説明

データ変換器、通信システム及び通信方法

【課題】悪影響の併発を排除しつつ呼の状態の維持を図ることができるデータ変換器、通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】同期通信装置10との間でデータを送受信する同期通信装置接続手段と、非同期通信網14との間でパケットを送受信する非同期通信網接続手段と、非同期通信網接続手段が非同期通信網14から受信したパケットに含まれる通信状態信号の変化を予め設定された保護時間内は保持し、保護時間を超過する通信状態信号の変化を出力する状態保持手段と、同期通信装置10による同期通信の信号シーケンスを、状態保持手段から受信した通信状態信号の変化及び同期通信装置10から受信した信号に基づいて調停し、信号シーケンスに応じた通信状態信号を非同期通信網接続手段が送信するパケットに含ませるシーケンス調停手段とを有するデータ変換器12により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ変換器、通信システム及び通信方法に係り、特に同期通信装置と非同期通信網との間に設けられるデータ変換器、同期通信装置と非同期通信網との間にデータ変換器を設けた通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に光ファイバで同期通信網を構築し、多重伝送装置等でレガシーデータ通信(例えば音声、ITU−T V.24、X.21など)を行っている通信システムでは、同期通信網から非同期通信網(IPネットワーク)への変更が望まれている。
【0003】
光ファイバによる通信インフラを、特定の、しかも高額な同期通信装置しか接続できない同期通信網として使用するよりも、IPネットワークとして使用する方が、接続できる機器が飛躍的に増大し、機器のコストも下がるため、光ファイバによる通信インフラはIPネットワークとして使用することが近年の主流となっている。
【0004】
光ファイバによる通信インフラを利用して新規に通信ネットワークを構築する場合は、最初からIPネットワークを導入することが可能であるが、既に大量の設備投資を行って同期通信端末を接続して同期通信網を構築済みである場合、同期通信網をIPネットワークに変更することは、既存の同期通信端末等が全て使用不可能となるため、非常に大規模なリプレース作業が伴うことになり、現実的ではない。
【0005】
このため、同期通信網をIPネットワークに変更する為には、レガシーデータ通信を行う為のレガシーインタフェースをIPネットワークに接続できるようにする為のIP変換器を用いることが考えられている。これにより、既設の同期通信端末をそのまま活用すること出来る。IP変換器はバースト性を持っているIPネットワーク上のパケット通信方式を対象としているため、IPネットワークにおける瞬断に対処する仕組みを必要としていた(例えば特許文献1参照)。
【0006】
なお、瞬断とはIPネットワークの擾乱(経路切替)にて発生した一定時間のパケット損失をいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−113751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、IPネットワーク上の瞬断に対して電話網を構築するための交換機、及び電話機との間で確立する呼信号(以降、呼と呼ぶ)の状態を維持する仕組みとして、受信信号の極性固定制御を行うものがあった。この仕組みは、瞬断を検出した場合、受信信号の値をON側またはOFF側に強制的に固定する制御であり、呼の状態の維持を優先する場合、ON側に固定することにより通話状態を確保するものである。
【0009】
しかしながら、受信信号の値をON側に固定する制御は、無通話状態において瞬断が発生した場合、交換機に対して擬似発呼となり、また電話機に対して擬似鳴動が一斉に発生するなど顕著な悪影響が存在していた。また、交換機に対する擬似発呼は、課金にかかわる重大な問題につながる可能性もあった。つまり、IPネットワーク上の瞬断に対して呼の状態を維持する従来の仕組みは、悪影響の併発が問題であった。
【0010】
本発明の一実施形態は、上記の点に鑑みなされたもので、悪影響の併発を排除しつつ呼の状態の維持を図ることができるデータ変換器、通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態のデータ変換器は、同期通信装置との間でデータを送受信する同期通信装置接続手段と、非同期通信網との間でパケットを送受信する非同期通信網接続手段と、前記非同期通信網接続手段が前記非同期通信網から受信したパケットに含まれる通信状態信号の変化を予め設定された保護時間内は保持し、前記保護時間を超過する前記通信状態信号の変化を出力する状態保持手段と、前記同期通信装置による同期通信の信号シーケンスを、前記状態保持手段から受信した前記通信状態信号の変化及び前記同期通信装置から受信した信号に基づいて調停し、前記信号シーケンスに応じた通信状態信号を前記非同期通信網接続手段が送信するパケットに含ませるシーケンス調停手段とを有する。
【0012】
なお、本発明の一実施形態の構成要素、表現又は構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
上述の如く、本発明の一実施形態によれば、悪影響の併発を排除しつつ呼の状態の維持を図ることができるデータ変換器、通信システム及び通信方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】IP変換器の使用例を表したシステム構成図である。
【図2】交換機接続インタフェースにおける2状態の状態遷移図である。
【図3】電話機接続インタフェースにおける4状態の状態遷移図である。
【図4】電話機接続インタフェース及び交換機接続インタフェースにおける発呼動作及び着呼動作時の状態遷移の連携を説明する為の説明図である。
【図5】交換機接続インタフェースにおける信号シーケンス制御を表したタイミング図である。
【図6】電話機接続インタフェースにおける信号シーケンス制御を表したタイミング図である。
【図7】IP変換器の一例のブロック構成図である。
【図8】状態保持部の動作を説明する為のタイミング図である。
【図9】IPパケットによるSRのON,OFF変化の通知について説明する為の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。
【0016】
図1は、IP変換器の使用例を表したシステム構成図である。図1のシステム1は交換機(PBX)10と電話機11との間の内線延長回線を構築するものである。システム1は同期通信網で運用しているレガシー機器である交換機10及び電話機11と、非同期通信網であるIPネットワークとの間にIP変換器12,13を挿入している。
【0017】
システム1ではレガシー機器から見れば、あたかも同期通信網で接続されたように高品質の同期通信が可能となる。具体的に、システム1ではクロックマスタ側のクロックにクロックスレーブ側のクロックを同期させている。このように、システム1では同期通信網をIPネットワークに変更した際においても、既設の同期通信装置がそのまま使用できるため、既設の光ファイバによる通信インフラを同期通信網からIPネットワークに変更する際の障害が無くなり、様々なメリットが生まれる。
【0018】
システム1は交換機10と電話機11との間の内線を延長する為のIPネットワーク14のエッジ部分にIP変換器12,13が位置している。交換機10側のIP変換器12は交換機接続インタフェースを実装している。電話機11側のIP変換器13は電話機接続インタフェースを実装している。
【0019】
IP変換器12の交換機接続インタフェースは着呼待機、発呼・通話の2状態の状態遷移を有する。IP変換器13の電話機接続インタフェースはアイドル、着呼、発呼、通話の4状態の状態遷移を有する。
【0020】
図2は交換機接続インタフェースにおける2状態の状態遷移図である。交換機接続インタフェースは着呼待機状態ST0、発呼・通話状態ST1の2状態を有する。着呼待機状態ST0でSR(受信シグナリング)がOFFからONへ変化すると、交換機接続インタフェースは発呼・通話状態ST1に遷移する。発呼・通話状態ST1でSRがONからOFFに変化すると、交換機接続インタフェースは着呼待機状態ST0に遷移する。
【0021】
図3は電話機接続インタフェースにおける4状態の状態遷移図である。電話機接続インタフェースはアイドル状態ST00、着呼状態ST01、発呼状態ST10、通話状態ST11の4状態を有する。
【0022】
電話機接続インタフェースはアイドル状態ST00のときSRがOFFである。アイドル状態ST00において電話機接続インタフェースはオフフック検出信号入力時にアイドル状態ST00から発呼状態ST10に遷移する。
【0023】
電話機接続インタフェースは発呼状態ST10から通話状態ST11に遷移する際の応答信号(極性反転)入力時にSRがOFFからONへ変化する。通話状態ST11において電話機接続インタフェースは終話におけるオンフック検出信号入力時にSRがONからOFFへ変化し、通話状態ST11からアイドル状態ST00に遷移する。なお、発呼状態ST10において電話機接続インタフェースはオンフック検出信号入力時に発呼状態ST10からアイドル状態ST00に遷移する。
【0024】
また、電話機接続インタフェースは着呼の際の呼出信号(IR)入力時にSRがOFFからONへ変化し、アイドル状態ST00から着呼状態ST01に遷移する。着呼状態ST01において電話機接続インタフェースはオフフック検出信号入力時にSRがONからOFFへ変化し、着呼状態ST01から通話状態ST11に遷移する。なお、着呼状態ST01において電話機接続インタフェースはSRがONからOFFへ変化すると、着呼状態ST01からアイドル状態ST00に遷移する。
【0025】
図2に示した交換機接続インタフェースにおける状態遷移と図3に示した電話機接続インタフェースにおける状態遷移とは図4に示すように連携する。図4は電話機接続インタフェース及び交換機接続インタフェースにおける発呼動作及び着呼動作時の状態遷移の連携を説明する為の説明図である。なお、図4ではSS(送信シグナリング)及びSRのON及びOFFを、それぞれ点灯及び消灯で表している。点滅はON及びOFFの繰り返しを表している。
【0026】
図5は交換機接続インタフェースにおける信号シーケンス制御を表したタイミング図である。図4(A)は着呼の際の信号シーケンス制御を表す。図4(B)は発呼の際の信号シーケンス制御を表す。交換機接続インタフェースにおける信号シーケンス制御では着呼待機状態ST0でSRがOFF、発呼・通話状態ST1でSRがONとなる。
【0027】
図6は電話機接続インタフェースにおける信号シーケンス制御を表したタイミング図である。図6(A)は着呼の際の信号シーケンス制御を表す。図6(B)は発呼の際の信号シーケンス制御を表す。
【0028】
電話機接続インタフェースにおける信号シーケンス制御では、アイドル状態ST00から着呼状態ST01に遷移する際、SRがOFFからONへ変化し、着呼状態ST01から通話状態ST11に遷移する際、SRがONからOFFに変化している。なお、着呼放棄により着呼状態ST01からアイドル状態ST00に遷移する際、SRはONからOFFに変化している。
【0029】
また、電話機接続インタフェースにおける信号シーケンス制御では、発呼状態ST10から通話状態ST11に遷移する際、SRがOFFからONへ変化する。通話状態ST11からアイドル状態ST00に遷移する際、SRがONからOFFへ変化する。
【0030】
図1のシステム1では、IP変換器12,13がIPネットワーク14を介してSSの送信及びSRの受信を行っている。IPネットワーク14では、瞬断によりSS,SRのON,OFF変化が発生し、意図しない状態遷移を生じさせる場合がある。そこで、IP変換器12,13に以下のような瞬断に対処する仕組みを有している。
【0031】
図7はIP変換器の一例のブロック構成図である。図7に示すように、IP変換器12及び13は同様な構成を有している。ここでは、IP変換器12を例に説明する。IP変換器12は、A/D変換部21,信号検出/挿入部22,シーケンス調停部23,IPパケット変換/逆変換部24,瞬断検出部25,状態保持部26,保護時間設定部27を有する。
【0032】
A/D変換部21,信号検出/挿入部22は交換機10との間でアナログ音声信号を送受信する。A/D変換部21はアナログ音声信号をA/D変換してディジタル符号化音声信号をIPパケット変換/逆変換部24に送信する。A/D変換部21はIPパケット変換/逆変換部24から受信したディジタル符号化音声信号をD/A変換してアナログ音声信号を交換機10に送信する。
【0033】
信号検出/挿入部22はアナログ音声信号からループ,ダイヤルパルス,リンガー(呼出信号)等を検出する信号検出を行ってシーケンス調停部23に通知する。また、信号検出/挿入部22はシーケンス調停部23からの指示によりループ生成,リンガー起動などの信号挿入を行い、交換機10に通知する。
【0034】
シーケンス調停部23はSS及びSRと、信号検出/挿入部22から通知された内容とに基づき、着呼待機、発呼・通話の2状態の状態遷移を管理する。シーケンス調停部23はSSをIPパケット変換/逆変換部24に通知する。
【0035】
IPパケット変換/逆変換部24はA/D変換部21から受信したディジタル符号化音声信号,シーケンス調停部23から通知されたSSをIPパケットに変換(IPパケット化)してIPネットワーク14に送信する。また、IPパケット変換/逆変換部24はIPネットワーク14から受信したIPパケットをディジタル符号化音声信号,SRに逆変換(デパケット化)する。IPパケット変換/逆変換部24は逆変換したディジタル符号化音声信号をA/D変換部21に送信し、逆変換したSRを瞬断検出部25及び状態保持部26に通知する。
【0036】
瞬断検出部25はIPパケット変換/逆変換部24から通知されたSRのON,OFF変化を検出して状態保持部26に通知する。瞬断検出部25からの通知は状態保持部26における後述の保護開始のトリガとなる。
【0037】
状態保持部26は、SRのON,OFFが変化しても保護時間設定部27に設定された保護時間を超過するまで、SRのON,OFFを変化させずに変化前のSRのON,OFFを保持する。状態保持部26は、瞬断検出部25からの通知があると、保護時間の超過を検出するための計時を開始する。なお、状態保持部26は計時中に瞬断検出部25から新たな通知があると、計時を最初からやり直す。
【0038】
保持時間設定部27は例えばユーザ操作により保護時間が設定される。保護時間は例えば10ms〜1sの間で10ms単位に設定する。状態保持部26は計時により保護時間の超過を検出すると、変化後のSRのON,OFFに更新する。
【0039】
図7に示すように、IP変換器12が実装している交換機接続インタフェースとIP変換器13が実装している電話機接続インタフェースとの双方は、信号シーケンス調停部23の前段に状態保持部26を有している。状態保持部26では、IPネットワーク14側から受信したSRのON,OFFが変化しても、保護時間が経過するまで変化前のSRのON,OFFを保持して、SRの変化が保護時間を超過した時点(例えば、SRがONからOFFに変化した場合、SRがOFFのままで保護時間を超過した時点)で変化後のSRのON,OFFに更新する。つまり、状態保持部26は保護時間を超過しないSRの変化を無視(遮断)する。
【0040】
なお、保護時間設定部27は例えばIPネットワーク14上で発生しうる瞬断の最大値が予め設定される。このように、本実施例のIP変換器12,13はIPネットワーク14の瞬断によりSS,SRのON,OFF変化が発生しても、保護時間の間、瞬断が発生する前のSRのON,OFFを保持することで、意図しない状態遷移を防ぎ、呼の状態を維持できる。
【0041】
図8は状態保持部の動作を説明する為のタイミング図である。図8(A)は状態保持部26を通過する前のSRのON,OFF変化を表す。図8(B)は状態保持部26を通過した後のSRのON,OFF変化を表す。
【0042】
図8(A)に示したSRのON,OFF変化81,82はIPネットワーク14上の擾乱(例えばL3ネットワークの経路切替によるパケット損失など)により発生するSRのON,OFF変化であるとする。図8(A)に示したSRのON,OFF変化81,82は保護時間(Xms)を超過していないため、図8(B)に示したSRのON,OFF変化で無視されている。
【0043】
また、図8(A)に示したSRのON,OFF変化83は保護時間(Xms)を超過している為、SRのON,OFF変化83から保護時間(Xms)の超過後、図8(B)に示したSRのON,OFF変化84として現れる。
【0044】
図9はIPパケットによるSRのON,OFF変化の通知について説明する為の模式図である。図9に示すように、IP変換器12及びIP変換器13はIPパケット91にSSを含ませてSSのON,OFF変化を通知している。IP変換器12及びIP変換器13のIPパケット変換/逆変換部24はIPパケット91を受信すると、IPパケット91をデパケット化し、SSのON,OFF変化をSRのON,OFF変化として瞬断検出部25及び状態保持部26に通知する。
【0045】
例えば図1のシステム1における瞬断発生時における信号シーケンス制御は以下のようになる。ここでは電話機11の受話器を上げる動作が行われた例を説明する。
【0046】
まず、IP変換器13はオフフック検出信号を検出し、対向側であるIP変換器12にONのSS(SS−ON)を含むIPパケットを送信する。IPネットワーク14上では擾乱が発生し、IP変換器12で受信したIPパケットに含まれるSS(言い換えればSR)がON−OFFに繰り返し変化したものとする。
【0047】
IP変換器12では瞬断検出部25が保護時間におけるSSのON,OFF変化を無効にする。その後、IP変換器12で受信したIPパケットに含まれるSS(言い換えればSR)が保護時間を超過してONに変化していれば、保護時間の超過後、SRをONに変化する。IP変換器12は交換機10にSR−ONを通知し、交換機10から発信音(ダイアルトーン:DT)を受信する。
【0048】
本実施例のシステム1では、IP変換器12が実装している交換機接続インタフェースとIP変換器13が実装している電話機接続インタフェースとのそれぞれについて、呼の状態に関係無く、瞬断が発生する寸前の状態を保持することが可能であるため、呼の状態を維持する動作以外の悪影響の併発を排除できる。
【0049】
本発明は、以下に記載する付記のような構成が考えられる。
(付記1)
同期通信装置との間でデータを送受信する同期通信装置接続手段と、
非同期通信網との間でパケットを送受信する非同期通信網接続手段と、
前記非同期通信網接続手段が前記非同期通信網から受信したパケットに含まれる通信状態信号の変化を予め設定された保護時間内は保持し、前記保護時間を超過する前記通信状態信号の変化を出力する状態保持手段と、
前記同期通信装置による同期通信の信号シーケンスを、前記状態保持手段から受信した前記通信状態信号の変化及び前記同期通信装置から受信した信号に基づいて調停し、前記信号シーケンスに応じた通信状態信号を前記非同期通信網接続手段が送信するパケットに含ませるシーケンス調停手段と
を有するデータ変換器。
(付記2)
前記保護時間が設定されている保護時間設定手段と、
前記非同期通信網接続手段が前記非同期通信網から受信したパケットに含まれる通信状態信号の変化を検出して前記状態保持手段に保護時間の計時開始のトリガを通知する瞬断検出手段と
を有する付記1記載のデータ変換器。
(付記3)
前記状態保持手段は、前記保護時間を超過しない前記通信状態信号の変化を出力せずに遮断する付記1又は2記載のデータ変換器。
(付記4)
非同期通信網を介して対向する複数のデータ変換器と、前記データ変換器を介して前記非同期通信網に接続される複数の同期通信装置とを有する通信システムであって、
前記データ変換器は、
前記同期通信装置との間でデータを送受信する同期通信装置接続手段と、
前記非同期通信網との間でパケットを送受信する非同期通信網接続手段と、
前記非同期通信網接続手段が前記非同期通信網から受信した前記対向するデータ変換器からのパケットに含まれる通信状態信号の変化を予め設定された保護時間内は保持し、前記保護時間を超過する前記通信状態信号の変化を出力する状態保持手段と、
前記同期通信装置による同期通信の信号シーケンスを、前記状態保持手段から受信した前記通信状態信号の変化及び前記同期通信装置から受信した信号に基づいて調停し、前記信号シーケンスに応じた通信状態信号を前記非同期通信網接続手段が送信する前記対向するデータ変換器へのパケットに含ませるシーケンス調停手段と
を有する通信システム。
(付記5)
電話機又は交換機との間でデータを送受信する装置接続手段と、
IPネットワークとの間でパケットを送受信するIPネットワーク接続手段と、
前記IPネットワーク接続手段が前記IPネットワークから受信したパケットに含まれる通信状態信号の変化を予め設定された保護時間内は保持し、前記保護時間を超過する前記通信状態信号の変化を出力する状態保持手段と、
前記電話機又は交換機による同期通信の信号シーケンスを、前記状態保持手段から受信した前記通信状態信号の変化及び前記電話機又は交換機から受信した信号に基づいて調停し、前記信号シーケンスに応じた通信状態信号を前記IPネットワーク接続手段が送信するパケットに含ませるシーケンス調停手段と
を有するIP変換器。
(付記6)
同期通信装置と非同期通信網との間に設けたデータ変換器によって実行される通信方法であって、
前記同期通信装置との間でデータを送受信するステップと、
前記非同期通信網との間でパケットを送受信するステップと、
前記非同期通信網から受信したパケットに含まれる通信状態信号の変化を予め設定された保護時間内は状態保持手段で保持し、前記保護時間を超過する前記通信状態信号の変化を出力するステップと、
前記同期通信装置による同期通信の信号シーケンスを、前記状態保持手段から受信した前記通信状態信号の変化及び前記同期通信装置から受信した信号に基づいて調停し、前記信号シーケンスに応じた通信状態信号を送信するパケットに含ませるステップと
を有する通信方法。
【0050】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。なお、特許請求の範囲に記載した通信状態信号は、SS及びSRに相当する。
【符号の説明】
【0051】
1 システム
10 交換機(PBX)
11 電話機
12,13 IP変換器
14 ネットワーク
21 A/D変換部
22 信号検出/挿入部
23 シーケンス調停部
24 IPパケット変換/逆変換部
25 瞬断検出部
26 状態保持部
27 保護時間設定部
81〜84 SRのON,OFF変化
91 IPパケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期通信装置との間でデータを送受信する同期通信装置接続手段と、
非同期通信網との間でパケットを送受信する非同期通信網接続手段と、
前記非同期通信網接続手段が前記非同期通信網から受信したパケットに含まれる通信状態信号の変化を予め設定された保護時間内は保持し、前記保護時間を超過する前記通信状態信号の変化を出力する状態保持手段と、
前記同期通信装置による同期通信の信号シーケンスを、前記状態保持手段から受信した前記通信状態信号の変化及び前記同期通信装置から受信した信号に基づいて調停し、前記信号シーケンスに応じた通信状態信号を前記非同期通信網接続手段が送信するパケットに含ませるシーケンス調停手段と
を有するデータ変換器。
【請求項2】
前記保護時間が設定されている保護時間設定手段と、
前記非同期通信網接続手段が前記非同期通信網から受信したパケットに含まれる通信状態信号の変化を検出して前記状態保持手段に保護時間の計時開始のトリガを通知する瞬断検出手段と
を有する請求項1記載のデータ変換器。
【請求項3】
前記状態保持手段は、前記保護時間を超過しない前記通信状態信号の変化を出力せずに遮断する請求項1又は2記載のデータ変換器。
【請求項4】
非同期通信網を介して対向する複数のデータ変換器と、前記データ変換器を介して前記非同期通信網に接続される複数の同期通信装置とを有する通信システムであって、
前記データ変換器は、
前記同期通信装置との間でデータを送受信する同期通信装置接続手段と、
前記非同期通信網との間でパケットを送受信する非同期通信網接続手段と、
前記非同期通信網接続手段が前記非同期通信網から受信した前記対向するデータ変換器からのパケットに含まれる通信状態信号の変化を予め設定された保護時間内は保持し、前記保護時間を超過する前記通信状態信号の変化を出力する状態保持手段と、
前記同期通信装置による同期通信の信号シーケンスを、前記状態保持手段から受信した前記通信状態信号の変化及び前記同期通信装置から受信した信号に基づいて調停し、前記信号シーケンスに応じた通信状態信号を前記非同期通信網接続手段が送信する前記対向するデータ変換器へのパケットに含ませるシーケンス調停手段と
を有する通信システム。
【請求項5】
同期通信装置と非同期通信網との間に設けたデータ変換器によって実行される通信方法であって、
前記同期通信装置との間でデータを送受信するステップと、
前記非同期通信網との間でパケットを送受信するステップと、
前記非同期通信網から受信したパケットに含まれる通信状態信号の変化を予め設定された保護時間内は状態保持手段で保持し、前記保護時間を超過する前記通信状態信号の変化を出力するステップと、
前記同期通信装置による同期通信の信号シーケンスを、前記状態保持手段から受信した前記通信状態信号の変化及び前記同期通信装置から受信した信号に基づいて調停し、前記信号シーケンスに応じた通信状態信号を送信するパケットに含ませるステップと
を有する通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−268175(P2010−268175A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117182(P2009−117182)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】