説明

トリアジン系書込モノマー含有感光性ポリマー組成物

本発明は、ポリウレタンマトリックスポリマー、書込モノマーおよび光開始剤を含んでなる感光性ポリマー組成物であって、書込モノマーが、式(I)[式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子または有機基であり、これらの基の少なくとも1つは、放射線硬化性基を有する有機基である]で示される化合物を含んでなる組成物に関する。本発明は更に、ホログラフィック媒体を製造するための感光性ポリマー組成物の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンマトリックスポリマー、書込モノマーおよび光開始剤を含んでなる感光性ポリマー組成物に関する。本発明は更に、ホログラフィック媒体を製造するための感光性ポリマー組成物の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
前記したタイプの感光性ポリマーは、先行技術から知られている。例えば、WO 2008/125229 A1は、ポリウレタン系マトリックスポリマー、アクリレート系書込モノマーおよび光開始剤を含んでなる感光性ポリマー組成物を記載している。硬化状態で、書込モノマーおよび光開始剤は、ポリウレタンマトリックス中に、三次元等方的に分布して埋め込まれている。
【0003】
JP 2004−300046 A、EP 1 229 389 A1およびEP 0 859 283 A1はそれぞれ、マトリックスポリマー、光開始剤およびトリアジン誘導体を含んでなる光重合性組成物を開示している。しかしながら、いずれの文献も、マトリックスポリマーとしてポリウレタンを使用する組成物を記載していない。
【0004】
感光性ポリマー組成物の使用にとって、感光性ポリマーにおけるホログラフィック露光によって生じる屈折率変調Δnは重要な役割を果たす。ホログラフィック露光の際、信号光と参照光で構成される干渉場(最も単純なケースでは、2つの平面波の干渉場)には、例えば干渉場における高強度部位での高屈折アクリレートの、局所的な光重合によって、屈折率格子が発現する。感光性ポリマーにおける屈折率格子(ホログラム)は、信号光の情報の全てを含む。参照光のみでホログラムを照射することによって、信号を再生することができる。入射参照光の強度に対する、このように再生された信号の強度は、以下において、回折効率またはDEと称する。
【0005】
2つの平面波の重ね合わせから生じる最も単純なホログラムの場合、DEは、再生時に回折された光の強度を、入射参照光および回折光の強度の和で割った商から計算される。DEが大きいほど、信号を一定の明るさで表示させるのに必要な参照光の光量に対するホログラムの効率は高くなる。
【0006】
高屈折アクリレートは、屈折率の低い領域と屈折率の高い領域の間に大きい幅を有する屈折率格子を形成することができるので、感光性ポリマー組成物においてホログラムが高いDEおよび高いΔnを有することが可能となる。DEがΔnと感光性ポリマー層厚さdの積に依存することに留意しなければならない。この積が大きいほど、(反射型ホログラムについて)可能なDEは大きくなる。例えば単色照射時に、ホログラムが見える(再生される)角度範囲幅は、層厚さdのみに依存する。
【0007】
例えば白色光での、ホログラムの照射時に、ホログラムの再生に寄与できるスペクトル領域幅もまた、層厚さdのみに依存する。dが小さいほど、それぞれの許容幅は大きくなる。従って、明るくて見やすいホログラムの形成を意図するのであれば、DEが可能な限り大きくなるように、Δnが大きく、厚さdが小さいことが望ましい。このことは、Δnが大きいほど、DEの低下を伴わない明るいホログラムのための層厚さdの設定における許容幅がより大きくなることを意味する。従って、Δnの最適化は、感光性ポリマー組成物の最適化において非常に重要である(P. Hariharan, Optical Holography, 第2版、Cambridge University Press, 1996)。
【0008】
ホログラムにおいて最大のΔnおよびDEを達成できるようにするためには、基本的に、マトリックスポリマーと書込モノマーとがかなり異なった屈折率を有するように、感光性ポリマー組成物のマトリックスポリマーおよび書込モノマーを選択しなければならない。1つの態様では、これは、最小屈折率を有するマトリックスポリマーと、最大屈折率を有する書込モノマーとの使用を意味する。しかしながら、この場合は特定の課題が存在する:例えば、マトリックスポリマーと書込モノマーとの屈折率差が大きいことにより、屈折率差に現れている成分の構造の違いに起因して、2つの成分を制限なしに混和することはできない。このことは特に、感光性ポリマー組成物に使用できる書込モノマー量の制限を意味する。なぜなら、書込モノマー量が制限値を過えると、絶対に回避しなければならない成分の分離が生じるからである。書込モノマーの量を制限しなければ、対応する組成物由来の媒体がその機能を失うか、またはそのような媒体に書き込まれたホログラムが、後に損なわれるかまたは破壊される場合がある。
【0009】
しかしながらまた、書込モノマーの含量が高い感光性ポリマー組成物に関心が持たれている。なぜなら、第一に、明るいホログラムを形成でき、第二に、別の物質にホログラムを良好に組み込めるようにするために機械的性質を有利に調整できるからである。
【0010】
更に、既知の感光性ポリマー組成物はしばしば高い粘度を有し、その加工は著しく妨げられる。例えば、そのような組成物を、被覆する基材に均一に適用することは困難である。重大な問題が、組成物をポンプ輸送する場合に生じることもある。この場合、これまでの唯一の解決法は、粘度を低下するために組成物の温度を上げることであった。しかしながら、これには、組成物の重合を開始してしまう危険性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 2008/125229 A1
【特許文献2】JP 2004−300046 A
【特許文献3】EP 1 229 389 A1
【特許文献4】EP 0 859 283 A1
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】P. Hariharan, Optical Holography, 第2版、Cambridge University Press, 1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、既知の組成物と比べて、低粘度を有し、先に記載したような悪影響を伴わずに高濃度の書込モノマーを含有すると同時に、明るいホログラムを得るために使用することができる感光性ポリマー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、本発明の感光性ポリマー組成物において、式(I):
【化1】

[式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、OH、ハロゲンまたは有機基であり、これらの基の少なくとも1つは、放射線硬化性基を有する有機基である]
で示される化合物を含んでなる書込モノマーを用いることによって達成される。
【発明の効果】
【0015】
例えば本発明の感光性ポリマー組成物のフィルムに書き込まれたホログラムの明るさは注目に値する。また、既知の感光性ポリマー組成物と比べて、組成物の成分の分離を伴わずに書込モノマーの濃度を高くすることができる。本発明の感光性ポリマー組成物の、既知の組成物より低い粘度は特に重要であり、これにより、輸送性および加工性が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、λ=633nm(He−Neレーザー)でのホログラフィック媒体試験器(HMT)の配置を示す。
【図2】図2は、角度離調ΔΩに対する、結合波理論に従ったブラッグ曲線η(破線)、測定回折効率(黒丸)および透過強度(実線)のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
式(I)で示される化合物は、例えば、対応するアミンまたはアルコールと塩化シアヌルとの反応によって得ることができる。この反応は、アミノ化またはエーテル化である。既知の触媒、例えば、第三級アミン、アニリンまたは窒素含有複素環化合物、または無機塩基を用いて、反応を実施することができる。
【0018】
そのような化合物の調製方法は、例えばSU 2006990(1976)およびJP 58−004027に記載されている。
【0019】
好ましい態様では、有機基が、酸素原子または窒素原子を介してトリアジン環に結合していることが考えられる。
【0020】
放射線硬化性基がアクリレート基またはメタクリレート基であることが、更に好ましい。
【0021】
特に明るいホログラムは、R、R、Rが、それぞれ独立して、ハロゲン、および/または置換または未置換のフェノール基、ナフトール基、アニリン基、ナフタレン基、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート基、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート基および/または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート基であり、R、R、R基の少なくとも1つが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート基、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート基または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート基である書込モノマーを含んでなる感光性ポリマー組成物を用いて得ることができる。
【0022】
、R、R基の少なくとも2つが、それぞれ独立して、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート基、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート基および/または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート基である場合が、更に好ましい。この場合、式(I)で示される書込モノマーは、より高い二重結合密度を有する。その結果、反応性が高くなり、転化率が高くなり、生成するポリアクリレートにおいて、書込モノマーがより著しく化学架橋する。このようにして得られた架橋書込モノマーは、単官能性書込モノマーに基づく直鎖ポリマーより高い平均分子量を有するので、より安定に拡散し、固定化される。
【0023】
より高い二重結合密度は、単官能性書込モノマーと、より高い二重結合官能価を有する書込モノマーとの混合物を用いて、所望通りに達成することもできる。
【0024】
マトリックスポリマーは特に、ポリウレタンであってよい。
【0025】
ポリウレタンは好ましくは、イソシアネート成分a)とイソシアネート反応性成分b)との反応によって得ることができる。
【0026】
イソシアネート成分a)は好ましくは、ポリイソシアネートを含んでなる。使用するポリイソシアネートは、一分子当たり平均して2個以上のNCO官能基を有し、当業者に知られている化合物の全て、またはそれらの混合物であってよい。ポリイソシアネートは、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式の基本構造を有してよい。少量であれば、不飽和基を有するモノイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを使用することもできる。
【0027】
適当な例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび所望の異性体含量を有するそれらの混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートおよび/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートである。
【0028】
同様に、ウレタン構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、アシルウレア構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、オキサジアジントリオン構造、ウレトジオン構造またはイミノオキサジアジンジオン構造を有する、単官能性ジイソシアネートまたは単官能性トリイソシアネートの誘導体を使用することもできる。
【0029】
脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはトリイソシアネートに基づくポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0030】
より好ましくは、成分a)のポリイソシアネートは、ダイマー化またはオリゴマー化された脂肪族および/または脂環式のジイソシアネートまたはトリイソシアネートである。
【0031】
HDI、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタンまたはそれらの混合物に基づく、イソシアヌレート、ウレトジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオンが特に好ましい。
【0032】
成分a)として、ウレタン基、アロファネート基、ビウレット基および/またはアミド基を有するNCO官能性プレポリマーを使用することもできる。成分a)としてのプレポリマーは、場合により触媒および溶媒を使用した、適当な化学量論量での、モノイソシアネート、オリゴイソシアネートまたはポリイソシアネートa1)とイソシアネート反応性化合物a2)との反応により、当業者によく知られている方法で得られる。
【0033】
適当なポリイソシアネートa1)は、当業者に知られている、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族のジイソシアネートおよびトリイソシアネートの全てであって、それらがホスゲン法によって得られたのかまたはホスゲンフリー法によって得られたのかは重要ではない。また、当業者に自体よく知られており、ウレタン構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、アシルウレア構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、オキサジアジントリオン構造、ウレトジオン構造、イミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマーのジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートの高分子量二次生成物を、単独でまたは互いの所望の混合物として使用することもできる。
【0034】
成分a1)として使用することができる適当なモノマーのジイソシアネートまたはトリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、2,4−トルエンジイソシアネートおよび/または2,6−トルエンジイソシアネートである。
【0035】
プレポリマーの生成に使用するイソシアネート反応性化合物a2)は、好ましくは、OH官能性化合物である。これらは、後の成分b)についての記載に示されているようなOH官能性化合物と類似している。
【0036】
プレポリマーを調製するために、アミンを使用することもできる。適当な例は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノベンゼン、ジアミノビスフェニル、二官能性ポリアミン、例えばJeffamine(登録商標)、10000g/molまでの数平均分子量を有するアミン末端ポリマー、またはそれらの互いの所望の混合物である。
【0037】
ビウレット基含有プレポリマーを調製するためには、ビウレット基を形成するために、過剰のイソシアネートをアミンと反応させる。この場合、先に記載したジイソシアネート、トリイソシアネートおよびポリイソシアネートとの反応に適したアミンは、前記したタイプのオリゴマーまたはポリマー、第一級または第二級の二官能性アミンの全てである。
【0038】
好ましいプレポリマーは、脂肪族イソシアネート官能性化合物と、200〜10000g/molの数平均分子量を有するオリゴマーまたはポリマーのイソシアネート反応性化合物とから生成された、ウレタン、アロファネートまたはビウレットであり;脂肪族イソシアネート官能性化合物と、500〜8500g/molの数平均分子量を有するオリゴマーまたはポリマーのポリオールまたはポリアミンとから生成された、ウレタン、アロファネートまたはビウレットが特に好ましく;HDIまたはTMDIと、1000〜8200g/molの数平均分子量を有する二官能性ポリエーテルポリオールとから生成されたアロファネートがとりわけ好ましい。
【0039】
先に記載したプレポリマーは、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.2重量%未満の遊離モノマーイソシアネートの残留含量を有する。
【0040】
記載したプレポリマーに加えて、イソシアネート成分は、別のイソシアネート成分をある割合で含有してもよい。このために有用なものは、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式のジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートである。そのようなジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。適当なジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび所望の異性体含量を有するそれらの混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートおよび/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、またはウレタン構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、アシルウレア構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、オキサジアジントリオン構造、ウレトジオン構造またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するそれらの誘導体、およびそれらの混合物である。オリゴマー化および/または誘導体化ジイソシアネートに基づき、適当な方法によって過剰ジイソシアネートを除去したポリイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートに基づく前記ポリイソシアネートが好ましい。HDIに基づくオリゴマーのイソシアヌレート、ウレトジオンおよびイミノオキサジアジンジオン、並びにそれらの混合物が特に好ましい。
【0041】
場合により、イソシアネート成分a)が、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応したイソシアネートをある割合で含有することも可能である。本発明では、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物として、α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えば、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、並びにジシクロペンタジエニル単位および少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する化合物を使用することが好ましい。イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物は、より好ましくは、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有する、アクリレートおよびメタクリレートである。有用なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標) M100(Dow、米国)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化された、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)のヒドロキシ官能性のモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートまたはテトラ(メタ)アクリレートのような化合物、またはそれらの工業用混合物を包含する。また、単独のまたは前記モノマー化合物と組み合わせた、アクリレート基および/またはメタクリレート基を有するオリゴマーまたはポリマーのイソシアネート反応性不飽和化合物も適している。イソシアネート成分a)中の、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応したイソシアネートの割合は、0〜99%、好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜25%、最も好ましくは0〜15%である。
【0042】
場合により、先に記載したイソシアネート成分a)が、完全にまたはある割合で、被覆技術から当業者に知られているブロック剤と完全にまたは部分的に反応したイソシアネートを含有することも可能である。ブロック剤の例は、以下を包含する:アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アルキルアセトアセテート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えば、ブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタム、N−tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステル、またはこれらブロック剤の所望の混合物。
【0043】
成分b)として、基本的に、一分子あたり平均して少なくとも1.5個のイソシアネート反応性基を有する多官能性イソシアネート反応性化合物の全てを使用することができる。
【0044】
本発明において、イソシアネート反応性基は、好ましくは、ヒドロキシル基、アミノ基またはチオ基である。ヒドロキシル化合物が特に好ましい。
【0045】
適当な多官能性イソシアネート反応性化合物は、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールおよび/またはポリウレタンポリオールである。
【0046】
適当なポリエステルポリオールは、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族のジカルボン酸またはポリカルボン酸またはそれらの無水物と2以上のOH官能価を有する多価アルコールとから既知の方法で得られるような、直鎖ポリエステルジオールまたは分岐ポリエステルポリオールである。
【0047】
そのようなジカルボン酸またはポリカルボン酸またはそれらの無水物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸、および酸無水物、例えば、o−フタル酸無水物、トリメリット酸無水物またはコハク酸無水物、またはそれらの互いの所望の混合物である。
【0048】
適当なアルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、またはそれらの互いの所望の混合物である。
【0049】
ポリエステルポリオールは、天然原料、例えばひまし油に基づいてもよい。ポリエステルポリオールは、ヒドロキシ官能性化合物(例えば、2以上のOH官能価を有する多価アルコール、例えば先に記載したタイプのもの)によるラクトン(例えば、ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン)またはラクトン混合物の付加によって好ましくは得ることができるような、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマーに基づくこともできる。
【0050】
そのようなポリエステルポリオールは、好ましくは400〜4000g/mol、より好ましくは500〜2000g/molの数平均分子量を有する。そのOH官能価は、好ましくは1.5〜3.5、より好ましくは1.8〜3.0である。
【0051】
適当なポリカーボネートポリオールは、有機カーボネートまたはホスゲンとジオールまたはジオール混合物との反応により自体既知の方法で得ることができる。
【0052】
適当な有機カーボネートは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジフェニルカーボネートである。
【0053】
適当なジオールまたは混合物は、ポリエステルセグメントに関する記載に示した2以上のOH官能価を有する多価アルコール、好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび/または3−メチルペンタンジオールを包含する。即ち、ポリエステルポリオールをポリカーボネートポリオールに変換してもよい。
【0054】
そのようなポリカーボネートポリオールは、好ましくは400〜4000g/mol、より好ましくは500〜2000g/molの数平均分子量を有する。これらのポリオールのOH官能価は、好ましくは1.8〜3.2、より好ましくは1.9〜3.0である。
【0055】
適当なポリエーテルポリオールは、OH官能性スターター分子またはNH官能性スターター分子による環式エーテルの重付加物であり、重付加物は場合により、ブロック構造を有する。
【0056】
適当な環式エーテルは、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよびそれらの所望の混合物である。
【0057】
使用するスターターは、ポリエステルポリオールに関する記載に示した2以上のOH官能価を有する多価アルコール、並びに第一級または第二級のアミンおよびアミノアルコールであってよい。
【0058】
好ましいポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシドのみに基づくか、或いはプロピレンオキシドと別の1−アルキレンオキシドとに基づく(別の1−アルキレンオキシドの割合は80重量%以下である)ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーに基づく、先に記載したタイプのポリエーテルポリオールである。式(III)で示されるポリ(トリメチレンオキシド)、および好ましいものとして記載したポリオールの混合物が更に好ましい。特に好ましいものは、プロピレンオキシドホモポリマー、並びにオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位および/またはオキシブチレン単位を有するランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、全てのオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位およびオキシブチレン単位の総量に基づくオキシプロピレン単位の割合は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも45重量%を占める。ここで、オキシプロピレンおよびオキシブチレンはそれぞれ、直鎖および分岐のC3異性体の全て並びに直鎖および分岐のC4異性体の全てを包含する。
【0059】
そのようなポリエーテルポリオールは、好ましくは250〜10000g/mol、より好ましくは500〜8500g/mol、最も好ましくは600〜4500g/molの数平均分子量を有する。OH官能価は、好ましくは1.5〜4.0、より好ましくは1.8〜3.1である。
【0060】
加えて、多官能性イソシアネート反応性化合物としての成分b)の適当な要素は、低分子量(即ち500g/mol未満の分子量)および短鎖(即ち2〜20個の炭素原子)を有する脂肪族、芳香脂肪族または脂環式、二官能性、三官能性または多官能性のアルコールである。
【0061】
これらのアルコールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオールの位置異性体、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルエステル)であってよい。適当なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。適当なより高官能性のアルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはソルビトールである。
【0062】
使用する光開始剤は、典型的には、化学線によって活性化されて、相応の重合性基の重合を開始することができる開始剤である。光開始剤は、それ自体既知の市販化合物であり、一分子(I型)開始剤と二分子(II型)開始剤とに分類されている。更に、化学的性質に依存して、これらの開始剤は、前記した重合のうち、ラジカル重合、アニオン重合(または)カチオン(または混合)重合に使用される。
【0063】
光開始剤は特に、アニオン染料、カチオン染料または非荷電染料、および共開始剤を含んでなる。
【0064】
ラジカル光重合のための(I型)系は、例えば、第3級アミンと組み合わせた芳香族ケトン化合物(例えばベンゾフェノン)、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは前記タイプの混合物である。より適しているものは、(II型)開始剤、例えば、ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)、およびα−ヒドロキシアルキルフェノンである。
【0065】
EP−A 0223587に記載され、アリールホウ酸アンモニウムと1種以上の染料との混合物からなる光開始剤組成物を、光開始剤として使用することもできる。適当なアリールホウ酸アンモニウムは、例えば、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリナフチルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(4−tert−ブチル)フェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート、テトラメチルアンモニウムトリフェニルベンジルボレート、テトラ(n−ヘキシル)アンモニウム(sec−ブチル)トリフェニルボレート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジフェニルジフェニルボレート、およびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートである。適当な染料は、例えば、ニューメチレンブルー、チオニン、ベーシックイエロー、ピナシアノールクロリド、ローダミン6G、ガロシアニン、エチルバイオレット、ビクトリアブルーR、セレスチンブルー、キナルジンレッド、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、アストラゾンオレンジG、ダロウレッド、ピロニンY、ベーシックレッド29、ピリリウムI、シアニンおよびメチレンブルー、アズールA(Cunninghamら、RadTech '98 North America UV/EB Conference Proceedings, シカゴ、1998年4月19日〜22日)である。
【0066】
アニオン重合に使用する光開始剤は、一般に(I型)系であり、第一系列遷移金属錯体から誘導される。本発明では、クロム塩、例えば、トランス−Cr(NH(NCS)(Kutalら、Macromolecules 1991, 24, 6872)またはフェロセン化合物(Yamaguchiら、Macromolecules 2000, 33, 1152)である。アニオン重合の別の可能性は、光分解によってシアノアクリレートを重合できる、クリスタルバイオレットロイコニトリルまたはマラカイトグリーンロイコニトリルのような染料の使用にある(Neckersら、Macromolecules 2000, 33, 7761)。しかしながら、発色団がポリマーに組み込まれるので、得られるポリマーは全体に着色される。
【0067】
カチオン重合に使用する光開始剤は、実質的に、以下の3種類からなる:アリールジアゾニウム塩、オニウム塩(本発明では、とりわけ、ヨードニウム塩、スルホニウム塩およびセレノニウム塩)および有機金属化合物。水素供与体の存在下または不存在下で露光すると、フェニルジアゾニウム塩は、重合を開始するカチオンを生じることができる。系全体の有効性は、ジアゾニウム化合物に使用された対イオンの性質によって決まる。ここでは、それほど反応性ではないが極めて高価なSbF、AsFまたはPFが適している。これらの化合物は一般に、薄膜被覆への使用にはあまり適していない。なぜなら、露光後に遊離される窒素が、薄膜表面の品質を低下させる(ピンホール)からである(Liら、Polymeric Materials Science and Engineering, 2001, 84, 139)。
【0068】
オニウム塩、特にスルホニウム塩およびヨードニウム塩が、極めて広範に使用され、多くの形態で市販されている。これら化合物の光化学は、長い間研究されてきた。ヨードニウム塩は励起後まず均等開裂し、それによってラジカルおよびラジカルアニオンを生じ、ラジカルおよびラジカルアニオンは、水素引き抜きにより安定化され、プロトンを遊離し、次いでカチオン重合を開始する(Dektarら、J. Org. Chem. 1990, 55, 639; J. Org. Chem., 1991, 56, 1838)。このメカニズムは、ヨードニウム塩のラジカル光重合への使用も可能にする。ここでも、対イオンの選択が再び重要であり、SbF、AsFまたはPFが同様に好ましい。他の点では、この構造分類において、芳香族の置換基の選択は完全に自由であり、合成に適した出発構成単位の利用可能性によって実質的に決定される。
【0069】
スルホニウム塩は、ノリッシュII型反応に従って分解する化合物である(Crivelloら、Macromolecules, 2000, 33, 825)。スルホニウム塩の場合もまた、対イオンの選択が重要であり、この選択が実質的にポリマーの硬化速度に現れる。一般に、SbF塩を使用した場合に最良の結果が得られる。
【0070】
ヨードニウム塩およびスルホニウム塩の自己吸収が300nm未満で起こるので、これらの化合物は、近紫外線または短波長可視光での光重合に対して適当に増感させなければならない。これは、より高吸収性の芳香族化合物、例えば、アントラセンおよびその誘導体(Guら、Am. Chem. Soc. Polymer Preprints, 2000, 41 (2), 1266)またはフェノチアジンまたはその誘導体(Huaら、Macromolecules 2001, 34, 2488-2494)を使用することによって達成される。
【0071】
これらの化合物の混合物を使用することが有利な場合もある。硬化に使用する線源に応じて、当業者に既知の方法で、光開始剤のタイプおよび濃度を適合させなければならない。更なる詳細は、例えばP. K. T. Oldring編、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings, Inks & Paints, 第3巻、1991, SITA Technology, London, 第61〜328頁に見られる。
【0072】
好ましい光開始剤は、テトラブチルアンモニウムテトラヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート([191726-69-9]、CGI 7460、Ciba Inc(バーゼル)製)、テトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート([1147315-11-4]、CGI 909、Ciba Inc(バーゼル)製)と、染料、例えば、アストラゾンオレンジG、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、アズールA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エチルバイオレットおよびチオニンとの混合物である。
【0073】
別の好ましい態様では、感光性ポリマー組成物は、可塑剤としてのウレタンを付加的に含んでなり、特に、ウレタンは、少なくとも1個のフッ素原子で置換されていてよい。
【0074】
ウレタンは好ましくは、一般式(II):
【化2】

[式中、nは1以上8以下であり、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素、未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換された、直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基であり、好ましくは、R、R、R基の少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子で置換されており、より好ましくは、Rは、少なくとも1個のフッ素原子を有する有機基である]
で示されてよい。より好ましくは、Rは、未置換のまたは場合によりヘテロ原子(例えばフッ素)で置換された、直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基である。
【0075】
別の好ましい態様では、書込モノマーは、特に単官能性アクリレートまたは多官能性アクリレートであってよい、別の単官能性書込モノマーまたは多官能性書込モノマーを付加的に含んでなる。
【0076】
アクリレートは特に、一般式(III):
【化3】

[式中、mは1以上4以下であり、R、Rは、それぞれ独立して、水素、未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換された、直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基である]
で示されてよい。より好ましくは、Rは、水素またはメチルであり、および/またはRは、未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換された、直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基である。
【0077】
別の不飽和化合物を添加することもでき、その例は、α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えば、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、およびジシクロペンタジエニル単位含有化合物、並びにオレフィン性不飽和化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、オレフィニン、例えば、1−オクテンおよび/または1−デセン、ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸である。アクリレートおよびメタクリレートが好ましい。
【0078】
アクリレートまたはメタクリレートは一般に、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルを意味する。有用なアクリレートおよびメタクリレートの例は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、p−クロロフェニルメタクリレート、p−ブロモフェニルアクリレート、p−ブロモフェニルメタクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルアクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、フェニルチオエチルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチルアクリレート、1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチルメタクリレート、プロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレートおよびそれらのエトキシル化類似化合物、N−カルバゾリルアクリレートであるが、これらは、有用なアクリレートおよびメタクリレートの選択肢にすぎない。
【0079】
もちろん、ウレタンアクリレートを使用することもできる。ウレタンアクリレートは、少なくとも1個のアクリル酸エステル基を有し、更に少なくとも1つのウレタン結合を有する化合物を意味すると理解される。ヒドロキシ官能性アクリル酸エステルとイソシアネート官能性化合物との反応によって、そのような化合物が得られることが知られている。
【0080】
この目的に有用なイソシアネート官能性化合物の例は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式のジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートである。そのようなジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。適当なジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび所望の異性体含量を有するそれらの混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートおよび/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、m−メチルチオフェニルイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートおよびトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート、或いはウレタン構造、ウレア構造、カルボジイミド構造、アシルウレア構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、ビウレット構造、オキサジアジントリオン構造、ウレトジオン構造またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するそれらの誘導体、およびそれらの混合物である。芳香族または芳香脂肪族のジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートが好ましい。
【0081】
ウレタンアクリレートの調製に有用なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えば、Tone(登録商標) M100(Dow、ドイツ国シュヴァルバハ)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化された、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)のヒドロキシ官能性モノアクリレート、ジアクリレートまたはテトラアクリレートのような化合物、またはそれらの工業用混合物を包含する。2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートおよびポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートが好ましい。また、アクリレート基および/またはメタクリレート基を有するオリゴマーまたはポリマーのイソシアネート反応性不飽和化合物を単独でまたは前記モノマー化合物と組み合わせることも適している。ヒドロキシル基を有し、20〜300mgKOH/gのOH含量を有する自体既知のエポキシ(メタ)アクリレート、またはヒドロキシル基を有し、20〜300mgKOH/gのOH含量を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、または20〜300mgKOH/gのOH含量を有するアクリル化ポリアクリレート、およびそれらの互いの混合物、およびそれらとヒドロキシル基含有不飽和ポリエステルとの混合物、およびそれらとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物、またはヒドロキシル基含有不飽和ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物を使用することもできる。
【0082】
特に、トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートおよびm−メチルチオフェニルイソシアネートと、アルコール官能性アクリレート、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとの反応から得ることができるウレタンアクリレートが好ましい。
【0083】
本発明はまた、可視領域および近紫外領域全体(300〜800nm)における光学的用途に適した露光の実施によってホログラムを形成することができるホログラフィック媒体を製造するための、本発明の感光性ポリマー組成物の使用に関する。可視ホログラムは、当業者に既知の方法によって書込むことができるホログラムの全てを包含する。それらは、インライン(ガボア)ホログラム、オフアクシスホログラム、全開口トランスファーホログラム、白色光透過型ホログラム(レインボウホログラム)、デニシュークホログラム、オフアクシス反射型ホログラム、エッジリットホログラムおよびホログラフィックステレオグラムを包含する。反射型ホログラム、デニシュークホログラムおよび透過型ホログラムが好ましい。
【0084】
本発明の感光性ポリマー組成物を用いて製造できるホログラムの可能な光学的機能は、レンズ、ミラー、偏向ミラー、フィルター、拡散ディスク、回折素子、光導体、導波管、映写スクリーンおよび/またはマスクのような光学素子の光学的機能に相当する。これらの光学素子はしばしば、ホログラムの露光方法およびホログラムの次元に応じて、周波数選択性を示す。
【0085】
また、本発明の感光性ポリマー組成物は、例えば、個人肖像写真、セキュリティードキュメントの生体認証表示のため、或いは一般に広告、セキュリティーラベル、商標保護、商標ブランド設定、ラベル、意匠要素、装飾、イラスト、回数券、イメージなどのための画像または画像構造物のため、および(前記製品との組み合わせを含む)デジタルデータを表すことができる画像のための、ホログラフィー像またはホログラフィック表示を作成するために使用することもできる。それらが照射される角度、照射に使用される光源(可動光源を含む)等に依存して、ホログラフィー像は三次元像の印象を与えることがあるが、画像シーケンス、短編映画または多くの様々な対象物を表すこともある。これらは多様に設計することができるので、ホログラム、特に体積ホログラムは、前記用途にとって魅力的な技術的解決法である。
【0086】
感光性ポリマー組成物は特に、フィルム状のホログラフィック媒体として使用してよい。この場合、支持体としての、可視スペクトル領域の光を透過(400〜780nmの波長範囲の85%超を透過)する材料または複合材料の層は、その片面または両面について被覆されており、場合により、カバー層が感光性ポリマー層に適用されている。
【0087】
支持体の好ましい材料または複合材料は、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、水和セルロース、硝酸セルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリスルホン、三酢酸セルロース(CTA)、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラールまたはポリジシクロペンタジエン或いはそれらの混合物に基づく。それらは、より好ましくは、PC、PETおよびCTAに基づく。複合材料は、ラミネートフィルムまたは共押出品であってよい。好ましい複合材料は、スキームA/B、A/B/AまたはA/B/Cの1つに基づく二層フィルムおよび三層フィルムである。PC/PET、PET/PC/PETおよびPC/TPU(TPU=熱可塑性ポリウレタン)が特に好ましい。
【0088】
上記プラスチック支持体に代えて、例えばホログラフィックリソグラフィーのための、正確な再生を伴った大面積露光に特に使用される平面ガラス板を使用することもできる(Ng, Willie W.; Hong, Chi-Shain; Yariv, Amnon. Holographic interference lithography for integrated optics. IEEE Transactions on Electron Devices (1978), ED-25(10), 1193-1200. ISSN:0018-9383)。
【0089】
支持体の材料または複合材料は、その片面または両面に対して、付着防止処理、帯電防止処理、疎水化処理または親水化処理が施されていてよい。感光性ポリマー層に面する側を前記したように変性することにより、支持体から破壊を伴わずに、感光性ポリマー層を取り外すことができる。感光性ポリマー層に面していない支持体面を変性することにより、例えばロール貼合せ機での加工(特にロール−ツー−ロール法)の際、存在する特定の力学的要求を、本発明の媒体が確実に満たすことができる。
【0090】
本発明は更に、感光性ポリマー組成物における書込モノマーとしての、式(I)で示される化合物の使用を提供する。
【実施例】
【0091】
以下において、実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。特に記載のない限り、全てのパーセントは重量%であると理解すべきである。
【0092】
方法:
固形分の測定では、約1gの物質を、専用の使い捨てアルミニウム製容器に入れ、IRスケール(IR-Waage)の操作説明書に従って、恒量に達するまで140℃で30秒間加熱するか、または約1gの物質を、(10重量%の最大溶媒含量を有する組成物に適した)専用の使い捨てアルミニウム製容器に入れ、乾燥室内において125℃で60分間加熱した。この過程で、フィルムの均一な乾燥を確実にするため、適当に曲がった紙用クリップを用いて、測定する物質を広げた。紙用クリップは、測定試料中に残るので、最初の重量測定段階で考慮に入れなければならない。
【0093】
記載のNCO値(イソシアネート含量)は、DIN EN ISO 11909に従って測定した。
【0094】
2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)の含量は、DIN/ISO 10283(2007)に基づいて測定した。内標準物質としてのアントラセン(較正用物質)1.41gを、1リットル容のメスフラスコに秤取し、酢酸エチルで補った。約1gの試料を秤取し、前記のように調製した内標準物質の溶液10mLおよび酢酸エチル10mLを添加し、その2.0μLをガスクロマトグラフィーによって分離し、HEA含量を、面積補正を行って重量%単位で計算した。
【0095】
粘度は、ISO 3214に従って、コーンプレート構造物を用いて、Anton Paar(ドイツ国オストフィルデルン)製CP25-1で測定し、mPa・s単位で記載した。
【0096】
405nmの波長での屈折率の測定(方法A):
透過スペクトルおよび反射スペクトルから、試料の波長の関数としての屈折率nを得た。このために、試料としての約100〜300nm厚さフィルムを、酢酸ブチル中希釈溶液から、石英ガラス製スライドガラスに回転塗布した。STEAG ETA-Optik製の分光計CD-Measurement System ETA-RTを用いて、この層組み合わせの透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定し、次いで、層厚さとnのスペクトルプロットとを、測定した透過スペクトルおよび反射スペクトルに適合させた。これは、分光計の内部ソフトウェアを用いて実施し、更に、ブランク測定において予め測定した石英ガラス基材の屈折率データを必要とした。
【0097】
589nmの波長での屈折率の測定(方法B):
実施例の組成物の試料をAbbe屈折率測定器に送り、nDを測定した。
【0098】
図1に示すようなホログラフィック試験装置を用いて、媒体の回折効率(DE)を測定した。
【0099】
空間フィルター(SF)およびコリメーターレンズ(CL)を用いて、He−Neレーザー光(発光波長633nm)を平行均一光に変換した。虹彩絞り(I)によって、信号光と参照光の最終断面を固定した。虹彩絞りの開口径は0.4cmであった。偏光感受型ビームスプリッター(PBS)により、レーザー光は2つの均一偏光コヒーレント光に分けられた。λ/2プレートによって、参照光の出力を0.5mWに調節し、信号光の出力を0.65mWに調節した。試料を取り除いた状態で、半導体検出器(D)を用いて出力を測定した。参照光の入射角(α)は−21.8°、信号光の入射角(β)は41.8°であった。光方向に垂直な試料から出発して角度を測定した。従って、図1によれば、αは負号(−)を有し、βは正号(+)を有する。試料(媒体)の位置で、2つの重なった光の干渉場は、試料に入射する2つの光の角2等分線と垂直である明暗縞の回折格子を生じた(反射型ホログラム)。格子周期とも称される、媒体における縞間隔Λは、約225nmであった(媒体の屈折率は約1.504と考えられる)。
【0100】
図1は、λ=633nm(He−Neレーザー)でのホログラフィック媒体試験器(HMT)の配置を示す:M=ミラー、S=シャッター、SF=空間フィルター、CL=コリメーターレンズ、λ/2=λ/2プレート、PBS=偏光感受型ビームスプリッター、D=検出器、I=虹彩絞り。α=−21.8°およびβ=41.8°は試料の外(媒体の外)で測定したコヒーレント光の入射角である。RD=ターンテーブルの基準方向。
【0101】
以下の方法で、媒体にホログラムを書込んだ。
・露光時間tの間、両方のシャッター(S)を開放する。
・その後、シャッター(S)を閉じた状態で、媒体を5分間おいて、まだ重合されていない書込モノマーを拡散させた。
【0102】
次いで、書込んだホログラムを、以下の方法で再生した。信号光のシャッターは閉じたままにした。参照光のシャッターを開放した。参照光の虹彩絞りを1mm未満の直径まで閉じた。これにより、媒体の回転角(Ω)の全てにおいて、光が、先に書込んだホログラムに常に完全に存在することが確実となった。コンピューター制御の下、ターンテーブルは、0.05°の角度ステップ幅でΩ最小からΩ最大までの角度範囲をカバーした。Ωは、ターンテーブルの基準方向に垂直な試料から測定した。ホログラムの書込み中に参照光および信号光の入射角が等しくなったとき、即ちα=−31.8°、β=31.8°になったときを、ターンテーブルの基準方向とした。このときΩ書込は0°である。従って、α=−21.8°およびβ=41.8°については、Ω書込は10°である。以下は一般に、ホログラムの書込み中の干渉場にあてはまる。
【数1】

θは媒体外の実験系における半角であり、ホログラムの書込み中は以下があてはまる。
【数2】

従って、この場合、θは−31.8°である。設定したそれぞれの回転角Ωで、相応の検出器Dを用いて、ゼロ次透過された光の出力を測定し、検出器Dを用いて、一次回折された光の出力を測定した。設定したそれぞれの角度Ωで、下記式の商として回折効率を得た。
【数3】

は回折光の検出器での出力であり、Pは透過光の検出器での出力である。
【0103】
前記方法によって、ブラッグ曲線(これは、回折効率ηを、書込んだホログラムの回転角Ωの関数として示す)を測定し、コンピューターに保存した。また、ゼロ次透過強度を、回転角Ωに対して記録し、コンピューターに保存した。
【0104】
ホログラムの最大回折効率(DE=η最大)、即ちピーク値をΩ再生で測定した。この最大値を測定するために、場合により、回折光の検出器の位置を変える必要があった。
【0105】
次に、測定したブラッグ曲線と透過強度の角度変化とから、結合波理論(H. Kogelnik, The Bell System Technical Journal, 第48巻、1969年11月、第9号、第2909頁〜第2947頁参照)を用いて、感光性ポリマー層の屈折率コントラストΔnおよび厚さdを決定した。光重合の結果生じる厚さの収縮の故に、ホログラムストリップ間隔Λ’およびストリップ配向(傾き)が、干渉縞ストリップ間隔Λおよびその配向から逸脱し得ることに留意しなければならない。従って、α’、および最大回折効率が得られるターンテーブルの対応角度Ω再生もまた、α、および対応するΩ書込からそれぞれ逸脱するであろう。その結果、ブラッグ条件は変わる。この変化は、評価方法において考慮されなければならない。評価方法を以下に記載する。
【0106】
書込ホログラムに関連し、干渉縞に関連しない幾何学的パラメータの全てを、プライム記号付きパラメータとして表す。
【0107】
Kogelnikによれば、反射型ホログラムのブラッグ曲線η(Ω)について、以下の式があてはまる。
【数4】

ここで、
【数5】

である。
【0108】
ホログラムを再生するとき、先の記載と同様に、以下があてはまる:
【数6】

【0109】
ブラッグ条件下では、「位相のずれ」DPは0である。従って、以下の式があてはまる。
【数7】

【0110】
なお未知の角度β’は、厚さ収縮しか生じないと仮定した、ホログラムの書込み中の干渉場のブラッグ条件と、ホログラムの再生中のブラッグ条件との比較から決定することができる。このとき、以下の式があてはまる。
【数8】

νは回折格子厚さであり、ξは離調パラメータであり、Ψ’は書込んだ屈折率格子の配向(傾き)である。α’およびβ’は、ホログラムの書込み中の干渉場の角度αおよびβに相当するが、媒体において測定され、(厚さ収縮後)ホログラムの回折格子に適用することができる。nは、感光性ポリマーの平均屈折率であり、1.504に設定した。λは、真空でのレーザー光の波長である。
【0111】
ξ=0のとき、最大回折効率(DE=η最大)は以下に従って計算される:
【数9】

【0112】
図2は、角度離調ΔΩに対してプロットした測定透過出力P(実線、右側のy軸)、(検出器の測定可能範囲で)角度離調ΔΩに対してプロットした測定回折効率η(黒丸、左側のy軸)、およびKogelnik理論に適合させたもの(破線、左側のy軸)を示す。
【0113】
回折効率、理論ブラッグ曲線および透過強度の測定データを、角度離調とも称される中心回転角:
【数10】

に対してプロットし、図2に示す。
【0114】
DEはわかっているので、Kogelnikによる理論ブラッグ曲線の形状は、感光性ポリマー層厚さd’のみによって決まる。DEの測定値と理論値とが常に一致するように、与えられた厚さd’に対し、DEを介してΔnを補正する。そして、理論ブラッグ曲線の第一二次極小の角度位置が透過強度の第一二次極大の角度位置と一致し、加えて、理論ブラッグ曲線と透過強度の半値全幅(FWHM)が一致するまで、d’を調整する。
【0115】
反射型ホログラムの方向はΩスキャンによる再生時に回転するが、回折光の検出器は測定可能な角度範囲でしか検出できないので、幅広のホログラム(小さいd’)のブラッグ曲線は、適当に検出器の位置を調節しても、Ωスキャンで完全には記録されず、中心領域しか記録されない。従って、層厚さd’を調整するために、ブラッグ曲線に相補的である透過強度の形状を付加的に使用する。
【0116】
図2は、角度離調ΔΩに対する、結合波理論に従ったブラッグ曲線η(破線)、測定回折効率(黒丸)および透過強度(実線)のプロットを示す。
【0117】
ホログラムの書込み中にDEが飽和値に達する、入射レーザー光の平均エネルギー線量を測定するため、1つの組成物について、この手順を、様々な媒体について、様々な露光時間tに対して、場合により数回繰り返した。平均エネルギー線量Eを、角度αおよびβに調整された2つの部分光(P=0.50mWの参照光およびP=0.63mWの信号光)の出力、露光時間tおよび虹彩絞り直径(0.4cm)から、下記式に従って計算した。
【数11】

【0118】
使用される角度αおよびβで、媒体において同じ出力密度が達成されるように、部分光の出力を調節した。
【0119】
物質:
使用したアルコールおよび塩化シアヌル、溶媒および試薬は、化学品市場で購入した。
CGI-909:テトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート[1147315-11-4]は、CIBA Inc.(スイス国バーゼル)の製品である。
Desmorapid Z:ジラウリン酸ジブチルスズ[77-58-7]、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の製品。
Desmodur(登録商標) N 3900:Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン)の製品、ヘキサンジイソシアネート系ポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオンの割合、23.5%のNCO含量。
Fomrez UL 28:ウレタン化触媒、Momentive Performance Chemicals(米国コネティカット州ウィルトン)の市販品。
【0120】
2,4−ジクロロ−6−(1−ナフチルオキシ)−1,3,5−トリアジン[30886-30-7]の調製
2L容の丸底フラスコ内で、125.0gの塩化シアヌルを300mLのアセトンに溶解し、1−ナフトール96.8gのアセトン300mL溶液を、0℃でゆっくり滴加した。次いで、168mLの4N水酸化ナトリウム溶液を、ゆっくり滴加した。この混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、室温に加温し、更に1時間撹拌した。水相を除去し、有機相に、200mLの5%NaOHおよび200mLのクロロホルムを添加し、再び水相を除去し、有機相を、毎回80mLの5%NaOHで2回、毎回180mLの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。この混合物を濾過し、溶媒を減圧下で留去した。無色固体として生成物を得た(WO 8704321に記載された調製方法)。
【0121】
実施例1:1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリス(オキシエチレン−2,1−ジイル)トリスアクリレート[55008-80-5]
2L容の丸底フラスコに、まず、0.50Lのピリジン:トルエン(v:v=1:1)中218.0gの塩化シアヌルを0℃で導入し、414gの2−ヒドロキシエチルアクリレートをゆっくり滴加した。次いで、この混合物を室温に加温し、2−ヒドロキシエチルアクリレートの含量が0.1%未満に低下するまで撹拌した。反応混合物を、1Lの冷水に添加し、2Nの塩酸で酸性化した。毎回0.5Lのジクロロメタンを用いて、水相を3回抽出し、合わせた有機相を0.5Lの10%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去し、無色油として生成物を得た(JP 56−152467 AおよびJP 49−125380に記載された調製方法)。
【0122】
実施例2:1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリス(オキシブタン−4,1−ジイル)トリスアクリレート
0.5L容の丸底フラスコに、まず、87mLの水に懸濁した塩化シアヌル55.6gおよび4−ヒドロキシブチルアクリレート127.8gを0℃で導入し、210mLの4N水酸化ナトリウム溶液をゆっくり滴加した。混合物を0℃で1時間撹拌し、室温に加温した。反応混合物を、0.3Lの水に添加し、毎回0.3Lのジクロロメタンを用いて3回抽出し、合わせた有機相を0.1Lの1N塩酸で1回、0.2Lの水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。0.05gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを添加し、溶媒を留去し、無色油として生成物を得た。
【0123】
実施例3:1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリス(オキシエタン−2,1−ジイル)トリス(2−メチルアクリレート)
0.5L容の丸底フラスコ内で、34.0gの塩化シアヌルを270mLのアセトンに溶解し、86.2gの2−ヒドロキシエチルメタクリレートを、0℃でゆっくり滴加した。次いで、138mLの4N水酸化ナトリウム溶液をゆっくり滴加した。この混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に加温した。水相を除去し、有機相に、200mLの5%NaOHおよび200mLの塩化メチレンを添加し、再び水相を除去し、有機相を毎回80mLの5%NaOHで2回、毎回180mLの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。0.05gの(塩化メチレンに溶解した)ヒドロキノンを添加し、混合物を濾過し、溶媒を底部最高温度45℃で減圧下留去した。無色油として生成物を得た。
【0124】
実施例4:1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリス(オキシプロパン−2,1−ジイル)トリスアクリレートおよび1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリス(オキシプロパン−2,1−ジイル)トリスアクリレートの混合物
0.5L容の丸底フラスコ内で、34.0gの塩化シアヌルを270mLのアセトンに溶解し、86.2gのヒドロキシプロピルアクリレートを、0℃でゆっくり滴加した。次いで、138mLの4N水酸化ナトリウム溶液をゆっくり滴加した。この混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に加温した。水相を除去し、有機相に、200mLの5%NaOHおよび200mLの塩化メチレンを添加し、再び水相を除去し、有機相を毎回80mLの5%NaOHで2回、毎回180mLの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。0.05gの(塩化メチレンに溶解した)ヒドロキノンを添加し、混合物を濾過し、溶媒を底部最高温度45℃で減圧下留去した。無色油として生成物を得た。
【0125】
実施例5:2−({4−[4−(アクリロイルオキシ)ブトキシ]−6−[2−(アクリロイルオキシ)プロポキシ]−1,3,5−トリアジン−2−イル}オキシ)エチル−2−メチルアクリレート(理想的構造1:1:1生成物)
0.5L容の丸底フラスコ内で、34.0gの塩化シアヌルを270mLのアセトンに溶解し、27.8mLの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、27.8mLのヒドロキシプロピルアクリレートおよび30.9mLの4−ヒドロキシブチルアクリレートの混合物を、0℃でゆっくり滴加した。次いで、138mLの4N水酸化ナトリウム溶液をゆっくり滴加した。この混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に加温した。水相を除去し、有機相に、200mLの5%NaOHおよび200mLの塩化メチレンを添加し、再び水相を除去し、有機相を毎回80mLの5%NaOHで2回、毎回180mLの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。0.05gの(塩化メチレンに溶解した)ヒドロキノンを添加し、混合物を濾過し、溶媒を底部最高温度45℃で減圧下留去した。無色油として生成物を得た。
【0126】
実施例6:[6−(1−ナフチルオキシ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]ビス(オキシエタン−2,1−ジイル)ビスアクリレート
0.5L容の丸底フラスコ内で、12.9gの2,4−ジクロロ−6−(1−ナフチルオキシ)−1,3,5−トリアジン[30886-30-7]を60mLのアセトンに溶解し、10.3mLの2−ヒドロキシエチルアクリレートを、0℃でゆっくり滴加した。次いで、22.2mLの4N水酸化ナトリウム溶液をゆっくり滴加した。この混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に加温した。水相を除去し、油相に、50mLの5%NaOHおよび50mLのクロロホルムを添加し、再び水相を除去し、有機相を毎回20mLの5%NaOHで2回、毎回50mLの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。0.005gの(アセトンに溶解した)ヒドロキノンを添加し、混合物を濾過し、溶媒を底部最高温度45℃で減圧下留去した。無色油として生成物を得た。
【0127】
実施例7〜11は、表1に記載した原料から、実施例6と同様に調製した。
【0128】
比較例1:2−[(フェニルカルバモイル)オキシ]エチルプロプ−2−エノエート
500mL容の丸底フラスコに、まず、0.25gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.12gのDesmorapid Zおよび126.4gのフェニルイソシアネートを導入し、この混合物を60℃に加熱した。次いで、123.3gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、この混合物を60℃で維持した。続いて、これを冷却した。結晶性固体として生成物を得た(DE 2329142に記載されている調製方法)。生成物は、66〜68℃の融点を有していた(Bowmanhttp://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/ma030536f?cookieSet=1 - ma030536fAF1, Macromolecules, 2004, 37 (11), 4062-4069)。
【0129】
【表1−1】

【0130】
【表1−2】

【0131】
光学的特性を試験するために、後に記載するように、媒体を製造し、光学的に分析した。
【0132】
ポリオール成分の調製:
1L容のフラスコに、まず、0.18gのオクタン酸スズ、374.8gのε−カプロラクトンおよび374.8gの二官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(OH1mol当たりの当量500g)を導入し、混合物を120℃に加熱し、固形分(不揮発性成分の割合)が99.5重量%以上になるまで、この温度で維持した。次いで、混合物を冷却し、ワックス様固体として生成物を得た。
【0133】
ウレタンアクリレート1の調製:2−({[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)−エチルプロプ−2−エノエート
100mL容の丸底フラスコに、まず、0.02gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.01gのDesmorapid Z、11.7gの3−(メチルチオ)フェニルイソシアネートを導入し、混合物を60℃に加熱した。次いで、8.2gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、混合物を60℃で維持した。続いて、これを冷却した。無色液体として生成物を得た。
【0134】
フッ素化ウレタン1の調製:2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニルブチルカルバメート
1L容の丸底フラスコに、まず、0.50gのDesmorapid Zおよび186gのn−ブチルイソシアネートを導入し、混合物を60℃に加熱した。次いで、813gの2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノナノールを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、混合物を60℃で維持した。続いて、これを冷却した。無色油として生成物を得た。
【0135】
媒体の製造
媒体1(処方1):
上記したように調製したポリオール成分の5.927gを、実施例1のアクリレートの2.50g、CGI 909の0.10gおよびニューメチレンブルーの0.010gと60℃で混合し、N−エチルピロリドンの0.35gと混合し、透明な溶液を得た。次いで、混合物を30℃に冷却し、1.098gのDesmodur(登録商標) N 3900を添加し、混合物を再び混合した。最後に、0.006gのFomrez UL 28を添加し、混合物を再び短時間混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板に適用し、それを第二ガラス板で覆った。第二ガラス板は、スペーサーによって20μmの距離に保った。この試験片を、室温で12時間放置し、硬化させた。
【0136】
媒体2〜5:
表2に記載した実施例から同様に、媒体2〜5を製造した。
【0137】
媒体6(処方2):
上記したように調製したポリオール成分の3.40gを、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリス(オキシエタン−2,1−ジイル)トリスアクリレート(実施例1)の2.00g、2−({[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)プロピルプロプ−2−エノエート(ウレタンアクリレート1)の2.00g、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニルブチルカルバメート(フッ素化ウレタン1)の1.50g、CGI 909の0.10g、ニューメチレンブルーの0.01gおよびN−エチルピロリドンの0.35gと60℃で混合し、透明な溶液を得た。次いで、混合物を30℃に冷却し、0.63gのDesmodur N 3900を添加し、混合物を再び混合した。最後に、0.006gのFomrez UL 28を添加し、混合物を再び短時間混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板に適用し、それを第二ガラス板で覆った。第二ガラス板は、スペーサーによって20μmの距離に保った。この試験片を、室温で12時間放置し、硬化させた。
【0138】
媒体7〜11:
表3に記載した実施例から同様に、媒体7〜11を製造した。
【0139】
比較媒体1:
上記したように調製したポリオール成分の5.927gを、2−[(フェニルカルバモイル)オキシ]エチルプロプ−2−エノエート(比較例1)の2.50g、CGI 909の0.10gおよびニューメチレンブルーの0.010gと60℃で混合し、N−エチルピロリドンの0.35gと混合し、透明な溶液を得た。次いで、混合物を30℃に冷却し、1.098gのDesmodur(登録商標) N 3900を添加し、混合物を再び混合した。最後に、0.006gのFomrez UL 28を添加し、混合物を再び短時間混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板に適用し、それを第二ガラス板で覆った。第二ガラス板は、スペーサーによって20μmの距離に保った。この試験片を、室温で12時間放置し、硬化させた。
【0140】
ホログラフィック試験:
その後、上記したように製造した媒体を、図1の試験装置を用いて、先に記載したように、そのホログラム特性について試験した。以下の値は、線量E[mJ/cm]でのΔnsatである。
【0141】
【表2】

【0142】
【表3】

【0143】
Δnsatの値から、比較媒体に使用したウレタンアクリレートは、ホログラフィック媒体における使用にあまり適さないが、媒体1〜5および6〜11におけるアクリレートは、より大きいΔnsatの値に基づいて、ホログラフィック媒体の製造に非常に適していることがわかる。また、得られる感光性ポリマー組成物の輸送性および加工性を著しく改善する、記載したアクリレートの低い粘度は注目に値する。一方、比較例は、室温よりかなり高い温度でしか融解せず、従って、加工がより困難であった。
【符号の説明】
【0144】
M ミラー
S シャッター
SF 空間フィルター
CL コリメーターレンズ
λ/2 λ/2プレート
PBS 偏光感受型ビームスプリッター
D 検出器
I 虹彩絞り
RD ターンテーブルの基準方向
α −21.8°
β 41.8°

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンマトリックスポリマー、書込モノマーおよび光開始剤を含んでなる感光性ポリマー組成物であって、書込モノマーが、式(I):
【化1】

[式中、R、R、Rは、それぞれ独立して、OH、ハロゲンまたは有機基であり、これらの基の少なくとも1つは、放射線硬化性基を有する有機基である]
で示される化合物を含んでなることを特徴とする組成物。
【請求項2】
有機基が、酸素原子または窒素原子を介してトリアジン環に結合していることを特徴とする、請求項1に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項3】
放射線硬化性基が、アクリレート基またはメタクリレート基であることを特徴とする、請求項1または2に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項4】
、R、Rが、それぞれ独立して、ハロゲン、および/または置換または未置換のフェノール基、ナフトール基、アニリン基、ナフタレン基、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート基、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート基および/または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート基であり、R、R、R基の少なくとも1つが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート基、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート基または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項5】
、R、R基の少なくとも2つが、それぞれ独立して、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート基、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート基および/または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート基であることを特徴とする、請求項4に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項6】
光開始剤が、アニオン染料、カチオン染料または非荷電染料、および共開始剤を含んでなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項7】
可塑剤としてウレタンを付加的に含んでなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物であって、特に、ウレタンが少なくとも1個のフッ素原子で置換されていてよい組成物。
【請求項8】
ウレタンが、一般式(II):
【化2】

[式中、nは1以上8以下であり、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素、未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換された、直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基であり、好ましくは、R、R、R基の少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子で置換されており、より好ましくは、Rは、少なくとも1個のフッ素原子を有する有機基である]
で示されることを特徴とする、請求項7に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項9】
書込モノマーが、特に単官能性アクリレートまたは多官能性アクリレートであってよい、別の単官能性書込モノマーまたは多官能性書込モノマーを付加的に含んでなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項10】
アクリレートが、一般式(III):
【化3】

[式中、mは1以上4以下であり、R、Rは、それぞれ独立して、水素、未置換のまたは場合によりヘテロ原子で置換された、直鎖、分岐、環式または複素環式の有機基である]
で示されることを特徴とする、請求項9に記載の感光性ポリマー組成物。
【請求項11】
ホログラフィック媒体を製造するため、特にインラインホログラム、オフアクシスホログラム、全開口トランスファーホログラム、白色光透過型ホログラム、デニシュークホログラム、オフアクシス反射型ホログラム、エッジリットホログラムおよびホログラム立体画像を製造するための、請求項1〜10のいずれかに記載の感光性ポリマー組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−519111(P2013−519111A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551583(P2012−551583)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051246
【国際公開番号】WO2011/095441
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【Fターム(参考)】