説明

ドット抜け検査を行う印刷

【課題】 各ノズル毎の検査データを取得することなく非動作ノズルを検出できる技術を提供する。
【解決手段】本発明のノズルの吐出検査方法では、複数のノズル毎に検査を行い、この複数のノズルにインク滴を吐出できない非動作ノズルが含まれているか否かを決定することができるので、各ノズル毎に検査データを取得しなくても非動作ノズルの有無を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置におけるインク滴の吐出の有無を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、複数のノズルからインク滴を吐出して画像の印刷を行う。インクジェットプリンタの印刷ヘッドには、多数のノズルが設けられているが、インクの粘度の増加や気泡の混入等の原因によって、いくつかのノズルが目詰まりしてインク滴を吐出できない場合がある。インク滴が正常に吐出されないと画像内にドットの抜けが生じ、画質を劣化させる原因となる。このため、印刷前や印刷中において、インク滴の吐出の有無を検査するのが望ましい。
【0003】
インク滴の吐出の有無を検査する方法としては、光を用いた検査方法が考案されている。このような検査方法では、印刷ヘッドを移動させてノズルを所定の位置に位置決めし、各ノズルにインク滴を吐出させて検査装置の光を遮蔽させることによって、各ノズルの動作を確認していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、各ノズル毎に動作を確認する方法では、各ノズル毎に検査データを取得して処理することが要される。この結果、検査データの取得と処理に多大な時間を要するという問題が生じていた。
【0005】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、各ノズル毎に検査データを取得することなく非動作ノズルを検出できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は、インク滴を吐出するための複数のノズルを有するノズル列を備える印刷ヘッドに関するノズルの吐出検査方法であって、(a)N個(Nは2以上の整数)の検査対象ノズルから同時に吐出されるインク滴の軌跡と同時に交差する光を発生させる工程と、(b)前記N個の検査対象ノズルに対して、インク滴を吐出するための駆動信号を送る工程と、(c)前記インク滴による前記光の遮蔽状態に応じて検出パルスを生成する工程と、(d)前記検出パルスを解析することにより、インク滴を吐出することができない非動作ノズルの有無を検出する工程と、(e)前記印刷ヘッドと前記光の少なくとも一方を移動させることにより、前記検査対象ノズルを更新する工程と、(f)前記検査対象ノズルが更新された後に、前記工程(a)〜工程(d)を実行する工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のノズルの吐出検査方法では、複数のノズル毎に検査を行い、この複数のノズルにインク滴を吐出できない非動作ノズルが含まれているか否かを決定することができるので、各ノズル毎に検査データを取得しなくても非動作ノズルの有無を確認することができる。
【0008】
上記のノズルの吐出検査方法において、前記工程(d)は、前記検出パルスと予め定められた第1の閾値とを比較することによって、前記検出パルスの大きさが前記第1の閾値よりも小さいときには、前記検査対象ノズルの中に前記非動作ノズルが含まれていることを決定する工程を含むようにするのが好ましい。
【0009】
この構成では、検出パルスと予め定められた所定の閾値とを比較することによって、検査対象ノズルの中に非動作ノズルが含まれていることを決定することができるので、容易に印刷装置に適用することができる。
【0010】
上記のノズルの吐出検査方法において、前記工程(b)は、前記N個の検査対象ノズルに対して送られる前記駆動信号を一定の周波数とする工程を含み、前記工程(d)は、前記検出パルスから前記周波数成分を濾波した信号であるノズル検出信号を生成する工程と、前記ノズル検出信号と予め定められた第2の閾値とを比較し、前記ノズル検出信号の大きさが前記第2の閾値よりも小さいときは、前記検査対象ノズルの中に前記非動作ノズルが含まれていることを決定する工程とを含むようにするのが好ましい。
【0011】
こうすれば、インク滴の吐出に応じて生成される信号のみを抽出することができるので、非動作ノズルが含まれているか否かの判定精度を上げることができる。
【0012】
上記のノズルの吐出検査方法において、さらに、前記非動作ノズルが含まれている検査対象ノズルを有するノズル列のクリーニングを行う工程を備えるようにするのが好ましい。
【0013】
こうすれば、印刷ヘッドが有する複数のノズルの一部についてのみクリーニングを行うことにより、ドット抜け(非動作ノズル)を排除することができるので、ノズルクリーニングに伴うインクの消費を抑制することができる。
【0014】
上記のノズルの吐出検査方法において、前記非動作ノズルが検出された場合には、さらに、(g)前記非動作ノズルが含まれている前記N個の検査対象ノズルの各々に順に、インク滴を吐出するための駆動信号を送る工程と、(h)前記インク滴による前記光の遮蔽状態に応じて検出パルスを生成する工程と、(i)前記検出パルスに応じて、前記非動作ノズルを特定する工程とを備えるようにするのが好ましい。
【0015】
こうすれば、どのノズルが非動作ノズルであるかを特定することができるので、たとえば、印刷実行中にドット抜けが検出されたときにも、非動作ノズルを他のノズルで補完することにより、印刷を継続することができる。
【0016】
上記のノズルの吐出検査方法において、前記工程(b)は、前記N個の検査対象ノズルから吐出されるインク滴の吐出周波数をすべて異なるN種類の周波数とする工程を含み、前記工程(d)は、前記検出パルスから前記吐出周波数の成分をそれぞれ濾波することにより生成されるノズル検出信号を時系列データとして前記吐出周波数毎に生成する工程と、前記時系列データにおける前記吐出周波数毎のノズル検出信号の出現順序を比較することにより、非動作ノズルを特定する工程とを含むようにするのが好ましい。
【0017】
こうすれば、非動作ノズルが含まれている検査対象ノズルの各々について再度の検査を行うことなく、非動作ノズルを特定することができる。
【0018】
上記のノズルの吐出検査方法において、前記N種類の吐出周波数は、前記N種類の吐出周波数のうちのいずれの吐出周波数の整数倍も、前記N種類の吐出周波数のうちの他の吐出周波数とも一致しないように設定されているのが好ましい。
【0019】
こうすれば、ノズル検出信号の周波数が他のノズルグループに属するノズルのノズル検出信号の高調波と一致するという事態を回避できるので、高調波ノイズを抑制することにより、非動作ノズルの検出精度をより高めることができる。
【0020】
なお、本発明は、印刷装置等の種々の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態を、実施例に基づいて以下の順に説明する。
A.装置の構成:
B.インク滴検出部の構成と原理:
C.クリーニング機構の構成と動作:
D.第1実施例:
E.第2実施例:
F.変形例:
【0022】
A.装置の構成:
図1は、本発明の一実施例としてのカラーインクジェットプリンタ20の主要な構成を示す概略斜視図である。このプリンタ20は、用紙スタッカ22と、図示しないステップモータで駆動される紙送りローラ24と、プラテン板26と、キャリッジ29と、ステップモータ30と、ステップモータ30によって駆動される牽引ベルト32と、キャリッジ29のためのガイドレール34と、キャリッジ29の主走査方向の位置を計測するリニアエンコーダ35とを備えている。キャリッジ29には、多数のノズルを備えた印刷ヘッド28が搭載されている。ステップモータ30は、キャリッジモータともいう。
【0023】
図1の右端におけるキャリッジ29の待機位置には検出パルス生成部41が設けられている。検出パルス生成部41は、発光部41aと受光部41bとを備えており、光を利用してインク滴の飛行状態を調べることによってインク滴を検出する。この検出パルス生成部41を用いた検査の詳細な内容については後述する。
【0024】
印刷用紙Pは、用紙スタッカ22から紙送りローラ24によって巻き取られて、プラテン板26の表面上を副走査方向へ送られる。キャリッジ29は、ステップモータ30により駆動される牽引ベルト32に牽引されて、ガイドレール34に沿って主走査方向に移動する。キャリッジ29の主走査方向の位置は、リニアエンコーダ35により計測される。主走査方向は、副走査方向に垂直である。
【0025】
図2は、プリンタ20の電気的な構成を示すブロック図である。プリンタ20は、ホストコンピュータ100から供給された信号を受信する受信バッファメモリ50と、印刷データを格納するイメージバッファ52と、プリンタ20全体の動作を制御するシステムコントローラ54と、RAM56と、書き換え可能な不揮発性メモリであるEEPROM57とを備えている。
【0026】
システムコントローラ54には、キャリッジモータ30を駆動する主走査駆動ドライバ61と、紙送りモータ31を駆動する副走査駆動ドライバ62と、検出パルス生成部41を備えるドット抜け検査部40を駆動する検査部ドライバ64と、印刷ヘッド28を駆動するヘッド駆動ドライバ66とが接続されている。なお、紙送りモータ31は後述するクリーニング機構200aの駆動にも使用される。
【0027】
ホストコンピュータ100のプリンタドライバ(図示せず)は、ユーザの指定した印刷モード(高速印刷モード、高画質印刷モード等)に基づいて、印刷動作を規定する各種のパラメータ値を決定する。このプリンタドライバは、さらに、これらのパラメータ値に基づいて、その印刷モードで印刷を行うための印刷データを生成して、プリンタ20に転送する。転送された印刷データは、一旦、受信バッファメモリ50に蓄えられる。プリンタ20内では、システムコントローラ54が、受信バッファメモリ50に蓄えられた印刷データの中から必要な情報を読取り、これに基づいて、各ドライバに対して制御信号を送る。
【0028】
イメージバッファ52には、受信バッファメモリ50で受信された印刷データを色成分毎に分解して得られた複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動ドライバ66は、システムコントローラ54からの制御信号に従って、イメージバッファ52から各色成分の印刷データを読出し、これに応じて印刷ヘッド28に設けられた各色のノズルアレイ(ノズル列ともいう)に駆動信号DRVを供給することにより駆動する。なお、駆動ドライバ66は、特許請求の範囲における「駆動信号生成部」として機能する。
【0029】
なお、システムコントローラ54は、EEPROM57内に格納されているコンピュータプログラムを実行することによって、ドット抜け検査機能と、ドット抜け検査部40の調整機能とを含む種々の機能を実現している。
【0030】
EEPROM57内に格納されているコンピュータプログラムは、書き換えることが可能である。書き換え用のコンピュータプログラムの提供は、フレキシブルディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で行うことができる。記録媒体に記録されたプログラムは、ホストコンピュータ100に読み取られて、プリンタ20のEEPROM57に転送される。このようにして、EEPROM57内に格納されているコンピュータプログラムは書き換えられる。
【0031】
なお、この発明における「記録媒体」としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0032】
B.インク滴検出部の構成と原理:
図3は、検出パルス生成部41の構成と、その検査方法(飛行滴検査法)の原理を示す説明図である。図3は、印刷ヘッド28を下面側から見た図であり、印刷ヘッド28の6色分のノズルアレイと、検出パルス生成部41を構成する発光部41aおよび受光部41bが描かれている。
【0033】
印刷ヘッド28の下面には、ブラックインクを吐出するためのブラックインクノズル列Kと、濃シアンインクを吐出するための濃シアンインクノズル列Cと、淡シアンインクを吐出するための淡シアンインクノズル列LCと、淡マゼンタインクを吐出するための淡マゼンタインクノズル列LMと、濃マゼンタインクを吐出するための濃マゼンタインクノズル列Mと、イエロインクを吐出するためのイエロインクノズル列Yとが形成されている。
【0034】
各ノズル列の複数のノズルは副走査方向SSに沿ってそれぞれ整列している。印刷時には、キャリッジ29(図1)とともに印刷ヘッド28が主走査方向MSに移動しつつ、各ノズルからインク滴が吐出される。
【0035】
発光部41aは、外径が約1mm以下の光束Lを射出するレーザダイオードである。発光部41aと受光部41bの向きは、レーザ光Lの進行方向が副走査方向SSからやや傾いた方向になるように調整されている。
【0036】
C.クリーニング機構の構成と動作:
図4は、クリーニング機構200aの構成を示す概念図である。クリーニング機構200aは、ヘッドキャップ210aと、ホース220a,220b,220cと、ポンプローラ230a,230b,230cとを備えている。なお、図4においては、ホース220aと220cは途中までしか示されておらず、ポンプローラ230aと230cについては、図示が省略されている。
【0037】
ヘッドキャップ210aは、図4に示すように、その内部空間が三つの吸引室Va,Vb,Vcに分かれている。そして、ヘッドキャップ210aが上昇し、印刷ヘッド28の下面に密着すると、吸引室Vaはノズル列K、C(図3)を覆う閉空間を形成し、吸引室Vbはノズル列LCとLMを覆う閉空間を形成し、吸引室Vcはノズル列MとYを覆う閉空間を形成する。そして、ヘッドキャップ210aの吸引室Va,Vb,Vcには、それぞれホース220a,220b,220cが接続されている。ホース220a,220b,220cの他端は、それぞれポンプローラ230a,230b,230cに接続されている。ポンプローラ230a,230b,230cは、クラッチによりそれぞれ独立して紙送りモータ31(図2)に接続可能である。
【0038】
ポンプローラ230bは、その周縁部の近傍に2つの小ローラ232b,234bを有している。これらの2つの小ローラ232b,234bの周囲には、ホース220bが巻回されている。紙送りモータ31がポンプローラ230bに接続され、これが矢印A方向に回転すると、小ローラ232b,234bによってホース220b内の空気が押され、これによってヘッドキャップ210a内の閉空間Vbが排気される。この結果、印刷ヘッド28のノズル列LC、LMのノズルからインクが吸引され、ホース220bを介して図示しない廃インク排出部に排出される。また、ノズル先端に存在するインクが排出されると、インクカートリッジ側から新しいインクがノズルに供給される。
【0039】
図示しないポンプローラ230aとホース220a、および図示しないポンプローラ230cとホース220cの構成および作用は、ポンプローラ230bとホース220bの構成および作用と同じである。これらの構成により、ノズル列K、Cからなるノズルセットと、ノズル列LC、LMからなるノズルセットと、ノズル列MとYからなるノズルセットとは、三者がそれぞれ独立にインクを吸引可能となっている。
【0040】
D.第1実施例:
図5は、非動作ノズルを検出するための処理を示すフローチャートである。この処理では、非動作ノズルをノズル単位で特定するのではなく、いずれかのノズル列に非動作ノズルが存在するか否かを決定する。どのノズル列に非動作ノズルが存在するかが決定できれば、非動作ノズルが含まれているノズル列を有するノズルセット単位でノズルクリーニングを行うことができるという利点がある。
【0041】
ステップS101では、システムコントローラ54からの指令を受けた主走査駆動ドライバ61が、キャリッジモータ30を駆動してキャリッジ29の主走査を開始する。本実施例のドット抜け検査では、印刷ヘッド28を搭載したキャリッジ29を主走査方向に移動させることにより、検査対象となる複数の検査対象ノズルを更新する。なお、キャリッジ29の位置は、リニアエンコーダ35を利用して計測される。この計測結果は、システムコントローラ54を通じてドット抜け検査部40に送られる。
【0042】
ステップS102では、発光部41aがレーザの照射を開始する。レーザの照射は、キャリッジ29の位置の計測値に応じて開始される。たとえば、印刷ヘッド28の少なくとも一つのノズルがレーザ光Lの近傍に達したときに、インク滴が安定して検出できるようなタイミングでレーザの照射が開始される。
【0043】
図6は、本発明の第1実施例におけるレーザ光Lとノズルの位置関係を示す説明図である。この図は図3を拡大した図であり、印刷ヘッド28が有する各ノズルとレーザ光Lを示している。レーザ光Lは幅0.3mmの検出領域を有している。検出領域とは、この領域にインク滴が吐出されると、検出パルス生成部41が感知できる程度にレーザ光Lの光量が低下する領域である。この検出領域は、ノズル列Cの3つのノズル#4〜#6から吐出されるインク滴が通過する状態にある。この状態においては、これら3つのノズル#4〜#6が検査対象ノズルである。なお、印刷ヘッド28は、この位置関係で停止している状態である。
【0044】
ステップS103において、検査対象ノズル#4〜#6からインク滴の吐出が開始されると、システムコントローラ54は、検査部ドライバ64を通じて計測トリガをドット抜け検査部40に送る(ステップS104)。ドット抜け検査部40は、この計測トリガに応じて、受光部41bの出力値を記録する(S105)。この記録された出力値は、AD変換されてデジタルの検査データが生成される。この検査データは、図2に示すように、システムコントローラ54を経由せずに、RAM56にDMA転送(Direct Memory Access Transfer)され、予め定められた所定の番地に格納される。
【0045】
ステップS106では、ドット抜け検査部40は、3個の検査対象ノズル毎に少なくとも1つの非動作ノズルが含まれているか否か(ドット抜けの有無)を、RAM56から読み出された検査データに基づいて決定する。この決定は、図7に示すように、光量を、EEPROM57に格納されている閾値と比較することにより行う。この際、ドット抜け検査部40は、非動作ノズルを含むノズル列の特定をも併せて行う。なお、ドット抜け検査部40は、この実施例において特許請求の範囲における「非動作ノズル検出部」として機能している。
【0046】
各閾値は、たとえば、以下のようにして決定することができる。先ず、各ノズル毎に検査を行って全ノズルが動作ノズルであることを確認する。次に、3個の検査対象ノズルの内の2個のノズルだけからインク滴を吐出させた状態で光量低下を計測する。この計測値に応じて複数の検査対象ノズル毎の閾値を決定することができる。閾値は、出荷前に設定しても良いし、出荷後定期的に行うようにしても良い。この閾値は特許請求の範囲における「第1の閾値」に相当する。
【0047】
非動作ノズルの有無の決定がなされたら、検査対象ノズルを更新してから、ステップS103〜S106を繰り返す。検査対象ノズルの更新は、主走査駆動ドライバ61がキャリッジモータ30を駆動してキャリッジ29を移動させることにより行われる。このようにして、印刷ヘッド28上の全ノズルについて検査を行うことができる。なお、主走査駆動ドライバ61およびキャリッジモータ30は、特許請求の範囲における「検査対象ノズル更新部」に相当する。
【0048】
ステップS107では、クリーニング機構200a(図2)は、非動作ノズルを有するノズル列を含むノズルセットのクリーニングを行う。
【0049】
このように、第1実施例では、各ノズル毎に検査データを取得することなく非動作ノズルを検出できるので、検査データの取得に要する時間を短縮できるとともに、検査データの量も抑制することができるという利点がある。
【0050】
さらに、この実施例では、非動作ノズルを有するノズル列も併せて特定されているので、印刷ヘッドが有する複数のノズルの一部(この実施例ではノズルセット)についてのみクリーニングを行うことによりドット抜けを排除することができる。この結果、ノズルクリーニングに伴うインクの消費を抑制することができるという利点もある。
【0051】
また、非動作ノズルを含んでいると決定された複数の検査対象ノズルの各々から順にインク滴を吐出させることにより、非動作ノズルを特定するようにしても良い。どのノズルが非動作ノズルであるかを特定できると、たとえば、非動作ノズルで形成すべきドットを他のノズルで補完して印刷を実行することができるという利点があるからである。なお、この補完動作については、本出願人により開示された特開2000−263772号公報に詳述されているので、ここではその説明は省略する。
【0052】
E.第2実施例:
図8は、本発明の第2実施例における非動作ノズルの特定のための処理を示すフローチャートである。この実施例では、非動作ノズルを含んでいる旨の決定がなされた複数の検査対象ノズルについての再度の検査、すなわち、この複数の検査対象ノズルの各々から順にインク滴を吐出させて非動作ノズルを特定するという詳細な検査を行うことなく非動作ノズルを特定することが可能である。
【0053】
ステップS201、S202では、キャリッジ29の主走査とレーザの照射が第1実施例と同様に開始される。
【0054】
ステップS203では、検査対象となる複数のノズルがインク滴の吐出を開始する。この第2実施例においては、ヘッド駆動ドライバ66は、印刷ヘッド28を停止させることなく、キャリッジ29の位置に応じて所定数の検査対象ノズルを決定し、それらの検査対象ノズルからインク滴を吐出させる。また、この第2実施例では、検査対象ノズルから吐出されるインク滴の吐出周波数が各ノズル毎にすべて異なる値に制御されている点で第1実施例と異なる。
【0055】
図9は、本発明の第2実施例におけるレーザ光Lと、互いに異なる周波数でインク滴を吐出する複数のノズルの位置関係を示す説明図である。各ノズル列は180個のノズルを備えている。各ノズル列に含まれているノズルは、4つのノズルグループに分けられており、各ノズルグループ毎に異なる周波数でインク滴が吐出されている。
【0056】
図に示す例では、#1,#5,#9〜#173、#177ノズルから構成される第1のノズルグループは5kHzでインク滴を吐出し、また、#2,#6,#10〜#174、#178ノズルから構成される第2のノズルグループは3.3kHzで、#3,#7,#11〜#175、#179ノズルから構成される第3のノズルグループは2kHzで、#4,#8,#12〜#176、#180ノズルから構成される第4のノズルグループは1.4kHzで、それぞれインク滴を吐出する。
【0057】
ノズルの配列その他の以下に示す事項は、同一ノズル列中の同一のノズルグループに属する複数のノズルが、印刷ヘッド28の主走査において、同時に検査対象ノズルとなる場合が無いように設定されている。
(1)各ノズルグループに属するノズルの配列
(2)レーザ光Lの検出領域の幅
(3)レーザ光Lとノズル列の角度
【0058】
たとえば、図9に示す例では、第1〜第4の4つのノズルグループに属するノズルは副走査方向に向かって周期的に配置されており、検査対象ノズルは最大3個(図では#6〜#8)なので、同一ノズルグループに属する複数のノズルが同時に検査対象ノズルとなることはない。また、各ノズルグループは互いに異なる周波数で駆動されるので、複数の検査対象ノズルから吐出されるインク滴の吐出周波数は、すべて異なる複数種類の周波数となることが分かる。
【0059】
図10は、異なる一定の周波数でインク滴を吐出するための駆動信号DRVを生成する方法を示す説明図である。この第2実施例では、10kHzの原駆動信号COMDRVから、複数の検査対象ノズルに含まれる各ノズルがすべて異なる一定の周波数でインク滴を吐出するための駆動信号DRVを生成する。駆動信号DRVは、印刷信号PRTに応じて原駆動信号COMDRVをオン/オフ制御することにより生成される。
【0060】
具体的には、図10(a)〜(d)にそれぞれ示すように、第1のノズルグループに供給するための5kHzの駆動信号DRVは印刷信号PRTを2回に1度オンにすることにより生成することができ、また、第2のノズルグループに供給するための3.3kHzの駆動信号DRVは印刷信号PRTを3回に1度オンにすることにより、第3のノズルグループに供給するための2kHzの駆動信号DRVは印刷信号PRTを5回に1度オンにすることにより、第4のノズルグループに供給するための1.4kHzの駆動信号DRVは印刷信号PRTを7回に1度オンにすることにより、それぞれ生成することができる。
【0061】
図11は、本発明の第2実施例における検出パルスを周波数領域で示す説明図である。実線は吐出されるインク滴の周波数である基本波を、点線は吐出されるインク滴の周波数の第2次高調波を示している。なお、第3次以上の高調波については図示を省略している。図から分かるように、第2次の高調波は基本波の周波数から外れている。
【0062】
このように、複数種類の吐出周波数は、この複数種類の吐出周波数のうちのいずれの吐出周波数の整数倍も、この複数種類の吐出周波数のうちの他の吐出周波数と一致しないように設定されている。基本波の周波数がこのように設定されている理由は、これらの高調波ノイズに起因する誤決定を抑制することができるという利点があるからである。
【0063】
ステップS204では、検査データは、前述の第1実施例と同様にメモリ56上にDMA転送され、所定の番地に格納される。この検査データは、システムコントローラ54により分析され、非動作ノズルの特定が行われる(ステップS205)。
【0064】
図12は、ステップS205における検査データの分析の詳細を示すフローチャートである。ステップS301では、システムコントローラ54は、メモリ56から検査データを読み出してフィルタリング(濾波)処理を行う。このフィルタリング処理は、各ノズルグループにおけるインク滴の吐出周波数と一致する周波数成分のデータを抽出するデジタルフィルタリング処理である。このフィルタリング処理は各ノズルグループの周波数毎に行われる。フィルタリング処理された検査データは、さらに時系列順に並べられて各ノズルグループ毎の時系列データが生成される(ステップS302)。この時系列データは、各ノズルグループ毎に8ビットの多値のデータである。この多値データには、次のステップS303において2値化処理がなされる。
【0065】
図13は、各ノズルグループ毎に分離された時系列の2値データを示す説明図である。ノズル検出信号内の番号は該当するノズルの番号を示している。図示の例では、検査データは、インク滴の吐出周波数である5kHz、3.3kHz、2kHz、および1.4kHzの成分に分離され、2値化処理がなされている。2値化処理は、システムコントローラ54において時系列データが所定の閾値と比較されることにより行われる(ステップS303)。2値化処理を行う理由は、各周波数毎に8ビットの時系列データにはノイズも含まれているので、インク滴の吐出に応じた信号であるかノイズであるかを判定するためである。また、2値化処理が行われたデータは、各ノズルグループ毎に1ビットのデジタルデータとなるので、非動作ノズルの検出と特定の処理が容易となるという利点もある。
【0066】
この時系列の2値データは、図9においてシアンインクノズル列Cからインク滴を吐出させつつ、印刷ヘッド28を主走査方向MSにおいて右から左に一定速度で移動させつつ取得し処理したものである。図9が示す状態は、時刻t3の直前で生ずる状態である。すなわち、シアンインクノズル列Cの第1ノズルグループの#5ノズルがレーザ光Lの検出領域から外れた後であり、かつ、同第1ノズルグループの#9ノズルがレーザ光Lの検出領域に入る直前の状態である。この状態では、#6〜#8ノズルがレーザ光Lの検出領域に入っている。
【0067】
時間t1において、シアンインクノズル列Cの#1ノズルがレーザ光Lの検出領域に入ると、第1ノズルグループにおいてノズル検出信号が現れるが、#1ノズルがこの検出領域から出るとこのノズル検出信号は消える。時間t2においては、#5ノズルがこの検出領域に入り、このノズルに応じたノズル検出信号が現れる。このように、時間t2の直前にはノズルが検出されない一定の時間間隔が生じている。これは、5kHzでインク滴を吐出する同第1ノズルグループに属する他のノズル(#9、#13〜#177)についても同様であり、ノズルが検出されない一定の時間間隔をおいてノズル検出信号が順に現れることが分かる。なお、第2〜第4ノズルグループに属するノズルについても図13から分かるように同様の信号となる。
【0068】
この結果、各ノズルグループに属する動作ノズルの数と同じ数のノズル検出信号が現れることになるので、各ノズルグループに属するノズルの数からノズル検出信号の数を減じた数が非動作ノズルの数であることが分かる。さらに、図9および図13から分かるように、ノズル列に含まれるすべてのノズルが動作ノズルである場合には、第1ノズルグループ、第2ノズルグループ、第3ノズルグループ、第4ノズルグループ、第1ノズルグループ・・・の順にノズル検出信号が現れることになる。
【0069】
ステップS304では、システムコントローラ54は、このような2値の時系列データを用いて非動作ノズルの検出とその特定を行う。たとえば、図14に示すように、ノズル列の端部に配置された第1ノズルグループの#1ノズルが非動作ノズルである場合には、第1ノズルグループでノズル検出信号が現れる前に、第2ノズルグループでノズル検出信号が現れることになる。#1ノズルが動作ノズルである場合には、第1ノズルグループでノズル検出信号が最初に出現するはずなので、これにより、#1ノズルが非動作ノズルであることが分かる。なお、#2ノズルも非動作ノズルであるときには、第2ノズルグループではなく第3ノズルグループで最初にノズル検出信号が現れるので、#1ノズルと#2ノズルの双方が非動作ノズルであることが特定できる。
【0070】
ノズル列の中間に配置された第2ノズルグループの#10ノズルが非動作ノズルである場合には、時系列2値データにおいて、第1ノズルグループのノズル検出信号が現れた後に、第2ノズルグループのノズル検出信号ではなくて、第3ノズルグループのノズル検出信号が現れる場合が生ずる。この結果、第2ノズルグループのノズルの中に非動作ノズルが存在することが分かる。
【0071】
この非動作ノズルの特定は、たとえば、非動作ノズルが含まれていない第3ノズルグループのノズル検出信号をカウントすることにより行うことができる。具体的には、3番目のノズルである#11ノズルの前の第2ノズルグループに非動作ノズルが検出されているので、#10ノズルが非動作ノズルであることが分かる。なお、第3ノズルグループに非動作ノズルが無いことは、この第3ノズルグループで検出されたノズル検出信号の数と第3ノズルグループに属するノズルの数が一致することで確認することができる。
【0072】
このように、この実施例では、各ノズルグループのノズル検出信号についての時系列的な相互比較を行うことにより、各ノズル毎の再度の検査を行うことなく非動作ノズルを特定することができるという利点がある。さらに、時系列による相対的な比較を行うことによりノズルの検査が行われるので、キャリッジ29の位置の正確な計測が不要となるという利点もある。
【0073】
なお、非動作ノズルが多い場合には、非動作ノズルを特定することができないようなケースも考えられる。しかし、このような場合には、補完動作を行うよりも非動作ノズルを有するノズル列のクリーニングを行う方が好ましいので、このようなシーケンスとすれば良い。
【0074】
また、第2実施例では、レーザ光Lの検出領域に同時に3個の検査対象が入るように設定されているが、たとえば、2個の検査対象が入るように設定されていても良い。一般に、レーザ光Lの検出領域に同時に入り得る検査対象ノズルの個数は、すべてのノズルが異なる周波数でインク滴を吐出できるように設定されていればよい。
【0075】
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0076】
F−1.第1実施例では、印刷ヘッド28を停止した状態で、検査対象ノズルからインク滴を吐出しているが、印刷ヘッド28を停止させずにインク滴を吐出するようにしても良い。一般に、複数の検査対象ノズルから同時に吐出されるインク滴の軌跡と同時に交差する光が発生している状態において、この複数の検査対象ノズルに対してインク滴を吐出するための駆動信号が送られていれば良い。
【0077】
印刷ヘッド28を停止させないで検査を行う場合には、インク滴の吐出は、リニアエンコーダ35により計測されるキャリッジ29の位置の計測値に応じて制御される。たとえば、#4〜#6の検査対象ノズル(図6)の少なくとも1つが、レーザ光Lの検出領域にインク滴を吐出可能となる位置に来ると吐出が開始され、#4〜#6の検査対象ノズルのすべてがこの検出領域外にインクを吐出する位置に来ると吐出が終了するように制御される。
【0078】
一方、計測トリガは、#4〜#6の検査対象ノズルのすべてがこの検出領域にインク滴を吐出可能となる位置に来たときに、検査部ドライバ64を経由してシステムコントローラ54からドット抜け検査部40に送られる(ステップS104(図5))。他のステップ(S101、S102、S105〜S107)は、上記の実施例と同様に実行される。
【0079】
F−2.上記実施例では、一定のサンプリング周期(たとえば50μs)で計測したデジタルデータをメモリ等の記憶素子に記録し、このデータを解析することによって非動作ノズルの検出を行っているが、主走査中の計測と同時に非動作ノズルの検出を行っても良い。また、非動作ノズルの検出を行うタイミングは、たとえば、各主走査毎であっても良いし、すべての検査データを取得した後であっても良い。
【0080】
F−3.第1実施例は、第2実施例で使用しているフィルタリング(濾波)処理を適用して実施しても良い。この場合、たとえば、複数の検査対象ノズルに対して送られる駆動信号をすべて同一の周波数として、検出パルスをこの周波数でフィルタリングすることによりノズル検出信号が生成される。このノズル検出信号を所定の閾値と比較することにより、複数の検査対象ノズルの中に非動作ノズルが含まれている旨が決定できる。
【0081】
このようにしても、前述の第1実施例と同様に非動作ノズルの有無を決定できるが、この構成ではインク滴の吐出に応じて生成される信号のみを抽出することができるので、非動作ノズルが含まれているか否かの判定精度を上げることができるという利点がある。なお、この閾値は特許請求の範囲における「第2の閾値」に相当する。
【0082】
F−4.上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0083】
F−5.本発明は、一般にインク滴を吐出するタイプの印刷装置に適用可能であり、カラーインクジェットプリンタ以外の種々の印刷装置に適用可能である。例えば、インクジェット方式のファクシミリ装置やコピー装置にも適用可能である。
【0084】
F−6.上記実施例の印刷ヘッドでは、複数のノズル列は、主走査方向に並べられているが、副走査方向に並べられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施例としてのカラーインクジェットプリンタ20の主要な構成を示す概略斜視図。
【図2】プリンタ20の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】検出パルス生成部41の構成と、その検査方法(飛行滴検査法)の原理を示す説明図。
【図4】クリーニング機構200aの構成を示す概念図。
【図5】本発明の第1実施例における非動作ノズルを検出するための処理を示すフローチャート。
【図6】本発明の第1実施例におけるレーザ光Lとノズルの位置関係を示す説明図。
【図7】本発明の第1実施例におけるノズルの検出パルスと閾値の関係を示す説明図。
【図8】本発明の第2実施例における非動作ノズルの特定のための処理を示すフローチャート。
【図9】本発明の第2実施例におけるレーザ光Lと、互いに異なる周波数でインク滴を吐出する複数のノズルの位置関係を示す説明図。
【図10】異なる一定の周波数でインク滴を吐出するための駆動信号を生成する方法を示す説明図。
【図11】本発明の第2実施例における検出パルスを周波数領域で示す説明図。
【図12】本発明の第2実施例における検出パルスの分析方法を示すフローチャート。
【図13】各ノズルグループ毎に分離された時系列データを示す説明図。
【図14】各ノズルグループ毎に分離された時系列データを示す説明図。
【符号の説明】
【0086】
20…カラーインクジェットプリンタ
22…用紙スタッカ
24…紙送りローラ
26…プラテン板
28…印刷ヘッド
29…キャリッジ
30…キャリッジモータ
31…紙送りモータ
32…牽引ベルト
34…ガイドレール
35…リニアエンコーダ
40…ドット抜け検査部
41…検出パルス生成部
50…受信バッファメモリ
52…イメージバッファ
54…システムコントローラ
56…RAM
57…EEPROM
61…主走査駆動ドライバ
62…副走査駆動ドライバ
64…検査部ドライバ
66…ヘッド駆動ドライバ
100…ホストコンピュータ
200a…クリーニング機構
210a…ヘッドキャップ
220a,220b,220c…ホース
230a,230b,230c…ポンプローラ
232b,234b…小ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を吐出するための複数のノズルを有するノズル列を備える印刷ヘッドに関するノズルの吐出検査方法であって、
(a)N個(Nは2以上の整数)の検査対象ノズルから同時に吐出されるインク滴の軌跡と同時に交差する光を発生させる工程と、
(b)前記N個の検査対象ノズルに対して、インク滴を吐出するための駆動信号を送る工程と、
(c)前記インク滴による前記光の遮蔽状態に応じて検出パルスを生成する工程と、
(d)前記検出パルスを解析することにより、インク滴を吐出することができない非動作ノズルの有無を検出する工程と、
(e)前記印刷ヘッドと前記光の少なくとも一方を移動させることにより、前記検査対象ノズルを更新する工程と、
(f)前記検査対象ノズルが更新された後に、前記工程(a)〜工程(d)を実行する工程と、
を備えることを特徴とするノズルの吐出検査方法。
【請求項2】
請求項1記載のノズルの吐出検査方法であって、
前記工程(d)は、前記検出パルスと予め定められた第1の閾値とを比較することによって、前記検出パルスの大きさが前記第1の閾値よりも小さいときには、前記検査対象ノズルの中に前記非動作ノズルが含まれていることを決定する工程を含む、ノズルの吐出検査方法。
【請求項3】
請求項1記載のノズルの吐出検査方法であって、
前記工程(b)は、前記N個の検査対象ノズルに対して送られる前記駆動信号を一定の周波数とする工程を含み、
前記工程(d)は、
前記検出パルスから前記周波数成分を濾波した信号であるノズル検出信号を生成する工程と、
前記ノズル検出信号と予め定められた第2の閾値とを比較し、前記ノズル検出信号の大きさが前記第2の閾値よりも小さいときは、前記検査対象ノズルの中に前記非動作ノズルが含まれていることを決定する工程と、
を含むノズルの吐出検査方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のノズルの吐出検査方法であって、さらに、
前記非動作ノズルが含まれている検査対象ノズルを有するノズル列のクリーニングを行う工程を備える、ノズルの吐出検査方法。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載のノズルの吐出検査方法であって、
前記ノズルの吐出検査方法は、前記非動作ノズルが検出された場合には、さらに、
(g)前記非動作ノズルが含まれている前記N個の検査対象ノズルの各々に順に、インク滴を吐出するための駆動信号を送る工程と、
(h)前記インク滴による前記光の遮蔽状態に応じて検出パルスを生成する工程と、
(i)前記検出パルスに応じて、前記非動作ノズルを特定する工程と、
を備えるノズルの吐出検査方法。
【請求項6】
請求項1記載のノズルの吐出検査方法であって、
前記工程(b)は、前記N個の検査対象ノズルから吐出されるインク滴の吐出周波数をすべて異なるN種類の周波数とする工程を含み、
前記工程(d)は、
前記検出パルスから前記吐出周波数の成分をそれぞれ濾波することにより生成されるノズル検出信号を時系列データとして前記吐出周波数毎に生成する工程と、
前記時系列データにおける前記吐出周波数毎のノズル検出信号の出現順序を比較することにより、非動作ノズルを特定する工程と、
を含むノズルの吐出検査方法。
【請求項7】
請求項6記載のノズルの吐出検査方法であって、
前記N種類の吐出周波数は、前記N種類の吐出周波数のうちのいずれの吐出周波数の整数倍も、前記N種類の吐出周波数のうちの他の吐出周波数とも一致しないように設定されている、ノズルの吐出検査方法。
【請求項8】
インク滴を吐出するための複数のノズルを有するノズル列を備える印刷ヘッドを用いて印刷を行う印刷装置であって、
前記N個(Nは2以上の整数)の検査対象ノズルから同時に吐出されるインク滴の軌跡と同時に交差する光を発生させる発光部と、
前記N個の検査対象ノズルに対して、インク滴を吐出するための信号を送る駆動信号生成部と、
前記インク滴による前記光の遮蔽状態に応じて検出パルスを生成する検出パルス生成部と、
前記検出パルスを解析することにより、インク滴を吐出することができない非動作ノズルの有無を検出する非動作ノズル検出部と、
前記印刷ヘッドと前記光の少なくとも一方を移動させることにより、前記検査対象ノズルを更新する検査対象ノズル更新部と、
を備える印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−76311(P2006−76311A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350656(P2005−350656)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【分割の表示】特願2001−161877(P2001−161877)の分割
【原出願日】平成13年5月30日(2001.5.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】