説明

トナー担持体、現像装置及び画像形成装置

【課題】ポリカーボネート樹脂を含む表面層の剥離を防止し、長期間安定してトナーのクラウドを安定的に形成し、感光体表面の静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像化可能である現像装置、現像装置に搭載されるトナー担持体、現像装置を搭載する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と前記複数の電極を覆う表面層とを有するトナー担持体であって、前記複数の電極と導電性支持体間の電界が周期的に反転するように電極と導電性支持体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記表面層が構造単位を含む重合体材料を含有するものであり、前記表面層がシクロヘキサノンを含むものであることを特徴とするトナー担持体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー担持体、トナー担持体を備えた現像装置及び、現像装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、電子写真プロセスによる現像装置が用いられている。このような現像装置のうち、静電潜像の形成された感光体に対して、現像剤(トナー)を搬送するトナー担持体を接触させずに現像を行う非接触方式の現像装置が注目されている。非接触方式の例としては、パウダーラウンド法・ジャンピング法、電界カーテンを利用した方法等が知られている。
【0003】
前記ジャンピング現像方式(感光体とトナー担持体との間でトナー粒子をジャンピングさせる方式)は、トナー粒子とトナー担持体との付着力以上の印加電圧が必要となる。
また電界カーテン法は、内部に一定の間隔で並べられた複数の電極を有するトナー担持体の前記電極に交番電界を印加して、該トナー担持体表面に生じる交番不平等電界によって形成される電界カーテンにより、予め帯電させたトナーをホッピングさせ、静電潜像にトナー粒子を供給するものであり、トナー担持体表面でトナー粒子がホッピングするため、トナー粒子とトナー担持体表面との付着力が略零になり、現像のためにトナー粒子をトナー担持体表面から剥離する力が不要であるため、低電圧で十分にトナーを潜像担持体側に搬送することが可能なものである。
特許文献1に開示される前記電界カーテン方式の現像装置は、複数の電極の上に絶縁性材料などからなる表面保護層が被覆された現像剤担持搬送体を用いているので、トナーの電荷が電極にリークせず、トナーの電荷が失われてホッピング不良を引き起こすことがない。
しかし、この現像装置は、表面保護層及び絶縁層が同じ樹脂で形成されるため、表面保護層塗工時に絶縁層が溶解し、絶縁層上に設けられた電極が短絡し易く、また予めトナー粒子を摩擦帯電させるものであり、ホッピングに伴ってするトナー粒子が現像剤担持搬送体と摺擦し帯電するものではい。
【0004】
特許文献2、3には、トナー粒子を、予め摩擦帯電させずに、トナー担持体の表面上に供給し、トナー粒子を交番電界によりホッピングさせてトナー粒子を帯電させるために、現像剤担持搬送体表面をトナーの正規帯電極性側への摩擦帯電を促す材料で形成することが開示されている。
【0005】
しかし、絶縁性材料や前記トナーの正規帯電極性側への摩擦帯電を促す材料で表面層を形成しても、トナー粒子と表面層との帯電が強くなりすぎると、トナー粒子と表面層とに強い静電的な付着力が生じ、この力は担持体内部の電極からの電界をうけてトナーがホッピングしようとする力をも上回るため、トナーは担持体表面に張り付き続け、トナーホッピングは生じなくなってしまい、トナー粒子が充分ポッピングしなければトナー粒子を帯電させることができず、トナークラウドも形成されないため、異常画像が生じる。
また、初期ではトナークラウドが形成され、正常な画像を出力できても、ローラの磨耗による担持体内部の電極からの電界の変化、ローラの表面状態(粗さ等)変化によるトナーが担持体上へ移動する量が変化することによるトナー帯電量の変化や、担持体のトナーとのタック性(担持体の対トナーとの付着力)の変化等、トナー担持体への付着力とホッピングとのバランスが崩れ易く、トナー粒子がトナー担持体に張り付き、担持体内部の電極からの電界をうけても充分ホッピングせず、出力画像濃度が薄くなる等、通紙後は正常な画像を出力することが非常に困難である。
【0006】
本発明者は、トナー担持体の表面層を、ポリカーボネート樹脂を含む材料で形成することにより、良好なトナークラウドを形成できることを見出したが、ポリカーボネート樹脂は、絶縁層及び電極との接着性が低く、使用中に剥離してしまうことで異常画像が発生してしまう問題が生じた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的はポリカーボネート樹脂を含む表面層の剥離を防止し、長期間安定してトナーのクラウドを安定的に形成し、感光体表面の静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像化可能である現像装置、現像装置に搭載されるトナー担持体、現像装置を搭載する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明の(1)「導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と前記複数の電極を覆う表面層とを有するトナー担持体であって、前記複数の電極と導電性支持体間の電界が周期的に反転するように電極と導電性支持体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記表面層が下記一般式(1)で示される構造単位を含む重合体材料を含有するものであり、前記表面層がシクロヘキサノンを含むものであることを特徴とするトナー担持体;
【0009】
【化1】

(一般式(1)において、R、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、RとRで形成する炭素数5〜8の環状炭化水素残基を表し、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基を表わす。また、a、bは1又は2の整数を表わす。)」、
(2)「前記重合体材料は、重合平均分子量が18.000〜80.000のものであることを特徴とする前記第(1)に記載のトナー担持体」、
(3)「前記絶縁層が、さらにアルキッド−メラミン樹脂を含むものであることを特徴とする前記第(1)又は第(2)に記載のトナー担持体」、
(4)「前記表面層は、シクロヘキサノンを0.01wt%〜12wt%含むことを特徴とする前記第(1)乃至第(3)のいずれかに記載のトナー担持体」、
(5)「前記表面層が、シクロヘキサノンの他に、前記重合体材料に対してシクロヘキサノンより良溶媒を含むものであることを特徴とする前記第(1)乃至第(4)のいずれかに記載のトナー担持体」、
(6)「前記表面層が、前記良溶媒に対する前記前記シクロヘキサノンの混合量が3wt%〜50wt%の割合の塗工液を用いて形成されたものであることを特徴とする前記第(5)に記載のトナー担持体」、
(7)「前記表面層が、前記塗工液を塗工後、温度160℃で50分〜120分乾燥されて形成されたものであることを特徴とする前記第(6)に記載のトナー担持体」、
(8)「導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と前記複数の電極を覆う表面層とを有するトナー担持体であって、前記複数の電極と導電性支持体間の電界が周期的に反転するように電極と導電性支持体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記表面層が下記一般式(1)で示される構造単位を含む重合体材料を含有するものであり、前記表面層がシクロペンタノンを含むものであることを特徴とするトナー担持体;
【0010】
【化2】

(一般式(1)において、R、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、RとRで形成する炭素数5〜8の環状炭化水素残基を表し、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基を表わす。また、a、bは1又は2の整数を表わす。)」、
(9)「前記重合体材料は、重合平均分子量が18.000〜80.000のものであることを特徴とする前記第(8)に記載のトナー担持体」、
(10)「前記絶縁層が、さらにアルキッド−メラミン樹脂を含むものであることを特徴とする前記第(8)又は第(9)に記載のトナー担持体」、
(11)「前記表面層は、シクロペンタノンを0.01wt%〜12wt%含むことを特徴とする前記第(8)乃至第(10)のいずれかに記載のトナー担持体」、
(12)「前記表面層が、シクロペンタノンの他に、前記重合体材料に対してシクロペンタノンより良溶媒を含むものであることを特徴とする前記(8)乃至(11)のいずれかに記載のトナー担持体」、
(13)「前記表面層が、前記良溶媒に対する前記シクロペンタノンの混合量が3wt%〜50wt%の割合の塗工液を用いて形成されたものであることを特徴とする前記(12)に記載のトナー担持体」、
(14)「前記表面層が、前記塗工液を塗工後、温度160℃で50分〜120分乾燥されて形成されたものであることを特徴とする第(13)に記載のトナー担持体」、
(15)「前記第(1)乃至第(14)いずれか1に記載のトナー担持体を含むことを特徴とする現像装置」、
(16)「導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と前記複数の電極を覆う表面層とを有し、前記複数の電極と導電性支持体間には電界が周期的に反転するように前記電極と前記導電性支持体に電圧が印加され、該電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するトナー担持体の作製方法であって、前記表面層が下記一般式(1)で示される構造単位を含む重合化合物とシクロヘキサノン及び/又はシクロペンタノンを含む前記表面層を形成する塗工液をスプレー塗工することにより形成されることを特徴とするトナー担持体作製方法」、
【0011】
【化3】

(一般式(1)において、R、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、RとRで形成する炭素数5〜8の環状炭化水素残基を表し、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基を表す。また、a、bは1又は2の整数を表す。)」、
(17)「前記重合体材料は、重合平均分子量が18.000〜80.000のものであることを特徴とする第(16)に記載のトナー担持体作製方法」、
(18)「前記絶縁層が、さらにアルキッド−メラミン樹脂を含むものであることを特徴とする前記第(16)又は第(17)に記載のトナー担持体作製方法」、
(19)「前記表面層は、シクロペンタノンを0.01wt%〜12wt%含むことを特徴とする前記第(16)乃至第(18)のいずれかに記載のトナー担持体作製方法」、
(20)「前記表面層が、シクロペンタノンの他に、前記重合体材料に対してシクロペンタノンより良溶媒を含むものであることを特徴とする前記第(16)乃至第(19)のいずれかに記載のトナー担持体作製方法」、
(21)「前記表面層を形成する塗工液は、該塗工液に含まれる有機溶媒のうちシクロヘキサノン及び/叉はシクロペンタノンの含量が重量濃度において3wt%〜50wt%であることを特徴とする第(16)に記載のトナー担持体作製方法」、
(22)「前記塗工液を塗工後、温度160℃で50分〜120分乾燥して前記表面層を形成する段階を含むことを特徴とする第(16)乃至第(21)のいずれかに記載のトナー担持体作製方法」により達成される。
【発明の効果】
【0012】
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と前記複数の電極を覆う表面層とを有するトナー担持体であって、前記複数の電極と導電性支持体間の電界が周期的に反転するように電極と導電性支持体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記表面層が下記一般式(1)で示される構造単位を含む重合体材料を含有するものであり、前記表面層がシクロヘキサノンを含むことにより前記絶縁層と前記表面層間の接着が十分保たれることで、長期間トナーのクラウドを安定的に形成可能で、異常画像が防止される。
これにより感光体表面の静電潜像にトナーを供給して静電潜像を長期間、現像化可能である現像装置、現像装置に搭載されるトナー担持体、現像装置を搭載する画像形成装置の提供が可能となる。
【0013】
【化4】


(一般式(1)において、R、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、RとRで形成する炭素数5〜8の環状炭化水素残基を表し、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基を表す。また、a、bは1又は2の整数を表す。)、
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】現像装置のトナーのクラウド状態を説明する模式図である。
【図3】トナー担持体の構成を示す図である。
【図4】他のトナー担持体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す図である。図1において、(1)は矢印(A)方向に回転するドラム状の感光体、(2)は感光体(1)の表面を一様に帯電する帯電ローラ、(3)は画像情報に対応するレーザー光等を感光体(1)の表面に照射する露光装置、(4)は感光体(1)の表面に形成された静電潜像にトナーを供給する現像装置である。(5)は感光体(1)の表面に現像装置(3)で形成されたトナー像を転写用紙等の転写材(P)上に転写する転写ローラ、(6)は転写材(P)にトナー像を転写した後に感光体(1)の表面に残存するトナーを感光体(1)の表面から除去するクリーニング装置である。(7)は、転写材(P)上に転写された未定着トナー像を加熱、加圧して転写材(P)上に定着させる定着装置である。
【0016】
この画像形成装置によって転写材(P)上にトナー画像を形成する方法について説明する。矢印(A)方向に回転する感光体(1)の表面を、帯電ローラ(2)によって所定の電圧を印加して一様に帯電させる。このように一様に帯電された感光体(1)の表面に所望の画像情報に対応するレーザー光を露光装置(3)から照射して感光体(1)の表面に静電潜像を形成する。続いてこのようにして形成された静電潜像に対して、現像装置(4)からトナーを供給して静電的に付着させて静電潜像をトナー像化させる。このようにして形成されたトナー像は、転写ローラ(5)によって感光体(1)の表面と転写材(P)を圧接させて矢印(B)方向に転写材(P)を搬送させながらバイアス電圧を印加して感光体(1)の表面から転写材(P)の表面に転写される。その後転写材(P)上に転写されたトナー像は、定着装置(7)の加熱ローラ(7a)及び加圧ローラ(7b)によって加熱加圧されて転写材(P)上に定着される。このようにして転写材P上にトナー像を転写した感光体(1)は、感光体(1)の表面に残存するトナーをクリーニング装置(6)で除去して感光体(1)の表面をクリーニングし、再び、帯電ローラ(2)によって一様に帯電される。以後、前述のように、露光装置(3)によって静電潜像が形成され、現像装置(4)で静電潜像がトナー像化され、転写ローラ(5)で転写材(P)上にトナー像が転写され、クリーニング装置(6)で感光体(1)の表面がクリーニングされる動作が繰り返される。
【0017】
本発明においては、感光体(1)の表面に形成された静電潜像をトナーでトナー像化する現像装置(4)に特徴を有する。本実施形態における現像装置(4)は、図1に示すように、トナー(T)を収納する容器(8)内に、トナーを感光体(1)に開口部(8a)から供給するトナー担持体(9)が回転可能に取り付けられ、図示しない駆動手段によって矢印(C)方向に回転されるようになっている。そして、循環パドル(10)によってトナー(T)を攪拌しながら循環させてトナー(T)を帯電させると共にトナー(T)をトナー担持体(9)の表面に供給する。このようにしてトナー(T)が供給されたトナー担持体(9)は、その表面にトナー(T)を静電力によって保持しながら汲み上げ、トナー担持体(9)と所定間隔を有して容器(8)に取り付けられたブレード状のトナー規制部材(11)によって汲み上げるトナー量が規制されている。トナー担持体(9)は、後述するように、開口部(8a)で交番電界が印加されてトナー(T)のクラウドが形成される。その結果、このクラウドからトナー(T)が静電気的に感光体(1)の表面の静電潜像に供給されてトナー像が形成されるようになっている。なお、図1の符号(12)は、補給トナーを供給するトナー供給口である。
【0018】
トナー担持体(9)について説明する。
図2に示すように、トナー担持体(9)は、下層から導電性支持体、絶縁層、電極パターン、接着層、表面層の順に積層構造となっている。
【0019】
図3はトナー担持体(9)を説明する図である。
トナー担持体(9)は、図3(a)、(b)(なお、図3(a)は図3(b)の上面図におけるA−A’における断面図である。)に示すように、第1の電極と第2の電極とを有し、一方の電極の機能を導電性支持体(91A)に担わせ、導電性支持体(91A)をA相、絶縁層(95)上に形成された複数の線状の電極(91Bb)を有する電極パターン(91B)をB相とし、導電性支持体(91A)と電極(91Bb)との間の電位差によりトナー粒子をホッピングさせトナークラウドを形成するものである。
なお、電極パターン(91B)の形成は、円筒状に成形された支持体(91A)の周面に蒸着での銅薄膜が形成されたものからフォトレジスト法によって所望の形状に加工することにより可能である、形成方法について特に限定はなく、フォトレジスト法を用いたパターニング以外に、例えばインクジェット装置等を用いた描画により形成しても構わない。導電性支持体(91A)としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の優れた材料からなる支持体を用いることができる。また、導電性支持体(91A)の大きさについて特に限定はなく、発明の実施者が適宜選択したものを用いればよい。また、電極(91Bb)の幅(d)、及び電極(91Bb)間の間隔(D)についても特に限定はなく、発明の実施者が適宜定めればよいが、後述する櫛歯電極型に比し間隔(D)を広くすることができるため、短絡することを防止でき好ましい。
【0020】
トナークラウドの形成は、電極パターン(91Bb)の幅(d)、間隔(D)及び交番電圧等によって影響される。良好なクラウドを形成するには、電極パターン(91Bb)の電極の幅(d)、間隔(D)をそれぞれ40μm〜250μmの幅、85μm〜500μmの間隔とすれば良い。また、交番電圧としては、周波数100Hz〜5KHz、100V〜3KVが好適である。
電極(91Bb)を構成する材料は、高い導電性を有する材料であれば使用することができるが、ペースト状であると電極パターンを描画することによりこれを達成でき好ましい。
【0021】
なお、本実施形態におけるトナー担持体(9)においては、交番電圧電源として単相の交番電圧を使用するようにしているが、周期の異なる複数相の交番電圧電源も使用することが可能である。担持体に設けられた2つの電極に周期的に正負の方向が入れ替わるように電圧を印加することにより、担持体表面の電界が周期的に逆方向へと入れ替わる、時間的に変化する電界により、トナー粒子が、感光体(1)の表面とトナー担持体(9)の表面層(98)との間でホッピングしてトナーのクラウドを形成し、このクラウドのトナー(T)が感光体(1)の表面に形成された静電潜像に向かって静電気的に吸引、付着してトナー像を形成できる。
【0022】
(導電性支持体)
導電性支持体として、例えばAl、Ni、Fe、Cu、Auなどの金属、もしくはそれらの合金の他、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属あるいはIn23、SnO2等の導電材料の薄膜を形成したもの、樹脂中にカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム,銅,ニッケル等の金属粉、導電性ガラス粉などを均一に分散させ、樹脂に導電性を付与した樹脂基体、導電処理をした紙等から形成された円筒状の支持体が使用できる。
【0023】
(絶縁層)
絶縁層は、接着層構成材料と異なる材料を用いることが好ましい。同じ材料を用いた場合、浸漬塗工、スプレー塗工方法による接着層形成時に接着層塗工液に含まれる溶媒により絶縁層が侵されてしまうことがある。これにより、絶縁層上に設けた電極の構成が乱れてしまい、電極間距離が変化し、トナーへの電界の強さが弱まることで、トナーホッピングが生じなくなったり、電極が絶縁層内に埋まり導電性支持体に接触し短絡することでトナーをホッピングさせる機能を失うおそれがある。とくにポリカーボネート等、樹脂膜形成時に架橋反応を起こさない材料については、接着層形成時に絶縁層が大きく侵されることがあるため、絶縁層は架橋構造を有する樹脂を含むことが好ましい。
絶縁層を構成する樹脂としては、接着層塗工液に含まれる溶媒に溶解しないものであれば、どのようなものでも使用することができる。
有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
中でも特にアルキッド-メラミン樹脂を良好に用いることができる。
絶縁層の形成には適当な溶媒を用いて、慣用される塗工法によって形成することができる。
【0024】
絶縁層膜厚は材料にもよるが1μm以上100μm以下であることが好ましい。
1μm未満では電極とトナー間に電荷リークが生じないよう絶縁するのが困難であるため1μm以上とするのが好ましい。100μmより厚くては内部電極からの電界が弱くなり、トナーが表面層から遊離してホッピング可能である静電気力を生じることが困難であり、50μm以下がさらに好ましい。
【0025】
(表面層)
トナー粒子を安定して負帯電させるためには、トナー粒子を摺擦するトナー担持体表面をアミノ基含有材料で構成するのが通常であるが、本発明において、発明者は長期間トナーのクラウドを安定的に形成可能とするトナー担持体表面層構成材料を鋭意探索した結果、アミノ基を含まない一般式(1)で表される構造単位を有する重合体材料を特定な対応手段により表面層に含有させることにより、摩擦帯電能とトナーホッピングとを両立させ、長期間トナーのクラウドを安定的に形成可能であり、耐摩耗性をも向上させることができる。
すなわち、(i) ビスフエノール系ポリカーボネート樹脂は、非結晶性であるため、適度の剛性と柔軟性を有し、耐衝撃性に優れている。ポリカーボネートの良溶媒としては、メチレンクロライド、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素や、メタクレゾール、ビリジン等の芳香族系溶媒などが、微溶性溶媒としてはチオフエン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等の環状エーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフエノン等のケトン系溶媒、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)等の含窒素溶媒、一部の芳香族炭化水素などがあるが、脂肪族炭化水素および他の芳香族炭化水素、脂肪族アルコール、カルボン酸、水等には不溶であることが知られており、これらのうち例えば、キシレン、トルエンよりもベンゼンの方が溶解性が順に比較高く、その分、結晶化を生じ易いこと(本間精一「ポリカーボート樹脂ハンドブック」1992年8月28日、日刊工業新聞社、22〜23頁、同書182頁)、また、ビスフエノール系ポリカーボネート樹脂は、その分子鎖構造から、前記のように非結晶性であるため、適度の剛性と柔軟性を有し、耐衝撃性に優れていること(同書168〜169頁、20頁)、(ii)ポリカーボートは熱処理による結晶化よりも、溶媒による結晶化のほうが容易であり、かつ、溶媒は比較的容易に長期間残存(内包され)し、例えば、結晶化に対する残存溶媒の影響を調べるため、ポリカーボートのメチレンクロライド溶液からキャステイング法により500〜1000Å厚に形成したフィルムには、0.75%のメチレンクロライドが残存していたこと(同書、180頁)、分子量37.000のポリカーボートを用い0.4mm厚の圧縮成形フィルムを80℃真空中で1日乾燥させた試料を、25℃のアセトン蒸気に数日間暴し、結晶化したフィルム試料を60℃で乾燥したとき、残存アセトンは0.5wt%であったこと(同書、180頁)、(iii)ポリカーボートは、分子量により結晶化程度に差があり、例えば、分子量11.300の試料では、メチレンクロライド溶液からの球晶の生成は容易であり、これに対し、分子量34.000の試料では、メチレンクロライドの希薄溶液(濃度0.1〜1%)から蒸発時間11〜14でも完全な球晶の生成は得られず、分子量174.900の試料では、球晶の生成は皆無であり、また、非結晶性フィルムは、アセトンに浸漬して結晶化させた溶剤誘起の結晶性フィルムとちがって、THFによく解けること(同書182頁)、(iv) ポリカーボートのクレーズやクラックは、降伏応力点より低い力が連続して加えられた場合に発生するが、局部的な分子鎖の配向が起こるまでの誘導時間を過ぎた後に発生(分子鎖の配向がなければ発生しない)し、ポリカーボート成型品の割れや接着強度の低下因となり、また、クレーズやクラックの発生は分子量に依存し、ポリカーボートの場合も分子量が低下すると、クレーズ発生までの前記誘導時間がいちじるしく低下すること(同書210、214頁)等の公知事項を踏まえつつも、健康上の理由で使用を避けるべきハロゲン化溶剤や、芳香族炭化水素溶媒以外の各種溶媒について、これら従来の公知事項が示唆してない被膜の接着性、耐摩耗性、および静電的特性(長期間トナーのクラウドを安定的に形成可能、異常画像の防止機能)という多観点からの特性を同時に満足するための条件について検討を重ねて、本発明に到達した。
【0026】
表面層は最表層に上記一般式(1)で示される構造単位を含む重合体材料が含まれており、絶縁層との接触する層にシクロヘキサノンもしくはシクロペンタノンが含まれるならば複数の層を成していてもよい。
表面層に含まれるシクロヘキサノンもしくはシクロペンタノンは0.01wt%以上、12wt%以下であることが好ましく、0.05wt%〜10wt%であることがより好ましく、最も好ましくは0.1wt%〜9wt%である。シクロヘキサノンもしくはシクロペンタノンの含有量が少ない場合、絶縁層との接着性を確保するのが困難である。また、12wt%を超えると溶剤の乾燥が不十分であり、薄膜がウェット状態であり、ベトついたり表面膜に接触跡がついたりしてローラとして使用できない。
【0027】
【化5】

(一般式(1)において、R、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、RとRで形成する炭素数5〜8の環状炭化水素残基を表し、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基を表わす。また、a、bは1又は2の整数を表わす。)
【0028】
一般式(1)に含まれる構造の具体例を示すが、本発明に用いることのできる材料はこれらに限定されるものではない。
【0029】
【化6】

【0030】
【化7】

【0031】
【化8】

【0032】
上記ポリカーボネート樹脂のうち、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂であることがさらに好ましい。ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂は耐摩耗性が高いためトナー担持体に磨耗により誘発される傷等、トナー付着を誘発する因子が生じにくい。
【0033】
重合体材料の分子量は、前記従来の「11.300〜174.900」とはちがってかなり狭く、18.000〜80.000であることが溶媒への溶解時の扱いやすさ等の点から好ましく、30000〜60000であることがより好ましい。分子量が小さ過ぎると、塗工液を調製する際には作業し易いけれども、作製済みのトナー担持体の塗工膜中のでポリカーボネートの速やかな結晶化や分子鎖再配位による体積の著しい減少を来たし、所望の耐久強度が得難くなることがある。
【0034】
(表面層)
トナー粒子を安定して負帯電させるためには、トナー粒子を摺擦するトナー担持体表面をアミノ基含有材料で構成するのが通常であるが、本発明において、発明者は長期間トナーのクラウドを安定的に形成可能とするトナー担持体表面層構成材料を鋭意探索した結果、アミノ基を含まない一般式(1)で表される構造単位を有する重合体材料を特定な対応手段により表面層に含有させることにより、摩擦帯電能とトナーホッピングとを両立させ、長期間トナーのクラウドを安定的に形成可能であり、耐摩耗性をも向上させることができる。
【0035】
表面層にはポリカーボネート樹脂に添加剤としてレベリング剤が含有されていても良い。
レベリング剤としては、公知の材料を用いることができるが、微量で高い平滑性を付与することができるシリコーンオイル系のレベリング剤がとくに好ましい。シリコーンオイルの例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有シリコーンオイル等が挙げられる。
表面層にはそのほか、可塑剤、酸化防止剤、などの添加剤を適量添加することもできる。
【0036】
表面層の形成にはテトラヒドロフラン等のポリカーボネート樹脂を可溶な1種類以上の溶媒(その余の溶媒)とシクロヘキサノンもしくはシクロペンタノンを用いて、浸漬塗工法、スプレー塗工法等の慣用される塗工法によって形成することができる。
シクロヘキサノンもしくはシクロペンタノンを含有する表面層が絶縁層との接着性を確保できる理由を説明する。シクロヘキサノン、シクロペンタノンはポリカーボネート樹脂をテトラヒドロフラン(Bp=66℃)ほどではないが溶解することができ、お互いの親和性が高い。シクロヘキサノン、シクロペンタノンはポリカーボネート樹脂を溶解できるほどの分子間力を確保しているといえる。また、シクロヘキサノン、シクロペンタノンはケトンであるので分子内分極がやや強く他の物質と分子間力を確保しやすいといった性質がある。このためポリカーボネート樹脂の溶媒として用いた場合、溶剤を乾燥させた後にも樹脂薄膜中に残存したわずかな溶媒が、ポリカーボネート樹脂と基材間の仲立ちを行うことで付着力の確保を行っているものと思われる。また、ポリカーボネートに対する溶解度がTHFほど高くないため、表面層の塗工後に、THFの場合ほどの溶媒蒸発に起因する樹脂の体積縮小(コンフュギレーション変化、及び、分子鎖の弛緩―折り畳みのコンホメーション変化)が激しくなく、内部歪み解消のための変位が少ないことも、或いは原因の1つとして挙げられるかも知れない。ビスフェノール系ポリカーボネートの硬さを生かしつつ脆さを補うべく、応力印加に対する靭性を付加するために、弾性に優れたABS樹脂をポリカーボネートに熱間ブレンドしてPC/ABSポリマーアロイとすることは成型樹脂の分野でよく知られているが、これとは対照的に、本発明においては、いずれにしても前記のような特定の態様を採用することにより、硬度と靭性の双方を同時に満足しているものと思われる。
【0037】
ただ、この溶媒は、ポリカーボネート樹脂を溶解する能力がそれほど大きくないためシクロヘキサノン、シクロペンタノンのどちらかもしくは2種混合溶媒のみで塗工液を形成するのは難しい。ゆえにポリカーボネート樹脂を溶解する能力に優れたテトラヒドロフラン等のその余の溶媒との混合溶媒とするのが好ましい。スプレー塗工を用いる場合はシクロヘキサノンもしくはシクロペンタノンをその余の溶媒(より溶解性の良好な溶媒、つまり、良溶媒)に対しての重量比において3%以上、50%以下とするのが好ましく、5wt%〜40wt%とするのがより好ましい。50%を超えると、塗工後の塗工膜に液ダレによる異常画像が生じやすくなる。3%未満とすると、多量の良溶媒によって塗工液中でより弛緩した状態の分子配位状態から、乾燥(溶媒除去)に伴っていちじるしく体積収縮する部分があるためか、塗工膜がざらざらな柚子肌状となり異常画像となってあらわれる可能性が高くなる。浸漬塗工を用いる場合はシクロヘキサノン(Bp=156℃)、シクロペンタノン(Bp=131℃)の蒸発圧が高くないので、混合溶媒全体に含まれる量を多くすると、液ダレが生じ、塗工膜の乱れとなり、異常画像となりやすくなる。塗工後の静置時間を多くすることで塗工膜の乱れは抑えることができるが作業効率が低下することもあり、多くの量を用いるのは好ましくない。シクロヘキサノン又はシクロペンタノンと混合使用される溶媒としては、ポリカーボネート樹脂を溶解する能力が多少ともあり、比較的低沸点(沸点202℃以下)のもの、例えば、THF(Bp=66℃)、ピリジン(Bp=115.3℃)、ジオキサン(Bp=101.3℃)、チオフエン(Bp=84.16℃)、メチルイソブチルケトン(Bp=115.9℃)、ジイソブチルケトン(Bp=168.1℃)、メチルエチルケトン(Bp=79.64℃)、アセトン(Bp=56.12℃)、2−ヘキサノン(Bp=127.2℃)、3−ペンタノン(Bp=101.96℃)、2−ペンタノン(Bp=102.26℃)、2−ヘプタノン(Bp=150.2℃)、4−ヘプタノン(Bp=144.05℃)、メチルシクロヘキサノン(Bp=170℃)、アセトフエノン(Bp=202℃)、ホロン(Bp=197.8℃)、ジメチルスルホキシド(Bp=189℃)などが挙げられるが、このうち、絶縁層形成用塗工液の調製及び取扱いの容易性の観点からは、ポリカーボネート樹脂に対する良溶媒(より溶解性の良好な溶媒)を好ましく用いることができる。良溶媒としてはTHFやジオキサン等の環状エーテルが挙げられる。
しかし、形成された絶縁層の耐剥離性の観点からは、低沸点の良溶媒の使用量が圧倒的に多い(シクロヘキサノン又はシクロペンタノンの混合使用量が極端に少ない)のは必ずしも好ましいとは言えない。このように、塗工液の調製及び取扱いの容易性と、絶縁層の耐剥離性とは二律相反するところがあり、したがって、その余の溶媒の種類と性質及び使用量を一概に断じすことは難かしいが、THFやジオキサンが有力なものであることだけは確かであり、したがって、その余の溶媒(より溶解性の良好な溶媒、つまり、良溶媒)に対するシクロヘキサノンもしくはシクロペンタノンの混合量としては、前記のように、重量比で3wt%〜50wt%とするのが好ましい。
そして、イソホロン(Bp=215.2℃)や溶解度に優れたm−クレゾール(Bp=202.7℃)は、高沸点であるため、長期間の乾燥期間中にポリカーボネートの結晶化を齎し勝ちであるので必ずしも好ましいものとは云えない。
【0038】
塗工後の乾燥条件としては、乾燥温度にもよるが、例えば目安として、温度160℃で50分〜120分(後程詳細に説明する実施例でのローラ乾燥条件は、使用しているオーブンにおいて基材表面温度が155℃に達するのに約30分かかっており、この場合の乾燥条件は基材表面温度が155℃に達してから20分以上100分以下が必要である)行うのが好ましい。乾燥時間が少ないと溶剤の乾燥が不十分であり、薄膜がウェット状態であり、ベトついたり表面膜に接触跡がついたりしてローラとして使用できない。また、あまり冗長な低温長時間の乾燥は、作業効率の点でも、また過度のアニーリング(分子鎖の再配位や結晶化等の体積縮小)を生じさせる点でも避けることが好ましい。
【0039】
なお、本実施形態におけるトナー担持体(9)においては、交番電圧電源として単相の交番電圧を使用するようにしているが、周期の異なる複数相の交番電圧電源も使用することが可能である。担持体に設けられた2つの電極に周期的に正負の方向が入れ替わるように電圧を印加することにより、担持体表面の電界が周期的に逆方向へと入れ替わる、時間的に変化する電界により、トナー粒子が、感光体(1)の表面とトナー担持体(9)の表面層(98)との間でホッピングしてトナーのクラウドを形成し、このクラウドのトナー(T)が感光体(1)の表面に形成された静電潜像に向かって静電気的に吸引、付着してトナー像を形成できる。
【0040】
表面層の膜厚はトナー担持体の表面にトナーの電界カーテンを形成でき、また、電極(91b)のトナー担持体表面への露出を防ぐことができればいずれでもかまわないが、0.5μm以上、50μm以下であることが好ましい。
0.5μm以下では電極とトナー間に電荷リークが生じないよう絶縁するのが困難であるため0.5μm以上とするのが好ましい。
50μm以上では内部電極からの電界が弱くなる為、トナーが表面層から遊離してホッピング可能である静電気力を生じることが困難であるため50μm以下とするのが好ましい。
さらに、5〜50μmであるとトナーホッピングはより安定的に行われる。
【0041】
以上のように本発明は、上記のように、図3に示す上下電極方式のトナー担持体の表面層に、一般式(1)で表される重合体材料を含有させることにより、長期間トナーのクラウドを安定的に形成可能という特に優れた効果を奏するものであるが、図4に示す櫛歯電極方式のトナー担持体に適用することも可能である。
【0042】
櫛歯電極方式について説明する。
トナー担持体(9)は、図4(a)、(b)(なお、図4(a)は図4(b)の上面図におけるA−A’における断面図である。)に示すように、線状の複数の電極(90Aa)を有する第1の電極パターン(90A)と線状の複数電極(90Bb)を有する第2の電極パターン(90B)とが、電極(90Aa)と電極(90Bb)とが交互にトナー担持体の軸方向に平行に形成され、この電極パターン(90A)、(90B)上にこれらの電極(90Aa)、(90Bb)を上に接着層(97)、電極(90Aa)、(98Bb)を保護するための表面層(98)が形成されている。
支持体(93)としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ナイロン、フッ素系樹脂、ポリアセタール、フェノール、ポリスチレン等の合成樹脂から形成された円筒状の絶縁性支持体、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタン、ステンレスなどを切削、研摩などの金属加工をした円筒状の金属の導電性支持体に前記合成樹脂を被覆したものを使用することができる。
【0043】
本発明にて用いられるトナーとしては、粉砕法、もしくは重合法にて形成されたトナーをもちいることができる。
フルカラー複写機、フルカラープリンターにおいては、その画像の光沢性及び混色性が必要なことから、トナーはより低溶融粘度であることが必要であり、シャープメルト性のポリエステル系のトナーバインダが用いられている。このようなトナーでは、ホットオフセットの発生が起こりやすいことから、従来からフルカラー用の機器では、定着部材にシリコーンオイルなどを塗布することが行われている。
しかしながら、定着部材にシリコーンオイルを塗布するためには、オイルタンク、オイル塗布装置が必要であり、装置が複雑、大型となる。また、定着部材の劣化をも引き起こし、一定期間毎のメンテナンスが必要とされる。さらに、コピー用紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用フィルム等にオイルが付着することが不可避であり、とりわけOHPにおいては付着オイルによる色調の悪化の問題があり、定着部材にオイル塗布することなくトナーの融着を防ぐため、ワックスを含有することが好ましい。
【0044】
含有するワックス成分としては、カルナウバワックス、ライスワックス及びエステルワックスの少なくとも一つを含有することが好ましい。
カルナウバワックスはカルナウバヤシの葉から得られる天然のワックスである。
ライスワックスは米糠から抽出される米糠油を精製する際に、脱ろうまたはウィンタリング工程で製出される粗ろうを精製して得られる天然ワックスである。エステルワックスは単官能直鎖脂肪酸と単官能直鎖アルコールからエステル反応で合成される。
これらのワックス成分は単独または併用して使用される。ワックス成分の添加量は0.5〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。
本発明では、カルナウバワックス、ライスワックス、合成エステルワックスの他のワックス成分も使用可能である。例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等のようなポリオレフィンワックスなどである。
これらワックス成分を含んだ既知のトナーを用いることができる。
【0045】
ワックス成分は画像形成装置により出力された画像に適度な光沢感を持たせて好感を持たせる画像とするために必要とされる。ワックス成分をトナーに含有させない場合は同様の効果を持たせる手段としてはトナー定着プロセス後に出力用紙にワックス塗布を行う方法があるが、用紙へ水性ペンの記入がやや困難となることや、製造コストの上昇といった弊害があるためトナーへワックス成分を含有させるのが好ましい。
【実施例】
【0046】
【実施例1】
【0047】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細かつ具体的に説明する。
[絶縁層用塗工液]
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50(大日本インキ化学工業社製))110重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製))60重量部をメチルエチルケトン110重量部に溶解し、絶縁層用塗工液を作製した。
【0048】
[表面層用塗工液]
テトラヒドロフラン70重量部、シクロヘキサノン30重量部の混合液に、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(構造単位M−15からなる分子量50000の重合体材料:パンライト TS−2050帝人化成製)3重量部、シリコーンオイル(KF−50(信越化学工業社製))0.002重量部を溶解し、表面層用塗工液を作製した。
【0049】
[トナー担持体]
直径30mm、長さ230mmの円柱状のAl製導電性支持体上に前記の絶縁層用塗工液にて浸漬塗工を行い膜厚20μmの絶縁層を形成した。これを絶縁層形成済みの支持体(91A)とした。絶縁層形成済みの支持体(91A)上にそれぞれ蒸着によって導電性金属箔膜である0.8μm厚みの銅箔膜を形成した。さらに、これらの銅箔膜上に5μm厚みのレジスト膜を塗布した。銅膜及びレジスト膜に覆われた絶縁層形成済みの支持体(91A)に幅d=100μm、長さL=200mm、間隔D=200μmで離間させた格子状のパターンをレーザー描画機で露光して、NaCO水溶液中で現像した後、FeCl水溶液に浸漬させてエッチングを行い、前記電極パターンと同一形状の電極パターン(91B)を有する電極(91Bb)を形成した。
次に、このようにして所定の電極パターン(91B)を有する電極を形成した絶縁層形成済みの支持体(91A)の電極パターン(91B)の片側端部をマスキングし、電極を覆う最大膜厚10μmの表面層(98)を表面層形成塗工液にてスプレー塗工を行うことにより形成した。表層塗工後の乾燥は160℃、60分行った。このローラの表面層が含有するシクロヘキサノン量を、以下に詳述するガスクロマトグラフを用いて計測(他の各例も同じ)すると、3.33wt%含有されていた。
【0050】
[残留溶媒の測定方法]
本分析は、熱抽出-ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)法行った。
[測定装置]
分析装置は、島津製作所社製QP-2010(計測器管理NO.C70264100785SA)を使用し、データ解析ソフトは島津製作所製GCMSsolution、熱分解装置はフロンティア・ラボ製Py-2020D を使用した。
[測定条件]
熱抽出条件 : 抽出温度×時間 ; 230℃×15 分
クライオトラップ ; -190℃ (NB2B.Liq.)
カラム : Ultra ALLOY-5 L=30m I.D=0.25mm Film=0.25μm
カラム昇温 : 50℃(保持1 分)〜10℃/min〜100℃〜40℃/min〜300℃(保持7 分)
キャリアガス圧力 : 53.6kPa 一定
カラム流量 : 1.00 ml/min
イオン化法 : EI 法 (70eV)
注入モード : Split (1:50)
ライブラリー : NIST 20 MASS SPECTRAL LIB.
測定モード : 選択イオン検出(Selected Ion Monitoring ; SIM)法P
※P;シクロヘキサノンに特徴的なm/z:98のみを検出。
m/z:98※;マスフラグメントグラフィーともいい、ガスクロマトグラフで分離された流出物中のある特定の質量数についてのみ検出する方法。
【0051】
表面層(98)は絶縁層形成済みの支持体(91A)の端部で電極が露出した状態で塗布した。このようにして作製したトナー担持体(9)を現像装置(4)に組み込んだ。
【0052】
[電極への電圧印加条件]
現像装置(4)の開口部に取り付けた端子と導電性支持体に−400Vと0Vのそれぞれをピークに持つ各瞬間における平均電位が−200Vの交流バイアスを5KHzの周波数で交流電源から印加した。
トナーとしてimagio Neo C320に搭載されるBK色トナー(ワックス非含有粉砕トナー)を現像装置(4)に供給して使用した。
これらの現像装置およびトナーをimagio Neo C320の黒ステーションに組み込んで画像出力を行い、1000枚画像出力後のトナー担持体上のトナーホッピングの状態、表面層の剥離の有無、異常画像の発生の有無を比較した。
【実施例2】
【0053】
実施例1の表面層塗工液のテトラヒドロフラン70重量部、シクロヘキサノン30重量部に代えてテトラヒドロフラン80重量部、シクロヘキサノン20重量部を用いる他は同様のトナー担持体を得た。
このローラの表面層が含有するシクロヘキサノン量は2.12wt%であった。
【実施例3】
【0054】
実施例1の表面層塗工液のテトラヒドロフラン70重量部、シクロヘキサノン30重量部に代えてテトラヒドロフラン60重量部、シクロヘキサノン40重量部を用いる他は同様のトナー担持体を得た。
このローラの表面層が含有するシクロヘキサノン量は8.85wt%であった。
【実施例4】
【0055】
実施例1の表面層用塗工液のポリカーボネート(構造単位M-15からなる分子量50000の重合体材料)に代えてポリカーボネート(構造単位M-1からなる分子量37500の重合体材料:パンライト C-140帝人化成製)を用いる他は同様のトナー担持体を得た。
このローラの表面層が含有するシクロヘキサノン量は3.12wt%であった。
【実施例5】
【0056】
実施例1の表面層塗工液のシクロヘキサノン30重量部に代えてシクロペンタノン30重量部を用いる他は同様のトナー担持体を得た。
このローラの表面層が含有するシクロペンタノン量は3.14wt%であった。
【実施例6】
【0057】
実施例1の表面層塗工液のテトラヒドロフラン70重量部、シクロヘキサノン30重量部に代えてテトラヒドロフラン80重量部、シクロペンタノン20重量部を用いる他は同様のトナー担持体を得た。
このローラの表面層が含有するシクロペンタノン量は2.06wt%であった。
【実施例7】
【0058】
実施例1の表面層塗工液のテトラヒドロフラン70重量部、シクロヘキサノン30重量部に代えてテトラヒドロフラン60重量部、シクロペンタノン40重量部を用いる他は同様のトナー担持体を得た。
このローラの表面層が含有するシクロペンタノン量は6.89wt%であった。
【実施例8】
【0059】
実施例1の表面層用塗工液のポリカーボネート(構造単位M-15からなる分子量50000の重合体材料)に代えてポリカーボネート(構造単位M-1からなる分子量37500の重合体材料:パンライト C-140帝人化成製)を用いる他は同様のトナー担持体を得た。
このローラの表面層が含有するシクロヘキサノン量は3.44wt%であった。
【実施例9】
【0060】
実施例1の表面層塗工液のテトラヒドロフラン70重量部、シクロヘキサノン30重量部に代えてテトラヒドロフラン95重量部、シクロヘキサノン5重量部を用い、浸漬塗工にて表面層を形成した他は同様のトナー担持体を得た。
浸漬塗工後の乾燥前の塗工膜流動性が高いため、塗工後の静置時間は10分確保した。
このローラの表面層が含有するシクロヘキサノン量は4.89wt%であった。
【0061】
[比較例1]
実施例1の表面層塗工液のテトラヒドロフラン70重量部、シクロヘキサノン30重量部に代えてテトラヒドロフラン100重量部を用い、浸漬塗工にて表面層を形成した他は同様のトナー担持体を得た。
このローラの表面層が含有するシクロヘキサノン量は0.00wt%であった。
【0062】
[比較例2]
実施例1の表面層塗工液のテトラヒドロフラン70重量部、シクロヘキサノン30重量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂3重量部に代えてテトラヒドロフラン90重量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂10重量部を用い、浸漬塗工にて表面層を形成した他は同様のトナー担持体を得た。
このローラの表面層が含有するシクロヘキサノン量は0.00wt%であった。
【0063】
[比較例3]
実施例1の絶縁層形成塗工液に代えて、前記表面層用塗工液を用いた他は、同様のトナー担持体を得た。
このローラの表面層が含有するシクロヘキサノン量は4.78wt%であった。
【0064】
各実施例及び比較例の測定結果及び観察結果を表1に示す。
実施例1〜9では1000枚画像出力後においても、表面層に剥離が生じることはなく、トナーのホッピングに異常がおきることはなかった。また、出力画像に異常は見られなかった。一方、比較例1〜3では表面層に剥離が生じ、トナーのホッピングが生じず、画像も出力できなかった。
なお、比較例3では、表面層塗工液を用いて表面層を浸漬塗工にて塗工槽内へ塗工中、電極層が絶縁層から剥離して表面層塗工液中に遊離する現象が見られた。塗工槽から引き上げたトナー担持体は電極層が崩壊していた。実施例1と同様にトナー担持体上にてトナーがホッピングする様子を確認したが、トナーはホッピングしなかった。画像出力は行えないため1000枚画像出力後の各状態の観察は行えなかった。
【0065】
【表1】

【符号の説明】
【0066】
1 感光体
2 帯電ローラ
3 露光装置
4 現像装置
5 転写ローラ
6 クリーニング装置
7 定着装置
7a 加熱ローラ
7b 加圧ローラ
8 容器
8a 開口部
9 トナー担持体
10 循環パドル
11 トナー規制部材
A 回転方向
B 搬送方向
C 回転方向
D 間隔
T トナー
d 幅
90A 電極パターン
90Aa 電極
90B 電極パターン
90Bb 電極
91A 導電性支持体
91B 電極
91Bb 電極
93 支持体
95 絶縁層
97 接着層
98 表面層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開平3−21967号公報
【特許文献2】特開2007−310355号公報
【特許文献3】特開2007−133388号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と前記複数の電極を覆う表面層とを有するトナー担持体であって、前記複数の電極と導電性支持体間の電界が周期的に反転するように電極と導電性支持体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記表面層が下記一般式(1)で示される構造単位を含む重合体材料を含有するものであり、前記表面層がシクロヘキサノンを含むものであることを特徴とするトナー担持体。
【化1】

(一般式(1)において、R、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、RとRで形成する炭素数5〜8の環状炭化水素残基を表し、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基を表わす。また、a、bは1又は2の整数を表わす。)
【請求項2】
前記重合体材料は、重合平均分子量が18.000〜80.000のものであることを特徴とする請求項1に記載のトナー担持体。
【請求項3】
前記絶縁層が、さらにアルキッド−メラミン樹脂を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー担持体。
【請求項4】
前記表面層は、シクロヘキサノンを0.01wt%〜12wt%含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー担持体。
【請求項5】
前記表面層が、シクロヘキサノンの他に、前記重合体材料に対してシクロヘキサノンより良溶媒を含むものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー担持体。
【請求項6】
前記表面層が、前記良溶媒に対する前記前記シクロヘキサノンの混合量が3wt%〜50wt%の割合の塗工液を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項5に記載のトナー担持体。
【請求項7】
前記表面層が、前記塗工液を塗工後、温度160℃で50分〜120分乾燥されて形成されたものであることを特徴とする請求項6に記載のトナー担持体。
【請求項8】
導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と前記複数の電極を覆う表面層とを有するトナー担持体であって、前記複数の電極と導電性支持体間の電界が周期的に反転するように電極と導電性支持体に電圧を印加する電圧印加手段を備え、電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するものであり、前記表面層が下記一般式(1)で示される構造単位を含む重合体材料を含有するものであり、前記表面層がシクロペンタノンを含むものであることを特徴とするトナー担持体。
【化2】

(一般式(1)において、R、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、RとRで形成する炭素数5〜8の環状炭化水素残基を表し、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基を表わす。また、a、bは1又は2の整数を表わす。)
【請求項9】
前記重合体材料は、重合平均分子量が18.000〜80.000のものであることを特徴とする請求項8に記載のトナー担持体。
【請求項10】
前記絶縁層が、さらにアルキッド−メラミン樹脂を含むものであることを特徴とする請求項8又は9に記載のトナー担持体。
【請求項11】
前記表面層は、シクロペンタノンを0.01wt%〜12wt%含むことを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載のトナー担持体。
【請求項12】
前記表面層が、シクロペンタノンの他に、前記重合体材料に対してシクロペンタノンより良溶媒を含むものであることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載のトナー担持体。
【請求項13】
前記表面層が、前記良溶媒に対する前記シクロペンタノンの混合量が3wt%〜50wt%の割合の塗工液を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項12に記載のトナー担持体。
【請求項14】
前記表面層が、前記塗工液を塗工後、温度160℃で50分〜120分乾燥されて形成されたものであることを特徴とする請求項13に記載のトナー担持体。
【請求項15】
前記請求項1乃至14いずれか1に記載のトナー担持体を含むことを特徴とする現像装置。
【請求項16】
導電性支持体と、導電性支持体上に形成された絶縁層と、絶縁層上に一定の間隔で並べられた複数の電極と前記複数の電極を覆う表面層とを有し、前記複数の電極と導電性支持体間には電界が周期的に反転するように前記電極と前記導電性支持体に電圧が印加され、該電極間の電界によりトナーをホッピングさせてトナーのクラウドを形成するトナー担持体の作製方法であって、前記表面層が下記一般式(1)で示される構造単位を含む重合化合物とシクロヘキサノン及び/又はシクロペンタノンを含む前記表面層を形成する塗工液をスプレー塗工することにより形成されることを特徴とするトナー担持体作製方法。
【化3】

(一般式(1)において、R、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、RとRで形成する炭素数5〜8の環状炭化水素残基を表し、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基を表す。また、a、bは1又は2の整数を表す。)
【請求項17】
前記重合体材料は、重合平均分子量が18.000〜80.000のものであることを特徴とする請求項16に記載のトナー担持体作製方法。
【請求項18】
前記絶縁層が、さらにアルキッド−メラミン樹脂を含むものであることを特徴とする請求項16又は17に記載のトナー担持体作製方法。
【請求項19】
前記表面層は、シクロペンタノンを0.01wt%〜12wt%含むことを特徴とする請求項16乃至18のいずれかに記載のトナー担持体作製方法。
【請求項20】
前記表面層が、シクロペンタノンの他に、前記重合体材料に対してシクロペンタノンより良溶媒を含むものであることを特徴とする請求項16乃至19のいずれかに記載のトナー担持体作製方法。
【請求項21】
前記表面層を形成する塗工液は、該塗工液に含まれる有機溶媒のうちシクロヘキサノン及び/叉はシクロペンタノンの含量が重量濃度において3wt%〜50wt%であることを特徴とする請求項16に記載のトナー担持体作製方法。
【請求項22】
前記塗工液を塗工後、温度160℃で50分〜120分乾燥して前記表面層を形成する段階を含むことを特徴とする請求項16乃至21のいずれかに記載のトナー担持体作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−150042(P2011−150042A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9715(P2010−9715)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】