説明

トラック車両の荷台に設ける階段装置

【課題】コンパクトに分解できて移動時や保管時などの取り扱い性に秀れると共に、トラック車両の荷台に対し強固に固定できて安全に登り下りすることができるトラック車両の荷台に設ける階段装置を提供すること。
【解決手段】トラック車両1の荷台2のアオリ板3に締付固定するクランプ機構4を備えた車両固定ユニットAと、このアオリ板3に固定された車両固定ユニットAに対して着脱自在に取付られてアオリ板3の外側へ突設配設すると共に落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6を備えた階段取付ユニットBと、この階段取付ユニットBに対して一側端部が着脱自在に取付られると共に他側端部の接地部7が地面8に接地することによって前記トラック車両1の荷台2側方に沿設配置する階段ユニットCとから成る階段装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック車両の荷台への昇り降りを行うために使用するトラック車両の荷台に設ける階段装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トラック車両の荷台の側方に沿設状態に配置できるようにした外付けの階段装置が提案されており(例えば、特許文献1参照。)、この階段装置を使用することで、作業者はトラック車両の荷台への昇り降りを容易に行うことができる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−299369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のトラック車両の荷台用の階段装置は、大型であるために移動が困難であったり、保管スペースの確保が困難であったりするなどの不便な点がある。
【0005】
本発明は、このようなトラック車両の荷台に設ける階段装置の改良に係るもので、コンパクトに分解できて移動時や保管時などの取り扱い性に秀れると共に、トラック車両の荷台に対し強固に固定できて安全に登り下りすることができる画期的なトラック車両の荷台に設ける階段装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
トラック車両1の荷台2のアオリ板3に締付固定するクランプ機構4を備えた車両固定ユニットAと、このアオリ板3に固定された車両固定ユニットAに対して着脱自在に取付られてアオリ板3の外側へ突設配設すると共に落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6を備えた階段取付ユニットBと、この階段取付ユニットBに対して一側端部が着脱自在に取付られると共に他側端部の接地部7が地面8に接地することによって前記トラック車両1の荷台2側方に沿設配置する階段ユニットCとから成ることを特徴とするトラック車両の荷台に設ける階段装置に係るものである。
【0008】
また、前記階段取付ユニットBは、前記車両固定ユニットAに取付した際に前記落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6が前記アオリ板3の板面に対して略直角に外側へ突設する形状に構成すると共に、この落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6の突設方向と直交する方向から前記階段ユニットCの一側端部を取付可能な階段ユニット用被取付部9をこの階段取付ユニットBに設けて、この階段ユニット用被取付部9に前記階段ユニットCの一側端部を取付すると、この階段ユニットCの登り方向を塞ぐ位置に前記落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6が配置する構成としたことを特徴とする請求項1記載のトラック車両の荷台に設ける階段装置に係るものである。
【0009】
また、前記階段取付ユニットBは、下部に前記車両固定ユニットAへ取付するための車両固定ユニット用取付部10を設け、この車両固定ユニット用取付部10の上方に前記階段ユニットCの一側端部を取付可能な階段ユニット用被取付部9を設け、この階段ユニット用被取付部9の上方に前記落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6を設けた構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のトラック車両の荷台に設ける階段装置に係るものである。
【0010】
また、前記階段取付ユニットBに設けた前記階段ユニット用被取付部9は、この階段取付ユニットBの前記落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6の突設方向と直交する両側方向から前記階段ユニットCの一側端部を取付し得るように構成したことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載のトラック車両の荷台に設ける階段装置に係るものである。
【0011】
また、前記階段ユニットCの他側端部に、伸縮調整可能な前記接地部7を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のトラック車両に設ける階段装置に係るものである。
【0012】
また、前記階段取付ユニットBは、前記車両固定ユニットAに対して取付角度を変更可能に設けて、この階段取付ユニットBの突設方向を前記アオリ板3の板面に対して略平行となるように角度変更し得るように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のトラック車両に設ける階段装置に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、車両固定ユニットと階段取付ユニットと階段ユニットの三体に分離してコンパクトな形態にできるので、持ち運び移動を容易に行えるし収納スペースも省スペースで済むことになるなど、取り扱い性が著しく向上し、また、各ユニットがコンパクトであるために、互いを取付して本階段装置を組む作業も容易に行うことができ、しかも本発明では、階段取付ユニットに落下防止用柵部若しくは使用者用手摺部を備えている上、車両固定ユニットをトラック車両の荷台のアオリ板にクランプ機構で強固に締付固定する構成としたことで本階段装置とトラック車両の荷台とが簡単に離れることもないので、使用者は登り下りを安全に且つ安心して行うことができるなど、極めて実用性に秀れた画期的なトラック車両の荷台に設ける階段装置となる。
【0014】
また、請求項2記載の発明においては、階段ユニットがトラック車両の荷台側方に沿設状態で配置する構成を簡易に設計実現可能となり、しかも、階段ユニットの登り方向を塞ぐ位置に落下防止用柵部若しくは使用者用手摺部があることで、荷台への行き来動作を安全に行うことができるなど、一層実用性に秀れた構成のトラック車両の荷台に設ける階段装置となる。
【0015】
また、請求項3記載の発明においては、前記作用・効果を確実に発揮する階段取付ユニットを簡易に設計実現可能となる一層実用性に秀れた構成のトラック車両の荷台に設ける階段装置となる。
【0016】
また、請求項4記載の発明においては、例えば、設置スペースに制約があるような箇所での使用に際して、設置スペースが取れる方向へ階段ユニットの設置位置を選択して取付することが可能となる一層実用性に秀れた構成のトラック車両の荷台に設ける階段装置となる。
【0017】
また、請求項5記載の発明においては、接地部を伸縮調整して色々な車種に対応使用可能となる一層実用性に秀れた構成のトラック車両の荷台に設ける階段装置となる。
【0018】
また、請求項6記載の発明においては、階段取付ユニットを角度変更して、車両固定ユニットと階段取付ユニットとを取付した状態でもトラック車両の走行の障害となるような突起物がほとんどない状態にできるので、この車両固定ユニットと階段取付ユニットとを取付したままでトラック車両を安全に走行させることも可能となる一層実用性に秀れた構成のトラック車両の荷台に設ける階段装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0020】
トラック車両1の荷台2のアオリ板3に、クランプ機構4を介して車両固定ユニットAを締付固定することができる。
【0021】
続いて、このアオリ板3に固定した車両固定ユニットAに階段取付ユニットBを取付し、この階段取付ユニットBに階段ユニットCの一側端部を取付すると共に他側端部の接地部7を地面8に接地することで、前記トラック車両1の荷台2側方に階段ユニットCを沿設配置することができる。
【0022】
尚、各ユニットA,B,Cの取付手順は、上記手順に限定されるものではない。
【0023】
このようにしてトラック車両1の荷台2側方に配置した本階段装置を利用して、地面8から荷台2までの間を使用者(作業者)が登り下りすることができる。
【0024】
また、この際、本発明では、階段取付ユニットBに備えた落下防止用柵部5により若しくは使用者用手摺部6を利用することにより、使用者が登り下りを安全に行うことができるし、前記クランプ機構4によって車両固定ユニットAがトラック車両1の荷台2のアオリ板3に強固に締付固定されるため、本階段装置とトラック車両1の荷台2とが簡単に離れてしまうようなこともなく、従って、使用者は、例えば、荷台2への荷積み作業や荷台2からの荷下ろし作業を安心して行うことができる。
【0025】
また、本階段装置は、車両固定ユニットAと階段取付ユニットBと階段ユニットCとの三体に分離できるので、この三分割された各ユニットA,B,Cは完成時に比していずれもコンパクトな形態となって持ち運び移動を容易に行えるし、不使用時に分解することで収納スペースも省スペースで済むことになるので、非常に実用的となる。
【0026】
また、各ユニットA,B,Cがコンパクトで取り扱い容易なために、互いを取付して本階段装置を組む作業も容易に行うことができる。
【0027】
また、例えば、前記階段取付ユニットBは、前記車両固定ユニットAに取付した際に前記落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6が前記アオリ板3の板面に対して略直角に外側へ突設する形状に構成すると共に、この落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6の突設方向と直交する方向から前記階段ユニットCの一側端部を取付可能な階段ユニット用被取付部9をこの階段取付ユニットBに設けて、この階段ユニット用被取付部9に前記階段ユニットCの一側端部を取付すると、この階段ユニットCの登り方向を塞ぐ位置に前記落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6が配置する構成とすれば、階段ユニットCがトラック車両1の荷台2側方に沿設状態で配置する構成を簡易に設計実現可能となり、しかも、荷台2と階段ユニットCの間に存するアオリ板3を跨ぐような動作を要する場合であっても、落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6があることによってこの動作を安全に行うことができるし、例えば、階段ユニットCを登ってきた使用者がそのまま前方へ足を踏み外して落下してしまうようなことも落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6によって確実に防止されることになるなど、一層実用的となる。
【0028】
また、例えば、前記階段取付ユニットBに設けた前記階段ユニット用被取付部9は、この階段取付ユニットBの前記落下防止用柵部5若しくは使用者用手摺部6の突設方向と直交する両側方向から前記階段ユニットCの一側端部を取付し得るように構成すれば、例えば、設置スペースに制約があるような箇所での使用に際して、設置スペースが取れる方向へ階段ユニットCの設置位置を選択して取付することが可能となるので、一層実用的となる。
【0029】
また、例えば、前記階段取付ユニットBは、前記車両固定ユニットAに対して取付角度を変更可能に設けて、この階段取付ユニットBの突設方向を前記アオリ板3の板面に対して略平行となるように角度変更し得るように構成すれば、この階段取付ユニットの角度変更により、車両固定ユニットAと階段取付ユニットBとを取付した状態でもトラック車両1の走行の障害となるような突起物がほとんどない状態にできるので、この車両固定ユニットAと階段取付ユニットBとを取付したままでトラック車両1を安全に走行させることが可能となる。従って、例えば、本階段装置を用いて荷積みあるいは荷下ろし作業を行った後、少し離れた場所で再度荷積みあるいは荷下ろし作業を行うような場合には、最初の作業を行った後に荷台2から本階段装置を全て取り外す必要がなく、階段ユニットCを取り外すと共に階段取付ユニットBを角度変更するだけの作業でトラック車両1を安全に少距離移動させることが可能となる上、次の作業現場では階段取付ユニットBの取付角度を元に戻すと共に階段ユニットCを取付するだけの作業で本階段装置が設置完了することになるので、このような用途には非常に有用となり、一層実用的となる。
【実施例】
【0030】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施例のトラック車両の荷台に設ける階段装置は、図1に示すように、トラック車両1の荷台2のアオリ板3を上下方向から挟み込んで締付固定するクランプ機構4を備えた車両固定ユニットAと、このアオリ板3に固定された車両固定ユニットAに対して着脱自在に取付られてアオリ板3の外側へ突設配設すると共に落下防止用柵部5を備えた階段取付ユニットBと、この階段取付ユニットBに対して一側端部が着脱自在に取付られると共に他側端部の接地部7が地面8に接地することによって前記トラック車両1の荷台2側方に沿設配置する階段ユニットCと、この階段ユニットCに取付られる手摺ユニットDとの四つのユニットから成る構成としている。
【0032】
本実施例の車両固定ユニットAは、図2に示すように一般的なトラック車両1の荷台2に設けられるアオリ板3の高さ幅より長さのあるパイプ材を主体11とし、この主体11にクランプ機構4を設けている。
【0033】
クランプ機構4について具体的に説明すると、前記主体11の上端部に、前記アオリ板3の上端部を被嵌する断面コ字板形の被嵌部4Aを付設し、この被嵌部4Aより下方の主体11に短筒状の移動体4Cをスライド移動自在に被嵌し、この主体11の下端部にこの主体11より径大なストッパ部4Bを付設して、この被嵌部4A,ストッパ部4B間で移動体4Cが主体11に沿ってスライド移動自在となるように設けている。
【0034】
また、この移動体4Cの側部に、前記アオリ板3下方に存する荷台2のボディー下端部2Aに当接する挟持押圧部4Dを付設してこの挟持押圧部4Dと前記被嵌部4Aとでアオリ板3とボディー下端部2Aとを上下方向から挟持し得るように構成している。図中符号4Eは、挟持押圧部4Dの上面中央に設けた凹所であって、この凹所4Eに前記アオリ板3下方に存する荷台2のボディー下端部を当接して締付固定することで、車両固定ユニットAがアオリ板3と略平行となる適正状態(図2の状態)に位置決めされる構成としている。
【0035】
また、前記ストッパ部4Bの周面の一部を側方へ一体的に突設すると共に、この突設部に上下方向に貫通する図示省略のネジ穴を形成し、このネジ穴に螺着したネジ棒4Fの上端部を前記挟持押圧部4Dの下部に遊転自在に連結する一方、このネジ棒4Fの下端部に操作ハンドル4Gを付設して、この操作ハンドル4Gを正逆方向に回動操作することにより挟持押圧部4Dを昇降スライド移動制御可能(挟持押圧部4Dと前記被嵌部4Aとの対向距離を広狭調整可能)としている。
【0036】
従って、このクランプ機構4でアオリ板3を含むトラック車両1の荷台2側部を締付固定することにより、このアオリ板3の板面に沿って略平行に主体11が縦設する状態で車両固定ユニットAを強固に締付固定可能な構成としている。
【0037】
また、この本実施例のクランプ機構4は、荷台2左右部のアオリ板3にも、荷台2後部のアオリ板3にも締付固定可能であるし、高さ幅サイズの異なる種々のアオリ板3(異なる車種のアオリ板3)にも対応可能であるので、汎用性が高い。
【0038】
また、この車両固定ユニットAの主体11(パイプ材)は、前記階段取付ユニットBを差込して取付可能な階段取付ユニット用被取付部12(被差込部12)としても機能する構成とし、この主体11の上端開口部から、前記階段取付ユニットBを差込することでこの階段取付ユニットBを車両固定ユニットAの上部に取付し得るようにしている。
【0039】
本実施例の階段取付ユニットBは、図3に示すように、前記車両固定ユニットAのパイプ材11よりもやや径小なパイプ材を主体13とし、この主体13の中程より上側部にコ字形の枠材を側方へ突設するように付設してP字形を呈する枠形状に構成している。
【0040】
また、この主体13の下部を前記車両固定ユニットAの前記被差込部12に差込して取付するための車両固定ユニット用取付部10(差込部10)に構成すると共に、上側の側方に突設するコ字枠(ロ字枠)部分を落下防止用柵部5に構成している。図中符号14は落下防止用柵部5に架設した補強桟である。
【0041】
また、この落下防止用柵部5は、使用者用手摺部6としても機能する構成とすると共に、下部の横パイプ部分は、前記階段ユニットCの一側端部を取付可能な階段ユニット用被取付部9(被掛止部9)としても機能する構成としている。
【0042】
また、主体13の中程に、前記落下防止用柵部5の突設方向の反対方向に向けてフック形の位置決め用掛止部15を突設し、この位置決め用掛止部15を前記荷台2に固定した前記車両固定ユニットAの被嵌部4Aに上方から掛止すると、図4に示すように階段取付ユニットBの高さが維持されてアオリ板3の上方へ落下防止用柵部5が突設した状態に維持されると共に、落下防止用柵部5がアオリ板3の外側板面に対し略直角に外側に突設する状態で位置決めされるように構成し、このアオリ板3から略直角に突設する前記被掛止部9に前記階段ユニットCの一側端部を掛止することで、階段ユニットCが荷台2側方に沿設配置することになる構成としている。
【0043】
また、この落下防止用柵部5がアオリ板3から略直角に突設する位置決め状態から、階段取付ユニットBを上方へ少し引き上げて位置決め用掛止部15を被嵌部4Aから掛脱させると、車両固定ユニットAに対し階段取付ユニットBは主体13を軸に回動可能(荷台2への取付角度を変更可能)となり、図6に示すように階段取付ユニットBを略90度回動させて落下防止用柵部5の突設方向を前記アオリ板3の板面に対して略平行となるように角度変更した上で下方へ降ろし、位置決め用掛止部15を被差込部12の上端縁に載置当接すると、位置決め用掛止部15が被嵌部4Aの側面に当接してこの状態が位置決めされる構成としている。この位置決め状態では、車両固定ユニットAと階段取付ユニットBとを取付した状態でもトラック車両1の走行の障害となるような側方への突起物がほとんどない状態となるので、この車両固定ユニットAと階段取付ユニットBとを取付したままでトラック車両1を安全に走行させることが可能となる。
【0044】
本実施例の階段ユニットCは、図4に示すように、左右一対の帯状の主板16間に、この主板16の長さ方向に間隔を置いて複数の踏板17を架設固定した構成としている。
【0045】
また、この階段ユニットCの一側端部(登り方向の上端部)の左右部(左右の主板16の上端部)に、前記階段取付ユニットBの被掛止部9に掛止して取付するための階段取付ユニット用取付部18(フック形の掛止部18)を突設している。この掛止部18は、フック形としたことで図7に示すように前記アオリ板3から略直角に突設する被掛止部9に対しこの被掛止部9の長さ方向と直交する方向のどちらからでも掛止し得る構成であり、どちら側に掛止した場合においても、階段ユニットCが、その登り下り方向がアオリ板3の板面と平行となる沿設状態に配置する構成としている。
【0046】
また、この階段ユニットCの他側端部の左右部には、伸縮調整可能な接地部7を設けている。従って、トラック車両1は、車種によって荷台2の高さが異なるために、階段ユニットCの設置高さは使用する車種ごとに異なるが、本実施例によれば、接地部7を伸縮調整してどのような車種に対しても対応使用できるように構成している。また、この伸縮調整により地面8の高さにも対応可能である。
【0047】
この接地部7は、円板状の接地体7Aに脚杆7Bが立設する形状に構成し、この脚杆7Bを階段ユニットCの左右の主板16夫々の下り方向の下端部に設けた伸縮調整装置部20に装着している。
【0048】
伸縮調整装置部20について説明すると、図5に示すように、上板部21Aと下板部21Bと側板部21Cとを備えた略コ字形の板材で成る脚杆装着部21に、脚杆7Bを所定高さで係止位置決めする係止機構22を設けている。
【0049】
更に詳しくは、側板部21Cを左右の主板16の外側面に付設した構成としている。また、上板部21Aと下板部21Bとに挿通孔を貫通形成し、この上下の挿通孔に前記脚杆7Bを挿通することで脚杆装着部21に対して接地部7を昇降可能(主板16に対して接地部7を伸縮調整可能)に装着している。
【0050】
また、この上板部21Aと下板部21Bの間に、発条(コイルバネ)22Aと、前記脚杆7Bに係止する係止板22Bとから成る前記係止機構22を設け、この係止板22Bを発条22Aの付勢力に抗して指圧で押し下げると、係止板部22Bに対して脚杆7Bがフリーとなって接地部7が伸縮調整可能となり、指圧を開放すると、発条22Aによって係止板22Bが脚杆7Bに係止して脚杆7Bが固定状態に維持される構成としている。
【0051】
また、この階段ユニットCの左右部(左右の主板16)夫々に、前記手摺ユニットDを差込固定する筒状の手摺固定部19を片側二箇所ずつ付設している。この手摺固定部19は、締付ネジ19Aを有し、この締付ネジ19Aにより差込した手摺ユニットDを着脱自在に締付固定する構成としている。
【0052】
また、本実施例の手摺ユニットDは、パイプ材を使用して図示したような変形のコ字枠状体とした上で、遊離両端部間に補強桟23を架設固定した構成としており、この手摺ユニットDの両端部を前記階段ユニットCの手摺固定部19に差込して締付固定する構成としている。
【0053】
次に、本実施例の具体的な使用方法を説明する。尚、取付手順については、以下の手順に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0054】
先ず、車両固定ユニットAの被嵌部4Aをトラック車両1の荷台2のアオリ板3上端部に引っ掛け、操作ハンドルGを回動操作して挟持押圧部4Dを上昇移動させ、凹所4Eに前記アオリ板3下方に存する荷台2のボディー下端部を当接して締付することで、車両固定ユニットAをアオリ板3と略平行に固定する。
【0055】
次いで、車両固定ユニットAの被差込部12に、階段取付ユニットBの差込部10を差込することで車両固定ユニットAの上部に階段取付ユニットBを取付すると共に、階段取付ユニットBの位置決め用掛止部15を荷台2に固定した車両固定ユニットAの被嵌部4Aに上方から掛止して、落下防止用柵部5をアオリ板3の外側板面に対し略直角に外側へ突設させる。
【0056】
次いで、この階段取付ユニットBの被掛止部9に、階段ユニットCの掛止部18を掛止し、各踏板17が略水平となるように接地部7を伸縮調整して地面8に接地すると、階段ユニットCが荷台2側方に、その登り下り方向がアオリ板3の板面と略平行となる状態で沿設配置すると共に、この階段ユニットCの登り方向を塞ぐ位置に前記落下防止用柵部5(使用者用手摺部6)が配置することになる。
【0057】
最後に、この階段ユニットCの外側に位置している方の手摺固定部19に、手摺ユニットDの両端部を差込して締付ネジ19Aで締付固定すると、階段ユニットCの側部に手摺ができあがる(図1参照。)。
【0058】
そして、このようにして設置した本階段装置を利用して、使用者(作業者)が地面8と荷台2との間を登り下りすることができる。
【0059】
尚、車両固定ユニットAを固定するアオリ板3を選択することにより、本階段装置は荷台2の側方にも後方にも設置可能であるし、階段ユニットCの設置方向を180度異なる方向へ選択設置可能であるので、この階段ユニットCをスペースの許す方向へ設置可能である。
【0060】
このように構成した本実施例によれば、車両固定ユニットAは、クランプ機構4の操作ハンドル4Gの回動操作によって簡単に荷台2に固定できるし、階段取付ユニットBは、車両固定ユニットAに差込するだけで簡単に取付できるし、階段ユニットCは階段取付ユニットBに掛止するだけで簡単に取付できるし、手摺ユニットDは、階段ユニットCに差込して締付するだけで簡単に取付できるので、本階段装置のトラック車両1への取付作業も、組立作業も簡単に行うことができる。また、同様にしてトラック車両1からの本階段装置の取外作業も、分解作業も簡単に行うことができる。
【0061】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施例の使用状態を示す斜視図である。
【図2】本実施例の車両固定ユニットとこの車両固定ユニットのトラック車両荷台への固定構造を示す拡大説明図である。
【図3】本実施例の階段取付ユニットとこの階段取付ユニットの車両固定ユニットへの取付構造を示す説明分解斜視図である。
【図4】本実施例の階段ユニットとこの階段ユニットの階段取付ユニットへの取付構造、並びに手摺ユニットとこの手摺ユニットの階段ユニットへの取付構造を示す説明分解斜視図である。
【図5】本実施例の階段ユニットの接地部の伸縮調整構造を示す部分拡大説明図である。
【図6】本実施例の階段取付ユニットの落下防止用柵部を、アオリ板と平行に沿設させた状態を示す説明斜視図である。
【図7】本実施例の階段ユニットを、階段取付ユニットに対して両側方向から取付可能であることを示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 トラック車両
2 荷台
3 アオリ板
4 クランプ機構
5 落下防止用柵部
6 使用者用手摺部
7 接地部
8 地面
9 階段ユニット用被取付部
10 車両固定ユニット用取付部
A 車両固定ユニット
B 階段取付ユニット
C 階段ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック車両の荷台のアオリ板に締付固定するクランプ機構を備えた車両固定ユニットと、このアオリ板に固定された車両固定ユニットに対して着脱自在に取付られてアオリ板の外側へ突設配設すると共に落下防止用柵部若しくは使用者用手摺部を備えた階段取付ユニットと、この階段取付ユニットに対して一側端部が着脱自在に取付られると共に他側端部の接地部が地面に接地することによって前記トラック車両の荷台側方に沿設配置する階段ユニットとから成ることを特徴とするトラック車両の荷台に設ける階段装置。
【請求項2】
前記階段取付ユニットは、前記車両固定ユニットに取付した際に前記落下防止用柵部若しくは使用者用手摺部が前記アオリ板の板面に対して略直角に外側へ突設する形状に構成すると共に、この落下防止用柵部若しくは使用者用手摺部の突設方向と直交する方向から前記階段ユニットの一側端部を取付可能な階段ユニット用被取付部をこの階段取付ユニットに設けて、この階段ユニット用被取付部に前記階段ユニットの一側端部を取付すると、この階段ユニットの登り方向を塞ぐ位置に前記落下防止用柵部若しくは使用者用手摺部が配置する構成としたことを特徴とする請求項1記載のトラック車両の荷台に設ける階段装置。
【請求項3】
前記階段取付ユニットは、下部に前記車両固定ユニットへ取付するための車両固定ユニット用取付部を設け、この車両固定ユニット用取付部の上方に前記階段ユニットの一側端部を取付可能な階段ユニット用被取付部を設け、この階段ユニット用被取付部の上方に前記落下防止用柵部若しくは使用者用手摺部を設けた構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のトラック車両の荷台に設ける階段装置。
【請求項4】
前記階段取付ユニットに設けた前記階段ユニット用被取付部は、この階段取付ユニットの前記落下防止用柵部若しくは使用者用手摺部の突設方向と直交する両側方向から前記階段ユニットの一側端部を取付し得るように構成したことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載のトラック車両の荷台に設ける階段装置。
【請求項5】
前記階段ユニットの他側端部に、伸縮調整可能な前記接地部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のトラック車両に設ける階段装置。
【請求項6】
前記階段取付ユニットは、前記車両固定ユニットに対して取付角度を変更可能に設けて、この階段取付ユニットの突設方向を前記アオリ板の板面に対して略平行となるように角度変更し得るように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のトラック車両に設ける階段装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−161002(P2009−161002A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341086(P2007−341086)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000139791)株式会社伊藤製作所 (19)
【Fターム(参考)】