説明

データ送信装置、データ送信方法、及びデータ送信プログラム

【課題】 送信期限が設定された優先度の低いデータのデータ送信により、優先度の高い送信データの送信待のち時間が増えることを避けるデータ送信装置を提供する。
【解決手段】 本発明のデータ送信装置は、データを送信する複数の送信部と、データの送信開始時に、当該データを送信するために前記複数の送信部のうちの少なくとも一つを当該データの送信のために割り当て、データの送信開始後に、所定の条件を満たした場合に、前記送信開始時に当該データの送信のために割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データの送信のために割り当てる制御部とを備えることにより実現している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信装置に関し、特に、複数の送信部を備えたデータ送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークなどを介してのデータ送信を行うデータ送信装置には、複数の送信部を用い、送信データ毎に使用する送信部を切り換えてデータ送信を行うものがある。
【0003】
さらに、このような複数の送信部を用いるデータ送信装置には、送信データの送信優先度を考慮したものも有る。例えば、優先度の高いデータには、早期送信のために多くの送信部を割り当て、逆に、優先度の低いデータには少ない送信部を割り当てるような送信制御を行うようなものである。
【0004】
また、送信部などの電気回路は、動作していないときでも待機電力を消費している。そのため、データ送信装置には、使用していない送信部を省電力待機状態に移行させたり、送信部への電力の供給自体を停止させることにより、消費電力の低減を図っているものもある。
【0005】
なお、ここで言う省電力待機状態とは、送信部の回路の一部に対する電源供給を止めたり、動作速度を遅くすることにより、待機電力を削減した状態のことである。省電力待機状態では、そのままでは送信できず送信開始までに時間を必要とするが、すぐに送信ができるようにしておく待機状態に比較して、消費電力量を少なくすることができる。なお、送信開始までの時間が短いが待機電力が多い省電力待機状態や送信開始までの時間が長いが待機電力が少ない省電力待機状態といったように、送信開始時間と待機電力との組み合わせによる複数の省電力待機状態を備えてたものもある。(例えば、特許文献1および2参照)
このように、複数の送信部を用いるデータ送信装置では、送信部の使用状況に応じた消費電力の制御と送信データの優先度に応じた送信部の割当制御とが行われている。
【0006】
しかし、一般に送信データの発生は非同期である。そのため、単純に優先度で送信部の割当を行うと、例えば、優先度が高いデータ送信要求が一時的に重なった場合、優先度が低いデータに対しての送信部の割当が長期間に渡って出来なくなる場合がある。そのため、もし優先度の低いデータに送信期限が設定されていたとしても、優先度の低いデータに送信部の割当が行われず、送信期限を守ることが出来ない事態が発生してしまうこととなる。
【0007】
このような事態を回避するため、送信期限が設定された送信データに対して時間監視を行い、送信期限に近づいた場合には、一時的に優先度に関係ない送信処理(以下、優先変更送信処理と言う)を行うようしたデータ送信装置もある。このような装置において、時間監視は、例えば、送信期限の設定されたデータ毎に設定される割り込み処理により行われている。(例えば、特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−033691号公報
【特許文献2】特開2008−112293号公報
【特許文献3】特開平05−120199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したようなデータ優先度に応じた制御を行うデータ送信装置において、優先度の低いデータの送信に割り当てられる送信部の数は、優先度の高いデータの送信に割り当てられる送信部の数より少ない。そのため、優先度の低いデータの優先変更送信処理の処理時間は長くなる。
【0010】
その結果、送信期限が近づいた優先度の低いデータ送信の優先変更送信処理を行うと、後続する優先度の高いデータ送信の待ち時間が増加し、システム性能が低下してしまう。
【0011】
これに対処するため、送信期限の監視間隔を短くし、監視回数を増やすことが行われている。すなわち、監視間隔を短くすることにより、各監視において見つかる優先変更送信処理が少なくなり、各監視により処理すべき平均的な優先変更送信処理の時間を短くすることが出来る。
【0012】
しかし、この場合、監視処理の回数が多くなり、その監視処理の増加分だけシステム性能が低下してしまうという別の問題を招く。
【0013】
本発明の目的は、上述の問題点を解決し、監視処理の回数を増やさずに、優先度の低いデータの優先変更送信処理による待ち時間を少なくできるデータ送信装置、データ送信方法、及び、データ送信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のデータ送信装置は、データを送信する複数の送信部と、データの送信開始時に、当該データを送信するために前記複数の送信部のうちの少なくとも一つを当該データの送信のために割り当て、データの送信開始後に、所定の条件を満たした場合に、前記送信開始時に当該データの送信のために割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データの送信のために割り当てる制御部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明のデータを送信する複数の送信部を備えたデータ送信装置のデータ送信方法は、データの送信開始時に、当該データを送信するために前記複数の送信部のうちの少なくとも一つを当該データの送信のために割り当てるステップと、データの送信開始後に、所定の条件を満たした場合に、前記送信開始時に当該データの送信のために割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データの送信のために割り当てるステップを備えたことを特徴とする。
本発明のデータを送信する複数の送信部を備えたコンピュータに実行させるデータ送信装置のデータ送信プログラムは、データの送信開始時に、当該データを送信するために前記複数の送信部のうちの少なくとも一つを当該データの送信のために割り当てる処理と、データの送信開始後に、所定の条件を満たした場合に、前記送信開始時に当該データの送信のために割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データの送信のために割り当てる処理を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、優先度の低いデータの優先変更送信処理において、送信に使用する送信部の数を一時的に増やすことにより、送信時間を短くすることができるため、優先変更送信処理に後続する優先度の高いデータ送信の待ち時間を少なくする効果が得られる。
【0017】
さらに、本発明によれは、優先変更送信処理に掛かる送信時間も短くなるため、送信期限に対する、優先変更送信処理を起動するタイミングを遅くすることもできる。その遅くなった時間分だけ通常の送信処理が行われる、その結果として、優先変更送信処理が発生する回数も減り、優先度の高いデータの送信の待ち時間をさらに少なくする効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図
【図2】本発明の送信部の切り替え状態を示す図
【図3】本発明の実施形態で使用するデータおよびデータ管理表を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態の動作を示すフローチャート
【図5】本発明の第1の実施形態に変形例を示すを示すブロック図
【図6】本発明の第2の実施形態の構成を示すブロック図
【図7】本発明の第3の実施形態の構成を示すブロック図
【図8】本発明の第3の実施形態の動作を示すフローチャート
【図9】本発明の第4の実施形態の構成を示すブロック図
【図10】本発明の第4の実施形態の動作を示すフローチャート
【図11】本発明の第4の実施形態の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
最初に、本発明の第1の実施形態の構成および動作について図1〜図4を用いて説明する。
【0020】
図1は、第1の実施形態に係るデータ送信装置1の構成を示す。
【0021】
図1において、データ送信装置1は、データ送信装置1の各部を制御する送信制御部2と、送信データ4を保存する送信記憶部3と、データを送信する送信部51〜53とから構成されている。
【0022】
送信制御部2は、3個の送信部(送信部51〜53)を制御して、図2に示すように送信に使用する送信部の数を変更することができる。図2において二点差線は使用しない送信部、つまり省電力待機状態の送信部を示している。
【0023】
図2(a)は3個の送信部(送信部51〜53)を使用する場合、図2(b)は2個の送信部(送信部51〜52)を使用する場合、図2(c)は1個の送信部(送信部51)を使用する場合をそれぞれ示している。
【0024】
ここで、省電力待機状態が複数あり、待機状態である送信部も複数ある場合に、次の送信再開時の再開時間を考慮して、異なった省電力待機状態を設定することもできる。例えば、最初に再開される送信部を待機電力が多いが回復時間の早い待機状態、その他の送信部を回復時間が長いが待機電力が少ない待機状態としてもよい。
【0025】
例えば、図2(c)の状態で、送信部52を回復時間が短い待機状態とし、送信部53を待機電力の少ない待機状態としてもよい。
【0026】
なお、本実施形態では。送信部の総数を3個として説明しているが、これには限定されず、送信部の数は2個でも、4個以上でもよい。
【0027】
また、説明の便宜上、使用する送信部として、3個の場合に送信部51〜53、2個の場合に送信部51〜52、1個の場合に送信部51と送信部の割当を固定した記載としているが、これは送信部の割当の一例である。2個の場合の割当を送信部52〜53としたり、1個の場合に送信部52又は送信部53としてもよい。さらに、送信部を2個使う場合や1個使う場合の割当を固定的とはせずに、動的に割当てるようにしてもよい。例えば、負荷を分散させるために周知のラウンドロビン方式等に従って、使用する送信部を割当ててもよい。
【0028】
送信制御部2は、上述のとおり、送信部51〜53のいずれか1つまたは2つまたは全てを使用して送信記憶部3に保存されている送信データ4を送信する。
【0029】
図3(a)に示すように、送信記憶部3の所定の記憶領域には、複数の送信データ4a〜4dが保存されている。
【0030】
これらの送信データには、図3(b)に一例を示す管理表に示すように、送信期限、優先度、送信部数が設定されている。
【0031】
送信期限とは、送信データの送信を完了すべき時期(時刻等)である。図3(b)の例では、送信データ4dに送信期限が設定され、他の送信データ4a〜4cには送信期限が設定されていない。送信期限が設定されていない送信データは、ベストエフォートなど通常の送信方法で送信されることとなる。送信期限が設定された送信データは、後ほど詳述するが、優先度の低いデータであっても送信期限を守るために優先変更送信処理が行われることとなる。
【0032】
優先度は、送信制御部2が送信部に送信データを割当てる優先度を示し、本実施形態では、優先度1が最も高い優先度を示し、優先度3が最も低い優先度を示しいてる。優先度の処理については後述する。なお、本実施形態では優先度が3つのレベルを有する場合について説明するが、レベルの数はこれに限定されるものではない。
【0033】
送信部数は、送信データの送信に使用する送信部の数を示している。
【0034】
一般に送信部など通信回路は、通信を行わないときに、省電力待機状態とすることにより、消費電力を削減することができる。
【0035】
本実施形態では、送信速度と消費電力とを考慮して、優先度毎に使用する送信部の数を決めている。優先度1は高速性を考慮して使用する送信部を3つ、優先度2は高速性と消費電力とのバランスを考慮して送信部を2つ、優先度3は速度より消費電力を考慮して送信部は1つ使用するものとしている。
【0036】
ここで、優先度2のデータと優先度3のデータがある場合、送信時間を考慮し、両データを同時に3つの送信部を使用して送信するようにしてもよく、消費電力を考慮して優先度2のデータを送信後、優先度3のデータを送信するようにしてもよい。
【0037】
なお、これら送信期限、優先度、及び、送信部数の設定は、例えば、使用者がデータ個別に設定してもよく、送信データを作成したアプリケーションソフトが送信データに合わせて設定しもてよい。また、図示しないホスト装置からデータを受け取る際にデータと合わせて受け取ってもよく、送信データ全体を管理する管理サーバが設定するなど、周知の設定方法を使用して設定すればよく、詳細な説明は省略する。
【0038】
次に、本実施形態の動作についてさらに詳細に説明する。
【0039】
まずは、優先度処理に関して説明を行う。
【0040】
送信制御部2は、後ほど詳述する優先変更送信処理などの処理が発生しない送信の場合、優先度の高いデータから送信を行う。また本実施形態では、優先度が同じデータの場合は、管理表の番号の若い方から送信を行うこととする。図3の場合は、まず、優先度1の送信データ4a及び送信データ4cを順次送信し、その後、優先度2の送信データ4bを送信し、最後に優先度3の送信データ4dを送信することとなる。
【0041】
図3に記載の状態からデータ送信を開始し、送信データの追加が無い場合は、上記のとおりの順で送信データの送信処理が完了する。しかし、送信が完了する前に、新たな送信データの送信の要求が発生すると、送信制御部2は、優先度による処理を行うこととなる。
【0042】
このように、新たな送信データ発生による優先度処理の一例は次のようなものである。送信制御部2は、まず、送信中の送信データと新たに発生した送信データの優先度を比較する。そして、新たに発生した送信データの優先度が現在送信中の送信データの優先度と同じか低い場合は、そのまま送信を継続する。一方、新たに発生した送信データの優先度のほうが高い場合、例えば優先度3の送信データを送信中に優先度2の送信データが発生した場合は、送信中の優先度の低い送信データの送信を中断し、新たなに発生した優先度の高い送信データの送信を行う。新たに発生した優先度の高い送信データの送信が終了後、中断していた優先度の低い送信データの送信を再開する。
【0043】
なお、新たに発生した送信データよりさらに優先度の高い送信データの送信が発生した場合は、同様に最も優先度の高い送信データの送信が優先的に行われる。
【0044】
このため、既述したとおり、優先度の高い送信データの送信処理が頻発すると、優先度の低い送信データの送信が行えなくなる場合が発生し、これに対処するため、本実施形態では、後述の優先変更送信処理が行われることとなる。
【0045】
なお、上記の説明では、説明の便宜上、シーケンシャルに1つの送信データが終わってから次の送信データの送信を開始するように記載したが、優先度に従って時分割に送信時間を割り振るようにしてもよい。例えば、図3(b)の3つの優先度の場合に、優先度1は4、優先度2は2、優先度3は1と重みを割当てるとする。優先度1のデータは2つ、優先度2及び優先度3のデータは各1つあるため、全体の重みの合計は11となる。その結果、各データの送信時間の重み付けによる割当比率は、優先度1の送信データ4aと送信データ4cがそれぞれ4/11、優先度2の送信データ4bが2/11、優先度3の送信データ4dが1/11となる。この場合、例えば送信データ4aの送信が終われば、送信データ4aの重み4が無くなり、全体の重みの合計が7となる。その結果各データの比率は、送信データ4cが4/7、送信データ4bが2/7、送信データ4dが1/7となる。新たな送信データが加わった場合も同様に優先度の比率が変更となる。
【0046】
また、シーケンシャルに切り替えを行う場合でも、不正処理やバグ対策のため、通常ウォッチドックタイマなどにより所定の時間により切り替え処理を行っている。
【0047】
このように切り替え処理を実施した場合、優先度による切り替えのサイクルを所定の時間内に設定しておくことにより、優先度の低い送信データの送信処理も有効な時間範囲で開始することができる。ただし、優先度の低い送信データの送信処理に割当てられる処理時間は、短い場合が多い。そのため、後述する優先変更送信処理の判断部分の処理のような比較的短い処理時間で実行できる論理処理は動作可能であるが、データ送信処理など多くの時間を必要とする処理は、優先度による割当では間に合わず、実行時間を確保できない場合が発生する。
【0048】
そこで必要となる優先変更送信処理の本実施形態でのより詳しい動作について、図4を参照して、さらに説明する。優先変更送信処理は、優先度の低い送信データに対して行われるため、以下では、一例として、図3の優先度の低い送信データ4dに対する優先変更送信処理について説明する。
【0049】
送信処理を開始した優先度の低い送信データの処理では、送信制御部2は、優先度の低い送信データ4dの送信を開始するための初期設定を行う(ステップ401)。本実施形態では、優先度3の場合は、送信部を1つ使用、つまり図2(c)の状態で送信するため、送信部の設定などが行われる。例えば、直前の送信で2つ以上の送信部を使用していたとすると、そのときに使用されていた送信部のうち、優先度3で使用される1つの送信部以外の使用されない送信部を省電力待機状態など送信しない状態とする。この処理は、一度優先度の低い送信処理を開始した後、優先度の高い送信処理に処理が移行し、その後に優先度の低い送信処理を再開した場合にも必要となる。
【0050】
次に図示しないタイマなどから現在時刻が取得される(ステップ402)。続いて残りの送信データ量が取得される(ステップ403)。次に、残り送信データが有るかどうかが判断される(ステップ404)。ここで残りの送信データが無い、つまり送信が終了しているとの判断されると、終了処理が行われる(ステップ404から408への分岐)。一方、残りの送信データがある場合は、送信データの送信が送信期限までに終わるかどうかが判断される(ステップ405)。この判断は、例えば、次の数式を使用して行うことが出来る。
【0051】
【数1】

【0052】
この数式は、現在割り当てられている送信部の状態で残りの送信データを送信した場合に、送信が送信期限までに終わるかどうかを判断している。
【0053】
この不等式が成り立つ場合は、現在割り当てられた送信部で送信可能となる。
【0054】
現状の送信部の割当状態で送信可能な場合は、そのままデータ送信を継続し(ステップ407)、上記の処理をデータ送信終了まで繰り返す。ここで、判断処理を繰り返すのは、途中で優先度の高いデータ送信の割り込み処理などが入り、状況が変わる可能性があるためである。
【0055】
一方、上記不等式が成立しない場合、すなわち、送信期限までに送信データの送信が完了出来ないと判断された場合は、優先変更送信処理が開始される。まず、割り当てられている送信部の数が増やされる(ステップ406)。例えば、1つの送信部を使用してる図2(c)の状態から、3つの送信部を使用する図2(a)の状態への変更がなされる。
【0056】
このように、送信部の数を増やすことにより、残りデータの送信時間が短縮される。例えば、ここでの例では、使用する送信部の数が3倍となり、送信時間は3分の1となる。
【0057】
その後、送信制御部2は、残りデータを送信し(ステップ407)、送信終了後、終了処理を行う。(ステップ408)
なお、本実施形態では、送信制御部2は、優先変更送信処理を開始した場合、送信期限を守るため、優先度の高い処理を含め他の処理への切り替えを止め、この優先変更送信処理を実行するようにしている。
【0058】
このように、本実施形態では、優先変更送信処理に続く優先度の高いデータ送信を待たせる時間も短くすることが出来るという効果が得られる。
【0059】
その理由は、本実施形態におけるデータ送信装置1が、優先変更送信処理において送信部の数を優先度により割当てられた数より増やすことにより、送信期限が設定された優先度が低い送信データの優先変更送信処理を短い時間で実施できるようにしたためである。
【0060】
なお、本実施形態では、送信時間の削減を優先するため、一回の優先変更送信処理で全ての送信部を使用することとしたが、消費電力も考慮し、一部(例えば図2(b))を使用するようにしても構わない。
【0061】
さらに、送信部の数の変更を複数回に分け、例えば初期状態では優先度により設定された少ない送信部を使用し(例えば図2(c))、送信期限までの時間が足りないと判断したら、まず一部の送信部を使用を追加する(例えば図2(b))。そして、一部を増やした後でさらに送信期限までの時間が足りないとの判断がなされたら、さらに送信部を追加して使用するように変更(例えば図2(a))してもよい。
【0062】
このように、本実施形態のデータ送信装置1は、送信制御部2による優先変更送信処理でのきめ細かな送信部の切り替えにより、最低限必要な送信部を使用し、電力消費の増加を抑えつつ、優先変更送信処理を短い時間で実施するといった効果が得られる。
【0063】
その理由は、本実施形態のデータ送信装置1が、優先変更送信処理において使用する送信部の数を送信期限を守るために必要な数だけ増やし、優先度が低い送信データの優先変更送信処理を短い時間で実施することが出来るようにしたためである。
【0064】
本実施形態では、切り替えの判断として、送信データの優先度に応じて割り当てられた送信部による送信が、送信期限までに間に合うかどうかという判断を使用しているが、判断としては、他の条件を使用することも可能である。
【0065】
例えば、次の数式を使用して判断することもできる。
【0066】
【数2】

【0067】
この数式は、現在時刻で優先変更送信処理に変更した場合の終了時間が、設定されている送信期限を越えるかどうかを判断している。
【0068】
数式1による判断では、変更前の送信状態では間に合わなくなった時点で、優先変更送信処理に切り替えている。変更後の送信は変更前より早いため、早くなった時間分だけ、送信期限に対して早めに送信が終わることとなる。(先の説明した実施形態の一例では、送信期限までの残り時間の1/3で終了する。)それに対して、数式2による判断は、切り替え後の送信状態で送信期限までに終わるかどうかを判断しているため、送信期限を守れる最も遅い時期に切り替えを行うこととなる。
【0069】
そのため、数式2の判断による切り替えを採用すると、優先変更送信処理の発生が、数式1の判断による場合に比べて、遅い時間となる。この遅れた時間の間には、通常の送信処理が追加として実行されることとなる。
【0070】
この追加された送信処理において、優先度の低い送信データの送信も優先度に従って割当られた時間だけ送信処理が行われるため、優先変更送信処理により送信すべきデータ量が減り、優先変更送信処理に必要な時間が短くなる。
【0071】
また、この追加した送信処理の中で優先度の高いデータも送信が行われる。優先度の高いデータは割り当て時間が多くなっているため、この追加した送信処理で優先度の高いデータは多く送信される。その結果、データ送信自体が完了するものもある。このため、優先変更送信処理に影響される優先度の高い送信データの数やデータ量が少なくなることとなる。
【0072】
このように、優先変更送信処理の開始タイミングを、送信期限を守るための最も遅い時期として設定することにより、優先変更送信処理に必要な時間がさらに短くなる。また、優先変更送信処理に影響を受ける優先度の高い送信データの量も削減できる効果も実現できる。
【0073】
その理由は、データ送信装置1において、数式2を判断条件として使用することにより、数式1を使用する場合に比べ、優先変更送信処理を開始するタイミングが遅くなる。その遅くなった時間の分だけ、優先変更送信処理を開始するまで通常の送信がより多く行われる。その多くなった送信処理で送信された送信データの分だけ、優先度の高いデータは影響を受ける送信データが少なくなり、優先度の低いデータは優先変更送信処理の対象となる送信データが少なくなるためである。
【0074】
これまでの説明は、便宜上、送信期限がある送信データが1つの場合の実施形態について行ったきたが、送信期限のある送信データが複数ある場合も同様に実現できる。例えば次のような判断および処理を行うことにより実現できる。
【0075】
まず、最も送信期限が近い送信データの優先変更送信処理に必要な時間を求め、現在時刻に加え(この値をT1とする)、T1とこの送信データの送信期限とから優先変更送信処理が必要かどうかの判断を行う。優先変更送信処理が必要なら、その送信データの優先変更送信処理を行う。
【0076】
上記の送信データの優先変更処理が必要ない場合は、次の送信データの判断を行う。
【0077】
その判断は、次に送信期限が近い送信データの優先変更送信処理の時間を求めT1に加え(この値をT2とする)、T2とこの送信データの送信期限とから優先変更送信処理が必要であるかどうかの判断を行う。優先変更送信処理が必要なら、最初の送信データとこの送信データの優先変更送信処理を両方とも行う。
【0078】
もし、この送信データでも優先変更送信処理が必要ないと判断された場合は、同様の判断処理を繰り返す。
【0079】
つまり、次に送信期限が近い送信データを選び、ひとつ前の送信データで計算した時間(T1やT2相当)にその送信データの優先変更送信処理の時間を加えた時間とその送信データの送信期限とから優先変更送信処理が必要かどうかの判断を行う。優先変更送信処理が必要な場合は、最初の送信データからその送信データまでの優先変更送信処理を行う。
【0080】
この処理を、優先変更送信処理が必要な送信データが見つかるまで繰り返し、見つかれば最初の送信データからその送信データまでの優先変更送信処理を行う。
【0081】
そして、優先変更送信処理を行った場合は、新しい状態で最初から上記処理を繰り返す。
【0082】
一方、優先変更送信処理の必要な送信データが1つも見つからなかった場合は、現状では優先変更送信処理が必要ないため、通常の処理の継続する。
【0083】
データ送信装置1において、このような処理に実施することにより、送信期限がある送信データが複数有っても、送信期限を守った送信を実現することができる。
【0084】
なお、図5に示すように、データ送信装置1として、送信記憶部3を備えず、図示しない上位装置などからデータを受け取って送信するような実施形態も可能である。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図6を参照して説明する。
【0085】
図6は、第2の実施形態に係るデータ送信装置6の構成を示すブロック図である。
【0086】
図6のデータ送信装置6において、第1の実施形態に係るデータ送信装置1と同等の部分は同じ符号が付してあり、その詳細な説明は省略する。
【0087】
本実施形態に係るデータ送信装置6は、3個の送信部(送信部81、送信部82、送信部83)それぞれ独立に電源を供給する送信電源部7を備えた点が第1の実施形態におけるデータ送信装置1と異なる。送信電源部7は、送信制御部2の指示により、送信部81〜83への供給電源を個別に停止・再開することが出来るようになっている。
【0088】
この構成により、送信制御部2は、送信電源部7に指示を出して、送信部81〜83のうちの使用しない送信部の電源供給を止めることができる。また、使用を再開する場合についても、送信制御部2は、送信電源部7に指示を出して、送信部81〜83のなかで使用を再開する送信部への電源の供給を再開させ、使用可能とすることができる。
【0089】
このように送信部に供給される電源を制御する構成により、使用しない送信部での電力消費が無くなり、送信部の送信動作を待機状態とさせる第1の実施形態の場合に比べて、さらなる消費電力の削減効果を実現出来る。
【0090】
その理由は、本実施形態のデータ送信装置6が、送信部の電源供給を停止することにより、使用しない送信部の待機電力をゼロとすることが出来るためである。
【0091】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図7及び図8を参照して説明する。
【0092】
図7は、第3の実施形態に係るデータ送信装置8及びデータ受信装置9の構成を示すブロック図である。
【0093】
図7のデータ送信装置8において、第2の実施形態に係るデータ送信装置6と同等の部分は同じ符号が付してあり、その詳細な説明は省略する。
【0094】
データ送信装置8は、送信ホスト18から送信データや優先度情報を受け取り、第1および2の実施形態における処理と同様の処理により、送信データをデータ受信装置9に送る。データ受信装置9は、データ送信装置8から受け取ったデータを受信ホスト19に渡す。
【0095】
本実施形態におけるデータ送信装置8は、送信ホスト18と接続されている点と、データ受信装置9と情報をやり取りする通信部15を備えている点が第2の実施形態におけるデータ送信装置6と異なる。
【0096】
次に、データ受信装置9の構成を説明する。データ受信装置9は、送信部81〜83に対応する3個の受信部(受信部91、受信部92、受信部93)を備える。さらにデータ送信装置9は、データ受信装置9の全体を制御する受信制御部12、受信データを一次保存する受信記憶部17、受信部91〜93に電源を供給する受信電源部14、および、通信部15に対応する通信部16を備えている。受信制御部12は、通信部16を経由してデータ送信装置8から受け取った指示を基に受信電源部14を制御してデータ受信に使用しない受信部91〜93への電源の供給を停止したり、使用を開始する受信部91〜93への電源の供給再開を行う。受信部91〜93で受信したデータは受信記憶部17に一時保存され、その後、受信ホスト19に渡される。
【0097】
続いて、本実施形態に係るデータ送信装置8とデータ受信装置9との動作について図8を参照して説明する。
【0098】
以下では、優先変更送信処理を中心に説明する。
【0099】
まず、第1の実施形態に関して説明したように、本実施形態にかかるデータ送信装置8の送信制御部2は、データ送信の処理の中で優先変更送信処理の必要が発生したかどうかを判断する(ステップ701)。優先変更送信処理が必要でなければ、そのままデータ送信を継続する(ステップ705)。
【0100】
一方、使用する送信部を増やす必要がある場合、送信制御部2は、送信部81〜83のうち必要な送信部の使用を再開するため、送信電源部7に指示を出して使用する送信部への電源の供給を再開し、必要な送信部が動作できるようにする(ステップ702)。続いて、送信制御部2は、データ受信装置9に、再開する受信部を指定する情報を通信部15及び通信部16を経由して通知する(ステップ703)。なお、本実施形態では、使用する受信部の情報などのやり取りのために送信部及び受信部とは別に通信部15及び通信部16を設けているが、データの送信に使用している送信部及び受信部を情報のやり取りにも使用するように構成することも可能である。
【0101】
データ受信装置9の受信制御部12は、データ送信装置8からの通知が有ったかどうかを判断する(ステップ711)。もし通知が無い場合はデータ受信を継続する(ステップ714)。
【0102】
一方、もし通知があった場合、受信制御部12は、受信電源部14に指示を出して、その通知で指定された受信部への電源の供給を再開して、その受信部によるデータの受信を可能とする(ステップ712)。受信制御部12は、受信部での受信可能を確認後、完了通知を通信部16から通信部15を経由してデータ送信装置8に返し(ステップ713)、データ受信を継続する(ステップ714)。
【0103】
データ送信装置8の送信制御部2は、データ受信装置9からの完了通知を受け取ると(ステップ704)、新たに使用可能となった送信部も使用してデータ受信装置9へのデータ送信を行う(ステップ705)。
【0104】
この処理をデータ終了まで繰り返す(ステップ706,715)。
【0105】
このように本実施形態は、データ送信装置8からデータ受信装置9に、必要となった受信部を通知して受信部の使用の再開をすることが実現できる構成となっている。この構成により、データ受信装置9においても消費電力を抑えつつ、優先変更送信処理に後続する優先度の高いデータ送信の待ち時間を増やさずに、優先度の低いデータの優先変更送信処理を行うといった効果を実現できる。
【0106】
その理由は、本実施形態のデータ送信装置8が、データ受信装置9に使用しない受信部の指示を行うことにより、データ受信装置9の使用しない受信部の電源供給も停止し、消費電力を削減することが出来るためである。
【0107】
さらに、データ送信装置8は、送信ホスト18からの指示により、使用する送信部を設定するように構成してもよい。この場合には、送信ホスト18は、使用する送信部の指定をデータ送信装置8への命令などで行い、その命令に従って、データ送信装置8が動作するように構成すればよい。
【0108】
このように構成することにより、送信ホスト18が送信ホスト18を含めたシステム全体のよりきめ細かな消費電力管理が出来るといった効果も達成できる。
【0109】
その理由は、送信ホスト18が、システム全体の処理状況などを勘案して使用するデータ送信装置8の送信部およびデータ受信装置9の受信部の管理を行うことができるためである。
【0110】
さらに、送信ホスト18は、時間管理、例えば深夜帯など電量費用の安いときは使用する送信部の数を増やすようにし、電力費用が高くネットワークが込みやすい昼間は使用する送信部の数を減らすような管理を行ってもよい。
【0111】
なお、使用する送信部の設定は、上記のように送信ホスト18から設定できるだけでなく、使用者が直接データ送信装置8を操作して設定できるようにしてもよい。
【0112】
また、送信ホスト18からの指示により、データ送信装置8で優先変更送信処理を開始出来るように構成することもできる。このような構成により、送信ホスト18は、データ送信装置8とは別の管理項目により送信期限を管理したり、優先度の高い送信データへの影響管理を行うことができる効果も実現される。
【0113】
その理由は、送信ホスト18が、スケジュール管理などの結果、優先変更送信処理の影響を受けたくないような優先度が高い送信データの発生が見込まれる場合などに、前もって優先変更送信処理を実行しておくことができるためである。
【0114】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図9〜図11を参照して説明する。
【0115】
図9は、第4の実施形態に係るデータ送信装置20及びデータ受信装置40の構成を示すブロック図である。
【0116】
図9を参照すると、データ送信装置20は、送信制御部21と、送信部251及び送信部252と、送信電源部26から構成されている。
【0117】
送信制御部21は、時刻を監視する時間監視部22を備える。さらに送信制御部21は、必要に応じて送信命令制御部24に命令を発行する送信命令割込み部23と、送信命令割込み部23からの命令を受けて送信部251および252ならびに送信電源部26を制御する送信命令制御部24とから構成されている。
【0118】
時間監視部22に設定される監視時間(Twatch)は、例えば次の数式3のように算出することができる。
【0119】
【数3】

【0120】
ここでの、送信期限(Tout)は、現在の時間と図3に記載の送信期限との差分として求めてもよいし、それに限らず、データ送信装置20が所定の処理によりタイムアウト時間として設定してもよい。
【0121】
例えば、上位装置などデータ送信に関連する装置の中にタイムアウト時間を設定している装置がある場合は、その装置のタイムアウト時間を参照して決定してもよい。
【0122】
データ送信に必要な時間(Tsend)は、通常のデータ送信に必要な時間であり、送信データ量をデータの優先度により割当てられた送信部の送信性能(単位時間当たりの送信データ量)で割ることにより求めることが出来る。
【0123】
送信設定時間(Tcom)は、データ送信装置20が送信を行うために必要な処理の時間であり、データ送信装置20の単独での処理に加え、データ受信装置40との間で情報のやり取り処理やホスト装置など他の装置とのやり取りに必要な処理の合計時間となる。
【0124】
送信命令制御部24は、上記の処理に加え、送信命令割込み部23から受け取った命令または命令を受け取った旨の通知(以下、命令通知とする)をデータ受信装置40に送付することにより、データ受信装置40の受信部の状態変更も行う。
【0125】
送信部251および送信部252は、送信命令制御部24に指示されて送信データの送信を行う。また、本実施形態では、送信部251が常時通電状態とし、送信部252に対して電源供給の停止・再開が行われるよう送信電源部26は電源の供給制御を行うものとする。
【0126】
送信電源部26は、送信電源確認部27と、送信電源制御部28と、送信電源供給部29を備えている。
【0127】
送信電源確認部は27は、送信命令制御部24の指示により送信部252の電源状態を確認し、その結果を送信命令制御部24に報告する。送信電源供給部29は、送信部251および送信部252に電源を供給し、送信電源制御部28の指示により、送信部252の電源の供給を停止したり再開したりする。送信電源制御部28は、送信命令制御部24からの指示により送信電源供給部29から送信部242に供給される電源を制御する。
【0128】
なお、ここでは、送信電源確認部27は送信部252の電源の状態を確認しているが、送信電源供給部29の状態や送信電源制御部28の指示状態を確認するようにしてもよい。
【0129】
また、本実施形態の送信部251は常時通電とし電源状態を変更しないため、図8では、その電源供給線を破線で示している。さらに、送信部251は、送信命令制御部24によるデータ受信装置40への命令通知およびデータ受信装置40の受信部の状態(以下、受信通知とする)の受信を行うため、双方向通信が可能となっている。
【0130】
一方、データ受信装置40は、受信制御部41と、受信部451および受信部452と、受信電源部46とから構成されている。
【0131】
データ送信装置20からの送信データは、受信部451および受信部452で受信される。また、受信部451は、データ送信装置20からの命令通知を受け取ったり、データ受信装置40の受信通知を報告するため、双方向通信が可能となっている。
【0132】
受信制御部41は、データ送信装置20から送付されてきた命令通知を受信部451が受け取ったデータの中から取り出す受信命令認識部43と、受け取った命令通知を解析して送信部452への電源供給の停止・再開などの制御を行う受信命令制御部44とを備える。
【0133】
受信電源部46は、受信部452の電源状態を確認し結果を報告する受信電源確認部47と、受信電源供給部49に電源供給の停止・再開の指示を行う受信電源制御部48と、受信部451および受信部452に電源を供給する受信電源供給部49とを備えている。これらの動作は、受信命令制御部44からの指示により行われる。なお、受信電源部46における電源の確認は、データ送信装置20の送信電源部26と同様に、受信電源制御部48や電源電源供給部49を確認するように構成してもよい。
【0134】
また、受信部451も常時通電としているため、図8では、その電源供給線を破線で示している。
【0135】
受信命令制御部44は、上記の処理に加え、受信部452の状態を確認し後、データ送信装置20に受信通知を報告する。
【0136】
次に、本実施形態における動作について送信命令制御部24および受信命令制御部44を中心に図10及び図11を参照して説明する。
【0137】
まず、図10を用いて優先度の低いデータの送信開始までを説明する。
【0138】
なお、以下では、優先度の低いデータ送信は、最初、送信部251と受信部451との対を使用し、優先変更送信処理では、それに加え送信部252と受信部452の対も使用するものとして説明する。
【0139】
優先度が低い送信データの送信の場合、時間監視部22に監視時間を設定後、送信命令割込み手段23は、低優先命令231を送信命令制御部24に発行する(ステップ901)。低優先命令231を受け取った送信命令制御部24は、送信部251のみを使用する送信であるため、送信部252への電源供給を停止させる。そのため、送信命令制御部24は、送信電源確認部27を使用して送信部252の電源状態を確認する(ステップ902)。もし、送信部252に電源を供給している場合(ステップ903)、送信命令制御部24は、送信電源制御部28に指示して送信電源供給部29から送信部252への電源供給を停止させる(ステップ904)。
【0140】
さらに、送信命令制御部24は、送信部251を経由して、データ受信装置40に優先度が低いデータの送信である旨の命令通知を送付する(ステップ905)。
【0141】
データ受信装置40では、その命令通知を受信部451を介して受信し、受信命令認識部43で命令通知を取出し、受信命令制御部44に渡す(ステップ906)。受信命令制御部44は、命令通知の内容が優先度の低いデータの送信であることから、受信部452を使用しないことを認識し、受信部452への電源供給を停止する。具体的には、まず、受信電源確認部47を使用し受信部452の電源状態を確認し(ステップ907)、電源が供給されているならば(ステップ908)受信電源制御部48に指示して受信電源供給部49から受信部452への電源供給を停止する(ステップ909)。
【0142】
なお、本実施形態では、優先度の低いデータ送信は、常に電源が供給されている送信部251と受信部451との対を使用して行われるため、データ送信装置20によるデータ送信開始において、データ受信装置40の受信部の確認処理は必要としない。そのため、本実施形態の説明では、データ受信装置40からの受信通知を省略しているが、受信通知を確認してから送信を開始するようにしても、勿論よい。
【0143】
この後は、時間監視部22で時間が無くなったことを検出するまで、データ送信装置20とデータ受信装置40とは、送信部251と受信部451を使用したデータ送信を行う(ステップ910)。
【0144】
続いて、時間監視部22で送信時間が無くなったことを検出した場合の動作について図11を参照して説明する。
【0145】
時間監視部22は、時間が無くなったことを検出した場合、その旨を送信命令割込み部23に通知する。時間が無くなった通知を受けた送信命令割込み部23は、送信命令制御部24に優先変更命令232を通知する(ステップ1001)。優先変更命令232を受け取った送信命令制御部24は、優先変更送信処理を開始する。まず、送信命令制御部24は、送信電源確認部27を使用して送信部252の電源状態の確認する(ステップ1002)。もし、送信部252への電源供給が停止している場合は(ステップ1003)、送信電源制御部28に指示して送信電源供給部29から送信部252への電源供給を再開させる(ステップ1004)。その後、送信命令制御部24は、必要ならば送信部252の設定を行う。
【0146】
さらに、送信命令制御部24は、優先変更送信処理の命令通知をデータ受信装置40に通知する(ステップ1005)。
【0147】
この優先変更送信処理の命令通知を受けたデータ受信装置40の受信命令制御部44は(ステップ1006)、受信電源確認部47を使用して受信部452の電源状態を確認する(ステップ1007)。電源が供給されていない場合は(ステップ1008)、受信電源制御部48に指示を出して、受信電源供給49から受信部452への電源供給を再開させる(ステップ1009)。さらに、受信命令制御部44は必要に応じて、受信部452の設定を行う。(本実施形態ではこの設定を受信命令認識部43経由で行っているが、受信命令制御部44から直接受信部452を設定する構成も可能である。)受信命令制御部44は、受信部452の受信が可能となったら、データ送信装置20に受信可能となったことを示す受信通知を返却する(ステップ1010)。
【0148】
データ受信装置40から受信通知を受け取ったデータ送信装置20は、送信部251と受信部451との対に加え、送信部252と受信部452との対も使用した送信データの送信を行う(ステップ1011)。
【0149】
このように、本実施形態では、時間監視と連動した命令および命令通知などを使用するという簡単な構成により優先変更送信処理を実現でき、優先変更送信処理に後続する優先度の高い送信データの送信の待ち時間を抑えるという効果が得られる。
【0150】
その理由は、本実施形態のデータ送信装置20が、命令割込み部23からの命令により命令制御部24が動作を変更でききるためである。さらに、データ送信装置20からの命令通知とデータ受信装置40の受信通知により、データ送信装置20とデータ受信装置40が協調した動作が出来るためである。
【0151】
なお、本説明では、各部を機能ブロックとして説明しているが、これらをデータ送信装置20及びデータ受信装置40に組み込まれたプログラムとして構成することも、もちろん可能である。
【符号の説明】
【0152】
1、6、8 データ送信装置
2 送信制御部
3 送信記憶部
4 送信データ
51、52、53 送信部
7 送信電源部
81、82、83 送信部
15、16 通信部
9 データ受信装置
91、92、93 受信部
12 受信制御部
14 受信電源部
17 受信記憶部
18 送信ホスト
19 受信ホスト
20 データ送信装置
21 送信制御部
22 時間監視部
23 送信命令割込み部
24 送信命令制御部
251、252 送信部
26 送信電源部
27 送信電源確認部
28 送信電源制御部
29 送信電源供給部
40 データ受信装置
41 受信制御部
43 受信命令認識部
44 受信命令制御部
451、452 受信部
46 受信電源部
47 受信電源確認部
48 受信電源制御部
49 受信電源供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送信する複数の送信部と、
データの送信開始時に、当該データを送信するために前記複数の送信部のうちの少なくとも一つを当該データの送信のために割り当て、データの送信開始後に、所定の条件を満たした場合に、前記送信開始時に当該データの送信のために割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データの送信のために割り当てる制御部と
を備えたことを特徴とするデータ送信装置。
【請求項2】
前記データには優先度が設定され、該優先度の値に応じて当該データの送信のために割り当てるべき送信部の個数が決定されることを特徴とする、請求項1に記載されたデータ送信装置。
【請求項3】
前記データに送信完了期限が設定されている場合に、該送信完了期限までに当該データの送信が完了しないと予測されるときには、当該データに設定された優先度に応じて割り当てられた送信部の個数より多くの個数の送信部を当該データに割り当てることを特徴とする請求項2に記載のデータ送信装置。
【請求項4】
優先度に応じて割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データに割り当てるタイミングは、
当該送信データの優先度に応じて割り当てられた送信部の合計の送信速度と、当該データの送信残量とに基づき決定することを特徴とする請求項3に記載のデータ送信装置。
【請求項5】
優先度に応じて割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データに割り当てるタイミングは、
割り当てる個数を増やした後の送信部の合計の送信速度と、当該データの送信残量とに基づき決定することを特徴とする請求項3に記載のデータ送信装置。
【請求項6】
前記複数の送信部のうちの少なくとも一つに対しての電源供給の停止及び再開を制御する電源制御部を有し、
前記電源制御部は、該少なくとも一つの送信部にデータの送信が割り当てられていない期間には、当該少なくとも一つの送信部への電源供給を停止することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のデータ送信装置。
【請求項7】
前記送信部に電源を供給する電源制御部と、
前記電源制御部による電源供給を制御する電源指示部と、
前記送信部の電源状態を確認する電源確認部と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のデータ送信装置。
【請求項8】
時間を監視する時間監視部と、
時間監視部の監視結果に基づき、データの送信のために割り当てる送信部の個数を増やすことを指示する優先変更命令を発行する命令割込み部と、
前記優先変更命令により前記送信部の割り当て個数を増やす命令制御部と
を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7にいずれかに記載のデータ送信装置。
【請求項9】
上位装置からデータを受信し、前記上位装置からの命令に従って当該データの送信に使用する送信部の個数を決定することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のデータ送信装置。
【請求項10】
優先度に応じて割り当てる送信部の個数を使用者が予め設定または変更できることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のデータ送信装置。
【請求項11】
データを送信する複数の送信部を備えたデータ送信装置のデータの送信開始時に、当該データを送信するために前記複数の送信部のうちの少なくとも一つを当該データの送信のために割り当てるステップと、
データの送信開始後に、所定の条件を満たした場合に、前記送信開始時に当該データの送信のために割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データの送信のために割り当てるステップと
を含むことを特徴とするデータ送信方法。
【請求項12】
前記データには優先度が設定され、該優先度の値に応じて当該データの送信のために割り当てるべき送信部の個数が決定されることを特徴とする、請求項11に記載されたデータ送信方法。
【請求項13】
前記データに送信完了期限が設定されている場合に、該送信完了期限までに当該データの送信が完了しないことを予測されたときには、当該データに設定された優先度に応じて割り当てられた送信部の個数より多くの個数の送信部を当該データに割り当てることを特徴とする請求項12に記載のデータ送信方法。
【請求項14】
優先度に応じて割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データに割り当てるタイミングは、
当該送信データの優先度に応じて割り当てられた送信部の合計の送信速度と、当該データの送信残量とに基づき決定されることを特徴とする請求項13に記載のデータ送信方法。
【請求項15】
優先度に応じて割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データに割り当てるタイミングは、
割り当てる個数を増やした後の送信部の合計の送信速度と、当該データの送信残量とに基づき決定されることを特徴とする請求項13に記載のデータ送信方法。
【請求項16】
前記複数の送信部のうちの少なくとも一つに送信が割り当てられていない期間には、当該少なくとも一つの送信部への電源供給を停止することを特徴とする請求項11ないし請求項15のいずれかに記載のデータ送信方法。
【請求項17】
時間監視の結果に基づき、データの送信のために割り当てる送信部の個数を増やすことを指示する優先変更命令を発行するステップと、
前記優先変更命令により前記送信部の割り当て個数を増やすステップと
を含むことを特徴とする請求項11ないし請求項16のいずれかに記載のデータ送信方法。
【請求項18】
上位装置からデータを受信するステップと、
前記上位装置からの命令に従って当該データの送信に使用する送信部の個数を決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項11ないし請求項17のいずれかに記載のデータ送信方法。
【請求項19】
優先度に応じて割り当てる送信部の個数を使用者が予め設定または変更できることを特徴とする請求項11ないし請求項18のいずれかに記載のデータ送信方法。
【請求項20】
データを送信する複数の送信部を備えたデータ送信装置のデータの送信開始時に、当該データを送信するために前記複数の送信部のうちの少なくとも一つを当該データの送信のために割り当てる処理と、
データの送信開始後に、所定の条件を満たした場合に、前記送信開始時に当該データの送信のために割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データの送信のために割り当てる処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするデータ送信装置のデータ送信プログラム。
【請求項21】
前記データには優先度が設定され、該優先度の値に応じて当該データの送信のために割り当てるべき送信部の個数が決定されることを特徴とする、請求項20に記載されたデータ送信プログラム。
【請求項22】
前記データに送信完了期限が設定されている場合に、該送信完了期限までに当該データの送信が完了しないことを予測されたときには、当該データに設定された優先度に応じて割り当てられた送信部の個数より多くの個数の送信部を当該データに割り当てることを特徴とする請求項21に記載のデータ送信プログラム。
【請求項23】
優先度に応じて割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データに割り当てるタイミングは、
当該送信データの優先度に応じて割り当てられた送信部の合計の送信速度と、当該データの送信残量とに基づき決定されことを特徴とする請求項22に記載のデータ送信プログラム。
【請求項24】
優先度に応じて割り当てられた送信部の個数よりも多くの個数の送信部を当該データに割り当てるタイミングは、
割り当てる個数を増やした後の送信部の合計の送信速度と、当該データの送信残量とに基づき決定されることを特徴とする請求項22に記載のデータ送信プログラム。
【請求項25】
前記複数の送信部のうちの少なくとも一つに送信が割り当てられていない期間には、前記電源制御部から当該少なくとも一つの送信部への電源供給を停止することを特徴とする請求項20ないし請求項24のいずれかに記載のデータ送信プログラム。
【請求項26】
時間監視の結果に基づき、データの送信のために割り当てる送信部の個数を増やすことを指示する優先変更命令を発行する処理と、
前記優先変更命令により前記送信部の割り当て個数を増やす処理と
を含むことを特徴とする請求項20ないし請求項25にいずれかに記載のデータ送信プログラム。
【請求項27】
上位装置からデータを受信する処理と、
前記上位装置からの命令に従って当該データの送信に使用する送信部の個数を決定する処理と
を含むことを特徴とする請求項20ないし請求項26のいずれかに記載のデータ送信プログラム。
【請求項28】
優先度に応じて割り当てる送信部の個数を使用者が予め設定または変更できることを特徴とする請求項20ないし請求項27のいずれかに記載のデータ送信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−9953(P2011−9953A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150105(P2009−150105)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】