説明

ドアロックシステム

【課題】セキュリティ性を向上することが可能なドアロックシステムを提供すること。
【解決手段】通常、スマートキー2のロックボタン26やアンロックボタン27が短押し操作されたとき、このスマートキー2が適合する車両のドアロックが施解錠されるとともに、この車両のドアロックが施解錠されたことを知らせるべく、アンサーバック機能が働き、ハザードランプ61やホーン62が作動する。携帯電話71により指定された期間に属するとき、自動的にアンサーバック機能が無効化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアロックを施解錠するドアロックシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のドアロックシステムにおいて、車両ユーザが所持する携帯機のロックボタンやアンロックボタンが操作されたとき、この携帯機が適合する車両のドアロックを施解錠するとともに、いわゆるハザードランプを点滅させ、また、それと同時にホーンを軽く鳴動させるものが提案されている。こうした機能は、一般的にアンサーバック機能と呼ばれ、車両ユーザは、これによる光や音を頼りにして、ドアロックが施解錠されたことを把握したり、或いは自車の駐車位置を容易に特定したりすることが可能となっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−4676号公報(段落[0002]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、正規の車両ユーザが携帯機を紛失した場合、それを拾った者がロックボタンやアンロックボタンを操作すれば、正規ユーザでなくとも、当該携帯機が適合する車両を特定できてしまい、セキュリティ性に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、セキュリティ性を向上することが可能なドアロックシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、車両ユーザが所持する携帯機のドアロック施解錠用遠隔操作手段が操作されたとき、この携帯機が適合する車両のドアロックを施解錠するとともに、この車両のドアロックが施解錠されたことを知らせるべく、この車両の駐車位置を当該車両外部から特定可能な事象を発生させるアンサーバック機能を有するドアロックシステムにおいて、前記アンサーバック機能が無効化されるモードであるアンサーバック機能無効化モードへの遷移に必要な条件を設定するモード遷移条件設定手段と、前記モード遷移条件設定手段により設定された前記条件が満たされたとき、前記アンサーバック機能を無効化するアンサーバック機能無効化手段とを備えることをその要旨としている。
【0007】
同構成によると、アンサーバック機能無効化手段によりアンサーバック機能が無効化されているとき、携帯機のドアロック施解錠用遠隔操作手段を操作しても、この携帯機が適合する車両の駐車位置を当該車両外部から特定可能な事象が発生しない。このため、不特定多数の車両が駐車される場所へ自車を駐車するに際して、アンサーバック機能を無効化すれば、駐車中に仮に携帯機を紛失し、それを拾った者によって、この携帯機のドアロック施解錠用遠隔操作手段が操作されるようなことがあっても、この者によって自車の駐車位置が特定されてしまうことはない。従って、セキュリティ性を向上することができる。
【0008】
特に、アンサーバック機能無効化モードへの遷移に必要な条件を予め設定しておくことで、その条件が満たされたとき、車両ユーザによる手動操作によることなく、いわば自動的にアンサーバック機能を無効化することが可能となる。従って、当該モードへの都度設定が不要になるとともに、併せて設定忘れが防止され、利便性や確実性を向上でき、ひいては信頼性を高めることができる。尚、いわゆる初期設定や、必要に応じての設定変更を伴うものの、当該モードが解除されて以後、再び同じ設定で当該モードへ遷移させる場合において、新たな設定を必要とせず、この点に技術的意義を見出すことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のドアロックシステムにおいて、前記アンサーバック機能無効化手段は、前記モード遷移条件設定手段により設定された前記条件が満たされたとき、ドアロックが施錠されたことを契機として、前記アンサーバック機能を無効化することをその要旨としている。
【0010】
同構成によると、アンサーバック機能無効化モードへの遷移に必要な条件が満たされているも、解錠操作がなされた場合には、車両ユーザが乗車する可能性のあるところ、こうした状況下において、アンサーバック機能を無効化することは、当該乗車時の利便性の観点からすると、必ずしも適切ではないと考えられる。これに対し、前記条件が満たされている状態で、施錠操作がなされた場合には、駐車した後、車両ユーザが当該車両から離れようとする意志がうかがえる。このように車両ユーザの意志を酌みつつ、アンサーバック機能を無効化しても差し支えのない、いわば適切な時機にそれを無効化することで、セキュリティ性及び利便性を両立させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のドアロックシステムにおいて、前記アンサーバック機能が無効化される期間を指定する期間指定手段を備え、前記モード遷移条件設定手段は、前記期間指定手段により指定された期間内に属することを前記条件として設定することをその要旨としている。
【0012】
同構成によると、期間指定手段により指定された期間に亘って、アンサーバック機能を無効化することが可能となる。従って、車両ユーザのスケジュールに合わせて当該期間を指定するといったことができるようになり、ユーザ自らの希望に適う形で自動的にアンサーバック機能を無効化することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のドアロックシステムにおいて、前記アンサーバック機能無効化手段は、前記期間指定手段により指定された期間外になったことを契機として、前記アンサーバック機能の無効化を解除することをその要旨としている。
【0014】
同構成によると、期間指定手段により指定された期間に亘って、アンサーバック機能が無効化された後、当該期間外になると、アンサーバック機能の無効化が解除されて同機能が有効化されるようになる。このようにアンサーバック機能が有効化される状態への復帰についても、これが自動的に行われる。従って、アンサーバック機能について、無効化と有効化との間でこれらを自動的に切り換えることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のドアロックシステムにおいて、前記アンサーバック機能が無効化される駐車位置を指定する位置指定手段を備え、前記モード遷移条件設定手段は、前記位置指定手段により指定された駐車位置に当該車両が所在することを前記条件として設定することをその要旨としている。
【0016】
同構成によると、位置指定手段により指定された駐車位置に当該車両が所在する場合に、アンサーバック機能を無効化することが可能となる。従って、携帯機紛失時の悪用を不安視するような場所を当該駐車位置として指定するといったことができるようになり、ユーザ自らの希望に適う形で自動的にアンサーバック機能を無効化することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のドアロックシステムにおいて、前記アンサーバック機能が無効化される期間を指定する期間指定手段と、前記アンサーバック機能が無効化される駐車位置を指定する位置指定手段とを備え、前記モード遷移条件設定手段は、前記期間指定手段により指定された期間内に属し、且つ、前記位置指定手段により指定された駐車位置に当該車両が所在する場合にのみ、すなわちこれらのAND条件が成立することを前記条件として設定することをその要旨としている。
【0018】
同構成によると、期間指定手段及び位置指定手段により各指定された内容から車両ユーザのスケジュールが把握され、このスケジュールに照らし、時間的な要素と場所的な要素との間で整合が図られている場合にのみ、アンサーバック機能を無効化することが可能となる。別の言い方をするならば、両要素間で不整合が認められる場合には、車両ユーザが予定外の行動を執ったことになるので、この場合、アンサーバック機能は無効化されない。従って、車両ユーザの意に反した動作が防止され、車両ユーザに違和感を憶えさせるようなことがない。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
本発明によれば、セキュリティ性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態のスマートキーシステムの構成を示すブロック図。
【図2】車外スマート通信領域を示す説明図。
【図3】スマートキーシステムの状態遷移表。
【図4】スマートキーシステムの状態遷移図。
【図5】他の実施形態のリモートキーレスエントリーシステムの状態遷移表。
【図6】同じくリモートキーレスエントリーシステムの状態遷移図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を車両用のスマートキーシステムに具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両には、スマートキーシステム1が適用されている。スマートキーシステム1は、車両ユーザが所持するスマートキー2と、車両側に設けられるセキュリティ装置3とを備えるとともに、両者間で双方向通信が可能であり、また、両者間でスマートキー2を送信側とする単方向通信が可能となっている。尚、前記スマートキー2は、その所持態様から一般的に携帯機と称されている。
【0022】
スマートキー2は、無線通信による受信機能及び無線通信による送信機能を有するとともに、受信アンテナ21、受信回路22、マイコン23、送信回路24、送信アンテナ25、ロックボタン26、アンロックボタン27を備えている。
【0023】
受信アンテナ21は、セキュリティ装置3から送信されてくるリクエスト信号を受信するための媒体である。受信回路22は、受信アンテナ21で受信されたリクエスト信号を復調して受信信号を生成するとともに、その受信信号をマイコン23に出力する。
【0024】
マイコン23は、不揮発性のメモリ23aを備えるとともに、そのメモリ23aには、当該スマートキー2に対して個別に設定されたIDコード(スマートキー2のIDコード)が記憶されている。そして、マイコン23は、受信回路22からリクエスト信号に関する受信信号が入力されたとき、リクエスト信号に応答するために、スマートキー2のIDコードを含む信号(IDコード信号)を生成するとともに、そのIDコード信号を送信回路24に出力する。
【0025】
送信回路24は、マイコン23から入力されたIDコード信号を所定周波数(本実施形態では300MHz)の電波に変調する。送信アンテナ25は、送信回路24で変調されたIDコード信号を送信するための媒体である。
【0026】
ロックボタン26は、車両から離れた地点(本実施形態では、車両から最長で約10m離れた地点)でそれを操作することで、いわば遠隔操作によりドアロックを施錠するために操作されるものである。つまり、本実施形態では、車両を中心とした半径10mの領域(リモートキーレス通信領域)内でロックボタン26を操作することで、ドアロックを施錠できるようになっている。
【0027】
前記マイコン23は、ロックボタン26が操作されたとき、車両に対してドアロックの施錠を要求するために、ドアロックの施錠を要求する旨の操作コード(施錠要求用遠隔操作コード)とスマートキー2のIDコードとを含む信号(施錠要求用遠隔操作信号)を生成し、この施錠要求用遠隔操作信号を送信回路24に出力する。前記送信回路24は、マイコン23から入力された施錠要求用遠隔操作信号を所定周波数(本実施形態では300MHz)の電波に変調する。この場合、前記送信アンテナ25は、送信回路24で変調された施錠要求用遠隔操作信号を送信するための媒体として機能する。
【0028】
アンロックボタン27は、車両から離れた地点(本実施形態では、車両から最長で約10m離れた地点)でそれを操作することで、いわば遠隔操作によりドアロックを解錠するために操作されるものである。つまり、本実施形態では、車両を中心とした半径10mの領域(リモートキーレス通信領域)内でアンロックボタン27を操作することで、ドアロックを解錠できるようになっている。
【0029】
前記マイコン23は、アンロックボタン27が操作されたとき、車両に対してドアロックの解錠を要求するために、ドアロックの解錠を要求する旨の操作コード(解錠要求用遠隔操作コード)とスマートキー2のIDコードとを含む信号(解錠要求用遠隔操作信号)を生成し、この解錠要求用遠隔操作信号を送信回路24に出力する。前記送信回路24は、マイコン23から入力された解錠要求用遠隔操作信号を所定周波数(本実施形態では300MHz)の電波に変調する。この場合、前記送信アンテナ25は、送信回路24で変調された解錠要求用遠隔操作信号を送信するための媒体として機能する。
【0030】
セキュリティ装置3は、無線通信による送信機能及び無線通信による受信機能を有するとともに、送信回路31、送信アンテナ32、受信アンテナ33、受信回路34、照合制御装置35を備えている。
【0031】
送信回路31は、照合制御装置35から入力されるリクエスト信号を所定周波数(本実施形態では134KHz)の電波に変調する。送信アンテナ32は、送信回路31で変調されたリクエスト信号を送信するための媒体である。
【0032】
ここで、送信アンテナ32から送信されるリクエスト信号は、車外においてドアアウトサイドハンドルを中心とした半径約1mの領域内に及ぶようになっている。図2には、その領域が車外スマート通信領域A32として2点鎖線で示されるとともに、ドアアウトサイドハンドルが符号40にて示されている。そして、この車外スマート通信領域A32内において、スマートキー2とセキュリティ装置3との間での双方向通信が可能となっている。つまり、車外スマート通信領域A32内にリクエスト信号が送信されている状態で、この車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が持ち込まれたとき、そのスマートキー2でリクエスト信号が受信されて同スマートキー2からIDコード信号が送信されるようになっている。
【0033】
図1に戻って、受信アンテナ33は、リクエスト信号に対する応答信号としてスマートキー2から送信されてくるIDコード信号を受信するための媒体である。受信回路34は、受信アンテナ33で受信されたIDコード信号を復調して受信信号を生成するとともに、その受信信号を照合制御装置35に出力する。
【0034】
照合制御装置35は、不揮発性のメモリ35aを備えるとともに、そのメモリ35aには、当該セキュリティ装置3が搭載されている車両に適合するスマートキー2(=正規のスマートキー2)のIDコードと同一のIDコード(基準IDコード)が記憶されている。
【0035】
照合制御装置35は、正規のスマートキー2の所持者による乗車に伴う車両に対する接近(車外スマート通信領域A32に対する進入)を監視するため、ドアロックが施錠されている状態において、送信回路31にリクエスト信号を出力する。つまり、この場合、照合制御装置35は、第1の車外スマート通信制御を実行する。その結果、送信アンテナ32から車外スマート通信領域A32内にリクエスト信号が送信される。
【0036】
照合制御装置35は、第1の車外スマート通信制御を実行したことに伴って、受信回路34からIDコード信号に関する受信信号が入力されたとき、その受信信号に含まれているIDコードと基準IDコードとが一致しているか否かを判断する。つまり、この場合、照合制御装置35は、IDコード照合を実行する。
【0037】
そして、照合制御装置35は、このIDコード照合により両IDコードが一致したとき、正規のスマートキー2が利用された旨(正規のスマートキー2の存在を肯定する旨)を認識して、車内通信ネットワーク上にIDコード一致信号を出力する。尚、この車内通信ネットワーク上に出力された各種信号(例えば、IDコード一致信号)は、同ネットワークに電気的に接続された各種制御装置(例えば、ドアロック制御装置50)間で共有される。そして、これらの信号を用いて各制御装置がそれぞれの車両制御を行うようになっている。
【0038】
ドアロック制御装置50は、前記車内通信ネットワークに電気的に接続されている。ドアロック制御装置50は、前記車内通信ネットワークを通じてIDコード一致信号を取得した場合にあって、スマートキー2の所持者がドアアウトサイドハンドル40に触れてそれに内蔵されたドアハンドルセンサ41でそれが検出されたとき、このスマートキー2の所持者による乗車の意志が認められるので、この場合、ドアロックを解錠する。その結果、スマートキー2の所持者による乗車が許容される。
【0039】
ドアロック制御装置50には、ドアハンドルボタン42が電気的に接続されている。ドアハンドルボタン42は、ドアアウトサイドハンドル40に設けられるとともに、車外からドアロックを施錠するために操作されるものである。ドアロック制御装置50は、ドアハンドルボタン42が操作されたとき、前記車内通信ネットワーク上に施錠要求用スマート操作信号を出力する。
【0040】
前記照合制御装置35は、前記車内通信ネットワークを通じて施錠要求用スマート操作信号を取得したとき、正規のスマートキー2の所持者による降車に伴う車両に対する接近(車外スマート通信領域A32に対する進入)を監視するため、ドアロックが解錠されている状態において、送信回路31にリクエスト信号を出力する。つまり、この場合、照合制御装置35は、第2の車外スマート通信制御を実行する。その結果、送信アンテナ32から車外スマート通信領域A32内にリクエスト信号が送信される。
【0041】
照合制御装置35は、第2の車外スマート通信制御を実行したことに伴って、受信回路34からIDコード信号に関する受信信号が入力されたとき、その受信信号に含まれているIDコードと基準IDコードとが一致しているか否かを判断する。つまり、この場合、照合制御装置35は、IDコード照合を実行する。
【0042】
そして、照合制御装置35は、このIDコード照合により両IDコードが一致したとき、正規のスマートキー2が利用された旨(正規のスマートキー2の存在を肯定する旨)を認識して、前記車内通信ネットワーク上にIDコード一致信号を出力する。
【0043】
ドアロック制御装置50は、車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルボタン42が操作されたことに伴い、前記車内通信ネットワークを通じてIDコード一致信号を取得しつつ、ドアハンドルボタン42が操作されたことを自身が検出したとき、ドアロックを施錠する。即ち、この場合、このスマートキー2の所持者による降車の意志が認められるので、ドアロック制御装置50は、ドアロックを施錠する。尚、このようにスマートキー2が車外に持ち出されたものと認められる状況下で、ドアロックを施錠しているので、このスマートキー2を車内に置き忘れたままドアロックが施錠されてしまう、いわゆるインロックの発生を防止することができる。
【0044】
このように本実施形態の車両には、スマートキー2とセキュリティ装置3との間でキー認証に関する双方向通信が行われるとともに、それにより正規のスマートキー2が利用された(正規のスマートキー2が存在する)ものと肯定判断されたとき、ドアロックの施解錠が許可される機能(スマートエントリー機能)が適用されている。
【0045】
ところで、スマートキー2のロックボタン26が操作されたとき、先に説明した通り、そのスマートキー2から施錠要求用遠隔操作信号が送信される。そして、この施錠要求用遠隔操作信号が受信アンテナ33で受信されたとき、受信回路34から照合制御装置35に受信信号(この場合、施錠要求用遠隔操作コードとスマートキー2のIDコードとが含まれている。)が入力される。
【0046】
照合制御装置35は、受信回路34から施錠要求用遠隔操作信号に関する受信信号が入力されたとき、その受信信号に含まれているIDコードと基準IDコードとが一致しているか否かを判断する。つまり、この場合、照合制御装置35は、IDコード照合を実行する。そして、照合制御装置35は、このIDコード照合により両IDコードが一致したとき、正規のスマートキー2が利用された旨(正規のスマートキー2の存在を肯定する旨)を認識して、前記車内通信ネットワーク上にIDコード一致信号を出力する。
【0047】
また、照合制御装置35は、受信回路34から入力された受信信号に施錠要求用遠隔操作コードが含まれているとき、正規のスマートキー2を用いた遠隔操作によるドアロックの施錠に関する要求があった旨を認識する。そして、照合制御装置35は、このように認識したとき、前記車内通信ネットワーク上にドアロック施錠要求信号を出力する。
【0048】
ドアロック制御装置50は、前記車内通信ネットワークを通じてIDコード一致信号及びドアロック施錠要求信号を取得したとき、このスマートキー2を用いた遠隔操作によるドアロック施錠の意志が認められるので、この場合、施錠要求用スマート操作信号の取得の有無に関わらず、ドアロックを施錠する。
【0049】
一方、スマートキー2のアンロックボタン27が操作されたとき、そのスマートキー2から解錠要求用遠隔操作信号が送信される。そして、この解錠要求用遠隔操作信号が受信アンテナ33で受信されたとき、受信回路34から照合制御装置35に受信信号(この場合、解錠要求用遠隔操作コードとスマートキー2のIDコードとが含まれている。)が入力される。
【0050】
照合制御装置35は、受信回路34から解錠要求用遠隔操作信号に関する受信信号が入力されたとき、その受信信号に含まれているIDコードと基準IDコードとが一致しているか否かを判断する。つまり、この場合、照合制御装置35は、IDコード照合を実行する。そして、照合制御装置35は、このIDコード照合により両IDコードが一致したとき、正規のスマートキー2が利用された旨(正規のスマートキー2の存在を肯定する旨)を認識して、前記車内通信ネットワーク上にIDコード一致信号を出力する。
【0051】
また、照合制御装置35は、受信回路34から入力された受信信号に解錠要求用遠隔操作コードが含まれているとき、正規のスマートキー2を用いた遠隔操作によるドアロックの解錠に関する要求があった旨を認識する。そして、照合制御装置35は、このように認識したとき、前記車内通信ネットワーク上にドアロック解錠要求信号を出力する。
【0052】
ドアロック制御装置50は、前記車内通信ネットワークを通じてIDコード一致信号及びドアロック解錠要求信号を取得したとき、このスマートキー2を用いた遠隔操作によるドアロック解錠の意志が認められるので、この場合、ドアハンドルセンサ41によるタッチ検出信号の有無に関わらず、ドアロックを解錠する。
【0053】
このように本実施形態の車両には、スマートキー2とセキュリティ装置3との間でスマートキー2を送信側とする単方向通信が行われるとともに、それにより正規のスマートキー2を用いた遠隔操作によるドアロックの施解錠に関する要求があったとき、ドアロックが施解錠される機能(リモートキーレスエントリー機能)が適用されている。
【0054】
そして、こうしたリモートキーレスエントリー機能に付随して、本実施形態のスマートキーシステム1は、正規のスマートキー2を用いた遠隔操作によりドアロックが施錠(解錠)されたとき、そのことをスマートキー2の操作者に視覚的或いは聴覚的に知らせるべく、いわゆるアンサーバック機能を有している。
【0055】
即ち、前記照合制御装置35や前記ドアロック制御装置50が電気的に接続される前記車内通信ネットワークには、さらにアンサーバック制御装置60が電気的に接続されている。
【0056】
アンサーバック制御装置60は、前記車内通信ネットワークを通じてドアロック施錠要求信号を取得したとき、ハザードランプ61を1回点滅させ、また、それと同時にホーン62を軽く1回鳴動させる。従って、車両ユーザは、自車を駐車した後、車両から離れた地点でロックボタン26を操作することで、遠隔操作によりドアロックを施錠できるとともに、そうした場所に居ながら、光や音を頼りにして、自車が施錠されたことを遠くから把握できるようになっている。尚、遠隔操作によるドアロックの施錠要求に基づくドアロックの施錠が完了したとき、ドアロック制御装置50から前記車内通信ネットワーク上に施錠完了信号を出力し、この施錠完了信号を前記車内通信ネットワークを通じてアンサーバック制御装置60が取得したとき、上記アンサーバックが働くように構成してもよい。
【0057】
また、アンサーバック制御装置60は、前記車内通信ネットワークを通じてドアロック解錠要求信号を取得したとき、ハザードランプ61を2回点滅させ、また、それと同時にホーン62を軽く2回鳴動させる。従って、車両ユーザは、不特定多数の車両が駐車される場所へ自車を駐車した後、自車に戻ろうとする際、車両から離れた地点でアンロックボタン27を操作することで、遠隔操作によりドアロックを解錠できるとともに、そうした場所に居ながら、光や音を頼りにして、自車の駐車位置を遠くから容易に特定できるようになっている。尚、遠隔操作によるドアロックの解錠要求に基づくドアロックの解錠が完了したとき、ドアロック制御装置50から前記車内通信ネットワーク上に解錠完了信号を出力し、この解錠完了信号を前記車内通信ネットワークを通じてアンサーバック制御装置60が取得したとき、上記アンサーバックが働くように構成してもよい。
【0058】
このようにアンサーバック機能は、正規の車両ユーザがスマートキー2を所持している場合には、正規ユーザにとって非常に便利なものであることに異論はない。しかし、その一方で、正規ユーザがスマートキー2を紛失した場合には、それを拾った者によって、このスマートキー2のロックボタン26やアンロックボタン27が操作されるようなことがあると、この者によって自車の駐車位置が特定されてしまう虞がある。
【0059】
そこで、本実施形態のスマートキーシステム1では、正規ユーザがスマートキー2紛失時の悪用を不安視するような場合において、その不安を払拭するべく、セキュリティ性を向上するための配慮がなされている。
【0060】
即ち、本実施形態のスマートキーシステム1では、スマートキー2のロックボタン26が、本来の使用目的で操作されるときの通常操作とは異なる態様で特殊操作されたとき、アンサーバック機能が無効化されるようになっている。尚、ロックボタン26の通常操作とは、遠隔操作により車両のドアロックを施錠する目的で行われる操作であって、ロックボタン26が短押し操作(常識の範囲でクリック操作を1回行うのに必要な時間のうち最も長い時間を1秒間としたとき、連続して1秒間に及ぶロックボタン26の押圧操作がこれに相当する)されることを指す。一方、ロックボタン26の特殊操作とは、本実施形態では、ロックボタン26が通常操作よりも長い時間に亘って連続して押圧操作されることを指し、具体的にはロックボタン26が3秒間以上に亘って連続して押圧操作されることを指す。
【0061】
そして、ロックボタン26が通常操作されたとき、スマートキー2のマイコン23は、リモートキーレスエントリー機能に関する先の説明の通り、施錠要求用遠隔操作信号として、施錠要求用遠隔操作コード及びスマートキー2のIDコードを含む信号を生成する。従って、この場合、施錠要求用遠隔操作コード及びスマートキー2のIDコードを含む施錠要求用遠隔操作信号(以下、説明の便宜上、これを第1の施錠要求用遠隔操作信号と規定する)がスマートキー2から送信される。
【0062】
一方、ロックボタン26が特殊操作されたとき、スマートキー2のマイコン23は、施錠要求用遠隔操作信号として、施錠要求用遠隔操作コード及びスマートキー2のIDコードに加えて、アンサーバックキャンセルコードを含む信号を生成する。従って、この場合、施錠要求用遠隔操作コード及びスマートキー2のIDコード及びアンサーバックキャンセルコードを含む施錠要求用遠隔操作信号(以下、説明の便宜上、これを第2の施錠要求用遠隔操作信号と規定する)がスマートキー2から送信される。
【0063】
そして、この第2の施錠要求用遠隔操作信号がセキュリティ装置3の受信アンテナ33で受信されたとき、受信回路34から照合制御装置35に受信信号(この場合、施錠要求用遠隔操作コード及びスマートキー2のIDコード及びアンサーバックキャンセルコードが含まれている。)が入力される。
【0064】
照合制御装置35は、受信回路34から第2の施錠要求用遠隔操作信号に関する受信信号が入力されたとき、その受信信号に含まれているIDコードと基準IDコードとが一致しているか否かを判断する。つまり、この場合、照合制御装置35は、IDコード照合を実行する。そして、照合制御装置35は、このIDコード照合により両IDコードが一致したとき、正規のスマートキー2が利用された旨(正規のスマートキー2の存在を肯定する旨)を認識して、前記車内通信ネットワーク上にIDコード一致信号を出力する。
【0065】
また、照合制御装置35は、受信回路34から入力された受信信号に施錠要求用遠隔操作コードが含まれているとき、正規のスマートキー2を用いた遠隔操作によるドアロックの施錠に関する要求があった旨を認識する。そして、照合制御装置35は、このように認識したとき、前記車内通信ネットワーク上にドアロック施錠要求信号を出力する。
【0066】
ドアロック制御装置50は、前記車内通信ネットワークを通じてIDコード一致信号及びドアロック施錠要求信号を取得したとき、このスマートキー2を用いた遠隔操作によるドアロック施錠の意志が認められるので、この場合、施錠要求用スマート操作信号の取得の有無に関わらず、ドアロックを施錠する。
【0067】
ここで、照合制御装置35は、受信回路34から入力された受信信号にアンサーバックキャンセルコードが含まれているとき、スマートキーシステム1のドアロックモードを第1ロックモードから第2ロックモードへ遷移させるべく、前記車内通信ネットワーク上に第2ロックモード信号を出力する。尚、第1ロックモードとは、スマートキー2のロックボタン26やアンロックボタン27の操作によるドアロックの施解錠が許容されるとともに、前記アンサーバック機能が有効化されるモードを指す。一方、第2ロックモードとは、スマートキー2のロックボタン26やアンロックボタン27の操作によるドアロックの施解錠が禁止されるとともに、前記アンサーバック機能が無効化されるモードを指す。
【0068】
尚、本実施形態では、リモートキーレス通信領域内でスマートキー2のロックボタン26が特殊操作された場合に加えて、車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルボタン42が特殊操作された場合にも、アンサーバック機能が無効化されるようになっている。ドアハンドルボタン42の通常操作とは、スマート操作により車両のドアロックを施錠する目的で行われる操作であって、ドアハンドルボタン42が短押し操作(常識の範囲でクリック操作を1回行うのに必要な時間のうち最も長い時間を1秒間としたとき、連続して1秒間に及ぶドアハンドルボタン42の押圧操作がこれに相当する)されることを指す。一方、ドアハンドルボタン42の特殊操作とは、本実施形態では、ドアハンドルボタン42が通常操作よりも長い時間に亘って連続して押圧操作されることを指し、具体的にはドアハンドルボタン42が3秒間以上に亘って連続して押圧操作されることを指す。
【0069】
そして、ドアハンドルボタン42が通常操作されたとき、ドアロック制御装置50は、スマートエントリー機能に関する先の説明の通り、前記車内通信ネットワーク上に施錠要求用スマート操作信号を出力する。
【0070】
一方、ドアロック制御装置50は、車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルボタン42が特殊操作されたことに伴い、前記車内通信ネットワークを通じてIDコード一致信号を取得しつつ、ドアハンドルボタン42が特殊操作されたことを自身が検出したとき、次のようにする。即ち、この場合、ドアロック制御装置50は、施錠要求用スマート操作信号に加えて、第2ロックモード信号を前記車内通信ネットワーク上に出力する。
【0071】
そして、これらのように照合制御装置35やドアロック制御装置50から前記車内通信ネットワーク上に第2ロックモード信号が出力されたとき、この第2ロックモード信号が同ネットワークに電気的に接続された各種制御装置(照合制御装置35、ドアロック制御装置50、アンサーバック制御装置60)間で共有される。従って、この場合、スマートキーシステム1が全体として第1ロックモードから第2ロックモードへ遷移される。
【0072】
以上のようにスマートキーシステム1は、ロックボタン26或いはドアハンドルボタン42の特殊操作を経て第1ロックモードから第2ロックモードへ遷移され、すなわち車両ユーザによる手動操作を経て第2ロックモードへ遷移されるようになっている。加えて、スマートキーシステム1は、第2ロックモードへの遷移に必要な条件を予め設定しておくことで、その条件が満たされたとき、車両ユーザによる手動操作によることなく、いわば自動的に第2ロックモードへ遷移されるようにもなっている。以下、この点について説明する。
【0073】
前記車内通信ネットワークには、車両ユーザによる前記設定を許容するための管理制御を司る管理制御装置70が電気的に接続されている。この管理制御装置70は、車両ユーザが所持する携帯電話機(以下、単に携帯電話と称する。)との間で通信(無線及び有線を問わない)が可能であり、したがって携帯電話71に登録された車両ユーザのスケジュールに関する情報を前記通信を通じて取得できるようになっている。尚、携帯電話71のスケジュール機能によることなく、車両ユーザのスケジュールに関する情報が管理制御装置70に対して直接入力されることで、同情報が管理制御装置70で取得されてもよい。いずれの構成を採用するにせよ、車両ユーザのスケジュールに関する情報には、時間的な要素が含まれ、具体的には、その時間的な要素として、当該車両が第2ロックモードに設定される期間、すなわち車両ユーザの立場からして、アンサーバック機能の無効化を望む期間が入力される。
【0074】
そして、管理制御装置70は、前記情報を取得したとき、その情報を解析して前記期間を特定するとともに、自らに内蔵されているタイマによる計時時刻で代用される車両側での計時時刻が当該期間内に属するか否かを判断する。そして、管理制御装置70は、車両側での計時時刻が前記期間外の状態から前記期間内に属するようになったことを契機として、前記車内通信ネットワーク上に高セキュリティ移行信号を出力する。
【0075】
そして、このように管理制御装置70から前記車内通信ネットワーク上に高セキュリティ移行信号が出力されたとき、この高セキュリティ移行信号が同ネットワークに電気的に接続された各種制御装置(照合制御装置35、ドアロック制御装置50、アンサーバック制御装置60等)間で共有される。
【0076】
そして、ドアロック制御装置50は、ドアロックが施錠されている状態で、前記車内通信ネットワークを通じて高セキュリティ移行信号を取得したとき、同ネットワーク上に第2ロックモード信号を出力する。また、ドアロック制御装置50は、ドアロックが解錠されている状態で、前記車内通信ネットワークを通じて高セキュリティ移行信号を取得したとき、ドアロックが施錠されたことを契機として、同ネットワーク上に第2ロックモード信号を出力する。その結果、これらの場合にも、スマートキーシステム1が全体として第1ロックモードから第2ロックモードへ遷移される。
【0077】
尚、ドアロック制御装置50から第2ロックモード信号が出力されることに基づく第2ロックモードへの遷移のタイミングは、上記態様に限定されない。例えば、前記スマートエントリー機能に倣う態様で車内にてスマートキー2とセキュリティ装置3との間で双方向通信を行った結果、車内にスマートキー2が存在していることが特定された場合には、例外的に第2ロックモードへ遷移されないようにしてもよい。この場合、車内にスマートキー2が存在していない状態で、ドアロック制御装置50から第2ロックモード信号が出力されたことを条件として、スマートキーシステム1が全体として第1ロックモードから第2ロックモードへ遷移される。
【0078】
また、運転席に設けられるシートセンサによって運転者の体重に匹敵する重量が検知された場合には、例外的に第2ロックモードへ遷移されないようにしてもよい。この場合、運転席への着座が検知されていない状態で、ドアロック制御装置50から第2ロックモード信号が出力されたことを条件として、スマートキーシステム1が全体として第1ロックモードから第2ロックモードへ遷移される。
【0079】
そして、これら例外的な動作を設けることで、車内に存在する車両ユーザの意に反して第2ロックモードへ遷移されることに伴う違和感をなくすることができるようになる。
この第2ロックモードにおいて、ドアロック制御装置50は、前記車内通信ネットワークを通じてIDコード一致信号を取得した場合にあって、スマートキー2の所持者がドアアウトサイドハンドル40に短期間に亘って触れてそれに内蔵されたドアハンドルセンサ41でそれが検出されても、そうした通常のスマート解錠操作を無効化する。尚、通常のスマート解錠操作とは、スマート操作により車両のドアロックを解錠する目的で行われる操作である。そして、この通常のスマート解錠操作とは、車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルセンサ41に短タッチ(常識の範囲でタッチ操作を1回行うのに必要な時間のうち最も長い時間を1秒間としたとき、連続して1秒間に及ぶドアハンドルセンサ41に対する接触を指す)されることを指す。
【0080】
また、第2ロックモードにおいて、ドアロック制御装置50は、前記車内通信ネットワークを通じてIDコード一致信号を取得した場合にあって、ドアハンドルボタン42が通常操作されても、そうした通常のスマート施錠操作を無効化する。尚、通常のスマート施錠操作とは、スマート操作により車両のドアロックを施錠する目的で行われる操作である。そして、この通常のスマート施錠操作とは、車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルボタン42が通常操作(先に説明した通り、本実施形態では、連続して1秒間に及ぶドアハンドルボタン42の押圧操作がこれに相当する)されることを指す。ちなみに、この第2ロックモード中には、ドアハンドルボタン42が特殊操作(3秒間以上の長押し操作)された場合にも、そうした操作が無効化される。
【0081】
さらに、第2ロックモードにおいて、ドアロック制御装置50は、前記車内通信ネットワークを通じてドアロック施錠要求信号を取得しても、そうした遠隔操作によるドアロックの施錠操作を無効化する。尚、遠隔操作によるドアロックの施錠操作とは、リモートキーレス通信領域内でロックボタン26を操作することを指す。そして、この第2ロックモード中には、リモートキーレス通信領域内でロックボタン26が通常操作(1秒間の短押し操作)された場合に限らず、リモートキーレス通信領域内でロックボタン26が特殊操作(3秒間以上の長押し操作)された場合にも、これらの施錠操作が無効化される。
【0082】
そして、これに伴って、アンサーバック制御装置60は、第2ロックモード中に前記車内通信ネットワークを通じてドアロック施錠要求信号を取得しても、そうした遠隔操作によるドアロックの施錠操作に伴うアンサーバック機能を無効化する。
【0083】
また、第2ロックモードにおいて、ドアロック制御装置50は、前記車内通信ネットワークを通じてドアロック解錠要求信号を取得しても、そうした遠隔操作によるドアロックの解錠操作を無効化する。尚、遠隔操作によるドアロックの解錠操作とは、リモートキーレス通信領域内でアンロックボタン27を操作することを指す。そして、この第2ロックモード中には、リモートキーレス通信領域内でアンロックボタン27が通常操作(ロックボタン26の通常操作と同様、1秒間の短押し操作)された場合に限らず、リモートキーレス通信領域内でアンロックボタン27が特殊操作(3秒間以上の長押し操作)された場合にも、これらの解錠操作が無効化される。
【0084】
そして、これに伴って、アンサーバック制御装置60は、第2ロックモード中に前記車内通信ネットワークを通じてドアロック解錠要求信号を取得しても、そうした遠隔操作によるドアロックの解錠操作に伴うアンサーバック機能を無効化する。
【0085】
これらのように第2ロックモード中には、通常のスマート施解錠操作によるドアロックの施解錠、並びに遠隔操作によるドアロックの施解錠が禁止される一方で、当該車両のドアシリンダに適合するメカニカルキーによるドアロックの解錠についてはこれが許容されるようになっている。
【0086】
そして、第2ロックモード中に、当該車両のドアシリンダに適合するメカニカルキーがそのドアシリンダに差し込まれてそれが解錠方向に回動操作されたとき、ドアロックが機械的に解錠されるとともに、それがドアロック制御装置50で検出される。そして、ドアロック制御装置50は、このようにしてドアロックが機械的に解錠されたことを検出したとき、つまり前記車内通信ネットワークを通じてIDコード一致信号を取得していない状態でドアロックが解錠されたことを検出したとき、これまでの第2ロックモードから第1ロックモードへ遷移させるべく、次のようにする。即ち、この場合、ドアロック制御装置50は、前記車内通信ネットワーク上に第1ロックモード信号を出力する。
【0087】
また、本実施形態では、前記第2ロックモード中において、メカニカルキーによるドアロックの解錠の他に、車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルセンサ41が長タッチされることによるドアロックの解錠についてもこれが許容されるようになっている。尚、ドアハンドルセンサ41の長タッチとは、例えば、連続して3秒間以上に及ぶドアハンドルセンサ41に対する接触を指す。
【0088】
そして、第2ロックモード中に、車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルセンサ41が長タッチされたとき、それがドアロック制御装置50で検出される。そして、ドアロック制御装置50は、こうした場合のように、前記車内通信ネットワークを通じてIDコード一致信号を取得した場合にあって、ドアアウトサイドハンドル40に対する長タッチがドアハンドルセンサ41で検出されたとき、乗車の意志が認められるので、スマートエントリー機能に関する先の説明の通り、ドアロックを解錠する。
【0089】
また、この場合、車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルセンサ41が長タッチされたことに伴い、ドアロック制御装置50は、これを通常のスマート解錠操作とは区別する。そして、この場合、ドアロック制御装置50は、これまでの第2ロックモードから第1ロックモードへ遷移させるべく、前記車内通信ネットワーク上に第1ロックモード信号を出力する。
【0090】
そして、これらのようにドアロック制御装置50から前記車内通信ネットワーク上に第1ロックモード信号が出力されたとき、この第1ロックモード信号が同ネットワークに電気的に接続された各種制御装置(照合制御装置35、ドアロック制御装置50、アンサーバック制御装置60等)間で共有される。従って、この場合、スマートキーシステム1が全体として第2ロックモードから第1ロックモードへ遷移される。
【0091】
以上のようにスマートキーシステム1は、メカニカルキーによるドアロックの解錠、或いはドアハンドルセンサ41の長タッチによるドアロックの解錠を経て、第2ロックモードから第1ロックモードへ遷移され、すなわち手動でのいわば特殊な解錠操作を経て第1ロックモードに復帰するようになっている。加えて、スマートキーシステム1は、管理制御装置70による管理制御に基づき、手動での特殊な解錠操作によることなく、いわば自動的に第1ロックモードに復帰するようにもなっている。以下、この点について説明する。
【0092】
先の説明で触れたように、前記管理制御装置70は、車両ユーザのスケジュールに関する情報を取得したとき、その情報を解析して当該車両が第2ロックモードに設定される期間、すなわち車両ユーザの立場からして、アンサーバック機能の無効化を望む期間を特定する。そして、管理制御装置70は、車両側での計時時刻が前記期間内に属する状態から前記期間外になったことを契機として、車内通信ネットワーク上に高セキュリティ解除信号を出力する。
【0093】
そして、このように管理制御装置70から車内通信ネットワーク上に高セキュリティ解除信号が出力されたとき、この高セキュリティ解除信号が同ネットワークに電気的に接続された各種制御装置(照合制御装置35、ドアロック制御装置50、アンサーバック制御装置60等)間で共有される。
【0094】
そして、ドアロック制御装置50は、第2ロックモード中に、車内通信ネットワークを通じて高セキュリティ解除信号を取得したとき、同ネットワーク上に第1ロックモード信号を出力する。その結果、この場合にも、スマートキーシステム1が全体として第2ロックモードから第1ロックモードに復帰する。
【0095】
この第1ロックモードでは、先に説明したスマートエントリー機能、リモートキーレスエントリー機能、並びにアンサーバック機能がそれぞれ発揮される。
尚、前記第2ロックモード中に、当該車両の電源がオフ位置からアクセサリ位置又はイグニッションオン位置に切り換えられたとき、当該車両の電源系統の制御を司る電源制御装置80から前記車内通信ネットワーク上に第1ロックモード信号が出力される。つまり、この電源制御装置80も、前記車内通信ネットワークに電気的に接続され、同電源制御装置80は、正規のスマートキー2が車内に存在しているものと肯定判断されたことを条件として、図示しない電源スイッチの操作を当該車両の電源系統の制御に反映させるものである。
【0096】
次に、スマートキーシステム1の作用について説明する。
以上説明した内容を状態遷移表として示すと図3のようになり、また、これを状態遷移図として示すと図4のようになる。尚、図3では、スマートキーシステム1のキー操作が、「電波キーの操作」、「スマートキーの操作」、「エマキーの操作」として3つに区分されている。
【0097】
1つ目の「電波キーの操作」とは、リモートキーレスエントリー機能に関連するスマートキー2を用いた遠隔操作を指し、先の説明において、「ロックボタン26の押圧操作」及び「アンロックボタン27の押圧操作」がこれに相当する。
【0098】
一方、2つ目の「スマートキーの操作」とは、スマートエントリー機能に関連する操作を指す。そして、先の説明において、「車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でのドアハンドルボタン42の押圧操作」及び「車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でのドアハンドルセンサ41に対するタッチ操作」がこの「スマートキーの操作」に相当する。
【0099】
他方、「エマキーの操作」とは、スマートキー2に電池切れが生じた場合のように、リモートキーレスエントリー機能やスマートエントリー機能が使用できなくなった場合に備えてスマートキー2に装備されているメカニカルキーがエマキー(エマージェンシーキーの略称)と称されることに関連する機械的なキー操作を指す。そして、先の説明において、「当該車両のドアシリンダに適合するメカニカルキーをそのドアシリンダに差し込んでそれを施錠方向或いは解錠方向に回動させる操作」がこの「エマキーの操作」に相当する。
【0100】
さて、図3及び図4の内容について、これまでのおさらいを兼ねて簡単に説明する。
まず、通常状態では、リモートキーレス通信領域内でロックボタン26を短押し操作すると、ドアロックが施錠されるとともに、施錠時のアンサーバックが働き、また、リモートキーレス通信領域内でアンロックボタン27を短押し操作すると、ドアロックが解錠されるとともに、解錠時のアンサーバックが働く(第1ロックモード)。尚、通常状態では、当然のことながらメカニカルキーによるドアロックの施錠/解錠も可能である。
【0101】
そして、この第1ロックモードのアンロック(第1)状態中にリモートキーレス通信領域内でロックボタン26を長押し操作すると、ドアロックが施錠されるとともに、施錠時のアンサーバックが働いた上で、第1ロックモードから第2ロックモードのロック(第2)状態へ遷移する。また、第1ロックモードのアンロック(第1)状態中に車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルボタン42を長押し操作した場合にも、ドアロックが施錠された上で、第1ロックモードから第2ロックモードのロック(第2)状態へ遷移する。さらに、第1ロックモードのアンロック(第1)状態中に車両ユーザ指定の特定期間の開始を迎えたことを契機として、第1ロックモードのアンロック(第1STB:スタンバイを意味する。)状態へ遷移し、その後、ドアロックが施錠されたことを契機として、第2ロックモードのロック(第2警戒)状態へ遷移する。また、第1ロックモードのロック(第1)状態中に車両ユーザ指定の特定期間の開始を迎えたことを契機として、第2ロックモードのロック(第2警戒)状態へ遷移する。
【0102】
そして、この第2ロックモード中には、ロックボタン26やアンロックボタン27によるドアロックの施錠/解錠を車両側は受け付けず、また、アンサーバックも働かない。尚、第2ロックモードのロック(第2)状態中に車両ユーザ指定の特定期間の開始を迎えたことを契機として、第2ロックモードのロック(第2警戒)状態へ遷移する。
【0103】
そして、この第2ロックモードのロック(第2)状態中にメカニカルキーによりドアロックが解錠されると、第2ロックモードから第1ロックモードのアンロック(第1)状態へ遷移し、通常通りの利用が可能になる。また、第2ロックモードのロック(第2)状態中に車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルセンサ41が長タッチされた場合にも、ドアロックが解錠されるとともに、第2ロックモードから第1ロックモードのアンロック(第1)状態へ遷移する。さらに、第2ロックモードのロック(第2警戒)状態中にメカニカルキーによりドアロックが解錠されると、第2ロックモードから第1ロックモードのアンロック(第1STB)状態へ遷移する。また、第2ロックモードのロック(第2警戒)状態中に車外スマート通信領域A32内にスマートキー2が存在している状態でドアハンドルセンサ41が長タッチされた場合にも、第2ロックモードから第1ロックモードのアンロック(第1STB)状態へ遷移する。そして、第2ロックモード中に車両ユーザ指定の特定期間の終わりを迎えたことを契機として、第2ロックモードから第1ロックモードのロック(第1)状態へ遷移する。また、第2ロックモード中に車両の電源がオフ位置からアクセサリ位置又はイグニッションオン位置に切り換えられた場合にも、第2ロックモードから第1ロックモードのロック(第1)状態へ遷移する。
【0104】
尚、車両備え付けのいずれかのドアオープン中、或いは車両の電源がアクセサリ位置又はイグニッションオン位置の状態では、ロックボタン26やアンロックボタン27の一切の操作が無効化される。
【0105】
本実施形態において、ロックボタン26やアンロックボタン27は、ドアロック施解錠用遠隔操作手段に相当する。そして、第2ロックモードは、アンサーバック機能無効化モードに相当し、管理制御装置70及び携帯電話71により、前記モードへの遷移に必要な条件を設定するモード遷移条件設定手段が構成されている。そして、アンサーバック制御装置60は、アンサーバック機能無効化手段に相当する。そして、携帯電話71は、期間指定手段に相当する。
【0106】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)アンサーバック機能が無効化されているとき、スマートキー2のロックボタン26やアンロックボタン27を操作しても、このスマートキー2が適合する車両の駐車位置を当該車両外部から特定可能な事象が発生しない。このため、不特定多数の車両が駐車される場所へ自車を駐車するに際して、アンサーバック機能を無効化すれば、駐車中に仮にスマートキー2を紛失し、それを拾った者によって、このスマートキー2のロックボタン26やアンロックボタン27が操作されるようなことがあっても、この者によって自車の駐車位置が特定されてしまうことはない。従って、セキュリティ性を向上することができる。
【0107】
(2)第2ロックモードへの遷移に必要な条件を予め設定しておくことで、その条件が満たされたとき、車両ユーザによる手動操作によることなく、いわば自動的にアンサーバック機能を無効化することが可能となる。従って、当該モードへの都度設定が不要になるとともに、併せて設定忘れが防止され、利便性や確実性を向上でき、ひいては信頼性を高めることができる。尚、いわゆる初期設定や、必要に応じての設定変更を伴うものの、当該モードが解除されて以後、再び同じ設定で当該モードへ遷移させる場合において、新たな設定を必要とせず、この点に技術的意義を見出すことができる。
【0108】
(3)第2ロックモードへの遷移に必要な条件が満たされているも、解錠操作がなされた場合には、車両ユーザが乗車する可能性のあるところ、こうした状況下において、アンサーバック機能を無効化することは、当該乗車時の利便性の観点からすると、必ずしも適切ではないと考えられる。これに対し、前記条件が満たされている状態で、施錠操作がなされた場合には、駐車した後、車両ユーザが当該車両から離れようとする意志がうかがえる。このように車両ユーザの意志を酌みつつ、アンサーバック機能を無効化しても差し支えのない、いわば適切な時機にそれを無効化することで、セキュリティ性及び利便性を両立させることができる。
【0109】
(4)携帯電話71により指定された期間に亘って、アンサーバック機能を無効化することが可能となる。従って、車両ユーザのスケジュールに合わせて当該期間を指定するといったことができるようになり、ユーザ自らの希望に適う形で自動的にアンサーバック機能を無効化することができる。
【0110】
(5)携帯電話71により指定された期間に亘って、アンサーバック機能が無効化された後、当該期間外になると、アンサーバック機能の無効化が解除されて同機能が有効化されるようになる。このようにアンサーバック機能が有効化される状態への復帰についても、これが自動的に行われる。従って、アンサーバック機能について、無効化と有効化との間でこれらを自動的に切り換えることができる。
【0111】
(6)第2ロックモードのロック(第2警戒)状態中に、メカニカルキー或いはドアハンドルセンサ41の長タッチによりドアロックが解錠されると、第2ロックモードから第1ロックモードのアンロック(第1STB)状態へ遷移する。そして、この状態からは、ドアロックが施錠されたことを契機として、第2ロックモードのロック(第2警戒)状態へ遷移する。この場合、ロックボタン26或いはドアハンドルボタン42の特殊操作を経ることなく、第1ロックモードから第2ロックモードへ遷移され、言い換えると、すぐに第2ロックモードのロック(第2警戒)状態へ戻すことができる。要するに、よりセキュリティ性の高いモードへの遷移をスムーズなものとすることができる。
【0112】
尚、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・前記実施形態では、期間指定手段として携帯電話71を備えることとしたが、携帯電話71に代えて又は加えて、GPS(global positioning system の頭文字をとった全世界的な無線測位システム)機能を有するカーナビゲーション装置72(図1に破線で示す)が管理制御装置70に電気的に接続された構成を採用してもよい。この場合、管理制御装置70には、カーナビゲーション装置72を通じて間接的に、或いは、当該管理制御装置70に対して直接的に、当該車両が第2ロックモードに設定される駐車位置、すなわち車両ユーザの立場からして、アンサーバック機能の無効化を望む駐車位置が登録される。そして、管理制御装置70は、当該車両が停止されたことを契機として、GPS機能による現在の自車の駐車位置が該登録された駐車位置であるか否かを判断する。そして、管理制御装置70は、肯定判断したとき、車内通信ネットワーク上に高セキュリティ移行信号を出力する。その結果、前記実施形態に倣って、スマートキーシステム1が全体として第1ロックモードから第2ロックモードへ遷移され、この第2ロックモードでは、アンサーバック機能が無効化される。尚、管理制御装置70及びカーナビゲーション装置72により、モード遷移条件設定手段が構成され、カーナビゲーション装置72は、位置指定手段に相当する。
【0113】
同構成によると、カーナビゲーション装置72により指定された駐車位置に当該車両が所在する場合に、アンサーバック機能を無効化することが可能となる。従って、スマートキー2紛失時の悪用を不安視するような場所を当該駐車位置として指定するといったことができるようになり、ユーザ自らの希望に適う形で自動的にアンサーバック機能を無効化することができる。
【0114】
・前記実施形態による構成と、上記別例による構成とを併用し、携帯電話71及びカーナビゲーション装置72の双方が管理制御装置70に電気的に接続された構成を採用してもよい。この場合、管理制御装置70は、携帯電話71により指定された期間内に属し、且つ、カーナビゲーション装置72により指定された駐車位置に当該車両が所在する場合にのみ、すなわちこれらのAND条件が成立したとき、車内通信ネットワーク上に高セキュリティ移行信号を出力する。その結果、前記実施形態に倣って、スマートキーシステム1が全体として第1ロックモードから第2ロックモードへ遷移され、この第2ロックモードでは、アンサーバック機能が無効化される。
【0115】
同構成によると、携帯電話71及びカーナビゲーション装置72により各指定された内容から車両ユーザのスケジュールが把握され、このスケジュールに照らし、時間的な要素と場所的な要素との間で整合が図られている場合にのみ、アンサーバック機能を無効化することが可能となる。別の言い方をするならば、両要素間で不整合が認められる場合には、車両ユーザが予定外の行動を執ったことになるので、この場合、アンサーバック機能は無効化されない。従って、車両ユーザの意に反した動作が防止され、車両ユーザに違和感を憶えさせるようなことがない。
【0116】
・ドアロックを施錠した際に第2ロックモードへの遷移のあったことをユーザに知らせるべく、ハザード点滅やホーン鳴動のパターンを通常のアンサーバックによるものと区別し、これにより、「アンサーバックが無効になった」ことをユーザが知覚できるようにするとより良い。特に、第1ロックモードのアンロック(第1STB)状態から上記施錠を伴って第2ロックモードへ遷移される場合、ユーザがそのことを意図していない可能性があるとも考えられるが、そのようなケースでも、この別例による構成のように通常とは異なる態様での事象を発生させることで、ユーザによる誤認識を無くする手助けができるようになる。
【0117】
・手動操作を伴って第2ロックモードへ遷移した場合と、自動的に第2ロックモードへ遷移した場合とを峻別できる点を踏まえ、次のような構成を採用してもよい。すなわち、前者の場合、特定期間の終わりを迎えたことを契機として自動的に第1ロックモードへ復帰されるようにする代わりに、メカニカルキー或いはドアハンドルセンサ41の長タッチを伴ってドアロックが解錠されたことを契機として、いわば手動操作を伴って第1ロックモードへ復帰されるようにしてもよい。
【0118】
尚、特定期間の開始を迎えた後、ドアロックが施錠されたことを契機として第1ロックモードから第2ロックモードへ自動的に遷移した場合には、ドアハンドルセンサ41の長タッチによる電気的なドアロックの解錠を無効化するようにしてもよい。この場合、メカニカルキーによる機械的なドアロックの解錠のみが許容され、それが行われたことを契機として第2ロックモードから第1ロックモードへ復帰されることになる。
【0119】
・前記実施形態では、本発明をスマートエントリー機能を有するスマートキーシステム1に具体化したが、リモートキーレスエントリー機能を有する一方でスマートエントリー機能が割愛されたリモートキーレスエントリーシステムに本発明を具体化してもよい。この場合の状態遷移表は図5のようになり、また、状態遷移図は図6のようになる。尚、リモートキーレスエントリーシステムに供される電波キー(携帯機に相当)は、把持部分にロックボタン及びアンロックボタンが設けられ、例えばインサート成形によりそれと一体化されたキープレート部分がメカニカルキーとしての役目を果たす。従って、前記実施形態の説明で用いた図3及び図4における「エマキー」の記載は、図5及び図6において「メカキー(メカニカルキーの略称)」と記載されている。
【0120】
要するに、前記実施形態のエマキーとは、スマートキー2(携帯機)の本体(携帯機本体)に対して分離可能となるように同携帯機本体内に別体化されて収容されているメカニカルキーを指し、本別例の電波キーとは、遠隔操作部分(把持部分)がメカニカルキーと一体化されているキーを指す。
【符号の説明】
【0121】
1…スマートキーシステム(ドアロックシステム)、2…スマートキー(携帯機)、26…ロックボタン(ドアロック施解錠用遠隔操作手段)、27…アンロックボタン(ドアロック施解錠用遠隔操作手段)、60…アンサーバック制御装置(アンサーバック機能無効化手段)、70…管理制御装置(モード遷移条件設定手段)、71…携帯電話(モード遷移条件設定手段、期間指定手段)、72…カーナビゲーション装置(モード遷移条件設定手段、位置指定手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ユーザが所持する携帯機のドアロック施解錠用遠隔操作手段が操作されたとき、この携帯機が適合する車両のドアロックを施解錠するとともに、この車両のドアロックが施解錠されたことを知らせるべく、この車両の駐車位置を当該車両外部から特定可能な事象を発生させるアンサーバック機能を有するドアロックシステムにおいて、
前記アンサーバック機能が無効化されるモードであるアンサーバック機能無効化モードへの遷移に必要な条件を設定するモード遷移条件設定手段と、
前記モード遷移条件設定手段により設定された前記条件が満たされたとき、前記アンサーバック機能を無効化するアンサーバック機能無効化手段とを備える
ことを特徴とするドアロックシステム。
【請求項2】
前記アンサーバック機能無効化手段は、前記モード遷移条件設定手段により設定された前記条件が満たされたとき、ドアロックが施錠されたことを契機として、前記アンサーバック機能を無効化する
請求項1に記載のドアロックシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドアロックシステムにおいて、
前記アンサーバック機能が無効化される期間を指定する期間指定手段を備え、
前記モード遷移条件設定手段は、前記期間指定手段により指定された期間内に属することを前記条件として設定する
ことを特徴とするドアロックシステム。
【請求項4】
前記アンサーバック機能無効化手段は、前記期間指定手段により指定された期間外になったことを契機として、前記アンサーバック機能の無効化を解除する
請求項3に記載のドアロックシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のドアロックシステムにおいて、
前記アンサーバック機能が無効化される駐車位置を指定する位置指定手段を備え、
前記モード遷移条件設定手段は、前記位置指定手段により指定された駐車位置に当該車両が所在することを前記条件として設定する
ことを特徴とするドアロックシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のドアロックシステムにおいて、
前記アンサーバック機能が無効化される期間を指定する期間指定手段と、
前記アンサーバック機能が無効化される駐車位置を指定する位置指定手段とを備え、
前記モード遷移条件設定手段は、前記期間指定手段により指定された期間内に属し、且つ、前記位置指定手段により指定された駐車位置に当該車両が所在する場合にのみ、すなわちこれらのAND条件が成立することを前記条件として設定する
ことを特徴とするドアロックシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−112172(P2012−112172A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262083(P2010−262083)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】