説明

トランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチル・エステルHClの製法

本発明は、トランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチルHClの製法に関連し、d)0.1−0.6barの過剰圧力においてPd/Cの存在下で40−50℃の間の温度、プロトン性溶媒で4−ニトロフェニル酢酸を水素化し、そして、e)1−4barの過剰圧力において50−60℃の間の温度でステップa)の位置で得られた4−アミノフェニル酢酸をさらに水素化し、その後f)塩化水素エタノールで1−3時間ステップb)で得られた4−アミノシクロヘキシル酢酸を加熱還流し、そして必要であれば溶媒を除去した後でアセトニトリルが得られた残基に加えられ、その後蒸留される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチル・エステルHClの新規な製法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸及びその誘導体は能動的な医薬品の合成のための優れた出発原料であり、従ってトランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸及びその誘導剤は良好な収率を有する薬純度を要求される作り易い方法を用意することによって経済的な方法を提供することが重要である。能動的な医薬品の合成のため、光学的に(ステレオメリカリ−(原文:stereomerically)純粋なトランス異性体型のみ適用できてもよい。
【0003】
Izvesztiya Akademii Nauk SSSR (Seriya Khimicheskaya(10))2374−9(ロシア)、1980は、4−アミノ−シクロヘキシル酢酸及びそれらの誘導体のシス及びトランス異性体の製法を開示する。それによると、4−アミノ−シクロヘキシル酢酸のシス及びトランス異性体は、ラネーニッケル触媒の存在下において130℃及び150圧力で水素化処理反応によって4−ニトロフェニル酢酸性ナトリウム塩を発端として得られる。得られた製品は、水素塩化物の形で分離される。
【0004】
Wustrowその他(Journal of Medicinal Chemistry、1998 第41巻、No.5 768)によれば、トランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチル・エステル水素塩化物は、水素化処理によって4−ニトロフェニル酢酸から得られる。ナトリウム塩の水素化処理は、最初は49℃及び130圧力以下でラネーニッケル触媒の存在下の水性媒体において行われ、その後さらに130℃及び172圧力以下で行われる。得られた4−アミノ−シクロヘキシル酢酸は約トランス81%とシス異性体19%を含む。単離されたトランス及びシス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸の混合物がエタノールにおいて溶かされ、無水塩酸ガスで飽和して、加熱還流されるにつれて、必要なトランス異性体の隔離は管理するのが困難である。濾過された混合物が冷やされたあと、得られた濾過水は濃縮され、トランス製品はエーテルによって沈殿する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Izvesztiya Akademii Nauk SSSR (Seriya Khimicheskaya(10))2374−9(ロシア)、1980
【非特許文献2】Wustrowその他(Journal of Medicinal Chemistry、1998 第41巻、No.5 768)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の周知の手順の一般的不利な点は例えば、方法が非常に高い温度及び非常に自然発火性のあるラネーニッケル触媒の存在下においての圧力でのみ実行されることができるということであり、従って産業手順は、不経済で危険で特別な器材及び極端な条件を必要とする。さらなる不利な点はナトリウム塩が水素化し、従って処理及び修復ステップを管理するのが困難である。すなわち、トランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチル・エステル塩酸塩はエタノールの無水条件において産生し、塩酸と共に飽和され、その上反応混合物は加熱還流され製品はエーテルによって沈殿する。この手順は非常に腐食性の塩酸及び引火性エーテルの使用のため、環境観点から不利である。我々の目的は、製品が簡単な反応ステップさらに前記ステップが高可燃性及び/又は腐食性溶媒だけでなく特別な機材も必要とせずにトランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸又は十分に隔離可能な誘導体の安全かつ取り扱いの容易な産業規模での製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
我々は、驚くべきことに、4−ニトロフェニル酢酸が、3−4barの過剰圧力で、Pd/Cの存在下で水性媒体において水素化されることが分かり、それは一般のオートクレーブにおいて容易になされることができ、シス/トランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸の混合物は、トランスへのシス製品の比率は約70%において得られる。驚くべきことに、トランス選択性を増加させている我々の調査は、水素化処理がPd/Cの存在下で2つの反応ステップで実行されるとき、すなわち、ニトロ基の減少及びフェニル・リングの飽和が別々のステップで実施されるときに、トランス選択性が増加することを示した。ニトロ基の縮小が40−50℃の間の温度好ましくは44−46℃及び少なくとも0.6barの過剰圧力で実行されるとき、フェニル・グループは反応しないままであり、その後もとの位置で得られた4−アミノフェニル酢酸は、さらに50−60℃の間の温度好ましくは55−58℃及び少なくとも4barの過剰圧力で水素化される。この場合トランス→シス比率はより有利になり、トランス異性体の転換は60−70%である。また我々は、プロトン性溶媒において遊離酸型の4−ニトロフェニル酢酸の水素化処理を行っていることが分かり、例えば水、メタノール、エタノール、プロパノール又はその混合物で、好ましくは水で、全ての2つの水素化処理ステップを進行することができる。上述の従来の手順を用いて、シス及びトランスシクロヘキシル酢酸の分離及び精製は法則効率及び困難な製造方法のみによって行われることができる。しかし、我々は驚くべきことに、シクロヘキシル酢酸アルキル・エステル誘導体のときに、例えばメチル、エチル、プロピル・エステル誘導体が用意され、シス/トランスエチル・エステル塩酸の混合物は、良好なトランス収率を有するトランス及びシス製品に分離されることができると分かった。アミノ酸のエステル化のための周知の一般の方法は、アミノ酸をエステル化しているアルコールに溶かし、チオニルクロリドを加えることであって、アミノ酸エステル類は副産物なしで得られる。上記の周知の方法によれば、エチル・エステルHCl塩は塩酸塩ガスで飽和する無水媒体で生じ、非常に可燃性のエーテル溶媒は最終製品を沈殿させるために加えられる。
【0008】
我々は、驚くべきことに、トランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチル・エステルの調合が10−30mol%の、好ましくは20mol%の過度の塩酸を使用しているエタノ−ル媒体において実行されるときに、最終生産物が副産物を形成することなく等モル量において形成されると分かった。無水反応状態の必要がない本発明による方法の他の効果は、従って媒介物の含水量が4−ニトロフェニル酢酸の始めの容量の15v%に達することができる。
【0009】
また、我々は驚くべきことに、本発明によって準備される4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチル・エステルHCl塩のシス/トランス混合物がアセトニトリルで処理されるときに、トランス製品が極めて高純度及び良好な収率で分離されることができると分かった。
【0010】
本発明はトランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチル・エステルHClの製法に関し、製法は以下のステップを含む。
ステップ1:4−ニトロフェニル酢酸は、Pd/Cの存在下で40−50℃の間の温度で0.1−0.6barの過剰圧力の下でプロトン性溶媒において水素化され;
ステップ2:ステップ1の位置において得られた4−アミノ−ニトロフェニル酢酸は、50−60℃の間の温度で1−4barの過剰圧力の下でさらに水素化され;
ステップ3:ステップ2において得られた4−アミノ−シクロヘキシル酢酸は1−3時間塩化水素エタノールで加熱還流され、真空において蒸留することによって溶媒を除去した後に、アセトニトリルは得られた残基に加えられ蒸留される。蒸留液は−5−0℃の間の温度に冷やされ沈殿し、結晶はアセトニトリルで洗浄される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、限定されない以下の実施例で例示される。
【実施例】
【0012】
トランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチル・エステルHClの製法
A2500Lのエナメルをかぶせられたオートクレーブは、窒素空気の下での室温で、1000kgの脱イオン化された水及び210kg(1.16kM)の4−ニトロフェニル−酢酸によって荷電される。得られた混合物に窒素によるイナーティゼイション(原文:inertisation)の後、20kgの脱イオン水の10%のPd/Cの21kgの懸濁液が加えられ、触媒を測定しているゲージは20kgの脱イオン化された水によってすすがれる。水素ガスによって反応容器をすすいだ後に、水素取り込みが減速されるまで、水素化処理は44−46℃の間の温度及び0.6barの過剰圧力以下まで行われる。ニトロ基を還元した後に、温度は55−58℃まで引き上げられ、水素化処理は最大4.0barの過剰圧力で水素圧力を維持し続ける。水素取り込みの完成の後、混合物が25−30℃の間に温度に冷やされ、窒素及び触媒によっての除去は、加圧窒素でのSpaklerフィルタに濾過する。反応容器、フィルタ及びラインは、追加的な脱イオン水200gで洗われる。濾過水は結合され、2500Lで、蒸留液のエナメルをかぶせられたダブラー1200kgは真空下で80℃の内側温度で蒸留される。得られた残基は30℃以下に温度に冷やされ、430kgのエチルアルコールが加えられ、その後500Lの蒸留液が真空下において80℃で集められる。
【0013】
蒸留の完成の後、混合物は25−30℃の間の温度に冷やされ(含水量は最大10w%であり、完全な値に関して約32kgである)及び550kgのエチルアルコール、その後30%の塩化水素エチルアルコールの170kgが加えられ、反応混合物は約2時間加熱還流される。エステル化が完了するときに、真空下で800Lの溶媒は80℃で蒸留される。さらに800Lのエチルアルコールが加えられ、さらに真空下で750−800Lの溶媒は80℃で蒸留される。得られた残基に、700kgのアセトニトリルが加えられ、140Lの蒸留液が真空下において80℃で集められる。真空は窒素を導くことによって止められ、溶液は0−(−)5℃の間の温度に冷やされる。得られた結晶は遠心分離されて、温度が0−(−)5℃に保たれる間2つの部分において100kgのアセトニトリルで洗浄される。得られた固体は、60℃で一定重量に乾燥される。このようにして、90kgの標記生成物が得られる。
収率:40%
融点:173−176℃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチルHClの製法であって、
a)0.1−0.6barの過剰圧力でPd/Cの存在下で40−50℃の間の温度でプロトン性溶媒の4−ニトロフェニル酢酸を水素化し、
b)1−4barの過剰圧力で50−60℃の間の温度でさらにステップa)の位置において得られた4−アミノフェニル酢酸を水素化し、そして
c)塩化水素エタノールのなかで1−3時間の還流することでステップb)において得られた4−アミノ−シクロヘキシル酢酸を加熱し、そして必要であれば、溶媒を除去した後でアセトニトリルが得られた残基に加えられ、その後蒸留されることを特徴とするトランス4−アミノ−シクロヘキシル酢酸エチルHClの製法。
【請求項2】
溶媒として、水が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)において、水素化処理が44−46℃の間の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)において、水素化処理が55−58℃の間の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2012−512238(P2012−512238A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541612(P2011−541612)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/HU2009/000107
【国際公開番号】WO2010/070368
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(591180314)リヒター ゲデオン ニルバーノシャン ミーケデーレスベニュタールシャシャーグ (33)
【Fターム(参考)】