説明

データ検索結果の表示方法およびデータ検索結果の表示装置、プログラム

【課題】 検索結果画像(サムネイル)とその分類の識別情報とを、視認性良く参照しながら検索結果画像を絞り込む。
【解決手段】 仮想3D空間に検索結果データを分類毎に分けて、検索結果データのサムネイルの集まりとして表示し、仮想3D空間に検索結果データの分類を表す識別情報を表示することにより、直感的に視認性良く検索結果画像を絞り込むデータ表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが検索結果から所望の対象を選択する作業を支援する為の検索結果表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及に伴い、ユーザは全世界のウェブサーバに格納されている膨大な量のデータにアクセスすることが可能となっている。また、記憶装置の大容量化に伴い、個人の所有するコンピュータにも大量のデータを格納することが可能となっている。さらに、デジカメ、カメラ付き携帯電話の普及、さらに、ブログ、ソーシャルネットワーキングサービス、ツイッターなどの流行により、データ容量は飛躍的に増え続けている。
【0003】
このような現代において、ユーザは膨大な量のデータを手軽に入手することが可能となったが、その膨大な量のデータの中からユーザにとって価値のあるデータを探すことが難しくなってきている。
【0004】
ユーザが情報を探すシーンの一つに、傾向を調べるための検索がある。これは本人自身が知りたい答えを明確に把握しているわけではなく、「面白いもの」や「重要なニュース」のように検索の最終目的は定義されているが、入手を目指している情報自体は非常に曖昧なものであることが特徴である。
【0005】
膨大な量のデータの中から、ユーザが何か傾向を調べるために検索を行う場合、検索結果を整理・分類して表示することが有効である。さらに、全体を把握して、そこから関係しそうな部分の詳細を見ていくユースケースを考慮すると整理・分類は階層的になっていることが望ましい。また、知りたい答えが明確にあるわけではないので、ユーザは出来る限り多くのデータを閲覧し、情報を収集する必要がある。そのような場合、大量のデータをユーザが閲覧しやすくなるように、データを縮小画像として表示するサムネイル表示が有効である。
【0006】
そこで、ユーザが傾向を調べるための検索を行う場合の検索結果の表示方法として、検索結果を整理・分類しデータをサムネイルで表示する方法が考えられている。例えば、特許文献1では、検索結果データを類似性の高いものが互いに近くになるように、2次元座標軸上へ射影し、かつ、情報配置の密度を変えて奥行き方向に複数の画面を並べる。そのようにして作った3次元空間で視点をユーザが移動させることで、所望のデータを容易に探索できるようにする。
【0007】
また、特許文献2では、階層的に分類した検索結果の画像の表示方法として、視点がズームアウトした状態では、上位階層の分類によるサムネイルが分類ごとに固まって表示され、ある分類にズームインすることでその分類の下位階層のサムネイルが表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−259130号公報
【特許文献2】特開2009−110360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来手法では、階層型に分類された検索結果の表示方法としては十分とはいえない。ユーザは抽象的な上位階層で概要を把握し、そこから情報を絞り込んでいく必要があるが、従来手法では、絞込みを支援する表示には触れられていない。例えば、下位の階層に含まれる分類の数や、分類の名前、またそこに含まれるデータ量などの情報を絞り込む上での手掛かりの表示が十分ではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るデータ表示装置は、以下の構成を備える。即ち、仮想3D空間に検索結果データを分類毎に分けて、前記検索結果データのサムネイルの集まりとして表示するサムネイル表示手段と、前記仮想3D空間に前記検索結果データの分類を表す識別情報を表示する識別情報表示手段。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、階層型に分類された検索結果データを3D空間上で効果的に表示することで、曖昧な情報を探しているユーザが、効率的に最適な情報を探すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の検索結果表示処理を実施する装置の構成例
【図2】本実施形態の検索結果表示処理を構成するブロック図の例
【図3】本実施形態の検索結果表示処理例のフローチャート
【図4】階層型に分類された検索結果の例
【図5】本実施形態の検索結果の表示例
【図6】本実施形態のクラスタ配置例の説明図
【図7】本実施形態のクラスタ情報の表示例
【図8】本実施形態の3D空間での視点移動説明図
【図9】本実施形態のクラスタ分裂後の表示例
【図10】本実施形態のクラスタ分裂のタイミング例の説明図
【図11】本実施形態の情報推薦の表示例
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明におけるデータ検索結果の表示方法の実施場面を具体的に説明する為、次のような例を想定する。ユーザは、北海道へのツアー企画書を作成中であり、そのツアーの中で訪問する観光スポットを探している状況である。このような明確に答えが決まっていない情報を探すような場合には、検索結果データをランキング付けしてリストを提示するよりは、情報を分類、整理して一覧として提示するほうが有効な場合が多い。このようなケースにおいて、ユーザが効率的に情報を探索する方法として、本発明のデータ検索結果の表示方法が利用される。
【0014】
図1は、本発明に関する処理を実施する装置の構成例である。図1において、101は制御部であり、CPU等で構成される。制御部101はバス102を介してメモリ部103、大規模記憶部104、表示部105、入力部106、出力部107、ネットワーク接続部108に接続されている。メモリ部103はRAM等で構成される電子的な記憶装置である。制御部101はこのメモリ部103に配置されたプログラムおよびデータに従って動作するとともに、接続された各部を制御し、データの入出力をおこなう。大規模記憶部104は、ハードディスク、光学ディスク等のデータ蓄積装置であり、後述の画像データベース等を収めるのに用いられる。表示部105は、本システムを使用するユーザーに対し、データをグラフィカルに提示するディスプレイ装置である。入力部106は、ユーザーが本システムに対しキーワード入力を行うキーボードや、表示部105の表示内容に連動した指示を入力するためのマウス、スティック、パッド等のポインティングデバイスである。タッチパネル機能付きディスプレイ等、表示部105と入力部106を兼ねる装置を用いてもよい。出力部107は、データを紙に出力するプリンタデバイス等である、ネットワーク接続部108は、データを装置外から取り込んだり装置外に送信したりする為のネットワークインターフェースである。本図1の101〜108はPC等の汎用コンピュータ単体として構成しても良いし、あるいはMFP等の電子機器内に構築してもよい。また、互いに接続された複数のコンピュータやサーバー、およびディスプレイやPDA等の周辺機器の集合によって構築されてもよい。
【0015】
尚、CPU101はプログラムを実行することで各種の手段として機能することが可能である。なお、CPU101と協調して動作するASICなどの制御回路がこれらの手段として機能してもよい。また、CPU101と検索装置の動作を制御する制御回路との協調によってこれらの手段が実現されてもよい。また、CPU101は単一のものである必要はなく、複数であってもよい。この場合、複数のCPUは分散して処理を実行することが可能である。また、複数のCPUは単一のコンピュータに配置されていてもよいし、物理的に異なる複数のコンピュータに配置されていてもよい。なお、CPUがプログラムを実行することで実現する手段が専用の回路によって実現されてもよい。
【0016】
図2は、前述の想定例に基づき、図1のPC等で実行される処理を構成するブロック図の例である。200、210はそれぞれが図1の制御部101が102〜108の各部と連携して実行するプログラムである。
【0017】
200は情報データベースであり、210のアプリケーション等に後述の機能を提供するサービスプログラムとして動作する。本情報データベース200で扱う情報は文書、画像、動画、音声などのマルチメディアデータである。情報データベース200はマルチメディアデータが登録されるとインデックスを付与したうえで、図1の大規模記憶部104に記憶する。また、データは階層型にクラスタリングされており、検索クエリが入力されると、該当するクラスタが抽出され、階層構造を保持した形でクラスタ情報やデータインデックスのリストを返す機能を持つ。クラスタ情報には、クラスタの名称や、親のクラスタID、子のクラスタIDなどがある。ここでは、事前にデータは階層型にクラスタリングされているとしたが、検索の都度、検索結果集合に対して階層型クラスタリングの手法を用いて作成しても良い。これら情報データベース200の詳細な内部構成については、本発明の本質とは異なるため説明を省略する。
【0018】
データ検索・表示システム210は本発明のデータ検索結果の表示方法の実施形態である。その処理内容は、ユーザの検索要求に基づいて、関連するマルチメディアデータを情報データベース200から検索し、その結果をユーザに提示すること、及びその中からユーザが所望の情報を探すことを支援することである。大量の情報の中から効率的に情報を探索できるように、検索結果は分類され、かつ、階層構造を持たせることが有効である。このような検索結果を仮想3D空間上で直感的に分かり易く表示するという特徴を本データ検索・表示システム210は有する。その為に必要となる構成211〜216の内容は、後述の図3のフローチャートに沿った処理内容で説明する。
【0019】
次に、データ検索・表示システム210の処理の具体例を、図3のフローチャートに沿って説明する。図3のフローチャートは、ユーザから検索クエリを受け取り、検索結果をユーザに提示する初期表示画面生成までを表している。本実施例では、ユーザはツアー企画書を作成中とし、その観光内容を決めるために行き先である“北海道”と“見所”を検索クエリとした例で話を進める。
【0020】
ステップS301では、検索結果取得部により、ユーザから入力されたクエリを元に情報データベース200から検索結果集合を取得する。本データ表示システムでは、分類されているデータ、さらには階層化されているデータの表示において効果を発揮するが、階層化されていることは必ずしも必須ではない。本実施例では、図4に示すような階層型のクラスタ構造が検索結果として取得できたとする。一番上は検索クエリである“北海道見所”を表し、その下に木構造でクラスタの名称(ラベル)を示している。例えば図4では、最上位のクラスタとして、“景勝地”、”動物”、“植物”、“建物”、“体験”などが挙がっており、それぞれのクラスタにはさらにサブクラスタがぶら下がっている。
【0021】
ステップS302以降を説明する前に、実施例における本システムの検索結果の初期表示画面例を図5に示す。図5から見て取れるように、本システムでは検索結果として“景勝地”、”動物”、“植物”、“建物”、“体験”にクラスタリングされたデータをそのデータのサムネイル502によって球状の塊501として3D空間上に表示している。サムネイルは、画像のサムネイル、文書のサムネイルなど、データを縮小・代表して識別できる情報である。
【0022】
ステップS302では、クラスタ表示部212が、クラスタ毎に自身のクラスタに属するデータのサムネイルを球体上のどの位置に表示するかを算出する。この位置を算出する方法はいろいろと考えられるが、特に方法は限定されない。検索結果を閲覧するという性質上、個々のサムネイルがお互い重ならないように表示されるような位置が望ましい。本実施例では、球体の表面上にだけサムネイルを表示しているが、球体の中にもサムネイルを表示するようにしても良い。また、本実施例では、サムネイルの大きさは一定とし、各サムネイルの間隔も一定となるように位置を計算しているので、クラスタに属するデータ数に応じて球体の半径は変化するようになっている。これにより直感的にクラスタに含まれるデータ量を把握することができる。また、データのサムネイルは類似性が高いもの同士が近くに配置されることが望ましい。例えば、クラスタに含まれるサブクラスタの中で属するデータ数が一番多いサブクラスタに含まれるデータのサムネイルを球体の手前に配置する。それから、そのサブクラスタとの類似性が高い順に他のサブクラスタをそのサブクラスタの周りに配置していくようにすればよい。
【0023】
ステップS303では、クラスタ表示部212が、各クラスタの3D空間上での配置位置を計算する。以降図6、図7を用いて説明する。図6は3D空間上を真上から俯瞰している図であり、クラスタの配置位置を説明するのに用いる。また、図7は、図5の1つのクラスタに注目し、拡大している図である。本実施例では、3D空間の底面となるグリッドの床602上に、仮の円603を描きその円周上にクラスタの球体601の中心がくるようにする。仮の円603の半径は、ステップS302で求めたクラスタの球体701の半径702を参照し、表示するクラスタの中で最大の半径に倍率α1を掛け、オフセットβ1を足すようにして決めると良い。また、各クラスタの球体601の円周上での間隔は、等間隔となるように中心角604が、 360度/クラスタ数 となるようにすればよい。
【0024】
もちろん必ずしも等間隔にする必要はない。また、各クラスタの球体の中心の床からの高さ703は、これもクラスタを配置する際に仮の円の半径を求めたのと同様に、表示するクラスタの中で最大の半径を基準に計算すればよい。ただし、先ほどの例でもそうだが、計算方法はこれに限らない。
【0025】
ステップS304では、まず、空間描画部が空間の底面であるグリッドの床507を描画する。その上に、クラスタ表示部212が、ステップS302、S303での位置計算結果に基づいて、検索結果のクラスタをそれに属するデータのサムネイル502により球体の塊501として描画する。その際、各サムネイルを上下方向にランダムに揺らすようにすることで、サムネイル同士の重なりにより見辛くなることを防ぐことが出来る。揺らす方向としては上下方向に限らず、左右、四方八方どのように揺らしても良い。また、クラスタの球体は自転をさせても良いし、さらに、クラスタの球体群(クラスタ群)は配置した円の中心を中心として公転させても良い。もちろん両方を組み合わせて行うことも可能である。こうすることで、ユーザが一定時間で必ず全てのサムネイルを閲覧できるようにすることが出来る。
【0026】
ステップS305では、クラスタ情報表示部213がステップS304で描画したグリッドの床507の上にクラスタの球体の影503を射影する。影の表示方法について図7を用いて説明する。クラスタの球体701の中心から真下にクラスタの球体の影704の中心を落とす。影の半径705は、そのクラスタの半径702に倍率α2を掛け、オフセットβ2を足すようにして決め、クラスタの球体の半径702に比例するようにすると良い。また、クラスタ情報表示部213はクラスタの球体の影503の円周上に、クラスタのラベル504を表示する。
【0027】
ステップS306では、クラスタ情報表示部213がステップS305で描画したクラスタの球体の影503の中に包含する形で、そのクラスタのサブクラスタの情報を影505とラベル506として表示する。サブクラスタの情報を表示する方法について図7を用いて説明する。サブクラスタの影の半径708は、これまでと同様でそのサブクラスタに属するデータ数に比例する式で計算すると良い。そうすることで、サブクラスタの影706の大きさから、直感的に各サブクラスタの情報量を把握し比較することができる。サブクラスタの影706は、クラスタの影704の中心と同じ位置を中心とする円の円周上に配置される。円の半径707はクラスタの影の半径705に倍率α3を掛け、オフセットβ3を足すことで計算すると良い。
【0028】
また、ステップS303のクラスタの配置計算と同様、円周上での各サブクラスタの影の間隔は等間隔になるようにする。もちろん、必ずしも等間隔にする必要はなく、そのサブクラスタが含んでいるデータのサムネイルのまとまりの下に来るように配置してもよい。さらに、クラスタ情報表示部213はサブクラスタの影706の円周上に、そのサブクラスタのラベル506を垂直に立てて表示する。サブクラスタの影とラベルを表示する際に、サブクラスタの数が多いと、表示が乱雑になり逆にユーザの情報の把握を妨げてしまう恐れがある。そこで、サブクラスタのうち、属するデータ数が多い上位M個については、さきほど説明した表示方法を行い、それ以外のサブクラスタについては、図7の709のように省略表示を行うと良い。省略表示では、適度に小さくした影のみを表示するようにする。上位M個のサブクラスタの影を配置する円の内側に、その円の半径に倍率α4を掛け、オフセットβ4を足すことで計算した半径710の円周上に省略表示の影709を配置する。このように、クラスタの影の中にそのクラスタのサブクラスタを影とラベルという形で表示すること、また、影の大きさが属するデータ数に比例していることによって、ユーザは直感的に検索結果の階層的分類の把握を行うことが出来る。また、サブクラスタの影とラベルの位置は、クラスタの球体が自転するのに合わせて回転するようにしても良い。特に、クラスタのサムネイルがサブクラスタ同士でまとまっていて、そのまとまりの下にサブクラスタの影やラベルを配置した場合には合わせて回転させることが望ましい。
【0029】
以上、図3のフローチャートに従って本データ表示システム210の検索結果の初期画面表示までの流れと、図2の各構成部について一部を除いて説明を行った。また、本データ表示システム210には図8のように視点801があり、視点801の位置から見ている3D空間の映像が液晶モニタなどの表示部105に出力される。ユーザはこの視点801の位置、視線の方向、画角をマウス操作入力などにより自由に変更しながら、3D空間をウォークスルーして所望の情報を探索することが出来る。ズームイン・ズームアウト処理に相当する。入力部106を通して得たユーザの視点変更を受けて視点変更部214は視点の位置、視線の方向、画角を変更する。
【0030】
また、ユーザが3D空間をウォークスルーして探索する際に、情報を把握しやすくなるように、各表示部は視点の位置に合わせて表示を変更する機能も有している。例えば、クラスタ表示部212は、視点の位置とサムネイルの間の距離に応じて、距離が離れるほどサムネイルにブラーをかけて表示する。奥に見えるサムネイルがぼやけることで、手前にあるサムネイルが強調され、ユーザは集中して情報を閲覧することが出来る。また、クラスタ情報表示部213は、視点の位置に合わせて、クラスタのラベル504とサブクラスタのラベル506をそれぞれの影の円周上をスライドするように移動させて、常に視点に対して正面を向くようにする。
【0031】
また、視点の移動操作はユーザからの入力による手動操作だけでなく、決まったルールで動く半自動操作があってよい。例えば、本実施例では、クラスタの影503をマウスのクリック操作などにより選択すると、そのクラスタが正面に拡大されて表示されるような位置へ視点を自動で変更させる半自動操作を視点変更部214は備えている。
【0032】
図5に示した初期表示では、図4に示す検索結果の階層型分類の第一階層のみを表示した。情報を探索するうえでは、始めは抽象的な上位階層で情報の大まかな分類を理解し、そこからより具体的な下位の概念へ情報を絞り込んでいくのが良い。本データ表示システムにおける情報の絞込みの表示方法について図9、図10を用いて説明する。
【0033】
クラスタ操作部215により、図5の初期表示から、情報を絞り込んで、“動物”クラスタの下位のクラスタ“鳥類”、“爬虫類”、“哺乳類”を表示している例を図9に示す。図9に示すとおり、表示するクラスタの内容が変わっただけで、表示方法については図5の初期表示と変わらない。図9の表示例では、情報の絞込みを行った“動物”クラスタの中しか表示していないが、“植物”、“建物”、“景勝地”、“体験”などの第一階層のクラスタと、第二階層のクラスタが共存して表示されるようにしても良い。情報が絞り込まれていく様子を直感的に見て取れるように、図5の初期画面から、図9の“動物”クラスタへ情報を絞り込んだ画面へは、サムネイルが移動するアニメーションを使って効果的に見せると良い。
【0034】
クラスタ操作部215による下位クラスタへの絞込みのタイミングは、ユーザのマウス操作による明示的な指示によるものでもよいが、本実施例では、3D空間内でより直感的に表現するために視点とクラスタとの距離に基づき自動で判断するものとする。ズーム度合いによって判断しても良い。図10に示すように、ユーザが自由に操作可能な視点の位置1002とクラスタ10001の間の距離1003が設定した閾値を下回ったら、クラスタ操作部215はそのクラスタをサブクラスタへ分裂する操作を行う。また、ユーザのマウス操作による明示的な指示としては、例えば、クラスタの影をダブルクリックすることで、そのクラスタをサブクラスタへ分割するようにしても良い。その際に、前述した視点移動の半自動操作と組み合わせ、奥にあるクラスタの影をダブルクリックしたときには、そのクラスタが正面に拡大されて表示される位置に視点を移動させ、それからサブクラスタへ分割させても良い。もちろん、ユーザからの明示的な指示と、視点の位置による自動判断を共存させて用いても良い。
【0035】
以降、第n階層まで同様にクラスタを分割させ情報の絞込みを行うことが出来る。
【0036】
また、クラスタを統合し、親階層のクラスタを表示する機能も有している。表示方法、統合のタイミングは、クラスタを分割したときと同様の考えで、クラスタの分割を逆再生したように表示される。
【0037】
以上のような方法で、サブクラスタへの分割・親クラスタへの統合を行うことで、ユーザは3D空間をウォークスルーしながら、直感的に情報の絞込みを行うことが可能となる。
【0038】
さらに、本データ表示システムは、ユーザに対してお薦めの情報へといざなう表示機能も有している。例えばお薦めの情報としては、表示中のクラスタの中で属するデータ数が一番多いクラスタや、または、過去の履歴から算出される良く閲覧されているクラスタなどが考えられる。不図示のお薦め情報算出部により、ユーザに対するお薦めの情報が求まると、空間描画部216は図11に示すように、お勧めの情報を含むクラスタ1101の真下にあるグリッドの床1102を左から右へウェーブさせるようにして、そのクラスタを強調させる。このように3D空間を構成する一パーツを利用することで、ユーザに対して直感的、かつ、さりげない形でお薦めの情報を知らせる表示が可能となる。表示方法として、グリッドの床1102を左から右へウェーブさせると書いたが、ウェーブの方向は問わないのはもちろんのこと、外からお薦めのクラスタへ向けてウェーブさせるようにしても良い。
【0039】
以上説明したように、本発明のデータ検索結果の表示方法では、3D空間における様々なUIを提供し、大量の情報の中からユーザが所望の情報を直感的、かつ、効率的に探索できるようになる。
【0040】
<実施形態2>
実施例1において、クラスタの下の床には影を表示するとしたが、必ずしも影である必要はない。3D空間においてクラスタの影はメタファとして分かり易いため用いたが、形は三角や四角など何でもよいし、また、色も影のように単一色でなく、様々な色付けを行っても良い。形や色の違いを利用して、ユーザが情報探索をする上での付加情報を与えて支援することも可能である。例えば、クラスタの塊として表現している分類とは、違う観点の分類を表現するようにしてもよいし、また、システムがお薦めするクラスタを強調するようにしてもよい。ユーザに対して色や形の違いは視覚的に分かり易く、分類を表現するのに適している。
【0041】
<実施形態3>
本発明の目的は前述した実施例の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給する。そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUまたはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0042】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0043】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOperating System(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0044】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ表示装置であって、
仮想3D空間に検索結果データを分類毎に分けて、前記検索結果データのサムネイルの集まりとして表示するサムネイル表示手段と、
前記仮想3D空間に前記検索結果データの分類を表す識別情報を表示する識別情報表示手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載のデータ表示装置。
【請求項2】
前記仮想3D空間に面を描画する描画手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のデータ表示装置。
【請求項3】
前記描画手段では、前記サムネイルの集まりの位置と大きさとに合わせた影を前記面に描画することを特徴とする請求項2記載のデータ表示装置。
【請求項4】
前記識別情報表示手段では、前記描画された影に前記検索結果データの分類を表す分類名を表示することを特徴とすることを特徴とする請求項3記載のデータ表示装置。
【請求項5】
前記分類は、前記検索結果データの属性から得られることを特徴とする請求項1記載のデータ表示装置。
【請求項6】
前記サムネイル表示手段は、前記検索結果データのサムネイルの集まりの内部に含まれるサムネイルの表示位置を、前記分類よりさらに詳細な前記検索結果データの分類に基づいて決定する決定手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のデータ表示装置。
【請求項7】
前記識別情報表示手段では、前記検索結果データのサムネイルの集まりの内部に含まれる、前記分類よりさらに詳細な前記検索結果データの分類の詳細分類名を前記面に表示することを特徴とする請求項2記載のデータ表示装置。
【請求項8】
前記描画手段は、前記サムネイル表示手段で表示されるサムネイルの集まりと前記識別情報表示手段で表示される分類名とが対応した位置に、影を前記面に表示することを特徴とする請求項7記載のデータ表示装置。
【請求項9】
前記識別情報表示手段では、前記検索結果データのサムネイルの集まりの回転において、前記分類よりさらに詳細な前記検索結果データのサムネイルの集まりの回転に合わせて前記面に表示された前記詳細分類名を回転させることを特徴とする請求項7記載のデータ表示装置。
【請求項10】
前記サムネイルの集まりの形状は、球体であることを特徴とする請求項1記載のデータ表示装置。
【請求項11】
データ表示装置であって、
仮想3D空間に、検索結果データを分類毎に分けて前記検索結果データのサムネイルの集まりとして表示するサムネイル表示手段と、
前記検索結果データのサムネイルの集まりの拡大表示を指示する指示手段と、
前記指示に応じて、前記サムネイルの集まりを、さらに詳細な分類に分裂させるクラスタ表示制御手段と、を備えることを特徴とするデータ表示装置。
【請求項12】
前記指示手段での拡大の度合いに応じて、前記クラスタ表示制御手段でのさらに詳細な分類への分裂を行うことを特徴とする請求項11記載のデータ表示装置。
【請求項13】
データ表示装置であって、
仮想3D空間に、検索結果データを分類毎に分けて前記検索結果データのサムネイルの集まりとして表示するサムネイル表示手段と、
前記仮想3D空間での視点における前記検索結果データのサムネイルの集まりの大きさに応じて、前記サムネイルの集まりをさらに詳細な分類に分裂させるクラスタ表示制御手段と、を備えることを特徴とするデータ表示装置。
【請求項14】
データ表示装置が行うデータ表示方法であって、
仮想3D空間に検索結果データを分類毎に分けて、前記検索結果データのサムネイルの集まりとして表示するサムネイル表示工程と、
前記仮想3D空間に前記検索結果データの分類を表す識別情報を表示する識別情報表示工程と、を備えることを特徴とするデータ表示方法。
【請求項15】
データ表示装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
仮想3D空間に検索結果データを分類毎に分けて、前記検索結果データのサムネイルの集まりとして表示するサムネイル表示し、
前記仮想3D空間に前記検索結果データの分類を表す識別情報を表示する識別情報表示することをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−69097(P2012−69097A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161054(P2011−161054)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】