説明

データ転送管理装置およびデータ転送管理プログラム

【課題】 医用画像装置間での医用画像データの転送を効率化する。
【解決手段】 転送履歴データベース13では、医用画像データを送信する候補装置を前記複数の医用画像装置から転送レートを考慮して選定するための参考情報を記憶する。候補装置15は、医用画像装置3からの要求に応じて、その要求に応じた医用画像データの送信を行うのに適する候補装置を前記参考情報に基づいて前記複数の医用画像装置3から選定する。送信要求部16は、選定された候補装置に、前記要求に基づく医用画像データの送信を要求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の医用画像装置どうしでの医用画像データの転送を管理するデータ転送管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関では、画像診断装置、画像ビューワ、画像サーバなどのような医用画像装置が複数使用される。そしてこれら複数の医用画像装置の間では、病院内ネットワークを介して医用画像データの転送が行われる。
【0003】
このような医用画像データの転送は、DICOM規格に基づいて、2つの医用画像装置間で直接的に行われるのが一般的である。すなわち、医用画像データを取得しようとする医用画像装置(以下、第1の装置と称する)のオペレータは、他の医用画像装置(以下、第2の装置と称する)の1つから患者リストや検査リストを取得する。オペレータは、取得したリストに基づいて、第2の装置が所望とする医用画像データを保持しているか否かを確認する。第2の装置が所望とする医用画像データを保持していないならば、別の第2の装置からのリストの取得と、所望画像データの有無の確認を繰り返すことで、所望とする医用画像データを保持している第2の装置を探す。該当する第2の装置が見つかったならば、オペレータは、この第2の装置へ第1の装置から画像転送を要求する。そして、この要求を受けた第2の装置が、要求元である第1の装置へ医用画像データを転送する。
【特許文献1】特許第2664683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、1つの医用画像データが複数の医用画像装置に保持されていることがある。このような場合、オペレータによって選択された医用画像装置から医用画像データの転送が行われることになる。
【0005】
しかしながら、同一の医用画像データを転送する場合であっても、送信を行う医用画像装置に応じて転送に要する時間が異なる。オペレータにより適切な医用画像装置が選択されなければ、医用画像データの転送が不効率になってしまう。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、医用画像装置間での医用画像データの転送を効率化することが可能なデータ転送管理装置およびデータ転送管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するために第1の本発明は、複数の医用画像装置どうしでの医用画像データの転送を管理するデータ転送管理装置に、医用画像データを送信する候補装置を前記複数の医用画像装置から転送レートを考慮して選定するための参考情報を記憶する手段と、前記医用画像装置からの要求に応じて、その要求に応じた医用画像データの送信を行うのに適する候補装置を前記参考情報に基づいて前記複数の医用画像装置から選定する手段と、選定された候補装置に、前記要求に基づく医用画像データの送信を要求する手段とを備えた。
【0008】
前記目的を達成するために第2の本発明は、複数の医用画像装置どうしでの医用画像データの転送を管理するデータ転送管理装置に、記憶手段と、前記医用画像データの転送が行われる毎に、その転送における転送レートに関する情報を前記記憶手段に書き込む手段と、前記医用画像装置からの要求に応じて、その要求に応じた医用画像データの送信を行うのに適する候補装置を、前記記憶手段に蓄積された情報に基づいて、転送レートを考慮して選定する選定手段と、選定された候補装置に、前記要求に基づく医用画像データの送信を要求する手段とを備えた。
【0009】
前記目的を達成するために第3の本発明は、医用画像データを送信する候補装置を前記複数の医用画像装置から転送レートを考慮して選定するための参考情報を記憶する記憶媒体にアクセス可能なコンピュータを複数の医用画像装置どうしでの医用画像データの転送を管理するデータ転送管理装置として機能させるデータ転送管理プログラムを、前記コンピュータをさらに、前記医用画像装置からの要求に応じて、その要求に応じた医用画像データの送信を行うのに適する候補装置を前記参考情報に基づいて前記複数の医用画像装置から選定する手段と、選定された候補装置に、前記要求に基づく医用画像データの送信を要求する手段として機能させるものとした。
【0010】
前記目的を達成するために第4の本発明は、記憶媒体にアクセス可能なコンピュータを複数の医用画像装置どうしでの医用画像データの転送を管理するデータ転送管理装置として機能させるデータ転送管理プログラムを、前記コンピュータをさらに、前記医用画像データの転送が行われる毎に、その転送における転送レートに関する情報を前記記憶媒体に書き込む手段と、前記医用画像装置からの要求に応じて、その要求に応じた医用画像データの送信を行うのに適する候補装置を、前記記憶媒体に蓄積された情報に基づいて、転送レートを考慮して選定する選定手段と、選定された候補装置に、前記要求に基づく医用画像データの送信を要求する手段として機能させるものとした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、医用画像装置間での医用画像データの転送を効率化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係るデータ転送管理装置を適用した転送レート管理サーバ1の構成を示すブロック図である。
転送レート管理サーバ1は、病院内のLAN(local area network)2に接続されている。LAN2には、複数の医用画像装置3が接続されている。医用画像装置3は、画像診断装置、画像ビューワ、画像サーバなどのような医用画像を取り扱ういかなる装置も含み得る。そして転送レート管理サーバ1は、医用画像装置3どうしの間での医用画像データの転送を管理する。なお、医用画像データの送受信は、FTP(file transfer protocol)などのプロトコルにより医用画像装置3どうしで直接に行われる。すなわち転送レート管理サーバ1は、医用画像データの送受信を行わない。
【0013】
転送レート管理サーバ1は、通信インタフェース部11、履歴情報登録部12、転送履歴データベース(転送履歴DB)13、転送要求入力部14、候補装置選定部15および送信要求部16を含む。
【0014】
この転送レート管理サーバ1は、例えば汎用のサーバ装置やコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることができる。そして履歴情報登録部12、転送要求入力部14、候補装置選定部15および送信要求部16は、上記のサーバ装置やコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このときに転送レート管理サーバ1は、上記のプログラムが上記のサーバ装置やコンピュータ装置に予めインストールされて実現されても良いし、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ(メモリカードなど)などのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを配布し、このプログラムをサーバ装置やコンピュータ装置に適宜インストールして実現されても良い。なお、上記の各部は、その一部または全てをロジック回路などのハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各部のそれぞれは、ハードウェアとソフトウェア制御とを組み合わせて実現することも可能である。転送履歴データベース13は、上記のサーバ装置やコンピュータ装置に内蔵されたメモリやハードディスク装置などの記憶デバイス、上記のサーバ装置やコンピュータ装置に外付けされたメモリやハードディスク装置などの記憶デバイス、さらには磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクなどのようなリムーバブルな記録媒体などを適宜利用して実現することができる。
【0015】
通信インタフェース部11は、例えばTCP/IP(transmission control protocol/internet protocol)などの通信プロトコルの下にLAN2を介した通信を行うための周知の処理を行う。通信インタフェース部11は、医用画像装置3から送信される履歴情報を受信した場合、これを履歴情報登録部12へ与える。通信インタフェース部11は、医用画像装置3から送信される転送要求を受信した場合、これを転送要求入力部14へ与える。
【0016】
履歴情報登録部12は、医用画像装置3から送られてきた履歴情報に基づいて、医用画像装置3どうしの間で行われた医用画像データの転送の履歴を管理するためのレコードを転送履歴データベース13に登録する。転送履歴データベース13は、履歴情報登録部12により登録されるレコードを蓄積する。
【0017】
図2は転送履歴データベース13の内容の具体例を示す図である。この図2に示すように転送履歴データベース13は、患者識別情報、転送データ識別情報、送信側装置識別情報、受信側装置識別情報、開始日時、終了日時、転送枚数および転送レートをそれぞれ記述するフィールドからなるレコードを含む。なお、転送履歴データベース13は、これらのフィールドの一部を有さなくても良いし、あるいは別のフィールドを含んでも良い。
【0018】
患者識別情報のフィールドには、転送された医用画像データに対応する患者の識別情報(例えば患者ID、患者名、ユニークID(UID)など)が記述される。転送データ識別情報のフィールドには、転送された医用画像データの識別情報が記述される。送信側装置識別情報のフィールドには、医用画像データを送信した医用画像装置3の識別情報が記述される。受信側装置識別情報のフィールドには、医用画像データを受信した医用画像装置3の識別情報が記述される。開始日時のフィールドには、医用画像データの転送が開始された日時が記述される。終了日時のフィールドには、医用画像データの転送が終了した日時が記述される。転送枚数のフィールドには、転送された医用画像データが表す医用画像の枚数が記述される。転送レートのフィールドには、当該医用画像データの転送に関する転送レートが記述される。
【0019】
転送要求入力部14は、医用画像装置3から送られてきた転送要求を解析し、医用画像データの送信先となる医用画像装置3と、転送対象となる医用画像データとを特定する。なお以下においては、ここで特定される医用画像装置3および医用画像データを、それぞれ送信先装置および転送対象データと称する。転送要求入力部14は、転送先装置および転送対象データを、候補装置選定部15および送信要求部16に通知する。
【0020】
候補装置選定部15は、転送対象データを転送先装置へ送信するのに適する医用画像装置3を候補装置として選定する。候補装置選定部15は、候補装置を選定するに当たり、転送履歴データベース13を参照する。候補装置選定部15は、選定した候補装置を送信要求部16に通知する。候補装置選定部15は、送信要求部16からの要求に応じて候補装置の再選定を行う。
【0021】
送信要求部16は、候補装置に対して、転送対象データを転送先装置へ送信するように要求する。送信要求部16は、上記の要求が候補装置により受諾されたか否かを確認し、候補装置選定部15に通知する。
【0022】
次に以上のように構成された転送レート管理サーバ1の動作について説明する。
医用画像装置3どうしの間で医用画像データの転送が行われた場合、この転送に拘わる情報を表した結果情報が、送信側および受信側の少なくともいずれかの医用画像装置3から転送レート管理サーバ1へ送信される。この結果情報は、通信インタフェース部11によって受信される、これに応じて履歴情報登録部12は、図3に示すような処理を実行する。
【0023】
ステップSa1において履歴情報登録部12は、結果情報を通信インタフェース部11から取得する。ステップSa2において履歴情報登録部12は、上記の結果情報から必要な情報を抽出して1つのデータレコードを作成する。ステップSa3において履歴情報登録部12は、上記の作成したデータレコードを、転送履歴データベース13に登録する。転送履歴データベース13は、新たなデータレコードが登録された場合、これまでに蓄積しているデータレコードに加えて新しいデータレコードを記憶する。なお、新たなデータレコードを記憶するのに必要な空き容量が無い場合には、予め定められた条件に合致するデータレコードを削除した上で、新しいデータレコードを記憶する。これにより転送履歴データベース13は、複数のデータ転送に関する情報を表したデータレコードを保持する。
【0024】
さて、医用画像装置3のうちの1つに他の医用画像装置3から医用画像データを転送する必要がある場合、医用画像データを送信する医用画像装置3を従来と同様にオペレータが選択することも可能である。この場合には、受信側となる医用画像装置3からオペレータにより選択された医用画像装置3へと直接的に転送要求が行われる。しかしながら本実施形態では、転送レート管理サーバ1へ転送要求を行うこともできる。この場合の転送要求には、転送先装置と転送対象データとを表す。
【0025】
医用画像装置3から転送レート管理サーバ1へと送られた転送要求は、通信インタフェース部11によって受信されて転送要求入力部14に与えられる。転送要求入力部14は、転送要求から転送先装置と転送対象データとを特定し、候補装置選定部15および送信要求部16に通知する。
【0026】
転送先装置と転送対象データとが通知されると候補装置選定部15は、図4に示すような処理を実行する。
【0027】
ステップSb1において候補装置選定部15は、上記の転送要求入力部14からの通知を入力する。
【0028】
ステップSb2において候補装置選定部15は、転送履歴データベース13を参照して、転送対象データを持ち得る装置を全ての医用画像装置3の中から抽出する。具体的には、例えば候補装置選定部15は、転送対象データをこれまでに送受信したことがある医用画像装置3を抽出する。これは例えば、転送対象データの識別情報が転送データ識別情報フィールドに記述されたレコードを転送履歴データベース13から抽出し、この抽出したレコードにおける送信側装置識別情報フィールドおよび受信側装置識別情報フィールドに記述された識別情報により表される医用画像装置3を判定することにより実現できる。
【0029】
ステップSb3において候補装置選定部15は、上記のように抽出した医用画像装置3の中から候補装置を選定する。このとき候補装置選定部15は、抽出した医用画像装置3(以下、抽出装置と称する)のそれぞれについての転送レートを考慮する。転送レートに応じてどのように候補装置を選定するかは、予め定められたルールに従う。このルールは例えば、最も転送レートが高い医用画像装置3を候補装置として選定することとすることが一般的である。転送レートの考慮方法としては、例えば以下のようなものが適用し得る。
【0030】
(1) 送信レートを優先
抽出装置から転送先装置へと医用画像データを送信した際のそれぞれの転送レートを考慮する。具体的には例えば、抽出装置および転送先装置の識別情報が送信側装置識別情報および受信側装置識別情報のフィールドにそれぞれ記述されているレコードに表される転送レートを比較する。なお、該当するレコードが複数ある場合、それらのレコードに表される転送レートから予め定められたルールに従って比較用の転送レートを求める。例えば、複数の転送レートの平均値を比較用の転送レートとすることが考えられる。
【0031】
(2) 受信レートを優先
転送先装置から抽出装置へと医用画像データを転送した際のそれぞれの転送レートを考慮する。具体的には例えば、転送先装置および抽出装置の識別情報が送信側装置識別情報および受信側装置識別情報のフィールドにそれぞれ記述されているレコードに表される転送レートを比較する。なお、該当するレコードが複数ある場合、それらのレコードに表される転送レートから予め定められたルールに従って比較用の転送レートを求める。例えば、複数の転送レートの平均値を比較用の転送レートとすることが考えられる。
【0032】
(3) 送信レートおよび受信レートを優先
抽出装置から転送先装置へと医用画像データを送信した際のそれぞれの転送レートと転送先装置から抽出装置へと医用画像データを転送した際のそれぞれの転送レートとの双方を考慮する。具体的には例えば、抽出装置および転送先装置の識別情報が送信側装置識別情報および受信側装置識別情報のフィールドにそれぞれ記述されているレコードに表される転送レートと、転送先装置および抽出装置の識別情報が送信側装置識別情報および受信側装置識別情報のフィールドにそれぞれ記述されているレコードに表される転送レートとから予め定められたルールに従って求めた比較用の転送レートを比較する。例えば、両転送レートの平均値を比較用の転送レートとすることが考えられる。
【0033】
なお、これらの方法は、いずれかを固定的に適用しても良いし、ユーザによる設定に応じて変更しても良い。
【0034】
また、候補装置を選定するために参照するレコードを予め定められた絞り込み条件に応じて絞り込んでも良い。絞り込み条件としては、例えば以下のようなものが適用できる。
【0035】
(1) 転送対象データ
転送対象データと同一の医用画像データの転送に関するレコードに絞り込む。具体的には例えば、転送対象データの識別情報が転送データ識別情報のフィールドに記述されているレコードを参照対象とする。
【0036】
このような絞り込みを行えば、転送対象データと同一の医用画像データを過去に転送した際の実績に基づいて最適な候補装置を選定できる。
【0037】
(2) 患者
転送対象データに対応する患者の医用画像データの転送に関するレコードに絞り込む。具体的には例えば、転送対象データに対応する患者の識別情報が患者識別情報のフィールドに記述されているレコードを参照対象とする。
【0038】
(3) 時間帯
現時間帯と同一時間帯に行われた医用画像データの転送に関するレコードに絞り込む。具体的には例えば、開始日時および終了日時のフィールドに記述される期間が属する時間帯が現時間帯と一致するレコードを参照対象とする。
【0039】
このような絞り込みを行えば、LAN2の混雑具合の違いなどのような時間帯毎の環境変化の影響を受けることなく、現時点で最適な候補装置を選定できる。
【0040】
(4) 装置種類あるいは指定装置
特定の種類の医用画像装置3あるいは予め指定された医用画像装置3以外の医用画像装置3が送信を行った医用画像データの転送に関するレコードに絞り込む。具体的には例えば、送信側装置識別情報のフィールドに記述される識別情報がモダリティ以外の医用画像装置3のものであるレコードを参照対象とする。送信側装置識別情報のフィールドに記述される識別情報が指定された医用画像装置3以外のものであるレコードを参照対象とする。
【0041】
このような絞り込みを行えば、撮影などのために高負荷となる医用画像装置3に画像送信のための負荷を与えることを回避することができる。
【0042】
なお、これらの条件は、いずれかを固定的に適用しても良いし、ユーザによる設定に応じて変更しても良い。また、複数の条件を適用しても良い。
【0043】
以上のようにして候補装置を選定したならば、転送レート管理サーバ1はステップSb3からステップSb4へ進む。ステップSb4において転送レート管理サーバ1は、候補装置への送信要求を行うように送信要求部16へ指示する。この指示を受けて送信要求部16は、転送先装置へ転送対象データを送信するように候補装置である医用画像装置3へ要求する。
【0044】
このような送信要求を受けた医用画像装置3は、要求に応じた医用画像データの送信を行うことができるならば、受諾の旨を転送レート管理サーバ1に通知した上で、医用画像データを送信する。送信要求を受けた医用画像装置3は、要求に応じた医用画像データの送信を行うことができなければ、拒否の旨を転送レート管理サーバ1に通知する。医用画像装置3は、転送対象データを保持していない場合などに、拒否の旨を転送レート管理サーバ1に通知する。つまり、転送対象データが既に候補装置から削除されている場合には、候補装置からは拒否の旨が通知されることになる。この受諾または拒否の通知は、通信インタフェース部11で受信されて送信要求部16に与えられる。送信要求部16は、受諾が通知されたならば終了を、また拒否が通知されたならば再選定をそれぞれ候補装置選定部15に指示する。
【0045】
そこで候補装置選定部15はステップSb5において、送信要求部16からの指示が終了および再選定のいずれであるかを確認する。そして再選定が指示されたならば候補装置選定部15は、ステップSb3乃至ステップSb5の処理を再度行う。ただしこのときには、既に候補装置として選定済みの医用画像装置3は抽出装置から除外する。送信要求部16も、再選定された候補装置への送信要求を再度行う。そして候補装置により送信要求が受諾されたならば、送信要求部16は候補装置選定部15に終了を指示した上で、今回の転送要求に基づく処理を完了する。終了が指示されたならば候補装置選定部15は、図4の処理を終了する。
【0046】
以上のように転送レート管理サーバ1を利用することにより、複数の医用画像装置3の中からそれらに関する転送レートを考慮して選定された、転送要求に基づく医用画像データの送信を行うのに適する医用画像装置3を送信側装置として医用画像装置3どうしでの医用画像データの転送が行われる。これにより、データ取得に掛かる時間を短縮することができる。また、転送要求を行うオペレータは、送信側装置の選定を行う必要がないので、オペレータの負担が軽減される。
【0047】
また本実施形態によれば、既に実行された医用画像データの転送に関する情報を転送履歴データベース13に蓄積しておき、この転送履歴データベース13に蓄積された情報を解析して各医用画像装置3に関する転送レートを判断している。そしてこのように判断した転送レートの比較により候補装置の選定を行っている。従って、現状のシステム環境における実質的な転送レートに基づいて、より適正な医用画像装置3を候補装置として選定できる。
【0048】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
転送履歴データベース13に代えて、各医用画像装置3の送信能力を固定的に記述したデータベースを備え、候補装置選定部15がこのデータベースを参照して候補装置を選定するようにしても良い。この場合、履歴情報登録部12は必要無い。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータ転送管理装置を適用した転送レート管理サーバ1の構成を示すブロック図。
【図2】図1中の転送履歴データベース13の内容の具体例を示す図。
【図3】図1中の履歴情報登録部12の処理手順を示すフローチャート。
【図4】図1中の候補装置選定部15の処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0051】
1…転送レート管理サーバ、3…医用画像装置、11…通信インタフェース部、12…履歴情報登録部、13…転送履歴データベース(転送履歴DB)、14…転送要求入力部、15…候補装置選定部、16…送信要求部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医用画像装置どうしでの医用画像データの転送を管理するデータ転送管理装置であって、
医用画像データを送信する候補装置を前記複数の医用画像装置から転送レートを考慮して選定するための参考情報を記憶する手段と、
前記医用画像装置からの要求に応じて、その要求に応じた医用画像データの送信を行うのに適する候補装置を前記参考情報に基づいて前記複数の医用画像装置から選定する手段と、
選定された候補装置に、前記要求に基づく医用画像データの送信を要求する手段とを具備したことを特徴とするデータ転送管理装置。
【請求項2】
複数の医用画像装置どうしでの医用画像データの転送を管理するデータ転送管理装置であって、
記憶手段と、
前記医用画像データの転送が行われる毎に、その転送における転送レートに関する情報を前記記憶手段に書き込む手段と、
前記医用画像装置からの要求に応じて、その要求に応じた医用画像データの送信を行うのに適する候補装置を、前記記憶手段に蓄積された情報に基づいて、転送レートを考慮して選定する選定手段と、
選定された候補装置に、前記要求に基づく医用画像データの送信を要求する手段とを具備したことを特徴とするデータ転送管理装置。
【請求項3】
前記選定手段は、前記記憶手段に蓄積された情報のうちで予め定められた条件に合致する情報のみに基づいて前記候補装置を選定することを特徴とする請求項2に記載のデータ転送管理装置。
【請求項4】
医用画像データを送信する候補装置を前記複数の医用画像装置から転送レートを考慮して選定するための参考情報を記憶する記憶媒体にアクセス可能なコンピュータを複数の医用画像装置どうしでの医用画像データの転送を管理するデータ転送管理装置として機能させるデータ転送管理プログラムであって、
前記コンピュータをさらに、
前記医用画像装置からの要求に応じて、その要求に応じた医用画像データの送信を行うのに適する候補装置を前記参考情報に基づいて前記複数の医用画像装置から選定する手段と、
選定された候補装置に、前記要求に基づく医用画像データの送信を要求する手段として機能させることを特徴とするデータ転送管理プログラム。
【請求項5】
記憶媒体にアクセス可能なコンピュータを複数の医用画像装置どうしでの医用画像データの転送を管理するデータ転送管理装置として機能させるデータ転送管理プログラムであって、
前記コンピュータをさらに、
前記医用画像データの転送が行われる毎に、その転送における転送レートに関する情報を前記記憶媒体に書き込む手段と、
前記医用画像装置からの要求に応じて、その要求に応じた医用画像データの送信を行うのに適する候補装置を、前記記憶媒体に蓄積された情報に基づいて、転送レートを考慮して選定する選定手段と、
選定された候補装置に、前記要求に基づく医用画像データの送信を要求する手段として機能させることを特徴とするデータ転送管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−330817(P2006−330817A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149485(P2005−149485)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】