説明

トナー微粒子の製造方法および機械式粉砕機

【課題】粉砕機の粉砕面の耐磨耗性を向上させ、長時間に渡って安定的に所望の粒度分布が得られるトナー微粒子の製造方法を提供することにある。
【解決手段】結着樹脂および着色剤を含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、粗粉砕し、粗粉砕物からなる粉体原料を粉砕手段によって粉砕する工程を有する重量平均粒子径が3乃至11μmのトナー微粒子の製造方法において、
該粉砕手段は、回転体である回転子314と、該回転子表面と一定間隔を保持して配置されている固定子310とを少なくとも具備し、且つ間隔を保持することによって形成される機械式粉砕機であり、
該回転子および/または固定子の表面が、炭化クロムを含有するクロム合金めっきでコーティングされた後に、機械的表面処理を施こすことによって、該回転子および/または固定子の表面硬さA(ビッカース硬さ)がHV1300<A≦HV1800であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、またはトナージェット方式記録法の如き画像形成方法に用いられるトナー微粒子の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法の如き画像形成方法においては、静電荷像を現像するためのトナーが使用される。トナーの製造法としては粉砕法および重合法に大別され、簡便かつポピュラーな製造方法としては粉砕法が挙げられる。その一般的な製造方法としては、転写材に定着させるための結着樹脂、トナーとしての色味を出させる着色剤が使用され、必要に応じて粒子に電荷を付与させるための荷電制御剤、トナー自身に搬送性などを付与するための磁性材料や、離型剤、流動性付与剤などの添加剤を加えて混合し、溶融混練し、冷却固化した後、混練物を粉砕手段により微細化し、必要に応じて所望の粒度分布に分級したり、更に流動化剤などを添加したりして、画像形成に供するトナーとしている。また、二成分現像方法に用いるトナーの場合には、各種磁性キャリアと上記トナーとを混合した後、画像形成に供する。
【0003】
粉砕手段としては各種粉砕装置が用いられるが、図1に示す如きジェット気流を用いたジェット気流式粉砕機、特に衝突式気流粉砕機が用いられることが多い。衝突式気流粉砕機は、ジェット気流の如き高圧気体で粉体原料を搬送し、加速管の出口より噴射し、加速管の出口の開口面に対向して設けた衝突部材の衝突面に衝突させて、その衝撃力により粉体原料を粉砕する。
【0004】
図1に示す衝突式気流粉砕機では、高圧気体供給ノズル161を接続した加速管162の出口163に対向して衝突部材164を設け、加速管162に供給した高圧気体により、加速管162の中途に連通させた粉砕原料供給口165から加速管162内に粉砕原料を吸引し、粉砕原料を高圧気体とともに噴出して衝突部材164の衝突面166に衝突させ、その衝突によって粉砕し、粉砕物を粉砕物排出口167より排出させている。
【0005】
しかしながら、上記の衝突式気流粉砕機では、小粒径のトナーを生産するためには多量のエアー(圧縮空気)を必要とする。そのため電力消費が極めて多く、エネルギーコストという面においては改善の余地がある。特に近年、環境問題への対応から装置の省エネルギー化が求められている。
【0006】
これに対し、エネルギー的にジェット気流式粉砕機より効率的な粉砕装置として、図2に示す機械式粉砕装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この機械式粉砕機は、高速回転する回転子と、回転子の周囲に配置されている固定子との間に形成された環状空間に粉体原料を導入することにより粉砕する。機械式粉砕機によれば、圧縮空気を必要としないため、ジェット気流式粉砕機より格段に省エネルギーで微粉砕でき、しかも過粉砕されることが少ないため微粉の発生が少なく、収率を向上させることが可能となる。
【0007】
これらの粉砕機によって粉砕されたトナー粒子の形状に着目すると、ジェット気流式粉砕機で粉砕されたトナー粒子は不定形で角張った形状であり、機械式粉砕機で粉砕されたトナー粒子は角が取れ、丸みを有する形状であることが知られている。これは粉砕プロセスの相違によるものと考えられる。即ち、ジェット気流を利用した粉砕法では、大部分の粉砕は、粒子同士の衝突もしくは衝突部材との衝突によって行われるが、機械式粉砕機においては、大部分の粉砕は高速回転する回転子および固定子の壁面に粒子が衝突して行われるためである。また、機械式粉砕においては、少なからず粉砕によって発熱が生じ、熱球形化による効果もあって、粉砕されたトナー粒子の形状は丸みを帯びるとも考えられる。
【0008】
このため機械式粉砕機で粉砕されたトナー粒子は、ジェット気流式粉砕機で粉砕されたトナー粒子より比表面積が小さくなるため、流動性が良好になる。また容器に充填した際の空隙が小さくなるため、充填量が多くなりに優れ、更に外添剤の添加量が少量で済むというメリットがある。また、外添剤がスペーサーとして有効に機能するため、転写性に優れるなど品質面のメリットも挙げられる。すなわち、機械式粉砕機によれば、優れた品質のトナーを省エネルギーかつ高収率で生産することができる。
【0009】
しかし、高速回転式微粉砕機の如き機械式粉砕機は、使用し続けるうちに粉砕機の粉砕面、すなわち回転子の外周面や固定子の内周面が摩耗し、粉砕能力が低下したり、粉砕物の品質が変化したり、摩耗物の混入により信頼性が低下するという問題が生じていた。
【0010】
一方、トナー中に含有される結着樹脂としてはスチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられるが、低温定着性の観点からポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。しかしポリエステル樹脂は、トナー製造時の粉砕性に劣り、所望の粒度分布を得るためには粉砕機の回転数をあげたり、処理量を落としたりしなくてはならないという問題点があった。
【0011】
また、着色剤として磁性粒子を有する磁性トナーは、その濃度安定性、および現像装置の小型化などの利便性から一成分現像剤として用いられる。しかし、磁性トナーを機械式粉砕機で粉砕すると、磁性体を含有しないトナーと比較して格段に早く粉砕面の表面が摩耗する。この摩耗に伴い、粒子形状が不均一になりやすく、安定生産が困難となり、回転子および固定子の寿命が短いために交換頻度が増え、製品のコストアップとなっていた。
【0012】
そこで回転子および固定子の表面の耐摩耗性を向上させるために、母材を焼入れしたり、浸炭処理、窒化処理したりすることが行われている。しかし、この方法では、表面硬さは高くなるものの、硬化層が薄く、また高温での処理を要するために歪みやクラックが生じてしまう場合があり、特に磁性トナーを長時間粉砕する際の耐摩耗性としては不十分なものであった。
【0013】
また、回転子および固定子の母材表面をチタン系材料でライニング処理して耐摩耗性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では確かに表面硬さが高いという利点があるものの、ライニング処理時に母材表面と表面処理材料との間に空隙が生じやすく、剥離・クラックが生じやすいという問題があり、また表面処理材料がコスト高という問題もあった。
【0014】
さらに、回転子および固定子の母材表面にセラミックス材料を溶射被膜することも行われているが、被膜層が剥離しやすく、耐摩耗性として不十分であった。
【0015】
これに対し、回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有するクロム合金のめっきをコーティングして耐磨耗性を向上させる方法(例えば、特許文献3)が提案されている。この方法では、粉砕面の耐磨耗性が向上し、回転子および固定子の交換頻度も減少するが、長時間のロングランを行う場合、めっき表面の微小なクラックに起因する局所的な剥離が生じ、長時間におよぶ安定生産は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特公平3−15489号公報
【特許文献2】特開平11−221480号公報
【特許文献3】特開2003−173046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、上記問題点を解消して、粉砕機の粉砕面の耐磨耗性を向上させ、長時間に渡って安定的に所望の粒度分布が得られるトナー微粒子の製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、結着樹脂および着色剤を少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物からなる粉体原料を粉砕手段によって粉砕する工程を少なくとも有する重量平均粒子径が3乃至11μmのトナー微粒子の製造方法において、
該粉砕手段は、中心回転軸に取り付けられた回転体である回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている固定子とを少なくとも具備し、且つ間隔を保持することによって形成される機械式粉砕機であり、
該回転子および/または固定子の表面が、少なくとも炭化クロムを含有するクロム合金めっきでコーティングされた後に、機械的表面処理を施こすことによって、該回転子および/または固定子の表面硬さA(ビッカース硬さ)がHV1300<A≦HV1800であることを特徴とするトナー微粒子の製造方法および製造装置に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、機械式粉砕機を用いてトナー微粒子を製造する方法/装置において、該機械式粉砕機内の該回転子および/または固定子の表面を、少なくとも炭化クロムを含有するクロム合金めっきでコーティングした後に、機械的表面処理を施こして、該回転子および/または固定子の表面硬さA(ビッカース硬さ)をHV1300<A≦HV1800にすることによって、回転子および/または固定子の寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の衝突式気流粉砕機の概略的断面図である。
【図2】本発明のトナー微粒子の粉砕工程において使用される一例の機械式粉砕機の概略断面図である。
【図3】図2におけるD−D’面での概略的断面図である。
【図4】図2に示す回転子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、本発明に用いる機械式粉砕機による粉砕方法の概略を、図2〜図4を用いて説明する。
【0022】
図2は、本発明に使用する機械式粉砕機を組込んだ粉砕システムの一例を示し、図3は図2におけるD−D’面での概略的断面図を示し、図4は図2において高速回転する回転子の斜視図を示す。
【0023】
図2では、横型の一般的な機械式粉砕装置の概略断面図を示しているが、縦型であっても構わない。ケーシング313、ケーシング313内にあって冷却水を通水できるジャケット316、ケーシング313内にあって中心回転軸312に取り付けられた回転体からなる高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314、回転子314の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられている固定子310、更に、被処理原料を導入する為の原料投入口311、処理後の粉体を排出する為の原料排出口302とから構成されている。
【0024】
以上のように構成してなる機械式粉砕機では、図2に示した定量供給機315から機械式粉砕機の原料投入口311へ所定量の粉体原料が投入されると、原料は粉砕処理室内に導入される。該粉砕処理室内で高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314と、表面に多数の溝が設けられている固定子310との間に発生する衝撃と、この背後に生じる多数の超高速渦流、並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって瞬間的に粉砕される。その後、原料排出口302を通り、排出される。粒子を搬送しているエアー(空気)は粉砕処理室を経由し、原料排出口302、パイプ219、補集サイクロン229、バグフィルター222、および吸引ブロワー224を通って装置システムの系外に排出される。本発明においては、この様にして、粉体原料の粉砕が行われる為、微粉および粗粉を増やすことなく所望の粉砕処理を容易に行うことができる。
【0025】
このような機械式粉砕機としては、イノマイザー(ホソカワミクロン社製)、クリプトリン(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボミル(ターボ工業社製)、トルネードミル(日機装社製)などを挙げることができる。これらをそのまま、あるいは適宜改造して用いることができる。
【0026】
粉砕法によるトナーの製造方法においては、粒径2mm程度にする粗粉砕工程と、所望の粒径にする微粉砕工程との間に中粉砕工程を入れても良く、本発明の粉砕プロセスはこの中粉砕工程であってもいいし、微粉砕工程であっても良い。また本発明の粉砕プロセスを直列または並列に2段以上連結して粉砕しても良い。しかしながら、本発明の効果を最大限発揮できるのは、トナー粗砕物から1パスで直接微粒径化するプロセスである。
【0027】
本発明は、結着樹脂および着色剤を少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物からなる粉体原料を粉砕手段によって粉砕する工程を少なくとも有する重量平均粒子径が3乃至11μmのトナー微粒子の製造方法において、
該粉砕手段は、中心回転軸に取り付けられた回転体である回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている固定子とを少なくとも具備し、且つ間隔を保持することによって形成される機械式粉砕機であり、
該回転子および/または固定子の表面が、少なくとも炭化クロムを含有するクロム合金めっきでコーティングされた後に、機械的表面処理を施こすことによって、該回転子および/または固定子の表面硬さA(ビッカース硬さ)がHV1300<A≦HV1800であることを特徴とするトナー微粒子の製造方法および製造装置である。
【0028】
機械式粉砕機内の回転子や固定子の母材には、S45Cなどの炭素鋼やSCM材などのクロムモリブデン鋼などが用いられることが多い。これらの母材表面をクロム合金でコーティングした後に機械的表面処理を施すことにより、粉砕面の表面硬さ、耐摩耗性が高くなり、長寿命の回転子や固定子が得られるため、長時間のロングランが可能となる。
【0029】
本発明において、炭化クロムを含有するクロム合金の母材表面へのコーティングは、めっきにより処理し、表面を均一かつ滑らかに仕上げ、摩擦係数を小さくして耐摩耗性を向上させることが可能となる。めっき処理した後、回転子や固定子の表面粗さを整えるために、バフ研磨の如き研磨処理やショットブラストの如きブラスト処理を施しても良い。
【0030】
しかし、めっきによる表面処理ではその処理表面に微小クラックが発生することがある。この微小クラックが原因となり、磁性トナーの如き硬い粉体原料を粉砕、特にトナー粗砕物から1パスで微粒径化するような微粉砕を続けるうちに、従来の耐摩耗処理を施したものよりは程度は軽いが、粉砕面の摩耗または局所的な剥離が発生する可能性は完全には否定できない。
【0031】
本発明においては、このような事態に対応し、長寿命の回転子や固定子を得るために、めっき処理した後の粉砕面に機械的表面処理としてショットピーニング加工を用いることで、処理表面の微小クラックをなくし、粉砕面の表面硬さ、耐磨耗性を更に向上させた。
【0032】
ここでショットピーニング加工とは、例えば圧縮空気または遠心力で鉄鋼などの粒子を金型の表面に噴射する加工法で、金型に施された表面処理の微小クラックをなくすことができるものである。本発明においては、好ましくはセラミック粒子の噴射によって行われる。また、表面に生成した微小クラックは、噴射圧力(ショット圧力)が高く、時間が長くなると塑性変形を受けて減少する傾向を示すことが知られている。
【0033】
また、表面硬さ、耐磨耗性の更なる向上のためには、ショットピーニング加工前に焼入れを行い、めっき層を硬質化し、密着性を向上させることが好ましい。
【0034】
本発明では、上記の方法でショット圧力と時間を変化させ、めっき後の処理表面の微小クラックをなくすことにより、回転子および固定子の表面硬さAをHV1800まで向上させることができた。
【0035】
前記回転子および/または固定子の表面のビッカース硬さAはHV1300<A≦HV1800であることが好ましい。
【0036】
前記回転子および/または固定子の表面のビッカース硬さAがHV1300<A≦HV1800の範囲であることにより、粉砕面の摩耗量を少なくすることができ、回転子や固定子の交換頻度を少なくし、長時間に渡り装置をロングランすることができる。
【0037】
前記回転子および/または固定子の表面のビッカース硬さAがHV1300以下であると、長時間に渡るロングランを行う場合には、粉砕面の磨耗が進み、所望の粒径を得ることができなくなるため、回転子や固定子の交換を余儀なくされる。
【0038】
上述のような、該回転子および/または固定子の表面が、少なくとも炭化クロムを含有するクロム合金めっきでコーティングされた後に、機械的表面処理を施こすことによって、該回転子および/または固定子の表面硬さA(ビッカース硬さ)がHV1300<A≦HV1800である回転子および/または固定子を有する機械式粉砕機によって粉砕すると、回転子および/または固定子の粉砕面の摩耗を極度に少なくしその寿命を長くすることができる。その上、所望の粒径に粉砕するにも表面が硬いため回転子の回転を低周速にして粉砕することができるので粉砕負荷が低下し、その分粉砕処理能力を向上させることができる。
【0039】
また、低周速で所望の粒径に粉砕できるため過粉砕による微粉・超微粉の発生量が少なく、粉砕されて得られた粉砕物の粒度分布は非常にシャープなものとなり、所望の粒度分布のトナー粒子が非常に高い収率で得られる。
【0040】
更に、低周速で所望の粒径に粉砕できるため粉砕時の発熱量が少なくなり、粉砕機内における融着や粗粒の発生、トナー微粒子の熱変性を抑制し、機械的に丸みを帯びた形状を有するトナー粒子を形状分布がばらつくことなく製造することができる。
【0041】
このような粉砕能力の向上は、粉砕する粉体原料が硬いほど顕著に効果が現れ、特に結着樹脂100質量部に対し磁性体40〜200質量部を含有するような磁性トナーにおいて顕著である。
【0042】
以上に述べたように、該回転子および/または固定子の表面が、少なくとも炭化クロムを含有するクロム合金めっきでコーティングされた後に、機械的処理を施こすことによって、該回転子および/または固定子の表面硬さA(ビッカース硬さ)がHV1300<A≦HV1800である回転子および/または固定子を有する機械式粉砕機で粉体原料を粉砕すると、従来得られなかったような高い粉砕処理能力で、長時間に渡って所望の粒度分布を得ることができる。
【0043】
次に、本発明の製造方法および製造装置で、トナー微粒子を製造する手順について説明する。
【0044】
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
【0045】
更に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤等を分散させる。該溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
【0046】
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕される。更に、イノマイザー(ホソカワミクロン社製)、クリプトロン(川崎重工社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボミル(ターボ工業社製)等の機械式粉砕機で微粉砕される。粉砕工程では、このように段階的に所定のトナー粒度まで粉砕される。
【0047】
次に、本発明で使用する結着樹脂及び着色剤を少なくとも含むトナー微粒子の原材料について説明する。
【0048】
本発明で用いられる「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を意味する。ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分を意味する。
【0049】
本発明で用いられる結着樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、又はハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、又はハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、又はポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体、又はポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、のいずれかから選択される樹脂が好ましい。
【0050】
ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニット成分と(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものである。好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
【0051】
ポリエステルユニット成分である2価以上のアルコールモノマー成分として、具体的には、2価アルコールモノマー成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0052】
3価以上のアルコールモノマー成分としては、例えばソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0053】
2価のカルボン酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0054】
3価以上のカルボン酸モノマー成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸等が挙げられる。
【0055】
また、その他のモノマーとしては、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0056】
それらの中でも、特に、下記一般式(イ)で表されるビスフェノール誘導体を2価アルコールモノマー成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、または、その低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸モノマー成分として、これらのポリエステルユニット成分で縮重合した樹脂が良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0057】
【化1】

【0058】
尚、本発明のトナー微粒子に含有される結着樹脂は、少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であればよい。好ましくは、全結着樹脂中に含まれるポリエステルユニット成分が、全結着樹脂に対して30質量%以上であることが、本発明の効果を発現させるために好ましい。更に好ましくは40質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。
【0059】
ハイブリッド樹脂に用いられるビニル系重合体ユニット又はビニル系重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0060】
更に、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0061】
更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0062】
ハイブリッド樹脂で用いられるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0063】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0064】
本発明で用いられるハイブリッド樹脂は、ビニル系重合体又はユニット及び/又はポリエステル樹脂又はユニット中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂又はユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体又はユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体又はユニットを構成するモノマーのうちポリエステル樹脂又はユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0065】
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含む重合体又は樹脂が存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の重合体又は樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0066】
本発明のビニル系重合体、又はビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
【0067】
本発明で用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0068】
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、熱することによりエステル交換反応を行って合成されたポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を得ることが出来る。
【0069】
(2)ビニル系重合体製造後に、この存在下にポリエステル樹脂を生成し反応させ、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステル樹脂との反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0070】
(3)ポリエステル樹脂製造後に、この存在下にビニル系重合体を生成し、反応させポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステル樹脂(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体との反応により製造される。
【0071】
(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0072】
(5)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体及/又はポリエステル樹脂、又は更にハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合、該ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分は上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0073】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0074】
上記(1)〜(6)の製造方法において、ビニル系共重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0075】
本発明において、ビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル系単重合体若しくはビニル系共重合体又はビニル系単重合体ユニット又はビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
【0076】
本発明のトナー微粒子を磁性トナーとして用いる場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、通常使用されている磁性体であれば特に限定されないが、例えばマグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、および他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、または、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0077】
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe512)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe24)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe24)、酸化鉄ニオジム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性材料を単独でまたは二種以上組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄またはγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0078】
更に、これらの磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、60〜200質量部、更に好ましくは80〜150質量部含有させることが好ましい。
【0079】
前述したように本発明のトナー微粒子では磁性体を着色剤として用いても良いが、その他の着色剤として非磁性の着色剤等も用いることができる。このような非磁性の着色剤としては、任意の適当な顔料または染料が挙げられる。例えば顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、べンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは結着樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部の添加量が良い。また、同様に染料が用いられ、結着樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
【0080】
本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤として、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い、黒色に調色されたものが利用される。
【0081】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、168、174、176、180、181、191等が好適に用いられる。
【0082】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクドリン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0083】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用できる。
【0084】
以下に本発明で用いた測定方法を示す。
【0085】
・ビッカース硬度の測定
本発明におけるビッカース硬さは、例えば島津製作所、ダイナミック微小硬度計DVH−200を用いて測定することができ、荷重0.4903Nを30秒間保持する条件で測定することが好ましい。
【0086】
・粒度分布の測定
粒度分布の測定は種々の方法によって測定できるが、本発明においては、トナー微粒子の重量平均粒径および粒度分布はコールターマルチサイザー(ベックマン・コールター社製)を用いた。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナー微粒子の体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出し、重量平均粒径(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
【0087】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0088】
・結着樹脂のGPC測定による分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0089】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05乃至0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50乃至200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0090】
カラムとしては、103乃至2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良くい。例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせを挙げることができる。
【実施例】
【0091】
次に、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0092】
(粉体原料製造例)
・ハイブリッド樹脂: 100質量部
[スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、α−メチルスチレン、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、コハク酸、無水トリメリット酸、フマル酸からなるハイブリッド樹脂:重量平均分子量(Mw)81300、数平均分子量(Mn)3000、ピーク分子量(Mp)15400]
・パラフィンワックス: 5質量部
・荷電制御剤(1,4−ジ−t−ブチルサリチル酸アルムニウム化合物): 1質量部
・球形磁性酸化鉄: 90質量部
上記の処方の材料をミキサーで混合した後、温度を130℃に設定した2軸混練機(PCM−87型、(株)池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて2mm以下に粗粉砕し、トナー製造用粉体原料である粉体原料(粗粉砕物)Eを得た。
【0093】
さらに、得られた粉体原料Eを、機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250−RS型)で微粉砕した。
【0094】
本実施例で用いた機械式粉砕機は、回転子および固定子の表面に硬質炭化クロム合金めっきをコーティングし、焼入れした後に、ショットピーニング加工の条件を変化させることで、表面硬さを変化させた。
【0095】
また、本実施例では回転子と固定子の最小間隙を0.8mmに設定し、機械式粉砕機に導入する空気の温度を−15℃、粉砕供給量は30kg/hrに設定し、ジャケット冷却水を通水しながら粉体原料Eを微粉砕した。この条件下で1200時間運転し、50時間毎に粒度分布を測定した。表1に、目標重量平均粒径5.5μm以上5.9μm以下が得られる運転時間、1200時間後の粒度分布、回転子の先端周速、粉砕負荷電流をまとめた。
【0096】
運転時間に対しては、下記の基準で判断し、表1にまとめた。
A:1000hr以上、目標平均粒径が得られる。
B:1000hr未満、500hr以上目標平均粒径が得られる。
C:500hr未満、目標平均粒径が得られる。
【0097】
<磨耗に対する評価(1)>
粉砕機運転終了後、粉砕機内の回転子、固定子の磨耗について目視で確認し、下記の基準で判断した。その結果を表1にまとめた。
A:機内回転子、固定子に磨耗なし
B:機内回転子、固定子に磨耗が軽微見られるが実用可
C:機内回転子、固定子に磨耗が顕著に見られ、実用不可
【0098】
<磨耗に対する評価(2)>
磨耗についての評価は1200時間後の重量平均粒径(D4)によっても行い、下記の基準で判断し、その結果を表1にまとめた。
A:1200時間後の重要平均粒径(D4)が、5.5μm≦D4≦5.9μm
B:1200時間後の重要平均粒径(D4)が、5.9μm<D4<6.4μm
C:1200時間後の重要平均粒径(D4)が、6.4μm≦D4
【0099】
[実施例1]
本実施例ではショットピーニング加工の条件を圧力0.5MPa、30秒に設定し、回転子および固定子の表面硬さをHV1750とし、上記の条件で粉体原料Eを微粉砕した。
【0100】
この結果、目標重量平均粒径5.5μm以上5.9μm以下が得られる運転時間は1200hrであり、回転子の先端周速は145m/s、粉砕負荷電流は28Aであった。また、1200hr後に得られた微粉砕品(トナー微粒子)は重量平均粒径が5.7μmであり、粒径4.0μm以下の粒子を55.6個数%、粒径10.1μm以上の粒子を0.4体積%含有する粒度分布を有していた。
【0101】
さらに、1200時間微粉砕した後に粉砕機内部を点検したところ、回転子、固定子に磨耗は見られなかったため、上記の方法で回転子および固定子の表面硬さをHV1750とすることで、長時間に渡るロングランが可能であるものと判断した。
【0102】
[実施例2]
ショットピーニング加工の条件を、圧力を0.2MPa、30秒にし、表面硬さをHV1500にしたこと以外は実施例1と同様にして粉体原料Eを微粉砕した。
【0103】
この結果、目標重量平均粒径5.5μm以上5.9μm以下が得られる運転時間は1200hrであり、回転子の先端周速は150m/s、粉砕負荷電流は33Aであった。また、1200時間後に得られた微粉砕品(トナー微粒子)は重量平均粒径が5.8μmであり、粒径4.0μm以下の粒子を54.1個数%、粒径10.1μm以上の粒子を0.5体積%含有する粒度分布を有していた。
【0104】
さらに、1200時間微粉砕した後に粉砕機内部を点検したところ、回転子、固定子に磨耗は見られなかったため、上記の方法で回転子および固定子の表面硬さをHV1500とすることで、長時間に渡るロングランが可能であるものと判断した。
【0105】
[実施例3]
ショットピーニング加工の条件を、圧力を0.5MPa、15秒にし、表面硬さをHV1310にしたこと以外は実施例1と同様にして粉体原料Eを微粉砕した。
【0106】
この結果、目標重量平均粒径5.5μm以上5.9μm以下が得られる運転時間は1200hrであり、回転子の先端周速は155m/s、粉砕負荷電流は36Aであった。また、1200hr後に得られた微粉砕品(トナー微粒子)は重量平均粒径が5.9μmであり、粒径4.0μm以下の粒子を52.0個数%、粒径10.1μm以上の粒子を0.7体積%含有する粒度分布を有していた。
【0107】
さらに、1200時間微粉砕した後に粉砕機内部を点検したところ、回転子、固定子に磨耗は見られなかったため、上記の方法で回転子および固定子の表面硬さをHV1310とすることで、長時間に渡るロングランが可能であるものと判断した。
【0108】
[実施例4]
回転子および固定子の表面に硬質炭化クロム合金めっきをコーティングし、焼入れした後に、実施例1の条件にて回転子のみにショットピーニング加工を施し、回転子の表面硬さをHV1750にしたこと以外は実施例1と同様にして粉体原料Eを微粉砕した。
【0109】
この結果、目標重量平均粒径5.5μm以上5.9μm以下が得られる運転時間は1200hrであり、回転子の先端周速は150m/s、粉砕負荷電流は35Aであった。また、1200hr後に得られた微粉砕品(トナー微粒子)は重量平均粒径が5.8μmであり、粒径4.0μm以下の粒子を53.5個数%、粒径10.1μm以上の粒子を0.6体積%含有する粒度分布を有していた。
【0110】
さらに、1200時間微粉砕した後に粉砕機内部を点検したところ、回転子に磨耗は見られず、固定子に軽微な磨耗が認められた。これにより、本実施例の方法で回転子のみを表面硬さをHV1750とした方法でも、長時間に渡るロングランが可能であると判断した。
【0111】
[実施例5]
回転子および固定子の表面に硬質炭化クロム合金めっきをコーティングし、焼入れした後に、実施例1の条件にて固定子のみにショットピーニング加工を施し、固定子の表面硬さをHV1750にしたこと以外は実施例1と同様にして粉体原料Eを微粉砕した。
【0112】
この結果、目標重量平均粒径5.5μm以上5.9μm以下が得られる運転時間は1200hrであり、回転子の先端周速は150m/s、粉砕負荷電流は35Aであった。また、1200hr後に得られた微粉砕品(トナー微粒子)は重量平均粒径が5.8μmであり、粒径4.0μm以下の粒子を53.8個数%、粒径10.1μm以上の粒子を0.6体積%含有する粒度分布を有していた。
【0113】
さらに、1200時間微粉砕した後に粉砕機内部を点検したところ、固定子に磨耗は見られず、回転子に軽微な磨耗が認められた。これにより、本実施例の方法で固定子のみを表面硬さをHV1750とした方法でも、長時間に渡るロングランが可能であると判断した。
【0114】
[参考例1]
機械式粉砕機の回転子および固定子の表面に硬質炭化クロム合金めっきをコーティングし、表面硬さをHV1050にした後に、焼入れとショットピーニング加工を施こさなかった以外は実施例1と同様にして粉体原料Eを微粉砕した。この結果、目標重量平均粒径5.5μm以上5.9μm以下が得られる運転時間は950hr、回転子の先端周速は145m/s、粉砕負荷電流は38Aであった。また、1200hr後に得られた微粉砕品(トナー微粒子)は重量平均粒径が6.1μmであり、粒径4.0μm以下の粒子を53.3個数%、粒径10.1μm以上の粒子を2.0体積%含有する粒度分布を有していた。
【0115】
さらに、運転後粉砕機内部を点検したところ、回転子、固定子に軽微な磨耗が認められた。これにより、本参考例の方法で表面硬さをHV1050とした方法では、長時間に渡るロングランが、実施例1〜5よりは劣るが、可能であると判断した。
【0116】
[比較例1]
機械式粉砕機の回転子および固定子として、その表面をセラミックスで溶射被膜したものを用い、表面硬さをHV1320としたこと以外は実施例1と同様にして粉体原料Eを微粉砕した。この結果、目標重量平均粒径5.5μm以上5.9μm以下が得られる運転時間は500hr、回転子の先端周速は150m/s、粉砕負荷電流は35Aであった。また、1200hr後に得られた微粉砕品(トナー微粒子)は重量平均粒径が6.9μmであり、粒径4.0μm以下の粒子を52.5個数%、粒径10.1μm以上の粒子を7.0体積%含有する粒度分布を有していた。
【0117】
さらに、運転後粉砕機内部を点検したところ、回転子、固定子に磨耗が認められ、長時間に渡るロングランは不可能であると判断した。
【0118】
[比較例2]
機械式粉砕機の回転子および固定子の表面に何も耐磨耗処理を施さなかった(表面硬さHV250)以外は実施例1と同様にして粉体原料Eを微粉砕した。この結果、目標重量平均粒径5.5μm以上5.9μm以下が得られる運転時間は300hr、回転子の先端周速は155m/s、粉砕負荷電流は40Aであった。また、1200hr後に得られた微粉砕品(トナー微粒子)は重量平均粒径が7.0μmであり、粒径4.0μm以下の粒子を63.5個数%、粒径10.1μm以上の粒子を11.0体積%含有する粒度分布を有していた。
【0119】
さらに、運転後粉砕機内部を点検したところ、回転子、固定子に磨耗が認められ、長時間に渡るロングランは不可能であると判断した。
【0120】
【表1】

【符号の説明】
【0121】
212:渦巻室、219:パイプ、220:デイストリビュータ、222:バグフィルター、224:吸引ブロワー、229:捕集サイクロン、301:機械式粉砕機、302:粉体排出口、310:固定子、311:粉体投入口、312:回転軸、313:ケーシング、314:回転子、315:第1定量供給機、316:ジャケット、317:冷却水供給口、318:冷却水排出口、320:後室、321,329:固定子凸部の波形形状、322,330:固定子凹部底部の平坦面、323,331:固定子凹部の台形形状、324:回転子凹凸部の波形形状、325:固定子凹凸部の波形形状、326,332:回転子凹部の台形形状、327,333:回転子凹部底部の平坦面、328,334:回転子凸部の波形形状、335,337,339:固定子の凹凸部の波形形状、336,338,340:回転子の凹凸部の波形形状、337:回転子の第1斜面、338:回転子の第2斜面、339:固定子の第1斜面、340:固定子の第2斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂および着色剤を少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物からなる粉体原料を粉砕手段によって粉砕する工程を少なくとも有する重量平均粒子径が3乃至11μmのトナー微粒子の製造方法において、
該粉砕手段は、中心回転軸に取り付けられた回転体である回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている固定子とを少なくとも具備し、且つ間隔を保持することによって形成される機械式粉砕機であり、
該回転子および/または固定子の表面が、少なくとも炭化クロムを含有するクロム合金めっきでコーティングされた後に、機械的表面処理を施こすことによって、該回転子および/または固定子の表面硬さA(ビッカース硬さ)がHV1300<A≦HV1800であることを特徴とするトナー微粒子の製造方法。
【請求項2】
該トナー微粒子に使用される結着樹脂は、少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のトナー微粒子の製造方法。
【請求項3】
該トナー微粒子に使用される着色剤は、少なくとも磁性材料を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー微粒子の製造方法。
【請求項4】
結着樹脂および着色剤を少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物からなる粉体原料を粉砕手段によって粉砕する工程に用いられる装置を少なくとも有する重量平均粒子径が3乃至11μmのトナー微粒子を製造する装置において、
該粉砕手段は、中心回転軸に取り付けられた回転体である回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている固定子とを少なくとも具備し、且つ間隔を保持することによって形成される機械式粉砕機であり、
該回転子および/または固定子の表面が、少なくとも炭化クロムを含有するクロム合金めっきでコーティングされた後に、機械的表面処理を施こすことによって、該回転子および/または固定子の表面硬さA(ビッカース硬さ)がHV1300<A≦HV1800であることを特徴とするトナー微粒子の製造装置。
【請求項5】
該トナー微粒子に使用される結着樹脂は、少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のトナー微粒子の製造装置。
【請求項6】
該トナー微粒子に使用される着色剤は、少なくとも磁性材料を有することを特徴とする請求項4又は5に記載のトナー微粒子の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−237816(P2011−237816A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148753(P2011−148753)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【分割の表示】特願2005−377073(P2005−377073)の分割
【原出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】