説明

トランザクションを開始することが可能な不揮発性メモリ

【課題】 マスタ/スレーブ設定ではなく、ピアツーピア設定で動作することができる不揮発性メモリが提供される。
【解決手段】 実施形態によっては、本メモリは、メモリの外のデバイスとのトランザクションを開始することができる。従って、本メモリは、従来はメモリコントローラと他の外部デバイスとで実行されるタスクを、主体的に実行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、不揮発性メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリ(non-volatile memory)は、電源が切られたときでもデータを格納するマイクロ電子メモリ(microelectronic memory)である。不揮発性メモリの例として数例を挙げるとすれば、スタティックRAM(static random access memory)、フラッシュメモリ(flash memory)、および相変化メモリ(phase change memory)が含まれる。
【0003】
一般に、不揮発性メモリは、基本的に不揮発性メモリの全ての動作を制御するメモリコントローラ(memory controller)に結合されている。不揮発性メモリは、そして基本的に、メモリコントローラによってアクセスされるデータ貯蔵庫である。メモリコントローラと不揮発性メモリとの間のトランザクションは、メモリコントローラによって開始される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のいくつかの実施形態によれば、メモリコントローラと不揮発性メモリとの間の従来のマスタ/スレーブの関係を用いる代わりに、ピアツーピア(peer-to-peer)関係を利用することができる。ピアツーピア関係では、不揮発性メモリがトランザクションを開始することができる。
【0005】
ここに使用されるように、“トランザクション(transaction)”とは、不揮発性メモリの外部への、データまたは情報の提供以上の何かを含む、任意の活動、または不揮発性メモリより外側のエンティティへの任意の要求である。ここに使用されるように、“開始(initiate)する”という用語は、任意の他の外部デバイスからの入力なしにトランザクションを始めることを意味する。ここで使用されるように、不揮発性メモリは、電源がオフのときに情報を保持するとともに、アドレス指定可能なメモリセルの行と列のアレイ(配列)を含むマイクロ電子記憶装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明による一実施形態の概略図である。
【図2】本発明による一実施形態のシステム図である。
【図3】本発明による一実施形態のシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を参照して説明すると、不揮発性メモリ22は単一の集積回路とすることができる。不揮発性メモリ22は、数例を挙げるとすれば例えば、フラッシュメモリ、スタティックRAM、または相変化メモリとすることができる。不揮発性メモリ22は、行列アドレス指定回路によってアドレス指定可能なメモリセルの行と列で構成されたアレイ32を含むことができる。制御機器(control)28は、2つの例を挙げるとすれば、プロセッサベースデバイスまたはスマート論理デバイスとすることができる。
【0008】
制御機器28は、一実施形態によれば、メモリ22がインタフェース26によって使用されているときには、外部バス24に結合されている。制御機器28は、実施形態によっては、アレイ32から分離した記憶装置(storage)30を有することができる。例えば、記憶機器30はスタティックRAMによって実施可能なコード記憶装置(code storage)とすることができる。しかしながら、他の実施形態では、制御機器28は、アレイ32内のメモリセルを利用することができる。ひいては、実施形態によっては、インタフェース、制御機器、記憶装置、およびメモリセルアレイは、全て、同じ集積回路基板上に集積される。
【0009】
不揮発性メモリ22は1つの単一パッケージで提供されることができ、そして実施形態によっては、パッケージ化された不揮発性メモリ集積回路を取り付けるために伝統的に使用されるソケット(sockets)または容器(receivers)に完全に互換性があるようにすることができる。パッケージ化された集積回路メモリ22のサイズとそのピン配置は、そのようなデバイスを受け入れる既存のソケットおよび他のデバイスと完全に互換性があるようにすることができる。実施形態によっては、メモリ22は、メモリ22がトランザクションを開始することができるという点を除けば、従来の不揮発性メモリの代わりに、それらが従来使用されていたのと同じ位置及び配置で、同じ方法で使用することができる。
【0010】
メモリ22は、実施の一形態によれば、制御機器28の制御下でトランザクションを開始することができる。制御機器28は、バス24を備えたインタフェース26を通じて、通信を含め、要求又は他のトランザクションを発行することができる。実施形態によっては、外に出て行く(outgoing)通信は外部パッケージ上の別個のピン接続を通して実装することができる。他の実施形態では、他の目的に使用されるピンもそのような外に出て行くトランザクションに使用することができる。実施形態によっては、外に出て行くトランザクションに使用されるピンは双方向とすることができ、メモリコントローラ20からの応答を受信することができる。
【0011】
トランザクションを開始することができる不揮発性メモリ22は多数の用途を有することができる。1つの用途は携帯電話機に関連する。この場合、小さな設置面積と、より多くの機能を実行する能力が、このメモリを多くの分野で有利なものにする。ひいては、一部の場合において、不揮発性メモリ22はモバイル機器との関連で特殊な適用性が見い出せるが、その適用性はそれほど限定的ではない。
【0012】
一般に、メモリ22は、ポーリング又は他の外部の刺激を待つことなく、それ自身の主導権により情報の要求を開始することができる。同様に、メモリ22は、実施形態によっては、ポーリング又は他の外部の刺激を待つことなく、それ自身の主導権によりメモリコントローラに、あるいはメモリコントローラを介して、情報を提供することもできる。
【0013】
一例として、メモリコントローラ20がバス24を介してメモリ22にアクセスするとき、メモリ22はそれ自身で、例えばパスワード又は認証などのセキュリティ情報を要求することができる。メモリ22は、メモリコントローラから返されたパスワードまたは認証を受信することができ、そのパスワードまたは認証を、メモリ22に格納された情報、例えば記憶装置30内の情報と比較し、メモリ22へのアクセスを許可すべきか否かを決定することができる。こうして、そのようなメモリは、機密性の高いデータの記憶や、ハッカーがそれを危うくしたいと思うようなコードや、その他の情報の記憶を含む、セキュアな情報の記憶において、特殊な適用性を有することができる。
【0014】
同様に、メモリ22はメモリコントローラ20からステータス情報を要求することができる。例えば、メモリコントローラの電源が落ち、あるいは、メモリコントローラがある期間の間だけ使用しないという情報を、メモリコントローラが有していることをメモリ22が知っている場合には、不揮発性メモリ22はこの情報を利用して、例えばウェアレベリング(wear leveling(摩耗の平滑化))といった、内部のバックグランドまたはメンテナンス活動を実行することを決定することができる。加えて、メモリ22は、メモリ22の電力消費状態を設定するために、メモリコントローラのステータスについての情報を取得することができる。
【0015】
また、メモリ22は、プロセッサベースシステムの残りの部分とトランザクションを開始するために、メモリコントローラ20からのバスアクセスを要求することもできる。これにより、メモリは、システム内の活動に積極的に関与することが許される。場合によっては、通常はプロセッサベースシステムのメインまたは中央処理装置によって実行されるタスクは、制御機器28に押し付け(off-load)られることができる。これにより、メインまたは中央プロセッサを、他の活動が自由に行うことができるようにすることができる。それにより、実施形態によっては、メモリコントローラ20から転送活動を行うこともまた可能とすることができる。
【0016】
更に別の例として、メモリ22はそれ自身を自己設定するためにトランザクションを開始することができる。例えば、メモリ22は、システムに、そのような自己設定を容易にするための情報を不揮発性メモリ22に提供させるためのトランザクションを開始することができる。メモリ22は、メモリ22を設定するために、システムからプリファレンス情報(preference information)を取得することもできる。メモリ22は、パーティションサイズを設定するか、特定のアドレスへの要求を無視するか、異なる速度もしくは異なる読み込みモード−例えばバーストモード、ページモード、あるいは他のモード−で動作することによって、自分自身で自己設定するか、代わりのものを与えるか、あるいは、メモリが、より迅速に動作するかもしくは動作速度がそれほど重要でない場合には節電するように、スピードアップするかもしくはスピードダウンするように、同期速度情報を要求することができる。
【0017】
従って、図2を参照すると、例えばモバイル機器などのプロセッサベースシステム10は、パッケージ化された単一集積回路22で構成された不揮発性メモリデバイス14を含むことができる。システム10は、任意のモバイル機器または非モバイル機器とすることができる。不揮発性メモリデバイス14の1つの用途は、携帯電話機に関連することができる。不揮発性メモリデバイス14はシステムコントローラ12と相互作用することができる。システムコントローラは、実施形態によっては、メモリコントローラとすることができ、あるいは、中央処理装置からメモリコントローラまでのシステムアーキテクチャにおける任意レベルのコントローラとすることができる。本システムは、図示したように、他のデバイス18および16を含むことができる。
【0018】
実施形態によっては、メモリデバイス14は、スレーブ型不揮発性メモリデバイスにおいて従来行われるように、不揮発性メモリデバイス14の方を向いた矢印で示したような入力を受信することができる。しかしながら、不揮発性メモリデバイス14は、外に出て行く矢印で示されるように、トランザクションを開始することもできる。これらのトランザクションは、不揮発性メモリデバイス14の外部からの刺激なしに不揮発性メモリによって与えられたデータを含むことができる。数例を挙げるとすれば例えば、メモリ障害、メモリ容量、メモリ速度、セキュリティ関連の懸念事項、電力消費状態、およびウェアレベリング(wear leveling)などを含む、不揮発性メモリの問題を表すために、図2に示すように、アラートも含むことができる。
【0019】
加えて、図2に示したように、システムコントローラ12へ直接アクセスすることに加えて、不揮発性メモリデバイス14は、図3に示すように、システムコントローラ12への共有接続を有することができる。本実施形態では、通信は双方向データを含むのと同様に、不揮発性メモリデバイス14からの外へ向かう要求と、用語“許可”で示された応答を含むことができる。従って、システム20は、一部の環境においては、不揮発性メモリデバイスに一部の環境においてトランザクションを直接開始させることができる。
【0020】
本明細書全体を通して、“一実施形態”または“ある実施形態”という言及は、その実施形態に関連して述べた特定の特徴、構造、または特性が、本発明に包含される少なくとも1つの実装に含まれることを意味している。従って、“一実施形態”または“ある実施形態”という文言が現れたとしても、そのような文言は必ずしも同じ実施形態を指しているのではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、示された特定の実施形態以外の他の適切な形態で具現化されることができる。そして全てのそのような形態は、本願特許請求の範囲に包含されることができる。
【0021】
本発明は限られた数の実施形態に関して説明されてきたが、当業者であれば、そこから多数の変更形態および変形形態を思いつくことであろう。本願特許請求の範囲の請求項は、全ての斯かる変更形態と変形形態を、本発明の真の精神と範囲の中に入るものとしてカバーすることが意図されている。
【符号の説明】
【0022】
10 システム
12 システムコントローラ
14 不揮発性メモリデバイス
16、18 システム内の他のデバイス
20 メモリコントローラ
22 不揮発性メモリ
24 バス
28 制御機器
30 記憶装置
32 メモリセルアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリアレイと、
前記アレイに結合された制御機器であって、不揮発性メモリの外部のデバイスとのトランザクションを開始するための制御機器と
を備えた不揮発性メモリ。
【請求項2】
前記制御機器と前記メモリアレイは単一の集積回路上に集積されている請求項1に記載のメモリ。
【請求項3】
前記制御機器により実行される命令を格納するための記憶装置を含む請求項2に記載のメモリ。
【請求項4】
前記制御機器は、トランザクションに関連する外部刺激を最初に受信することなく、該トランザクションを開始する請求項1に記載のメモリ。
【請求項5】
前記制御機器は、前記メモリにアクセスしようと試みるデバイスからセキュリティ承認を求める請求項1に記載のメモリ。
【請求項6】
前記制御機器は、前記メモリによるバスアクセスの要求を含むトランザクションを開始する請求項1に記載のメモリ。
【請求項7】
前記制御機器は、前記メモリコントローラからの情報の要求を含むトランザクションを開始する請求項1に記載のメモリ。
【請求項8】
前記制御機器は、前記メモリが自己設定することを可能にする情報を要求する請求項1に記載の不揮発性メモリ。
【請求項9】
前記メモリは、従来の不揮発性メモリ取り付け配置で受け入れるように適合する請求項1に記載の不揮発性メモリ。
【請求項10】
前記制御機器は、前記不揮発性メモリの外部のデバイスからの情報を要求するトランザクションを開始する請求項1に記載の不揮発性メモリ。
【請求項11】
不揮発性メモリが前記不揮発性メモリの外部のデバイスとのトランザクションを開始することを可能にするステップを含む、方法。
【請求項12】
前記メモリの制御機器とメモリアレイとを単一の集積回路上に集積するステップを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記制御機器が実行する命令を格納する記憶装置を、前記集積回路上に集積するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記不揮発性メモリの外部のデバイスからの情報の要求を含むトランザクションを開始するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記不揮発性メモリが、前記不揮発性メモリにアクセスしようと試みるデバイスから、セキュリティ承認を求めることを可能にするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
バスアクセスの要求を含むトランザクションを、前記メモリが開始することを可能にするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
メモリコントローラからの情報の要求を含むトランザクションを、前記メモリが開始することを可能にするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記メモリが自己設定することができるようにする情報を、前記メモリが要求することを可能にするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記メモリが従来の不揮発性メモリ用ソケットに適合することを可能にすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記メモリの外部からトランザクションに関係する刺激を受信するよりも前に、前記不揮発性メモリが前記トランザクションを開始することを可能にするステップを含む、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−140486(P2010−140486A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−280323(P2009−280323)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(509340551)ニューモニクス・ベスローテン・フェンノートシャップ (3)
【Fターム(参考)】