説明

トモシンセシス技術を用いた患者の位置決め

対象物の位置を決定するためのシステムは、X線源および撮像子を有する撮像システムと、該撮像システムを用いて対象物のトモシンセシス画像を取得し該トモシンセシス画像を用いて対象物の位置を決定するように構成されたプロセッサとを有する。対象物の位置を決定するための方法は、対象物のトモシンセシス画像を取得するステップと、該トモシンセシス画像を用いて放射線機器に対する対象物の座標を決定するステップとを有する。対象物の位置を決定する方法は、対象物の画像を取得するステップと、該対象物の基準画像を取得するステップと、該基準画像を該画像と比較するステップと、少なくとも部分的にその比較結果に基づいて、該対象物の座標を決定するステップとを有し、該基準画像は、該画像の平面に平行な平面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、概して、放射線装置に関し、より詳しくは、トモシンセシス画像を生成および/または使用する治療放射線装置ならびに診断放射線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高エネルギー放射を用いた組織(例えば腫瘍性組織)の放射線治療を提供するために、様々なシステムおよび方法が存在する。ある患者の状態は全身の放射治療を必要とする一方、多くの種類の放射線治療は、患者の体内における放射線の量、位置および分布を正確に制御するための機能から恩恵を受けるものである。かかる制御には、しばしば、放射線ビームを、そのビームが腫瘍領域の形状に近い形状を有するように成形するために多葉コリメータが用いられる。
【0003】
放射線の種類にかかわらず、多くの既存の放射線治療手段は、放射線が標的領域に適用される前に、放射線源に対して標的領域を正確に記録するために、標的領域の位置が決定されることを必要とする。これは、腫瘍および周囲の組織の3D画像を必要とし、また、コンピュータ断層撮影を実行することにより広く実現されるものである。コンピュータ断層撮影は、医療分野において、広く用いられてきた撮像技術である。コンピュータ断層撮影用の手段では、X線源および検出装置が、検査中の患者の一部位について向かい合った側に配置される。X線源は、X線を生成し、患者に向かって指向させ、また、一方、検出装置は、処理の間に、X線により規定される複数の伝送路におけるX線源吸収を測定する。その検出装置は、入射X線源の強度に比例する電圧を生じ、そして、その電圧は読み取られ、コンピュータにおけるその後の処理のためにデジタル化される。患者の周囲の複数の角度から数千の読み取りを行うことにより、比較的膨大な量のデータが蓄積されることになる。その後、蓄積されたデータは解析され、マトリックス(視覚的またはそれ以外)の復元のために処理される。マトリックスは、検査されている身体の部位の密度関数の描写を構成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CT(computed tomography(コンピュータ断層撮影))画像を用いて標的組織を記録することに関連した問題は、そのCT画像の取得が長過ぎる時間を要する場合があることである。CT画像の復元を行うために、CT画像の十分な量のデータが、所定のガントリー角度の領域にわたり生成される必要がある。これらのCT画像のデータは、生成に時間がかかる。機械的な構成、および/または、統制規則が、X線源および画像検出器が設置されるガントリーの回転速度を制限する可能性がある。放射線治療機器のガントリーに取り付けられたCT撮像装置は、1分当たり1回転に制限された回転速度を有する。十分なCT画像データを生成するのに必要な持続時間のため、患者は、ガントリーの開口部内に閉じ込められ、安心していられない可能性がある。
【0005】
ある場合には、治療処置が行われる間に、標的組織の位置を継続的に監視することが望ましいかもしれない。例えば、標的組織は、患者の生理的動態(例えば呼吸、心臓の動き、咳嗽など)のため動く可能性がある。かかる場合、治療用放射線ビームが正確に標的組織に向かって指向させられることを保証するために、標的組織の動作を追跡することが望ましい。既存の放射線治療システムでは、標的組織の追跡に、CT撮像技術を用いない。これは、呼吸運動を考慮しつつ、画像復元のために十分な量のCT画像データを集めることが長時間かかるかもしれず、その結果、十分に速い速度で実行されない可能性がある、少なくとも標的組織のリアルタイムな追跡に十分でない速さで実行される可能性があるからである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施形態によれば、対象物の位置を決定するためのシステムは、X線源および撮像子を有する撮像システムと、該撮像システムを用いて対象物のトモシンセシス画像を取得しそのトモシンセシス画像を用いて対象物の位置を決定するように構成されたプロセッサとを有する。
【0007】
他の実施形態によれば、対象物の位置を決定するための方法は、対象物の画像を取得するステップと、その対象物の基準画像を取得するステップと、その基準画像を前記画像と比較するステップと、少なくとも部分的にその比較結果に基づいて、対象物の座標を決定するステップとを有し、基準画像は、前記画像の平面に平行な平面を有する。
【0008】
他の実施形態によれば、放射線治療において対象物を位置決めするための装置は、対象物の画像を取得し、その対象物の基準画像を取得し、その基準画像を前記画像と比較し、少なくとも部分的にその比較結果に基づいて、対象物の座標を決定するように構成されたプロセッサを有し、基準画像は、前記画像の平面に平行な平面を有する。
【0009】
他の実施形態によれば、対象物の位置を決定するための方法は、対象物のトモシンセシス画像を取得するステップと、そのトモシンセシス画像を用いて放射線機器に対する対象物の座標を決定するステップとを有する。
【0010】
他の実施形態によれば、対象物の位置を決定するための装置は、トモシンセシス画像を用いて放射線機器に対する対象物の座標を決定するためのプロセッサを有する。
【0011】
他の実施形態によれば、対象物の位置を決定するための方法は、対象物の第1のトモシンセシス画像を取得するステップと、その第1のトモシンセシス画像を用いて対象物の第1の2次元座標を決定するステップと、対象物の第2のトモシンセシス画像を取得するステップと、その第2のトモシンセシス画像を用いて対象物の第2の2次元座標を決定するステップと、第1および第2の2次元座標に基づいて対象物の3次元座標を決定するステップとを有する。ある実施形態では、3次元における位置(例えば深度)がまた取得される。
【0012】
他の実施形態によれば、対象物の位置を決定するための装置は、対象物の第1のトモシンセシス画像を取得し、その第1のトモシンセシス画像を用いて対象物の第1の2次元座標を決定し、対象物の第2のトモシンセシス画像を取得し、その第2のトモシンセシス画像を用いて対象物の第2の2次元座標を決定し、第1および第2の2次元座標に基づいて対象物の3次元画像を決定するように構成されたプロセッサを有する。
【0013】
他の実施形態によれば、対象物の位置を決定するための方法は、対象物の画像を取得するステップと、その画像を用いて放射線機器に対する対象物の座標を決定するステップとを有し、前記画像は、複数のX線画像を受け取り、逆投影技術を用いてそのX線画像を処理することにより取得される。
【0014】
他の態様や特徴は、以下の実施形態の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面は、実施形態の設計や効用を示すものであり、同様の部品は共通の参照番号により参照される。どのようにして実施形態の効果や目的が得られるかをより良く評価するために、より具体的な実施形態の説明が、添付図面において明らかにされるであろう。
【0016】
以下、図面を参照しながら、様々な実施形態について説明する。図は、原寸に比例して描かれるものでなく、また、同様の構造または機能の構成要素は、図を通じて、同様の参照番号により表されることに留意すべきである。また、図は、ただ実施形態の説明を助けるだけのものであることに留意すべきである。それらは、発明の排他的な説明として、または、発明の範囲を限定するものとして意図されるものでない。更に、具体的な実施形態と併せて記述される態様は、その実施形態に必ずしも限定されるものでなく、いかなる他の実施形態においても実施され得る。
【0017】
図1は、ある実施形態による放射線治療システム10を示す。システム10は、開口部(または穴部)13を有するガントリー12と、患者16を支持するための患者支持部14と、ガントリー12の動作を制御するための制御システム18とを有する。また、システム10は、患者16が、開口部13内に少なくとも部分的に位置させられる間に、患者16に向かって放射線ビーム26を照射する放射線源20と、放射線ビーム26の発射を制御するためのコリメータシステム22とを有する。放射線源20は、円錐形ビーム、扇形ビーム、または、異なる実施形態における他の種類の放射線ビームを生成するように構成され得る。
【0018】
図示された実施形態では、放射線源20は、治療用エネルギーを提供するための治療用放射線源である。また、他の実施形態では、治療用放射線源であることに加えて、放射線源20が、診断用エネルギーを提供するための診断用放射線源であり得る。ある実施形態において、治療用エネルギーは、一般的に、160キロ電子ボルト(keV)以上のエネルギー、より典型的には、1メガ電子ボルト(MeV)以上のエネルギーである。そして、診断用エネルギーは、一般的に、高エネルギー領域より低いエネルギー、より典型的には、160keVより低いエネルギーである。他の実施形態では、治療用エネルギーおよび診断用エネルギーは、それぞれ、他のエネルギーレベルを有し、治療目的および診断目的のために利用されるエネルギーを意味しうる。ある実施形態では、放射線源20は、約10keVと約20keVとの間のいかなるところでも、一領域の範囲内の複数の光子エネルギーレベルにおけるX線放射を生成することができる。異なるエネルギーレベルにおけるX線放射を生成し得る放射線源は、2001年11月2日出願の発明の名称を「RADIOTHERAPY APPARATUS EQUIPPED WITH AN ARTICULABLE GANTRY FOR POSITIONING AN IMAGING UNIT(撮像ユニットを位置決めするための連接可能なガントリーを装備した放射線治療装置)」とする米国特許出願公開第10/033327号明細書、および、2003年10月15日出願の発明の名称を「MULTI-ENERGY X-RAY SOURCE(マルチエネルギーX線源)」とする米国特許出願公開第10/687573号明細書に記載されている。更に別の実施形態では、放射線源20は、診断用放射線源であり得る。
【0019】
図示された実施形態では、制御システム18は、コントロール40に連結されたコンピュータプロセッサなどのプロセッサ54を有する。制御システム18は、また、データを表示するためのモニタ56と、データを入力するための、キーボードやマウスなどの入力装置58とを有する。図示された実施形態において、ガントリー12は、患者16の周りに回転可能であり、治療処置の間に、(アーク療法(arch-therapy)におけるように)ガントリー12は患者16の周りに回転する。他の実施形態では、ガントリー12が、治療処置の間に患者16の周りに回転せず、放射線源20の位置が、患者支持部14に対して固定されたままである。放射線源20、コリメータシステム22、および、ガントリー12(もしガントリー12が回転可能であれば)の動作は、コントロール40により制御される。コントロール40は、電力およびタイミング信号を放射線源20およびコリメータシステム22に提供し、プロセッサ54から受け取った信号に基づいて、ガントリー12の回転速度および位置を制御する。コントロール40はガントリー12およびプロセッサ54から分離した構成として示されるが、代替的な実施形態では、コントロール40は、ガントリー12またはプロセッサ54の一部であってもよい。
【0020】
ある実施形態では、システム10は、開口部13に隣接し、放射線源20の反対側に配置された撮像子100(図中破線で示される)を更に有することができる。かかる構成によれば、患者16が、システム10から移動することなく、撮影され治療されることが可能になる。ある実施形態では、撮像子100が、ヨウ化セシウム(CsI)などのシンチレータ素材から作られた変換層と、その変換層に結合されたフォト検出器アレイ(例えばフォトダイオード層)とを有する。変換層は、放射線に応じて光量子を生成し、また、複数の検出器素子を有するフォト検出器アレイは、変換層からの光量子に応じた電気信号を生成するように構成される。撮像子100は、曲線をなす面(例えば部分的な円弧)を有することができる。かかる構成は、撮像子100の撮像素子の各々が、放射線源20から実質的に同じ距離に配置されるという点で有利である。代替的な実施形態では、撮像子100が、曲線をなす面または他の輪郭を有する面を有してもよい。撮像子100が、非結晶性シリコン、結晶性シリコンウエハ、結晶性シリコン基材、または、フレキシブル基材(例えばプラスチック)から作られることも可能であり、平面パネル技術、または、撮像装置製造の分野で知られる他の技術を用いて構成されてもよい。代替的な実施形態では、撮像子100が異なる検出機構を用いてもよい。例えば、代替的な実施形態において、変換層を有する代わりに、撮像子100は、放射線に応じて、電子正孔対または電荷を生じる光伝導体を有してもよい。
【0021】
診断処置の間に、放射線源20は、放射線ビームを生じ、患者16に向かって指向させ、その一方、検出器100は、処理の間に放射線ビームにより規定される複数の伝送路における放射線吸収を測定する。検出器100は、入射する放射線の強度に比例した電圧を生じ、その電圧は読み取られ、プロセッサ54または別のプロセッサなどのコンピュータにおけるその後の処理のためにデジタル化される。異なるガントリーの角度における画像のデータが集積された後、集積データは、検査されている身体の断面の密度関数の描写を構成するマトリックス(CT画像)の復元のために処理される。1つまたは複数のかかる断面を考察することにより、熟練した診断医は、しばしば、様々な身体の病気を診断することができる。ある場合には、1つまたは複数の断面がまた、治療計画を行うために、および/または、標的組織の位置を検証するために用いられることも可能である。
【0022】
放射線治療システム10が、前述した構成に限定されるべきでないこと、および、放射線治療システム10が、また、他の実施形態における他の構成を有することができることに留意すべきである。例えば、他の実施形態においては、リング状の構成の代わりに、放射線治療システム10がC字アーム状の構成を有することが可能である。また、他の実施形態では、放射線システム10が、放射線源20が固定されたアームを有することが可能である。更に別の実施形態では、放射線システム10が放射線システムの分野で知られた構成を有することが可能である。
【0023】
図1を参照すれば、治療システム10は、X線源122および撮像子124を備えた撮像システム120を更に有する。図示された実施形態では、X線源122および撮像子124は、ガントリー12に隣接するリング126に設けられる。ここでは、リング126が患者に対する撮像子124の位置を変えるために回転させられることが可能である。リング126は、また、ガントリー12から独立して可動であり、それにより、X線源122は、放射線源20に対して移動することができる。他の実施形態では、X線源122および撮像子124が、C字アーム、機械的リンク機構、または、治療システム10の構成部品などの他の構造上に設けられることが可能である。使用中に、X線源122は、患者などの対象物に向かって放射線を照射し、撮像子124は、放射線により規定される複数の伝送路における放射線吸収を測定する。撮像子124は、入射放射線の強度に比例した電圧を生じ、その電圧は読み取られ、プロセッサ54または別のプロセッサなどのコンピュータにおけるその後の処理のためにデジタル化される。ある実施形態では、撮像システム120が、また、撮像子124により生成された画像データを処理するために、プロセッサ54などのプロセッサを有する。
【0024】
ある実施形態による、治療システム10に対して患者の位置合わせを実行するために撮像システム120を用いる方法200について、図2を参照しながら説明する。まず、コンピュータ断層(CT)画像が患者16の一部位について取得される(ステップ202)。このようなことは、例えば、患者16が診断される診断時間において、または、治療計画が決定される治療計画時間に実行され得る。ある実施形態では、CT画像が、診断用放射線エネルギーを患者16に向かって送るCT機器を用いることにより取得され得る。他の実施形態においては、もし、放射線源20が、診断用エネルギーを送るように構成され、システム10が撮像子100を有するのであれば、システム10自体が、CT画像を取得するために用いられることが可能である。かかる場合には、患者16は、患者支持部14の上に位置させられ、コンピュータ断層法が、患者16の一部位(例えば標的組織)の3次元画像を取得するために実行される。コンピュータ断層処理においては、放射線源20および検出器100が、(例えばガントリー12を回転させることによる)異なるガントリーの角度における複数の画像データを生成するために用いられる。その画像データは、その後、3次元CT画像を復元するために処理される。CT法は、撮像の分野で知られており、詳細に説明されない。他の実施形態では、複数の画像データを生成するために診断用放射線エネルギーを用いる代わりに、もし放射線源20が治療用放射線エネルギーを送ることができるなら、画像データを取得するために、そのような治療用放射線エネルギーが用いられることが可能である。例えば、電気泳動表示装置(EPID)を用いて取得される一連の低線量画像などのMeV源から取得された画像が用いられ得る。ある実施形態では、そのEPIDは、画像を生成するMeV撮像子を有する。それは、治療用線量を送る前に、患者を位置決めするための低線量撮像を行うために用いられ得る。低線量撮像においては、各画像が、治療用線量に関するエネルギーパルスよりも非常に少ない数のエネルギーパルスで生成される。更に別の実施形態では、CT画像を取得するステップ202が、サーバまたはコンピュータに連結したものなど、記録装置または媒体からの保存画像データが読み取られることにより実行され得る。
【0025】
次に、治療時間の間に、患者16が、治療システム10と結合された作業位置に位置させられ、撮像システム120が、1つの集合の2次元X線画像を生成するために用いられる(ステップ204)。図3に示されるように、ある実施形態では、X線画像300が、少なくとも患者16の一部位の周りにX線源122および撮像子124を回転させ、X線源122が所定の位置(例えば回転角度)にある場合に診断用放射線を送るようにX線源122を活性化させることにより生成される。図示された実施形態では、X線源122が、標的組織310の少なくとも一部の18個のX線画像300a-300rを生成するために、10°のアーチの範囲308にわたり回転する。他の実施形態においては、X線源122が、異なる回転範囲308(例えば10°よりも大きい角度)にわたり回転するように構成されることが可能であり、および/または、X線画像300の数が18と異なっていてもよい(例えば18よりも多いまたは少ない)。他の実施形態では、角度範囲308が、5°と35°との間における値であり得る。また、他の実施形態では、X線画像300の数が、2と40との間における値であり得る。図示された実施形態では、X線画像300が、デジタル化された形式にある。他の実施形態においては、X線画像300が、異なる構成で生成されてもよい。例えば、X線源122と撮像子124との間の相対位置が、記載されたものと異なっていてもよい。また、他の実施形態では、画像300が取得される角度範囲308においてギャップがあってもよい。更に別の実施形態では、画像300間における角度の間隔が、不均一であってもよい。
【0026】
次に、プロセッサ54が、複数のトモシンセシス画像302を生成するためにX線画像300を処理する(ステップ206)。図3に示されるように、各トモシンセシス画像302は、撮像平面に垂直な軸304を有する。ここでは、軸304が、回転角度308の二等分線306にほぼ平行である。他の実施形態では、トモシンセシス画像302が、異なる方向性を有することが可能である。例えば、ある場合には、トモシンセシス画像302が、平面的な面上にない(例えば、それらは曲線をなす面上に構成されてもよい)。また、他の実施形態では、軸304が、二等分線306にほぼ平行でなく、その二等分線306と角度をなす。図示された実施形態では、4つのトモシンセシス画像302a〜302dが、いかなる数の画像をも含み得る生成された集合から、例えば80個までの画像または20個までの画像のように、2ミリメートル(mm)と15mmとの間における隣接した画像302間の間隔(例えば7mm)を備えつつ示される。全体として、間隔および画像302の数はいかなるものでもよく、また、それは、1)(z軸方向における)深度、および/または、2)トモシンセシス画像302によりカバーされるために望ましい深度の範囲に基づいて選択され得る。他の実施形態では、より多いまたはより少ないトモシンセシス画像302が生成されてもよい。例えば、他の実施形態においては、プロセッサ54が、1つのトモシンセシス画像を生成する。また、更に別の実施形態では、トモシンセシス画像302間の幾何学的間隔が、前述したものと異なっていてもよい。
【0027】
トモシンセシス撮像法においては、トモシンセシス画像302の各々が、複数のボクセルを決定することにより構築される。この場合、各ボクセルは、入力画像300におけるボクセルの減衰の事実(例えば画像または特性)を考察することにより決定される。この事実は、ボクセルの減衰を評価するために、全ての入力画像300から蓄積される。ボクセルの減衰は、部分的に、各入力画像300における対応ピクセルの値により表される。ピクセルの値は、また、ボクセルを通じて、また、画像300まで、X線源122から発射される放射線における全ての他のボクセルからの減衰を有する。ボクセルに対応する全ての画像300からのピクセルの値を加えることにより、そのボクセルにおける減衰の影響が建設的に蓄積される。ピクセル位置および各ボクセルに関する値の計算は、X線写真測量技術および取得済みの各入力画像300に関する画像検出器124およびX線源122の公知の構成に基づくものである。かかる技術は、「逆投影」と呼ばれる。
【0028】
この明細書で用いられる用語「トモシンセシス画像」または「トモシンセシススライス」は、逆投影技術における複数の投影画像を用いて生成された画像を表し、この場合、投影画像(入力画像)の数は、CT画像復元用に必要とされる集合における数よりも少なく、および/または、線源(source)および検出器の軌跡は、CT撮像法に用いられるものよりも制限されない。この定義のため、用語「投影画像」は、X線透過投影画像とともに、エミッション投影画像の両方の範囲に及ぶものである。また、ある実施形態では、この定義のため、CT画像の復元に必要とされる画像の集合は、180°に扇形ビームの角度を加算したガントリーの回転の範囲にわたって生成される画像(例えば300以上)を含むように考えられる。ある実施形態において、トモシンセシス画像を構築するための投影画像は、1°とCT撮像用の完全な投影の集合に必要とされるものより少ない角度範囲の値Xとの間における値である角度範囲にわたって取得される(例えば180°に扇形角度を加算したXで)。この場合、この範囲で生成される投影画像の数は、1と1000との間における値(例えば2)である。他の実施形態では、トモシンセシス画像を構築するための投影画像が、5°と45°との間における値である角度範囲にわたって取得される。この場合、この範囲で生成される投影画像の数は、5から100の間の値である。
【0029】
ある実施形態によるトモシンセシス画像を構築するための技術の一例について、図5Aおよび5Bを参照しながら説明する。一般的に、逆投影の処理は、図5Bの数式1により定義され得る。この数式は、図1のシステム10に関連したアイソセントリック(isocentric)な動作の構成だけでなく、全ての線源-撮像子の動作の構成に適用される。空間中の位置(x,y,z)でのトモシンセシス画像302におけるボクセル値V(x,y,z)は、(ui,vi)が画像Pi上へのボクセルV(x,y,z)の投影のピクセル座標であるとき、入力画像300からのピクセル値Pi(ui,vi)の和である。図示された例では、X線源122および撮像子124が、線源-撮像子の一定距離fと、主軸(すなわち線源から撮像子面へ落とされた垂線)の基点である固定された主点とにより規定される剛体を形成する。主点は、各画像に関するピクセル座標(u,v)の原点(0,0)として定義される。アイソセントリックな動きのシナリオに関し、線源-撮像子の剛体は、いかなる摂動もなしに、固定された回転の中心の周りに回転する。ある場合には、撮像子面上のピクセル格子のu軸が回転軸に平行なままであるという必要条件(すなわち主軸に対して撮像子124の横揺れがない)が課せられる。これにより、3次元復元座標(x,y,z)の原点が、回転の中心に規定されることが可能になり、併せて、x軸が、固定された回転軸に位置合わせされる。線源122は、円の半径が線源-軸の一定距離dであるy-z平面における円弧部分を旋回する。この弧部分にわたって得られた有限数の入力画像300は、その始点および終点を規定する。入力画像300のあらゆる集合に関して、z軸は、それが弧部分の中心に向くように規定される。各画像Piは、先に説明されまた図5Aに示されるような主軸とz軸との間における回転角度aiに対応する。図5Aは、復元されたスライス302および入力画像300の1つに関する線源-撮像子の位置を示すものである。アイソセントリックな構成のシナリオに関して、図5Bの数式2および3は、各画像PiにおけるボクセルV(x,y,z)の投影のピクセル座標(ui,vi)を与える。撮像子平面におけるピクセル間隔は、uおよびv方向において、それぞれ、duおよびdvと表される。
【0030】
図5Bの数式1〜3を用いて、あらゆるボクセルに関する減衰の評価値を求めることができる。トモシンセシススライスは、一表面を成す3次元空間におけるボクセルの連続した配列である。アイソセントリックな構成のシナリオに関して、トモシンセシススライスは、図5Aに示されるように平面がz軸に対して垂直であるとともに格子がx軸およびy軸に位置合わせされる、ボクセルの平面的かつ直線的な配列として規定されてもよい。平行なトモシンセシススライスの集合は、ボクセルの3次元の直線格子を形成し、その相対値がそれぞれ前述したように評価され得る。x,yおよびzにおけるボクセルの間隔およびスライスの数は、トモシンセシス構成処理に対する入力パラメータである。これに対して、ボクセルサイズまたは分解能は、入力画像300の数および構成に依存するものである。xおよびy方向におけるボクセルサイズは、ボクセル位置に対して投影された撮像子の本来のピクセル間隔により制限される。撮像子の本来のピクセル間隔は、この構成に関して、撮像子のピクセル間隔よりも小さくなり得る。zまたは深度の方向におけるボクセルの分解能は、入力画像300が取得される角度の範囲308または弧部分の長さにより少なくとも部分的に左右される。
【0031】
非構成的な方法でないものの、他のボクセルの減衰も加えられるため、復元されたトモシンセシス画像302のぼやけが結果として生じ得る。このぼやけに対処するために、様々な方法が実行され得る。ある実施形態では、トモシンセシス画像302が、フィルタリングと組み合わせられた逆投影を実行することにより、ぼやけ除去され得る。そのフィルタリングは、逆投影前に(フィルタ逆投影法)または逆投影後になされ得る。フィルタ逆投影に基づいて生成されたぼやけ除去済みのトモシンセシス画像は、従来のコンピュータ断層撮影法から採用されうるもので、逆投影の定理を用いて逆ラドン変換に基づくものである。しかしながら、コンピュータ断層撮影法と違って、トモシンセシス画像用の入力画像300の集合は、(CT画像を復元するために必要とされるものと比較して)完全なデータの集合でなくてもよい。
【0032】
他の実施形態によれば、3次元ぼやけ除去フィルタは、逆投影後に適用され得る。かかる場合、関心対象の容積をカバーする所定数のトモシンセシス画像(またはスライス)がまず構築される。その後、3次元ぼやけ除去フィルタが、それらのトモシンセシススライスに適用される。ひとつのフィルタリング技術では、撮像構成の知識が、構築された集合における全ての他のトモシンセシススライスにおけるコントラスト特性によって、各トモシンセシススライスに生じたぼやけをモデル化するために用いられる。この処理は、特にぼやけ除去されるスライスのための「ぼやけスライス」を形成し、それから取り去られる。これは、復元された集合における全てのトモシンセシススライスに関して繰り返される。この全体の処理は、各トモシンセシススライスからスライスを外れたコントラスト特性により生じたぼやけを更に除去するために、反復式に繰り返されることが可能である。
【0033】
例えば、図5Cを参照すれば、画像320b〜320dを用いて補正画像(ぼやけスライス)328aを決定し、トモシンセシス画像320aから補正画像328aを取り去ることにより、トモシンセシス画像302aにおけるぼやけた画像320aが除去される、または、少なくとも軽減され、それによって、改良された(または修正された)トモシンセシス画像330aが取得されることが示される。同様に、同じ技術が、ぼやけ画像320aおよび320c〜320dを用いて、トモシンセシス画像302bに実行されることが可能であり、それによって、改良されたトモシンセシス画像330bが生成される。また、同じ技術が、ぼやけ画像320a〜320bおよび320dを用いて、トモシンセシス画像302cに実行されることが可能であり、それによって、改良されたトモシンセシス画像330cが生成される。同じ技術は、また、ぼやけ画像320a〜320cを用いて、トモシンセシス画像302dに実行されることが可能であり、それによって、改良されたトモシンセシス画像330dが生成される。図示された実施形態に示されるように、補正画像は、補正されるものを除いた全てのトモシンセシス処理された画像(または全てのトモシンセシス処理された画像の部分集合)から計算される。前述した手順は、改良されたトモシンセシス画像の集合を生成するために、一度(第1の反復で)実行されてもよい。所望であれば、このとき、改良されたトモシンセシス画像の集合を用いて、所望の特性を有するトモシンセシス画像が取得されるまで、同じ処理が再度(例えば第2または第3の反復で)実行されてもよい。他の実施形態では、ぼやけ除去の手順が実行されない。このことは、プロセッサ54に関する計算時間を軽減し、方法200の効率を向上させるという利点を有する。
【0034】
図5Dは、最初に復元されたトモシンセシススライス302の集合の2つのスライスを示す。スライスkは、その外側のコントラスト特性により生じるぼやけパターンを評価することを望まれるトモシンセシススライスであるとする。線源122および撮像子124の動作によりカバーされる容積の範囲内に含まれるこれらのコントラスト特性のほとんどを含むように、最初のスライスの集合は十分に大きく、また、それは、十分に細かい間隔を有すると考え得る。ボクセル位置(x,y,zk)でのぼやけへの寄与の総計は、図5Bの数式4で与えられる。ここで、Vbは、スライスk以外のスライスにおける所定のボクセルからの全てのぼやけの寄与の平均である。各スライスにおけるこれらの「ぼやけを起こさせる(blur-causing)」ボクセルの位置は、トモシンセシススライスに対するX線源122の軌跡により定義される。数式4では、インデックスjにわたる総和が、異なるトモシンセシススライスからの寄与を表す一方、インデックスiにわたる総和が、各トモシンセシススライスにおける一連のボクセル位置にわたるボクセル値の積算を表している。また、数式4では、Ncが、通常は、スライスの数から入力画像の数が乗じられた値を引いたものである平均カウント値である。数式5は、元のボクセル値からぼやけ値Vbを引くことにより、ぼやけ除去されたボクセル値を与える。図5Bの数式4および5は、一般的な3次元ぼやけ除去処理を記述するもので、アイソセントリックな構成に限定されない。図5Dに示されるように、入力画像iに関する線源122の位置に対応するぼやけを起こさせるボクセルの位置(xi,yi,zi)は、入力画像iに関する線源122から、トモシンセシススライスkにおけるボクセル位置(x,y,zk)への放射線投射の交点にある。アイソセントリックな構成のシナリオに関して、スライスjにおけるこのボクセル位置は、図5Bの数式6および7により与えられる。ぼやけ除去されたトモシンセシススライス330のボクセルの間隔は、トモシンセシス画像302の最初の復元集合のボクセルの間隔とは異なってもよい。ある実施形態では、所望の最終の間隔よりもより細かいボクセルの間隔で、最初のスライスの集合が構築されることが有利であるかもしれない。
【0035】
トモシンセシス画像を生成するための技術は、前述した例に限定されるものでなく、トモシンセシス画像を生成するための他の公知の技術もまた、他の実施形態で用いられ得ることに留意すべきである。
【0036】
他の実施形態では、トモシンセシス画像を生成するために用いられる画像(データ)が、全回転円錐ビームCTについて取得される画像の部分集合であってもよい。例えば、全円錐ビームCTの集合を取得する処理が実行される一方、(画像の所定の部分集合を用いる)トモシンセシス画像のゲート構築が、位置決めの目的で実行されてもよい。更に別の実施形態では、ステップ206にてトモシンセシス画像302/330が生成される代わりに、トモシンセシス画像302/330が、別のプロセッサ、コンピュータ、または、サーバ等の装置からトモシンセシス画像302/330を受け取るプロセッサ54により取得される。
【0037】
続いて、図2に戻り、基準CTデータから2次元CT画像スライスが取得され(ステップ202によって取得され)、2次元CT画像スライスに最も合致したトモシンセシス画像が決定される(ステップ208)。図示された実施形態では、2次元CT画像スライスが、(1)それが関心対象の領域(例えば治療領域)を通過し、(2)それがステップ206によって決定されたトモシンセシス画像の平面に平行であるという基準に基づいて決定される。ある実施形態では、CTスライス400の厚さが、トモシンセシス画像302/330の(z方向における)深さ分解能にほぼ同じであり、その結果、CT画像スライス400およびトモシンセシス画像302/330が、照合のためにより適したものとなる。図4は、2次元CT画像スライス400が3次元CT画像402から選択される例を示し、ここで、2次元CT画像スライス400が、標的組織の特性(例えば画像)404を有している。図示された例では、2次元CT画像スライス400の平面が、トモシンセシス画像302/330のそれらに平行である。
【0038】
2次元CT画像スライス400が決定された後、プロセッサ54が、(例えば、ステップ206によって決定されたトモシンセシス画像302/330の中から)2次元CT画像スライス400に最も合致したトモシンセシス画像302/330を決定する。ある実施形態では、もしCT画像スライス400およびトモシンセシス画像302/330が異なるフォーマットを有すれば、プロセッサ54がCT画像スライス400およびトモシンセシス画像302/330の各フォーマットの一方または両方を、CT画像スライス400およびトモシンセシス画像302/330が比較のために同じフォーマットを有するように変換する。例えば、かかる再フォーマットは、画像のフィルタリングまたは補間による再サンプリングを有してもよい。CT画像スライス400およびトモシンセシス画像302/330の比較は、当該技術分野で知られたいかなる撮像技術を用いて実行されてもよい。ある実施形態では、合致度が、2次元CT画像スライス400をトモシンセシス画像302/330の各々と比較することにより計算され得る。例えば、合致度は、基準CTスライス400およびトモシンセシス画像302/330を相互相関させることにより2次元テンプレート照合を用いて計算されることが可能である。合致度は、ピークの相互相関の値である。ピークの相互相関の位置は、基準の2次元CT画像スライス400とトモシンセシス画像302との間の移動(shift)を表す。照合処理は、基準CTスライス400と所定の探索領域により再構築された全てのトモシンセシス画像302/330(または全てのトモシンセシス画像302/330の部分集合)との間で繰り返される。結果として最大の合致度およびその合致位置(ピーク位置)を生じるトモシンセシス画像302/330は、3次元空間において標的の場所を特定するために用いられる。
【0039】
次に、プロセッサ54は、ステップ202で決定された2次元CT画像スライス400の、探索領域におけるトモシンセシス画像302/330の1つへの合致に基づいて、標的組織の少なくとも一部の第1の座標(x1,y1,z1)を決定する(ステップ210)。x1およびy1は合致のピーク位置から導き出され、z1はz方向における合致したトモシンセシススライスの位置から導き出される。図示された実施形態においては、CT画像スライス400の合致および位置のずれが、標的組織の少なくとも一部(例えば一点)の(例えば治療システム10の基準における)座標の初期の評価値を提供する。トモシンセシス画像302の分解能が、z方向よりもx-y方向においてより高いため、決定された座標の精度が、z方向よりもx-y方向において比較的高い(すなわちx1,y1の値が、z1の値よりも比較的より精度が高い)。しかし、ある実施形態では、z方向における十分な空間分解能を提供するために、もしトモシンセシス画像302がz方向においてより接近して間隔を置かれれば、座標の初期の評価値(x1,y1,z1)は、標的組織の座標として用いられることが可能である。
【0040】
他の実施形態では、もし決定された座標に関する付加的な精度が求められれば、撮像システム120が、X線画像の第2の集合を取得するために用いられ得る。それらは、第1の集合のX線画像300とともに、より精度の高い座標を取得するために用いられる。特にX線源122および撮像子124が、第2の集合のX線画像450を取得するために配置されることが可能であり、その場合、X線画像450は、第2の集合のトモシンセシス画像452を構成するために用いられる(図6)。例えば、トモシンセシス画像452の1つが、第1の決定済みの座標(x1,y1,z1)がかかるトモシンセシス画像452内にあるように、また、第2の集合のトモシンセシス画像452が、第1の集合のトモシンセシス画像302の方向から約40から140度である角度480にあるように、生成されることが可能である。代替的に、第2の集合のトモシンセシス画像452の方向が、第1の集合のトモシンセシス画像302に対して他の角度をなすように方向付けられてもよい。次に、同じ照合処理が、第2の集合の画像から生成されたスライスに関して繰り返され得る。しかしながら、このとき、基準のCTスライス402は、(治療平面において規定されるような)標的容積の中心を再度通過しつつ、取得弧部分の中心に対応する画像の主軸に垂直である。上記技術は、トモシンセシス画像452(または、もしぼやけ除去技術が用いられれば、改良されたトモシンセシス画像)の1つとの最良の合致を決定するために用いられることが可能であり、標的組織の第2の座標(x2,y2,z2)が、前述したのと同様に、合致の結果に基づいて取得される。ある実施形態では、(第1の集合のトモシンセシス画像302から取得された)標的組織の第1の座標(x1,y1,z1)が、第2の集合のトモシンセシス画像452に関する最良の合致の決定において助けとするように用いられ得る。例えば、各集合からの2つの最良の合致スライスは、立体視構成における2つの正射影のビューとして見なされ得る。1つのビューにおける1つの点(x1,y1)は、他のビューにおける合致点に関する探索を、(エピポーラ線と呼ばれる)ラインに限定する。更に、第1のビューにおけるおおよそのz1座標の決定は、その探索を、このラインの一部分に限定する。このことは、間違った合致を生じさせる可能性を軽減する少なくとも1つの利点を備えつつ、各画像における合致に関する探索領域を限定する助けになり得る。また、トモシンセシス画像452の分解能が、z方向よりも各x-y平面においてより高いため、第2の決定済みの座標(x2,y2,z2)の精度が、z方向よりも各x方向およびy方向において比較的より高い(すなわち、x2,y2の値が、z2の値よりも比較的より精度が高い)。かかる場合には、第1の決定済みの座標からの(x1,y1)の値、および、第2の決定済みの座標からの(x2,y2)の値が、三角測量を用いて、標的組織の3次元座標(xt,yt,zt)を決定するために用いられ得る。
【0041】
ある実施形態では、3次元座標(xt,yt,zt)が、標的組織の少なくとも一部(例えば一点)の位置として用いられる。代替的に、もし付加的な精度が求められれば、前記ステップ204〜210が繰り返されてもよい。それに伴い、3次元座標(xt,yt,zt)は、座標(xt,yt,zt)がトモシンセシス画像302の1つの平面内にあるように、第1の集合のトモシンセシス画像302を生成するために用いられる(ステップ212)。他の実施形態では、もし方法200が第2の集合のトモシンセシス画像452を生成することを含んでいなければ(すなわち、座標(xt,yt,zt)が利用可能でなければ)、ステップ204〜210が繰り返される間に、座標(x1,y1,z1)がトモシンセシス画像302の1つの平面内にあるように、第1の集合のトモシンセシス画像302を生成するのに、第1の決定済みの3次元座標(x1,y1,z1)が代わりに用いられることが可能である。方法は、付加的な有効な向上が観察されなくなる(実現可能な最良の精度が得られたことを意味する)まで、または、所定の数の反復に達するまで、各反復において合致度を向上させる目的で、1回またはそれ以上の回数繰り返されてもよい。
【0042】
ある実施形態では、方法200におけるステップ204〜210が、治療期間の始めにおいて(例えば放射線源20が患者16を治療するための治療用放射線ビームを送り出すように活性化される前に)実行され得る。例えば、前記方法200における標的組織の決定済みの3次元座標は、患者を位置決めするために、例えば、患者を放射線治療システム10に対して位置合わせするために、または、放射線源20に対して標的組織を位置合わせするために用いられることが可能である。他の実施形態では、ステップ204〜210が、治療期間(例えば治療用放射線ビームの送り出しの間に、または、治療用放射線ビームパルスの送り出しの間に)実行され得る。例えば、前記方法200における標的組織の決定済みの3次元座標は、標的組織の場所を検証するために、標的組織の動きを追跡するために、および/または、放射線源20および/またはコリメータ22の動作を制御するために用いられてもよい(例えばプロセッサ54が、放射線源20を活性化するまたは非活性化するために、および/または、決定済みの3次元座標に基づいてコリメータ22におけるリーフ(可動部)の位置を制御するように構成されてもよい)。かかる場合には、ステップ206〜210が、ほぼリアルタイムで(例えば、X線画像がステップ204にて取得された後の数秒以内に)実行される。
【0043】
前記実施形態に示されたように、トモシンセシス画像302が、比較的わずかな数のX線画像300を用いて生成され得るため、トモシンセシス画像302は、(少なくともCT撮像と比較される場合に)迅速にかつ患者16を大量の放射線にさらすことなしに生成されることが可能である。そのように、標的組織の位置を決定するには、CT画像を用いるよりも、トモシンセシス画像を用いることがより有用である。CT画像は、(CT復元に必要とされる撮像データの品質のため)患者16をより大量の放射線にさらすこと、および、生成を行うためのより大規模な計算資源を要する。
【0044】
システム10を用いる方法200は、前述した例に限定されるものでない。他の実施形態では、1つまたは複数のステップが、方法200における別のステップと組み合わせられることが可能である。更に別の実施形態では、方法200が、ステップ202〜210の全てを有する必要はない。
【0045】
<患者位置検知システム>
ある実施形態では、放射線治療システム10の動作が、生理的な位置、および/または、患者の一部分の位置に少なくとも部分的に基づくものであり得る。例えば、本明細書に記載される放射線治療システム10の実施形態のいずれか1つにおいては、システム10が、患者位置検知システム500を更に有することができる(図7)。患者位置検知システム500は、光学装置502およびマーカーブロック504を有する。図示された実施形態では、光学装置502は例えばCCD(charge coupled device)カメラなどのカメラであるが、対象物を検知し得る他のタイプの光学センサであってもよい。光学装置502は、天井に、システム10に、または、支持スタンド(不図示)に取り付けられ得る。マーカーブロック504は、少なくともそれらの幾つかが光学装置502により視認/検知され得るように位置決めされる複数のマーカー506を有する。マーカー506は、反射物体を用いて実装され得る。図示された実施形態では、光学装置502が、プロセッサ54に連結される。プロセッサ54は、光学装置502から受け取った入力に基づいて、放射線20および/またはコリメータ22の動作を制御する。代替的には、光学装置502が、光学装置502から受け取られた画像信号を処理するための別個のプロセッサ(不図示)に連結されてもよい。
【0046】
使用中、マーカーブロック504は、患者16に固定され、光学装置502は、マーカーブロック504上のマーカー506の少なくとも幾つかの位置を検知するために用いられる。マーカー506の少なくとも幾つかの検知された位置に基づいて、プロセッサ54は、次いでマーカーブロック504の位置および方向を決定する。マーカーブロック504の決定された位置および方向は、その後、患者16が動いたかどうかを判断するために、および/または、患者16により起こされた移動量を決定するために用いられることが可能である。
【0047】
患者位置検知システム500が、光学装置502およびマーカーブロック504を有するように記載されてきたが、他の実施形態では、他の位置/動作検知装置が、患者位置検知システム500として用いられ得る。そのように、患者位置検知システム500は、光学装置502およびマーカーブロック504を備えても備えなくてもよい。例えば、他の実施形態においては、患者位置検知システム500が、患者16の少なくとも一部分を検知するために、1つまたは複数の赤外線位置センサを有する。他の実施形態では、患者位置検知システム500が、患者16の少なくとも一部分を検知するために、1つまたは複数の磁場センサ、1つまたは複数のマイクロ波エネルギーセンサ、または、1つまたは複数の超音波エネルギーセンサを有する。
【0048】
患者位置検知システム500が、前述した構成に限定されるべきでないこと、および、患者位置検知システム500が、他の実施形態において別の構成を有することができることに留意すべきである。例えば、他の実施形態では、単一の光学装置502の代わりに、患者位置検知システム500が、マーカーブロック504を検知するために、1つまたは複数の付加的な光学装置502を更に有することができる。また、他の実施形態においては、患者位置検知システム500が、患者16上の異なる位置に配置された1つまたは複数のマーカーブロック504を更に有することができる。更に別の実施形態では、マーカーブロック504が、立方体の形状を有する代わりに、半球形状、円錐形状、または、他のカスタマイズされた形状など、他の形状を有することができる。
【0049】
ある実施形態による、図7の治療システム10に対して患者の位置合わせを実行するために(例えば患者を位置決めするために)撮像システム120を用いる方法600について、図8を参照しながら説明する。まず、複数のコンピュータ断層(CT)画像が、患者16の一部分について取得される(ステップ602)。このようなことは、例えば、患者16が診断される診断期間において、または、治療計画が決定される治療計画期間において実行され得る。取得されたCT画像の各々は、患者16の生理的周期の異なる位相で生成され、それによって、患者16の生理的周期の対応する位相と対応付けされる。この明細書で用いられる用語「位相」は、患者の一部分の生理的周期(例えば呼吸周期または心臓周期)の完了の度合いを意味するものである。例えば、位相は、0%と100%との間にある値を有してもよい。かかる場合、50%の位相値は、生理的周期の半分の完了を表す。別の例として、位相が、0°と360°との間にある値を有してもよい。かかる場合には、180°の位相値が、生理的周期の半分の完了を表す。ある実施形態では、生理的周期の位相が、患者位置検知システム500を用いて決定され得る。例えば、マーカーブロック504は、患者の胸部に配置されることが可能であり、また、そのとき、光学装置502は、患者の胸部が患者の呼吸によって動く際に、マーカーブロック504の位置および方向を検知するために用いられ得る。マーカーブロックの位置データ(例えば振幅データ)は、そのとき、本明細書に記載されるように、生理的周期の位相を決定するために用いられ得る。
【0050】
続いて、治療期間の間に、患者16は、治療システム10と結合された作業位置に位置させられ、撮像システム120は、2次元x線画像300の集合を生成するために用いられる(ステップ604)。プロセッサ54は、そのとき、複数のトモシンセシス画像302を生成するために、x線画像300を処理する(ステップ606)。トモシンセシス画像302が、生理的周期のある位相(または狭い範囲の位相)の間に取得されるx線画像300を用いて生成されるため、トモシンセシス画像302は、全て、生理的周期の同じ位相と対応付けされる。ステップ604および606は、それぞれ、方法200のステップ204および206と同様である。
【0051】
次に、プロセッサ54は、トモシンセシス画像302の位相に対応する位相を有する(ステップ602で取得された)CT画像の集合から、3次元CT画像を決定する(ステップ607)。かかる内容は、図9に示される図表により例示される。マーカーブロック504の位置をモニタすることにより、患者16の一部分(例えば胸部)の振幅が時間とともにどのように変化するかを示す図表700が生成される。振幅および時間のデータに基づいて、生理的周期の完了の度合いが時間とともにどのように変化するかを示す位相図702が生成されることが可能である。その例においては、360°または0°の位相値が、生理的周期のピーク704に対応する。図9は、また、位相範囲708に対応する時間区間(継続時間)706内に(ステップ604によって)生成された複数のx線画像300、および、(ステップ606によって生成された)複数のトモシンセシス画像302を示している。トモシンセシス画像320は、位相範囲708の平均である位相値(例では180°である)と対応付けされる。他の実施形態では、x線画像300が、生理的周期の同じ位相で生成され得る。これは、患者16に息を止めるように指示することにより、または、複数のx線画像が同時に生成され得るように複数のx線源および撮像子を提供することにより、実現されることが可能である。そのような場合、トモシンセシス画像302に対応付けされた位相値は、x線画像300が生成されたところでの位相値である。
【0052】
図9の例において、ステップ602で取得されるCT画像は、それぞれ、生理的周期の位相0°(または360°)、60°、120°、180°、240°および300°で生成された6つのCT画像402a〜402fを有する。ステップ607では、プロセッサ54が、CT画像402の集合から、1つのCT画像を選択する。その位相は、トモシンセシス画像302の位相と最も良く合致するものである。例においては、トモシンセシス画像302が180°の位相値に対応付けされているので、プロセッサ54は、CT画像としてCT画像402dを選択する。その位相(180°)は、トモシンセシス画像302の位相と最も良く合致するものである。他の実施形態では、トモシンセシス画像302およびCT画像402の合致位相は、同一である必要はない。かかる場合には、プロセッサ54が、その位相がトモシンセシス画像302の位相に最も近いCT画像402を選択する。また、ステップ602で取得されたCT画像の数は、例で示されるような6に限定されるものでないこと、および、CT画像の数は、他の実施形態では、6よりも多くまたは少なくなり得ることに留意すべきである。
【0053】
次に、2次元CT画像スライス400がCTデータの集合から決定され(ステップ607によって取得され)、プロセッサ54は、2次元CT画像スライス400に最も良く合致するトモシンセシス画像302を決定する(ステップ608)。述べたのと同様に、ある実施形態では、2次元CT画像スライス400は、(1)それが関心対象の範囲(例えば治療範囲)を通過する、また、(2)それが、ステップ606によって決定されたトモシンセシス画像の平面に平行であるという基準に基づいて選択され得る。2次元CT画像スライス400が決定され、また、CT画像スライス400と合致するトモシンセシス画像が決定された後、プロセッサ54は、合致によって取得されたデータに基づき標的組織の第1の座標(x1,y1,z1)を決定する(ステップ610)。ステップ608および610は、それぞれ、方法200のステップ208および210と同様である。ある実施形態では、第1の座標(x1,y1,z1)が、標的組織の座標として用いられる。他の実施形態においては、第2の集合のトモシンセシス画像452が、第2の座標(x2,y2,z2)を取得するために生成されることが可能であり、また、第1の座標からの(x1,y1)の値、および、第2の座標からの(x2,y2)の値が、前述したように、三角測量を用いて標的組織に関する3次元座標(xt,yt,zt)を計算するために用いられる。ある実施形態では、第2の集合の入力画像が、呼吸が同じ位相にある間に取得されることが可能であり、また、ガントリーが、例えば、第1の集合が対応付けされた角度から十分に異なる角度(例えば40°より大きい)にある。
【0054】
ある実施形態では、前述した処理が、生理的周期の異なる位相について繰り返され得る。例えば、前記処理はN回繰り返されることが可能であり、ここで、値Nは、ステップ602にて取得されたCT画像402の数に対応するものである。
【0055】
前述した処理によって取得された結果は、種々の目的のために用いられ得る。ある実施形態では、その結果が、ゲート閾値(gating thresholds)の検証のために(例えば、標的が、例えば前記位置検知システム500により検知されたゲート間隔の間またはその範囲外にて、基準画像により規定されるような計画された位置にあるかどうかを検証するために)利用され得る。他の実施形態では、その結果が、また、例えば呼吸により動く標的の連続した追跡のために利用され得る。更に別の実施形態においては、前述した患者位置検知装置が、また、ゲート設定使用(gated setup application)のために、呼吸運動およびその位相を評価するために用いられることが可能である。
【0056】
トモシンセシス撮像システム120は、前述した例に限定されないこと、および、トモシンセシス撮像システム120が、他の実施形態において別の構成を有し得ることに留意すべきである。例えば、他の実施形態において、トモシンセシス撮像システム120は、治療機器とは別個の装置として実現される(図10)。また、他の実施形態において、トモシンセシス撮像システム120は、C字アーム構造を有することができる(図11)。更に別の実施形態では、トモシンセシス撮像システム120のx線源122および撮像子124が、円(または部分的に円)運動で移動しない。例えば、x線源122は、並進運動で移動するように構成され得る。他の実施形態では、線源122が、撮像子平面に平行な平面において移動するように構成される。他のタイプの線源および撮像子の相対動作が、他の実施形態にて用いられてもよい。
【0057】
更に、他の実施形態では、システム10が、撮像システム120を備えていない。かかる場合には、撮像システム120を用いてトモシンセシス画像を生成する代わりに、放射線源20および撮像子100が、トモシンセシス画像の復元用のデータを生成するために用いられ得る。治療の間には、放射線源20が、標的とされた組織を治療するための治療用放射線、および、トモシンセシス画像を決定するために利用され得るデータを生成するための診断用放射線を交互に送り出すことができる。
【0058】
更に、前記システム10および方法200,600は、基準画像としてCT画像データを取得する場合について説明されてきたが、他の実施形態では、CT画像の代わりに、他の形式の画像が用いられることが可能である。例えば、他の実施形態では、ステップ202にてCT画像を取得する代わりに、システム10のプロセッサ54が、基準画像としての用途のために、トモシンセシス画像、蛍光透視像、PET(positron emission tomography(ポジトロン放出断層撮影))画像、超音波画像、MRI(magnetic resonance imaging(磁気共鳴映像法))画像、または、SPECT(single photon emission computed tomography(単光子放射型コンピュータ断層撮影))画像を受け取る。
【0059】
更に、別の実施形態では、治療放射線システムの代わりに、システム10が、放射線を送り出すよう構成されることもされないこともある診断用機器、シミュレータ、検査機器、または、別の機器(例えばオンボードイメージング(On-Board-Imaging:OBI)機器)などの種々の機器のいずれかであってもよい。例えば、ある実施形態では、システム10が、患者の手術を行うためのロボットアームを有することができる。かかる場合には、撮像システム120が、ロボットアームに対して患者を位置決めするために利用され得る。また、他の実施形態では、システム10が、医学的用途の機械でなくてもよい。
【0060】
<コンピュータシステムアーキテクチャ>
図12は、本明細書で説明される種々の機能を実行するために利用され得るコンピュータシステム1100の一実施形態を示すブロック図である。コンピュータシステム1100は、情報を伝達するためのバス1102または他の伝達メカニズム、および、情報を処理するためのバス1102と連結されたプロセッサ1104を有する。プロセッサ1104は、図1のプロセッサ54の一例であってもよく、または、代替的に、プロセッサ54の構成部品の一例であってもよい。コンピュータシステム1100は、また、情報、および、プロセッサ1104により実行されるべき命令を記憶するための、バス1102に連結されたランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶装置などのメインメモリ1106を有する。メインメモリ1106は、また、プロセッサ1104により実行されるべき命令の実行の間に、一時的数値変数または他の介在する情報を記憶するために用いられ得る。コンピュータシステム1100は、静的な情報およびプロセッサ1104用の指示を記憶するための、バス1102に連結されたリードオンリーメモリ(ROM)1108または他の静的記憶装置を更に有する。磁気ディスクまたは光ディスクなどのデータ記憶装置1110が、情報および命令を記憶するために装備されバス1102に連結される。
【0061】
コンピュータシステム1100は、ユーザに対して情報を表示するために、バス1102を介して、陰極線管(CRT)などのディスプレイ1112へ連結されてもよい。英数字または他のキーを含む入力装置1114が、プロセッサ1104へ情報およびコマンドの選択を伝達するために、バス1102へ連結される。他のタイプのユーザ入力装置は、方向の情報およびコマンドの選択をプロセッサ1104に伝達するための、また、ディスプレイ1112上におけるカーソル動作を制御するための、マウス、トラックボール、または、カーソル方向キーなどのカーソルコントロール1116である。この入力装置は、典型的には、第1の軸(例えばx)および第2の軸(例えばy)の2軸における2の自由度を有し、それにより、デバイスが、平面において位置を特定することが可能となる。
【0062】
ある実施形態では、コンピュータシステム1100が、本明細書で説明される種々の機能を実行するために用いられ得る。本発明のある実施形態によれば、かかる用途は、メインメモリ1106に含まれる1つまたは複数の命令の1つのまたはそれ以上のシーケンスを実行するプロセッサ1104に応じて、コンピュータシステム1100により提供される。当業者は、本明細書で説明される機能および方法に基づいてかかる命令を準備する方法を知っているであろう。かかる命令は、記憶装置1110などの別のコンピュータ読み取り可能な媒体からメインメモリ1106内に読み取られ得る。メインメモリ1106に含まれる命令のシーケンスの実行により、プロセッサ1104は、本明細書で説明される処理ステップを実行させられる。メインメモリ1106に含まれる命令のシーケンスを実行するために、多重処理の構成における1つまたは複数のプロセッサが採用されてもよい。代替的な実施形態では、本発明を実施するために、配線回路が、ソフトウェア命令の代わりに、または、ソフトウェア命令と組み合わせられて用いられてもよい。そのため、本発明の実施形態は、ハードウェア回路およびソフトウェアのいかなる特定の組合せにも限定されるものでない。
【0063】
本明細書で用いられる用語「コンピュータ読み取り可能な媒体」は、実行のために、プロセッサ1104に命令を提供することに関与するいかなる媒体をも表すものである。かかる媒体は、それに限定される訳ではないが、不揮発性媒体、揮発性媒体および伝送媒体を含む多くの形式をとることができる。不揮発性媒体は、例えば、記録装置1110などの光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ1106などの動的メモリを含む。伝送媒体は、バス1102を有するワイヤを含みつつ、同軸ケーブル、銅線および光ファイバを含む。伝送媒体は、また、電波および赤外線データ通信の間に生成されるものなどの、音響のまたは光波の形式をとることもできる。
【0064】
コンピュータ読み取り可能な媒体の一般的な形式は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または、いかなる他の磁気媒体、CD-ROM(コンパクトディスクROM)、いかなる他の光学媒体、穿孔カード、紙テープ、穴のパターンを備えたいかなる他の物理的な媒体、RAM、PROM(プログラム可能ROM)、およびEPROM(消去可能プログラム可能ROM)、フラッシュEPROM、いかなる他のメモリチップまたはカートリッジ、後述されるような搬送波、または、コンピュータがそこから読み取ることができるいかなる他の媒体をも含む。
【0065】
種々の形式のコンピュータ読み取り可能な媒体は、実行のために、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ1104へ伝達するに際し必要とされてもよい。例えば、命令は、最初に、リモートコンピュータの磁気ディスク上で伝達されてもよい。リモートコンピュータは、命令を動的メモリに読み込み、モデムを用いて電話回線を介してその命令を送ることができる。コンピュータシステム1100にローカルなモデムが、電話回線上でデータを受け取り、そのデータを赤外線信号に変換するために、赤外線トランスミッタを用いることができる。バス1102に連結された赤外線検出器が、赤外線信号にて伝達されるデータを受け取り、バス1102上にそのデータを出力することができる。バス1102は、そのデータをメインメモリ1106へ伝達し、プロセッサ1104は、そこから命令を読み出し、実行する。メインメモリ1106により受け取られた命令は、プロセッサ1104による実行の前後のいずれかに、記憶装置1110に任意に保存され得る。
【0066】
コンピュータシステム1110は、また、バス1102に連結された通信インターフェース1118を有する。通信インターフェース1118は、ローカルネットワーク1122に接続されたネットワークリンク1120に連結しつつ、双方向のデータ通信を提供する。例えば、通信インターフェース1118は、対応する種類の電話回線へのデータ通信接続を提供するために、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カードまたはモデムであってもよい。別の例として、通信インターフェース1118は、互換性のあるLANに対するデータ通信接続を提供するために、ローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。ワイヤレスリンクが装備されてもよい。いかなるこのような実施に際しても、通信インターフェース1118は、種々のタイプの情報を表すデータストリームを伝達する電気的、電磁的または光学的な信号を送受信する。
【0067】
ネットワークリンク1120は、典型的には、1つまたは複数のネットワークを通じて、他の装置へのデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク1120は、本明細書での装置(例えば装置166、システム10、患者サポートシステム200など)のいずれかのような、ホストコンピュータ1124への、または、装置1126へのローカルネットワーク1122経由の接続、または、本明細書に説明される装置のいずれかに動作可能に連結されるスイッチを提供してもよい。ネットワークリンク1120上に伝達されるデータストリームは、電気的、電磁的または工学的な信号を有することができる。コンピュータシステム1100への、また、コンピュータシステム1100からのデータを伝達する種々のネットワーク経由の信号、および、ネットワークリンク1120内のまた通信インターフェース1118経由の信号は、情報を伝達する搬送波の典型的な形式である。コンピュータシステム1100は、プログラムコードを含みつつ、ネットワーク、ネットワークリンク1120、および、通信インターフェース1118を介して、メッセージを送り、データを受け取ることができる。
【0068】
特定の実施形態が示され説明されてきたが、それらが、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものでないことは理解されるであろう。また、本願の思想および範囲を逸脱することなく、種々の変形および改良がなされ得ることは当業者に明らかであろう。例えば、他の実施形態では、放射線治療システム10または撮像システム120が、本明細書で説明される1つまたは複数の構成要素を有しなくてもよい。更に、プロセッサ54により実行される動作は、ハードウェアおよびソフトウェアのいかなる組合せによっても実行されることが可能であり、また、「プロセッサ」の特定の定義を含む特定の実施形態に限定されるべきでない。加えて、本明細書で用いられる用語「画像」は、回路またはコンピュータ読み取り可能な媒体に保存され得る画像データを含み、また、視覚的に表示される画像データに限定されるべきでない。したがって、明細書および図面は、限定的な意味よりもむしろ例示的な意味でとらえられるべきものである。本発明は、特許請求の範囲により規定されるような本発明の思想および範囲内に含まれ得る、代替的なもの、改良されたもの、および、同等のものを含むことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】ある実施形態によるトモシンセシス撮像システムを有する放射線治療システムを示す図である。
【図2】ある実施形態による図1のトモシンセシス撮像システムを用いて、標的組織の少なくとも一部の位置を決定する方法を示す図である。
【図3】図1のトモシンセシス撮像システムを用いて生成された複数のトモシンセシス画像を示す図である。
【図4】3次元コンピュータ断層画像から選択された2次元画像スライスを示す図である。
【図5A】ある実施形態によるトモシンセシス画像を構築する原理を示す図である。
【図5B】ある実施形態によるトモシンセシス画像を構築するために用いられ得る数式を示す図である。
【図5C】トモシンセシス画像を向上させるために用いられる技術の一例を示す図である。
【図5D】トモシンセシス画像を向上させるために用いられる技術の一例を示す図である。
【図6】ある実施形態によれば取得される2つの集合のトモシンセシス画像を示す図である。
【図7】ある実施形態による患者の位置を検知するシステムを更に有する放射線治療システムを示している、図1の放射線治療システムを示す図である。
【図8】ある実施形態による図7のトモシンセシス撮像システムを用いて標的組織の位置を決定する方法を示す図である。
【図9】複数の基準のコンピュータ断層画像から選択されるコンピュータ断層画像を示す図である。
【図10】ある実施形態によるトモシンセシス撮像システムを有する放射線治療システムを示す図である。
【図11】ある実施形態によるトモシンセシス撮像システムを有する放射線治療システムを示す図である。
【図12】ある実施形態による、本明細書で説明される様々な機能を実行するために用いられ得るコンピュータシステムのブロック図を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
10 放射線治療システム
12 ガントリー
13 開口部
14 患者支持部
16 患者
18 制御システム
20 放射線源
22 コリメータシステム
26 放射線ビーム
40 コントロール
54 プロセッサ
56 モニタ
58 入力装置
100 撮像子
120 撮像システム
122 X線源
124 撮像子
126 リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源および撮像子を備える撮像システムと、
前記撮像システムを用いて対象物のトモシンセシス画像を取得し、前記トモシンセシス画像を用いて前記対象物の位置または形状を決定するように構成されたプロセッサと、
を備える画像処理システム。
【請求項2】
前記X線源および前記撮像子は、前記対象物に対して回転可能である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記撮像子は、複数のX線画像を取得するために5°から45°の間の角度にわたって回転するように構成される請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記線源は、5から100の間の値である数で構成される請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記X線源は、前記対象物に対して平行移動可能である請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
治療用放射線源をさらに備え、
前記対象物の位置は、前記放射線源に対応付けされた座標系に対して決定される請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、複数のX線画像を処理することによって前記対象物のトモシンセシス画像を取得するように構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、さらに、前記トモシンセシス画像を修正するためにぼやけ除去処理を実行するように構成される請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、さらに、CT(コンピュータ断層撮影)画像を受信し、前記トモシンセシス画像を前記CT画像の少なくとも一部と比較するように構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記対象物は、患者の少なくとも一部であり、
前記CT画像の少なくとも一部は、前記CT画像の2次元CT画像スライスである請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記トモシンセシス画像は、第1の時間区間の間に前記患者の第1の生理的周期の位相について取得され、
前記プロセッサは、さらに、
第2の時間区間の間に前記患者の第2の生理的周期の各位相において生成される複数の基準CT画像を受信し、
前記複数の基準CT画像から前記トモシンセシス画像に対応付けされた位相に最も良く合致する対応位相を有する前記CT画像を選択するように構成される請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
対象物の画像を取得するステップと、
前記対象物の基準画像を取得するステップと、
を有し、
前記基準画像は、前記画像の平面に平行な平面を有し 、
前記基準画像を前記画像と比較するステップと、
少なくとも部分的にその比較結果に基づいて前記対象物の座標を決定するステップと、
をさらに有する対象物の位置を決定する方法。
【請求項13】
前記画像を取得するステップは、
第1の位置に配置されたX線源を用いて前記対象物の第1のX線画像を取得するステップと、
前記第1の位置から第2の位置まで前記X線源を移動させるステップと、
前記第2の位置における前記X線源を用いて前記対象物の第2のX線画像を取得するステップと、
前記第1および第2のX線画像を処理するステップと、
を有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2のX線画像は、デジタルトモシンセシス画像の集合を取得するために処理される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記画像を取得するステップは、前記画像として前記デジタルトモシンセシス画像のうちの1つを選択するステップをさらに有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記画像を取得するステップは、前記デジタルトモシンセシス画像の1つまたは複数をぼやけ除去するステップをさらに有する請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記基準画像は、3次元CT画像の部分集合である請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記対象物は患者であり、
前記画像は、第1の時間区間の間に前記患者の第1の生理的周期の位相について取得され、
前記CT画像の部分集合を取得するステップは、
第2の時間区間の間に前記患者の第2の生理的周期の各位相において生成される複数の基準CT画像を受信するステップと、
前記トモシンセシス画像の位相に最も良く合致する対応位相を有する前記複数の基準CT画像のうちの1つを選択するステップと、
を有する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記CT画像の部分集合を取得するステップは、前記複数の基準CT画像のうちの選択された1つから2次元画像を決定するステップをさらに有する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記画像はトモシンセシス画像である請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記対象物の座標は、放射線機器の座標系について表される請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記放射線機器は、治療機器、診断機器、シミュレータ、検査機器、および、治療処置および診断処置を実行することができる機器からなるグループから選択される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
対象物の画像を取得し、前記画像の平面に平行な平面を有する前記対象物の基準画像を取得し、前記基準画像を前記画像と比較し、少なくとも部分的に比較結果に基づいて前記対象物の座標または形状を決定するように構成されたプロセッサを有する画像処理装置。
【請求項24】
対象物のトモシンセシス画像を取得するステップと、
前記トモシンセシス画像を用いて放射線機器に対する前記対象物の座標または形状を決定するステップと、
を有する、対象物の位置または形状を決定する方法。
【請求項25】
前記トモシンセシス画像を取得するステップは、
第1の位置に配置されたX線源を用いて前記対象物の第1のX線画像を取得するステップと、
前記X線源を前記第1の位置から第2の位置に移動させるステップと、
前記第2の位置において前記X線源を用いて前記対象物の第2のX線画像を取得するステップと、
前記第1および第2のX線画像を処理するステップと、
を有する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1および第2のX線画像は、デジタルトモシンセシス画像の集合を取得するために処理される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記トモシンセシス画像を取得するステップは、前記トモシンセシス画像として前記デジタルトモシンセシス画像のうちの1つを選択するステップをさらに有する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記デジタルトモシンセシス画像の1つまたは複数をぼやけ除去するステップをさらに有する請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記対象物の2次元CT画像を取得するステップをさらに有し、
前記対象物の座標は、前記トモシンセシス画像および前記2次元CT画像を用いて決定される請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記2次元CT画像は、前記トモシンセシス画像の画像角度に対応する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記対象物は患者であり、
前記トモシンセシス画像は、第1の時間区間の間に前記患者の第1の生理的周期の位相について取得され、
前記2次元CT画像を取得するステップは、
第2の時間区間の間に前記患者の第2の生理的周期の各位相において生成される複数の3次元基準CT画像を受信するステップと、
前記トモシンセシス画像の位相に最も良く合致する対応位相を有する前記複数の3次元基準CT画像のうちの1つを選択するステップと、
前記複数の3次元基準CT画像のうちの選択された1つから前記2次元CT画像を決定するステップと、
を有する請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記座標を決定するステップは、前記2次元CT画像を前記トモシンセシス画像と比較するステップを有する請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記放射線機器は、治療機器、診断機器、シミュレータ、および、治療処置および診断処置を実行することができる機器からなるグループから選択される請求項24に記載の方法。
【請求項34】
対象物の位置または形状を決定する装置であって、
トモシンセシス画像を用いて放射線機器に対する前記対象物の座標または形状を決定するためのプロセッサを備える装置。
【請求項35】
対象物の位置を決定する方法であって、
対象物の第1のトモシンセシス画像を取得するステップと、
前記第1のトモシンセシス画像を用いて前記対象物の第1の2次元座標を決定するステップと、
前記対象物の第2のトモシンセシス画像を取得するステップと、
前記第2のトモシンセシス画像を用いて前記対象物の第2の2次元座標を決定するステップと、
前記第1および第2の2次元座標に基づいて前記対象物の3次元座標を決定するステップと、
を有する方法。
【請求項36】
前記第1のトモシンセシス画像を取得するステップは、
第1の位置に配置されたX線源を用いて前記対象物の第1のX線画像を取得するステップと、
前記X線源を前記第1の位置から第2の位置に移動させるステップと、
前記第2の位置において前記X線源を用いて前記対象物の第2のX線画像を取得するステップと、
前記第1および第2のX線画像を処理するステップと、
を有する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1および第2のX線画像は、デジタルトモシンセシス画像の集合を取得するために処理される請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1のトモシンセシス画像を取得するステップは、前記第1のトモシンセシス画像として前記デジタルトモシンセシス画像の1つを選択するステップをさらに有する請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記デジタルトモシンセシス画像の1つまたは複数をぼやけ除去するステップをさらに有する請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記対象物の3次元座標を決定するステップは、前記第1および第2の2次元座標を用いて三角測量を実行するステップを有する請求項35に記載の方法。
【請求項41】
対象物の第1のトモシンセシス画像を取得し、前記第1のトモシンセシス画像を用いて前記対象物の第1の2次元座標を決定し、前記対象物の第2のトモシンセシス画像を取得し、前記第2のトモシンセシス画像を用いて前記対象物の第2の2次元座標を決定し、前記第1および第2の2次元座標に基づいて前記対象物の3次元座標を決定するように構成されたプロセッサを有する対象物の位置を決定する装置。
【請求項42】
対象物の画像を取得するステップと、
前記画像を用いて放射線機器に対する前記対象物の座標を決定するステップと、
を有し、
前記画像は、複数のX線画像を受信し、逆投影技術を用いて前記X線画像を処理するステップにより取得される、対象物の位置を決定する方法。
【請求項43】
前記画像は、フィルタリング処理を実行することにより取得される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記フィルタリング処理は、前記逆投影が実行された後に実行される請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記X線画像の数は、3次元CT画像を形成するための完全な集合についての数よりも少ない請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記画像は、トモシンセシス画像である請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−533086(P2009−533086A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504344(P2009−504344)
【出願日】平成19年4月7日(2007.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/008719
【国際公開番号】WO2007/117671
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(303064178)ヴァリアン メディカル システムズ テクノロジーズ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】