説明

トイレ装置

【課題】節水性に優れ簡素な構造を有するトイレ装置を提供する。
【解決手段】水を貯留するタンクと、前記タンクに貯留された水を前記タンク外に給水する第1の給水路と、前記第1の給水路に隣接して設けられ、前記タンクに貯留された水を前記タンク外に給水する第2の給水路と、前記タンクの中に設けられ、前記第2の給水路を開閉し、前記第1の給水路に連通する開口を有する第2の弁と、前記第2の弁の上に設けられ、前記開口を開閉する第1の弁と、を備え、前記第2の弁を開くと、前記第1の弁が押動し、前記第1及び第2の給水路を介して前記タンク外に水が給水され、前記第2の弁を閉じた状態で前記第1の弁を開くと、前記第2の給水路は閉じられたまま前記第1の給水路を介して前記タンク外に水が給水されることを特徴とするトイレ装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ装置に関し、より詳細には、水洗便器に流す洗浄水を貯留するタンクを備えたトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、複数の洗浄水流路を有する水洗便器に用いられる便器洗浄装置が提案されている。
例えば、特許文献1では、洗浄水タンクが異なる水頭を有する複数の洗浄水貯留部を備え、前記複数の洗浄系統とこの複数の洗浄系統のそれぞれの所要水頭を有する前記洗浄水貯留部とを連通し、前記洗浄水貯留部の洗浄水の水頭のみにより洗浄水を前記便器本体に供給することを特徴とするロータンク式便器洗浄装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、タンク排出口にリム−ゼット給水分配部を具備し、リム−ゼット給水分配部の底面に開口したゼット給水口を上面から塞ぐように配置されたゼット給水制御弁を、玉鎖を介して大洗浄用排水弁に連繋させることにより、大洗浄時と小洗浄時とでリムとゼットの給水分配比の切り替えが可能になるとしている。
【特許文献1】特許第3149980号
【特許文献2】特開2002−88882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、節水性に優れ簡素な構造を有するトイレ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、水を貯留するタンクと、前記タンクに貯留された水を前記タンク外に給水する第1の給水路と、前記第1の給水路に隣接して設けられ、前記タンクに貯留された水を前記タンク外に給水する第2の給水路と、前記タンクの中に設けられ、前記第2の給水路を開閉し、前記第1の給水路に連通する開口を有する第2の弁と、前記第2の弁の上に設けられ、前記開口を開閉する第1の弁と、を備え、前記第2の弁を開くと、前記第1の弁が押動し、前記第1及び第2の給水路を介して前記タンク外に水が給水され、前記第2の弁を閉じた状態で前記第1の弁を開くと、前記第2の給水路は閉じられたまま前記第1の給水路を介して前記タンク外に水が給水されることを特徴とするトイレ装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、節水性に優れ簡素な構造を有するトイレ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、水を貯留するタンクと、前記タンクに貯留された水を前記タンク外に給水する第1の給水路と、前記第1の給水路に隣接して設けられ、前記タンクに貯留された水を前記タンク外に給水する第2の給水路と、前記タンクの中に設けられ、前記第2の給水路を開閉し、前記第1の給水路に連通する開口を有する第2の弁と、前記第2の弁の上に設けられ、前記開口を開閉する第1の弁と、を備え、前記第2の弁を開くと、前記第1の弁が押動し、前記第1及び第2の給水路を介して前記タンク外に水が給水され、前記第2の弁を閉じた状態で前記第1の弁を開くと、前記第2の給水路は閉じられたまま前記第1の給水路を介して前記タンク外に水が給水されることを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、節水性に優れ簡素な構造を有するトイレ装置が提供される。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1の給水路は、前記第2の給水路に取り囲まれてなることを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、構造の簡素化が図られるとともに、給水路内において乱れの少ない水流が形成され得る。
【0009】
第3の発明は、第1の発明において、前記第1の給水路の中心は、前記第2の給水路の中心に対して偏芯していることを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、構造の簡素化が図られるとともに、給水路内において乱れの少ない水流が形成され得る。
【0010】
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、リム孔と、ジェット孔と、を有する便器をさらに備え、前記第1の給水路は、前記リム孔に連通し、前記第2の給水路は、前記ジェット孔に連通したことを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、リム孔とジェット孔とを備えた便器に好適に適用され得るトイレ装置が提供される。
【0011】
第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記第1及び第2の弁を開閉させる駆動部と、前記駆動部の動作を制御する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、前記第1及び第2の弁を開状態とさせ便器においてサイホンを生じさせた後に、前記第2の弁を閉状態とさせつつ前記第1の弁を開状態とさせて前記便器に封水を充填させることを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、節水性に優れ簡素な構造を有するサイフォンジェット式のトイレ装置が提供される。
【0012】
第6の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記第1及び第2の弁を開閉させる駆動部と、前記駆動部の動作を制御する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、前記第1の弁を開状態とさせて便器のボウル面に給水させた後に、前記第1及び第2の弁を閉状態とさせて、さらにその後に、前記第1及び第2の弁を開状態とさせて前記便器の洗浄を行わせることを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、便器を使用する前に便器の表面に水膜を形成し、汚れの付着を抑制することができる。
【0013】
第7の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記第1及び第2の弁を開閉させる駆動部と、前記駆動部の動作を制御する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、前記第1及び第2の弁を開状態とさせて便器においてサイホンを生じさせた後に、前記第1及び第2の弁を閉状態とさせて前記便器に封水を充填させないことを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、便器の掃除や点検などが実施しやすくなる。
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るトイレ装置を例示する模式斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係るトイレ装置を例示する模式平面図である。図2(a)はトイレ装置全体を例示する模式平面図であり、図2(b)は弁部を例示する模式平面図である。
【0015】
図3は、図2(a)のA−A’線断面図である。
図4は、弁部を例示する図2(a)のA−A’方向における模式断面図である。図4(a)は、図3の弁部を表す模式断面図であり、図4(b)は他の例に係る弁部を表す模式断面図である。
図5は、図2(a)のB−B’線断面図である。
【0016】
図6は、便器をさらに備えた本発明の実施形態に係るトイレ装置を例示する模式図である。図6(a)はこのトイレ装置を例示する模式平面図であり、図6(b)は図6(a)のC−C’線断面図である。図6に表した便器は、サイフォンジェット式の水洗便器である。また、図6において、便器20以外の部分については構成要素を一部省略した。
【0017】
図1〜図5に表したように、本実施形態に係るトイレ装置1は、水を貯留するタンク2と、水をタンク2の外に供給するための第1の給水路3a及び第2の給水路3bと、第1及び第2の給水路3a、3bにそれぞれ設けられた第1の弁4a及び第2の弁4bと、回転体5と、を備える。第2の弁4bは、第2の給水路3bを開閉し、第1の給水路3aに連通する開口を有してよい。また、第1の弁4aは、第2の弁4bの上に設けられ、前記開口を開閉する構成にしてよい。
【0018】
第1の弁4a及び第2の弁4bは、リム給水路とジェット給水路とに切り替える親子弁であってよく、あるいは大流量リム給水路と小流量リム給水路とに切り替える親子弁であってもよい。さらに、大流量リム給水でサイホンを発生させ、小流量リム給水ではサイホンを発生させないようにしてもよい。
【0019】
回転体5は、回転を行い、この回転の回転軸5s以外の部分に設けられた第1及び第2の接続部5a、5bを有する。そして、第1及び第2の接続部5a、5bは、それぞれ第1及び第2の弁4a、4bに接続している。
【0020】
ここで、第2の弁4bは、第1及び第2の弁4a、4bが閉じた状態から第2の弁4bが開くときに第1の弁4aを押動して開けるように設けられている。つまり、第2の弁4bが開くとき、第1弁4aは連動する。
回転体5は、回転により第1の弁4aを開閉することができる。また、回転体5は、回転により第1の弁4a及び第2の弁4bを開閉することができる。上述した押動動作により、第2の弁4bが開いているときは第1の弁4aも開くことになる。
【0021】
図3〜図6に表したように、第1及び第2の給水路3a、3bは、例えば、それぞれサイフォンジェット式水洗便器20のリム孔22及びジェット孔23に供給される水を通すように設けられてよい。
【0022】
また、図6に表したように、本実施形態に係るトイレ装置1は、第1の給水路3aと連通する第3の給水路21aと、第2の給水路3bと連通する第4の給水路21bと、を有する便器20をさらに備えてよい。便器20は、サイフォンジェット式便器であってよく、この場合、第3の給水路21aはリム孔22に供給される水を通すように設けられ、第4の給水路21bはジェット孔23に供給される水を通すように設けられてよい。リム孔22は、便器のボウル部に向けて開口しており、ボウル面の洗浄のための洗浄水や便器の封水を形成するための水を通す。また、ジェット孔23は、ボウル部の下流に連なるトラップ部の下流に向けて開口しており、サイフォン現象を促進するための水を通す。なお、リム孔は、洗浄水を、ボウル部の上部開口の周縁に形成したリム部の、ボウル部内に面したリム部内側壁面に沿うように吐出する開口孔であってもよい。
【0023】
以下、サイフォンジェット式便器に適用される場合を例に取り上げて説明する。このため、第1及び第2の給水路3a、3bは、それぞれリム給水路3a及びジェット給水路3bと呼ぶことがあり、他の構成要素についても同様に呼ぶことがある。
タンク2は、例えば水洗便器に用いられるロータンクであってよく、あるいはハイタンクやその他の任意のタンクであってよい。
【0024】
図1〜図5に表したように、リム給水路3a及びジェット給水路3bは、少なくとも上流側において互いに接して設けられてよい。また、図4(a)に表したように、少なくとも上流側において、リム給水路3aが内側である略同心円の形状を有してよい。あるいは、図4(b)に表したようにこれら給水路の中心が異なってもよい。すなわち、リム給水路3aの中心は、ジェット給水路3bの中心に対して偏芯していてよい。また、図1〜図5に表したように、リム給水路3a及びジェット給水路3bは、それぞれタンク2の底面に設けられた第1及び第2の給水口3a、3b(リム給水口3a及びジェット給水口3b)であってよい。リム給水路3a及びジェット給水路3bをこれらのように構成することにより、構造の簡素化が図られる。すなわち、例えば部材において給水路3a、3bに係る穴を開ける場合に、穴の数を減らすことができる(1本にすることができる)。このため、加工が容易になる。
【0025】
図1〜図5に表したように、第1及び第2の弁4a、4b(リム制御弁4a及びジェット制御弁4b)は、それぞれリム給水路3a及びジェット給水路3bの端部(例えば、上流側の端部)に設けられてよい。あるいは、流路途中に設けられてよい。弁4a、4bの開閉方向は、接続部5a、5bとの配置関係等を考慮して適宜選択することができ、例えば流路と略同一の方向であってよく、あるいは図示したように蝶番を用いて流路方向に対して角度を変えながら開閉する構成であってよい。
【0026】
次に、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bの構成及び動作について、図1〜図5及び図7を参照しつつ説明する。
本実施形態において、ジェット制御弁4bは、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bが閉じた状態からジェット制御弁4bが開くときにリム制御弁4aを押動して開けるように設けられている。
【0027】
図7は、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bの構成を例示する模式図である。図7(a)、(c)、及び(e)は、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bの構成を例示する模式平面図であり、図7(b)、(d)、及び(f)は、それぞれ図7(a)、(c)、及び(e)を方向Vから見た模式側面図である。
【0028】
図7(a)〜(d)は、図1〜図5に表した弁4a及び4bの構成である。図7(a)及び(b)は図4(a)に表した弁4a及び4bの構成を表し、また図7(c)及び(d)は図4(b)に表した弁4a及び4bの構成を表している。
【0029】
図7に表したように、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bは、閉じた状態で、ジェット制御弁4bの開閉方向において互いに重なる重複領域4tを有し、重複領域4tにおいては、リム制御弁4aがジェット制御弁4bより開放側(特に、ジェット制御弁4bの開放側)に位置している。そして、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bのいずれもが閉じた状態からジェット制御弁4bが開くときに、ジェット制御弁4bは重複領域4tにおいてリム制御弁4aと接し、リム制御弁4aを押動する。この結果、リム制御弁4aも開くことになる。
【0030】
なお、図7に表したように、リム制御弁4aとジェット制御弁4bとは、閉じた状態で重複領域4tの少なくとも一部において接していてよい。あるいは、接していなくてもよい。また、重複領域4tは、押動動作を行い得る限りにおいて任意の形状及び大きさを有してよい。形状としては、平面であってよく、あるいはフック状のものであってよい。また、図7(a)〜(d)に表したようにジェット制御弁4bは穴4hを有してよく、あるいは図7(e)及び(f)に表したように有さなくてもよい。
【0031】
図1〜図5では、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bは、リム制御弁4aが開放側に位置して重畳するように設けられている。すなわち、親子弁の構造を有している。かかる構成により、上記押動動作を実現することができる。
【0032】
次に、回転体5について、図1〜図3及び図5を参照しつつ説明する。
図1〜図3及び図5に表したように、回転体5は、回転を行い、この回転の回転軸5s以外の部分に設けられた第1及び第2の接続部5a、5b(リム接続部5a及びジェット接続部5b)を有する。リム接続部5a及びジェット接続部5bは、それぞれリム制御弁4a及びジェット制御弁4bに接続している。回転体5は、回転により、リム制御弁4aのみを開閉し、またはリム制御弁4a及びジェット制御弁4bを開閉する。前述したように、ジェット制御弁4bが開いているときはリム制御弁4aも開くことになる。
【0033】
回転体5は、図1〜図3及び図5に表したようにタンク2に設けられてよく、あるいは他の場所に設けられてよい。また、回転軸5sは、図示したように略水平であってよく、あるいは他の方向に延在してよい。また、回転体5は、図示したように回転軸5sから突出する突出部5pを有し、リム接続部5a及びジェット接続部5bの少なくともいずれかは、突出部5pに設けられてよい。あるいは、突出部5pを設けずに、接続部5a、5bを回転体5の軸体に直接設けてもよい。
【0034】
また、図1〜図3及び図5に表したように、リム制御弁4aとリム接続部5aとの接続及びジェット制御弁4bとジェット接続部5bとの接続の少なくともいずれかは、玉鎖、ワイヤーなどの紐状体6(6a、6b)を介してなされてよい。この場合、紐状体6が緊張状態にあるときに弁4(4a及び/または4b)が開けられ得、紐状体6が弛緩状態にあるときに弁4が閉じられ得る。紐状体6の緊張状態と弛緩状態との間での変換は、回転体5が回転することにより行われる。また、これら接続は、図示しないが棒状体や歯車などを用いて行ってもよい。
【0035】
次に、リム接続部5a及びジェット接続部5b、並びにリム紐状体6a及びジェット紐状体6bの構成及び動作について、図1及び図8〜図11を参照しつつ説明する。
図8は、接続部5a、5b及び紐状体6a、6bの構成を例示する模式図である。この図は、図1においてX軸正側から負側を見たときの、回転体5の回転の回転面を表している。
【0036】
図9は、接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図8に表したように構成された場合の、回転体5、紐状体6a、6b、及び弁4a、4bの動作を例示する模式断面図である。
図10は、接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図8に表したように構成された場合の、弁4a、4bの制御態様を例示する模式図である。
図11は、接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図8に表したように構成された場合の、トイレ装置1の他の構成を例示する模式図である。
【0037】
図8に表したように、リム接続部5a及びジェット接続部5bは、回転面において、リム接続部5aと、回転軸5sと、ジェット接続部5bと、のなす角が略180度になるように構成されてよい。これは、図1〜図3及び図5に表した構成と同じ構成である。
【0038】
この場合、図9(a)に表したように、接続部5a及び5bがZ軸方向(略鉛直方向)においてそれぞれ範囲Ra及び範囲Rbの位置にあるとき(例えば、両者が略同一の位置にあるとき)にそれぞれ紐状体6a及び6bが弛緩状態になるように、紐状体6a、6bを設けることができる。
【0039】
また、図9(b)に表したように、ジェット接続部5bがZ軸正側に移動して範囲Rbから逸脱するとジェット紐状体6bがジェット制御弁4b(及び押動動作によりリム制御弁4a)を開放できる程度に緊張するように、ジェット紐状体6bを設けることができる。
【0040】
また、図9(c)に表したように、リム接続部5aがZ軸正側に移動して範囲Raから逸脱するとリム紐状体6aがリム制御弁4aを開放できる程度に緊張するように、リム紐状体6aを設けることができる。
【0041】
範囲Ra及びRbは、同じ値でもよく、異なる値でもよい。これら値は、紐状体6a及び6bが弛緩する状態(第1の状態)、少なくとも紐状体6bが緊張する状態(第2の状態)、及び紐状体6aのみが緊張する状態(第3の状態)の全てを発現し得る限りにおいて任意の値に設定することができる。
【0042】
このように構成することにより、回転体5は、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bが閉じた状態において第1の方向(例えば、左回りの方向)に回転するとリム制御弁4a及びジェット制御弁4bを開け、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bが閉じた状態において第2の方向(例えば、右回りの方向)に回転するとリム制御弁4aのみを開けることができる。
かかる動作を利用することにより、弁4a、4bを様々な態様で制御することができる。
【0043】
図1に表したように、本実施形態に係るトイレ装置1は、回転体5の駆動を行う駆動部Dと、駆動部Dを制御する制御部Cと、をさらに備えることができる。制御部Cは、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bのいずれもが閉じられた第1の状態と、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bのいずれもが開けられた第2の状態と、リム制御弁4aは開けられジェット制御弁4bは閉じられた第3の状態と、の間を直接的または間接的に可逆的に切り換えるように駆動部Dに指示を行うことができる。
駆動部Dは、例えばモータであってよい。また、制御部Cは、駆動部Dに設けられてよい。
【0044】
第1の状態では、便器に水が供給されない。このため、第1の状態は不使用時等において発現されてよい。
第2の状態では、リム流及びジェット流が供給される。このため、第2の状態は便器を洗浄する時に発現されてよい。第2の状態が継続する時間は、2つ以上の時間、例えば3つの時間から選択されてよい。これにより、便器に供給される水の量を多段階(例えば、大小、大中小(比率としては、例えば6:5:4)など)に設定することができる。
第3の状態では、リム流のみ供給される。このため、第3の状態は便器の封水を形成する時や便器のボウル部を洗浄する時に発現されてよい。第3の状態が継続する時間は、便器の封水を形成するのに十分な時間または便器のボウル部を洗浄するのに十分な時間であってよい。
【0045】
図9に表した動作において、制御部Cが、接続部5a及び5bがZ軸方向において例えば略同一の位置になるように回転体5を回転するよう駆動部Dに指示を行うことにより、第1の状態が実現される(図9(a))。
また、制御部Cが、回転体5を左回りに回転するよう駆動部Dに指示を行うことにより、第2の状態が実現され得る(図9(b))。
また、制御部Cが、回転体5を右回りに回転するよう駆動部Dに指示を行うことにより、第3の状態が実現され得る(図9(c))。
【0046】
これら動作により、例えば図10に表した制御が可能となる。すなわち、制御部Cは、第2の状態と、第1の状態と、第3の状態と、をこの順に発現するように駆動部Dに指示を行うことができる。
【0047】
図10に表したように、時間帯(1)においては、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bは閉じられ、第1の状態となる。その後、洗浄時である時間帯(2)においては、回転体5が左回りに回転し、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bは開かれ、第2の状態になる。その後、時間帯(3)においては、回転体5は逆回転し(右回りに回転し)、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bは閉じられ、第1の状態になる。その後、リフィル時である時間帯(4)においては、回転体5はさらに右回りに回転し、リム制御弁4aのみが開かれ、第3の状態になる。なお、「リフィル」とは、便器の封水を形成するための水を便器に供給することである。その後、時間帯(5)においては、回転体5は逆回転し(左回りに回転し)、第1の状態となる。すなわち、制御部Cは、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bを開状態とさせて便器においてサイホンを生じさせた後に、ジェット制御弁4bを閉状態とさせつつリム制御弁4aを開状態とさせて便器に封水を充填させることができる。
【0048】
なお、回転軸5sは、これまで図示してきたように蝶番を有する弁4a、4bの回転面(XZ平面)上にあってよく、あるいは図11(a)に表したようにXZ平面に対して略垂直であってよい。この場合も、図11(b)に表したように上記と同様の動作及び制御が可能となる。
【0049】
本実施形態に係るトイレ装置1は、図1に表したように、水の供給の必要性及び水の供給態様を決める情報(以下、「水供給情報」という)を取得する情報取得手段Aをさらに備えてよい。この場合、制御部Cは、駆動部Dに指示を行う場合の少なくとも一部において、情報取得手段Aが取得した情報を用いることができる。
【0050】
情報取得手段Aは、水供給情報の基となる第1の原情報を検知する検知手段Sを有してよい。第1の原情報は、例えば利用者の着座時間であってよい。
【0051】
また、情報取得手段Aは、利用者が水供給情報の基となる第2の原情報を入力する入力手段Eを有してよい。入力手段Eは、便器や壁などに付設されてよく、あるいはリモコンの形態を有してよい。利用者は、入力手段Eのボタンを押すなどにより、便器への水の供給態様を選択することができる。
【0052】
検知手段Sと入力手段Eとを併有した場合、情報取得手段Aは、第1及び第2の原情報を用いて水供給情報を取得することができる。この場合、第1の原情報と第2の原情報との間で齟齬が生じる場合には、第2の原情報を優先するように構成してよい。例えば、第1の原情報(検知情報)によれば便器に供給する水の量は多くすべきと判断される一方、第2の原情報(入力情報)によれば便器に供給すべき水の量は少なくてよいと判断される場合には、第2の原情報に基づいて水供給情報を取得してよい。これにより、制御部Cはこの水供給情報を基に、駆動部Dに対し適切な指示を行うことができる。この結果、適切な水量で水が供給される。
【0053】
なお、情報取得手段A、検知手段S、及び/又は入力手段Eが制御部Cを遠隔操作する構成にしてもよい。
【0054】
(本実施形態の効果)
次に、本実施形態の効果について、図12を参照しつつ説明する。
図12は、本実施形態と対比される比較例に係るトイレ装置を表した模式断面図である。このトイレ装置200は、サイフォンジェット式水洗便器に用いられる。
【0055】
図12に表したように、比較例に係るトイレ装置200は、ボールタップにより分岐された2つの給水路を有する(タンク給水路201及びリフィル給水路202)。タンク給水路201には、タンクに供給する水が流れる。一方リフィル給水路202には、便器のリフィルに用いられる水が流れる。すなわち、リフィル用の水は、タンクを経由せずに、直接水道管などから供給される。
【0056】
かかる構成において、タンクから便器へ洗浄水を流して便器の洗浄を行った場合、ボールタップの浮玉(図示せず)及びオーバーフロー管の機能により、タンク内に水が供給される。以下、洗浄水の量が少量であるときにはタンク給水に60秒要し、多量であるときには75秒要する場合を例に取り上げて説明する。
【0057】
ここで、一般に、リフィルに係る流量は、洗浄水が少量であるときのタンク給水に要する時間だけ経過すれば十全に封水が形成されるように設定される。この設定は、流路抵抗を調節することにより行われる。このように設定することにより、洗浄水が少量である場合も多量である場合も、換言すればタンク給水時間が短い場合も長い場合も、封水が十全に形成される。このため、本事例では、タンク給水が60秒間なされれば、リフィルは十全になされるように構成されていると仮定する。
【0058】
なお、リフィルに要する水量は、通常は洗浄水の量に関係なく一定である。洗浄水の量に関係なく、サイフォン現象によりボウル内の水はほぼ全て排出され、洗浄後のボウル面の水量は同等になるからである。
【0059】
図12(a)に表したように、洗浄水が少量である場合には、タンク給水に60秒要することから、タンク給水路201には60秒間水が流れる。この時、同時にリフィル給水路202にも60秒間水が流れる。これにより、便器の封水が適切に形成される。
【0060】
一方、図12(b)に表したように、洗浄水が多量である場合には、タンク給水に75秒要することから、タンク給水路201には75秒間水が流れる。この時、同時にリフィル給水路202にも75秒間水が流れる。この場合も、便器の封水は十全に形成される。しかし、60秒間給水された時点で既に封水は適切に形成されていることから、残余の15秒の間に流れた水は無駄に供給されたことになる。
このように、比較例においては、タンクからの排水量に差があると無駄水が生じ、排水量の差が大きくなると無駄水は増加する。
【0061】
これに対し、本実施形態に係るトイレ装置1は、封水形成に必要な水の量(換言すれば、第3の状態が継続している時間)は制御部Cなどにより独自に制御することができ、洗浄水の量やタンクの水位に依存しない。これにより、上述した無駄水に係る問題が解消され、節水性の向上が図られる。また、2つの弁(弁4a及び4b)を用いるなどにより、構造が簡素なものとなっている。このため、費用の抑制や装置の信頼性向上が図られる。
このように、本実施形態によれば、節水性に優れ簡素な構造を有するトイレ装置が提供される。
【0062】
(本実施形態の他の構成及び制御)
次に、本実施形態に係るトイレ装置1の他の制御について、図13及び図14を参照しつつ説明する。
図13及び図14は、接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図8に表したように構成された場合の、弁4a、4bの他の制御態様を例示する模式図である。
【0063】
図13に表したように、制御部Cは、第2の状態と、第1の状態と、をこの順に発現するように駆動部Dに指示を行うことができる。この場合、第3の状態は発現されず、便器内に封水は形成されない。すなわち、制御部Cは、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bを開状態とさせて便器においてサイホンを生じさせた後に、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bを閉状態とさせて便器に封水を充填させないようにすることができる。従って、このような制御態様は、便器の掃除や点検などを行う際に好適に用いることができる(お掃除モード)。
【0064】
かかる動作は、制御部Cが駆動部Dに対して、図10に関して前述した指示において時間帯(4)及び(5)に係る指示を削除した指示を行うことによって実現される。
【0065】
また、図14に表したように、制御部Cは、図10や図13に関して前述した制御等において、第2の状態の前に、第3の状態をさらに発現するように駆動部Dに指示を行うことができる。すなわち、制御部Cは、リム制御弁4aを開状態とさせて便器のボウル面に給水させた後に、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bを閉状態とさせて、さらにその後に、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bを開状態とさせて便器の洗浄を行わせることができる。これにより、「プレ洗浄」がなされる。すなわち、便器を使用する前に便器の表面に水膜を形成し、汚れの付着を抑制することができる。この場合、検知手段Sを用いて利用者が着座したことを検知して、自動的にプレ洗浄がなされる構成にすることができる。
【0066】
かかる動作は、制御部Cが駆動部Dに対して、図10や図13などの指示において時間帯(1)の前に、回転体5を右回りに回転する旨の指示を行うことによって実現される。
【0067】
次に、本実施形態に係るトイレ装置1の他の構成及び制御について、図15〜図17を参照しつつ説明する。
図15は、接続部5a、5b及び紐状体6a、6bの別の構成を例示する模式図である。この図は、図8と同様に、図1においてX軸正側から負側を見たときの、回転体5の回転の回転面を表している。
【0068】
図16は、接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図15に表したように構成された場合の、回転体5、紐状体6a、6b、及び弁4a、4bの動作を例示する模式断面図である。
図17は、接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図15に表したように構成された場合の、弁4a、4bの制御態様を例示する模式図である。
【0069】
図15に表したように、リム接続部5a及びジェット接続部5bは、回転面において、リム接続部5aと、回転軸5sと、ジェット接続部5bと、のなす角が略90度になるように構成されてよい。例えば、回転軸5sを原点としてZ軸負側方向に接続部5aを配置し、Y軸正側方向に接続部5bを配置することができる。
【0070】
この場合、図15(a)〜(c)に表したように、接続部5a及び接続部5bがZ軸方向においてそれぞれ範囲Ra及びRbに位置にあるときにそれぞれ紐状体6a及び6bが弛緩状態になり、これら範囲を逸脱すると緊張状態になるようにすることができる。
【0071】
これにより、回転体5は、リム制御弁4a及びジェット制御弁4bが閉じた状態において第1の方向(例えば、左回りの方向)に回転するとリム制御弁4a及びジェット制御弁4bを開け、さらに第1の方向に回転するとジェット制御弁4bのみを閉じることができる。
【0072】
すなわち、図16(a)に表したように、接続部5aが例えば回転軌道の下端近傍にあるときに紐状体6a及び6bは弛緩状態になり、弁4a及び4bは閉じられた状態になる。この結果、第1の状態が実現される。
【0073】
また、図16(b)に表したように、接続部5bが例えば回転軌道の上端近傍にあるときに紐状体6bは緊張状態になり、弁4a及び4bは開かれた状態になる。この結果、第2の状態が実現される。
【0074】
また、図16(c)に表したように、接続部5aが例えば回転軌道の上端近傍にあるときに紐状体6aのみが緊張状態になり、弁4aのみが開かれた状態になる。この結果、第3の状態が実現される。
【0075】
かかる動作を行うことにより、図17に表した制御が可能となる。すなわち、制御部Cは、第2の状態と、第3の状態と、第1の状態と、をこの順に発現するように駆動部Dに指示を行うことができる。
【0076】
図17に表したように、時間帯(1)においては、図17(c)の状態により第1の状態となる。その後、洗浄時である時間帯(2)においては、回転体5が左回りに回転し図17(d)の状態になり、第2の状態になる。その後、リフィル時である時間帯(3)においては、回転体5はさらに左回りに回転し図17(e)の状態になり、第3の状態になる。その後、時間帯(4)においては、回転体5はさらに左回りに回転し、第1の状態に戻る。
【0077】
次に、本実施形態に係るトイレ装置1のさらに別の構成及び制御について、図18及び図19を参照しつつ説明する。
【0078】
本実施形態において、接続部5a、5bは、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態と、の間を直接的または間接的に可逆的に切り換えることのできる限りにおいて、任意の位置に設けることができる。また、紐状体6を用いた場合には、紐状体6a、6b及び範囲Ra、Rbは、第1の状態と、第2の状態と、第3の状態と、の間を直接的または間接的に可逆的に切り換えることのできる限りにおいて、任意の位置・態様で設け、設定することができる。すなわち、リム紐状体6a及びジェット紐状体6bのいずれもが弛緩状態にある場合(第1の状態)と、少なくともジェット紐状体6bがジェット制御弁4bを開放できる程度に緊張状態にある場合(第2の状態)と、リム紐状体6aはリム制御弁4aを開放できる程度に緊張状態にありジェット紐状体6bは弛緩状態にある場合(第3の状態)と、が実現できる限りにおいて、任意の位置・態様で設け、設定することができる。なお、第2の状態については、前述した押動動作によりジェット制御弁4bが開けられているときは同時にリム制御弁4aも開けられているため、少なくともジェット紐状体6bがジェット制御弁4bを開放できる程度に緊張状態にあれば第2の状態が実現され得る。
【0079】
以下、紐状体6を用いた場合を例に取り上げて説明する。
図18及び図19は、接続部5a、5b及び紐状体6a、6bのさらに別の構成を例示する模式図である。これらの図は、図8と同様に、図1においてX軸正側から負側を見たときの、回転体5の回転の回転面を表している。
【0080】
接続部5a及び5bは、回転面において同じ位置に設けられてよく、あるいはこれまで説明してきたように異なる位置に設けられてよい。また、接続部5a及び5bの回転半径は、同じであっても異なってもよい。
【0081】
図18(a)に表したように、リム接続部5aとジェット接続部5bとは、回転面において略同じ位置に設けられてよい。この場合、リム紐状体6a及びジェット紐状体6bの長さを異ならせる(リム紐状体6aを相対的に短くする)などにより、回転体5の回転中にそれぞれが緊張状態になるタイミングを異ならせることができる。換言すれば、範囲Raの上端が範囲Rbの上端より低くなるように設定する。これにより、前述した3状態が実現され得る。
【0082】
すなわち、まず、リム紐状体6a及びジェット紐状体6bのいずれもが弛緩状態にあるときには、図18(a)に表したように第1の状態が実現される。その後、回転体5が左回りに回転すると、図18(b)に表したように、接続部5a及び5bはZ軸正側に移動する。この場合、リム紐状体6aが相対的に短いため、最初にリム紐状体6aが緊張状態になる。これにより、第3の状態が実現され得る。その後、さらに回転体5が左回りに回転し接続部5a及び5bがさらにZ軸正側に移動すると、ジェット紐状体6bも緊張状態になる。これにより、第2の状態が実現され得る。その後、さらに回転体5が左回りに回転すると、あるいは回転体5が逆回りに回転すると、接続部5a及び5bはZ軸負側に移動し、第3の状態及び第1の状態がこの順に実現され得る。
【0083】
また、図19(a)に表したように、リム接続部5a及びジェット接続部5bは、回転軸5sから略同じ方向に延在する線上の位置であって回転半径の異なる位置に、より詳細には、リム接続部5aの回転半径の方が相対的に大きくなるように、設けられてよい。この場合も、図18に関して前述したように、紐状体6a及び6bの長さを異ならせるなどにより前述した3状態を実現することができる。また、紐状体6a及び6bの長さが略同一であっても、接続部5a及び5bの回転半径が異なるため、回転体5の回転中に紐状体6a及び6bが緊張状態になるタイミングを異ならせることができる。すなわち、回転体5が左回りに回転すると、図19(b)に表したように、同じ回転角だけ移動したにもかかわらずリム接続部5aは相対的に大きな距離だけ移動する(距離La>距離Lb)。この結果、リム紐状体6aの方が先に緊張状態になる。その後、さらに回転体5が左回りに回転し接続部5a及び5bがさらにZ軸正側に移動すると、ジェット紐状体6bも緊張状態になる。このようにして、第1の状態、第3の状態、及び第2の状態がこの順で実現され得る。その後、さらなる回転または逆回転により、これら状態が逆の順で実現され得る。
【0084】
なお、上記において、接続部5a、5bを回転軸5sを基準に対称の位置に設け、回転を逆にすることにより、同様の動作を実現することができる。
【0085】
次に、本実施形態に係るトイレ装置1のさらに別の構成について、図20を参照しつつ説明する。
図20は、本実施形態に係るトイレ装置のさらに別の構成を例示する模式斜視図である。
【0086】
本実施形態に係るトイレ装置1は、回転体5の回転を行うための道具Tをさらに備えてよい。道具Tとしては、例えば、つまみ、取っ手(ハンドル、レバー等を含む)、引き紐、ボタン、ペダル等が挙げられる。この場合、利用者は、道具Tを用いて手動で洗浄水や封水用の水を供給することができる。水量は、道具Tが作動する時間を変えることにより調節することができる。
【0087】
道具Tは、前述した情報取得手段A、制御部C、及び駆動部Dと併用することができる。この場合、通常は制御部C等を用いて洗浄水等を供給し、停電時は道具Tを用いて手動で洗浄水等を供給することができる。
【0088】
なお、これまで主にサイフォンジェット型の水洗便器を用いて説明してきたが、本実施形態に係るトイレ装置は、2つの給水路を有する任意の水洗便器に適用することができる。
【0089】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施形態に係るトイレ装置を例示する模式斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るトイレ装置を例示する模式平面図である。
【図3】図2(a)のA−A’線断面図である。
【図4】弁部を例示する図2(a)のA−A’方向における模式断面図である。
【図5】図2(a)のB−B’線断面図である。
【図6】便器をさらに備えた本発明の実施形態に係るトイレ装置を例示する模式図である。
【図7】リム制御弁4a及びジェット制御弁4bの構成を例示する模式図である。
【図8】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bの構成を例示する模式図である。
【図9】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図8に表したように構成された場合の、回転体5、紐状体6a、6b、及び弁4a、4bの動作を例示する模式断面図である。
【図10】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図8に表したように構成された場合の、弁4a、4bの制御態様を例示する模式図である。
【図11】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図8に表したように構成された場合の、トイレ装置1の他の構成を例示する模式図である。
【図12】本実施形態と対比される比較例に係るトイレ装置を表した模式断面図である。
【図13】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図8に表したように構成された場合の、弁4a、4bの他の制御態様を例示する模式図である。
【図14】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図8に表したように構成された場合の、弁4a、4bの他の制御態様を例示する模式図である。
【図15】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bの別の構成を例示する模式図である。
【図16】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図15に表したように構成された場合の、回転体5、紐状体6a、6b、及び弁4a、4bの動作を例示する模式断面図である。
【図17】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bが図15に表したように構成された場合の、弁4a、4bの制御態様を例示する模式図である。
【図18】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bのさらに別の構成を例示する模式図である。
【図19】接続部5a、5b及び紐状体6a、6bのさらに別の構成を例示する模式図である。
【図20】本実施形態に係るトイレ装置のさらに別の構成を例示する模式斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
1 トイレ装置、2 タンク、3a 第1の給水路、リム給水路、3b 第2の給水路、ジェット給水路、4a 第1の弁、リム制御弁、4b 第2の弁、ジェット制御弁、4h 穴、4t 重複領域、5 回転体、5a 第1の接続部、リム接続部、5b 第2の接続部、ジェット接続部、5p 突出部、5s 回転軸、6a 紐状体、リム紐状体、6b 紐状体、ジェット紐状体、20 便器、21a 第3の給水路、21b 第4の給水路、22 リム孔、23 ジェット孔、200 トイレ装置、201 タンク給水路、202 リフィル給水路、A 情報取得手段、C 制御部、D 駆動部、E 入力手段、La 距離、Lb 距離、Ra 範囲、Rb 範囲、S 検知手段、T 道具、V 方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留された水を前記タンク外に給水する第1の給水路と、
前記第1の給水路に隣接して設けられ、前記タンクに貯留された水を前記タンク外に給水する第2の給水路と、
前記タンクの中に設けられ、前記第2の給水路を開閉し、前記第1の給水路に連通する開口を有する第2の弁と、
前記第2の弁の上に設けられ、前記開口を開閉する第1の弁と、
を備え、
前記第2の弁を開くと、前記第1の弁が押動し、前記第1及び第2の給水路を介して前記タンク外に水が給水され、
前記第2の弁を閉じた状態で前記第1の弁を開くと、前記第2の給水路は閉じられたまま前記第1の給水路を介して前記タンク外に水が給水されることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記第1の給水路は、前記第2の給水路に取り囲まれてなることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記第1の給水路の中心は、前記第2の給水路の中心に対して偏芯していることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項4】
リム孔と、ジェット孔と、を有する便器をさらに備え、
前記第1の給水路は、前記リム孔に連通し、
前記第2の給水路は、前記ジェット孔に連通したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の弁を開閉させる駆動部と、
前記駆動部の動作を制御する制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1及び第2の弁を開状態とさせて便器においてサイホンを生じさせた後に、前記第2の弁を閉状態とさせつつ前記第1の弁を開状態とさせて前記便器に封水を充填させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の弁を開閉させる駆動部と、
前記駆動部の動作を制御する制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1の弁を開状態とさせて便器のボウル面に給水させた後に、前記第1及び第2の弁を閉状態とさせて、さらにその後に、前記第1及び第2の弁を開状態とさせて前記便器の洗浄を行わせることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の弁を開閉させる駆動部と、
前記駆動部の動作を制御する制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1及び第2の弁を開状態とさせて便器においてサイホンを生じさせた後に、前記第1及び第2の弁を閉状態とさせて前記便器に封水を充填させないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−121411(P2010−121411A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298560(P2008−298560)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】