説明

トリオルガノクロロシランの製造方法

【解決手段】 特定の式(I):(R1)(R2)(R3)SiH[式中、R1、R2およ
びR3は、互いに同一でも相異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。
]で表されるトリオルガノハイドロシランを、水の存在下で塩素と反応させることを特徴とする、特定の式(II):(R1)(R2)(R3)SiCl[式(II)中、R1、R2
およびR3は、式(I)の場合と同じ意味。]で表されるトリオルガノクロロシランの製
造方法。
【効果】溶媒などとして毒性がないかあっても低いものを用い、使用される溶媒や副生物により環境汚染を引起すことがないように、環境面に配慮して、より簡便な操作により高収率でトリオルガノクロロシランを製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業的に簡便に、トリオルガノクロロシランを製造する新規な製造方法に関するものである。これらのトリオルガノクロロシランは、シリコーンゴムなどの合成原料として利用され、また医薬品、農薬等の合成の際に合成中間体の官能性水酸基を保護するためのシリル化剤として利用されている。
【背景技術】
【0002】
従来、トリオルガノハイドロシランと塩素の反応により、トリオルガノハイドロシランのケイ素原子に結合した水素原子を塩素原子で置換して、トリオルガノクロロシランを製造する多数の方法が知られている。その主な例は、下記の方法である。
(1)四塩化炭素中で上記反応を行う方法(非特許文献1参照)。
(2)ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒中で上記反応を行う方法(特許文献1参照)。
(3)p−チオクレゾールなどの有機硫黄化合物の存在下に四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒中で上記反応を行う方法(特許文献2参照)。
(4)ハイドロキノンなどの有機酸素化合物の存在下に四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒中で上記反応を行う方法(特許文献3参照)。
(5)塩化鉄(III)などの金属ハロゲン化物の存在下に四塩化炭素中で上記反応を行う方法(特許文献4参照)。
(6)メシチレンなどの芳香族炭化水素系化合物の存在下に四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒中で上記反応を行う方法(特許文献5参照)。
(7)n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒中で上記反応を行う方法(特許文献6参照)。
(8)トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒中で上記反応を行う方法(特許文献6の第10,13頁参照)。
(9)芳香族炭化水素系溶媒中で反応させた後、塩化鉄(III)などの精製助剤を使用して、副生した塩素化芳香族炭化水素系化合物を高沸点化合物に変換する方法(特許文献6の第1頁参照)。
【特許文献1】特許第1672680号明細書(第1頁)
【特許文献2】特許第1650348号明細書(第1頁)
【特許文献3】特許第2043638号明細書(第1頁)
【特許文献4】特許第1958926号明細書(第1頁)
【特許文献5】特開平2−157286号公報(第1頁)
【特許文献6】特開2004−284967号公報(第1頁及び第10,13頁)
【非特許文献1】「ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティー (Journal of the American Chemical Society)」、1978年、第100巻、p.157
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記(1)〜(6)に記載の方法ではハロゲン化炭化水素系溶媒が用いられるが、このハロゲン化炭化水素系溶媒は毒性が強く、また環境汚染の面から、できるだけ使用を控えることが望ましい。
【0004】
また、上記(7)〜(8)に記載の方法では、用いられる脂肪族炭化水素系溶媒および芳香族炭化水素系溶媒も塩素と反応して、塩素化脂肪族炭化水素系化合物および塩素化芳香族炭化水素系化合物が副生し、これらの副生物と目的物のトリオルガノクロロシランと
を分離する必要があり、その結果トリオルガノクロロシランの精製収率が低下してしまうという問題点がある。
【0005】
このような問題点を解決するために、上記した(9)の方法では、副生した塩素化芳香族炭化水素系化合物を精製助剤を使用して高沸点化合物に変換する方法が提供されている。
【0006】
しかし、操作上の手間がかかることや、精製助剤分の費用が嵩むことにより製造コストが高くなるという問題点がある。さらに、上記した(9)の方法では、トリオルガノクロロシランのオルガノ基(有機基)の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換される副反応が起こり、目的とするトリオルガノクロロシランの収率が低下してしまうという問題点がある。
【0007】
このように、上記した従来の方法には、いずれも上記したような問題点がある。
そのため、溶媒などとして毒性がないかあっても低いものを用い、使用される溶媒や副生物で環境汚染を引起すことがないように、環境面に配慮して、より簡便な操作により高収率でトリオルガノクロロシランを製造できる、新規なトリオルガノクロロシランの製造方法の出現が望まれている。
【0008】
本発明は、トリオルガノクロロシランを工業的規模で製造でき、溶媒などとして低毒性〜無毒のものを使用し、使用される溶媒やトリオルガノクロロシランの製造時に生じる副生物や溶媒の変性物などで環境汚染を生じることがなく環境面にも配慮し、しかも簡便な操作により高収率でトリオルガノクロロシランを製造し得る、トリオルガノクロロシランの新規な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明者らは上記問題点について鋭意検討した。
その結果、本発明者らは、トリオルガノハイドロシランと塩素の反応を水の存在下に行うと、トリオルガノハイドロシランのケイ素原子に結合した水素原子は塩素原子で置換されて目的化合物のトリオルガノクロロシランに変換され、しかも、驚くべきことに、生成したこのトリオルガノクロロシランは、水の存在下で加水分解されずに安定に存在していることを見出した。また、原料のトリオルガノハイドロシランあるいは生成物であるトリオルガノクロロシランの溶解性向上、反応の円滑化等の見地から水と共に、有機溶媒、例えば、脂肪族炭化水素系化合物、芳香族炭化水素系化合物を用いて上記反応を行う場合にも、上記水の存在により、有機溶媒の塩素化物である、塩素化脂肪族炭化水素系化合物や塩素化芳香族炭化水素系化合物などの副生が抑制されることも見出した。また、水の存在により、トリオルガノクロロシランのオルガノ基(有機基)の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換されてしまう副反応が著しく低減・抑制されることも見出した。さらに、水の存在により、副生した塩化水素が水に溶解して系内に止まり、系外に排出されにくく、環境汚染を発生しにくいこと、塩化水素を反応系に悪影響を与えないような適当な方法(例:塩化水素を次亜塩素酸ナトリウムなどと反応させて塩素を発生させる方法)で分解して、生じた塩素の効率的利用が可能となるなどの利点もあることを見出し、下記に示すような本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、次の一般式(I):
(R1)(R2)(R3)SiH ・・・・・(I)
[式(I)中、R1、R2およびR3は、互いに同一でも相異なっていてもよく、炭素数1
〜20の炭化水素基を示す。]で表されるトリオルガノハイドロシランを、水の存在下で塩素と反応させることを特徴とする、次の一般式(II):
(R1)(R2)(R3)SiCl ・・・・・(II)
[式(II)中、R1、R2およびR3は、それぞれ前記の一般式(I)の場合と同じ意味
を表す。]で表されるトリオルガノクロロシランの製造方法にある。
【0011】
本発明では、一般式(I)で表されるトリオルガノハイドロシランとして、次の一般式(Ia):
(R1)(R2)(R3)SiH ・・・・・(Ia)
[式(Ia)中、R1、R2およびR3は、互いに同一でも相異なっていてもよく、炭素数
1〜20の第1級、第2級または第3級アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。]で表されるトリオルガノハイドロシランを用いて、次の一般式(IIa):
(R1)(R2)(R3)SiCl ・・・・・(IIa)
[式(IIa)中、R1、R2およびR3は、それぞれ前記の一般式(Ia)の場合と同じ
意味を表す。]で表されるトリオルガノクロロシランを製造することができる。
【0012】
本発明では、上記反応を、上記水に加えて、さらに鉱酸もしくは無機塩の存在下に行ってもよい。
本発明では、上記鉱酸が硫酸、塩酸(HClの水溶液)またはリン酸であることが好ましい。
【0013】
本発明では、上記無機塩が塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化カルシウムであることが好ましい。
上記塩素は、反応系内に、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムと、塩化水素(HCl)とを同時にあるいは任意の順序で添加し、これらの反応により生成されるものであってもよい。
【0014】
本発明では、上記反応を、有機溶剤の共存下に行ってもよい。
本発明では、上記一般式(I)のトリオルガノハイドロシランとして、tert−ブチルジメチルシラン、トリイソプロピルシラン、トリイソブチルシラン、トリ−sec−ブチルシランまたはトリシクロヘキシルシランを用いて、対応する一般式(II)で表されるトリオルガノクロロシランを製造することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上記本発明によれば、トリオルガノハイドロシランと塩素の反応を水の存在下に行っているので、トリオルガノハイドロシランのケイ素原子に結合した水素原子は塩素原子で置換されて目的化合物のトリオルガノクロロシランに変換され、しかも、生成したこのトリオルガノクロロシランは、水の存在下で加水分解されずに安定に存在しているという効果が得られる。なお、上記特許文献1〜6では、水不含の有機溶剤中で反応を行ってトリオルガノクロロシランを得ている点で、本発明と相違し、本発明では有機溶媒を使用するか否かに拘わらず、水の存在下に上記反応を行う点に特徴がある。
【0016】
また、本発明によれば、原料のトリオルガノハイドロシランあるいは生成物であるトリオルガノクロロシランの溶解性向上、上記反応の円滑化等の見地から水と共に、有機溶媒、例えば、脂肪族炭化水素系化合物、芳香族炭化水素系化合物を用いて上記反応を行う場合にも、上記水の存在により、有機溶媒の塩素化物である、塩素化脂肪族炭化水素系化合物や塩素化芳香族炭化水素系化合物などの副生が抑制されるという効果が得られる。
【0017】
なお、本発明では、溶媒として例えば、脂肪族系、芳香族系の炭化水素溶媒を使用することにより、反応過程で極少量でクロロ化炭化水素溶剤が系内に存在しうるとしても、このようなクロロ化炭化水素溶剤を生ずる副反応は、水の存在により極めて抑制されている
点で特許文献6に比して顕著な効果があり、しかも、本発明では環境への配慮から、できるだけその使用を避けることが望まれる四塩化炭素(CCl4)、ハロゲン化炭化水素、
塩素化溶媒を使用しない点でも、特許文献1〜5と異なる。
【0018】
また、本発明の上記反応では、水の存在により、トリオルガノクロロシランのオルガノ基(有機基)の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された物質が副生してしまう副反応が著しく低減・抑制されるという効果が得られる(本願明細書の実施例においては生成物に対して0.1%未満)点でも、特許文献6と相違する。しかも、本発明ではこのように副反応が抑制されるから、副生物の分離除去費用が安価で済むというメリットもある。
【0019】
さらに、上記本発明の方法では、反応系内に水が存在することにより、副生した塩化水素が水に溶解して系内に止まり、系外に排出されにくく、その結果環境汚染を発生しにくいという効果が得られ、また、塩化水素を反応系に悪影響を与えないような適当な方法(例:塩化水素を次亜塩素酸ナトリウムなどと反応させて塩素を発生させる方法)で分解して生じた塩素を原料のトリオルガノハイドロシランとの反応に使用でき、塩化水素の効率的利用が可能となるという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るトリオルガノクロロシランの新規な製造方法について具体的に説明する。
本発明に係るトリオルガノクロロシランの製造方法では、基本的には、後述する特定の式(I)で表されるトリオルガノハイドロシラン(以下、トリオルガノハイドロシラン(I)とも言う。)を、水の存在下で塩素と反応させ、後述する特定の式(II)で表されるトリオルガノクロロシラン(トリオルガノクロロシラン(II)とも言う。)を製造している。
【0021】
以下、出発原料化合物のトリオルガノハイドロシラン(I)、塩素又は塩素供給源、トリオルガノクロロシラン(II)の製造条件、必要により用いられる有機溶媒、鉱酸もしくは無機塩、生成物のトリオルガノクロロシラン(II)等について詳細に分説する。
【0022】
[出発原料のトリオルガノハイドロシラン(I)]
トリオルガノハイドロシラン(I)は、下記の一般式(I)で表される。
(R1)(R2)(R3)SiH ・・・・・(I)
[式(I)中、R1、R2およびR3は、互いに同一でも相異なっていてもよく、それぞ
れ炭素数C1〜20、好ましくは炭素数C1〜10の炭化水素基を示す。]
また、R1、R2およびR3の総炭素数(R1+R2+R3)は、通常3〜30、好ましくは5〜20、特に好ましくは6〜18であることが製品(II)の合成のし易さと製品(I
I)の有用性などの点を考慮すると望ましい。
【0023】
上記の一般式(I)においてR1、R2およびR3で示される炭化水素基としては、炭素
数1〜20の第1級、第2級または第3級アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。
【0024】
このような炭化水素基の例としては次のものが挙げられる。
すなわち、R1、R2およびR3で示される炭化水素基がアルキル基の場合は、そのアル
キル基は炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が好ましく、さらには、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が望ましい。
【0025】
一般式(I)においてR1、R2およびR3で示される炭化水素基がこのようなアルキル
基である場合には、このアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、3−メチル−3−ペンチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、n−オクチル基、n−エイコシル基などが挙げられる。
【0026】
また、一般式(I)においてR1、R2およびR3で示される炭化水素基がアルケニル基
の場合は、そのアルケニル基は炭素数2〜20のアルケニル基であるのが好ましい。このようなアルケニル基として、具体的には、例えば、ビニル基、メタリル基、1−プロペニル基、アリル基、1−オクタデセニル基などが挙げられる。
【0027】
また、一般式(I)においてR1、R2およびR3で示される炭化水素基がアルキニル基
の場合は、そのアルキニル基は炭素数2〜20のアルキニル基であるのが好ましい。このようなアルキニル基として、具体的には、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−オクタデシニル基などが挙げられる。
【0028】
また、一般式(I)においてR1、R2およびR3で示される炭化水素基がシクロアルキ
ル基の場合は、そのシクロアルキル基は炭素数3〜20のシクロアルキル基であるのが好ましい。このようなシクロアルキル基として、具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−n−テトラデシルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基などが挙げられる。
【0029】
また、一般式(I)においてR1、R2およびR3で示される炭化水素基がアリール基の
場合は、そのアリール基は炭素数6〜20のアリール基であるのが好ましい。このようなアリール基として、具体的には、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−ビニルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントラニル基などが挙げられる。
【0030】
また、一般式(I)においてR1、R2およびR3で示される炭化水素基がアラルキル基
の場合は、そのアラルキル基は炭素数7〜20のアラルキル基であるのが好ましい。このようなアラルキル基として、具体的には、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、4−tert−ブチルベンジル基、4−n−トリデシルベンジル基、4−ビニルベンジル基などが挙げられる。
【0031】
ただし、本発明で使用可能な炭化水素基R1、R2およびR3は、上記した例に限定され
るものではない。
(R1)(R2)(R3)SiH ・・・・・(Ia)
[式(Ia)中、R1、R2およびR3は、互いに同一もしくは相異なる炭素数1〜20の
第1級、第2級または第3級アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。]
上記トリオルガノハイドロシラン(I)として、具体的には、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0032】
トリオルガノハイドロシラン(I):
トリエチルシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリイソプロピルシラン、トリ−n−ブチルシラン、トリイソブチルシラン、トリ−sec−ブチルシラン、トリ−tert−ブチルシラン、トリ−n−ペンチルシラン、トリイソペンチルシラン、トリ−sec−ペンチルシラン、トリス(1,1−ジメチルプロピル)シラン、トリス(1,2−ジメチルプロピル)シラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリ(3−メチル−3−ペンチル)シラン、トリス(1,1,2−トリメチルプロピル)シラン、トリ−n−オクチルシラン、トリ−n−エイコシルシラン、トリシクロプロピルシラン、トリシクロペンチルシラン、トリシクロヘキシルシラン、トリ(1−メチルシクロヘキシル)シラン、トリ(2−メチルシクロヘキシル)シラン、トリ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)シラン、トリ(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)シラン、トリ−1−アダマンチルシラン、トリ−2−アダマンチルシラン、トリビニルシラン、トリメタリルシラン、トリ−1−プロペニルシラン、トリアリルシラン、トリ−1−オクタデセニルシラン、トリエチニルシラン、トリ−1−プロピニルシラン、トリ−1−オクタデシニルシラン、トリフェニルシラン、トリ−o−トリルシラン、トリ−m−トリルシラン、トリ−p−トリルシラン、トリ−2,3−キシリルシラン、トリ−2,4−キシリルシラン、トリ−2,5−キシリルシラン、トリ−2,6−キシリルシラン、トリ−3,4−キシリルシラン、トリ−3,5−キシリルシラン、トリメシチルシラン、トリ(4−tert−ブチルフェニル)シラン、トリ(4−n−テトラデシルフェニル)シラン、トリ(4−ビニルフェニル)シラン、トリ−1−ナフチルシラン、トリ−2−ナフチルシラン、トリ−9−アントラニルシラン、トリベンジルシラン、トリ(1−フェニルエチル)シラン、トリ(2−フェニルエチル)シラン、トリ(4−tert−ブチルベンジル)シラン、トリ(4−n−トリデシルベンジル)シラン、トリ(4−ビニルベンジル)シラン、ジエチルメチルシラン、ジ−n−プロピルメチルシラン、ジイソプロピルメチルシラン、ジ−n−ブチルメチルシラン、ジイソブチルメチルシラン、ジ−sec−ブチルメチルシラン、ジ−tert−ブチルメチルシラン、ジ−n−ペンチルメチルシラン、ジイソペンチルメチルシラン、ジ−sec−ペンチルメチルシラン、ビス(1,1−ジメチルプロピル)メチルシラン、ビス(1,2−ジメチルプロピル)メチルシラン、ジ−n−ヘキシルメチルシラン、ジ(3−メチル−3−ペンチル)メチルシラン、ビス(1,1,2−トリメチルプロピル)メチルシラン、ジ−n−オクチルメチルシラン、ジ−n−エイコシルメチルシラン、ジシクロプロピルメチルシラン、ジシクロペンチルメチルシラン、ジシクロヘキシルメチルシラン、ジ(1−メチルシクロヘキシル)メチルシラン、ジ(2−メチルシクロヘキシル)メチルシラン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)メチルシラン、ジ(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)メチルシラン、ジ−1−アダマンチルメチルシラン、ジ−2−アダマンチルメチルシラン、ジビニルメチルシラン、ジメタリルメチルシラン、ジ−1−プロペニルメチルシラン、ジアリルメチルシラン、ジ−1−オクタデセニルメチルシラン、ジエチニルメチルシラン、ジ−1−プロピニルメチルシラン、ジ−1−オクタデシニルメチルシラン、ジフェニルメチルシラン、ジ−o−トリルメチルシラン、ジ−m−トリルメチルシラン、ジ−p−トリルメチルシラン、ジ−2,3−キシリルメチルシラン、ジ−2,4−キシリルメチルシラン、ジ−2,5−キシリルメチルシラン、ジ−2,6−キシリルメチルシラン、ジ−3,4−キシリルメチルシラン、ジ−3,5−キシリルメチルシラン、ジメシチルメチルシラン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)メチルシラン、ジ(4−n−テトラデシルフェニル)メチルシラン、ジ(4−ビニルフェニル)メチルシラン、ジ−1−ナフチルメチルシラン、ジ−2−ナフチルメチルシラン、ジ−9−アントラニルメチルシラン、ジベンジルメチルシラン、ジ(1−フェニルエチル)メチルシラン、ジ(2−フェニルエチル)メチルシラン、ジ(4−tert−ブチルベンジル)メチルシラン、ジ(4−n−トリデシルベンジル)メチルシラン、ジ(4−ビニルベンジル)メチルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジエチルフェニルシラン、ジ−n−プロピルフェニルシラン、ジイソプロピルフェニルシラン、ジ−n−ブチルフェニルシラン、ジイソブチルフェニルシラン、ジ−sec−ブチルフェニルシラン、ジ−tert−ブチルフェニルシラン、ジ−n−ペンチルフェニルシラン、ジイソペンチルフェニルシラン、ジ−sec−ペンチルフェニ
ルシラン、ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェニルシラン、ビス(1,2−ジメチルプロピル)フェニルシラン、ジ−n−ヘキシルフェニルシラン、ジ(3−メチル−3−ペンチル)フェニルシラン、ビス(1,1,2−トリメチルプロピル)フェニルシラン、ジ−n−オクチルフェニルシラン、ジ−n−エイコシルフェニルシラン、ジシクロプロピルフェニルシラン、ジシクロペンチルフェニルシラン、ジシクロヘキシルフェニルシラン、ジ(1−メチルシクロヘキシル)フェニルシラン、ジ(2−メチルシクロヘキシル)フェニルシラン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニルシラン、ジ(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)フェニルシラン、ジ−1−アダマンチルフェニルシラン、ジ−2−アダマンチルフェニルシラン、ジビニルフェニルシラン、ジメタリルフェニルシラン、ジ−1−プロペニルフェニルシラン、ジアリルフェニルシラン、ジ−1−オクタデセニルフェニルシラン、ジエチニルフェニルシラン、ジ−1−プロピニルフェニルシラン、ジ−1−オクタデシニルフェニルシラン、ジ−o−トリルフェニルシラン、ジ−m−トリルフェニルシラン、ジ−p−トリルフェニルシラン、ジ−2,3−キシリルフェニルシラン、ジ−2,4−キシリルフェニルシラン、ジ−2,5−キシリルフェニルシラン、ジ−2,6−キシリルフェニルシラン、ジ−3,4−キシリルフェニルシラン、ジ−3,5−キシリルフェニルシラン、ジメシチルフェニルシラン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)フェニルシラン、ジ(4−n−テトラデシルフェニル)フェニルシラン、ジ(4−ビニルフェニル)フェニルシラン、ジ−1−ナフチルフェニルシラン、ジ−2−ナフチルフェニルシラン、ジ−9−アントラニルフェニルシラン、ジベンジルフェニルシラン、ジ(1−フェニルエチル)フェニルシラン、ジ(2−フェニルエチル)フェニルシラン、ジ(4−tert−ブチルベンジル)フェニルシラン、ジ(4−n−トリデシルベンジル)フェニルシラン、ジ(4−ビニルベンジル)フェニルシラン、ジメチルビニルシラン、ジエチルビニルシラン、ジ−n−プロピルビニルシラン、ジイソプロピルビニルシラン、ジ−n−ブチルビニルシラン、ジイソブチルビニルシラン、ジ−sec−ブチルビニルシラン、ジ−tert−ブチルビニルシラン、ジ−n−ペンチルビニルシラン、ジイソペンチルビニルシラン、ジ−sec−ペンチルビニルシラン、ビス(1,1−ジメチルプロピル)ビニルシラン、ビス(1,2−ジメチルプロピル)ビニルシラン、ジ−n−ヘキシルビニルシラン、ジ(3−メチル−3−ペンチル)ビニルシラン、ビス(1,1,2−トリメチルプロピル)ビニルシラン、ジ−n−オクチルビニルシラン、ジ−n−エイコシルビニルシラン、ジシクロプロピルビニルシラン、ジシクロペンチルビニルシラン、ジシクロヘキシルビニルシラン、ジ(1−メチルシクロヘキシル)ビニルシラン、ジ(2−メチルシクロヘキシル)ビニルシラン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ビニルシラン、ジ(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)ビニルシラン、ジ−1−アダマンチルビニルシラン、ジ−2−アダマンチルビニルシラン、ジメタリルビニルシラン、ジ−1−プロペニルビニルシラン、ジアリルビニルシラン、ジ−1−オクタデセニルビニルシラン、ジエチニルビニルシラン、ジ−1−プロピニルビニルシラン、ジ−1−オクタデシニルビニルシラン、ジフェニルビニルシラン、ジ−o−トリルビニルシラン、ジ−m−トリルビニルシラン、ジ−p−トリルビニルシラン、ジ−2,3−キシリルビニルシラン、ジ−2,4−キシリルビニルシラン、ジ−2,5−キシリルビニルシラン、ジ−2,6−キシリルビニルシラン、ジ−3,4−キシリルビニルシラン、ジ−3,5−キシリルビニルシラン、ジメシチルビニルシラン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ビニルシラン、ジ(4−n−テトラデシルフェニル)ビニルシラン、ジ(4−ビニルフェニル)ビニルシラン、ジ−1−ナフチルビニルシラン、ジ−2−ナフチルビニルシラン、ジ−9−アントラニルビニルシラン、ジベンジルビニルシラン、ジ(1−フェニルエチル)ビニルシラン、ジ(2−フェニルエチル)ビニルシラン、ジ(4−tert−ブチルベンジル)ビニルシラン、ジ(4−n−トリデシルベンジル)ビニルシラン、ジ(4−ビニルベンジル)ビニルシラン、ジメチルエチルシラン、ジメチル−n−プロピルシラン、ジメチルイソプロピルシラン、n−ブチルジメチルシラン、ジメチルイソブチルシラン、sec−ブチルジメチルシラン、tert−ブチルジメチルシラン、ジメチル−n−ペンチルシラン、ジメチルイソペンチルシラン、ジメチル−sec−ペンチルシラン、ジメチル(1,1−ジメチルプ
ロピル)シラン、ジメチル(1,2−ジメチルプロピル)シラン、ジメチル−n−ヘキシルシラン、ジメチル(3−メチル−3−ペンチル)シラン、ジメチル(1,1,2−トリメチルプロピル)シラン、ジメチル−n−オクチルシラン、ジメチル−n−エイコシルシラン、シクロプロピルジメチルシラン、シクロペンチルジメチルシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、ジメチル(1−メチルシクロヘキシル)シラン、ジメチル(2−メチルシクロヘキシル)シラン、(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ジメチルシラン、ジメチル(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)シラン、1−アダマンチルジメチルシラン、2−アダマンチルジメチルシラン、ジメチルビニルシラン、ジメチルメタリルシラン、ジメチル−1−プロペニルシラン、アリルジメチルシラン、ジメチル−1−オクタデセニルシラン、ジメチルエチニルシラン、ジメチル−1−プロピニルシラン、ジメチル−1−オクタデシニルシラン、ジメチル−o−トリルシラン、ジメチル−m−トリルシラン、ジメチル−p−トリルシラン、ジメチル−2,3−キシリルシラン、ジメチル−2,4−キシリルシラン、ジメチル−2,5−キシリルシラン、ジメチル−2,6−キシリルシラン、ジメチル−3,4−キシリルシラン、ジメチル−3,5−キシリルシラン、ジメチルメシチルシラン、(4−tert−ブチルフェニル)ジメチルシラン、ジメチル(4−n−テトラデシルフェニル)シラン、ジメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチル−1−ナフチルシラン、ジメチル−2−ナフチルシラン、9−アントラニルジメチルシラン、ベンジルジメチルシラン、ジメチル(1−フェニルエチル)シラン、ジメチル(2−フェニルエチル)シラン、(4−tert−ブチルベンジル)ジメチルシラン、ジメチル(4−n−トリデシルベンジル)シラン、ジメチル(4−ビニルベンジル)シラン、ジフェニルエチルシラン、ジフェニル−n−プロピルシラン、ジフェニルイソプロピルシラン、n−ブチルジフェニルシラン、ジフェニルイソブチルシラン、sec−ブチルジフェニルシラン、tert−ブチルジフェニルシラン、ジフェニル−n−ペンチルシラン、ジフェニルイソペンチルシラン、ジフェニル−sec−ペンチルシラン、(1,1−ジメチルプロピル)ジフェニルシラン、(1,2−ジメチルプロピル)ジフェニルシラン、ジフェニル−n−ヘキシルシラン、ジフェニル(3−メチル−3−ペンチル)シラン、ジフェニル(1,1,2−トリメチルプロピル)シラン、ジフェニル−n−オクチルシラン、ジフェニル−n−エイコシルシラン、
シクロプロピルジフェニルシラン、シクロペンチルジフェニルシラン、シクロヘキシルジフェニルシラン、ジフェニル(1−メチルシクロヘキシル)シラン、ジフェニル(2−メチルシクロヘキシル)シラン、(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ジフェニルシラン、ジフェニル(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)シラン、1−アダマンチルジフェニルシラン、2−アダマンチルジフェニルシラン、ジフェニルビニルシラン、ジフェニルメタリルシラン、ジフェニル−1−プロペニルシラン、アリルジフェニルシラン、ジフェニル−1−オクタデセニルシラン、ジフェニルエチニルシラン、ジフェニル−1−プロピニルシラン、ジフェニル−1−オクタデシニルシラン、ジフェニル−o−トリルシラン、ジフェニル−m−トリルシラン、ジフェニル−p−トリルシラン、ジフェニル−2,3−キシリルシラン、ジフェニル−2,4−キシリルシラン、ジフェニル−2,5−キシリルシラン、ジフェニル−2,6−キシリルシラン、ジフェニル−3,4−キシリルシラン、ジフェニル−3,5−キシリルシラン、ジフェニルメシチルシラン、(4−tert−ブチルフェニル)ジフェニルシラン、ジフェニル(4−n−テトラデシルフェニル)シラン、ジフェニル(4−ビニルフェニル)シラン、ジフェニル−1−ナフチルシラン、ジフェニル−2−ナフチルシラン、9−アントラニルジフェニルシラン、ベンジルジフェニルシラン、ジフェニル(1−フェニルエチル)シラン、ジフェニル(2−フェニルエチル)シラン、(4−tert−ブチルベンジル)ジフェニルシラン、ジフェニル(4−n−トリデシルベンジル)シラン、ジフェニル(4−ビニルベンジル)シラン、エチルメチルフェニルシラン、メチルフェニル−n−プロピルシラン、イソプロピルメチルフェニルシラン、n−ブチルメチルフェニルシラン、イソブチルメチルフェニルシラン、sec−ブチルメチルフェニルシラン、tert−ブチルメチルフェニルシラン、メチル−n−ペンチルフェニルシラン、イソペンチルメチルフェニルシラン、メチル−sec−ペンチルフェ
ニルシラン、(1,1−ジメチルプロピル)メチルフェニルシラン、(1,2−ジメチルプロピル)メチルフェニルシラン、n−ヘキシルメチルフェニルシラン、メチル(3−メチル−3−ペンチル)フェニルシラン、メチルフェニル(1,1,2−トリメチルプロピル)シラン、メチル−n−オクチルフェニルシラン、n−エイコシルメチルフェニルシラン、シクロプロピルメチルフェニルシラン、シクロペンチルメチルフェニルシラン、シクロヘキシルメチルフェニルシラン、メチル(1−メチルシクロヘキシル)フェニルシラン、メチル(2−メチルシクロヘキシル)フェニルシラン、(4−tert−ブチルシクロヘキシル)メチルフェニルシラン、メチルフェニル(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)シラン、1−アダマンチルメチルフェニルシラン、2−アダマンチルメチルフェニルシラン、メチルフェニルビニルシラン、メタリルメチルフェニルシラン、メチルフェニル−1−プロペニルシラン、アリルメチルフェニルシラン、メチル−1−オクタデセニルフェニルシラン、エチニルメチルフェニルシラン、メチルフェニル−1−プロピニルシラン、メチル−1−オクタデシニルフェニルシラン、メチルフェニル−o−トリルシラン、メチルフェニル−m−トリルシラン、メチルフェニル−p−トリルシラン、メチルフェニル−2,3−キシリルシラン、メチルフェニル−2,4−キシリルシラン、メチルフェニル−2,5−キシリルシラン、メチルフェニル−2,6−キシリルシラン、メチルフェニル−3,4−キシリルシラン、メチルフェニル−3,5−キシリルシラン、メシチルメチルフェニルシラン、(4−tert−ブチルフェニル)メチルフェニルシラン、メチルフェニル(4−n−テトラデシルフェニル)シラン、メチルフェニル(4−ビニルフェニル)シラン、メチル−1−ナフチルフェニルシラン、メチル−2−ナフチルフェニルシラン、9−アントラニルメチルフェニルシラン、ベンジルメチルフェニルシラン、メチルフェニル(1−フェニルエチル)シラン、メチルフェニル(2−フェニルエチル)シラン、(4−tert−ブチルベンジル)メチルフェニルシラン、メチルフェニル(4−n−トリデシルベンジル)シラン、メチルフェニル(4−ビニルベンジル)シランなど。
【0033】
ただし、本発明の一般式(I)のトリオルガノハイドロシランに含まれる化合物の例は、上記に例示の化合物に限定されるものではない。
特に、トリオルガノハイドロシラン(I)あるいは(Ia)として、tert−ブチルジメチルシラン、トリイソプロピルシラン、トリイソブチルシラン、トリ−sec−ブチルシランまたはトリシクロヘキシルシランを用いると、得られるトリオルガノクロロシラン(II)が、医薬品等の製造において有用であり、また種々の医薬品、化合物を合成する際に用いられる出発原料としての合成中間体の官能基を保護するためのシリル化剤としてそのまま使用してもよく、またはこれらの合成中間体(の製造用の原料)としても有用であるなどの点で望ましい。
【0034】
[塩素又は塩素供給源]
塩素又は塩素供給源としては、塩素の他に、反応系内で反応、分解等して塩素を発生するようなものが使用できる。
【0035】
本発明の方法において、塩素の供給・使用方法は特に限定されないが、
(イ) 液化塩素を気化させながら反応系内に吹き込む方法;
(ロ) 塩化水素(HCl)またはその水溶液である塩酸と、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、それらの水和物またはそれらの水溶液などとを反応系外で反応(接触)させて、発生させた塩素を反応系内に吹き込む方法;
(ハ) (ロ)の反応、すなわち「塩化水素または塩酸と、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、それらの水和物またはそれらの水溶液などとの反応(接触)」を反応系内で行い、系内で発生させた塩素をそのままトリオルガノハイドロシラン(I)との反応に用いる方法;
などが挙げられる。
【0036】
本発明の方法において、塩素の使用量は特に限定されないが、一般式(I)のトリオルガノハイドロシラン1モルに対して、0.5〜1.5モルの割合、好ましくは0.9〜1.1モルの割合で使用するのがトリオルガノクロロシラン(II)を高収率で製造するために望ましい。
【0037】
本発明では、上記したように、塩素に代えて、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムと、塩化水素とを反応系内に供給し、系内でこれらを反応させて、塩素を発生させてもよい。
【0038】
また、塩素と原料のトリオルガノハイドロシラン(I)とが反応してトリオルガノクロロシラン(II)を生成する際に副生する塩化水素も、上記のように次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムあるいは次亜塩素酸などが反応系内に存在する場合には、これらと反応し塩素を発生させるので、この塩素も原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と反応させれば上記トリオルガノクロロシラン(II)の製造に有効に利用され、副生する塩化水素の効率的な利用を図ることができる。
【0039】
ここで、上記(イ)〜(ハ)の場合のうちで、特に(ロ)〜(ハ)の場合を中心に、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)も含めて、各配合成分の添加方法、配合量等を説明する。
【0040】
先ず、主な配合成分、すなわち、トリオルガノハイドロシラン(I)、塩化水素(又は塩酸)、次亜塩素酸ナトリウム(水溶液)または次亜塩素酸カルシウム(水溶液)の添加方法としては、下記の(i)〜(iv)のような態様が例示できる。
【0041】
(i)原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と塩酸を(系内で)混合し、この系内へ次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸カルシウム水溶液を滴下する方法。
(ii)原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と塩酸とを(系内で)混合し、ここへ次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムまたはそれらの水和物を有機溶媒に溶解または懸濁させて滴下する方法。
(iii)原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液または
次亜塩素酸カルシウム水溶液を(系内で)混合し、ここへ塩酸を滴下する方法。
(iv)原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸カルシウム水溶液を(系内で)混合し、ここへ塩化水素ガスを吹き込む方法。
【0042】
ただし、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と、塩化水素と、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムとを混合する方法は、上記例示に限定されない。
上記のように原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と、塩化水素と、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムとを混合する場合には、この塩化水素は塩化水素ガスでもよく((iv))、また塩酸(塩化水素の水溶液)でもよい((i)、(ii)、(iii))。
【0043】
この場合、塩酸の濃度は特に限定されず、飽和濃度までの任意の濃度の塩酸が使用され得る。好ましくは10重量%〜飽和濃度の塩酸が挙げられる。
また、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムは、結晶、水和物、あるいは水溶液のいずれの形態で反応系に添加・混合するなどして用いてもよい。
【0044】
また、用いられる次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸カルシウム水溶液の濃度(塩素(Cl原子)濃度と同じ意味)は特に限定されず、飽和濃度までの濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸カルシウム水溶液が挙げられ、好ましくは塩素濃度が3〜15%の濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液または塩素濃度が3〜70重量%の濃度の次亜塩素酸カルシウム水溶液が用いられる。
【0045】
また、トリオルガノクロロシラン(II)の製造に際し、トリオルガノハイドロシラン(I)と、塩化水素と、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムとを混合する場合、塩化水素の使用量は特に限定されないが、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)1モルに対して、0.1〜5モルの割合、好ましくは0.9〜1.1モルの割合で塩素を発生させ得る量で使用するのが好ましい。
【0046】
また、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムの使用量は特に限定されないが、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)1モルに対して、0.1〜5モルの割合、好ましくは0.9〜1.1モルの割合で塩素を発生させ得る量で使用するのが好ましい。
【0047】
なお、上記反応により得られる目的物であるトリオルガノクロロシラン(II)が加水分解を受けやすい場合は、水溶液がアルカリ性になることを避けることが好ましい。
[製造条件等]
反応温度、圧力、反応時間等:
本発明の方法において、反応時の系内の圧力は特に限定されず、例えば、10Pa〜1013kPaで行うことができる。また反応時間は、反応の進行状況に応じて適宜設定される。
【0048】
また、本発明では、トリオルガノハイドロシラン(I)と塩素との反応温度も特に限定されないが、通常、−100℃〜トリオルガノハイドロシラン(I)、トリオルガノクロロシラン(II)、水、または溶媒の沸点や共沸点までの温度で行われる。なお、反応温度が−100℃未満では、反応の進行が遅くなる傾向があり、また、トリオルガノハイドロシラン(I)、トリオルガノクロロシラン(II)、水、または溶媒の沸点や共沸点を超えると反応操作が困難になる傾向がある。本発明では、原料である一般式(I)のトリオルガノハイドロシランの種類に応じて、塩素置換反応が円滑に進行できる温度は異なり、上記範囲で反応温度を適宜設定することが望ましい。
【0049】
また、生成物である一般式(II)のトリオルガノクロロシランの種類に応じて、生成物(II)の加水分解反応に対する安定性に違いがあり、そのため、これらトリオルガノハイドロシラン(I)と、トリオルガノクロロシラン(II)の種類に応じて反応温度を適宜設定することが望ましい。このような点を考慮すると、本発明では、好ましくは−20℃〜+50℃で、特に好ましくは0℃〜+30℃の温度範囲で上記反応を実施することが望ましい。
<有機溶媒>
本発明においては、有機溶媒は使用しなくてもよいが、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)あるいは生成したトリオルガノクロロシラン(II)が、例えば、上記反応温度範囲において固体などであるような場合は、反応を円滑に行うために有機溶媒を使用してもよい。
【0050】
そのような有機溶媒として、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、トリフルオロベンゼンなどの芳香族炭化水素;
ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;
メタノール、イソプロパノールなどのアルコール;
テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル;
などが挙げられる。
【0051】
本発明では、これらの有機溶媒を1種単独で使用してもよく、また2種以上混合するな
ど適宜組合わせて使用してもよい。
本発明では、有機溶媒の使用量には特に制限は無いが、溶媒としてアルコールやエーテ
ルを使用する場合には、生成物のトリオルガノクロロシラン(II)が加水分解を受けやすい場合があり、このようなときにはその有機溶媒の使用量を少なくすることが望ましい。<鉱酸もしくは無機塩>
本発明においては、必要により、鉱酸もしくは無機塩を系内に添加・混合し、系内に存在させてもよい。
【0052】
本発明で、使用できる上記鉱酸としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸などが挙げられる。
また、無機塩としては、例えば、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムなどが挙げられる。
【0053】
これら鉱酸、無機塩は1種または2種以上組合わせて用いてもよい。
本発明では、生成するトリオルガノクロロシラン(II)の種類により、加水分解反応に対する安定性に違いがあるから、本発明ではトリオルガノクロロシラン(II)の種類に応じて、水、鉱酸、もしくは「無機塩の水溶液」の種類を適宜選択して、生成物(II)の系内における加水分解反応を効果的に抑制し、トリオルガノクロロシラン(II)の収率を高めることが望ましい。
【0054】
生成したトリオルガノクロロシラン(II)が反応系内で加水分解を受けやすい場合は、無機塩などとしては、その水溶液(無機塩水溶液)が、アルカリ性を示すようなものは避けることが好ましい。
【0055】
本発明の方法において、系内に添加または存在させる「鉱酸もしくは無機塩の水溶液」の濃度は特に限定されず、飽和濃度までの濃度の水溶液が使用され、これら成分は系内に添加する等の方法で使用される。
【0056】
添加前の好ましい鉱酸としては具体的には、例えば、0.1〜40重量%の濃度の硫酸、0.1重量%〜飽和濃度の塩酸、0.1重量%〜飽和濃度のリン酸水溶液などが挙げられる。
【0057】
また添加前の好ましい無機塩の水溶液としては、硫酸リチウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、硫酸カリウム水溶液、硫酸カルシウム水溶液、塩化リチウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、リン酸ナトリウム水溶液、リン酸カリウム水溶液、リン酸二水素ナトリウム水溶液、リン酸二水素カリウム水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、次亜塩素酸カルシウム水溶液などであって、それらの濃度がいずれも0.1重量%〜飽和濃度のものが挙げられる。
【0058】
本発明の方法において、系内に添加・存在させる水、鉱酸もしくは無機塩の水溶液の使用量は特に限定されないが、トリオルガノハイドロシラン(I)の0.1〜10重量倍程度が好ましい。特に好ましくは、トリオルガノハイドロシラン(I)1モルに対して、理論的に副生する1モルの塩化水素を溶解し得る量以上である。
【0059】
具体的にはトリオルガノハイドロシラン(I)1モルに対して、68g以上の量の水、鉱酸としてはそれぞれ68g以上の量の水を含む硫酸(H2SO4の水溶液)あるいはリン酸水溶液などが挙げられる。
【0060】
塩酸(塩化水素の水溶液)の場合は、その濃度により塩化水素(HCl)を溶解できる量が異なり、トリオルガノハイドロシラン(I)1モルに対して、例えば72g以上の5%
塩酸、86g以上の10%塩酸、105g以上の15%塩酸、136g以上の20%塩酸、328g以上の30%塩酸などが挙げられる。
【0061】
また、無機塩の水溶液としては、トリオルガノハイドロシラン(I)1モルに対して、それぞれ68g以上の量の水を含む硫酸リチウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、硫酸カリウム水溶液、硫酸カルシウム水溶液、塩化リチウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、リン酸ナトリウム水溶液、リン酸カリウム水溶液、リン酸二水素ナトリウム水溶液、リン酸二水素カリウム水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、次亜塩素酸カルシウム水溶液などが挙げられる。
<トリオルガノクロロシラン(II)の好適な製造法>
本発明においては、トリオルガノクロロシラン(II)は、好ましくは下記の製法(A)〜(B)によって製造することが簡便な操作でトリオルガノクロロシラン(II)を高収率で製造できる等の点で望ましい。
製法(A):
まず、反応容器中に原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と水、鉱酸もしくは無機塩の水溶液を装入し、必要に応じて前述したような有機溶媒で希釈する。次いで、系内を充分に窒素置換後、反応液を攪拌しながら、系内に塩素を吹き込み、トリオルガノクロロシラン(II)を製造する方法が挙げられる。
【0062】
この方法では、反応液は、多くの場合、トリオルガノハイドロシラン(I)単独あるいはそれの有機溶媒溶液からなる有機層と、水層の2層になっている。これら2層は、反応を円滑に進めるために、充分に混和するように攪拌することが好ましい。
【0063】
また、この反応では、反応中にトリオルガノハイドロシラン(I)1モルに対して、理論的に1モルの塩化水素が発生するが、多くの場合、この塩化水素は、水、鉱酸もしくは無機塩の水溶液に良好に溶解する。
【0064】
本発明では、上記したようにトリオルガノハイドロシラン(I)の種類に応じて、塩素置換反応が円滑に進行できる温度は異なり、反応温度を適宜設定することが好ましい。このため、反応液を冷却もしくは加熱することにより、前述したような所望の反応温度に保つことが望ましい。本発明の方法において、多くの場合は0〜30℃の温度で反応は円滑に進行する傾向がある。
【0065】
また、生成物であるトリオルガノクロロシラン(II)は、上記したようにその種類により、加水分解反応に対する安定性に違いがあり、本発明ではこの点も考慮して、反応温度を適宜設定することが望ましい。このため、場合によっては反応液を冷却することにより所望の反応温度を保つことができる。本発明の方法において、多くの場合は、反応系を0〜30℃の温度で保持すれば、生成物であるトリオルガノクロロシラン(II)の加水分解反応を効率よく防ぐことができる。
【0066】
上記トリオルガノハイドロシラン(I)と塩素との反応の進行度合いは、反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析し、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)量と、目的生成物のトリオルガノクロロシラン(II)量を測定することにより知ることができる。
【0067】
本発明では、反応終了後、反応液を水層と有機層とに分液して、有機層より目的化合物のトリオルガノクロロシラン(II)が分取される。
具体的には、蒸留あるいは再結晶などの精製操作を行うことにより、有機層からトリオルガノクロロシラン(II)を純度良く、高収率で回収することができる。
製法(B):
また、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と、塩化水素と、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムとを用いる場合には、以下の方法(B-1)〜(B-4)でトリオルガノクロロシラン(II)を製造することが簡便な操作でトリオルガノクロロシラン(II)を高収率で製造できる点で好ましい。
【0068】
(B-1)まず、反応容器中に原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と塩酸を装入し、必要に応じて前述したような有機溶媒で希釈する。次いで系内を充分に窒素置換後、攪拌しながら、次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸カルシウム水溶液を系内に滴下する方法。
【0069】
(B-2)あるいは、反応容器中に原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と塩酸を装入し、必要に応じて前述したような有機溶媒で希釈する。次いで系内を充分に窒素置換後、攪拌しながら、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムまたはそれらの水和物を有機溶媒に溶解または懸濁させて系内に滴下する方法。
【0070】
(B-3)あるいは、反応容器中に原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸カルシウム水溶液を装入し、必要に応じて前述したような有機溶媒で希釈する。次いで系内を充分に窒素置換後、攪拌しながら、塩酸を系内に滴下する方法。
【0071】
(B-4)あるいは、反応容器中に原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸カルシウム水溶液を装入し、必要に応じて前述したような有機溶媒で希釈する。次いで系内を充分に窒素置換後、攪拌しながら、塩化水素ガスを系内に吹き込む方法、など。
【0072】
上記製法(B)では、反応液は、多くの場合、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)単独あるいはそれの有機溶媒溶液からなる有機層と、水層の2層になっている。これら2層は、反応を円滑に進めるために、充分に混和するように攪拌することが好ましい。
【0073】
本発明では、トリオルガノハイドロシラン(I)と塩素との反応中に、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)1モルに対して、理論的に1モルの塩化水素が発生するが、反応系中に次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムあるいは次亜塩素酸が存在する場合には、これらが反応して塩素が発生する。この塩素は、上記トリオルガノハイドロシラン(I)との反応に効率的に利用される。
【0074】
また、反応系中に次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムあるいは次亜塩素酸が存在しない場合には、発生した塩化水素は、反応液としての水溶液に多くの場合溶解する。
【0075】
なお、既に上述したように原料のトリオルガノハイドロシラン(I)の種類に応じて、塩素置換反応が円滑に進行できる温度は異なるため、本発明ではこの点を考慮して反応液を冷却〜加熱し、好適な反応温度に保持することが望ましい。例えば、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と、塩化水素と、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムとを混合する場合には、0〜30℃の温度に反応液を保持すれば、上記反応は円滑に進行することが多い。
【0076】
また、生成物のトリオルガノクロロシラン(II)の種類によっても、加水分解反応に対する安定性に違いがあり、反応温度を適宜設定する必要がある。多くの場合は、反応液を冷却すれば生成物(II)の加水分解を低減・阻止でき、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と、塩化水素と、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムを混合
する本発明の方法においては、多くの場合は0〜30℃の温度で反応系を保持すれば加水分解反応を良好に防ぐことができる。
【0077】
なお、上記製法(B)においても、原料(I)と塩素との反応による、目的物(II)の生成反応の進行度合いは、反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析し、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)と生成物のトリオルガノクロロシラン(II)の量を測定することにより知ることができる。
【0078】
反応終了後は、反応液から水層を分液して、目的物のトリオルガノクロロシラン(II)が含まれた有機層を得る。この有機層から、蒸留あるいは再結晶などの精製操作を行うことにより、高純度の目的物である下記に詳述するトリオルガノクロロシラン(II)を、高収率で得る(回収する)ことができる。
【0079】
本発明によれば、トリオルガノクロロシラン(II)以外の副生物すなわち、式(II)により説明すると、一般式(II)においてR1、R2およびR3で示される炭化水素基
中の炭素原子(C)に結合している水素原子(H)が塩素原子(Cl)に1個〜複数個置換された化合物(副生物)の量は、極少量であり、トリオルガノクロロシラン(II)を基準(100重量%)とすると、3重量%未満、例えば、本発明の実施例では、0.1重量%未満となる。(なお、比較例では3重量%程度である。)
また、本発明では、必要により、トルエン、ヘキサンなどの有機溶剤を用いる場合があるが、その結果、副生する塩素化トルエン、塩素化ヘキサンなどのような、副生物の塩素化有機溶剤量も極少量であり、目的物であるトリオルガノクロロシラン(II)基準では、1〜5%未満、例えば、本発明の実施例では0.1%未満の量に止まる。(なお、比較例では1〜5%程度である。)このため、本発明によれば、副生物の除去費用が極めて少なくて済み、製造コストの低減を図ることができる。
【0080】
[生成物のトリオルガノクロロシラン(II)]
本発明では、上記製法により高純度のトリオルガノクロロシラン(II)が高収率で得られる。
【0081】
このトリオルガノクロロシラン(II)は、上記したように、一般式(II):
(R1)(R2)(R3)SiCl ・・・・・(II)
[式(II)中、R1、R2およびR3は、それぞれ前記一般式(I)の場合と同じ意味を
表す。]で表される。
【0082】
ここでトリオルガノクロロシラン(II)について述べると、本発明では、原料のトリオルガノハイドロシラン(I)のケイ素原子(Si)に直接結合した水素原子(H)は、本発明の方法により塩素(Cl2)と反応して塩素原子で置換されて、化合物(I)に対
応する化合物であるトリオルガノクロロシラン(II)が生成される。
【0083】
すなわち、本発明に係るトリオルガノクロロシランの製造方法により得られる一般式(II)のトリオルガノクロロシランの具体的な例には次に列挙するものが挙げられる。
生成物のトリオルガノクロロシラン(II):
すなわち、トリエチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン、トリイソブチルクロロシラン、トリ−sec−ブチルクロロシラン、トリ−tert−ブチルクロロシラン、トリ−n−ペンチルクロロシラン、トリイソペンチルクロロシラン、トリ−sec−ペンチルクロロシラン、トリス(1,1−ジメチルプロピル)クロロシラン、トリス(1,2−ジメチルプロピル)クロロシラン、トリ−n−ヘキシルクロロシラン、トリ(3−メチル−3−ペンチル)クロロシラン、トリス(1,1,2−トリメチルプロピル)クロロシラン、トリ−n
−オクチルクロロシラン、トリ−n−エイコシルクロロシラン、トリシクロプロピルクロロシラン、トリシクロペンチルクロロシラン、トリシクロヘキシルクロロシラン、トリ(1−メチルシクロヘキシル)クロロシラン、トリ(2−メチルシクロヘキシル)クロロシラン、トリ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)クロロシラン、トリ(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)クロロシラン、トリ−1−アダマンチルクロロシラン、トリ−2−アダマンチルクロロシラン、トリビニルクロロシラン、トリメタリルクロロシラン、トリ−1−プロペニルクロロシラン、トリアリルクロロシラン、トリ−1−オクタデセニルクロロシラン、トリエチニルクロロシラン、トリ−1−プロピニルクロロシラン、トリ−1−オクタデシニルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、トリ−o−トリルクロロシラン、トリ−m−トリルクロロシラン、トリ−p−トリルクロロシラン、トリ−2,3−キシリルクロロシラン、トリ−2,4−キシリルクロロシラン、トリ−2,5−キシリルクロロシラン、トリ−2,6−キシリルクロロシラン、トリ−3,4−キシリルクロロシラン、トリ−3,5−キシリルクロロシラン、トリメシチルクロロシラン、トリ(4−tert−ブチルフェニル)クロロシラン、トリ(4−n−テトラデシルフェニル)クロロシラン、トリ(4−ビニルフェニル)クロロシラン、トリ−1−ナフチルクロロシラン、トリ−2−ナフチルクロロシラン、トリ−9−アントラニルクロロシラン、トリベンジルクロロシラン、トリ(1−フェニルエチル)クロロシラン、トリ(2−フェニルエチル)クロロシラン、トリ(4−tert−ブチルベンジル)クロロシラン、トリ(4−n−トリデシルベンジル)クロロシラン、トリ(4−ビニルベンジル)クロロシラン、ジエチルメチルクロロシラン、ジ−n−プロピルメチルクロロシラン、ジイソプロピルメチルクロロシラン、ジ−n−ブチルメチルクロロシラン、ジイソブチルメチルクロロシラン、ジ−sec−ブチルメチルクロロシラン、ジ−tert−ブチルメチルクロロシラン、ジ−n−ペンチルメチルクロロシラン、ジイソペンチルメチルクロロシラン、ジ−sec−ペンチルメチルクロロシラン、ビス(1,1−ジメチルプロピル)メチルクロロシラン、ビス(1,2−ジメチルプロピル)メチルクロロシラン、ジ−n−ヘキシルメチルクロロシラン、ジ(3−メチル−3−ペンチル)メチルクロロシラン、ビス(1,1,2−トリメチルプロピル)メチルクロロシラン、ジ−n−オクチルメチルクロロシラン、ジ−n−エイコシルメチルクロロシラン、ジシクロプロピルメチルクロロシラン、ジシクロペンチルメチルクロロシラン、ジシクロヘキシルメチルクロロシラン、ジ(1−メチルシクロヘキシル)メチルクロロシラン、ジ(2−メチルシクロヘキシル)メチルクロロシラン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)メチルクロロシラン、ジ(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)メチルクロロシラン、ジ−1−アダマンチルメチルクロロシラン、ジ−2−アダマンチルメチルクロロシラン、ジビニルメチルクロロシラン、ジメタリルメチルクロロシラン、ジ−1−プロペニルメチルクロロシラン、ジアリルメチルクロロシラン、ジ−1−オクタデセニルメチルクロロシラン、ジエチニルメチルクロロシラン、ジ−1−プロピニルメチルクロロシラン、ジ−1−オクタデシニルメチルクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジ−o−トリルメチルクロロシラン、ジ−m−トリルメチルクロロシラン、ジ−p−トリルメチルクロロシラン、ジ−2,3−キシリルメチルクロロシラン、ジ−2,4−キシリルメチルクロロシラン、ジ−2,5−キシリルメチルクロロシラン、ジ−2,6−キシリルメチルクロロシラン、ジ−3,4−キシリルメチルクロロシラン、ジ−3,5−キシリルメチルクロロシラン、ジメシチルメチルクロロシラン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)メチルクロロシラン、ジ(4−n−テトラデシルフェニル)メチルクロロシラン、ジ(4−ビニルフェニル)メチルクロロシラン、ジ−1−ナフチルメチルクロロシラン、ジ−2−ナフチルメチルクロロシラン、ジ−9−アントラニルメチルクロロシラン、ジベンジルメチルクロロシラン、ジ(1−フェニルエチル)メチルクロロシラン、ジ(2−フェニルエチル)メチルクロロシラン、ジ(4−tert−ブチルベンジル)メチルクロロシラン、ジ(4−n−トリデシルベンジル)メチルクロロシラン、ジ(4−ビニルベンジル)メチルクロロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、ジエチルフェニルクロロシラン、ジ−n−プロピルフェニルクロロシラン、ジイソプロピルフェニルクロロシラン、ジ−n−ブチルフェニルクロロシラン、ジイソブチルフェニルク
ロロシラン、ジ−sec−ブチルフェニルクロロシラン、ジ−tert−ブチルフェニルクロロシラン、ジ−n−ペンチルフェニルクロロシラン、ジイソペンチルフェニルクロロシラン、ジ−sec−ペンチルフェニルクロロシラン、ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェニルクロロシラン、ビス(1,2−ジメチルプロピル)フェニルクロロシラン、ジ−n−ヘキシルフェニルクロロシラン、ジ(3−メチル−3−ペンチル)フェニルクロロシラン、ビス(1,1,2−トリメチルプロピル)フェニルクロロシラン、ジ−n−オクチルフェニルクロロシラン、ジ−n−エイコシルフェニルクロロシラン、ジシクロプロピルフェニルクロロシラン、ジシクロペンチルフェニルクロロシラン、ジシクロヘキシルフェニルクロロシラン、ジ(1−メチルシクロヘキシル)フェニルクロロシラン、ジ(2−メチルシクロヘキシル)フェニルクロロシラン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニルクロロシラン、ジ(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)フェニルクロロシラン、ジ−1−アダマンチルフェニルクロロシラン、ジ−2−アダマンチルフェニルクロロシラン、ジビニルフェニルクロロシラン、ジメタリルフェニルクロロシラン、ジ−1−プロペニルフェニルクロロシラン、ジアリルフェニルクロロシラン、ジ−1−オクタデセニルフェニルクロロシラン、ジエチニルフェニルクロロシラン、ジ−1−プロピニルフェニルクロロシラン、ジ−1−オクタデシニルフェニルクロロシラン、ジ−o−トリルフェニルクロロシラン、ジ−m−トリルフェニルクロロシラン、ジ−p−トリルフェニルクロロシラン、ジ−2,3−キシリルフェニルクロロシラン、ジ−2,4−キシリルフェニルクロロシラン、ジ−2,5−キシリルフェニルクロロシラン、ジ−2,6−キシリルフェニルクロロシラン、ジ−3,4−キシリルフェニルクロロシラン、ジ−3,5−キシリルフェニルクロロシラン、ジメシチルフェニルクロロシラン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)フェニルクロロシラン、ジ(4−n−テトラデシルフェニル)フェニルクロロシラン、ジ(4−ビニルフェニル)フェニルクロロシラン、ジ−1−ナフチルフェニルクロロシラン、ジ−2−ナフチルフェニルクロロシラン、ジ−9−アントラニルフェニルクロロシラン、ジベンジルフェニルクロロシラン、ジ(1−フェニルエチル)フェニルクロロシラン、ジ(2−フェニルエチル)フェニルクロロシラン、ジ(4−tert−ブチルベンジル)フェニルクロロシラン、ジ(4−n−トリデシルベンジル)フェニルクロロシラン、ジ(4−ビニルベンジル)フェニルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジエチルビニルクロロシラン、ジ−n−プロピルビニルクロロシラン、ジイソプロピルビニルクロロシラン、ジ−n−ブチルビニルクロロシラン、ジイソブチルビニルクロロシラン、ジ−sec−ブチルビニルクロロシラン、ジ−tert−ブチルビニルクロロシラン、ジ−n−ペンチルビニルクロロシラン、ジイソペンチルビニルクロロシラン、ジ−sec−ペンチルビニルクロロシラン、ビス(1,1−ジメチルプロピル)ビニルクロロシラン、ビス(1,2−ジメチルプロピル)ビニルクロロシラン、ジ−n−ヘキシルビニルクロロシラン、ジ(3−メチル−3−ペンチル)ビニルクロロシラン、ビス(1,1,2−トリメチルプロピル)ビニルクロロシラン、ジ−n−オクチルビニルクロロシラン、ジ−n−エイコシルビニルクロロシラン、ジシクロプロピルビニルクロロシラン、ジシクロペンチルビニルクロロシラン、ジシクロヘキシルビニルクロロシラン、ジ(1−メチルシクロヘキシル)ビニルクロロシラン、ジ(2−メチルシクロヘキシル)ビニルクロロシラン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ビニルクロロシラン、ジ(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)ビニルクロロシラン、ジ−1−アダマンチルビニルクロロシラン、ジ−2−アダマンチルビニルクロロシラン、ジメタリルビニルクロロシラン、ジ−1−プロペニルビニルクロロシラン、ジアリルビニルクロロシラン、ジ−1−オクタデセニルビニルクロロシラン、ジエチニルビニルクロロシラン、ジ−1−プロピニルビニルクロロシラン、ジ−1−オクタデシニルビニルクロロシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、ジ−o−トリルビニルクロロシラン、ジ−m−トリルビニルクロロシラン、ジ−p−トリルビニルクロロシラン、ジ−2,3−キシリルビニルクロロシラン、ジ−2,4−キシリルビニルクロロシラン、ジ−2,5−キシリルビニルクロロシラン、ジ−2,6−キシリルビニルクロロシラン、ジ−3,4−キシリルビニルクロロシラン、ジ−3,5−キシリルビニルクロロシラン、ジメシチルビニルクロロシラン、ジ(4−tert−ブチルフェ
ニル)ビニルクロロシラン、ジ(4−n−テトラデシルフェニル)ビニルクロロシラン、ジ(4−ビニルフェニル)ビニルクロロシラン、ジ−1−ナフチルビニルクロロシラン、ジ−2−ナフチルビニルクロロシラン、ジ−9−アントラニルビニルクロロシラン、ジベンジルビニルクロロシラン、ジ(1−フェニルエチル)ビニルクロロシラン、ジ(2−フェニルエチル)ビニルクロロシラン、ジ(4−tert−ブチルベンジル)ビニルクロロシラン、ジ(4−n−トリデシルベンジル)ビニルクロロシラン、ジ(4−ビニルベンジル)ビニルクロロシラン、ジメチルエチルクロロシラン、ジメチル−n−プロピルクロロシラン、ジメチルイソプロピルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、ジメチルイソブチルクロロシラン、sec−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ジメチル−n−ペンチルクロロシラン、ジメチルイソペンチルクロロシラン、ジメチル−sec−ペンチルクロロシラン、ジメチル(1,1−ジメチルプロピル)クロロシラン、ジメチル(1,2−ジメチルプロピル)クロロシラン、ジメチル−n−ヘキシルクロロシラン、ジメチル(3−メチル−3−ペンチル)クロロシラン、ジメチル(1,1,2−トリメチルプロピル)クロロシラン、ジメチル−n−オクチルクロロシラン、ジメチル−n−エイコシルクロロシラン、シクロプロピルジメチルクロロシラン、シクロペンチルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、ジメチル(1−メチルシクロヘキシル)クロロシラン、ジメチル(2−メチルシクロヘキシル)クロロシラン、(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ジメチルクロロシラン、ジメチル(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)クロロシラン、1−アダマンチルジメチルクロロシラン、2−アダマンチルジメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジメチルメタリルクロロシラン、
ジメチル−1−プロペニルクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、ジメチル−1−オクタデセニルクロロシラン、ジメチルエチニルクロロシラン、ジメチル−1−プロピニルクロロシラン、ジメチル−1−オクタデシニルクロロシラン、ジメチル−o−トリルクロロシラン、ジメチル−m−トリルクロロシラン、ジメチル−p−トリルクロロシラン、ジメチル−2,3−キシリルクロロシラン、ジメチル−2,4−キシリルクロロシラン、ジメチル−2,5−キシリルクロロシラン、ジメチル−2,6−キシリルクロロシラン、ジメチル−3,4−キシリルクロロシラン、ジメチル−3,5−キシリルクロロシラン、ジメチルメシチルクロロシラン、(4−tert−ブチルフェニル)ジメチルクロロシラン、ジメチル(4−n−テトラデシルフェニル)クロロシラン、ジメチル(4−ビニルフェニル)クロロシラン、ジメチル−1−ナフチルクロロシラン、ジメチル−2−ナフチルクロロシラン、9−アントラニルジメチルクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ジメチル(1−フェニルエチル)クロロシラン、ジメチル(2−フェニルエチル)クロロシラン、(4−tert−ブチルベンジル)ジメチルクロロシラン、ジメチル(4−n−トリデシルベンジル)クロロシラン、ジメチル(4−ビニルベンジル)クロロシラン、ジフェニルエチルクロロシラン、ジフェニル−n−プロピルクロロシラン、ジフェニルイソプロピルクロロシラン、n−ブチルジフェニルクロロシラン、ジフェニルイソブチルクロロシラン、sec−ブチルジフェニルクロロシラン、tert−ブチルジフェニルクロロシラン、ジフェニル−n−ペンチルクロロシラン、ジフェニルイソペンチルクロロシラン、ジフェニル−sec−ペンチルクロロシラン、(1,1−ジメチルプロピル)ジフェニルクロロシラン、(1,2−ジメチルプロピル)ジフェニルクロロシラン、ジフェニル−n−ヘキシルクロロシラン、ジフェニル(3−メチル−3−ペンチル)クロロシラン、ジフェニル(1,1,2−トリメチルプロピル)クロロシラン、ジフェニル−n−オクチルクロロシラン、ジフェニル−n−エイコシルクロロシラン、シクロプロピルジフェニルクロロシラン、シクロペンチルジフェニルクロロシラン、シクロヘキシルジフェニルクロロシラン、ジフェニル(1−メチルシクロヘキシル)クロロシラン、ジフェニル(2−メチルシクロヘキシル)クロロシラン、(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ジフェニルクロロシラン、ジフェニル(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)クロロシラン、1−アダマンチルジフェニルクロロシラン、2−アダマンチルジフェニルクロロシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、ジフェニルメタリルクロロシラン、ジフェニル−1−プロ
ペニルクロロシラン、アリルジフェニルクロロシラン、ジフェニル−1−オクタデセニルクロロシラン、ジフェニルエチニルクロロシラン、ジフェニル−1−プロピニルクロロシラン、ジフェニル−1−オクタデシニルクロロシラン、ジフェニル−o−トリルクロロシラン、ジフェニル−m−トリルクロロシラン、ジフェニル−p−トリルクロロシラン、ジフェニル−2,3−キシリルクロロシラン、ジフェニル−2,4−キシリルクロロシラン、ジフェニル−2,5−キシリルクロロシラン、ジフェニル−2,6−キシリルクロロシラン、ジフェニル−3,4−キシリルクロロシラン、ジフェニル−3,5−キシリルクロロシラン、ジフェニルメシチルクロロシラン、(4−tert−ブチルフェニル)ジフェニルクロロシラン、ジフェニル(4−n−テトラデシルフェニル)クロロシラン、ジフェニル(4−ビニルフェニル)クロロシラン、ジフェニル−1−ナフチルクロロシラン、ジフェニル−2−ナフチルクロロシラン、9−アントラニルジフェニルクロロシラン、ベンジルジフェニルクロロシラン、ジフェニル(1−フェニルエチル)クロロシラン、ジフェニル(2−フェニルエチル)クロロシラン、(4−tert−ブチルベンジル)ジフェニルクロロシラン、ジフェニル(4−n−トリデシルベンジル)クロロシラン、ジフェニル(4−ビニルベンジル)クロロシラン、エチルメチルフェニルクロロシラン、メチルフェニル−n−プロピルクロロシラン、イソプロピルメチルフェニルクロロシラン、n−ブチルメチルフェニルクロロシラン、イソブチルメチルフェニルクロロシラン、sec−ブチルメチルフェニルクロロシラン、tert−ブチルメチルフェニルクロロシラン、メチル−n−ペンチルフェニルクロロシラン、イソペンチルメチルフェニルクロロシラン、メチル−sec−ペンチルフェニルクロロシラン、(1,1−ジメチルプロピル)メチルフェニルクロロシラン、(1,2−ジメチルプロピル)メチルフェニルクロロシラン、n−ヘキシルメチルフェニルクロロシラン、メチル(3−メチル−3−ペンチル)フェニルクロロシラン、メチルフェニル(1,1,2−トリメチルプロピル)クロロシラン、メチル−n−オクチルフェニルクロロシラン、n−エイコシルメチルフェニルクロロシラン、シクロプロピルメチルフェニルクロロシラン、シクロペンチルメチルフェニルクロロシラン、シクロヘキシルメチルフェニルクロロシラン、メチル(1−メチルシクロヘキシル)フェニルクロロシラン、メチル(2−メチルシクロヘキシル)フェニルクロロシラン、(4−tert−ブチルシクロヘキシル)メチルフェニルクロロシラン、メチルフェニル(4−n−テトラデシルシクロヘキシル)クロロシラン、1−アダマンチルメチルフェニルクロロシラン、2−アダマンチルメチルフェニルクロロシラン、メチルフェニルビニルクロロシラン、メタリルメチルフェニルクロロシラン、メチルフェニル−1−プロペニルクロロシラン、アリルメチルフェニルクロロシラン、メチル−1−オクタデセニルフェニルクロロシラン、エチニルメチルフェニルクロロシラン、メチルフェニル−1−プロピニルクロロシラン、メチル−1−オクタデシニルフェニルクロロシラン、メチルフェニル−o−トリルクロロシラン、メチルフェニル−m−トリルクロロシラン、メチルフェニル−p−トリルクロロシラン、メチルフェニル−2,3−キシリルクロロシラン、メチルフェニル−2,4−キシリルクロロシラン、メチルフェニル−2,5−キシリルクロロシラン、メチルフェニル−2,6−キシリルクロロシラン、メチルフェニル−3,4−キシリルクロロシラン、メチルフェニル−3,5−キシリルクロロシラン、メシチルメチルフェニルクロロシラン、(4−tert−ブチルフェニル)メチルフェニルクロロシラン、メチルフェニル(4−n−テトラデシルフェニル)クロロシラン、メチルフェニル(4−ビニルフェニル)クロロシラン、メチル−1−ナフチルフェニルクロロシラン、メチル−2−ナフチルフェニルクロロシラン、9−アントラニルメチルフェニルクロロシラン、ベンジルメチルフェニルクロロシラン、メチルフェニル(1−フェニルエチル)クロロシラン、メチルフェニル(2−フェニルエチル)クロロシラン、(4−tert−ブチルベンジル)メチルフェニルクロロシラン、メチルフェニル(4−n−トリデシルベンジル)クロロシラン、メチルフェニル(4−ビニルベンジル)クロロシランなど。
【0084】
ただし、本発明の一般式(II)のトリオルガノクロロシランに含まれる化合物の例は、上記に例示の化合物に限定されるものではない。
上記例示の目的化合物(II)のうちで、特に好ましい目的化合物のトリオルガノクロロシランは、下記一般式(IIa):
(R1)(R2)(R3)SiCl ・・・・・(IIa)
[式(IIa)中、R1、R2およびR3は、それぞれ前記の一般式(Ia)の場合と同じ
意味を表す。]に包含されるものである。
【0085】
なお、式(IIa)中、R1、R2およびR3は、既に上記したとおり、互いに同一でも相異なっていてもよく、炭素数1〜20の第1級、第2級または第3級アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0086】
本発明では、上記に例示した生成物のトリオルガノクロロシラン(II)あるいは(IIa)のうちで、特にトリイソプロピルクロロシラン、トリイソブチルクロロシラン、トリ−sec−ブチルクロロシラン、トリシクロヘキシルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシランは、医薬品等の製造において有用であり、また種々の医薬品、化合物を合成する際に用いられる出発原料としての合成中間体の官能基を保護するためのシリル化剤としてそのまま使用してもよく、またはこれらの合成中間体(の製造用の原料)としても有用である。
[実施例]
以下、本発明を実施例に基いて詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0087】
300mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管および塩素ガス導入管を取り付けた。そのフラスコにトリ−sec−ブチルシラン100.2g(0.5モル)および水34gを装入し、系内を充分に窒素で置換した。フラスコ内容物を攪拌しながら、塩素35.5g(0.5モル)を20〜30℃で3時間かけてフラスコ内の反応液面に吹き込んだ後、引き続き30分攪拌した。
【0088】
得られた反応液を分液して水層と有機層に分離した。有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.9%、トリ−sec−ブチルシランが0.1%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0089】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として113.9gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例2】
【0090】
実施例1において、水34gに代えて、10%硫酸38gを使用した以外は、実施例1と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例1と同様に後処理した。
実施例1と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.9%、トリ−sec−ブチルシランが0.1%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0091】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として113.9gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリ−sec−ブチルシラ
ン基準)で得た。
【実施例3】
【0092】
実施例1において、水34gに代えて、10%塩酸43gを使用した以外は、実施例1と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例1と同様に後処理した。
実施例1と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.9%、トリ−sec−ブチルシランが0.1%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0093】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として113.9gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例4】
【0094】
実施例1において、水34gに代えて、20%リン酸水溶液800gを使用し、300mlの4ツ口フラスコに代えて、1l(1リットル)の4ツ口フラスコを使用した以外は
、実施例1と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例1と同様に後処理した。
【0095】
実施例1と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.9%、トリ−sec−ブチルシランが0.1%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0096】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として113.9gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例5】
【0097】
実施例1において、水34gに代えて、5%塩化リチウム水溶液36gを使用した以外は、実施例1と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例1と同様に後処理した。
実施例1と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.9%、トリ−sec−ブチルシランが0.1%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0098】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として113.9gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例6】
【0099】
実施例1において、水34gに代えて、20%塩化ナトリウム水溶液43gを使用した以外は、実施例1と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例1と同様に後処理した。
実施例1と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.9%、トリ−sec−ブチルシランが0.1%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec
−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0100】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として113.9gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例7】
【0101】
実施例1において、水34gに代えて、15%塩化カリウム水溶液200gを使用し、300mlの4ツ口フラスコに代えて、500mlの4ツ口フラスコを使用した以外は、実施例1と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例1と同様に後処理した。
【0102】
実施例1と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.9%、トリ−sec−ブチルシランが0.1%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0103】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として113.9gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例8】
【0104】
実施例1において、水34gに代えて、10%塩化カルシウム水溶液800を使用し、300mlの4ツ口フラスコに代えて、1l(1リットル)の4ツ口フラスコを使用し
た以外は、実施例1と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例1と同様に後処理した。
【0105】
実施例1と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.9%、トリ−sec−ブチルシランが0.1%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0106】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として113.9gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例9】
【0107】
300mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管および塩素ガス導入管を取り付けた。そのフラスコにトリ−sec−ブチルシラン100.2g(0.5モル)および3%次亜塩素酸ナトリウム水溶液59gを装入し、系内を充分に窒素で置換した。フラスコ内容物を攪拌しながら、塩素31.9g(0.45モル)を20〜30℃で3時間かけてフラスコ内の反応液面に吹き込んだ後、引き続き30分攪拌した。
【0108】
得られた反応液を分液して水層と有機層に分離した。有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.0%、トリ−sec−ブチルシランが1.0%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0109】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として111.6gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率95%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例10】
【0110】
300mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管および塩素ガス導入管を取り付けた。そのフラスコにトリ−sec−ブチルシラン100.2g(0.5モル)および3%次亜塩素酸カルシウム水溶液118gを装入し、系内を充分に窒素で置換した。フラスコ内容物を攪拌しながら、塩素28.4g(0.4モル)を20〜30℃で3時間かけてフラスコ内の反応液面に吹き込んだ後、引き続き30分攪拌した。
【0111】
得られた反応液を分液して水層と有機層に分離した。有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.0%、トリ−sec−ブチルシランが1.0%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0112】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として111.6gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率95%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例11】
【0113】
実施例1において、トリ−sec−ブチルシラン100.2gに代えて、トリイソプロピルシラン79.2g(0.5モル)を使用した以外は、実施例1と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例1と同様に後処理した。
【0114】
実施例1と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリイソプロピルクロロシランが99.5%、トリイソプロピルシランが0.5%の割合で含まれていた。このとき、トリイソプロピルクロロシランのイソプロピル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリイソプロピルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0115】
この有機層を蒸留し、78〜80℃/10mmHgの留分として93.5gのトリイソプロピルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリイソプロピルシラン基準)で得た。
【実施例12】
【0116】
実施例6において、トリ−sec−ブチルシラン100.2gに代えて、ジシクロヘキシルメチルシラン105.2g(0.5モル)を使用した以外は、実施例6と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例6と同様に後処理した。
【0117】
実施例6と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、ジシクロヘキシルメチルクロロシランが99.4%、ジシクロヘキシルメチルシランが0.6%の割合で含まれていた。このとき、ジシクロヘキシルメチルクロロシランのシクロヘキシル基およびメチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、ジシクロヘキシルメチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0118】
この有機層を蒸留し、138℃/6mmHgの留分として116.3gのジシクロヘキシルメチルクロロシランを、純度99.9%、収率95%(ジシクロヘキシルメチルシラン基準)で得た。
【実施例13】
【0119】
実施例3において、トリ−sec−ブチルシラン100.2gに代えて、ジ−sec−ブチルメチルシラン79.2g(0.5モル)を使用した以外は、実施例3と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例3と同様に後処理した。
【0120】
実施例3と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、ジ−sec−ブチルメチルクロロシランが99.5%、ジ−sec−ブチルメチルシランが0.5%の割合で含まれていた。このとき、ジ−sec−ブチルメチルクロロシランのsec−ブチル基およびメチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、ジ−sec−ブチルメチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0121】
この有機層を蒸留し、81〜82℃/15mmHgの留分として92.5gのジ−sec−ブチルメチルクロロシランを、純度99.9%、収率96%(ジ−sec−ブチルメチルシラン基準)で得た。
【実施例14】
【0122】
実施例3において、トリ−sec−ブチルシラン100.2gに代えて、ジイソプロピルメチルシラン65.2g(0.5モル)を使用した以外は、実施例3と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例3と同様に後処理した。
【0123】
実施例3と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、ジイソプロピルメチルクロロシランが99.4%、ジイソプロピルメチルシランが0.6%の割合で含まれていた。このとき、ジイソプロピルメチルクロロシランのイソプロピル基およびメチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、ジイソプロピルメチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0124】
この有機層を蒸留し、82〜83℃/35mmHgの留分として77.4gのジイソプロピルメチルクロロシランを、純度99.9%、収率94%(ジイソプロピルメチルシラン基準)で得た。
【実施例15】
【0125】
実施例1において、トリ−sec−ブチルシラン100.2gをトルエン34gで希釈した以外は、実施例1と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例1と同様に後処理した。
【0126】
実施例1と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.5%、トリ−sec−ブチルシランが0.5%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。また、塩素化されたトルエンはトリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0127】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として111.6gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率95%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例16】
【0128】
300mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管および塩素ガス導入管を取り付けた。そのフラスコにトリイソブチルシラン100.2g(0.5モル)、20%
塩化ナトリウム水溶液43gおよびトルエン43gを装入し、系内を充分に窒素で置換した。フラスコ内容物を攪拌しながら、塩素35.5g(0.5モル)を0〜10℃で3時間かけてフラスコ内の反応液面に吹き込んだ後、引き続き30分攪拌した。
【0129】
得られた反応液を分液して水層と有機層に分離した。有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリイソブチルクロロシランが99.5%、トリイソブチルシランが0.5%の割合で含まれていた。このとき、トリイソブチルクロロシランのイソブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリイソブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。また、塩素化されたトルエンはトリイソブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0130】
この有機層を蒸留し、120℃/3mmHgの留分として111.6gのトリイソブチルクロロシランを、純度99.9%、収率95%(トリイソブチルシラン基準)で得た。
【実施例17】
【0131】
300mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管および塩素ガス導入管を取り付けた。そのフラスコにシクロヘキシルジメチルシラン71.2g(0.5モル)、15%塩酸53gおよびトルエン71gを装入し、系内を充分に窒素で置換した。フラスコ内容物を攪拌しながら、塩素35.5g(0.5モル)を0〜10℃で3時間かけてフラスコ内の反応液面に吹き込んだ後、引き続き30分攪拌した。
【0132】
得られた反応液を分液して水層と有機層に分離した。有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、シクロヘキシルジメチルクロロシランが99.4%、シクロヘキシルジメチルシランが0.6%の割合で含まれていた。このとき、シクロヘキシルジメチルクロロシランのシクロヘキシル基およびメチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、シクロヘキシルジメチルクロロシランに対して0.1%未満であった。また、塩素化されたトルエンはシクロヘキシルジメチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0133】
この有機層を蒸留し、98℃/41mmHgの留分として84.0gのシクロヘキシルジメチルクロロシランを、純度99.9%、収率95%(シクロヘキシルジメチルシラン基準)で得た。
【実施例18】
【0134】
実施例1において、トリ−sec−ブチルクロロシラン100.2gをヘキサン34gで希釈した以外は、実施例1と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例1と同様に後処理した。
【0135】
実施例1と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.5%、トリ−sec−ブチルシランが0.5%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。また、塩素化されたヘキサンはトリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0136】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として111.6gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率95%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例19】
【0137】
500mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管および塩素ガス導入管を取り付けた。そのフラスコにジメチルイソプロピルシラン51.1g(0.5モル)、15%塩酸53gおよびペンタン255gを装入し、系内を充分に窒素で置換した。フラスコ内容物を攪拌しながら、塩素35.5g(0.5モル)を0〜10℃で3時間かけてフラスコ内の反応液面に吹き込んだ後、引き続き30分攪拌した。
【0138】
得られた反応液を分液して水層と有機層に分離した。有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、ジメチルイソプロピルクロロシランが99.3%、ジメチルイソプロピルシランが0.7%の割合で含まれていた。このとき、ジメチルイソプロピルクロロシランのメチル基およびイソプロピル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、ジメチルイソプロピルクロロシランに対して0.1%未満であった。また、塩素化されたペンタンはジメチルイソプロピルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0139】
この有機層を蒸留し、111℃の留分として64.2gのジメチルイソプロピルクロロシランを、純度99.9%、収率94%(ジメチルイソプロピルシラン基準)で得た。
【実施例20】
【0140】
300mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管および塩素ガス導入管を取り付けた。そのフラスコにtert−ブチルジメチルシラン58.1g(0.5モル)、20%塩酸68gおよびヘキサン68gを装入し、系内を充分に窒素で置換した。フラスコ内容物を攪拌しながら、塩素35.5g(0.5モル)を0〜10℃で3時間かけてフラスコ内の反応液面に吹き込んだ後、引き続き30分攪拌した。
【0141】
得られた反応液を分液して水層と有機層に分離した。有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、tert−ブチルジメチルクロロシランが99.6%、tert−ブチルジメチルシランが0.4%の割合で含まれていた。このとき、tert−ブチルジメチルクロロシランのtert−ブチル基およびメチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、tert−ブチルジメチルクロロシランに対して0.1%未満であった。また、塩素化されたヘキサンはtert−ブチルジメチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0142】
この有機層を蒸留し、124〜125℃の留分として71.6gのtert−ブチルジメチルクロロシランを、純度99.9%、収率95%(tert−ブチルジメチルシラン基準)で得た。
【実施例21】
【0143】
実施例20において、tert−ブチルジメチルシラン58.1gに代えて、sec−ブチルジメチルシラン58.1g(0.5モル)を使用した以外は、実施例20と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例20と同様に後処理した。
【0144】
実施例20と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、sec−ブチルジメチルクロロシランが99.4%、sec−ブチルジメチルシランが0.6%の割合で含まれていた。このとき、sec−ブチルジメチルクロロシランのsec−ブチル基およびメチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、sec−ブチルジメチルクロロシランに対して0.1%未満であった。また、塩素化されたヘキサンはsec−ブチルジメチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0145】
この有機層を蒸留し、134℃の留分として70.8gのsec−ブチルジメチルクロ
ロシランを、純度99.9%、収率94%(sec−ブチルジメチルシラン基準)で得た。
【実施例22】
【0146】
実施例20において、tert−ブチルジメチルシラン58.1gに代えて、トリエチルシラン58.1g(0.5モル)を使用した以外は、実施例20と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例20と同様に後処理した。
【0147】
実施例20と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリエチルクロロシランが99.3%、トリエチルシランが0.7%の割合で含まれていた。このとき、トリエチルクロロシランのエチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリエチルクロロシランに対して0.1%未満であった。また、塩素化されたヘキサンはトリエチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0148】
この有機層を蒸留し、144℃の留分として70.1gのトリエチルクロロシランを、純度99.9%、収率93%(トリエチルシラン基準)で得た。
【実施例23】
【0149】
500mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管および滴下漏斗を取り付けた。そのフラスコにトリ−sec−ブチルシラン100.2g(0.5モル)および35%塩酸57.3g(0.55モル)を装入し、系内を充分に窒素で置換した。フラスコ内容物を攪拌しながら、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液147.8g(0.5モル)を20〜30℃で3時間かけてフラスコ内の反応液面に滴下した後、引き続き30分攪拌した。
【0150】
得られた反応液を分液して水層と有機層に分離した。有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.9%、トリ−sec−ブチルシランが0.1%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0151】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として113.9gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例24】
【0152】
実施例23において、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液147.8gに代えて20%次亜塩素酸カルシウム水溶液88.7g(0.5モル)を使用した以外は、実施例23と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例23と同様に後処理した。
【0153】
実施例23と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが99.9%、トリ−sec−ブチルシランが0.1%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリ−sec−ブチルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0154】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として113.9gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率97%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。
【実施例25】
【0155】
500mlの4ツ口フラスコに攪拌装置、温度計、還流冷却管および滴下漏斗を取り付けた。そのフラスコにトリシクロヘキシルシラン139.3g(0.5モル)、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液147.8g(0.5モル)およびトルエン139gを装入し、系内を充分に窒素で置換した。フラスコ内容物を攪拌しながら、35%塩酸57.3g(0.55モル)を20〜30℃で3時間かけてフラスコ内の反応液面に滴下した後、引き続き30分攪拌した。
【0156】
得られた反応液を分液して水層と有機層に分離した。有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリシクロヘキシルクロロシランが99.8%、トリシクロヘキシルシランが0.2%の割合で含まれていた。このとき、トリシクロヘキシルクロロシランのシクロヘキシル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量は、トリシクロヘキシルクロロシランに対して0.1%未満であった。また、塩素化されたトルエンはトリシクロヘキシルクロロシランに対して0.1%未満であった。
【0157】
この有機層を減圧下に濃縮し、得られた結晶をヘキサンで再結晶した。融点101℃の結晶として140.9gのトリシクロヘキシルクロロシランを、純度99.9%、収率90%(トリシクロヘキシルシラン基準)で得た。
比較例1
実施例15において、水34gを使用しなかった以外は、実施例15と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例15と同様に後処理した。
【0158】
実施例15と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが92.5%、トリ−sec−ブチルシランが4.5%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量はトリ−sec−ブチルクロロシランに対して3.0%であった。また、塩素化されたトルエンはトリ−sec−ブチルクロロシランに対して1.0%であった。
【0159】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として88.1gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率75%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物および塩素化されたトルエンを除去するために、トリ−sec−ブチルクロロシランの収率は低下した。
比較例2
実施例18において、水34gを使用しなかった以外は、実施例18と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例18と同様に後処理した。
【0160】
実施例18と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリ−sec−ブチルクロロシランが88.5%、トリ−sec−ブチルシランが8.5%の割合で含まれていた。このとき、トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量はトリ−sec−ブチルクロロシランに対して3.0%であった。また、塩素化されたヘキサンはトリ−sec−ブチルクロロシランに対して5.0%であった。
【0161】
この有機層を蒸留し、92〜93℃/5mmHgの留分として82.2gのトリ−sec−ブチルクロロシランを、純度99.9%、収率70%(トリ−sec−ブチルシラン基準)で得た。トリ−sec−ブチルクロロシランのsec−ブチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物および塩素化されたヘキサンを除去するため
に、トリ−sec−ブチルクロロシランの収率は低下した。
比較例3
実施例20において、20%塩酸68gを使用しなかった以外は、実施例20と同様に反応を行い、得られた反応液を実施例20と同様に後処理した。
【0162】
実施例20と同様に、得られた反応液の有機層をガスクロマトグラフィーで分析すると、tert−ブチルジメチルクロロシランが88.5%、tert−ブチルジメチルシランが8.5%の割合で含まれていた。このとき、tert−ブチルジメチルクロロシランのtert−ブチル基およびメチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物含量はtert−ブチルジメチルクロロシランに対して3.0%であった。また、塩素化されたヘキサンはtert−ブチルジメチルクロロシランに対して5.0%であった。
【0163】
この有機層を蒸留し、124〜125℃の留分として52.8gのtert−ブチルジメチルクロロシランを、純度99.9%、収率70%(tert−ブチルジメチルシラン基準)で得た。tert−ブチルジメチルクロロシランのtert−ブチル基およびメチル基の炭素原子に結合した水素原子が塩素原子で置換された化合物および塩素化されたヘキサンを除去するために、tert−ブチルジメチルクロロシランの収率は低下した。
[発明の効果]
本発明に係るトリオルガノクロロシランの製造方法によると、トリオルガノハイドロシランと塩素の反応を水の存在下に行うことにより、トリオルガノクロロシランを工業的規模で製造でき、溶媒などとして低毒性〜無毒のものを使用し、使用される溶媒やトリオルガノクロロシランの製造時に生じる副生物や溶媒の変性物などで環境汚染を生じることがなく環境面にも配慮し、しかも簡便な操作により高収率でトリオルガノクロロシランを製造できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I):
(R1)(R2)(R3)SiH ・・・・・(I)
[式(I)中、R1、R2およびR3は、互いに同一でも相異なっていてもよく、炭素数1
〜20の炭化水素基を示す。]で表されるトリオルガノハイドロシランを、水の存在下で塩素と反応させることを特徴とする、次の一般式(II):
(R1)(R2)(R3)SiCl ・・・・・(II)
[式(II)中、R1、R2およびR3は、それぞれ前記一般式(I)の場合と同じ意味を
表す。]で表されるトリオルガノクロロシランの製造方法。
【請求項2】
一般式(I)で表されるトリオルガノハイドロシランとして、次の一般式(Ia):
(R1)(R2)(R3)SiH ・・・・・(Ia)
[式(Ia)中、R1、R2およびR3は、互いに同一でも相異なっていてもよく、炭素数
1〜20の第1級、第2級または第3級アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。]で表されるトリオルガノハイドロシランを用いて、次の一般式(IIa):
(R1)(R2)(R3)SiCl ・・・・・(IIa)
[式(IIa)中、R1、R2およびR3は、それぞれ前記の一般式(Ia)の場合と同じ
意味を表す。]で表されるトリオルガノクロロシランを製造することを特徴とする、請求項1に記載のトリオルガノクロロシランの製造方法。
【請求項3】
上記反応を、水に加えて、さらに鉱酸もしくは無機塩の存在下に行うことを特徴とする、請求項1〜2の何れかに記載のトリオルガノクロロシランの製造方法。
【請求項4】
鉱酸が硫酸、塩酸またはリン酸である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
無機塩が塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化カルシウムであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
上記塩素は、反応系内に、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムと、塩化水素(HCl)とを添加し、これらの反応により生成されるものであることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
上記反応を、有機溶剤の共存下に行うことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
一般式(I)のトリオルガノハイドロシランとして、tert−ブチルジメチルシラン、トリイソプロピルシラン、トリイソブチルシラン、トリ−sec−ブチルシランまたはトリシクロヘキシルシランを用いて、対応する一般式(II)で表されるトリオルガノクロロシランを製造することを特徴とする、請求項1〜7の何れかに記載の方法。

【公開番号】特開2007−51071(P2007−51071A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235300(P2005−235300)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【出願人】(000242002)北興化学工業株式会社 (182)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】