説明

トグルスイッチ装置

トグル機構と、管状ハウジング内に維持された複数の基本スイッチとを含むトグルスイッチ装置が、開示される。アクチュエータが少なくとも1つのスプリングに結合される。そのスプリングは複数の基本スイッチを作動するように共に働く。導線終端組立体が管状ハウジング内に形成されうる。導線終端組立体は、複数のピン接点に取り付けられた複数の導線を備えている。ピン接点は管状ハウジングのカバーから外に出る。それにより、トグルスイッチ装置を高重力状態中に維持された位置に手動で作動されるようにする。管状ハウジングは、密封金属管として形成されうる。ヘッダがガラス対金属シールを利用して管状ハウジング内に密封されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にトグルスイッチに関する。本発明は、軍事用および民間用航空機等の高性能機器に用いられるスイッチおよび構成部品にも関連する。本発明は、スイッチング機構に用いられるアクチュエータ構成部品にもさらに関連する。
【背景技術】
【0002】
トグルスイッチは、スプリング付き突出レバーが電気回路を開閉するように用いられているスイッチである。様々な形式のトグルスイッチが、様々な電気機器および設備を作動すべく家庭、商業、産業、軍事分野において電力を制御するように長年利用されてきた。
【0003】
公知のトグルスイッチは、通常は、電気接点を収納するハウジングにして、電力を外部装着端子へと切り換えるべく手動操作ハンドルに嵌合されたハウジングを伴って製造される。トグルスイッチの1つの一般的形体においては、ハンドルは、ハウジング内部の、金属板ばねを作動するカム面を有する。金属板ばねは、接点との電気的導通を形成または遮断する。一般のトグルスイッチは、それらの装着形体の観点から標準化されているので、それらは、例えば、2本のネジの使用によってのみ壁設置電気箱に容易に装着されうる。通常は、ネジ端子は、スイッチ・ハウジングの側面に位置づけられ、適切なサイズの電線に対して接続が容易になされ、それによって電力を電気機器または設備に送給する。
【0004】
トグルスイッチは、典型的には、第1位置および第2位置において安定性を有する手動接触可能部材を与える。例えば、これら第1および第2の位置は、「ON」および「OFF」を表してもよい。ある状況では、不測の作動に対して実質的な不利益が与えられることがある。例えば、修理または設置中に、不測の作動が感電死または衝撃を生じさせることがある。したがって、作業者がスイッチの直ぐ側に居らず、かつ、作業者が設置、修理、または保守の作業中である場合、ロックまたはフラグ(標識)の設定がなされ、スイッチがリセットされるべきでないことを他人に警告するか、または相当な努力なしにはリセットできないようにしている。
【0005】
不測の作動を防止するばかりではなく、トグルスイッチを作動位置に実際に維持する必要がある状況も起こる。この種の状況の一例は、例えば、高性能軍事航空機におけるような高重力を受ける多くの軍事用機器において固有のものである。例えば、合衆国海軍省は、F−16戦闘機に瞬間スイッチの使用を要求している。その瞬間スイッチは、パイロットの下肢付近に配置され、戦術的展開中に手動で保持されなければならない。
【0006】
このようなスイッチは、戦闘展開を実行している間に、飛行制御を逆転するように利用されうる。このような瞬間スイッチに伴う問題は、パイロットが高「G力」作戦行動を開始し、そしてパイロットの戦闘服が膨張し始めて、意識喪失状態を防止するようにパイロットの血液を強制するときに起こる。この状況が起きたとき、パイロットはスイッチを「ON」位置に保持するのに困難な時間があり、飛行制御パネルを見ながらも方向感覚を失うことになる。
【0007】
高性能機器に使用するのに適しかつパイロットが高「G力」作戦行動中にトグルスイッチの作動状態を維持することができる改良されたトグルスイッチに対する要請が存在する。
【0008】
以下の本発明の開示は、本発明の独特かつ刷新的な特徴のいくつかを理解することを容易にするためになされており、すべてを完全に説明するようには意図されていない。本発明の様々な観点の完全な理解は、明細書のすべて、特許請求の範囲、図面、および要約を全体として捉えることによって把握されることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
改良されたトグルスイッチを提供することが、本発明の一目的である。
【0010】
軍事および民間航空機等の高性能機器に用いられる改良されたスイッチング構成部品を提供することが本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上述した目的およびその他の目的ならびに利点は、ここに説明するようにして達成されうる。トグル機構と、管状ハウジング内に維持された複数の基本スイッチとを含むトグルスイッチ装置が、開示される。アクチュエータが少なくとも1つのスプリングに関連づけられる。そのスプリングは複数の基本スイッチを作動するように共に働く。導線終端組立体が管状ハウジング内に形成されうる。
【0012】
導線終端組立体は、複数のピン接点に取り付けられた複数の導線を備えている。ピン接点は管状ハウジングのカバーから外に出る。それにより、高重力状態中にトグルスイッチ装置を手動で作動し、その作動位置に維持することができる。管状ハウジングは、密封金属管として形成してもよい。ガラス対金属シールを利用して管状ハウジング内にヘッダを密封してもよい。カバー自体は、金属カバーとして形成してもよい。複数の基本スイッチは少なくとも6つの基本スイッチを含むことができる。6つの基本スイッチは、管状ハウジング内で一列に配列してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
別個の図面を通じて同一または機能類似要素に同様の参照番号が付される。添付図面は、本発明を図示し、本発明の詳細な説明と共に本発明の原理を説明する働きをする。
【0014】
ここに示す非限定実施例において検討した特定の値および形体は、変更されうるし、本発明の少なくとも1つの実施例示すためにのみ用いられ、本発明の範囲を限定するように意図されていない。
【0015】
図1は、本発明の実施例に基づいて実施されうるトグルスイッチ装置100の頂面図を示す。図2は、本発明の実施例に基づいた図1に示すトグルスイッチ装置100の側部断面B−B視図を示す。図3は、図2に示すトグルスイッチ装置100を別の側から見た図である。図4は、本発明の実施例に基づいた図1−3に示すトグルスイッチ装置100の側部断面A−A視図である。これらの図を通して同一の部品は同一の参照番号によって示されていることに留意されたい。
【0016】
トグルスイッチ装置100は、アクチュエータ111に関連づけられたスプリング109に接続されたトグル102を備えるトグル機構105を含む。トグル機構105はまた複数の基本(ベーシック)スイッチ114、116、118、120、122、124にも関連づけられる。各基本スイッチ114−124は絶縁体126、128、130、132、134、136によってそれぞれ包囲され、管状ハウジング110内に配置される。図1に示すように、管状ハウジング110は、平面図で見るとほぼ円形形状をしている。トグルスイッチ装置100の支持部分106は、管状ハウジング110の上方中央にトグル102を維持することを支援する。管状ハウジング110の壁103は、トグル102を上方中央に維持しかつ管状ハウジング110内にある構成部品に接続させることに寄与する。アクチュエータ111およびスプリング109は、基本スイッチ114、115、118、120、122、124を作動するために利用される。
【0017】
複数の「基本」スイッチ138、140、142、144、146、148も設けられる。これらの基本スイッチは、ミニチュア環境密封および/またはミニチュア密閉密封基本スイッチとして構成されることができる。封入された両形式の基本スイッチは、精確なスイッチ接触をすべき接点を汚染から守るために密封するように、耐食性アルミニューム・ハウジング内に収納された標準SM/UM/SX/UX構成部品を利用したものとすることができる。設計具体化が環境密封の要請を求めないならば、代案として、このような金属ハウジングなしに標準SM/UM/SX/UX構成部品を利用することができる。
【0018】
ここで用いられている「基本スイッチ」または単に「基本」と言う用語は、自給式スイッチング・ユニットと一般に呼ばれることに留意されたい。このようなスイッチング・ユニット(すなわち、基本スイッチ)は、単独でもしくは組立体に組み込まれた一括装着形体で利用されるか、または金属ハウジング内に封入されて利用されることができる。管状部分149は、ピンチオフして密閉シールを行う金属管として構成することができる。金属ヘッダ・ピン150、152、154は、ガラス対金属シールによってヘッダ155に全体を取り付けられる。ガラス対金属シールは、基本スイッチ・ピンがヘッダ155の底面157に電気的接続をすることを許す。さらに、金属案内輪郭109はいずれの方向においてもトグル102を維持できる。
【0019】
図5は、本発明の実施例に基づいた図1−4に示すトグルスイッチ装置100の側部詳細断面図を示す。図6は、本発明の実施例に基づいた図1−5に示すトグルスイッチ装置100の底面図を示す。図1−6において、類似または同一の部品は同一の参照番号によって総体的に示されていることに留意されたい。図5および図6には、導線終端組立体530が全体として示されている。導線終端組立体530は、管状ハウジング110内に形成される。導線終端組立体530は、管状ハウジング110のカバーから外に出る複数のピン接点に取り付けられた一群の導線を備え、それによって、高重力状態中にトグルスイッチ装置100を手動で作動して維持された位置にしておくことができる。
【0020】
玉軸受506およびスプリング504は、トグル102内に配置されたスイッチ構成部品508に力を加えるように形成することができる。そうすることにより、トグル102の位置をスプリング力/その輪郭を介して維持することが支援される。玉軸受506は、基本スイッチ138、140、142、144、146、148を一括装着するために利用される金属ブラケットを用いて形成することができる。玉軸受508および玉軸受520は、同一構成部品である。参照番号は、同一構成部品の互いに対向する側を示すように用いられているだけである。密閉シールを与えるように一体に溶接された金属対金属ジョイント510が設けられてもよい。さらに、金属ピン512は、一群のスイッチに結合されたレバーを作動するように用いられうる。
【0021】
金属トグル・ハウジング室514もまた、ネジ切りナット516の導入用室として設けられうる。ネジ切りナット516は、15/32−32NSネジ切りナットとして形成されうることに留意されたい。星形ワッシャ518は、それが後退することを防止することを支援された星形ワッシャとして設けられてもよい。さらに、ロール・ピン542が、アクチュエータ111(すなわち、アクチュエータ板)を保持するように利用されうる。構成部品544は玉軸受508に類似していることに留意されたい。
【0022】
コイル・スプリング546が、誤作動を防止すべく、アクチュエータ板(アクチュエータ111)を持ち上げることを支援するように設けられることができる。図6には、終端組立体530の横断面が示されており、トグルスイッチ装置100の底面図を与えている。図6に示す底面断面図は、ピンへの終端および金属ハウジング110からのケーブルの側面出口を概略的に示す。金属板を管状トグルスイッチ装置100の底に溶接し、該装置100の構成部品を密封することを支援するようにしてもよい。このような金属板は、環境からケーブルを保護するために、エポキシで被覆されてもよい。
【0023】
ここに述べた実施例および実例は、本発明およびその実際の適用を最もよく説明するために代表されており、当業者はこれによって本発明を実施・利用することができる。しかし、当業者は、上述の記載および実例が説明の目的のためにのみ代表されていることを認識するであろう。本発明の他の変更および修正は当業者にとって理解されるであろう。このような変更および修正は添付特許請求の範囲に包摂されている。
【0024】
上述した記載は、本発明の範囲から何かを除外または制限するように意図されてはいない。多くの修正および変更は、添付特許請求の範囲から逸脱することなく、上記教示に照らして可能である。本発明を利用することにより、異なる特性を有する構成部品が含まれてくることが予測される。本発明の範囲は、すべての点に関して均等物に十分な認識を与えつつ、添付特許請求の範囲の記載によって限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例に基づいて実施されうるトグルスイッチ装置の頂面図である。
【図2】本発明の実施例に基づいた図1に示すトグルスイッチ装置の側部断面B−B視図である。
【図3】本発明の実施例に基づいた図2に示すトグルスイッチ装置を別の側から見た図である。
【図4】本発明の実施例に基づいた図1−3に示すトグルスイッチ装置の側部断面A−A視図である。
【図5】本発明の実施例に基づいた図1−4に示すトグルスイッチ装置の側部詳細断面図である。
【図6】本発明の実施例に基づいた図1−5に示すトグルスイッチ装置の底面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状ハウジング内に維持された複数の基本スイッチに関連づけられたトグル機構と、
前記複数の基本スイッチを作動する少なくとも1つのスプリングに関連づけられたアクチュエータと、
前記管状ハウジング内に形成された導線終端組立体と、を備えたトグルスイッチ装置であって、
前記アクチュエータおよび前記少なくとも1つのスプリングが前記管状ハウジング内に配置されており、
前記導線終端組立体が、複数のピン接点に取り付けられた複数の導線を備え、前記ピン接点は、前記管状ハウジングのカバーから外に出て、それにより、高重力状態中に前記トグルスイッチ装置を手動で作動して維持された位置とする、トグルスイッチ装置。
【請求項2】
前記管状ハウジングが、密封された金属管を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記管状ハウジング内に密封されたヘッダをさらに備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ヘッダを前記管状ハウジング内に密封するガラス対金属シールをさらに備えた、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記カバーは金属カバーを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の基本スイッチは少なくとも1つの基本スイッチを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の基本スイッチは少なくとも6つの基本スイッチを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも6つの基本スイッチは前記管状ハウジング内で一列に整列されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
トグル機構を管状ハウジング内に維持された複数の基本スイッチに関連づける段階と、
アクチュエータを、前記複数の基本スイッチを作動する少なくとも1つのスプリングに関連づける段階と、
導線終端組立体を前記管状ハウジング内に設ける段階と、を備えたトグルスイッチ方法であって、
前記アクチュエータおよび前記少なくとも1つのスプリングが前記管状ハウジング内に配置され、
前記導線終端組立体が複数のピン接点に取り付けられた複数の導線を備え、前記ピン接点は前記管状ハウジングのカバーから外に出て、それにより、高重力状態中に前記トグルスイッチ装置を手動で作動して維持された位置とする、トグルスイッチ方法。
【請求項10】
前記管状ハウジングを、密封された金属管を備えるように形成する段階をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ヘッダを前記管状ハウジング内に密封する段階をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ガラス対金属シールを利用して前記ヘッダを前記管状ハウジング内に密封する段階をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カバーは金属カバーを備えている、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の基本スイッチは少なくとも1つの基本スイッチを備えている、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の基本スイッチは少なくとも6つの基本スイッチを備えている、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも6つの基本スイッチを前記管状ハウジング内で一列に整列する段階をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
管状ハウジング内に維持された複数の基本スイッチに関連づけられたトグル機構の制御下にある電子システムと、
前記複数の基本スイッチを作動する少なくとも1つのスプリングに関連づけられたアクチュエータと、
前記管状ハウジング内に形成された導線終端組立体と、を備えたトグルスイッチ・システムであって、
前記アクチュエータおよび前記少なくとも1つのスプリングが前記管状ハウジング内に配置され、
前記導線終端組立体が、複数のピン接点に取り付けられた複数の導線を備え、前記ピン接点は、前記管状ハウジングのカバーから外に出て、それにより、高重力状態中に前記トグルスイッチ・システムを手動で作動して維持された位置とする、トグルスイッチ・システム。
【請求項18】
前記管状ハウジングは密封された金属管を備えている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記管状ハウジング内に密封されたヘッダと、前記ヘッダを前記管状ハウジング内に密封するガラス対金属シールとをさらに備え、前記カバーが金属カバーを備えている、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記電子システムが高性能航空機を含んでいる、請求項17に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−504613(P2007−504613A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524913(P2006−524913)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/028048
【国際公開番号】WO2005/034159
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】