説明

トップコートを用いて深紫外線フォトレジストに像を形成する方法およびそのための材料

【課題】環境汚染物からのフォトレジストの汚染を防ぐために、トップバリヤコートを用いてフォトレジストに像形成する方法を提供すること。
【解決手段】約−9〜約11の範囲のpKaを有する少なくとも一種のイオン化可能な基を有するポリマーを含む、深紫外線(deep uv)液浸リソグラフィ用トップコート組成物及び該トップコートを利用して深紫外線フォトレジストを像形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年3月9日に出願された米国特許出願シリアルナンバー10/796,376号の一部継続出願である2004年6月24日に出願された米国特許出願シリアルナンバー10/875,596号の一部継続出願である。これらの出願明細書の内容は本明細書に掲載されたものとする。
【0002】
本発明は、深紫外線(deep uv)液浸リソグラフィーを用いて、トップコートを施して深紫外線フォトレジストに像を形成する方法に関する。本発明はさらに、約−9〜約11のpKa値を有する少なくとも一つのイオン化可能な基を有するポリマーを含むトップコート用組成物に関する。また本発明は、露光を空気もしくは他のガス中で行った際に、フォトレジストが環境から汚染されることを防ぐために、トップバリヤコートを施して深紫外線フォトレジストに像を形成する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
フォトレジスト組成物は、コンピュータチップや集積回路の製造など、微細化された電子部品の製造のためのマイクロリソグラフィプロセスに使用されている。これらのプロセスでは、一般的に、まずフォトレジスト組成物のフィルムの薄い塗膜を、集積回路の製造に使用されるシリコンウェハなどの基材にコーティングする。このコーティングされた基材は次いでベーク処理してフォトレジスト組成物中の溶剤を蒸発させて基材に塗膜を定着させる。この基材上にコーティングされたフォトレジストを次に放射線による像様露光処理に付す。
【0004】
前記の放射線露光処理は、コーティングされた表面の露光された領域において化学的な変化を引き起こす。可視光線、紫外線(UV)、電子ビームおよびX線放射エネルギーが、現在、マイクロリソグラフィプロセスで常用されている放射線種である。この像様露光の後、コーティングされた基材は現像剤溶液で処理して、フォトレジストの放射線露光された領域または未露光の領域のいずれかを溶解除去する。
【0005】
半導体デバイスは微細化される傾向にあり、このような微細化に伴う問題の解消のために、一層短い波長の放射線に感度を示す新しいフォトレジストや、精巧な多層システムが使用されている。
【0006】
ポジ型フォトレジストは、放射線に像様露光されると、フォトレジスト組成物の放射線に露光された領域が現像剤溶液により溶け易くなり、他方で未露光の領域は現像剤溶液に対し比較的不溶性のまま残る。それゆえ、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理すると、塗膜の露光された領域が除去され、そしてフォトレジスト膜にポジ型の像が形成される。そうして、下にある基材の所望の部分が裸出される。
【0007】
ネガ型フォトレジストは、放射線に像様露光されると、フォトレジスト組成物の放射線に露光された領域が現像剤溶液に不溶性になり、他方、未露光の領域は現像剤溶液に対して比較的可溶性のまま残る。それゆえ、露光されたネガ型フォトレジスト組成物を現像剤で処理すると、塗膜の未露光領域が除去され、そしてフォトレジスト塗膜にネガ型の像が形成される。この場合もまた、下にある表面の所望の部分が裸出される。
【0008】
フォトレジスト解像度とは、レジスト組成物が、露光および現像の後に、高いレベルの鋭い像縁をもってフォトマスクから基材へと転写できる最小の図形(feature)と定義される。現在の多くの先端製造技術では、100nm未満のオーダーのフォトレジスト解像度が必要である。加えて、現像されたフォトレジストの壁の側面が基材に対してほぼ垂直であることが殆どの場合において望まれる。レジスト塗膜の現像された領域と現像されていない領域との間のこのような明確な境界の画定が、基材へのマスク像の正確なパターン転写につながる。微細化に向かう傾向がデバイス上での微少寸法(CD)を小さくしているので、このことはより一層重大な事柄となっている。
【0009】
半ミクロン未満の幾何形状が必要な場合には、約100nm〜約300nmの短波長に感度を示すフォトレジストがしばしば使用される。特に好ましいものは、非芳香族系ポリマー、光酸発生剤、場合によっては溶解抑制剤、および溶剤を含むフォトレジストである。
【0010】
四分の一ミクロン未満の幾何形状を有する像をパターン形成するためには、高解像度化学増幅型深紫外線(100〜300nm)ポジ型およびネガ型フォトレジストが利用可能である。現在まで、微細化に大きな進展をもたらした主な技術としては三つの深紫外線(deep uv)露光技術がある。これらの技術は、248nm、193nmおよび157nmの放射線を放射するレーザーを使用する。248nm用のフォトレジストは、典型的には、例えば米国特許第4,491,628号および米国特許第5,350,660号に記載のもののように、置換されたポリヒドロキシスチレンおよびそれのコポリマーに基づくものである。他方、200nm未満の露光のためのフォトレジストは、芳香族類がこの波長では不透明なために、非芳香族系のポリマーを必要とする。米国特許第5,843,624号および英国特許出願公開第2320718号は、193nm露光に有用なフォトレジストを開示している。一般的に、環状脂肪族系炭化水素を含むポリマーが、200nm未満の露光のためのフォトレジストに使用される。環状脂肪族系炭化水素は、多くの理由からポリマー中に組み込まれる。主には、これらが、耐エッチング性を向上させる比較的高い炭素:水素比を有すること、低波長における透明性を供すること、および比較的高いガラス転移温度を有することからである。米国特許第5,843,624号は、無水マレイン酸と不飽和環状モノマーとの遊離基重合によって得られる、フォトレジスト用ポリマーを開示している。しかし、無水マレイン酸が存在することにより、これらのポリマーは157nmにおける透明性が不十分である。
【0011】
フルオロアルコール側鎖基を有するフッ素化ポリマーに基づく157nmに感度を示す二つの基本的な部類に属するフォトレジストが、この波長に実質的に透明であることが知られている。157nm用フルオロアルコールフォトレジストの一つの部類は、フッ素化ノルボルネン類などの基を含むポリマーから誘導されるものであり、金属で触媒した重合またはラジカル重合によって、ホモ重合されるか、または他の透明モノマー、例えばテトラフルオロエチレンと共重合される(Hoang V. Tran et al Macromolecules 35, 6539, 2002, 国際公開第00/67072号および国際公開第00/17712号)。一般的に、これらの材料は、より高い吸光性を与えるが、それらの高い環状脂肪族類含有率の故に良好な耐プラズマエッチング性を有する。より最近になって、157nm用フルオロアルコールポリマーの更に別の部類が発表された。そのポリマーのポリマー主鎖は、非対称ジエン、例えば1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンの環状重合(Shun−ichi Kodama et al Advances in Resist Technology and Processing XIX, Proceedings of SPIE Vol. 4690 p76 2002; 国際公開第02/065212号)、またはフルオロジエンとオレフィンとの共重合(国際公開第01/98834−A1号)から誘導される。これらの材料は157nmにおいて許容可能な吸光性を与えるが、上記のフルオロノルボルネンポリマーと比べると環状脂肪族類含有率が少ないために、耐プラズマエッチング性に劣る。これらの二つの部類のポリマーは、第一のタイプのポリマーの高い耐エッチング性と、第二のタイプのポリマーの157nmにおける高い透明性との間のバランスをとるために、しばしば混合することができる。
【0012】
液浸リソグラフィーは、深紫外線リソグラフィイメージング法の解像度の限界を拡張する目的で、フォトレジストの解像度および焦点深度を更に改善するために最近使用された技術である。従来のドライリソグラフィイメージング法では、空気または他の屈折率が小さいガスが、レンズとウェハ面との間に存在する。屈折率のこの急変により、レンズの縁のところで光線が全反射(total internal reflection)して、ウェハまで伝わらない(図1)。液浸リソグラフィでは、より大きい桁の量の光がウェハ面での像の形成に関与できるように、対物レンズとウェハとの間に液体を存在させる。この方法では、光学レンズの有効開口数(NA)を1よりも大きくすることができる。開口数は、NAwet=nsinθで表され、この際、NAwetは、液浸リソグラフィにおける開口数であり、nは、液浸用液体の屈折率であり、そしてsinθは、レンズの開口角である。レンズとフォトレジストとの間の媒体の屈折率を大きくすると、より大きい解像力および焦点深度が可能になる。これはまた、ICデバイスの製造におけるより大きなプロセス慣用度を与える。液浸リソグラフィ法は、“Immersion liquids for lithography in deep ultraviolet’ Switkes et al. Vol. 5040, p. 690−699, Proceedings of SPIE”に記載されている。なお、この文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。
【0013】
193nmおよび248nm並びに以長の波長での液浸リソグラフィには、水が十分な固有の透明性を有するため、液浸用の液体として使用することができる。またその代わりに、より大きいNAが望ましい場合には、UVに透明な溶質でドーピングすることによって水の屈折率を高めることができる。しかし、157nmリソグラフィには、水の高い吸光度は、それを液浸用の液体として不適当なものとする。現在は、ある種のオリゴマー性フッ素化エーテル溶剤が、好適な液浸用液体として使用されている。
【0014】
液浸リソグラフィにおいて一つの重要な問題は、フォトレジスト膜の成分が液浸用液体に抽出されることである。これらの成分は、露光の前に膜中に存在するもの(例えば、塩基添加剤、光酸発生剤、溶剤、溶解抑制剤、可塑剤、レベリング剤)、または露光中もしくは露光の少し後の膜中に存在するもの(例えば、光酸、光酸発生剤、光解離フラグメント、ポリマーもしくは他の添加剤からの分裂フラグメント、光酸および塩基添加剤の塩)のいずれかであり得る。これらの成分が抽出されることは二つの理由から問題となる。すなわち、第一には、これらは、レジストの性能に悪影響を与える恐れがあることと、そして第二には、液浸用液体中での抽出成分の光反応の故に、液浸用液体と接触している対物レンズ上にUV吸収性の膜が堆積することである。
【0015】
それゆえ、露光波長において良好な光学的透明性を有し、かつフォトレジストを再溶解しない溶剤系からフォトレジストの上にスピンコートすることができるバリヤコートに対する要望がある。またここで、前記バリヤコート層は液浸用液体中にも不溶性であるが、通常の水性塩基現像段階の間に簡単に除去することができるものである。
【0016】
更に、化学増幅型フォトレジスト、特に酸感応性の接触的脱保護化に基づくフォトレジストが、環境からのアミン汚染に特に敏感であることが知られている。アミンの存在は、光分解プロセス中に発生した酸を被毒させ、そしてポリマーの脱保護に必要な酸を中和してしまう。この現象は既知であり、米国特許第5,750,312号に記載されている。この特許では、酸性バリヤコートを、フォトレジストの上にコーティングしている。フォトレジストの保護は、化学増幅型フォトレジストが空気または他のガス中に曝される場合に特に望ましい。米国特許第5,750,312号は、特に、カルボン酸に基づく酸ポリマー、例えば248nmに感度を示すフォトレジスト上にコーティングされたポリ(メタクリレート−co−メタクリル酸)およびポリ(ベンジルメタクリレート−co−メタクリル酸)を記載している。このトップコートは、193nmおよび157nmに感度を示すフォトレジストには使用することができない。なぜならば、米国特許第5,750,312号に記載のトップコートは、193nm、特に157nmにおける透明性が不十分だからである。それゆえ、193nmおよび157nmの露光波長のための効果的なバリヤトップコートとして働くことができる新しい透明ポリマーに対する要望がある。
【0017】
本発明者らは、驚くべきことに、ある種のポリマーおよびアルキルアルコール溶剤を含むバリヤコート組成物を、液浸リソグラフィを用いた像形成プロセスの間にフォトレジスト成分またはフォトレジスト光生成物が除去されることに対する効果的なバリヤとして使用できることを見出した。加えて、本発明者らは、酸性フルオロアルコール基を含むポリマーが、露光が空気または他のガス中で行われる場合に、フォトレジストのアミン汚染の防止のためのトップバリヤコートとして使用できることも見出した。
【本発明の概略】
【0018】
本発明は、フォトレジストに像を形成する方法であって、
a)基材上にフォトレジストの塗膜を形成し、
b)フォトレジスト上に、バリヤコート液からバリヤコートを形成し、
c)液浸リソグラフィを用いてフォトレジストおよびバリヤコートを像様露光し、更にこの際、この液浸リソグラフィは、バリヤコートと露光装置との間に液浸用液体を含み、そして
d)塗膜を水性アルカリ性溶液で現像する、
ことを含む、前記方法に関する。
【0019】
更に本発明は、液浸リソグラフィで像形成する深紫外線フォトレジストのためのバリヤコート液に関する。このバリヤコートは、水性アルカリ性溶液中に可溶性であるが、水中には不溶性であり、そしてイオン化可能な基を含むポリマーとアルキルアルコール溶剤とを含み、そして前記イオン化可能な基のpKaは約−9〜約11の範囲である。
【0020】
また本発明は、環境からの汚染を防ぐための深紫外線でのフォトレジストの像形成方法であって、
a)基材上にフォトレジストの塗膜を形成し、
b)フォトレジストの上に、バリヤコート液からバリヤコートを形成し、
c)フォトレジストおよびバリヤコートを像様露光し、そして
d)これらの塗膜を水性アルカリ性溶液で現像し、更にこの際、バリヤコート液は、酸性フルオロアルコール基を含むポリマー、および溶剤組成物を含む、
上記方法に関する。好ましい態様の一つでは、前記ポリマーは9未満のpKa値を有する。
【発明の詳細な説明】
【0021】
本発明は、液浸リソグラフィを用いたフォトレジストの像形成方法の間にフォトレジスト塗膜上にバリヤコートを使用する方法に関する。前記バリヤコートの成分は、フォトレジストの成分を殆ど溶解しない溶剤中に可溶であるが、その塗膜は水中には不溶性であり、更に水性アルカリ性溶液で除去することができる。該バリヤコートは、フォトレジストを露光するのに使用する放射線の波長に対して透明である。また本発明は、イオン化可能な基を有する繰り返し単位を含むポリマー、およびアルキルアルコール溶剤を含有するバリヤコート組成物にも関する。好ましくは、フォトレジストは、約450nm〜約150nm、好ましくは約300nm〜約150nmの範囲の放射線、より好ましくは248nm、193nmまたは157nmの露光波長を用いて像形成される。更に本発明は、フォトレジストをトップバリヤコートでコーティングすることによって、環境からの汚染を受けやすいフォトレジストに像を形成する方法であって、トップバリヤコートのポリマーが、酸性フッ素化アルコール基を含み、そして水性塩基現像剤中に可溶であり、そして下にあるフォトレジストを再溶解しない溶剤組成物からスピンコートすることができるものである、上記方法にも関する。
【0022】
フォトレジストを基材上にコーティングしそしてベーク処理して、フォトレジストのコーティング溶剤を実質的に除去する。次いで、本発明のバリヤコートをフォトレジストの上にコーティングし、そして場合によってベーク処理して、バリヤコートのコーティング溶剤を実質的に除去する。次いでこれらの塗膜を、液浸リソグラフィを使用できる露光装置において放射線で像様露光する。この際、液浸用液体を、露光装置と塗膜との間に存在させる。露光後、塗膜をベーク処理し、そして水性アルカリ性現像剤を用いて現像する。この現像工程の間に、ポジ型フォトレジストの場合にはフォトレジストの露光された領域とまたはネガ型フォトレジストの場合にはフォトレジストの未露光の領域と一緒にバリヤコートが除去される。
【0023】
バリヤコート組成物は、ポリマーとアルキルアルコール溶剤または溶剤混合物(例えばアルキルカルボキシレートとアルカンとの混合物、またはアルキルアルコールとアルカンもしくは水との混合物)を含み、この際、前記ポリマーは、イオン化可能な基を有する繰り返し単位の少なくとも一種を含む。このポリマーは水中には実質的に溶解しないが、水性アルカリ性溶液中には溶解する。このポリマーのイオン化可能な基は、水性アルカリ性溶液に対する必要な溶解度を供するものである。好ましくは、バリヤコートは、一つの態様において露光工程で液浸用液体が水を含む場合に、液浸用液体中に30秒間浸漬した際に膜厚1%未満の溶解度を有する。他の液浸用液体も使用できるが、ただし、バリヤコートが、上記の溶解度の規準を満たすことが条件である。イオン化可能な基を含むポリマーの繰り返し単位を構造式1に示す。式中、Rは、ポリマー主鎖の一部である繰り返し部分であり、Wは場合により存在するスペーサー基であり、ZHはイオン化可能な基を含み、そしてtは0〜5である。
【0024】
【化1】

【0025】
ZHは、プロトンを有する極性官能基であり、ここで、Z−のpKa(酸解離定数)は、水性媒体中で約−9〜約11の範囲である。ZHの例は、OH(OH基はポリマーに結合してそこの基をイオン化可能にする。例えば、OHは、置換されたもしくは置換されていないフェニル基に結合するか、あるいはベータ置換フルオロアルキル部分に結合する)、(SONH、(SOCH、(CO)NH、SOHおよびCOHである。OH基を有するベータ置換フルオロアルキル部分(フルオロアルコール)は、−C(C2n+1OH(n=1〜8)、特に(−C(CFOH)で例示され得る。Wは、場合により存在するスペーサー基であり、tは0〜5であることができる。Wはどのような基でもよいが、例えばフェニルメトキシ、メチレン、(C〜C10)アルキレン、シクロアルキレン、(C〜C10)フルオロアルキレン、シクロアルキレン、多環式アルキレンもしくは多環式フルオロアルキレン、並びにこれらの等価物などの基によって例示することができる。Rは、ポリマーの主鎖単位であり、そして芳香族、線状もしくは分枝状脂肪族、環状脂肪族、多環式脂肪族、これらのフッ素化類似物、ケイ素含有繰り返し単位(例えばシリコーン)、またはこれらの双方の組み合わせであることができる。
【0026】
バリヤコートのポリマーは水不溶性であるが、水性アルカリ性溶液中には可溶性である。それゆえ、バリア用ポリマーの繰り返し単位は、これらの物理的溶解性パラメータの要求を満たすものである。これは、構造式1の単位の少なくとも一種を有するポリマーを設計することによって達成され得る。該ポリマーには、これが水不溶性であるが、水性アルカリ性溶液には可溶性であるように溶解特性を制御するために、他のコモノマー単位も存在することができる。ある特定のポリマーにおいて、構造式1の繰り返し単位だけでは、所望の溶解特性を得るには十分ではない場合には、他のモノマーをポリマー中に組み込んで所望の溶解性を得ることができるか、および/または構造式1の繰り返し単位中のZHの部分を、疎水性もしくは親水性および酸性を高めるかまたは低める基で部分的にキャップすることができる。上記のスペーサー基のほか、Wは、これが、所望の溶解特性を供するようにも選択することができる。異なるイオン化可能な基を含むモノマーの混合物を含むポリマーも使用することができる。更に、本発明のポリマーの物理的な混合物を、所望の溶解特性を得るために使用することができる。
【0027】
イオン化可能な基ZHは、ポリマー主鎖部分Rに直接結合することができる。またその代わりに、イオン化可能な基ZHは、スペーサー基Wを介してRに結合することもできる。スペーサー基は、本質的に水素原子および炭素原子を含むどのようなヒドロカルビル部分であることもできるが、ヘテロ原子、例えば酸素、フッ素などを含むことができる。Wは、芳香族、多環式もしくは単環式脂肪族部分、線状もしくは分枝状脂肪族、多環式もしくは単環式フルオロ脂肪族部分、または線状もしくは分枝状フルオロ脂肪族であることができる。Wは、以下のものには限定されないが、フェニル、オキシフェニル、オキシフェニルアルキレン、シクロアルキル、多環式アルキル、オキシアルキレン、オキシシクロアルキルアルキレン、およびオキシシクロアルキルフルオロアルキレンによって例示することができる。
【0028】
ポリマーの主鎖Rは、ポリマーの主鎖を形成する繰り返し単位中の部分である。これは、フッ素化されているかもしくはフッ素化されていない、芳香族、脂肪族、または前記二種の混合物であることができる。Rはケイ素含有繰り返し単位であることもできる。この構造部は、多環式脂肪族、単環式脂肪族、アルキレン、フルオロアルキレン、フェニル、置換されたフェニル、フェニルアルキレンであることができ、例えば、スチレン繰り返し単位、フェニルメトキシ繰り返し単位、メチレン、アルキレン、シクロアルキレン、フルオロアルキレン、シクロアルキレン、多環式アルキレン、または多環式フルオロアルキレン、(メタ)アクリレート、エチレンオキシ繰り返し単位、フェノールホルムアルデヒドコポリマー、およびこれらの類似物などであることができる。Rは、ケイ素含有繰り返し単位、例えばシリコーン、例えば、−O−Si(R1’−または−O−Si(R1’−R’−、およびこれらの類似物などであることもでき、この際、R1’およびR2’は、脂肪族(C〜C)アルキル基であるか、またはZH酸性基を含む構造要素であることができる。
【0029】
本発明の態様の一つでは、イオン化可能な基ZHの少なくとも一つが、多環式繰り返し単位に直接またはスペーサー基Wを介して側鎖として結合している。図2には、有用な可能な繰り返し単位を示す。これらは、同じ繰り返し単位からなるホモポリマーか、または図2に示した異なる可能な繰り返し単位のうちの二種もしくは三種以上を含むより複雑なコポリマー、ターポリマーおよびより高級な同族体に使用することができる。イオン化可能な基は、好ましくは、フルオロアルコール基C(C2n+1OH(n=1〜8)、例えば(C(CFOH)である。
【0030】
図2において、R〜Rは、独立して、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)フルオロアルキルなどであるが、R〜Rのうちの少なくとも一つは、構造式1に記載の単位が得られるように側鎖としてイオン化可能な基を有する。
【0031】
典型的には、多環式単位を含むポリマーおよびコポリマーは、Hoang V. Tran et al Macromolecules 35 6539, 2002に記載のような活性金属触媒、すなわちパラジウムまたはニッケル錯体を用いて対応するアルケンを重合することによって生成される。なおこの文献の内容は、本明細書に掲載されたものとする。また代わりに、これらは、国際公開第00/67072号および国際公開第00/17712号に開示されるような遊離基開始剤を用いて、種々のフルオロアルケン、例えばテトラフルオロエチレンと共重合することもできる。
【0032】
他の態様の一つでは、多環式環が、脂肪族主鎖ポリマーに側鎖として結合している(例えば、ポリビニルアルコールポリマーまたはポリアクリレートメタクリレートポリマーに側鎖として結合する)。図3は、このような材料の一般的な例示を与えるものである。図3中、Xは、−CO−、−O−CO−O−、−O−、−SO−、−CO−NH−、SONH−、−O−CO−であり、nは1または0であり;R〜Rは、独立して、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)フルオロアルキルであり、Rは、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)フルオロアルキル、CNであるが、R〜Rのうちの少なくとも一つは、多環式単位に直接またはスペーサー基Wを介して結合したイオン可能な側鎖を有して、構造式1に記載の繰り返し単位を与える。好ましくは、このイオン可能な基は、式−C(C2n+1OH(n=1〜8)のフルオロアルコール基である。
【0033】
典型的には、脂肪族ポリマー性主鎖に側鎖として結合した多環式環を含むポリマーおよびコポリマーは、熱遊離基開始剤(例えば2,2’−アゾビスブチロニトリル)を用いた対応するアルケンの重合によって(図3中、Xが−CO−、−SO−、−CO−N−、−SO2− −O−、−O−CO−の場合)、または超強酸もしくは三フッ素化ホウ素エーテレートを用いたカチオン重合によって(図3中、Xが−O−の場合)、生成される。このポリマー合成は、“Principals of Polymerization, Second Edition, George Odian, Wiley Interscience, NY, p194; 448 1981; “Preparative Methods of Polymer Chemistry, Wayne SorensonおよびTod W. Cambell, Wiley Interscience p149, 1961、並びにこれらに引用されている文献に記載されている。
【0034】
他の態様では、上記多環式環は、ポリエーテル鎖ポリマーに側鎖として結合する。図4は、このような材料の一般的な例示である。図4中、Xは、線状、分枝状もしくは環状アルキルまたはパーフルオロアルキル(C〜C)であり、nは1または0であり;R〜Rは、独立して、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)フルオロアルキルであり、Rは、Hまたは(C〜C)アルキルであり、そしてR〜Rのうちの一つは、多環式環に直接もしくはスペーサー基Wを介して結合したイオン化可能な基ZHを側鎖として有して、構造式1の単位を与える。好ましくは、このイオン化可能な基は、式−C(C2n+1OH(n=1〜8)のフルオロアルコール基である。
【0035】
典型的には、ポリエーテル主鎖に側鎖として結合した多環式環を含むポリマーおよびコポリマーは、“Principals of Polymerization, Second Edition, George Odian, Wiley Interscience, NY, p508 1981; “Preparative Methods of Polymer Chemistry, Wayne SorensonおよびTod W. Cambell, Wiley Interscience p235, 1961、並びにそれらに引用されている文献に記載のように、塩基触媒もしくは酸触媒のいずれかを用いて対応するエポキシドを開環重合することによって生成される。
【0036】
図2の多環式繰り返し単位ならびに図3および4の側鎖としての多環式単位は、ポリマー内において、少なくとも一つの多環式繰り返し単位が側鎖としてZH基を有して構造式1を形成するように置換されるが、この環状基は他の置換基も有することができる。典型的な置換基は、H、F、アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、フルオロシクロアルキル、およびシアノである。構造式1の好ましい単位の一部の例を図5に示す。
【0037】
上記の定義および本明細書の全体において、アルキルは、上記の望ましい炭素原子数および価数を有する線状もしくは分枝状アルキル基を意味する。適当な線状アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどが挙げられ、そして分枝状アルキル基には、イソプロピル、iso−、sec−もしくはtert−ブチル、分枝状ペンチルなどが挙げられる。フルオロアルキルとは、フッ素で完全にもしくは部分的に置換されたアルキル基を指す。これの例は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、パーフルオロイソプロピル、2,2,2−トリフルオロエチル、および1,1−ジフルオロプロピルである。アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレンなどを指す。アルキルスピロ環状もしくはフルオロアルキルスピロ環状とは、同じ炭素原子に結合した環状アルキレン構造であり、この際、好ましくは、その環は4〜8個の炭素原子を含み、またその環は、F、アルキルおよびフルオロアルキルなどの置換基を有することができる。シクロアルキルまたはシクロフルオロアルキルは、炭素原子に結合した炭素原子含有脂肪族単環式もしくは多環式環と定義され、好ましくはシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、アダマンチルなどである。その環は、フッ素、アルキル置換基またはフルオロアルキル置換基によって更に置換されていてもよい。
【0038】
より具体的には、バリヤポリマー中の単位の例は、図2、3および4の構造式1に示される、フルオロアルコール側鎖基を含むノルボルネン繰り返し単位によって例示される。
【0039】
他の態様の一つでは、ポリマーの主鎖は、バリヤコートとして使用するために単環式ポリマー単位を含む。このようなポリマー性単位は、図6および7に例示される。これらのポリマーは、塊状でまたは溶剤中で、遊離基開始剤を用いて、非共役非対称部分フッ素化ジエンを遊離基ホモ重合するか、またはフッ素化非共役ジエンとオレフィンとを共重合することによって製造することができる。このような重合反応の例としては、Shun−ichi Kodama et al Advances in Resist Technology and Processing XIX, Proceedings of SPIE Vol. 4690 p76 2002; 国際公開第02/065212号または国際公開第01/98834−A1号を参照されたい。なおこれらの文献の内容は、本明細書中に掲載されたものとする。環状要素に側鎖として結合するフルオロアルコール置換基の例は、次のものに限定されないが、例えば−C(C2n+1OH(n=1〜8)である。
【0040】
本発明の他の態様の一つでは、フルオロアルコール基を含む基本ポリマーをキャップし、この際、このキャッピング基自体がイオン化可能な基を含むようにし、そしてこのキャッピング基が、キャップされたポリマーを基本ポリマーよりも親水性/酸性にして、水性塩基中により易可溶性にすることも、想定される。バリアコートによって水から保護される下にあるレジストを現像するために使用される水性塩基現像剤に対する基本ポリマーの溶解性を高めるために、基本部可溶化性親水性キャッピング基を使用することができる。これらの親水性/酸性キャッピング基は、非限定的な例として、−COH、−SOH、−POH、−SONH−SOR’、−SO−CH(SOR’)、CO−CH(COR’)(R’=脂肪族またはフルオロ脂肪族)、または他のイオン化可能な基、およびこれらの類似物などの基であることができ、ここで、前記キャッピング基は、−(Y)(CR’R’−Z’Hの一般構造式を有し、式中、R’およびR’は、独立して、H、F、(C〜C)アルキル、(C〜C)フルオロアルキル、シクロアルキル、シクロフルオロアルキル、(CRZであり、RおよびRは一緒になってアルキルスピロ環式基またはフルオロアルキルスピロ環式基を形成することができ、Yは、(C〜C)アルキレン、(C〜C)フルオロアルキレン、O(C〜C)アルキレン、O(C〜C)フルオロアルキレン、シクロアルキルおよびフッ素化シクロアルキルから選択され、kは0または1であり、そしてpは1〜4であり、そしてZ’Hは、キャップされたZH部よりも小さいpK値を有するイオン化可能な基である。キャッピングは、例えば、アルキルスルホン酸もしくはアルキルカルボン酸の非限定的な場合においては、Cl(Y)k(CR’R’)p−SOHまたはCl(Y)k(CR’R’)p−COHを過剰の水性塩基(例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド)中に溶解し、次いで所望のフルオロアルコール含有ポリマーを加えることによって為すことができる。またその代わりに、対応する酸塩化物Cl(Y)k(CR’R’)p−SOClまたはCl(Y)k(CR’R’)p−COClを過剰の塩基中で加水分解し、次いでフルオロアルコール含有ポリマーで反応させても同様の結果が得られる。このキャッピングは、ZH部を含むポリマー自体に対してか、またはZH部(例えばフルオロアルコール)を含むそれの前駆体モノマー(例えばアルケン)に対して行うことができる。キャッピングの程度は、バリヤコートの溶解特性が満足されるように、すなわちバリヤコートが水中には不溶であるが、水性アルカリ性溶液中には可溶であるように決定される。上記のポリマーのいずれも(例えば図2〜7に示したポリマー)、部分的にもしくは完全にキャップすることができる。図8〜18は、キャップされたモノマー性単位の例を示す。
【0041】
本発明の他の態様の一つでは、イオン化可能なフルオロアルコールを有する基を含む基本ポリマーは、非極性疎水性基で部分的にキャップされる。非極性基は、基本ポリマーをより疎水性にするために使用することができる。このようなキャッピング基は、アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、パーフルオロシクロアルキル、多環式アルキル、パーフルオロシクロアルキル、アルキルスルホニル、フルオロアルキルスルホニル、およびアルキルアシルによって例示される。キャッピングの程度は、ポリマーに必要な溶解特性によって決定され、そして1〜50モル%、好ましくは1〜30モル%の範囲であることができる。非限定的な例として、図2〜7に記載のポリマーを、CHCF、CH、CHCH、SOCF、COCH、シクロヘキシル、CF、CH(CFおよびこれらの類似物などの非極性キャッピング基でキャップすることができる。
【0042】
他の態様の一つでは、ポリマーは、構造式1の単位、および一種もしくは二種以上のコモノマー単位を含む。この際、このコモノマー単位は、イオン可能な基を含まないが、他の性質、例えばポリマーの溶解特性を変えたり、または何らかの他の望ましいリソグラフィ性質を供するといった性質を有し得る、多環式、単環式、エチレン性もしくは芳香族単位であることができる。1〜20モル%のレベルで組み込まれるコモノマー性単位は、限定的なものではないが、図13に例示される。図13中、Xは、−COH、−COR’’、COR’’ −O−R’’、−SOH、−SO−R’’、−CO−NHR’’、−CONR’’、−CONH、SONH、SONR’’SONHR’’、−O−CO−R’’であり、Rは、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)フルオロアルキルである。バリヤポリマーが、同一のポリマー主鎖または異なるポリマー主鎖に、異なるタイプのZH基を有する単位を含むことも本発明の範囲に含まれる。構造式1によって表される異なるタイプの単位の混合物を含むポリマーも使用することができ、そしてこのポリマーは、更に、構造式1とは異なる他のモノマー性単位を含むことができる。加えて、ZH部を含む繰り返し単位から誘導されるポリマーには、他のモノマーから誘導される他の繰り返し単位も使用できる。このような他の繰り返し単位としては、芳香族類、多環式類、単環式類、ケイ素モノマー、線状もしくは分枝状アルケン、フッ素化アルケンなどが挙げられる。例えば、フッ素化アルケンから誘導されたモノマー性単位(例えばテトラフルオロエチレン:−CF−CF−、1,1−ジフルオロエチレンCF−CHなど)や、ZH単位を含まないかまたは異なるZH単位を含む図2〜7に従う多環式もしくは単環式繰り返し単位から誘導されるモノマー性単位も存在することができる。他のモノマー、例えばアクリレート、メタクリレート、α−トリフルオロメタクリレート(例えばCH=CHCOCH、CH=C(CH)COBu、CH=C(CF)COEtおよびこれらの類似物)、アクリル酸、メタクリル酸、α−トリフルオロメタクリル酸およびこれらの類似物、またはアクリロニトリルから誘導される単位も使用することができる。
【0043】
場合によっては、液浸リソグラフィ用の該バリヤコートは、追加的に、上面反射防止膜として機能することが望ましい。一般的に、このような二重の用途には、所与の露光波長におけるバリヤコートの屈折率は、液浸用液体の屈折率を乗じたフォトレジストの屈折率間の幾何平均値であることが必要であり、更に、バリアコートによる露光波長の吸収が10%を越えないことが必要である。それゆえ、トップコートの望ましい屈折率は、所与の露光波長において、フォトレジストの屈折率を乗じた液浸用液体の屈折率の平方根である。
【0044】
典型的な193nmフォトレジスト(η193=〜1.77)を用いた193nmでの液浸リソグラフィに基づく水(η193=1.44)中での使用では、好ましいポリマーは、(1.44×1.77)1/2=1.6の屈折率を有するものであろう。フルオロアルコール部を含む脂肪環式繰り返し単位を主鎖として有するポリマーは、図2に基づくものであり、構造式1が好ましい。より優先的には、ポリ(3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロパン−2−オール)(構造式2)が、屈折率(η193=1.56)および193nmにおける吸光性(A10:0.026AU/ミクロン)の両方を有する。これらの特性により、前記の物質は、193nmでの水に基づく液浸リソグラフィにおいて上面反射防止膜およびバリヤコートの両方として有用なものとなる。類似の構造および屈折率の材料は、同様の新規な利用性を有する。
【0045】
【化2】

【0046】
また、本発明のポリマーが、一種または二種以上の他の第二のポリマーとの混合物として存在する場合も本発明の範囲に含まれる。この第二のポリマーは、本発明によるものであるが異なる官能基を有する他のポリマーであることができるか、またはバリヤコートに望ましい性質を付与する他のポリマーであることができる。第二のポリマーの例は、酸部分が脂肪族またはフルオロ脂肪族キャッピング基で部分的にエステル化されているポリアクリル酸、ポリメタクリレート、ポリ(α−トリフルオロメチル)アクリル酸ポリマーからなるポリマー、並びに脂肪族もしくはフルオロ脂肪族キャッピング基(例えば(CF−CF)−O−(CF−COH(x=1〜6))で部分的にエステル化された他のフッ素化カルボン酸含有ポリマーである。第二のポリマーは、全ポリマー組成物の98重量%までの量で存在することができる。
【0047】
好ましい多環式ポリマー混合物は、他の第二のポリマーと混合された、図2、3および4の構造式1に例示される種のモノマーからなるポリマーである。これらの第二のポリマーは、キャッピング基、特に親水性/酸性キャッピング基で100%までの率でキャッピングされた本発明のポリマーであることができる。
【0048】
好ましい単環式ポリマー混合物は、図6および7に記載のものなどの繰り返し単位からなるポリマー、またはこれらのキャッピングされた対応物である。より好ましくは、ポリ(1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−フルオロアルキル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン)(図12(I))および第二のポリマーである。これらの第二のポリマーは、キャッピング基、特に親水性/酸性キャッピング基で100%までの率でキャッピングされた本発明のポリマーであることができる。
【0049】
本発明のバリヤコートは、上記のポリマーと適当な溶剤もしくは溶剤混合物を含む。溶剤は、好ましくは、アルキルアルコールHOC2n+1(nは3〜12、好ましくは3〜7である)(例えば、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノールおよびこれらの類似物など)、シクロアルキルアルコールHOC2n(nは5〜12、シクロペンタノール、シクロヘキサノールおよびこれらの類似物など)の各々の単独、またはこれらを、n−アルカンC2n+2(n=7〜12、例えばn−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−ウンデカン、n−デカン、およびこれらの分枝状異性体)、環状脂肪族アルカン(n=5〜12、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、およびアルキル置換誘導体)または水と混合(1〜20%)したものである。他の好ましい溶剤混合物は次のもの、すなわちアルキルカルボキシレートC2n+1−O−CO−C2m+1(nは2〜12であり、mは0〜3である)(例えば、酢酸ブチル、酢酸アミル、蟻酸アミル、プロピオン酸エチル)または環状要素に基づく類似のアルキルカルボキシレート(例えばシクロヘキシルアセテート、シクロペンチルアセテート)と、アルカンC2n+2(nは7〜12である)(例えば、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−ウンデカン、n−デカン、およびこれらの分枝状環状脂肪族異性体(例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、およびアルキル置換誘導体))との混合物である。このような溶剤および溶剤混合物は、深紫外線フォトレジスト(150nm〜250nm)上にコーティングすることが可能なバリヤコート液を調製することが可能である。好ましくは、前記アルコール溶剤は3〜7個の炭素原子を有する。好ましくは、バリヤコートの膜厚は、露光の放射線のせいぜい20重量%がバリヤコートによって吸収されるように選択するのがよい。好ましい溶剤混合物は、炭素原子数6〜8のアルキルカルボキシレート(例えば酢酸アミル)を、炭素原子数8〜12のアルカン(例えばデカン)と混合した溶剤混合物である。典型的には、バリヤコートの膜厚は、100〜約20nmの範囲である。
【0050】
液浸バリヤコートは、上記ポリマーおよび溶剤を含み、そして更に別の添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、良好な塗膜を形成するための界面活性剤、遊離のカルボン酸、遊離のスルホン酸もしくはそれの塩または他のスルホン活性化酸もしくはこれらの塩(酸がフォトレジストからバリヤコートに移ることを減少させるためのもの)であることができる。遊離の酸およびそれらの塩は、これらの水性媒体中への溶解度が低いことが確実であるように注意しない限りは、液浸用液体中へのこれらの成分の望ましくない移行を引き起こす恐れがある。加えて、これらの添加剤は、露光波長において実質的に透明であるように選択される。
【0051】
例えば、193nm液浸リソグラフィの場合には、水中に不溶性の非揮発性カルボン酸が好ましく、そしてこれは、2以上、好ましくは4を越える疎水定数(Pi(Hansch))によって定義することができる。Pi(π)は、分配係数に関連し、そして有機および水相間の疎水性を示す。特定の化合物についてのPiの値は、ソフトウェアプログラム、例えばAdvanced Chemistry Lab(www.acdlab.com)から入手できるプログラムを用いて計算することができる。バリヤコートで使用するのに有用なカルボン酸の非限定的な例は、コール酸(2.35のPi)、デオキシコール酸(4.39のPi)、リソコール酸(6.43のPi)、アダマンデートカルボン酸(6.43のPi)、コラン酸(2.33のPi)、およびパーフルオロアダマンタンカルボン酸(8.81のPi)である。以下の記載に当てはまるスルホン酸または他のスルホン活性化酸およびこれらの塩、すなわちC2n+1SOH(n=4〜12)、C2n+1SOH(n=4〜8)、(C2n+1NH(n=4〜8)、(C2n+1CH(n=4〜8)またはこれらのアミン塩C2n+1SO(R’’’R’’’R’’’R’’’)N(式中、R’’’、R’’’、R’’’およびR’’’は、独立して、(C〜C12)(アルキル、部分的にフッ素化されたアルキル、パーフルオロアルキル)、C〜C12(シクロアルキル、部分的にフッ素化されたシクロアルキル、およびパーフルオロシクロアルキル)であるが、R’’’、R’’’およびR’’’は追加的にHでもよい)を使用することができる。パーフルオロアダマンタンスルホン酸(8.81のPi)も使用することができる。好ましくは、上記スルホン酸は、4以上、好ましくは6を越える疎水定数(Pi(Hansch))を有する。脂肪族フルオロアルコール、特に高フッ素化炭素炭化水素(例えばヒドロキシパーフルオロアダマンタン)から誘導される脂肪族フルオロアルコールは十分に酸性であり、添加剤として有用である。典型的には、これらのフルオロアルコールは、4.0未満のpKaを有する。
【0052】
態様の一つでは、液浸バリアコート中に光活性化合物を含ませるのが望ましい。この際、好ましくは、前記光活性化合物は、下にあるフォトレジストを露光するのに使用する放射線に感度を示すものである。光活性化合物は、コーティングする前にバリアコート組成物に加えることができるか、または下にあるフォトレジストからの移行を介して塗膜中に存在していてもよい。場合によっては、光活性化合物の添加は、現像の際の未露光領域のフィルム厚の損失(未露光部膜減り)を低減し得る。どのような光活性化合物でも使用し得るが、通常は、該新規組成物の照射時に酸を生成することができる化合物、すなわち光酸発生剤(PAG)は、望ましい露光波長、好ましくは300nm以下、より好ましくは193nmおよび157nmの露光波長において吸収を示すものから選択される。どのようなPAGでも使用し得るが、酸発生性感光性化合物の適当な例としては、次のものには限定されないが、イオン性光酸発生剤(PAG)、例えばジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、または非イオン性PAG、例えばジアゾスルホニル化合物、スルホニルオキシイミド、およびニトロベンジルスルホネートエステルなどが挙げられる。ただし、照射時に酸を生成するものであればどのような感光性化合物でも使用し得る。オニウム塩は、通常は有機溶剤中に可溶の形で使用され、大概はヨードニウムもしくはスルホニウム塩の形である。これらの例は、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、およびこれらの類似物である。他の有用なオニウム塩は、例えば、米国特許出願シリアルナンバー10/439,472(出願日:2003年5月16日)、同第10/609,735(出願日:2003年6月30日)、同第10/439,753(出願日2003年5月16日)、および同第10/863,042(出願日:2004年6月8日)に記載されている。これらの特許文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。使用し得る照射時に酸を形成する他の化合物は、トリアジン類、オキサゾール類、オキサジアゾール類、チアゾール類、置換2−ピロン類である。フェノール性スルホン酸エステル、ビス−スルホニルメタン類、ビス−スルホニルメタン類もしくはビス−スルホニルジアゾメタン類、トリフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリフェニルスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジフェニルヨードニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、ジフェニルヨードニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、およびこれらの同族体も可能な候補である。光活性化合物の混合物も使用できる。好ましい態様の一つでは、光活性化合物としてヨードニウム塩およびスルホニウム塩が好ましく、また光活性化合物としてスルホニウム塩がより好ましい。光活性化合物、好ましくは光酸発生剤は、固形物重量基準で0.1〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、より好ましくは0.5〜2.5重量%の量で配合し得る。
【0053】
トップコートは、その屈折率が、フォトレジストの屈折率と液浸用液体の屈折率との間の幾何平均値であり、更に、バリヤコート厚が、入射する光の10%を越える割合を吸収しないように、その屈折率、膜厚および吸光性が調節されている場合には、バリアコートおよび反射防止膜の両方として機能し得る。
【0054】
液浸リソグラフィを用いた像の形成に有用でバリヤトップコートを必要とする上記フォトレジストは、従来技術において知られているどのようなものでもよい。ポジ型もしくはネガ型フォトレジストを使用することができる。典型的なネガ型フォトレジストは、ポリマー、光活性化合物および架橋剤を含むものである。露光された領域は基材上に残り、そして未露光の領域は現像除去される。
【0055】
他の態様の一つでは、環境中の塩基によるフォトレジストの汚染を防ぐために、本発明のポリマーは、トップバリヤコートとしても機能し得る。バリアコートを、深紫外線フォトレジストの上に形成し、そしてこの二層の系を、空気または他のガスの存在下において標準的な露光装置を用いて像形成する。露光は、193nmまたは157nmの波長を用いて行うことができる。露光されたフォトレジストを、次いで、当業界において周知のように、また以下に記載するように、ベーク処理し、そして現像する。トップバリヤコートは、水性アルカリ性溶液中に可溶であるので、現像段階の間に除去される。酸性フルオロアルコール基を含む少なくとも一種の単位を含むポリマーがバリヤコートポリマーとして特に好ましい。このようなバリヤコートは、液浸露光されないが、空気または他のガスの存在下に露光されるフォトレジストに像を形成するのに望ましい。
【0056】
空気またはガス環境中の塩基、特にアミンは、フォトレジスト中の光発生酸と反応して、リソグラフィー像に悪影響を与える。バリヤコート用のポリマーの種類はフォトレジストに依存し得るが、典型的なフォトレジストには、少なくとも一つのフルオロアルコール基(−C(C2n+1OH(n=1〜8))を側鎖として有する環状脂肪族ポリマーが望ましい。このポリマーは、追加のコモノマー単位、例えば上記のコモノマーを含むことができる。このポリマーは、一種または二種以上のコモノマー単位を含むことができ、この際、このコモノマー単位は、多環式、単環式、エチレン性または芳香族単位であることができ、そして他の性質、例えばポリマーの溶解特性を調節したり、または他の望ましいリソグラフィ性を与えるなどの他の性質を有することができる。1〜80モル%の割合で組み込まれるこのコモノマー単位は、非限定的に図13に例示される。図中、Xは、−COH、−COR’’、COR’’ −O−R’’、−SOH、−SO−R’’、−CO−NHR’’、−CONR’’、−CONH、SONH、SONR’’SONHR’’、−O−CO−R’’であり、Rは、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)フルオロアルキルである。多環式もしくは単環式構造を有する少なくとも一つの単位を含みかつ酸性フルオロアルコール側鎖基(−C(C2n+1OH(n=1〜8))を含む環状脂肪族ポリマー、例えば本出願において上に十分に説明し、なおかつ図2、3、4、6及び7に例示したものが、バリヤコート用ポリマーとして特に有用であり、そして図5に記載したものがより一層好ましい。9未満のpKaを有するポリマーは所望の酸性度を有し、そして5未満のpKaを有するポリマーがより一層望ましい。フォトレジスト単独使用の場合と比べて、露光後ベーク寛容度及び像プロファイルの改善が、該バリヤコートがコーティングされたアミン汚染に敏感なフォトレジストに観察された。
【0057】
環境からの保護に有用なトップバリヤコート組成物(ドライリソグラフィ)は、酸性フルオロアルコール側鎖基を持つ少なくとも一種の単位を有する環状脂肪族ポリマー、及び溶剤組成物を含む。このポリマーを溶解するが、ただし下にあるフォトレジストは溶解しない溶剤が好ましい。溶剤の選択は、下地としてのフォトレジスト基体に基づいて予測され、そして248及び193nmでの用途には、好ましい溶剤は、アルキルアルコールHOC2n+1(n=3〜12、好ましくは3〜7)(例えば、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、及びこれらの類似物など)、シクロアルキルアルコールHOC2n(n=4〜10)(例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、及びこれらの類似物など)(193nm)である。157nmまでのより短波長での用途に好適な攻撃性が比較的弱い溶剤とするために、これらのアルコールは、水またはアルカンC2n+2(n=7〜12)(例えば、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−ウンデカン、n−デカン、及びこれらの分枝状異性体)、環状脂肪族アルカン(n=5〜10)(例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、及びアルキル置換誘導体)と混合してもよい。他の攻撃性が比較的弱い溶剤混合物も157nmでの用途に好適であるが、これらは、より長波長で使用されるフォトレジストを用いた用途にも使用することができる。このような他の157nm樹脂に好ましい溶剤混合物は、アルキルカルボキシレートC2n+1−O−CO−C2m+1(n=2〜12、m=0〜3)(例えば、酢酸ブチル、酢酸アミル、蟻酸アミル、プロピオン酸エチル)または環状部分に基づく類似のアルキルカルボキシレート(例えば、シクロヘキシルアセテート、シクロペンチルアセテート)と、アルカンC2n+2(n=7〜12)(例えば、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−ウンデカン、n−デカン、及びこれらの分枝状異性体)、環状脂肪族アルカン(n=5〜10)(例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、及びアルキル置換誘導体)とを混合したものである。選択される溶剤混合物は、トップコートポリマーを溶解するが、その下にコーティングされるフォトレジストを溶解しないものである。
【0058】
環境からの保護に有用な該トップバリアコート組成物は、更に、液浸バリアコート中に光活性化合物を含むことができ、この際好ましくは、この光活性化合物は、下地のフォトレジストの露光に使用される放射線に感度を示すものである。この光活性化合物は、コーティングの前にバリヤコート組成物に加えるか、または下地のフォトレジストからの移行を介してバリヤコート中に存在させることができる。多くの場合、光活性化合物としては光酸発生剤が好ましい。本明細書に記載の光活性化合物のいずれのものも使用することができるが、特に好ましいものはヨードニウム及びスルホニウム塩である。バリアコート中の光活性化合物の存在が、環境からのアミン汚染によって引き起こされるフォトレジスト像の劣化の防止を更に助け得ることが図らずしも見出された。光活性化合物、好ましくは光酸発生剤は、固形物の0.1〜10重量%の範囲、好ましくは0.3〜5重量%、より好ましくは0.5〜2.5重量%の範囲の量で存在させることができる。
【0059】
該トップコート組成物は、更に、添加剤、例えば良好な塗膜を形成させるための界面活性剤、塗膜の酸性度を高めるための5未満のpKaを有する遊離の酸及び化合物、及び様々な他の種類の添加剤を含むことができる。酸性化合物の例は、カルボン酸、スルホン酸(例えばパーフルオロアダマンタンスルホン酸)、9未満のpKaを有する酸性フルオロアルコール(例えば、ヒドロキシパーフルオロアダマンタン)、及び揮発性の低い9未満のpKaを有する他の酸性化合物(典型的には、少なくとも100℃の沸点を有するものであるが、好ましくは典型的なフォトレジストベーク処理条件よりも高い沸点を有するもの(例えば120〜160℃))である。
【0060】
非液浸(ドライ)リソグラフィにアミンバリヤコートとして使用するためには、露光波長において透明な添加剤が好ましい。例えば、193nm及びこれより長波長のリソグラフィでは、水性塩基中に良好な溶解性を有する非揮発性脂肪族カルボン酸及びフルオロ脂肪族カルボン酸を使用することができるが、157nmにおけるそれらの吸収性のために、この波長ではこれらはそれほど好ましくない。非揮発性は、添加剤が、リソグラフィのベーク処理工程の間にフィルムから失われないようにするためのものであり、他方、水性塩基に対する高い溶解性は、現像中の残渣の形成を防ぎかつ現像中のバリヤコートの溶解をより促進する両方の目的のために使用される。好ましい非揮発性カルボン酸は、所与のpH値における添加剤の疎水性/親水性を表す、有機相及び水性相との間での解離分配定数logDで定義することができる。個々の化合物のLogDの値は、ソフトウェアプログラム、例えばAdvanced Chemistry Lab(www.acdlab.com)から入手できるプログラムを用いて計算することができる。logDの値が小さければ小さいほど、その添加剤は、水性アルカリ相中に可溶性になる。13のpHにおいて5またはそれ未満のlogDが好ましい。カルボン酸の限定的な例は、コリン酸(logD(pH13)−1.50)、デオキシコリン酸(logD(pH13)0.55)、リソコリン酸(logD(pH13)2.60)、アダマンデートカルボン酸(logD(pH13)−1.5)、コラン酸(logD(pH13)4.65)、及びパーフルオロアダマンタンカルボン酸(logD(pH13)−2.60)である。以下の説明に合致するスルホン酸または他のスルホン活性化酸(sulfone activated acids)及びこれらの塩の追加の例も使用することができる:C2n+1SOH(n=4〜12)、C2n+1SOH(n=4〜8)、(C2n+1NH(n=4〜8)、(C2n+1CH(n=4〜8)またはこれらのアミン塩C2n+1SOR’’’R’’’R’’’R’’’)N;式中、R’’’、R’’’、R’’’、及びR’’’は、独立して、(C〜C12)(アルキル、部分フッ素化アルキル、パーフルオロアルキル)、C〜C12(シクロアルキル、部分フッ素化シクロアルキル、及びパーフルオロシクロアルキル)であり、R’’’、R’’’、及びR’’’は、追加的に、Hであることもできる。好ましくは、上記酸性添加剤は、13のpHにおいて5またはそれ未満、好ましくは3未満のlogD値を有する。脂肪族フルオロアルコールは、添加剤として有用である程に充分に酸性の高いものであり、特に高フッ素化炭化水素から誘導されるものである。典型的には、これらの酸性フルオロアルコールは、4.0未満のpKaを有する。以下の構造式3及び4はこれらの添加剤の一部を例示する。好ましい塩は、アンモニウム(NH)または第一級、第二級もしくは第三級アルキルアミンのアンモニウム塩(例えば、NRH、NR、NR;Rはアルキルまたはフルオロアルキル部分である)と、上記の酸性化合物からなるものである。ただし、その遊離アミンは、130℃未満、好ましくは100℃未満の沸点を有する。
【0061】
【化3】

【0062】
水性アルカリ性溶液で現像されるポジ型フォトレジストが本発明に有用である。ポジ型フォトレジスト組成物は放射線で像様露光され、放射線に曝された領域のフォトレジスト組成物が現像剤溶液に溶けやすくなり、未露光の領域は現像剤溶液に比較的不溶性のまま残る。それゆえ、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理すると、塗膜の露光された領域が除去されて、フォトレジスト膜にポジ型の像が形成する。ノボラック樹脂と、光活性化合物としてのキノン−ジアジド化合物を含むポジ型フォトレジストが当業界においてよく知られている。ノボラック樹脂は、典型的には、酸触媒、例えばシュウ酸の存在下に、ホルムアルデヒドと一種または二種以上の多置換フェノールとを縮合することによって製造される。光活性化合物は、一般的に、ポリヒドロキシフェノール性化合物を、ナフトキノンジアジドまたはこれらの誘導体と反応させることによって得られる。これらの種のレジストの吸光範囲は一般的に約300nm〜440nmの範囲である。
【0063】
約180nm〜約300nmの短波長に感度を示すフォトレジストも使用することができる。これらのフォトレジストは、通常は、ポリヒドロキシスチレンもしくは置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体、光活性化合物、場合によっては及び溶解抑制剤を含む。使用されるこれらの種のフォトレジストの例示は、米国特許第4,491,628号、米国特許第5,069,997号及び米国特許第5,350,660号に記載されている。なおこれらの米国特許明細書の内容は本明細書に掲載されたものとする。193nm及び157nmの露光に特に好ましいものは、非芳香族系ポリマー、光酸発生剤、場合によっては溶解抑制剤、及び溶剤を含むフォトレジストである。従来技術において公知の193nmに感度を示すフォトレジストは、欧州特許出願公開第794458号明細書、国際公開第97/33198号パンフレット及び米国特許第5,585,219号明細書に記載されている。これらの文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。ただし、193nmに感度を示す任意のフォトレジストを使用することができる。193nm及び248nmに感度を示すフォトレジストが、水性液浸用液体を用いた液浸リソグラフィに特に有用である。これらのフォトレジストは、脂環式ポリマーに基づき、特にノルボルネンケミストリー及びアクリレート/アダマンタンケミストリーに基づくものである。このようなフォトレジストは、米国特許第6,447,980号明細書及び米国特許第6,365,322号明細書に記載されている。これらの文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。300nm未満での像の形成に有用なフォトレジストは、上記のものであることができる光酸発生剤、ただし典型的にはヨードニウムまたはスルホニウム塩である光酸発生剤を含む。
【0064】
像形成プロセスにおいては、フォトレジスト組成物溶液を、フォトレジストの分野において使用される任意の慣用の方法によって基材に塗布する。このような方法としては、浸漬塗布法、スプレー塗布法、遠心除滴塗布法(whirling)及びスピン塗布(スピンコート)法などがある。例えば、スピン塗布法の場合には、使用したスピンコート装置の種類及びスピンコートプロセスに許される時間量の下に、所望の厚さの塗膜を得るために、フォトレジスト溶液を固形物含有率に関して調節することができる。適当な基材としては、ケイ素、アルミニウム、ポリマー性樹脂、二酸化ケイ素、ドーピングした二酸化ケイ素、窒化ケイ素、タンタル、銅、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物、ヒ化ガリウム、及び他のこのようなIII/V族化合物などが挙げられる。フォトレジストは、有機または無機系反射防止膜の上にコーティングすることもできる。
【0065】
フォトレジスト組成物溶液を基材上にコーティングし、次いでこの基材を、約70℃〜約150℃の温度で、ホットプレートの場合には約30秒〜約180秒間、熱対流炉の場合には約15〜約90分間、処理する。この温度処理は、フォトレジスト中の残留溶剤の濃度を減少させるために選択され、固形成分を熱分解させることは実質的にない。一般的に、溶剤濃度は最小化することが望まれるので、この最初の温度処理は、実質的に全ての溶剤が蒸発して、半ミクロン(マイクロメータ)のオーダーの厚さのフォトレジスト組成物の薄い塗膜が基材上に残るまで行われる。好ましい態様の一つでは、その温度は、約95℃〜約160℃、より好ましくは約95℃〜約135℃である。この処理は、溶剤除去の変化の割合が比較的にとるに足らないものになるまで行われる。温度及び時間の選択は、ユーザーが望むフォトレジストの性質や、使用する装置、及び商業的に望ましい塗布時間に依存する。次いで、バリヤコートを、フォトレジスト塗膜の形成について上述した技術の任意の方法によって、このフォトレジスト塗膜上に塗布する。次いで、場合によっては、その塗膜は、残留コーティング溶剤混合物を除去するために、適当な温度においてベーク処理することができる。このベーク処理が必要な場合には、バリアコートを、典型的には、約120℃で90秒間ベーク処理することができる。任意の好適な温度及び時間を使用することができるが、典型的にはホットプレートでは、約90℃〜約135℃の温度で30〜90秒間である。コーティングされた基材は、次いで、液浸リソグラフィまたはドライリソグラフィによって化学線、例えば約100nm(ナノメータ)〜約450nmの波長の紫外線、X線、電子ビーム、イオンビーム、またはレーザー線を用いて、適当なマスク、ネガ、ステンシル、テンプレートなどの使用によって形成される任意の所望のパターンに像様露光することができる。使用される典型的な液浸用液体は水を含む。この液浸用液体には他の添加剤も存在することができる。
【0066】
次いで、この二層を、現像の前に、露光後第二ベーク処理または熱処理に付す。その加熱温度は、約90℃〜約160℃、より好ましくは約100℃〜約130℃の範囲であることができる。この加熱は、ホットプレートでは約30秒〜約5分、より好ましくは約60秒〜約90秒、熱対流炉では約15〜約45分、行うことができる。
【0067】
フォトレジスト/バリヤ層がコーティングされそして露光されたこの基材は、現像溶液中に浸漬するかあるいはスプレー、パドルまたはスプレーパドル現像法によって現像して、バリヤコートと、像様露光された領域(ポジ型フォトレジストの場合)または未露光の領域(ネガ型フォトレジストの場合)とを除去する。好ましくは、この溶液は、例えば窒素噴出攪拌によって攪拌する。基材は、全てのまたは実質的に全てのフォトレジスト塗膜が露光された領域から溶解されるまで現像剤に曝す。現像剤としては、アンモニウム水酸化物類もしくはアルカリ金属水酸化物の水溶液、あるいは超臨界二酸化炭素などが挙げられる。好ましい現像剤の一つは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液である。現像剤組成物には界面活性剤も加えることができる。コーティングされたウェハを現像溶液から取り出した後は、任意の現像後熱処理もしくはベーク処理を行うことができ、それにより塗膜の粘着性並びにエッチング条件及び他の物質に対する耐化学薬品性を向上させることができる。この現像後熱処理は、塗膜の軟化点以下での塗膜及び基材のベーク処理、またはUV硬化プロセスからなることができる。工業的な用途、特にケイ素/二酸化ケイ素のタイプの基材上に超小型回路を製造する場合は、現像された基材を、緩衝したフッ化水素酸エッチング溶液または好ましくはドライエッチングによって処理することができる。いくつかの場合には、像が形成されたフォトレジスト上に金属を付着させる。
【0068】
上に挙げた文献はそれぞれ、全ての目的に関してその内容の全てが本明細書に掲載されたものとする。以下の具体例は、本発明の組成物を製造及び使用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、そして本発明を実施するために排他的に使用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものとは解釈するべきではない。
【実施例】
【0069】
例1: バリヤコート1用のポリマーの合成
ポリマーF−1 BNC(DUVCOR 385)(44141,オハイオ州,ブレックスビル,ブレックスビル通り9921、ビルディングB在のPromerus社から入手可能)を、乾燥粉末として、マグネティックスターラーバーを入れた丸底フラスコに加えた。このフラスコに、ストップコックの入口を据え付け、そして少なくと5torrの減圧をゆっくりとかけた。次いで、このフラスコを油浴中に浸け、そして攪拌した。次いで、この油浴を180℃の温度に加熱し、そしてその中の粉末をこの温度で2時間攪拌した。冷却後、この粉末を回収した。NMR及び赤外(IR)分光分析により、ポリマー中のt−ブチル基が完全に除かれたことが確認された(C=OバンドのIRシフト、及びエステルのCHバンド及びC−Oバンドの消失、及びtert−ブチルエステルCHピークの消失)。この材料は95%の収率で回収された。この手順の反応式を以下に示す。
【0070】
【化4】

【0071】
例2 バリヤコート2のF−1tert−ブトキシカルボニルメチル(BOCME)前駆体の合成
ポリマーF−1(ポリ(3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロパン−2−オール),Mw(10,000),(44141,オハイオ州,ブレックスビル,ブレックスビル通り9921、ビルディングB在のPromerus社から入手可能)(4.0g,14.59mmol))を、テトラヒドロフラン(THF)15ml中に溶解し、そして固形のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH.5HO)(0.793g,4.38mmol)を攪拌しながら加えた。30分後、この溶液にt−ブチルブロモアセテート(1.71g,8.76mmol)を加え、そしてこれを25℃で更に16時間攪拌した。反応混合物中に生じた析出物を濾過して取り除いた。ロータリーエバポレータで、得られた濾液から溶剤を除去した。得られた残渣を、濃塩酸を1.0g含むMeOH20ml中に再溶解した。この溶液を、水−メタノール混合物(8:1)180ml中で析出させた。濾過してポリマーを単離した後、これをMeOH中に溶解し、次いで前記水−メタノール混合物中で再析出することによって更に精製した。次いで、この最終の析出物を濾過し、水で洗浄し、そして減圧(25”Hg)下に55℃で一晩乾燥した。単離されたポリマーの収率は91%であった。t−ブチル基(1.48ppm)及びメチレン基(4.27ppm)の存在が、H NMRで確認された。BOCME基による保護の程度は、28モル%であることが確認された。
【0072】
例3 F−1−CHCOH(バリヤコート2)の合成
例2で製造したポリマーF−1−BOCMEを、乾燥粉末として、マグネティックスターラーバーを入れた丸底フラスコに加えた。このフラスコにストップコックの入口を据え付け、そして少なくとも5torrの減圧をゆっくりとかけた。次いで、このフラスコを油浴に浸け、そして攪拌した。次いで、この油浴を140℃の温度に加熱し、そしてその中の粉末をこの温度で1時間攪拌した。油浴温度を180℃に高め、そして粉末をこの温度で更に1時間、攪拌及び加熱した。冷却後、粉末を回収した。赤外(IR)分光分析により、ポリマー中のt−ブチル基が完全に除かれたことが確認された(C=OバンドのIRシフト、及びエステルのCHバンド及びC−Oバンドの消失、及びtert−ブチルエステルCHピークの消失)。この材料は、95%の収率で回収された。この手順の反応式は次の通りである。
【0073】
【化5】

【0074】
コーティング及びパターン露光及び分析に使用した機器
193nmでの露光は、輪帯照明を用いてニコン製193nmスキャナーで行った(NA=0.75 A0.50)。コーティング、ベーク処理及び現像は、前記ニコン製ツールに接続されたTEL(R)ACT 12トラックで行った。トップダウンSEM写真は、KLA8100CD−SEMで得た。各々のデータポイントは、二つの測定値の平均として採取した。CDは、20nmオフセットで50%の閾値で測定した。
【0075】
例4 バリヤコート1
イソプロピルアルコール(IPA)中に溶解した例1のポリマー(脱保護したF−1 BNC)7重量%からなる溶液を調製した。この溶液を、1000rpmでシリコンウェハ上にスピンコートして、均一な膜を得た。この膜は、水中には不溶性であるが(30秒間のパドル現像後)、0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド中には非常に良く溶けることが確認された(30秒間のパドル現像で膜が除去された)。
【0076】
例5 バリヤコート2
例4に類似して、例3−バリヤコート2からのポリマーの膜が、水中には不溶性であるが(30秒間のパドル現像後)、0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド中には非常に良く溶けることが確認された(30秒間のパドル現像後に膜が除去された)。
【0077】
例6 バリヤコート3
ポリ(3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロパン−2−オール)(Mw10,000)(44141,オハイオ州,ブレックスビル,ブレックスビル通り9921、ビルディングB在のPromerus社から入手)の2.13重量%溶液を、1−ブタノール中に得、そしてシリンジを用いて0.2ミクロンPTFEフィルター(Millexベントフィルターユニット,カタログナンバーSLFG05010,Millipore社)に通して濾過した。この溶液を1000rpmでシリコンウェハにスピンコートして、均一な膜を得た。この膜は、水中には不溶性であるが(30秒間のパドル現像後)、0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド中には非常に良く溶けることが確認された(30秒間のパドル現像後に膜が除去された)。
【0078】
例7 バリヤコート3のリソグラフィ実験
該バリヤコートの使用が193nmレジストの像形成能力を妨げないことを示すために三種の実験を行った。これらの実験は次の通りに行った。
【0079】
1)37nmの膜厚の底面反射防止膜(AZ(R)ArFTM1C5D;ニュージャージー州,ソマービル在のクラリアントコーポレーションの製品)を、ケイ素基材上にコーティングし、そして175℃で60秒間ベーク処理した。フォトレジスト(AZ(R)1120P;ニュージャージー州,ソマービル在のクラリアントコーポレーションから入手可能)を、前記底面反射防止膜上にコーティングして200nmの膜厚を得た(スピン速度2,500rpm、ベーク処理120℃、90秒間)。193nmで像様露光した後、膜を120℃で90秒間ベーク処理し、その後、300MIF(0.26 N TMAH)中で23℃で60秒間現像した。
【0080】
2) 37nmの膜厚の底面反射防止膜(AZ(R)ArFTM1C5D;ニュージャージー州,ソマービル在のクラリアントコーポレーションの製品)をケイ素基材上にコーティングし、次いで175℃で60秒間ベーク処理した。フォトレジスト(AZ(R)1120P;ニュージャージー州,ソマービル在のクラリアントコーポレーションから入手可能)を上記底面反射防止膜上にコーティングして200nmの膜厚を得た(スピン速度2,500rpm、ベーク処理120℃、90秒間)。第二のソフトベーク処理を行った(120℃、90秒間)。193nmで像様露光した後、膜を120℃で90秒間ベーク処理して、その後、300MIF(0.26N TMAH)中で23℃で60秒間現像した。
【0081】
3) 37nmの膜厚を有する底面反射防止膜(AZ(R)ArFTM1C5D)をケイ素基材上にコーティングし、次いで175℃で60秒間ベーク処理した。フォトレジスト(AZ(R)1120P)を、上記底面反射防止膜上にコーティングして200nmの膜厚を得た(スピン速度2,500rpm、ベーク処理120℃、90秒間)。バリヤコート液3(例6)を、3000rpmでスピンコートして37nm厚の膜を得、そして120℃で90秒間ベーク処理した。193nmで像様露光した後、膜を120℃で90秒間ベーク処理して、その後、300MIF(0.26N TMAH)中で23℃で60秒間現像した。
【0082】
上記三種の試験から得られた像を、走査電子顕微鏡を用いて検査した。具体的には、193nmで像形成された100nm1:1ライン/スペース図形は、これらの三種の試験の全てにおいて、同じ線量(35.5mJ/cm)においてその外観に大きな差異は示さなかった。それゆえ、フォトレジスト上にコーティングしたバリヤコートが、リソグラフィプロセスに悪影響をおよぼさないことが示された。
【0083】
例8: 環境制御のためのトップバリヤコート液の調製
ポリ(テトラフルオロエチレン−co−(2−フルオロ,3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)エタン−1−オール)(日本国大阪府梅田センタービルディング在のダイキン工業株式会社から入手可能;FRC−001)を、酢酸アミル4.58g中に溶解して溶液を得た。次いで、この溶液に、デカン25.37gを加えた。この溶液を一晩混合した後に、0.2ミクロンフィルターに通して濾過した。
【0084】
例9: 環境制御のためのトップバリヤコート液の調製
ポリ(1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン)(PPTHH)(旭硝子社から入手可能,Asahi FPR 100,Mw(24,600),Mn(12400))0.6115gを、酢酸アミル4.58g中に溶解することによって溶液を調製した。次いで、この溶液に、デカン25.37gを加えた。この溶液を一晩混合した後に、0.2ミクロンフィルターに通して濾過した。
【0085】
例10: 環境制御のためのトップバリヤコート
ポリ(1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン)(PPTHH)(旭硝子社,Asahi FPR 500,FPR100の低分子量バージョン,MW)0.6115gを、酢酸アミル4.58g中に溶解することによって溶液を調製した。次いでこの溶液にデカン25.37gを加えた。この溶液を一晩混合した後、0.2ミクロンフィルターに通して濾過した。
【0086】
フォトレジスト溶液の調製及び157nmでの像形成
像形成作業は、テキサス州オースチン在のインターナショナル・セマテック(International SEMATECH)において、フェーズシフトマスク(σ0.3)を用いてExitech157nmスモールフィールド(1.5_1.5mm)ミニステッパ(0.6NA)で行った。走査電子顕微鏡写真を得るためにJEOL JWS−7550を使用した。横断面データを得るためにHitachi 4500顕微鏡を使用した。レジスト膜のコーティング、ベーク処理及び現像にはFSI Polaris 2000 トラックを使用した。レジスト厚の測定にはPrometrix干渉計を使用した。
【0087】
例11: 25%水性TMAHを使用した、メトキシメチル(MOM)で保護されたポリ(1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン)(PPTHH)からの、MOM(19%)及びtert−ブトキシカルボニルメチル(BOCME)(9%)で保護されたポリ(1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン)の合成
19%MOM保護化ポリマー(10g,30mmol)を、THF60ml中に溶解し、そして25%水性TMAH(5.47g,15mmol)を攪拌しながら加えた。次いで、t−ブチルブロモアセテート(0.71g,3.6mmol)をこの反応溶液に加え、そして室温で三日間攪拌した。ロータリーエバポレータを用いて、減圧下に40℃で溶剤を除去し、そして残渣をMeOH80ml中に溶解した。この溶液を、室温で氷酢酸15mlで処理し、そして水−メタノール−酢酸(210+10+5ml)混合物中で析出させた。析出物を濾過し、水−メタノール(105+45ml)、水(1.5L)で洗浄し、そして乾燥した。得られたポリマーをMeOH中に溶解し、そして水中で析出させることによって更に精製し、そして減圧下70℃で16時間乾燥した。ポリマーの収率は92%であった。t−ブチル基(1.48ppm)及びメチレン基(4.27ppm)の存在が1H NMRで確認された。ポリマー中に組み込まれたBOCME基の割合は9モル%であった。
【0088】
例12: 19%のMOM及び9%のBOCMEで保護されたPPTHHのフォトレジスト溶液の調製
19%のMOM及び9%のBOCMEで保護されたPPTHH(例11)6.787g、PGMEA89.05g、PGMEA中のテトラブチルアンモニウムアセテートの0.4%溶液3.9583g、及びトリフェニルスルホニウムノナフレート0.19692gからなる溶液を調製した。この溶液を一晩混合し、次いで0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0089】
例13: フォトレジストの像形成
例12のフォトレジスト溶液を、反射防止膜をコーティングした複数のシリコンウェハ上に2,200rpmでスピンコートし、そして135℃でベーク処理した。これらのフォトレジスト膜のうちの一つに、例8のバリヤコートを3,500rpmでスピンコートして塗布し、他のものはそのままにした。得られた膜を、Sematech Exitechツール(上記参照)を用いて露光し、その後遅れなく、115℃で90秒間露光後ベーク処理(PEB)した。これらの膜を、0.26N TMAH水性溶液中で30秒間現像した。他の二つの組の実験を上記と同様に行った。一方は、上記のフォトレジスト膜のみを用い、他方は上記のバリヤコートでコーティングしたフォトレジスト膜を用い、ただし露光後にベーク処理する前に7分間及び14分間の遅れをおいた。遅れなくベーク処理したサンプルでは、70nmの1:1.5の図形を解像するために、バリヤコートがないサンプルは52mJ/cmの線量を要し、他方、バリヤコートを施したサンプルは、幾らかより多量の線量(64mJ/cm)を要したが、これはより良好な解像が可能で、より良好な露光後ベーク処理後の遅れ寛容度(delay latitude)を有していた。ベーク処理前に遅れをおきかつバリヤコートを施さなかったサンプルは、52mJ/cmの露光線量だけで1:1.5ライン:スペース(l:s)70nm図形を解像したが、バリヤコートを施しかつ遅れなくベーク処理したサンプルは、64mJ/cmの露光線量だけで1:1ライン:スペース70nm図形を解像した。ベーク処理前に7分間の遅れをおいたサンプルでは、1:1(l:s)及び1:1.5(l:s)70nm図形は、バリヤコートを施していないサンプルでは52mJ/cmの露光線量において両方とも閉じて(closed)しまったが、バリヤコートを施したサンプルでは同一の図形が、64mJ/cmの露光線量で完全に解像された。同様に、ベーク処理前に14分間の遅れをおいた場合には、1:1(l:s)及び1:1.5(l:s)70nm図形は、バリヤコートを施していないサンプルでは52mJ/cmの露光線量において両方とも閉じてしまったが、バリヤコートを施したサンプルでは、同じ図形が64mJ/cmの露光線量で完全に解像された。
【0090】
例14: バリヤコート4
ポリ(3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロパン−2−オール) Mw(10,000)(44141,オハイオ州,ブレックスビル,ブレックスビル通り9921、ビルディングB在のPromerus社から入手したもの)の1.75重量%溶液を1−ペンタノール中で調製し、そしてシリンジを用いてMillipore社製の0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0091】
例15: バリアコート5
ポリ(テトラフルオロエチレン−co−(2−フルオロ,3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)エタン−1−オール(日本国大阪府梅田センタービルディング在のダイキン工業株式会社から入手可能,FRC−001)の1.75重量%溶液を1−ペンタノール中で調製し、そしてシリンジを用いてMillipore社製の0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0092】
例16: バリヤコート6
ポリ(3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロパン−2−オール)Mw(10,000)(44141,オハイオ州,ブレックスビル,ブレックスビル通り9921、ビルディングB在のPromerus社から入手したもの)及び0.6%(固形物基準)のトリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネートからなる1.75重量%溶液を1−ペンタノール中で調製し、そしてシリンジを用いてMillipore社製の0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0093】
例17: バリヤコート7
ポリ(テトラフルオロエチレン−co−(2−フルオロ,3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)エタン−1−オール)(日本国大阪府梅田センタービルディング在のダイキン工業株式会社から入手可能,FRC−001)及び0.6%(固形物基準)のトリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネートからなる1.75重量%溶液を1−ペンタノール中で調製し、そしてシリンジを用いてMillipore社製の0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0094】
バリヤコート4〜7のリソグラフィ
バリヤコート4〜7の露光は、全て、ローチェスター工科大学(Rochester Institute of Technology)において、193nm液浸マイクロステッパ(Exitech PS3000/1.05NA Corning Tropel社製AquaCAT)を用いて行った。9×15の配列を、クワド−露光(quad exposure)(sc=0.818,sr=0.15)によりバイナリL/Sレチクルを用いて使用した。
【0095】
露光用の基材は次のように用意した。全ての膜は、AZ(R)ArF 1C5D(AZ(R)エレクトロニックマテリアルズ社の製品)をコーティングした4インチSi基材上に、1,200rpmのスピン速度及び200℃での60秒間の塗布後ベーク処理(PAB)によって、スピンコートした。
【0096】
例18: バリアコートなしのフォトレジストの用意及び像形成
AZ(R)ArF 1C5Dをコーティングした4インチSiウェハに、1,560rpmのスピン速度でAZ(R)EXP IRC 1500(米国ニュージャージー州ソマービル在のAZエレクトロニックマテリアルズ社から入手可能な、アクリレート/スルホニウム塩に基づくフォトレジスト)をコーティングして、次いで130℃で60秒間PABすることによって、100nmの膜厚を得た。このウェハを、193液浸マイクロステッパを用いて上記の通り露光した。露光後、膜を105℃で60秒間ベーク処理し、そして0.26N TMAH中で60秒間現像した。この膜は、100nmL/S図形まで解像することができたが、その解像線量(66mJ/cm)では、現像中の未露光部侵食によってフォトレジストラインの上部を実質的に(約20%)損失した。
【0097】
例19 バリヤコート4を用いたフォトレジストの用意及び像形成
AZ(R)ArF 1C5Dを塗布した4インチSiウェハに、AZ(R)EXP IRC 1500(米国ニュージャージー州ソマービル在のAZエレクトロニックマテリアルズ社から入手可能なアクリレート/スルホニウム塩に基づくフォトレジスト)を1,560rpmのスピン速度でコーティングし、そして130℃で60秒間PABして100nmの膜厚を得た。このレジストの塗布後、例14のバリヤコート4を1866rpmのスピン速度で塗布して、32nmの厚さのトップバリヤコートを得た(トップコートにはPABは行わなかった)。このウェハを、193nm液浸マイクロステッパを用いて上記のように露光した。露光後、得られた膜を105℃で60秒間ベーク処理し、そして0.26N TMAH中で60秒間現像した。この膜は、100nmL/S図形まで解像することができたが、その解像線量(72mJ/cm)では、なお、現像中の浸食によりライン上部の実質的な損失(約20%)を示した。例14のバリヤコート4の使用は、現像中のフォトレジストの未露光部膜減りを解消しなかった。
【0098】
例20: バリヤコート5を用いたフォトレジストの用意及び像形成
AZ(R)ArF 1C5Dを塗布した4インチSiウェハに、AZ(R)EXP IRC 1500(米国ニュージャージー州ソマービル在のAZエレクトロニックマテリアルズ社から入手可能なアクリレート/スルホニウム塩に基づくフォトレジスト)を1,560rpmのスピン速度でコーティングし、そして130℃で60秒間PABして100nmの膜厚を得た。このレジストの塗布後、例16のバリヤコート5(PAG添加剤を含む)を1805rpmのスピン速度で塗布して、32nmの厚さを有するトップコートバリヤを得た(このトップコートにはPABは行わなかった)。このウェハを、193nm液浸マイクロステッパで上記のように露光した。露光後、膜を105℃で60秒間ベーク処理し、そして0.26N TMAH中で60秒間現像した。この膜は、100nmL/S図形まで解像することができ、そしてその解像線量(68mJ/cm)において、フォトレジスト上部の実質的な損失を起こさず、そして良好な四角形のプロフィルを有するラインを与えた。それゆえ、フォトレジストが未露光部膜減りを起こす傾向があり、そしてバリヤコート単独では未露光部膜減りを減少できない場合において、PAGを含むバリヤコート5の使用が、フォトレジストのリソグラフィ性能をかなり向上した。
【0099】
例21: バリヤコート6を用いたフォトレジストの用意及び像形成
AZ(R)ArF 1C5Dを塗布した4インチSiウェハに、AZ(R)EXP IRC 1500(米国ニュージャージー州ソマービル在のAZエレクトロニックマテリアルズ社から入手可能なアクリレート/スルホニウム塩に基づくフォトレジスト)を1,560rpmのスピン速度でコーティングし、そして130℃で60秒間PABして100nmの膜厚を得た。このレジストの塗布後、例16のバリヤコート6を、1700rpmのスピン速度で塗布して、32nmの厚さのトップバリヤコートを得た(トップコートのPABは行わなかった)。このウェハを、193nm液浸マイクロステッパで上記のように露光した。露光後、膜を105℃で60秒間ベーク処理し、そして0.26N TMAH中で60秒間現像した。この膜は、100nm/LS図形まで解像することができ、そしてその解像線量(65mJ/cm)において、現像中の未露光部の浸食によるライン上部の実質的な損失を起こさず、良好な四角形のプロフィルを与えた。
【0100】
例22: バリヤコート7を用いたフォトレジストの用意及び像形成
AZ(R)ArF 1C5Dを塗布した4インチSiウェハに、AZ(R)EXP IRC 1500(米国ニュージャージー州ソマービル在のAZエレクトロニックマテリアルズ社から入手可能なアクリレート/スルホニウム塩に基づくフォトレジスト)を1,560rpmのスピン速度でコーティングし、そして130℃で60秒間PABを行い、100nmの膜厚を得た。このレジストの塗布後、例17のバリヤコート7を1700rpmのスピン速度で塗布して、32nmの厚さのトップバリヤコートを得た(トップコートにはPABは行わなかった)。このウェハを、193nm液浸マイクロステッパを用いて上記のように露光した。露光後、膜を105℃で60秒間ベーク処理し、そして0.26N TMAH中で60秒間現像した。このフォトレジスト膜は、100nmL/S図形まで解像することができ、そしてその解像線量(78mJ/cm)において、現像中の浸食によるフォトレジストライン上部の大きな未露光部膜減りを起こさなかった。それゆえ、バリヤコートポリマーが単独で未露光部膜減りを減少させる場合において、PAGの添加は負のリソグラフィ効果は持たない。
【0101】
例23: バリヤコート8
ポリ(3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロパン−2−オール)Mw(10,000)(44141,オハイオ州,ブレックスビル,ブレックスビル通り9921、ビルディングB在のPromerus社から入手)及び0.6%(固形物基準)のトリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネートを含む1.75重量%溶液を1−ペンタノール中で調製し、そしてシリンジを用いてMillipore製0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0102】
例24: バリヤコート9
ポリ(3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロパン−2−オール)Mw(10,000)(44141,オハイオ州,ブレックスビル,ブレックスビル通り9921、ビルディングB在のPromerus社から入手)及び1.1%(固形物基準)のトリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネートを含む1.75重量%溶液を1−ペンタノール中で調製し、そしてシリンジを用いてMillipore製0.2ミクロンPTFEフィルターに通して濾過した。
【0103】
例25:フォトレジストの上にコーティングされたバリヤコート4、8及び9の非連結トラック及び露光ツールでのリソグラフィ実験
ベーク処理トラック及び露光ツールが連結しておらず、それゆえ、トラック及び露光ツール間を移動する間に塗膜が空気中のアミン汚染に曝される条件において、PAGを含むかまたは含まないバリヤコートを用いて193nmフォトレジストの安定性を評価するために実験を行った。これらの実験の手順は次の通りである。
【0104】
1) 37nmの膜厚の底面反射防止膜(AZ(R)ArFTM1C5D、ニュージャージー州ソマービル在のクラリアントコーポレーションの製品)を、ケイ素基材上にコーティングして、175℃で60秒間ベーク処理した。フォトレジスト(AZ(R)1120P、ニュージャージー州ソマービル在のクラリアントコーポレーションから入手可能)を、上記反射防止膜上にコーティングして(スピン速度2,500rpm、ベーク処理130℃/90秒)、200nmの膜厚を得た。例14のバリヤコート4を、1700rpmでスピンコートして、フォトレジストの表面に32nm厚のバリヤコートを形成した。193nmで像様露光した後、膜を130℃で90秒間ベーク処理し、次いで300MIF(0.26N TMAH)中で23℃で60秒間現像した。
【0105】
2) 37nmの膜厚の底面反射防止膜(AZ(R)ArFTM1C5D、ニュージャージー州ソマービル在のクラリアントコーポレーションの製品)をケイ素基材上にコーティングし、そして175℃で60秒間ベーク処理した。フォトレジスト(AZ(R)1120P,ニュージャージー州ソマービル在のクラリアントコーポレーションから入手可能)を上記底面反射防止膜上にコーティングして(スピン速度2,500rpm、ベーク処理130℃/90秒間)、200nmの膜厚を得た。例24のバリヤコート8を1700rpmでスピンコートして、上記フォトレジストの表面上に32nm厚のバリヤコートを形成した。193nmで像様露光した後、膜を130℃で90秒間ベーク処理し、次いで300MIF(0.26N TMAH)中で23℃で60秒間現像した。
【0106】
3) 37nmの膜厚の底面反射防止膜(AZ(R)ArFTM1C5D、ニュージャージー州ソマービル在のクラリアントコーポレーションの製品)をケイ素基材上にコーティングし、次いで175℃で60秒間ベーク処理した。フォトレジスト(AZ(R)1120P、ニュージャージー州ソマービル在のクラリアントコーポレーションから入手可能)を上記底面反射防止膜上にコーティングして(スピン速度2,500rpm、ベーク処理130℃/90秒間)、200nmの膜厚を得た。例25のバリヤコート9を、1700rpmでスピンコートして、上記フォトレジストの表面上に32nm厚のバリヤコートを形成した。193nmで像様露光した後、膜を130℃で90秒間ベーク処理し、次いで300MIF(0.26N TMAH)中で23℃で60秒間現像した。
【0107】
上記の三つの試験から得られた像を、走査型電子顕微鏡で検査した。PAG添加剤を含まないバリヤコート4を施したフォトレジストは、100nm1:1ライン/スペース図形間に、アミン汚染に対する感受性の指標であるフォトレジストのウェビング(webbing)を形成する若干の傾向を示した。このウェビングの形成傾向は、PAGを含むバリヤコート8もしくは9のいずれかを使用することによって除去することができ、これらは鮮明な100nmL/S図形を示した。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、“ドライ”レンズとウェハとの境界の場合と、この境界の間に液体が存在する場合とでの光線捕獲の状態についてその結果の差異を図示したものである。
【図2】図2は、ポリマー鎖の主鎖を形成する多環式繰り返し単位を含むバリヤポリマーの可能な繰り返し単位を示す。置換基のうちの少なくとも一つはイオン化可能な基を含んで構造1の単位を与える。
【図3】図3は、ポリマー鎖の主鎖を形成する多環式繰り返し単位を含むバリヤポリマーの繰り返し単位を示す。置換基のうちの少なくとも一つはイオン化可能な基を含んで構造1の単位を与える。
【図4】図4は、ポリマー鎖の主鎖を形成する多環式繰り返し単位を含むバリヤポリマーの繰り返し単位を示す。置換基のうちの少なくとも一つは、イオン化可能な基を含んで構造1の単位を与える。
【図5】図5は、フルオロアルコール含有ノルボルネン繰り返し単位の例示である。
【図6】図6は、ヒドロキシ側鎖基を有する単環式ポリマーの例示である。
【図7】図7は、アルコール側鎖基を有する部分的にフッ素化された単環式ポリマーの例示である。
【図8】図8は、アルキルカルボン酸でキャップされたフルオロアルコールを有するノルボルネン繰り返し単位の例を示す。
【図9】図9は、アルキルスルホン酸でキャップされたフルオロアルコールを有するノルボルネン繰り返し単位の例を示す。
【図10】図10は、メチルカルボン酸部分でキャップされたヒドロキシ側鎖基を有する単環式ポリマー繰り返し単位を一般式として示す。
【図11】図11は、メチルスルホン酸部分でキャップされたヒドロキシ側鎖基を有する単環式ポリマー繰り返し単位を一般式として示す。
【図12】図12は、アルキルカルボン酸基でキャップされたアルコール側鎖基を有する部分的にフッ素化された単環式ポリマー繰り返し単位を示す。
【図13】図13は、アルキルスルホン酸基でキャップされたアルコール側鎖基を有する部分的にフッ素化された単環式ポリマー繰り返し単位を示す。
【図14】図14は、他のコモノマー性繰り返し単位の例示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階、すなわち
a)基材上にフォトレジストの塗膜を形成する段階、
b)上記フォトレジスト上に、バリヤコート液からバリヤコートを形成する段階、
c)液浸リソグラフィを用いて上記フォトレジスト及びバリヤコートを像様露光する段階、この際、この液浸リソグラフィは、バリヤコートと露光装置との間に液浸用液体を含むものであり、及び
d)各塗膜を水性アルカリ性溶液で現像する段階、
を含む、フォトレジストに像を形成する方法。
【請求項2】
バリヤコートが、液浸用液体中に不溶性である、請求項1の方法。
【請求項3】
液浸用液体が水を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
バリヤコートが水性アルカリ性溶液中に可溶性である、請求項1の方法。
【請求項5】
フォトレジストが150nm〜450nmの範囲の露光波長に感度を示すものである、請求項1の方法。
【請求項6】
バリヤコートが、アルキルアルコールもしくはカルボキシレート溶剤と、イオン化可能な基を含むポリマーとを含んでなるものである、請求項1の方法。
【請求項7】
イオン化可能な基を含む上記ポリマーが、約−9〜約11の範囲のpKaを有するものである、請求項6の方法。
【請求項8】
上記ポリマーが、以下の構造式
【化1】

[式中、Rはポリマー性主鎖であり、Wはスペーサー基であり、ZHはイオン化可能な基であり、そしてtは0〜5である]
を有する、請求項6の方法。
【請求項9】
Rが、多環式ポリマー性主鎖、単環式主鎖、線状脂肪族主鎖、分枝状脂肪族主鎖、芳香族主鎖、フッ素化アルキル主鎖、及びこれらの混合物から選択されるものである、請求項8の方法。
【請求項10】
ZHが、−C(C2n+1OH(n=1〜8)、−PhOH、(SONH、(SOCH、(CO)NH、SOH、POH及びCOHから選択される、請求項8の方法。
【請求項11】
バリヤコートが、更に、光活性化合物を含む、請求項6の方法。
【請求項12】
アルキルアルコールが、HOC2n+1(nは3〜12である)の構造式を有する、請求項6の方法。
【請求項13】
溶剤が、更に、C2n+2(nは3〜12である)の構造式を有するn−アルカン溶剤を含む、請求項6の方法。
【請求項14】
水性アルカリ性溶液が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む、請求項1の方法。
【請求項15】
液浸リソグラフィで像形成されるフォトレジスト用のバリヤコート液であって、アルキルアルコールもしくはカルボキシレート溶剤と、イオン化可能な基を含むポリマーとを含んでなり、そして前記イオン化可能な基のpKaが約−9〜約11の範囲である、前記バリヤコート液。
【請求項16】
前記ポリマーが、次の構造式
【化2】

[式中、Rはポリマー性主鎖であり、Wはスペーサー基であり、ZHはイオン化可能な基であり、そしてtは0〜5である]
を有する、請求項15の組成物。
【請求項17】
Rが、多環式ポリマー性主鎖、単環式主鎖、線状脂肪族主鎖、分枝状脂肪族主鎖、芳香族主鎖、フッ素化アルキル主鎖、及びこれらの混合物から選択される、請求項16の組成物。
【請求項18】
ZHが、−C(C2n+1OH(n=1〜8)、−PhOH、(SONH、(SOCH、(CO)NH、SOH、POH及びCOHから選択される、請求項16の組成物。
【請求項19】
溶剤が、HOC2n+1(nは3〜7である)の構造を有するアルキルアルコールから選択される、請求項15の組成物。
【請求項20】
溶剤が、更に、C2n+2(nは3〜7である)の構造を有するn−アルカン溶剤を含む、請求項15の組成物。
【請求項21】
更に、光活性化合物を含む、請求項15の組成物。
【請求項22】
次の段階、すなわち
a)基材上にフォトレジストの塗膜を形成する段階、
b)上記フォトレジスト上に、バリヤコート液からバリヤコートを形成する段階、
c)上記フォトレジスト及びバリヤコートをガス環境中で像様露光する段階、及び
d)各塗膜を水性アルカリ性溶液で現像する段階、
を含み、更に前記バリヤコート液が、酸性フルオロアルコール基を有する少なくとも一種の単位を含むポリマーと、溶剤組成物とを含んでなるものである、環境からの塩基汚染を防ぐための深紫外線フォトレジストの像形成方法。
【請求項23】
前記ポリマーが、9未満のpKaを有する、請求項22の方法。
【請求項24】
前記バリヤコート液が、更に、光活性化合物を含む、請求項22の方法。
【請求項25】
露光段階が空気中で行われる、請求項22の方法。
【請求項26】
露光が193nmまたは157nmで行われる、請求項22の方法。
【請求項27】
水性アルカリ性溶液がテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む、請求項22の方法。
【請求項28】
溶剤が、アルコール、アルカン及びカルボキシレートから選択される、請求項22の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−145695(P2011−145695A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−50965(P2011−50965)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【分割の表示】特願2007−502433(P2007−502433)の分割
【原出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(305010827)エイゼット・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・コーポレイション (81)
【Fターム(参考)】