第二のデータ管理工程と、を有する。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のデータ処理方法によって記憶されたデータを読み出すデータ処理方法であって、前記データを読み出す際に、前記第一のデータに関する情報、及び、前記第二のデータに関する情報の存在を確認する情報確認工程と、前記情報確認工程によって、前記第二のデータに関する情報が存在しないと判断された場合に、前記第一のデータに関する情報が示すデータを、前記第二の記憶部から消去するデータ消去工程と、前記第一の記憶部に記憶されたデータの正当性を検証する検証工程と、前記正当性が確認された場合に、前記第二の記憶部に、前記第一の記憶部に記憶された前記データを記憶する復旧工程と、前記復旧手段によってデータが記憶された場合に、前記第二のデータ管理工程によって、前記第二のデータに関する情報が記憶される。
【0024】
請求項7に記載の発明は、コンピュータを、請求項1に記載のデータ処理装置として機能させる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、コンピュータを、請求項2に記載のデータ処理装置として機能させる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、相変化メモリ上に書込み管理情報や書込みデータを置くことにより、フラッシュメモリや相変化メモリの書込み中に携帯機器への電源供給が停止した時に、書込み中のデータに誤りが発生する現象をできる限り救済することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】携帯電話機Sの構成概要を示すブロック図である。
【図2】制御部103の構成概要を示すブロック図である。
【図3】管理エリアを示す概念図である。
【図4】データエリアを示す概念図である。
【図5】データ書込み(記憶)時のCPU201の動作を示すフローチャートである。
【図6】データ読出し時のCPU201の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本願の最良の実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、データ処理装置の一例として携帯電話機に対して本願を適用した場合の実施形態である。
【0029】
先ず、本実施形態に係る携帯電話機Sの構成及び機能概要について図1を用いて説明する。
【0030】
図1は、携帯電話機Sの構成概要を示すブロック図である。
【0031】
図1に示すように、携帯電話機Sは、アンテナ101、送受信部102、制御部103、スピーカ104、マイクロフォン105、表示部106、操作部107、及び電源部108等とを含んで構成される。
【0032】
携帯電話機Sの着信動作を例に、上記各部の機能概要を説明すると、先ず、アンテナ101によって受信された電波は送受信部102に送られ、復調されて制御部103で解析される。制御部103では、それが着信であると認識すると、送受信部102に送信データを送るとともに表示部106に着信表示を出す。またスピーカ104から着信音を発生させ、ユーザーに着信を知らせる。ユーザーが着信に気がつき、操作部107を操作すると制御部103でそれを検出してマイクロフォン105で音声を有効にする。送受信の音声信号は送受信部102に送られ、アンテナ101を通じて図示していない基地局と通信する。電源部108は各部で電源を供給する。
【0033】
次に、制御部103について、図2を用いて詳細に説明する。
【0034】
図2は、制御部103の構成概要を示すブロック図である。
【0035】
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)201、第一の記憶部としての相変化メモリ202、第二の記憶部としてのフラッシュメモリ(不揮発メモリ)203、RAM(Random Access Memory)204等とを含んで構成される。
【0036】
図示しないROM(Read Only Memory)内には、CPU201によって実行されるべきプログラムが記憶されており、CPU201は、このプログラムに基づいて制御部103を統括的に制御する。RAM204は、CPU201が制御部103を統括的に制御するために作業領域として使用するメモリである。
【0037】
相変化メモリ202は、ある材料が温度変化による相変化で異なる抵抗値を示すことを原理としており、フラッシュメモリのように不揮発性であるが消去不要で、RAMのようにCPUから見て上書き制御で使用できる。また、大容量化に向いており、データやプログラムの格納用途にも使用できる。
【0038】
そして、相変化メモリ202は、フラッシュメモリ203やRAM204と同様にCPU201に接続されており、CPU201はメモリに格納されたプログラムに従って、これらのメモリの書込み/読出しを行うようになっている。
【0039】
さらに、本実施形態では、相変化メモリ202の記憶領域は、少なくとも二以上に分割、入力されるデータに関する情報を記憶する管理エリアと前記データを記憶するデータエリアを有するようになっている。
【0040】
次に、管理エリア及びデータエリアの詳細について、図3及び図4を用いて説明する。
【0041】
図3は、管理エリアを示す概念図である。
【0042】
データが入力されフラッシュメモリ203(不揮発メモリ)にデータが書込まれる際には、まず、相変化メモリ202に、管理エリア1(301)が作成され、前記書込まれるデータに対して管理番号、及び前記入力されるデータの存在を示す符号として「データあり」が夫々付与される。併せて、当該書込みデータの開始アドレスが付与され、夫々第一のデータに関する情報として記憶される。
【0043】
ここで、管理番号とは、入力されるデータを他のデータから識別するための識別番号であり、例えば、CPU201の制御によって付与される。そして、本実施形態では、相変化メモリ202のアドレスが若いほうから管理番号0、1、2、・・・とすることを想定している。また、管理番号N(図3)に「データあり」の情報があった場合、データエリアにデータが記憶される。
【0044】
図4は、データエリアを示す概念図である。
【0045】
管理番号N(図3)に「データあり」の情報があった場合、相変化メモリ202の管理エリア401とは別領域に設けたデータエリア402を使い、管理エリア401にデータ書込み後かつ不揮発メモリにデータ書込み前に、相変化メモリ202のデータエリア402に検証値(チェックサム)が付加されたデータが格納される。
【0046】
検証値はデータ転送一般に使用されるものでよく、CRCやECCでも良い。このデータ格納が終わったあとでフラッシュメモリ203へのデータ書込みを行い、終了時には管理エリアに終了フラグを書込む(図3の終了フラグN)。
【0047】
図4に示すように、管理エリア401とデータエリア402には相関を持たせ、管理番号がわかればデータエリア402のどの領域に管理番号Nのデータがあるのかわかるようにする。
【0048】
図3の説明に戻り、フラッシュメモリ203にデータが書込まれ、書込みが完了したら、同じ管理番号を付与し、終了フラグが書込まれる。
【0049】
つまりフラッシュメモリ203へのデータ書込みが正常に終了すると、管理エリア1(301)には、管理番号が同じ、開始アドレス/データあり・なしと終了フラグを格納した2つのデータが2個1組となるようにする。それらを繰り返し行って管理番号Nに達し、あらかじめ設定した管理エリア1(301)の領域が無くなった場合は、相変化メモリ202の同じアドレス空間を使用し、管理エリア2(302)を作成する。管理エリア2(302)は新たなメモリ領域を使うのを避けるため、管理エリア1(301)を上書きで使用する。アドレスの若いほうから管理番号N+1として、管理エリア1(301)と同様に、不揮発メモリにデータ書込みが発生するたびに管理データを書込んでいく。
【0050】
図2の説明に戻り、フラッシュメモリ203は、不揮発性半導体メモリの一種であり、オンボード状態で電気的にデータを書き換えることができることを特徴としている。
【0051】
CPU201は、上述したように制御部103全体の動作を統括的に制御するとともに、本願の第一のデータ管理手段、第一の記憶手段、第二の記憶手段、第二のデータ管理手段、情報確認手段、データ消去手段、検証手段、及び、復旧手段として機能する。
【0052】
第一のデータ管理手段としてのCPU201は、相変化メモリ202及びフラッシュメモリ203に記憶されるデータに対して管理番号、及び、前記入力されるデータの存在を示す符号としての「データあり」を付与し、第一のデータに関する情報として、管理エリア1(301)に記憶する。
【0053】
第一の記憶手段としてのCPU201は、「データあり」が付与された場合に、前記データと同一のデータを、相変化メモリ202に、データの正当性を示す検証値と共に記憶する。
【0054】
上述したとおり、検証値の一例として、CRCが適用できる。
CRCとは、巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check)の略であり、データの誤りを検出する(データの正当性を検証する)仕組みである。CRCによる誤り検出では、まず、データから検証値の一例として、CRCコードを生成する。
【0055】
CRCコードは、同一のデータからは必ず同一のCRCコードが生成され、例えば、1バイトでもデータが異なると全く別のCRCコードが生成されるという特徴を持つ。この特徴を利用し、データの正当性について検証するようになっている。
【0056】
なお、CRCは公知の技術であるため、詳しい説明は省略する。
【0057】
第二の記憶手段としてのCPU201は、前記第一の記憶手段によって前記データが記憶された場合に、フラッシュメモリ203に当該データと同一のデータを記憶する。
【0058】
第二のデータ管理手段としてのCPU201は、フラッシュメモリ203に当該データと同一のデータが記憶された場合に、新たな前記データに関する情報として、前記第一のデータに関する情報に示される管理番号と同一の管理番号、及び、終了フラグNを付与し、第二のデータに関する情報として管理エリア1(301)に記憶する。
【0059】
情報確認手段としてのCPU201は、前記データを読み出す際に、前記第一のデータに関する情報、及び、前記第二のデータに関する情報の存在を確認する。
【0060】
具体的には、CPU201は、管理番号が2個1組かどうか、即ち、前記第一のデータに関する情報の管理番号と前記第二のデータに関する情報の管理番号が存在し、2個1組となっているかどうかを確認する。
【0061】
データ消去手段としてのCPU201は、前記情報確認手段によって、前記第二のデータに関する情報が存在しないと判断された場合に、前記第一のデータに関する情報が示すデータを、フラッシュメモリ203から消去する。
【0062】
検証手段としてのCPU201は、相変化メモリ202に記憶されたデータの正当性を検証する。
【0063】
復旧手段としてのCPU201は、前記正当性が確認された場合に、フラッシュメモリ203に、相変化メモリ202に記憶された前記データを記憶する。
【0064】
CPU201の動作について、図3及び図4に対応させて、更に詳細に説明すると、例えば、図3の管理エリア1(301)の管理番号0の開始アドレスが書込まれる前、または書込み中に電源供給が停止した場合、不揮発メモリに書込みしようとしていたデータは無効となるが、誤ったデータが読み出されることはないので問題はない。
【0065】
図3の管理エリア1(301)の管理番号0の開始アドレスが書込まれた後、不揮発メモリへの書込みが完了する前に電源供給が停止した場合、管理番号0の終了フラグが書込まれたデータが存在しない。この場合、不揮発メモリへ正常に書込み完了していない可能性が高いので、当該不揮発メモリのデータを破棄する。
【0066】
図3の管理エリア1(301)の管理番号0の開始アドレスが書込まれた後、管理番号0の終了フラグが書込まれる前に電源供給が停止した場合、不揮発メモリへ正常に書込み完了しているが、CPU201でそれを判断するのが難しい。管理番号0の終了フラグが書込まれたデータが存在しないので、当該不揮発メモリのデータを破棄する。これと同様の問題を救済するのが図4のデータエリア402である。
【0067】
図3の管理エリア1(301)の管理番号0の開始アドレスが書込まれた後、管理番号0の終了フラグが書込まれていれば、不揮発メモリへの書込み中の電源供給停止はなかったため問題はない。
【0068】
図4の管理エリア401に管理番号Nが書込まれた後、データエリア402に管理番号Nのデータを書込み中に電源供給が停止した場合、管理番号Nのデータの検証値がNGとなるため、不揮発メモリに書込みされた有効なデータはないので破棄する。
【0069】
図4の管理エリア401に管理番号Nが書込まれた後、データエリア402に管理番号Nのデータを書込み終了、不揮発メモリ書込み中に電源供給が停止した場合、管理番号NのデータのチェックサムがOKとなるため、データエリア402に残っていたデータを使って不揮発メモリの書込みを行い、管理番号Nの管理フラグを書込む。
【0070】
図4の管理番号Nの終了フラグを書込み中の電源供給停止も前述と同じ動作継続となる。
【0071】
装置に構成されている相変化メモリを使い、管理エリアの使い方を工夫することで、コスト上昇なしで電源供給停止によるデータ信頼性低下による誤動作を確実に防止することができ、非常に有益である。
【0072】
次に、図5を用いて、データ書込み(記憶)時のCPU201の動作について説明する。
【0073】
図5は、データ書込み(記憶)時のCPU201の動作を示すフローチャートである。
【0074】
まず、CPU201からフラッシュメモリ203へのデータ書込みが発生する(S101)。
【0075】
CPU201は、相変化メモリ202の管理エリアに管理番号と開始アドレスを書込む(S102)。
【0076】
管理エリアに相変化メモリ202のデータエリア402へのデータ書込みを行うかを判定し(S103)、データ書込みを行う場合は(S103:Y)、不揮発メモリへの書込みデータを相変化メモリ202のデータエリア402に検証値を付加して転送してから(S104)、フラッシュメモリ203にデータ書込む(S105)。
【0077】
データ書込みを行わない場合は(S103:N)、すぐにフラッシュメモリ203にデータを書込む(S105)。そして、管理エリアに管理番号と終了フラグを書込み(S106)、動作を終了する(S107)。
【0078】
次に、図6を用いて、データ読出し時のCPU201の動作について説明する。
【0079】
図6は、データ読出し時のCPU201の動作を示すフローチャートである。
【0080】
図6に示すように、CPU201から、フラッシュメモリ203へのデータ読出しが発生する(S201)。
【0081】
CPU201は、相変化メモリ202の管理エリアの管理番号を読出す(S202)。
【0082】
CPU201は、全ての管理番号を読出し、管理番号が2個1組かどうかを確認する(S203)。
【0083】
管理番号が全て2個1組の場合(S203:Y)、電源供給停止などの問題がなかったため、復旧処理は行わずに終了する(S210)。
【0084】
管理番号が2個1組でなかった場合(S203:N)、図5のデータ書込みフローで電源供給停止が発生したと認識し、復旧処理を行う。
【0085】
まず、誤動作を防止するため、不一致した管理番号の開始アドレスエリア(フラッシュメモリ203)を消去する(S204)。
【0086】
次に管理エリアの情報を分析し、「データあり・なし」で、不一致の管理番号はデータなしかを確認する(S205)。
【0087】
データなしの場合(S205:Y)、復旧処理はできないため、管理エリアの不一致だった管理番号の終了フラグを上書きして(S209)、動作を終了する(S210)。
【0088】
データありの場合(S205:N)、データ復旧できる可能性があるため、復旧処理を行う。
【0089】
まず、不一致の管理番号の相変化メモリ202上データのチェックサムを計算する(S206)。データと検証値を判定し(S207)、検証値がNGの場合は(S207:Y)、データ復旧できないため、管理エリアの不一致だった管理番号の終了フラグを上書きし(S209)、動作を終了する(S210)。
【0090】
検証値がOKの場合(S207:N)、復旧処理が可能であるため、検証値OKのデータを開始アドレスエリア(フラッシュメモリ203)に書込み(S208)、書込み動作を再開し、管理エリアの不一致だった管理番号の終了フラグを上書きし(S209)、動作を終了する(S210)。
【0091】
以上説明したように、CPU201は、相変化メモリ202及びフラッシュメモリ203に記憶されるデータに対して管理番号、及び、前記入力されるデータの存在を示す符号としての「データあり」を付与し、第一のデータに関する情報として、管理エリア1(301)に記憶し、「データあり」が付与された場合に、前記データと同一のデータを、相変化メモリ202に、データの正当性を示す検証値と共に記憶し、前記第一の記憶手段によって前記データが記憶された場合に、フラッシュメモリ203に当該データと同一のデータを記憶し、フラッシュメモリ203に当該データと同一のデータが記憶された場合に、新たな前記データに関する情報として、前記第一のデータに関する情報に示される管理番号と同一の管理番号、及び、終了フラグNを付与し、第二のデータに関する情報として管理エリア1(301)に記憶する。
【0092】
従って、管理情報(第一のデータに関する情報及び第二のデータに関する情報)を2個1組で保管する方式を取ることにより、電源停止時のフラッシュメモリや相変化メモリへのデータ書込み状態を正確に把握し、データ書込み中のデータに誤りが発生する現象をできる限り救済することができる。
【0093】
また、CPU201は、前記データを読み出す際に、前記第一のデータに関する情報、及び、前記第二のデータに関する情報の存在を確認し、前記第二のデータに関する情報が存在しないと判断した場合に、前記第一のデータに関する情報が示すデータを、フラッシュメモリ203から消去し、相変化メモリ202に記憶されたデータの正当性を検証し、前記正当性が確認された場合に、フラッシュメモリ203に、相変化メモリ202に記憶された前記データを記憶し、前記第二のデータに関する情報が記憶する。
【0094】
また、フラッシュメモリを使用して管理エリアを構築する場合、データ消去が必要となるため処理時間がかかるが、相変化メモリを用いることによって、データ消去が不要である。従って、処理時間の短縮を図ることができる。
【0095】
また、不揮発メモリがフラッシュメモリの場合は消去が必要になる処理があるが、不揮発メモリを相変化メモリにした場合、消去は不要であるため効果的である。
【0096】
また、本発明のCPUを使った管理エリア運用システムを、相変化メモリ自体に内蔵することである。相変化メモリ外部からのアクセスで、本発明で判定された結果だけを出力するようにすれば、使用者は特に意識することなく、電源供給停止対策を享受できる。
【0097】
なお、上記実施形態においては、本願を携帯電話機Sに対して適用した場合の例を示したが、その他にも例えば、PDA、ポータブル音楽プレーヤー、電子手帳、ラップトップPC、トランシーバなどの携帯機器等に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
101 アンテナ
102 送受信部
103 制御部
104 スピーカ
105 マイクロフォン
106 表示部
107 操作部
108 電源部
201 CPU
202 相変化メモリ
203 フラッシュメモリ
204 RAM
S 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二以上に分割された記憶領域を有し、入力されるデータに関する情報を記憶する管理エリアと前記データを記憶するデータエリアを有する第一の記憶部と、
前記データと同一のデータを記憶するデータエリアを有する第二の記憶部と、
を備えるデータ処理装置であって、
前記第一の記憶部及び前記第二の記憶部に記憶されるデータに対して管理番号、及び、前記入力されるデータの存在を示す符号を付与し、第一のデータに関する情報として、前記第一の記憶部の前記管理エリアに記憶する第一のデータ管理手段と、
前記符号が付与された場合に、前記データと同一のデータを、前記第一の記憶部に、データの正当性を示す検証値と共に記憶する第一の記憶手段と、
前記第一の記憶手段によって前記データが記憶された場合に、前記第二の記憶部に当該データと同一のデータを記憶する第二の記憶手段と、
前記第二の記憶手段によって前記データが記憶された場合に、新たな前記データに関する情報として、前記第一のデータに関する情報に示される管理番号と同一の管理番号、及び、前記第一のデータに関する情報が示すデータが前記第二の記憶部に記憶されたことを示す符号を付与し、第二のデータに関する情報として前記第一の記憶部の前記管理エリアに記憶する第二のデータ管理手段と、
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ処理装置において、
前記データを読み出す際に、
前記第一のデータに関する情報、及び、前記第二のデータに関する情報の存在を確認する情報確認手段と、
前記情報確認手段によって、前記第二のデータに関する情報が存在しないと判断された場合に、前記第一のデータに関する情報が示すデータを、前記第二の記憶部から消去するデータ消去手段と、
前記第一の記憶部に記憶されたデータの正当性を検証する検証手段と、
前記正当性が確認された場合に、前記第二の記憶部に、前記第一の記憶部に記憶された前記データを記憶する復旧手段と、
前記復旧手段によってデータが記憶された場合に、前記第二のデータ管理手段によって、前記第二のデータに関する情報が記憶されることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2の何れか一項に記載のデータ処理装置において、
前記第一の記憶部に、相変化メモリを用いることを特徴とするデータ記憶装置。
【請求項4】
請求項3に記載のデータ処理装置において、
前記第一のデータ管理手段は、前記管理エリアの記憶容量が不足した場合には、新たに記憶される前記第一のデータに関する情報を上書きすることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
少なくとも二以上に分割された記憶領域を有し、入力されるデータに関する情報を記憶する管理エリアと前記データを記憶するデータエリアを有する第一の記憶部と、
前記データと同一のデータを記憶するデータエリアを有する第二の記憶部と、
を備えるデータ処理装置に含まれるデータ処理方法であって、
前記第一の記憶部及び前記第二の記憶部に記憶されるデータに対して管理番号、及び、前記入力されるデータの存在を示す符号を付与し、第一のデータに関する情報として、前記第一の記憶部に記憶する第一のデータ管理工程と、
前記符号が付与された場合に、前記データと同一のデータを、前記第一の記憶部に、データの正当性を示す検証値と共に記憶する第一の記憶工程と、
前記第一の記憶工程によって前記データが記憶された場合に、前記第二の記憶部に当該データと同一のデータを記憶する第二の記憶工程と、
前記第二の記憶工程によって前記データが記憶された場合に、新たな前記データに関する情報として、前記第一のデータに関する情報に示される管理番号と同一の管理番号、及び、前記第一のデータに関する情報が示すデータが前記第二の記憶部に記憶されたことを示す符号を付与し、第二のデータに関する情報として前記第一の記憶部の前記管理エリアに記憶する第二のデータ管理工程と、
を有することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ処理方法によって記憶されたデータを読み出すデータ処理方法であって、
前記データを読み出す際に、
前記第一のデータに関する情報、及び、前記第二のデータに関する情報の存在を確認する情報確認工程と、
前記情報確認工程によって、前記第二のデータに関する情報が存在しないと判断された場合に、前記第一のデータに関する情報が示すデータを、前記第二の記憶部から消去するデータ消去工程と、
前記第一の記憶部に記憶されたデータの正当性を検証する検証工程と、
前記正当性が確認された場合に、前記第二の記憶部に、前記第一の記憶部に記憶された前記データを記憶する復旧工程と、
前記復旧手段によってデータが記憶された場合に、前記第二のデータ管理工程によって、前記第二のデータに関する情報が記憶されることを特徴とするデータ処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1に記載のデータ処理装置として機能させることを特徴とするデータ処理プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項2に記載のデータ処理装置として機能させることを特徴とするデータ処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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