説明

データ記録システム、プログラム、記録媒体

【課題】伝送路における複数の伝送ポイントにて受信したTSを少ない記録容量の記録装置で効率良く記録保存可能なデータ記録システムを低コストに提供する。
【解決手段】各エラー検出装置30は、伝送路Laの各伝送ポイントP2〜P6毎にTSを受信し、TSを構成するIPパケットに付加されているシーケンス番号に基づいてIPパケットのシーケンスエラーを検出し、その検出結果に従ってエラーデータを生成し、そのエラーデータをRAM43に記録保存すると共に双方向通信回線Lbを介して保存・再現装置31へ送信する。保存・再現装置31は、送信機20が伝送路Laを介してTSを送信する伝送ポイントP1にてTSを受信し、そのTSを構成する全てのIPパケットをHDD55に記録保存すると共に、各エラー検出装置30が双方向通信回線Lbを介して送信してきたエラーデータを受信し、そのエラーデータをHDD55に記録保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録システム、プログラム、記録媒体に係り、詳しくは、データの伝送路における複数の伝送ポイントにて受信して取得した伝送データを記録するデータ記録システム、そのデータ記録システムを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラム、そのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、BS(Broadcasting Satellite )デジタル放送やCS(Communication Satellite)デジタル放送などの衛星デジタル放送、地上デジタル放送、CATV(CAble TeleVision)、インターネットを用いたTV(TeleVision)放送などのデータ配信などの放送メディアや通信メディアにおいて、MPEG(Moving Picture Experts Group)2による圧縮符号化技術を用いたデジタル放送やデジタル通信のサービスが提供されている。
【0003】
MPEG2を用いた圧縮符号化システムであるMPEG2システムでは、オーディオデータ(音声情報)およびビデオデータ(映像情報)を圧縮符号化したデータのビットストリームであるES(Elementaly Stream)を生成し、オーディオデータのES(オーディオES)とビデオデータのES(ビデオES)とを多重化してTS(Transport Stream)を生成する。
【0004】
ここで、ESを、意味のある単位(ビデオデータならフレーム単位、オーディオデータならブロック単位)毎にパケット化したものはPES(Packetized Elementary Stream)と呼ばれる。PESには時刻情報が含まれており、この時刻情報を用いてビデオデータとオーディオデータの同期を取ることができる。
TSは、1つのビットストリームの中に複数のプログラムを構成することができるため、放送メディアや通信メディアなどへの適用が想定されて規格化されている。
【0005】
1つのTSは、数種類〜数百種類のTSパケットが集まって構成される。TSパケットは188バイトや204バイトなどの固定長パケットであり、その長さはATM(Asynchronous Transfer Mode)セル長との整合性およびリードソロモン符号などの誤り訂正符号化を行なう場合の適用性を考慮して決定されている。
【0006】
TSパケットは、4バイト固定長のパケットヘッダと可変長のアダプテーションフィールド(adaptation field)およびペイロード(payload)から構成されている。アダプテーションフィールドとペイロードはどちらかだけが存在する場合と両方が存在する場合があり、その有無はパケットヘッダ内のフラグ(adaptation field control)により示される。
【0007】
パケットヘッダには、TSパケットの種類を識別するための識別子であるPID(Packet IDentification)、同期バイト、連続性指標(Continuity Counter)などの各種パケット制御データが含まれている。
アダプテーションフィールドには、送信側と受信側の間で同期を取るための基準時刻情報(PCR:Program Clock Reference)と、圧縮符号化されたビデオデータまたはオーディオデータとが含まれている。
【0008】
同期バイトはTSパケットの開始を示すデータである。
PIDは、TSパケットに含まれている情報の内容(チャンネル番号や、そのチャンネルのビデオデータおよびオーディオデータのうちいずれが含まれているか等)を示すデータである。
尚、同一のビデオデータ、同一のオーディオデータはそれぞれ同じPIDを持つため、TSの受信システムはPIDを用いて元のPESに戻すことが可能である。
【0009】
そして、送信局(放送局),中継局,CATV局などに設置されている送信システムは、このように生成した複数チャンネル分のTSパケットを時分割多重化することによりTSパケットのデータ列であるTSを生成し、そのTSを所定の変調方式で変調することにより送信信号を生成し、その送信信号を伝送手段へ送信するため、複数チャンネル分のテレビジョン番組を同時に放送することができる。
尚、送信信号の伝送手段は、例えば、衛星デジタル放送の場合は放送衛星、地上デジタル放送の場合は送受信装置のアンテナ、CATVの場合は専用通信回線、インターネットの場合はISDN(Integrated Services Digital Network)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)などを含む公衆電話回線や光通信回線を含む専用通信回線などから構成される。
【0010】
また、デジタル放送やデジタル通信を受信する受信システムは、送信局(放送局),中継局,CATV局などから送信されてくる送信信号を受信し、その受信した送信信号を所定の復調方式で復調することによりTSを生成する。
そして、受信システムは、TSに含まれる複数チャンネル分のTSパケットのうち視聴者(ユーザ)の所望するチャンネルのTSパケットを選択して復号化することによりビデオデータおよびオーディオデータを生成し、それらデータをテレビジョン受像機やパーソナルコンピュータなどに出力して再生させる。
【0011】
このようなMPEG2によるデジタル放送やデジタル通信では、送信システムまたは受信システムにて生成した個々のTSパケットについて、複数種類のエラーの発生状況(発生状態)を監視する必要がある。
なぜなら、正常な放送や通信を実現するには、TSのエラーの発生状況に基づいてエラーの発生原因を調査し、次回からは当該エラーが発生しないよう防止策を講じなければならないからである。
【0012】
ちなみに、TSのエラー発生原因としては、例えば、送信システムまたは受信システムを構成する各種機器の不調、各種機器に供給される電源の不調、テレビジョン番組のスケジューリングの不備、放送の休止タイミングの不具合、天候による電波障害(降雨減衰や雷障害など)などがある。
【0013】
しかし、1つのTSは数種類〜数百種類のTSパケットによって構成されているため、個々のTSパケットについて複数種類のエラーの発生状況を監視するとなると、監視対象のエラーの種類は延べ数十〜数万種類にも上り、その監視を人間系で行うことは不可能である。
そこで、本出願人(株式会社トラフィック・シム)は、PIDで識別されるTSパケットの受信間隔時間や、連続性指標の途切れなどに基づいてエラー発生を監視するTSパケット監視装置を開発販売している(商品名「TS CaPID WA-1/TSW-1000」)。このTSパケット監視装置は、既に国内大手デジタル衛星放送局で実際に使用されて放送サービスの品質向上に貢献している。
【0014】
また、本出願人は、特許文献1に開示されるように、時系列で転送されるデータ中に含まれるエラーの発生状況を検出するエラー検出手段と、そのエラー検出手段が検出した所定期間のエラーの発生状況を時系列で一覧表示するエラー表示手段とを備えたデータ監視システムを提案している。
この特許文献1の技術によれば、データ転送(データ伝送)の運用管理者(オペレータ)は、エラー表示手段の一覧表示を一目するだけで所定期間のエラーの発生状況を確認可能であり、多量に発生するエラーについても確実に監視することができる。
【0015】
ところで、特許文献2の請求項1には、入力されたデジタル放送信号のTSから生成したTSファイルの断片を一時記憶する一時記憶手段に記憶した後、該記憶したTSファイルの断片を大容量の記録手段に間欠的に転送することにより、該大容量の記録手段において保存用の連続したTSファイルを得るように構成したことを特徴とするデジタル放送の放送番組記録装置が記載されている。
【0016】
また、特許文献2の請求項2には、入力されたデジタル放送信号のTSから該TSを複数フレーム単位にまとめてファイル化したTSファイルを生成する手段と、該手段により生成されたTSファイルにファイルヘッダを付加する手段と、該手段によりファイルヘッダが付加されたTSファイルを記憶する第1の記憶手段と、システム管理インターフェースと、CPUとを具えたTS処理部、前記CPUの制御により前記第1の記憶手段の記憶内容が転送され、現時点から所定時間前までのデータが常に記憶されているようになっている第2の記憶手段、前記TS処理部とLANで接続され、前記CPUの制御により前記第2の記憶手段の記憶内容が定期的に転送され、一定期間分のデータとして記憶されるようになっている第3の記憶手段、および前記TS処理部とLANで接続され、前記CPUの制御により、前記第2の記憶手段の記憶内容が前記システム管理インターフェースからの転送要求に応じて転送されるか、または、前記第3の記憶手段によって記憶されたデータが供給され、該転送されまたは供給されたデータから前記TS処理部において付加されたファイルヘッダが取り除かれて前記入力されたデジタル放送信号のTSに相当する信号を復元するTS再生部を具えて構成されていることを特徴とするデジタル放送の放送番組記録装置が記載されている。
【特許文献1】特開2006−13612号公報(第1〜29頁、図1〜図14)
【特許文献2】特開2003−61022号公報(第1〜7頁、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来より、MPEG2によるデジタル放送やデジタル通信におけるデータ伝送では、TSの伝送路における複数の伝送ポイントにそれぞれエラー発生を監視するエラー監視装置を設置しておき、各伝送ポイント毎にTSを取得してそのエラー検出を行うことにより、どの伝送ポイント間でTSのエラーが発生したかを判定し、その判定結果に基づいてTSのエラー発生原因の調査が行われており、各伝送ポイントで同時に取得したTSを過去一定期間保持し、事後のエラーの検証用元データとして利用したり、各伝送ポイントにて取得したTSを伝送路と同等の高速な通信回線により送信ポイントまで戻して目視比較するなどの対策がとられている。
【0018】
尚、伝送ポイントには、送信ポイント、中継ポイント、受信ポイントなどがあり、中継ポイントおよび受信ポイントは複数設けられている場合もある。
例えば、デジタル通信(デジタル放送)では、送信ポイントは送信局(放送局)に設置された送信機が伝送路を介してTSを出力する箇所であり、中継ポイントは中継局に設置された送受信機が伝送路を介してTSを入力する箇所であり、受信ポイントは視聴者が持つ視聴者端末(受信機)が伝送路を介してTSを入力する箇所である。
【0019】
ところで、前述のTSパケット監視装置では、監視機能の1つとしてTSパケットに記載されている0〜15の値でサイクリックにインクリメントされる連続性指標が不連続となったことを検出するが、例えば、特定の種類のパケットが16個連続して欠落した場合、連続性指標は連続したままとなってしまい、エラーを検出することが困難である。
このような場合、事後になって視聴者等から障害の問い合わせが寄せられることがあるが、前述のTSパケット監視装置ではエラーを検出・記録しておらず、監視装置におけるエラー検出にかかわらず、監視対象のTSを過去一定期間分記録しておくことは重要である。
【0020】
また、データ伝送の運用管理者がTSのエラー発生原因の調査を行う際には、長期間(例えば、数日間〜数ヶ月間)に渡るエラーの発生状況を検討することがある。
そのためには、エラー監視装置が長期間のエラー発生状況と同時に各伝送ポイントにおいて取得されたTSを記録しておく必要があり、高価な大容量の記録装置を内蔵したエラー監視装置を各伝送ポイントに設置しなければならない。
【0021】
そこで、TSの伝送路における複数の伝送ポイントにて取得したTSを少ない記録容量の記録装置で効率良く記録保存し、どの伝送ポイント間でTSのエラーが発生したかを容易に判定可能なデータ記録システムを低コストに実現することが要求されている。
【0022】
ところで、特許文献2の放送番組記録装置をTSの伝送路における複数の伝送ポイントに設置しておき、各伝送ポイントにて取得されたTSをそれぞれの放送番組記録装置に記録した後に、各放送番組記録装置で記録されたTSを解析することにより、どの伝送ポイント間でTSのエラーが発生したかを判定することが考えられる。
しかし、このようにした場合でも、多数の伝送ポイントに前記放送番組記録装置を設置するとなると、放送番組記録装置の台数が多くなる分だけ設置コストが増大するという問題がある。
【0023】
一般的に大容量のデジタルデータを記憶したり記録したりするシステムの場合、取得したデジタルデータを適当なサイズに分割し、これを一次記憶し、その後二次記憶に伝送する手段が取られる。
例えば、現在一般的なパーソナルコンピュータに搭載されているCPUでは、プログラム中からのメモリアクセスに対して、CPU内等に搭載されたランダムアクセスに優れた一次用メモリに蓄積後、二次用メモリが扱いやすいブロック単位に分割して二次用メモリに転送する手段がとられており、この仕組みは1980年代に市販されたCPUに組み込まれている。
また、現在一般的なパーソナルコンピュータに搭載されているハードディスク装置とその制御プログラムでは、ハードディスクに記録すべきデータを、一旦パーソナルコンピュータのメインメモリ上に一次記憶し、その後ハードディスクが扱いやすいブロック単位に分割し、ハードディスクとのインターフェイス回路を通じてハードディスク上の一次記憶メモリに蓄積した後、ハードディスク本体の記録部分に書き込まれる。
【0024】
特許文献2の請求項1に記載の技術では、TSから生成したTSファイルの断片を一時記憶する一時記憶手段と、その断片を連続したTSファイルを記録する大容量の記録手段とを備える。そのため、特許文献2の請求項1に記載の技術は、上記一次記録と二次記録の一例と考えることができる。
【0025】
ところで、インターネットを用いたTV放送などのデータ配信の場合、時系列で伝送されてくるTSは複数個のIP(Internet Protocol)パケットが集まって構成されている。
IPパケットは、IPヘッダとUDP(User Datagram Protocol)パケットから構成されている。
UDPパケットは、UDPヘッダとRTP(Real-time Transport Protocol)パケットから構成されている。
RTPパケットは、RTPヘッダと複数個のTSパケットから構成されている。
すなわち、1個のIPパケットの先頭には、IPヘッダ、UDPヘッダ、RTPヘッダがこの順番で設けられ、RTPヘッダに続いて複数個のTSパケットが設けられている。
【0026】
RTPヘッダには、データ順を表す情報であるシーケンス番号が含まれている。
つまり、個々のIPパケットには、RTPヘッダに含まれているシーケンス番号が付加されている。
シーケンス番号は、16ビット固定長のデータから成り、その16ビットによって規定される番号数字がサイクリックにインクリメントされる。
例えば、シーケンス番号が1バイトのデータから成る場合には、0〜255の番号数字がサイクリックにインクリメントされ、255番の次には0番に戻って周回(巡回)が繰り返される。
【0027】
IPパケットにシーケンス番号が付加されている理由は、IPパケットの欠落・重複・順変化といったシーケンスエラーを検出するためである。
IPパケットの欠落とは、TSを構成していなければならないIPパケットが欠落して無くなっている状態であり、IPパケットの欠落はシーケンス番号の欠落に基づいて検出できる。
IPパケットの重複とは、TSに複数個の同じIPパケットが重複して含まれている状態であり、IPパケットの重複はシーケンス番号の重複に基づいて検出できる。
IPパケットの順変化とは、TSを構成するIPパケットの順番が本来あるべき正しい順番とは入れ替わっている状態であり、IPパケットの順変化はシーケンス番号の入れ替わりに基づいて検出できる。
【0028】
そこで、インターネットを用いたTV放送などのデータ配信の場合には、シーケンスエラー(IPパケットの欠落・重複・順変化)を検出して監視するシーケンスエラー監視装置をTSの伝送路における複数の伝送ポイントに設置しておくことにより、各伝送ポイント毎のシーケンスエラーを監視することが考えられる。
しかし、このようにした場合でも、シーケンスエラー監視装置が長期間のエラー発生状況と同時に各伝送ポイントにおいて取得されたTSを記録しておく必要があり、高価な大容量の記録装置を内蔵したシーケンスエラー監視装置を各伝送ポイントに設置しなければならない。
【0029】
本発明は上記要求を満足させるためになされたものであって、以下の目的を有するものである。
(1)データの伝送路における複数の伝送ポイントにて受信したデータを少ない記録容量の記録装置で効率良く記録保存可能なデータ記録システムを低コストに提供する。
(2)前記(1)のデータ記録システムが記録保存したデータに基づいて、どの伝送ポイント間でシーケンスエラーが発生したかを容易に判定可能なデータ記録システムを提供する。
(3)前記(1)(2)のデータ記録システムを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを提供する。
(4)前記(1)(2)のデータ記録システムを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0030】
請求項1に記載の発明は、
データ(TS)が時系列で伝送される伝送路(La)と、
前記データは分割されたデータ列(IPパケット)から成り、各データ列にはデータ順を表す情報であるシーケンス番号が付加されていることと、
前記伝送路(La)における複数の伝送ポイント(P2〜P6)にそれぞれ設置されたエラー検出装置(30)と、
その複数のエラー検出装置(30)にそれぞれ設けられた第1記録装置(RAM43)と、
前記伝送路(La)における始点の伝送ポイント(P1)に設置され、前記複数のエラー検出装置(30)と通信回線(Lb)を介して接続された管理装置(31)と、
その管理装置(31)に設けられた第2記録装置(HDD55)と
を備えたデータ記録システムであって、
前記複数のエラー検出装置(30)はそれぞれ、前記伝送路(La)における各伝送ポイント(P2〜P6)毎に前記データ(TS)を受信し、前記データ(TS)を構成する前記データ列(IPパケット)にそれぞれ付加されている前記シーケンス番号を検査して確認し、その各シーケンス番号に基づいて前記データ列(IPパケット)のシーケンスエラーを検出し、その検出結果に従ってエラーデータを生成し、そのエラーデータを第1記録装置(RAM43)に記録保存すると共に前記通信回線(Lb)を介して前記管理装置(31)へ送信することと、
前記データ列(IPパケット)のシーケンスエラーの種類には、前記データ(TS)を構成していなければならない前記データ列(IPパケット)が欠落して無くなっているデータ列の欠落と、前記データ(TS)に複数個の同じ前記データ列(IPパケット)が重複して含まれているデータ列の重複と、前記データ(TS)を構成する前記データ列(IPパケット)の順番が本来あるべき正しい順番とは入れ替わっているデータ列の順変化とがあることと、
前記管理装置(31)は、前記伝送路(La)における始点の伝送ポイント(P1)にて前記データ(TS)を受信し、そのデータ(TS)を第2記録装置(HDD55)に記録保存すると共に、前記複数のエラー検出装置(30)が前記通信回線(Lb)を介して送信してきた前記エラーデータを受信し、そのエラーデータを第2記録装置(HDD55)に記録保存することと
を技術的特徴とする。
【0031】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のデータ記録システムにおいて、
前記複数のエラー検出装置(30)は、
前記データ列(IPパケット)に付加されているシーケンス番号が正常にインクリメントされていない箇所を見つけることによりシーケンス番号の欠落を確認し、そのシーケンス番号の欠落に基づいて前記データ列(IPパケット)の欠落を検出することと、
欠落する直前のシーケンス番号から欠落から復帰した直後のシーケンス番号までを抽出し、その抽出した複数個のシーケンス番号と、前記データ列の欠落を検出した日時と、当該エラー検出装置が設置されている伝送ポイントの番号(P2〜P6)とを組み合わせることにより、エラーデータを生成することと
を技術的特徴とする。
【0032】
請求項3に記載の発明は、
請求項1に記載のデータ記録システムにおいて、
前記複数のエラー検出装置(30)は、
前記データ列(IPパケット)に付加されているシーケンス番号が正常にインクリメントされていない箇所を見つけることによりシーケンス番号の重複を確認し、そのシーケンス番号の重複に基づいて前記データ列(IPパケット)の重複を検出することと、
重複する直前のシーケンス番号から重複から復帰した直後のシーケンス番号までを抽出し、その抽出した複数個のシーケンス番号と、前記データ列の重複を検出した日時と、当該エラー検出装置が設置されている伝送ポイントの番号(P2〜P6)とを組み合わせることにより、エラーデータを生成することと
を技術的特徴とする。
【0033】
請求項4に記載の発明は、
請求項1に記載のデータ記録システムにおいて、
前記複数のエラー検出装置(30)は、
前記データ列(IPパケット)に付加されているシーケンス番号が正常にインクリメントされていない箇所を見つけることによりシーケンス番号の順変化を確認し、そのシーケンス番号の順変化に基づいて前記データ列(IPパケット)の順変化を検出することと、
順変化する直前のシーケンス番号から順変化から復帰した直後のシーケンス番号までを抽出し、その抽出した複数個のシーケンス番号と、前記データ列の順変化を検出した日時と、当該エラー検出装置が設置されている伝送ポイントの番号(P2〜P6)とを組み合わせることにより、エラーデータを生成することと
を技術的特徴とする。
【0034】
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置(31)は、
第2記録装置(HDD55)から読み出した前記データ(TS)を構成する全てのデータ列(IPパケット)と、第2記録装置(HDD55)から読み出した前記エラーデータとに基づいて、前記複数のエラー検出装置(30)が設置されている前記伝送ポイント(P2〜P6)にて受信された前記データ(TS)を構成する前記データ列(IPパケット)を再現することを技術的特徴とする。
【0035】
請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置(31)は、
前記データ列の欠落が発生した場合には、前記データ(TS)を構成する全てのデータ列(IPパケット)から、前記エラーデータに含まれるシーケンス番号に該当する前記データ列を欠落させて取り除くことにより、そのデータ列の欠落が発生した伝送ポイント(P2〜P6)にて受信された前記データを構成するデータ列を再現することを技術的特徴とする。
【0036】
請求項7に記載の発明は、
請求項5に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置(31)は、
前記データ列の重複が発生した場合には、前記データ(TS)を構成する全てのデータ列(IPパケット)から、前記エラーデータに含まれるシーケンス番号のうち重複しているシーケンス番号に該当する前記データ列を重複させることにより、そのデータ列の重複が発生した伝送ポイント(P2〜P6)にて受信された前記データを構成するデータ列を再現することを技術的特徴とする。
【0037】
請求項8に記載の発明は、
請求項5に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置(31)は、
前記データ列の順変化が発生した場合には、前記データ(TS)を構成する全てのデータ列(IPパケット)から、前記エラーデータに含まれるシーケンス番号のうち順番が入れ替わっているシーケンス番号に該当するデータ列の順番を入れ替えることにより、そのデータ列の順変化が発生した伝送ポイント(P2〜P6)にて受信された前記データを構成するデータ列を再現することを技術的特徴とする。
【0038】
請求項9に記載の発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置(31)は、第2記録装置(HDD55)に記録保存されている前記エラーデータに基づいて、前記伝送路(La)における複数の伝送ポイント(P2〜P6)における前記データ列(IPパケット)のシーケンスエラーの発生を判定することを技術的特徴とする。
【0039】
請求項10に記載の発明は、
請求項9に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置(31)が判定した前記複数の伝送ポイント(P2〜P6)における前記データ列(IPパケット)のシーケンスエラーの発生状況について、前記複数の伝送ポイント毎に所定期間分だけ一覧表示する表示装置(61)を備えたことを技術的特徴とする。
【0040】
請求項11に記載の発明は、
請求項9に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置(31)が判定した前記複数の伝送ポイント(P2〜P6)の少なくともいずれか1つにおける前記データ列(IPパケット)のシーケンスエラーの発生状況について、所定期間分だけ一覧表示する表示装置(61)を備えたことを技術的特徴とする。
【0041】
請求項12に記載の発明は、
請求項1〜11のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記データは、MPEG(Moving Picture Experts Group)2におけるTS(Transport Stream)であることを技術的特徴とする。
【0042】
請求項13に記載の発明は、
請求項12に記載のデータ記録システムにおいて、
前記データ列はIP(Internet Protocol)パケットであり、前記シーケンス番号はRTP(Real-time Transport Protocol)ヘッダに含まれていることを技術的特徴とする。
【0043】
請求項14に記載の発明は、
請求項1〜13のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおける前記エラー検出装置(30)および前記管理装置(31)としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを技術的特徴とする。
【0044】
請求項15に記載の発明は、
請求項1〜13のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおける前記エラー検出装置(30)および前記管理装置(31)としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0045】
<用語の説明>
上術した[課題を解決するための手段]と後述する[発明の効果]に記載した( )内の符号等は、後述する[発明を実施するための最良の形態]に記載した構成部材・構成要素の符号等に対応したものである。
そして、[課題を解決するための手段][発明の効果]に記載した構成部材・構成要素と、[発明を実施するための最良の形態]に記載した構成部材・構成要素との対応関係は以下のようになっている。
【0046】
[データ]は、MPEG2におけるTSに該当する。
「データ列」は、IPパケットに該当する。
「管理装置」は、保存・再現装置31に該当する。
「第1記録装置」は、RAM43に該当する。
「第2記録装置」は、HDD55に該当する。
「通信回線」は、双方向通信回線Lbに該当する。
【0047】
<請求項1>
請求項1では、後述する[本実施形態の作用・効果]の[1]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
従って、請求項1によれば、データ(TS)の伝送路(La)における複数の伝送ポイント(P2〜P6)にて受信して取得したデータを少ない記録容量の第1記録装置(RAM43)および第2記録装置(HDD55)で効率良く記録保存可能なデータ記録システム(10)を低コストに実現できる。
【0048】
<請求項2>
請求項2では、後述する[エラー検出装置30の動作]の[IPパケットの欠落]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
【0049】
<請求項3>
請求項3では、[エラー検出装置30の動作]の[IPパケットの重複]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
【0050】
<請求項4>
請求項4では、[エラー検出装置30の動作]の[IPパケットの順変化]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
【0051】
<請求項5>
請求項5では、後述する[保存・再現装置31の動作]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
【0052】
<請求項6>
請求項6では、[保存・再現装置31の動作]の[IPパケットの欠落]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
【0053】
<請求項7>
請求項7では、[保存・再現装置31の動作]の[IPパケットの重複]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
【0054】
<請求項8>
請求項8では、[保存・再現装置31の動作]の[IPパケットの順変化]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
【0055】
<請求項9>
請求項9では、[本実施形態の作用・効果]の[3]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
従って、請求項9によれば、管理装置(31)は複数の伝送ポイント(P2〜P6)におけるデータ列(IPパケット)のシーケンスエラーの発生を判定することが可能になるため、どの伝送ポイント間でデータ列のシーケンスエラーが発生したかを容易に判定できる。
【0056】
<請求項10>
請求項10では、[本実施形態の作用・効果]の[3]の[第1表示方法]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
従って、請求項10によれば、複数の伝送ポイント(P2〜P6)におけるデータ列(IPパケット)のシーケンスエラーの発生状況について、各伝送ポイント毎に所定期間分だけ表示装置(61)に一覧表示されるため、データ記録システム(10)の運用管理者は、表示装置の表示画面(61a)を一目するだけでデータ列のシーケンスエラーの発生状況を確認可能であり、データ列のシーケンスエラーが多量に発生したとしても確実に監視することができる。
【0057】
<請求項11>
請求項11では、[本実施形態の作用・効果]の[3]の[第2表示方法]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
従って、請求項11によれば、複数の伝送ポイント(P2〜P6)の少なくともいずれか1つにおけるデータ列(IPパケット)のシーケンスエラーの発生状況について、所定期間分だけ表示装置(61)に一覧表示されるため、データ記録システム(10)の運用管理者は、表示装置の表示画面(61a)を一目するだけでデータ列のシーケンスエラーの発生状況を確認可能であり、データ列のシーケンスエラーが多量に発生したとしても確実に監視することができる。
【0058】
<請求項12>
請求項12では、MPEG2におけるTSを記録するシステムに適用することにより、TSに関して請求項1〜11の前記作用・効果を得ることができる。
【0059】
<請求項13>
請求項13では、IPパケットに関して請求項1〜11の前記作用・効果を得ることができる。
【0060】
<請求項14、請求項15>
請求項14によれば、請求項1〜13のいずれか1項に記載のデータ記録システムを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを提供できる。
また、請求項15によれば、請求項14のプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供できる。
【0061】
このプログラムは、例えば、ROMやバックアップRAMをコンピュータで読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMまたはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いることができる。
この他、前記プログラムを、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を備えた外部記録装置(外部記憶装置)に記録(記憶)しておき、当該プログラムを必要に応じて外部記録装置からコンピュータシステムにロードして用いるようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のデータ記録システム10の全体概略構成を示すブロック図である。
データ記録システム10は、インターネットを用いたMPEG2によるTV放送などのデータ配信に適用したものであり、エラー検出装置30、保存・再現装置(管理装置)31、TSの伝送路La、双方向通信回線Lb、伝送ポイントP1〜P6などから構成されている。
【0063】
図1に示す例では、送信局11から伝送路Laを介して送信されたTSは、中継局12aから視聴者端末13aへ伝送されると共に、中継局12aから中継局12bを介して視聴者端末13bおよび中継局12cへ伝送され、中継局12cから視聴者端末または中継局(図示略)へ伝送される。
【0064】
各エラー検出装置30は、伝送路Laにおける各伝送ポイントP2〜P6にそれぞれ設置されており、その伝送ポイントP1〜P6にてTSが受信(入力)されて取得される。
保存・再現装置31は、伝送路Laにおける始点の伝送ポイントP1に設置されており、その伝送ポイントP1〜P6にてTSが受信されて取得される。
【0065】
送信ポイント(送信箇所)としての伝送ポイントP1は、送信局11に設置された送信機20が伝送路Laを介してTSを送信(出力)する箇所である。
中継ポイント(中継箇所)としての伝送ポイントP2,P4,P6は、中継局12a,12b,12cに設置された送受信機21が伝送路Laを介してTSを送信する箇所である。
受信ポイント(受信箇所)としての伝送ポイントP3,P5は、視聴者が持つ視聴者端末13a,13bに内蔵された受信機22が伝送路Laを介してTSを受信する箇所である。
すなわち、各エラー検出装置30は、中継局12a,12b,12cに設置さ
れると共に、視聴者端末13a,13bに内蔵されている。
【0066】
尚、各エラー検出装置30には、伝送路La中に接続された分配器(図示略)によって分配されたTSが入力される。そのため、各エラー検出装置30を設けることにより、伝送路Laを伝送されるTSが何らかの影響を受けることはない。
【0067】
また、送受信機21は、TSを受信してから送信する中継機能を有する装置であり、具体的には、Ethernet Switch / Ethernet HUB(Ethernetは登録商標である)、ATM Switch、Network Routor、DVB-ASI Routorなどから構成されている。
【0068】
保存・再現装置31は、双方向通信回線Lbを介して各エラー検出装置30と接続されている。
尚、伝送路Laは、ISDNやADSLなどを含む公衆電話回線や光通信回線を含む専用通信回線などから構成されたインターネット回線である。
また、双方向通信回線Lbは、例えば、ISDNやADSLなどを含む公衆電話回線を利用したインターネット回線、CATVやLANなどの専用通信回線、光通信回線、無線回線などから構成される。
【0069】
図2は、エラー検出装置30および保存・再現装置31の概略構成を示すブロック図である。
【0070】
各エラー検出装置30はそれぞれ、CPU(Central Processing Unit)41,ROM(Read Only Memory)42,RAM(Random Access Memory)43,入出力装置(I/O)44などを備えた周知のマイクロコンピュータシステム(以下、「マイコン」と略称する)40を含んで構成されている。
各エラー検出装置30は、ROM42に記憶(記録)されているソフトウェアのコンピュータプログラムをCPU41にロードし、そのコンピュータプログラムに従って各種演算処理を実行することにより、後述する動作を行う。
【0071】
保存・再現装置31は、コンピュータ本体50、入力装置60、表示装置61などから構成されている。
コンピュータ本体50は、CPU51,ROM52,RAM53,入出力装置54,HDD(Hard Disk Drive)55などを備えた周知のマイコンによって構成されている。
保存・再現装置31は、ROM52に記憶されているソフトウェアのコンピュータプログラムをCPU51にロードし、そのコンピュータプログラムに従って各種演算処理を実行することにより、後述する動作を行う。
【0072】
ところで、前記コンピュータプログラムを、マイコン40やコンピュータ本体50に内蔵したROM42,52ではなく、マイコン40やコンピュータ本体50に内蔵した図示しないバックアップRAMや、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を備えた図示しない外部記録装置(外部記憶装置)に記録(記憶)しておき、当該コンピュータプログラムを必要に応じてバックアップRAMや外部記録装置からCPU41,51にロードして用いるようにしてもよい。
ちなみに、コンピュータで読み取り可能な記録媒体には、例えば、半導体メモリ、HD(Hard Disk)、光ディスク(CD−ROM,DVDなど)、光磁気ディスク(MOなど)、相変化ディスク、磁気ディスク、磁気テープなどがある。尚、記録媒体の具体例の名称には登録商標が含まれる。
【0073】
入力装置60は、例えば、キーボードやポインティングデバイスなどから構成されており、データ記録システム10の運用管理者からの指示命令をデータ信号に変換し、そのデータ信号をコンピュータ本体50の入出力装置54を介してCPU51へ転送する。
表示装置61は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの各種方式のディスプレイから構成されており、コンピュータ本体50の入出力装置54を介して転送されてくるCPU51の処理結果(保存。再現装置31の判定結果)を表示画面(モニタ画面)61aに表示して運用管理者に通知する。
【0074】
各エラー検出装置30のマイコン40の入出力装置44と、保存・再現装置31のコンピュータ本体50の入出力装置54とには、伝送路Laを介してTSを構成する複数個のIPパケットが入力されている。
また、各エラー検出装置30のマイコン40の入出力装置44と、保存・再現装置31のコンピュータ本体50の入出力装置54とは、双方向通信回線Lbを介して接続されている。
尚、各エラー検出装置30および保存・再現装置31には、市販のパーソナルコンピュータを使用してもよい。
【0075】
[エラー検出装置30の動作]
各エラー検出装置30は、伝送路Laにおける各伝送ポイントP2〜P6毎に時系列で伝送されてくるTSを受信し、TSを構成する複数個のIPパケットにそれぞれ付加されているシーケンス番号を検査して確認し、その各シーケンス番号に基づいてIPパケットのシーケンスエラーを検出し、その検出結果に従ってエラーデータを生成し、そのエラーデータをRAM43に記録保存すると共に双方向通信回線Lbを介して保存・再現装置31へ送信する。
【0076】
ここで、本実施形態のデータ記録システム10は、TSの伝送路Laに発生する障害がIPパケットのシーケンスエラー(IPパケットの欠落・重複・順変化)のみの場合(個々のIPパケット内のデータが内容変化するデータエラーは発生しない場合)に適用されるものであり、データエラーが発生する場合には適用されない。
【0077】
[IPパケットの欠落]
図3は、IPパケットのシーケンスエラーとしてIPパケットの欠落が発生した場合におけるエラー検出装置30の動作を説明するための説明図である。
【0078】
図3(A)に示すように、送信局11から送信されてきたTSを構成するIPパケットには、シーケンス番号[32]〜[39]が付加されているとする。
図3(B)(C)に示すように、任意のエラー検出装置30が設置されている伝送ポイントP2〜P6にて受信されたTSを構成するIPパケットには、シーケンス番号[35][36]の2個のIPパケットが欠落していたとする。
【0079】
エラー検出装置30は、IPパケットに付加されているシーケンス番号が正常にインクリメントされていない箇所(シーケンス番号が順番に1つずつ増加していない箇所)を見つけることによりシーケンス番号の欠落を確認し、そのシーケンス番号の欠落に基づいてIPパケットの欠落を検出する。
そして、エラー検出装置30は、欠落する直前のシーケンス番号[34]と、欠落から復帰した直後のシーケンス番号[37]とを抽出する。
【0080】
さらに、図3(D)に示すように、エラー検出装置30は、抽出した2個のシーケンス番号[34][37]と、IPパケットの欠落を検出した日時(年月日時分秒)と、設置されている伝送ポイントの番号(P2〜P6)とを組み合わせたエラーデータを生成し、そのエラーデータをRAM43に記録保存すると共に双方向通信回線Lbを介して保存・再現装置31へ送信する。
【0081】
[IPパケットの重複]
図4は、IPパケットのシーケンスエラーとしてIPパケットの重複が発生した場合におけるエラー検出装置30の動作を説明するための説明図である。
【0082】
図4(A)に示すように、送信局11から送信されてきたTSを構成するIPパケットには、シーケンス番号[32]〜[39]が付加されているとする。
図4(B)(C)に示すように、任意のエラー検出装置30が設置されている伝送ポイントP2〜P6にて受信されたTSを構成するIPパケットには、シーケンス番号[35]のIPパケットが2個分だけ重複していたとする。
【0083】
エラー検出装置30は、IPパケットに付加されているシーケンス番号が正常にインクリメントされていない箇所を見つけることによりシーケンス番号の重複を確認し、そのシーケンス番号の重複に基づいてIPパケットの重複を検出する。
そして、エラー検出装置30は、重複する直前のシーケンス番号[34]から、重複から復帰した直後のシーケンス番号[36]までを抽出する。
【0084】
さらに、図4(D)に示すように、エラー検出装置30は、抽出した4個のシーケンス番号[34][35][35][36]と、IPパケットの重複を検出した日時(年月日時分秒)と、設置されている伝送ポイントの番号(P2〜P6)とを組み合わせたエラーデータを生成し、そのエラーデータをRAM43に記録保存すると共に双方向通信回線Lbを介して保存・再現装置31へ送信する。
【0085】
[IPパケットの順変化]
図5は、IPパケットのシーケンスエラーとしてIPパケットの順変化が発生した場合におけるエラー検出装置30の動作を説明するための説明図である。
【0086】
図5(A)に示すように、送信局11から送信されてきたTSを構成するIPパケットには、シーケンス番号[32]〜[39]が付加されているとする。
図5(B)(C)に示すように、任意のエラー検出装置30が設置されている伝送ポイントP2〜P6にて受信されたTSを構成するIPパケットには、シーケンス番号[36][35]の2個のIPパケットの順番が入れ替わる順変化が起こっていたとする。
【0087】
エラー検出装置30は、IPパケットに付加されているシーケンス番号が正常にインクリメントされていない箇所を見つけることによりシーケンス番号の順変化を確認し、そのシーケンス番号の順変化に基づいてIPパケットの順変化を検出する。
そして、エラー検出装置30は、順変化する直前のシーケンス番号[34]から、順変化から復帰した直後のシーケンス番号[37]までを抽出する。
【0088】
さらに、図5(D)に示すように、エラー検出装置30は、抽出した4個のシーケンス番号[34][36][35][37]と、IPパケットの順変化を検出した日時(年月日時分秒)と、設置されている伝送ポイントの番号(P2〜P6)とを組み合わせたエラーデータを生成し、そのエラーデータをRAM43に記録保存すると共に双方向通信回線Lbを介して保存・再現装置31へ送信する。
【0089】
ところで、各エラー検出装置30は、IPパケットのシーケンスエラー(IPパケットの欠落・重複・順変化)の発生後に正常な状態に復帰したかどうかを判断する際に、所定個数NxのIPパケットに付加されているシーケンス番号が正常にインクリメントされている状態になった時点で、その所定個数NxのIPパケットのうち最初のIPパケットをシーケンスエラーの無い正常なIPパケットであると判定する。
【0090】
尚、所定個数Nxの値は、伝送路Laの性質と単位時間当たりに伝送されるIPパケットの個数とに応じてカット・アンド・トライで実験的に最適値を見つけて設定すればよく、2個以上の適宜な個数に設定すればよい。
すなわち、シーケンスエラーが一度発生した後に頻発するような性質を伝送路Laが有する場合や、単位時間当たりに伝送されるIPパケットの個数が多い場合には、所定個数Nxを大きめの値に設定すればよい。
また、シーケンスエラーが稀にしか発生しないような性質を伝送路Laが有する場合や、単位時間当たりに伝送されるIPパケットの個数が少ない場合には、所定個数Nxを小さめの値に設定すればよい。
【0091】
ちなみに、図3〜図5に示す例では、説明を分かり易くするため、シーケンス番号[32]〜[39]を2桁の番号数字で表しているが、実際の運用では、RTPヘッダに含まれるシーケンス番号は16ビットのデータから成るため、0〜65535の間の番号数字で表される。
【0092】
[保存・再現装置31の動作]
保存・再現装置31は、送信機20が伝送路Laを介してTSを送信する伝送ポイントP1にてTSを受信し、そのTSをHDD55に記録保存する。そのため、保存・再現装置31のHDD55には、送信機20が送信したTSを構成する全てのIPパケットが記録保存されて蓄積されている。
【0093】
また、保存・再現装置31は、各エラー検出装置30が双方向通信回線Lbを介して送信してきたエラーデータを受信し、そのエラーデータにファイル名を付けてHDD55に記録保存する。
【0094】
このように、保存・再現装置31のHDD55には、送信機20が送信したTSを構成する全てのIPパケットと、各エラー検出装置30から送信されてきたエラーデータが記録保存されている。
そのため、保存・再現装置31は、HDD55から読み出したTSを構成する全てのIPパケットと、HDD55から読み出したエラーデータとに基づいて、各エラー検出装置30が設置されている伝送ポイントP2〜P6にて受信されたTSを構成するIPパケットを再現(復元)することができる。
【0095】
[IPパケットの欠落]
図3に示すように、IPパケットの欠落が発生した場合には、送信局11から送信されてきたTSを構成するIPパケット(図3(A))から、エラーデータに含まれるシーケンス番号[34][37](図3(D))に該当するIPパケット(図3(C))を欠落させて取り除くことにより、そのIPパケットの欠落が発生した伝送ポイントP2〜P6にて受信されたTSを構成するIPパケットを再現することができる(図3(B))。
【0096】
[IPパケットの重複]
図4に示すように、IPパケットの重複が発生した場合には、送信局11から送信されてきたTSを構成するIPパケット(図4(A))から、エラーデータに含まれるシーケンス番号[34][35][35][36](図4(D))のうち重複しているシーケンス番号に該当するIPパケット(図4(C))を重複させることにより、そのIPパケットの重複が発生した伝送ポイントP2〜P6にて受信されたTSを構成するIPパケットを再現することができる(図4(B))。
【0097】
[IPパケットの順変化]
図5に示すように、IPパケットの順変化が発生した場合には、送信局11から送信されてきたTSを構成するIPパケット(図5(A))から、エラーデータに含まれるシーケンス番号[34][36][35][37](図5(D))のうち順番が入れ替わっているシーケンス番号に該当するIPパケット(図5(C))の順番を入れ替えることにより、そのIPパケットの順変化が発生した伝送ポイントP2〜P6にて受信されたTSを構成するIPパケットを再現することができる(図5(B))。
【0098】
[本実施形態の作用・効果]
本実施形態によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0099】
[1]TSの伝送路Laにおける各伝送ポイントP2〜P6に設置されている各エラー検出装置30は、TSを構成するIPパケットに付加されているシーケンス番号に基づいてIPパケットのシーケンスエラーを検出し、その検出結果に従ってエラーデータを生成し、そのエラーデータをRAM43に記録保存すると共に双方向通信回線Lbを介して保存・再現装置31へ送信する。
【0100】
すなわち、各エラー検出装置30は、エラーデータのみをRAM43に記録保存し、TSを構成するIPパケットについては記録保存しない。
ここで、エラーデータは、シーケンス番号と、シーケンスエラーが検出された日時と、伝送ポイントの番号(P2〜P6)とを組み合わせたものでり、そのデータサイズは小さい。
従って、各エラー検出装置30に内蔵されたRAM43の記録容量を小さくすることが可能であるため、各エラー検出装置30を低コストに提供できる。
【0101】
それに対して、送信機20が送信したTSを構成する全てのIPパケットを各エラー検出装置30が記録保存する方法では、TSを構成する全てのIPパケットを記録保存するための大容量で高価な記録装置(例えばHDDなど)を各エラー検出装置30に内蔵させる必要があり、各エラー検出装置30のコストが大幅に増大することになる。
【0102】
本実施形態によれば、TSの伝送路Laの各伝送ポイントP2〜P6毎にシーケンスエラー監視装置を設置する従来技術に比べ、エラー検出装置30を設置する伝送ポイントの数が多くなるほど、データ記録システム10全体の設置コストを低く抑えることができる。
【0103】
ところで、各エラー検出装置30のRAM43に記録保存されたエラーデータを削除(消去)するタイミングの設定方法には、例えば以下のようにものがある。
【0104】
[a]保存・再現装置31は、各エラー検出装置30が双方向通信回線Lbを介して送信してきたエラーデータを正常に受信したら、エラーデータを正常に受信したことを確認するための受信確認メッセージを生成し、その受信確認メッセージを双方向通信回線Lbを介してエラー検出装置30へ送信する。
【0105】
各エラー検出装置30は、保存・再現装置31が双方向通信回線Lbを介して送信してきた受信確認メッセージを受信したら、RAM43に記録保存しておいたエラーデータを削除する。
【0106】
また、各エラー検出装置30は、保存・再現装置31に対して双方向通信回線Lbを介してエラーデータを送信した後、データ記録システム10の運用管理者が予め設定しておいた所定時間Ta経過後までに受信確認メッセージを受信できない場合には、再び保存・再現装置31に対して双方向通信回線Lbを介してエラーデータを送信する再送処理を行う。
【0107】
そして、各エラー検出装置30は、データ記録システム10の運用管理者が予め設定しておいた所定再送回数Nrに到達するまで前記再送処理を繰り返しても、受信確認メッセージを受信できない場合には、RAM43に記録保存しておいたエラーデータを削除する。
【0108】
[b]各エラー検出装置30は、保存・再現装置31へエラーデータを送信後に、データ記録システム10の運用管理者が予め設定しておいた所定時間Tbが経過した時点で、RAM43に記録保存しておいたエラーデータを削除する。
【0109】
[c]各エラー検出装置30は、データ記録システム10の運用管理者からエラーデータを削除する指令が与えられた時点で、RAM43に記録保存しておいたエラーデータを削除する。
【0110】
[d]各エラー検出装置30は、データ記録システム10の運用管理者が予め設定しておいた所定回数Nyだけエラーデータを保存・再現装置31へ連続して送信し、所定回数Nyの送信を終えた時点で、RAM43に記録保存しておいたエラーデータを削除する。
【0111】
前記[b]〜[d]の方法では、各エラー検出装置30から保存・再現装置31へエラーデータを送信するだけであるため、双方向通信回線Lbを片方向通信回線に置き換えることができる。
【0112】
尚、所定時間Ta,Tb、所定回数Ny、所定再送回数Nrの値はそれぞれ、各エラー検出装置30から送信されたエラーデータを保存・再現装置31が受信するのに要する時間と、エラーデータを送信する双方向通信回線Lbの信頼性および回線速度と、エラーデータの送信頻度と、保存・再現装置31の故障時や双方向通信回線Lbの障害発生時に復旧するのに要する時間などとを勘案し、カット・アンド・トライで実験的に最適値を見つけて設定すればよい。
また、エラーデータに誤り訂正符号を付加しておけば、所定時間Ta,Tb、所定回数Ny、所定再送回数Nrをそれぞれ小さな値に設定できる。
【0113】
従って、データ記録システム10の運用管理者がIPパケットのシーケンスエラーの調査を行う際に、長期間(例えば、数日間〜数週間)に渡るシーケンスエラーの発生状況を監視して検討する場合でも、本実施形態では、各エラー検出装置30のRAM43に当該長期間のエラーデータを記録保存しておく必要がないため、記録容量が小さい安価なRAM43を使用できる。
【0114】
その結果、本実施形態によれば、長期間に渡るIPパケットのシーケンスエラーの発生状況を監視して検討する場合に高価な大容量の記録媒体をシーケンスエラー監視装置内に設けなければならない従来技術に比べ、システム全体の設置コストを低く抑えることができる。
【0115】
ところで、特許文献2の放送番組記録装置を各伝送ポイントP2〜P6毎に設置しておき、各伝送ポイントP2〜P6にて受信されたTSをそれぞれの放送番組記録装置に記録することが考えられる。
ここで、特許文献2の請求項1に記載の技術では、一時記憶手段と大容量の記憶手段とを備える。
また、特許文献2の請求項2に記載の技術では、第1の記憶手段,第2の記憶手段,第3の記憶手段を備え、特許文献2の第1の実施形態には、第1の記憶手段としての一次記憶装置はRAMによって具体化され、第2の記憶手段としての二次記憶装置はHDによって具体化され、第3の記憶手段としての三次記憶装置は磁気テープによって具体化され、その磁気テープを交換するためのオートチェンジャを備えることが記載されている。
【0116】
そのため、特許文献2の放送番組記録装置は、1個のRAM43を備えるだけの各エラー検出装置30に比べて非常に高価になる。
従って、本実施形態によれば、伝送ポイントに特許文献2の放送番組記録装置を設置する技術に比べ、エラー検出装置30を設置する伝送ポイントの数が多くなるほど、データ記録システム10全体の設置コストを低く抑えることができる。
【0117】
このように、本実施形態において、送信機20が送信したTSを構成する全てのIPパケットを記録保存するのは、保存・再現装置31に内蔵されたHDD55だけである。
そして、保存・再現装置31のHDD55には、各エラー検出装置30から送信されてきたエラーデータも記録保存されるが、エラーデータのデータサイズは小さいため、エラーデータの記録保存のためにHDD55の記録容量を大幅に増大させる必要はない。
従って、本実施形態によれば、伝送路Laにおける複数の伝送ポイントにて受信して取得したTSを少ない記録容量の記録装置(RAM43、HDD55)で効率良く記録保存可能なデータ記録システム10を低コストに実現できる。
【0118】
[2]保存・再現装置31は、各エラー検出装置30から送信されてきたエラーデータをHDD55に記録保存する際に、そのエラーデータを送信してきたエラー検出装置30が設置されている伝送ポイントと、エラー検出装置30がIPパケットのシーケンスエラーを検出した日時と、エラーデータに含まれるシーケンス番号の範囲とを、HDD55から容易に検索して読み出せるような形式で記録保存する必要がある。
【0119】
そこで、保存・再現装置31がエラーデータをHDD55に記録保存する際に付けるファイル名は、そのエラーデータを送信してきたエラー検出装置30が設置されている伝送ポイントの番号(P2〜P6)と、エラー検出装置30がIPパケットのシーケンスエラーを検出した日時(年月日時分秒)と、エラーデータに含まれるシーケンス番号のうち最初のシーケンス番号および最後のシーケンス番号とを組み合わせて作成すればよい。
【0120】
例えば、伝送ポイントの番号が「P2」、シーケンスエラーを検出した日時が「2008年11月19日3時24分8秒」、図5(D)に示すように4個のシーケンス番号[34][36][35][37]がエラーデータに含まれている場合には、下記のファイル名が付けられる。
【0121】
ファイル名:P2−20081119−032408−34−37
【0122】
ここで、エラー検出装置30がIPパケットのシーケンスエラーを検出した日時をファイル名に記載するのは、伝送ポイント番号およびシーケンス番号が同じエラーデータを区別するためである。
すなわち、シーケンス番号は、16ビット固定長のデータから成り、その16ビットによって規定される番号数字がサイクリックにインクリメントされる。
そのため、長期間に渡るエラーデータを保存・再現装置31のHDD55に記録保存すると、伝送ポイント番号およびシーケンス番号が同じエラーデータが複数個現れるおそれがある。
そこで、エラー検出装置30がIPパケットのシーケンスエラーを検出した日時をファイル名に記載すれば、伝送ポイント番号およびシーケンス番号が同じエラーデータが現れても区別することができる。
【0123】
[3]保存・再現装置31は、HDD55に記録保存されているエラーデータに基づいて、各伝送ポイントP2〜P6におけるどの伝送ポイント間でどの日時にIPパケットのシーケンスエラーが発生したかを容易に判定(検出)することができる。
そして、保存・再現装置31は、IPパケットのシーケンスエラー発生の判定結果(検出結果)を表示装置61の表示画面61aに表示させるが、その表示方法には例えば以下のようなものがある。
【0124】
[第1表示方法]
図6は、表示装置61の表示画面61aに表示されたIPパケットのシーケンスエラー発生の判定結果の第1表示方法を示す正面図である。
表示画面61aには、縦方向に4個、横方向に24個のセルがマトリックスに配置された表が表示され、縦方向の見出しには伝送ポイントP2〜P6を示す符号が表示され、横方向の見出しには1日を1時間毎に分けた時間が表示されている。
そして、IPパケットのシーケンスエラー発生を表すセルについては、その表示色を他のセルと変えたり、表示を点滅させることにより、他のセルと区別して視認できるようにする。
【0125】
図6に示す例において、表示画面61aでは、14時における各伝送ポイントP3〜P6を示す4つのセルの表示色が変えられている。
ところで、図6に示す例では、特定の年月日(2008年11月19日)の24時間分が表示されているが、「前日を表示」と記されている設定選択ボタンを入力装置60を用いて操作することにより前日(2008年11月18日)の24時間分が表示され、「翌日を表示」と記されている設定選択ボタンを入力装置60を用いて操作することにより翌日(2008年11月20日)の24時間分が表示される。
【0126】
尚、図6に示す例に限らず、横方向に60個のセルを配置すると共に、横方向の見出しに特定の1時間を1分毎に分けた時間を表示するようにしてもよい。
また、横方向に7個のセルを配置すると共に、横方向の見出しに特定の1週間を1日毎に分けた日付(曜日)を表示するようにしてもよい。
また、横方向に31個のセルを配置すると共に、横方向の見出しに特定の1ヶ月間を1日毎に分けた日付を表示するようにしてもよい。
そして、表示画面61aに表示されている任意のセルを入力装置60を用いて指定することにより、これらの表示を切り替えるようにしてもよい。
【0127】
[第2表示方法]
図7は、表示装置61の表示画面61aに表示されたIPパケットのシーケンスエラー発生の判定結果の第2表示方法を示す正面図である。
表示画面61aには、縦方向に24個、横方向に31個のセルがマトリックスに配置された表が表示され、縦方向の見出しには1日を1時間毎に分けた時間が表示され、横方向の見出しには1ヶ月間を1日毎に分けた日付が表示されている。
そして、IPパケットのシーケンスエラー発生を表すセルについては、その表示色を他のセルと変えたり、表示を点滅させることにより、他のセルと区別して視認できるようにする。
【0128】
この第2表示方法では、各伝送ポイントP2〜P6の内のどれか1つの伝送ポイントでも、シーケンスエラー発生が判定された場合には、そのシーケンスエラーの発生した日時に対応するセルの表示色が変えられるようになっている。
【0129】
ところで、図7に示す例では、特定の年月(2008年11月)の1ヶ月分が表示されているが、「前月を表示」と記されている設定選択ボタンを入力装置60を用いて操作することにより前月(2008年10月)の1ヶ月分が表示され、「翌月を表示」と記されている設定選択ボタンを入力装置60を用いて操作することにより翌月(2008年12月)の1ヶ月分が表示される。
【0130】
尚、図7に示す例に限らず、縦横方向にそれぞれ60個のセルをマトリックスに配置すると共に、縦方向の見出しに1分間を1秒毎に分けた時間を表示し、横方向の見出しに特定の1時間を1分毎に分けた時間を表示するようにしてもよい。
また、縦方向に24個、横方向に7個のセルをマトリックスに配置すると共に、縦方向の見出しに1日を1時間毎に分けた時間を表示し、横方向の見出しに特定の1週間を1日毎に分けた日付(曜日)を表示するようにしてもよい。
そして、表示画面61aに表示されている任意のセルを入力装置60を用いて指定することにより、これらの表示を切り替えるようにしてもよい。
【0131】
ところで、第1表示方法および第2表示方法において、表示画面61aに表示されているセルを入力装置60を用いて指定することにより、その指定したセルに該当する伝送ポイントP2〜P6にてエラー検出装置30が受信したTSを構成するIPパケットを保存・再現装置31から出力させるようにしてもよい。
すなわち、再現対象の時刻範囲や伝送ポイントP2〜P6を指定するために、表示画面61aに表示されているセルを入力装置60を用いて指定するようにしてもよい。
例えば、図6において、表示画面61aに表示されているセルCLを指定した場合には、伝送ポイントP6における2008年11月19日14時台のTSを構成するIPパケットを再現する指定となる。
【0132】
尚、特定の種類(IPパケットの欠落・重複・順変化)のシーケンスエラーの有無のみを表示画面61aに表示させるようにしてもよい。
また、シーケンスエラーの種類毎に、セルの表示色や点滅間隔を変えることにより、シーケンスエラーの種類を区別して視認できるようにしてもよい。
そして、保存・再現装置31は、IPパケットのシーケンスエラーの判定結果をHDD55に記録保存するようにしてもよい。
【0133】
このように、第1表示方法および第2表示方法を用いることにより、データ記録システム10の運用管理者は、保存・再現装置31の表示装置61の表示画面61aを一目するだけで所定期間におけるIPパケットのシーケンスエラーの発生状況を確認可能であり、IPパケットのシーケンスエラーが多量に発生したとしても確実に監視することができる。
【0134】
<別の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0135】
<1>上記実施形態において、送受信機21はTSを受信してから送信する中継機能を有する装置であり、各エラー検出装置30には伝送路La中に接続された分配器(図示略)によって分配されたTSが入力される。
しかし、送受信機21を省き、前記分配器のみを設けるようにしてもよい。
また、送受信機21にエラー検出装置30の機能を備えさせることにより、前記分配器を省くようにしてもよい。
また、受信機22にエラー検出装置30の機能を備えさせるようにしてもよい。
【0136】
<2>上記実施形態では、マイコン40によるソフトウェア的な処理によって各エラー検出装置30の前記動作を実現すると共に、コンピュータ本体50によるソフトウェア的な処理によって保存・再現装置31の前記動作を実現している。
しかし、各エラー検出装置30の前記動作を実現する機能を備えた専用の回路をハードウェアとして設けることにより、その専用回路にマイコン40を置き換えてもよい。
また、保存・再現装置31の前記動作を実現する機能を備えた専用の回路をハードウェアとして設けることにより、その専用回路にコンピュータ本体50を置き換えてもよい。
【0137】
<3>上記実施形態は記録媒体としてRAM43およびHDD55を用いているが、各エラー検出装置30および保存・再現装置31の前記動作を確実に行うことが可能であれば、RAM43およびHDD55をどのような記録媒体に置き換えてもよい。
【0138】
<4>上記実施形態は、インターネットを用いたMPEG2によるTV放送などのデータ配信に適用したものである。
しかし、本発明はMPEG2によるデジタル放送に適用してもよく、その場合には伝送路Laを片方向通信回線としてもよく、例えば、放送電波、専用通信回線、光通信回線などによって具体化すればよい。
また、本発明はMPEG2によるデータ通信に適用してもよく、その場合には伝送路Laを双方向通信回線としてもよい。
【0139】
尚、上記実施形態において、伝送路Laが双方向通信回線の場合には、双方向通信回線Lbの機能を伝送路Laを用いて包括することが可能であり、この場合には、双方向通信回線Lbを無くし伝送路Laのみで上記実施形態と同等の機能を実現できる。
【0140】
<5>上記実施形態では、TSを構成するIPパケットに付加されているシーケンス番号を利用している。
しかし、TSを適宜な分割方法によって分割し、その分割されたTSから成るパケット群(データ列パケット)毎に、予めシーケンス番号を付加しておくようにしてもよい。
この場合、送信機20は、パケット群毎にシーケンス番号が付加されたTSを送信する。
ここで、TSの分割方法(分割規則)には、例えば以下のようなものがあるが、以下の例に限らずどのような分割方法を用いてもよい。
【0141】
[ア]TSに含まれるTOT(Time Offset Table)パケット毎にTSを分割し、TSを構成する複数個のTSパケットをTOTパケットが現れる度にまとめてパケット群を生成する。
尚、TSを分割する際には、TSに多重化されているオーディオESおよびビデオESのいずれか一方のみを抜き出し、その抜き出したESを分割してもよい。
【0142】
[イ]PCRやPES内のDTS(Decoding. Time Stamp)またはPTS(Presentation Time Stamp)に基づいてTSを分割する方法。
【0143】
[ウ]TSに特定の周期で挿入されることが分かっているPAT(Program Association Table)などのTSパケットにおける連続性指標に基づいてTSを分割する方法。
ここで、PATの周期は100ms前後、連続性指標は0〜15の範囲のため、例えば、連続性指標=0のTSパケットのみを拾えば、約1.6秒単位でTSを分割可能なため、各伝送ポイントP2〜P6間の時間誤差が前記1.6秒に対して十分に小さければ分割方法として利用できる。
【0144】
[エ]TS中に含まれる雑多なデータからハッシュ関数で生成した識別コードとおおよその時刻の組とに基づいてTSを分割する方法。
【0145】
[オ]所定個数のTSパケットをまとめて1個のパケット群とすることにより、TSを前記所定個数ずつのTSパケットから成るパケット群に分割する方法。
【0146】
<6>本発明は、MPEG2におけるTS(MPEG2 TS)に限らず、時系列で伝送されるデータであれば、どのようなデータに適用してもよい。
この場合、前記<5>に相当するデータの分割方法は、そのデータの特性に合わせて適宜設定すればよく、例えば、データ抜けが生じないデータであれば、所定のデータ量毎にデータを区切ることによりデータを分割すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明を具体化した一実施形態のデータ記録システム10の全体概略構成を示すブロック図。
【図2】データ記録システム10におけるエラー検出装置30および保存・再現装置31の概略構成を示すブロック図。
【図3】IPパケットのシーケンスエラーとしてIPパケットの欠落が発生した場合におけるエラー検出装置30の動作を説明するための説明図。
【図4】IPパケットのシーケンスエラーとしてIPパケットの重複が発生した場合におけるエラー検出装置30の動作を説明するための説明図。
【図5】IPパケットのシーケンスエラーとしてIPパケットの順変化が発生した場合におけるエラー検出装置30の動作を説明するための説明図。
【図6】表示装置61の表示画面61aに表示されたIPパケットのシーケンスエラー発生の判定結果の第1表示方法を示す正面図。
【図7】表示装置61の表示画面61aに表示されたIPパケットのシーケンスエラー発生の判定結果の第2表示方法を示す正面図。
【符号の説明】
【0148】
10…データ記録システム
11…送信局
12a,12b,12c…中継局
13a,13b…視聴者端末
20…送信機
21…送受信機
22…受信機
30…エラー検出装置
31…保存・再現装置(管理装置)
40…マイクロコンピュータシステム
43…RAM
50…コンピュータ本体
55…HDD
60…入力装置
61…表示装置
61a…表示画面
P1〜P6…伝送ポイント
La…伝送路
Lb…双方向通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データが時系列で伝送される伝送路と、
前記データは分割されたデータ列から成り、各データ列にはデータ順を表す情報であるシーケンス番号が付加されていることと、
前記伝送路における複数の伝送ポイントにそれぞれ設置されたエラー検出装置と、
その複数のエラー検出装置にそれぞれ設けられた第1記録装置と、
前記伝送路における始点の伝送ポイントに設置され、前記複数のエラー検出装置と通信回線を介して接続された管理装置と、
その管理装置に設けられた第2記録装置と
を備えたデータ記録システムであって、
前記複数のエラー検出装置はそれぞれ、前記伝送路における各伝送ポイント毎に前記データを受信し、前記データを構成する前記データ列にそれぞれ付加されている前記シーケンス番号を検査して確認し、その各シーケンス番号に基づいて前記データ列のシーケンスエラーを検出し、その検出結果に従ってエラーデータを生成し、そのエラーデータを第1記録装置に記録保存すると共に前記通信回線を介して前記管理装置へ送信することと、
前記データ列のシーケンスエラーの種類には、前記データを構成していなければならない前記データ列が欠落して無くなっているデータ列の欠落と、前記データに複数個の同じ前記データ列が重複して含まれているデータ列の重複と、前記データを構成する前記データ列の順番が本来あるべき正しい順番とは入れ替わっているデータ列の順変化とがあることと、
前記管理装置は、前記伝送路における始点の伝送ポイントにて前記データを受信し、そのデータを第2記録装置に記録保存すると共に、前記複数のエラー検出装置が前記通信回線を介して送信してきた前記エラーデータを受信し、そのエラーデータを第2記録装置に記録保存することと
を特徴とするデータ記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ記録システムにおいて、
前記複数のエラー検出装置は、
前記データ列に付加されているシーケンス番号が正常にインクリメントされていない箇所を見つけることによりシーケンス番号の欠落を確認し、そのシーケンス番号の欠落に基づいて前記データ列の欠落を検出することと、
欠落する直前のシーケンス番号から欠落から復帰した直後のシーケンス番号までを抽出し、その抽出した複数個のシーケンス番号と、前記データ列の欠落を検出した日時と、当該エラー検出装置が設置されている伝送ポイントの番号とを組み合わせることにより、エラーデータを生成することと
を特徴とするデータ記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ記録システムにおいて、
前記複数のエラー検出装置は、
前記データ列に付加されているシーケンス番号が正常にインクリメントされていない箇所を見つけることによりシーケンス番号の重複を確認し、そのシーケンス番号の重複に基づいて前記データ列の重複を検出することと、
重複する直前のシーケンス番号から重複から復帰した直後のシーケンス番号までを抽出し、その抽出した複数個のシーケンス番号と、前記データ列の重複を検出した日時と、当該エラー検出装置が設置されている伝送ポイントの番号とを組み合わせることにより、エラーデータを生成することと
を特徴とするデータ記録装置。
【請求項4】
請求項1に記載のデータ記録システムにおいて、
前記複数のエラー検出装置は、
前記データ列に付加されているシーケンス番号が正常にインクリメントされていない箇所を見つけることによりシーケンス番号の順変化を確認し、そのシーケンス番号の順変化に基づいて前記データ列の順変化を検出することと、
順変化する直前のシーケンス番号から順変化から復帰した直後のシーケンス番号までを抽出し、その抽出した複数個のシーケンス番号と、前記データ列の順変化を検出した日時と、当該エラー検出装置が設置されている伝送ポイントの番号とを組み合わせることにより、エラーデータを生成することと
を特徴とするデータ記録装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置は、
第2記録装置から読み出した前記データを構成する全てのデータ列と、第2記録装置から読み出した前記エラーデータとに基づいて、前記複数のエラー検出装置が設置されている前記伝送ポイントにて受信された前記データを構成する前記データ列を再現することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置は、
前記データ列の欠落が発生した場合には、前記データを構成する全てのデータ列から、前記エラーデータに含まれるシーケンス番号に該当する前記データ列を欠落させて取り除くことにより、そのデータ列の欠落が発生した伝送ポイントにて受信された前記データを構成するデータ列を再現することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項7】
請求項5に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置は、
前記データ列の重複が発生した場合には、前記データを構成する全てのデータ列から、前記エラーデータに含まれるシーケンス番号のうち重複しているシーケンス番号に該当する前記データ列を重複させることにより、そのデータ列の重複が発生した伝送ポイントにて受信された前記データを構成するデータ列を再現することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項8】
請求項5に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置は、
前記データ列の順変化が発生した場合には、前記データを構成する全てのデータ列から、前記エラーデータに含まれるシーケンス番号のうち順番が入れ替わっているシーケンス番号に該当するデータ列の順番を入れ替えることにより、そのデータ列の順変化が発生した伝送ポイントにて受信された前記データを構成するデータ列を再現することを特徴とするデータ記録装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置は、第2記録装置に記録保存されている前記エラーデータに基づいて、前記伝送路における複数の伝送ポイントにおける前記データ列のシーケンスエラーの発生を判定することを特徴とするデータ記録システム。
【請求項10】
請求項9に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置が判定した前記複数の伝送ポイントにおける前記データ列のシーケンスエラーの発生状況について、前記複数の伝送ポイント毎に所定期間分だけ一覧表示する表示装置を備えたことを特徴とするデータ記録システム。
【請求項11】
請求項9に記載のデータ記録システムにおいて、
前記管理装置が判定した前記複数の伝送ポイントの少なくともいずれか1つにおける前記データ列のシーケンスエラーの発生状況について、所定期間分だけ一覧表示する表示装置を備えたことを特徴とするデータ記録システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記データは、MPEG(Moving Picture Experts Group)2におけるTS(Transport Stream)であることを特徴とするデータ記録システム。
【請求項13】
請求項12に記載のデータ記録システムにおいて、
前記データ列はIP(Internet Protocol)パケットであり、前記シーケンス番号はRTP(Real-time Transport Protocol)ヘッダに含まれていることを特徴とするデータ記録システム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおける前記エラー検出装置および前記管理装置としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおける前記エラー検出装置および前記管理装置としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−119046(P2010−119046A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292497(P2008−292497)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(398035604)株式会社トラフィック・シム (8)
【Fターム(参考)】