説明

データ収集装置

【課題】多様な通信端末に対応できるデータ収集装置を提供する。
【解決手段】通信機能付メータ4からデータを収集して通信端末2に送るデータ収集装置であって、通信端末2との間の通信を制御する第1の通信手段9と、第1の通信手段9とは異なる通信方式で通信端末2との間の通信を制御する第2の通信手段10と、第1の通信手段9および第2の通信手段10の何れを通信端末2に接続するかを切り替える切替手段11と、通信機能付メータに接続されて該通信機能付メータ4との間の通信を制御するメータ通信手段14と、通信機能付メータ4に代えてメータ通信手段14に接続される設定器と、この設定器からの指示に応答して切替手段11の切り替えを制御する制御手段12とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メータからデータを収集して通信端末に送るデータ収集装置に関し、特に、多様な通信端末との接続を可能にし、またメータとの通信を高い頻度で行うことを可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各家庭に設けられた電力、ガス、水道等のメータの検針値等をセンタ装置で収集し、課金やメンテナンスを行うデータ収集システムが知られている。このような従来のデータ収集システムの一例を図7に示す。
【0003】
図7に示すデータ収集システムでは、センタ装置1と、通信機能付メータ4が接続された通信端末2とが、例えば電話回線網などの通信ネットワークを介して接続されている。この場合、センタ装置1は、通信機能付メータ4で計量された検針値等を、通信端末2および通信ネットワークを介して収集する。
【0004】
また、図7に示すデータ収集システムでは、センタ装置1と、通信機能を有しないパルス出力機能付メータ5から出力されるパルスをカウントする計測装置8とが、通信ネットワークを介して接続されている。この場合、センタ装置1は、パルス出力機能付メータ5からのパルスを計測装置8でカウントすることにより計量された検針値等を、通信端末2および通信ネットワークを介して収集する。
【0005】
さらに、最近は、通信端末2と通信機能付メータ4または計測装置8との間に無線通信用の親機6と子機7とを設置し、これらの間を特定小電力無線などを利用した無線通信で接続して配線レス化することも試みられている。
【0006】
上述した従来のデータ収集システムでは、通信機能付メータ4または計測装置8と、通信端末2または子機7との間の通信インタフェース回路として、特許文献1に開示された回路が広く採用されている。
【0007】
この通信インタフェース回路は、図8に示すように、2線式であり、かつ、通信端末2(特許文献1中では網制御回路1B)とメータ4(特許文献1中では端末装置1A)との間は、2個のフォトカプラPC1およびPC2によって電気的に分離されているため、通信端末2とメータ4との間の配線を長くしても外乱に対して強いと言う特長がある。しかしながら、フォトカプラを使用しているため、通信速度を上げることができず、一般的には、300bps〜1200bps程度の通信速度が使用されている。
【0008】
また、近年の通信ネットワークの技術革新は目覚ましく、電話回線を利用したADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)などでも、例えば40Mbpsといった高速通信が可能になっている。このため、上述した通信インタフェース回路を搭載した通信機能付メータ4を通信端末2に直結して使用する場合、通信端末2と通信機能付メータ4との間の通信速度がボトルネックになり、通信が非効率になることが懸念されている。
【0009】
一方、検針で扱うデータ量に注目すると、従来のデータ収集システムは、毎月1回のメータ検針で使用することが主目的であり、非常に少量のデータしか扱っていなかった。しかしながら、近年は、電カやガスの自由化に伴ってエネルギー供給会社を顧客が自由に選択できる制度が導入されたため、エネルギー供給会社では顧客獲得のため、昼間、夜間などの時間帯別、あるいは季節別に料金を定め、エネルギーの消費が少ない時間帯では料金を割り引くサービスを開始している。その結果、通信端末とメータとの間で送受されるデータ量も飛躍的に増大する傾向にある。
【0010】
これらに対応するために、メータ自体に時間帯別計量機能を持たせ、かつ、通信速度を高速化できる通信インタフェース回路を搭載する方策が考えられる。しかしながら、メータは設置後10年間程度は使用されることや、ガスや水道メータ等の設置場所では、商用電源(AC1OOV)を確保することが難しいことなどの理由から、通信ネットワークの技術革新に合わせて、メータを変更することは現実的に難しい状況にある。
【0011】
このような問題に対処するために、図9に示すように、通信端末2または子機7と、通信機能付メータ4またはパルス出力機能付メータ5との間に新たにデータ収集装置3を設け、データ収集装置3は、通信機能付メータ4と定期的な通信を行い、通信機能付メータ4から収集したデータを時間帯別に集計して蓄積したり、あるいは、パルス出力機能付メータ5からのパルスを時間帯別にカウントして蓄積しておき、データ収集装置3に蓄積されたデータを纏めてセンタ装置1が収集するという試みがなされている。
【特許文献1】特許第2654039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、大量のデータを扱う場合や通信ネットワークの技術革新に伴なって通信速度が向上した場合には、通信端末の仕様に応じてデータ収集装置自体の変更や交換を行う必要があるので、多様な通信端末に対応できるデータ収集装置が望まれている。
【0013】
また、特許文献1に記載された従来の通信インタフェース回路を搭載した既存のメータと接続した場合であっても、通信インタフェース回路で消費する電力を低減できるデータ収集装置の開発が望まれている。
【0014】
本発明は、多様な通信端末に対応できるデータ収集装置を提供することにある。また、本発明は、従来の通信インタフェース回路を搭載したメータであっても消費電力を低減できるデータ収集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、第1の発明に係るデータ収集装置は、通信機能付メータからデータを収集して通信端末に送るデータ収集装置であって、通信端末との間の通信を制御する第1の通信手段と、第1の通信手段とは異なる通信方式で通信端末との間の通信を制御する第2の通信手段と、第1の通信手段および第2の通信手段の何れを通信端末に接続するかを切り替える切替手段と、通信機能付メータに接続されて該通信機能付メータとの間の通信を制御するメータ通信手段と、通信機能付メータに代えてメータ通信手段に接続される設定器と、設定器からの指示に応答して切替手段の切り替えを制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、第2の発明に係るデータ収集装置は、第1の発明に係るデータ収集装置において、設定器は、通信端末に代えて切替手段に接続され、制御手段は、設定器からの指示に応答して切替手段の切り替えを制御することを特徴とする。
【0017】
また、第3の発明に係るデータ収集装置は、パルス出力機能付メータからのパルスを計量してそのデータを通信端末に送るデータ収集装置であって、通信端末との間の通信を制御する第1の通信手段と、第1の通信手段とは異なる通信方式で通信端末との間の通信を制御する第2の通信手段と、第1の通信手段および第2の通信手段の何れを通信端末に接続するかを切り替える切替手段と、パルス出力機能付メータに接続されて該パルス出力機能付メータからのパルスを検出するパルス検出手段と、第1の通信手段と第2の通信手段との切替動作を起動するための設定モード起動手段と、パルス出力機能付メータからの信号に代えてパルス検出手段に所定の信号が入力され、且つ設定モード起動手段によって切替動作が起動された場合に、所定の信号に応じて切替手段の切り替えを制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
さらに、第4の発明に係るデータ収集装置は、第1の発明または第2の発明に係るデータ収集装置において、メータ通信手段は、ダイオードと、該ダイオードに直列に接続された高い抵抗値を有する抵抗とから成る受信回路と、フォトカプラと、該フォトカプラのトランジスタ側に直列に接続された高い抵抗値を有する抵抗とから成る送信回路とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明に係るデータ収集装置によれば、通信端末に接続する側に、通信方式の異なる第1の通信手段および第2の通信手段と、それらを切り替えるための切替手段を設け、通信機能付メータとの間の通信を制御するためのメータ通信手段に、通信機能付メータを接続する代わりに設定器を接続し、この設定器からの指示により切替手段の切り替えを制御する。従って、通信ネットワークの技術革新などにより、通信速度が高速化された場合にも機器の交換なしに対応が可能となる。
【0020】
また、第2の発明に係るデータ収集装置によれば、通信端末に接続する側に、通信方式の異なる第1の通信手段および第2の通信手段と、それらを切り替えるための切替手段を設け、通信端末に接続される切替手段に、通信端末を接続する代わりに設定器を接続し、この設定器からの指示により切替手段の切り替えを制御する。従って、通信ネットワークの技術革新などにより、通信速度が高速化された場合にも機器の交換なしに対応が可能となる。
【0021】
また、第3の発明に係るデータ収集装置によれば、通信端末に接続する側に、通信方式の異なる第1の通信手段および第2の通信手段と、それらを切り替えるための切替手段を設け、パルス出力機能付メータからのパルスを計量するためのパルス検出手段に、パルス出力機能付メータからの信号の代わりに所定の信号を入力するとともに設定モード起動手段で切替動作を起動することにより切替手段の切り替えを制御する。従って、通信ネットワークの技術革新などにより、通信速度が高速化された場合にも機器の交換なしに対応が可能となる。
【0022】
さらに、第4の発明に係るデータ収集装置によれば、メータ通信手段は、ダイオードと、該ダイオードに直列に接続された高い抵抗値を有する抵抗とから成る受信回路と、フォトカプラと、該フォトカプラのトランジスタ側に直列に接続された高い抵抗値を有する抵抗とから成る送信回路とを備えたので、通信インタフェース回路で消費される電流を低減させることができる。その結果、通信機能付メータが電池駆動の場合、同じ電池容量で多くの通信を行うことができるので、通信機能付メータとの通信を高い頻度で行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明のデータ収集装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1に係るデータ収集装置は、通信機能付メータ4の接続端子AB1およびAB2を用いて通信端末側の通信手段を切り替えるようにしたものである。
【0025】
図1は本発明の実施例1に係るデータ収集装置の構成を示すブロック図である。このデータ収集装置は、第1の通信手段9、第2の通信手段10、切替手段11、制御手段12、データ蓄積手段13、メータ通信手段14、パルス検出手段15および設定モード起動手段16を有して構成されている。
【0026】
第1の通信手段9は、既存のメータと通信するための通信インタフェースを有し、制御手段12からの制御に応じて、通信端末2との間で低速(例えば300bps)での通信を行うために使用される。
【0027】
第2の通信手段10は、例えば、TTLレベル、EIA−485規格などの信号レベルを用いた2線式のシリアル通信インタフェースを有し、制御手段12からの制御に応じて、第1の通信手段9より高速(例えば960bps)で通信端末2との間の通信を行うために使用される。
【0028】
切替手段11は、例えばリレー等で構成されており、通信端末2に接続するための2線式の接続端子AA1およびAA2を備えている。この切替手段11は、制御手段12からの制御に応じて、接続端子AA1およびAA2に第1の通信手段9を接続するか第2の通信手段10を接続するかを切り替える。
【0029】
制御手段12は、図示しない時計機構を内蔵しており、メータ通信手段14を介して通信機能付メータ4と定期的に通信を行い、その通信により得られたデータを、例えば時間帯毎の計量値に変換してデータ蓄積手段13に蓄積する。また、制御手段12は、パルス出力機能付メータ5からのパルスをパルス検出手段15でカウントすることにより得られたデータを時間帯毎の計量値に変換してデータ蓄積手段13に蓄積する。さらに、制御手段12は、上述したように、切替手段11を制御する。
【0030】
データ蓄積手段13は、上述したように、通信機能付メータ4から得られたデータに基づく計量値およびパルス出力機能付メータ5から得られたパルスに基づく計量値を蓄積する。このデータ蓄積手段13に蓄積された計量値は、制御手段12から読み出されて第1の通信手段9または第2の通信手段10を介して通信端末2に送信される。
【0031】
メータ通信手段14は、図8に示した従来の通信インタフェース回路と同様の構成を有し、既存の通信機能付メータ4とデータ収集装置3の制御手段12との間で通信を行うための2線式の接続端子AB1およびAB2を備えている。
【0032】
パルス検出手段15は、3線式のパルス出力機能付メータ5から出力される電力量または流量等に比例した無電圧接点パルスを受け取るための接続端子PA、PBおよびPCを備えている。このパルス検出手段15は、3線式のパルス出力機能付メータ5からの無電圧接点パルスの状態を常時監視しており、図4(a)に示すような状態変化が発生したことを検出して、パルス数をカウントする。パルス検出手段15でカウントされたパルス数は制御手段12に送られる。
【0033】
設定モード起動手段16は、例えばリードスイッチから構成されており、データ収集装置3の外部からリードスイッチが配置されている部分に磁石を近づけるなどにより、非接触で、そのリードスイッチをONにして設定動作を起動することができる。
【0034】
次に、上記のように構成される本発明の実施例1に係るデータ収集装置の動作を、図2に示すシーケンス図を参照しながら説明する。以下では、第1の通信手段9による通信を行う状態から第2の通信手段10による通信を行う状態に切り替える場合を例に挙げて説明する。
【0035】
今、通信端末2とデータ収集装置3との間で、第1の通信手段9を用いた通信が行われているものとする(ステップS10)。この場合、切替手段11は、第1の通信手段9を用いて通信を行うように予め設定される。この状態では、通信端末2は、データ収集装置3に対してデータ送信要求電文を送る(ステップS11)。データ収集装置3は、通信端末2からのデータ送信要求電文を受信すると、計量値を含む応答電文を、第1の通信手段9を用いて通信端末2に送信する(ステップS12)。具体的には、データ収集装置3の制御手段12は、データ送信要求電文で要求された計量値を、データ蓄積手段13から読み出して第1の通信手段9に送る。第1の通信手段9は、切替手段11および接続端子AA1およびAA2を介して、計量値を通信端末2に送信する。
【0036】
次に、第1の通信手段9による通信から第2の通信手段10による通信への切り替えが、次の手順で行われる。まず、通信機能付メータ4が接続端子AB1およびAB2から取り外され、その代わりに設定器(図示しない)が接続される(ステップS30)。この設定器は、通信機能付メータ4と同様の通信インタフェース回路を有する。
【0037】
この設定器が接続端子AB1およびAB2に接続された状態で、設定器が操作されることにより、通信端末側の通信手段を切り替えるための通信手段設定電文が設定器で生成されメータ通信手段14を経由して、データ収集装置3に送られる(ステップS31)。この通信手段設定電文を受信したデータ収集装置3は、切替手段11を制御して接続端子AA1およびAA2を第2の通信手段10に接続する(ステップS32)。その後、データ収集装置3は、設定応答電文を設定器に送信する(ステップS33)。
【0038】
データ収集装置3からの設定応答電文が設定器によって受信されると、その設定器が接続端子AB1およびAB2から取り外され、その代わりに通信機能付メータ4が接続される(ステップS34)。
【0039】
以上の動作が完了すると、通信端末2とデータ収集装置3との間で、第2の通信手段10を用いた通信が行われる(ステップS20)。即ち、通信端末2は、データ収集装置3に対してデータ送信要求電文を送る(ステップS21)。データ収集装置3は、通信端末2からのデータ送信要求電文に応答して、計量値を含む応答電文を第2の通信手段10を用いて通信端末2に送信する(ステップS22)。具体的には、データ収集装置3の制御手段12は、データ送信要求電文で要求された計量値を、データ蓄積手段13から読み出して第2の通信手段10に送る。第2の通信手段10は、切替手段11および接続端子AA1およびAA2を介して、計量値を通信端末2に送信する。
【0040】
上記とは逆に、第2の通信手段10による通信を行う状態から第1の通信手段9による通信を行う状態に切り替える場合も、上述した手順と同様の手順で行うことができる。
【0041】
以上説明したように、本発明の実施例1に係るデータ収集装置によれば、通信機能付メータ4の接続端子AB1およびAB2から通信端末2との通信に使用する通信手段を切り替えることができるので、通信ネットワークの技術革新などにより、通信速度が高速化された場合にも機器の交換なしに対応が可能となる。
【実施例2】
【0042】
本発明の実施例2に係るデータ収集装置は、通信端末2の接続端子AA1およびAA2を用いて通信端末側の通信手段を切り替えるようにしたものである。
【0043】
実施例2に係るデータ収集装置の構成は、図1に示した実施例1に係るデータ収集装置のそれと同じである。
【0044】
次に、上記のように構成される本発明の実施例2に係るデータ収集装置の動作を、図3に示すシーケンス図を参照しながら説明する。以下では、第1の通信手段9による通信を行う状態から第2の通信手段10による通信を行う状態に切り替える場合を例に挙げて説明する。
【0045】
今、通信端末2とデータ収集装置3との間で、第1の通信手段9を用いた通信が行われているものとする(ステップS10)。このステップS10の動作は、実施例1のそれと同じである。
【0046】
次に、第1の通信手段9による通信から第2の通信手段10による通信への切り替えが、次の手順で行われる。まず、通信端末2が接続端子AA1およびAA2から取り外され、その代わりに設定器(図示しない)が接続される(ステップS40)。この設定器は、通信端末2と同様の通信インタフェース回路を有する。
【0047】
この設定器が接続端子AA1およびAA2に接続された状態で、設定器が操作されることにより、通信端末側の通信手段を切り替えるための通信手段設定電文が設定器により生成され第1の通信手段9を経由して、データ収集装置3に送られる(ステップS41)。この通信手段設定電文を受信したデータ収集装置3は、切替手段11を制御して接続端子AA1およびAA2を第2の通信手段10に接続する(ステップS42)。そして、データ収集装置3は、設定応答電文を設定器に送信する(ステップS43)。
【0048】
データ収集装置3からの設定応答電文が設定器によって受信されると、その設定器が接続端子AA1およびAA2から取り外され、その代わりに通信端末2が接続される(ステップS44)。
【0049】
以上の動作が完了すると、通信端末2とデータ収集装置3との間で、第2の通信手段10を用いた通信が行われる(ステップS20)。このステップS20の動作は、実施例1のそれと同じである。
【0050】
上記とは逆に、第2の通信手段10による通信を行う状態から第1の通信手段9による通信を行う状態に切り替える場合も、上述した手順と同様の手順で行うことができる。
【0051】
以上説明したように、本発明の実施例2に係るデータ収集装置によれば、通信端末2の接続端子AA1およびAA2から通信端末2との通信に使用する通信手段を切り替えることができるので、通信ネットワークの技術革新などにより、通信速度が高速化された場合にも機器の交換なしに対応が可能となる。
【0052】
ただし、実施例2に係るデータ収集装置では、第1の通信手段9から第2の通信手段10へ切り替えるための設定器には、第1の通信手段9の通信インタフェース回路を備えた設定器、逆に、第2の通信手段10から第1の通信手段9へ切り替えるための設定器には、第2の通信手段10の通信インタフェース回路を備えた設定器といった2種類が必要になる。
【実施例3】
【0053】
本発明の実施例3に係るデータ収集装置は、パルス出力機能付メータ5の接続端子PA、PBおよびPCを用いて通信端末側の通信手段を切り替えるようにしたものである。
【0054】
実施例3に係るデータ収集装置の構成は、図1に示した実施例1に係るデータ収集装置のそれと同じである。
【0055】
通常、3線式のパルス出力機能付メータ5の接点はトランスファー接点構造を有しており、図4(a)に示すように、PA−PC間に接続された第1接点SW1、または、PB−PC間に接続された第2接点SW2のどちらか一方が必ずON状態になる。従って、図4(b)に示すような、第1接点SW1および第2接点SW2が両方ともON状態またはOFF状態になることは、通常のパルス出力機能付メータ5が接続された場合には、起こり得ない。実施例3に係るデータ収集装置では、その通常には起こり得ない状態(両方がON状態または両方がOFF状態)が通信手段の切り替え信号として使用される。
【0056】
具体的には、図4(b)に示すように、第1接点SW1および第2接点SW2の両方がON状態で設定モード起動手段16がONにされた場合に、通信端末側の通信手段として、第2の通信手段10が設定される。または、第1接点SW1および第2接点SW2の両方がOFF状態で設定モード起動手段16がONにされた場合に、通信端末側の通信手段として、第1の通信手段9が設定される。
【0057】
なお、第1接点SW1または第2接点SW2の何れか一方がON状態で他方がOFF状態において、設定モード起動手段16がONにされた場合は、通常のパルス計量動作が行われる。
【0058】
次に、上記のように構成される本発明の実施例3に係るデータ収集装置の動作を、図5に示すシーケンス図を参照しながら説明する。以下では、第1の通信手段9による通信を行う状態から第2の通信手段10による通信を行う状態に切り替える場合を例に挙げて説明する。
【0059】
今、通信端末2とデータ収集装置3との間で、第1の通信手段9を用いた通信が行われているものとする(ステップS10)。このステップS10の動作は、実施例1のそれと同じである。
【0060】
次に、第1の通信手段9による通信から第2の通信手段10による通信への切り替えが、次の手順で行われる。まず、パルス出力機能付メータ5の接続端子PA、PBおよびPCが切り替えモードに設定される(ステップS50)。具体的には、第1接点SW1および第2接点SW2の両方がON状態に設定される。これら第1接点SW1および第2接点SW2の設定状態は、データ収集装置3のパルス検出手段15で検出され、制御手段12に送られる(ステップS51)。
【0061】
次に、設定モード起動手段16が起動される(ステップS52)。具体的には、外部から磁石等を近づけることにより設定モード起動手段16を構成するリードスイッチがONにされる。設定モード起動手段16の起動、つまりリードスイッチのON状態は、制御手段12に送られる。
【0062】
次に、データ収集装置3の制御手段12は、第1接点SW1および第2接点SW2の両方がON状態に設定された状態で設定モード起動手段16による起動がなされたことを判断すると、切替手段11を制御して通信端末2の接続端子AA1およびAA2を第2の通信手段10に接続する(ステップS53)。
【0063】
以上の動作が完了してから一定時間(データ収集装置3でのモード設定検出時間以上)が経過した後、接続端子PA、PBおよびPCにパルス出力機能付メータ5が接続される(ステップS54)。具体的には、第1接点SW1または第2接点SW2の何れか一方がON状態になるように設定される。
【0064】
次に、設定モード起動手段16が起動される(ステップS55)。ステップS55の動作は、上述したステップS52の動作と同じである。設定モード起動手段16の起動、つまりリードスイッチのON状態は、制御手段12に送られる。
【0065】
次に、データ収集装置3の制御手段12は、第1接点SW1および第2接点SW2の何れか一方がON状態に設定され、他方がOFF状態に設定された状態で設定モード起動手段16による起動がなされたことを判断すると、パルス検出手段15を制御して通常の計量動作を開始させる(ステップS56)。これにより、通信端末2とデータ収集装置3との間で、第2の通信手段10を用いた通信が開始される(ステップS20)。ステップS20の動作は、実施例1のそれと同じである。
【0066】
上記とは逆に、第2の通信手段10による通信を行う状態から第1の通信手段9による通信を行う状態に切り替える場合も、上述した手順と同様の手順で行うことができる。
【0067】
以上説明したように、本発明の実施例3に係るデータ収集装置によれば、パルス出力機能付メータ5の接続端子PA、PBおよびPCから通信端末2との通信に使用する通信手段を切り替えることができるので、通信ネットワークの技術革新などにより、通信速度が高速化された場合にも機器の交換なしに対応が可能となる。
【実施例4】
【0068】
本発明の実施例4に係るデータ収集装置は、特許文献1に開示されている従来の通信インタフェース回路を改良し、消費電力を低減するようにしたものである。
【0069】
図6は本発明の実施例4に係るデータ収集装置3における通信インタフェース回路の1つであるメータ通信手段14の回路構成を示す図である。
【0070】
図8に示した従来の通信インタフェース回路と異なる点は、データ収集装置3の受信回路で使用されているフォトカプラPC2を、ダイオードD1と、このダイオードD1に直列に接続した高い抵抗値を有する抵抗r3に置き換えるとともに、送信回路で使用されているフォトカプラPC1のトランジスタ側に直列に高い抵抗値を有する抵抗r4を挿入した構成とした点である。
【0071】
図6において、sw3,sw4は、電源切換用スイッチで例えば半導体スイッチで構成され、このスイッチsw3,sw4は、メータ内蔵の制御部により制御される。A・INは、スイッチsw4に接続されたメータへの通信データ入力であり、メータ内蔵の制御部に入力される。r2,r3はプルアップ抵抗である。ダイオードD1と抵抗r3との接続点は、データ収集装置内蔵の制御部の入力B・INに接続される。
【0072】
通常状態(非通信)のとき、スイッチsw3はグランド側へ、また、スイッチsw4はプルアップ抵抗r2を介して電源Vddに接続される。また、データ収集装置側からメータ側へ通信起動をかける場合には、フォトカプラPC1のダイオードに電流を流すことでトランジスタがオンし、接続信号線に電流が流れる。このため、A・INのレベルが変化し、この変化をメータ起動信号として受信する。また、メータ側からデータ収集装置側へ通信起動をかける場合には、スイッチsw3を電源側へ、スイッチsw4をグランド側へ接続する。すると、電源Vddからスイッチsw3、ダイオードD1、抵抗r3へと電流が流れる。このため、ダイオードD1と抵抗r3との接続点の電圧が変化して入力B・INに入力され、この変化をデータ収集装置起動信号として受信する。
【0073】
以上の構成によれば、受信回路および送信回路を流れる電流を制限することができるので、通信インタフェース回路で消費される電流を低減することができる。その結果、例えば、ガスメータや水道メータ等が電池で駆動される場合であっても、同じ電池容量で多くの通信を行うことができるので、通信機能付メータ4との通信を高い頻度で行うことが可能になる。
【0074】
なお、図6に示した回路構成では、特許文献1の特長であるデータ収集装置とメータ間の電気的絶縁はできなくなるが、近年では図7に示すような通信端末とメータ間を無線により接続して配線レス化するケースも多く、この場合には、上述した電気的絶縁ができなくなることに伴う問題は発生しない。
【0075】
なお、上述した実施例1〜実施例4に係るデータ収集装置では、説明を簡略化するため、通信端末側の通信手段として第1の通信手段および第2の通信手段といった2種類の通信手段を搭載した例で説明したが、3種類以上の通信手段を設けるように構成することもでき、その場合には、更に利便性を向上させることができる、
また、上述した実施例1〜実施例4に係るデータ収集装置では、本発明に係るデータ収集装置を自動検針システムに適用した場合について説明したが、本発明は、このシステムに限定されるものではなく、例えば、電圧、電流、周波数、有効電力、無効電力、圧力、温度などを計測するエネルギー監視設備や、各種設備のメンテナンスのために、各種管理情報をネットワークを介して収集するデータ収集システムに広く適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、電気、ガス、水道等のメータの検針値を収集する自動検針システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例1に係るデータ収集装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係るデータ収集装置の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図3】本発明の実施例2に係るデータ収集装置の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図4】本発明の実施例3に係るデータ収集装置の動作を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例3に係るデータ収集装置の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図6】本発明の実施例4に係るデータ収集装置における通信インタフェース回路の1つであるメータ通信手段の回路構成を示す図である。
【図7】従来のデータ収集システムの一例を示す図である。
【図8】従来のデータ収集システムで使用される通信インタフェース回路の一例を示す図である。
【図9】従来のデータ収集システムの他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1 センタ装置
2 通信端末
3 データ収集装置
4 通信機能付メータ
5 パルス出力機能付メータ
6 親機
7 子機
8 計測装置
9 第1の通信手段
10 第2の通信手段
11 切替手段
12 制御手段
13 データ蓄積手段
14 メータ通信手段
15 パルス検出手段
16 設定モード起動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能付メータからデータを収集して通信端末に送るデータ収集装置であって、
前記通信端末との間の通信を制御する第1の通信手段と、
前記第1の通信手段とは異なる通信方式で前記通信端末との間の通信を制御する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段および第2の通信手段の何れを前記通信端末に接続するかを切り替える切替手段と、
前記通信機能付メータに接続されて該通信機能付メータとの間の通信を制御するメータ通信手段と、
前記通信機能付メータに代えて前記メータ通信手段に接続される設定器と、
前記設定器からの指示に応答して前記切替手段の切り替えを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするデータ収集装置。
【請求項2】
前記設定器は、前記通信端末に代えて前記切替手段に接続され、
前記制御手段は、前記設定器からの指示に応答して前記切替手段の切り替えを制御することを特徴とする請求項1記載のデータ収集装置。
【請求項3】
パルス出力機能付メータからパルスを計量してそのデータを通信端末に送るデータ収集装置であって、
前記通信端末との間の通信を制御する第1の通信手段と、
前記第1の通信手段とは異なる通信方式で前記通信端末との間の通信を制御する第2の通信手段と、
前記第1の通信手段および第2の通信手段の何れを前記通信端末に接続するかを切り替える切替手段と、
前記パルス出力機能付メータに接続されて該パルス出力機能付メータからのパルスを検出するパルス検出手段と、
前記第1の通信手段と第2の通信手段との切替動作を起動するための設定モード起動手段と、
前記パルス出力機能付メータからの信号に代えて前記パルス検出手段に所定の信号が入力され、且つ前記設定モード起動手段によって切替動作が起動された場合に、前記所定の信号に応じて前記切替手段の切り替えを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするデータ収集装置。
【請求項4】
前記メータ通信手段は、
ダイオードと、該ダイオードに直列に接続された高い抵抗値を有する抵抗とから成る受信回路と、
フォトカプラと、該フォトカプラのトランジスタ側に直列に接続された高い抵抗値を有する抵抗とから成る送信回路と、
を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のデータ収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−50206(P2006−50206A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227808(P2004−227808)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】