説明

データ取得装置

【課題】一つの装置により、種々の計測機器における計測表示部から数値データを取得し得るデータ取得装置を提供する。
【解決手段】計測機器の計測表示部を撮影するとともに当該撮影画像から数値データを取得する携帯式のデータ取得装置であって、計測機器の計測表示部を撮影する撮影手段1と、計測機器側に設けられた識別データ発信手段5からの識別データを入力して当該計測機器の種類を識別する計測機器識別部11と、計測機器の種類に応じた画像処理方法を格納した画像処理方法格納部12と、撮影手段1で撮影された撮影画像および計測機器識別部11にて識別された識別データに基づき画像処理方法格納部12から当該計測機器の種類に応じた画像処理方法を入力するとともに当該画像処理方法を適用して、その撮影画像から数値データを認識する数値データ認識部13とを具備したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測機器における計測表示部をカメラ装置で撮影するとともに当該撮影画像から数値データを自動的に取得し得るデータ取得装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、プラント設備などのように広い敷地内に各種装置が設置されている場合、オンライン接続されていない装置の計測機器を作業員の巡回によって監視、点検などが行われているが、オンライン接続されていないために、計測機器の表示部に表示された数値を作業員が用紙に書きとめ、巡回終了後に、これら用紙がファイリングされている。そして、この用紙に記載されたデータは、特に電子化されておらず、したがって統計処理等に利用されないため、電子化が望まれている。
【0003】
このような要望に沿うものとして、例えば液中の浮き子の位置を示すロタメータを備えた計測機器における計測表示部をカメラ装置で撮影し、この撮影画像に画像処理を施すことにより、ロタメータにおける浮き子の位置、すなわち計測表示部での数値を自動的に取得する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平07−198331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された技術は、ロタメータという特定の計測機器に適用し得るものであるが、通常、プラント設備においては、種々の計測機器が配置されている。したがって、プラント設備などのように計測機器の種類が多い場合に対処しようとすると、或る計測機器に対しては、やはりデータの自動取得をあきらめるか、または多くの種類の計測機器に対処しようとすると、データの取得装置を計測機器の種類の数だけ必要とすることになる。このため、自動取得したい計測機器の種類に応じて、作業員が、複数のデータの取得装置を携帯する必要があり、その監視・点検などの保守点検作業に負担を強いるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、一つの装置により、多くの種類の計測機器から自動的に数値データを取得し得るデータ取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係るデータ取得装置は、計測機器の計測表示部を撮影するとともに当該撮影画像から数値データを取得する携帯式のデータ取得装置であって、
計測機器の計測表示部を撮影する撮影手段と、
計測機器側に設けられた識別データ発信手段からの識別データを入力して当該計測機器の種類を識別する計測機器識別部と、
計測機器の種類に応じた画像処理方法を格納した画像処理方法格納部と、
上記撮影手段で撮影された撮影画像および上記計測機器識別部にて識別された識別データに基づき上記画像処理方法格納部から当該計測機器の種類に応じた画像処理方法を入力するとともに、当該画像処理方法を適用して撮影画像から数値データを認識する数値データ認識部とを具備したものである。
【0007】
また、請求項2に係るデータ取得装置は、計測機器の計測表示部を撮影するとともに当該撮影画像から数値データを取得する携帯式のデータ取得装置であって、
計測機器の計測表示部を撮影する撮影手段と、
計測機器の種類に応じた画像処理方法を格納した画像処理方法格納部と、
上記撮影手段で撮影された撮影画像に含まれた計測機器の種類を示す識別データを取り出す計測機器識別部と、
この計測機器識別部で得られた識別データに基づき上記画像処理方法格納部から当該計測機器の種類に応じた画像処理方法を入力するとともに、当該画像処理方法を適用して撮影画像から数値データを認識する数値データ認識部とを具備したものである。
【0008】
また、請求項3に係るデータ取得装置は、請求項1または2に記載の取得装置における撮影手段側に、数値データ認識部で認識された数値データを入力して表示する表示手段を設け、
且つこの表示手段に表示された数値データに対して修正用データを入力し得るデータ入力手段を具備したものである。
【0009】
また、請求項4に係るデータ取得装置は、請求項1または2に記載の取得装置における撮影手段および表示手段をヘッド・マウント式の頭部装着具に設けるとともに、
計測機器識別部、画像処理方法格納部および数値データ認識部を人間の胴部に装着し得る胴部装着具に設けたものである。
【0010】
また、請求項5に係るデータ取得装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の取得装置における撮影手段および表示手段を作業者の装着具に設けて端末部を構成するとともに、
計測機器識別部、画像処理方法格納部および数値データ認識部を別置きの筐体に設けて装置本体部を構成し、
さらに上記端末部および装置本体部に、撮影画像および数値データの受け渡しを行い得る端末側通信手段および本体側通信手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
上記各データ取得装置の構成によると、一つのデータ取得装置に、種々の計測機器の計測表示部に応じた、すなわち計測表示部に最適な画像処理方法を具備させ、そして計測機器側からの識別データによりその種類を特定し最適な画像処理方法を用いて撮影画像から数値データを取得するようにしたので、一つのデータ取得装置により、種々の計測機器の計測表示部に表示された数値データを取得することができる。すなわち、従来の1種類の計測機器にしか対応できないものに比べると、数値データを取得し得る計測機器の種類を増やすことなく、つまり、データ取得装置を複数種類携帯する必要もなく、したがって作業者による監視・点検などの保守点検作業を非常に容易に行うことができる。
【0012】
また、データ取得装置を、撮影手段および表示手段からなる端末部と、計測機器識別部、画像処理方法格納部および数値データ認識部からなる別置き形式の装置本体部とから構成したので、例えば保守点検作業時に、作業者は、少なくとも撮影手段および表示手段を有する端末部を携帯するだけでよく、したがって保守点検作業を非常に容易に行うことができる。さらに、処理機能の拡張を行う場合、回路基板などの大型化および冷却能力の増大化を必要とするが、これらに伴う機器重量の増加は別置き形式の装置本体部に付随するものであるため、作業者が携帯する端末部には影響がなく、したがって作業者に余計な負荷が発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1に係るデータ取得装置を図面に基づき説明する。
このデータ取得装置は、例えばプラント設備における監視・点検などの保守点検作業時に、計測機器にて計測されたデータを、その計測機機器の種類に応じた、つまり計測表示部(例えば、デジタル表示器、フロートによる水位表示器、フロートによる水量表示器、針による目盛板など)に応じた(適切な)画像処理を施し、その計測表示部に表示された計測表示状態(以下、計測データという)を数値データとして認識するとともに、この認識された数値データを、管理施設に設けられたサーバなどに蓄えるためのものであり、計測機器側にて、当該計測機器の種類を識別するための識別データを発信し得るようにされている。
【0014】
すなわち、このデータ取得装置は作業員が携帯し得るもので(携帯式である)、図1に示すように、大きく分けて、作業者の頭部に装着し得る頭部装着具(例えば、装着用バンドなどである)に設けられる(保持される)ヘッド・マウント式の撮影手段(例えば、CCDカメラなどが用いられ、以下、カメラ装置という)1と、作業者の胴部に装着し得る胴部装着具に設けられて(保持されて)上記カメラ装置1からの撮影画像を入力するとともに計測機器側に設けられた識別データ発信手段5からの識別データに基づき適正な画像処理方法を選択することにより計測データを数値データとして認識(取得)し得るデータ処理手段2と、上記撮影手段1と同様に頭部装着具に設けられてデータ処理手段2により認識された数値データを表示し得る表示手段(例えば、液晶などの表示画面である)3と、同じく、作業者が携帯して数値データを必要に応じて、例えば修正するために数値データを入力し得るデータ入力手段4とから構成されている。なお、このデータ入力手段4は、通常は、腕などのリスト装着具に設けられるが、例えば頭部装着具または胴部装着具に設けることもできる。
【0015】
上記識別データ発信手段5は、計測対象である計測機器の種類を特定し得る識別データを無線(または、赤外線なども含む)にて発信し得るものであり、またICタグなどを用いることもできる。
【0016】
この識別データは、上述したように、計測機器の種類を特定することにより、計測表示部がどのようになっているかを知ることができるもので、例えばデジタル表示器であるか、液面計または液量計か、目盛板かなどを知ることができる。
【0017】
上記データ処理装置2は、識別データ発信手段5から発信された識別データを入力して当該計測機器の種類を特定する、すなわち識別する計測機器識別部11と、少なくともプラント設備において計測対象となる計測機器の種類に応じた複数の画像処理方法が格納された画像処理方法格納部12と、上記計測機器識別部11にて得られた計測機器の種類を示す識別データおよびカメラ装置1にて撮影された撮影画像を読み込む(入力する)とともにその識別データに応じたすなわち当該計測機器の種類に応じた最適(または適正)な画像処理方法を画像処理方法格納部12から読み込み当該画像処理方法を撮影画像に適用することにより、撮影画像中の計測表示部から計測データを抽出し数値データとして認識(取得)するための数値データ認識部13と、この数値データ認識部13で認識された数値データを一時的に格納するデータ格納部(データ記憶部でもある)14と、このデータ格納部14に格納されたデータを当該プラントの管理室に例えば無線にて送信するデータ通信部(データ無線送信部ともいえる)15とから構成されている。なお、少なくとも数値データ認識部13などについては、プログラムにより実行されるものであり、その意味で機能部とも呼ぶことができ、場合によっては、その機能を発揮し得る回路部として構成することもできる。
【0018】
そして、上記数値データ認識部13には、計測機器識別部11からの識別データを入力して当該識別データに対応する画像処理方法を画像処理方法格納部12から読み込む画像処理方法読込部21と、上記撮影手段11にて撮影された撮影画像を読み込むとともに画像処理方法読込部12にて読み込まれた画像処理方法に基づき画像処理を行いその計測データから数値としてのデータを抽出する数値データ抽出部(勿論、2値化処理、エッジ処理、ラベリング処理などの画像処理機能を有するもので、画像処理部ということもできる)22と、この数値データ抽出部22で抽出(認識)された数値データを上記表示手段3に出力するとともに当該数値データが誤っている場合にデータ入力手段4にて入力されたデータを数値データとして決定し得るデータ決定部(データ修正部ともいえる)23とが具備されている。なお、このデータ決定部23で正しいと決定された場合には、当該数値データにその日時データ(つまり、タイマなどから得られる作業日時データである)および計測機器を特定する識別データが付加されて、データ格納部14に格納される。
【0019】
以下、上記データ取得装置によるデータの取得方法について簡単に説明する。
例えば、作業者がこのデータ取得装置を携帯して監視・点検などの保守点検作業を行う場合、まず、作業者が所定の計測場所に行き、カメラ装置1にて計測機器の計測表示部を撮影する。このとき、識別データ発信手段5からの識別データが計測機器識別部11に入力され計測機器の種類が特定されて識別データが得られる。そして、この計測機器の種類を示す識別データが画像処理方法読込部21に入力され、この計測機器に対応する計測表示部に最適な画像処理方法が画像処理方法格納部12から読み込まれる。
【0020】
この画像処理方法読込部21にて読み込まれた最適な画像処理方法が数値データ抽出部22に入力され、ここで、入力された撮影画像に当該画像処理方法が施され、計測データが数値データとして抽出される。
【0021】
この抽出された数値データはデータ決定部23に送られ、ここから、作業者の頭部装着具に設けられた表示手段3に送られてその数値が表示される。
そして、作業者が、表示手段3に表示された数値と、計測表示部を目視して得られた数値と一致しているか否かを判断し、正しい場合には、例えば確認ボタンを押し、間違っている場合には、例えば修正ボタンを押して数値入力キーより正しい数値データを入力すればよい。
【0022】
データ決定部23では、確認信号が入力された場合には、数値データ抽出部22で抽出された数値データが正しいデータとして決定され、また修正信号が入力された場合には、データ入力手段4から入力された数値データが正しいデータとして決定される。
【0023】
このデータ決定部23で決定された数値データが、日時データおよび識別データと一緒に、データ格納部14に送られるとともにデータ通信部15を介して管理室に送られる。
上記データ取得装置の構成によると、一台のデータ取得装置に、種々の計測機器の計測表示部に応じた、すなわち計測表示部に最適な画像処理方法を具備させ、そして計測機器側からの識別データによりその種類を特定し最適な画像処理方法を用いて撮影画像から数値データを抽出するようにしたので、一台のデータ取得装置にて、種々の計測機器の計測表示部に表示された数値データを取得することができる。すなわち、従来の1種類の計測機器にしか対応できないようなものを計測機器の種類に応じて増やすことなく、つまり、データ取得装置を複数種類携帯する必要もないので、監視・点検などの保守点検作業を行う際に、作業者に負担を強いることなく容易に行うことができる。
【0024】
また、データ入力手段にて、抽出(認識)された数値データを修正し得るようにしたので、抽出されたデータが誤っている場合でも、作業者自らが計測表示部を見て手作業にて正しい数値を入力して修正を行うことができ、したがって数値データの自動取得作業の信頼性を高めることができる。また、誤りがない場合には、その数値を認める確認ボタンなどを押す作業だけでよいため、増える作業の負担は小さい。
【0025】
ところで、上記実施の形態1においては、カメラ装置および表示手段を頭部装着具に設けるようにしたが、例えば手で保持し得る可搬式にしてもよい。
また、上記実施の形態1においては、画像処理方法読込部を数値データ抽出部とは別個のものとして説明したが、画像処理方法読込部を数値データ抽出部の機能に含めることもできる。
【0026】
また、上記実施の形態1においては、カメラ装置による撮影画像の「明るさ」については説明しなかったが、画像処理時に考慮されているが、例えばカメラ装置にて「明るさ」が考慮されていない場合には、例えばカメラ装置1に明るさ計つまり明度計を設けておき、画像処理方法を選択する際に、この「明るさ」の値を考慮して最適な画像処理方法を選択するようにしてもよく、また画像処理時に「明るさ」を考慮することもできる。
【0027】
さらに、上記実施の形態1においては、データ格納部に格納された数値データを、データ通信部を介して管理室側に送信するように説明したが、例えばデータ通信部の替わりに、磁気、光などを用いた記録媒体に数値データを記録し得るデータ出力部を設けるようにしてもよい。これらの記録媒体を介して、例えば管理室側に配置されたサーバなどに移すことができる。
【0028】
なお、上述した各変形例の内容については、以下に示す実施の形態にも当てはまるものである。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係るデータ取得装置を、図2に基づき説明する。
【0029】
上記実施の形態1においては、計測機器の種類を特定するための識別データを、計測機器側に設けられた識別データ発信手段から発信させるように説明したが、本実施の形態2においては、計測機器の計測表示部またはその近傍に識別データとなる目印を配置しておき、この目印を計測表示部と一緒に撮影し、この撮影画像の中から、識別データを例えば画像処理などにより抽出して当該計測機器の種類を特定するようにしたものである。
【0030】
以下、本実施の形態2に係るデータ取得装置を図2に基づき説明するが、実施の形態1と異なる部分は、計測機器の種類を特定する部分であるため、この部分に着目して説明するとともに、その他の部分については、実施の形態1と同じ部品番号を用いてその説明を省略する。
【0031】
このデータ取得装置における数値データ認識部13′には、カメラ装置1にて撮影された撮影画像を入力して目印(例えば、計測表示部の周囲の所定位置に貼り付けられてコントラストがはっきりした数値またはコードが記載されたシールなどが用いられる)を検出することにより、識別データを抽出するための計測機器識別部11′が具備されており、この計測機器識別部11′にて抽出された識別データを入力するとともに当該識別データに応じた画像処理方法が画像処理方法格納部12から画像処理方法読込部21に読み込まれ、そして数値データ抽出部22において、カメラ装置1から入力された撮影画像に上記読み込まれた画像処理方法が適用されて数値データが抽出される。なお、計測機器識別部11′にて得られた識別データを数値データ抽出部22に入力するとともに、当該数値データ抽出部22により、識別データを画像処理方法読込部21に送り、最適な画像処理方法を取り込むようにしてもよい。
【0032】
このように構成することにより、実施の形態1で得られる効果に加えて、実施の形態1で必要とされた識別データ発信手段を不要にすることができる。
なお、上述した構成以外に、例えば計測機器側に所定周期で赤外線を発信する発信器を設けておき、この赤外線をカメラ装置で撮影するとともに、所定時間続けて撮影された撮影画像の中から赤外線の発信周期を検出することにより、計測機器の種類を特定することもできる。この場合、赤外線の発信周期を識別データとして検出し得る識別データ検出部が、数値データ認識部に具備される。
【0033】
ところで、上記各実施の形態においては、本発明に係るデータ取得装置一式を作業者が携帯し得る携帯式として説明したが、装置本体部であるデータ処理手段側を作業者から切り離し、この切り離された装置本体部(例えば、筐体内に各構成部材が配置されて構成されたもの)を、例えばデータの無線中継箇所に配置するようにしてもよい(この意味で、データ取得システムと呼ぶこともできる)。
【0034】
以下、この構成を上述した各実施の形態に適用した場合について簡単に説明しておく。
(1)実施の形態1に適用した場合を図3に示す。
この場合におけるデータ取得装置は、撮影手段(カメラ装置)1および表示手段3がヘッド・マウント式の頭部装着具(端末側装着具ともいえる)に設けられてなる端末部と、計測機器識別部11、画像処理方法格納部12、数値データ認識部13、データ格納部14およびデータ通信部15からなる別置き形式の装置本体部とから構成されるとともに、この装置本体部がデータの無線中継箇所に配置され、さらに上記端末部(端末側装着具)側に、撮影画像および数値データの受け渡しを行い得る端末側データ入出手段31および端末側通信手段32が設けられるとともに、装置本体部側に、本体側通信手段33および本体側データ入出手段34が設けられたものである。
(2)実施の形態2に適用した場合を図4に示す。
【0035】
この場合におけるデータ取得装置は、撮影手段(カメラ装置)1および表示手段3をヘッド・マウント式の端末側装着具(端末側装着具ともいえる)に設けられてなる端末部と、画像処理方法格納部12、数値データ認識部13、データ格納部14およびデータ通信部15とからなる別置き形式の装置本体部とから構成されるとともに、この装置本体部がデータの無線中継箇所に配置され、さらに上記端末部(端末側装着具)側に、撮影画像および数値データの受け渡しを行い得る端末側データ入出手段41および端末側通信手段42が設けられるとともに、装置本体部側に、本体側通信手段43および本体側データ入出手段44が設けられたものである。
【0036】
したがって、これらの構成によると、カメラ装置1による撮影画像は、端末側データ入出手段31,41および端末側通信手段32,42並びに本体側通信手段33,43および本体側データ入出手段34,44を介して、データ処理手段2に入力され、ここで、上述した各実施の形態と同様に、計測データが数値データとして認識される。そして、この数値データはデータ通信部15を介して管理室に送信されて、例えば電子ファイルに保存される。
【0037】
このように、1台のデータ取得装置を、撮影手段および表示手段からなる端末部と、計測機器識別部、画像処理方法格納部および数値データ認識部からなる別置き形式の装置本体部とから構成したので、例えば監視・点検などの保守点検作業時に、作業者は、少なくとも撮影手段および表示手段を有する端末部を携帯するだけでよく、したがって保守点検作業を非常に容易に行うことができる。さらに、処理機能の拡張を行う場合、回路基板などの大型化および冷却能力の増大化を必要とするが、これらに伴う機器重量の増加は別置き形式の装置本体部に付随するものであるため、作業者が携帯する端末部には影響がなく、したがって作業者に余計な負荷が発生することがない。
【0038】
なお、上述したように、一台のデータ取得装置を端末側(端末部)と装置本体側(装置本体部)とに分離したが、例えば複数の端末部に対して一つの装置本体部を対応させるようにしてもよい。この場合、勿論、端末側から送信されるデータの区別がつくように考慮される。例えば、端末部毎に、データの送信周波数を異ならせるとか、または識別コードを付与してデータが送信される。
【0039】
このように、複数の端末側に対し、装置本体側を1つの機器で兼用することにより、装置のコストの低減化を図ることができる。
さらに、装置本体部を中継箇所に配置する替わりに、直接、管理室に配置してもよく(この方が普通である)、この場合には、装置本体部のデータ処理手段に設けられたデータ通信部の替わりに、データ表示部またはデータ取出部が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1に係るデータ取得装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係るデータ取得装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】同実施の形態1に係るデータ取得装置の変形例に係る概略構成を示すブロック図である。
【図4】同実施の形態2に係るデータ取得装置の変形例に係る概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
1 撮影手段(カメラ装置)
2 データ処理手段
3 表示手段
4 データ入力手段
5 識別データ発信手段
11 計測機器識別部
11′ 計測機器識別部
12 画像処理方法格納部
13 数値データ認識部
13′ 数値データ認識部
14 データ格納部
15 データ通信部
21 画像処理方法読込部
22 数値データ抽出部
23 データ決定部
31 端末側データ入出手段
32 端末側通信手段
33 本体側通信手段
34 本体側データ入出手段
41 端末側データ入出手段
42 端末側通信手段
43 本体側通信手段
44 本体側データ入出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測機器の計測表示部を撮影するとともに当該撮影画像から数値データを取得する携帯式のデータ取得装置であって、
計測機器の計測表示部を撮影する撮影手段と、
計測機器側に設けられた識別データ発信手段からの識別データを入力して当該計測機器の種類を識別する計測機器識別部と、
計測機器の種類に応じた画像処理方法を格納した画像処理方法格納部と、
上記撮影手段で撮影された撮影画像および上記計測機器識別部にて識別された識別データに基づき上記画像処理方法格納部から当該計測機器の種類に応じた画像処理方法を入力するとともに、当該画像処理方法を適用して撮影画像から数値データを認識する数値データ認識部と
を具備したことを特徴とするデータ取得装置。
【請求項2】
計測機器の計測表示部を撮影するとともに当該撮影画像から数値データを取得する携帯式のデータ取得装置であって、
計測機器の計測表示部を撮影する撮影手段と、
計測機器の種類に応じた画像処理方法を格納した画像処理方法格納部と、
上記撮影手段で撮影された撮影画像に含まれた計測機器の種類を示す識別データを取り出す計測機器識別部と、
この計測機器識別部で得られた識別データに基づき上記画像処理方法格納部から当該計測機器の種類に応じた画像処理方法を入力するとともに、当該画像処理方法を適用して撮影画像から数値データを認識する数値データ認識部と
を具備したことを特徴とするデータ取得装置。
【請求項3】
撮影手段側に数値データ認識部で認識された数値データを入力して表示する表示手段を設け、
且つこの表示手段に表示された数値データに対して修正用データを入力し得るデータ入力手段を具備したことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ取得装置。
【請求項4】
撮影手段および表示手段をヘッド・マウント式の頭部装着具に設けるとともに、
計測機器識別部、画像処理方法格納部および数値データ認識部を人間の胴部に装着し得る胴部装着具に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ取得装置。
【請求項5】
撮影手段および表示手段を作業者の装着具に設けて端末部を構成するとともに、
計測機器識別部、画像処理方法格納部および数値データ認識部を別置きの筐体に設けて装置本体部を構成し、
さらに上記端末部および装置本体部に、撮影画像および数値データの受け渡しを行い得る端末側通信手段および本体側通信手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデータ取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−41955(P2009−41955A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204826(P2007−204826)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】