説明

トロイダル型無段変速機

【課題】隙間を伴うことなくトラクション力を受けるトラニオン支持構造を備え、それにより変速時の衝撃等を抑えることができるトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】このトロイダル型無段変速機では、外輪28にこれと別体で組み付けられる軸部23Aの先端凸部23Aaがトラニオン15の中央部内側面に形成される凹状溝16bに係合することにより、パワーローラ11から外輪28に加わるトラクション力が凹状溝16bで受けられるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図4および図5に示すように構成されている(図4に2つのキャビティ221,222が示される)。図4に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
【0003】
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
【0004】
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力側ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図5参照)が回転自在に挟持されている。
【0005】
図4中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図4の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
【0006】
図5は、図4のA−A線に沿う断面図である。図5に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図5においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、パワーローラ11を支持する支持板部16の長手方向(図5の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
【0007】
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸(軸部)23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、ラジアルニードル軸受99を介して各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
【0008】
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図5の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図4の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
【0009】
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図5で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
【0010】
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
【0011】
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
【0012】
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図5の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
【0013】
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
【0014】
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図5の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
【0015】
その結果、各パワーローラ11,11の周面(トラクション面)11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の変速比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
【0016】
ところで、このようなクランク型のトラニオン15によってパワーローラ11を支持する支持構造では、例えば特許文献1に開示されるように、トラニオン15の内側面のうち、支持板部16の両端部と一対の枢軸14,14との連続部(折れ曲がり壁部20,20)に、互いに対向する一対の段差面を設け、これらの両段差面と外輪28の外周面とを当接または近接対向させて、パワーローラ11から外輪28に加わるトラクション力を何れかの段差面で支承可能にしている。
【0017】
また、クランク型のトラニオン15によってパワーローラ11を支持する前記支持構造では、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を受ける際に、トラニオン15が内側に撓み変形するが、そのような撓み変形が生じると、外輪28が挟みこまれて揺動が阻害されるため、前記特許文献1では、そのような事態を防止するべく、トラクション力を受ける前記段差面において隙間を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2008−25821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特許文献1に開示されるように、トラクション力を受ける支承部に隙間を設けると、トルクの方向が変わって、それによりトラクション力の方向が変わった際に、前記隙間の分だけパワーローラがオフセットする。そのため、その状態で変速が行なわれると、車両に衝撃が起こる。
【0020】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、隙間を伴うことなくトラクション力を受けるトラニオン支持構造を備え、それにより変速時の衝撃等を抑えることができるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するために、本発明は、それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸の軸方向に沿って移動するとともに前記枢軸を中心に傾転し、かつ、前記各パワーローラを回転自在に支持するトラニオンとを備え、前記パワーローラは、前記トラニオンに対して傾動可能に支持される軸部の周囲に回転可能に支持され、前記トラニオンと前記パワーローラとの間には、前記パワーローラに加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ前記パワーローラの回転を許容するスラスト玉軸受が前記軸部の周囲に位置して配設され、前記スラスト玉軸受は、複数個の転動体と、これらの転動体を転動自在に保持する保持器と、外輪とから構成され、スラスト玉軸受の内輪軌道がパワーローラの外側面に、外輪軌道が前記外輪の内側面にそれぞれ形成されて成るトロイダル型無段変速機において、前記外輪にこれと別体で組み付けられる前記軸部の先端凸部が前記トラニオンの中央部内側面に形成される凹状溝に係合することにより、前記パワーローラから前記外輪に加わるトラクション力が前記凹状溝で受けられることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、変形量が少ないトラニオンの中央部で、外輪にこれと別体で組み付けられる軸部の先端凸部をトラニオンの内側面に形成される凹状溝に係合することにより、パワーローラから外輪に加わるトラクション力を前記凹状溝で受けるようにしているので、隙間を伴うことなくトラクション力を受けるトラニオン支持構造を容易に実現できる(トラクション力を受ける支承部に隙間を設けないで済む)。したがって、変速時の衝撃等を抑えることができる。また、外輪と軸部とを別体にしたので、旋盤加工等によって軸部の外径の寸法精度を容易に確保でき、したがって軸部の先端凸部とトラニオンの凹状溝との嵌め合い隙間、外輪と軸部との組み付け公差を容易に管理できる。このことも、隙間を伴わないトラクション力支持構造に大きく寄与し得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明のトロイダル型無段変速機によれば、変形量が少ないトラニオンの中央部で、外輪にこれと別体で組み付けられる軸部の先端凸部をトラニオンの内側面に形成される凹状溝に係合することにより、パワーローラから外輪に加わるトラクション力を前記凹状溝で受けるようにしているため、隙間を伴うことなくトラクション力を受けるトラニオン支持構造を容易に実現でき、それにより変速時の衝撃等を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機の要部の図であって、(a)はトラニオン単体の斜視図、(b)はトラニオンに対して外輪、軸部、パワーローラを組み付ける状態を示す斜視図である。
【図2】(a)は外輪に対して軸部を組み付ける状態の斜視図、(b)は外輪単体の斜視図である。
【図3】図2の(b)のX−X線に沿う断面図であり、(a)は外輪と軸部とを組み付ける状態の断面図、(b)は外輪が組み付けられた軸部をトラニオンに組み付ける(軸部の先端凸部をトラニオンの凹状溝に係合させる)状態の断面図、(c)は組み付け完了状態の断面図である。
【図4】従来から知られているハーフトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。
【図5】図4のA−A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の特徴は、隙間を伴うことなくトラクション力を受けるためのトラニオン支持構造にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図4および図5と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
【0026】
図1には、本発明の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造が示されている。図示のように、本実施の形態に係るトロイダル型無段変速機のトラニオンは、折れ曲がり壁部20,20を有するクランク型のものであり、これに支持されるパワーローラ11は、トラニオン15の支持板部16に対して傾動可能に支持される直線状の軸部23Aの周囲に回転可能に支持される。この場合、軸部23Aの小径部23Acがパワーローラ11の中心孔11bにラジアルニードル軸受を介在させて挿入されることにより、軸部23Aに対するパワーローラ11の回転可能な支持がなされる。
【0027】
また、トラニオン11(支持板部16)とパワーローラ11との間には、パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつパワーローラ11の回転を許容するスラスト玉軸受24が軸部23Aの周囲に位置して配設されている。このスラスト玉軸受24は、複数個の転動体(図示せず)と、これらの転動体を転動自在に保持する保持器27と、外輪28とから構成され、スラスト玉軸受24の内輪軌道がパワーローラ11の外側面に、外輪軌道が外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
【0028】
また、本実施の形態では、外輪28と軸23Aとが別体に形成されている。そして、外輪28に組み付けられる軸部の先端凸部23Aaがトラニオン15の支持板部16の中央部内側面に形成される凹状溝16bに係合することにより、パワーローラ11から外輪28に加わるトラクション力が凹状溝16bで受けられるようになっている。
【0029】
具体的には、図2の(a)および図3の(a)に示すように、外輪28の円形の中心貫通孔28aに軸部23Aの先端側の大径部23Abを外輪28の後面側から例えば圧入等によって嵌め付ける。このとき、図2の(b)に示すように、軸部23Aの大径部23Abの先端に突設される先端凸部23Aaが外輪28の前面から突出する。この状態で、今度は、図3の(b)に示すように、外輪28の前面から突出する軸部23Aの先端凸部23Aaをトラニオン15の支持板部16の中央部内側面に形成される凹状溝16bに係合させる。このとき、図3の(c)に示すように、外輪28の前面に形成される略円弧状の凹面28bが凹状溝16bを有する支持板部16の内側面の略円弧状の凸面16aと係合する。これにより、外輪28はトラニオン15に対して揺動できる。また、外輪28のそのような揺動に軸部23Aが追従できるように、軸部23Aと係合する凹状溝16bは楕円形状または長穴形状を成している。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態にあっては、変形量が少ないトラニオン15の中央部で、外輪28にこれと別体で組み付けられる軸部23Aの先端凸部23Aaをトラニオン15の内側面に形成される凹状溝16bに係合することにより、パワーローラ11から外輪28に加わるトラクション力を凹状溝16bで受けるようにしているため、隙間を伴うことなくトラクション力を受けるトラニオン支持構造を容易に実現できる(トラクション力を受ける支承部に隙間を設けないで済む)。したがって、変速時の衝撃等を抑えることができる。また、外輪28と軸部23Aとを別体にしたため、旋盤加工等によって軸部23Aの外径の寸法精度を容易に確保でき、したがって、軸部23Aの先端凸部23Aaとトラニオン15の凹状溝16bとの嵌め合い隙間、外輪28と軸部23Aとの組み付け公差を容易に管理できる。このことも、隙間を伴わないトラクション力支持構造に大きく寄与し得る。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機に適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 入力軸
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
15 トラニオン
16a 凸面
16b 凹状溝
23A 軸部
23Aa 先端凸部
24 スラスト玉軸受
28 外輪
28b 凹面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸の軸方向に沿って移動するとともに前記枢軸を中心に傾転し、かつ、前記各パワーローラを回転自在に支持するトラニオンとを備え、前記パワーローラは、前記トラニオンに対して傾動可能に支持される軸部の周囲に回転可能に支持され、前記トラニオンと前記パワーローラとの間には、前記パワーローラに加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ前記パワーローラの回転を許容するスラスト玉軸受が前記軸部の周囲に位置して配設され、前記スラスト玉軸受は、複数個の転動体と、これらの転動体を転動自在に保持する保持器と、外輪とから構成され、スラスト玉軸受の内輪軌道がパワーローラの外側面に、外輪軌道が前記外輪の内側面にそれぞれ形成されて成るトロイダル型無段変速機において、
前記外輪にこれと別体で組み付けられる前記軸部の先端凸部が前記トラニオンの中央部内側面に形成される凹状溝に係合することにより、前記パワーローラから前記外輪に加わるトラクション力が前記凹状溝で受けられることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
【請求項2】
前記外輪は、前記トラニオンと対向するその略円弧状の凹面が前記凹状溝を有する前記トラニオンの略円弧状の凸面と係合することにより前記トラニオンに対して揺動できることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
【請求項3】
前記凹状溝が楕円形状または長穴形状を成すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−24311(P2013−24311A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158830(P2011−158830)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】