説明

トナー補給機構及びトナー容器

【課題】トナー補給機構及びトナー容器において、補給側の開口部近傍でのトナーの停滞を解消して必要なトナー補給性能を発揮させること。
【解決手段】画像形成装置本体に回転しないように設置した受入れ部30と、該受入れ部30に着脱可能であり、装着時においてその軸心部を中心に回転駆動可能な略円筒型のトナー容器10を備えたトナー補給機構。トナー容器10は、回転駆動されることにより収容されているトナーを受入れ部30側に搬送する凸部12(第1のトナー搬送部材)を備えている。受入れ部30は、トナー容器10の回転によって搬送されてきたトナーを下方へ落下させる補給口31と、トナー容器内10に設置されている凸部12に近接する位置まで延在するトナー攪拌部材35とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー補給機構、特に、電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置に新規トナーを補給するために搭載されるトナー補給機構、及び、該トナー補給機構に好適に用いられるトナー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式による画像形成装置では、画像形成に伴って消費されていくトナーを補給するため、予めトナーを収容したトナー容器を装置本体に着脱自在に装着しておき、該トナー容器から適宜トナーを補充的に供給するトナー補給機構を備えている。なお、現像器に対しては、このトナー補給機構から搬送されたトナーをさらに消費量に見合った量に計量して補給している。
【0003】
ところで、この種のトナー容器は、装置本体に設けた受入れ部に着脱可能であり、装着時においてその軸心部を中心に回転駆動可能な略円筒型をなしており、容器の内壁に形成した螺旋状の凸部又はフィンなどの搬送部材によって、回転に基づいて、収容されているトナーを受入れ部の補給口まで搬送している。トナー容器の補給側の開口径は、スペース的な制約から、どうしてもトナー容器の外径よりも小さくなり、補給側の開口部近傍で上昇斜面や段差が生じてトナーの搬送性が悪化している。
【0004】
一方、近年では、低融点トナーが用いられる傾向にあり、低融点トナーは高温での保管時に流動性が低下してしまう。このように、流動性が低下したトナーを収容したトナー容器が新たに受入れ部に装填されると、トナーの搬送性が悪化している補給側の開口部近傍でのトナーの停滞を十分に解消できず、必要な補給性能を確保できないという問題点を有している。
【0005】
従来では、トナーの停滞を解消するために、特許文献1,2に記載のトナー補給装置やトナーボトルが提案されているが、必ずしも十分な効果を奏するに至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4423140号明細書
【特許文献2】特開平11−305531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、補給側の開口部近傍でのトナーの停滞を解消して必要なトナー補給性能を発揮できるトナー補給機構及びトナー容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の形態であるトナー補給機構は、
画像形成装置本体に回転しないように設置した受入れ部と、該受入れ部に着脱可能であり、装着時においてその軸心部を中心に回転駆動可能な略円筒型のトナー容器を備えたトナー補給機構において、
前記トナー容器は、回転駆動されることにより収容されているトナーを前記受入れ部側に搬送する第1のトナー搬送部材を備え、
前記受入れ部は、前記トナー容器の回転によって搬送されてきたトナーを下方へ落下させる補給口と、前記トナー容器内に設置されている前記第1のトナー搬送部材に近接する位置まで延在するトナー攪拌部材とを備えていること、
を特徴とする。
【0009】
本発明の第2の形態であるトナー容器は、
画像形成装置本体に回転しないように設置した受入れ部に着脱可能であり、装着時においてその軸心部を中心に回転駆動可能な略円筒型のトナー容器であって、
回転駆動されることにより収容されているトナーを前記受入れ部側に搬送する第1のトナー搬送部材を備え、
前記第1のトナー搬送部材の一端は、前記受入れ部に設けたトナー攪拌部材に近接する位置に配置されていること、
を特徴とする。
【0010】
前記トナー補給機構及びトナー容器においては、装置本体に回転しないように固定されている受入れ部に設けたトナー攪拌部材が、トナー容器内に設置されている第1のトナー搬送部材に近接する位置まで延在しているため、補給側の開口部近傍でトナーが攪拌され、低融点トナーであって停滞しているものであっても流動化が生じ、トナーの停滞が解消することになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、補給側の開口部近傍でのトナーの停滞を効果的に解消して必要なトナー補給性能を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施例であるトナー補給機構を示す垂直方向横断面である。
【図2】第1実施例であるトナー補給機構を示す垂直方向縦断面図である。
【図3】第1実施例であるトナー補給機構の要部を示す斜視図である。
【図4】第2実施例であるトナー補給機構を示す垂直方向縦断面図である。
【図5】第2実施例であるトナー補給機構の要部を示す斜視図である。
【図6】第3実施例であるトナー補給機構を示す垂直方向縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るトナー補給機構及びトナー容器の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施例、図1〜図3参照)
第1実施例であるトナー補給機構1Aは、図1及び図2に示すように、トナー容器10と、該トナー容器10の先端開口部11側を保持する受入れ部30とで構成されている。受入れ部30は、図示しない画像形成装置本体に回転しないように固定されており、トナーを下方の貯留部40に落下させる補給口31と該補給口31を閉止するシャッター32とトナー攪拌部材35とを備えている。なお、受入れ部30において、以下に詳述するトナー攪拌部材35以外の構成は従来から周知である。
【0015】
貯留部40には、攪拌羽根41とトナー検量部42とトナー搬送スクリュー43が設置されており、補給口31から補給されたトナーはこのスクリュー43によって補給口44へ搬送され、さらに、図示しない現像器へ画像形成での消費量に見合った量が補給される。
【0016】
トナー容器10は、全体的に樹脂製の長尺の円筒型をなし、容器本体の内壁には凸部12が螺旋状に形成されており、容器本体がその軸心部を中心に回転駆動されることにより、図2に示す層厚Tで底部に収容されているトナーを先端開口部11側に搬送する。即ち、螺旋状の凸部12は第1のトナー搬送部材として機能している。なお、トナー容器10を回転駆動する機構は、図示しないが、従来から周知のものが使用されている。
【0017】
トナー容器10は、本体部が所定の外径D1を有しているのに対して、先端開口部11が外径よりも小さな内径D2を有し、その傾斜面13はトナーの搬送方向(矢印A参照)に対して上昇しており、凸部12による搬送性が悪くなっている。そこで、先端開口部11の内壁には図2及び図3で最も左側に配置されている凸部12aと補給口31との間に、トナーを補給口31側に搬送する傾斜面14が形成されている。この傾斜面14は、容器10の回転に伴って前記傾斜面13に搬送されてきたトナーを補給口31側に搬送する第2のトナー搬送部材として機能する。この傾斜面14は、図1に示されているように、垂直面上で二つに分割して配置されている。
【0018】
トナーは容器10に収容された状態で高温で保管されていると流動性が低下し、低融点トナーではこの傾向が大きい。従って、傾斜面13にあるトナーは傾斜面14(第2の搬送部材)によってある程度は補給口31に搬送されるが、その搬送性は十分ではない。そこで、本第1実施例では、受入れ部30にその奥側端面から前記凸部12(第1のトナー搬送部材)に近接する位置まで延在するトナー攪拌部材35を設けている。トナー攪拌部材35は、剛性を有する樹脂製の長方形をなす平板材であり、受入れ部30の奥側端面に平面が垂直に片持ち状態で支持されている。
【0019】
以上の構成からなるトナー補給機構1Aにおいて、トナー容器10は先端開口部11が受入れ部30の外周筒部33に嵌め合わされることで、受入れ部30に回転可能に装填され、かつ、図示しない回転駆動機構に連結される。また、先端部がシャッター32を矢印A方向に押圧し、補給口31を開放させる。そして、容器10自体が回転駆動されることにより底部に収容されたトナーが矢印A方向に搬送され、傾斜面13,14を乗り越えて補給口31から前記貯留部40に落下、補給される。このとき、トナーが凝固して傾斜面13,14に停滞しているとしても、容器10の回転に基づいて攪拌部材35が停滞しているトナーを崩すことによりトナーに流動性が生じ、確実に補給口31へ搬送されることになる。
【0020】
なお、第1のトナー搬送部材としては、前記凸部12以外に螺旋状のフィンであってもよく、あるいは、容器10と同期して回転する部材、例えば、容器10とは別体に形成したスクリュー状の回転体であってもよい。また、トナー攪拌部材35は若干の可撓性を有していてもよい。
【0021】
(第2実施例、図4及び図5参照)
第2実施例であるトナー補給機構1Bは、図4及び図5に示すように、トナー攪拌部材36を前記第1実施例に示したトナー攪拌部材35よりも若干幅狭とし、可撓性を有する樹脂フィルム37を設けたものである。他の構成は前記第1実施例と同様である。この樹脂フィルム37はトナー容器10の回転に伴ってその先端部が傾斜面14を摺擦し、傾斜面14に付着しているトナーを攪拌する。これにて、停滞しているトナーがより効果的に攪拌されることになる。即ち、フィルム37は攪拌補助部材として機能するものであり、本第2実施例として示すように、複数の部材に分割されていること、その先端部が傾斜面14に摺擦すること、及び、補給口31とは反対側に配置されていることが好ましい。フィルム37の材質は可撓性を有するものであれば特に限定するものではない。
【0022】
(第3実施例、図6参照)
第3実施例であるトナー補給機構1Cは、図6に示すように、第2の搬送部材として機能する傾斜面14を省略したもので、他の構成は前記第1実施例と同様である。傾斜面14を省略した場合であっても、トナー攪拌部材35が最も開口部11側に配置されている凸部12aの近傍に延在していることにより、トナーの停滞を解消して搬送性を確保することができる。
【0023】
(他の実施例)
なお、本発明に係るトナー補給機構及びトナー容器は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0024】
特に、トナー容器や受入れ部の構成及び形状の細部は任意であり、トナー容器の回転駆動機構も任意である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明は、トナー補給機構及びトナー容器に有用であり、特に、補給側の開口部近傍でのトナーの停滞を解消して必要なトナー補給性能を発揮できる点で優れている。
【符号の説明】
【0026】
1A,1B,1C…トナー補給機構
10…トナー容器
11…先端開口部
12,12a…凸部(第1のトナー搬送部材)
14…傾斜面(第2のトナー搬送部材)
30…受入れ部
31…補給口
35,36…トナー攪拌部材
37…樹脂フィルム(攪拌補助部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に回転しないように設置した受入れ部と、該受入れ部に着脱可能であり、装着時においてその軸心部を中心に回転駆動可能な略円筒型のトナー容器を備えたトナー補給機構において、
前記トナー容器は、回転駆動されることにより収容されているトナーを前記受入れ部側に搬送する第1のトナー搬送部材を備え、
前記受入れ部は、前記トナー容器の回転によって搬送されてきたトナーを下方へ落下させる補給口と、前記トナー容器内に設置されている前記第1のトナー搬送部材に近接する位置まで延在するトナー攪拌部材とを備えていること、
を特徴とするトナー補給機構。
【請求項2】
前記第1のトナー搬送部材は前記トナー容器の内壁に形成された螺旋状の凸部又はフィンであること、を特徴とする請求項1に記載のトナー補給機構。
【請求項3】
前記第1のトナー搬送部材は前記トナー容器と同期して回転する部材であること、を特徴とする請求項1に記載のトナー補給機構。
【請求項4】
前記トナー攪拌部材には可撓性を有する攪拌補助部材が設けられていること、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のトナー補給機構。
【請求項5】
前記攪拌補助部材は複数の部材に分割されていること、を特徴とする請求項4に記載のトナー補給機構。
【請求項6】
前記トナー容器内であって、前記第1のトナー搬送部材と前記受入れ部の補給口との間に、トナー容器が回転駆動されることにより収容されているトナーを前記補給口側に搬送する第2のトナー搬送部材を備えていること、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のトナー補給機構。
【請求項7】
前記攪拌補助部材はその先端部が前記第2のトナー搬送部材に摺擦すること、を特徴とする請求項6に記載のトナー補給機構。
【請求項8】
前記攪拌補助部材は前記補給口とは反対側に配置されていること、を特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれかに記載のトナー補給機構。
【請求項9】
画像形成装置本体に回転しないように設置した受入れ部に着脱可能であり、装着時においてその軸心部を中心に回転駆動可能な略円筒型のトナー容器であって、
回転駆動されることにより収容されているトナーを前記受入れ部側に搬送する第1のトナー搬送部材を備え、
前記第1のトナー搬送部材の一端は、前記受入れ部に設けたトナー攪拌部材に近接する位置に配置されていること、
を特徴とするトナー容器。
【請求項10】
前記第1のトナー搬送部材は容器本体の内壁に形成された螺旋状の凸部又はフィンであること、を特徴とする請求項9に記載のトナー容器。
【請求項11】
前記第1のトナー搬送部材は容器本体と同期して回転する部材であること、を特徴とする請求項9に記載のトナー容器。
【請求項12】
前記第1のトナー搬送部材と前記受入れ部に設けたトナーを下方へ落下させる補給口との間に、容器本体が回転駆動されることにより収容されているトナーを前記補給口側に搬送する第2のトナー搬送部材を備えていること、を特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれかに記載のトナー容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−61496(P2013−61496A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200075(P2011−200075)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】