説明

トラッキングエラー信号生成装置、トラッキングエラー信号生成方法

【課題】比較対象の2つの信号の両方に信号異常が生じている場合に、適切に異常の検出を行うことができるトラッキングエラー信号生成装置、トラッキングエラー信号生成方法を提供すること
【解決手段】トラッキングエラー信号生成装置10は、光ディスクの反射光を第1のタイミングで受光する受光素子P1と、光ディスクの反射光を第1のタイミングから入力遅延時間だけ後の第2のタイミングで受光する受光素子P4を有する。異常信号検出部130は、P1の出力信号に基づく検出信号EQ1、及びP4の出力信号に基づく検出信号EQ4、のいずれか一方のエッジを検出した時点を基準として所定の期間だけ前後する期間内に他方のエッジを検出されるか否かに基づいて信号異常が生じているかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラッキングエラー信号生成装置及びトラッキングエラー信号生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラッキングエラー信号の生成方式としてDPD(Differential Phase Detection)方式が挙げられる。DPD方式は、複数の受光素子からの受光信号の位相差を検出し、検出結果に基づいてトラッキングエラー信号を生成する方式である。DPD方式は、高密度化された近年の光ディスク記憶媒体を扱う場合であっても他の方式(プッシュプル方式、3ビーム方式)と比べて良好なトラッキング信号を生成できる。そのため、DPD方式は、高密度化された光ディスク記憶媒体を扱う光ディスク装置に多く採用されている。
【0003】
トラッキングエラー信号のばらつきは、再生エラーレートの低下、メディア判別誤操作等の原因となる。そのため、トラッキングエラー信号の信号精度の向上が求められている。トラッキングエラー信号の信号精度の向上のために、ピット幅信号のノイズを除去する必要性が高まっている。
【0004】
特許文献1には、受光素子からの受光信号の信号歪みの訂正機能を持つトラッキングエラー信号生成装置が開示されている。図16は、特許文献1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の構成を示すブロック図である。
【0005】
トラッキングエラー信号生成装置は、受光素子P1〜P4、第1〜4のGCA(Gain Control Amplifier)320〜323、第1〜4の比較部330〜333、第1のエラー訂正部340、第2のエラー訂正部341、第1の位相差検出部350、第2の位相差検出部351、ORゲート360、361、減算器370、LPF380、を有する。
【0006】
受光素子P1〜P4は、光ディスク記録媒体の記録面からの反射光を受光する。受光素子P1〜P4は、それぞれ第1〜第4のGCA320〜323に受光信号を出力する。第1〜第4のGCA320〜323は、入力信号を一定振幅に調整し、調整信号A1〜A4をそれぞれ第1〜4の比較器330〜333に出力する。第1〜4の比較器330〜333は、入力信号A1〜A4を基準レベルと比較し、比較結果に応じて2進化した信号B1〜B4を出力先のエラー訂正部(第1のエラー訂正部340または第2のエラー訂正部341)に出力する。
【0007】
第1のエラー訂正部340は、入力信号B1及びB2のいずれか一方のレベルが異常に一定幅以上に延長する場合に信号歪みが生じたと判定する。そして、第1のエラー訂正部340は、異常が生じた信号を他方の信号と同一レベルに変換して第1の位相差検出部350に供給する。第2のエラー訂正部341は、第1のエラー訂正部340と略同一の動作を行う。
【0008】
図17は、第1のエラー訂正部340の構成を示すブロック図である。第1のエラー訂正部340は、第1のMUX3401、第2のMUX3402、XORゲート3403、ORゲート3404、及びパルス比較部3405を有する。第1のエラー訂正部340では、入力信号B1、及びB2を用いた論理和演算、排他的論理和演算の演算結果がパルス比較部3405に供給される。パルス比較部3405は、入力された両信号が同一レベルに保持される区間に対しては、第1のMUX3401及び第2のMUX3402からロウレベルの信号が出力されるように指示する指示信号を出力する。第1のMUX3401及び第2のMUX3402は、供給された信号B1、B2をそのまま信号C1として第1の位相差検出部350に出力するか、信号C1としてロウレベルの信号を第1の位相差検出部350に出力する。
【0009】
図18は、各信号の変化を示すタイミングチャートである。本例では、区間X1において信号B2に信号歪みは生じ、区間X2において信号B1に信号歪みは生じている。図示したように、第1のエラー訂正部340からの出力信号C1及びC2は、同一波形を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−71143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載のトラッキングエラー信号生成装置では、第1のエラー訂正部340において比較を行う2つの信号の両方に異常が生じた場合に、適切にエラーの検出ができないという問題がある。以下に、詳細を説明する。
【0012】
符号S1により示した部分において、信号B2がロウレベルの間に、信号B1がロウレベル、ハイレベル、ロウレベルと変化することにより第1のエラー訂正部340は異常を検出できる。しかし、信号B1がハイレベルである期間内に信号B2がハイレベルとなるような異常が発生する場合には、第1のエラー訂正部340は、両信号の異常を検出できない。なぜならば、第1のエラー訂正部340内のXORゲート3403の出力及びORゲート3404の出力が不一致となるため、第1のエラー訂正部340は両信号を正常と判定するためである。
【0013】
これは、第1のエラー訂正部340が、比較対象の信号B1、B2を相互に比較し、いずれか一方のレベルが異常に一定幅以上に延長する場合に信号歪みが生じたと判定することに起因する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかるトラッキングエラー信号生成装置の一態様は、
光ディスクの反射光を第1のタイミングで受光する第1の受光素子と、
前記光ディスクの反射光を第2のタイミングで受光する第2の受光素子と、
前記第1の受光素子の出力信号に基づく第1の信号、及び前記第2の受光素子の出力信号に基づく第2の信号、のいずれか一方のエッジを検出した時点を基準として所定の期間だけ前後する期間内に他方のエッジを検出されるか否かに基づいて信号異常が生じているかを判定する異常信号検出部と、を有するものである。
【0015】
本発明にかかるトラッキングエラー信号生成方法の一態様は、
光ディスクの反射光を第1の受光素子が第1のタイミングで受光し、
前記光ディスクの反射光を第2の受光素子が第2のタイミングで受光し、
前記第1の受光素子の出力信号に基づく第1の信号、及び前記第2の受光素子の出力信号に基づく第2の信号、のいずれか一方のエッジを検出した時点を基準として所定の期間だけ前後する期間内に他方のエッジを検出されるか否かに基づいて信号異常が生じているかを判定する、ものである。
【0016】
本発明においては、第1及び第2の信号の正常時のエッジ検出順序及びエッジ検出間隔に対して、エッジ検出タイミングがずれているか否かにより信号異常の判定を行う。エッジ検出タイミングのずれは、第1の信号、第2の信号の一方または双方に異常が生じた際に生じる。そのため、第1の信号、第2の信号の双方に信号異常が生じていたとしても、本発明にかかるトラッキングエラー信号生成装置は適切に信号異常の検出を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、比較対象の2つの信号の両方に信号異常が生じている場合に、適切に異常の検出を行うことができるトラッキングエラー信号生成装置、トラッキングエラー信号生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる2値化部の詳細を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1にかかる2値化部の出力信号を示すタイミングチャートである。
【図4】実施の形態1にかかる異常信号検出部の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態1にかかるマスク信号出力部の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態1にかかるマスク信号出力部の動作概念を示す図である。
【図7】実施の形態1にかかる位相比較器の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】実施の形態1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】実施の形態1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】実施の形態1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】実施の形態1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図13】実施の形態1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図14】実施の形態1にかかる位相比較器の動作を示すタイミングチャートである。
【図15】実施の形態1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の異常検出の動作概念を示すタイミングチャートである。
【図16】特許文献1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の構成を示すブロック図である。
【図17】特許文献1にかかるエラー訂正部の構成を示すブロック図である。
【図18】特許文献1にかかるトラッキングエラー信号生成装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるトラッキングエラー信号生成装置の構成を示すブロック図である。トラッキングエラー信号生成装置10は、光検出器110、2値化部121〜124、異常信号検出部130、位相比較器141及び142、ORゲート151及び152、減算器160、及びLPF(Low-Pass Filter)170を有する。
【0020】
光検出器110は、光ディスク記録媒体の記録面からの反射光を受光する4分割のディテクターであり、受光素子P1〜P4を有する。受光素子P1(第1の受光素子)は、光ディスクトラックの進行方向の関係から受光素子P4(第2の受光素子)よりも速く光検出を行う。受光素子P4は、P1の光検出(第1のタイミング)から所定の時間(本例では入力遅延時間ΔTD)だけ遅れたタイミング(第2のタイミング)に光検出を行う。同様に、受光素子P2は、光ディスクトラックの進行方向の関係から受光素子P3よりも速く光検出を行う。受光素子P3は、P2の光検出から入力遅延時間ΔTDだけ遅れて光検出を行う。受光素子P1〜P4は、受光信号をそれぞれ2値化部121〜124に供給する。
【0021】
2値化部121は、受光素子P1の出力信号を調整した後に2値化し、2値化した信号EQ1を異常信号検出部130に供給する処理部である。同様に2値化部122、123、124は、それぞれ受光素子P2、P3、P4の出力信号を2値化した信号EQ2〜4を異常信号検出部130に供給する。
【0022】
2値化部121の詳細な構成を図2を参照して説明する。2値化部121は、アンプ1211と、イコライザ1212と、スライサ1213と、を有する。受光素子P1から出力信号が供給されたアンプ1211は、当該信号の増幅し、増幅した信号をイコライザ1212に供給する。イコライザ1212は、アンプ1211から供給された信号の増幅率を調整し、調整した信号をスライサ1213に供給する。スライサ1213は、イコライザ1212から供給された信号を2値化した信号EQ1を生成し、生成した2値化信号を異常信号検出部130に供給する。
【0023】
図3は、2値化部121の各処理部から出力される信号の信号波形を表わすタイミングチャートである。図3では、出力電圧はVH>VH1>VM>VL1>VLという関係となる。
【0024】
信号AMP1は、アンプ1211の出力信号である。AMP1は、T1に出力電圧VM、T2に出力電圧VH、T3に出力電圧VM、T4に出力電圧VL、T5に出力電圧VM、T6に出力電圧VH1、T7に出力電圧VM、T8に出力電圧VL1、T9に出力電圧VM、と遷移する。T1〜T5の最短ピット幅出力振幅はVH−VLであり、T5〜T9の最長ピット幅出力振幅はVH1−VL1である。最短ピット幅出力振幅は、最長ピット幅出力振幅の約50%程度となる。
【0025】
信号A1は、イコライザ1212の出力信号である。信号A1は、信号AMP1の長周期の増幅率と等しくなるように短周期の増幅率を上げた信号である。信号A1は、T1に出力電圧VM、T2に出力電圧VH、T3に出力電圧VM、T4に出力電圧VL、T5に出力電圧VM、T6に出力電圧VH、T7に出力電圧VM、T8に出力電圧VL、T9に出力電圧VM、と遷移する。T1〜T5の最短ピット幅出力振幅はVH−VLであり、T5〜T9の最長ピット幅出力振幅はVH−VLである。最短ピット幅出力振幅は、最長ピット幅出力振幅と等しくなる。
【0026】
信号EQ1は、スライサ1213の出力信号であり、信号A1を2値化した信号である。信号EQ1は、T1にVDDに立ち上がり、T3にGNDに立ち下がり、T5にVDDに立ち上がり、T7にGNDに立ち下がり、T9にVDDに立ち上がる。
【0027】
続いて、図1及び図4、図5を用いて異常信号検出部130の構成について説明する。異常信号検出部130は、遅延部1311〜1314、マスク信号出力部1321及び1322、ORゲート137、NOTゲート138、ANDゲート1391〜1394を有する。
【0028】
遅延部1311は、入力信号EQ1(第1の信号)を所望の遅延時間NDだけ遅延させた信号A(第1の遅延信号)を生成し、信号Aをマスク信号出力部1321に出力する。同様に遅延部1312は、入力信号EQ4(第2の信号)を所望の遅延時間NDだけ遅延させた信号D(第2の遅延信号)を生成し、信号Dをマスク信号出力部1321に出力する。遅延部1313及び1314は、それぞれ入力信号EQ2、EQ3所望の遅延時間NDだけ遅延させた信号B、Cを生成し、信号B、Cをマスク信号出力部1321に出力する。
【0029】
マスク信号出力部1321及び1322は、入力信号EQ1〜EQ4の異常を検出し、信号異常時に活性化(ハイレベル)となるマスク信号(MASK_A〜MASK_D)を生成する処理部である。マスク信号出力部1321の詳細な構成を図5を参照して説明する。なお、マスク信号出力部1322は、マスク信号出力部1321と略同一の機能を有する。
【0030】
マスク信号出力部1321は、NOTゲート1331〜1334、ANDゲート1335〜1338、ORゲート1339及び1340、ANDゲート1341、NOTゲート1342及び1343、DFF(Delay Flip-Flop)1344及び1345、遅延部1246を有する。
【0031】
ANDゲート1335は、信号EQ1と、信号AをNOTゲート1331により反転させた信号と、の論理積演算を行い、演算結果をORゲート1339に供給する。ANDゲート1336は、信号Aと、信号EQ1をNOTゲート1332により反転させた信号と、の論理積演算を行い、演算結果をORゲート1339に供給する。ORゲート1339は、ANDゲート1335から供給された信号と、ANDゲート1336から供給された信号と、の論理和演算を行い、演算結果をANDゲート1341及びNOTゲート1342に供給する。
【0032】
ANDゲート1337は、信号EQ4と、信号DをNOTゲート1333により反転させた信号と、の論理積演算を行い、演算結果をORゲート1340に供給する。ANDゲート1338は、信号Dと、信号EQ4をNOTゲート1334により反転させた信号と、の論理積演算を行い、演算結果をORゲート1340に供給する。ORゲート1340は、ANDゲート1337から供給された信号と、ANDゲート1338から供給された信号と、の論理和演算を行い、演算結果をANDゲート1341及びNOTゲート1343に供給する。
【0033】
ANDゲート1341は、ORゲート1339の出力信号と、ORゲート1340の出力信号の論理積演算を行い、演算結果をDFF1344及び遅延部1346に供給する。DFF1344は、ANDゲート1341からの出力信号を入力とし、ORゲート1339の反転信号をクロック(CLK1)とするディレイフリップフロップである。DFF1344は、出力信号を反転した信号MASK_AをORゲート137に供給する。遅延部1346は、入力信号を遅延時間NDだけ遅延させて出力する。DFF1345は、遅延部1346からの出力信号を入力とし、ORゲート1340の反転信号をクロック(CLK2)とするディレイフリップフロップである。DFF1345は、出力信号を反転した信号MASK_DをORゲート137に供給する。
【0034】
再び図4を参照し、異常信号検出部130の構成について説明する。ORゲート137は、マスク信号出力部1321及び1322から供給される信号MASK_A〜MASK_Dの論理和演算を行い、演算結果をNOTゲート138に供給する。ORゲート137の出力信号は、NOTゲート138により反転される。当該反転信号は、ANDゲート1391〜1394に供給される。
【0035】
ANDゲート1391は、信号Aと、NOTゲート138の出力信号と、の論理積演算を行い、演算結果信号PC1を位相比較器141に供給する。ANDゲート1392は、信号Bと、NOTゲート138の出力信号と、の論理積演算を行い、演算結果信号PC2を位相比較器141に供給する。ANDゲート1393は、信号Bと、NOTゲート138の出力信号と、の論理積演算を行い、演算結果信号PC3を位相比較器142に供給する。ANDゲート1394は、信号Dと、NOTゲート138の出力信号と、の論理積演算を行い、演算結果信号PC4を位相比較器142に供給する。ORゲート137、NOTゲート138、及びANDゲート1391〜1394は、マスク信号を用いて信号異常を訂正する処理部(マスク処理部)として機能する。
【0036】
次に図6を参照して、マスク信号出力部1321の動作概念について説明する。まず、信号EQ4の異常検出について説明する。遅延時間NDは入力遅延時間ΔTDよりも大きく設定されているため、信号EQ4が正常である場合には信号EQ1、信号EQ4、信号Aの順序でエッジが検出されるという性質を持つ。信号EQ4の異常検出にはこの性質を用いる。信号EQ1のエッジが検出されてから遅延時間NDだけ後に信号Aが検出されるまでの間に信号EQ4のエッジが検出された場合、信号EQ4は正常と判定される。信号EQ4が正常と判定された場合、信号MASK_Aはロウレベルから変化しない。一方、信号EQ4のエッジが検出されてから遅延時間NDだけ後に信号Aが検出されるまでの間に信号EQ4のエッジが検出されない場合、信号EQ4は異常と判定される。信号EQ4が異常と判定された場合、信号MASK_Aはハイレベルに切り替わる。
【0037】
続いて、信号EQ1の異常検出について説明する。遅延時間NDは入力遅延時間ΔTDよりも大きく設定されているため、信号EQ1が正常である場合には信号EQ4、信号A、信号Dの順序でエッジが検出されるという性質を持つ。信号EQ1の異常検出にはこの性質を用いる。信号EQ4のエッジが検出されてから遅延時間NDだけ後に信号Dが検出されるまでの間に信号Aのエッジが検出された場合、信号EQ1は正常と判定される。信号EQ1が正常と判定された場合、信号MASK_Dはロウレベルから変化しない。一方、信号EQ4のエッジが検出されてから遅延時間NDだけ後に信号Dが検出されるまでの間に信号Aのエッジが検出されない場合、信号EQ1は異常と判定される。信号EQ1が異常と判定された場合、信号MASK_Dはハイレベルに切り替わる。
【0038】
続いて、図7を参照して位相比較器141の構成について説明する。なお、位相比較器142は、位相比較器141と略同一の構成を持つため詳細な説明は省略する。位相比較器141は、NANDゲート1411、ORゲート1412、1413、NANDゲート1414、1415、XORゲート1416、1417、NANDゲート1418、NOTゲート1419、1420を有する。
【0039】
NANDゲート1411は、信号PC1とPC2との否定論理積演算を行い、演算結果をORゲート1412に供給する。ORゲート1412は、NANDゲート1411から供給される信号と、NOTゲート1420から供給される信号と、の論理和演算を行い、演算結果をNANDゲート1414に供給する。ORゲート1413は、信号PC1と、信号PC4と、の論理和演算を行い、演算結果をNANDゲート1415に供給する。
【0040】
NANDゲート1414は、ORゲート1412から供給される信号と、NANDゲート1415から供給される信号と、の否定論理積演算を行い、演算結果をXORゲート1416、1417、及びNANDゲート1415に供給する。NANDゲート1415は、ORゲート1413から供給される信号と、NANDゲート1414から供給される信号と、の否定論理積演算を行い、演算結果をNANDゲート1414に供給する。
【0041】
XORゲート1416は、信号PC1と、NANDゲート1414から供給される信号と、の排他論理和演算を行い、演算結果信号OUT_UP12をNANDゲート1418に供給するとともに、ORゲート151に供給する。XORゲート1417は、信号PC2と、NANDゲート1414から供給される信号と、の排他論理和演算を行い、演算結果信号OUT_DN12をNANDゲート1418に供給するとともに、ORゲート151に供給する。
【0042】
NANDゲート1418は、XORゲート1416及び1417から供給された信号の否定論理積演算を行い、演算結果をNOTゲート1419及び1420を介してORゲート1412及び1413に供給する。
【0043】
なお、位相比較器142は、位相比較器141と略同一の構成を有する。位相比較器142は、信号PC3及びPC4が入力される位相比較器142は、信号OUT_UP34をORゲート151に供給すると共に、信号OUT_DN34をORゲート152に供給する。
【0044】
再び、図1に戻り、トラッキングエラー信号生成装置10の構成を説明する。ORゲート151は、位相比較器141の出力信号OUT_UP12と、位相比較器142の出力信号OUT_UP34と、を論理和演算し、演算結果信号を減算器160に供給する。ORゲート152は、位相比較器141の出力信号OUT_DN12と、位相比較器142の出力信号OUT_DN34と、を論理和演算し、演算結果信号を減算器160に供給する。
【0045】
減算器160は、ORゲート151、152から供給された信号を相互に減算する。減算器160は、減算結果を信号としてLPF170に供給する。LPF170は、供給された信号の高周波成分を除去し、トラッキングエラー信号(TE)を出力する。
【0046】
続いて、本実施の形態にかかるトラッキングエラー信号生成装置の動作を図8〜図13のタイミングチャートを参照して説明する。
【0047】
信号EQ4に異常が含まれる場合の動作を図8に示すタイミングチャートを参照して説明する。まず、信号EQ1がt11にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Aは、遅延部1311により信号EQ1を任意遅延時間NDだけ遅延した信号である。信号Aは、t11から任意遅延時間NDだけ後のt12にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号EQ4は、t11から入力遅延時間ΔTDだけ後のt15にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Dは、遅延部1314により信号EQ4を任意遅延時間NDだけ遅延した信号である。信号Dは、t15から任意遅延時間NDだけ後のt16にロウレベルからハイレベルに切り替わる。
【0048】
ここで、t11から任意遅延時間NDだけ後のt12までの間に、信号EQ4のエッジが検出(ロウレベルからハイレベルに遷移)されている。そのため、信号EQ4の異常検出信号(マスク信号)であるMASK_Aは、ロウレベルから変化しない。t15から任意遅延時間NDだけ後のt16までの間に、信号Aのエッジが検出されている。そのため、信号EQ1の異常検出信号(マスク信号)であるMASK_Dは、ロウレベルから変化しない。
【0049】
信号EQ1は、t13にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Aは、t13から任意遅延時間NDだけ後のt14にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号EQ4は、t13から入力遅延時間ΔTDだけ後のt17にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Dは、t17からNDだけ後のt18にハイレベルからロウレベルに切り替わる。
【0050】
t13から任意遅延時間NDだけ後のt14までの間に、信号EQ4のエッジが検出(ハイレベルからロウレベルに遷移)されている。そのため、信号MASK_Aはロウレベルから変化しない。t17から任意遅延時間NDだけ後のt18までの間に、信号Aのエッジが検出されている。そのため、信号MASK_Dは、ロウレベルから変化しない。
【0051】
信号EQ1は、t21にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Aは、t21から任意遅延時間NDだけ後のt22にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号EQ4及び信号Dは、t21からt22の間にはロウレベルから変化しない。信号EQ1は、t23にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Aは、t23から任意遅延時間NDだけ後のt24にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号EQ4及び信号Dは、t23からt24の間にはロウレベルから変化しない。
【0052】
t21から任意遅延時間NDだけ後のt22までの間に、信号EQ4のエッジが検出されていない。そのため、信号EQ4は異常と判定され、信号MASK_Aはロウレベルからハイレベルに切り替わる。t23から任意遅延時間NDだけ後のt24までの間にも、信号EQ4のエッジが検出されていない。そのため、信号EQ4は依然として異常であると判定され、信号MASK_Aはt24にはハイレベルから変化しない。
【0053】
信号EQ1は、t31にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Aは、t31から任意遅延時間NDだけ後のt32にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号EQ4は、t31から入力遅延時間ΔTDだけ後のt35にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Dは、t35から任意遅延時間NDだけ後のt36にロウレベルからハイレベルに切り替わる。
【0054】
ここで、t31から任意遅延時間NDだけ後のt32までの間に、信号EQ4のエッジが検出(ロウレベルからハイレベルに遷移)されている。そのため、信号MASK_Aは、ハイレベルからロウレベルに切り替わる。t35から任意遅延時間NDだけ後のt36までの間に、信号Aのエッジが検出されている。そのため、信号MASK_Dは、t36にはロウレベルから変化しない。
【0055】
信号EQ1は、t33にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Aは、t33から任意遅延時間NDだけ後のt34にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号EQ4は、t33から入力遅延時間ΔTDだけ後のt37にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Dは、t37から任意遅延時間NDだけ後のt38にハイレベルからロウレベルに切り替わる。
【0056】
t33から任意遅延時間NDだけ後のt34までの間に、信号EQ4のエッジが検出(ハイレベルからロウレベルに遷移)されている。そのため、信号MASK_Aはロウレベルから変化しない。t37から任意遅延時間NDだけ後のt38までの間に、信号Aのエッジが検出されている。そのため、信号MASK_Dは、t38にはロウレベルから変化しない。
【0057】
信号PC1は、信号MASK_Aと信号MASK_Dの論理和(MASK_A+MASK_D)の反転出力と、信号Aと、の論理積である。そのため、信号PC1は、t12にハイレベルに切り替わり、t14にロウレベルに切り替わり、t32にハイレベルに切り替わり、t34にロウレベルに切り替わる。信号PC4は、信号MASK_Aと信号MASK_Dの論理和(MASK_A+MASK_D)の反転出力と、信号Dと、の論理積である。そのため、信号PC4は、t16にハイレベルに切り替わり、t18にロウレベルに切り替わり、t36にハイレベルに切り替わり、t38にロウレベルに切り替わる。
【0058】
このように、MASK信号(MASK_A+MASK_D)が活性化されている期間に信号PC1及びPC4を不活性化する(ロウレベルに固定される)ことにより、本実施の形態にかかるトラッキングエラー信号生成装置は、信号異常の訂正処理を行う。
【0059】
信号EQ4に異常が含まれる場合の信号遷移について、図9のタイミングチャートを参照してさらに説明する。図9は、ORゲート1339、1340、ANDゲート1341、及び遅延部1346の出力信号の遷移を示している。
【0060】
ORゲート1339の出力信号は、信号EQ1のエッジが検出されてから信号Aのエッジが検出されるまでの間にハイレベルとなる(t11〜t12、t13〜t14、t21〜t22、t23〜t24、t31〜t32、t33〜t34)。ORゲート1340の出力信号は、信号EQ4のエッジが検出されてから信号Dのエッジが検出されるまでの間にハイレベルとなる(t15〜t16、t17〜t18、t35〜t36、t37〜t38)。ANDゲート1341の出力信号は、ORゲート1339の出力信号及びORゲート1340の出力信号がともにハイレベルの場合にハイレベルとなる(t15〜t12、t17〜t14、t35〜t32、t37〜t34)。遅延部1346の出力信号は、ANDゲート1341の出力信号を任意遅延時間NDだけ遅延させた信号であり、t16〜t19、t18〜t20、t36〜t39、t38〜t40の期間にハイレベルとなる。信号MASK_Aは、ANDゲート1341の出力信号を入力とし、ORゲート1339の反転信号をクロックとするDFF1344の反転出力信号である。そのため、信号MASK_Aは、t22からt32の間はハイレベルとなる。
【0061】
上述の動作を換言すると、ORゲート1339の出力信号(第3の信号)がハイレベルとなっている間にORゲート1340の出力信号のエッジが検出されない場合、またはORゲート1340の出力信号(第4の信号)がハイレベルとなっている間にORゲート1340の出力信号のエッジが検出されない場合、異常信号検出部130は、信号異常が生じたと判定する。
【0062】
次に、EQ1に異常になった後に信号EQ4が異常となる場合の動作を図10に示すタイミングチャートを参照して説明する。t11〜t14、t15〜t18、t31〜t34、t35〜t38の期間は、図8に示す動作と同じであるため、説明は省略する。
【0063】
信号EQ1は、t41にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Aは、t41から任意遅延時間NDだけ後のt42にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号EQ1は、t43にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Aは、t43から任意遅延時間NDだけ後のt44にハイレベルからロウレベルに切り替わる。
【0064】
信号EQ4は、t45にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Dは、t45から任意遅延時間NDだけ後のt46にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号EQ4は、t47にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Dは、t47から任意遅延時間NDだけ後のt48にハイレベルからロウレベルに切り替わる。
【0065】
t41から任意遅延時間NDだけ後のt42までの間に、信号EQ4のエッジが検出されていない。そのため、信号MASK_Aは、t42にロウレベルからハイレベルに切り替わる。t43から任意遅延時間NDだけ後のt44までの間に、信号EQ4のエッジが検出されていない。そのため、信号MASK_Aは、t44にはハイレベルから変化しない。
【0066】
t45から任意遅延時間NDだけ後のt46までの間に、信号Aのエッジが検出されていない。そのため、信号MASK_Dは、t46にロウレベルからハイレベルに切り替わる。また、t47から任意遅延時間NDだけ後のt48までの間に、信号Aのエッジが検出されていない。そのため、信号MASK_Dは、t48にはハイレベルから切り替わらない。
【0067】
信号PC1及びPC4は、MASK信号(MASK_A+MASK_D)が活性化されている期間にはロウレベルに固定される。信号異常が生じている期間に、信号PC1及びPC4をロウレベルに固定することにより、トラッキングエラー信号生成装置は信号異常を除去している。
【0068】
EQ1に異常になった後に信号EQ4が異常となる場合の信号遷移について、図11のタイミングチャートを参照してさらに説明する。
【0069】
ORゲート1339の出力信号は、信号EQ1のエッジが検出されてから信号Aのエッジが検出されるまでの間にハイレベルとなる(t11〜t12、t13〜t14、t41〜t42、t43〜t44、t31〜t32、t33〜t34)。ORゲート1340の出力信号は、信号EQ4のエッジが検出されてから信号Dのエッジが検出されるまでの間にハイレベルとなる(t15〜t16、t17〜t18、t45〜t46、t47〜t48、t35〜t36、t37〜t38)。ANDゲート1341の出力信号は、ORゲート1339の出力信号及びORゲート1340の出力信号がともにハイレベルの場合にハイレベルとなる(t15〜t12、t17〜t14、t35〜t32、t37〜t34)。遅延部1346の出力信号は、ANDゲート1341の出力信号を任意遅延時間NDだけ遅延させた信号であり、t16〜t19、t18〜t20、t36〜t39、t38〜t40の期間にハイレベルとなる。信号MASK_Aは、ANDゲート1341の出力信号を入力とし、ORゲート1339の反転信号をクロックとするDFF1344の反転出力信号である。そのため、信号MASK_Aは、t42からt32の間はハイレベルとなる。信号MASK_Dは、遅延部1346の出力信号を入力とし、ORゲート1340の反転信号をクロックとするDFF1345の反転出力信号である。そのため、信号MASK_Dは、t46からt36の間はハイレベルとなる。
【0070】
次に、EQ4に異常になった後に信号EQ1が異常となる場合の動作を図12に示すタイミングチャートを参照して説明する。t11〜t14、t15〜t18の期間は、図8に示す動作と同じであるため、説明は省略する。
【0071】
信号EQ1は、t51にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Aは、t51から任意遅延時間NDだけ後のt52にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号EQ1は、t53にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Aは、t53から任意遅延時間NDだけ後のt54にハイレベルからロウレベルに切り替わる。
【0072】
信号EQ4は、t55にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Dは、t55から任意遅延時間NDだけ後のt56にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号EQ4は、t57にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Dは、t57から任意遅延時間NDだけ後のt58にハイレベルからロウレベルに切り替わる。
【0073】
t51から任意遅延時間NDだけ後のt52までの間に、信号EQ4のエッジが検出されていない。そのため、信号MASK_Aは、t52にロウレベルからハイレベルに切り替わる。t53から任意遅延時間NDだけ後のt54までの間に、信号EQ4のエッジが検出されていない。そのため、信号MASK_Aは、t54にはハイレベルから変化しない。
【0074】
t55から任意遅延時間NDだけ後のt56までの間に、信号Aのエッジが検出されていない。そのため、信号MASK_Dはt56にロウレベルからハイレベルに切り替わる。t57から任意遅延時間NDだけ後のt58までの間に信号Aのエッジが検出されていない。そのため、信号MASK_Dは、t58にはハイレベルから変化しない。
【0075】
信号EQ1は、t61にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Aは、t61から任意遅延時間NDだけ後のt62にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号EQ1は、t63にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Aは、t63から任意遅延時間NDだけ後のt64にハイレベルからロウレベルに切り替わる。
【0076】
信号EQ4は、t65にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号Dは、t65から任意遅延時間NDだけ後のt66にロウレベルからハイレベルに切り替わる。信号EQ4は、t67にハイレベルからロウレベルに切り替わる。信号Dは、t67から任意遅延時間NDだけ後のt68にハイレベルからロウレベルに切り替わる。
【0077】
t61から任意遅延時間NDだけ後のt62までの間に、信号EQ4のエッジが検出されている。そのため、信号MASK_Aは、t62にハイレベルからロウレベルに切り替わる。t63から任意遅延時間NDだけ後のt64までの間に、信号EQ4のエッジが検出されている。そのため、信号MASK_Aは、t64ではロウレベルから変化しない。
【0078】
t65から任意遅延時間NDだけ後のt66までの間に、信号Aのエッジが検出されている。そのため、信号MASK_Dは、t66にハイレベルからロウレベルに切り替わる。t67から任意遅延時間NDだけ後のt68までの間に、信号Aのエッジが検出されている。そのため、信号MASK_Dは、t66ではロウレベルから変化しない。
【0079】
EQ4に異常になった後に信号EQ1が異常となる場合の信号遷移について、図13のタイミングチャートを参照してさらに説明する。
【0080】
ORゲート1339の出力信号は、信号EQ1のエッジが検出されてから信号Aのエッジが検出されるまでの間にハイレベルとなる(t11〜t12、t13〜t14、t51〜t52、t53〜t54、t61〜t62、t63〜t64)。ORゲート1340の出力信号は、信号EQ4のエッジが検出されてから信号Dのエッジが検出されるまでの間にハイレベルとなる(t15〜t16、t17〜t18、t55〜t56、t57〜t58、t65〜t66、t67〜t68)。ANDゲート1341の出力信号は、ORゲート1339の出力信号及びORゲート1340の出力信号がともにハイレベルの場合にハイレベルとなる(t15〜t12、t17〜t14、t65〜t62、t67〜t64)。遅延部1346の出力信号は、ANDゲート1341の出力信号を任意遅延時間NDだけ遅延させた信号であり、t16〜t19、t18〜t20、t66〜t69、t68〜t70の期間にハイレベルとなる。信号MASK_Aは、ANDゲート1341の出力信号を入力とし、ORゲート1339の反転信号をクロックとするDFF1344の反転出力信号である。そのため、信号MASK_Aは、t52からt62の間はハイレベルとなる。信号MASK_Dは、遅延部1346の出力信号を入力とし、ORゲート1340の反転信号をクロックとするDFF1345の反転出力信号である。そのため、信号MASK_Dは、t56からt66の間はハイレベルとなる。
【0081】
信号PC1及びPC4は、MASK信号(MASK_A+MASK_D)が活性化されている期間にはロウレベルに固定される。信号異常が生じている期間に、信号PC1及びPC4をロウレベルに固定することにより、トラッキングエラー信号生成装置は信号異常を除去している。
【0082】
次に、図14のタイミングチャートを用いて位相比較器141の動作を説明する。t101の時点に、信号PC1がロウレベルからハイレベルに切り替わる。t102の時点に、信号PC2がロウレベルからハイレベルに切り替わる。t101からt102の間に、信号OUT_UP12がロウレベルからハイレベルに切り替わる。t103の時点に、信号PC1がハイレベルからロウレベルに切り替わる。t104の時点に、信号PC2がハイレベルからロウレベルに切り替わる。t103からt104の間に、信号OUT_UP12がハイレベルからロウレベルに切り替わる。
【0083】
t111の時点に、信号PC2がロウレベルからハイレベルに切り替わる。t112の時点に、信号PC1がロウレベルからハイレベルに切り替わる。t111からt112の間に、信号OUT_DN12がロウレベルからハイレベルに切り替わる。t113の時点に、信号PC2がハイレベルからロウレベルに切り替わる。t114の時点に、信号PC1がハイレベルからロウレベルに切り替わる。t113からt114の間に、信号OUT_DN12がハイレベルからロウレベルに切り替わる。
【0084】
続いて、本実施の形態にかかるトラッキングエラー信号生成装置の効果について説明する。上述したように、入力信号EQ1のエッジ検出(ハイレベルからロウレベルへの切り替わり、またはロウレベルからハイレベルへの切り替わり)から任意の遅延時間(本例では、入力遅延時間ΔTD<任意遅延時間ND<光ディスクの最短ピット幅)に入力信号EQ4のエッジが検出されるか、または、入力信号EQ4のエッジ検出から任意の遅延時間内に入力信号Aのエッジが検出されるか、により信号異常を検出している。換言すると、正常時動作のエッジ検出順序及びエッジ検出間隔に対して、実際のエッジの検出タイミングがずれているか否かにより信号異常の検出を行っている。エッジ検出タイミングのずれは、検出信号の一方または双方に異常が生じた際に生じる。そのため、図8〜図13に示したように、信号EQ1及び信号EQ4の一方または双方に信号異常が生じていたとしても、両信号の信号異常を検出できる。
【0085】
さらに、上述のように信号MASK_A及び信号MASK_Dを生成し、これらの信号を用いて信号異常を訂正する。そのため、本実施の形態にかかるトラッキングエラー信号生成装置は、信号異常の訂正した高品質のトラッキングエラー信号を生成することができる。
【0086】
また、1の検出信号(たとえばEQ1)に異常が検出された場合、異常と判定されている期間に信号P1〜P4を全てロウレベルに固定し、信号異常の訂正処理を行っている。これにより、信号異常がトラッキングエラー信号の生成に与える影響をより小さくすることが可能である。
【0087】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態において、検出信号(例えばEQ4)のエッジの検出時点から任意遅延時間NDを経過するまでに他の検出信号にかかるエッジが有るか否かにより信号異常を検出したがこれに限られない。検出信号(例えばEQ4)のエッジの検出時点から任意遅延時間NDだけ以前の間に他の検出信号にかかるエッジが有るか否かにより信号異常を検出してもよい。この概念の概略図を図15に示す。
【0088】
図15は、上述の図9、図11、図13と略同一の構成を持つタイミングチャートである。ここで、EQ4の検出タイミングt1から任意時間(例えば任意遅延時間ND)だけ前の期間内に信号EQ1のエッジが検出されたか否かにより信号異常の判定を行ってもよい。この場合においても、入力遅延時間ΔTDよりも遅延時間NDを大きくすることにより、当該期間内にEQ1のエッジが検出されなければ信号異常が生じたと判定することができる。すなわち、異常信号判定部は、1の検出信号(例えばEQ1)のエッジを検出した時点を基準とする所定の期間(任意の遅延時間だけ前の期間、または任意の遅延時間だけ後の期間)の間に他の検出信号(例えばEQ4)のエッジを検出したか否かにより信号異常の判定を行えばよい。
【符号の説明】
【0089】
10 トラッキングエラー信号生成装置
110 光検出器
121〜124 2値化部
130 異常信号検出部
141、142 位相比較器
151、152 ORゲート
160 減算器
170 LPF

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの反射光を第1のタイミングで受光する第1の受光素子と、
前記光ディスクの反射光を第2のタイミングで受光する第2の受光素子と、
前記第1の受光素子の出力信号に基づく第1の信号、及び前記第2の受光素子の出力信号に基づく第2の信号、のいずれか一方のエッジを検出した時点を基準として所定の期間だけ前後する期間内に他方のエッジが検出されるか否かに基づいて信号異常が生じているかを判定する異常信号検出部と、を有するトラッキングエラー信号生成装置。
【請求項2】
前記所定の期間は、前記第1のタイミングから前記第2のタイミングまでの時間に該当する入力遅延時間よりも長く、前記光ディスクの最短ピット幅よりも短いことを特徴とする請求項1に記載のトラッキングエラー信号生成装置。
【請求項3】
前記異常信号検出部は、
前記第1の信号を前記所定の期間だけ遅延させた第1の遅延信号を生成する第1遅延部と、
前記第2の信号を前記所定の期間だけ遅延させた第1の遅延信号を生成する第2遅延部と、
前記第1の信号のエッジ検出から前記第1の遅延信号のエッジ検出までの間に前記第2の信号のエッジが検出されない場合に前記第2の信号に信号異常が生じていることを示す第2マスク信号を活性化し、
前記第2の信号のエッジ検出から前記第2の遅延信号のエッジ検出までの間に前記第1の遅延信号のエッジが検出されない場合に前記第1の信号に信号異常が生じていることを示す第1マスク信号を活性化するマスク信号生成部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトラッキングエラー信号生成装置。
【請求項4】
前記異常信号検出部は、
前記第1または前記第2のマスク信号が活性化されている期間に応じて、前記第1の信号及び前記第2の信号を不活性化するマスク部を備えることを特徴とする請求項3に記載のトラッキングエラー信号生成装置。
【請求項5】
前記第1の受光素子の出力信号を増幅する第1のアンプと、
前記第1のアンプが増幅した信号の振幅を調整する第1のイコライザと、
前記第1のイコライザからの出力信号を2値化することにより前記第1の検出信号を生成する第1のスライサと、
前記第2の受光素子の出力信号を増幅する第2のアンプと、
前記第2のアンプが増幅した信号の振幅を調整する第2のイコライザと、
前記第2のイコライザからの出力信号を2値化することにより前記第2の検出信号を生成する第2のスライサと、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のトラッキングエラー信号生成装置。
【請求項6】
光ディスクに記録されたパルスを検出した第1の信号と、前記第1の信号と異なるタイミングで前記パルスを検出した第2の信号と、が入力され、
前記第1の信号のエッジ検出から所定の期間だけ活性化される第3の信号と、前記第2の信号のエッジ検出から所定の期間だけ活性化される第4の信号と、を生成し、
前記第3の信号、前記第4の信号のいずれか一方のエッジ検出から前記所定の期間内に他方のエッジが検出されない場合には、信号異常が生じていると判定するトラッキングエラー信号生成回路。
【請求項7】
光ディスクの反射光を第1の受光素子が第1のタイミングで受光し、
前記光ディスクの反射光を第2の受光素子が第2のタイミングで受光し、
前記第1の受光素子の出力信号に基づく第1の信号、及び前記第2の受光素子の出力信号に基づく第2の信号、のいずれか一方のエッジを検出した時点を基準として所定の期間だけ前後する期間内に他方のエッジを検出されるか否かに基づいて信号異常が生じているかを判定する、トラッキングエラー信号生成方法。
【請求項8】
前記所定の期間は、前記第1のタイミングから前記第2のタイミングまでの時間に該当する入力遅延時間よりも長く、前記光ディスクの最短ピット幅よりも短いことを特徴とする請求項7に記載のトラッキングエラー信号生成方法。
【請求項9】
前記信号異常の判定処理では、
前記第1の信号を前記所定の期間だけ遅延させた第1の遅延信号を生成し、
前記第2の信号を前記所定の期間だけ遅延させた第2の遅延信号を生成し、
前記第1の信号のエッジ検出から前記第1の遅延信号のエッジ検出までの間に前記第2の信号のエッジが検出されない場合に前記第2の信号に信号異常が生じていることを示す第2マスク信号を活性化し、
前記第2の信号のエッジ検出から前記第2の遅延信号のエッジ検出までの間に前記第1の遅延信号のエッジが検出されない場合に前記第1の信号に信号異常が生じていることを示す第1マスク信号を活性化することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のトラキングエラー信号生成装置。
【請求項10】
前記第1または前記第2のマスク信号が活性化されている期間に応じて、前記第1の信号及び前記第2の信号を不活性化することを特徴とする請求項9に記載のトラッキングエラー信号生成装置。
【請求項11】
前記第1の受光素子の出力信号を増幅し、当該増幅した信号の振幅を調整し、当該調整信号を2値化することにより前記第1の信号を生成し、
前記第2の受光素子の出力信号を増幅し、当該増幅した信号の振幅を調整し、当該調整信号を2値化することにより前記第2の信号を生成することを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載のトラッキングエラー信号生成方法。
【請求項12】
光ディスクに記録されたパルスを検出した第1の信号と、前記第1の信号と異なるタイミングで前記パルスを検出した第2の信号と、が入力され、
前記第1の信号のエッジ検出から所定の期間だけ活性化される第3の信号と、前記第2の信号のエッジ検出から所定の期間だけ活性化される第4の信号と、を生成し、
前記第3の信号、前記第4の信号のいずれか一方のエッジ検出から前記所定の期間内に他方のエッジが検出されない場合には、信号異常が生じていると判定するトラッキングエラー信号生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−64256(P2012−64256A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205340(P2010−205340)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】